キングヘイロー「カワカミさんたちのライブを見に来たわ」【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:25:08

    注意
    公式でウマ娘化されていない史実馬がモチーフのウマ娘が出てきます

  • 2二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:25:22

    学園の誇る美少女たち五人が彩phantasiaを歌うとあって会場の最寄り駅まで大盛況だった。
    フラワーさんも出るということでスカイさんもついてきたのだが……。
    「……荷物多くない?」
    「え~?そんなことないよ~」
    そう話すスカイさんの背にはリュックサックが背負われている。
    「お水とお茶でしょ~?それにサイリウムのセットと念のための着替えと……」
    「それにしたって大き過ぎじゃない?」
    「だって物販があるんだよ!?フラワーのグッズたくさん買わなきゃ!」
    「……私、あなたのそんなきらきらした目初めて見たのだけど」
    会場の前まで着くとスカイさんはリュックからなにかを取り出し羽織った。
    「いい席取れるといいねえ」
    「……さも当然のように着たけど、それなに?」
    「自作の法被」
    「わあ……」
    もうなにかを言う気も起きず、会場へと足を踏み入れた。

  • 3二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:25:40

    人波をかき分け最前列へと陣取る。
    「あれ?先輩方も来てたんですか?」
    声の方向を見ると、顔に幼さは残るものの私たちより大柄な少女が立っていた。
    「あら、キタサンブラックさん。こんなところで奇遇ね」
    「呼び捨てで大丈夫ですよ、キング先輩」
    「ごめんねキタちゃん、この子見ての通り頑固ちゃんだから~」
    スカイさんのたわ言は無視して後輩の格好を見る。
    ……法被だ。
    「ねえ、それって……」
    「自作の法被です!」
    ひどくなる私の頭痛と反比例するようにスカイさんのテンションが上がる。
    「ほんと!?私のも自作なんだ!ねえねえ、誰推し!?」
    「スイープさんです!ツンツンしてるところもかわいいなあって……!」
    「あ~!なるほどね!私はもちろんフラワーだよ!」
    「わかります!フラワーさんもかわいらしいですよね!」
    ライブが始まる寸前まで二人の“ちっちゃいもの談義”は続いた。

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:26:10

    第一部が終わり、休憩時間になった。
    周りの人たちが外の物販へと向かう。
    「あなたたちはいいの?」
    半ば放心している二人に話しかける。
    「んえ?ああ、私たちの分はもう取っておいてもらってるから」
    「えっ、それっていいの?」
    「関係者だからセーフらしいですよ」
    「う、胡散臭い理論ね……」
    私は外の空気を吸いに出た。
    風が心地いい。
    ふと物販コーナーを見ると、サングラスをした長身のウマ娘がグッズを買っていた。
    「え、ええと、エアグルーヴさんのサイン入りのクリアファイルとTシャツとペンと……あーもう、女帝のグッズ全部ください!」
    エアグルーヴ先輩の大ファンのようだ。
    支払いの段階になり、彼女がカードを取り出す。
    「申し訳ありません、こちら現金のみの取り扱いとなっておりまして……」
    「えっ!?ど、どうしよう私クレジットしか……」
    見るからにあたふたしている。
    数秒、天を見上げる。
    意を決して彼女のところへ歩いていく。
    「私が払うわ」
    財布から足りそうな分の紙幣を差し出す。
    「そ、そんな!悪いですよ!」
    「たまたま目に入っただけですから」
    「せめてお礼を……」
    「このライブを楽しんでいただくことが一番のお礼ですよ」
    そう言って立ち去ろうとする。
    「あのう……」
    販売員に呼び止められる。
    「ちょっと足りないんですけど……」
    ……頬の熱さを感じつつもう一枚紙幣を追加してから立ち去った。

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:26:26

    「……あの子、グッバイさんに似てたなあ」

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:26:45

    会場に戻ると入り口近くの柱に隠れるように佇んでいる見知った顔があった。
    「ライアン先輩?」
    「やあ、キングちゃん」
    困ったような笑みを浮かべながら挨拶を返された。
    「ドーベル先輩の応援ですか?」
    「まあそんなところかな」
    「じゃあ、私たちと一緒にライブ観ませんか?最前列にいますから」
    「うーん……遠慮しとくよ」
    ライアン先輩が頬を掻く。
    「ほら、ドーベルに知り合いがいるってバレたら緊張させちゃいそうだしさ……」
    構わずさみしそうな笑みのままのライアン先輩の手を取る。
    「大好きな先輩の応援のほうがずっと力になりますよ」
    返事も待たず最前列まで連れていく。
    そして休憩が終わり、第二部が始まった
    ライブ中のドーベル先輩の顔はいつもより楽しげに見えた。

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:27:08

    ライブ会場にはステージ上の歌声に交じって色んな声が飛んでいる。

    「フラワー!大好きだよー!」
    透き通る空色の声。

    「スイープさーん!こっち見てー!」
    お囃子のようなにぎやかな声。

    「きゃあああ!女帝かっこいいー!」
    高貴そうな声。

    「ドーベルー!かわいいよー!」
    力強い快活な声。

    そんな声に交じって私も声を張る。
    「一流のプリンセスよ!カワカミさん!」

    こちらの声が届いたのか定かではないが。
    ステージの上のカワカミさんはいつもと同じく……。
    いや、いつも以上にかわいらしく見えた。

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 20:28:18

オススメ

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