- 1二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:34:47
「こんにちは、おばあさん」
「ファインちゃんかい。よく来たねえ」
すっかり顔なじみになった駄菓子屋の主人に挨拶をする。
「おや、そっちの子は……」
隣でぺこりとシャカールが会釈をしている。
「私の婚約者です♪」
「ただの友人だ」
間髪入れずに訂正された。
ぷくぅと頬を膨らませて抗議する。
「お前が言うとシャレになんねェだろうが」
おでこを指先でつつかれる。
つい笑みがこぼれてしまう。
「そうかいそうかい、仲がいいんだねえ」
おばあさんもにこにことほほ笑んでいる。
子どもみたいに商品を眺めている私を尻目にシャカールはラムネをいくつか手に取って会計を始めた。
「ちょ、ちょっと!早いよおシャカール!」
「菓子を買うだけだろうが。お前もさっさと決めろ」
「こらこら、あんまりお友達を邪険にするもんじゃないよ」
苦笑しつつたしなめるおばあさん。
「ンなこと言われてもな……」
シャカールは老人相手ということで戸惑っているみたいだった。
なんだか新鮮。
ふとアイス用の冷凍庫に目が吸い寄せられる。
あの時のアイス。
“ダブルソーダ”と書かれたアイスを手に取って会計をすます。
「おばあさん!ベンチ使わせてもらうね!」
「ああ、もちろんいいともさ。ゆっくりしておいき」
返事を聞くなりシャカールの手を取って店先のベンチへと向かう。
シャカールは慣れてしまったのか、なすがまま引きずられていた。 - 2二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:34:57
ベンチに座ると、そよそよと秋を告げる風が吹いてきた。
構わず袋を開けてアイスを取り出す。
そして二本の棒を持って慎重に……慎重に……。
あっ。
ものの見事に片方が半分くらいの大きさに、もう片方がL字に割れてしまった。
半分こしたかったのに……。
しょんぼりしているとシャカールが短いほうのアイスを取った。
「あっ、それちっちゃいほう……」
「さっさと食わねェと溶けるだろうが」
「でも……」
逡巡しているとシャカールが私の持っているほうのアイスに顔を近づけた。
シャクッ。
L字のアイスがまっすぐになった。
「これで半分ずつだろ」
咀嚼しながらシャカールがこともなげに答える。
……もう。
半分じゃ、ないよ。
私のほうが多くもらっちゃってるもん。
シャクッ。
いつものアイスより甘く感じた。 - 3二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:35:33
続けてどうぞ
- 4二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:35:46
学校の裏にあった駄菓子屋さん今どうしてるのかなあ
お目汚し失礼しました - 5二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:36:55
つよつよシャカールと誘い受けファインは私の脚質に合っていますね
- 6二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:37:54
- 7二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 21:38:03
こういうほのぼのとした中にもほんのりした甘さがあるのがいい…