ブライアンに野菜を食べさせたい

  • 1二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:15:49

    ブライアンは野菜が嫌いだ。決して食べられないわけではないと思うが、少なくとも好んで食べることはない。
    というわけで、食卓に野菜を紛れ込ませようと思う。

  • 2二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:16:12

    1日目
    今日の献立はステーキと付け合わせのにんじんのグラッセ、フライドポテト、それに生野菜のサラダだ。
    「いただきます」と目を輝かせてステーキを頬張り、合間にポテトとにんじんを摘む。その一方でサラダには全く手を付けなかった。
    あまりにもその様子を凝視していたせいか「食べたいのか?」と自然に押し付けられた。
    わかっていたことだが、生野菜を出してもブライアンは食べないだろう。この結果を受け入れ、次なる献立を思案しよう。ご馳走様という声を聞きながら、2人前のサラダを噛み締めしめてそう思った。

  • 3二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:16:33

    2日目
    今日は青椒肉絲……牛肉とピーマンの細切り炒めを出した。
    少し顔を顰めてから「いただきます」という宣言。これなら食べざるを得ないだろうという予想は悪い意味で裏切られた。
    器用なことに大皿から牛肉だけを掴んでいる。ブライアンにこんな繊細な動きができるとは予想外だった。
    気が付けば大皿は緑色の山になっていた。禿山という言葉があるがこの場合はどう形容すべきだろうか。
    ブライアンは満足そうに手を合わせ、「ご馳走様」と呟いた。その笑顔をを見るだけで料理人冥利に尽きるが、残ったピーマンの苦味が敗北感をより強く募らせた。

  • 4二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:16:52

    3日目
    今日の献立にはハンバーグを用意した。
    ハンバーグはひき肉に玉ねぎ、キャベツを徹底的に細かく微塵切りにしたものを大量に混ぜ合わせている。
    「いただきます」という声が弾んでいる。ブライアンは我慢できないとばかりにハンバーグへ箸を伸ばし、一口にかぶりついた
    ……その時のブライアンはとても味わい深い顔をしていた。風呂上がりに麦茶を取り出したら全く冷えてなかったような、なにか強烈な肩透かしを食らった顔だった。
    どうやら中に野菜を入れているのは完全にバレているようだ。
    ……なんだかんだで完食してくれたが「次はもっと純度の高いハンバーグにしろ」とリクエストを受ける。
    これは総合的に見れば敗北だろう。ブライアンのご馳走様の声を聞きながら、次こそ勝鬨を上げてやると心に誓った

  • 5二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:17:15

    4日目
    今日の献立は唐揚げ。ただし、動物性の肉は一切使っていない。
    大豆ミートという食物がある。細かいところは知らないが、まるで肉のような食感が楽しめるものらしい。
    これに衣を付けてしっかり揚げる。見た目は完全に唐揚げそのものだ。
    一つ味見をしたところ、何も言わなければ肉と誤認してもおかしくないクオリティである。
    唐揚げをテーブルに置く。いただきますの声と共にブライアンの口へ唐揚げが運ばれる。
    ……その顔には以前ハンバーグを出した時とはまた別の困惑が浮かんでいた。
    「おい、これはなんの肉だ?」
    「あ、ああ。それは大豆ミートと言って動物性の肉を使ってないんだ」
    ふむ、という短い声。もうひとつ唐揚げを掴み、しげしげとそれを眺めている。
    「もしかして口に合わなかったか?」
    不安になり声を掛ける。
    「いや、面白いと思った。なるほど大豆か……」
    ぽいっと唐揚げを口に投げ入れる。少なくともお気に召さないわけではないようだ。
    「ご馳走様。悪いとは言わないがやはり本物の方がいいな……」
    これまでの経緯を考えたら勝利と言えるだろう。しかし、大豆は穀物であることが判明し、結局野菜を食べさせていないことに気がつくのはしばらく後のことだった。

  • 6二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:17:36

    5日目
    コトコトと茶色の液体をかき混ぜる。今日食卓に出すのはカレーライスだ。それもただのカレーライスではない。
    ブライアンに野菜を食べさせたいとビワハヤヒデに相談した結果、とっておきのレシピだと教えられたのがこのカレーだ。
    すりおろした野菜をしっかり溶け込ませ、コクと深みを最大限に引き出したカレー。気のせいか夕食を待つブライアンはそわそわしているようだった
    カレーをよそってブライアンの目の前に出す。いつものいただきますを合図にスプーンを掴み、カレーを口に入れる。
    「……これは」
    そこから先はまさに無我夢中といえばいいのか、言葉にできないような有様でカレーを平らげ、あっという間にブライアンの皿が空っぽになった。
    「おかわり」
    端的で彼女らしい一言。その言葉は万の言葉よりも重く、心に響くものだった。

  • 7二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:17:58

    「ご馳走様。で、最近妙なものばかり作っていたが、何を企んでいたんだ?」
    食後、ブライアンが唐突にそう尋ねてきた。これは誤魔化しても無駄だろうと正直に答える。
    「いや、ブライアンに野菜を食べてもらいたいなって思って……」
    その言葉を聞いてブライアンは半ば予想していた答えとばかりに口を開いた。
    「別に野菜を食わんでも死にはしないだろう全く……」
    ぶつぶつと恨み言を吐くブライアン。
    「……子供の頃の話だ。姉貴もそうやって野菜を食べさせようとしていたよ」
    遠い目をしながらそう呟くブライアン。彼女が自分のことを話すのは珍しい。ふと、そんなことを思った。
    「これ、姉貴から作り方を聞いたんだろ?」
    空っぽになった皿を指差しながらそう言う。その問いに首肯で応える。
    「姉貴の味そっくりだった。美味かったよ」
    そう言ってぷいと顔を逸らす。どうやら少しだけ照れているようだ。
    「だが、少し不満がある」
    その言葉にどきりとする。レシピは忠実に再現したはず。なにか工程に間違いがあったかと想起すると
    「今度はアンタのカレーが食べたい」
    真っ直ぐ見つめられながらそう言われる。
    「姉貴のカレーは特別だが、アンタの料理も私にとって特別だ。だからこそ、誰かの真似ではないアンタのカレーが食べたい」
    「……わかった。明日の夕飯を楽しみにしててくれ」
    「いや、流石に二日続けては勘弁してくれ……」
    ブライアンは苦笑し、トレーナーは破顔する。
    (ほんと、この子は甘え上手だな)
    いつしか当初の目的は綺麗に消えて、美味いものを食べさせてやろうと考えるようになったのだった

  • 8二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:19:20

    うん…すごいほっこりしたけど結局野菜食べてなくない?

  • 9二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:19:56

    なんか深夜に眠れなくなって衝動的に書いてみた。
    ぶーちゃんに野菜食べさせたかったけど甘え上手でかわいいから肉食べさせたくなる気持ちになるよなって感情で書いたので
    誰かこんな感じの話書いてください

  • 10二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:21:13
  • 11二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:26:38

    結局姉貴もトレーナーもブライアンの事が可愛いから好きなものばっかり作ってあげるんだよね
    かわいい…

  • 12二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 02:42:44

    >>11

    たまには野菜食べさせようよお!!!

  • 13二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 04:25:59
  • 14二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 04:40:59

    野菜なんて食べないほうが偉いしな

  • 15二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 04:51:59

    付け合せの人参とポテトはOKで青椒肉絲のピーマンはダメなのか
    マッシュポテトならいけるか…?

  • 16二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 04:54:49

    ほっこりするんじゃ〜

  • 17二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 07:55:22

    >アンタの料理も私にとって特別だ

    ブライアンお前本当…そういうところやぞ!!!

  • 18二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 08:24:16

    >>17

    ブライアンは素直にこういう事言う

    トレーナーもそれ受け入れる

  • 19二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 16:44:29

    >>12

    素人考えなんだけど肉ばっかり食わせたら、便秘、脚気、壊血病になったりしない?

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています