- 1二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:47:11
グラウンドの外れにある大きな樹の下。
トレーニング終わりなのだろうか、キングさんとスカイさんの二人が並んで寝ている。
むう、と頬が膨らむ。
自分の小柄な身体をさらに縮めて無理矢理二人の間に入った。
隣からスカイさんの体温を感じて満足する。
「……狭かったらもう少しずれるわよ」
スカイさんとは逆側から声を掛けられる。
恐る恐るそちら側を向く。
横たわったまま困ったように見つめるキングさんがいた。
「き、キングさ……!」
声を出そうとした唇がキングさんの指で制される。
「スカイさんが起きちゃうわよ」
黙ってうなずく。
キングさんが少しだけ横にずれてくれた。
幾分かスペースが空く。
「ありがとうございます」
「構わないわ」
なんとも言えない沈黙が流れる。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:47:36
先に根を上げたのはキングさんのほうだった。
「……ごめんなさいね」
「なにがですか?」
「その、スカイさんの隣でお昼寝なんて」
心底申し訳なさそうに謝るキングさん。
その様子につい笑みがこぼれてしまう。
「大丈夫です、気にしてませんから」
「……間に挟まろうとするのは気にしてない子の行動なのかしら」
反論ができない。
なにも言えないでいるとキングさんが私の肩に手を置いた。
「どうせだからひと眠りしていくといいわ。昼寝の達人が太鼓判を押す場所だし」
優しくあやすように肩をたたかれる。
ぽん、ぽん、ぽん……。
背中でスカイさんの呼吸を感じる。
すう、ほう……すう、ほう……。
少しずつ眠りへと誘われる。
キングさんとスカイさん。
どちらかのせいなのか、あるいは両方か。
そんな考えごと眠りの中へ落ちていった。 - 3二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:48:03
「……いい加減寝たふりはやめなさいな、スカイさん」
「……バレてた?」
スカイさんがゆっくりと目を開ける。
私はフラワーさんを起こさないようにため息を押し殺した。
「こんなかわいらしい子に慕われて一体なにが不満なのかしら」
「フラワーはまだ子どもなんだし……」
「私たちだって子どもよ」
スカイさんが口をつぐんでしまった。
さらさらとスカイさんの手がフラワーさんの髪に触れる。
「ねえ、スカイさん。あなたってかなりモテるでしょう?」
「それってキングの主観?」
「はぐらかさないで。ただの一般論よ」
強めの語調で話しても彼女に効いているのかいないのか。
それでも私は話し続けた。
「フラワーさんがタキオンさんとかと話していると露骨に不機嫌になるけど、それはフラワーさんにだって言えるのよ」
「……そんなに表情に出てた?」
押し殺していたため息が漏れそうになる。
「……とにかく、あなただってスペさんとかグラスさんとかエルさんとか、魅力的な人に囲まれているの。好きな人がそんな状況なら嫉妬するくらい普通のことよ」
キングも含めてね、とささやく心の声は無視した。
「フラワーさんのことが好き、の一言くらい言ったって罰は当たらないと思うわよ」
スカイさんはなにも言わず、フラワーさんの頭を撫で続けている。
私もそれ以上はなにも言わなかった。
フラワーさんの安らかな寝息だけが私たちの間に流れていた。 - 4二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:49:17
この三人はどうなるんだろうなあ…(他人事)
お目汚し失礼しました - 5二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:49:37
浄化された、ありがとう
- 6二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 23:52:21
それぞれの良いところが濃縮されてる
つまり栄養満点なSSだ - 7二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 00:18:34
もしかして、キングって良妻賢母なのでは?
- 8二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 00:19:44
小さいけれど短距離でバクシンに勝ったことあるんだよね、フラワー