- 1二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:46:31
あ……
早く(ウマ娘に)なれ
本スレは「自分がウマ娘だったら」を妄想するスレです。
スレを開いたあなたも自分のウマ娘になった姿を想像してみましょう。
前スレ
あにまんウマ娘になりたい部Part152|あにまん掲示板メディアを通してウマ娘の世界を見たんだそうしたら急に、ヒトミミ生活が惨めに見えてきてなウマ娘になろうと思ったんだよ本スレは「自分がウマ娘だったら」を妄想するスレです。スレを開いたあなたも自分のウマ娘に…bbs.animanch.comアーカイブ
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umamusumeninaritai @ ウィキ【12/15更新】@wikiへようこそ ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名...w.atwiki.jp - 2二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:46:58
参考になりそうなもの↓
https://bbs.animanch.com/board/199950/?res=3
自分みたいにお絵描きできない人向け
https://bbs.animanch.com/board/199950/?res=4
https://bbs.animanch.com/board/246596/?res=141
診断メーカー↓
ウマ娘になったらの診断をプログラミングして作った!|あにまん掲示板https://shindanking.wixsite.com/my-site-1おかしくなったから立て直した画像のような結果が出ますbbs.animanch.com※入部希望者へ※
際限なくウマ娘が増えてしまうことを避けるため、原則一人一ウマ娘でお願いします!
次スレは>>190を踏んだ人が建てること!
建てられない場合は他の人にスレ建て代行をお願いすること!
スレの管理ができなくなるモバイル回線で建てないこと!
いいー?
- 3二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:49:40
たておつー
- 4二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:50:58
新スレ乙
- 5二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:51:36
これまでのやらかし的にエアグルーヴの青筋はとっくに破裂していると思われる
- 6二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:55:09
じゃあなんすか
うちのチームは問題児の集まりだって言いたいんすか - 7二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 21:55:30
(心当たりが多すぎて何に青筋を立ててるのか分からない)
(下手に弁明すると余罪がバレて墓穴を掘る)
(たまたま自分の後ろにいただけで実際には別のメンバーに対してだったらいいのにな) - 8二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:00:11
生徒会室の扉の前にBB弾をぶちまけたのがいけなかったのだろうか
それともCWコースでメントスコーラロケットを飛ばしたことか…? - 9二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:02:17
以前の調査で風紀的には優等生が多かったので一人悪ふざけしたら次々に悪ノリし始める連中だと思われる
- 10二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:03:31
優等生名乗るのやめろ
- 11ライトニングホラーの中身22/10/17(月) 22:04:03
ホーラは関係ない⚡️
ただ数十人くらいライトニング⚡️にしただけだもん - 12クアドラプルグロウ22/10/17(月) 22:05:56
先輩が風紀委員のわたくしが問題児なわけがないかな!
- 13二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:06:34
- 14ラプ中22/10/17(月) 22:16:45
我SSの投下を宣言す
- 15ラプ中22/10/17(月) 22:20:22
10月末日。天皇賞・秋には、今年も多くの強豪が揃った。今年の春G1の勝者3人を始めとして、サマーシリーズの覇者、昨年のクラシック勝者のウマ娘、さらに今年のクラシック級からもメンバーが集う。
春のクラシックで善戦し、前哨戦となる2週前の毎日王冠でも僅差の2着と健闘したラプラスの名前は、その中でもかなり有力なものとして認識されていた。
「よし、改めてレースの最終確認だ。まずは…」
「今日は逃げ勢が一人しかいなくてペースは比較的落ち着くはずだから、スタートしてなるべく前目に。コーナーの段階で走りやすい外に持ち出して、直線から加速を続ける。有力な差し勢が怖いから位置上げは早めに。仮にスタートがうまく行かなかった場合、無理に前に出ずに後方追走、コーナーから無理矢理位置上げしつつ加速」
予定通りの回答である。
「…問題なさそうだな」
「だって、昨日からずっと練り続けてた奴で…」
言い終わる前に、ラプラスはふと目眩を起こしかけ、右の手のひらで頬を軽く叩いた。
「それで寝不足、食欲も微妙に減ってるせいで疲労気味…と」
「ごめんなさい」
「……えっと、無理はするなよ。脚の問題もあるんだ、最悪回って来れればいい」
「…はい」
「じゃ、頑張れよ」
二人はひとまず、笑顔で別れることは出来た。両者の表情が深刻なものに回帰するのに、それ程時間もかからなかったが。
「そうは言っても、世間の評判ってやっぱ気になるからなあ…」
ゆっくりと、地下バ道を歩く。気にかかるのは周囲の反応。期待を受けているのだから、ある程度返さなくては道理に反するだろう。
他人の目なんて気にするな、ともいうが、かと言って完全に他人からの印象を無視できるほど、彼女は世俗から離れているわけではない。
「調子は…あまり良くないみたいですね?」
声が聞こえる。その方向を見れば、そこにいたのは皐月賞ウマ娘、グランドカプリース。ダービーこそ力を出し切れなかったものの、こちらも人気を集める一人だ。
「いやー、珍しくレース前だから、って緊張が凄くて…寝るに寝れなくて…」
「一流のウマ娘なら体調管理には注意するべきですよ。キングさんもそう仰っていました」
「反省だなあ…」
「まあ何にせよ、良いレースにしないとね。ラプラスさん、先にどうぞ」
「はいはい、また数分後。互いに健闘を」
視線の先には、応援幕の垂れ下がったパドックの観客席があった。 - 16ラプ中22/10/17(月) 22:25:13
「おい、一つ良いか?」
「どうしました?」
トレーナー席にいたラプラスのトレーナーに、ブレイズのトレーナーが話しかける。彼のチームの所属のウマ娘も、このレースに参加していた。
「パドックを見てきたが、見るからに調子が良くない。無理はさせてないな?」
「…彼女の手綱を握りきれなかったのは確かです。過剰な練習はかえって仇になりうると伝えはしたのですが…」
「失礼なことを言うが、ありゃ今日は厳しそうだ。雰囲気で言えば明らかに負けてる」
「いざとなれば無事に回ってくることを優先しろ、とは伝えています。しかし…」
「彼女が受け入れてくれるかどうかは別問題だな。何も無いと良いんだが…」
「18人、全員ゲートイン完了です」
「それぞれの実力を最大限に発揮し、目指すは栄光の秋の盾!」
「天皇賞・秋、スタートしました!各自綺麗なスタート!」
疲労で集中力がやや落ちていた割には、スタートは自分でも驚くほど良好だった。このまま好位置に…と思った矢先に、進路を阻む強敵が出現した。
(うーん、やっぱり走りづらい…)
この日は晴れていたとはいえ、前日の雨によって水分量を増した重寄りの鞘重の馬場が、不可避の敵として存在しているのである。
ラプラスは踏み込みの強さから速度をあまり落とさずに走れるし、馬場の条件は相手も同じなのだが、実際のレース内での経験としてはまだ彼女は未熟だった。
結果的に思うように行き足がつかず、当初の予定から下げた位置にての追走を余儀なくされたのである。
加えて言えば、今回の相手にはスタミナに優れた春天の勝者もいる。タフなレースになれば、彼女の実力は最大限発揮されるに違いない。
(こりゃ不利かな…いやいや、まだレースは始まったばかりだし)
この状況でのプランも用意済みだ。過去は変化できないのだから、現在で最善を尽くすほかに、未来を変える手立てはない。 - 17ラプ中22/10/17(月) 22:29:14
いつにも増して力のいるコースに多少の苛立ちを覚えつつ、コーナーを回り込み、速度を上げながら前に歩みを進める。周りのウマ娘たちの「圧力」も強まっていくのを感じる。負けじと加速を続ける他、ラプラスに対抗策は存在しない。
馬場状態の悪化も考慮に入れた、計算されたタイミングでの加速。少なくともこれは正確に行えた。位置取りが完璧ではなかったとはいえ、勝ちの芽は出始めている。
右手側にスタンドを見るのは今年3度目。前2回は良いところまで行きはしたが、結局敗者の側だ。3度目の正直、必ず勝ちに行く。
歓声の中、外から速度を一気に上げ、上げて、上昇させ、加速し……
……
……あれ?
スピードが一定値を保って、そこから突き抜けて行かないことに、ラプラスは気づいた。
やはり馬場に脚を取られ続けたのが悪いのか、外を大きく回ったロスが問題なのか、とにかくピッチが上がらない。
どうにかして逃げていたウマ娘にはやや並ぶところまで上がったが、後方の強豪たちが続々と自分を追い抜いく体制に入っていく。磨き抜かれたその戦意と実力を制圧し切ることは、どう考えても不可能だろう。
ラプラスはレース中でも冷静である。それ故、視界に映る光景の意味を理解した。
自分は負けるのだ、と。
屈辱も悔恨も、不思議なことだが、そこになかった。
へー、バ群に沈むってこういう感覚なんだ…と言う、実に奇妙な感慨があった。 - 18ラプ中22/10/17(月) 22:32:27
後方での入線。何着かは分からなかったが、大敗には変わりないだろう。
人々の期待に応えられなかった、という無念さはもちろんあるが、毎度毎度勝てる、ということもレースにはない。逆に3着以内を保てているこれまでがおかしかっただけで、大負けすることもこの世界では決して珍しくはないのだ。
次は頑張ろう、そんなふうに少しでもポジティブになろうと、ネガティブさを押しつぶしながら、歓声の沸く中、ラプラスはコースから戻り始めた。
んん?おっと…
声を出したかどうかは分からないが、その場に倒れこんでしまう。芝の柔らかくも刺すような感触が顔に刺さった。
こんなところで転ぶのも変な話だなあ、ちょっと恥ずかしいかもと思って、すぐに立ち上がり…立ち上がり…立ち上がり……
ーえ?
体を起こせない。
起き上がろうとする瞬間に、右足に痛みが襲い掛かり、思わずひるんでしまう。
もう一度、と起き上がろうとして…より強い痛みが、今度は全身を突き抜けた。
声すら出せない痛覚の衝撃により、その場に仰向けに倒れこんでしまう。
気分が悪くなりそうなほど青く清々しい空が、空が、視界を埋め尽くした。
「やっばコレ…全然動けない…」
『現段階でこれだけの負荷がかかれば…とにかく、トレーニング中もレース中も負担のケアが必須です。無理はしないようにしてください』
医師の顔が脳に浮かんだ。 - 19ラプ中22/10/17(月) 22:36:38
原因は理解できた。最近の独断による強めのトレーニングと、このパワーのいる馬場が、筋肉なり骨なりに破綻をもたらしたのだろう。回すだけに留めておけばまあ耐えきれたかもしれないが、それでも勝ちに行こうという走りが、肉体の許容値を超越してしまったのだろう。
流石にやりすぎたようだ。これが現実なのだと受け入れるしかないことは承知しているが、それでも後悔が心を埋め始めている。
勝とうとして必死になっていたのに、結局負けた上にこの有様だ。非効率この上なく、滑稽な限りだ。
…なんとしても勝つ?
…そもそも、誰のために?
というか、なんでこんな思いをしてまで?
「誰か担架を!急いでください!大丈夫なの!?」
ぼーっとした思考を、少女の大声が現実に引き戻した。記憶をたどり、発したのはグランドカプリースであると判別する。
観客席からもコースからも、ざわめきが聞こえてきた。こりゃちょっと経ったらウマッターなりウマチューブなりに映像がアップされるから見てみようか…という変な考えが、何故か脳裏に現れた。
意識があいまいになる。痛みが疲労感を増大させて、自分を押しつぶそうとしているのだと、ラプラスは理解できた。
医療班が駆け寄ってきたあたりで、彼女は眠気、倦怠感、痛みの連合に降伏する。瞼が閉じ、その視線が見る世界は、闇に包まれた。 - 20ラプ中22/10/17(月) 22:37:00
以上!続きはそのうち!
- 21二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:17:43
ラプラスちゃん怪我か……無理してたから……
今後の方針や問題についてトレーナーとよく話し合ってもろて - 22ライジョウドウの中の人22/10/17(月) 23:23:05
ライジョウドウ「ふくかいちょー!わたし何もしてません!」
(窓ガラスを拭こうとして最上階から落下し、大樹のうろに逆さにはまる。)
(校庭に乱入した鹿に無防備に近づいて頭突きを食らい、畑に逆さに刺さる。)
(急に思いついて寮の床をワックスがけしていたら自爆して転び、尻丸出しで廊下を横断して尻から窓から飛び出す。)
(窓から入ってきた蜂にデオドラントスプレーで立ち向かい、教室をシトラスマリンの香りにする) - 23二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:31:25
「おやどうされましたエアグルーヴさん、斯様にお怒りになって」
「え? 問題児が騒ぎを起こして大変? はあ、それはまた……あとでゴルシさんとナカヤマさんとボバーさんには伝えておきますね」
「僕? やだなあエアグルーヴさん僕ほど品行方正の4文字が似合うウマ娘は早々いませんよ」
「……はい? 寮の間にジップラインを通した奴? はあ、そんなおもしろ事件があったんですね。それでは僕は坂路系の仕事があるのでこれで」 - 24二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:34:14
- 25二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:42:22
- 26二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:51:52
一回学園の鐘からジップライン引いたりしたけどそのノウハウをそのまま破棄するのもったいないじゃん?
とは言っても寮間ロープウェイは確か牡馬ニキの仕業じゃないんだよね 怖くない?
私は優等生ですよと嘯く狂人が紛れてると思われるが…
- 27二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:53:07
- 28二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:54:14
忘れられがちだけどなんならチーム室2,3回は建て直しになってるからね?
なんで????? - 29二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 00:25:20
- 30二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 00:30:36
- 31二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 07:17:32
- 32メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:18:34
- 33メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:21:00
─────
『さあ今年も有馬記念がやってまいりました。毎年豪華なメンバーが出走いたしますこのレースですが、今年は例年を上回る豪勢なメンバー構成。なんとG1ウマ娘が10人も登場いたします!』
本バ場入場後皆がゲートの後方へと集まる。その顔ぶれは実況のとおり誰もが知っているウマ娘ばかり。G1勝ちではなくとも重賞を複数勝っていたり、G1で幾度となく好走をしたりと1年を締めくくるにふさわしいメンバー構成となっている。
『その中でも現在1番人気なのは、皆さんご存知日本で初めて凱旋門賞を制したウマ娘、メジロエスキー!』
発走地点からは画面の後ろを見る形となり直接見ることができないが、ターフビジョンにはエスキーの姿が映し出されたのであろう。大歓声がスタートの位置まではっきりと届いている。
『そして続く2番人気はこちらも皆さんご存知、今年のダービーと菊花賞の2冠を勝ち取ったメジロエスキモー! 初のシニア級との対戦、どのような走りを見せてくれるのか非常に楽しみです! 続く3番人気は──』
1人1人順番に実況に名前を呼ばれ紹介を受ける。もちろんこの私を入れた16人の精鋭たちはその歓声に動じることなく静かにレースの始まりを待っていた。
─────
『──さあ枠入りが進んでまいります。まずは奇数番号のウマ娘から次々とゲートに収まりまして、今5枠9番にメジロエスキモーが入りました』
今のところこれといった問題点はない。緊張もキツくもなく緩くもない、100%実力を発揮できるまさに完璧な状態。
(あとはスタートをミスらずに中団につける。スパートの場所さえ間違わなければたぶん、きっと……)
『──3枠6番にメジロエスキーが収まり……5枠10番には3番人気のサートゥルヌスが入ります』
「よろしくね、エスキモーさん」
「こちらこそ。楽しいレースにしようね」
隣の枠に入ったサートゥルヌスさんと一言言葉を交わし前を向く。
『──そして最後に大外8枠16番グランディカヴァリがゲートに収まりまして各ウマ娘態勢完了……スタートしました!』
ゲートが開きウマ娘たちが一斉に飛び出す。少し出遅れた子もいるが、それに気を取られることなく第3コーナーから第4コーナーに向けて駆け出していく。 - 34メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:22:02
『さてハナを切るのは15番のメテオリーテ。レース前の宣言通り先頭を奪ってリードを広げにかかります。注目の6番メジロエスキーは中団やや前の内側に、2番人気のメジロエスキモーは中団やや外目でレースを運ぼうとしています』
相変わらずのゲートの上手さ。ハナに立とうと思えば立てるほどのスタートダッシュを見せるも、前を譲りスッと内側の好位置につける。こういうところにも彼女のレースセンスの高さが垣間見える。
(あの子には負けるけど私だってレース勘は悪くないんだから……!)
やや右手前方にエスキーの姿を捉えながら前を塞がれないようにレースを運ぶ。少しペースが速い気がするから無理に前には行かない。
『──一団が今ゴール板を通過して第1コーナーから第2コーナーを目指します。そして今最初の1000mを通過して……58秒5! 今年は速い流れになりました有馬記念! 先頭のメテオリーテと2番手との差は5バ身から6バ身ほど開いています!』
スタートから直線途中までは下り坂が続く中山の外回りコース。しかしゴール前の急坂を越えると一旦平坦になるものの、第1コーナーにかけて再び上り坂が続く。だから本来ペースはそこまで速くはならないはずが先頭のウマ娘に引っ張られ全体の流れが速くなっている。
(おそらく先行集団は終盤で伸びないはず。だとしたら中団以降に控えている私たちが有利! ……ってあれ、エスキーは?)
視界の右側に映っていたはずのエスキーの姿がいつの間にか消えている。ここで垂れるなんてことはないし……もしかして前が詰まって位置を下げたのかもしれない。
『──さあ向こう正面を過ぎ、残り800mのハロン棒を迎えます! 先頭と後続との差が少しずつ縮まってきました第3コーナー! 先頭を捉えることはできるのか!?』
(脚は全然残ってる! 外からサートゥルヌスさんが上がってくるのを感じるけど、今の私なら交わされない! 交わされるものですか!)
目の前には誰もいない。脚を伸ばそうと思えばいくらでも伸びていける。ただ観客の姿だけが真正面から少しずつ左手側に移っていくのだけ見えていた。
- 35メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:24:35
『いよいよ第4コーナーを回り残り310mの直線に入ります! ここで先頭を奪ったのはメジロエスキモー! 菊花賞に続いて栄光を掴むのか!?』
(よし、このまま一気に突き抜け……!)
ゾワッ
背中にとんでもない圧を感じ、冷や汗が流れるのを感じる。間違いない、これは……
『いやメジロエスキーが外に持ち出すやいなや一気に前を捉える勢いだ! サートゥルヌスも迫っているがこれを一気に交わしてメジロ2人の一騎打ちに……』
残り200m。脚がいっぱいになった訳でも呼吸が苦しくなった訳でもない。それなのに……
『いやならないならない! 並ぶ間もなく交わした! あっという間にリードを2バ身、3バ身と広げていく!』
ただ必死に前に追いすがる。しかし突き抜ける相手を交わすまでの脚力までは持ち合わせておらず、最後は遠く離れていく背中をただ見つめるだけだった。
『──これが世界の実力だ! メジロエスキー圧勝で今ゴールイン! これは恐れ入りました! 最後の短い直線だけで他のウマ娘たちを蹴散らしました! そして2着はメジロエスキモー。直線入り口で先頭に立った時は決まったかと思いましたが、規格外の末脚に交わされ2着。ただ2冠の実力を十分に発揮したと言えるでしょう!』
2着敗退。ただ負けたことよりも彼女との実力差に涙が溢れそうになる。あまりにも高く、険しく、手が届かない壁。改めて私は彼女の才能に打ちひしがれることになった。
─────
そんな絶望している最中、ゴール板を走り抜け、息を整えるためのランニングの中でふと頭に思い浮かんだ。どうして彼女は道中後ろに位置を下げたのか。レース中はただ前が詰まっただけで外に持ち出しやすい位置に動いただけだと思っていたけど……
(もしかして私の動きを見るためにわざと位置をスピードを落として私の後ろについたの……?)
この前併走した時は私が後ろにつく形だったから、エスキーは後方をチラチラと見ていたもののはっきりと私の動きを見れた訳ではなかった。すなわち……
(私の現状の実力を見極めるためだけにそんなことをした……? 交わせることは分かりきっていたから……?)
- 36メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:26:55
辿り着いた真実に脚が震えその場で倒れ込みそうになる。あまりにも辛い現実。この事実に気づいた自分の頭を殴りつけてやりたくなる。
(そっ、か……初めて走った時より少しは差が縮まったのかと思ったけど、そんなことはなかったんだ……)
彼女と初めて走ったのは入学したての新入生が走る模擬レースでのこと。模擬レースといっても当然スカウト目的で多くのトレーナーが顔を出す。そんなレースでたまたま私は彼女と同じ組で走ることになったんだけど……
(今日と同じ、突き放されての2着。その後何度か走っても結果は変わらなかった)
その後溜まった気持ちを吐き出そうと中庭に向かい、ウロに向かって思いっきり叫んでいるところを今のトレーナーに見つかって関係が始まるんだけど、まあそれは一旦置いといて。
変わらぬ差。むしろ開いているとまで感じる大きな差。ただこれから先何度も戦うことになるだろう。負け続けていいのか。下を向いたままでいいのか。
(そんなことない! どれだけ差が大きくても、どんなに背中が遠くても、一歩一歩距離を縮めていくしか私にはできないんだから!)
涙が溢れそうになった目尻を人差し指でそっと撫でて前を向き直す。新たなライバルの登場。ここから逃げるはメジロの恥。
(今日は帰ったらトレーナーとみっちり反省会しなきゃだね)
──負けただけで心が折れるほど私はもうヤワじゃない。
─────
ゴール板を先頭で駆け抜け、走るペースを少しずつ落としつつ後ろを振り返る。すると5バ身ほど後方にエスキモーちゃんの姿を認めた。
(おそらくエスキモーちゃんは気づくでしょうね。道中のわたしの動きのことを。とても賢明な子ですから間違いなく)
ある程度の位置を確保できた段階で勝ちは見えていた。あとはラストスパートまでにどういう勝ち方にするかをただ考えるだけ。もちろん彼女がわたしをマークしてくるだろうことはこの前の併走の時から分かりきっていた。
(では逆にわたしがマークしようと、エスキモーちゃんの本気の末脚を見定めようと、彼女に気づかれないうちに静かに位置を下げた)
- 37メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:28:39
あとは前を塞がれないように徐々に外に持ち出して前を捉える。もっと突き放すことはできたけど日本の復帰初戦ということもあり無理はしなかった……いやもう1つ理由があった。
(本当であれば年が明ければこの体ともお別れ。それをおばあさまやドーベル姉さま、タキオンさんに無理を言って来年も『ウマ娘』であり続けるために再びクスリを飲んで現役を続行する)
言わば薬効が切れる直前の時期に体に負荷をそこまでかけられなかったという方が大きいだろう。そもそも2度も飲むものではないし、かつ体に多大な負担がかかる話。タキオンさんの話では反動で向こう半年はレースに出られないだろうという。そこまでしてやりたいことは何なのか。それは……
(エスキモーちゃんを見極めること。何か彼女とは同じメジロ家以上の不思議な縁がある気がしますから、それまでは『ウマ娘』を続けないといけない)
もちろん1人の親友としてもっと話したい、もっと仲良くなりたい気持ちも当然ある。元は違えど今は同じウマ娘なのだから。
「エスキモーちゃん、しばらくの間よろしくお願いしますね」
誰にも聞かれないように静かに呟き地下バ道へと抜けていく。観客の声援に手を振りながら。
─────
「それでさ、来年の話なんだけど」
「……意外と元気だな。というかもう夜遅いぞ」
ウイニングライブも無事終わり、トレーナーの家で来年の話を始める。反省会? もちろんバッチリやったよ?
「大丈夫大丈夫、明日は朝練休みだし。負けちゃったけど泊まってもいいんでしょ?」
「ああそれは問題ないんだけどな? もっと落ち込んでいるのかと思っていたよ」
「落ち込んでるよ? ただそれ以上に頑張らなきゃーって思ってるからそう見えないだけかも」
「そっか、それならよかった。それで来年の話だっけ? どのレース走りたい?」
来年前半の主要なレースをパソコンの画面に表示して私に見せてくれる。レース間隔を考慮したらたぶん……
- 38メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:29:37
「京都記念から大阪杯、天皇賞(春)、宝塚記念かな」
「全部遠征になるけど大丈夫か?」
「大丈夫。トレーナーの家泊めさせてもらえるんでしょ?」
「それはもちろん。エスキモーがリラックスしてレースに臨めるならいくらでも提供するよ。実家とは話ついているし」
「ありがと。だったらこのプランでいい?」
「分かった。そのローテでトレーニングプランも考えておくよ」
「ありがと。じゃあ話も一通り済んだことだしそろそろ寝よっか」
「そうだな」
そう言ってトレーナーはパソコンの電源を落とし、寝室へと向かう。私もその後ろについて大きなベッドへと倒れ込む。
「ふっかふか〜 あっ、もう眠れそう。トレーナー電気消してー」
「はいはい、お姫様の仰せのままに」
トレーナーも部屋の照明のスイッチを切るとベッドに潜り込み私の抱き枕になってくれる。
「それじゃあおやすみ、エスキモー」
「おやすみなさい、トレーナー」
レースが終わった日の夜はいつも不思議な夢を見る気がする。起きた時には内容は忘れちゃってるんだけど。
──今日は小さい私がママの膝の上に座って、家族3人でとあるウマ娘のレースを見る夢だった。そのウマ娘の名前は……えーっと……
そこで意識が途切れ、翌朝アラームが鳴るまでぐっすりと眠りにつく。当然起きた時には夢の内容を覚えてはいなかった。
- 39メジロエスキーの人22/10/18(火) 07:31:03
今日はここまで。それでは次回
- 40二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 07:42:03
- 41二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 07:54:32
- 42二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 08:15:28
- 43メジロエスキーの人22/10/18(火) 08:23:16
建て替えでいいじゃん……そんな大きくないのに爆破処理する必要ないじゃん……
- 44二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 08:28:47
なぜ建て替え前に爆破必須なのだよ
- 45二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 08:44:10
だって爆破するのぜったい楽しいじゃん
勿論周囲に仮囲いとか準備して周りに吹っ飛ばないようにするとか工夫は要るけど - 46二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 10:19:40
また部室爆破してるよチームカオス
けど風情あるじゃん
それもそうだな - 47キタサンアイドルの人22/10/18(火) 10:59:48
さてアイちゃんはIP規制治ったかな…?
- 48キタサンアイドルの人22/10/18(火) 11:02:22
治ったー!!話の途中失礼しますがいつまた規制されるか分からないので今のうち貼っておきます…
キタサンアイドル - uma-musumeになりたい部 @ ウィキ【10/17更新】(読み込めない部分は順次解放予定) 実馬のキタサンアイドル 血統 父キタサンブラック 母父ジャングルポケット 幸運の重戦車 牝馬でありながらそこいらの牡馬より馬体が大きい。 かなり気難しくプライドが高...w.atwiki.jp - 49クアドラプルグロウ22/10/18(火) 11:03:26
- 50クアドラプルグロウ22/10/18(火) 11:05:05
同室決まってるのに同室申し込んじゃって責任を感じているクアです
- 51クアドラプルグロウ22/10/18(火) 11:14:13
冷静にログを読み返すとロープウェイって言い出しっぺのわたくしのせいじゃん!!!
先輩に怒られちゃうかな!? - 52二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 11:31:15
「ライジョウドウの実家から逃げ出した野良おじさん」とかいうちょっと理解を超えた文字列が見えた
- 53二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 12:02:11
- 54二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 12:23:38
ライジョウドウの謎
・祖父の家の天井に付くはずがない手形が浮かんでいる
・家の近くに人死にが出たとされる心霊スポットがある
・勝手に家に上がり込むぬらりひょんじみた野良おじさんが出没する - 55二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 12:28:28
赤ちゃんっぽい手形はアライグマの可能性もあるって百姓貴族で知った
- 56レッカの構成因子22/10/18(火) 12:31:39
手形は「工事した時の大工さんの汗が手形になる」とかって聞いたことあるけど、ただの不審者じゃん野良おじさん…
- 57二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 12:40:11
もしかしてトレセン来るまでが異常すぎてライジョウドウ本人はチームカオスを
全員優等生で淑女な模範的生徒と考えている可能性が出てきた - 58二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 12:50:07
- 59キタサンアイドルの人22/10/18(火) 13:11:04
- 60クアドラプルグロウ22/10/18(火) 13:15:19
- 61二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 13:20:04
バラカは構いませんよー
- 62二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 13:23:42
SS内で登場させる分にはどうぞ
Wikiページ追加とかはちょっとご遠慮くだせぇ - 63キタサンアイドルの人22/10/18(火) 13:44:34
>>62はい!ではss投下
【再開】
メイクデビューの後、トレーナー室でトレーニングやスケジュールを考えていた。
[…だめだ馬群に…でもあの領域?は発動させたくない………]
八方塞がりだ。…酒でも飲もう、何か思いつくかもしれない。そう思いトレーナー室を出ると……
????「あっ先輩!!」
[何?……って後輩君じゃん、久しぶり。トレーナーになったんだ]
彼は昔仲が良かった高校の後輩だ。
後輩トレ「僕も先輩に会えるだなんて思ってなかった!……先輩?何か疲れてるような…」
[ハハ…さすがにわかるか。八方塞がりよ、私が情けないせいでね]
後輩トレ「良かったら話聞くよ。あっちなみにお酒はダメ。担当のためにも」
[…お言葉に甘えて愚痴るか。酒は今回お預けね]
〜🕛〜
[ありがとう、少しスッキリした。……そういえばあなたの担当は?]
後輩トレ「あっゴールドコメットって言ってすごい素質バで新人トレーナーの僕には勿体ないぐらいなんだ」
コメットは三冠ウマ娘になれると有名だ。
[私のアイドルも負けてないから]
後輩トレ「僕達も担当ウマ娘も同期だなんてとんでもない奇跡起きてるし」
- 64キタサンアイドルの人22/10/18(火) 13:45:08
[それな!…はは、なんだか昔みたいね]
後輩トレ「確かに!青春してたなぁ…」
[っていうか一応同期なのに高校の時の先輩後輩呼びは離れないね、お互い]
後輩トレ「先輩は先輩だから!」
[後輩君もね。あっそれでここの……]
あの後レースのこととアイドルの状態についてライバルということを考慮し少し隠しながら相談した。おかげで少し楽になった、後輩君には感謝しかない。
……果てへの道には暗く厚い雲がかかっているかもしれない。でも雲の上の空はいつだって晴れているのだから、私達も雲が届かないような場所まで走れば良い。
[完璧主義抜けてないな、私。捨てたはずなのにね]
だけど少し情けない所を見せたって良い、カッコつけたって良い。大切なのは本音で語り合えるかどうかだ。
[……改めてありがとう、後輩…いや、ゴールドコメットのトレーナー]
ライバル(友)との偶然の再開。
新たな道がかすかに見えた気がした。そして運任せの旅に出ることになったのである…。 - 65キタサンアイドルの人22/10/18(火) 13:46:09
ゴールドコメットことゴコメ君です。
一応見た目の絵は描いたのですが貼って良いですかね? - 66キタサンアイドルの人22/10/18(火) 14:03:15
- 67クアドラプルグロウ22/10/18(火) 14:16:18
見た目あると想像しやすいからあると嬉しいかもです
- 68キタサンアイドルの人22/10/18(火) 15:07:43
- 69キタサンアイドルの人22/10/18(火) 15:10:57
- 70クアドラプルグロウ22/10/18(火) 16:05:40
- 71クアドラプルグロウ22/10/18(火) 16:05:56
- 72ライトニングホラーの中身22/10/18(火) 16:21:53
むしろ衣装描いてもらえるなら嬉しいことはない
- 73ラプラスの中身22/10/18(火) 17:29:53
父ゴルシ母父オグリとは結構世代が離れたね…
父ゴルシ母父ルドルフもいるだろって?それは…ハイ… - 74メジロエスキーの人22/10/18(火) 17:35:28
はー……うちの子可愛い……しゅき……
- 75ナックル宅の壁22/10/18(火) 19:35:43
お疲れさまです。
昨日投稿したナックルさん
https://bbs.animanch.com/board/1137394/?res=171
のもうちょい詳しいプロフィールをしたためたので投下いたします。
よろしくお願いします。
- 76ナックル宅の壁22/10/18(火) 19:38:07
【自己紹介】ナックルと申します。競走生活と並行して、所属チームのサブトレーナーと「奇蹄グループ」という二人組ユニットで音楽活動も行っています。ぜひライブにお越しください。よろしくお願いします! ……丁寧すぎたかな?
【学年】中等部
【所属寮】実家暮らし→サブトレーナーとふたり暮らし(シニア級2年目から)
【得意なこと】早口言葉
【苦手なこと】葛藤すること
【耳のこと】たまたま聞こえたなんでもない音とかが新曲のアイデアになったりする
【尻尾のこと】触ったヒト曰く手触りが癖になるらしい
【靴のサイズ】左右ともに26.5cm
【家族のこと】実父がチーフトレーナーなせいで毎日が授業参観みたいなもの
【マイルール】書いた歌詞は原則推敲
【スマホ壁紙】デフォルトのまま変えてない
【出走前は…】バ場入場時に必ず一礼
【ヒミツ①】実は、ファン感謝祭のフットサル大会で得点王になったことがある。
【ヒミツ②】実は、イルカを飼うことに憧れている。
【勝負服】ナックルが好きなスポーツであるサッカーのユニフォームをイメージ。白一色。ソックスは短く履く。寒い日はインナーを着たりする。サッカーの場合エンブレムがプリントされている位置に自分の名前とか所属チームのロゴとかがプリントされている。音楽活動におけるライブも基本的にこれを着る。
【呼称】
一人称「私」 二人称「〜さん」
トレーナー(実父)学園では「トレーナー(など)」それ以外では「父ちゃん(など)」
サブトレーナー(♀)「ユリさん」「ユリ」
- 77メジロエスキーの人22/10/18(火) 21:08:05
- 78ナックル宅の壁22/10/18(火) 21:15:13
- 79二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 21:41:21
- 80二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 21:44:33
- 81メジロエスキーの人22/10/18(火) 21:45:10
そっか、壁か……無機物かあ……
- 82メジロエスキーの人22/10/18(火) 21:46:06
言い遅れた。エスキーもエスキモーもお好きにどうぞ〜
- 83ナックル宅の壁22/10/18(火) 21:53:00
確かサッカー選手の真似だったと思います。海外でプレーしてる日本人選手がピッチに入る前か退く時かに一礼してるのを観たことで始めたとかだったはず……。
- 84ラプラスの中身22/10/18(火) 21:53:21
ラプラスです、むしろお願いします
- 85ラピッドホライゾンの人22/10/18(火) 21:56:37
- 86ヨゾラギャウサルのうまそうる22/10/18(火) 22:04:48
ご随意に使ってやって下さい
- 87ダンスローバストの中の人22/10/18(火) 22:09:03
焼くなり煮るなり茹でるなりお好きにして下さって〜
- 88二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 22:23:26
- 89レッカの構成因子22/10/18(火) 22:26:45
ご自由にお使いくださいな
- 90二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 22:38:36
クライムも使っていただけたら……
- 91カラレスミラージュの人22/10/18(火) 22:49:24
もしよろしければミラージュもよろしくお願いします……!
- 92二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 07:05:54
大人気ダア……
ファンタジー調だとみんなどんな服になるのかね - 93キタサンアイドルの人22/10/19(水) 07:15:49
スッ…アイちゃんをお願いします!
- 94メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:21:34
話の途中ですがSS投げさせてもらいますね
- 95メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:23:19
─────
今年初戦の京都記念の半月ほど前、とあるホテルにて昨年度のURA賞の受賞式が開催された。少しきらびやかなドレスを身に纏いトレーナーとともに会場に踏み入れると、あちらこちらにお偉いさんや去年活躍したウマ娘たちの姿が見える。
「受賞式というかパーティーじゃない?」
「まあこの後立食パーティーするらしいからそれも兼ねてのことだろう。そういえば表彰の時の台詞、ちゃんと考えてきてあるよな?」
そう、私は去年1年間の活躍が認められ、最優秀クラシック級ウマ娘に選出された。皐月賞は2着に敗れたものの残り2冠を制した上に有馬記念も2着に好走したことが認められての受賞とのこと。
「も、もちろん考えてきてる。本番で噛まないかどうかだけ心配だけど……」
「去年は獲れなかったもんな、最優秀ジュニア級ウマ娘」
「G1勝てなかったし、仮に勝ってたとしてもたぶん朝日杯勝ったあの子が獲ってたと思うし……」
今年は受賞を逃したから来ていないけど、クラシック級ながら海外のG1香港マイルを制したジュピターさん。朝日杯の走りは確かに凄かったからサートゥルヌスさんとの一騎打ちに勝ったのも納得。
「まあそれはいいんだけど……まだあの子は来てないの? 遅れるなんていつも時間守るあの子にしたら珍しいけど」
「そういえば姿が見えないな……まあもうすぐ来るだろ。来ないと主役が不在の式になっちゃうし」
「主役、ね……」
去年1年の日本ウマ娘界の主役と言っていい称号、年度代表ウマ娘。その座に今回輝いたのは……
「すいません、遅れちゃいましたっ! まだ始まってないですよね?」
「大丈夫、時間には間に合ってるよ」
「よかったです……ちょっとバタバタしちゃって、てっきり時間に間に合わなくなるかと思いました……」
メジロエスキー、会場に駆け込んできた去年の顔。約1年海外遠征を敢行し見事6勝。その中には日本のウマ娘で初めて頂点に立った凱旋門賞も含まれている。もちろん海外だけでは日本の賞の受賞は叶わなかったけど、年末最後に日本に帰国、有馬記念を勝利したことで無事に最優秀シニア級ウマ娘と年度代表ウマ娘の座を文句なしで勝ち取ったのだった。
「それにしても珍しいね、エスキーが時間ギリギリなんて」
「ちょっとおばあさま達とお屋敷でお話してたらつい……ってこれ言っちゃ駄目なんでしたっ!?」 - 96メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:24:47
ハッと口を押さえるエスキー。彼女は本来口が堅いはずだけど……わざと? いやいや疑ってどうするの私……
「ふーん、まあおばあさま相手なら多少長くなっても仕方ないよね……あっ、もう始まるみたい」
壇上に司会の人が登壇するのが見え、2人とも姿勢を正して背筋をピンと伸ばす。
『さあ今年も無事挙行することができました、昨年1年間各部門において最も活躍したウマ娘を称えるURA賞受賞式! まず始めにURA会長から挨拶を──』
次第に式典は進みいよいよ私が登壇する番が来た。
『──続きまして昨年度最優秀クラシック級ウマ娘に輝いたのは、数十年ぶりに日本ダービーと菊花賞の2冠を制し、その他の重賞2勝、G1も2着2回と堅実な成績を残したメジロのご令嬢、メジロエスキモーさんです!』
こういう大勢の人の前で祝われる経験はそれこそダービーとか菊花賞で勝った時に経験はしているけど、それとはまた違った緊張感に包まれ、初めてのレースの時みたいに体が強張っていた。しかし受賞者用の席で隣に座っていたエスキーから小声で「頑張ってくださいっ!」とエールをもらい、体の強張りは解けたように思う。
「昨年の活躍は目覚ましいものがありました。おめでとう!」
「ありがとうございます。今年も頑張ります!」
URAの会長からお褒めの言葉をいただき、そのまま壇の後ろの方に同じ受賞者とともに並んだ。そして私が並ぶのを確認した司会がいよいよ最後の受賞者の名前を読み上げる。
『さあ皆さまお待たせしました! いよいよ最後の受賞者の発表になります! 昨年長期の海外遠征に向かいヨーロッパを中心にあの凱旋門賞を含めたG1をなんと6勝! 年末には日本に帰国し有馬記念を制覇! 文句なしで最優秀シニア級ウマ娘と年度代表ウマ娘に選出されました、メジロエスキーさんです!』
大勢の人の拍手とともに堂々とした表情で壇の上に上がるエスキー。幼い顔をしていながらも貫禄はこの中でも1番と呼べるものを身に纏っていた。
「日本のウマ娘で初の凱旋門賞制覇、本当におめでとう! 今年も期待しています」
「ありがとうございますっ! 精一杯頑張りますっ!」
エスキーが私の隣に並んだところで一斉に報道陣のカメラのシャッターが切られる。その眩しさに少し目を細めながらもこんな賞を自分がもらえたことに少し誇らしさを感じた。
- 97メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:26:41
─────
式典のあとは立食パーティー、のはずが報道陣にエスキーやトレーナーととともに囲まれ昨年の結果についてや今後の予定について根掘り葉掘り聞かれることになった。エスキーは慣れた様子で答えていたけど、私は慣れていない分戸惑ってしまいトレーナーに横から度々フォローしてもらう羽目になった。
「はぁ……エスキー凄いね。ちゃんと真面目に答えてたし」
「慣れたら簡単ですよ? 聞かれることって大抵決まってますから。変なこと聞かれたら学園を通してくださいって言えば分かってくれますし。まずそもそもメジロのわたしたちに頭がおかし……んんっ、ふざけたこと聞いてくる記者なんていないですけどね。あっ、あの料理美味しそうですね」
「本音が漏れてる漏れてる」
レース後みたく少し疲弊した私と対照的に特に取材に堪えた様子もないエスキー。やっぱり慣れの問題なのかなあ……
「それでさ……前も言ってたしさっきも取材で答えてたけど、今年春全休ってほんと? 全然そんな風に思えないんだけど」
本人曰く長期に渡る遠征で体に大きな負荷がかかったためしばらく休養するとのことだけど、有馬記念のあとも軽めではあるけど併走に付き合ってもらってるし、私からしたらレースに出ても問題ないように思う。
「乙女にはいろいろあるんですよ、乙女には」
「自分のこと乙女って……なんかはぐらかされてる気がするけどいっか。秋に復帰して全然駄目になってますーとかやめてよ?」
「そこは心配ご無用ですっ! 一段と強くなったところをお見せしちゃいますからっ!」
エスキーはそう言って胸をドンと叩く。これ以上強く、ねぇ……いやいや弱気になっちゃ駄目。秋までにそれ以上に強くなればいいんだから。
「春の私の姿を見てやっぱり出るのやめますーとかなしだからね?」
「あっ、エスキモーちゃんも言うようになりましたね? むしろ帰ってこないでって言ってくるのかと思ってました」
「そんな生意気なことを言うのはこの口か〜このこの〜」
「いふぁいふぇすえすひふぉーしゃん〜」
お互いじゃれ合いながらその裏では腹の探り合い。怯えてないか、心が弱ってないか、本当は違っていてもその素振りを見せてはいけない。同じメジロでもやることは他の子に対してと変わらない。
- 98メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:29:35
「その辺にしとけ。美味しいご飯食べないと損だぞ?」
「そう言うトレーナーはいっぱい食べすぎ……もしかして普段の私の料理じゃ物足りないってこと?」
少し前のめりになり首を傾げる私を見てトレーナーは違う違うと首を横に振る。それを見たエスキーは面白いものを見たといった表情で私たちをからかう。
「夫婦漫才みたいですね?」
「ちがっ……って大きな声でそんなこと言わないで!」
「えー、トレーナーさんとウマ娘が仲良いってよくある話じゃないですかぁ。そんな隠すようなことじゃ……」
「それとこれとは話が別! 付き合ってるの絶対秘密だからね!」
「分かってますよぉ。わたしもあのことバラされたくないですし」
「ならよし。紳士協定で頼むからね」
あの日交わした互いの隠れた秘密の話。私はトレーナーと付き合ってること、エスキーは同人誌?とかそういう趣味のこと……エスキーのは別にバレても良くない?
とにかく今日ばかりはレースを忘れしばしの間閑談に興じる3人だった。
─────
表彰式から2週間後の日曜日、京都レース場で開かれる京都記念。雨が降りしきりバ場状態は重と発表されている。
「ふぅ……よし、大丈夫」
レース前の緊張にもすっかり慣れ、軽く深呼吸するだけで平時と同じ調子に戻すことができるようになった。そんな私を見てトレーナーがペットボトルのお茶で少し喉を潤わせたあと、レース前最後の軽いミーティングを始める。
「まず今年春の目標は?」
「エスキーのいない春シニア中長距離G1を3つ全部勝つ」
「そのためにはレース中何をしたらいい?」
「常にエスキーをいることを想定してレースを運ぶ」
「よし、問題ないな」
- 99メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:32:10
それを聞いてふんっと鼻を鳴らして少しそっぽを向く。
「当たり前。こんなとこで躓いてなんかいられないんだから」
「……うん、練習もエスキーに付き合ってもらっているし、負荷も十二分にかけてきた。まずは前哨戦、勝つぞ」
「もちろん!」
レース前のいつものルーティーンを済ませ、控え室からコースへと向かう。自分でも言ったとおり、エスキーに勝つつもりなんだからG2といえど負けてなんかいられない。
─────
『雨が降りしきる中各ウマ娘がコースに入り、ゲート裏へと向かいます。注目のメジロエスキモーはいつもどおりといったところでしょうか。他にはティアラ路線からジェネシーやプチブーケも参戦してきましたこの京都記念。果たしてどのような結果になるのか』
目線の先にいるのは去年の秋華賞を勝ったジェネシーさん。そのすぐ近くにいるのが重賞はまだ勝てていないけどG1でも好走を続けているプチブーケさん。いずれも強豪のウマ娘。簡単な相手ではない。けど……
(絶対負けない……!)
『さあ枠入りが始まりウマ娘たちが次々とゲートに収まります。3番人気のプチブーケは最内1枠1番、3枠3版に1番人気のメジロエスキモーが入ります。そして7枠7番には去年の秋華賞ウマ娘、2番人気ジェネシーが収まります』
「すぅ~はぁ〜……うん!」
『さあ最後に大外10番コンガが収まりまして態勢完了……スタートしました! 横一線のスタート。まずはホームストレッチを使った先行争いへと入ってまいります』
スタートはいつもどおり。スッと前に持ち出し4、5番手の位置につける。前にいるのは空想上のエスキー。それをピッタリとマークするようにレースを運んでいく。
『さあ1コーナーを過ぎる辺りで隊列は決まり、先頭はオーシャンレースが取りました。リードを3バ身、4バ身とぐんぐん広げていきます!』
逃げ宣言をしていたウマ娘があっさりとハナを切り悠々とした表情で後続との差を開いていく。
(……まああれが最後まで保てるとは思わないけど。こんな天気のこんなバ場だし)
- 100メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:33:17
昨日から降り続いた雨は今は小雨になっているもののバ場にはしっかりとした影響を残し、足を少し踏み込むと水が染み出すような重たい状態になっている。失礼だけどそんな中を2200mだとしても飛ばしていって残せるような実績は確かなかったはず。
(とにかく先頭は気にせずに架空のエスキーをマークすることに集中しないと!)
有馬記念のあと軽めではあるもののエスキーには併走トレーニングに付き合ってもらい、その走りを脳裏に焼きつけることに努めた。VRウマレーターも少し使わせてもらったりして、朧げではあるが一緒に走っていたらこの辺りにいるだろうというイメージは浮かぶようになった。
『──さあ向こう正面中頃を通過し最初の1000mは1分1秒。このバ場を考えると平均ペースか? それとも少し速いのか? 先頭のオーシャンレースと2番手との差は10バ身以上開いております! ここから先頭を捉える子はでてくるのか!?』
レースも中盤を過ぎ、いよいよ第3コーナーの「淀の坂」に突入する。前との差は開いているが、脚にはまだまだ余力がたっぷり残っている。交わせる自信しかない。
『──いよいよ第3コーナーを迎えて各ウマ娘のペースが上がり始めます。先頭と2番手の差もこの辺りで徐々に詰まってきました。10バ身以上あったリードが7バ身、6バ身と着実に縮まってきています』
「実際の」3番手にいるジェネシーさんが上がっていく構えを見せている。後ろをチラリと見やるとプチブーケさんも迫ってきているのがはっきりと分かる。そんな中私は「想像上の」エスキーと同時かやや早めに仕掛けて一気に先団へと取りついた。
『──坂を下って4コーナーを回り最後の直線に向かってまいります! 先頭はまだ粘っているオーシャンレース! ただ後続が一気に押し寄せてきてその差はもう1バ身……いやここでジェネシーが外から一気に交わした!』
先頭交代。ただ私が狙うのはその人じゃない。
(行くよ……! 今!)
『──しかしその外からメジロエスキモーが捉えて先頭に立つ! ジェネシーやプチブーケも懸命に追っているが届きそうにない!』
私の頭の中を見せたらみんな怒るだろうか。だって私が戦っている相手はあなたたちではないのだから。見据えているのはこのレースに出ていない1人、ただ1人だけ。
- 101メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:34:06
『──リードを2バ身、3バ身と開いて今ゴールイン! 1番人気メジロエスキモー、今年初戦を横綱相撲で楽々と制しました! 2着に2番人気ジェネシー、3着には3番人気プチブーケと、人気順での入線になっています』
(届かなかった……)
周囲からすれば余裕の勝利、見事な船出を飾ったように見えるのだろう。ただ私にとってはそうではない。だってこのレースでも彼女を捉えられなかったのだから。
(次は大阪杯で……!)
雨に濡れ泥にまみれた顔を体操服の襟で少し拭う。髪ににも泥はついているけど、どうせライブ前にシャワー浴びるもんねと思いそのままにしておく。
今までとは違うレース中の思考状態。傍から見たらより本格化したように見えるかもしれないけど、私からしたらまだまだ未熟なウマ娘。そんな自分を秋の大レースに向けてどう鍛えていくのか、春はただそのためにレースに臨む。
──まず1つ。次も必ず。
- 102メジロエスキーの人22/10/19(水) 07:34:32
今日はここまで。ではまた次回
- 103キタサンアイドルの人22/10/19(水) 14:41:46
ss投下注意報!
アイちゃんシナリオが重い…のでアイちゃんまだ出番貰えてないゴコメ君で乾燥させておきますね - 104キタサンアイドルの人22/10/19(水) 14:44:59
【果てへの試練】
[次走は弥生賞にしたい]
「…え?まだジュニア期ですけど…」
[そうね、理由から説明しようか]
大逃げは元々未勝利から脱出するための賭けだ。そして脱出した今逃げに拘る必要はなく、G1の舞台で勝つためには大逃げではダメだと感じたので将来を見越して弥生賞までに馬群恐怖をなんとかしたい、そう伝えた。
「…いきなりG2に出れるんですか?」
[空きが出ればトライアルは出れる。実は弥生賞って空きが出やすいし出走は必ず出来ると思ってる。ゴールドコメットってウマ娘は知ってる?]
「はい、同じクラスの子でよく話しかけてきます。その走りは三冠に届くと言われてました」
[同じクラスなんだ…。まあ当然有望株の子は避ける、皐月賞が近い弥生賞では少し仕上がっている状態で対面するかもしれないから空きが出ると予測してる]
コメットが出走表明をしているホープフルsでの動きで大分変わるが勝った場合は必ず空くだろう。だが負けた場合は少し考えなければならない。そう伝えた。
[それに大逃げっていうのは初見殺し。2回目以降からは対策されるからなるべく出走回数は最小限にしたい]
[まあ纏めると、まず次走が弥生賞なのはトラウマ改善と対策されないようにしたいから。でも出走できるかは運任せってこと。]
「…運任せですか」
[そうよ、アイドルは運がいいしそれに賭けたいの]
「……でも…一度しかないクラシックのレースなんですよ…?もちろんトレーナーさんは信じています。だけど出走できても…勝てるかどうか…!」
…あの領域の原因が大方わかった気がする。彼女は負けることに対して過剰過ぎる恐怖心を抱いているんだ。そう考えながら彼女の小さく震える体をそっと抱き寄せた。
「トレーナーさん…」 - 105キタサンアイドルの人22/10/19(水) 14:46:54
[ごめん、一人で背負わせちゃって。放任主義とか言ってあなたのこと何にも見えてな]
「違います!!」
[っ!?]
「トレーナーさんはワタシのこといつも全力で支えてくれています。…昨日、トレーナーさん達の会話を少しだけ聞いていました」
[あはは…聞いてたの…まあ全然良いけどね]
「すみません…。でもワタシのことが見えていないなんて嘘です。例え見えていなくてもワタシはワタシの姿を見せつけます!」
そう彼女の真紅の瞳が鋭く光った。
[そう、その意気よ。あなたはレースに対して硬すぎる。だからあの領域とトラウマが生まれてしまった]
カウンセラーに相談した時に聞いた。トラウマはなくすことはできないが認識を変えることで軽減できると。
「……そうなのかもしれないです。あの時、勝たなきゃって…それで真っ白になって…トラウマは…ワタシのせいじゃないかって…また起こるんじゃないか…って…」
[大丈夫、勝ちたいと思うのは当たり前だから。それにあの事故はあなただけのせいじゃない]
「…ワタシ、頭が硬かったのかもしれないですね。……トレーナーさん」
[なに?]
「最初のメイクデビューのレース映像を見させてください。もう…過去から逃げたくない!向き合いたい!」
[…!……良いの?辛い道になるとは思うけど]
「それでも…向き合いたいんです、過去と」
荒療治で心の整理がつくまでかなりの時間がかかるだろう。それでも彼女の決意を無駄にしたくない。 - 106キタサンアイドルの人22/10/19(水) 14:48:00
[わかった。でも一人で抱えないでね?私も居るから]
「…はい!」
……本当、強いな。いったい何を食べたらこんなメンタルが強くなるのだろうか…?
「それと、弥生賞の件は直行でお願いします。…ワタシも、ワタシとトレーナーさんの幸運に賭けたいので」
[それまではトレーニングとトラウマ軽減だね]
「はい!!」
こうして弥生賞直行という運任せな道を進んだ。
__
トラウマ君はいつ離れてくれんですかね…アイちゃん横になります…… - 107二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 18:49:33
トラウマは根深いからなあ(じゃなきゃトラウマにならんけど)
でもアイちゃんとトレーナーの絆はしっかり結ばれてそうだし重いストーリーをしっかり乗り切ってくれると信じてますわ! - 108二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 18:53:38
VRウマレーター…死んだはずじゃ…!?
でもちゃんと正規の納入目的に使われてて感動した…今のところ理事長が無駄に付け足したゲーム機能しか使ってなかったから…。
弥生賞直行とはこれはまた…間隔が…。 - 109ヨゾラギャウサルのうまそうる22/10/19(水) 19:11:30
未勝利で弥生賞出た子が居たような
- 110キタサンアイドルの人22/10/19(水) 19:37:14
いったいどこのヘヴィーな戦車なんですかね(すっとぼけ)
ちなみにwikiは話進むごとに順次解放されるから楽しみにしてください!
キタサンアイドル - uma-musumeになりたい部 @ ウィキ【10/17更新】(読み込めない部分は順次解放予定) 実馬のキタサンアイドル 血統 父キタサンブラック 母父ジャングルポケット 幸運の重戦車 牝馬でありながらそこいらの牡馬より馬体が大きい。 かなり気難しくプライドが高...w.atwiki.jp - 111ライジョウドウの中の人22/10/19(水) 20:30:23
- 112フラなんとかのひと22/10/19(水) 20:31:27
チート!
- 113二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:31:34
贅沢!
- 114ナックル宅の壁22/10/19(水) 20:32:59
- 115二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:36:41
メダパニ食らってこっちに牙を剥けてくる姿が見える
なんならチートなしでもそうなりそう(小並感)
そういえば今日からウマさんぽが始まったけどみんなの場合はトレーナーとお出かけしたらどうなるのかしら
とりあえずカジっちゃんが食事に出かけた時はラーメン啜ってるってことしかわからない
- 116二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:38:01
- 117ナックル宅の壁22/10/19(水) 20:38:05
・GI5勝の偉大な母「デイ(Day)」とデイが現役の頃のトレーナーだった父のもとに生まれる。「ナックル」という名前は父の名にある「拳」という文字から取った。周囲から過剰な期待をかけられることもなく、大切に育てられる
・そんなある日、母が用事のついでに立ち寄ったCDショップで、あるアーティストが発表した「DAY」というアルバムをたまたま発見。さらに「KNUCKLE」という曲が収録されており『アルバム名が自分の名前で収録曲に娘の名前があるとかこんな偶然ある!!?!?』と衝動買いする
・そして奇しくもCDの購入特典として「KNUCKLE」のライブDVDが同梱されており、当時小学生のナックルは視聴した瞬間にそのアーティストに脳を焼かれ「この曲をウイニングライブで歌う」という夢を抱く。そのアーティストが大のお気に入りに
・しかしクラスメイトや周囲の人々の中にそのアーティストを話題にするヒトがほとんどいなかったりしたことで「私の『好き』が全てのヒトの『好き』ではない」ことを悟り、「目標はオープン入り。夢は重賞勝利」と夢を上書きしたつもりで暮らす
・走りの才能は優れていた。晴れてトレセン学園入学を果たし、デイと結婚した後もトレーナー業を続けていた父のチームに加入する。と同時に「今井ユリ」という女性の新人トレーナーが父のサブトレーナーとしてやって来た。
- 118ナックル宅の壁22/10/19(水) 20:38:50
・……なんとユリはナックルが脳を焼かれたアーティストのファンであり、そのアーティストが使用する機材「ELECTRIBE」を使った音遊びなどをしたりするほどであった。ナックルとユリはそれを通じて意気投合し、ダンスレッスンのついでにそのアーティストの曲を歌ったりしているうちに、ナックルはユリに自身の本当の夢をポツリと打ち明けてしまう
・その時ユリにかけられた言葉によって、ナックルは再びその夢を抱き始める。そしてその際「せっかくだしふたりでコピーバンドやらん?」という流れになり『奇蹄グループ』というふたり組ユニットが結成された(活動は不定期)
・ナックルもユリも普段は割とおとなしいほうだがライブでは豹変し、MC担当のナックルは悪魔に取り憑かれたようにステージいっぱいに動き回りながらラップを繰り出したりシャウトしたり、その隣でトラック担当のユリはELECTRIBEをはじめとした機材を駆使した本家さながらのパフォーマンスで観衆をブチ上げるらしい
- 119ナックル宅の壁22/10/19(水) 20:40:40
その他……
・ユリの髪は栗色のセミロング。ライブの時は髪を結う。ちょっとのんびりした雰囲気のヒト
・ナックルと仲の良いウマ娘はキタサンブラック(同期)、ブル卜”ッグホ”ス(同期)、ゴールドシップ、スノ一卜”ラゴン、夕”ノンレシ”ェン卜”、卜”レフォン、マイン卜”ユアヒ”スケッツなど
会話サンプル(ユリさんとの会話)
「ユリさん。私が今度出走するアイビスサマーダッシュは『太陽に向かって走る』わけだ」
「ん? ああ、コースの方角ね。確かに、ゴール方向は西だったかな……」
「……『太陽を背に歩く』ってフレーズ、それと対比っぽくていい感じしない?」
「……おお。いいね」
「一曲書けそうかも……(ネタ帳を取り出す)また耳コピお願いします。メロディから歌うんで」
「はいよ」
- 120二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 23:21:50
- 121メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:23:04
- 122メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:24:40
─────
レース後、シャワーを浴びてさっぱりしてから控え室へと戻る。いつものようにそこにはトレーナーがいて……いやエスキーもいた。
「エスキモーちゃんお疲れさまですっ! そして1着おめでとうございますっ!」
クラッカーでも鳴らしているのかと勘違いするぐらいの盛大な拍手。大丈夫かな、手痛くないかな。
「来てたんだ、ごめん気づかなくて」
「こうして会えたからいいんです……それにしてもエスキモーちゃん、なんだかお顔がすこーし怖い感じになってません? なんだか怒ってます?」
エスキーに言われてハッと鏡の方を見る。すると神経をピンと張った自分の顔がそこに写っていた。
「駄目駄目、こんな強張った顔してちゃ……ウイニングライブ出られないよ……」
「よく分からないですけどリラックス、ですよ? ほら、むにむに〜」
「ちょっと! 顔弄らなくても自分でできるから! もう……ふふっ!」
「あっ、やっと笑ってくれましたっ! いつものエスキモーちゃんが戻ってきてくれましたねっ! ねっ、トレーナーさんっ!」
エスキーが頬を両手でむにむにと揉んでくるのをなんとか最小限に抑えたところで思わず噴き出してしまう。まあそのおかげでピンピンに張りつめていた緊張が解れたんだけど。
「ああ、やっと普段の君が帰ってきてくれて嬉しいよ……ごめんな、レース前にオレが追い詰めたみたいで」
「いいの、気にしないで。重く受け取りすぎた私の責任だから。むしろ私の方こそごめん」
トレーナーの謝罪を断り、逆に私から頭を下げる。何かと気にしすぎる性格、直さないといけないって思ってるんだけどなかなか難しい……
そんな2人を見て何の話をしているんだろうと小首を傾げるエスキー。私とトレーナーどっちに声をかけようか何度か首を振った結果私に聞くことに決めたらしい。
「ねぇエスキモーちゃん。お2人は何の話をされてるんですか? 前哨戦なのにそんなにピリピリしてたら本番前に疲れちゃいますよ?」
「うーん……トレーナー、言っちゃっていい?」 - 123メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:26:18
本人にする話かどうか私1人では判断がつかず、トレーナーに判断を仰ぐ。トレーナーも数瞬どうするか迷った結果大丈夫だよと首を縦に振った。
「エスキー、あなたに勝つためなの」
「わたしに、ですか?」
少しは予想していたのだろう、全く頭になかったという驚き方ではなかった。一拍置いてから続きをどうぞと促され、軽く咳払いをしてから話を進める。
「去年の年末、有馬記念であなたに負けたでしょ? しかも完全とは言いがたい状態のあなたに。それが悔しくて悔しくて……ただ春は休んで秋から走るって言うから、それまでに勝てるようにトレーニングしてるところなの。今日のレースもその一環」
「なるほど、だから仕掛けるタイミングもわたしが仕掛けそうな所に合わせたってことなんですね」
「レース見ただけで分かるんだ……凄いね……」
相変わらずのトレーナー顔負けの鋭い観察眼。これで私とほぼ同じ年齢なのかと衝撃の色を隠せない。この分析能力があるからこれまで負け知らずでいられたんだろうな……
私が改めて彼女の頭の回転の速さについて目を見張り口を閉ざしていると、またもやエスキーから目を、いや耳を疑う提案がなされる。
「もし良かったらですけど……わたしも協力しましょうか?」
「……ごめん、もう1回言ってくれない?」
「わたしもそのトレーニング手伝いましょうかってことですっ! ちゃんと聞いてくださいっ!」
ぷんぷんと可愛らしげに怒りを表現するエスキー。いやでもそれって……
「……自分を倒すための練習に協力するってことだよね。いいの?」
「もちろんですっ! ライバルは強ければ強いほど倒し甲斐があるものですからっ! というよりわたしも復帰に向けた練習しないとですから、その延長での話ですけど」
「いやエスキーがそれならいいんだけどね? トレーナーもいい?」
少し、というより大分と半信半疑な私の問いかけにこれまた頭の中にはてなマークがたくさん浮かんでいそうなトレーナーがいいよと答える。
- 124メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:27:58
「いいよ、エスキーがそれでいいんだけど……なあ?」
「まあでもなんか楽しそうだしいいかな?」
「やったあっ! でしたらこれからエスキモーちゃんと一緒に練習ですねっ! 練習メニューは……どこで考えましょう? トレーナールーム?」
「ま、まあそこでいいんじゃないかな、うん……」
いくら付き合ってるのがバレててもいつもトレーナーの家で2人横に並んで決めてるとは言えないし、それ以上にこの子をトレーナーの家に上げたくないし……トレーナー取られたくないもん……
「決まりですねっ! 姉さまにはわたしから話しておきますから安心しててくださいっ! それではこの辺りでわたしは失礼しますね〜」
そう言って彼女は笑顔で手を振って部屋から飛び出していった。彼女の意図が読めない2人を残して。
「トレーナー、どう思う?」
「オレが聞きたいよ……こっちの情報欲しい、ってことなのかなあ?」
「だったら一緒にしなくてもコースで見てるだけである程度掴めそうなものだけど……うーん、何年か付き合ってるけど、あの子の考えてることよく分からないんだよね……」
2人して頭をうーんうーんといくら捻らせても答えは出ない。それはウイニングライブが始まってからも、家に帰ってからも。まるで解けない数学の問題みたいに。
─────
彼女には何かある。具体的にそれは何と聞かれたら答えに窮するけど、わたしの頭の中がそう叫んでいる。
「だとしても必ずしもわたしに勝ってもらう必要まではないんですよねえ……」
「どうしたの? もしかしてあの子のこと?」
その日の夜、寮の部屋で姉さまと2人ベッドに腰掛けておしゃべりをしている最中、ふと今日の彼女とのやりとりが脳裏によぎった。
「そうなんですよ、姉さま。エスキモーちゃんについて何かひっかかるような気がして……」
「うーん、アタシも何か引っ掛かるんだよね。同じメジロの一員は一員なんだけど……なんだろ、ライアンに感じることと似てるかも……いや違うかも」
わたしの預かり知らぬ所で向こうの2人が頭を悩ませている中、こちらもこちらでエスキモーちゃんのことについてうーんと唸っていました。
- 125メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:30:01
「とりあえずおばあさまにも声かけます?」
「そうするしかないかな……これ以上迷惑かけたくないけど仕方ないよね」
「分かりました。では2人で一緒にお屋敷に行きましょうねっ!」
「そんな急にウキウキにならなくても……元の姿知ってる分なんか調子狂うなあ……」
突然降って湧いた姉さまとのお屋敷デートに胸を躍らせつつ、これまた姉さまと同じベッドで眠るわたしなのでした、まるっ。
─────
夕方のトレーナールームに人影が3つ。1人はホワイトボードの前に立ち、あとの2人は横に並んでそのホワイトボードに書かれた文字と絵を見ていた。
「次のレースは大阪杯です。はい、トレーナーさん、大阪杯の開催条件は?」
「阪神芝内回りの2000m、でいいんだよな?」
「はい正解です。続けてエスキモーちゃんっ!」
エスキーって字は綺麗だけど絵って独特なんだよねと目の前の阪神レース場のイラストをボーッと見ていると、そんなぼんやりとしているのを見抜かれたのか、トレーナーに続いて指名されてしまう。
「え、えっと、何かな?」
「ではこの阪神内回り2000mの特徴はなんでしょうか? 分かる範囲で答えてくださいっ!」
「特徴、特徴……あっ急坂が最後の直線にあるから、坂を2回越えないといけない!」
「ピンポン、ピンポーンっ! 大正解ですっ!」
指示棒を持ちながら器用にパチパチと拍手をするエスキー。もちろんコースの特徴なんてまだまだたくさんある訳で、それについてホワイトボードに書き込みながら説明を始める。
「今エスキモーちゃんが言ったとおり、このコースは最初と最後に急坂を2回越えなきゃいけません。なので単なる2000mと思って臨んじゃ駄目です。スタミナは最後までちゃんと残しておきましょう」
「ふむふむ、皐月賞と似てるって思っておけばいいのかな」
「まあ形状やコーナーのキツさが違うので一概には言えませんけど、ざっくりとそんなイメージで捉えていれば大丈夫ですね。そんな急坂を2回も越えるこのコースですが、実は向こう正面中頃から直線の急坂までずっと下り坂なんです」
「へー、なんか意外」
最後にだけ坂があるものだと思っていたけど、よく考えれば上った分下らないと辻褄が合わなくなるもんね。それがその部分になる訳か。
- 126メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:31:22
「この下り坂でスピード出しすぎるのは当然最後の4コーナーで外に膨れる原因になるので駄目なんですけど、かといって抑えていたら先行している子たちが下り坂を利用して脚を残したまま後続との距離を引き離す、もしくは保って最後まで粘りきるということが多々あるので要注意ですっ!」
「変に後ろから行くのは厳禁と……なら逆に前に構えればいいんじゃないか?」
トレーナーからの質問にまさしくそのとおりとエスキーは激しく同意する。もちろんハイペースに飲まれないように注意してくださいねと続けて、そのままレース展開の話に持っていった。
「今トレーナーさんが言われたとおりこのコースは比較的先行有利な形態をしています。ですからエスキモーちゃんのこれまでの脚質のままでわたしはいいと思います。あとはどこで仕掛けるか、またその仕掛けを実現するために必要なトレーニングとして──」
レースからそのままトレーニングの話に突入する。私も忘れないようにしっかりと説明を聞いているが、横を見るとトレーナーはパソコンでそれはもう必死にメモを取っていた。一言一句漏らすことがないように一心不乱にカタカタとキーボードを叩き続ける。
(とりあえず携帯のカメラを録画モードにセットしてっと……)
ホワイトボードが全て入るように画角を調整して携帯を机の上に置く。音はこの距離だから調節とか何もしなくても全部拾ってくれるだろう。
今日はそんなありがたーいエスキーの大阪杯講座でトレーニングの時間を費やした。まあ座学も大切だからね。知識がないのにひたすらトレーニングしても無駄になっちゃうし。
─────
「はい、トレーナーお疲れさま……なんでアンタがここにいるの。というかいつ入ってきたの」
「わあ、エスキモーちゃんのご飯美味しそうですっ! いつってさっきですけど?」
練習後いつものようにトレーナーの家に向かって夕食を作っているといつのまにかエスキーが家に上がってきて食卓の椅子に腰掛けていた。量はいつも私の体作りのために多めには作っているから3人でも十分な量はあるんだけど、それにしても彼女を呼んだ覚えは全くない。
- 127メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:32:45
「もしかして……トレーナー?」
懐疑的な目線をリビングでパソコンとにらめっこしているトレーナーに向けると、私の厳しい視線と声に瞬時に反応し必死な声で否定する。
「違う違う! ピンポンってチャイムが鳴ったからドアを開けたら彼女がお邪魔しまーすって上がってきたんだよ! 無理に帰すのも悪いからさ……」
キッチンで冷蔵庫の中身を整理している時に鳴ったあのチャイムはエスキーだったのね……宅配便か何かだと思ってたわ……
「食生活も無駄なものを食べてないかも確認しないといけませんからね……じゅるり……美味しそうです……」
「私の料理食べたいだけでしょ……はいはいそんな悲しそうな顔しない。今度から買い物の荷物一緒に持ってくれたらそれでいいって」
「えへへ……エスキモーちゃん優しいです……」
「はぁ……前途多難というかなんというか……」
「まあご飯の時だけって思えば……」
目の前に並んだ料理にグゥ~っとお腹を鳴らしてまで今か今かと待ち構えているエスキーをよそに、私とトレーナーの2人はこれからどうしようかとため息を1つ吐いて頭を押さえるのだった。
(エスキーにそのつもりはないと思うけど……うーん……)
(とにかくエスキモーに疑われないように彼女と接しないと……)
─────
そんな私、エスキー、トレーナーの3人でのトレーニングが始まってから数日経ったある日の夕方、練習前のミーティングのためにトレーナールームに立ち寄ると、ソファにトレーナーが膝を抱えて横になっているのを発見した。彼がそんな格好をするなんて家のベッド以外では見たことがない。目線を離さずにそのまま近寄り、トレーナーが丸まっている分空いたソファのスペースにそっと腰掛け話しかける。
「ねえどうしたの、そんな格好して」
「なあエスキモー、オレ、いる?」
「……は? 何言ってんの?」
これまた珍しく弱音を私に吐き出すトレーナー。一体何があったのか問いたださなきゃ。というか自分のトレーナーがこんな弱気になっているところ他の人に見られたくないし。
- 128メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:34:04
「いやさ? 最近エスキーが君の指導に回ってきてくれているでしょ? オレ自身勉強になること多くてありがたいんだけど、それ以上にオレがいなくても彼女が君に指導していればそれでいいんじゃないかって思えてきてさ……」
「なるほど、自分は私の助けになってないんじゃないかって落ち込んでるのね……もう、しっかりしなさい!」
そう言って開いた脇腹を思いっきり突く。うぐっと声を上げたトレーナーはその勢いでソファに座る体勢に戻った。
「ちょっ……いきなり何するんだ……地味に痛いんだけど」
「うじうじしてるトレーナーには抜群の効き目だったってことね、良かった」
「いや良くないけど!?」
そう言ってこっちの方を見て反論してくるトレーナーに対して私も顔を向き合わせて気持ちをはっきりと伝える。
「あなたがいなくちゃそもそも私走ってないし、今も走り続けられてない。あなたのトレーニングがあって、あなたの叱咤激励があって、それで私は今ここにいるの」
「お、おう……」
「それにあの子のトレーニング、わりとキツいの気づいてる? 今まで地道にやってきた基礎トレとか、有馬記念前にやってたエスキー対策のメニューとかやってなかったらついていけてないからね?」
「そ、そうか……オレの組んだメニューがあったから……」
私の溜まった想いをこれでもかとぶつけてあげたら少しずつではあるが再起し始めた。もちろんまだまだ足りないからもっと言ってあげる。
「そのキツいメニューをこなせるのはあなたが見てくれているから、あなたが側にいてくれているからなの。それぐらい自分の愛バなら気づいてよ、バカ。だから早くシャキッとして。これで私のやる気が出なくて大阪杯負けたらあなたの責任なんだからね」
「それは……まあメンタルケアもトレーナーの役目か……よし、分かった」
そう言って私から目線を逸らすと大きく深呼吸をする。そしてもう一度私と向き直した彼の顔はいつものやる気MAXの素敵な顔だった。
「オレはまだまだ未熟かもしれない。だけどこれからも君を支えたい! できればずっと!」
「……うん、その言葉が聞きたかった。ずっと、ずーっと私のことよろしくね」
──願わくば未来永劫、隣にずっと。
- 129メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:35:08
「そういえばさ、彼女のメニューとか指導方法とかどこかで見たことあるんだよな……どこだったっけ……」
「トレーナーも? 私もあの教え方とか褒め方、どこかで見た覚えあるんだよね……いつだったかな……」
お互いに彼女のことは引っかかっているらしく、2人頭を悩ませる。私はともかくトレーナーもとは思わなかったけど。
「うーん……分からん!」
「そうだね、考えすぎてトレーニングが疎かになっちゃったらいけないしあの子のことはここら辺で……いや待って、そういえばエスキーってトレーナーいるんだよね?」
新たなる疑問が浮かび上がってくる。エスキーのトレーナー問題。以前はほとんど気にならなかったけど、一緒に過ごす時間が増えてきたせいか途端に気になり始めた。そんな私の疑問にトレーナーもそういえばと話し始めた。
「オレも他の先輩とかに聞いたことあるんだけどさ。あの子のトレーナーってドーベルさんと一緒なんだけど、今海外留学中って話らしい。ただ誰も彼女以外誰も連絡取ってないみたいだ。もちろんうちって海外研修制度は適宜募集しているから他にも行っているトレーナーいるんだけど、彼とは一度も会えたことがないんだと」
ますます疑問が深まり、事態は混迷を極め始めた。海外に研修に行っているはずのトレーナーに誰も会ってない? というか……
「去年エスキー海外遠征行ってたでしょ? わりと頻繁にあの子と電話してたんだけど、トレーナーの影も話も全く出てこなかったんだよね。せっかく同じ海外なんだから会っててもよさそうなのに」
「……本当に存在するのか?」
「そこだよね……」
当然の帰結にたどり着く私たち2人。ただトレーナーがいなければレースには出られないし、ドーベルさんがそんなに慌てていないということは事態はそんなに深刻じゃない?
- 130メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:35:48
- 131メジロエスキーの人22/10/20(木) 07:36:17
今日はここまで。それではまた次回
- 132二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 10:06:33
レース見ただけでおおよそ把握する辺りトレーナー顔負けというか、流石元トレーナー……。
>ソファにトレーナーが膝を抱えて横になっているのを発見した。
いじけるトレーナーは草
写真撮ってチームに流通させたい
というかそろそろエスキーの件隠し切れなさそうになってるんですけお
- 133ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:20:50
トレーナーがかわいくて脳がバグりましたよね……背後霊も写真欲しいです切実に
恋路を邪魔して蹴られたくないので自重自重!
ということで、タイミング的にちょっとアレで申し訳ありませんが、SSを投稿します - 134ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:25:23
【第一の試練/赤き巨星、あるいは戦神③】
あれから、体感で一日が経った。
あの、地獄みたいな時間は思い出すと無意識に息が荒くなる。責め苦ってああいうこというんだって思ったよね。色々すごかった。
でも。
前の私より、私を上手く使える確信。
比べ物にならないくらい強くなった実感。
確信と実感が、私に勇気をくれる。
勇気は、溟い世界を塗り替えた。
気がつけば私は、ダートを走っていた。
目算1マイル程度先。同じように走る、栗毛のウマ娘の背中が見えた。逆巻く炎みたいな、栗毛のウマ娘。
恐ろしく大きな跳びだ。8mは間違いなく跳んでいる。なのに回転も尋常じゃない。レベルを判断するなら、間違いなくエスキー級。場合によっては、それ以上。たぶん、どの時代に生まれても、ヒーローになれるんじゃないかな。不思議な高揚感を観てる人たちに与えるような、力強くて、でも、すごく綺麗な走り。 - 135ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:25:50
以前の私なら、あっさり心が折れてしまっていたと思う。でも、今ならただただ〝気持ちいい〟
頬に熱が昇ってくるのが理解る。ううん、全身が蕩けるみたいに熱を帯びている。余分な力が抜ける。〝気持ちよさ〟に、目尻が下がって、目が潤んでくる。
ああ、本当に〝気持ちいい〟
どうしようもない差が、負けているっていう事実が。どうやったって勝てやしないんじゃないかっていう諦めの感情さえも、今はすごく、〝気持ちいい〟
そして、そんな〝気持ちよさ〟の先に、もっと〝気持ちいい〟ことがあるのを、私は〝私〟に教えてもらった。
常識を覆す。不可能を壊す。理解を塗り替える。〝気持ちいい〟を与えてくる全てへの叛逆。これに勝る〝気持ちよさ〟はないんだって。
あなたみたいな変態じゃない。はじめはそう思ってた。でも、ごめんね、〝私〟
私もまあまあ変態だったかも。あなたの言ってたことが、今ならすごくよく理解る。
叛逆はもっと〝気持ちいい〟 - 136ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:26:24
『ぶっちゃけさ、めっちゃ広いストライドでめっちゃ回転数多い走法の子いたら最強じゃない? どう?』
『ミフネどん、寝言は寝て言うものだよ?』
『……それくらいさ、ノってくれてもよくない?』
アホみたいな会話を思い出す。
アホなことでも実現したらもうアホじゃないよね。
ピッチの回転率はそのままに、徐々にストライドを広げていく。でも、飛び跳ねない。姿勢を、低く、低く。柔軟な私の身体の、正しい使い方。身体の強さは、ムカつくトレーナーと育ててきた。今ならこの走りにも、私の〝理想〟にもきっと耐えられる。
──〝海闊天空・月の船〟── Lv3
もっと。もっと。もっと!
私は前の私を──超える。
──〝海闊天空・月の船〟── Lv4
速度を上げて、加速する。
どこまでも、どこまでも、ひたすらに、速度を上げ加速する。
絶対の〝100バ身〟に叛逆する。
私は負けない。負けても、思い通りにはならない。最後まで喰らい付いてやる。それが最高に〝気持ちいい〟!!! - 137ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:27:03
ゴールの後、私は砂──ていうにはちょっとどろっぽい気もするけど──の上に寝転がった。
最高だった。久々に、悩みもなんにもなく走れた。消えそうだっていうのに、変なのって自分でもちょっと思ったけどさ。
本当に最高だった。勝てなかったけど、覆した。それが最高に〝気持ちよく〟て、震えた。そのせいかな? 今は身体に力が入らない。
水面をかき混ぜたら、映ってたものが揺らいでいくみたいに。
世界が揺らいでいる。
揺らいで、揺らいで、揺らいで。
やがて、世界が形を取り戻した。 - 138ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:27:26
熱狂! 熱狂! 熱狂!
熱狂の渦! 尋常じゃない歓声が、私の耳を叩く。
私はダートの上じゃなくて、観客席にいた。
コースにはふたりのウマ娘。ふたりとも栗毛のウマ娘。うちひとりは、激情と静謐、闘争心と冷徹。矛盾した要素が矛盾せずに同居した、逆巻く炎の栗毛。
〝Race of the Century〟
誰かが、そう口にした。
スタートが切られる。
炎が引き離す。ひたすらに逃げていく。逃げて、逃げて、逃げて。もうひとりの栗毛は、追い縋れない。
栗毛の蹄鉄が外れる。炎は目もくれない。
栗毛の蹄鉄が外れる。炎は目もくれない。
栗毛の蹄鉄が外れる。炎は目もくれない。
栗毛の蹄鉄が外れる。炎は目もくれない。
三角にして、差が開き。
最後の直線にして、勝負あり。
必死に追い縋ろうとする栗毛。
流すような走りであるのにも関わらず、引き離す炎。
勝利の女神は、炎にチュゥをした。 - 139ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:28:01
熱狂! 熱狂! 熱狂!
歓声! 歓声! 歓声!
世紀の対決を制した炎には、万雷の喝采を。
敗れてしまった栗毛にも、有らん限りの賞賛を。
誰も彼もが希望に満ちて、誰もかれもが笑顔だった。まさに、夢のような光景だった。
観客に手を振っていた炎が、こちらへ振り返る。
炎が、私を射抜いた。
はじめて顔をちゃんと見た。いや、見てくれたっていうほうが正しいのかな?
レースの直後なのに、どこまでも穏やかで満ち足りた笑顔。夢が叶った子の、幸せ一杯な笑顔。本当に綺麗だなって、心の底から思った。
舞台上の女優のように通った動作で、炎は私を指差す。
唇が、ゆっくり動いていく。
歓声に邪魔されて、聞こえるわけがないのに。拍手に邪魔されて、聞こえるわけがないのに。確かに、聞こえたんだ。胸が、震えたんだ。
〝次はお前だ〟 - 140ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 10:30:48
これにてカオス時空編は終わりとさせて頂きます
諸事情あり、ツキノミフネの設定を大幅に見直し、改めてストーリーを始めていこうと思います
設定を変更するといっても、今までと互換性のあるキャラクターにはなるはずですので、ツキノミフネを扱ってくださっている優しい方々のご迷惑になることは多少避けられたのではないか、なんて厚顔無恥なことを考えていたりして
とにかく
今までありがとうございました
これからもよろしくお願い致します - 141メジロエスキーの人22/10/20(木) 12:36:27
カオス編終わりかー……寂しくなるね。別にいなくなるわけじゃないけども
- 142キタサンアイドルの人22/10/20(木) 18:37:20
ツキノフネさんカオス編お疲れ様です!これからもよろしくお願いします!
小説投下!ちなストーリーとは切り離してください。
【逃げ切り逃げ切れ!?】
「逃げじゃなくて本来は差しですー!!」
マルゼン「アタシは差しもバッチグーよ!」
スズカ「でも私の方が早いですよ」
アイネス「給料も出るからお得なの!」
ファルコ「ウマドルってアイちゃん似合うと思うの!」
「いやーー!!」
〜🕛〜
「……という夢を見たんです」
キタサン「なんだか聞いてたら走りたくなってきました!走りましょう!!」
「え」
キタサン「悩んだ時はバクシンだってバクシンオーさんに教えてもらいましたから!さあバクシーン!!」
「バ…バクシーン!!!」
アイドルの成長に繋がったようだった…。 - 143キタサンアイドルの人22/10/20(木) 18:45:45
ブルボン忘れてましたァァァァア!てなわけで追加
ブルボン「アクション『勧誘』を実行」
【おまけ】
ブルボン「ステータス『落ち込み』を獲得。原因は忘れられたことによる物」
ブルボン「さらにメモリを検索…解析管理。キタサンアイドルの人によるドジによる物だと判明」
ブルボン「キタサンアイドルの人にタスク『下調べ』を要求します」
- 144ナックル宅の壁22/10/20(木) 19:31:50
お疲れさまです。
ひとつお聞きしたいのですが、ナックルさんが脳を焼かれた楽曲はこちらに貼ってもよろしいのでしょうか……?
曲からナックルさんのヒト柄やライブの様子とかを想像して頂ければと思っております…… - 145ナックル宅の壁22/10/20(木) 19:36:42
- 146二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 19:39:01
チームカオスにはシリウスさんとことか逃げシスとか断りづらいけどやべえ所に勧誘されたら
ライジョウドウを身代わりに立てろという格言があるんだっ!(迫真) - 147二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 20:01:56
- 148二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 20:04:35
い ま さ ら
- 149二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 20:11:42
- 150二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 20:13:29
>シリウスシンボリに絡み危うく回し蹴りを食らいかけたチームカオス
>謝罪の条件として降伏の証に舎弟としてやってきたのは芦毛のマイラーウマ娘だった
>次回「最初から仕組まれていた」「埋伏の毒」「珍獣覚醒」の三本です
>じゃん けん ぽん ! うふふ
どす黒い邪悪やでぇ…。
- 151二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 20:33:30
- 152メジロエスキーの人22/10/20(木) 20:57:43
それ言うの遅くない???
- 153ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 21:00:43
- 154ナックル宅の壁22/10/20(木) 21:06:23
- 155メジロエスキーの人22/10/20(木) 21:40:44
- 156キタサンアイドルの人22/10/20(木) 21:58:41
- 157ツキノミフネの背後霊22/10/20(木) 23:56:56
押しの強さは背後霊の特権♡
- 158メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:27:24
ではでは、今日もまた続きの方を
- 159メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:28:46
─────
「そういえば1つ気になってたんだけどさ」
「はい? どうかしましたか、エスキモーちゃん」
大阪杯2日前の夜、明日は前乗りしてトレーナーの実家に滞在するから、東京での最後のミーティングをトレーナーの家でご飯を食べながら行った寮への帰り道。そういえばと思いだしたことがあり、エスキーに問いかける。
「エスキーが初めてトレーナーの家来た時、なんで一緒じゃないのに家分かったのかなって思って」
思い返せばあの日トレーニングが終わったあと3人バラバラに分かれたはず。私は一旦寮に戻ってから買い物に寄ってトレーナーの家に向かったんだけど、後ろを誰かにつけられた気配もなかったしなぜかと疑問に思っていた。
「えーっとですね、エスキモーちゃんは有馬記念の日のこと覚えてます?」
「えーっと……いつもどおり朝トレーナーの家に行って、トレーナー起こしてご飯作って……あっ」
そういえば寮を出る時に誰かとすれ違った気がする。あの時はまだ日が昇るのが遅い時間で周りも暗く、特に気にしてはいなかったんだけどもしかして……
「朝、私たちすれ違ってたんだ……でもそれがなんで?」
すれ違っただけならトレーナーの家を特定することはできないはず。まさかGPSをこっそり服とかカバンにつけられてたってことでもないだろうし……
「……ごめんなさい、エスキモーちゃんの後ろつけちゃいました」
立ち止まってペコリと頭を下げるエスキー。まあ追いかけられていたならあの日1人でトレーナーの家まで来れた理由としては成り立つけど、そもそもなんでつけてきたんだろう?
「わたしはあの時朝のランニングに行くところだったんです。それで門の前で軽くストレッチをしていたら前からエスキモーちゃんらしきウマ娘が近づいてくるのが見えたので、顔を見られないようにちょっとだけ隠れて動向を見守ってました。もしエスキモーちゃんがわたしに気づいたら観念していたところなんですけど、エスキモーちゃん急いだ様子でスルーしていったのでちょっと気になってつい……ごめんなさい」
そう言って責任回避とも聞こえなくもない理由をつらつらと述べるも、悪いことをした自覚はあるのか何度も頭を下げる。私としては終わったことだしなとも思っているけど、彼女にしたらそういうことではないらしい。 - 160メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:29:52
「もういいから顔上げて。私もう気にしてないから。ほら早く帰ろ?」
そう言って彼女に向かって右手を差し出す。やっと頭を上げてくれたエスキーはその手を取ってゆっくりと寮への歩みを進める。
「エスキモーちゃんがそう言ってくれるなら嬉しいです。あっ、もちろんお二人の仲を邪魔するつもりはないですから安心してくださいっ!」
「……大丈夫、アンタがそんなことしないって信じてるから」
図星を突かれ内心ドキッとさせられる。それをなんとか顔に出さないよう、万が一表情に出ていてもそれを見られないよう左の方を見ながら話を続ける。そうして2人仲良くトレーナーについて盛り上がっていたら、あっという間に寮へとたどり着いた。
「じゃあ私の部屋こっちだから。おやすみ」
「おやすみなさい、エスキモーちゃん」
手を振って互いの部屋と向かう。私は明日の準備のことで頭が一杯で、あの子が小声でポツリと零した一言を聞きそびれてしまった。
「あんなにラブラブなの羨ましいなあ……わたしもいつかは……」
─────
大阪杯前日。昼過ぎにトレーナーの実家に到着し、部屋へと上がらせてもらう。前に来た時に連絡先を交換し、度々連絡を取り合っているトレーナーのお母さんにとってはもう将来のお嫁さんと思われてるみたいで……
「部屋はあの子と一緒でいいよね?」
「はい、私は大丈夫です。トレーナーは?」
「……母さんまさかベッド……」
「流石。気づくの早いなあ。2人横で寝れるようなやつ買っといたから仲良く寝るんやで〜」
「はあ……こんな頻繁にベッド買うって大丈夫か……エスキモー、行くぞ」
「う、うん……」
積極的すぎる自分のお母さんに少し呆れたのかため息を吐きつつ、2階の自分の部屋に上がっていくトレーナー。私は彼を追いかけて階段を上ろうとすると、後ろからちょいちょいとトレーナーのお母さんに肩を叩かれた。
- 161メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:30:58
「どうしましたお母様。何か粗相でも……」
「そうじゃなくって……あの子とどこまで進んでるの?」
「え、えーっと……」
どんな関係性と聞かれたらそれはもちろん恋人なんだけど、じゃあどこまでやっているのか、ABCなら今どこなのかと聞かれると……
「キスまでしか……まだ私学生なので……」
「真面目ね〜 まあ明日はレースだし今日は駄目やろうけど、明日ぐらいは……ね?」
「いやいやいや、流石にそこまでは……そろそろ上上がりますね?」
「そっかー、しっかりしてるなあ」
何度か危ない場面があったことは伏せつつもやんわりと断る。興味ないかと言われると……もちろんあるんだけどさ、うん。
─────
それからトレーナーの部屋に上がり、少しの間2人の間にはゆったりとした時間が流れていた。もちろんレース前日、しかもG1ということもあって観光なんてできないから家で静かに過ごすしかなかったんだけど。
しばらくするとお風呂やご飯の時間になり一家団欒の輪の中に入らせてもらって楽しいひとときを過ごした。
「じゃあそろそろ電気消すぞー」
「はーい」
部屋の照明が消され真っ暗な世界に変わる。すぐ隣には見えにくいけどトレーナーがいて、ギュッとその体にしがみつく。トレーナーの方も私を優しく抱き締めてくれる。
「トレーナーあったかい……」
「エスキモーもな。明日、頑張ろうな」
「うん。おやすみトレーナー」
「おやすみ、エスキモー」
- 162メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:31:58
─────
翌朝おはようのキスでトレーナーを起こして一緒に朝の準備をする。今日ばかりはトレーナーのお母さんにご飯とかいろいろ準備をしてもらい、着替えも含めてすぐに出発の態勢が整った。そこから駅まで車で送ってもらい、2日間のお礼を伝える。
「昨日今日とありがとうございました。行ってきます!」
「また今度天皇賞の時に来るから。行ってきます」
「うん、2人とも頑張っといで。行ってらっしゃい」
─────
電車の中で2人仲良く話しているとあっという間にレース場に到着し、既に待っていたエスキーと合流を果たす。
「1人? ドーベルさんは一緒じゃないの?」
「わたしは一緒がいいですって言ったんですけど、姉さまにやることがあるからと断られまして……」
しょんぼりという文字が体から浮かび上がってきそうなぐらいエスキーはガックリと肩を落としていた。たぶん自分が教えた子が勝つところを生で見てほしかったんだろう。この子のためにも頑張らないと。
「まあレース自体は中継やってるしさ。それは見てもらえるんでしょ?」
「それはもちろんっ! エスキモーちゃん、勝ってくださいねっ!」
「う、うん、それは頑張るよ?」
彼女の勢いに少し気圧されつつも3人揃ったからそのまま控え室へと向かう。もちろんレースまでまだまだ時間はあるから、勝負服には着替えずに軽いストレッチとかを繰り返しつつ、当日のレースを見て芝の状態とかを最終確認していく。特にエスキーは観客席まで行って間近でバ場の具合をチェックしていた。
「バ場はそんなに荒れてないですね……どこからでも伸びてこれそうです」
「だけどハイペースじゃないと後ろからは届いてないよね。これだったら事前の作戦通りで大丈夫そう」
「そうだな。最内枠だから出遅れとバ群に包まれるのだけ避けられたらあとは伸びるだけだな」
3人でレース前最後のミーティング。時間もいよいよ迫ってきたことから私も勝負服に着替えての参加になる。
- 163メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:32:46
「注意すべきは人気にもなっていますけど5番のグリュックシンボルさん、8番のクイーンリーさん、そして12番のジェネシーさんの3人です。いずれも先行できるタイプだから、先に行かれて粘られないように注意してくださいね」
「おっけ、マークしとく」
「もちろん気にしすぎて仕掛けどころを誤るなよ……ってそんなこと分かっているか。よし、じゃあいつものアレ、やるか?」
そう言って椅子からパッと立ち上がり、両腕を広げるトレーナー。エスキーはなんのことやらと目をパチクリさせ、私はそれを見て顔を赤く染めていた。
「こ、この子の前だよ……? やるの……?」
「エスキモーがいいならやらなくていいけど……これで負けたら……」
「分かった、分かったから! エスキーは……そこで静かにしてて!」
「えっと何の話をされてるんです? 2人とも一体……」
エスキーが座りながらぐねっと上半身を横に倒し、全身ではてなマークを表現している。そんな中私たち2人はいつものように体を寄せ合い、そっとハグをする。
「もう……こんなときには大胆になるんだから……」
「いつものルーティーンだろ? ほら、視線は気にしない」
「分かった。じゃあ最後にいつものお願い」
「はいはい、いつものね……んっ……」
「んっ……ありがと、頑張ってくる」
そう言ってトレーナーから体を離しパッパッと勝負服を手で払い、鏡を見て髪を撫でつけ整える。見られていたせいかいつもより少し顔が赤い気がするけど、バレることはないだろう。うん? 見られて……?
「え、え、エスキモーちゃん……」
彼女にしては珍しく顔を林檎みたいに真っ赤にしてあわあわといった感じに私に声をかけてくる。
「どうしたの、もう行かないとなんだけど」
「いや、その……いつもレース前にあんなことしてるんですか?」
「あー……うん、そうだよ。ああしてもらうと落ち着いてレースできるから」
「そっか、そうですか……わたしも姉さまにしてもらおうかな……」
- 164メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:33:24
何やら真剣に考え始めたエスキーをそのままに部屋を飛び出しコースへと向かう。G1で1番人気なんてもう気にならない。
何番人気でもやることはただ1つ。
勝つ。
─────
バ場入場からゲートの裏へ駆けていき正真正銘最後のウォーミングアップを終える。芝の状態も確認できたし、脚も問題なし。これで負けるとすれば、それこそミーティングの時に注意を受けた前が壁になって抜け出せない場合ぐらいだろうか。
「すぅ~はぁ〜……よしっ!」
『さあ枠入りが始まります。最内1枠1番には1番人気メジロエスキモーが収まります。そして5枠5番には3番人気のグリュックシンボルとスムーズにゲートに入っていきます』
今回注意すべき1人、グリュックシンボルさん。去年のエリザベス女王杯を勝って久しぶりのG1勝利で波に乗っている。どんなレースをしてくるのか楽しみね。
『──そして最後に大外8枠12番ジェネシーが収まりまして態勢完了……スタートしました! 各ウマ娘横一線にゲートを出ました』
(出遅れ、なし。あとは少しずつ少しずつ外へと出していって……)
最内枠から一旦先頭まで出ていくも、外からクインシーさんとセカンドシスターさんが私を交わして前に立った。私はこれ幸いとそのまま3番手の位置を確保する。
『──1コーナー辺りで隊列が決まりまして、先頭は8番クイーンリーが取りきりました。半バ身後ろにセカンドシスター、そこから3バ身ほど離れて1番人気のメジロエスキモーが追う展開になっております。人気のウマ娘は中団よりやや前でレースを進めているようです』
向こう正面中間辺りを過ぎここから少しずつ下り坂が始まる。ここで勢いをつけすぎては駄目だけど、前を放っておいても駄目。ペースに気をつけないと。
『──そしてこの辺りで最初の1000mは……60秒4。平均ペースでしょうか。前の2人と後続との差は先ほどよりやや開き5バ身ほどのリードになっています。ここから伸びてくる子はいるのか、それともそのまま逃げ切ってしまうのか。レースは3コーナーを過ぎ、4コーナーへと向かうところです!』
全体の流れが速くなり、後続が押し寄せてくるのを背中で感じる。私も交わされないようにペースを徐々に上げ、少しずつ前との差を詰めていきラストスパートへの準備を整える。
- 165メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:34:22
『──さあ一団となって4コーナーのカーブへと各ウマ娘飛び込んでまいります! 先頭はまだクイーンリー! まだ2バ身ほど差があります。2番手にいたセカンドシスターは伸びがないか……そしてそれを交わすようにここで上がってきたのはメジロエスキモー! 一気に前を捉えて先頭に並びます!』
内にはクイーンリーさん……いや後ろから間を割ってグリュックシンボルさんが上がってくるのが見える。やっぱり注意すべきはこの人だったか。
『──最内を突いて上がってくるのはグリュックシンボル! 外からはジェネシーが迫ってきて200mを通過!』
後ろから鬼気迫る表情でみんなが襲いかかってくるのを感じる。私を食いちぎらんと、打ち破ろうと必死の顔をしていることが振り返らなくても手に取るように分かる。だけど……
(私だってこんなところで負けてられないんだから……!)
『──とメジロエスキモーがさらに伸びる! 後続との差がさらに広がって一気に突き抜けた! 2番手3番手争いが接戦になりそうだがこれは強い! メジロエスキモー、今先頭でゴールイン! 春のシニア中長距離3冠レースの第1戦は昨年のクラシック2冠ウマ娘、メジロエスキモーが勝利しました!』
タイムは1分58秒0。着差ははっきりとは分からないけど2バ身から3バ身ほどはあったと思う。圧勝ではないけど、楽勝と言っていい差を見せられたと思う。
(息の入りも早くなってる……やっぱり私成長してるんだ……)
もちろんトレーナーやエスキーのトレーニングがその成長に大きく寄与しているんだろうけど、それを差し引いても自分の中で活力が漲っているのがはっきりと分かる。
(まだ私は強くなれる……この勢いのままメジロ家が最も大切にしている天皇賞の盾を獲りに行かないとだね)
次の天皇賞春はG1最長距離の3200m。菊花賞を勝っているし、そこからさらにスタミナもついたはずだから問題なく走りきれると思う。あとはラストスパートの完成度をどれだけ上げられるかかな。
(大丈夫。自分を信じて頑張ろう)
─────
ウイニングランを終え地下バ道へと抜けていくと、これまでとは違い2人の影が私を待っていた。
「お疲れさま、エスキモー。強い走りだったよ、おめでとう」
「おめでとうございます、エスキモーちゃんっ! バッチリ作戦通りでしたねっ!」
- 166メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:35:29
2人の祝福を受け、レースの緊張感がどっと抜け落ち顔が崩れた。やっぱりこの2人の顔を見るとどんな時でも安心できる。あとは……ドーベルさんがいれば良かったんだけど、そこまで高望みはできないしね。
「2人ともありがと。しっかり練習の成果出し切れたと思う」
「相変わらず安定感ありますよね、エスキモーちゃんの走りって。スタート失敗することも全然ないですし、道中の位置取りも素晴らしいですし……誰かに似ているような……?」
とぼけているのか本当に分かっていないのか、頭の上にはてなマークを浮かべているエスキーにチョップでツッコミを入れる。
「アンタのに似てるの。わざと言ってない?」
「痛っ! そんな頭叩かなくてもいいじゃないですか〜」
「……どう考えてもアンタ以外にいないの。まだ完璧じゃないけどさ、私は少しずつ近づいてるなって感じてるけどどうなの?」
得意な脚質も似通っている上に、練習でほぼ常に一緒に走っているエスキーに走りが似てくるのはある意味必然と言っていい。彼女の走法は理想形のうちの1つだから、走りが洗練されていくにつれて道中の走り方やラストスパートのかけ方などが近づくのを偶然と片付けていい訳はない。
「……確かにわたしと似てきているなと最近思ってます。似るにせよエスキモーちゃんの走っている姿が自分自身に見える時があるのは想像以上ですけど」
「確かに身長とか違うとはいえ2人とも似てるよなあ。本当に姉妹とか、それこそ親子に見えるな」
まあ冗談だけどと笑い飛ばすトレーナーに釣られて私もクスクスと笑いを零す。そんな2人が笑う中エスキーはふと腕を組んで何か考え込み始めた。
「どうしたの、エスキー。何か変なことでもあった?」
「もしかして……いやでもそんなことはあり得ない……」
私の声を無視するほどに自分の思考に浸かっている彼女。もちろんこのままこの場所に留まる訳にはいかないから、現実世界に引き戻すために綺麗な額にデコピンを決める。
「ほら行くよ!」
「いったぁっ! 何するんですかエスキモーちゃんっ!?」
「アンタが私の声無視するからでしょ。とっとと戻るよ」
「分かりましたっ! 分かりましたからそんな腕引っ張らないでください〜っ!」
- 167メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:36:27
- 168メジロエスキーの人22/10/21(金) 07:36:49
今日はここまで。それではまた次回
- 169二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 11:14:47
ついに起承転結の転の時が来てしまった
不穏な締めくくりで先の展開が読めない不安感…でも続きが読みたい……!
これが焦らしプレイ…私はMだった…? - 170二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 11:49:42
おかん中学生に何勧めてるんだ
モラルが大正とか明治以前のレベルじゃねえか - 171二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 12:52:09
前田利家「中学生なら全然へーきだろ」
- 172二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 17:04:35
戦国といえば巴御前って絶対ウマ娘だよね
・剛力と強弓の女武者(現実だと当然騎馬武者)
・武者二人に左右でヘッドロックして首をねじ切る
これは武者コスプレイベントが来る
いつか - 173二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 18:15:06
つまりめろん22先生によるガチムチウマ娘の存在が…?
- 174二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 19:11:11
うお……でかでかウマ娘
- 175二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 19:29:11
手を出す前に就職しろ
- 176二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 19:31:19
- 177メジロエスキーの人22/10/21(金) 20:25:40
また某足太大好き猫が大喜びしそうなむっちり感……
- 178ナックル宅の壁22/10/21(金) 20:28:54
キタサンアイドルさん ありがとうございます。
>クールで荒々しい感じ そうですね。ナックルさんは普段は割と大人しいのですがライブとかになると相方とともにあんな感じになります。
仲良くしていだだけると嬉しいです。よろしくお願いします。
- 179二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 20:49:37
単眼猫でなくとも久住先生でも喜ぶぞ多分
- 180二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:04:32
太いのはいいことだからな
- 181二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:12:50
ところで皆さんお気付きだろうか
もうすぐチームカオス(というよりなりたい部)1周年を迎えるということを
だからといって何も用意してないけどね! - 182二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:21:34
時が経つのは早いものですね
150とちょっとも進んだのかぁ - 183ラプ中22/10/21(金) 21:28:20
SSの続き書いてまーす
次スレで投下する予定ですわー - 184二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:33:49
まあ、流石に今からは投げんわなと
- 185二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:44:39
遅筋レースの時間だぁー!!
- 186二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:48:03
ブライトの新馬戦かよ
- 187二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:51:12
そうなんだけどそうじゃない感。。。
- 188二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:52:33
- 189メジロエスキーの人22/10/21(金) 21:54:16
遅筋……ほわぁ~?
- 190二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:54:28
- 191>>19022/10/21(金) 21:55:29
ほわあぁぁぁぁぁぁ!?!?!!!!!💢💢💢
- 192二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:56:40
- 193二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:57:54
- 194二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:58:36
埋めよ
- 195二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 21:59:55
たておつでござるよ
- 196二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 22:00:08
松竹梅
- 197二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 22:00:28
梅賠償責任保険
- 198二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 22:00:57
梅デン大統領
- 199二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 22:01:15
胃梅パス手術
- 200二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 22:01:19
200なら少女漫画風チームカオス