- 1二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:29:17
注意!
実在の競走馬の恋愛をテーマにしたスレです
nmmn及びCP描写注意です
関係者の方にご迷惑が掛からないようにしましょう
SNSや他スレへの持ち出しも禁止です
nmmnを取り扱う上でのモラルを守りましょう
過激な性描写はお控えください
すべての始まり
酷いよコント……|あにまん掲示板コントが私の事、ゴリラって言ってるの、ずっと前から知ってたんだよ…?ね、コント……私の目、見てよ…これでも私、ゴリラなの……?bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:32:38
一乙
- 3二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:33:22
当然ですが、イメ損や実馬sageのレスは発見し次第削除させていただきます
過激な性描写(ヤンジャンに載せれないレベル)も同様です
このスレのスレ主はもとのスレのスレ主とは違います - 4二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:33:46
ありがとうございます
- 5二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:34:28
>>1乙
- 6二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:51:19
元スレ完結
コンタクト妄想はもうちっとだけ続くのじゃ - 7二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:53:51
コントレイルくんのマークが📞なせいでたまにコンタクじゃなくて電卓って言いそうになる
- 8二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 21:54:49
ヒだと一部でデアリングタクトを略してデンタク呼びしてるのがいましたね
- 9二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:08:08
📞「なんか僕達のカップリング妄想がついにスレ立ったんだけど」
♨️「まあさもありなんと言うか、2020年に脳破壊された人が多いんでしょ」
📞「まあタクトに余計なプレッシャー掛けられた僕の身にもなって欲しいけどね!」
♨️「そっちこそ私がもし負けてたらどうだったのよ」
📞「それはそれで嫌」 - 10二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:12:00
新しいスレが立っている…
某九冠スレのように長く続くようになると良いなぁ - 11二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:13:24
📞「でもタクトこそ割とあがってたよね?」
♨️「そりゃそうでしょ!」
📞「僕は本番は全然緊張しなかったからねぇ〜!」
♨️「いや普通にちょっと手震えてたじゃない」
📞「まあそれは…タクトが勝ってたから負けたくなかったし」
♨️「レース前日の様子みんなに見てもらいたかったなぁー!私に気づかずに素通りするレベルで…」
📞「わー!わー!」 - 12二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:15:50
立て乙です
ちなみに恋愛要素がなく普通に仲の良い友達として話してる📞♨️のSSはアリですか?(書くとは言ってない) - 13二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:15:55
2冠達成直後に、先輩ジョッキーである福永祐一に「夜もよく眠れませんでした」と伝えると「今からそれだと秋華賞になったらもっと大変だよ」と言われたと語る。
松山弘平騎手連載【44】秋華賞のレース直前、デアリングタクトはひどい発汗が… 2020年、オークスを優勝したデアリングタクト。デビュー以来タッグを組み続ける松山弘平とともに、秋にはJRA史上初めてとなる無敗での3冠牝馬誕生へ向け、秋華賞制覇がターゲッtospo-keiba.jp鞍上のこのやりとりコンちゃんとタクトにやって欲しい
- 14二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:20:34
- 15二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 22:53:23
- 161222/08/03(水) 23:02:32
やったー!ありがとうございます!
- 17二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:03:28
やっぱりコンタクトでタクトちゃんは誘い受けか襲い受けだと思うんです
- 18二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:15:01
- 19二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:26:47
- 20二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:31:09
- 21二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:31:41
- 22二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:32:16
ウワーッ!もう絵師が降臨してる!
- 23二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:34:44
ウワーッ!!
ありがとうございます!あれ書いたヒトミミです!!
そうそうそう、まさにこんな感じのお洋服想像してました……ヘアスタイルもかわいい〜これで2400m何本も走ったのか……かわいい……ありがとうございます、感激です……♥
- 24二次元好きの匿名さん22/08/03(水) 23:48:36
すぅ…すぅ…
ふと気がつくと、柔らかな風が頬をくすぐり、さらさらとした頭が肩に靠れかかっていた。時折反射のように耳をぴくんと動かして、口許は幸せそうに笑みを湛えている。
「にへへ…コント…ダービー…おめでと…」
未来の世界を見ていた。僕の大一番は一週間後だというのに。もう彼女の中では、僕がダービーを勝つことは確定事項らしい。ティアラ路線に独り立つ戦友は、気が付けば一人の女の子に戻っていた。
「お疲れ様、タクト」
本人の耳には届かないであろう労いをそっとかける。無敗の二冠ウマ娘。現実離れしたその肩書きが、よく知った彼女の背中にのしかかる。プレッシャーは、心労は如何ばかりだったろう。
だから今は、幾らでも肩を貸してあげよう。いつか同じレースで相見えたなら、その時はお互いの全てを賭けてぶつかろう。ぼんやりしていた少し先のビジョンが、俄かに色付いて見えた。
- 25二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 00:17:31
- 26二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 00:41:02
「ね、それじゃあさ、オレらと一緒に遊ぶってのは? 我ながらナイスアイデア!」
いーじゃんいーじゃん! だとか、天才じゃね? だとか、いかにも陽気、いかにも遊んでます! と言わんばかりのヒトミミのお兄さん3人組を前にして、私は「はぁ……」と戸惑いを隠しきれないでいた。
週の真ん中、水曜日。今日はトレーナーに用事があるとかで、放課後のトレーニングはいつもより早く切り上げられた。寮に帰って来週月曜日提出の課題を片付けはじめるか、それともほかの子のトレーニングに並走役として付き合うか、学園外周をジョギングか……といくつか候補にあげた放課後の過ごし方。その中で私がチョイスしたのは、街に出てのちょっとしたお買い物、だった。これといって急ぎの買い物ではなかったから、マリリンやレシスといった友だちと出かける約束をしている日曜日にしても良かったのだけれど、どうせ友だちと一緒に過ごすなら、終わらせられることは終わらせて、ゆっくりしたい。
というわけで、お財布とスマホだけをスカートのポケットに詰め込んで、街に出てきたはいいけれど。
「いや、あの、道に迷ってたのではありませんか?」
気づけばヒトミミのお兄さんたちに囲まれて、あれやこれやと話しかけられている。最初はまだ、なにを言っているのか理解できた。道に迷ったからどこそこに案内してほしいという言葉に、私はすぐそこにある交番を指差したのだ。お兄さんたちの目的地について知らないわけではなかったけれど、適材適所という言葉がある。LANE交換しようよ、と取り出しているスマホで調べればすぐなのにとも思ったけれど、お兄さんたちは私の提案をひとつも聞き入れてはくれなかった。あげくの果には、
「カラオケ行こーよ、カラオケ! ウマ耳ちゃん、学園の子でしょ? ナマでウマぴょってほしー!」
「ウマぴょ……?」
「オレらと一緒にウマぴょってよ、ぜってーて楽しませるからさー!」
お兄さんたちもうまぴょい伝説を踊るの? あれ、見てるのと実際踊るのとけっこうギャップがはげしいけど……なんて気圧されている隙を突かれて、ひとりのお兄さんの手が私の手を掴んだ。
「行こ行こ!」
「すみません、困ります、ちょっと……!」
ここで無理くり手を払ったりできないのがウマ耳の困ったところ。力任せにすれば相手の肩を外しかねない。
- 27二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 00:42:20
そのときだ。
「僕のタクトになにかご用ですか?」
取り繕った涼やかな声が聞こえていたと思ったら、私は数歩、後退していた。背中がなにかにぶつかったのと、腰を抱かれていると気づいたのはほぼ同時。ふり仰げばそこにはにこやかに微笑むコンちゃんがいて、私の思考はその一瞬パンクする。どうしてコンちゃんがこんなところに? というかコンちゃんどこ触ってるの!? ふだんから距離は近い方の私とコンちゃんだけど、この密着感はなかなか経験したことがなかったから、動揺で一気に心臓が高鳴った。
「な、なんだよ、ツレがいたのかよ」
「人の恋路を邪魔する奴はウマに蹴られてなんとやらだ、ずらかるぞ!」
「兄ちゃんたち幸せにな!」
「はーい、さようなら〜」
ひらひらとコンちゃんが左手を振れば、ヒトミミのお兄さんたちは嵐のように立ち去ってしまう。
残されたのは、街角、ひとびとの雑踏の中の、私とコンちゃん。ちなみに腰は抱かれたまただ。
「タクト、無防備すぎじゃない?」
次いで聞こえてきたのは、さきほどまでの『きちんとした』雰囲気はどこへやら、どこかしら緩いいつものコンちゃんの声だった。「連れ去られたらどうするつもりだったの」
「連れ去るって……あの人たち、道に迷ったみたいだったから」
「そんなわけないだろ。あれ、ただのナンパじゃん、どう見ても」
どう見ても、なんて確定的な言い方に、かちんとくる。バ鹿にするような響きはさほどなかったし、呆れられてるわけでもなさそうで、どちらかというと怒っているような。反射的に言い返そうとしたところで、さきほどまでひらひら手を振っていたコンちゃんの手が、ベチンと私の額を打った。でこぴんだ。
「あんまり心配させないでくれない、タクト」
ため息まじりに落ちてきた言葉に、私はふっと思い出す。
コンちゃん、さっき、僕のタクトっていわなかった? 言及のタイミングはすでに失われていたけれど、なんだか、それどころじゃなくなって。
守られた事実に心臓の鼓動が落ち着くまで、まだまだ時間はかかりそうだ。
***
ウワーッ、書いちゃいました!
📞くんこういうとこある概念
- 28二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 00:46:33
- 29二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 00:48:51
- 30二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 01:21:19
- 31二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 01:27:53
- 32二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 01:56:58
僕のタクト...僕のタクト...ってしばらく脳内に浮かんでそう
- 33二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 05:15:47
コンちゃんは無意識でタクトをキュンキュンさせる概念よき…
本人はちょっとした格好付けぐらいにしか思ってないのに全部タクトにブッ刺さる - 34二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 12:58:53
いつもは襲い受けだけどいざコンちゃんから来られると顔真っ赤にしちゃうタクト…
- 35二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 14:12:26
- 36二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 14:29:43
ありがてえ…タクトちゃんの髪飾りどうなってるのか謎だったから助かる
- 37二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 17:17:13
今日のレースの女神は〜あたしだけにチュウする〜のところの振り付けしてたところチュウのタイミングで通りがかった📞と目が合ってしまって、その上、投げキッスをキャッチされてもぐもぐされてウワーッって真っ赤になる♨はいますか……?
なお📞が某坂井Jばりに投げキッスを返すも♨は恥ずかしくなって叩き落とす模様 - 38二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 18:58:03
二人が結婚するとしても事実婚?
- 39二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 19:47:01
概念によるのではないですかね〜
ウマ娘ベースでトレセン学園通ってる系ならそもそも種牡馬概念がなさそうなのでふつうにハッピーウェディングできるだろうし、
ちょっと現実よりのウマ擬なら……そこは
概念を語る人によると思いますねえ
- 40二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:01:09
- 41二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:03:29
あつ!? 大好きです!!!!
- 42二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:27:11
コンちゃん……泣き顔隠してあげてるのにこにこしちゃう
- 43二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 20:49:28
路線は違えど好敵手で特別な関係のコンちゃんが力を尽して走りきったJC、リハビリするタクトにどれだけの勇気を与えたか……悔しさ、喜び、嬉しさ、いろんな感情が入り混じってるのかなと思うと泣いてしまう
- 44二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 21:31:33
他意なくニンジンを分けてあげようとして、「コンちゃん」ってよんだらとてつもなく警戒されて「コントレイル。」になるタクト
- 45二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 21:59:20
タクトが真面目で優等生なのは、別に、いまに始まったことじゃない。お人好しだから先輩にも後輩にも頼られてるし、きっと本人も、『頼られる自分』に対して誇りを持っている。勿論、何でもかんでも頼まれたらハイハイって引き受けちゃうほど盲目でもないから、引き際だとか、代替え案とかもきちんと心得ている。
てもさ、そんな優しいタクトに付け込もうとする輩はいるもので。
「あの、だから、そこに交番があるので、そちらに行ってもらえたら確実かと……、あ、はい、学園の生徒ですが、あの、私の話、聞いてます?」
週の真ん中である水曜日は、1日がやたらと長く感じる。競技者である僕たちには授業が終わったあともトレーニングが待っているけど、平日、朝から晩までみっちりトレーニングで埋まっているわけじゃない。定期的に休憩を入れないと、モチベーションだって上がらないしね。だから僕はこの日、同じく放課後のトレーニングが休みだったボンドとビアンフェとともに街に出かけていたのだけれど──ふと聞こえてきた聞き覚えのある声に、僕は足を止めた。
「コンちゃんどうしたの? あ、タクトちゃんだ」
「輩にでも絡まれてんのか?」
はちみーやらにんじん焼きやらを片手に先を行っていた二人も立ち止まり、僕の視線の先を見遣る。見慣れた白いプリーツスカートにすみれ色のセーラー襟、流線の模様がついたリボンを飾る青鹿毛の後ろ姿は、まごうことなきタクトだ。尻尾が困ったように揺れている。
彼女を囲むように、お世辞にも品がいいとは言えない男が三人。女の子にしては背の高いほうの彼女を見下ろしているのをみるに、ボンド以上ビアンフェ以下といったところだろう。まあ筋肉量でいえばこちらには劣るだろうけれど──さておき、彼らが輩かどうかは別として、タクトの耳がへにょりと曲がっているのはめずらしい。
「ちょっと行ってくる」
「助太刀は?」
「大丈夫だと思うけど」
別に僕は、可憐なお姫さまを助ける王子さまみたいな柄じゃないけどさ、好敵手のような、友だちのような間柄のタクトが困っているのを見て、捨て置けるほど冷たくはない。……タクトが可憐なお姫さまかどうかは審議が待たれるところだね。
- 46二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 22:01:06
少し遠くから睨みをきかせていただろうビアンフェ(とボンドもかも)のおかげもあってか、輩はあっというまに去っていった。学園の生徒はお嬢様やお坊ちゃんがそこそこいるというのが世間のイメージだから、すみれ色のサマーセーターが目立つ男子はなにかと侮られることも多かったけれど、杞憂だったみたい。負け犬のように捨て台詞を吐いてすたこらさっさとパンサラッサする輩たちを見送ったところで一息。無防備なお姫さまにすこしだけお灸を据えたあと、眼下のタクトがなにやらもじもているのに気づいた。
「タクト、どうかした?」
「えっ!! いや、そのね、……コンちゃんさっき、僕のタクトって、言ったような、……聞こえたような気がして」
「……僕の同期のタクト、の聞き間違えじゃない?」嘘である。言った。僕のタクトって言った。近くにボンドがいなくてよかった。絶対に空気を読まず『言ってたねぇ』とか言う。
助太刀を申し出てくれたビアンフェに対して『大丈夫だと思うけど』なんて冷静に返したものの、一歩タクトに近づくたびに、なにやらムカムカ、腹立たしさがあふれてきて、どうにも柄じゃないことを言ってしまったけれど……幸運なことに、僕はタクトをはぐらかすのが大得意。
「そうだったかな……?」
「そうだったよ?」
「……いやでも」
「何、タクトはもしかして、僕がヤキモチ焼いてるって思いたかったりするの〜?」
「えっ?!」
「だってそんな幻聴しちゃったんだよね? タクト、もしかして僕のこと……」
「気のせいだったかも!!」
なにもそこまで断言しなくてもいいじゃないかと言わんばかりにスパーンと言いきって、タクトはなかったことにしたようだった。いや、はぐらかそうとしたのは僕だけど、あまりに勢いが良すぎて、僕、ちょっと傷つくかも。
- 47二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 22:02:12
なにはともあれ輩を追い払いお姫さまを取り戻し、めでたしめでたし。記憶の改竄を試みようと頭を抱えるタクトの腰に添えた手はそのままに、方向転換をすると、弾かれたように彼女は顔を上げる。
「で、どこに行くの?」
「え?」
「またおかしなのに絡まれて、もしタクトが返り討ちにしちゃったら、僕も夢見が悪いからさ〜、お供してあげるよ」
「はあ?! か、返り討ちなんてしないもの!」
「はいはい、暴れない暴れない、放課後にはタイムリミットがあるんだから、さっさと行くよ」
「暴れてないってば!」
いまにも暴れ出さんばかりのタクトの背を押して、少し離れたところで待つ友人たちと合流する。
一日は長いのに、放課後はすぐ終わる。そんな放課後を、僕たちは無駄に過ごすわけにはいかないのだ。
おしまい。
***
うっかり言っちゃった系📞もありなのではないか……?!
- 482522/08/04(木) 22:18:03
- 49二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 22:29:15
良すぎる…あまりにも良すぎる…
- 50二次元好きの匿名さん22/08/04(木) 22:35:45
📞くんは好きな女の子に対しての距離の詰め方が手練だと私性合
- 51二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 00:36:37
午前6時半。東の空がやや白んできたとはいえまだ暗い開門前の中山レース場入場ゲートには大勢のファンが列を作って待っていた。
今日は年に一度のお祭り、有馬記念当日。日本一注目されるレースとも言われるだけあって、1週間前からの徹夜組までいる始末だ。
そんな熱気を孕んだ入場ゲートを尻目に、関係者専用ゲートで学生証を見せ、ファンに気づかれないように中へと入る2人の姿。
まだだれも居ない中山レース場は、普段の熱気と興奮が嘘のように静まり返っていた。
「別にここに来なくてもいいじゃない、走る訳じゃないんだし」
「こんな時期にタクトがディ◯ニーランドなんか行ったら即注目の的になっちゃうからダメ」
そそくさとスタンドの中を通り抜けてスタンドの出走バ関係者用のスペースへと入る。
そこには朝早くからこの日のレースに出走するウマたちがストレッチや食事などを済ませていた。
「あっコンちゃんとタクトちゃん、どしたの?今日走らないんでしょ?」
声をかけてきたのはちょうど朝食を持ってテーブルへと移動していたアカイイトだった。
「おはようアカイト〜、今日はボンドとアリストの応援だよ」
「私は貴方とキートスのね」
「そうなの!?ありがとう!私今日はなんだかやれる気がするんだよねぇ〜、トレーナーは初有馬で緊張してるけどさ」 - 52二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 00:38:04
アカイイトはやる気満々といった表情だ。前走のエリザベス女王杯では人気薄からの激走で一躍注目株に躍り出た存在。恐れるものなど何もないといった雰囲気だ。
コントレイルがキョロキョロと周りを見渡す。どうやら同室のディープボンドを探しているようだ。
「やっぱボンドは宿舎っぽいね、この様子じゃ多分まだ寝てるんじゃないかな」
「いつものんびりしてるけど、そんなレベルなのね」
「僕は寮で同室だから知ってるけど、ボンドはダービーの時も当日寝坊しかけてたからね。僕が起こさなかったら集合時刻に間に合わなかったと思うよ」
コントレイルは今日は同室にアリストテレスがいるので大丈夫だろうと念を押す。
同期の3人。クラシック・ティアラ路線を走った2人と、ティアラ路線には間に合わなかったアカイイトではあるが、普段からの仲の良さが伺える。
「それじゃ、私達はこの辺で」
「アカイトも頑張ってね」
「2人ともありがと!じゃあまたレース後にね!」
控室を出ると、暖房のまだ入っていない通路を歩く。この時期のレース場の朝は特に寒い。
「くぅ〜寒ぅ〜…」
「冬の朝のレース場って本当に身に染みる寒さよね、デビュー戦の時なんか私ちょっと風邪ひいちゃったし」
そんな2人は付かず離れずの距離で並んで歩く。
すると突然、コントレイルがニヤリと笑うと、デアリングタクトの頬に冷えた手を触れた。可愛らしい悲鳴が上がる。
「ひゃぁぁああっ!何するのよ!」
「あぁ〜タクトのほっぺ温かい〜…」
ゲンコツでも食らわせてやろうとデアリングタクトは拳を振り下ろすがヒラリと交わされる。 - 53二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 00:40:19
ヘラヘラとするコントレイルに、顔を真っ赤にして怒りの目線を送る。
「へへ、無防備にコートだけのタクトが悪い」
「朝3時に突然『中山にボンドとアリストの応援に行くから一緒に来る?』なんて連絡してきたら準備も出来ないわよ!」
2人は朝4時半に寮を出て始発電車で中山までやってきたのだった。もちろんフード付きのロングコートでしっかりと耳と尻尾を隠して。
電車の中で数人のファンに気づかれて声をかけられたのは、やはりデアリングタクトが無防備に顔が見えているせいか、それとも2人の三冠バが持つオーラなのか。
コートだけでやってきたデアリングタクトと違い、コントレイルはマフラーに手袋の防寒フル装備。そんな姿が恨めしい。
広い無人のスタンドを過ぎ、ウィナーズサークルまでやってきた2人。スタンドで観戦した事は何度もあるが中山のコースを走った事はないデアリングタクトは周りを見回す。
「ここに来るのは久しぶりかな、コントの皐月賞の時以来かも」
「僕もだよ、ホープフルと皐月賞はここでインタビュー受けてたけどもう大分昔に感じる」
開門前の点検作業のスタッフに声をかけて2人で芝コースへと出る。寒さのせいか、芝コースには霜が降りていた。
そのままゴール板前に立った。有馬記念用の特別デザインのゴール板を眺めるコントレイル。
「本当はここでラストフライト、のつもりだったんだけど、やっぱりアイ先輩に負けたまま終われなかったからね」 - 54二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 00:41:19
1ヶ月前にトゥインクルシリーズの最後のレースとして走ったジャパンカップで有終の美を飾ったコントレイル。リハビリの続くデアリングタクトはそれをスタンドで見守っていた。
「私はそっちの方が良かったと思ってるよ、コントはやっぱり府中の広い直線が似合ってる」
お互いに無人のスタンドを見つめながら、ただ思いを馳せる。
リハビリを終えて有馬記念に出られていたら。ラストランを有馬記念にしていたら。
「くちゅ!……」
デアリングタクトが可愛らしいくしゃみを放った。
確かに現在の気温は氷点下近いだろう。早く暖房の効いた関係者ブースに戻らなければ。
そう思っていると、コントレイルが背後からギュッと抱き寄せてきた。
そのまま自らのマフラーを半分解き、デアリングタクトの首に巻く。
さらにはコートの前を開いてその中に閉じ込める。
「寒いし戻ろう?でもその前にちゃんと温まってからね」
「ありがと、コント」
体温だけではない温もりに包まれるデアリングタクト。
二人羽織のような体制になった2人は、登ってきた朝日が照らすターフの上に立っていた。
暑いし冬の話ってことで有馬記念デートするコンタクト - 55二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 00:44:24
大好きです……
さり気にイケメンムーブかましてくるコンちゃん…… - 56二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 01:10:47
良──!!!
自分はウマならではのレース風景書けないから臨場感に素直にあこがれる……朝3時に連絡きたのに付き合うか♨かわいいですね、いい夢が見られそうです…… - 57二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 01:14:24
- 58二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 06:15:55
個人的な📞くんのイメージはSAOのキリトとゼロ使の才斗を足して2で割ったような感じですね
♨️ちゃんには普段は尻に敷かれたり逆に振り回したりするけどいざという時にはきっちり主人公ムーブでハートを鷲掴みにする感じ - 59二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 08:13:27
うーむ平成の主人公
- 60二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 16:24:28
プリキュアなら技のコント力のタクトになるやつ
- 61二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 19:04:32
コントはタクトとボンドどっちがかわいい?って質問にはボンドって即答するしゴリウー呼ばわりもするくせにふとした時に女の子扱いしてくるからその度にタクトは顔赤くしちゃうんだよね…
- 62二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 20:01:42
わかる……スマートに自然に女の子扱いしてくれるから虚をつかれる♨はいる……そして●に「コンちゃんそういうところだと思う〜」とかツッコミ入れられると私性合
- 63二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 20:06:08
最後の……エメラルド・スプラッシュ…
メ…ッセージ……で…す…
これが…せい…いっぱい…です
ジョースター…さん 受け取って…ください…
伝わって……… ください……
チーム矢作の……トレードマークの紅白の組紐で……♨が髪を結んでいたら……
相手が自分と同じものを身に着けている……その尊さを…… - 64二次元好きの匿名さん22/08/05(金) 20:08:17
花京院なにやってんだ
いやわかるけども - 65二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 00:10:46
2人の設定妄想
コン
宮城県松島市生まれ、鳥取県米子市育ち
父は大阪出身の航空自衛官(松島基地→美保基地)、母は大阪出身の元会社員
好きなものは飛行機と梨、嫌いなものは注射と丸々1本のにんじん
タクト
北海道沙流郡日高町出身
父はえりも町出身で現在は札幌勤務の会社員、母は元競走ウマ娘で実家で専業主婦
好きなものはお風呂と鮭、嫌いなものは満員電車と暑いところ - 66二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 00:34:18
梨好きなのかわいいな……美保基地航空祭とか毎年見に行ってたんだろうな。
- 67二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 01:29:41
- 68二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 13:15:23
保守
- 69二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 13:17:27
自分だけにちょっと態度が違うコンちゃんに優越感を覚える自分に気がついてちょっと変な気分になる、そんなタクト
- 70二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 14:03:21
- 717022/08/06(土) 14:04:12
多くのアスリートが直面する問題がある。"冷静になりたいときはどうするか?""集中したいときに何をするか?"
ことにやり直しの利かない一発勝負で、コンマ1秒、僅か数cmや数mmといった差が明暗を分けるレースの世界はギリギリの局面の連続であり…燃え盛る闘争心と同時にそれを御する為の冷静さ、この組み合わせによって引き出された一瞬のパフォーマンスの差に泣き、笑う者も多い。
さて、ここにいるコントレイルとデアリングタクトの両者もまた、強者共が鎬を削るレースの第一線に身を置き、その中で結果を求められてきた。道のりは決して平坦ではなかった。後悔することもいくらでもあった。しかしいつまでも下を向いていることは、できなかった。
切り替える。集中する。雑念を振り払い己のやるべきこと見つめ続ける。そうすることで少しでも実のあるトレーニングを。勝利を引き付けるレース運びを。彼らのような者たちの強さとはこういった精神性の上に成り立っていると言っても過言ではないのだ。
現に今、彼らの意識は極めて高い純度で練り上げられていた。 - 727022/08/06(土) 14:05:09
(うー~~……絶対顔まだ赤い…時間経ったら落ち着くかと思ったけど次から次へと考えちゃう…もう今日は恥ずかしいところコントにいっぱい見られちゃったけどこれ以上は…)
(ていうかなんでコントはこんなに平然としてるの?さっきは結構慌ててたと思ったのに。やっぱり経験豊富だからかな…。きれいな先輩たちの間でもカワイイって噂になってるらしいし、もしかしたら同期にももうそういう子がいたりする?)
(聞きたくないな……。あれっ?そういえば私今日どんなの着てたっけ??上下は揃ってるハズ…あっそうだ水色のヤツだ。子供っぽいって思われないかな。でも、く、黒いのとかなんてスパッツぐらいしか持ってないし…白なら少しはあるけどあれカワイイかな…)
(もー!もーー!もぉーーー!!どうせ私ばっかりなんだ!こんなにいっぱいいっぱいなのは私だけなんだ!!やーいコントの色男!)
ご覧の通り、デアリングタクトの脳内を占めるのは純度100%、混じりけのない雑念である。意識は四方八方十六方面に取っ散らかり、最早留まることを知らない。
こうしている間にも10秒に1回程度の頻度で隣を行くコントレイルをさりげなく横目で伺っておりその心情を推し量れないかと考えているが、普段よりもいささか真剣さの増したその固い表情から感情を読み取ることは難しい。
というかコントはいつもちょっとヘラヘラし過ぎだと思う。こういうキリッとした顔もできるんだからレース以外でも真面目な態度を見せればいいのに。レース中だと他のみんなに埋もれて目立ちにくいし
あぁでもやっぱりたまにこうなるっていうギャップもいいなあ。それに今は私独占していると思うとそれも悪い気はしない。いや、…かなりいい。家に着いたらそのままこっち向いてくれるの?ま、また緊張してきた…手汗大丈夫かな……
- 737022/08/06(土) 14:06:30
・・・一方のコントレイルは本当にほぼ一点に意識を集中させていた。
(3.1415…… 3.1415…… 3.1415…… 3.1415……)
円周率である。以前友人のパンサラッサから聞いたのだ、彼は円周率を数えることで冷静になれると。無機質でランダムな数字の羅列が感情の揺れを抑えてくれるのだと。
"デアリングタクトと手をつないで帰宅する""しかもそのまま両親不在の中で相手の部屋にお邪魔する"という命題に直面した彼は、直感的にこのままではまずいと判断した結果友の教えにすがった。
しかしかつて目の前で1分以上も暗唱して見せたパンサラッサとは異なり、コントレイルは小数点以下4桁までしか円周率を暗記していなかった。したがって彼はこの僅か合計5個の数字を非常に短いスパンで何度も何度も繰り返し念仏のように唱えることとなった。
藁にもすがる心境だが、こうでもしないと彼の脳内はたちまち情報の坩堝と化し…具体的にはこの後へ起きることへの期待や、記憶している数々の映像作品のフラッシュバックが溢れかえり、場合によっては歩行に大変な支障をきたす可能性があった。平然としているのではなく努めて"無"を纏っているのだ。
隣を歩くデアリングタクトが彼に話しかけずそっとしてくれているのも内心ありがたかった。そのおかげで彼は、動かせる僅かな意識を彼女との距離の維持に割くことができた。どんなに無心になろうとしても――――体の左側に熱を感じる。その熱を逃がすことも置いていくこともしたくない。
(3.1415…… 3.1415…… 落ち着けー 3.1415…… 3.1415……)
- 747022/08/06(土) 14:07:10
ディープボンドはいつも通り、晩御飯前のロードワークに出るところだった。彼はこれらの日課を欠かさない。自分はコントレイルの幼馴染にして親友である。しかしその親友にレースでの実績という面で大きく水をあけられていることは理解していた。
ならば己はどうするべきか?問いかけても「答え」など出てこない。だが、何をした方がよいか、ならば自明であった。積み・そして重ねるしかない。実力を。鍛錬を。経験を。そして食事と休息を。
自分は器用さには欠ける。コントレイルと比較して切れる足も使えない(これは彼に限った話でもない)。だが止まらないし諦めない。それで勝てる保証はないが、止まって諦めれば何も手に入らないのだから。
そんな折、先ほど忘れ物を回収すると言って別行動をとった親友を見つけたので、声をかけようとしたのだ。
しかしその親友が放つ尋常ならざる空気を感じ取り、平時は柔和に細められたディープボンドの双眸は鋭く開かれた。男子三日会わざれば刮目して見よ、とはよく言うが、なるほどコントレイルはほんの数時間のうちにも変化をして見せるらしい。
あの友は先ほど『今日は夕飯は誘わなくていい』と端的なLANEを送ってきた。少々疑問に思ったが…そうか、君はこれから戦場に行くのだ。この親友にそうと告げぬまま。
自ら語ろうとしないのならば――ならば己がすべきは見て見ぬふりを通すことだろう。自分には自分のやるべきことがある、いつか彼の背に追いつき、そして追い越す為に。今はあえてすれ違おう親友よ、近いうちにまた会おう。
ちなみにコントレイルの影に隠れてデアリングタクトの姿はプボの位置からは見えなかった。もし小動物のようにソワソワする彼女が見えていたらまた違った印象が得られたかもしれない。
そもそもどうして2人並んで帰路についているのか?時はしばし遡る。
- 757022/08/06(土) 14:07:42
「酷いよコント……」咄嗟に口をついて出てきたのは、さっきと同じセリフだった。違うのは、次の言葉が出てこないこと。
何か考えようとしてもさっき聞いた言葉がリフレインして仕方がない。
(タクトは…可愛い女の子さ)(可愛い女の子)(可愛い)(タクトは可愛い)
急に言われて反射的に平静を装ったが、今になって自分が相当浮かれていたことに気が付く。
(思わず目を逸らしちゃったけど…コントはまっすぐこっち見てたよね)だから効いた。あの瞬間心臓が跳ねたのを覚えている。
つないだ手を引き寄せられ、ハグかキスでもされるんじゃないかと思った。そうしたいんじゃないかとも思った。
違うか?私の方が……
……だってだって。そういう雰囲気が作られているように思えたのだ。しかし思い返せばコントはつっかえる様子も呼吸を整えたりする様子もなかった。ほとんどノーモーションである。
要するに慣れた台詞なのだろう。この程度は全然大した言葉じゃないのだ。そのことに思い当たると、浮かれていた心が急激に萎んでいく。
最後の一言だけじゃない。先ほど泣いてしまったとき——それもあろうことか元々ウソ泣きだったのだが——
コントは私の涙を迷わず拭い、乱れてしまった髪を整え、手を温めてくれた。その全てに確かな優しさが感じられた。自分が特別に扱われていると思ったのだ。
だがどうやら違う。ここにいたのが私じゃなくても彼は同じように優しくしただろう。目をつぶっていたので気づかなかったが、その証拠にコントは全然気負ってもいなかったようだ。私は男の子にあんなことをされるのは初めてで、完全に飲まれていたのに。
その余裕の差が悔しかった。私は彼の最初でもなければ特別でもない。
- 767022/08/06(土) 14:09:15
同時に強烈な恥ずかしさが襲い掛かる。私はウソ泣きでコントの同情を買い、あまつさえ今後のマウントのネタにさえしようとしていたのだ。罪悪感を煽れば自分への態度がよくなるかもと。
そんな必要は多分初めから無かった。彼はいつだって誰にだって優しい。愛想がよくて人懐っこくて、友達もたくさん、老若…男女問わずたくさんいる。
分かっていたのに。今日はちょっと嫌なことがあったからコントに構ってもらおうとしていただけだったのに。ウソ泣きに本当の涙が混じってしまっているうちに想定以上に踏み込まれ、女の子扱いされていると勘違いしてしまった。
だがこういうのは女の子扱いじゃなく………子ども扱いというのだ
(…………)
言葉が出ない。「酷いよ」そのあとに何を続けようというのだ?「乙女心をもてあそびやがって」か?彼は既に、私の言葉にしっかり謝ってくれたのに?また彼に罪をかぶせるのか……?
「……手、放して。お願い」きっと酷い顔をしているのでコントの目が見れない。ようやく出てきた台詞は、とにかく逃げることしか考えていなかった
- 777022/08/06(土) 14:11:34
まだここまでっす…すんません頑張ります
- 78二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 14:30:35
よき……かわいい……プボニストも兼ねてるのでボンドのターンが嬉しかった……続き楽しみにしてます……
- 79二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 14:37:10
あっ好きぃ…
自分の事考えてくれないと拗ねちゃうタクト概念もよき… - 80二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 17:46:20
このスレの小説は純愛、それも過度の純愛で私を萌え殺してくれるからすきだ
- 81二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 17:51:12
だめだコンタクトに萌え殺される
- 82二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 23:23:10
♨は熊エピソードがあるから柔道とかやってる設定とかになったりするのかな……柔道着の♨はとても似合う気がする
📞が柔道着を着ても「♨のほうが強そう」とか思われそうで可愛いな - 83二次元好きの匿名さん22/08/06(土) 23:34:53
- 84二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 00:34:38
- 85二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 05:30:47
📞は大体どんなスポーツでもそつなくこなしそうなイメージですね、球技では助っ人としてよく呼ばれてそう
ただし体格はプボやサリオスより小さいので体格差が物を言う武道や単純な筋力だと負けてそうな感じでしょうか
♨️は筋力もですが動きのキレがあるので体格差でどうこうよりはスピードとパワーを兼ね備えた吉田沙保里タイプだと思います
反面細かい事は苦手なので球技はあまり得意ではなさそうなイメージです
- 86二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 15:53:51
ウマの子たちってやっぱり中学生ぐらいでも鬼ごっこしてたりするのかな
- 87二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 15:57:55
鬼ごっこするの可愛いな……
可愛いキャッキャがそのうちガチの鬼ごっこになるのかな - 88二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 16:18:58
夏の日差しが照りつける8月。鳥取県内でも屈指の海水浴場である弓ヶ浜海岸には鈴なりの人々。
実家のある米子へと帰ってきていたコントレイルは、ディープボンドやビアンフェらと共に海水浴に来ていた。
「暑っつ~…早く泳ごうよ」
「コントはパラソル建てるの手伝ってよ」
「そうそう、プボはクーラーボックス持ってるし、僕は椅子組み立ててるから」
遠回しにサボるなという攻撃を受けながら、渋々パラソルを組み立てていく。
こんなに暑いのに肉体労働をさせるなという怒りを砂浜に向けてパラソルを勢いよく突き刺す。
一通りの設営が終わる頃には、3人共汗だくであった。
「さーて、じゃあ泳ぎますか!」
「遠泳なら負けないよ」
「こっちは短距離なら」
沖合に浮かぶ目印のブイまでの往復対決。これも幼少期から何度もやってきた、幼馴染との真剣勝負の場だ。
しっかりとストレッチをする。逆にディープボンドは軽く飛び跳ねるだけで、ビアンフェは精神統一中。
「この石が落ちたらスタートだから、…よっと!」
軽く上に投げた石が砂浜に落ちる。その瞬間、3人は力強く砂を蹴り上げて大海原へと突っ込んでいった。 - 89二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 16:21:37
「やったあ~今回は僕の勝ちだね!」
数分後、ゴール地点であるパラソルに一番に戻ってきたのはディープボンドであった。
往路で力尽きたビアンフェを後目に二人のマッチレース。自ら上がるまではほぼ横並びの大接戦。
最後に勝負を分けたのはパラソルの位置をしっかりと把握していたボンドであった。
「クッソ~、似たパラソル多すぎなんだよ!」
悪態を付きながらパラソルへと戻ってくると、途中でリタイアし日陰で涼んでいたビアンフェがスポーツドリンクを差し出す。
「おつかれ~、さっきコントの携帯鳴ってたよ」
「何途中で辞めて涼んでんだよ、まあとりあえずありがと」
「じゃあ今回はコントとビアンフェの奢りってことで」
敗者の2人が渋々1000円札を出す。負けたほうが食事を奢る、そんな単純な勝負でもやはり幼馴染であればこそ負けたのは悔しい。
受け取った1000円札を握りしめて海の家へと向かうボンドの背中を恨めしく見送ると、バッグからスマホを取り出した。
2着なんだし敗者へのせめてものご褒美でもないかと思いながらスマホを開くと、同期のトリプルティアラウマ娘様からのLANEであった。
(なんだろ、一昨日タクトと通話しながら宿題してたのが間違ってたとかか?)
デアリングタクトの名前が表示されている通知欄をタップ。 - 90二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 16:23:43
『ボンドから聞いたよ、今弓ヶ浜海岸で海水浴してるんだって?私も今近くの川でレーン先輩と遊んでるとこ』
北海道らしい針葉樹林の中を流れる清流を思い浮かべる。あっちは涼しくて過ごしやすいだろうなと思いを馳せた。
こちらはクソ暑い海水浴場で野郎3人のむさ苦しい絵図、あちらは学園のアイドル的存在の先輩との二人。隣の芝は青く見えるものだ。
すると新たな投稿の通知音。そこには目を疑うものが送られてきた。
大きめのサイズのTシャツ1枚だけのように見える服装のウマ娘。撮影者へ手を振る姿は顔を見なくともそのリボンと耳飾りで誰かはすぐに分かる。
問題はその格好だ。濡れたTシャツが透け、下に着ているであろう水色と黒色ののホルターネックが見えていた。
肌にぴったり張り付いたTシャツのせいで思いの外大きな胸が強調される。まさかこんな画像を送ってくるとは想定外だ。
一瞬の思考の後、コントレイルは迷わず画像を保存。隣で大の字で寝ているビアンフェに気づかれないように返信を打つ。
内容を考えていると、突然投稿が削除された。まさか間違えて送ったのだろうか。遅れてデアリングタクトからの返信。
『レーン先輩がいたずらで送ったの!私じゃないから!間違えて送っただけだから!』
こちらから誰が送ったかを確認する術はない。先輩に心のなかで土下座で感謝する。
『ごめん一瞬すぎて見られなかった、何だったの?』
同じくこちらも証拠のない言い訳を送っておこう。あれは誰にも見せられない、なんなら僕だけのものでいい。
そう思いながらスマホをバッグにしまうと、ディープボンドが焼きそばとたこ焼きを抱えて帰ってきた。
「どうしたのコント、顔がめちゃくちゃ緩んでるよ」
「なんでもないよ、きれいなお姉さん居たから見てただけ」 - 91二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 16:25:39
夏休みに実家に帰省したコンタクト妄想でした
結構際どいのを撮影されて自分から送ったように仕向けられたタクトちゃんとそれに悶々とするコンちゃん - 92二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 16:32:53
タクトの気持ちに気づかないクソボケ📞(実は📞もタクトのことが好きだけどついクソボケムーブしちゃってるだけ)をタクトに気持ちを向けるために「コンちゃんはもっとタクトに積極的になるエピ!」と色々📞をけしかける🦐概念
- 93二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 18:44:00
- 94二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 20:49:48
コントはタクトに対して劣情を抱いていたとしたら、そのことに対して罪悪感抱きそう
- 95二次元好きの匿名さん22/08/07(日) 23:28:44
♨️があまりにも健全に接してくるから、なんで僕だけこんなにモヤモヤしないといけないんだろう……って罪悪感覚えつつも恨めしく思いつつなんだかんだ無邪気で無防備な♨️に絆されてほしい📞……
- 96二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 00:30:35
「ねぇコンちゃん、壁ドンしてみてくれない?」
「は?」
タクトはときどき、とんでもなく突拍子のない発言をくりだしてくる。ふだんはまじめな優等生風なのに(いや、優等生だけどさ、反射的に優等生を演じる僕と違って心底から)、いや、真面目だからこそ爆弾発言しがちというか。そこまで世間知らずっていうわけじゃないと思うんだけど、浮世離れしてる感じはあるよね。
それはさておき。開け放たれた窓からグラウンドトレーニングをする生徒たちの声がちらほら聞こえだした放課後。日直当番の僕とタクトは、タクトの机を挟んで、学級日誌を書いてたわけだけれど。
「ほらほら、壁ドン壁ドン」
書きかけの学級日誌をいったん閉じて、タクトは立ち上がる。女の子らしいラインの手が僕の腕を取った。いやいや待って、並走に誘うノリで急かすことじゃなくない?! - 97二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 00:32:29
そもそもなんでそんな話になったかというと──きっかけは一冊の少女漫画だ。『ポニー少女と狼王子』だったかな、映画化もしてる恋愛漫画。女子たちの間で貸し借りがおこなわれていたその漫画が、タクトのもとにたどりついたらしい。内容はよく知らない。映画を見に行くとしてもボンドたちとだし、恋愛映画なんて選択肢にないからね。こないだ見に行ったTG Mavericks、ドッグファイトがめちゃくちゃカッコよかったな〜……なんていう現実逃避もむなしく、僕はタクトに引っ張られて誰もいない教室の隅、壁際まで追いやられていた。
「ちょっと待ってタクト、なんで僕が追い込まれてるの?!」
「だってコンちゃん、ポニ少読んだことないんでしょ? ならまず実演をしないとと思って」
タクトはしごくまじめな表情だ。
「読んだことはないけど壁ドンくらい知ってるから!」
「そうなの? あ、でも、狼王子がポニーちゃんを壁ドンしたくなった感情を理解したいから、やっぱり実演させて?」
「いやいやいやいや」
どこの世に女の子から壁ドンされて喜ぶ男がいるっていうんだ。……いや、いるかもしないけど、すくなくとも僕はそうじゃない! 僕、タクトの知的好奇心が旺盛なところは偉いなって思うけど、それとこれとは話が別だ。
それじゃ、とばかりにタクトの腕が伸びてくる。このままじゃ壁ドンされてしまう! それだけは避けたい、男の沽券にかけて! あとこんなとこ他の生徒に見られたらいろいろ面倒!
ということで。僕は既のところで迫りくるタクトをかわした。そのかわり、くるりとターンしつつタクトの腕を取って、そのまま立ち位置を変える。
つまり、タクトは壁際。僕が迫る方。タクトが壁に背を打ち付けてしまわないようにソフトにその肩を押して、彼女の肩のあたりに手をついた。
「タクトには狼王子の気持ちはたぶんわからないよ」
「コンちゃん、本当は読んだことあるの?」
「ないけど」
気になる女の子に迫りたい理由なんて、ほぼほぼ決まってない? 両手をついて閉じ込めてやりたかったけどそこまでする勇気はない。脳内でボンドやビアンフェがヘタレって詰ってくるけど、一歩間違えればどうにでもなれーっ! ってなりかねない僕にしては、頑張った方だと思うよ。
- 98二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 00:33:02
- 99二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 00:35:28
レツジョーじゃないけどコンちゃんはほどよく翻弄されてほしい。
でもタクトの気持ちが追いついてきたら翻弄してほしい。 - 100二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 08:14:29
- 101二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 08:16:26
タクトのセリフに最後謎の は が入っちゃった
- 102二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 15:30:07
タクト、無自覚な恋心抱いてて欲しい無自覚な爆弾発言してて欲しい
- 103二次元好きの匿名さん22/08/08(月) 23:09:32
生物の遺伝子の授業で「へー。私たちの子供なら髪の毛○○色の子が生まれる確率が高いんだね!」って言っちゃうとか?
- 104二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 00:42:13
このレスは削除されています
- 105二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 00:45:01
日曜日。すこやかなボンドの寝息を背後に、僕は月曜日提出の課題を仕上げていた。時刻は朝の六時半。寮生にはもっと早くから自主練に取り組むやつもいるけれど、僕も、同室のボンドも基本的に日曜日はゆっくり起きる。軽く昼食を取って、ストレッチだとかの軽い運動のちに、午前中は自主トレに当てる。昼食を摂ったら少し昼寝をして、課題にとりかかったり、はたまた街に出かけたり。
けれど、今日は特別。イレギュラー。
午後から、タクトと映画を見に行く約束をしているのだ。
『ねぇコンちゃん、日曜日もし時間あるなら、映画を見に行かない?』
前触れもなくタクトからそう声をかけられたのは金曜日の昼休憩。学食で昼食のための席取りをしていたタイミングだった。僕のことを探していたのかは定かじゃないけれど、いつものように『コンちゃん!』と親しげな響きで呼ばれて振り向くと、たいへん機嫌のよさそうなタクトが、茶封筒を手にこちらにやってきているところだった。
何のタイトル? そう聞き返すと、タクトは楽しそうに含み笑い。茶封筒から取り出された2枚分のチケットには、『劇場版 ポニー少女と狼王子』と華やかなロゴで書かれている。──先日の壁ドンの件のきっかけとなった、いま女子の間でも有名な少女漫画。その実写版映画らしいことが見て取れる、が──
何で僕? そりゃ、女子の中ではタクトとの仲が一番いい。連れ合って出かけたこともなくはない。この微妙なニュアンスは、たとえばスポーツショップだったり、たとえば後輩のレースの応援だったりと、幼馴染たちよりはまだ距離のあるお出かけしかしたことがないことに起因している。近くないわけじゃないけど、近いとも言いきれない。友だちではあるけれど、親密にはなりきれないっていうのかな。
まあそれはともかく、だ。映画は映画でも恋愛映画を一緒に見に行くなんてさ、……ちょっとしたデートみたいじゃない?
- 106二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 00:45:42
「コンちゃんごめん、おまたせ。支度に手間取っちゃった」
「待ってないからへーき」
あれから課題をしっかり終わらせてボンドを叩き起こし朝食を取り、少し自主トレ、シャワーのあと昼食を取って、少しだけ昼寝をして、映画鑑賞途中に寝てしまわないようにミントタブレットも用意して、待ち合わせの時間よりも30分前には到着していたけれど、もちろんその旨をタクトに伝えることはない。……嘘、正確に言うと、待ってたことなんて僕の中からあさっての方向にすっ飛んでいった。だってさぁ?
「コンちゃんどう、おかしくない?」
照れくさそうに身をすくませるタクトは、僕の想定以上におしゃれをしていた。タクト、けして趣味は悪くはないんだけど、お出かけ先がお出かけ先だからいつもスポーティーだったりカジュアルだったりさ、そこそこ運動できること優先みたいな格好しか見たことがなかったから、正直なところ度肝を抜かれたと表現してもいい。
水色の提灯みたいな袖のワンピースはシンプルなつくりだったけど、シンプルだからといって手抜きだとは限らない。膝が見え隠れするくらいの丈のスカートから、すらりと健康的な足が伸びて、ストラップつきの白い靴を履いているタクトは、いつものタクトの印象からずいぶんとかけ離れていた。
「変じゃないけど、……なんか変」
「ええっ?!」
「マ子にも衣装っていうか」
「コンちゃん、ひどい!」
肩をすくめて揶揄するようなニュアンスで言ったから、本音じゃないことは伝わったはず。まあここで素直に『可愛いじゃん』とか言える間柄かっていうと、正直微妙なところだったから、僕はともすればゆるみそうになる口許に気合をいれる。
行きがけ、ボンドが『デート?』っていつもの調子で言ってきたのに対して、そんなわけないだろって返したものの、……この状況、嬉しいかどうかと言われたら、まあ、……そこは想像におまかせするとして。
「すみません、これ、ポニ少の割引ペアチケットです」
「はい、承りました。恋人割を使えば無料鑑賞ができますが、いかがなされますか?」
「私たち恋人なので! ねっ、コンちゃん!」
にこやかに、そして、がっしりと腕をホールドされてしまえば、僕にうなずく以外の選択肢なんて、存在しないよね?
- 107二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 00:46:27
まあつまりさ、タクトがまるでデートかなにかみたいにオシャレをしてきたのは、割引のためのドレスコードに必要だったから、というわけで。いつものタクトのお出かけ着でも別に問題なかったと思うけれど、なんて考えてしまうのは、糠喜びだったのを認めたくないからなのかもしれない。
ちなみに映画の内容は、可もなく不可もなく。退屈、というわけじゃないし、無駄な時間だったなんて露ほどにも思わないけど、僕の嗜好には合わなかったみたい。
それでもさ。寮への帰り道、タクトが存外楽しそうに感想を口にするのを聞いていると、まあ悪くなかったんじゃないって思ってしまうのは、なんとも不思議なものだ。
「それから、あの壁ドンのシーンも良かったよね、ポニーちゃんは可愛いし、狼王子もかっこいいし」
「映像になると漫画より臨場感が増すよね〜」
「そうそう、……って、コンちゃん、漫画読んだの?」
「女子の間で回ってるコミックス、いまビアンフェのとこにあるから」
「そうなんだ?!」
ビアンフェのところにまで回ってきていたのはただの偶然だったけど、機会があるなら予習くらいはしていくよ。完全にはじめて見るものではなかったから、ただ退屈な時間にもならなかったと言えるかも。
それにしても先日、壁ドンしてほしいと言い出してきたときにはフラットな感じだったけれど、数日でタクトのポニ少に対する印象は様変わりしてしまったんだろう。その語り口は完全に熱中しているウマのそれだ。僕のポニ少に対する印象は『面白くないわけじゃないけど、そこまで熱中できない少女漫画』だけど、タクトはとにかく楽しそうだ。
楽しそうで、嬉しそうで、……柄じゃないけど、なんだか僕まで、悪くない気持ち。で、それを自覚できないほど、僕は自分の気持ちに鈍感なわけでもない。
- 108二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 00:47:04
「でもやっぱり一番好きなシーンは、ラストシーンかなぁ。壁ドンのときに伝えられなかった気持ちを──」
「ねぇタクト」
『劇場版 ポニー少女と狼王子』のラストシーンはこうだ。
素直になれない狼王子はポニー少女に壁ドンをしかけて、なんとか自分の気持ちを伝えようとするけれど、無邪気で天然なポニー少女にボケ倒されて、大失敗に終わる。それから数日後、ポニー少女に誘われて映画を見に行くことになって、……その帰り道。いまみたいに夕日に足元の影が長くなる、夕暮れ時。楽しそうに映画の感想を語りながら先を歩くポニー少女の手を、狼王子はそっと引く。
振り返るポニー少女は、狼王子のうしろにある夕日がまぶしくて、目を細めたその瞬間、狼王子が告げるんだ。
「僕のものになってよ」──俺のものになってくれよ、ってさ。
そこでようやくポニー少女は、狼王子が自分のことを思っていてくれたことにようやく気づくわけだけど。さて。
「……」
僕が手を引いたから振り向いたタクトは、それはもう見事に硬直していた。一応まだ街なかだし、人の往来もある歩道なんだからさ、邪魔になるよね。ぱちぱちとタクトが数度まばたきをする。データ読み込み中、みたいな感じで。
タクトが飲み込むのが先か、僕が耐えきれなくなるのが先か──接戦の結果、白旗をあげたのは僕だった。
「ラストシーン、好きなんだよね?」
「えっあっ、うん、好き」
「なら良かった」
「うん……? うん、良かった。……?」
一体全体なにが良かったのかなんてツッコミはいれないでほしい。そんなの僕が一番知りたい。やっぱり僕らは、狼王子にもポニー少女になるのに、まだまだ時間がかかりそうだ。
- 109二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 00:50:21
- 110二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 03:20:49
かわいい~まだまだもどかしい2人のやりとり本当にかわいい
中等部か高等部の少年少女なコンちゃんとタクトの初々しい反応からしか得られない栄養がある… - 111二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 06:59:28
- 112二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 12:21:07
- 113二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 14:32:21
- 114二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 14:57:04
♨がへばってるのに「もっと良くできるかも」ってネチネチ続ける研究熱心なやつかもしれない……
- 115二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 21:18:11
タクト、事後顔を赤らめてコントをぽかぽか叩いて、感想を聞かれたらとてつもない小声で「その……よかった、よ?」とかいってほしいな。コントは死ぬ
- 116二次元好きの匿名さん22/08/09(火) 22:53:58
♨️が恥ずかしさで布団にくるまってるところに「だから言ったでしょ、覚悟してって」って追い討ちかける📞
「だって…!あんな気持ちいいとか聞いてないもん!」だの「まだ立てないじゃない!」だの♨️が一々📞のむっつりな部分刺激
📞が絶倫モード突入で布団ひっぺがされて第2Rスタート
そのまま2人で一緒に寝て翌朝そろって寝坊するやつ - 117二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 09:31:19
これはクソデカ寝言なんだけどコンタクト二人が生徒会副会長やってて生徒会長のアイちゃんが両方の恋愛相談に乗ってる世界線の幻覚が見えてきたんだよね
後輩二人がもどかしくラブコメしてる様を眺めるアイちゃんになりたい - 118二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 09:36:22
(はよくっつけ)ってなるやつだ……!
- 119二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 09:43:29白井元調教師と学ぶ血統学【43】コントレイル×アーモンドアイ〝夢配合〟を語る! 血統表から感じる「怖さ」の根拠とは? 元JRA調教師の白井寿昭氏を指南役に迎え、さまざまな角度から血統を考える好評連載の43回目。〝顕彰馬騒動〟も記憶に新しいアーモンドアイに対し、こちらがセレクトした種牡馬で架空の配合を実現。その可能性を白井氏が語るというtospo-keiba.jp
↑の記事見つけちゃって
「アイ先輩、この記事ってまさか……!?」
って顔面蒼白になるタクトを見て実際は何も知らないけど意味ありげに
「ふふっ、さあ、どうでしょう?」
って微笑んで焦らせてみたい
どこの話とは言わないけどタクト普〜貧でアイちゃんはデカいとかだとなおよし
- 120二次元好きの匿名さん22/08/10(水) 19:05:43
アイちゃん先輩は普段は2人を可愛がったりからかったりするけど2人がくっついたらちゃんと親身になって相談乗ってくれる
📞には「はよ抱け」とか「そんなもんホテル連れ込んで一晩過ごせばOK」みたいにぶっ飛んだアドバイスしてそうだが - 121二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 00:27:03
ウワーッ!!
意味もなくコンタクトをキッスしないと出られない部屋に閉じ込めたい!!
「キス?!」
って意識しまくる♨️、それを楽しそうに観察する📞、唇にキスされると見せかけて額にチューして「もしかして期待した?」とか煽ってくる📞!!!!!!!
できそうなのはわかってるけど、♨️からキスしたいって言わせたい📞!!! - 122二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 01:05:43
〇〇しないと出られない部屋シリーズは以前某所で見た「2週間くらい先に片方を脱出条件知らせたうえで投げ込んで、ホームシックになったころにもう片方を条件知らせずに投げ込むS〇Xしないと出られない部屋」というものがすごくいいなと思っている
心細くて不安になったころにもう一人が来てくれてやっと帰れるっていう安心感とか、この部屋から出るためだけに相手を使っていいのかという葛藤とか、あとあまりにも突拍子もない脱出条件を伝えて信じてもらえるかっていう恐怖とかそういうあれこれを同時に摂取できるのでだれかこのテーマでSS書いて(他力本願寺) - 123二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 05:24:11
抱くのはむしろご褒美レベルで嬉しいが脱出のためだけに抱くのは男としてのプライドが許さない、でも日々差し入れされるのはニラニンニク牡蠣うなぎの精力マシマシ料理と精力剤で♨️投入3日目ぐらいには理性決壊寸前の📞
結局脱出条件を無理矢理吐かせてその内容で悶々とするも毎日📞が頭抱えて悩むのを見てついに決心し部屋に最初から置いてある下着&コスプレに着替える♨️
せっかく部屋が開いたのに無視して三日三晩求め合う2人 - 124二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 06:22:33
程々にね
- 125二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 09:21:49
ウマの世界観だと何の作用でよくわからない部屋に閉じ込められるんだろうな……三女神様の仕業かしら
脱出方法がわからない部屋の場合は📞くんの方が案外と慌てるかもしれない。サバイバルな状況は♨️の方が慣れてそうだし……脱出方法まで♨️が切り開いて(うわー僕いいとこなかった)って内心凹む📞くんに「コンちゃんがいてくれたから安心したよ」って言う♨️とかね - 126二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 10:39:05
閉じ込められて「これって例の"うまぴょい(意味深)しないと出られない部屋"ってやつ?!どうしよう?!でもタクト(コンちゃん)なら…」とお互いに内心ドキドキしまくってたらめっちゃアホみたいな脱出条件の部屋でスンッとなる2人がみたい
ギャーギャー言いながら2人で条件達成して部屋を出たら同じ勘違いをしてる同期たちがいて誤解を解くためにまた大騒ぎしてくれ - 127二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 11:05:07
コンちゃんのプロポーズ大作戦決行中にトラブルが発生したので急遽都心をリレーすることになった20世代の話を考えているので、書けたらあげます
- 128二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 12:51:58
📞の方が恋愛感情の自覚早いイメージがある
- 129二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 12:56:22
♨️の無自覚好意をしっかり認識しつつもまだ時じゃないからとしらばっくれたりしつつ♨️への恋愛感情を小出しにしてくれると私性合
- 130二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 14:34:29
最初に好きだと認識するのは📞が先だけどそれを封印して友達として接する
♨️は当初はただの友達だったのが成長する度にちゃんと男だと認識しだして夏に2人でデートすると一挙手一投足にドギマギして初めて好きな事を認識
感情が爆発するのが2人の三冠達成後で菊花賞終わった後に夕暮れの淀で📞が告白だと私性合 - 131二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 21:57:40
「タクト、聞いて」
「僕、タクトの事が好き、強くて、可憐なタクトが好き」
「………言うのが遅い」
「わたしもコントの事が好き、強くて、時々ナイーブで、でもちゃんと私の事見てくれるコントがすき」
そのままキスするSS書こうと思ったけど無理だった - 132二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 00:01:25
あにまん復旧確認!
最近落ちるの多いすね……
いまちょっとSS書いてるからそれまでは落ちないでくれ…… - 133二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 07:22:40
- 134二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 07:34:26
同期で海に行った時に水着姿のタクトをコントの前に連れ出し、「コント君!ほら、感想は?!」「コント君ちゃんとタクトに可愛いって言ってる?」と囃し立てる女子メンバー
コントは「ははっ…うんうん、すごくカワイイよ、タクト」と返して女子組は満足げ
みんなが泳ぎに離れたのを確認してからタクトの耳元で「昨日散々可愛いって言ったつもりだったけど。足りなかった?」と小声で言うコント
海にいる連中は「あいつまたタクトに蹴られてる」「何か余計なこと言ったんでしょ」と呆れ顔 - 135二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 18:06:32
いいですわねそういうの……えっちですわね……
これは私の性癖なのですが服を贈る意味をよくわかってないタクトちゃんにコンちゃんが服を贈るのとかいいと思いますわ……後から知って悶えてほしいですわね……
- 136二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 18:19:16
うだるような暑さが多少和らいだ夕暮れ時。駅前は浴衣姿の人々が続々と改札の中へと入っていく。
せっかくの夏休み、花火大会という事で近くの店で売っていた浴衣に身を包んだデアリングタクトは駅前のベンチに座って改札口を眺めていた。
「サウンドキアラ先輩に任せてよかったかな、これなら多分大丈夫」
浴衣というものに慣れていない彼女は、京都出身で和服についてはプロと言ってもいいサウンドキアラに着付けを依頼したのであった。
自分の好きな色の水色を基調に、朝顔の柄の入った爽やかな浴衣は一緒に買いに行った同期からも褒められた自慢の一着。
胸の辺りもさほど苦しくなく、帯も適度に締められ、何よりリボンで結い上げた髪が通行人の目を引く。
ぼけっと流れゆく人々を眺めていると、背後から声がかかった。
「お待たせタクト」
待ち人来たる。その声に振り向くと、そこに居たのは紺色の浴衣に身を包んだコントレイルだった。
紺色一色で所々に鳥の飛んでいる柄が散らされた柄は、コントの黒い髪と合わさって夜空を思わせる落ち着いた色合いだ。
普段見られない下駄姿もさることながら、少し広めに開けた胸元が眩しく感じる。手提げの巾着袋には飛行機と飛行機雲を意識した柄。
「遅い、と言いたいけど時間ぴったりだから大丈夫」
「ちょっとコンビニ寄ってから来たからね、じゃあ行きますか」
浴衣姿についてのコメントを聞こうと思ったのだが、ついついコントの浴衣に見惚れてしまったせいでタイミングを逃してしまった。
自分からも言い出さない鈍いコントに多少不満を抱きつつ、2人は改札を通って行った。 - 137二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 18:21:13
案の定、電車は大混雑であった。
朝の時間の満員電車ほどでは無いが窮屈な体勢で乗り込む2人。デアリングタクトはドア横の壁を背に、それをコントレイルがガード。
手すりを掴んでいるせいで簡易的な壁ドン体勢となる。
「……はぁ、こんなに混んでるなんてね」
「全くだよ、3駅ぐらいなら自分達で走ったほうが良かったかも」
次の駅に到着するとさらに人が乗ってきた。車内は身動きが取れないレベルだ。
やれやれと言った表情のコントはタクトが押し潰されないように手すりを持った腕に力を込める。
腕に浮き出た血管や力の入った二の腕の筋肉がタクトの目の前で耐えている。
恥ずかしさもあるがこの腕に守られている感覚は何物にも変え難い心地よさだ。
少し赤くなったタクトは、表情を見られないように俯いたまま。
突然電車が揺れる。停車する直前、ポイントを通過したせいだろう。
それに揺られて複数の乗客が一気にコントに押し寄せた。急な負荷にコントが手すりを離してしまう。
「うわっ!」
なんとか押し潰されるような自体は避けられたが、2人の顔同士は吐息が触れ合う距離まで接近する。
「…ごめんタクト、ちょっとバランス崩しただけ」
「……うん、私は平気だから」
バッと顔を離した2人は、下車駅まで一言も交わさずにいた。 - 138二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 18:25:03
大混雑の電車から開放され、会場最寄駅の改札を抜けると既に周囲はお祭りモードであった。
色とりどりの出店が軒を連ねる。老若男女が行き交うメインストリートは歩行者天国となっていた。
「うわぁ…人でいっぱいだ…こんなの僕の地元のお祭りでも見たこと無いよ」
「コントでも無いなら私もないわよ、そもそもお祭りなんて地元の神社でやる小さいのだけだったし」
コントが手を握ってきた。一瞬ドキッとするが、その握り方は至って普通であった。
はぐれない様にしてくれているのであろう。でも、少しだけ違う握り方を想像してしまったタクト。
2人並んで出店をめぐりながら、歩行者天国を歩く。途中で買ったお面を2人で頭に載せ、ウマ耳を隠すようにする。
それでもやはり、スポーツニュースで何度も流れた顔だけあって、ひっきりなしに声を掛けられる。
「あの、コントレイルさんですよね!?」「この前のレース見てました!握手してください!」
やたら女性に声を掛けられるコント。イライラが溜まってゆく。今日は私とのデートなんでしょ、もっと私の事見てよ、と思いながら。
「ありがとうございます、また見てくださいね」「はい、次のWDTがんばりますんで応援してください」
ファンに囲まれてヘラヘラしていたコントがようやく開放されてこっちへと向かってくる。
するとタクトにも男性グループが声を掛けてきた。
「デアリングタクトさんッスよね!?いつもテレビで見てます!」「うわ、すっげえ可愛いじゃん!」
こちらもファンの人だろう、人気者はコントだけじゃなかったと反省。
「はい、ありがとうございます」「秋のレース楽しみにしててください」
当り障りのないように返答していく。すると急に後ろから手を引かれた。
「すいません、彼女は一応プライベートなんでそろそろ開放してやってください」
コントが手を引いて男性集団から引き剥がした。そのまま人混みに紛れるように歩を進める。
「ちょっと、まだ途中だったでしょ」
「タクトはもう少し警戒して?男集団の前にタクト一人は無防備すぎ」
確かに男性集団に囲まれていたのは確かだ。しかし私はウマ娘、なにかあったら走って逃げれば追いつく事はほぼ不可能。
でもこうして、コントに手を引かれる嫌ではない。ちゃんと私の事見てくれてるんだ。
そんな思いを浮かべながら見たコントレイルの表情は、どことなく赤くなっているような気がした。 - 139二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 18:26:19
とりあえずここまでです
この後のコントsideはまた書き溜めてから投下するので今しばらくお待ち下さい… - 140二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 18:33:31
ありがとう…ありがとう…
- 141二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 19:01:45
ウワーッ純愛!!!!!!
ありがとう…………ありがとう………… - 142二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 19:08:53
わたしは しあわせだ……
- 143二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 19:54:31
ニヤニヤしちゃった……
- 144二次元好きの匿名さん22/08/12(金) 20:00:25
自分のファンにはヘラヘラするのにタクトのことはファンから取り上げちゃうコントも中々勝手ですなあ
タクトの焼き餅も受けちゃえばいいよ - 14513922/08/13(土) 00:33:27
結構な箇所で添削必要なままのものを投下してしまってもう一度書き直したいレベル…
ともあれ見て下さってありがとうございます
一応この後の📞sideの花火→帰り道+αを書いてますが、書いて欲しいシチュエーションとかありましたら書いてくださると参考にさせて頂きます
おそらく投下できるのは日曜日の夜あたりになりそうです - 146二次元好きの匿名さん22/08/13(土) 00:45:13
海、夏祭りときたら自分も何か書きたくなってきたな……!
- 147二次元好きの匿名さん22/08/13(土) 09:00:38
保守
- 148二次元好きの匿名さん22/08/13(土) 10:32:49
これとにてるんだけど、♨️がリボンないと📞が条件反射的に思い出してムラっとしちゃうのもあるかもしれない
- 1497022/08/13(土) 11:19:17
おはようございます。今週も書かせていただきます
>>76から
一体どうしたんだろう。さっきまではもっと穏やかな空気の中にいられたのに。僕にはまだ余罪があったのか?そんなはずは……えーと、逆にどれがバレたか気にした方がいいかもしれないが……
でも今このタイミングで僕個人がお叱りを受けるような事態があるとはちょっと思えない。となれば今しがたのやり取りに何かまずい点があったのだろうか?
何か教えてくれないかとタクトの顔を見るが、頭を振って目を合わせてくれなかった。髪とリボンの向こうに少しだけ見える顔は、さっきよりも赤い。強いて言うなら、苦しそうだった。今しがた砕けんばかりに握られた手に籠る力も弱弱しくなっており何も伝わらない
ほんの1分前タクトに許してもらったときに味わった安堵感は既に遠く去り、襲い掛かってくるのは再びの恐怖である。心臓が嫌な動きをして血液が逆流しそうな錯覚を覚える。またこの娘を泣かせてしまったのか、僕のせいで?
さっきはどうやって慰めたんだっけ?いや、さっきは何が理由で悲しんでいるのかはっきりしていた。今回は原因から探り当てないといけない。どうしよう。どうしよう
「……手、放して。お願い」――――どうしよう?僕はどうすればいい?
- 1507022/08/13(土) 11:24:02
コントレイルはお調子者の人気者、それが大多数の認識であり、彼自身もその評価に特に異論はなかった
いやまあ人気者を自覚するというのは少々嫌味な姿勢かもしれないが、とぼけるのは逆に不誠実と言っていいほどにはファンがいた
なぜならレースで強いから。彼がレースに臨めば否応なしに多数の耳目が集まり、勝利すれば大いに歓声が上がり……敗北すればそれ以上のため息が聞こえた
しかし彼はもともとさほど期待されてはいなかった。誰かが自分にそう言ったわけではないけれど、走るのが好きだからと入会したクラブでも特別扱いなどされていない自覚があった
しかも右足首に爆弾を抱えてしまい、みんなが本格的な負荷をかけトレーニングを始めるのも離れて見ていた。慎重に始めようか、と練習メニューに加わったのは何か月も遅れてのことだ
それからである。周りの大人たちが自分を見る目が変わったのは
以降コントレイルは人前で走る度に話題を起こし、レースに出てからその勢いは加速した。話したこともない先輩に並走を頼まれ、会ったこともない後輩から「ベンチプレスの記録更新おめでとうございます!」などと言われたものだ
聞けばデアリングタクトにも似たような経験があったらしく、二人で苦笑した
遠くの人、新しく近くにきた人ほど今までにないような言葉を投げかけてくるようだった。勝つたび賞賛と羨望と嫉妬を浴び、どこかに付け入るスキは無いかと穴が開くほど研究された
…彼は父親のことをよく知らない。物心ついたときには「いなくなって」おり、周囲の人たちの方が父のことをよく知っていた。父の話は語る人によって実に様々に印象が変わり、本当に同一人物なのかと疑うほどである。それだけ彼も多数の感情を向けられていたのだろう
幸いコントレイルには友人が多数おり、加えて生来の愛嬌も兼ね備えていたので、家庭環境があれこれといった話題でよく言われる対人能力の不安とは無縁で誰とでも仲良くなれた
しかし同時期に走っている以上、レースに勝利するということは他人の勝ちを奪うということである。友人たちの中に彼の心境を真に理解できるものはいない、デアリングタクトでようやく半分といったところか。これは逆に、彼も友人たちの気持ちを半分も理解できないという意味であるが…
……お父さんと話してみたかった。偏見を抱かず自分を理解してくれるとしたら、父しかいないかもしれないから
- 1517022/08/13(土) 11:24:55
コントレイルは優しい人格に育った。正確には特長である勘の良さを悪用しなかった
相手の気持ちを考え、インタビューの受け答えや友人たちの前での立ち回りにも活かせる特技といえた
溌溂と笑い、茶目っ気のある一面を見せ、苦しい展開があったら正直に言う。悔しさや不安はにじませるぐらいがいい。あと謙遜のし過ぎは却って逆効果――完璧とはいかなくとも、概ね敵よりも味方の方が増やせているぐらいのことはできた
オフの時はヘラヘラするぐらいがちょうどよく、迫力は感じさせない。あと女好きというキャラクターは受けがいい。
勉強もできたしレースでも個性派とはいいがたいことで優等生という印象があるらしく、女の子好きというのがギャップでいい味を出しているようだった。
実際可愛い子は好きである。というかモテた。バッチバチにモテたので無関心でもいられず、いい気分も味わったし別に被害者ぶるつもりもない。
でもずっと気を遣っていた。みんなコントレイルに各々イメージを向けるので、無理のない範囲で応えてあげなければならなかった。「期待外れ」があれば……一日で噂になる
わがままは言いづらかった。本当に気を許した、ごくわずかな親友を除いて。わがままは言えなかった
「…………やだ」
コントレイルは、デアリングタクトの願いを聞き入れない。手を放したくないとそう告げた。
「…………やだ」
僕はどうするべきか?問いかけても「答え」など出てこない。だが、何を「したくないのか」ならば決められた
タクトは驚いた様子で顔をこっちに向けるが、目線は一瞬交差したかと思えばまた逸らされる。僕は逸らさない
「放してよ」
「やだ」
こうなると二人とも頑固だ。しばし沈黙が流れる。お互いがお互いの動きに集中し出したのが伝わる——――レースの仕掛け所を伺うように
「変なこと言ってごめんね、もう大丈夫だから。放して」タクトの声はなんか迫力が増した代わりに抑揚が感じられなくなった
「嫌なら振りほどけばいいじゃん」僕もクールな声を演じてみたけど、言ってから気づく。これで振りほどかれたらショックだな…
「嫌、じゃ、無いけど」違うらしい。よ、よかった
キーンコーンカーンコーン
- 1527022/08/13(土) 11:25:23
タクトの返事を聞いた瞬間、ほんの少し気が緩んでしまった。しかもちょうど、チャイムの音が鳴り響く
今何時だ? って駄目だ。集中を欠いたら————
タクトの重心が沈み方向転換が始まる。慌てて手に力を入れ直すが指がかからない…っ
ほんの僅かに中指の先に感触を残してタクトは走り始めてしまった。相変わらず素晴らしい加速だ。でも嘗めるなよ、ダッシュ力なら僕だって!!
頭を切り替えて追いかける。玄関に行くならどこかで曲がって階段を降りなければならない。必ずそこで減速する。
だから直線の廊下のうちに差をつけたいだろうからタクトは序盤から飛ばしててそのうち息が————いや待った、かくれんぼにされたら探す側が圧倒的に不利だ。外靴なんてどうせ探せば予備がある。階段周辺は死角が多いから見失うかもしれない。
じゃあやっぱり引き離されたらマズいじゃないかっ…!
一瞬の判断ミスを後悔するが、逆に言えばロスは一瞬に留めて考え続ける。何かないか、今のうちに距離を詰めないといけないのに走りづらい。カバンの所為だクソッ…ってアレ?
「タクト!カバンっ忘れてる!!」
なんじゃそりゃ。それで引き留めるつもりなのか???我ながらあんまりにも間抜けな叫びだったがタクトにとっても予想外だったようで、本当に数歩だけ足の動きが変わった。
おっとっと。軽く躓きかけて修正するときの足さばきだ。スピードダウンは最小限だが、これもまたまごうことなき一瞬分のロスである。僕はカバンを投げ捨ててもう一つ加速した。
タクトが鋭いコーナリングで階段に向かうのが見えた。左回りなら僕も得意だ、見失うなよ……
僕が階段前のスペースにたどり着いたとき、タクトの髪とリボンの端っこが下っていくのがギリギリ見えた。よかったまだ食らいつけて——————なんだあれは
何かが放物線を描き、階段の最上段に落下しようとしている。何か?それは…
片足分の上履きだった。それも十中八九タクトの。
- 1537022/08/13(土) 11:25:48
「!!!」
最早全部どうでもいい。減速する。急ブレーキすると危ないので歩幅を狭めて何度も床をパタパタと蹴る。手すりに掴まる力も借りて最上段にとどまった
これでいい、もしタクトが転倒していたら止まらないと背中を踏んづけてしまうかもしれない。まずは状況把握だ。下を見た
タクトは踊り場の位置にいた。僕と同じように手すりの助けを借りて停止したようで、折り返した階段にとっての一番上の段に座り込んでいる。右足が靴下だけになっているな
「タクト」目が合った。僕は2、3回の粗い呼吸をした後唾を飲み込んで聞いた。「怪我してない?」向こうも息切れだ。「してないと、」ハァ「思うよ」
……よ、よかったぁ……
チャイムでもなんでも鳴ればいい。今が何時かなど知ったことか。ヘナヘナと僕もへたり込む。ここからもう一度追いかけっこが始まったらもう無理だと思った
あーあ。あーあーあーあ。何やってるんだろう私は。廊下でのコントの一言で右足の着地が乱れたのが原因だろうか。上履きに変な力がかかってしまった
加えて左カーブである、外側の足の方が大きく蹴らないといけないし遠心力も大きい。……ため息を一つ。というかなんの反省会だ…
大した距離は走っていないが焦ったせいで精神的な疲労が多い。ただし足は痛くない。どこもぶつけてない。腰を下ろしているのも転んだんじゃなく自分でしゃがんだからだ。ただしもう逃げる意志は霧散していた
鼻をすする。また泣いちゃってたな、せっかくコントが拭いてくれたのに。走ったせいで髪も流されてしまった。せっかくコントが…いや、やめよう
立ち上がろうとしたら背後に気配があった。「落鉄注意だね」「レースなら落鉄しても走るよ」「レースじゃあ階段は走らない。…本当にどこも痛くないんだね?」
軽いようで有無を言わせぬコントの声。彼は私の靴を持って踊り場まで下りてきていた
- 1547022/08/13(土) 11:26:55
コントは私の右を通り過ぎて数段降りたら、私の靴を持ったまま右前方の足元に屈みこんだ。反射的にスカートの裾を気にする。いや、レギンスは履いてるけども…っていうかこれ…うそぉ
彼は完全に跪く格好で、私の左足が置かれているのと同じ段の上に、私の上履きを広げた両手で支えていた。私の顔を見て「はい」だそうだ。さも当然のようにしよってからに…
自分の靴なのにおっかなびっくりといった慎重さで私が爪先を突っ込むと、コントは右手をずらしてベロが巻き込まれないよう引っ張って補助してくれた。爪先が靴の先端まで収まるとコントの左手がかかとを靴底側から押してきたので私も押し返す
ぐっ、と。うん、とりあえずこれで―ゾリッ――っひう?
油断した…コントは右手の人差し指を靴の隙間に入れてきたのだ。土踏まずの横あたりに第2関節までが丸々埋まる。コントの指の爪の感触がソックス越しでも伝わってきた。そのままコントの指はかかとに向かってぞぞぞぞと進んでいく。私の靴と足の密着をよくする為に。
私の両耳は大変に血行が良くなり、耳が先端からぶるぶると震えたと思ったらその震えは後頭部にまで広がった。コントの指は私のかかとで左右の手をバトンタッチして、今度は足の外側の甲を左手の第2関節がごりごりと移動し始めた。彼の爪は足の外縁を撫でて小指の付け根にコツンと振れたら靴の内壁を外に膨らませるようにしながらそっと引き抜かれていった
あくまで靴に足を差し込んだときのズレを修正し、ソックスに寄ってしまった小さな皺を伸ばして、靴をかぶせ直しただけだ。それだけだが、私の後頭部のゾワゾワはうなじから肩甲骨の間を伝って背骨沿いを貫通し、尻尾の根本でようやく止まったと思えば、コントの指が靴の中から引き抜かれる瞬間に尻尾の先端に向けて消えていった
コントの指が最後に通過した箇所は、なんだか突然熱が奪われたかのようで、とても冷たいような気がした
遠くから声が聞こえる。足首をゆっくり回してみて、だそうだ。言われた通りゆっくり伸ばして、曲げて、左右に振った。多分痛くない…なぜかちょっと痺れてるけど
私の足元にいる男の子は一安心といった面持ちで私の足から視線を切り、こちらを見上げたら真剣な目に変わって手を伸ばしてきた。もう何なんですか!?次から次へと…
- 1557022/08/13(土) 11:29:05
私はもうギリギリ反射的に右手を上げたが、コントの胸元に手を当てるのがやっとで彼の左手が顔の横に滑り込むのを止められもしない。両目はギュッと閉じてしまった。しょうがないじゃないか、びっくりしたんだから!
「ティッシュ持ってる?」…………はい?「首を動かさないで。鼻血が出てる」
左手の指を鼻の下に当て、半目を開けた。ああ本当だ。私はポケットを探った
本当に顔はぶつけていない、急に走ったのとびっくりしちゃったことと急停止が合わさって興奮したのが原因だと思う、そう言ってタクトは鼻をつまみ俯いてしまった
顔を上げると鼻血が喉に回ってしまう恐れがあるし、外傷でないなら骨折も疑う必要はないので小鼻を抑えて自然に血が止まるのを待つしかない。ので処置としては正しい
背中をさすろうとしたらやんわり…よりちょっとキツめに断られてしまったので僕はただタクトが座っているのと同じ段に座った。若干手持ち無沙汰だ、まあ5分もすれば血は止まるだろう
タクトが落ち着いたら…どうしようかな。手を放したくないって、結構はっきり言ったつもりだったけど。そして嫌じゃないとも聞こえたけど。割とあっさり逃げられてしまったし半ば本能的に追いかけてしまった
こう言ってはなんだけど僕がなかなか追いつけないあたりやっぱりタクトは速い。言い換えればタクトも本気で走ったんだと思う
そこまで手を放してほしかったなら……僕はもう立ち去るべきかもしれない。ただ曲がりなりにも追いかけっこをして追いついたのだから、せめて理由を聞きたいとは思った
タクトは話してくれるだろうか?
- 1567022/08/13(土) 11:32:41
ここまでです。平日はほとんど書き進められず遅筆が過ぎますが連休に入ったので頑張ります
- 157二次元好きの匿名さん22/08/13(土) 15:52:10
あっ好きぃ…
📞くん紳士なのにすんごい積極的にボディタッチしちゃってる… - 158二次元好きの匿名さん22/08/13(土) 20:56:33
現実世界でも前世紀ぐらいのヨーロッパとか昔の中華系の価値観では「素足を見せる」っていうのが非常にセクシーな意味だったりするけどウマの世界はどうかな?国によって違うかも?
- 159二次元好きの匿名さん22/08/13(土) 23:58:05
尻尾の付け根とか……って思ったけど普通に見えるかなぁ
- 160二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 00:00:24
異性の尻尾の毛並みを整えるとか?
- 161二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 03:33:59
いつも考え事してる📞がちょっと面白い
ヒト型だったら咥えるのはなかなかハードル高いけど暇になったら♨️の手を無意識でいじいじしてたりしないかな
馬好王国で出た📞情報
・慎重
・いつも考え事してる
・勉強好き
・種牡馬になるためにやって来たかのような貫禄がある
・退屈すると咥えてるもので遊び始めるのは相変わらず — Tofu-まめどうふ (Mamedofu0401) 2022年08月14日 - 162二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 06:14:24
- 163二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 09:13:06
ふとしたことで言い合いになったとき、♨️が📞の口に飴ちゃんつっこんだらスンッて黙るとかか……(舐め終わったら言い合い再開)
- 164二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 11:31:03
コンちゃんがウマ娘になった世界線だと、暇なときにタクトの髪の毛を勝手に三つ編みにしそ〜〜〜〜
コンちゃん最初は苦戦するけどちょっとしたらめちゃくちゃ上手くなってほしいし、タクトの髪質についてタクトよりも詳しくなっているといい - 165二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 13:24:09
キス魔📞概念…?
- 166二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 20:17:05
ウマドルのイメージビデオとかで「靴下を脱ぐシーン」がやたら煽情的に描かれる
- 167二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 21:33:34
太陽が地平線へと落ち、東の空が青から藍色へと変わっていく。
花火大会まではまだ1時間ほどあるし、昼から何も食べていないので屋台のたこ焼きやイカ焼きの香りが鼻を突く。
「タクト、何か食べる?」
「うーん…たこ焼きと、あとは甘いものかな」
肩を並べて屋台を覗くと、店主が自分達に気づいて増量サービスをしてくれた。
こういう時に知名度があるのは有難いと思う反面、それを利用しているような感じがして、あまり嬉しくはない。
注文して焼き上がったたこ焼きを受け取るまでの僅かな時間でも、5秒おきに隣を見やる。
タクトはキョロキョロとたこ焼きが焼ける様子を興味深そうに見ていた。
コントの右手に2人の巾着袋と2人分のたこ焼き、タクトの左手にはいつの間にか買っていたクレープが下がっていた。空いた2人の手は繋いだまま。
既に人混みからは離れているが、その手をコントは離すことはなかった。
正直、自分でも何故そこまでしているのか理解しきれないが、先程タクトが男性に囲まれている様子に少しだけ不快感を覚えたのは確かだ。
男性ファンに囲まれてはいたが全員人の良さそうなファンで、すぐ近くには沿道警備の警察官もいた。
しかしコントレイルはそれを良しとせず、デアリングタクトの手を引いて半分無理矢理にファンサービスを中断させたのだった。
-タクトは可愛いし、今日みたいに浴衣姿だと声かけられまくるのは仕方ない、でも何だか気に入らない-
そんな個人的なやきもちだけで、繋いだ手を離さずにいるのであれば、しょうもない独占欲だ。 - 168二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 21:36:34
「ふぅ、ここまで来れば少し落ち着いてるかな」
「まあこの辺りは花火見えないし、そんなに人も多くないかな」
会場となっている河川敷とその土手から一段下がった商店街をブラブラと歩く。
花火を見るには少し建物が多く、この辺りはそこまで人が歩いていない。小さめの公園があったので、そこのベンチで一休みする。
「じゃあたこ焼き食べよっか」
タクトがベンチに置かれたパックを開け、大ぶりのたこ焼きを口に入れる。
大きくて中がトロトロのたこ焼きは、食べるのに少し苦労するものだ。
浴衣に溢してしまわないよう、上を向いたりたこ焼きを回転させたりと試行錯誤しながら食べている姿は、どことなく普段のレースで見せる姿とのギャップで面白い。
「タクト、口元ソースまみれだよ」
そう言って、巾着袋からウェットティッシュを取り出して渡そうとした。
しかしタクトの口の中はたこ焼きで一杯。左手にはたこ焼きパック、右手には爪楊枝と食べかけのたこ焼き。モゴモゴとさせながら困り眉で訴えてくる。
「ひょっほまっへ…ホンホはふいへ(ちょっと待って…コントが拭いて)」
思わぬ言葉にドキリとする。取り出したウェットティッシュでタクトの口元を拭ってあげる。
浴衣に合わせたのか薄い色のルージュを引いた唇に目が惹かれた。
「んっ…ありがと、たこ焼きって食べるの結構難しいわよね」
「ま、まあこれは1個がデカいからね」
そう言いながら、2人でたこ焼きとクレープを突いていると、辺りはすでに夜の帳が下りていた。 - 169二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 21:39:03
花火大会が始まる15分前、2人は会場の河川敷へと戻ってきた。
既に場所取りをしている人でごった返しているが、なんとか端のエリアにあるスペースを確保。小さなレジャーシートを敷いて2人で座る。
「始まる前にちょっとお手洗い行ってくるから荷物よろしく」
「分かった、迷子にならないでよ?」
「子供じゃないんだから大丈夫!」
そう言って、タクトは手荷物を残して近くの仮設トイレへと向かっていった。
その後ろ姿で、コントレイルは大事な事をまだ言っていなかった事に気づく。
今日のタクトは浴衣だ。しかもおそらく着付けもちゃんとしている。足元は白い鼻緒に赤い花の飾りが付いた下駄。
普段の快活とした彼女と違い、今日は少し奥ゆかしい感じだ。水色の浴衣に映えるよう、髪はアップにして和風のヘアバンドで纏めていた。
普段は見られないうなじを出した姿をしっかり目に焼き付けておくべきだろうかと考える。
そうしていると、近くに10名ほどの女子グループが新たにやってきた。
「すいません、この隣って空いてますか?」
隣は確かに空いているが、その横にはシートがすでに貼られている。おそらく全員座るのは難しいだろう。
「いや、そこのシートは多分誰か場所取ってると思いますよ」
そう返すと、グループのうちの1人がこちらに気づいた。
「あっ、コントレイルさんですよね!?やっぱり!さっき知り合いからここに来てるの見たって連絡あったんでもしかしたらって思ってたんです!」
あれよあれよと言う間に何名かに握手を求められ、ツーショットでの写真までお願いされる。 - 170二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 21:42:10
ついさっき、タクトが囲まれていたのと同じ状況に自分もなってしまったが、だからと言って無碍にすることも出来ない。ファンに対しての接し方一つで評価が変わるのが競走ウマの世界だ。
向こうもそこまで長く話し込むことはなく、グループの輪へと戻り別の場所を探しに去って行った。
やっぱり人が多い所は顔が知られている自分にはあまり来るべきではないのかなと思っていると、背中に何かが当たった。
「………さっきヘラヘラしてた」
タクトの声だ。いつの間にか帰ってきていたらしい。タクトは座り込んだ自分の背中に巾着袋を当ててきたのだ。
おそらくさっきの女性グループに挨拶していた時の事を言っているのだろう。慌てて言い訳をしておく。
「いやさっきのは空いてるスペース無いか聞かれてそのまま囲まれて…」
「私にはプライベートだからって言ってすぐに辞めさせたくせに」
あからさまに不満げだ。確かに先程のタクトの時と状況は同じだが、こっちは男だ。女子が囲まれるよりははるかに安全だろうと思う。
無言で自分の隣に腰を下ろしたタクトは、狭いレジャーシートの中でさらに自分へと寄ってきた。
「……狭いんだからもっと寄って」
既に自分はシートのギリギリまで寄っているのにこの言い方。つまりはもっと近くでいて欲しいという事だろうか。
肩同士が触れ合う距離まで詰める。すると、遠くからドン!と始まりを告げる打上げ音が響いてきた。 - 171二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 21:45:06
花火とは華やかさと儚さを兼ね備えたものだ、と思う。
明るく開いたと思えば、数秒後には燃え尽きて消える。その短い一瞬に人々は魅せられる。
ならば、競走ウマである自分達もなのか。現役期間は僅か数年だが、その数年で数多の人を惹きつける。
そんな思いを抱きながら、開いては消えていく花火を見つめる。
時折、隣のタクトが声を上げていた。音の迫力に圧倒されているのだろうか。
確かにここは打ち上げ場所からも近い。音の迫力と夜空いっぱいに広がる大輪の花は、見るものを圧倒させる力を持つ。
一際大きな打上げ音が鳴ると、タクトが「来た!」とはしゃぐ。
隣を見遣る。その瞬間、花火に照らされたタクトの横顔が見え、思わず息を呑んだ。
照らされた水色の瞳がキラキラと揺れ、後ろでポニーテールのように纏めた髪が灯りを反射する。
遅れてきた炸裂音にビクッとなると、髪を纏めたヘアバンドに付いた和風の飾りが揺らぐ。
艶やかな唇が「すごい!綺麗ね!」と驚嘆の言葉を呟く。
一瞬の輝きに照らされたタクトの表情は、華やかで儚い花火のように輝いていた。
空で花火が炸裂するたびに煌めくタクトの横顔。
「うん、綺麗だね」
コントレイルはその姿にただ見惚れているだけしか出来なかった。 - 172二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:22:21
「うーんっ…上ばっか見てたから首と肩が疲れた」
背伸びをしながら会場を後にするタクト。手を繋いだままで駅までの通りを歩く。
さっきの花火の灯りに照らされたタクトの余韻で、まだボーっとする。あんな光景を見る事が出来るなんて。
しかし来る時に混雑していた最寄駅は、帰りになればさらに人が殺到し入場規制が掛かるほどの人混みであった。
「うへぇ…これじゃあいつ乗れるか分からないなぁ…」
「こんだけ混んでると河川敷歩いて帰った方がマシかもね」
まだまだ人が押し寄せてくる道を引き返す。人の流れと反対に進むせいで歩き辛い。
すると前から余所見をしていたグループが突っ込んでくる。2人にぶつかり、手が離れる。
「きゃっ!」
「タクト!」
ぶつかってきたグループが振り向いて頭を下げてきたが、今はそれよりもタクトの事が心配だ。
人を掻き分けて道路の端へと進むと、そこにはしゃがみ込んだタクトがいた。
「大丈夫!?ケガは!?」
「うん、怪我はしてない…でも…」
タクトの浴衣に目を移す。グループ客が持っていた飲み物だろうか、何かが浴衣の袖にべったりと付いていた。 - 173二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:24:44
「ごめんねコント、こんな事にまで付き合わせて」
二人は人が減ってがらんどうの河川敷に戻ってきた。
袖にはべっとりと汚れが付いてしまっている。この格好で電車に乗るのは難しい。
川沿いの遊歩道のベンチで、気休め程度に汚れた箇所をウェットティッシュで拭う。
「いや、ちゃんと僕も前見てたら避けられたし…」
「………」
気まずい。せっかく用意したであろう、水色の浴衣は今日はもう着られなさそうだ。
しょんぼりと俯くタクト。その目は少しだけ潤んでいるようにも見え、胸が締め付けられる。
最初に言えていなかった浴衣の感想を言うべきか。それがせめてもの慰めになるのなら。
「言ってなかったけどさ、タクトのその浴衣…すごく似合ってるからまた来年も着てほしい…ってのはワガママかな」
タクトが顔を上げた。きょとんとした表情はたちまち赤く染まり、またしても俯く。
「ま、まあそれならいいかな…私もコントにその浴衣来年も着てほしいし」
自分の浴衣は別にどうでもいい、タクトの浴衣さえまた見られるならばそれだけで十分だ。
ある程度汚れを拭き取り、ベンチから立ち上がる。
「じゃあ歩いて帰りますか…タクト、今度はちゃんと離れないでね」
そう言ってタクトの手を取ると、今度こそ離さないようにしっかりと指を絡めて繋ぎ直した。 - 174二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:28:40
2人で手を繋いで遊歩道を歩く。会話はしたり、しなかったり。
でもこうして肩を並べて歩くだけで幸せになるのは、好きな人といるからであろうか。
しばらく歩いていると、遊歩道が途切れて河川敷へと降りる道へ変わった。
整備されていて一直線のこの道は、普段からトレーニングでよく走っている道だ。しかし休日のこの時間に走る人は少ない。
「ねえタクト、走らない?」
「えっ?走るって言っても浴衣と下駄じゃない」
「それでもいいからさ、軽く走ろうよ」
「はぁ…まあいいわ、やるからには真剣勝負ね?」
タクトの目が変わる。やはりウマ娘だけあって走りには拘りがあるようだ。
2人で落ちていた木の枝でスタートラインを砂利道に引く。2人分の巾着袋を自分の肩にしっかりと担ぐ。
そのまま軽く前傾姿勢に。タクトも同じ姿勢。
「行くよ…よーい…」
「「ドン!」」
走り出した。とは言っても2人は浴衣に下駄だ。カラカラと音を立てながらの小走り。
少しだけ自分がリードする。するとタクトが急に止まる。
スピードを落としながら振り向くと、しゃがんで何かをしていた。
何かを落としたのか、それとも。そんな心配はすぐに吹き飛んだ。
タクトが下駄を手に持っている。つまり裸足だ。これなら足元の不安定さからは解放される。
ニヤリと笑うタクト。裸足になったタクトがみるみるうちに近づいてくる。ならばこちらも正々堂々同じ条件で走らせてもらおう。
下駄を脱いで両手に持ち、裸足で走る。並んで風を切るだけで、何故こんなにも清々しいのだろうか。
ゴール地点の川を跨ぐ橋の下まで来ると、2人は笑っていた。 - 175二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:32:44
「ハァ…ハァ…私の勝ちね」
「ハァ…いや、僕の方が早かった…」
2人はほとんど同時にゴールした。少しだけ自分の方が早かった、かどうかは誰も見ていない。
近くの公園の公衆トイレで足を洗い、再び下駄を履き直す。タクトの自宅のアパートはすぐ近くだ。
走ったせいで少し着崩れた浴衣からタクトの生脚が見える。人通りの少ない公園で良かった。これはあまりにも刺激的だ。
しっかりと指を絡めながら手を繋いでタクトの自宅へと近づいていく。
「今日はタクトと一緒にいられてよかったよ、また来年も来よう」
「うん、私もまた来年コントと一緒に来たい、あっでも他のお祭りでもいいかも」
2人で来年も、その次も思い出を作っていけばいい。トゥインクルシリーズ時代、辛い時も苦しい時も乗り越えたタクトにはその権利があるだろう。
タクトのアパート前に到着した。専用のセキュリティゲートに手のひらをかざすと自動ドアが開く。
一応は有名人であるドリームリーグに参戦するウマとあって、専用のアパートに住んでいる2人。
しかしそれぞれ別のアパート住まいであり、徒歩で数分の距離だ。
タクトの部屋の前まで着いて行く。鍵を開けると、タクトが振り向いた。
「今日はありがと、コント。……じゃあまたね」
別れの挨拶。これまでデートの度に繰り返してきた事だが、今日はどことなくぎこちなく感じる。
別に永遠の別れでもないのに、なぜか心が苦しくなる。
「タクト、あのさ……」
ここは自分の欲望に身を任せるべきか、大人しく帰るべきか。究極の二者択一を頭の中で巡らせる。
「…喉乾いてるならウチ上がる?」
欲望の濁流を決壊させたのはタクトの一言であった。 - 176二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:36:16
次の瞬間、コントはタクトを抱きしめていた。
「ひゃっ!ちょっ……んっ!」
声を出すタクトを自らの唇で塞ぐ。啄むような、それでいて濃厚なキス。
舌を絡め合い、水音が響く。息が上がってきたところで、2人の距離が離れた。
「んむっ…ぷはっ!………ビックリしたじゃない……」
トロンとした表情のタクト。ここまで来たらもう自分の歯止めは効かない。タクトをしっかりと抱き寄せて耳元で囁く。
「タクト、まだ一緒に居たい…」
そうやってタクトの顔を肩口に押し付ける。
今夜だけは、まだ華やかさと儚さを持った花火のようなタクトの顔を見ていたい。タクトの事を感じていたい。
十数秒の無言の時間が過ぎた。タクトがうなづいた。
胸の中で艶然と微笑んでいるタクトの目は、少し潤んでいるようにも、少しだけ期待しているようにも見える。
「………うん、いいよ。でも私の事をどうしたいのかちゃんと言って?」
なかなかに難しい質問だ。今からしようとする事を大っぴらに声に出すのは難易度が高い。
タクトへの想いがグルグル巡る頭を精一杯動かして捻り出した。
「………タクトを今夜、僕だけのものにしたい」
タクトがそのまま強く抱き返してくる。OKの合図と判断し、再び唇同士が触れ合う。
長く、濃密なキス。いくらアパートの廊下とはいえこんな場面を天下の往来で見せるのは普通なら恥ずかしい。
しかし今日はそれを夜空の星達にも見せつけてやろう。タクトは僕の、僕だけの可愛い彼女なんだ、と。
永遠にも感じられるキスが終わる。離れた唇同士の間に銀色の糸が引かれ、消えた。
「 」
言葉にならないか細い声で、タクトが囁いてくる。何を言っているかは聞こえてなくとも分かる。
浴衣姿のまま熱く抱き合った2人は部屋の中へと入っていく。閉じた玄関ドアの前には、夏のじっとりとした空気だけが残されていた。 - 177二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:38:25
夏祭りデート📞×♨、sideコントでした
正直突貫作業で書き上げたので展開早すぎるし色々端折りすぎた部分もありますが、なんとか形に出来ました
二人がその後何したかはご想像にお任せという事でこれにて失礼します - 178二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:39:41
こいつらうまぴょいしたんだ!!!!
- 179二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:45:49
うわっ推しカプの供給過多!!!!!!最高!!!!!!!!!!!
- 180二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:47:01
うそ…… ここ最近毎日良SSが投下されてる……?
こんなことってあっていいのか??????? - 181二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:49:18
掲示板が肝心なところで落ちてて殺生なーと思ってました
乙です! - 182二次元好きの匿名さん22/08/14(日) 22:50:44
というかついに180到達か……
ゆっくりだから190ぐらいで建てても良さそうだけど - 183スレ主22/08/14(日) 23:08:58
明日の朝か、そんなに進んでなかったら明日の夜次スレ立てようかな〜と思います
- 184二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 00:05:53
読み応えがあった……良きSKBEな📞くん良いね……
- 185二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 01:16:38
このレスは削除されています
- 186二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 08:55:43
王道ラブコメ路線がここまで似合うカップリングもそうそう無い
- 187スレ主22/08/15(月) 09:20:06
あんまり進んでなかったので次スレは今日の夜立てますね
21:30頃のスレ立てを予定しているので、スレが立ったら10までの埋めを協力お願いします - 188二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 12:19:08
♨️無自覚×自覚有📞
「……ねえ、コント」
「んー?」
私はため息をついて、スマホの電源を落とし、私よりも大きい体温のある後ろに思いっきり体重をかける。
「重いんだけ…どっ…!」
「うわっ」
急に重みがきたからなのか、コントはバランスを崩して倒れ込む。
「急に何すんのさタクト!」
文句を言いながら体を起こすコントは、また懲りずに私の背中に体重を預けようとしている。
「コントが私に体重かけてきたんでしょ」
「そんくらい許してよー」
まだいうかコイツは。私は分かってないこいつにわからせるために、耳を意図的に絞る。そうして低い声で一言。
「コント。」
「すいませんでした」
ほら。そうすれば、コントはすぐにこうする。その後も懲りずに私に色々と構うコントに、その度に意地悪して、文句を言われて。なんだかんだあるけれど、そういうのが一番楽しい。思わず笑顔が溢れる、いい天気の昼休みだった。
ちなみに、トレセンでのこの一幕を目撃したウマミミもヒトミミも数多くいたが、全てがこう思ったという。「……なんであれで付き合ってないんだろう」、と。 - 189二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 12:19:55
書いてしまいました。こういう何気ないいちゃつきを普段からしているといいし、なんか距離近くない? みたいなことを思ってるといい。
- 190二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 12:20:27
思われてるだ。失礼しました。
- 191二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 13:21:43
トレセンのベンチかどっかで背中合わせのコンタクトって構図かな?おつです
「そう」とか「こう」の指示語が多くてちょっと読解に時間がかかってしまった - 192二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 18:56:09
なんであれで付き合ってないのかいいよね、好き
- 193二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 19:36:44
一緒にお昼食べたり勉強会したり休日にデートしてるのに
本人達には付き合ってる意識まるで無し
そんな2人のイチャイチャ見てクラスメイトが何かと「はよ付き合え」と茶化してくる
付き合い始めたら四六時中イチャラブ見せつけられて「早く結婚して卒業しろ!んで子育てしてろ!子供にすらそのゲロ甘イチャラブを呆れられろ!」って怒られる - 194二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 19:53:08
そこに「いーやそれは分かってないね。ギリギリのイチャイチャを見てニヤニヤすることこそが至福の時間なんだ。例えるなら背中が痒いのは分かっているのにどうしても『そこ』が掻けない、近いところは掻くことができるが本当に痒いところには手が届かない、そのもどかしさこそが癖になるのさ」派閥が現れて戦争になるんだな
- 195二次元好きの匿名さん22/08/15(月) 23:55:00
- 196二次元好きの匿名さん22/08/16(火) 00:00:26
- 197二次元好きの匿名さん22/08/16(火) 00:00:42
あ
- 198二次元好きの匿名さん22/08/16(火) 00:03:32
📞「ん〜美味しい〜」
♨️「ん?それ何?」
📞「昨日テレビでやってた新しいにんじんゼリー」
♨️「あぁ〜なんか見た気がする、私にもちょうだい」
📞「えぇ〜…これ1個しかないんだよ?」
♨️「いいじゃない、今度コントに私も買ってあげるから」
📞「仕方ないなぁ、じゃあスプーン一すくいだけだよ?」
プボ「あれで付き合ってないって言い張るのは無理があるプボ」
埋めがてら概念投下 - 199スレ主22/08/16(火) 00:07:25
- 200二次元好きの匿名さん22/08/16(火) 00:14:08