- 1二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:06:59
- 2二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:17:10
オレサンカスルゼ
- 3◆86G.t9sYn222/07/09(土) 18:18:21
イクゾオオオオオオオオ
- 4二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:18:44
やるぜやるぜ
- 5二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:19:19
文字数や規定はあるのか?
- 6二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:21:46
仕事が終われば参加したいですね
終われば() - 7二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:22:21
面白そうなの見つけた
参加しますー! - 8スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 18:22:38
- 9二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:43:33
お題発表からの5分間は待機ですよね?
うっかり勢いで書き出すとアウトになりそうなので気をつけます - 10二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:45:17
やるならやらねば
- 11二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:50:19
- 12二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:51:48
- 13スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 18:52:04
お題にウマ娘の名前は使いません、主に季語やシチュなどを使う予定です
- 14スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 18:55:00
お題は「雨」になります。
19時から書き上げ20時に投稿お願いします。
20時30分まではこの企画に参加して書いたものと考えます。
それ以降は遅れてしまったけど書いたなどの理由を添えていただければ投稿してもらっても大丈夫です。 - 15二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:56:11
よし、やるかぁ!
- 16二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:57:22
(ワンライ企画参加初めてで書ききれないかもしれないけどそれでも参加OKだろうか……?)
- 17二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:57:31
20時より前に仕上がった場合って投稿してもいいんですかね?
それとも待機でしょうか - 18スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 18:58:18
- 19二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 18:58:42
了解です!ありがとうございます
- 20スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 18:59:22
書ききれなくても投稿して大丈夫です、ぜひご参加ください。
- 21二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 19:00:17
仕事何とか終わったから頑張るぞい
- 22二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 19:02:13
レス数多い場合は安価付けて繋げたりしたほうがよさそうですかね
- 23二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 19:02:40
いつも時間かけてSS書いてるから一時間以内に終わるか不安だな…
- 24バンブーSS-122/07/09(土) 19:09:21
『…雨!?』
「あー…土砂降りっスね…」
その日は担当ウマ娘…バンブーメモリーと屋外でトレーニングをする予定があった。
だが…
『さすがにこの雨じゃ、足元が悪すぎるね…』
「そうっスね…」
あんまりに足元が悪いと滑って怪我をする可能性もあるだろう。
そう思い、今日のトレーニングを屋内に変更しようとしたところ…
「走りがいがあるっス!」
『…え?』
「え?」
隣から聞こえてきたのは、全く予想だにしていない言葉だった。
『いやいや!怪我しちゃうかもだし、そんなことになったら次のレースは…』
「本番のレースで不良バ場を走る機会なんていくらでもあるっス!だからこういう時にトレーニングできるのは逆に幸運っスよ!うおおおお、燃えてきた!」
そう1人で結論付けると、ジャージ姿のまま飛び出していってしまった。
『あぁっ、バンブー!?』
思わず自分も、傘も持たずに飛び出した。 - 25バンブーSS-222/07/09(土) 19:09:39
>>24の続き
「はっ、はっ、はっ…これで3本目っス!あと何本っスか!?」
『え、えっと…予定ではあと17本だよ!』
「了解っス!おりゃあああああ!!!」
雨の中、彼女は走る。
もう髪もジャージもびしょびしょだというのに。
全身を雨で濡らしながらも走る彼女の懸命な走りが、輝いて見える。
思わず、自分も駆け寄っていってしまう。
「はぁっ…は…おわぁっ!?」
ぬかるみに足を取られてしまったのか、彼女がバランスを崩す。
『うわっと!…大丈夫?』
…すんでのところで支えることができた。
「あ、大丈夫っス…あの、あざっス!あと1本、完走してくるっス!」
そう言って彼女はまた走っていく。
…支えた時、水滴を纏った彼女が…とても美しく見えたということは…
(…さっきのトレーナーさん、すごくかっこよく見えたってことは…)
「『内緒にしておこう」』
- 26二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 19:12:40
速っ!? 凄いなあ…
- 27スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 19:15:22
ぴちゃぴちゃと音を立てながら担当は水たまりを踏んでいく。
「あわわ!水たまりがプールみたいだよトレーナー!」
ピンクの髪を黄色いフードに隠し、激しく振る雨の中をハルウララは跳ね回っていた。
「ねえねえ!ちょっと走ってきていい!?」
滑って転ぶと危ないから⋯⋯と言いかけてやめた。
レースは雨の日もやる物だ、慣れておいた方が良いのかもしれない。
転ばないように気をつけてと注意だけして、練習用コースへ移動する。
「よーし!いっくよー!!」
黄色い雨具を脱ぎ捨てるとハルウララは走り出した。
泥が跳ね、身体に打ち付ける水は弾ける。
豪雨の中聞こえるのは水の音と担当の踏みしめる大地の音。
「ゴール!」
見惚れていた内にハルウララは一週回ってきたようだ。
タイムを止め、走り方のアドバイスをする。
走り、火照った高い体温の身体は雨と汗で濡れ、湯気を出す。
いつも少女のようなハルウララのアスリートの一面、また、見惚れてしまう。
「トレーナー?」
いけないと、頭を振りハルウララにバスタオルを被せる。
風邪を引くと不味いし銭湯でも行くかとハルウララの手を引き二人傘の下歩き出した。
担当のわくわくな声だけが雨音の傘の下、良く聞こえた。 - 28ボノのSS少な過ぎだろ!22/07/09(土) 19:31:53
駅前に新しいレストランが出来たらしい。ヒシアケボノに連れられ外食した帰りのことだった。
「はわわ、降ってきちゃったよ〜!」
【傘出すよ!】
天気予報の数字は微妙だったが、折りたたみ傘を持ってきておいて正解だった。
【ほら、入って入って!】
「う、うん!あ、傘あたしが持つね!」
ヒシアケボノの体を濡らさないように、傘の下に招いた、のだが。いかんせん折りたたみ傘の小ささと、彼女の大きな体である。ぎゅうぎゅうに詰めても肩がはみ出てしまう。
【俺、出るよ。君に風邪でも引かれたら大変だ】
「だめだよトレーナーさん!この傘はトレーナーさんのだもん、それなら、あたし雨で濡れたってへっちゃらだよ!」
【でも、万が一レースに支障が…】
「トレーナーさんが風邪引いちゃったら、あたし、練習見てくれる人が居なくてレースで勝てなくなっちゃうかもなあ〜…?」
どちらとも譲る気は全く無い、そうしている間にも半身はびしょ濡れになっていく訳で。
【…このまま行くか】
「そうだね…あっダメだよトレーナーさん!こっそり離れようったってわかるんだからねえ〜?」
ヒシアケボノにぐいっと肩を抱かれ、引っ付きあって、ふたりで歩く。
体の大きさも違えば、もちろん歩幅も違う。なかなか先へ進まない。前から横から雨が当たってきて、どう見たって不恰好。これなら、ヒシアケボノに背負って貰って走った方が速そうだ。彼女もそう気づいているのかもしれない、けれど。
「なんだかおかしいね…えへへ♪」
【…ああ、でも悪くない】
温もりを分け合う傘の内側を手放してしまうのは、なんだかもったいない気がした━━━ - 29ブランク長杉内22/07/09(土) 19:42:20
昼頃から降りだした雨は午後になっても降りやむ気配がなかった。外の空気は生暖かく肌にじんわりとまとわりついているのが雨粒なのか汗なのか、どちらにしろ不快に感じるのは仕方のない事だろう。回りをみれば私と同じく出走する多くのウマ娘がまとわり雨やいつもより跳ね返りの悪い足下を嫌うような素振りを見せていた。
道悪巧者のウマ娘ならこの雨を恵みの雨と思うかもしれないが今日出走するウマ娘は私を含めて大部分はそうではないらしい。そう思い出ながら足下の具合を何度か踏み鳴らし確かめる。
サーと雨の音が響く。こんな日もお客さんはレース場に足を運んでくれてはいるが、スタンドから離れた発車場では歓声はかき消されている。
スターターが台に上がり着々と発走の準備が進んでいく。ここに来て私はこの雨に動じていないウマ娘が目に入る。
しなやかに伸ばされた葦毛が水分を含みより艶のあるように見える。雨に動じない凛とした風貌が王者のような圧力を放つ。体温によって身にまとわりついた水分が白い湯気になっているのか、体に当たる雨粒の飛沫が白く輪郭を形作っているからなのか、彼女の雰囲気と相まってまるで後光が射しているように錯覚を覚えた。
私は彼女を見つめていたが彼女は私などには一瞥もくれない。ただ発バ機の向こうに続くコースだけを見ていた。
13ハロン。これから始まる演目のその主役は自分だとでもいわんばかりに……、上演前、雨音だけがその名優を喝采していた。 - 30トレーナーとタキオン22/07/09(土) 19:42:34
はぁ…やっとバス停まで戻ってこれた。やれやれ、外出先でここまで降られてしまうとはね。天気予報はものの見事に外れたな。無論山の天気は変わりやすいし必ず的中するものではないから準備は念入りにするべきだったが、荷物の軽量化を図るために雨具を持ってこなかったのが悪かった。おまけに雨宿り先を探すのに手間取ったせいでこの通りお互いびしょぬれだ…。タオルか何か、水滴を拭き取れるものはないかい?
まったく、衣服も髪も耳も尻尾まで…ウマ娘の特徴だから仕方がないが拭き取るべきところが多くて面倒だな。君は楽そうでいいね、一度身体でも取り替えてどれほど便利か試してみたいものだよ。暇なら私の頭でも拭き取るのを手伝いたまえ…あっ、言い忘れたが耳や額にあまり触れないようにしてくれよ、触れられるのが苦手なんだ。
しかし、通り雨らしいがなかなか止まないな。退屈凌ぎになりそうなものはないか…おや?クククッ、トレーナー君!どこでくっつけてきたんだい、そのカエル。ほら、ズボンにくっついているじゃないか。どれ…なかなか愛らしい目でこちらを見ているね。このように掌に載せても逃げることもしないし、なかなか君はおとなしいな。
…別にこのカエルを何かの実験台にするわけがないだろう、ただ愛でているだけさ。まるで私が実験中毒者みたいな口ぶりだなモルモット君。それともなんだ、君は実験のことばかり考えて常に実験台の立場をご所望なのかな?ほぅ…!いやはや君の模範的モルモットぶりには毎度驚かされるよ!いやぁ感心感心、どうせやることもないしバスが来るまでこの場でできる実験を試してみようじゃないか! - 31モブトレ視点22/07/09(土) 19:49:22
「よーしあと一本!!」
雨音に負けないよう声を張り上げて叫ぶ。
はい。
という鋭い声が返ってくる。
トレセン学園グラウンド。
よく手入れされた芝はこんな土砂降りでなければ青々とした美しい光景だっただろう。
だが、空は雨雲で隠されバケツをひっくり返されたような激しい雨が降っている。
「ピッチ落ちてるぞ!!」
耐水ストップウォッチでラップを記録しながらチームの面々に檄を飛ばす。
実際のレースはよほどのことがない限り雨天決行。
つまり重馬場での経験も必ずいい糧になる。
そう信じてわざと降水確率が高い日を選んだ。
「雨天時は滑ることを意識するんだ!!」
雨に濡れた芝は踏ん張りがきかない。
そして慣性の法則で体が流されるのも問題だ。
私自身も少しでも同じ体験をするために薄手の雨カッパ一つでトレーニングに付き合う。
「よし!! このタイムならまぁいいだろう」
そこそこは満足できるタイムが出たのでチームの面々にトレーニングの終了を伝える。
張りつめていた空気が緩む。
競技者から年頃の女の子に変わるこの瞬間がわたしは二番目にすきだ。
と、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。 - 32モブトレ視点22/07/09(土) 19:50:15
「あのー、今終わったという事ですよね?」
相手は学園の有名人、短距離路線で大活躍しているタイキシャトルを担当してるトレーナーだ。
まだ若いのにしっかりとした理論に従い、かつ若さゆえの情熱に裏打ちされた新進気鋭のトレーナーだ。
「片付けもやるのでちょっと早いですが走らせてもらっても良いですかね?」
表情は申し訳なさが浮かんでいるがしかし有無を言わせない押しの強さを感じる。
視線をめぐらすともうアップを済ませたタイキシャトルが軽く体を動かしている。
見ただけでわかる、とてつもなく完成された肉体という事だ。
薄く蒸気すら見えるほどエネルギーが込められた体だ。
「なら頼む」
そういうが私――そしてチームの担当ウマ娘たちもタイキシャトルに目が釘付けだ。
それを知ってか知らずかタイキシャトルのトレーナーはタイキシャトルに視線を向けて。
軽くうなずいた。
そして、手を掲げる。
「オゥケーイ!!」
雨の中に似合わない、しかし貫く陽気な声が響く。
一歩一歩スタート位置に向かい。
構える。
- 33モブトレ視点22/07/09(土) 19:50:29
「On your mark」
流ちょうな英語が響く。
同時にひりつくような空気が流れる。
タイキシャトルの表情から陽がぬけ、鋭さが満ちる。
「Get set」
グイ。
とタイキシャトルの姿勢が落ちる。
いや、腰が、脚が、つま先がすべて低くなった。
脚力をすべて推進力に変えるためだ。
普通なら大きく滑り危険ともいえる姿勢だ。
だが、タイキシャトルはまるで固定されたように身じろぎもしない。
「Go ahead!!」
ただ手を叩く。
が、同時にタイキシャトルは弾丸を発射するように飛び出した。
蹴り出した足は地面をえぐり爆発でも起きたかのようだ。
が、その走法はお手本のようなピッチ走行で連続で爆発が起きるように加速していく。
何気なくストップウォッチを開始させる。
雨を切り裂き、地面を穿つような走法。
体中が汚れ、強引にもみえる力と技術が合わさった芸術的な走り。
「Ok、タイキ、戻っておいで」
その声と共に先ほどまでの嵐のような走りとは裏腹に大型犬を思わせる笑みを浮かべてスタート位置に戻ってくる。
そのタイムは脅威的な数字を叩きだしている。
『たった一走で鮮烈な印象を残す稲妻のような走り』
それを見せられる。
- 34モブトレ視点22/07/09(土) 19:50:58
ふと、視線をめぐらすとチームのウマ娘がぎらついた視線を向けている。
ゾクリ。
と背中を中心にした震えがくる。
アスリートとして本気になる顔。
これこそがわたしが一番好きな瞬間だ。
「さて、みんな同じ思いだと思うが――」
グラウンドを後にして控室でチームのウマ娘に問いかける。
「ジャイアントキリングと行こうじゃないか」
雨に濡れた体とは裏腹に、熱が込められた表情でその場の全員がうなずいた。
- 35◆86G.t9sYn222/07/09(土) 19:58:06
「………勝てなかった」
勝負の日本ダービー、私、セイウンスカイはスペシャルウィークに勝てなかった。
雨の重バ場、黒い泥濘が空を染め上げる。
ボドッ、バシャッ…
自分で蹴り上げた泥が私の体に降り注ぐ。
全身ずぶ濡れになりながら、私はゴール板を駆け抜けた。
結果は2着で掲示板には2の文字。
しかし、その悲しみも湧かないほどに自分の心は無気力だった。
周りの歓声と実況の声だけが聞こえてくる。
まるで夢の中にいるような感覚だ。
身体を汚すぬかるみと冷たさが心まで私の心を侵していく。
その汚泥をまとった感情は喉の先から出ようと暴れているようだった。
負けたという実感がようやく沸いてきた時、私の中で何かが崩れ落ちた気がした。
視界がぼやけていく。頬に暖かいものが伝っていく。
「うぐっ…おえっ……」
奥底の抑えきれない感情が吐瀉物として吐き出される。
そして、雲の隙間から太陽が差し込んでいく。
スペシャルウィークは観客に手を振り、笑顔を見せていた。
惨めで、汚い心を笑顔の裏に隠し、私はその場から消えていった。 - 36雨の日のフクキタル22/07/09(土) 20:00:06
────雨の中、傘も差さず踊ってもいい。自由とはそういうことだ。
そんなことを言ったのは誰だったろうか。
「だからってほんとに雨の中踊り続ける奴がいるか」
ずぶ濡れになった彼女──マチカネフクキタルを見ながら、呆れたようにため息をつく。
「しかしですね、今日は雨の中で踊るのが吉と占いに……」
露骨に目を逸らしながらモゴモゴと呟くフクキタル。
先程までグラウンドで踊って水浸しになった彼女を無理やり引っ張り、こうしてトレーナー室に引き込んだのだ。
「それにレースの日はいつも晴れとは限りません。雨の日に慣れるためたまにはこういったことも良いのでは!?」
さも妙案のように指を立てるフクキタル。その得意げな頭にチョップを当てたのはもはや反射的な行動だった。
「フンギャ!! 痛いですよぉ〜。乱暴はやめてください〜」
力入れてねーだろ、と切り捨てる。手には固い頭に当てた際の衝撃と、雨に濡れた髪の感触がしっかりと残っていた。
ため息をもう一つ、部屋の棚からタオルを取り出し、乱暴に彼女の頭を拭く
「わわ、じ、自分でできますから!」
流石に年頃の娘として髪を拭かれるのが嫌なのか、慌てた様子で抗議するフクキタル。
「いいからじっとしてろ。風邪なんか引かれたらこっちが困るからな」
「でもですね………クション!!……」
大きなくしゃみ。咄嗟に口元をタオルで覆ったため飛沫はかからなかったが、顔を真っ赤にしてこちらを見つめている。
「だから言っただろうが。……よし、こんなもんかな」
フクキタルを解放する。髪を拭いたとはいえまだ濡れ鼠。少し寒そうだった。
「こないだ替えの練習着忘れて帰ったろ? 温かい飲み物持ってきてやるからそれまでに着替えとけ」
フクキタルの忘れ物を指差しながら冷房を調整し、部屋を出ていく。
──そういや、頂き物のお高いケーキがあったし、ついでに持って行ってやるか
その時ふと、何故彼女が雨の中踊っていたかを思い出した。
「ずぶ濡れの対価がケーキって見合った幸運なのかね……」
そう呟きながらもう一度、ため息をついた。 - 37二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:01:39
雨は嫌いだ。
走りに行く事は出来ないし、仮に走りに行けたとしても、雨具はどうしても必要になってしまう。出来れば動きが鈍くなるレインウェアは着たくはない。
けれど、今日も雨が降った。
「……はあ」
パラパラと規則正しい雨音は次第に無秩序な豪雨と成り果てる。今日はトレーニングも自主的に走りに行ける天気でもなくなってしまった。それは横で見ていた彼も同じようだ。
「うわぁ酷い雨だね……。そういえばスズカ、今日傘持ってきた?」
「いえ……。今朝の天気予報では降水確率は高くなかったので」
最近の天気は曇でなんとか堪えてくれることが多かったので油断してしまった。走ればさほど濡れなくて済むかもしれないが、あまり得策ではないだろう。
「……そっか。じゃあスズカが良ければなんだけど」
そう思っていると、彼がバックから小さなものを取り出した。それは、
「折りたたみ傘……ですか?」
「最近この折りたたみ傘が気になってね……ほら!」
広げた傘には、小さな可愛らしいネコのワンポイント。
折りたたみ傘に二人は少し厳しい。頭以外は盛大に濡れてしまう。
「やっぱり折りたたみ傘じゃ厳しかったかな……」
「ふふっ……ですね。……でも」
「でも?」
「私はキライじゃないですよ?」
私は雨が嫌いだった。 - 3810 幼チヨ 【ナツシグレ】22/07/09(土) 20:01:52
その日は、雨が降っていた。
「私ね。もう、走れないんだって」
表情は見えない。
ただ、その小さな手は強く握られ、病院服のズボンには皺が寄っていた。
そんなことない。また走れるように──と、喉まで出かけた言葉を飲み込む。
彼女の足がどんな状態なのかは、担当した医師から伝えられている。
右足浅屈腱炎──ウマ娘にとって、致命的な故障。
もし仮に走れるようになったとしても、以前の走ることは叶わない。
彼女は、ダービー制覇という夢と引き換えに、その脚を失った。
あまりにも残酷で──救いのない現実。
肩を震わせて静かに涙を流す彼女にかける言葉を、俺は持ち合わせていなかった。 - 3910 幼チヨ 【ナツシグレ】22/07/09(土) 20:02:09
気付けば、雨は止んでいた。
だがその空は暗く淀み、まるで今の心中を表しているようだった。
なんと無力なのだろう。
幼馴染が苦しんでいる時に、自分は何もできないのか。
拳を強く握りしめ、歯噛みする。爪が深く食い込み、血が流れる感覚がした。
その時、彼女は顔を上げ、泣き腫らした目を此方に向けた。
幼い頃から見ている、空色の瞳。
それが今は酷く悲しげに見えて、胸が強く締め付けられた。
そして彼女は、微笑む。
それは怖いほどまでに美しく、全てを諦めてしまったかのような、そんな笑みだった。
──雨がまた、降り始めた。
慰めの雨か
それとも、絶望の雨か
青々とした桜の葉が、夏時雨に濡れ始めた。
- 40スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 20:02:40
20時になりました、皆さまご参加ありがとうございます。
投稿されたSSは全て読ませていただいています。
ああああああ!!素晴らしいSS!!ありがとうございます!!!
各作品への感想レスもよろしくお願いします。 - 41雨練カノープス22/07/09(土) 20:03:34
「雨かぁ」
「雨ですね」
「雨だね~」
「雨だーっ!」
燦燦と笑う太陽の光に辟易としつつも体操着に着替えたカノープスだったが、突如暗くなったと思えばプレハブを叩く轟音に耳を伏せた。一人ツインターボだけは手を突き上げてはしゃいでいるのは、彼女らしさの表れだ。
「どーしよっか、練習中止にしちゃう?」
「中止! 今日は遊びに行こー!」
「むむ、それもいいかも。でもでも、後で怒られちゃうのは困りまする」
ターボ以外は、このバケツをひっくり返した雨が通りすがりのものだと分かっているのだろう。ナイスネイチャは座りながらストレッチを続け、マチカネタンホイザも何か思案するように天井を見上げながら動く気配を見せない。イクノディクタスに至っては本棚からレースの参考書を取り出し、しおりのあるページに指を掛けていた。
「へえー? さすがイクノ、この間にも勉強は欠かさないってわけ」
「雨だからと言って何もしないというのは勿体ないですからね。晴走雨読と言いますから、雨の日には本を読むことがレースで勝つ秘訣です」
「いやそれ晴耕雨読でしょ」
「レースで勝つ⁉ ターボも、ターボも読む! どれ読んだらナリタブライアンに勝てる?」
「いやなんで副会長……」
「おおー、ターボ凄い。よぉし、私も次のレースのために読書しちゃおー!」 - 42雨練カノープス22/07/09(土) 20:04:21
おー、と三人の手が上がる。呆れるネイチャだが、それを含めておおむね似たような光景がカノープスの日常だ。これを苦痛と感じたこともなく、退屈だと思うこともない。ただ呆れから肩をすくめ、小さく笑顔のため息を零すばかり。
ならば、と立ち上がるのはやはりナイスネイチャである。このままだとターボは適当な本を広げて寝てしまうかもしれない。読みやすそうな本を、と考えれば何冊か心当たりはあった。
「ターボはこれにしときなよ。体力配分はー……ってのよりバ場の重い時の走り方とか、そういうのが絵で書いてあるから」
「やった! よーし、これで一番でゴールするから!」
「はいはい、期待してますよーっと。マチタンはー、それ、なに? 児童書じゃん」
「ふっふっふ。これは宝の地図が記された映画だったりしなかったり。明日は感想戦なのです」
「ん、まあいいか…私はどうしよっかなぁ」
「ネイチャさん」
「ん? どしたのイクノ」
「思っていたのですが……ネイチャさんの勤勉さであれば、これが参考になるかもしれません」
「なになに、えーっと『レースを作る体づくり、オグリキャップに学ぶ』っていやいやいや! あんな食生活してたら一瞬で太り気味だっての!」
「いえ、そこではなく」
とん、と細い指先が本を開く。あらかじめ付箋が張られていたらしく、人差し指の動きは滑らかだ。
見開きに一文。『自分だけではなく、人を見ることができるようになれば強者へはあと一歩』と書かれていた。
「私が思うにネイチャさんは私たちの中で最もG1の栄光に近いウマ娘です。悲願ともいえるそれを達成するのに必要なものは恐らく」
「ちょ、言い過ぎだって。イクノもマチタンも、ターボだって惜しい時があるし、そんなに変わんないでしょ」
頬を染めてそっぽを向くネイチャに、イクノの真っ直ぐな目が刺さる。意識すればなおさら赤くなる頬を誤魔化すように押さえ、周りを見ればターボとマチタンの二人まで自分を見ているではないか。いよいよもって赤い顔を隠すこともできず、くるりと体を回す。 - 43雨露、そのきらめきを22/07/09(土) 20:04:24
──雨が降っている。
そう聞いて窓から仰いだ空からは、確かに重く立ち込める雲から、ポツ、ポツと雫がこぼれていた。
ゆらゆら揺れそうになる尻尾と、スキップしそうになる足とを宥め、雨音にハミングを乗せて街をゆく。
傘をさして向かった集合場所には、もうあの人が待ってくれていた。
──雨が降っている。
今日の服装のこと、これから行く美術館のこと、昼食のこと、朝食のこと、雨のこと。
他愛のない話をしながら、私とあの人、二人並んで雨の街を歩いていく。私の足に歩調を合わせて、ゆっくりと。
普段なら忙しなく動き回っている人々も、道を横切る野良猫も、今日は静かに屋根の下だ。
──雨。かつての私も、窓からじっと眺めた、眺めるばかりだった雨。
病院のベッドから、あるいは屋敷の部屋から、ある時は寮の一室から、別のある日には保健室の窓から。
レインコートを着てはしゃぐ子供たち、傘をさして歩く夫婦、関係ないとばかりに練習に励むウマ娘たち。
彼らがいた場所へ、私も立って、歩いている。それはきっと、横を歩くあの人のおかげ。
──赤信号で立ち止まり、ふと、傘の縁から雨の雫を指に取る。
秘めた景色ごと雫がふるふると揺れるのは、私がここで生きているから。自分の足で、立っているから。
思わず笑みが零れた私を、あの人が不思議そうに覗き込む。
大丈夫ですよ、何でもありません。そう返せば、安心したように笑ってくれた。
──雨はいつか止む。雨の歌声も、道を濡らす雫たちも、仄かに感じる雨の匂いも、いつかは消えてしまう。
それは、私の指に乗る雫も同じ。けれど、そこにあった輝きは、きっと消えずに残るだろう。
信号が青に変わり、私たちはまた歩み始める。二人一緒に、どこまでも。
今日見たものを、いつかキャンバスに描こう。ダイヤモンドより純粋で、ガラスより儚くて。
けれど確かにそこにあって、そうして輝いた雨の雫。その一瞬のきらめきを、あの人と一緒に。 - 443722/07/09(土) 20:04:59
- 45雨練カノープス22/07/09(土) 20:05:00
>>42から
「ネイチャ照れてる!」
「うーん、私とは違うと思うなぁ。私ってばこの中じゃ一番普通だし…」
「タンホイザさんも十分資質は持っていると思いますが……これは私たち共通の課題だと思うのですが、やはり経験が足りません。G1ウマ娘に勝つのであれば、私たちには彼女たち以上の経験が必要なのです」
「ま、まあそれはそうだと思うけど……練習時間を増やすってこと?」
「それも一つですが、もう一つ。普通であれば練習を控える状況でも練習をすることで、めったにない経験を積むことが出来るはずです」
クイッ、と上げられた眼鏡。嫌な予感を覚えたネイチャの目線が向くのは降りしきる雨。立ち上がったツインターボとマチカネタンホイザ。なにげにイクノディクタスまで立ち上がっているではないか。
「ちょ、ちょっと待ってよ。いくらなんでもこの雨で」
「何事も経験です」
「よぉーし、練習だー!」
「おー!」
「おー」
「いや風邪ひくし! ああもう飛び出て……んもー! こうなりゃヤケクソだー!」
勢いよく踏み出した一歩が猛烈な雨で出来た池にハマる。ずるり、と滑り、泥へとダイブしたネイチャを迎えたのは、泥だらけの三人だった。
すみません、長くて3分割になっちゃった
- 46二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:07:37
お題に沿って書いたSSでスレ立てしたいんだけど、その別のスレに載せたSSをここに載せるのもありなのかな?
- 47スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 20:12:41
- 48スピカと土砂降り22/07/09(土) 20:22:19
「雨脚が弱まったから出てくるわね」
「いや、ダメですよ!? スズカさん。まだけっこう強いですって」
土砂降りゆえ、外での練習は中止。
そう学園側およびトレーナーから言われたチームスピカは、部室にてやる気を持て余していた。
部室にて、筋トレやレース映像による学習という流れになったものの、
筋トレや映像に区切りがつくたびに、何人か……特にスズカが外に出ようとしていたのである。
「……走れないことはないと思うの」
「いや、ダメですって!? 雨が強すぎて窓の外が全然見えないじゃないですか?」
「スぺちゃん……」
「だ、ダメですよ……そんな悲しそうな顔しても」
「しくしく……」
スズカ相手だが、スペも厳しかった。
他メンバーからすれば意外だったが、スぺは土砂降りに対する危機感が強く、スピカのイケイケ派を抑える側に回っていたのである。
田舎……特に農家にとって大雨とは人の命を左右しかねないものであるため、潜在的な危機感が強めだったのだ。
「まぁ、スぺ先輩がそこまで言うんじゃしょうがないわね」
「そうですわね……。室内でできることに集中しましょうか」
スズカ寄りだったスカーレットとマックイーンは既に諦めている。
1分たりとも無駄にしたくないという気持ちが強く、泥臭いスポコン展開も苦じゃないがゆえに、2人の意見はスズカに寄っていたが、スぺを押しのけてまで行く強硬的な意思は無かった。
なお、テイオーは外で走れないなら余った時間はダンスの練習に当てるつもりだ。
ウオッカはゴルシに付き合って座禅を組んでいる。かっこいいと思って始めたはいいが、若干後悔しているように見えた。
そして、ゴルシの方は半目で中空を見ていた。表情が微動たりしないため、わりと怖い。 - 49スピカと土砂降り22/07/09(土) 20:22:40
「……何してるんですの?」
「………………」
自分が外に出ようと思った理由の1つは、目の前で半目で座禅を組む変人を見ないようにするためかもしれない。マックイーンはそんなことを想いながら、再度問いかける。
「……何か見えていますの?」
「未来が」
「………………」
「マックイーン、少し前に…………」
「……なんですの?」
言われたとおり、マックイーンは一歩前に進む。
その瞬間だった。
天井から冷たい一滴の水がマックイーンの耳に落ちてきた。
「キャッ……」
「やっぱ、雨漏りか~。なんか天井に違和感あったからそんな気がしたんだよなぁ~」
「……ご、ゴールドシップ!! 分かってたら……いや、分かってたからこんなことを! そこに直りなさい!」
「あばよ、マックちゃーん~」
「こらっ!」
ゴールドシップとマックイーンが部室の外へと飛び出していく。
偶然なのかゴルシがそこまで読んでいたかは分からないが、ちょうど雨脚が弱まり始めており、外に出ても問題はなさそうだった。
「……トレーナーさんに雨漏りしてるって伝えてくるわね。……決して、私が走りたいわけじゃないのよ?」
「え、あ、はい……」
スズカがこれ幸いにと外へ飛び出していく。トレーナーに伝えたあとは、そのまま走るつもり満々だった。雨脚が弱まっているのもあり、スぺも釈然としない顔をしつつもそれ以上強くは言わなかった。
- 50スピカと土砂降り22/07/09(土) 20:23:18
「俺たちも行くか!」
「そうね……!」
座禅から解放されたウオッカと、元々外で走りたがっていたスカーレットも流れに乗る。
「じゃあ、ボクも行こうかな! スぺちゃんはどうする?」
「えっと……。残ってもしょうがないですよね。行きます!」
残されたテイオーとスぺも流れに続く。
外で走れるなら走りたい……というのは共通の想いだった。
……スピカはいつものように騒がしい様子を見せながら、グラウンドへと向かっていくのであった。
「「「「「「「走るぞ! オー!!!!!!!!」」」」」」」
そして、グラウンドに到着するころには、チームの心はひとつになっていた。
なんだかんだでレース大好き、走るの大好きなウマ娘……その集団であるスピカだ。
その流れも当たり前のことだったのかもしれない。
スピカは雨で燻っていたうっぷんを取り戻すように走り、トレーニングにおいて中々の手ごたえをつかんだのであった。
- 51スピカと土砂降り22/07/09(土) 20:24:12
……そして、さらにその1時間後、スピカは怒られました。
「勝手に判断するんじゃない」と学園側から、それはそれは怒られました。
学園側が外での練習は中止と言った後、それを撤回してなかったのだから当たり前です。
エアグルーヴに怒られてスズカはシュンとし、
テイオーは「騙された気がする」と内心思いながら、会長の「流されないようにな」という言葉を真摯に受めたとのこと。
なお、スぺも一緒に怒られたが、一番熱心に止めてたということで、トレーナーからニンジンを1本内緒でもらいました。
雨漏りを直すゴルシたちを見ながら食べるニンジンは甘い味がしたとのことです。(終わり)
- 52二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:25:24
分かりました!ありがとうございます!!
ではとりあえずURL貼っておこうと思います!!
良かったら皆見てね!!
お帰りなさいお兄さま!|あにまん掲示板もうお夕飯は出来てるよ!今日は先にご飯食べちゃう?それともお風呂の方が先かな…?………ってど、どうしたのお兄さま!?わわっ……大変……ずぶ濡れだ……!!え?帰り道を歩いていたら突然大雨が?そうだったん…bbs.animanch.com - 53二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:43:27
ちょっと遅れたけどいきます。
2レスのみ。 - 54二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:48:22
【たづなと雨1/2】
誰も見ていませんよ。今だけは誰も」
トレーナーが言うと、たづなは確かめるように問いかける。
「本当ですか」
大雨の中、傘をさしながらトレーナーとたづなは言葉を交わす。
トレーニングセンターの夕刻。午後からの降水確率100%の予報通りに降った雨は数m先の視界さえ遮る。どしゃ降りのターフに立ち、すぐ近くにいる互いの姿を雨粒が上書きする。
「すいません」 たづなは傘ごと頭を下げて謝罪する。
「いやぁ、謝ることはないですよ」と、トレーナーは軽く返して、
「俺も一度でいいから見てみたかったレースですから」
高揚を隠すことなく言う。そしてさらに「おっ、あいつら来ましたよ」と付け加える。こっちこっちと手招きをする。勝負服でこちらに向かって歩いてくる面子の姿をたづなは確かめる。
シンボリルドルフ。ナリタブライアン。テイエムオペラオー。エルコンドルパサー。オグリキャップ。
たづなのために揃えられた面子を見て、たづなは驚く。
「……凄いですねトレーナーさん。あれだけの娘たちを集めるなんて。一体どう口説いたんですか」
「いやぁわりと簡単でしたよ。こう言ったんです」 たづなはピクリと反応する。
「伝説のウマ娘と走りたくないか、って」 - 55二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:53:24
【たづなと雨2/2】
雨が少し強くなった。
「一度も負けたことがないウマ娘と走りたくないか。これが最初で最後のチャンスだ。雨の中、そして完全他言無用。このふたつの条件だけ守ってくれるなら、伝説のウマ娘と走れるよって」
たづなは口を開かず、代わりに帽子をとって、髪をほどく。
近づいてきたシンボリルドルフをはじめとするウマ娘たちは、たづなの姿をみて少し驚き、そして「本当だったんだな……感謝するよトレーナー」と答える。
「わかってるだろうけど、もう一回言わせてくれよ。完全他言無用だ。この雨の中だからセーフなんだ。偉い人や友達にも絶対言わないでくれよ。これからのレースは夢みたいなもんだ。たづなさんも色々あるからな」
「急げ。我慢できん」とブライアンが落ち着きなく言う。
トレーナーはニヤリと笑う。
「OKさぁ始めよう。ゲートもないし、足もとはベチャベチャ。合図は俺の『よーいドン』だけど勘弁してくれよ」
傘を捨てて、
「たづなさん、準備いいですね?」
たづなは答えない。
しかし、その身体からはおびただしいほどの量の光の粒が飛び、瞳の奥は鈍く光を放っている。
トレーナーは背徳的とも呼べる喜びを覚える。
雨の中、ウマ娘たちは一列に並びスタートの姿勢をとる。誰もがG1レース以上の集中力を見せていた。
警報が出るほどの土砂降りの中、目撃者のいないレースが始まろうとしていた。 - 56二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:55:31
フクならやりそう感が好き
- 57二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 21:00:52
皆さんお疲れ様でした!
こういうのの参加は初めてでしたが楽しかったし、皆さんのも全部読みました!
次回ってありますかね…? - 58スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 21:03:17
次回は未定ですがやるかもしれません、ですが他の方がこの企画を使って平日などにスレを立てても大丈夫です。
その時はこっそり参加していると思います。
もし自分が立てる場合は週末になると思います - 59二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 21:07:53
いらないかもしれないけど、独断による1行あらすじまとめです
良ければ、感想言う際の参考にどうぞ
・バンブーSS(24、25):雨とハプニングとラブコメの波動
・スレ主(27):はしゃぐハルウララに、アスリートとしての一面を見て見惚れるお話
・ボーノ(28):相合傘。譲り合いからの密着と暖かさ
・ブランク長杉内(29):レース前の緊張。雨の日特有の雰囲気。そして、その中でも風格を見せるマックイーン
・トレーナーとタキオン(30):タキオンとトレーナーが雨宿り。水取りやカエルを話題にして雑談
・モブトレ視点(31~34):雨天時の特訓。タイキシャトルの走りを見て、チームがさらにやる気を出す話
・xVI3Ie7qwQ(35):セイウンスカイが雨のレースでスペシャルウィークに負けた後の心情描写
・雨の日のフクキタル(36):雨の中占いに従って踊り続けたフクキタルと、それを見て心配するトレーナー
・スズカとトレーナーの話(37):相合傘。雨が嫌いだったスズカが嫌いじゃなくなる話。
・10 幼チヨ 【ナツシグレ】(38、39):屈腱炎と絶望の雨。心情と雨がリンクしている感
・雨練カノープス(41、42、45):雨の日のカノープス。実力を挙げるにはという真面目なトークにワチャワチャ感がミックス
・雨露、そのきらめきを(43):詩的な表現によるウマ娘による独白。特定の誰かがじゃなく、想像力を掻き立てるタイプ
・スピカと土砂降り(48~51):雨の日のスピカ。コメディ感があってオチもある
・お帰りなさいお兄さま!(52):ずぶ濡れのお兄さまと限界ライス
・たづなと雨(54,55):人が見ていない雨の日のレース。伝説のウマ娘との実力あるウマ娘たちの秘密の戦いが始まる - 60二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 21:09:05
『雨露、そのきらめきを』の表現の美しさと、
『雨練カノープス』のこんな会話してそう感が好き - 61二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 21:10:05
- 62二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 23:32:29
なんだかんだで時間間に合わなかったけど書きたい人とかこれにインスピレーション湧いてスレ立てたい人って結構いるんかね?
- 63二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 23:35:34
- 64二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 23:40:03
スレ内で投下したものを手直ししたうえで
別スレとして立て直してもいいのかね
別スレ立てた人たちのが多くの人に見てもらってるっぽくて
正直うらやましいw - 65スレ主 ◆vIkBUUXIYw22/07/09(土) 23:52:39
確かにここだと反応が薄い事があるかもなので他に自分でスレを立てていただいても大丈夫です!
この企画は「みんなで同じお題で1時間で書いたらどんなSSが見られるか」っていう気持ちで出来た企画なので、書いた物語を自スレにしても、他のサイトで公開しても大丈夫です! - 66二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 11:17:07
めっちゃ面白かった...