セイウンスカイ「人生ゲームをしないと出られない部屋……ってまた?」【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 00:57:37

    目を覚ますと見慣れた顔が安らかな寝息を立てていた。
    ゆるくウェーブのかかった髪が目元にかかっている。
    髪を指先でよける。
    キングってまつ毛長いなあ。
    ……ん?キング?
    さっと上体を起こす。
    またあの白い部屋。
    真ん中にはすでに人生ゲームが用意されている。
    ということは私たちのほかにもプレイヤーが……。
    「ケ!?ここどこデスか!?」
    キングとは反対の方向からまたしても聞きなれた声が響く。
    「うるさいですよエル……ただでさえ昨日は遅かったんですから……」
    「んん……なんの騒ぎよ……」
    困惑と驚愕の混じった声の中、苦笑しながらつぶやく。
    「ああ、今回はこの四人なんだね……」

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 00:58:11

    『エルさん、グラスさんは初めまして!キングさんとスカイさんはお久しぶりですね』
    壁に設置されたスクリーンに文字が表示されるとともに機械音声が流れてきた。
    「あら、声も付いたのね」
    『このほうがいいかなあと思いまして』
    「いやいやいや!どうしてナチュラルに不審者と会話してるデース!?」
    エルが頭を抱えている。
    「まあ私とキングは一回経験してるから……」
    「……危険ではないのですか?」
    グラスちゃんも胡乱な目をしている。
    『安心安全大丈夫ですよー。今回もゲームをしてもらうだけですので』
    「また人生ゲームでしょう?さっさと終わらせて……」
    『あー、今回はちょっとばかり特殊なルールで遊んでもらいます。お手元のタブレットをご覧ください』

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 00:58:25

    ボードのそばにはタブレットが四台置いてあった。
    手に取ると裏面にそれぞれ名前が書いてある。
    四人全員に渡るとタブレットの画面が点いた。
    『ハイ!スペシャルウィークデス!』
    画面上でデフォルメされたスぺちゃんが動いていた。
    『ということでみなさんにはデジタル上のスペシャルウィークさんと夫婦になって人生ゲームをしてもらいます』
    「なにそのルール!?友達同士とかでいいでしょ!?」
    『いやあ、選択制にしたらちょっとほかの参加者から不満が出まして……それはそれでエモかったですが』
    「だからってなんで夫婦になるデース!?」
    ポチッ
    『ケッパリマショー!』
    「あ、タッチするとしゃべる」
    「なに冷静に動作確認してるのスカイさん!?」
    ポチッ
    『グラスチャン……チッチャイコロミタイニフタリデイッショニネヨウ?』
    「……ほう」
    『ちなみにグラスさんのところのスぺちゃんは“幼いころに一か月ほど一緒に過ごしてそのあと離れ離れになっていたがたまたまトレセン学園で再会して、それをきっかけに交際、結婚に至った”という設定です』
    「長い上になんか詳細!」
    こうして奇妙な人生ゲームが始まった。

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 00:58:40

    「グラスさん!?またあなたのところのスぺさんが太り気味になってるわよ!?」
    「大丈夫です、私も太り気味です。幸せ太りです」
    「なにが大丈夫なの!?」

    「スぺちゃーん!プロレスをしまショー!」
    『イクヨーエルチャン!ラ・ケブラータ!』
    「なんか技覚えてる!?」

    『ムニャムニャ……セイチャン、モウスコシネカセテ……』
    「うんうん、一緒に寝ようねえ」
    「あなたは仕事あるでしょうが!」

    『……ツッコミお疲れ様です』
    「はあ……この子だけが癒しよ……」
    『キングチャン!ケーキオイシイネ!』
    「……夫婦っていうより子育てじゃないこれ?」

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 00:59:01

    こうしてなんやかんやありつつゲームは終了した。
    終了したのだが……。
    「グラス~、帰りマスよ~?」
    「嫌です。私はここにスぺちゃんと骨を埋めます」
    「そのスぺさんはリアルのスぺさんとは違うでしょう!?」
    こんな具合にグラスちゃんがハマってしまった。
    結局彼女はエルに担がれて寮に戻った。
    その間グラスちゃんは「よよよ……」と顔を覆っていた。
    寮が違うキングと別れて私たち三人は自室に帰った。
    自室のベッドに寝転がりながら明日の準備をする。
    するとプリントが一枚出てきた。
    ……明日提出の課題だ。
    ベッドから起き上がり、グラスちゃんとエルの部屋に向かう。
    グラスちゃんに見せてもらおう……。
    ドアをノックしようとした寸前、中から声が聞こえた。
    「んっ……もう、エルったら嫉妬ですか?」
    思わず扉に耳をつけて聞き入る。
    「だってスぺちゃんにデレデレだったじゃないデスか」
    「ふふっ、こうすればエルが嫉妬してくれるかなあって」
    「……お望みどおりにしてあげマス」
    「きゃっ♡」
    そして時折水音が混じりつつ、荒い息遣いだけが聞こえてくる。
    私はそっと扉から離れた。
    そして自室に戻りながら、課題を見せてくれるようキングにメールを送ったのだった。

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:00:21
  • 7二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:06:18

    すこ、

オススメ

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