- 1二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:43:18
- 2二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:44:54
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- 3二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:46:21
教導の在籍者であったテオとアディンである
彼らが酒場に入るとその場が沈黙に包まれた、それもそうだろう彼ら民間人にとって教導は恐れるべき存在であり鉄獣戦線は打倒しなければいけない相手なのだから
この二人たちの事情は理解しつつもやはり受け入れるのは時間がかかるのだろう
空気に耐えきれなくなり二人は酒場から離れようとするとある人から呼びかけられる
鉄獣戦線の副リーダーであるルガルだ
彼は二人に自分のテーブルに来るように言いさらに酒場全体に聞こえるようにこう言った
ルガル「ここにいる全員今日は俺の奢りだ、好きなだけ食って好きなだけ飲め」
その言葉を受けたとたん我先にと注文をし始め酒場は再び賑わいを取り戻しもはや二人を気にするものはいなかった
いまいち状況を掴めず突っ立っている彼らはとりあえずルガルの言うとおりにテーブルに座ることにする
しかしそこからどうすればいいのか分からず再び沈黙してしまう
ルガル「聞こえなかったのか?」
- 4二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:47:21
テオ・アディン「「え?」」
何のことだろうか思い当たりのない質問の思わず彼らは素っ頓狂な声を上げる
ルガル「全員俺の奢りだと言ったろ?」
とりあえず何がいいか分からなかったのでルガルのオススメを注文した
お酒のようでかなり癖が強いが中々いける
ルガル「最近どうだ?」
アディン「問題ありません、私たちのような者たちにわざわざこんなにもてなしてくださるなんてルガル様は寛大なお方ですね」
テオ「ほんとですよ!最初ここに来た時だって俺たちを最初に受け入れてくれたたのもルガルさんなんすから!マジ感謝っす!!」
筆休め - 5二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:47:54
読んでますよ
- 6二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:48:21
こういうの最近ないな
- 7二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 16:57:02
ルガル「そうか…何か問題はないか?」
アディン「まさか、これ以上はさすがに受け取れ切れません。我々もいつまでここにいるわけでもありませんし」
テオ「なんだったら俺たちが何かしたいぐらいですよ、これでも力はある方なんでなんかあったら言ってください!こいつも口うるさいけど頭は良いんでつかってやってください!」
アディン「一言多いぞ脳筋テオ」
テオ「ああ!?」
誰も気にしない事と酒が入ったからなのか少し他愛のない口喧嘩をし始めルガルは誰にも気づかれないほどにそっと笑う
ルガル「そうか、だったら何か仕事を斡旋させてもらおう。ナーベルに詳しい事を伝えておくから気になったらあいつに聞くといい」 - 8二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 17:12:38
アディン「分かりました、ところで……彼女らの居場所は掴めたのでしょうか?」
そう彼らはとある人物を探してるのだ
その名はエクレシアかつて彼らが使えてた教導の聖女であり彼らが親しんでる教導の元騎士フルルドリスの妹的存在である
彼女もまた教導に追われる立場であり、早く合流して保護したいのが彼らとフルルドリスの目的なのだ
ルガル「こちらでも捜索しているがまだ見つかってないな、……連絡手段くらい残しておけよ」
テオ「ん?何か言いました?」
ルガル「いや何でもない、何でもないが……!?」
アディン「?」
ルガルの何やら動揺?困惑?した目を追うとそこには
アディン「おいテオ……なんだその大量の料理は」
彼らのテーブルにはいつの間にか溢れんばかりの料理が置かれておりテオが一心不乱に食べまくっていた - 9二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 18:00:10
テオ「だってよ!ここにいるみんな旨そうなもん食ってるし良い匂いするしこんなの我慢できるわけないだろ!?」
アディン「だからって頼みすぎだろ!!いくらすると思ってんだよ!!!」
テオ「だってルガルさんが奢りって……」
アディン「こいつ……!!」
馬鹿とは思っていたがここまでひどいとは、正直今すぐにでも説教を始めたいところだがそんなことをしたらせっかく賑わった酒場が台無しになってしまう
アディンはどうにか怒りを抑えルガルに謝罪することでせめて誠意を見せることにした
アディン「すいませんルガル様、今回の分はいずれ必ず返させて貰います」
ルガル「いや…ちょっと驚いただけだ、問題ない」
しかしアディンは聞き逃さなかった、彼がぽつんと「今月は我慢だな…」という悲痛な言葉を発したのを
彼は必ず返さなければと心に強く誓った - 10二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 19:45:38
終わったわけじゃないよね?
- 11二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 19:49:08
続き待ってる
- 12二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 19:49:22
ルガル「それはそうとフルルドリスと言ったか、彼女は大丈夫なのか?」
恐らく教導の聖痕のことだろう彼女は教導の実質的なトップである大神祇官に聖痕を操られ暴走した過去があったのだ
今では相剣の使い手たちと氷水の力によって聖痕は封印でき、もうすっかり自分の力を取り戻している
アディン「ええ、今のところ何も起きていません。封印の札も完璧に機能しています」
ルガル「なら良かった、正直最初ここに来た時とても不安定そうに見えたからな」
ルガルが報告を受け見に行った時彼女はどこか虚ろで独り言をぶつぶつ言っておりかなり危険な状態に見えたのだ
拠点を案内しているときもやたら周りを気にしていたし長旅で精神的に疲れてたのだろう
アディン「ああ…それは…」
テオ「ああ、あれはエクレシアの嬢ちゃんに会いたくてしょうがなかったからちょっと暴走してたんすよ」
ルガル「なに?」
テオ「ドリスの姐さんはエクレシア嬢ちゃんを実の妹のように想っていましてね彼女のことになると見境なくなることがあるんすよ、頭撫でたり抱き着いたりとそれはそれは微笑ましい光景なんすね~」
テオ「だからなのか定期的に会わないと情緒が危うくなって嬢ちゃんに似た子を見つけては」
ルガル「……いや、もう十分だそれ以上は話さなくていい」
アディン「(こいつ言いやがった…!!ああ申し訳ありませんフルルドリス様、どうかこのことがあなたの耳に入らない事をお祈りします)」
誰にも知られたくない秘密を信頼する仲間にあっさりと漏らされてしまうフルルドリス
しかし献身的なアディンの祈りのおかげか本人にその情報が漏れたことは気が付くことはなかった
本人には - 13二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 21:31:54
アディン「そ、そういえばこのお酒美味しいですね!強いけど何杯でもいけそうです!」
ルガル「そうか…気に入ってくれてなりよりだ」
テオ「ルガルさんのオススメに外れなしっすね、ここで持ち帰りって」
アディン「お前少し黙っとけ」
もうこいつは黙って飯でも食わせてた方がマシだ
それにしてもとアディンは周りを見渡す
壁のいたるところに写真が打ち付けられておりよく見ると鉄獣戦線のメンバーのようだ
ルガルやケラス、フラクトールなど見たことがある者たちも見かければ全く見かけない人たちも見える
そんな写真を色々見ているとふと一枚の写真が目に入る
一番古い写真のようで額縁に丁寧に保存されている、多くの人たちが集まっているし集合写真のようだ
ほとんどの人物は見たことがないが一番前列に見覚えのある人が見えた
アディン「シュライグ様と…フェリジット様?」
それは今のような自ら前線に降り立ち鉄獣戦線を率いるリーダーでもその索敵能力と狙撃でリーダーを支える美しい女性でもない幼さが抜け切れず写真の前で緊張している少年少女の時の姿だった
フェリジットの前には彼女に似た小さな女の子が小型の機械の鳥に夢中で弄っている、彼女の妹だろうか - 14二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 22:08:27
ルガル「ああ……それは鉄獣戦線が設立された時に記念に撮ったんだ」
アディン「鉄獣戦線が?つまりこの人たちは」
ルガル「そう鉄獣戦線初期メンバーだ、もう昔のことだ…」
鉄獣戦線
表では聖なる国家を演じている教導の正体を知り対抗するためにできたと言われ今まで教導と戦い続け生き残り続けているたった一つの組織
それゆえ敗北した組織のメンバーや民間人が流れ込み今では一つの国家と言える程の規模となり教導が倒すべき敵と教えられてきた
その初期メンバーがここに映っている
しかし
アディン「失礼ですが…他のメンバーの方は?」
ルガル「亡くなったよ、皆」
恐らく教導との戦いで亡くなったのだろう
皆笑っている肩を組みあい笑っている、古い写真が輝いて見える
昔習った授業では悪魔を討ち取ったとよく書かれていたが、果たしてこの写真を見て同じことが言えるだろうか?
ただの人だ、精一杯明日を生きようとするただの人だ - 15二次元好きの匿名さん22/08/26(金) 23:35:55
アディン「申し訳ありません…」
ルガル「謝る必要はない、それに俺はあの人たちのことを誇りに思っている」
アディン「誇り?」
ルガル「あの人たちは自分の意思を突き通した、いついかなる時も絶望せず諦めず俺たちを信じて託していった」
テオ「託した…?」
ルガル「未来だ、恐怖に怯えることのない未来、誰にも脅かされる必要のない未来、笑って明日を過ごせる未来、皆が幸せを享受できるそんな明るい未来が出来ると信じて」
アディン「未来を、託す」
非現実、曖昧な憶測、不可能、昔の自分ならそう思っていただろう
しかし今の自分は出来ると思っている確たる証拠もないのに、そうなって欲しいと思っている
ルガル「だから俺も、皆も信じてるんだ俺たちが戦えばいずれその未来がやってくると」
信じる
教導の教えられた信じるとも違う何か、長年の教えよりなぜこちらの方が良いと思えるのだろうか
アディン「私も…信じたいです。あなたたちがそんな未来が作れるのを」
テオ「俺も!」
ルガル「ああ…ありがとう」 - 16二次元好きの匿名さん22/08/27(土) 10:11:16
保守
- 17オチつくか不安になってきた22/08/27(土) 18:32:48
~数刻後~
テオ「それでですね!?アディンの野郎なんて言ったと思います?」
アディン「おい!!」
ルガル「ハッハッハッハッ!!それいうならうちのシュライグだって負けてないさ!」
酒の力を借りたからか彼らはすっかり打ち解けあっていた
お互いの愚痴を言い合ったり面白い話をしあったりとその光景ははたから見れば友人同士の酒盛りにしか見えない程である
アディン「しかし…フェリジット様がシュライグ様とそのような関係だったとは」
ルガル「まあ当のシュライグは全く気付いてないんだがな、皆知ってることさ」
テオ「というか気づいてないお前にびっくりしてるんだが俺は……」
アディン「ナーベル殿のことを子供扱いしてた貴様に言われたくない」
ルガル「ハッハッハッハッ!!」
だが正直二人が一番驚いてるのは大声で笑うルガルその人だろう
常に冷静で状況を理解しシュライグや仲間たちに的確に指示を行っている時と大違いだ
むしろこちらの方が彼の素に近いのかもしれない - 18二次元好きの匿名さん22/08/27(土) 20:41:00
こう言う雰囲気好きよ
age - 19適当!22/08/27(土) 20:45:51
それから彼ら三人は色んな話をした、フェリジットの妹が作った鳥の機械が本人ではなくシュライグに懐いてしまい泣いてしまった話、妹がスプリガンズの所へ行った夜寂しそうにしてるフェリジットがシュライグといい感じな雰囲気になっていた話(何も起きなかった)、アディンとテオは同期で昔から仲が悪くフルルドリスがよく諫めていた話、エクレシアに何かあったのか知ると全て斬り捨てんと言わんばかりのフルルドリスを二人がかりで止めた話
しかし三人に共通点があり最も盛り上がる話は彼女の話だろう
ルガル「そうか…あの子は昔から優しかったのか」
アディン「ええ…ましゃに…彼女は聖女にょようで……」
アディンの呂律が回らなくなってきている、どうやら酒の飲みすぎたようだ
よく見ると隣のテオもうとうとし始めている、ここいらが潮時だろう
勘定を済ませ二人を起こそうとすると二人は半分寝ぼけながらぼつぼつと何か言い始めた
テオ「確かに嬢ちゃんは優しいけどよぉ……」
アディン「私たちにとって…あの方が…せ…い…」
ルガル「………」