【SS】プリンセスと添い寝した編

  • 1二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:30:59

    妄想を供養する。

  • 2二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:31:27

    #1
     秋華賞を無敗のまま制覇したプリンセスは、その勢いのままエリザベス女王杯に挑戦し――斜行により最下位降着処分となった。それだけなら、それほど珍しい話ではない。メジロマックイーンだって秋の天皇賞で降着となったことがあるが、その後も名ステイヤーとして活躍した。だが、プリンセスの場合は事情が違った。
     プリンセスの斜行によって怪我を負い、そのまま引退することになったウマ娘がいた。彼女が引退を表明してから、プリンセスを攻撃するような意見がネット上で見られるようになった。もちろん露骨な悪意のあるものや過激なものはトレセン学園が対処して削除依頼をしているのだが、すべてに対応できているわけではない。
     斜行事件から何週間か経った後の、生中継事件はもっとまずかった。全国生中継のテレビ番組でプリンセスが泣き出してしまったあの日のことは、今でも思い出すと嫌な汗をかく。あのことがきっかけで、プリンセスのことや斜行事件のことををよく知らなかった人にまで、「何か問題を起こしたウマ娘」というイメージがもたれてしまった。第一、この炎上社会だ。非があると認めてしまった者は徹底的に叩かれる。今は大分マシになったが、一時期は本当に酷かった。
     そんなことなれば、誰だってメンタルに悪影響が出る。ましてや、プリンセスはまだ子どもだ。トレーニングの成果も目に見えて落ちてきた。心配をかけさせまいとしてなのか、彼女は何を聞いても「大丈夫」としか言ってくれなかった。

  • 3二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:33:05

    #2
     「最近眠りが浅くて……うなされて起きてしまうんですの……。」 あまりにも体調が悪そうだったので、多少強引に保健室へと連れて行ったある日、ようやくプリンセスは不調の原因を打ち明けてくてた。曰く、はじめは”あの日”のことに関する悪夢を見ていたが、最近では不調の自分をトレーナーが見限る夢を見るのだという。ここしばらくは断続的に3~4時間しか眠れていないのだという。どう見ても彼女は限界だった。
     しばらくの間はトレーニングを休みにして、空いた時間はトレーナー室で仮眠をとらせよう。そう判断したことは誤りではなかったと今でも思う。

  • 4二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:37:12

    #3
     「トレーナーさん、このようなことをお願いするのは姫として恥ずべきことだと思うのですが……。膝枕をしてくださいませんか?」
     プリンセスをトレーナー室で寝かせるようになってから数日経ったころ、おずおずと切り出された。彼女なりに勇気の必要な申し出だったのだろう。頬が赤く染まっている。それでプリンセスが束の間でも安心できるなら、喜んで協力したいと伝えた。

     毎日のように3~4時間も膝枕をしていれば、自然とスキンシップも増えてくる。もっとも、はじめのころは頭を撫でたり、肩を優しく揺すったり、母親が子どもを寝かしつけるときにするようなものばかりだったが。
     ちょっと妙なことになってきたぞ、と思ったのはたしか、「眠りに就くときにお腹を撫でていてほしい」と言われたときだった。

  • 5二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:39:29

    #4
     これでも学園からうるさいくらいにコンプライアンスに関する研修は受けている。だから、プリンセスに膝枕をしているときも彼女の肩から下には手を触れないようにしていた(膝枕だってけっこう際どい行為だったけれども)。
     ただ、そのときも深く考えることまではしなかった。その方がプリンセスがリラックスできるなら……。自分にはこれくらいしかできないから……。お腹を撫でるくらいならスキンシップの一環だから……。彼女に膝枕をしている間、お腹を撫でる腕がぎゅっと抱き寄せられて、柔らかい(すごく柔らかい)ものに当たる感覚がしても、自分にそう言い聞かせた。

  • 6二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:40:17

    #5
     限界効用逓減の法則というものがある。もとは経済学の用語だが、財やサービスを消費するうちに、そこから得られる満足感が段々と減ってくる現象を説明するのに用いられる。一口目は美味しかったビールが、次第に味気ないものに感じられたりするのは、限界効用が逓減しているからだ。
     限界効用逓減の法則は、プリンセスにも当てはまった。要するに、お願いがエスカレートしてきた。寝ている間に手をずっと握っていてほしいと言われればそうした。「トレーナーさんのお手々、大きくて温かくて素敵ですわ♥」と言われても動じないフリをした。
     お腹に顔をうずめると安心すると言われれば、そうさせた。お腹に顔をうずめるプリンセスの呼吸がいつもより深くて長いことには気づいていない演技をした。
     「何か口に咥えているとよく眠れると言われたときは、まさかおしゃぶりを用意するわけにもいかないので、指を咥えさせてあげた。指を滑るプリンセスの舌先が気持ちよかった。今にして思えば、タガが外れていた。
     だから、「今度の休日、トレーナーさんの家で、トレーナーさんの布団で、一緒に寝たいのですが、かまいませんか……?」と聞かれたときも、二つ返事で承諾してしまった。

  • 7二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:42:46

    #6
     一緒に寝ると言ったって、夜を明かすわけではない。午前中に家に来て、ちょっと仮眠をとって、門限に間に合うように帰るだけだ。だから外泊届は必要なかった。
     プリンセスを家に招く前日の夜になって、実家から持ってきた使い古した寝具が一人分しかないことに気がついて少し慌てたが、一緒の布団に寝るのだからそれで問題ないと頭の中で確認したときに”本当に大丈夫か?”という思いが頭をよぎった。ひょっとしたら、ひょっとしなくても自分は倫理的によくないことをしようとしているのではないか?だが、自分の心の中にやましい気持ちなど少しもない。明日することは、普段していることの延長であって、特別なことではない。添い寝をすることでプリンセスが以前のような元気を取り戻せるのならば、協力することがトレーナーである自分の務めであり、使命だ。そういう確信もあった。正しい意味での確信犯だった。

  • 8二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:49:01

    #7
     明くる日の土曜日、午前10時頃、インターホンが鳴った。
     普段から「姫」を自称しているプリンセスの私服は、かわいい。上品さもありつつ可憐さも兼ね備えている。斜行事件があってから、プリンセスは休日でもあまりお出かけをすることがなくなっていた。プリンセスの私服姿を見るのは久しぶりで、それが彼女を一層素敵に見せていた。
     軽く部屋の案内をしたあと、いきなり布団に入る(”ベッドイン”なんて言葉は使いたくなかった)のも気が引けるので、まず買い物にいって昼食をつくろうかという話になった。プリンセスはあまりトレーニングができなくなってから、”お姫様修行”に力を入れていて、最近では何も壊さずに料理をできるようになっていた。味や見栄えの方はまあ、これからといったところだが……。
     独身で一人暮らしの男の食生活なんて、荒廃しているか無闇に充実しているかの両極端なのが相場だが、俺は前者の方だった。プリンセスとわちゃわちゃしながら料理を作るのは素直に楽しかったし、使い古された表現になるが、誰かと食べる料理は美味しかった。彼女は着実に明るさを取り戻してきている。自分のやってきたことは間違いではなかったと感じた。

  • 9二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:49:39

    #8
     食器も洗い終わり、食後のコーヒーを飲み終えた(プリンセスはコーヒーは飲めないので、ミルクと砂糖をたっぷり入れた紅茶を飲んだ)頃には時計は14時をまわっていた。
     「トレーナーさん、そろそろ……。」
     おずおずとプリンセスが切り出してきた。彼女にも照れがあるのか、しおらしい様子だった。あるいは満腹感と体内時計の乱れから、すごく眠かっただけかもしれない。寝巻きに着替えたいというので、先に寝室(兼書斎)に入ってもらった。
     せいぜい5分くらいの時間だったが、やけに緊張した時間だった。まるでホテルの一室で女性がシャワーを浴びているのを待つような……。邪な思考を、頭をぶんぶんと振って追い出そうと試みた。俺はプリンセスのトレーナーであり、指導者であり、彼女はこんな自分を心から信頼してくれているのだ。
     そうこうしているうちに、プリンセスが着替え終わったようだ。
     「お待たせいたしましたわ、トレーナーさん。」
      扉を開けるとそこには――かなり薄手のネグリジェ姿のプリンセスが居た。

  • 10二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:49:51

    #9
     「なっ、何!?プリンセス、その格好は!!?」
     「何と言われましても……。寝巻きですわ。今日のために新しいものを用意したのですが、変だったでしょうか?」
     「そういうことではなくて……。いつもトレーナー室で寝るときはジャージだったじゃないか……!」
     「いつもは仮眠でしたし、寝るのもソファでしたから。トレーナーさんは、ネグリジェはお嫌いでしたか?」
     「い、嫌ではないけども……。」
     あまりにも扇情的すぎる、と言いたかったがもちろんやめた。多少薄着だからといって何だというのだろう?どうせ布団の中に入れば見えない。ジャージだろうとネグリジェだろうと、気にすることではない。だいいち、着替えまで済ませた彼女に「ネグリジェだとは思わなかったから帰ってくれ」などと言えるだろうか?そんなわけがない。

  • 11二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:50:30

    #10
     「では、おじゃましますわ。」
     俺が招き入れる形で、プリンセスが布団に入ってくる。一人用のシングルベッドだからかは分からないが、スプリングが軋む音が静かな部屋にぎぃ、と響いた。向かい合う形で横になり、マットレスがいつもより深く沈み込んだのが分かった。
     ベッド以外の布団も当然一人用だ。一緒に掛け布団に入ろうとすすれば、吐息がかかる距離まで密着しないといけない。どうしたってお互いに触れることになる。
     「なんだか、緊張してしまいますわ。やっぱり膝枕をしてもらうのとは違いますわね。」
     そう言うとプリンセスは俺の肩に手を回して、身体をぎゅっと寄せてきた。温かくて柔らかいものが肌を包んだのを感じた。心臓が最終直線200mを疾走するウマ娘たちの足音のように速く打つのを気取られないように、そして下半身にある器官に血液が集まるのを絶対に気づかせないように、布団の中でなるべく距離をとろうとした。
     プリンセスはたぶん、俺が遠慮していると思ったのだろう。両脚で俺の脚を挟むように重ねてきた。強烈な差し脚だった。
     もう、逃げられない。

  • 12二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:51:00

    #11
     自分の中で理性の糸が切れたのが分かった。倫理とか、道徳とか、考えてみれば、くだらない。誰かが都合の良いようにしつらえた鎖にすぎない。今、この場にある感情の方が、情動の方が優先されるべき価値があるものではないか?
     俺だって、中央トレセン学園のトレーナーになるために努力を重ねてきた。もちろん、プリンセスのトレーナーであり続けるためにもだ。そろそろ報われてもいいんじゃあないのか?
     プリンセスの、しっとりとした唇はいま、目の前にある。文字通り吐息がかかる距離に!ほんの少し身をよじれば届く位置に!!

  • 13二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 01:55:11

    #12
     「トレーナーさん、わたくし、あなたに出会えて本当によかったですわ。トレーナーさんの支えがなければ、わたくし、どうなっていたか分かりませんもの。さいきんは悪夢にうなされることも少なくなってきましたの。来週からはトレーニングにも復帰して、春にはレースにも出るつもりですわ。私らしさとは何なのか、姫らしさとは何なのか……。まだ分かりませんが、トレーナーさんと、わたくしの王子様と一緒なら、きっと見つけられると信じていますわ。」
     静かに、しかし毅然とした口調で、プリンセスはそう言った。
     頬を熱いものが伝うのを感じた。
     「トレーナーさん、泣いていますの?わたくし、強く抱きしめすぎましたか?」
     もちろん、そうではない。こんなにも自分のことを信頼してくれているプリンセスに、あと一歩のところで取り返しのつかないことをしそうだった自分が情けなくて、恥ずかしくて泣いてしまったのだ。
     俺だって”王子様”が何たるかは分からない。
     このことは墓場まで持って行こう。全身全霊でプリンセスに尽くそう。それが俺にできる唯一の償いだ。
     嗚咽をあげながら、プリンセスを抱きしめた。罪の匂いがした。

  • 14二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 02:12:00

    供養終わりです

  • 15二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 02:37:21

    >文字通り吐息がかかる距離に!ほんの少し身をよじれば届く位置に!!


    エスカレーションする行為と崩れる理性からの叫びが、淡々と語られる物語の中で引き立っていてとても印象に残った

    素晴らしい

  • 16二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 02:39:35

    どっしりと重いものを深夜にお出しするな読み込んでしまっただろうが

  • 17二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 02:56:58

    えっちな展開を期待した俺を殴れ

  • 18二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 03:47:10

      ( ・∀・)   | | ガッ

      と    )    | |

        Y /ノ    人

         / )    <  >__Λ∩

       _/し' //. V`Д´)/ ←>>17

      (_フ彡        /

  • 19二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 08:16:28

    はじめはトレーナーが思いきりプリンセスに手を出す展開にする予定だったけどあまりにもあんまりなのでやめた

  • 20二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 08:18:28

    背徳感半端ねぇ

  • 21二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 09:43:17

    スパダリトレーナーの理性をこわすのが大変だったので、無邪気なプリンセスにガンガンいかせることにした
    まさか本番を描写するわけにはいかないので、かかり気味になったトレーナーには罪悪感をもってもらうことにした

  • 22二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 19:12:05

    >>15

    個人的に力を入れたところなので嬉しいですありがとう

  • 23二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 21:42:49

    もっと読んでくれ!
    俺のSSをよぉ!

  • 24二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 21:44:33

    カワカミSSは荒らされやすいから気をつけろよ
    内容が気に入らないだけで叩いてくる書き手がいるからな
    特にこのSSは斜行ネタ扱ってるから注意が必要だ

  • 25二次元好きの匿名さん22/06/22(水) 22:14:34

    忠告ありがとなぁ!
    荒されたら立ち直れないかもしれないから今度から気をつけますわ……。

  • 26二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 01:15:27

    いい……いいぞォ………

  • 27二次元好きの匿名さん22/06/23(木) 11:56:21

    ええやん!

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