- 1二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 20:21:41
- 2122/10/24(月) 20:22:58
1
【SS・CP】「先に好きになった方が勝ち!」|あにまん掲示板『ウタちゃんのラブソングが聞いてみたい!』きっかけは、いつも通りの配信の中にあった一つの言葉だった。『あっ、おれも聞きたい!』『そういえば歌ったことないね?』『ウタちゃーん!恋の歌歌ってー!』そのコメ…bbs.animanch.com2
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立て乙
- 4122/10/24(月) 20:33:11
パステル色の淡い景色。
私の夢の残骸。
みんな戻ったはずだから、ここが最後のウタワールド。
こんな幻想的な空間に、私とルフィのふたりきり。
ちょっとドキドキする。
「やっと来たか、じゃないよ。なんで戻ってこないの?みんな心配してるよ」
「ちょっと話したかったからな。待ってたんだ、ウタのこと」
「待ってたって……」
ニシシ、と呑気に笑うルフィを見て、ほんの少しだけ腹が立った。
人の気も知らないで。 - 5122/10/24(月) 20:40:08
「もー、勝手なんだから……言っとくけど、私もそんなに長居できないからね」
「ん、そうなのか?」
「うん。もう薬飲んじゃったし、早く寝ないと私消えちゃうから」
「薬飲んだ、ってことは……」
「……うん。そういうこと。
私の計画は止められちゃったからね。ルフィの……」
そこまで言ってルフィの顔を見ると、それはもう心底ホッとしたような顔してた。
ちょっと泣いてるようにも見えた。
「……あ〜〜〜……よかったァ……
……ホントに……よかった…………ッ」 - 6122/10/24(月) 20:46:08
泣くほど喜んでくれるなら、私の選択も少しは報われるのかな。
本当は今でも逃げ出したい気持ちはある。
でも、今のルフィにそんなこと言ったら、今度こそ本当に殴られちゃいそう。
「……ねえルフィ」
「ん?」
「どうして殴らなかったの?私のこと」
「……おれのパンチはピストルより強いって言っただろ?」
「昔はやってきたじゃん、へなちょこぐるぐるパンチ」
「あれは本気じゃねェ!」
「出た、負け惜しみ〜!」
「………………」 - 7122/10/24(月) 20:51:02
「……ルフィ?」
昔みたいに煽ってやったら、ルフィがいきなり黙り込んでしまった。
私もしかして何か地雷踏んだ……?
「……おれ、昔より強くなったんだ」
「へ?」
「大事なもん全部守るために強くなった。
四皇だろうと大将だろうとぶっ飛ばせるようになったと思ってた。
…………でも」
「……」
「……まだまだ弱かったなァ、おれ」 - 8二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 20:54:25
ルフィ先輩にも殴れない相手がいるんだべなァ
- 9122/10/24(月) 20:56:44
「……いきなりどうしたの?」
「ししし、気にすんな」
変なの。
何か、ルフィらしくない。
「……でも、強くなったよね。ルフィ。
覚えてる?昔私が『どれぐらい強くなったか見てあげる』って言ったの」
「……ああ、覚えてる。
そのまま帰ってこなかったから、もう見せらんねェのかと思ってたけど……
また見せられてよかった。ウタに会えて嬉しかったぞ、おれ」
「……うん、私も」
こうも真正面から『嬉しかった』って言われたら、私ばかり照れてるのがちょっと馬鹿らしくなった。 - 10122/10/24(月) 21:03:51
「しかしまァ、あれだな。懐かしいな、こうやって2人で喋ってたら」
「……そうだね」
今の私たちの間には、すごくゆったりとした時間が流れていた。
いつかの日々を思い出していたのは、きっと私だけじゃないはず。
……今の私の体力でも、これぐらいならできるかな。
「…ね、ルフィ」
「ん?」
「もっと懐かしくしてあげよっか?」 - 11122/10/24(月) 21:13:31
「もっと?」
「えいっ」パチン
私がパチンと指を鳴らせば、渦巻く音符がいろんなものを形作ってくれる。
景色だって思い出だって、何だって思いのまま。
柔らかな風が吹き抜ける、優しい緑に覆われた丘。
たくさんの大きな雲がたなびく、茜色に染まった夕焼け空。
夕陽に照らされて光り輝く、どこまでも続く果てしない海。
そこに形作られたのは、在りし日のフーシャ村の景色。
……私の、大切な思い出の場所。 - 12二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:19:26
共有しろと言われた気がした
- 13二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:46:09
9人ver.なんかあったのかと思ったけどMADか
- 14二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:51:12
もう泣いた
- 15二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:01:03
大人になった二人がフーシャ村に行くのは良いなぁ…
- 16二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 06:31:43
情景を想像するととてもエモい
- 17二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 06:32:52
終りが近い……寂しい……
- 18二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 07:35:24
支援
- 19二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 12:39:26
お昼なので
- 20二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 19:48:27
なんかもう言葉が出てこないレベルで感慨深いな
続きお待ちしております - 21二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 19:55:00
完結支援
- 22122/10/25(火) 20:01:34
「……これは」
よく見ると、フーシャ村の建物がすごく遠くに見える。
木や岩なんかも、多分本物のそれより少し大きい。
子供の頃の思い出から作ったから、多分子供の頃に感じたサイズ感そのままに作っちゃってる。
「昔の思い出しかないから、ルフィの知ってる景色とはちょっと違うかもしれないけどね。
でもどう?懐かしいでしょ?」
突然の出来事のせいか、ルフィはしばらく呆けた顔をしてた。
でも少しすると、また元のルフィの顔に戻ってニッと笑った。
「……いや、これだ。おれも好きだった景色だ」
「そっか、よかった」 - 23122/10/25(火) 20:07:58
「よっと」
「!」
ルフィが徐に草原に座り込む。
私も手頃な石を作って、ルフィの隣に腰掛けた。
「……いつの間にかルフィに身長抜かされてたけどさ」
「ん?」
「ふふ、こうやって座ればまだ私の方がおっきいよね」
「いや、岩使うのは流石に反則じゃねェか?」
「出た、負け惜しみ〜」
「ええ……」 - 24122/10/25(火) 20:13:31
「……あ、そうだ」
「?」
「まだこれ返してなかったね」
首にかかっていた半分破れた麦わら帽子を直してから、ルフィの頭に乗せてあげた。
収まりがいいのか、ルフィは頭を2度3度ポンポンと叩く。
「ししし、やっぱこれだ!直してくれてありがとなウタ!」
「いや、破っちゃったのも私だし……ホントにごめんね」
「いーんだ、こうやって返ってきたし。前にも穴開けられたことあるしな。
それに破ったのは夢ん中だけで、外の帽子は別に破ったりしてないんだろ?」
「それは……そうだけども」
……まさか帽子ごとルフィを突き殺そうとしたことなんて、私にはちょっと言う度胸がなかった。 - 25122/10/25(火) 20:18:52
「ところで、それいつ預かったの?」
「シャンクスがフーシャ村から離れる時だ。
立派な海賊になって返しに行くって約束したんだ。おれの宝物だ」
「……そっか。
…………羨ましいなあ」
無意識に握っていた拳に、きゅっと力が入った。
嫉妬でしかないこんな感情、誰にもどうしようもないってことは分かってるのに…
「私も……シャンクスに、何か一つでいいから託してほしかったなあ……」
「………………」
ぽすん。 - 26122/10/25(火) 20:24:55
「!」
「ニシシ、じゃあ貸してやる」
「……」
さっき返したばかりの麦わら帽子をまた被されてしまった。
そういうことじゃないと思うんだけど……
……これがルフィなりの気遣いなのかな。
ぐいっと引っ張って、深めに被ってみる。
ちょっと懐かしい匂いがした。
「……ありがと」
「おう」 - 27二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 20:26:37
娘には何も託してやれなかったシャンクス…
まあ、カタギになってほしかったんだろうが… - 28122/10/25(火) 20:30:10
「それで、話ってなに?」
「ん?」
「さっき言ってたじゃない、私のこと待ってたって。
何か話があったんじゃないの?」
「…………あー」
「いや、あーって……」
多分本気で忘れてたっぽいルフィの顔を見て思わずズッコケそうになった。
自分で言っといてそんなことある? - 29二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 20:30:21
せめてグリフォンを託してたらなー
- 30二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 20:31:18
歌声に罪は無いって言ってたから…
- 31二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 20:33:26
「お前の歌だけは世界中の人々を幸せにできる」は
一応託したとも言えるのかな、呪いになっている気もするけど - 32二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 20:34:44
- 33122/10/25(火) 20:35:45
「……んー……」
「な、何?」
今度はルフィが難しい顔をしながら私の顔を覗き込んできた。
ライブで再開した時も似たようなことされたけど.その時より顔が近かった。
何より、自分の気持ちを自覚した後だったから……
「……っ」
恥ずかしくて顔を逸らしてしまった。
顔が真っ赤に上気してるのが自分でもわかる。 - 34122/10/25(火) 20:40:30
「あ、悪ィ。嫌だったか?」
「別に……イヤじゃないけど……」
ルフィの気持ちが分からない。
何なの。何の行動なの今のは。
私をドキドキさせるためにやったの?
そんなキャラじゃないでしょルフィ。
それによく見たら、私の見間違いじゃなければ……
ルフィの顔も、少しだけ赤くなってた。
「……もうちょっとで分かりそうなんだけどなァ……」 - 35122/10/25(火) 20:47:04
〜〜〜〜〜〜
「いや……だからホレてるとか言われてもおれわかんねェんだって」
「知るか。そこまで面倒見てられねぇ、おれはもう帰る」
「えー!?」
「オイトラファルガー!そりゃあちょっと薄情なんじゃねェべか!?」
「だったら聞くがバリア屋、お前この現状の麦わら屋に一から説明する気になれるか?」
「そ、それは……」
「……それにこういうのは口で説明するようなことでもない。自分で理解しなきゃ意味ねェだろ」
「ンー……それもそうだべか……」 - 36122/10/25(火) 20:56:36
「オイ!ロメ男までそっちに着くのかよ!おれはどうすりゃいいんだよ!」
「申し訳ねェルフィ先輩!んだども今回ばかりはトラファルガーの言うことが正しいべ!
畏れ多くもおれから言わせていただけることがあるなら一つだけ!」
「何だよ!」
「……ウタ様ともう一度、ちゃんと顔突き合わせて話してみるのが一番だと思うべ」
「ウタと?」
「……まあ、それが最善か。話して分かるならそれに越したことはないし、分からなくてもそれ以上おれ達に出来ることはない。
おれ達から言えるのはここまでだ、あとは勝手にやれ。
折角ウタがこんな能力の持ち主なんだ。そんなことができるかは分からないが、少しぐらい待ってみてもいいんじゃねェか」
「………………」 - 37122/10/25(火) 21:03:27
〜〜〜〜〜〜
「……ンー……分かんねェ……思い出せねェ……」
「ルフィ?」
「ん〜……」
「ねえ、何ぶつぶつ言ってんの?」
「……ん゛〜〜〜……」
「……ねえってば!!」
「うわっ!?」
私をほったらかして自分の世界に入り込んでたのがなんか癪に触った。
今度は私がルフィの顔を覗き込んでやった。 - 38122/10/25(火) 21:11:47
「何考え込んでるの?さっきからルフィ変だよ?」
ぽかんとしてるルフィにぐっと顔を近づける。
すると……
「いや、その……悪い」
ルフィの顔がさっきより真っ赤になって、
そのまま顔を逸らしてしまった。
……ん?
……んん??
……この反応……
………………
え、ウソ? - 39二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 21:47:44
- 40二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:09:43
ああ
画力が欲しい - 41二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:14:20
レベルってのは経験値を稼がないと上げることができないんだぜ?
- 42二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 06:21:34
あれ託したのワノ国後じゃなかったっけ
- 43二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 07:51:08
保守
- 44二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 07:52:37
いやーアオハルですなー
- 45二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 13:09:35
保
- 46二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 13:34:30
ろみきぶる
過日は聞かず
るうたがわ
白紅に
脳焼かるとは - 47二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 19:33:38
支援
- 48122/10/26(水) 20:32:39
「……ルフィ?」
「…………」プイ
「…………」ササッ
「…………」プイ
え、え、え。
ちょちょちょ待って待って待って。
「……悪いウタ、ちょっと離れてくれねェか」
「え」
「……何か……あんまし近いと、ウタの顔見れねェ……
……なんでか分かんねーけど……」
えー……
……うーわー……
…………ホントに? - 49122/10/26(水) 20:41:23
「あ、ご、ごめん……」
「…………」
ルフィはそのまま真っ赤な顔でそっぽを向いてしまった。
口を押さえたりほっぺを掻いたり、どうにも落ち着かないみたい。
このルフィらしく無さすぎる反応…
さっきまでの私とおんなじだ。
……私と同じ、ってことはつまり……
そういうこと、だよね?
る……ルフィも、私のこと…………
……好き
……ってこと……だよね…………? - 50122/10/26(水) 20:49:18
「……ルフィ……」
……今だから白状してしまえば、私の方は多分一目惚れに近かった。
初対面じゃないから正しい意味での使い方じゃないことはわかってるけど……
あそこで会って、ぎゅってして、そこから……
ルフィのことが頭から離れなくなってた。
無意識に目で追ってたのも、
ずっと追いかけ回してしまったのも、
……結局、刺せなかったのも、
…………つまり、そういうこと。
今日のことを思い返しただけで顔が熱くなる。
心臓の鼓動がどんどん速くなる。
……じゃあ、ルフィは? - 51二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 20:55:53
ニヤける
- 52122/10/26(水) 20:58:16
「……うー……」
多分ルフィは、まだ自覚してない。
今自分に何が起こってるか分かってない。
私がそうだったから。
私はあんな変なタイミングで自覚しちゃったけど……
ルフィにも、何とかして自覚させたい。
……私はなんで自覚したんだっけ……?
…………ルフィに、負けた時? - 53122/10/26(水) 21:06:04
……そうだ。ルフィを追い出したくても追い出せなかった時に自覚したんだった。
じゃあ、今からルフィを負かせば、ルフィも自覚してくれるかな?
……でも、何の勝負がいいかな?
正直、今だと何やっても負けそうな気がする……
…………あ。
いいこと思いついた。
「……ねえルフィ、こっち見て」
「ん?」
ルフィの顔はさっきよりはマシになってたけどまだ赤かった。
そんなルフィに負けないように、私は精一杯の笑顔を作って言った。
「ルフィ、勝負しようよ」 - 54122/10/26(水) 21:15:58
「勝負ぅ?今からか?」
ルフィは突然の提案に頭の上に?マークを浮かべていた。
一方の私はニヤけて笑顔が崩れそうになるのを堪えるのに必死だった。
「そ、勝負。嫌とは言わせないよ、逃げたら私の不戦勝だから」
「逃げねェよ!いいぞ、勝負だ!
……で、何すんだ?何の勝負だ?」
これなら勝てる。
「今回の勝負はね〜……」
だってまだルフィは土俵にも立ってないから。
「お互いのことをね〜……」
……ちょっとズルい気もするけどね。 - 55122/10/26(水) 21:18:39
- 56二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:19:58
タイトル回収ッッ!!!!!
- 57二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:20:04
タイトル回収!
- 58二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:20:10
ここでタイトル回収は熱い!!!
- 59二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:21:19
涙が溢れそうになった
- 60二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:24:45
- 61二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:26:07
これ見るために24日も追っかけてたんや……報われた……
- 62二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:29:16
タイトル回収でじんわりきた
よくぞここまで……
追いかけてよかった - 63二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:29:24
このREDいつ映画館で上映されるの?
- 64二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:29:55
俺が見たのこれだった気がする
- 65二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:30:15
最高のタイトル回収だ…!
- 66二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:30:26
…見てきてよかった…
- 67二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:30:57
素晴らしい…この一言に尽きる
- 68二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:31:58
- 69二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:32:05
最初からずっと追っててよかった…
でもいやじゃ…!終わりが近づいているのを感じてしまう…!まだまだ続いて欲しい…! - 70二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:34:44
🍢 🔫🐉
🔥
🥘
見事なタイトル回収と...お前は語り継がれる... - 71122/10/26(水) 21:47:11
「…………!」
「えへへ……いざ勝負だよ!ルフィ!」
立ち上がりながら私が言うと、ルフィは何かに驚いたような顔をしてた。
多分私はまた顔真っ赤になってるけど、昔みたいに自然に笑えてたと思う。
こうやって自分の思いを伝えられるのが嬉しかったから。
……もう告白したようなもんだし、私はもう全部言っちゃおう。
それぐらいしなきゃ多分ルフィは自覚してくれないもんね。
「わ……私はね!今日ルフィに会った時から好きだったよ!
久しぶりに会えてすっごく嬉しくて、そのまま好きになっちゃったの!
すっごく好きになっちゃったから、今日もずーっとルフィのこと見ちゃってた!
……ル 、ルフィは、どう?
わ……私のこと、好き?」 - 72122/10/26(水) 21:56:38
「………………」
「…………あれ?」
詰まりながらも洗いざらいぶち撒けたのに、ルフィの反応がない。
顔を上げると、さっきの驚いた顔のまま固まってた。
「……ルフィ?」
「…………ハハ」
ようやく表情が解れたと思ったら、ルフィは軽く笑っただけだった。
ルフィが徐に立ち上がる。
夕陽に照らされ風に靡くルフィの髪が、何故だかとても輝いて見えた。
「……なんだ。そういうことだったんだな」 - 73122/10/26(水) 22:03:44
おれそんな書いてたのか…
- 74二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 22:15:49
200億突破したら制作決定らしいよ!
- 75二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:54:54
海外興収込みでもありですか...?
- 76二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 07:07:08
問題は二時間に収まらなさそうなところだ
- 77二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:37:31
妙だな
気ぶり連中が大人しいぞ - 78二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:39:14
(尊)死んでるよ
- 79二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:42:05
溜めなくして解放のカタルシスはありえねェ...
- 80二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:46:14
- 81二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:47:51
- 82二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:49:32
ルフィからのレスポンス次第では燃え尽きて灰になりそう
- 83二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 14:46:31
- 84二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 15:03:21
- 85二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:41:22
最の高すぎる、ありがとうありがとう!
- 86二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:50:13
まさかコイツらナギナギくらってる?
- 87二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:51:48
気ぶったローが二人のために静かにしてくれたんだよ(適当)
- 88二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:53:28
- 89二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 19:51:26
支援
- 90122/10/27(木) 20:23:37
「え、何が…?」
「さっきトラ男に言われたんだ。おれ、ウタにホレてんだって」
「ホっ……!?」
「……でも、あんまピンとこなかったんだよ。ウタと話せって言われただけで、そん時は分からなかった」
ルフィがこちらに歩み寄りながら言った。
と言っても、元々かろうじて一歩分の距離があっただけで。
その一歩分の距離すら無くなってしまったから……
近い。
心臓の音絶対聞こえてるって確信できるぐらい近い。 - 91122/10/27(木) 20:30:41
「ル……」
咄嗟に距離を取ろうとしてしまった。
でも今そんなことをしちゃいけないことぐらいは流石にわかる。
顔を背けたくなる衝動に必死に抗って、さっきより近くなったルフィの顔をじっと見つめる。
今はもうルフィの方が背が高いから、私がちょっと見上げる形になる。
昔は私の方が見下ろしてたのになぁ。
……そんなことを考えていたら。
「…………ニシシ」
ルフィの表情が一瞬崩れた。
かと思ったら、今日何度目かの優しい感触に包まれた。 - 92122/10/27(木) 20:37:05
「あ……」
今日だけでも何度か味わったこの感触。
でも、
そのどれよりも優しくて、
そのどれよりも暖かくて、
そのどれよりも、幸せだった。
「……ん」
私は少しだけルフィに甘えて、その胸に顔を埋めた。
そんな私の頭に、ルフィの左手がぽんと置かれる。
「……フーシャ村の景色見て、さっきウタが笑ったのも見て、おれ思い出したんだ。
まだおれ達が子供だった時……おれがベックマン達に言われたこと」 - 93122/10/27(木) 20:46:26
〜〜〜〜〜〜
「…………」トボトボ
「……ルフィ?」
「ん?あ、ベックマン……」
「どうしたんだ、そんなしけたツラして。ウタは一緒じゃないのか?」
「あー……うん。
置いてきちまった……」
「置いて来た?一体何が……
……待てルフィ、お前少し顔が赤いな。熱でもあるのか?」
「……なあベックマン、さっきからおれなんかヘンなんだよ、おれビョーキなのかな……?」
「変?」 - 94122/10/27(木) 20:54:33
「さっきまでおれ、むこうでウタとお絵描きしょうぶしてたんだよ……
んで、おれがかいたやつウタにやるっていったら、ウタが笑ってありがとうっつって……
それ見たらおれ、なんかきゅうに顔があつくなって、ウタ置いてにげてきちまった……」
「……ほう?」
「しかも今日がはじめてじゃねーんだ……
前からウタが歌ってるときとか、ウタが笑ってるときとか……
そんな顔見たら、今日とおんなじようなことになって……」
「…………」
「……ベックマン?」
「……ククッ、こりゃあ一大事だな。
おいお頭、大変だ。ルフィの奴がおれ達の宝に目ェつけちまったぞ」 - 95122/10/27(木) 21:01:39
「何だって?ルフィ、一体何を狙って……」
「何いってんだベックマン?おれはシャンクスたちのたからなんて……」
「…………?」
「お頭、ルフィの顔をよく見てみな。さっきまでウタと遊んでたそうだ」
「顔?
……赤いな。熱でも……
…………ん?ウタと遊んでた?」
「ん、ああ、なんかヘンになったから置いてきちまったけど……」
「……ルフィ、お前まさか……」
「?」
「ああ。どうやらルフィは、うちの娘に惚れちまったらしいな」 - 96122/10/27(木) 21:08:29
「……? ホレ……?」
「へェ、あのルフィがなあ……」
「ああ、珍しいこともあるもんだ」
「な、なんだよ!おれわかんねーぞそれ!ビョーキなのか!?」
「んー……まあそんなもんだ」
「しかも医者には治せねェときた。さァて困った困った」
「なおんねェのか!?どうしよう!?しぬのかおれ!?」
「……っ、クク……ブフッ」
「なんでわらってんだよシャンクス!!おれまだしにたくねェよ!!」
「まあ落ち着けルフィ。別に死ぬような病気じゃねェ」
「ほんとか?」
「ああ。ただほっとくと悪くなる。治すには……」
「ルフィー!」 - 97二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:09:54
ニヤニヤが止まらねぇ…!
- 98二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:13:03
口角が上がりっぱなしだ
マスク社会でよかった - 99122/10/27(木) 21:13:12
「あ」
「もー、急にに走りだしてどうしたの?ビックリしたじゃない」
「ご、ごめん」
「どうしたの?何か怖いことでも……
……って、あんた顔まっかじゃない!だいじょうぶ!?痛くない!?」
「こ、こんなのぜんぜんヘーキだ!いたくもかゆくもねェ!」
「ならいいんだけど……病気ならムリはしちゃダメよ?お絵描き勝負はまたにしてあげるから」
「また、ってさっきおれが勝ったじゃねェか!」
「あんなへたっぴな絵じゃダメよ!今から決着つけてあげてもいいけど?
ま、あのまま続けてたら私の勝ちだったけどね!」
「うるせェ!おれの方が早かった!おれは負けてねェ!」
「出た、負け惜しみ〜!」 - 100二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:14:14
- 101二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:14:17
- 102二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:15:46
こんなお姉ちゃん好きになるに決まっとるやん
- 103122/10/27(木) 21:18:02
「……ん?ウタ、服の裾が破れてるぞ?」
「え?……あ、ホントだ!これお気に入りだったのに〜……」
「そのくらいならまだ直せるだろう。マキノさんに直してもらいに行こう」
「はーい。それじゃルフィ、また後でね!」
「ん、お、分かった!」
「……行っちまったな」
「……まただ……」
「?」
「さっきの負け惜しみ〜ってやつ……あれ見たらまた……」
「……フフ、どうやらなかなか重症みたいだな」 - 104122/10/27(木) 21:24:42
「なあルフィ」
「?」
「ウタのことは好きか?」
「……ん?」
「少なくとも嫌いじゃないんだろ?」
「んー……すぐ怒るし、たまにイジワルだし、おれとの勝負でズルばっかするけど……
でもおれ、ウタのことは好きだ。歌上手ェし、あいつとの勝負たのしいし……
それに、あいつの笑ってるとこ、好きだ」
「……そうか。そりゃよかった。
でもなルフィ、教えといてやる。
世の中には、今お前が言ってる好きとはちょっと違う『好き』ってもんがあるんだ」 - 105122/10/27(木) 21:32:03
「……?」
「まあ、お前にはまだ分かんねェだろうな。
だがいつか、お前もウタも大人になる。そん時に思い出せばいい」
「……何言ってんだ?」
「おれ達は海賊だ、この村にずっとはいられない。いつかウタも連れてこの村を離れることになる。
ウタと離れるのは嫌か?」
「……シャンクス達が行っちまうなら仕方ねぇけど……
……でも、ウタとはなれんの、イヤだ」
「…………そうかい」
「あ、だから船にのせてくれよ!ベックマンからもたのんでくれよ!」
「そいつは出来ない相談だな。こればっかりはお頭が許さねェ限りはムリだ」
「むー!ケチ!ケチシャンクス!!」 - 106122/10/27(木) 21:38:22
「とにかくだ。いつか大人になって、お前ら2人がまた会えた時……
お前の気持ちが変わってなければ、それを伝えてやればいい。
きっとウタの方も、お前に応えてくれるさ」
「でも、会えるかな?海は広いし、おれもウタも海賊になるし……
……でっかくなっても、またウタに会えるかな?」
「……会えるさ。お前の気持ちが変わらなければな」
「……また会いてぇな!大人になっても、ウタといっしょにいてェ!」
「……そういうことだルフィ。
その気持ちを覚えとけ。それが……」 - 107122/10/27(木) 21:40:59
〜〜〜〜〜〜
「…………好きだ、ウタ。
おれ、ウタのこと好きだったんだな。
……12年前から、ずっと」 - 108二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:41:46
ワァァ…アァ…
- 109二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:43:59
ああああああああああああ!!!
ガフッ - 110二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:45:30
- 11110822/10/27(木) 21:45:46
- 112二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:47:49
- 113二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:50:29
やはりこの時を待っていたのか…!!気ぶり四皇!!
- 114二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:52:19
このレスは削除されています
- 115二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:52:50
あ”っ(失神)....うガァ!!!(復活)
持ちこたえろ俺よ!伝説のスレの完結を見逃す気かぁ!? - 116二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:54:12
ああ~甘酸っぺ~
- 117二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:54:42
このレスは削除されています
- 118二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 22:00:40
- 119二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 22:03:16
これはウタちゃん完敗ですね
- 120二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 22:14:57
ブルあああああああ!!!!!
- 121二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 22:32:40
ああ、私は美しい物を見た…
- 122二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 22:49:25
本当に本当に…なんて遠い周り道…ありがとう…本当に…『ありがとう』…それしか言う言葉が見つからない……
- 123二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:04:06
このスレは語り継がれる…
- 124二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:10:03
- 125122/10/27(木) 23:16:12
「……え……」
……何それ。
12年前から好きだったって……
「にっしし、おれの勝ちだな!ウタ!」
そんなの、勝てるわけないじゃん。
ずるい。そんなの、ずるい。
「……ばか」
……そんなの。
…………うれしくないわけ、ないじゃん。 - 126二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:18:59
一月近く追ってきた甲斐があった……!
- 127122/10/27(木) 23:22:17
「……ん?泣いてんのかウタ?」
「……見ないで」
「分かった、じゃあ見ねェ」
「…………ありがと」
ごめんねルフィ。
またルフィの服濡らしちゃう。
でも、ちょっとぐらい許してよ。
嬉し涙なんて、もう何年も流してないんだから。
……せめて、この幸せな夢が終わるまで。
あなたの胸で、泣かせてください。 - 128二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:22:20
わぁあ…ぁぁ…しゅき、
- 129二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:32:52
最高過ぎる…!
- 130二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:39:57
- 131二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:42:21
なんというかこう、美しい・・・
- 132二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:44:51
俺が見たREDこれだわ!
- 133二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:47:52
- 134二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:53:36
ベックマンは頼りになる大人です
- 135二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:43:34
保守
- 136二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 07:20:35
ほ
- 137二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 08:54:17
自覚させなきゃウタちゃん勝ってたのにね♡
わざわざ大切な思い出の風景再現して♡
昔とおんなじとびっきりの笑顔見せちゃって♡
いくら鈍感なルフィでも思い出すに決まってるよね♡
こんなんもう負けに行ってるようなもんでしょ♡
かわいいね♡ - 138二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 10:24:55
最高に最高だ
それしか言えない自分が情けなくもあるが、でもホントそれしか言えねえ - 139122/10/28(金) 12:36:10
- 140二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 12:39:50
足りなそうなら次スレを作ればいいのさ!
何はともあれ楽しみに待ってます! - 141二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 13:01:27
- 142敵わぬ…ポロッ22/10/28(金) 15:54:51
- 143二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 16:02:40
いやぁ~最初は「まさかのゴドウタ!?」ってなったあの時が懐かしい
- 144二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 16:11:23
スレ主さん。このSS『も』無断転載動画される可能性があります。一部分でもいいので、ハーメルンやピクシブにアップロードした方がいいと思います。
ひとつのルウタ作品がYoutubeに無断転載されました。 - 145二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 20:17:49
age
- 146二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 20:23:32
俺が見たREDこれだった気がする
いや、これにします(記憶改ざん) - 147122/10/28(金) 20:25:19
- 148二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 20:45:36
- 149122/10/28(金) 21:16:54
ウタワールドが消えていく。
懐かしい風景が、思い出の中に戻っていく。
『外の世界』の私が限界を迎えた。
そろそろ眠らないと、本当に私が消えちゃう。
みんなの夢は、起きたら覚める。
私の夢は、眠ると覚める。
……でも、できることなら。
この幸せな夢だけは、
いつまでも覚めませんように…… - 150122/10/28(金) 21:24:13
「心配すんな、ウタ」
「!」
「夢じゃ不安なら、目が覚めた後でも何度だって言ってやる。
おれは、ウタが好きだ」
「…………
……うん、ありがとう。
……私も、大好き。」
訂正。
できることなら、
この涙が出るぐらい幸せな現実が、
永遠に続きますように。 - 151二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:26:07
エーンダーーーーーーー!!!!イヤーーーーー!!
- 152122/10/28(金) 21:33:35
──────
「ん……?」
目を覚ますと、見慣れた天井がそこにあった。
「ここは……」
12年間過ごしてきたエレジアの自室。
でも何故か、今は天井が少し高く見えた。
「……ッ」
重たい身体を無理やり動かして起き上がると、ひどい頭痛に襲われた。
眩暈もするし、何だか頭もボーッとする。
ホンゴウさんの薬でも、飲んで眠ればハイ完治ってワケにはいかなかったみたい。
窓の外を見ると、月はまだ真上近くにあった。
「目が覚めたか」 - 153122/10/28(金) 21:45:30
「目が覚めたか」
「!」ビクッ
部屋が真っ暗だったから、誰かがいることに気づかなかった。
この声は……
「……シャンクス?」
「ああ」
ロウソクの小さな明かりが灯り、シャンクスの顔を少しだけ照らした。
シャンクスの表情はよく見えなかった。
寝てる私に気を遣って暗くしてくれてたのかな。 - 154122/10/28(金) 22:00:21
「よく寝てたな。丸2日は眠ってたぞ」
「……そんなに……?」
2日も寝たことないから分かんないけど……
寝すぎると逆に疲れるものなのかな?
今身体が辛いのも、もしかして……
……あれ、ちょっと待って?
2日も寝てたってことは、つまりその間私何も(ぐうぅ……)
………………
「…………聞こえた?」
「……そりゃ2日も食ってなきゃ腹も減るよな」
「ぁぅ……」 - 155122/10/28(金) 22:13:29
「ほら、目を覚ました時用に作ってくれた飯と薬だ。これを食うといい」
「ありがと……ルウが作ってくれたの?」
「ルウとルフィんとこのコックが一緒にな。ルフィ達もまだこの島にいる」
「そっか……
……みんなにもお礼言って、それから謝らなきゃ……」
「……そうだな」
その時、ゆらりと炎が揺らめいて、シャンクスの顔が見えた。
よく見ると、目の下にクマができていた。
「……もしかして、2日間ずっと起きててくれたの?」
「ん?ああ、まあな」 - 156122/10/28(金) 22:18:21
「…………」
会いに来てくれたことは嬉しかった。
ルフィ達と一緒に私を救けてくれたのも、本当に嬉しかった。
最後に抱きかかえてくれたことも、今こうやって隣にいてくれることも。
全部が私を愛してくれていたからだと思えば、その全てが嬉しかった。
……でも、正直な気持ちを言ってしまえば……
12年前に私を置いて行ったことは、まだ許せてない。
今でも時々、夢に見る。
どれだけ必死で走っても追いつけなくて、どれだけ大声で叫んでも振り向きもしてくれなくて。
あの日、私の中の歌以外の全てが止まってしまった。
ゴードンから真相を聞いた今でも、それだけは許せそうになかった。 - 157122/10/28(金) 23:07:09
「……ねえ、シャンクス」
「ん?」
「1つだけ聞いていいかな?」
「ああ、いいぞ」
「……シャンクスは、あの日私を置いて行ったこと、どう思ってる?」
「…………」
どう思ってる?って聞き方は、自分でもちょっとズルいと思う。
私は、どう答えてほしかったんだろう。
「……後悔していないと言えばウソになる」 - 158二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 23:10:42
頑張れウタちゃん……
- 159122/10/28(金) 23:16:47
「…………そっか」
「お前が今回やってしまったことを考えれば、きっとあの日のおれ達の選択は間違っていたんだろうな。
あの時おれ達がするべきだったことは、おれ達だけで決めるんじゃなくて、しっかりとお前の声を聞くことだったのかもしれない」
「………………」
「……だが、お前の12年間を否定するようなこともしたくない」
「!」
「ゴードンには感謝しないとな。お前が世界で1番愛される人間になれたのはゴードンの指導のおかげ。
そして何より、お前自身の努力の成果だ。おれ達と一緒にいれば、こうはいかなかっただろうな」 - 160122/10/28(金) 23:25:56
「………………」
それは多分、事実。
あのまま赤髪海賊団にいれば、きっと私は今ほどファンのみんなと接する機会がなかっただろうし、あくまで一海賊団の音楽家として終わってたかもしれない。
夢だった『新時代』も、今とは違う形で目指すことになっていたかもしれない。
「…………でも……」
「?」
「……それでも、私は……
…………私は……
……シャンクス達に……
…………みんなに……置いていがれたぐ……ながったよ……!!」 - 161122/10/28(金) 23:33:17
「…………ウタ……」
正解なんて、きっと誰にも分からない。
だから私は、あの時私がどうしてほしかったのか。
12年越しのワガママを、シャンクスにぶつけることにした。
「……なんでおいていったのよ……
すっごく……すっごくさびしかったんだからぁ……!!」
今の私、きっと『あの子』と変わらない。
子供の癇癪そのまんま。
ネズキノコの毒はもう抜けたはずなのに、自分の感情が制御できない。
シャンクスが優しく抱きしめてくれても、私の涙は止まってくれなかった。
私の肩も冷たくなった。 - 162122/10/28(金) 23:40:43
「……済まなかった……寂しい思いをさせたな……」
「…………」
「本来なら、会いに来る資格も無かったってのに……」
「……ねえ、シャンクス……
…………1つだけ、お願い聞いてよ……」
「……何だ?」
「……泣かないで」
「……………」
「……私の中のシャンクスは……つよくて……やさしぐて……さいこうのかいぞぐなんだよ……!!
……だがら……そんな顔じないで…………なかないでよぉ…………!!」
「………………ッ……!!」 - 163二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 23:46:20
抱きしめてやってくれ……!
- 164122/10/28(金) 23:46:55
「……すまねェ……ウタ…………
……おれは……娘の頼み1つも聞けねェ……ダメ親だァ…………!!」
私を抱き寄せる腕が震えてる。
ぽたぽたと肩に落ちてくる水滴の量も増えてきた。
泣かないでって言ってるのに。
……それでも、私は。
あんなに強くてかっこいいシャンクスが、
私のことで泣いてくれているのを見て……
少しだけ、嬉しく思ったりもするのでした。
……悪い子でごめんね、シャンクス。 - 165122/10/28(金) 23:51:07
- 166二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 23:54:37
ここまでの超大作まとめるとなると動画時間ヤバいことになりそう
- 167二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 23:56:51
6,7part分もの超大作をまとめられる奴いたらこえーよ
- 168二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 23:58:04
メモするならともかく動画とか諦める
- 169122/10/29(土) 00:25:13
- 170二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 00:40:36
次スレに行ってもまあいいじゃないか
- 171二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 02:23:03
シャンクスで泣く日が来るとは
もう二度と娘を離すなよ - 172二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 02:36:30
これ動画化するなら書籍化してほしいわ
- 173二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 07:05:19
- 174二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 09:05:10
夢を見る時代が終わるって……!??
えェ!?? オイ!!!!ゼハハハハハハハ!!!
人の夢は!!! 終わらねぇ!!! - 175二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 13:38:38
はらぺこウタちゃんが一番♡伸びてるのに何というか人間のサガを感じますね
- 176122/10/29(土) 20:46:58
──────
ひとしきり泣いた後、シャンクスは慌てて部屋を出て行った。
本当なら私が起きたらすぐにホンゴウさん達お医者さんを呼びにいく約束だったらしい。
……あのルフィのとこのトナカイ?たぬき?くんもお医者さんだったらしい。
戦う時多分変身してたよね?モンスター枠じゃなかったんだあの子……
ルフィがトラ男って呼んでたフカフカ帽子の人は治療だけ手伝って帰っちゃったとのこと。
お礼言いたかったなあ。顔怖かったけど多分いい人なんだろうな。海賊だけど。
……今の私が頭痛と眩暈ぐらいで済んでるのもみんなの尽力あってこそ。
みんなの優しさが、私の心を暖かくしてくれて……
少しだけ、締め付けられる。
……でも今だけは、そんな優しさに思いっきり甘えようと思った。 - 177122/10/29(土) 22:07:56
「……ん〜っ」
頭痛もだいぶマシになってきた。
一つ伸びをして、ベッドから降りてみる。
「……あれ?」
何となく部屋を見回してみると、さっき目が覚めた時と同じ違和感を感じた。
部屋がいつもより、少しだけ広く見える。
「…………」
そんなわけはないけど、念のため鏡を見てみた。
パジャマに着替えていたこと以外は、普段通りの私がいた。
別に私が小さくなったとかそういうのではなさそう。
……でも、悪い気はしなかった。
「……ま、いっか」 - 178122/10/29(土) 22:17:16
一番大きな窓を開けて、部屋の空気を入れ替える。
冷たい風が私の頬を撫でた。でもその風は、普段よりちょっと優しかった。
「…………んー」
窓から見えるエレジアの風景も、何故だか今までと少しだけ違って見えた。
遠いというか、広い。
この部屋からなら全部見えるはずなのに、全然見えてないような錯覚に陥った。
「……何なんだろう、これ」
「あ、すいません」
「え?」
「パンツ見せてもらってもよろしいでしょうか?」
…………え?
\ギャーーーーーッ!!!!/ - 179122/10/29(土) 22:25:05
「なになになに!?オバケ!?パンツ!?パンツのオバケ!?」
「ヨホホホホ!これは失礼、驚かせてしまいましたね」
「あ……あなた……」
「申し遅れました。私は麦わらの一味の音楽家、名をブルックと申します。以後お見知り置きを」
心臓が口から飛び出るかと思った。
夜中に窓からこのビジュアルが覗いてるのはちょっとホラー過ぎる。
「ど、どうやってここに……?ここ何階だと……」
「ヨホホ、見ての通り私身がなくて身軽なもので。この程度の高さをよじ登るぐらいワケはありません。
……あ、すいません」
「?」
「そろそろ腕が疲れてきたので部屋に入れてもらっても?」
「何やってんのホントに!?」 - 180122/10/29(土) 22:32:32
──────
「いや〜お騒がせしました。お騒がせついでにパンツ見せてもらっても」
「見せないよ!?」
陽気なガイコツの音楽家、ブルック。
できれば夜中に出会したくはない見た目だけど……
音楽を嗜む人間なら、誰しもが見たことがある顔でもあった。
「……あなた、ソウルキングだよね?」
「おや、ご存知でしたか」
「まあ、そりゃね」
ファン層は私と違ったけど、彼から影響を受けた部分も少なからずある。
海賊だって聞いてたから、公言はできなかったけど。 - 181122/10/29(土) 22:40:37
「何というか……魂に語りかけてくる?みたいな。あなたの歌、とってもすごい」
「ヨホホホホ!世界の歌姫からそんな言葉を頂けるとは光栄ですねェ!」
「……で、そのソウルキングがこんな時間にどうしたの?びっくりしたんだけど」
「ああ、申し訳ありません。ウタさんが目を覚ましたと聞いたものですから。
ルフィさんにも伝えたので恐らく後から来るかと。先程飛び起きて支度をしていました」
「え、もう私が目を覚ましたって聞いたの?
どうやって?シャンクスから?」
「いいえ、シャンクスさんからではありません。
エレジアの皆さんが教えてくれました」 - 182122/10/29(土) 22:50:17
…………エレジアの、人?
「ど、どういうこと?エレジアの人たちは、ゴードン以外はもう何年も前に……」
「……この見た目を見ていただければわかると思いますが、私も昔色々ありましてねェ。
『見える』んです。その類の方々が」
「見え……る?」
「ええ。端的に言ってしまえば、人々の魂が見えるんです。
生きている人のものも、すでにこの世にはいない人のものも」
「そ……そうなんだ……」
ソウルキングともなればそんな力に目覚めるのかな……
いやいや、何かの悪魔の実の能力だろうけど……
「……それで、エレジアの人たちは何て言ってたの」
「特に変わったことは言われていませんよ。ウタさんが目を覚ましたと教えてくれただけです。
これでまたウタさんの歌が聞けると、皆さん喜んでいましたよ」 - 183122/10/29(土) 22:53:07
短いけど本日はここまで
そろそろ次スレ建てた方がいいかしら - 184二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 22:55:48
まじでpart7行きそうで震えてる自分がいる
そしてまだ読めれると喜んでいる自分もいる - 185二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 23:31:27
次スレ!良いと思います!
- 186二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 23:37:56
ブルック、大人だから信用してるけど、エレジアのみんなのことを伝えるなら慎重に頼むぞ。みんなのために歌い続けなきゃみたいな呪いにならないように……。
- 187二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 00:51:27
ブルックさんや、後でウタにパンツのセクハラ発言したことをルフィに知られないように気を付けてな…
- 188二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 08:10:27
期待保守
- 189122/10/30(日) 10:36:01
- 190二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 10:39:20
俺誰か支部で漫画化してほしいなぁこれ
- 191二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 10:55:47
- 192二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 11:00:06
- 193二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 17:49:53
保守
- 194122/10/30(日) 20:29:08
次スレ
【SS・CP】「先に好きになった方が勝ち!」PART7|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1176473/の続きですbbs.animanch.com次回予告:『ウタちゃんのラブソングが聞いてみたい!』
多分このスレで完結すると思います
ここまでお付き合いいただきありがとうございました
- 195122/10/30(日) 20:36:27ここだけペローナがエレジアに飛ばされていた世界|あにまん掲示板確かに薄暗くてジメジメしたところとは言ったけどよォ…なんでまたネガティブホロウが効かねェ奴が二人もいる島に飛ばされなきゃなんねーんだbbs.animanch.com
こっちに関しては本当に建てただけでSSを投げているのは別の方だという事を教える
- 196二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 20:37:28
お疲れ様
- 197二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 20:53:11
そうだ
そもそも「ラブソングを作らないんですか?」って配信で聞かれたのが始まりだったな
もう懐かしい… - 198二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 20:54:11
>>200ならルフィとシャンクスは幸せなハグをする
- 199二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 20:56:44
- 200122/10/30(日) 20:59:41
何言ってんだハッピーエンドに決まってんだろうが