あにまん新種生物図鑑

  • 1新種生物紹介人22/09/18(日) 23:48:52

    21世紀以降に新種記載された生物を中心に、興味深い新種生物を気の向くままに紹介していきたいと思います。

    質問・感想・保守は大歓迎ですが、関係ない話題に脱線すること、特に環境問題の話題は荒れる原因になり得るので固く禁止します。

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:54:00

    スレ画はオラウータンかい?

  • 3新種生物紹介人22/09/18(日) 23:54:33

    >>1

    和名・・・タパヌリオランウータン

    学名・・・Pongo tapanuliensis

    2017年発見


    スマトラ島の北西部にのみ生息するオランウータン。ボルネオオランウータンとスマトラオランウータンに次ぐ第3のオランウータンである。

    見た目は他の2種類に酷似していて外見から識別するのは困難であるが、頭蓋骨の形状は違いが顕著である。

    現在、約800頭しか残っておらず、最も絶滅の可能性が高い大型霊長類である。

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:56:30

    >>3

    オラウータンの亜種か、そういえばニュースで見たな…

  • 5二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:58:52

    保守

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 00:00:17

    自分でも紹介していいやつ?

  • 7新種生物紹介人22/09/19(月) 00:03:58

    >>6

    紹介しても構いませんが、以下のテンプレートを遵守して下さい。


    【テンプレ】

    和名・・・(和名)

    学名・・・(学名)

    20〇〇年発見

    (一行空けて)

    説明

  • 8二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 00:04:43

    オランウータンってこんなに顔でかかったっけ…

  • 9新種生物紹介人22/09/19(月) 00:06:17

    >>8

    性成熟したオスは顔の周りにフリンジというヒダが発達します

    マンドリルの顔の模様や、ゴリラのシルバーバックみたいなものです

  • 10新種生物紹介人22/09/19(月) 00:09:28
  • 11新種生物紹介人22/09/19(月) 00:21:15

    和名・・・ライスクジラ
    学名・・・Balaenoptera ricei
    2021年発見

    メキシコ湾の最奥部にのみ生息するヒゲクジラ。
    元はニタリクジラだと思われていた。遺伝子も骨格もニタリクジラとは異なるが、外見ではほとんど区別が付かない。

    2014年の時点で既にメキシコ湾のニタリクジラは隠蔽種であると考えられていたが、新種記載する上でのホロタイプ標本が無かったため、あくまで推測の域を出なかった。
    その後、2019年にエバーグレーズ国立公園にクジラが漂着した事で研究が進み、2021年に晴れて新種として認められた。
    「ライス」とは鯨類研究者への献名。
    推定個体数は最大で33頭で、そのうち成熟個体は16頭のみ。
    現存するヒゲクジラで最も絶滅に瀕している。

  • 12新種生物紹介人22/09/19(月) 00:29:56

    和名・・・プリンスチャールズアマガエル
    学名・・・Hyloscirtus princecharlesi
    2012年新種記載

    2008年にエクアドルの雲霧林から見つかった新種のアマガエル。
    森林伐採やカエルツボカビによる絶滅の危機が高いことから、飼育下で繁殖させる試みが始動している。
    環境保護運動に長年尽力したチャールズ皇太子を称えて献名されている。

  • 13二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 00:32:18

    新種のオランウータンとか見つかってたのか 知らんかった

  • 14新種生物紹介人22/09/19(月) 00:43:04

    和名・・・ブラブラフィジーイグアナ
    学名・・・Brachylophus bulabula
    2008年発見

    イグアナは南北アメリカ大陸に数百種が生息しているが、オーストラリアの北東にあるフィジーになぜか3種類が隔離分布している。
    フィジーイグアナの雄は成熟すると水色の帯が現れることから、巷では「世界一美しいイグアナ」とも呼ばれている。
    ブラブラフィジーイグアナは近年になって新種記載された種類で、「ブラブラ」とは現地フィジーでの挨拶に由来するらしい。
    国内では静岡県の体感型動物園iZooが唯一飼育展示をしている。

  • 15新種生物紹介人22/09/19(月) 01:24:01

    和名・・・ゴラムスネークヘッド

    学名・・・Aenigmachanna gollum


    和名・・・マハーバリスネークヘッド

    学名・・・Aenigmachanna mahabali

    共に2019年発見


    ドラゴンスネークヘッドとも呼ばれるライギョの仲間。地味な見た目をしているが、生態学的にも分類学的にも大変興味深い種であり、もしかしたらゴンドワナ大陸分裂の生き証人かもしれない。


    2018年にインド南西部のケララ州を未曾有の大洪水が襲ったが、この際に数匹のドラゴンスネークヘッドが帯水層から地上の水田に流された。そしてこの見慣れない魚を村人が発見してSNSに投稿したところ、研究者の目に止まり、その後の研究で科レベルの新種であることが判明した。

    そして2019年の上半期にはゴラムスネークヘッドとして新種記載され、下半期には新しくマハーバリスネークヘッドが発見された。


    ゴラムスネークヘッドは一生を地下の帯水層で暮らし、マハーバリスネークヘッドは1つの洞窟のみに生息すると考えられている。洞窟に生息する魚も珍しいが、地下水に生息する魚はもっと珍しい。


    ちなみにゴラムスネークヘッドは指輪物語に登場するキャラクターに、マハーバリスネークヘッドはインド神話に登場するアスラの王に由来している。


    ゴラムスネークヘッド


    マハーバリスネークヘッド

  • 16新種生物紹介人22/09/19(月) 01:45:45

    和名・・・カボマニバク
    学名・・・Tapirus kabomani
    2013年発見

    ブラジル北部とコロンビアから発見された新種のバク。
    近縁のアメリカバクに酷似するが、体がずっと小さい。体重はなんとアメリカバクの3分の1程度しかない。

    発見された当時は21世紀における動物学最大の発見とまで言われたが、カボマニバクを果たして種として認めるかどうかで論争が起こっている。
    現在は、遺伝学的にも形態学的もカボマニバクを種として認めない学説が主流である。

  • 17新種生物紹介人22/09/19(月) 02:00:22

    和名・・・アオホソオオトカゲ
    学名・・・Varanus macraei
    2001年新種記載

    インドネシアのバタンタ島という小さな島の固有種。最も分布域の狭いオオトカゲでもある。
    昼行性で樹上性のオオトカゲはツリーモニターと総称されるが、本種はツリーモニターの中で最大になる種類である。
    その美しさからペットとして非常に人気が高いが、生息地が小さな島に限定され、絶滅の恐れがあることからインドネシア政府は野生個体の輸出を全面禁止している。

  • 18新種生物紹介人22/09/19(月) 02:34:40

    和名・・・オバマハナダイ

    学名・・・Tosanoides obama

    2016年発見


    ハワイにある世界最大の海洋保全地域であるパパハナウクモアケア海洋国定公園で発見された新種のイトヒキハナダイ。

    オバマ元大統領は海洋国定公園を4倍に拡張するなど環境保全に尽力してきた。それを称えてこの魚はバラク・オバマに献名された。


    実はオバマに献名された生物は分かっているだけで14種もいる。


    和名・・・スパングルドダーター

    学名・・・Etheostoma obama

    2012年発見


    テネシー州のダック川とバッファロー川固有の美しい淡水魚。


    和名・・・テレオグラマ・オバマオルム

    学名・・・Telegramma obamaorum

    2015年発見


    コンゴ川に生息するシクリッドの1種。

    オバマ元大統領とミシェル夫人に敬意を表して献名された。


    和名・・・ニシオオガシラ

    学名・・・Nystalus obamai

    2013年新種記載


    以前は単一種だと考えられてきたオオガシラが2種類に分かれることが判明し、新しい方の種類がオバマに献名された。

  • 19新種生物紹介人22/09/19(月) 03:15:41

    和名・・・チベットウーリームササビ
    学名・・・Eupetaurus tibetensis

    和名・・・ウンナンウーリームササビ
    学名・・・Eupetaurus nivamon
    共に2021年新種記載

    ウーリームササビは世界で最もミステリアスな動物の1つである。世界最大の滑空する哺乳類であるにも関わらず、夜行性で用心深く、そして生息地がヒマラヤ山脈やチベット高原の断崖絶壁に限られるため、70年間見た者はおらず、1994年に再発見されるまで絶滅したと考えられていた。

    そして去年になってウーリームササビは1種ではなく、なんと3種に分けられることが判明した。ここまで発見が遅れたのは、この種が極めて稀で研究に必要数の標本が集まらなかったことが大きい。
    インドやパキスタンにいるウーリームササビは比較的研究が進んでいるものの、チベットウーリームササビとウンナンウーリームササビの生態は殆ど解明されていない。

  • 20新種生物紹介人22/09/19(月) 03:43:24

    和名・・・ラオスオオムササビ

    学名・・・Biswamoyopterus laoensis

    2012年発見


    和名・・・ガオリゴンオオムササビ

    学名・・・Biswamoyopterus gaoligongensis

    2017年発見


    ウーリームササビにも勝るとも劣らない巨大なムササビ。体格や体重ではウーリームササビの方が上だが、全長ではこちらの方が上である。


    このオオムササビはウーリームササビ以上に稀で謎だらけの種類である。既知のナムダファオオムササビは1981年にインドで1頭が採集されて以来記録がなく、近縁のラオスオオムササビとガオリゴンオオムササビに至っては、つい最近まで存在すら知られていなかった。


    ラオスオオムササビは2012年に市場で売られてるのをラオスの大学院生が偶然発見し、2013年に新種として記載された。


    ガオリゴンオオムササビは中国とミャンマーの国境近くの高麗高山で2017年に発見された。


    どちらの種も密猟や生息地の喪失の危機にあり、絶滅が強く懸念されている。


    ラオスオオムササビ


    ガオリゴンオオムササビ

  • 21二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 03:48:13

    なんか新種をせっかく見つけても既に絶滅間近だと悲しいね、個体数的にもそうだけど何より習性なんかを知るためのサンプルが無さすぎて増やせなさそうだし

  • 22新種生物紹介人22/09/19(月) 03:53:47

    >>21

    オオムササビが良い例ですが、1mを超す大きな生物でもつい最近まで人目に付かなかったということは

    他にも知られてないだけで絶滅の危機に瀕している生物が無数にいることを示唆しています。

    誰にも気付かれることなく絶滅してしまった生物は、私たちが想像するよりずっと多いのかもしれません。

  • 23新種生物紹介人22/09/19(月) 09:25:43

    和名・・・チョコレートアメガエル
    学名・・・Litoria mira
    2016年発見

    アメガエル属(Litoria)はニューギニア島とオーストラリアに生息するアマガエルで、樹上性から半水性、地上性の種を含む多様性に富んだ一群である。

    日本でもペットとしてよく飼育されるイエアメガエルはアメガエルの代表的な種で、トレス海峡を挟んでニューギニア島とオーストラリア北部に生息している。
    そのイエアメガエルの調査の最中にチョコレートアメガエルは発見された。

    チョコレートアメガエルは背中がチョコレートのような色で、斑点が一切ないのが最大の特徴で、他のアメガエルとははっきり区別することができる。オーストラリアでは多くのアメガエルがサバンナに生息するのに対して、海を挟んだチョコレートアメガエルは熱帯雨林に生息するのも興味深い。

  • 24新種生物紹介人22/09/19(月) 09:56:34

    和名・・・チョコレートガエル

    学名・・・Synapturanus danta

    2022年発見


    個人的にもっとチョコレートっぽく見えるカエルがこのチョコレートガエル。その色と鼻の形からバクガエルとも呼ばれている。


    ペルーで発見された体長2cmにも満たない小型種で、しかも普段は泥炭の中に深く潜っている。

    ピーピー鳴く独特の鳴き声で研究者に発見された。


    和名・・・ゾンビガエル

    学名・・・Synapturanus zombie

    2021年発見


    先ほどのチョコレートガエルの近縁種。こちらも1.5cmしかない小型種で普段は泥炭に潜っている。

    大雨が降っている間か大雨が降った直後しか鳴かないので、位置を特定するのは専門家でも困難である。


    これらのカエルは今のところ6種が知られているが、実際はこの数倍の種がいると考えられている。

    科としての分布域は広いが、一つ一つの種は狭い範囲に固有であるため環境変化の影響を受けやすい。

  • 25二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 10:16:19

    前スレの絶滅図鑑の方見させてもらいました。
    とても勉強になったのと同時に、人間の業の深さを感じさせられました。
    ところで、少し気になったのですがスレ主さんはどうしてこんなにも多くの生物に成通してるのですか?

  • 26新種生物紹介人22/09/19(月) 11:06:04

    >>25

    私は昔から動物が好きでした。1番最初にハマったのは哺乳類、次に鳥類、爬虫類・両生類といった感じでどんどん興味の対象が広がっていき、最終的に興味は絶滅した生物にまで及びました。

    そして私は興味を持ったものを徹底的に調べることでその知識を自分のものにしてきました。

    その知識の集積を十何年ずっと繰り返した結果、今はだいたいの動物のことなら手に取るように分かります。

  • 27新種生物紹介人22/09/19(月) 13:37:08

    和名・・・イキサンショウウオ
    学名・・・Karsenia koreana
    2005年発見

    2005年に韓‌国で働くアメリカ人科学教師のステファン・カールソンによって発見されたサンショウウオ。
    一見、なんら変哲のないサンショウウオに見えるが、この種はアジアで初めて見つかったアメリカサンショウウオであり、生物学的に非常に重要な種類である。

    イモリやサンショウウオなど尾のある両生類を有尾類というが、その有尾類の70%はアメリカサンショウウオという肺のないグループが占めている。
    アメリカサンショウウオはその名の通りほとんどが南北アメリカ大陸に生息していて、これまでユーラシア大陸では南ヨーロッパの洞窟にいる8種類が知られるだけであった。

    韓‌国でもアメリカサンショウウオが発見されたということは、かつてアメリカサンショウウオが北半球に広く分布していた可能性を示唆している。

  • 28新種生物紹介人22/09/19(月) 14:20:26

    和名・・・アナンキョクハリオカマドドリ
    学名・・・Aphrastura subantarctica
    2022年新種記載

    カマドドリ科はメキシコから南米の最南端にかけて生息する小鳥で、300種以上が知られる大所帯である。
    一部の種は枝や人工物の上に泥で竈のような巣を作ることからカマドドリの名が付いた。

    先ほど南米の最南端にも生息すると言ったが、その種こそがこのアナンキョクハリオカマドドリである。
    南米大陸のさらに南にあるディエゴ・ミラレス諸島に固有のカマドドリで、今年になってから大陸とは別種であることが判明した。

  • 29新種生物紹介人22/09/19(月) 14:30:35

    ちなみに(>>15)で紹介したゴラムスネークヘッドは、カワスイこと川崎水族館が世界に先駆けて飼育展示を行っています

    飼育例がほとんど無い魚で展示がいつ終了してもおかしくないため、見たいならお早めに

    【カワスイ】世界初!新種「ゴラムスネークヘッド」展示開始のお知らせ株式会社アイ・レジャー・エンターテインメントのプレスリリース(2022年9月7日 10時00分) カワスイ 世界初!新種[ゴラムスネークヘッド]展示開始のお知らせprtimes.jp
  • 30新種生物紹介人22/09/19(月) 15:00:35

    和名・・・フシギモリハヤブサ
    学名・・・Micrastur mintoni
    2003年新種記載

    中南米のモリハヤブサ類は原始的なハヤブサで、ハヤブサというよりタカによく似た見た目をしている。
    フシギモリハヤブサは長い間ヒメモリハヤブサと混同されていたが、2003年に新種として認められた。
    主な分布域はアマゾン盆地だが、ブラジルの大西洋熱帯雨林にも離れて分布している。なお、後者は現在絶滅した可能性がある。

  • 31新種生物紹介人22/09/19(月) 15:41:53

    和名・・・ザンジバルムツエラノコギリザメ

    学名・・・Pliotrema annae


    和名・・・マダガスカルムツエラノコギリザメ

    学名・・・Pliotrema kajae

    共に2020年発見


    サメの鰓裂は通常5つであり、6つ以上の鰓裂を持つサメは原始的なカグラザメ (5種)とラブカ (2種)、そしてなぜかムツエラノコギリザメである。 (他のノコギリザメの鰓裂は5つ)


    ムツエラノコギリザメは南アフリカ近海の固有種であるが、2020年に西インド洋のザンジバルとマダガスカル近海でそれぞれ2種の新種が発見された。


    ノコギリザメや底生のサメは重要な水産物ではないが混獲されやすく、近年急速に数を減らしている。


    ザンジバルムツエラノコギリザメ


    マダガスカルムツエラノコギリザメ

  • 32新種生物紹介人22/09/19(月) 19:21:58

    和名・・・チオマルガリータ・マグニフィカ
    学名・・・Thiomargarita magnifica
    2022年新種記載

    人のまつ毛とほぼ同じサイズになる世界最大の細菌。
    細菌なのに顕微鏡を使わず肉眼で観察することができる。
    普通の細菌のサイズを人間大だとすると、チオマルガリータ・マグニフィカはエベレスト並のサイズになるという。

    T. マグニフィカはカリブ海のグアドループ諸島のマングローブ林で、腐ったマングローブの葉の表面に付着している状態で見つかった。
    それはあまりに大きいので、細菌だと分かるまでに5年かかった。さらに代謝システムを解明するのに数年かかった。

    この細菌は硫黄の化学エネルギーを利用して二酸化炭素から有機物を合成することができる。

  • 33新種生物紹介人22/09/19(月) 19:58:10

    和名・・・オマーンフクロウ
    学名・・・Strix butleri
    2013年新種記載

    サバクフクロウは中東の沿岸地帯に広く分布するフクロウだが、種の記載に用いられたホロタイプ標本が実は別種であることが判明した。
    サバクフクロウのS. butleriという学名は新種のオマーンフクロウの学名とされ、サバクフクロウの学名は新たにS. hadoramiとなった。

    オマーンフクロウはオマーン、イラン、イラクなどペルシャ湾を取り囲むように分布しているが、涸れ川の崖を好むので生態はよく分かっていない。

  • 34新種生物紹介人22/09/19(月) 22:55:35

    和名・・・チュウオウアフリカクチナガワニ
    学名・・・Mecistops leptorhynchus
    2018年新種記載

    これまでアフリカクチナガワニは1種が西アフリカから中央アフリカにかけて生息している考えられていたが、2014年と2018年の研究によって2種類に分けられることになった。

    今から800万年前にカメルーンで大規模な火山活動が生じ、クチナガワニの生息地を二分する山地が隆起した。クチナガワニは山地によって遺伝交流を阻まれ、それ以来2つの個体群は互いに別々の進化を遂げていった。

    現在、2種類のアフリカクチナガワニは生息地の破壊や乱獲によって急速に数を減らしており、絶滅が危ぶまれている。

  • 35新種生物紹介人22/09/20(火) 00:00:26

    和名・・・オリノコマタマタ
    学名・・・Chelus orinocensis
    2020年新種記載

    マタマタはアマゾン川流域とオリノコ川流域に生息するヘビクビガメで、他種には見られないひだ状の顔と扁平な頭蓋骨、盛り上がった甲羅のキールが特徴である。

    アマゾン産とオリノコ産ではマタマタの形態が違うことはマニアの間ではよく知られていたが、実際に確かめられたのは2020年に入ってからである。

    マタマタはペットとして人気のある種類だが飼育下での繁殖成功例は少なく、市場に流通するのはCB個体ではなくWC個体である。
    迅速な保護活動が求められる。

  • 36新種生物紹介人22/09/20(火) 00:52:42

    和名・・・アミア・オケリカウダ
    学名・・・Amia ocellicauda
    2022年発見

    アミアは北アメリカ大陸東部に生息する淡水魚である。ライギョやカワメンタイによく似た見た目をしているがそれは収斂の結果であり、実際の系統は遠く離れている。

    アミア目は三畳紀からいる古い魚で、中でも原生種のアミア属はなんと1億年以上前のジュラ紀前期から姿かたちが全然変わっていない。
    ジュラ紀から古第三紀にかけてアミアは世界中で大繁栄したが、現在では北米のアミア・カルヴァ1種残して全て絶滅したと考えられていた。

    しかし、最近の研究によってアミアにはアミア・カルヴァともう1種、アミア・オケリカウダもいることが分かった。
    両者は酷似しており、外見から識別するのは極めて難しい。

  • 37二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 08:54:53

    >>29

    まあ、飼育のノウハウが存在しないから手探りでやるしかないもんね…

    何が原因で死んだのかすら最初はよくわからないってのもよくある話

  • 38二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 09:07:40

    >>35

    そういや亀ってわりと簡単に混血させられるらしいね

    日本でもイシガメとクサガメの自然混血が起きるらしいし、このマタマタも飼育下で可能なのでは?

    そもそもこの種の飼育自体は難しいのかもしれないが知らないままに一緒に飼っていればあり得るのかも…

  • 39新種生物紹介人22/09/20(火) 10:34:35

    >>38

    カメもそうですが、それ以上にカモは遠く離れた系統の種類でも交雑できることが知られています。

    「種」には色々な定義がありますが、1つには交雑で生まれた第1世代同士が子どもを作れるかどうかというのがあります。

    種間交雑で得られた子の染色体は、片方が父親由来でもう片方が母親由来です。この場合、体細胞分裂はできても減数分裂が上手くいかないことが多く、子は不妊となり孫を残せないのです。

  • 40二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 11:06:29

    >>39

    でもまあライライガーの例もあるし、可能性0%ってわけでもないらしいですね

    実際、なってみないとわからないのが生命って事でしょうか?

  • 41新種生物紹介人22/09/20(火) 11:20:33

    >>40

    アマゾンマタマタとオリノコマタマタはよく似ていますが、それでも分岐したのは1300万年前でDNAの塩基配列は違うはずです。

    子は作れても孫までは難しいでしょう。

  • 42新種生物紹介人22/09/20(火) 11:42:48

    ちなみにライライガーはライガーとライガーの子どもではなく、ライオンの父とライガーの母の間の子どもなので上記の原則が当てはまりません。
    母ライガーの持っている2本の染色体のうちライオン由来のものが減数分裂を経て性染色体となり、それを含む配偶子が父ライオンの配偶子と接合したと考えれば辻褄が合います。

  • 43新種生物紹介人22/09/20(火) 14:34:24

    和名・・・スクリップスウミスズメ

    学名・・・Synthliboramphus scrippsi


    和名・・・グアダルーペウミスズメ

    学名・・・Synthliboramphus hypoleucus

    共に2012年新種記載


    カナダのバンクーバーの辺りからメキシコのバハ・カリフォルニア半島沿岸にかけて生息するセグロウミスズメが2012年に2種類に分かれた。

    セグロウミスズメに2つ亜種があることは以前から知られていたが、それらが遺伝子解析によって亜種から種に昇格した形になる。

    この2種類は嘴の形や鳴き声が異なるが、最も分かりやすい識別点は顔の模様である。

    目が黒と白の境界にあるのがスクリップスで、目の周りが白いのがグアダルーペである。


    残念ながら2種は繁殖地へのネズミの侵入や原油の流出によって数は減少しており、絶滅危惧種に指定されてしまっている。


    スクリップス


    グアダルーペ

  • 44新種生物紹介人22/09/20(火) 15:15:49

    和名・・・ラオスイワネズミ
    学名・・・Laonastes aenigmamus
    2005年発見

    イギリスの動物学者がラオスの市場で変わったネズミが売られているのを発見し、これを新種として記載した。
    ここまでならよくある話だが、このネズミは後に「今世紀における動物学最大の発見」とまで呼ばれるようになる。

    その後、調査を詳しく進めるうちにこのネズミはなんと絶滅したディアトミス科の生き残りであることが分かった。
    ディアトミス科はヨーロッパから日本にかけて生息していたネズミで、知られている最後の化石は1100万年前のものである。
    つまり1000万年以上化石が見つかっていない生物が現代まで生き残っていたことになる。
    こうした発見経緯からラオスイワネズミは「ネズミ界のシーラカンス」という異名を持つ。

    そんな生物学的に重要なネズミだが、現地住民はカニョウ (Kha‐nyou)と呼んでいて以前から存在を知っていた。
    2020年にはベトナムでも生息が確認された。
    実はまだ知られていない近縁種がいるのかもしれない。

    ちなみに、現存するネズミで最も近縁なのは中近東のグンディである。

  • 45新種生物紹介人22/09/20(火) 15:34:28

    ウンナンウーリームササビ (>>19)やラオスオオムササビ (>>20)、ラオスイワネズミ (>>44)など雲南省からベトナムにかけてのメコン川流域は新種生物が毎年100種類以上見つかる新種生物のホットスポットである。


    小さな魚や昆虫はおろか、哺乳類の新種が今なおコンスタントに見つかる地域は世界でもメコン川とマダガスカルぐらいである。


    ここからはメコン川流域で見つかった興味深い生物を独断と偏見で紹介していく。

  • 46二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 16:28:33

    このレスは削除されています

  • 47新種生物紹介人22/09/20(火) 18:10:21

    和名・・・アンナンホオヒゲコウモリ

    学名・・・Myotis annamiticus

    2001年発見


    和名・・・クリイロホオヒゲコウモリ

    学名・・・Myotis badius

    2011年発見


    和名・・・カインホアホオヒゲコウモリ

    学名・・・Myotis phanluongi

    2008年発見


    和名・・・チタニアウーリーコウモリ

    学名・・・Kerivoula titania

    2007年発見


    メコン川流域に広く生息する。

    SARSコロナウイルスの自然宿主と考えられる。

  • 48新種生物紹介人22/09/20(火) 18:11:39

    和名・・・メコンテングコウモリ

    学名・・・Murina eleryi

    2009年発見


    和名・・・アッシュグレーテングコウモリ(b)

    学名・・・Murina cineracea


    和名・・・ベルゼブブテングコウモリ (c)

    学名・・・Murina beelzebub


    和名・・・ウォルストンテングコウモリ (d)

    学名・・・Murina walstoni

    共に2011年発見


    和名・・・カカボラジテングコウモリ

    学名・・・Murina hkakaboraziensis

    2017年発見


    和名・・・フィオナテングコウモリ

    学名・・・Murina fionae

    2022年発見

  • 49新種生物紹介人22/09/20(火) 18:15:30

    和名・・・メコンキクガシラコウモリ

    学名・・・Rhinolophus monticolus

    2016年発見


    和名・・・メコンユビブトコウモリ

    学名・・・Glischropus bucephalus

    2011年発見


    和名・・・グリフィンカグラコウモリ

    学名・・・Hipposideros griffini

    2012年記載


    和名・・・キバオオアブラコウモリ

    学名・・・Hypsugo dolichodon

    2014年発見


    和名・・・トンキンタケコウモリ

    学名・・・Tylonycteris tonkinensis

    2017年発見


    和名・・・ヨークドンヘルメットコウモリ

    学名・・・Cassistrellus yokdonensis

    2018年発見

  • 50二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 01:45:22

    蝙蝠はユニークな顔つきが多くて面白いな

  • 51新種生物紹介人22/09/21(水) 13:18:56

    和名・・・アンナンシマウサギ
    学名・・・Nesolagus timminsi
    2000年記載

    アンナンシマウサギは原始的なウサギで、1996年に市場で売られているのを発見されてから数える程しか見つかっていない。まさに謎のウサギである。

    この種はラオスとベトナムの国境のアンナン山脈の固有種である。夜行性で警戒心が強く、さらに単独で行動するため発見するのは至難の業である。

    生態や個体数、詳細な生息域もよく分かっていないが、それ以上に不可解なのはその分布である。
    アンナンシマウサギの現存する唯一の近縁種はスマトラ島南東部にいるスマトラウサギで、両者の生息域は遠く離れている。

  • 52新種生物紹介人22/09/21(水) 14:14:11

    和名・・・ベトナムマメジカ
    学名・・・Tragulus versicolor
    2004年新種記載

    1910年、イギリスの動物学者オールドフィールド・トーマスが南ベトナムから新種のマメジカを発見し、それにT. versicolorと命名した。

    このマメジカは発見から長い間オオマメジカの亜種だと見なされており、T. versicolorもオオマメジカの学名として扱われてきた。
    遺伝子解析によってベトナムマメジカが独立種になったのは2004年のことだか、15年間見つかっていないベトナムマメジカは既に絶滅したと考えられていた。

    その後、2008年にベトナムマメジカは「失われた25の最重要種」の1つに選ばれ、研究者らによる重点的な捜索が行われた。
    そしてそれから11年が経った2019年、遂にトラップカメラで生きたベトナムマメジカを撮影することに成功した。
    最後に確認されてから30年越しの再発見となった。

  • 53新種生物紹介人22/09/21(水) 15:24:35

    ホエジカはキョンを含む小型のシカの仲間で、中国から東南アジア、インドにかけて12種が知られている。

    繁殖力旺盛なキョンのイメージからすると意外だが、多くのホエジカは絶滅の危機に瀕している。

    メコン川流域はホエジカの多様性の中心地であるが、姿を見るのは極めて難しく、生態や個体数はよく分かっていない。


    和名・・・ゴンシャンホエジカ

    学名・・・Muntiacus gongshanensis

    1990年発見


    雲南省からミャンマーにかけて、メコン川上流域に生息するホエジカ。狩猟によって絶滅寸前だと考えられていたが、最近の研究によって思ったより個体数がいることが分かった。


    和名・・・ルーズベルトホエジカ

    学名・・・Muntiacus rooseveltorum

    1929年発見


    謎だらけのホエジカ類でも特によく分かっていない種類。初めて発見されてからのが1929年で、そこから2014年まで80年以上記録が無く絶滅したと考えられていた。


    和名・・・アンナンホエジカ

    学名・・・Muntiacus truongsonensis

    1997年発見


    ベトナムのチュオンソン山脈の固有種だが、生息域の大部分がルーズベルトホエジカと重なる。ホエジカ科の最小種で、キョンよりもひと回り小さい。


    和名・・・オオツノホエジカ

    学名・・・Muntiacus vuquangensis

    1994年発見


    ベトナム、ラオスなどメコン川中流域に生息するホエジカ科の最大種。最近になってカンボジアにも生息することが分かった。

  • 54新種生物紹介人22/09/22(木) 02:35:01

    シシバナザル類は中国南部からミャンマー、ベトナムにかけて生息する草食性の大型のサルで、その全てが希少種である。
    ジャングルの奥地やカルスト台地、3000m以上の高地など人里離れた場所に生息する。
    孫悟空のモデルとして有名なキンシコウもシシバナザルの1種である。

    和名・・・ウンナンシシバナザル
    学名・・・Rhinopithecus bieti
    1897年発見

    雲南省の標高3000〜4500mの山岳地帯の針広混交林に生息するシシバナザル。人間以外の霊長類で最も高い標高に生息する種類で、知られている最高標高記録は4700mである。
    ウンナンシシバナザルのヘモグロビンは独特で、低酸素環境下に高い耐性を持つ。

    ウンナンシシバナザルの生息域は1年を通じて冷涼な気候で、葉や果実といった食料が常に不足している。
    そのためウンナンシシバナザルは他のシシバナザルとは違い、年間を通じて大量に手に入る地衣類を主食にしている。
    地衣類は栄養が乏しいだけでなく、多くの動物にとって有害な成分も含んでいる。しかし、ウンナンシシバナザルは有害な物質を分解する独自の消化酵素によってこの問題を解決している。

    このサルは19世紀末に新種記載されたが、それから100年間はほとんど何も知られていなかった。
    本格的な研究が進んだのは20世紀末から。

    現在の総個体数は1600〜1800頭。

  • 55新種生物紹介人22/09/22(木) 02:54:33

    和名・・・トンキンシシバナザル
    学名・・・Rhinopithecus avunculus
    1912年記載

    ベトナム北部の石灰岩地域に点在する熱帯常緑樹林にのみ生息する超希少種。世界で最も希少な霊長類の1つ。

    1912年に記載されてから絶滅したと考えられていたが、1989年に奇跡的に再発見された。
    それ以来、国際的な注目と熱心な保護活動が続けられているが個体数は減少の一途を辿っている。

    現在の個体数は80〜100頭。

  • 56新種生物紹介人22/09/22(木) 03:20:51

    和名・・・ミャンマーシシバナザル
    学名・・・Rhinopithecus strykeri
    2011年発見

    ミャンマー北部と雲南省の固有種で、春から秋は標高3000mの温帯混交林に生息し、冬になると雪を避けて標高1700m辺りまで下る。

    この種に限ったことではないが、シシバナザルは唇が分厚く、鼻は短くて上を向いている。それゆえ雨が降ると雨水が鼻に入ってクシャミが止まらなくなる。それでシシバナザルは雨が降ると頭を膝の間に挟み込んで、雨が止むのを待つ面白い習性がある。

    2010年代にもなって新種の大型動物が見つかるのは本当に驚くべきことであるが、本種も生息域の破壊や密猟によって危機的状況にある。
    推定個体数はミャンマーに260〜330頭、中国に180〜200頭。

  • 57二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 03:23:25

    なんか深海の大きなイワシの新種が見つかってヨコヅナ言われてなかったっけ?

  • 58二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 03:25:34

    このレスは削除されています

  • 59新種生物紹介人22/09/22(木) 03:27:49

    >>57

    イワシと付くけどイワシじゃないヨコヅナイワシですね

    メコン川とマダガスカルが終わって一段落ついたら、日本産と海洋生物に本格的に取り掛かる予定なのでご期待ください!

  • 60新種生物紹介人22/09/22(木) 04:07:26

    質問・リクエストは随時募集してます
    紹介してほしい生き物・分類群があれば気軽にお声がけください(カエルとかヤモリとかで十分です)
    その他にも動物に関する質問であれば可能な限りお答えします

    メコン川はもう少し続きます

  • 61二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 04:22:44

    蜘蛛貼っていい?

  • 62新種生物紹介人22/09/22(木) 04:27:16

    >>61

    新種であれば

    自分はピーコックスパイダーと青いタランチュラをいずれ貼るつもりでした

  • 63二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 04:46:27

    コレ系で性質の解明は最近でも命名自体は古いのを新種と呼んでたりする罠

  • 64新種生物紹介人22/09/22(木) 04:49:57

    >>63

    亜種だと思われてた生物が新「種」に昇格した場合、亜種小名が種小名に昇格します

    新種になったのが最近でも、学名が付けられた年が古い生物はだいたいこのパターンです

  • 65二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 05:33:36

    めちゃくちゃおもしろい
    メコン川周辺そんなに新種が多いんですね
    メコン川が終わったら大型爬虫類の新種もお願いします

  • 66二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 16:35:49

    このレスは削除されています

  • 67新種生物紹介人22/09/22(木) 16:38:22

    和名・・・スカイウォーカーフーロックテナガザル
    学名・・・ Hoolock tianxing
    2017年記載

    フーロックテナガザルは中国の雲南省からインドのアッサム州にかけて生息する原始的なテナガザルである。
    スカイウォーカーフーロックテナガザルは、ミャンマーと雲南省南西部の山岳地帯にのみ生息する固有種。

    熱帯の雲南省といえど、彼らの生息する標高2700m帯は1年を通じて冷涼な気候で、年平均気温は13℃で冬には気温が5℃~2℃にまで下がる。降雪も珍しくなく、テナガザルの中て最も寒い地域に生息する種として知られている

    元々はヒガシフーロックテナガザルの亜種だと見なされていたが、歯の形状や体毛の色、そして遺伝的特徴から2017年に新種記載された。

    この新種記載した研究者はスター・ウォーズの大ファンで、この新種のテナガザルにルーク・スカイウォーカーにちなんだ名前を付けた。
    種小名のtianxingとは「天行」、つまりスカイウォーカーのピンイン読みである。

    個体数は150頭未満。
    世界で2番目に数の少ないテナガザルである。

  • 68二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 10:21:55

    きっと新種だとも認識されずに絶滅していった動物たちたくさんいるんだろな

  • 69新種生物紹介人22/09/23(金) 14:14:24

    和名・・・キタホオジロテナガザル
    学名・・・ Nomascus leucogenys

    和名・・・ミナミホオジロテナガザル
    学名・・・ Nomascus siki
    共に2011年新種記載

    クロテナガザル属はテナガザルの中で最も分類が混乱している一群である。現在は7種類と4亜種が知られているが、20世紀の半ばまでクロテナガザルだけを含む単一の属だと考えられていた。

    ホオジロテナガザルも2001年になってクロテナガザルから独立した新種なのだが、それから10年後にさらに2種類に分かれることが判明した。

    キタホオジロテナガザルは雲南省 (現在は絶滅)からベトナム北部とラオス北部に、ミナミホオジロテナガザルはベトナム中部とラオス中南部にかけて生息するが、両者は非常によく似ている。
    成熟したオスは顔の模様の微妙な違いから見分けることは可能であるが、メス同士を見分けるのはほぼ不可能である。

    このことから、現在でも2種は別種の関係ではなく亜種の関係だとする説もある。

  • 70二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 14:15:59

    あ、絶滅動物の人のスレか!前スレ見てたよ〜

  • 71新種生物紹介人22/09/23(金) 14:47:07

    和名・・・アンナンキホオテナガザル

    学名・・・Nomascus annamensis

    2010年発見


    ベトナム、カンボジア、ラオスの季節性亜熱帯多雨林に生息するテナガザル。

    近縁種のキホオテナガザルに酷似するが、仲間とコミュニケーションする際に用いる「歌」のメロディーが異なる。

    このことに疑問を抱いたドイツ霊長類研究センターの科学者が調査を進めたところ、新種であることが判明した。

    既知のテナガザルで最も小さい。


    テナガザルの例に漏れずこの種も絶滅寸前種である。


    和名・・・カオヴィットカンムリテナガザル

    学名・・・Nomascus nasutus

    2002年再発見


    1960年代を最後に45年間も目撃情報が途絶えており絶滅したと考えられてきたが、2002年にベトナムのカオバン省チュンカン地区のカルスト林で偶然発見された。

    2006年には中国の広西省の小さな森林でも見つかった。

    推定される個体数は135頭。

  • 72新種生物紹介人22/09/23(金) 14:55:02

    >>70

    随分前のことをまだ覚えてくれて嬉しいです

    前回はハワイミツスイを全部紹介する前に不慮のスレ落ちを経験し、しばらく執筆のモチベーションが上がりませんでした


    そこから半年の充電期間を経て、今度は絶滅した生物だけでなく新種の生物の情報を少しずつ集めて帰ってきました


    一部、前回で紹介しきれなかった生物も紹介すると思いますので、絶滅生物と併せて読んで頂けると幸いです

  • 73新種生物紹介人22/09/23(金) 15:52:29

    和名・・・ポパラングール

    学名・・・Trachypithecus popa

    2020年記載


    ミャンマー中部のポパ山周辺の固有種。

    ロンドン自然史博物館に収蔵されていた1世紀以上前の標本を調査したところ、ラングール属の未記載種であることが判明した。


    そして2018年にポパ山で採取されたサルの糞から抽出されたDNAが標本のものと一致し、この種がまだ野生下に残っていることが分かった。


    現存する個体数は199〜250頭。


    和名・・・ベトナムイタチアナグマ

    学名・・・Melogale cucphuongensis

    2011年発見


    2005年と2006年に採集された2体の標本しか知られておらず、詳しい生態は不明。


    和名・・・オルロフモグラ

    学名・・・Euroscaptor orlovi


    和名・・・クズネツォフモグラ

    学名・・・Euroscaptor kuznetsovi

    共に2016年記載


    中国南部からベトナム中部にかけて生息するとされていたハシナガモグラの2つの隠蔽種。

    名前はロ‌シア科学アカデミーの動物学者への献名。

    ちなみに2012年にもベトナムモグラ(Euroscaptor subanura)が新種記載されている。

  • 74二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 18:37:09

    こういうスレ大好き…(恍惚)

  • 75二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 19:20:35

    説明文章が上手くて読みものとしても楽しいなこのスレ

  • 76新種生物紹介人22/09/24(土) 03:38:48

    和名・・・ハゲガオヒヨドリ

    学名・・・Nok hualon

    2009年発見


    ラオス中央部のカルスト台地に固有の風変わりなヒヨドリ。

    頭部の羽毛が少ない理由は不明。


    和名・・・グエンヴァンサンヘビ

    学名・・・Coluberoelaps nguyenvansangi

    2009年発見


    歯も毒も持たないベトナム固有の地中性ヘビ。

    数多くの新種を発見したベトナム人爬虫類学者グエン・ヴァン・サンへの献名。


    和名・・・ドラキュラミノー

    学名・・・Danionella dracula

    2010年発見


    2cmにも満たない極小サイズのコイ科の淡水魚。

    実験のモデル生物や観賞魚としても有名なゼブラダニオに近縁の魚。

    一見すると弱々しい小魚だが、電子顕微鏡で顔を覗くと印象は一変する。


    この魚の先祖は進化の過程で一度歯が退化したが、ドラキュラミノーは上顎の骨から再び牙を発達させていった。

    これはオスだけに見られる特徴で、メスを巡った争いにこの牙を用いると考えられている。

  • 77新種生物紹介人22/09/24(土) 03:44:22

    和名・・・ゴーヴァントリバタフライアガマ
    学名・・・Leiolepis ngovantrii
    2009年発見

    単為生殖によってメスだけで殖えるトカゲ。
    世界に4000種以上いるトカゲのうち、単為生殖を行うのはハシリトカゲやイボヨルトカゲ、オガサワラヤモリなど全体の1%未満と言われている。

    この種はベトナムでは普通種であり、ごく当たり前に食べられている食材でもあるため、逆に誰もこの種を調べようとはしなかった。

    実際、新種として記載されるきっかけを作ったのは、2009年にベトナム科学技術アカデミーのゴー・ヴァン・トリがベトナム南部のレストランで生きた個体を目にしたことである。

    全てのトカゲが同じに見えるくらい非常に似ている事に疑問を抱いたゴーは、知人の研究者のL・リー・グリズマーとその息子のL・ジェシー・グリスマーにこの奇妙なトカゲの画像を送った。

    グリズマー親子は、その特徴からバタフライアガマに属するトカゲのようだが、雌雄ではっきり色の異なるバタフライアガマ属にしては色が同じ個体しかいない事に気づき、単為生殖をおこなう珍しい爬虫類ではないかと考えた。

    グリズマー親子はホー・チ・ミンに飛び、そのレストランに生きた個体の電話予約を入れたが、店主が酒に酔って予約を忘れてしまい、オートバイで8時間かけてレストランに到着した頃には全てが調理されていた。
    幸い、あまり珍しいトカゲではなかったため、すぐに同じ種を扱う別のレストランが見つかった事や、地元の小学生が捕獲に協力してくれた事もあり、最終的に約70匹の個体を採集できた。
    その個体は全て雌であり、腕部の大きな鱗と趾下薄板の特徴から新種であると判明した。

    こうして、このバタフライアガマは新種だということが証明され、2010年にゴー・ヴァン・トリに献名された新種として発表された。

  • 78二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 16:01:06

    最近母乳出す性質が発見されたハエトリグモ貼ろうかと思ったけど種の発見自体は昔だった

  • 79二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 01:29:11

    良スレage

  • 80新種生物紹介人22/09/27(火) 08:39:53

    和名・・・コラートオオクチガエル

    学名・・・Limnonectes megastomias

    2008年発見


    タイ東部から発見された新種のクールガエル。

    オスは下顎に牙が発達しているのが特徴で、繁殖期のオス同士はメスを巡って激しく争う。

    獰猛で貪欲なハンターであり、時には鳥をも捕食する。


    和名・・・ナンガンモリチメドリ

    学名・・・Stachyris nonggangensis

    2008年記載


    中国広西省とベトナムの国境近くの限られた範囲にだけ生息する希少種。

    2005年に初めて採集され、2008年に記載された。


    和名・・・ライムストーンムシクイ

    学名・・・Phylloscopus calciatilis

    2010年発見


    ベトナム北部からラオス、雲南省にかけて広がるカルストに固有のムシクイ類。

    石灰岩地で独自の進化を遂げた鳥はハゲガオヒヨドリ(>>76)など、世界的に見てもあまり例がなく貴重である。

  • 81新種生物紹介人22/09/27(火) 08:53:04

    和名・・・サイケデリックゲッコー

    学名・・・Cnemaspis psychedelica

    2010年発見


    ベトナム最南端に位置するホン・コアイ島 (4k㎡)とホン・トゥオン島 (300㎡)の固有種。

    世界で最も生息域の狭い爬虫類である。

    新種記載される前後でペット目的の乱獲が進んだが、現在はベトナム政府によって研究以外の一切の捕獲・採集は禁じられている。

    個体数は500あまりで安定しているが、逃げ出した外来種のサルが最大の脅威となっている。


    サイケデリックゲッコーの国際保全プロジェクトはドイツとベトナムが中心となって始動している。

    ベトナム南部には繁殖センターが建設され、欧米でもケルン動物園が中心となって繁殖計画が進められている。


    和名・・・ホンコアイリス

    学名・・・Callosciurus honkhoaiensis

    2018年発見


    サイケデリックゲッコーの発見によってホン・コアイ島は2010年に世界中から注目を浴びたが、それから8年後の2018年に再び世界から注目される発見があった。


    きっかけは欧米からの支援を受けて2017にホン・コアイ島で行われた大規模な生物調査である。

    この調査は成功を収めたが、中でも最大の発見はこの島固有のリスの発見だった。


    たった4k㎡しかない小島で新種の哺乳類が発見されることは未だかつて例がなく、これは世界中の動物学者に衝撃を与えた。


    現在、島は森林伐採や観光地化が進んでおり、ヤモリやリスに適した環境はどんどん減っている。

  • 82新種生物紹介人22/09/27(火) 09:26:34

    >>65

    和名・・・ミャンマーアカニシキヘビ

    学名・・・Python kyaiktiyo

    2011年発見


    アカニシキヘビは太く短い体型が特徴の中型のニシキヘビである。

    成長しても1.5〜1.8mとニシキヘビの中ではそれほど大きくなる種類ではないうえに、ニシキヘビらしくない寸胴な体型、そして飼育のしやすさや多彩なカラーモルフなどから愛好家に人気のある種類である。


    従来知られていたのはマレー、スマトラ、ボルネオの3種類だったが、タイとミャンマーにかけて生息している個体群が新種と認められた。


    生息地の情勢的な不安とペットとしての乱獲が危惧され、発見された翌年の2012年に危急種に指定された。

  • 83新種生物紹介人22/09/27(火) 10:08:12

    和名・・・ストロベリードワーフダニオ

    学名・・・Boraras naevus

    2011年発見


    タイ固有のダニオの仲間。

    鮮やかな色彩で観賞魚としても人気がある。


    和名・・・スペオラベオ・ムセイ

    学名・・・Speolabeo musaei

    2011年発見


    メコン川の地下支流で発見された目が退化したコイの1種。


    和名・・・ヴァンパイアトビガエル

    学名・・・Vampyrius vampyrus

    2010年発見


    ベトナム南部で見つかった樹上性のカエルで、危機が迫ると大きな皮膜を拡げて滑空する。

    このカエルのオタマジャクシには黒く硬い釣り針のようなキバがあるため、それにちなんでヴァンパイアと名付けられた。


    和名・・・ウタゴエヤブガエル

    学名・・・Gracixalus quangi

    2011年発見


    北ベトナムの山間部から発見された新種のカエル。

    知られている殆どのカエルは定型化された歌をひたすら繰り返すが、このカエルは毎回新しい歌を即興で創り出す。

    同じ歌は1つとして無く、オスそれぞれが様々な音を異なる順序でミックスする。

  • 84新種生物紹介人22/09/27(火) 11:22:13

    和名・・・パウリナイワネズミ

    学名・・・Saxatilomys paulinae

    2005年発見


    和名・・・ダオバンティンイワネズミ

    学名・・・Tonkinomys daovantieni

    2006年発見


    ベトナムやラオスに広がるカルスト台地で見つかった新属新種のネズミ。

    ラオスイワネズミ (>>44)はカルストで密かに生き残っていた古い系統のネズミだったが、この2種は新しい系統のネズミがカルストの環境に適応するため属レベルの進化を遂げたものであり、似ているようで実は真逆のネズミである。


    パウリナイワネズミ


    ダオバンティンイワネズミ


    和名・・・ビルマハシナガチメドリ

    学名・・・Napothera naungmungensis

    2005年発見


    ミャンマーの山奥の村で発見された大珍品。

    チメドリ科はアジアで多様な適応放散を遂げた一大グループであるが、ハシナガチメドリ属はその中でも特にユニークな見た目をしている。


    この新種は生息地ではかなり一般的な種類であるが、その生息地というのがヒマラヤ山脈の麓にある秘境であるため生体写真はこの1枚しか知られていない。

  • 85新種生物紹介人22/09/27(火) 12:11:48

    和名・・・アイレスハンツマンスパイダー

    学名・・・Sinopoda scurion

    2012年発見


    目が退化した洞窟性のアシダカグモ。

    目が退化したクモはハワイの洞窟から既に1種が知られていたが、アシダカグモとしては初となる記録である。


    和名・・・ヘレントビガエル

    学名・・・Rhacophorus helenae

    2012年発見


    ホー・チ・ミン近郊から発見された新種のトビガエル。

    卵巣がんと闘病中の発見者の母親に献名された。


    和名・・・カンボジアサイホウチョウ

    学名・・・Orthotomus chaktomuk

    2013年記載


    2009年にカンボジアの首都プノンペンで、鳥インフルエンザの検査中に偶然発見された鳥。

    発見から3年後に本格的な調査が始まり、2013年に晴れて新種として認められた。

  • 86新種生物紹介人22/09/28(水) 02:51:29

    和名・・・ファロステサス・クーロン

    学名・・・Phallostethus cuulong

    2012年記載


    頭部に生殖器と肛門を持つことで知られる男根魚こと、トウゴロウメダカの新種。

    2009年7月に日本人研究者がメコン川支流の運河でこの魚を発見した。


    トウゴロウメダカのオスは、口の下にプリアピウムという非対称で複雑な構造をした交尾器官を持っている。


    プリアピウムはオスの腹びれの骨格が変化したもので、「左利き」のオスは顔の左側にプリアピウム、右側に肛門が開口する。一方「右利き」はその逆で、顔の右側にプリアピウム、左側に肛門が開口している。

    多くの種において、「左利き」と「右利き」の割合はほぼ同じであることが分かっている。


    トウゴロウメダカの頭部に生殖器がある理由は長年不明だったが、その理由は独特の生殖様式にある。

    トウゴロウメダカは少数派の体内受精するタイプの魚であるのだが、生殖器が尾部にあるより頭部にある方が様々な点で優れているのだという。


    まず尾部に生殖器があると、交尾中に移動するのが難しく捕食されるリスクが大きい。

    トウゴロウメダカはその場に留まることなく、泳ぎながら交尾ができる数少ない魚である。


    そうして移動できることによって、時間を掛けて交尾することも可能になる。

    魚の交尾や体外受精は一瞬で終わるものが大半であるが、トウゴロウメダカは例外的に交尾時間が長い。

    これによって受精率を高めることができ、一度の交尾で最大限の子孫を残すことができる。


    トウゴロウメダカはこの優れた繁殖戦略と高い環境適応力によって、生息地だとあらゆる水環境で見ることができる。

  • 87新種生物紹介人22/09/28(水) 04:16:42

    和名・・・トトロカギムシ

    学名・・・Eoperipatus totoro

    2013年記載


    2007年にベトナムで発見された新種のカギムシ。

    トトロではなく、「トトロ」に登場するネコバスにその見た目が似ていることからトトロという学名が付いた。


    和名・・・サメハダヤブガエル

    学名・・・Gracixalus lumarius

    2014年発見


    ベトナムのゴックリン山の標高1845〜2160mにある原生林と竹林にしかいない珍しいカエル。

    背中にたくさんある小さな円錐型のトゲが特徴。

    繁殖は竹や木の洞に溜まった水溜まりで行う。


    和名・・・ヴィアフォンホソユビヤモリ

    学名・・・Cyrtodactylus vilaphongi

    2014年発見


    ラオスで見つかった新種のヤモリ。

    世界爬虫類データベースの記念すべき10,000番目。

  • 88新種生物紹介人22/09/28(水) 04:44:23

    和名・・・ディメンターゴキブリバチ

    学名・・・Ampulex dementor

    2014年発見


    オクトパミン受容体の働きを阻害する毒をゴキブリに打ち込み、生きたまま動けなくした状態で巣に持ち帰って産卵する寄生バチ。

    その様子がまるで「ハリー・ポッター」シリーズに登場するディメンターのようであったことから、ディメンターゴキブリバチと命名された。


    和名・・・イェントゥオオナナフシ

    学名・・・Phryganistria heusii yentuensis

    2014年発見


    ベトナム北東部から発見された新亜種の巨大ナナフシ。

    世界で2番目に長い昆虫として知られていて、その体長はなんと32〜34cm、脚を伸ばすと52cmを越す。


    2014年は巨大ナナフシの当たり年で、メコン川では他にも2種類が発見され、中国ではさらに巨大な種類が見つかった。


    和名・・・プーケットクシトカゲ

    学名・・・Acanthosaura phuketensis

    2015年発見


    観光地として世界的に有名なタイのプーケット島の断片化された森林から発見されたクシトカゲ。


    観光地にも新種が眠っているという大メコン地域の生物多様性の高さを感じさせるニュースであるが、この種は生息地の急激な減少とペット目的の乱獲によって極めて危機的な状況にある。

  • 89新種生物紹介人22/09/28(水) 05:25:52

    和名・・・シロクビタカチホヘビ

    学名・・・Parafimbrios lao

    2015年発見


    ラオスで発見された新種のタカチホヘビ。

    普段は地中でミミズなどを食べて暮らしている。


    和名・・・クリンゴンイボイモリ

    学名・・・Tylototriton anguliceps

    2016年発見


    「スタートレック」に登場するクリンゴン人に見た目が似ていることからそう呼ばれている。


    和名・・・コラートニシクイガメ

    学名・・・Malayemys khoratensis

    2016年記載


    タニシなど巻貝を専門に食べる変わったカメ。

    最近の研究でタイ北部のコラート湿原とラオスのビエンチャン地域のニシクイガメは他地域のニシクイガメとは別種であることが判明した。


    和名・・・ベトナムワニトカゲ

    学名・・・Shinisaurus crocodilurus vietnamensis

    2016年記載


    ワニトカゲは中国南東部とベトナムの一部にしか残っていない貴重なトカゲである。

    そのベトナム産の個体群が中国産とは遺伝的に距離があることか分かり、亜種に昇格した。

    世界に200頭未満しかいないとされる。

  • 90新種生物紹介人22/09/29(木) 17:33:22

    和名・・・チャンナ・アウロフラメア

    学名・・・Channa auroflammea

    2019年記載


    インドから東南アジアに広く分布するコブラスネークヘッドのうち、メコン川産の個体群が最近になって新種として記載された。

    日本の水族館だとアクア・トトぎふで現在見ることができる


    和名・・・フタゴセダカヘビ

    学名・・・Pareas geminatus

    2020年発見


    セダカヘビは小型の半樹上性のナミヘビで、カタツムリを専門に食べる変わったヘビである。

    日本にも八重山諸島にイワサキセダカヘビが生息している。


    このヘビの分類は混乱していて、フタゴセダカヘビもハンプトンセダカヘビと同一種だと考えられていた。

  • 91二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 17:39:20

    >>82

    65です

    爬虫類やその他の生物の紹介ありがとうございます!

    知らない生物ばっかで読み進めるのがたのしい

  • 92新種生物紹介人22/09/29(木) 17:41:37

    >>91

    こういった応援コメントは執筆の大きなモチベーションとなるのでありがたいです

    実は大型爬虫類は本命があと2種類いるので、それも近いうちに紹介するつもりです

  • 93新種生物紹介人22/09/29(木) 17:45:59

    長かったメコン川編も終わりが近付き、残りは中編2本と長編1本を残すのみとなりました

    それが終わったらしばらくは特にテーマを決めずに新種生物を紹介するつもりです

    リクエストや質問は随時受け付けております

  • 94二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 14:40:33

    読んでてすごく楽しいので埋もれて欲しくないという気持ちと、レスしたらその分紹介される生き物が減ってしまうのではというジレンマ…

    本命爬虫類さんたちすごい楽しみです。

  • 95新種生物紹介人22/10/02(日) 01:01:21

    現在執筆に難儀してるので、代わりにボツにする予定だった三編を番外編として投稿します。


    和名・・・ジャイアントサーモンカープ

    学名・・・Aaptosyax grypus

    1991年発見


    メコン川にはメコンオオナマズなど巨大ナマズや巨大なコイのパーカーホ、世界最大の淡水エイなど数多くの巨大魚たちが暮らしている。

    しかし、メコン川周辺の都市開発やダム建設によってそうした巨大魚たちは大きく数を減らし、絶滅が強く危惧されている。


    ジャイアントサーモンカープは中でも特に希少な淡水魚で「メコン川の亡霊」の異名を持つ。

    全長は最大で1.3m、体重は30kgを超す大物だが、遊泳力が強く簡単に魚網に引っかかることから個体数は90%以上減少した。


    カンボジアでは絶滅したと考えられており、タイとラオスでも極めて稀な魚である。

    しかし、2022年6月28日にカンボジアで18年ぶりとなる成体が発見され、一躍大ニュースとなった。

  • 96新種生物紹介人22/10/02(日) 01:06:29

    和名・・・クロナキウサギ
    学名・・・Ochotona nigritia
    2000年発見

    中国の雲南省にいるとされる漆黒のナキウサギ。
    今まで4体の標本のみが知られる幻のナキウサギで、その存在そのものが疑われている。
    その後、遠く離れたインドで2匹の黒いナキウサギが見つかったとの報告があるが、詳細は不明。

  • 97新種生物紹介人22/10/02(日) 01:58:08

    和名・・・プラークラベーン
    学名・・・Urogymnus polylepis
    2012年改称

    メコン川やボルネオ島などの河川に生息する世界最大の淡水エイ。
    「ヒマンチュラ・チャオプラヤ」という学名は現在では無効名だが、こちらの名前の方が知名度が高いため現在でもよく使われている。

    メコンオオナマズやヨーロッパオオナマズ、ピラルクーと並んで世界最大の淡水魚の1つとされてきたが、2022年6月にメコン川で捕獲された個体は全長4m、幅2.2m、体重300kgにもなり、これまで知られていた淡水魚の世界最大記録を塗り替えた。

    飼育の難しい種類で、世界的に見ても飼育している施設はそう多くない。
    日本で見ることができるのは板橋区立熱帯環境植物館だけである。

  • 98新種生物紹介人22/10/02(日) 23:09:23

    和名・・・コープレイ
    学名・・・Bos sauveli
    1937年発見

    インドシナ半島の森林に生息する野生牛。
    ウシ類の進化を考える上で重要な種類と言われているが、専門家でも生きた個体を見ることは非常に稀であり、カラーの生態写真も殆ど残されていない。

    コープレイは80cmにもなる立派な角を持っている。この角の基部は水牛のように扁平で、先端にいくに連れて竪琴状に湾曲していく。
    メスの角の先は丸みを帯びているが、成熟したオスは角の先がささくれていることで見分けられる。
    また、胸の肉垂れがよく発達するのも特徴で、歳をとるにつれて肉垂れはより広く大きく肥大化していく。

    肉と角目当ての狩猟、ベトナム戦争による生息地の破壊、そして戦後の無秩序な農地開発の三重苦によって数は激減し、1970年には絶滅したとみられた。
    その後、ベトナムとラオス、カンボジアから不確かな目撃記録が相次いだが、それらも1988年以降は途絶えてしまっている。
    1994年には飛行機による大規模な捜索が行われたが、それでも見つからず生存は絶望視されている。

  • 99絶滅生物紹介人22/10/03(月) 00:10:33

    和名・・・ベトナムサイ
    学名・・・Rhinoceros sondaicus annamiticus
    2010年絶滅

    名前に「ジャワ」と付くことからジャワサイはジャワ島の固有種のように思われがちである。
    これはある意味では正しく、ある意味では間違っている。

    かつてジャワサイは中国南部からメコン川流域、バングラデシュとインド東部、そしてスマトラ島とジャワ島に広く生息していた。

    しかし、人間活動が盛んになるに連れて、各地のジャワサイの生息域は縮小していった。
    紀元前には中国からサイは消え、20世紀初頭ではインドから消滅し、第二次世界大戦中にスマトラ島とバングラデシュの個体群が絶滅した。

    メコン川流域の個体群もベトナム戦争時には既に絶滅したと考えられていたが、1988年にベトナムのカットティエン地方で少数が再発見された。

    しかし、保護の試みは大失敗し、再発見から20年後の2009年にはたった1頭のメスだけになってしまった。
    そして2010年、残された最後の1頭が密猟者に射殺されたことで、ベトナムサイは地球上から完全に絶滅してしまった。

  • 100二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 08:21:38

    >>99

    せっかく再発見されても保護が上手くいかずに絶滅しちゃうこともあんだな…

  • 101二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 08:26:39

    >>100

    まあ密猟者なんて欲に動かされてるんだから止めるなんて無理だろうしな…

  • 102新種生物紹介人22/10/03(月) 22:10:24

    和名・・・リンドン (クッティング・ヴォア)
    学名・・・Pseudonovibos spiralis
    1994年発見

    ベトナム中部とカンボジア北西部に生息しているとされるウシ科の動物。
    ちゃんと学術的に報告された種だが、その実態は未確認動物に近い。

    リンドンは1994年にベトナムで得られた12頭分14本の角に基づいて新種記載された。
    1997年にはカンボジアから6頭分9本の角が追加で得られた。
    さらに中国の古文書からも本種によく似た動物の記述が見つかっている。

    黒い角は竪琴状で、先端部はねじれて細くなる。角の大きさと形状には個体差が大きい。
    角の断面も円形のものと三角形のものの2種類があるが、これらが別種なのか性差なのかは不明である。
    現地での古い言い伝えによると、本種の角は毒ヘビに噛まれたときの解毒剤になるという。

    1994年に最初に報告されてから生きたリンドンを見た者は1人もいない。
    最初から実在しない動物なのかもしれないし、もう既に絶滅した動物なのかもしれない。
    どちらにしても真相は闇の中である。

  • 103新種生物紹介人22/10/03(月) 23:34:58

    動物学において今世紀最大の発見はラオスイワネズミ (>>44)だった。

    では、20世紀における動物学最大の発見とは何だろうか?

  • 104新種生物紹介人22/10/03(月) 23:36:56

    和名・・・サオラ

    学名・・・Pseudoryx nghetinhensis

    1992年発見


    メコン川編の最後に紹介する動物は『アジアのユニコーン』とも呼ばれる幻の動物、サオラである。


    大メコン圈では毎年多くの新種生物が記載されているが、サオラはそれらの発見の原初にして象徴ともいえる存在である。


    1992年5月、ベトナム林業省とWWFの合同チームがブー・クアン国立公園で生物調査をしていた。

    その最中にチームが地元のハンターの家を訪ねたところ、細長くて先が尖った角を持つ見慣れない動物の頭蓋骨を発見した。

    チームはこの動物が非常に特別な種類であることを確信し、ウシ科の新種として1993年に発表した。

    そして翌年の1994年には初めて生きたサオラも見つかった。


    サオラ発見に前後して3種のホエジカ(>>53)やアンナンシマウサギ (>>51)、リンドン (>>102)といった新種動物、そして絶滅していたと思われていた動物 (>>54>>55>>99)が続々と発見された。

    だが、サオラ発見の衝撃は頭一つ抜けており、日本を含む世界中で大々的に報道された。


    ここまで紹介してきた希少種の例に漏れず、サオラも見つけるのが非常に難しい動物である。

    ベトナムでは1998年、隣国ラオスでは1999年を最後にサオラは長らく見つからなかったが、2013年にベトナムで10数年ぶりに生きた個体がセンサーカメラで撮影された。


    サオラの正確な個体数は不明であるが、数は減少しているとされる。

    地球上で最も希少な大型動物の1つ。

  • 105新種生物紹介人22/10/05(水) 22:42:13

    >>65

    和名・・・ベネットオオトカゲ

    学名・・・Varanus bennetti

    2020年発見


    マングローブオオトカゲは北オーストラリア・メラネシアからミクロネシアまで西太平洋の島嶼部に広く生息するオオトカゲである。


    1930年以降、皮革や食肉目目当てに西太平洋の多くの島々にマングローブオオトカゲは放されてきた。

    そのためマングローブオオトカゲの正確な自然分布域は今日でもよく分かっていない。

    特にミクロネシア地域のオオトカゲはドイツや日本統治時代に移入された外来種だと考えられて駆除が進んだ。


    しかしDNAを調べて見たところ、パラオやミクロネシア連邦のマングローブオオトカゲは他の地域のものとは異なることが判明し、新種として記載されるに至った。


    和名・・・ネストロフオオトカゲ

    学名・・・Varanus nesterovi

    2015年発見


    イランとイラクの国境地帯に固有のオオトカゲ。

    ずっとサバクオオトカゲの亜種だと思われていたが、調べてみたら新種だった。


    和名・・・シエラマドレオオトカゲ

    学名・・・Varanus bitatawa

    2010年発見


    オオトカゲは基本的に獰猛な肉食動物だが、グレイオオトカゲ属は例外的に果実食で、パンダンヤシの実を好んで食べる。


    この近縁種のオオトカゲは樹上生活に適応した結果、1日の大半の時間を地上20m以上で過ごすという。

    地面に降りてくるのは1日30分ほど。

  • 106新種生物紹介人22/10/05(水) 23:27:24

    >>65

    和名・・・ピンクイグアナ

    学名・・・Conolophus marthae

    2009年記載


    ガラパゴスのイグアナと言えばリクイグアナとウミイグアナが有名だが、実はそれらに続く第3のイグアナがいる。


    その名もピンクイグアナ。

    イザベラ島のウォルフ火山の固有種で、94%の個体は標高1500m以上の高原に住んでいる。


    ピンクイグアナの住むウォルフ火山は火山活動が活発化しており、近年何度も噴火している。

    幸いなことにイグアナの生息域は今のところ無事だが、常に絶滅の瀬戸際にあることは変わりない。


    2021年の調査によると個体数は211頭。

    なお、幼体は確認出来なかった。

  • 107新種生物紹介人22/10/08(土) 14:14:52

    >>65

    和名・・・ミナミニューギニアワニ

    学名・・・Crocodylus halli

    2019年記載


    これまでニューギニア島に生息しているワニはニューギニアワニただ1種だと考えられていた。

    確かに、島の南北でワニの頭蓋骨の形状が異なることは知られていたが、それは種内変異の範囲内だと扱われてきた。


    ところが最近になってニューギニアワニの遺伝子を調べてみたところ、南北の個体群で形態だけでなく遺伝的にも大きな違いがあることがわかり、南部の個体群が新種として宣言された。


    かつてニューギニア島には同一のワニが広く生息していたが、300万〜800万年前にニューギニア高地が隆起したことで南北の個体群は分断され、それぞれ別の種に進化していったと考えられている。

  • 108新種生物紹介人22/10/10(月) 05:21:10

    【速報】

    つい最近、新種の海鳥が2種類発表されたという事なので紹介します


    和名・・・マクギリブレークジラドリ

    学名・・・Pachyptila macgillivrayi


    和名・・・ピラミッドクジラドリ

    学名・・・Pachyptila pyramidalis

    共に2022年発表


    クジラドリは亜南極の島嶼に広く繁殖するミズナギドリの仲間で、縁が櫛状になった嘴でナンキョクオキアミを濾し取って食べることからクジラドリの名が付いた。


    クジラドリは嘴の形状を除いてどの種も非常によく似ており、海上から識別するのはほぼ不可能とまで言われている。


    マクギリブレークジラドリは南大西洋のトリスタン・ダ・クーニャで繁殖するクジラドリで、ピラミッドクジラドリはNZのチャタム諸島の固有種である。

    前者はチュウヒロハシクジラドリ、後者はハシブトクジラドリの亜種だとされてきたが、遺伝子解析を行ったところ新種とするのが妥当だと判断された。


    マクギリブレークジラドリ


    ピラミッドクジラドリ

  • 109新種生物紹介人22/10/10(月) 22:47:24

    今日10月10日は『国際ハエトリグモの日』らしいのでピーコックスパイダーを紹介します。


    和名・・・クジャクハエトリグモ

    学名・・・Maratus


    ピーコックスパイダーは4〜5mm程のハエトリグモで、中国で見つかった1種を除いて全てオーストラリア、特に西オーストラリア州に固有である。

    オスの腹部背面には鮮やかな色彩の鱗粉や毛が板状や扇状に並び、その様子がまるでクジャクのようだったことからその名が付いた。


    ピーコックスパイダーは2022年8月現在で108種が記載されているが、実にその8割がこの10年で見つかった種類である。

    しかも未記載の種類はまだまだいるので種数は更に増えることが予想される。


    過去10年で発見されたピーコックスパイダーたち

  • 110新種生物紹介人22/10/12(水) 23:49:32

    和名・・・バンカスローロリス

    学名・・・Nycticebus bancanus


    和名・・・ボルネオスローロリス

    学名・・・Nycticebus borneanus


    和名・・・カヤンスローロリス

    学名・・・Nycticebus kayan

    共に2013年記載


    スローロリスは原始的な霊長類にして、毒を持つ唯一の霊長類である。

    かつては広大な範囲に生息する単型種であると考えられていた時期もあったが、現在では遺伝子解析によって2属9種に分割されている。


    その中でもボルネオ島のスローロリスが分類された経緯は複雑である。


    元々ボルネオ島のスローロリスは単一種のスンダスローロリスだと考えられていたのだが、2006年の分子解析に基づきスンダスローロリスからフィリピンスローロリスがとして独立した。


    それから7年後の2013年にはフィリピンスローロリスのうち、南西部とバンカ島の亜種がバンカスローロリス、中南部の亜種がボルネオスローロリス、中部及び北部の亜種がカヤンスローロリスへと昇格した。


    スローロリス類は北東インドからインドシナにかけてとボルネオ島、スマトラ島、ジャワ島及び周辺の島嶼に広く分布しているが、ペット目的や伝統医療目的の乱獲で急速に数を減らしており、全種が絶滅危惧種に指定されている。


    バンカスローロリス


    ボルネオスローロリス


    カヤンスローロリス

  • 111二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 17:00:12

    このレスは削除されています

  • 112新種生物紹介人22/10/14(金) 23:52:27

    和名・・・サクラメントバレーアカギツネ
    学名・・・Vulpes vulpes patwin
    2010年記載

    アカギツネは北半球に広く分布する汎存種だが、各地域ごとに遺伝的・形態的に差異があり、それに基づいて39〜46の亜種に細分化される。
    殆どの亜種は19世紀から20世紀の始めに記載されているのに対し、サクラメントバレーアカギツネが新亜種だと初めて認められたのは2010年のことである。

    北米大陸には9亜種の在来アカギツネが知られているが、それらはアラスカやカナダなど北方に生息する大型の4亜種と、西部の山岳地帯に生息する小型の5亜種に大別することができる。
    この2系統はそれぞれ別々の時期にユーラシア大陸から北米大陸に侵入したと考えられている。

    サクラメントバレーアカギツネはカリフォルニア州サクラメントの山地に固有の亜種だが、最近まで近縁のシエラネバダアカギツネと同一亜種だと考えられていた。
    両者は非常によく似ているが、シエラネバダアカギツネが標高の高い山岳地帯に生息するのに対して、サクラメントバレーアカギツネは低標高の乾燥草原に生息することで棲み分けている。

    本亜種は交通事故や逃げ出した非在来のアカギツネとの遺伝子汚染により将来的に絶滅する恐れが高いが、つい最近まで移入種だと考えられていたため保護が遅れている。

  • 113二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 15:06:46

    レス含めて知能が高いからアホな俺からしたらとても勉強になるスレ

    >>109

    クモってこんな鮮やかな種類あるのか…初めて知った

  • 114二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 19:19:56

    >>105

    外来だと思って駆除してたのが実は在来ってパターンもあるのか…調べてみないと分からんもんだな…

  • 115新種生物紹介人22/10/15(土) 23:14:32

    >>114

    上に挙げたキツネもその1例です。


    その他の例でしたらバハマアライグマ(Procyon lotor maynardi)がいますね。


    かつてバハマに生息するアライグマは大陸のものとは異なる種類だと思われていました。

    ところが、最近の研究で数百年前に人間によって持ち込まれた外来種だということが分かり、現在ではバハマ環境省によって根絶対象種に指定されています。


    一方で、グアドループアライグマ(P. l. minor)やトレスアリマスアライグマ(P. l. insularis)は外来か在来か専門家の間でも意見が割れています。


    外来種ならば島の貴重な動物を喰いあらす害獣ということになりますが、在来種ならば地球上に250〜300頭しか残っていない希少動物ということになります。


    さらにこの問題をややこしくすることに、大陸から非常に近い島にいるコスメルアライグマ(P. pygmaeus)が別種だと認められたり、バルバドスアライグマ(P. l. growralleni)が1960年代に絶滅してしまった事実があります。


    外来種を駆除する名目で貴重な動物を絶滅させるのは取り返しが付かず本末転倒ですが、逆に在来動物を保護した結果として、島の生物多様性が失われるのも由々しき事態です。


    世界に動物は数あれど、保護と駆除で板挟みに合ってるのはこのアライグマぐらいですかね。

  • 116二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:15:09

    更新あざっす

  • 117新種生物紹介人22/10/17(月) 22:04:19

    ピラルクーは最大で全長2.5m、体重は200kgを超えるアマゾンを代表する怪魚である。


    そんなピラルクーは経済的・文化的・科学的に重要な魚であるにも関わらず、分類は非常に混乱している。

    145年の永きにわたって、日本の数倍にもなる広大な生息域にArapaima gigas (以下、ギガス)という単一種のみが生息していると考えられてきた。


    和名・・・ピラルクー (レプトソーマ)

    学名・・・Arapaima leptosoma

    2013年記載


    最初に新種だと認められてピラルクーがこのA. leptosoma (以下、レプトソーマ)である。

    1847年にギガスが初めて新種記載されてから数種のピラルクーが記載されてきたか、それらは全てギガスのシノニムにされて無効名となった。


    レプトソーマは2001年にブラジルのソリモンエス川とプルス川の合流地点で捕獲された標本に基づいて記載された。

    レプトソーマは他のピラルクーに比べて細長い体型が特徴で、その他にも3つの点から他種と区別することが可能である。


    最近までピラルクーが1種しか認められていなかったのは大英博物館のアルバート・ギュンターに拠るところが大きい。

    19世紀の前半でギガスを含む4種のピラルクーが発表されたが、彼は1868年に全てのピラルクーをギガス1種に統合する意見書を発表した。

    彼の学説は科学的根拠に乏しいものだったが、誰もこの説に異議を唱えぬまま145年が経過してしまった。


    その後、ニューヨーク州立大学のドナルド・スチュワートが19世紀の文献を精査したところ、無効とされてきた3種はいずれも異なる種であることが示された。


    ピラルクーの分類はまだまだ分かってないことが多く、今後の研究次第では種類がさらに増えることが予想されている。

  • 118新種生物紹介人22/10/17(月) 23:48:13

    和名・・・ヴァリーデンキウナギ
    学名・・・Electrophorus varii

    和名・・・ボルタデンキウナギ
    学名・・・Erectrophorus voltai
    共に2019年記載

    デンキウナギもピラルクーと並んで有名なアマゾン川の怪魚であるが、こちらも最近になるまで単一種しかいないと考えられていた。

    しかし、ギアナ楯状地とアマゾン盆地、そしてブラジル楯状地の3つの個体群間で遺伝的・形態学的・生態学的に大きな違いが見つかり、新たに2種が記載されるに至った。

    ヴァリーデンキウナギはアマゾン川の上流から河口近くまで広く分布するデンキウナギで、おそらく水族館で見かけるデンキウナギの多くがこの種類である。
    3種のデンキウナギの中で最も最初に分岐した種類であると考えられる。

    ボルタデンキウナギは南部に生息する種類だが、一部地域ではヴァリーと生息域が重複している。
    この種類は最強のデンキウナギで、最大電圧は860Vに及ぶ。

    デンキウナギは南米北部に広く分布すると考えられていたが、この調査によると"デンキウナギ"として知られた種類は南米北東部の狭い範囲にしか生息しないことも合わせて判明した。

  • 119新種生物紹介人22/10/18(火) 00:24:37

    和名・・・メルムシ
    学名・・・Meru phyllisae
    2005年記載

    ベネズエラのアマゾン地区にある剥き出しの花崗岩の上を流れる急流に固有の極小サイズの水生昆虫。

    野生化だと浅くて広い水面や水際などでよく観察される一方、実験室だと大半の時間を水中に沈んだ枯葉の上で過ごしていたらしい。

    メルムシはゲンゴロウに比較的近縁の水生昆虫だが、現時点でメルムシ科はメルムシ1種しか知られていない謎の多い分類群である。

  • 120新種生物紹介人22/10/18(火) 02:40:05

    和名・・・ケープイワノボリゲンゴロウ
    学名・・・Aspidytes niobe
    2002年発見

    和名・・・シャンシーイワノボリゲンゴロウ
    学名・・・Sinaspidytes wrasei
    2003年発見

    イワノボリゲンゴロウは米粒とほぼ同じサイズの原始的なゲンゴロウの仲間である。

    古い昆虫の宿命と言うべきか種数は非常に少なく、たった2種類しか報告がない。
    しかも、その生息地がアフリカ大陸の南端と中国内陸部の陝西省という遠く離れた2ヶ所に隔離分布しているのが面白い。

    分布だけではなく生態もまた興味深い。
    多くのゲンゴロウが水中を遊泳して獲物を捕食するのと対照的に、イワノボリゲンゴロウはほぼ鉛直の岩壁を伝う厚さ数mmの水流に生息する。
    彼らは泳いだりすることはなく、常に水が滲み出している崖に空いた窪みや割れ目で生活している。
    危険が迫ると岩肌を素早く動いて、岩肌に生えた藻類の中に潜り込むという。

    そんな分布・生態ともに話題の尽きない昆虫ではあるが、残念ながら彼らの未来は明るくない。
    南アフリカではたった2ヶ所、中国では1ヶ所しか生息地がなく、絶滅の危機に瀕している。

  • 121二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 01:16:18

    保守!
    こういうスレ大好きだ

  • 122二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 00:21:15

    アマゾン川のいきもの大好き保守

  • 123二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 00:23:53

    >>113

    クモは基本的に視力弱いけどハエトリグモは視覚発達してるから雌に模様でアピールしたりするのがそこそこいる

  • 124新種生物紹介人22/10/20(木) 18:03:19

    お気づきの方もいると思いますが、10月に入ってから忙しくて更新がだいぶ滞ってます。
    月から水と土日はなるべく更新できるよう心掛けているのですが、木と金は更新するのが難しいため保守をお願いしたいです。

    生き物のリクエストは随時募集しています。

  • 125二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 17:15:57

    >>124

    保守がてらリクエストいいっすか?

    海の生き物が好きなので、魚でも貝でもそれ以外でも海に関する新種生物の解説が読みたいです!

  • 126二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 17:20:59

    保守

  • 127新種生物紹介人22/10/22(土) 22:23:09

    ギンザメ類は非常に古くからいるグループで、4億年前のデボン紀には既に化石が見つかっている。

    古生代から中生代にかけて全世界で大繁栄したが、現在では1目3科約50種が深海で細々と暮らしているに過ぎない。


    和名・・・アムステルダムギンザメ

    学名・・・Chimaera compacta

    2022年発見


    南インド洋に浮かぶ絶海の孤島、アムステルダム島の近海から最近見つかったばかりの新種のギンザメ。


    和名・・・オパールギンザメ

    学名・・・Chimaera opalescens

    2011年発見


    北大西洋で見つかった乳白色の美しいギンザメ。


    和名・・・ガラパゴスギンザメ

    学名・・・Hydrolagus mccoskeri

    2006記載


    ガラパゴス諸島近海の固有種。


    和名・・・ヤミギンザメ

    学名・・・Hydrolagus melanophasma

    2009年記載


    カリフォルニア沖の東太平洋で発見された漆黒のギンザメ。

    2008年にはNZでも新種の黒いギンザメが発見されている。

  • 128新種生物紹介人22/10/23(日) 00:27:52

    オオセはインド洋から西太平洋に生息するテンジクザメの仲間。

    見た目だけでなく習性もアンコウ類によく似ている。


    和名・・・ニシオーストラリアオオセ

    学名・・・Orectolobus hutchinsi

    2006年記載


    西オーストラリア州沿岸部の固有種。


    和名・・・ヒメクモハダオオセ

    学名・・・Orectolobus parvimaculatus

    2008年記載


    オーストラリア南西部で見つかった美麗種の小型オオセ。


    和名・・・アミメオオセ

    学名・・・Orectolobus reticulatus

    2008年記載


    オーストラリア北西部のキンバリーとダーウィンの沖合で見つかったオオセ科最小の種類。

    小型で繁殖周期が遅いがその分多産で、1度に最大37匹の子を出産する。


    和名・・・インドネシアオオセ

    学名・・・Orectolobus leptolineatus

    2010年記載


    ボルネオ島からフィリピン、琉球諸島にかけて生息する中型種。

  • 129新種生物紹介人22/10/23(日) 07:57:58

    英名の「エポーレットシャーク」でも知られるモンツキテンジクザメは「歩くサメ」として有名だ。

    オーストラリアからインドネシアにかけてのサンゴ礁で暮らすサメで、潮が引くとタイドプールに侵入して取り残された小魚や無脊椎動物を独占して捕食する。


    サメにはデボン紀以来4億年の歴史があるが、DNA解析によると1番最近になって誕生したグループがこのエポーレットシャークだという。


    エポーレットシャークは他の魚が避ける「サンゴ礁の潮だまり」という極限環境に適応するために、他のサメには見られない独特の進化を遂げていった。


    極めて高い無酸素耐性もその1つである。

    潮だまりでは酸素不足になりやすいのだが、エポーレットシャークは呼吸数や心拍数を減らし、さらに脳の活動も弱めることで、無酸素環境でも1時間以上生存することができる。


    他にも、潮だまりから潮だまりへと胸ビレと腹ビレを使って歩くこともできる。

    「歩く魚」なら他にもトビハゼやヨダレカケなど沢山いるが、それらは胸ビレしか使わないのに対して、エポーレットシャークは腹ビレも使うことでサンショウウオのような四足歩行を実現した。

    四足歩行する魚類はデボン紀のアカントステガ以来になるという。


    こうした数多くの特殊能力をフル活用することによって、エポーレットシャークはわずか900万年という短期間で10種以上に種分化することに成功した。

    まだ知られていない種類も多いと考えられていて、今後ますます種類が増えていくことが予想されている。


    和名・・・ハルマヘラモンツキテンジクザメ

    学名・・・Hemiscyllium halmahera

    2013年記載


    和名・・・センデラワシモンツキテンジクザメ

    学名・・・Hemiscyllium galei

    2008年記載


    和名・・・ヒョウモンツキテンジクザメ

    学名・・・Hemiscyllium michaeli

    2010年記載

  • 130二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 08:01:28

    更新乙
    這うサメってなんかかわいく見えるわ実際の危険性はともかく
    ホオジロザメとかより猫っぽいデザインのせいで

  • 131二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 21:29:31

    125です!
    サメいっぱいありがとうございます…!海の生き物の中でもサメが一番好きだとなぜバレたんだ…
    ヤミギンザメは初めて見ました…美しい……

  • 132新種生物紹介人22/10/23(日) 23:17:12

    >>131

    海水魚の新種を各分類群から取り上げて紹介してみようと思ったのですが、自分の知識が思った以上に軟骨魚類とタツノオトシゴに偏っていることに気づいたため、この先はWorld Register of Marine Species (WoRMS) が毎年発表している『10 Remarkable New Marine Species』他の翻訳・紹介でもしてお茶を濁そうかなと思います。


    私が得意としている分野は両生類・爬虫類・哺乳類・鳥類で、それ以外の魚類や無脊椎動物、植物などに関しては勉強中の身ですので、正確ではない表現が見られるかもしれません。

    伝える情報に間違いが無いよう心掛けておりますが、その点ご理解ください。


    P.S.

    この記事の翻訳作業と平行して、私自身も海洋の新種生物の情報の蒐集も続けております。

    遠い先のことになると思いますが、私が0から集めた海洋生物の新種情報もいずれお伝えできるかもしれません。

  • 133新種生物紹介人22/10/24(月) 00:47:19

    2008年から約10年間、『ニューヨーク州立大学国際生物種探査研究所 (ESF) 』は毎年、その前年に新種記載された生物の中から特にユニークで興味深い生物10種を選出する催しを行なっている。
    その10種には海洋生物は毎年1〜2種程しか選出されていなかった。

    他方で、世界最大の海洋生物データベースである『世界海洋生物種名目録 (WoRMS) 』は2018年に設立10周年を迎えることになった。
    そこで10周年を記念して、ESFにならってその前年に記載された新種の海洋生物10種を選定し、3月19日の『世界分類学者感謝デー』に発表するようになったのである。

    最初となった2018年は本家にならって2007〜2017年までに記載された海洋生物と2017年に記載された海洋生物の2つのリストが作成された。

    【10 Astrounding Marine Species of the Last Decade (2007〜2017) 】

    和名・・・タテゴトカイメン
    学名・・・Chondrocladia lyra
    2012年記載

    モントレー湾水族館研究所による調査でカリフォルニア沖の水深3300m付近の海域で発見された肉食性の海綿動物。

    タテゴトカイメンは放射相称で、体の中心部から伸びた1〜6本のストロンから垂直枝が多数伸びている構造をしている。
    この垂直枝は中心部から末端に行くにつれて短くなっており、結果として全体が竪琴のように見える。
    垂直枝の先端には球状の構造があり、これで流れてくる甲殻類などの小動物を捕まえてじっくり消化・吸収していく。

    外見・生態共に非常に奇妙であることから一般での知名度も比較的高い。
    ESFとWoRMS両方のリストに選ばれている唯一の生物でもある。

  • 134新種生物紹介人22/10/26(水) 00:08:33

    和名・・・バシへディレ・ボウケッティ

    学名・・・Bathyhedyle boucheti

    2016年記載


    2009年にモザンビーク沖の水深260m帯と水深440m帯で採集されたウミウシ。

    このウミウシはアコクリディアン科に見られる特徴を全て備えていたが、これまでアコクリディアン科は淡水・汽水域からしか知られていなかったため、深海から近似種が発見されたことは研究者を大いに驚かせた。


    採集された2個体は直ちに保存され、DNA配列の決定と主要な内臓器官の3D再構成が迅速に行われた。

    その後の形態学的・分子学的結果によって、このウミウシはアコクリディアン科から独立した新しい科に配属された。


    和名・・・ダーウィンシリス

    学名・・・Ramisyllis multicaudata

    2012年記載


    オーストラリア北部のダーウィン港で発見されたシリス 。(ゴカイに近縁な環形動物)

    多くのシリスが付着生物の群落内に棲息しているのと同様に、本種もカイメンの中から見つかった。


    このシリスは世にも奇妙な「枝分かれする動物」の1つである。

    頭は1つしかないが、体はまるで木のように複雑かつ緻密に枝分かれしていって、暮らしているカイメンの中を埋め尽くす。

    中には枝分かれが500を超す個体も見つかっている。

  • 135新種生物紹介人22/10/26(水) 00:12:31

    和名・・・ホシゾラサマヨイクラゲ

    学名・・・Marivagia stellata

    2010年記載


    イスラエル北東部にある港湾都市ハイファで2006年に見たことないイボクラゲが撮影・捕獲され、種を識別するためオーストラリアに輸送されたが途中で失われてしまった。


    その後、2010年6月29日に再びイスラエルで同じ種類のクラゲが捕獲され、新種として記載された。

    失われた標本も同年7月7日に再発見された。


    東地中海は外来種の巣窟であり、実際このクラゲも地中海のクラゲとは大きく異なっていた。

    そして何より最初に発見されたのがイスラエルの港湾都市であったため、新種ながら外来生物であることはほぼ確実であった。


    その後、このクラゲはアラビア海で記録されており、スエズ運河を通じて地中海に侵入した可能性が高い。

    それから毎年夏になると、この浮浪者は東地中海で大発生を繰り返している。


    和名・・・ホフクラブ

    学名・・・Kiwa tyleri

    2015年記載


    キワ科はカニではなくクモガニに近縁な甲殻類で、全身が白くて剛毛に覆われていることから「イエティクラブ」の愛称で親しまれている。

    イエティの二つ名に違わず、ホフクラブは南極海の熱水噴出孔から発見された。


    キワ科の他種はハサミが細長くて剛毛に覆われているのだが、ホフクラブはハサミが短くて剛毛は胸部に集中している。

    この密集した胸毛がアメリカの俳優・司会者のデイビッド・ハッセルホフ (ザ・ホフ)を連想させたために、ホフクラブと呼ばれるようになった。


    ちなみに、この剛毛には炭素を固定する硫黄細菌が住んでいて、ホフクラブに栄養を供給していると考えられている。

  • 136新種生物紹介人22/10/26(水) 00:58:35

    和名・・・スクイッドワーム

    学名・・・Teuthidodrilus samae

    2011年記載


    2007年にフィリピン沖の深海を探索中の無人探査艇が驚くべき生物の映像を送り出してきた。

    その生物は長い触覚と螺旋状の外肢、玉虫色のパドル、頭にはコイル状の感覚器官を備えていた。

    深海生物の専門家でさえ、この生物を初めて見たときは面食らい、これが何なのか頭を抱えたという。


    スクイッドワームは水深2000〜2900mの深海の中層域を常に遊泳している。

    その推進力を支えているのが、体側面に生えているパドルである。

    頭部にはコイル状の感覚器官が2本、真っ直ぐ伸びた触手が8本の合計10生えている。

    これがイカのようであることからスクイッドワーム (イカムシ)と呼ばれている。


    今のところフィリピンのタウィタウィ諸島からしか見つかっていないが、たった数回の探索で16匹が観察されて7匹が採集されたことから、個体数はかなり多いことが予想されている。


    和名・・・テリブルクローロブスター

    学名・・・Dinochelus ausubeli

    2010年発見


    ほぼ同時期のフィリピンで発見されたアカザエビの新種。

    フィリピンは高い海洋生物多様性で知られているが、20世紀初頭の米国の調査と70年代から80年代にかけてのフランスの調査が終了してからは学術研究は後退していた。

    特にフィリピンの太平洋側は調査がほぼ進んでいなかった。

    そこで、2000年から2010年にかけてフィリピンで大規模な海洋生物調査が行われた。

    その調査おける象徴的な発見が、このテリブルクローロブスターである。


    本種は2007年にルソン島東部の海域で発見された3cm程の小型のアカサエビである。

    甲殻類において左右でハサミの大きさや形状が異なるものは大して珍しくはないが、ここまで異なるのは前代未聞。

    なお、ハサミの使い道は未だに明らかとなっていない。

  • 137二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:36:08

    地上も変な生き物が多いけど海はやっぱりケタが違うな…

  • 138新種生物紹介人22/10/28(金) 18:21:02

    和名・・・ザマミハナゴケ

    学名・・・Nanipora kamurai

    2015年記載


    2012年に琉球大学の大学院生だった宮崎悠さんが座間味島で発見した新種のサンゴ。

    サンゴは骨格を持つハードコーラル (六放サンゴ)と骨格を持たないソフトコーラル (八放サンゴ)の2つに分けられる。


    しかし、ザマミハナゴケは八放サンゴであるにも関わらず、石灰質の骨格を有している。

    骨格を持つ八放サンゴは6種類だけが知られており、原始的な八放サンゴとして花虫綱の進化を考える上で非常に重要な存在である。


    さらに驚くべきことに、この新種のサンゴは海水浴場の水深1mもない場所にあった石の下から見つかった。

    沖縄の高い生物多様性を感じさせる発見である。

  • 139二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 10:16:26

    やっぱ沖縄凄いな

  • 140新種生物紹介人22/10/29(土) 10:52:05

    和名・・・ウロコフネタマガイ
    学名・・・Chrysomallon squamiferum
    2015年記載

    太陽光が届かない深海には、生命が存在するとは思えないほど高温で、有害な硫化水素で満たされた領域が広がっている。
    このような過酷な環境に生息しているのが「スケイリーフット」と呼ばれるウロコフネタマガイである。
    彼らは水深2785mの深海に生息し、300〜400℃に達する熱水噴出孔やブラックスモーカーの縁で暮らしている。

    スケイリーフットの最大の特徴は体表に硫化鉄でできた鱗を持っていることである。
    もちろん、骨格の主成分に硫化鉄を用いる生物はスケイリーフットだけである。
    体に占める心臓の割合が最も大きい動物としても知られており、なんと体の体積の4%を心臓が占めている。

    深海の熱水噴出孔という極限地帯に生息するため絶滅の心配からほど遠いようにも感じるが、知られている3つの生息域を合計しても1.8ヘクタールしかないため、熱水鉱床で採掘活動が行われれば簡単に絶滅してしまう。
    このような潜在的危機を考慮し、2019年に深海の化学合成生態系では初となる絶滅危惧種 (EN)に指定された。

  • 141新種生物紹介人22/10/29(土) 11:08:44

    和名・・・ムカシウナギ
    学名・・・Protanguilla palau
    2012年記載

    2010年、パラオ在住の魚類研究者の坂上治郎さんはニジェメリス島にある水深35mの海中洞窟でウナギのような奇妙な魚を発見した。

    その後の遺伝子解析の結果、この魚は確かに"真のウナギ"であることが確認されたが、現生種のウナギどころかいくつかの化石種よりも原始的な特徴を有していることが分かった。
    つまり、ムカシウナギは恐竜がいた時代のウナギの特徴を色濃く残す「生きた化石」であったのだ。

    ウナギ目は19科800種以上が記載されているが、ムカシウナギはそれらには見られない多くの原始的特徴を備えていたため、この種のためだけに新しい科が設置された。

    ムカシウナギは中生代のより原始的なウナギと現代の新しいウナギを繋ぐ「ミッシング・リンク」として重要な存在である。
    ムカシウナギはかなり古い時代に他のウナギ目から分岐した系統であり、化石・現生のいかなるウナギとも全く別の進化の道を辿っていったことも分かった。

    スミソニアン国立自然史博物館の魚類学者で、論文の主執筆者のデイブ・ジョンソン氏は「魚類学においてこのムカシウナギの発見は、1938年のシーラカンスの再発見以来のものとなるものでしょう」と締めくくっている。

  • 142二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 14:28:39

    ホシゾラサマヨイクラゲ、素敵な名前だなあと思って調べたらどの写真も本当に星空みたいで綺麗
    ムカシウナギのド安直ネーミングもわかりやすくて好きw

  • 143新種生物紹介人22/10/29(土) 14:45:00

    >>142

    あのクラゲに限ったことではありませんが、外国産の生き物には標準和名が存在しないことは多いです。

    それどころか日本語で説明された文献が見つからないこともよくあります。

    そのため、このスレで紹介した生物の和名の大半は私が勝手に名付けたものです。

    (既に浸透した名前がある場合はそちらを使用していますし、命名する際も日本語の命名規則に則っています)


    ホシゾラサマヨイクラゲの属名と種小名のMarivagiaとstellataはそれぞれ放浪者と星という意味で、それにちなんで名前を考えました。


    P.S.

    海洋生物はまだまだ続きます

  • 144新種生物紹介人22/10/29(土) 15:38:04

    【10 Remarkable New Marine Species from 2017】


    和名・・・マリアナニセクサウオ

    学名・・・Pseudoliparis swirei

    2017年記載


    水深6,000mよりも深い水域のことを超深海と呼ぶ。

    光など存在しない暗黒の世界で、1cm³あたり800kgもの水圧がかかる極限環境であるが、驚くべきことにこんな環境にも魚は暮らしている。


    マリアナニセクサウオはマリアナ海溝の水深7,949m地点から初めて採集された。

    そして、マリアナ海溝で採集された37匹の標本を基にDNA分析と3Dスキャンによる骨格・組織構造を行った結果、新種であることが分かった。


    2017年8月には日本の研究チームが水深8,178mで本種が泳いでる様子を撮影することに成功し、従来の最高記録を26mも更新してニュースにもなった。

  • 145新種生物紹介人22/10/29(土) 15:44:23

    和名・・・ハリープラックス・セブルス
    学名・・・Harryplax severus
    2017年記載

    グアムで海洋生物の研究をしていたハリー・コンリーさんは元海兵隊員で、その生涯の間に数え切れないほどグアムの海に潜り、甲殻類のコレクションを遺した。

    彼の死後、膨大な彼の個人コレクションはシンガポール国立大学のピーター・ウン博士に手渡された。
    彼のコレクションは宝の山で、数多くの発見と論文を世にもたらした。
    しかし、1997年に採集された小さなカニの調査は後回しにされ続け、採集から20年経った2017年にようやく日の目を浴びた。

    Harryplaxという学名はこのカニを発見したハリー・コンリーさんにちなんで名付けられた。
    この名前はJ.K.ローリングの有名ファンタジー小説の主人公を連想させるもので、科学者たちは希少種や新種を発見するハリーの才能を魔法の能力になぞらえていた。

    論文の共著者でウン博士の同僚であるクリストファー・メンドーザ博士は自他ともに認めるハリー・ポッターの大ファンで、大好きな小説の登場人物にちなんで命名するチャンスを逃すまいとした。

    ハリー・ポッターに登場するセブルス・スネイプ先生はシリーズの中心人物でありながら、物語の最後の最後に秘密を打ち明けるまで、彼の経歴や目的は謎に包まれていた。
    科学者たちは「発見から20年近く経った今まで発見されなかった新種と同じだ」と回想している。

    ちなみに、severus (ラテン語で無骨、厳格といった意味)にはこのカニが発見されるまでの厳しく困難な道のりという意味合いもある。

  • 146新種生物紹介人22/10/29(土) 16:49:06

    和名・・・ボブマリーウシオグモ

    学名・・・Desis bobmarleyi

    2017年記載


    ウシオグモはクモでありながら海に進出した珍しい一群で、海洋生物と言って差し支えない。

    満潮時はフジツボやサンゴ、海藻、貝殻などに身を隠し、その中に作った空気室で耐え忍ぶ。

    そして潮が引くと、岩礁やサンゴ礁を徘徊して小型の節足動物を狩る。


    ボブマリーウシオグモはグレートバリアリーフから発見された新種のウシオグモで、レゲエ界の伝説的人物、ボブ・マリーと彼の代表曲「High Tide or Low Tide」にちなんで命名された。


    和名・・・ヴァンディムカデガイ

    学名・・・Thylacodes vandyensis

    2017年記載


    合衆国戦艦ジェネラル・ホイット・S・ヴァンデンバーグは退役後、フロリダ国立海洋保護区に沈められて人工岩礁となり、ヴァンディ号の愛称でダイバー達から親しまれている。

    そのヴァンディ号からチューブ状の貝殻で知られるムカデガイの新種が見つかった。

    この貝は原産地はインド太平洋原産の外来種であると推定されているが、フロリダ以外での発見例は今のところない。


    この貝は高い侵入性と旺盛な繁殖力を併せ持っており、最初の発見時には20分かけて3匹しか見つからなかったのに、今では数万匹にも増えてしまっている。


    和名・・・カリフォルニアアンドンクラゲ

    学名・・・Carybdea confusa

    2017年記載


    アンドンクラゲは日本近海にも生息するハコクラゲの1種で、カツオノエボシと共に電気クラゲと呼ばれて海水浴客から嫌われている種である。

    高い遊泳力と比較的強い毒を有していて、人が刺されると強い激痛とミミズ腫れを起こす。


    アンドンクラゲの分類も混乱していて、北太平洋のアンドンクラゲはそれぞれ同種だと考えられていたが、2017年にカリフォルニア産が新種として独立した。

  • 147二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 02:40:25

    >>143

    そうだったんですね!どうりで「ホシゾラサマヨイクラゲ」で検索しても出てこないなあと……w

    (「Marivagia stellata」で検索しました)

    日本で説明された文献がない生き物まで持ってこられる主さんめちゃくちゃすごい……完走まで応援してます!

  • 148新種生物紹介人22/11/02(水) 03:24:56

    和名・・・レメンゲサウスナギンチャク

    学名・・・Antipathozoanthus remengesaui

    2017年記載


    本種は琉球大学、鹿児島大学、パラオ国際サンゴ礁センターの共同研究によってパラオから発見された新種のスナギンチャクである。

    これまで学術的に全く知られていなかったのにもかかわらず、その後の調査によって紅海やモルディブ、パラオ、南日本などインド太平洋の広い範囲に生息していることが判明した。


    このスナギンチャクは当時のパラオ大統領だったトミー・レメンゲサウJr.に献名された。

    琉球大学准教授のジェームズ・ライマー博士は「我々の研究の多くはパラオで行われたものであり、パラオから受けた素晴らしい支援に感謝の意を評したい」とコメントしている。


    和名・・・アスケモネラ・モニレ

    学名・・・Aschemonella monile

    2017年記載


    アスケモネラ・モニレは深海に生息する極めて巨大な有孔虫である。

    多くの有孔虫が1mm以下しかないのに対して、本種は10cm以上にもなることがある世界最大の単細胞生物である。


    本種は東太平洋の水深4000m以深に生息しており、多くの深海有孔虫と同様に海底にある微小粒子を用いて「テスト」と呼ばれる外殻を構築する。


    標本の多くは、この地域の海底に豊富に存在する多金属団塊に付着しているところを発見された。


    ほんの数年前に発見され、2017年に初めて学術的に記載されたのにもかかわらず、生息地では最も支配的なメガファウナである。

    ある調査では深海底の1.4haにおいて2万2,000個体が確認され、調査対象地域では最も生息密度の高い生物だった。

  • 149新種生物紹介人22/11/02(水) 04:34:18

    和名・・・ファイヤードラゴンヨロイヨコエビ

    学名・・・Epimeria pyrodrakon

    2017年発見


    ヨロイヨコエビは南極海で最も印象的な分類群の1つと見なされていて、非常に豊富で多様性に富んでいる一群である。

    ヨロイと名前に付く通り、彼らの体は神話のドラゴンを彷彿とさせる大きなスパイクに覆われていて、中には鮮やかな体色の種類もいる。


    南極海に生息することからヨロイヨコエビの研究はあまり進んでおらず、今なお多くの新種が発見される分野でもある。

    中でも2017年は新種ヨロイヨコエビの当たり年で、この種を含む27の新種が発見された。


    この種の種小名「pyrodrakon」は「炎のドラゴン」という意味のラテン語で、その名前は目次録に登場する赤い大きなドラゴンを含意している。


    和名・・・ソロモンチビクチキレ

    学名・・・Eurathea solomonensis

    2017年記載


    この貝は「ソロモン諸島のトウダカガイ」という一般名で呼ばれることが多いが、実際のところはたいして特徴のない2.25mmの微小貝にしか見えない。

    しかし、この貝の発見の裏には魅力的な物語が存在する。


    この新種が記載された著者の1人のアンセルモ・ペニャスの本業は計量機械や投薬機械の開発者で、もう1人のエミリオ・ローランは医師であった。

    2人は既に本業から引退し、現在は腹足類の系統分類に熱心に取り組んでいる。

    彼らは2017年に出した論文でなんと212もの新種を発表し、その中の1種が「海洋生物の新種Top10」に選ばれた。


    2000年以降に発見された海洋軟体動物のうち、実に57%が彼らのような市民科学者によって発見されたものである。

  • 150二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 03:59:50

    このレスは削除されています

  • 151二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 17:09:33

    一応保守、海の中には変な奴らがいっぱいだ…

  • 152二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 17:14:37

    ファイヤードラゴンヨロイヨコエビ名前も姿もかっこよすぎんだろ

  • 153新種生物紹介人22/11/08(火) 01:54:25

    和名・・・カクレマンボウ
    学名・・・Mola tecta
    2017年記載

    マンボウは世界最大の硬骨魚として有名で、アゾレス諸島で最近見つかった2744kgのウシマンボウのニュースは記憶に新しい。
    そんな人気と知名度を兼ね備えたマンボウだが、野生下で見つかることは稀であり、その生態や分類には分かっていない点が多い。

    そして2017年、なんと125年ぶりにマンボウの新種が記載されるという大ニュースが生き物界隈を駆け巡った。

    実は2009年の時点で日本のマンボウ研究の第一人者たる澤井悦郎博士によって、それまで単一種だと思われていたマンボウが未記載種を含むいくつかの種複合体であることは明らかにされていた。
    しかし、それが新種として記載されるまでの道のりは長く険しいものだった。

    オーストラリアのマンボウ研究者であるマリアン・ナイエガード氏もマンボウに未記載の新種がいると考えている1人で、彼女も澤井氏とは別に新種のマンボウを追い求めていた。

    この謎マンボウが次に発見されたのは、澤井博士が研究成果を発表してから5年後の2014年。
    4匹のマンボウがクライストチャーチ近郊の海岸に打ち上げられた。
    この情報はニュージーランドの漁業関係者からナイエガード氏に伝えられた。

    その後の澤井博士とナイエガード氏の共同研究により、このマンボウは形態的にも遺伝的にも全く新しい種であることが認められ、新種カクレマンボウとして2017年に記載された。

    この種は南半球の寒冷な海域を好む種であると考えられており、今までオーストラリアとニュージーランド、南アフリカ、チリでしか見つかっていない。
    ・・・とされていたのだが、2019年にカリフォルニアの海岸に打ち上がっているのが発見された。
    また、古い文献を漁ったところ1890年のオランダで発見された記録も見つかった。

    カクレマンボウがどうやって赤道海流を超えて北半球にまでやって来たのかは不明だが、今後の調査次第では日本近海からも見つかる事があるかもしれない。

  • 154新種生物紹介人22/11/08(火) 02:02:30

    【10 Remarkable New Marine Species from 2018】


    和名・・・ハナ・ハナガサ

    学名・・・Hanah hanagasa

    2018年記載


    フラワーコーラルとも呼ばれる八放サンゴは多様性に富んだ一群であるが、研究があまり進んでいない分野でもある。


    この沖縄で発見された新種のハナガササンゴは特に美しい種類であり、何より目立つ花のようなポリプの構造で同じハナガササンゴの中でも一際目立っている。

    この新属新種には日本語に由来するハナ・ハナガサという学名が付けられた。


    余談であるが、この種の近縁種のハナ・ハナタバ (Hanah hanataba)もハナ・ハナガサと同時に記載された。


    和名・・・ストロマトライトタナイス

    学名・・・Sinelobus stromatoliticus

    2018年記載


    ストロマトライトはシアノバクテリアと砂や泥などの堆積物が長い年月をかけて積み重なることでできた層状構造をもつ岩石である。


    ストロマトライトは表面の藍藻が甲殻類や貝類に食べられると死んでしまうため、乾燥地帯にあるラグーンなど塩分濃度が高く、動物の生息に適さない環境にのみ現存している。

    こういった環境は先カンブリア時代の海の環境に近いと考えられている。


    ところが、南アフリカにあるストロマトライトからタナイスの新種が見つかった。

    タナイスは汎世界的に分布する3mm程の微小な甲殻類なのだが、興味深いことに新種のタナイスはストロマトライト表面の藍藻を捕食することはなく天敵から隠れるための住処として利用していた。


    ストロマトライトの環境は先カンブリア時代や古生代の海洋を考える上で非常に重要なものだが、これまでその生態系が着目されたことはほぼ無かった。

    南アフリカでは、このタナイスの発見が契機となってストロマトライト生態系の本格的な研究が始まりつつある。

  • 155新種生物紹介人22/11/08(火) 02:07:41

    和名・・・アルキウオビル

    学名・・・Ambulobdella shandikovi

    2018年記載


    ヒルは暖温帯の淡水にいるイメージが強いが、ウオビルは熱帯から寒帯、浅海から深海まで多種多様な環境に生息する海生のヒルである。


    アルキウオビルは南極海の水深1200〜1400mの深海から見つかった。

    見つかった場所の時点で十分ユニークであるが、このヒルは見た目も変わっていて、他のヒルには見られない腹脚のような突起が生えている。


    ヒルは進化の過程で脚や触覚といった外部付属物を退化させていったため、突起をもつアルキウオビルは極めて異端なヒルである。


    和名・・・ハワイトガリツノザメ

    学名・・・Squalus hawaiiensis

    2018年記載


    ハワイ諸島に固有のトガリツノザメだが、日本産のトガリツノザメに非常に酷似しているため外見から見分けることは不可能に近い。

    研究者がミトコンドリアDNAを調べるまで新種であることは知られていなかった。


    和名・・・マギラワシキンチャクヤドカリ

    学名・・・Paguropsis confusa

    2018年記載


    普通のヤドカリは貝殻を背負って身を守るが、キンチャクヤドカリはまるでパンツを穿くように袋状のスナギンチャクを穿いて身を守っている。


    キンチャクヤドカリは西太平洋からインド洋にかけて単一の種類が生息していると考えられていたが、2018年の日本・アメリカ・インドネシアの3ヶ国合同チームの研究によって5種類に分割された。

    マギラワシキンチャクヤドカリは新たに記載された種の1つで、南シナ海から東アフリカにかけて生息している。

  • 156二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:10:42

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  • 157新種生物紹介人22/11/08(火) 02:13:08

    和名・・・ハチジョウタツ
    学名・・・Hippocampus japapigu
    2018年記載

    世界に約50種いるタツノオトシゴのうち、成長しても2cmほどにしかならない小型種を総称してピグミーシーホースという。

    ピグミーシーホースは、その小ささと擬態の巧みさのせいで1969年にニューカレドニアの水族館で偶然発見されるまで研究者も存在を知らなかった。
    その後、このサンゴタツノコ1種しか記録がなかったが、2000年代になってからインド太平洋のあちこちで新種が発見されている。

    日本は世界でも屈指のピグミーシーホース大国で、このサンゴタツノコの他にも3種類のピグミーシーホースが記録されている。
    そのうちハチジョウタツは日本固有種で、伊豆諸島や小笠原諸島、紀伊半島、伊豆半島、相模湾など東日本の暖かい海からしか見つかっていない。

    ハチジョウタツは最大で1.3cmにしか成長しない極小のタツノオトシゴで、世界最小のタツノオトシゴの1つでもある。

    タツノオトシゴ研究家のリチャード・スミス博士はサンゴタツノコとカクレタツノコの研究で学位を取得した。
    彼は2013年に沖縄で開催された世界魚類国際会議に出席した後、伊豆諸島の八丈島を訪れてダイビングしている際に偶然ハチジョウタツを発見した。

    ハチジョウタツは日本でしか見つかっていなかったため、学名が記載される前からジャパニーズ・ピグミーシーホース、略して『ジャパピグ』とダイバー達から呼ばれていた。
    ハチジョウタツの学名のjapapiguはその愛称に由来している。

  • 158新種生物紹介人22/11/08(火) 02:14:41

    和名・・・ホビットシュリンプ

    学名・・・Odontonia bagginsi

    2018年記載


    インドネシアのティドレ島とテルナテ島から発見された新種のエビ。

    体は小さいながらも毛むくじゃらの脚が特徴で、「ロード・オブ・ザ・リング」の主人公のビルボ・バギンズにちなんで命名された。


    和名・・・カイメンヒラクサ

    学名・・・Ptilophora spongiophila

    2018年記載


    マダガスカルは世界でも屈指の生物多様性のホットスポットとして知られているが、その海の藻類フローラは今までほとんど研究されたことがなかった。

    ヒラクサは日本にもいる紅藻類だが、マダガスカル南部から5つの種が発見された。

    そのうち3種は新種で、4種がマダガスカルの固有種だった。

    中でもカイメンヒラクサは他のヒラクサとは異なり、表面がカイメンに覆われているのが特徴である。


    その後の研究で、ヒラクサの祖先はオーストラリアで誕生して、マダガスカルを中心にインド太平洋に分布を広げていったことも併せて明らかにされた。

  • 159新種生物紹介人22/11/08(火) 02:16:44

    和名・・・シードラゴンセンモウヒラムシ

    学名・・・Hoilungia hongkongensis

    2018年記載


    『香港シードラゴン』とも呼ばれるホイルンギア・ホンコンゲンシスは135年ぶり2番目に記録された平板動物である。


    平板動物は板状の姿をした多細胞生物で、裏表の区別はあるものの前後左右の区別や組織・器官を持たない極めてシンプルな動物である。


    平板動物はセンモウヒラムシただ1種で1つの「門」(目の2つ上のレベルの分類単位)を構成していると考えられていたが、香港産のセンモウヒラムシのゲノムを解析して比較したところ、他地域のセンモウヒラムシとは属レベルでの差異が認められた。


    これは平板動物で長い間欠けていた系統学の確立の始まりを示す革新的な大発見であった。


    和名・・・サザンタフガイワーム

    学名・・・Parallelolebes virilis

    2018年記載


    オーストラリアのフグ、ハリセンボン、ガマアンコウの寄生虫調査の最中に偶然発見された新種の寄生虫。

    オーストラリア南東部固有のカワハギの仲間であるホースシュー・レザージャケットからしか見つかっていない。

    この寄生虫が寄生したレザージャケットの標本は1999年にタスマニア島で釣られたものだったが、それから20年間日の目を浴びることは無かった。


    この寄生虫では1番小さい種類だが、レザージャケット(カワハギ)に寄生する唯一の種であることからラテン語で「男らしい」という意味のvirilisと名付けられた。

  • 160新種生物紹介人22/11/10(木) 06:02:01

    【10 Remarkable New Marine Species from 2019】


    和名・・・ミドリネズミウバウオ

    学名・・・Barryichthys algicola

    2019年記載


    ネズミウバウオは藻類や海草の表面にしがみつく生活に適応したウバウオの仲間で、腹部に強力な吸盤を持っている。

    好む海藻の色に合わせて緑や茶色、オレンジ、赤色など様々な体色の種類がいる。

    2019年に南オーストラリアから2種類のネズミウバウオが発見され、そのうち色が鮮やかな種類がTop10に選出された。


    和名・・・ティールネクイムシ

    学名・・・Bircenna thieli

    2019年記載


    ネクイムシは非常に小さなヨコエビの仲間で、大型の藻類の茎に掘った穴で数百匹のコロニーを作って暮らしている。

    南半球で多様化したグループで、生息地では広く見られる種類である。


    この種は甲殻類の研究と標本の採集に多大な貢献をしたマーティン・ティール教授に敬意を表して名付けられた。


    和名・・・ブレナーミミイカ

    学名・・・Euprymna brenneri

    2019年記載


    この新種のミミイカは有名な分子生物学者でノーベル賞受賞者でもあるシドニー・ブレナー教授に献名された。

    ブレナー教授は沖縄科学技術大学院大学 (OIST)の創設に深く携わった。

    彼は生前、「頭足類は地球上で最初の知的な動物だ」と表現していた。


    ブレナーミミイカは沖縄でOISTの研究者によって新種記載されたミミイカで、オスだけでなくメスも吸盤をもつ唯一のミミイカである。

  • 161新種生物紹介人22/11/10(木) 06:09:46

    和名・・・チコマリンスターウミホタル

    学名・・・Maristella chicoi

    2019年記載


    世界中の海に広く生息するウミホタルは天敵の魚に襲われると発光する微細な甲殻類である。

    生物発光でよく知られるウミホタルだが、分類はよく進んでおらず多くの未記載種がいるとされている。

    マリンスターウミホタルはあまり研究が進んでいないカリブ海産のウミホタルで、メスが発光しない少し変わった種である。


    ウミホタルの生物発光は天敵に対する防御と求愛のシグナル伝達という2つの意味合いを持っている。

    毎晩、数百万匹ものウミホタルが波打ち際に押し寄せて青白く発光しているが、メスはごくごく少なくオス300〜400匹に対して1匹しかいない。


    和名・・・ジムヘンソンウミウシ

    学名・・・Olea hensoni

    2019年記載


    嚢舌目のウミウシは一般的に歯舌を用いて藻類の細胞壁に穴を空けて、中の細胞内容物を吸引して摂食する。

    多くの嚢舌目のウミウシは草食であるのだが、藻類ではなく他のウミウシの卵塊に穴を空けて中身を吸い取る種類も一部存在する。

    そうした卵食性のウミウシは今まで北太平洋の冷たい海域からしか知られていなかった。

    本種は温暖なフロリダから初めて発見された卵食性のウミウシで、セサミストリートの生みの親として有名なマペット使いのジム・ヘンソンに献名された。


    和名・・・ドウクツヒカリクモヒトデ

    学名・・・Ophiopsila xmasilluminans

    2019年記載


    三崎臨海実験所と中部大学、沖縄芸術大学の共同チームがオーストラリア領クリスマス島の海底洞窟から発見した新種のクモヒトデ。

    普段は砂の中にじっと潜んでいるが、外敵から物理的刺激を受けると弱々しく発光する。


    種小名のxmasilluminansはクリスマス島から発見されたことと、発光する様子をクリスマスイルミネーションに例えたことのダブルミーニングになっている。

  • 162二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 18:43:15

    ブレナーミミイカ、直視するとゾワゾワする

  • 163新種生物紹介人22/11/13(日) 06:46:34

    和名・・・エダワカレセンモウヒラムシ

    学名・・・Placotoma mediterranea

    2019年記載


    2018年に香港で平板動物の新種が135年ぶりに発見された(>>159)が、その翌年にさらに驚くべき平板動物の新種が発見された。


    平板動物とは

    ・平板動物は幅1mm、厚さ25μmの円盤状の動物で、類縁関係は無いもののアメーバに非常によく似ている。

    ・組織も器官も存在せず、体の前後左右も区別することができない。

    ・体は6種類の細胞数千個が3つの層を形成することで構成されている。


    といった特徴をもつ海生微生物で、センモウヒラムシもホイルンギア・ホンコンゲンシスも外見上では区別できない。

    実際は外見では区別できない種が数多く存在すると目されているのだが、地中海で発見された3番目の種類は平板動物門の定義の根幹を揺るがしかねないものであった。


    プラコトーマ・メディテラネアは地中海の砕波帯から発見された新種であるが、他の2種に見られる均一な円盤状ではなく高度に枝分かれした体を示している。

    また、他の平板動物が1mm程度なのに対して本種は1cm以上にもなり、肉眼で観察可能である。

    さらに奇妙なことに、プラコトーマ・メディテラネアのミトコンドリアゲノムは非常にコンパクトで、センモウヒラムシの半分しかない。


    和名・・・タコヤドリゴカイ

    学名・・・Spathochaeta octopodis

    2019年発見


    ゴカイ類は海綿動物や刺胞動物、軟体動物、甲殻類、棘皮動物など様々な無脊椎動物と相利共生することが分かっている。

    軟体動物では、二枚貝やカサガイ、ヒザラガイ、イカと共生する種類が知られていたが、これまでにタコと共生関係にある種は見つかっていなかった。


    タコヤドリゴカイは初めてタコから発見されたゴカイである。

    近縁種は熱水噴出孔などの化学合成生態系の貝などから見つかっているのに、本種が発見されたのは熊野灘の水深150mというのも興味深い。

  • 164新種生物紹介人22/11/14(月) 00:51:35

    和名・・・トーマスセンコウカイメン

    学名・・・Cliona thomasi

    2019年記載


    固着生活を行う多くの海綿動物と異なり、センコウカイメンは貝殻やサンゴ骨格、石灰岩など炭酸カルシウム性の基質に酸を分泌することで穿孔し、その中で生活するという特異な生態を示す。

    センコウカイメンには成長すると基質を破壊して外側に溢れ出し被覆状になる種や基質から遊離して塊状になる種、穿孔基質を必要とせず砂礫底に穴を掘って暮らす種など生態的にも多様な一群である。


    センコウカイメンはサンゴ礁や岩礁における生物侵食の主要な原因となっており、養殖貝類や宝石サンゴに穿孔する有害動物として知られている。

    サンゴに穴を空けて殺す一方で、センコウカイメンの空けた穴は小型の海洋動物の住処として重要であり、サンゴ礁の生態系において無くてはならない存在である。


    本種は地味なカイメンだが、伝えるべき重要なバックグラウンドがあったため2019年のTop10に選出された。


    和名・・・ヴィブラニウムイトヒキベラ

    学名・・・Cirrhilabrus wakanda

    2019年記載


    ザンジバルの水深50〜80mの薄暗いサンゴ礁から発見された新種のイトヒキベラ。

    種小名のwakandaとはブラックパンサーの母国として知られる架空の国ワカンダに由来する。


    本種は紫色の体色と金網のような鱗模様は、ブラックパンサーのスーツとワカンダ人の民族衣装を人々に想起させるのに十分だった。

    そのため、この新種はヴィブラニウムイトヒキベラと呼ばれるようになった。

  • 165新種生物紹介人22/11/16(水) 21:20:12

    【10 Remarkable New Marine Species from 2020】


    和名・・・E.T.カイメン

    学名・・・Advhena magnifica

    2020年記載


    北太平洋の水深2000m以上の海底には宝石サンゴやガラス海綿が群落を成す「珍奇の森」と呼ばれる海域が存在する。

    光が差さない暗黒環境に適応するため、ガラス海綿などベントスは他では見られないユニークな姿に進化を遂げていった。

    その結果、「珍奇の森」にはまるで地球とは別の惑星のような独特の生態系が育まれていった。


    「珍奇の森」の動物相は学術的に長らく手つかずのままであったが、2016年と2017年に初めて本格的な生物調査が行われ、44の未記載種を含む73のサンプルを得ることに成功した。


    アドヴェーナ・マグニフィカはこの調査で初めて発見された新種のガラス海綿の1つで、細長い茎の上に大きな開口部が乗っかっているのが特徴。

    まるで眼窩のような開口部で流れてきたプランクトンを濾過して摂食する。


    その見た目がスピルバーグ監督の「E.T.」に出てくる宇宙人そっくりだったので、深海生物好きからはE.T.カイメンと呼ばれることもある。

    ちなみに、学名も「偉大なエイリアン」といった意味合いである。


    和名・・・パトリックシワウデボソヒトデ

    学名・・・Astrolirus patricki

    2020年記載


    カイメンと共生関係、もしくは寄生関係にあるとされる珍しい深海ヒトデ。

    これまで知られている5つの標本は全て深海カイメンに付着している所を発見された。


    足の数は5本ではなく7本と2本も多いが、体色がピンクでカイメン(スポンジ)と多くの時間を一緒に過ごすことから、スポンジ・ボブの親友のヒトデのパトリックにちなんで命名された。

  • 166新種生物紹介人22/11/19(土) 15:48:27

    和名・・・カップヘッドカスべナガクビムシ

    学名・・・Dendrapta nasicola

    2020年記載


    カイアシ類は海洋、淡水、地下水などあらゆる水生環境で見られる小型の甲殻類である。

    この仲間の多くはケンミジンコに代表されるような遊泳性だが、底生性や間隙性、寄生性の種類も中には知られている。


    ナガクビムシはウオジラミと並んで寄生性カイアシの代表的な種類であるが、これまで北半球でしか見つかっていなかった。

    しかし南半球で初めて、ブエノスアイレス沖で新種のナガクビムシがソコガンギエイの1種の鼻腔の中から発見された。


    ガンギエイは主要な水産資源ではないが底引き網などで混獲され、世界中で急速に個体数が減っている。

    そのため、この寄生虫も潜在的に絶滅の危機に脅かされているのだ。


    和名・・・イルジャールスギノハウミウシ

    学名・・・Dendronotus yrjargul

    2020年記載


    この鮮やかなウミウシはノルウェーのトロンハイムフィヨルドでスキューバダイバーのキェティル・ジョンソンによって初めて発見された。

    その最初の発見から3年後の2017年に、今度は別のダイバーのヴィクトール・グロタンがこのウミウシを撮影してFacebookに投稿した。

    この2人の投稿に研究者たちは興味を示し、2人にサンプルを収集するように依頼した。

    ダイバーはこれに同意して研究チームにいくつかの標本を提供し、2020年についに新種として発表された。


    このウミウシが2020年のTop10に選ばれたのには2つ大きな意義がある。


    1つは研究チームは新種の発表だけでなく既知のスギノハウミウシ27種のDNAも調査し、混乱していた分類を改訂したこと。

    論文には生きたウミウシの美しい写真や高解像度の顕微鏡写真、DNA配列決定を元にした系統樹も含まれていた。


    もう1つは愛好家と研究者、そしてソーシャルメディア・コミュニティの3つが連携して新種を発見できることを実証したことである。

  • 167新種生物紹介人22/11/22(火) 05:01:55

    和名・・・プラスチックオオオキソコエビ

    学名・・・Eurythenes plasticus

    2020年記載


    マリアナ海溝の水深6000〜7000mの超深海帯で発見された新種のヨコエビ。

    オオオキソコエビ属の9番目の種類で、遺伝学的・形態学的に他種と明確に区別できる。


    彼らは超深海に生息するため、人間による影響は一見するとなさそうにも感じる。

    しかし、採集された11個体の標本のうち1個体の体内からマイクロプラスチックが検出された。

    これを解析したところ、PET樹脂と84%一致することが明らかになった。


    この悲劇的な発見は報道機関やソーシャルメディアを通じて世界中で拡散され、マイクロプラスチック汚染の象徴となった。

    この小さな端脚類は、我々に海洋のプラスチック汚染について考えさせる端緒となった。


    和名・・・ギロコチレの1種

    学名・・・Gyrocotyle haffii

    2020年記載


    サナダムシなど、一般的に条虫は多数の体節から構成されたひも状の寄生虫として知られているが、これらは真正条虫という進化したグループである。

    条虫のもう1つのグループは、頭部と体が一体となった1つの体節のみで体が構成される単節条虫である。

    単節条虫はかなり原始的な条虫だと考えられており、チョウザメに寄生するアンフィリナ(葉片条虫)とギンザメに寄生するギロコチレ(円杯条虫)の2系統しか現存していない。


    ギロコチレはギンザメの腸内に寄生する楕円形の条虫で、穿孔器官によって宿主の体内に潜り込み、体表面から栄養分を直接吸収する。

    成体のギロコチレは一面にフリルのような襞が発達するが、幼体にはそれが見られない。

    サイズは意外と大きく、小さなニンジンくらいにまで成長する。


    ギンザメは4億年前のデボン紀からいる(>>127)古い魚種で、現生種よりも化石種が豊富なことで知られている。

    もしかすると、古代の絶滅したギンザメにもそれぞれ固有のギロコチレが寄生していたのかもしれない。

  • 168新種生物紹介人22/11/25(金) 00:57:32

    和名・・・チチュウカイヤギコケムシ

    学名・・・Hornera mediterranea

    2020年記載


    コケムシは世界中のあらゆる水生環境で見られる群体動物で、岩や海藻などの上に成長する被覆性の種類からサンゴのような外骨格を形成するものまで、実に様々な種類が存在する。

    今回見つかった新種、ホルネラ・メディテラネアは後者のサンゴ状になる種にして、地中海で初めて発見されたヤギコケムシでもある。


    実は1904年時点で既に地中海にヤギコケムシが生息していると唱えていた学者はいたのだが、タイプ標本が存在しなかったため彼の学説は支持されなかった。

    それから一世紀以上の時を超えて、遂に新種のヤギコケムシが地中海にも生息することが証明された。


    和名・・・アスケイソトゲクマムシ

    学名・・・Neoechiniscoides aski

    2020年記載


    フランスのロスコフ湾の干潟から発見された新種のクマムシ。

    体長は0.3μmとクマムシの中では中型からやや大型の部類に入る。


    このクマムシは北欧神話に登場する「生命の樹」アスケに因んで名付けられた研究者夫妻の子どもに献名された。

  • 169新種生物紹介人22/11/27(日) 23:33:56

    和名・・・オーファンスパンコールウロコムシ

    学名・・・Peinaleopolynoe orphanae

    2020年記載


    エルヴィスウロコムシは熱水噴出孔やクジラの死骸などの深海の化学合成ベースの生態系で見られるウロコムシの1グループである。

    この仲間のウロコムシはエルヴィス・プレスリーの衣装のようにキラキラ光ることから、研究者たちから「エルヴィス・ワーム」と呼ばれている。


    2020年にはスパンコールウロコムシの新種が4つ記載され、そのうち1種はエルヴィス・プレスリーに献名されたものであった。

    しかし、この年のTop10に選ばれたのはその中で最も派手な別の種類だった。


    このウロコムシは協調性が低いのか、深海では2匹が数分間に渡って攻撃し合っているところが撮影されている。

    収集された標本にも体の縁に噛み跡のようなものが見られるが、これはその争いで生じたものなのかもしれない。


    和名・・・アカハバヒロヨウジウオ

    学名・・・Stigmatopora harastii

    2020年記載


    シドニーにある人気のダイビングスポットから発見された真紅のヨウジウオ。

    世界中から多くのダイバー達が集まる場所にも関わらず、持ち前の高い擬態力によって何年もの間気づかれることはなかった。


    この新種はニューサウスウェールズ州のボタニー湾、シェルハーバー、ジャービス湾の3箇所からのみ知られていて、港湾や堤防の近くのやや深い場所から見つかっている。

    派手な赤色の体色をしているが、生息地だと上手い具合に紅藻類やカイメンにカモフラージュしていて見つけるのは容易いことではない。

    事実、記載者の1人のアンドリュー・トレバー・ジョーンズはこの魚がボタニー湾に生息しているか確かめる為に3ヶ月もの間同じ場所に潜り続ける必要があった。

  • 170新種生物紹介人22/11/30(水) 21:57:59

    今日からしばらくは自分が集めた海洋生物の新種を紹介していきます。


    和名・・・ブルナンイルカ

    学名・・・Tursiops aduncus australis

    2011年記載


    オーストラリア南東部のポート・フィリップ湾とギップスランド湖に固有のイルカ。

    ブルナンとはブーンヴルング語、ウォイヴルング語、タウングルング語で「大きな魚」とか「イルカの1種」といった意味の言葉である。


    近縁のミナミバンドウイルカに比べると体はひと回り小さく、背中と側面のツートンのコントラストもミナミバンドウイルカやバンドウイルカよりも顕著である。

    そのため、当初ブルナンイルカは独立した種だと考えられていたが、現在ではミナミバンドウイルカの1亜種とする説の方が有力である。


    前述したようにこのイルカの生息地はポート・フィリップ湾とギップスランド湖の2箇所しかない。

    現在のブルナンイルカの個体数は、ポート・フィリップ湾に約100頭、ギップスランド湖に約60頭がいるだけである。


    ブルナンイルカは湖とラグーンという外海から閉鎖された環境に生息するため、他のイルカに比べて人間による影響を受けやすい。

    特に船舶との接触事故はこのイルカの存続に関わる深刻な問題である。

  • 171二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 20:36:41

    このスレも終わりが近づいてきましたねぇ、チョットサミシイ(’・ω・`)

  • 172二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 12:55:08

    少し前に日本のサザエが新種だったって聞いたときは面白かったな
    海外のやつと混同されてて別種だと学会に知られたのは滅茶苦茶最近だったみたいなやつ

  • 173新種生物紹介人22/12/06(火) 05:14:32

    和名・・・マウイイルカ

    学名・・・Cephalorhynchus hectori maui

    2002年記載


    ニュージーランド固有種セッパリイルカの北島固有亜種。

    セッパリイルカはイロワケイルカに近縁の小型のイルカで、成体でも1.2〜1.6mにしかならない世界最小のイルカである。


    マウイとは、ニュージーランドの先住民族マオリのほか、ハワイやトンガ、タヒチなどポリネシアで広く信仰されている半神の英雄のことで、マウイイルカの名前もこれに由来している。


    クック海峡の幅は23〜45kmしか無いのにも関わらず、それを挟んだ南島のセッパリイルカと北島のマウイイルカの間には遺伝的にも骨格的にも顕著な違いが見つかっている。

    地理的に小さな距離にあるにもかかわらず、大きな違いが見られる例は他の海洋哺乳類では報告されていない。


    クック海峡は世界で最も危険かつ予測不能な水域と言われるほど、その海流は強くて複雑である。

    これが小型で遊泳力が低いセッパリイルカにとって、交流を分断する障壁となったのは想像に難くない。


    セッパリイルカ自体が15,000頭未満しかいない希少種なのだが、マウイイルカはさらに希少なイルカで、個体数は50頭未満と推定されている。

    これは10頭未満しかいないコガシラネズミイルカ (絶滅動物の第2巻参照)、30頭前後のライスクジラ(>>11)に次いで世界で3番目に個体数が少ない鯨類ということになる。


    マウイイルカがここまで数を減らした原因はコガシラネズミイルカ同様、漁船の混獲によるところが大きいが、意外なことに猫も深く関わっている。


    ニュージーランド国内で飼い猫、野良猫問わずトキソプラズマに感染した猫が増えたことでトキソプラズマのオーシストが大量に海洋流出し、食物連鎖を通じて上位捕食者であるイルカに蓄積していき、最終的にイルカがトキソプラズマ症を起こして死んでしまう。

    実に毎年1〜3頭のセッパリイルカとマウイイルカがトキソプラズマ症によって死亡している。

  • 174二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 14:40:04

    あー、トキソプラズマ症か…
    人間も知らずに感染してるんだっけ?
    大した量でもないからあまり影響出ないが、妊婦とかだとあるとかいう話だな…

  • 175新種生物紹介人22/12/09(金) 05:58:16

    シナウスイロイルカは南シナ海からインドネシアにかけて、アジアの沿岸域の浅海に生息する極めて特徴的なイルカである。

    このイルカはそのピンク色の体色が特徴的だが、これはピンクの色素によるものとかではなく、体温調節のために過剰に発達した血管によるものである。
    その他にも背びれが低く、メロン器官と口吻が外洋性のイルカよりも発達しているのが興味深い。

    そのため、このイルカは一見するとカワイルカのようにも見える。
    両者は科の1つ上の上科のレベルで離れているのだが、筆者にはウスイロイルカが海洋性のイルカが淡水に適応していく過渡期のように見えて仕方ない。

    しかし、このイルカはジュゴンと並んでアジアで最も絶滅が危惧される海洋動物の1つである。
    というのも、生息地の東アジアや東南アジアは経済成長が著しいため、彼らの主要な生息地である浅瀬は埋め立てによって急速に失われている。
    他に漁船による混獲も大きな問題であるが、1番の脅威はマイクロプラスチックによる海洋汚染である。
    マイクロプラスチックは食物連鎖を通じてプランクトンから小魚、中型魚、そして大型魚やイルカ、海鳥などに濃縮されていく。
    この濃縮されたプラスチックは神経系や生殖系を冒していき、最終的には病気や繁殖障害を引き起こし死んでしまうのだ。

    和名・・・タイワンウスイロイルカ
    学名・・・Sousa chinensis taiwanensis
    2015年記載

    タイワンウスイロイルカはシナウスイロイルカの台湾固有亜種である。
    このイルカは台湾の西海岸沿岸に細長く線状に分布する。
    中国大陸と台湾が繋がっていた頃に台湾にシナウスイロイルカが住み着き、その後台湾海峡が形成されたことで大陸の個体群と隔絶されて、台湾で独自に進化を遂げていったものだと考えられている。

    現存する個体数は65頭未満。

  • 176新種生物紹介人22/12/12(月) 02:47:02

    「ウミヘビ」と付く生物には爬虫類と魚の2つが存在することはよく知られている。

    さらに爬虫類の「ウミヘビ」にもエラブウミヘビ亜科とウミヘビ亜科という全く異なる2系統が存在するのだが、日本語の「ウミヘビ」は両者を総称して使われている。

    それとは対照的に、英語ではエラブウミヘビ亜科は「Sea Krait」、ウミヘビ亜科は「Sea Snake」と呼称それており、両者は明確に区別されている。

    この2つの系統は離れており、コブラ科の異なる2つの系統がそれぞれ独自に海洋に進出したことを物語っている。


    前者のエラブウミヘビ亜科はエラブウミヘビ属8種のみからなる小さなグループで、ウミヘビ亜科よりも後に海洋に進出したと考えられている。

    その証拠にウミヘビ亜科より陸地に対する依存度が高く、体内の塩分直接のために淡水を飲まなくてはいけなかったり、陸地で定期的に休息を取らないと死んでしまうことが知られている。


    和名・・・パプアウミヘビ

    学名・・・Laticauda guineai

    2005年記載


    和名・・・キマダラウミヘビ

    学名・・・Laticauda saintgironsi

    2006年記載


    前者は南ニューギニア、後者はニューカレドニアとその近海に固有のSea Krait。

    魚や甲殻類など幅広いものを食べるが、中でも自分と同じく細長い体型のウツボ類を好むようで、ある調査では食餌の半分以上がミナミウツボだった。


    和名・・・モザイクミナミウミヘビ

    学名・・・Aipysurus mosaicus

    2012年記載


    こちらはSea KraitではなくてSea Snake。

    ミナミウミヘビはその名の通りオーストラリア周辺に多様性の中心があるウミヘビで、日本ではオリーブミナミウミヘビが沖縄で稀に発見される。

    モザイクミナミウミヘビはモザイク状の鱗が特徴の種類で、オーストラリアとニューギニアの間の海域から見つかっている。

  • 177新種生物紹介人22/12/14(水) 23:55:55

    前回に続いてSea Snakeの新種を紹介します。


    和名・・・ニシカメガシラウミヘビ

    学名・・・Emydocephalus orarius

    2020年記載


    数あるウミヘビの中でもカメガシラウミヘビ属ほど奇妙な生態をしたウミヘビはいないだろう。

    このウミヘビは魚卵を専門に食べるヘビ界きっての美食家で、スズメダイやハゼ、ギンポなどが岩やサンゴの隙間に産み付けた卵を独特の口で削り取って食べてしまう。

    そのため、ヘビでありながらウミガメそっくりの嘴が発達することからその名が付いた。

    また、顔の形状が雌雄で大きく異なるのも特徴である。


    この種に限らずカメガシラウミヘビ属は魚卵を専門に食べ、生きた動物を襲う必要がないことから毒牙や毒腺が退化しており、列記としたコブラであるにもかかわらず人畜無害な種としても知られている。

    (ウミヘビは基本的に温厚な性質のものが多く、こちらから何か仕掛けない限り攻撃してくることはない)


    カメガシラウミヘビ属は南西諸島から台湾、中国南部の沿岸域に生息するイイジマウミヘビと東南アジアからメラネシアにかけて分布するカメガシラウミヘビの2種のみから成るとされていたが、最近の研究で西オーストラリア産のカメガシラウミヘビが他地域のものと遺伝的に異なることが分かった。


    和名・・・サメハダウミヘビ

    学名・・・Hydrophis donaldi

    2012年記載


    こちらも同じく北オーストラリアから発見された特徴的なウミヘビ。

    鱗の表面が小さな棘で覆われているのが最大の特徴。

    大変な稀種で、本種の生息域には他種のウミヘビが1万匹以上生息しているのにもかかわらず、本種は12年の調査期間でたった9匹しか見つかっていない。

  • 178新種生物紹介人22/12/17(土) 23:10:47

    和名・・・オオアタマウミワタリ

    学名・・・Cerberus dunsoni

    2012年記載


    ここまで紹介してきたSea KraitとSea Snakeはいずれもコブラ科であったが、海洋に進出したヘビはコブラだけではない。


    ウミワタリはミズヘビ科に属する半水性のヘビで、普段は汽水域のマングローブ林に暮らしているが、サンゴ礁や淡水域にも侵入することがある。

    この種はイリエワニのように潮流による拡散力に優れ、時に陸地から数百km離れた沖合で発見されることもあるという。


    本種はパラオ固有のウミワタリの新種であるが、詳しい情報は調べても得られなかった。


    和名・・・ゴジラウミイグアナ

    学名・・・ Amblyrhynchus cristatus godzilla


    和名・・・マルチェナウミイグアナ

    学名・・・Amblyrhynchus cristatus hayampi


    和名・・・キタウミイグアナ

    学名・・・Amblyrhynchus cristatus jeffreysi


    和名・・・サンタフェウミイグアナ

    学名・・・Amblyrhynchus cristatus trillmichi


    和名・・・サンティアゴウミイグアナ

    学名・・・Amblyrhynchus cristatus wikelskii

    いずれも2017年記載


    2017年にガラパゴスウミイグアナの分類の大幅な見直しが行われ、新たに5つの亜種が記載された。

    その中には日本の特撮映画『ゴジラ』に献名された亜種もあった。

  • 179二次元好きの匿名さん22/12/19(月) 19:03:56

    相当埋まってきた
    図鑑って眺めてるだけでワクワクする

  • 180新種生物紹介人22/12/22(木) 18:05:36

    >>179

    ありがとうございます!

    こうした応援が執筆のモチベーションになっているので本当にありがたいです。

    スレが終わりに近づいてきましたが、引き続き最後まで応援よろしくお願いします。

  • 181新種生物紹介人22/12/25(日) 12:09:16

    和名・・・ウシマンボウ

    学名・・・Mola alexandrini

    2017年再記載


    カクレマンボウ(>>153)は125ぶりに記載されたマンボウの新種だが、カクレマンボウの発見と並行してこのウシマンボウの再記載も行われていた。


    その経緯を説明するには、まずマンボウ属の分類の変遷から説明しないといけない。


    交流手段が現代ほど発達していなかった18世紀〜19世紀にかけて、マンボウは珍しい魚として世界各国で新種記載がこぞって行われた。

    その結果、マンボウの種数は膨大に膨れ上がり、分類は混沌としていた。


    1951年になると、時の魚類学者は過去の文献を徹底的に集め、混沌としていたマンボウ属の分類を見直そうとしていた。

    そして形態的な差異をもとに、マンボウ属をマンボウ(Mola mola)とゴウシュウマンボウ(Mola ramseyi)の2種に分けた。


    そして2009年、日本の研究チームが日本近海をメインに世界中からマンボウのサンプルを集めて遺伝解析を行った。

    その結果、マンボウ属内に少なくとも3種が存在することが明らかとなった。

    しかし、この時点では学名は付けられず、マンボウA種 (Mola sp. A)、マンボウB種 (Mola sp. B)、マンボウC種 (Mola sp. C)と暫定的に分けられただけに過ぎなかった。


    しかし、A種とB種という名前では呼びにくいため、学名の決定に先駆けて、A種にウシマンボウ (新称)、B種にマンボウという和名が付けられた。


    2017年7月19日、日本で未発見のC種は過去のどの種とも一致しないことから、完全な新種カクレマンボウとして記載された。


    それから5ヶ月後の2017年12月5日にカクレマンボウの新種記載に携わった澤井博士とナイトガード氏らによるチームが論文を発表し、ウシマンボウの学名がMola alexandrini、マンボウの学名がMola molaということで決着した。


    しかし、マンボウとウシマンボウは太平洋と大西洋で集団が分かれており、今後さらに研究が進めば新たな新種が記載されたり、学名が変更されることは十分ありえる。

  • 182二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 14:15:29

    保守
    いずれ人類が全ての生物を発見する日はくるのだろうか

  • 183二次元好きの匿名さん22/12/27(火) 18:21:13

    日本の研究チーム凄いな
    流石海洋国

  • 184新種生物紹介人22/12/30(金) 17:33:56

    ベラは世界中の暖かい海で見られる魚で、クリーナーフィッシュで有名なホンソメワケベラや水族館で人気のナポレオンフィッシュなど、約600種からなる海水魚の一大グループである。

    その中でも、西太平洋からインド洋にかけて生息しているイトヒキベラは色鮮やかで美しいことからアクアリストに人気のある魚である。

    その一方でこのグループは近年新種の報告が相次いでおり、2019年にはアメコミにちなんで名付けられた種も発表された。(>>164)


    和名・・・ハリオイトヒキベラ

    学名・・・Cirrrhilabrus isosceles

    2016年記載


    和名・・・マグマイトヒキベラ

    学名・・・Cirrhilabrus shutmani

    2017年記載


    和名・・・ルリノドイトヒキベラ

    学名・・・Cirrhilabrus cyanogularis

    2018年記載


    和名・・・ムチビレイトヒキベラ

    学名・・・Cirrhilabrus briangreenei

    2020年記載


    和名・・・フィニフェンマーイトヒキベラ

    学名・・・Cirrhilabrus finifenmaa

    2022年記載

  • 185新種生物紹介人23/01/02(月) 09:27:00

    イトヒキベラと双璧を成す美しいベラの仲間にクジャクベラがいる。

    クジャクベラもイトヒキベラ同様、アクアリストから人気の高い魚であるのだが、こちらも近年、インドネシアを中心に新種記載の報告が相次いでいる。


    和名・・・アオクジャクベラ

    学名・・・Paracheilinus cyaneus

    1999年記載


    和名・・・ナーサリムクジャクベラ

    学名・・・Paracheilinus nursalim

    2008年記載


    和名・・・レニークジャクベラ

    学名・・・Paracheilinus rennyae

    2013年記載


    和名・・・アブラエクジャクベラ

    学名・・・Paracheilinus alfiani

    2016年記載


    和名・・・パインクジャクベラ

    学名・・・Paracheilinus paineorum

    2016年記載

  • 186新種生物紹介人23/01/02(月) 22:48:01

    (>>157)で日本で最近見つかったピグミーシーホースについて軽く触れたが、それらをさらに紹介します。


    タツノオトシゴは世界から約50種が知られているが、その中でも体長1〜3cmのものを総称してピグミーシーホースという。

    これらの種は互いに近い関係にあり、DNA調査によってタツノオトシゴの中で最も基底的な一群であることが知られている。

    この仲間が初めて発見されたのが今から50年ほど前で、21世紀に入ってから新種の報告が相次いでいる。


    和名・・・ロードハウタツノコ

    学名・・・Hippocampus colemani


    和名・・・カクレタツノコ

    学名・・・Hippocampus denise


    和名・・・ユリタツノコ

    学名・・・Hippocampus pontohi

    以上すべて2003年記載


    和名・・・サトミタツノコ

    学名・・・Hippocampus satomiae

    2008年記載


    ボルネオ島東部のデラワン島沖で日本人ダイビングガイドの大西さとみさんが発見した体長わずか1.1cmのピグミーシーホース。

    世界最小のタツノオトシゴであると同時に、世界最小の脊椎動物の1つとしても知られる。


    和名・・・ミナミアフリカタツノコ

    学名・・・Hippocampus nalu

    2020年記載

  • 187新種生物紹介人23/01/04(水) 11:43:30

    和名・・・タツノコモドキ

    学名・・・Hippocampus debelius

    2009年記載


    タツノコモドキはわずか2.4cmしかないトゲトゲした小型のタツノオトシゴで、ピグミーシーホースと似ているが近縁ではない。

    生息地は極めて狭く、紅海最奥部の水深15〜30mからしか見つかっていない。


    和名・・・ヒメタツ

    学名・・・Hippocampus haema

    2017年記載


    西日本と韓‌国の日本海沿岸と東シナ海沿岸に生息するやや小型のタツノオトシゴ。

    ある日、さかなクンが水俣湾に潜っとき、彼は「水俣で見たタツノオトシゴとされていた魚が、これまで見たタツノオトシゴと明らかに違う」と感じて、魚類学者の瀬能宏博士に疑問を投げかけた。

    これがきっかけとなって本種の研究が進み、新種として記載された。


    和名・・・ピグミーシードラゴン

    学名・・・Kyonemichthys rumengani

    2007年記載


    ピグミーシードラゴンはインドネシアで初めて見つかった極小サイズのヨウジウオで、後になって日本でも生息が確認された。


    和名・・・ルビーシードラゴン

    学名・・・Phyllopteryx dewysea

    2015年記載


    リーフィーシードラゴン、ウィーディーシードラゴンに次ぐ第3のシードラゴン。

    普段はスキューバで潜れる限界よりも深い場所にいるため、発見が他2種に比べて150年も遅れてしまった。

  • 188新種生物紹介人23/01/07(土) 05:50:34

    和名・・・キホシスズメダイ

    学名・・・Chromis yamakawai

    2013年記載


    キホシスズメダイのホロタイプ標本がスズメダイのものであることが分かり、逆に今までキホシスズメダイだとされてた魚が新種になった。


    和名・・・カンザシスズメダイ

    学名・・・Chromis anadema

    2017年記載


    幼魚の頃は派手で目を引くが、成長するにしたがって地味になる種類。

    モンスズメダイの別タイプとされてきた魚が実は未記載種だった。


    和名・・・ナノハナスズメダイ

    学名・・・Chromis katoi

    2018年記載


    割と普通種ながら、キホシスズメダイと長らく混同されていた。


    和名・・・ゲッコウスズメダイ

    学名・・・Chromis tingting

    2019年記載


    現時点で日本近海でしか見つかっていない珍種。

  • 189二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 01:04:50

    保守

  • 190新種生物紹介人23/01/10(火) 01:05:49

    和名・・・クチバシカジカ
    学名・・・Rhamphocottus nagaakii
    2022年記載

    クチバシカジカは北米の太平洋岸と日本の南三陸の沿岸に生息している魚である。
    クチバシカジカのような遊泳力の低い魚が北太平洋の両岸に分布しているのは不自然という理由で、日本産クチバシカジカは船舶のバラスト水に紛れ込んで侵入した外来種という説も一部の専門家は唱えていた。
    しかし、DNAの塩基配列が日本産と北米産で6%も違っていたことに加えて、外部形態も異なっていることが明らかにされ、2022年に晴れて日本固有種だと認められた。

    日本でクチバシカジカの繁殖が確認されているのは宮城県の志津川湾と女川湾に限られる。
    そのうち、志津川湾の個体群は東日本大震災の津波によって一時姿を消したが、海底瓦礫の撤去に伴って再び姿を現すようになったという。
    こうしたことから、クチバシカジカは『復興の象徴の魚』として南三陸の人々から愛され、現在では町の重要な地域資源にもなっている。

    クチバシカジカの外来種疑惑が無事払拭されたこの発見も、海底の復興作業が無ければ得られなかったものかもしれない。
    それゆえ、この魚が被災から11年の時を経て日本固有種として認められたことに、私は非常に何か感慨深いものを感じる。

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