ボーノのSS少なすぎだろfinal?

  • 1二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:20:00

    今日は祝日ということで、ヒシアケボノと共に夏の山中へ涼を取りに行こうとしていたのだが……。
    「雨だねえ」
    「雨だな」
    どうやら台風が近づいているらしく、あいにくの空模様だった。これでは出かけられない……残念だが、予定は中止だ。
    「そんな残念そうな顔しないでトレーナーさん!部屋の中でもできること、あるよ〜!」
    しかし、ヒシアケボノは雨天中止にもめげることはなかった。いつの間に持ってきていたのか、大きなカバンの中を漁り始める。
    「何をするつもりなんだ?」
    「それはもちろん、お昼の準備だよ〜☆ 山に行かなくたって、自然を感じられる一品を作っちゃうからね♪」
    一体何を作ってくれるのだろう、彼女の料理はいつだって期待を上回る美味しさを見せてくれる。楽しみにしながら部屋で待つことにした。

  • 2二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:20:37

    「お待たせしました〜」
    カートを押しながらヒシアケボノは部屋に戻ってきた。香辛料の香ばしい香りが食欲をそそってくる。この匂いは……。
    「カレーを作ってきたのか?」
    「せいかーい♪でもねえ……今回はちょっとひと工夫してみたんだ〜」
    そう言って胸を張るヒシアケボノ。確かに、いつも食べている市販のカレーとは少し香りが違っている気がする。
    「今日のお昼ご飯は、こちらでございま〜す♪」
    コトンと目の前に皿が置かれる。白米が半球型に盛られていて、ルーはまだ掛かっていない。ただ白米の山のてっぺんに、木を模した紙細工が立てられていた。爪楊枝にの周りに緑の紙が貼られている。
    「それじゃ、お待ちかねのカレールゥだよ〜。あたしが掛けちゃっていいかなあ?」
    「うん、よろしく頼むよ」
    ヒシアケボノはグレイビーボートから白米にルゥを手際よく流していく。注ぎ口から見えてきたルゥは……なんと緑色!
    「これは確か……インドカレーの一種だったっけ?」
    「そうだよ〜。サグカレーって言って、ほうれん草とかの青菜をルゥに使ってるから、緑色なんだ〜♪」
    なるほどこうして見ると、緑のコーティングが施された白米の半球は、まるで1つの山のように見える。
    「アケボノが言っていたのは、こういうことだったんだね。食べちゃっていいかな?」
    「もちろん!しかも、使ってるお肉は山でとれたイノシシなんだよ!肉屋のおじさんが安く売ってくれたんだ〜♪おかわりもあるから、いっぱい食べてね♪」

  • 3二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:20:59

    「ありがとう……それじゃあ、いただきます」
    スプーンで最初の一口……口に入れた瞬間にまず感じるのは、ルゥのまろやな食感だ。クリームのような優しい舌触りで、ずっと舌の上で転がしていたくなる程だ。ついでインドカレーならではの、様々なスパイスの旨味が広がってくる。しかし辛さだけではない、野菜の甘みが辛みを中和して、程よい刺激に収まっているのだ。辛すぎるカレーを食べ続けるとやがて舌が痛くなってきてしまうが、これなら何杯でもおかわりがしたくなってくるだろう。
    「ボーノ?」
    「ボーノ!とっても美味しい!!」
    「えへへ〜♪あっ、忘れるところだった!レモンスカッシュもあるから、お口直しにどーぞ♪」
    カランと氷の溶ける音。黄色と青のグラデーションが美しいレモンスカッシュが置かれた。カレーの熱を冷ますのにはピッタリだろう。
    「ありがとう!アケボノも一緒に食べようか」
    「うん!あたしもお腹ぺこぺこ〜」
    結局2杯もおかわりをして、二人おなかいっぱいになったのだった。

  • 4二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:21:24

    片付けも済ませて、部屋で二人のんびりと過ごす。
    「……そういえば、この紙細工もアケボノが作ったのか?」
    「うん、そうだよ〜。実家のお子様ランチの旗は、昔からあたしが作ってたんだ〜」
    「そうだったんだね。それにしても、確かにこの見た目はお子様ランチだ……なんだか懐かしいなあ」
    「……トレーナーさんも、子供だった時代があるんだよねえ」
    「そりゃもちろん。でもその気持ちもわかるよ、年上の人の子供時代なんて想像できないよね……久々に実家に顔出すかなあ」
    子供時代の思い出を頭な中に浮かべていると、なんだか懐かしい気持ちに包まれてきた。最近忙しくて帰れていなかったけれど、たまには帰省するのもいい気がする。

  • 5二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:21:54

    「トレーナーさんの地元……あたしの知らないトレーナーさんの色々が、そこに詰まってるんだよねえ」
    少し考え込んだヒシアケボノは、意を決したように顔を上げた。
    「あのねトレーナーさん……もし迷惑じゃなかったらなんだけど……その、実家……」
    しかし、中々言いづらそうにどもってしまっている。もちろんここまで言われたら、次に来る言葉の予想はつく。
    「いいよ。アケボノも連れてってあげるよ」
    僕の言葉に、ヒシアケボノは丸い瞳をさらに大きく見開いた。満開の笑顔が咲く。
    「ほんと!?嬉しいなあ〜♪」
    誰にも負けない、僕の自慢の担当だ。家族に紹介するのに何を躊躇う必要があるだろうか。
    「……トレーナーさんのお気に入りの場所とか、色々案内してね?」
    「うん、もちろん」
    「えへへ……♪やった……!トレーナーさんのお母さんから、お料理も学びたいなぁ……♪トレーナーさんの好きな味、沢山覚えちゃうよ〜!」
    「はは、母さんもきっと喜ぶよ」
    こんなにはしゃぐ姿を見せられたら、気合いも入るというものだ。自分の思い出を誰かと共有できる、こんな嬉しい事は他にない。
    夏はまだ真っ盛り。一生に残る思い出が、またひとつ増えそうだ━━━

  • 6二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:22:26
  • 7二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:25:40

    お前のちゃんこSS、オレによく馴染むぜ

    ボーノは本当にいい子だね…ありがとう…

  • 8二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 15:54:34

    美味しそうで良い。

  • 9二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 16:14:34

    >>6

    誇れ、お前は強い

  • 10二次元好きの匿名さん22/08/11(木) 17:29:21

    素晴らしい…
    これからもちゃんこ鍋してくれ

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています