(SS)私はとある島の金持ち 第5.5幕(FilmGOLD if)

  • 1122/10/24(月) 20:50:24

    エンターテイメントの新時代を築くため、邁進し続ける"投資王"○○

    児童向け舞台も成功し、新たな作品"海の戦士 ソラ"の舞台化案を進める中、音楽の島エレジア崩壊の報を受ける

    焼け落ち、廃墟と化した島に足を踏み入れた○○は、家族に置いて行かれた一人の少女と出会う

    これが、未来の歌姫とのファーストコンタクトだった


    (昨日立てました同スレが落ちてしまったため、改めて立てさせていただきました)


    第1幕

    フッフッフッ、私はとある島の金持ち|あにまん掲示板偶々街を散策していたら、道端で庶民がまぁまぁ悪くない歌を歌っておった私が見ていることに気がついたその庶民はすぐにその場を離れようとしたが、その日は気分が良かったので興が乗り、見物料に小銭を恵んでやった…bbs.animanch.com

    第2幕

    私はとある島の金持ち 第2幕|あにまん掲示板ある日街を散策していた私は、偶然ソコソコ良い歌を歌う庶民を見かけ、気まぐれに見物料をくれてやった思えば、この瞬間がすべての始まりだったテゾーロやステラ、タナカ、そして我が娘バカラ彼らとの出会いを経て、…bbs.animanch.com

    第3幕

    私はとある島の金持ち 第3幕|あにまん掲示板テゾーロとの出会いから数年電伝虫放送の拡大、テゾーロとステラの結婚・娘の誕生、そしてステージ船「グラン・セーニョ」の完成新たにできた私の夢、世界最大のエンターテイメント船製造に向けて、事業は着々と進ん…bbs.animanch.com

    第4幕

    (SS)私はとある島の金持ち 第4幕(FilmGOLD if)|あにまん掲示板テゾーロとの出会いから第2の人生を歩み始めた"投資王"怪物・○○四皇ビッグ・マムのお茶会や白ひげとの交渉など時代のうねりに巻き込まれながらも、新たな事業に着手するまずは児童向け舞台…bbs.animanch.com

  • 2122/10/24(月) 20:50:49

    主要人物
    ○○:かつて新世界の怪物と呼ばれた"投資王"
       現在はとある歓楽街のある島で歌劇団のオーナーをしている

    テゾーロ:○○が所有する歌劇団の花形スター
         最近は舞台にライブに子育てにと大忙し

    ステラ:テゾーロの妻で、元奴隷
        彼との間に第一子である娘のメテオリーテをもうける

    ダイス:○○が新たに雇ったボディガード兼劇団専属スタントマン
        打たれ強い真正のドM

    ゴードン:音楽の国エレジアの国王であり、自身も一流の音楽家
         ○○の古い友人

    ウタ:赤髪海賊団の音楽家
       天才的な音楽の才能を持つ

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 20:51:13

    たておつ

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 20:57:08

    さあここからどうなる

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:00:07

    延命

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:02:07

    確か10レスまではスレの寿命が最後の書き込みから2時間、10レス以上で最後の書き込みから12時間になるんだっけ

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:02:45

    ゴードンさんとウタちゃんにも幸あれ

  • 8二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:03:12

    前スレ、リンク間に合ってよかったですね

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:03:44

    保守

  • 10二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:04:05

    10

  • 11二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:04:51

    セーフ?

  • 12二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 21:05:02

    これで即死回避やね

  • 13二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 22:12:23

    連投は気が咎めたし誰か書き込むだろうと思ってたら新スレが落ちてた

  • 14122/10/24(月) 23:09:38

    ゴードン陛下とウタを船に乗せ、エレジアを出港し後にする
    封印処置を施したTotMusicaは、万が一を考え呼び寄せた別の船に積ませ、私が書いた依頼状と共に付き合いのある大手銀行のある島へと先行させた
    これで少なくとも、TotMusicaとウタが偶然に鉢合う可能性は(奴がワープでもしない限り)低くなった
    ひとまずは安心、というべきか

    遠ざかっていくエレジア
    件のウタは、それを船尾で眺めながら、時折何かの歌を口ずさんでいる
    少々距離がある上波の音に紛れて断片しか聞こえてこないが、どうやらあの海岸で見かけたときと同じ曲らしい
    どこかもの悲しく寂しげなのも一緒だ
    それを遠目で見ながら今後の彼女の教育プランを考えていると、ゴードン陛下が近づいてきた

    「○○殿、やはりよかったのか…?」

    もう何度目かもわからない、この質問
    こちらを気遣ったうえでのこととは理解しているが、さすがに飽きるというものだ

    「ですからゴードン陛下、これを決めたのは私です
    何も問題はございません」
    「しかし、もし万が一にも、またTotMusicaがウタの前に現れ、再び魔王が復活するようなことがあれば、今度は貴殿の島が!
    それに、海軍が今回の事件の真実を知れば、私やウタを匿うことになる貴殿にも迷惑を!」

    …確かに、陛下の言うリスクは存在し、無視できないものだ
    それは私も重々承知の上
    エレジアにいた海軍には、国の復興プランが固まるまで陛下と唯一の生き残りの少女(という設定)のウタは私の島で保護するということで話を通してある
    最初陛下がウタと共にこの島に残ると言っていたため多少訝しげられたが、私の必死の説得に陛下が渋々納得してくださった、ということで押し通した
    まぁ正直、あんな廃墟の島に残るよりは現実感のある手だったのも事実だ
    しかしこれで、私とゴードン陛下、そしてウタがつながっていることは自然海軍も知ることになる
    今回の事件の真相がばれれば、彼らを自身の島に引き入れた私も真実を知っていて隠したのではないかと疑いの目を持たれるだろう
    そうでなくても、封印したとはいえ、あの楽譜が本当に意志を持っているのであればウタがいる場所は今後再び魔王が出現するリスクが付いて回ることになる

  • 15122/10/24(月) 23:10:09

    だが、それでも

    「陛下、私はウタの歌に大きな商機を見出しました
    少なくとも、陛下の言ったリスクを許容し、その上で全面的な援助を確約するくらいには、です
    結果として私が大損害を被ったとしても、それはすべて決定を下した私の責任であり、仮にそうなったとしても私はこの決定を公開することはないでしょう」
    「それは、そうなのだろうが…」
    「それに陛下、今のウタは言ってみれば砂地です」
    「砂地…?」
    「えぇ、元は固く頑丈な岩盤だったかもしれません
    しかし、突如襲い掛かった災害よって破壊つくされ、脆くなった砂の荒れ地です
    仮にその地に世界を幸せにできる、最高の歌い手という巨大な城を建設したとしても、正しく砂上の楼閣
    何か一つきっかけがあれば、簡単に崩れてしまうでしょう
    世界だ最高だという前に、まずは地盤を押し固め、城を立てるのに十分な強度を持たせる必要がある
    陛下、あなたにあの誰もいない島で、それを成し遂げられる気はありますか?」
    「…」

    陛下が俯く
    少なくとも、シャンクスたちに置いてことへの悲しみや怒りは時間や何らかのきっかけで落ち着く可能性もある
    しかし、幼い彼女に年相応の精神性や世間との大きな相違のない価値観、そして万が一事件の真相を知っても最低限のダメージで済ませられる高い自己肯定感を養わせるには、多種多様な大勢の人間と触れ合わせる必要がある
    ゴードン陛下も、それは分かっているはずだ
    しかし、今回の事件への責任感と私や私の島の者たちに迷惑を掛けまいとする気持ちが、素直に首を縦に振らせないのだろう
    こうなっては、いくら言葉で説得しても無駄だ
    無理やりにでもこちらからサポートし、陛下が受け入れてくれるのを待つしかない

  • 16122/10/24(月) 23:11:12

    「陛下、これは投資です
    彼女を最高の歌い手にするという結果のための当然の出資であり、私がするべき仕事なのです
    私はこの投資に大きな意義と価値を見出しています、それだけはお忘れなきよう」

    それだけ言って、未だ納得していない様子のゴードン陛下から離れる
    こちらも相応の時間がかかりそうだが、気長にやるしかあるまい
    それよりも、早急に片付けておかなければならないことがある
    私は船内の自室に入り、周囲に人影や黒電伝虫がいないことを入念に確認した後、備え付けの電伝虫に妨害用の白電伝虫を取り付けたうえで、ある番号にかけた
    かなり昔に教えてもらったものだったため、あっておるか、そもそも未だ使われているかも不安だったが、どうやら大丈夫だったらしい
    数回のコールの後、初老の男の声で応答があった

    「誰じゃ、ガープか?」
    「…突然申し訳ない、こちら、ゴア王国はフーシャ村の村長殿のご連絡先で間違いないでしょうかな?」

  • 17二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 23:16:37

    ここでフーシャ村か

  • 18二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 02:08:01

    もしやここでルフィとウタ再会か!?

  • 19二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 04:44:40

    この状況でも白いの使って盗聴防止してるのしっかりしてるなぁ

  • 20二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 12:51:17

    話がどう転がるか楽しみだ

  • 21二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 13:45:00

    ほしゅ

  • 22二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 18:47:02

    待機

  • 23122/10/25(火) 22:22:06

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 24二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:52:00

    了解です〜
    保守!

  • 25二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 11:08:28

    ♪保守♪

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 13:58:02

    ほしゅ

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 17:41:19

    期待待機

  • 28122/10/26(水) 22:53:06

    フーシャ村
    東の海で最も美しいといわれるゴア王国、その辺境に位置する村
    名前の通り風車の立ち並び、それ以外は王国中枢からもほぼ忘れられるほどに何もない、よく言えば平和でのどかな、悪く言えば殺風景な農村だ

    「…誰じゃ?」

    応答に答えた村長と思しき男が、訝しげな声をあげる
    当然と言えば当然だ、同じ国の中でも忘れられるような辺境の村の村長に、わざわざ電伝虫で連絡をよこすものなど限られる
    それが見知らぬ人間であれば、警戒してしかるべきだ

    「ご挨拶が遅くなり申し訳ない、私は○○という者だ
    この連絡先は海軍本部中将のガープに聞きましてな」
    「…ガープじゃと?
    そういえば昔言っておったの、○○という名の友人がいる、と」
    「えぇそれが私です、ご存じであるのなら話が早い」
    「…それで何の用じゃ?
    ガープの話では投資をしておる金持ちとのことじゃが、生憎この村には投資されるような産業などないぞ?」
    「…実のところ、今回は村長殿に直接用事があるというわけではないのです」
    「?どういう事じゃ?」

    …そう、今回私が連絡を取ったのは、村や村長に用事があるからではない
    要があるのは、そこにいるかもしれない彼らに、である

    「単刀直入にお聞きしましょう
    村長殿、そちらに赤髪海賊団という海賊がおりませんか?」
    「…!?」

    電伝虫の向こう側で、村長が息をのんでいるのが分かる
    どうやら当たりだったようだ
    正直半ばあてずっぽうの勘のようなものだったので、間違っていなかったのは幸運だ

  • 29122/10/26(水) 22:53:46

    「…何の話じゃ?こんななにもない村に海賊なぞ…」
    「村長殿、まどろっこしい問答は不要です
    私が用があるのは彼らの方でね、いるかいないか、そこだけはっきりしていただければ結構
    いるのであれば、可能なら繋いでいただけるとありがたいのですが」
    「…」

    村長殿の声が途切れる
    考え込んでいるという時点で、答えは確定している
    やはりシャンクスたちがいるのはフーシャ村で確定のようだ

    今回私が、シャンクスたちがいるのがフーシャ村ではないかと考えた理由
    それは、私がウタの歌を聴いて眠った際に見たあの夢だ
    あれはただの夢ではなく、”ウタウタの世界(ウタワールド)”と呼ばれるもの
    ウタウタの実の能力者は、自身の歌を聴いたものの意識をその世界に引きずり込み、己の心象風景や妄想を具現化して伝えることが出来る
    そこで見たあの光景
    実は私はフーシャ村に行ったことこそないが、ガープに村の風景を写した写真を見せてもらっていたため、その景観自体は知っていた
    村長の連絡先も、ガープが「休暇の時はたいていここにいるから、急用があるときはここに掛けてくれ」と教えられていたのだ
    思い出すのに時間こそかかったが、何度も見せられていたおかげで鮮明に思い出すことが出来、そして、ウタワールドのあの光景がフーシャ村のソレだと結び付けることもできた
    年頃の娘が心象風景として思い描くほどなら、よっぽど思い入れのある場所のはず、ともすれば拠点などの用途で長期間にわたり滞在していたのではないか
    そう考え、物は試しと連絡してみたところ、当たりだったわけだ

  • 30122/10/26(水) 22:54:54

    やがて答えが出たのか、村長が言葉を紡いでくる

    「…しばし待っておれ、本人たちに聞いてみよう」
    「えぇ、お願いします」

    どうやら、シャンクスたちに話を聞いてくれるらしい
    少し間をおいて、再び受話器の向こうから村長の声が聞こえてきた

    「今聞いてきたぞ
    お主の名を出したら、シャンクスの奴も驚いた顔をしとってな
    今繋いでやるからもう少し待っておれ」

    どうやら無事に話を取り付けられたようだ
    さて、ここまでは前座
    ここからが今回の本番だ

  • 31二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:01:24

    なるほど
    子どもを預かるなら保護者に連絡しないといけないな

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:58:44

    ここでシャンクスか!
    相変わらず根回しが完璧だな…

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 06:35:57

    人脈の幅広さが恐ろしすぎる

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 13:41:23

    ほしゅ

  • 35122/10/27(木) 22:57:14

    「…○○さん、か?」

    電伝虫の向こうから、若い男の声が聞こえる
    記憶にある声とも一致する、間違いないだろう

    「久しぶりだな、シャンクス君
    12年前、ロジャーの処刑の日にローグタウンであって以来かな?」
    『…あぁ、もうそんなに経つのか…
    それにしても、よくおれがここにいるってわかったな?』

    その声は朗らかで楽しげだが、所々声が上ずっているようにも聞こえる
    陰鬱とした気分の人間が、無理やりに引き出した明るい声、という感じだ
    ゴードン陛下の話では、ウタを置いていくときも、彼らはそれを完全に望んでいたわけではないとのことだった
    元々は海賊団と共にエレジアを去るというウタの意志を受け入れていてもいたそうだし、本当に彼女を置いて行ったのは苦渋の決断だったのだろう
    ならば彼らにとっても、今回の話は朗報になりうる

    「シャンクス君、私はあまり回りくどい話は嫌いでね
    単刀直入に言おう、君の娘、ウタは今私の船に乗っている」
    『!!』

    ウタの名前を出した途端、空気が一変した
    音以外伝わってくるはずがないのに、シャンクスの怒りが、殺気が、受話器越しに私に向かって放たれたようにすら錯覚する
    いや、実際向こうでは放っているのだろう
    彼は昔から―ロジャーもそうだったが―喧嘩っ早い、まぁこの反応は想定内だ

    『○○さん、おれに連絡してきたってことは、あの子の秘密も、エレジアの真実も知っているんだろ?
    ウタを、おれの娘をどうするつもりだ?』
    「落ち着きたまえシャンクス君、確かに私は今回の件に関する大方の秘密を知っている
    そうだな、まずはその経緯から話すべきだろう」

  • 36122/10/27(木) 22:57:26

    そう前置きし、私はエレジアでの一連の出来事を話した
    最初こそ怒りの収まらぬようだったシャンクスだが、私の話を聞いている間に、だいぶ落ち着いてくれたようだ
    最後まで聞き終えた後、彼は大きなため息を一つついた後、重々しく口を開いた

    『…あんたの話は理解した
    それで、これからどうするつもりだ?』
    「このまま私の拠点である島まで連れ帰り、以後ゴードン陛下にレッスンを、それ以外の一般生活に関しては我々が補助していくつもりだ
    構わないかな?」
    『…あぁ、あんたになら、任せられる
    おれの娘を、立派に育ててくれ』
    「…わかった」

    途中から声に震えが混じる
    私も一応は娘を持つ親だ、どうしようもないとはいえ不本意に娘を手放し、その世話を他者に任せるということがどういったことかは、それなりに理解できるつもりだ
    彼の、いや、彼らの感情は察するに余りある
    それを押し殺して、こちらに頼んできてくれているのだ、裏切るような真似はできない
    これで私たちが彼女を悲しませ、傷付けるようなことになれば、その全力をもって彼らは襲い掛かってくるだろう

    さて、経緯の説明と向こうの意志の確認はできた
    が、まだ終わりではない
    今回の本題、話しの核心はここからだ

    「それでだな、シャンクス君」
    『…?まだ、なにかあるのか?』
    「あぁ、ここからが本題だ
    私はねシャンクス君、何時という確約はできないが、いずれ君たちとウタを再会させようと考えている」

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:39:17

    最後に会ったのがロジャー処刑の時ってことはロジャー海賊団時代からシャンクスと接点あったんだな

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 02:46:22

    すれ違ったままは悲しいもんな…
    歌だけじゃなくてミュージカルや演劇もやるウタとかいいな、見てみたい

  • 39二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 05:03:15

    家族再会よろしく

  • 40二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 12:35:09

    このウタは映画と環境が違う人生を送るから再会した時期によってはシャンクスのこと昔の知り合いレベルになってない?

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 13:40:19

    保守

  • 42二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 18:54:37

    保守

  • 43122/10/28(金) 21:37:36

    『ウタを、おれ達に?』
    「正確に言えば、会わせたいではなく、会ってほしいというべきかな」
    『…なぜそんなことを?○○さん』

    受話器越しに聞こえてくる本気の動揺と疑問の声
    当然だろう、彼らにしてみればウタとの再会は可能であれば実現させたい事だ
    しかし、それを私の方から提案する理由もメリットもない
    むしろ、彼女をこれから堅気として育てていくのに、海賊である彼らと再会させるのはデメリットになる可能性の方が高い
    だが私には、その選択をする理由があった

    「それが、彼女をより完璧な歌い手にするために必要なことなのだ」

    歌い手には、強靭なメンタルと平常心が必要だ
    それは言うまでもないだろう
    それを損なわせうる要因は、可能な限り排除しなければならない
    そして今回の事件で、ウタは心に深い傷を負った
    精神的な傷というのは身体的な物よりも完治しづらく、放置したり下手な方法で治そうとすれば、かえって大きくなることも化膿して痕になることもある
    それを完璧な形で治療しようとするなら、その傷の原因になった事象を根本から解決するのが確実だ
    今回に関して言えば、赤髪海賊団との決別
    両者のわだかまりを解消することが出来れば、将来的に彼女のメンタルに不調を来しかねない不安要素をなくすことが出来る

  • 44122/10/28(金) 21:38:33

    「もちろん、それにはエレジアの事件の真実をウタに伝えなければならない
    そのためにはまず、彼女の価値観、罪という物に対しての意識の形成から進めていく必要がある
    相応の時間を要するだろう
    しかし、それらがすべて片付き残る問題が君たちとの関係性のみになったときは、私に協力してもらいたい」
    『…』

    シャンクスは押し黙ったまま
    まぁ余りに彼らに都合のいい話ではあるかもしれない
    信じられないのも無理ないだろう
    しかし…

    「シャンクス君、私は何も君たちへの親切心で言っているわけではない
    ウタを世界を相手にするに足る歌い手にするのに、不安要素を消しておきたいがため、君たちに協力を頼んでいるのだ
    それが結果的に君たちにとって僥倖となるのであれば、役得として受けてもらえばいい
    協力してくれるというのであれば、連絡用に君たちが所有する電伝虫の番号を教えてくれると助かるのだが…」
    「…あぁわかった、番号は―」

    手元のメモに、言われた番号を書き記す
    万が一流出した時のため簡単に暗号化した後、メモを室内に備え付けてある金庫に入れ、交渉は完了した

    「協力、感謝するよシャンクス君
    では、すべての準備が整うか、何か問題があればこちらから連絡しよう」
    『…分かった』
    「ではなシャンクス君、また」
    『…○○さん』

  • 45122/10/28(金) 21:39:14

    受話器をおことした最中、シャンクスが大きな声を上げる

    『○○さん、ありがとう
    ウタのことを、頼む!』
    「…当然だとも、彼女の成長は私も望むところだ
    それと、礼は彼女の歌が世界に満ちたときまで、取っておくといい」

    それだけ言って、改めて受話器を置く
    そう、どれだけ入念に根回しし、膨大なコストと時間を費やし準備をしても、結果が伴うとは限らない
    礼も労いも、結果が出た後でするべきだ

    とは言え、結果が分からないからと準備を怠るわけにはいかない
    まずは陛下とウタの生活拠点の準備と、音楽指導のための環境の整備を進めなくては
    あとは彼女のメンタル回復のための人員の選定も必要だ
    これからまた忙しくなる、順次詰めていかなくては

  • 46122/10/28(金) 21:39:25

    そう考え、一度陛下と打ち合わせをしようと部屋を出たその時だった

    「○○様!!」

    タナカが慌てた様子で駆け寄ってくる
    その様子にデジャビュと嫌な予感を覚えたが、話を聞かないわけにはいかない

    「どうしたタナカ、また緊急事態か?」
    「ハッ!先ほど、先行させていた船より連絡が入りまして…」

    そこでタナカは一度話を切り、息を整えこう言った

    「船が突如現れた海賊の襲撃に合い、いくつかの金品と共に、TotMusicaを収容していたケースが奪われたとのことです!」

    …面倒ごとというのは、嵐のように立て続けに来るとは言うが…
    まったく、少しは勘弁してほしいものだ

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 00:08:32

    ここでまさかのトットムジカ行方不明

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:14:18

    シャンクス達とウタの再会楽しみだな〜と思ってたら、トットムジカが不穏だ…
    これ以上の追い打ちはやめてくれー!

  • 49二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 06:23:03

    まぁ歌いさえしなければ……あのクソ楽譜、あの手この手で隙を突いてきそうだが

  • 50二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 13:06:30

    保守

  • 51122/10/29(土) 22:06:00

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 52二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:30:05

    了解です〜
    保守保守

  • 53二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 05:03:38

    期待待機

  • 54二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 13:48:48

    ほしゅ

  • 55二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 17:04:09

    落ちないように

  • 56二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 22:36:49

    保守

  • 57122/10/30(日) 22:55:56

    二日連続で申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載も休止させていただきます

  • 58二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 23:17:07

    保守!

  • 59二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 04:08:14

  • 60二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 12:02:18

    ほしゅほしゅ

  • 61二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 18:53:30

    リアルをどうぞ大事に

  • 62122/10/31(月) 23:00:13

    「申し訳ございません、陛下!」

    ゴードン陛下専用にと急遽ご用意した船室の一つ
    復興計画のほか、対外秘の打ち合わせも行えるようにと、船の中でも私の資質に次いで遮音性の高い部屋の中
    困った顔で椅子に座るゴードン陛下の前で、私は頭を下げ謝罪していた

    「○○殿、頭を上げてくれ」
    「いえ、今回の失態は紛れもなく私の責任!
    この補填はいかようにも…!?」

    事の発端は10分ほど前、タナカからもたらされた先行船への海賊襲撃の報だ
    これにより数点の金品とともにTotMusicaを収容していたケースまでもが奪われてしまった
    もちろん、海賊への対策を怠っていたわけではない
    十分な人数の警備兵を船に搭乗させていたし、そもそも先行船が通る海路に海賊の出没情報ここ数ヵ月まったくないことも確認していた
    しかし、そんなことは言い訳にしかならない
    事実として船は襲われ、TotMusicaは奪われた
    船の安全管理も、TotMusicaの輸送も、私が指示したことだ
    ゆえに、これらすべての責任は私にある
    もはや謝罪だけで済む話ではなく、物がものだけに金銭による補填などもできない
    こうなっては、ゴードン陛下の要求にどのような形であれ答えなければならないのだ

    「…○○殿、楽譜以外の被害は?」
    「…ハッ!船に積んでありました貴金属類、合計で約370万ベリー
    人的被害は死者こそ出ていないものの、重傷者5名、軽症者13名、現在全員が襲撃地点近くの島にて治療中とのことです」
    「そう、か…」

    私の答えに陛下は一度大きく息を吐き、考えこむように俯く
    私は頭を下げた姿勢のまま、次の陛下の言葉を待った
    そして数秒の後―

  • 63122/10/31(月) 23:00:36

    「…○○殿、悪いと思っているのであれば、どうか頭を上げて私の話を聞いてほしい
    私は○○殿のことを昔から知っている
    楽譜の警備に細心の注意を払ってくれていたであろうことも、今貴殿が本当に申し訳なく思っていることも分かっているとも」
    「陛下…」

    そう言いながら立ち上がったゴードン陛下の顔は、少し微笑んでいるように見えた
    陛下は立ち上がった足でそのまま窓際まで歩みを進め、外を見やる
    空はあいにくの曇天だが、遠くには光がさしているのが見えた

    「一人の音楽家としては、あの楽譜が失われたことを悲しむべきだろう
    しかし、エレジアの国王として、あの魔王が歴史の闇に葬られたのであれば、これは喜ぶべきことなのも事実だ
    実際、私ではあれの危険性を理解していても、処分するような真似はできなかっただろうからな」

    陛下はそこで一度言葉を切る
    確かに、魔王の脅威をその身で知りつつも音楽家として楽譜を破棄することなどできないというジレンマを抱えていたゴードン陛下の心情を考えれば、このような形であっても他者の手により楽譜が失われたことは、ある意味ちょうどよかったと言えるかもしれない
    話しを中断していた陛下は窓からこちらへ振り向き、「それに」と続けて話しだす

    「私は貴殿を信頼している
    例え今回は失敗だったとしても、いずれこの失敗を帳消しにできるほどの、いやそれ以上の成果を上げてくれると信じている
    そうだろう?」

    陛下の言葉に、私はしっかりとその目を見ながら大きく頷いた
    それを返答と受け取った陛下が、満足そうにうなずき返してくる

    「ならば、問題はないとも」
    「…ありがとうございます、陛下」

    やはり陛下はお優しい、普通であれば糾弾されてしかるべきであるというのに、こうやって声をかけお許しくださった
    そういえば前もこんなことがあったような――と、今はそんなことはどうでもいい

  • 64122/10/31(月) 23:01:44

    私は今一度陛下に礼を言ってから部屋を後にした
    外に待機させていたタナカを伴い、その報告を聞きながら足早に自室を目指す

    「下手人の目星はついたか?」
    「いえ、急な襲撃の上かなりの混戦だったようでほとんどの者が海賊旗も確認できず、唯一見たものは意識不明の重体
    幸い運び込まれた島の医療施設の設備は十分なものだったようで、現在集中治療中です」
    「人的資源にまでこれ以上被害を出すことは許されない
    金に糸目は付けない、なんとしても生き延びさせろと、その病院に伝えろ」
    「ハッ!」
    「それと、海軍に至急連絡し、改めて襲撃地点周辺の海賊の出現情報を調べろ
    可能性のある奴らの情報を全て収集し、私のもとに上げるように」
    「かしこまりました」

    矢継ぎ早に出した指示の下、タナカは私から離れ通信室へと向かっていった
    陛下もああいっていたし、私自身このままTotMusicaが海賊の宝の一つとして眠り続けてくれるのであればそれはそれで構わない
    しかし、今回のことで奴を見失い、忘れたころに知らず知らずのうちにウタのそばまで近づかれていた、なんてことがないとも限らない
    それを阻止するためにも、可能な限りその後を追うべきだろう
    このような失態は、誰であろうこの私自身が二度と許さない
    これまで以上に慎重を重ねて動いていく必要がある

  • 65二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 05:36:20

    あの楽譜ワープするからなぁ…
    死者が出なかったのは不幸中の幸いか

  • 66二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 05:44:45

    偶然なのかクソ楽譜がなんかやったのか……不穏だ

  • 67二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 16:57:31

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:07:08

    保守

  • 69122/11/01(火) 22:50:16

    その後我々は海賊に遭遇することも悪天候にさらされることもなく、二日後には無事に先行船の待つ島までたどり着いた
    港に停泊していた件の船にはおびただしい数の砲撃痕が刻まれ、黒焦げ大きく裂けたセイルが襲撃のすさまじさを現している
    到着した我々を出迎えたのは、先行船の船長と航海士だった

    「○○様、この度は…!」
    「今はいい、それより、現状の詳しい報告を頼む
    それと、負傷した船員たちの所まで案内してくれ」
    「…ハッ、こちらです!報告は道すがら」
    「うむ」

    船長先導の元、船員たちが運び込まれたという医療施設へ向かう
    その道中で船長から受けた報告によると、襲撃を受けたのは連絡があった日の未明
    敵船は夜闇に紛れて奇襲してきたものの、船員たちの抵抗が予想以上だったのかすぐに撤退したのだという
    おかげで負傷者こそ出たものの死人は出なかったのが不幸中の幸いと言える
    しかしやつらは撤退の際、近場に合った調度品など金目の物を盗んでいったのだが、そこに船倉の一番奥で警備兵を配置し守らせていたはずのケースがなぜかあり、最後にそれを引っ掴んで逃走したのだそうだ
    ケースの中身は船長たちには知らせていなかったが、私が慎重に運ぶよう念を押していたのもあって、重要なものであることは彼らにも伝わっていたようだ
    当然すぐに取り返そうとしたが、負傷者も多く戦闘の際セイルも傷つけられてしまい、止む無く追跡を諦めたのだそうだ
    あとでケースを警備していた兵を問い詰めると、「いつの間にかなくなっていた」とのこと
    船長は彼らが海賊のスパイなのではないかとも疑っているようだが、おそらく彼らの言っていることは真実だろう
    トットムジカ
    ウタの歌を聴き自ら封印を抜け出したというやつであれば、気付かれぬようケースごと船からの脱出を図ったとしても、ある種の納得ができるという物だ
    たしかに兵がスパイの可能性もないとは言い切れないが、彼らもケースの中身は知らないはずであり、かつ本来であればケースが勝手になくなったなどという証言、騙そうと思って出てくることはないだろう
    そう考えれば、その証言は真実であるという可能性は高いと思う

    そしてそれは、あれだけの物理的封印を施しても、奴がまだあきらめていないという事だ
    これは、奴に対しての認識を改める必要がありそうだ…

  • 70122/11/01(火) 22:52:33

    本日は1レス分のみになります、申し訳ありません
    また、文中のトットムジカ関連の記述に関しましては完全に捏造であり、ご不快に思われた方にはあらかじめ謝罪させていただきます

  • 71二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 05:17:15

    やはりクソ楽譜!!

  • 72二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 12:44:43

    歌いさえしなければいいんだが、なんか意表を突いてきそうなんだよなぁ

  • 73二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 18:23:58

    こわいこわい

  • 74122/11/02(水) 23:20:15

    さて、トットムジカへの対応策は改めて考えておくとして
    今考えるべきはこの船長たちへの言い訳だ
    ケースの移動がトットムジカによるものだとして、その存在を知らせていない船長や他の船員たちには当時警備を担当していた兵士による犯行としか考えられないだろう
    そうなればどんな形であれ件の警備兵たちを処罰せねばいらん不信感を彼らに蔓延させかねない
    だが、さすがにまじめに職務に励んでいたであろう彼らに海賊の一味の濡れ衣を着せるのは忍びない
    そのためこの案件は私直轄の預かりとし、警備兵らは本拠地の島に着くまでは船の一室に軟禁、到着後私自ら尋問することにした
    あとは海賊船に悪魔の実の能力者が乗っており、彼らが気付かぬうちに能力でケースを移動させていたとか、もっともらしい理由付けをして身の潔白を証明し解放すればいいだろう
    私自ら尋問することでケースの重要性を強調しつつ、納得して解放することで彼らが本当に城であるという証明にもなる
    こういうとき悪魔の実というのは便利だ
    図鑑などはあるもののソレにすべての実が掲載されているわけではないためその全容を知る者はこの海に恐らくおらず、そのため理屈付けに難儀するものごとはすべて悪魔の実に関連する事案として片づければ大体いけるものだ

    と、そうこうしているうちに船員たちが担ぎ込まれた医療施設にたどり着いた
    負傷した彼らをねぎらうため容姿させた一級の病室の中では、大小さまざまな傷を負った船員たちが思い思いに時間を過ごしていたようだが、私が入室した瞬間立てる者は全員整列し、立てないものはベッドに横たわったまま敬礼の姿勢をとっている
    私が楽にするよう言うとすぐに緊張を解いてくれたが、これも船乗りの性、というべきか
    居並ぶ彼らを見やると、傷こそ多いものの全員が五体満足で生還してくれたらしい
    片目や片耳を失った者は中に入るようだが、海賊に襲われそれだけで済んだというのはむしろ幸運というべきだろう
    治療を担当してくれた医師の話によると、集中治療をしていた船員も難とか一命をとりとめ、現在は意識の回復を待っているところなのだそうだ
    ひとまずは安心、というべきか
    施設には感謝を込めて相場より割増の謝礼を払っておいた

  • 75122/11/02(水) 23:20:35

    その後、意識のある彼らに改めて聞き取り調査を行ったものの、やはり襲撃してきた海賊の正体に関する有益な情報は得られず、唯一残る頼りは未だ目覚めぬ船員だが、医者曰く、1週間ほどで目覚めるだろうとの話であり、エレジアに関する書類の整理やウタとゴードン陛下の身元預かりに関する文書も作成しなければならないため一刻も早い帰島が望まれる現時点ではソレまで悠長に待っているわけにはいかない
    そのため、船長には船の修理と船員の養生が終わるまでは島に滞在し、十分に回復した後に帰還するよう伝え、その間必要な経費を渡し、一足早く島への帰路に就いた

    結局、襲撃者に関する収穫はゼロ
    実際に被害にあった者たちの声を聴けば対象を絞れると思ったが、見通しが甘かったようだ
    こうなったら、海軍の情報に期待するしかない
    それでたどり着けるとは思えないが、もうそれしか取れる手はないのだ

  • 76二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 05:30:28

    うーん、もどかしいがほかに打つ手もないな……

  • 77二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 13:59:06

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 18:23:49

    とりあえず楽譜関係は一区切りか?

  • 79二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 21:46:27

    忘れた頃に出現しそうなのが怖いな…
    まあ金持ちさんなら抜かりなく手を打つだろうけど

  • 80122/11/03(木) 22:23:30

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 81二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 04:02:10

    どうかリアル事情をお大事に

  • 82二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 12:45:56

    お疲れ様です ゆっくりとお待ちしております

  • 83二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 19:18:44

    保守

  • 84122/11/04(金) 23:18:03

    一路拠点の島へと船を進める我々は、途中2,3度嵐にあいはしたものの、出航から1週間ほどで無事戻ることが出来た
    この島を出たときはまさかここまで―国が滅びているのだから元から十分ではあるが―大事になるとは思ってもいなかったが
    とは言え、収穫があったのも事実
    エレジアの復興計画に一枚かむことが出来たし、なによりウタと出会えたことは何よりの幸運だ
    彼女の歌唱力は、これからもさらに成長するだろう
    最終的には、世界レベルまで行くのは目に見えている
    そんな彼女の歌は、いったいどれだけの利益を、経済効果を生み出す事か
    取らぬ海獣の皮算用だが、それだけのポテンシャルが彼女にはある

    とはいえ、それもしっかりと育てることが出来ればの話
    ここから彼女には専門的なレッスンに加え、社交性なども含めた一般教養を学ばせていく必要がある
    そのために必要な物
    まずウタとゴードン陛下の居住地だが、これは私の屋敷の客室をそのまま流用することで解決した
    船上ですでに残していたバカラに連絡し、部屋の回収作業は終了している
    ウタの好みなどは分からなかったため最低限の子供用家具があるだけの少々殺風景な部屋になってしまったが、これから長く住むのだ、ここから彼女の好きに彩ってもらえばいいだろう
    当のウタは案内した際、自身の専用の部屋ということで多少うれしそうな顔をしていたが、すぐにまた曇った表情になってしまった

    次にレッスン用の設備だが、これも私の屋敷に元々あった防音室を改良し、専用の音楽スタジオとして整えた
    数種類の楽器や音響設備、その他関連資料も多数取り揃え、さすがにエレジアの専門学校には劣るもののそんじょそこらの音楽教室には負けない質のものを用意したと自負している
    ゴードン陛下も非常に満足していただけたようで、これならウタのレッスンも問題なく行えるだろう
    必要であれば、我が劇団の団員たちも協力させることも考えている

  • 85122/11/04(金) 23:18:25

    あとは音楽以外、一般教養の教育に関して
    最初は同年代の子とも交流できる場として、バカラも通っていた島内の学校に通わせるつもりでいたが、一応シャンクスたちに再び連絡を取り確認したところ、ウタは2歳で赤髪海賊団に拾われてからずっと彼らと共にあり、同年代の友人と言える存在はフーシャ村でできた少年一人だけなのだという
    そんな彼女をいきなり大人数の同年代がいる環境に放り込んでも、周囲との軋轢を生むだけだろう
    ただでさえ子供というのは大人が思っている以上に排他的でコミュニティ内の繋がりが強く、また他者を妬み羨むものだ
    その上彼女の外見と歌唱力も考えれば、歓迎される可能性もの方が低いかもしれない
    それではウタが輪をかけて心閉ざすことになるだけだ
    最終的な目標としては考えてもいいかもしれないが、少なくとも今は段階的に接する人間を増やしていく方がいいだろう
    そうなると都合がいいのは、私の身内、特に年齢の近いバカラとリーテがいいだろう
    それぞれ6歳以上上下に離れているが、逆にそれぐらいの方が接するにはいいだろう
    頼りにできる年上と、庇護対象として認識させることで精神の安定化を図れる年下の同性、という観点から見ればはまり役と言えるかもしれん
    ただ二人だけでは不安がぬぐい切れないため、同時に世話役としてステラもつけておく
    当然と言えば当然だが、赤髪海賊団にいたときは父親はいても母親と言える存在はいなかっただろう
    ウタがステラをそういう風に認識してくれれば、より精神の安定化が図れるという物だ
    あとバカラとステラにはもう一つ頼みたいことがあるが、それは後でいいだろう

    と、いろいろと考えてはいるが、まずはウタを新しい環境に慣れさせる必要があるだろう
    これからこの島で暮らしていくのだ
    愛着を持ってくれればいいのだが、どうなることか

  • 86二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 00:37:27

    リーテにお姉さんしてバカラとステラに甘えるウタいいな…平和だ…

  • 87二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 05:20:34

    気長に行こう、気長に

  • 88二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 07:51:18

    こんな素晴らしいものに追いつけてよかった 保守

  • 89二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 16:31:19

    保守

  • 90二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 16:32:33

    このレスは削除されています

  • 91二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 21:58:00

    保守!

  • 92122/11/05(土) 23:49:05

    ゴードン陛下を、そしてウタを島に招いてから早二ヵ月が過ぎた
    当初の予定通り、ウタは順調にこちらに心を開いてきている
    今はステラとバカラ、リーテを相手に庭で歌を披露している
    たった三人とは言え観客がいることがうれしいのだろう、その顔は以前より晴れやかだ

    彼女らを迎え入れてから一月ほど、ウタはほとんどの時間をあてがった部屋で過ごし、時折思い出したように港へ出かけては歌を口ずさみながら海を眺めているそうだ
    陛下の話ではウタはエレジアを滅ぼしたのが赤髪海賊団だという話を聞いた後、自身を置いて行ったことも含め彼らを恨むような言動をしていたらしい
    が、やはり9年も共にいたのだ
    無意識にでも彼らを思う気持ちがあったのだろう
    そこは彼女のみが知ること、いや、彼女自身にもわからない事だろう

    とにかく、今の状態では時間をかけても進展は微々たるもの
    別に慌てることもないが、早くに動きがあるに越したことはないだろう
    そこで私は一計を案じた
    まず、アレコレと理由を付けてリーテの世話をウタに任せ、我々は仕掛けた映像電伝虫でそれを観察
    ここでハプニングが起きれば、バカラを投入し手助けさせ解決させることで二人と接点を持たせる、という物だ
    最初こそリアル三歳児であるリーテにテンヤワンヤしていたウタであったが、時間が経つにつれ初めての幼児の世話が楽しくなってきたのか、わりとノリノリでやっていた
    この時点でリーテとの接点もできたし、十分な成果と言えるかもしれない
    またリーテにはこの作戦を伝えていない、というか伝えても無駄だろうから、彼女が実際にハプニングを起こすまで試行回数を重ねるつもりだったのだが、幸運なことに一回目で駆け回っていたリーテがすっころび、額を擦りむくというハプニングが発生

    余談だが、この時ともに監視していたテゾーロが作戦を忘れて飛んでいこうとしていたため、ダイスに押さえつけさせるという別のハプニングもあったが、まぁそれはいいとして

  • 93122/11/05(土) 23:49:34

    泣き止まぬリーテを前に、どうしたらいいかわからないのか不安そうに膝をついておろおろしているウタを見て、私はここでバカラを投入すべきかと考えたが、ここでまさかのステラから待ったがかかった
    このまま少し様子を見てほしいという彼女の言葉を信じ監視を続けると、彼女は何かを思いついたように立ち上がり、目を閉じ歌い始めた
    どうやら子守歌のようで、彼女の歌唱力もあってなかなかに心に来る
    気が付くとリーテはいつの間にか泣き止んでおり、目を輝かせながらウタの歌に聞き惚れていた
    それを見たステラも満足そうに頷いている
    歌が歌い終えるころにはリーテの涙も完全に引っ込んでおり、満面の笑みで拍手していた
    それに対しウタも照れ臭そうに笑っている
    実に良い傾向だ

    まぁ泣き止んだと言えどリーテの怪我が治ったわけではないため、ここで泣き声を聞きつけたという名目でバカラを投入
    彼女にリーテを治療させ、何かあったら自分を頼るようウタにも言い聞かせる
    当のウタはバカラに対してもどこか照れたようにしながら了承の意を示すように頷き、一言「ありがとう」と礼を言った
    ついでに同じタイミングでステラにリーテを迎えに行かせ、引き取る際にリーテの面倒見てくれたことに対して感謝すると同時に褒めさせる
    その言葉もうれしかったのか、これまた笑みを浮かべながら「どういたしまして」と返している
    以上で作戦は終了した

  • 94122/11/05(土) 23:50:51

    作戦の結果は上々
    これでウタに三人と接点を持たせることが出来、かつ十分な好感度をうえつけることができた
    ここからはこの高感度をさらに肥大化させ、彼女の精神の安定とこちらへの警戒心の排除を狙っていく
    そしてこの私の目論見通り、そこからさらに一月後の現在ではより三人との距離はさらに縮まり、彼女の方から積極的にコミュニケーションをとってくれるようになった
    今は庭だが、他にもバカラの部屋やウタの部屋など、様々な場所でステラ達を観客にしたミニライブが行われている
    特にリーテはウタの歌を大層気に入ったらしく、「パパよりじょうず!」と言ったりして楽しんでいる
    偶々それを聞いたテゾーロがダメージを受けていたが、まぁどうでもいいか

    とにかく、これはとても良い傾向だ
    このまま接する人数を増やしていき、最終的には学校へ登校が可能なまでには持っていきたい
    とはいえ、ここでの焦りは禁物
    今回の結果に味を占め事を急いては、必ず問題が起こるだろう
    ここは当初の予定通り、慎重にかつ段階的に進めていくことにする

  • 95二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 23:58:40

    テゾーロ、ドンマイ

  • 96二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 05:54:04

    ホントに慎重派だな
    それが頼もしいが

  • 97二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 14:11:07

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 17:33:48

    待ち

  • 99二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:20:15

    保守る

  • 100122/11/06(日) 22:45:12

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 101二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 00:54:19

    了解です〜、リアル大事に!
    保守

  • 102二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 04:32:31

    keep

  • 103二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 12:06:33

    楽しみに次を待ってます

  • 104二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 19:42:38

    待機

  • 105122/11/07(月) 22:08:15

    先日の一件以降、ウタは我々―と言ってもステラ達3人だけだが―に心を開いてくれた
    その影響か精神的にも多少回復したようで、最近では島に来た直後には見せなかった笑顔も時折見せてくれるようになっている
    まだ多少不安は残るが、少なくとも家族に捨てられすべてが嫌になり自暴自棄に、などの可能性は低くなったと言えるだろう
    関わりあう人間も段階的に増やしていき、同時にゴードン陛下とも協議の上音楽のレッスンも進めていくつもりだ
    後の問題は、どのタイミングでエレジアの真実をウタに話すか、という事
    少なくとも今すぐに、というわけにはいかない
    当初の計画通り、彼女が真実を知って二必要以上に自己嫌悪に陥らない程度の善悪観と倫理観を植え付けてからになるだろう
    時期的は、およそ1~2年後くらいを想定している
    彼女の年齢を考えれば少し早く思えるかもしれないが、下手に先送りにして彼女の中で価値観が完全に形成された後に説明することになると、彼女の中でそれまでの価値観と聞かされた真実とで自己矛盾を引き起こし、大きな悪影響となる可能性がある
    出来ることなら、ある程度の教育がなされ、かつ、完全に思考や価値観が定まっていない時期に話すことが望ましく、それゆえ1,2年後というのもあくまで指標であり、ウタの様子を観察しながら随時修正していくつもりだ
    失敗の許されない難しい案件だ、いつも以上に慎重にいかなければ

  • 106122/11/07(月) 22:08:29

    さて、ここまでウタを中心に話してきたが、何もそれだけしかやっていなかったわけではない
    舞台版の『海の戦士 ソラ』もまだ製作途中であり、それ以外の公演やテゾーロのライブ、電伝虫放送事業、グラン・セーニョの建造など、今現在抱えている案件は多い
    どれも大きな問題こそ起こっていないが、確認すべき書類などは毎日山と積まれている
    まぁもともと書類仕事自体は嫌いではないし、私まで通る案件が多いということはある種順調に進んでいる証とも言えるので、大した苦にはなっていない
    しかし近頃、妙なことが続いている
    時折、資料に知らない名前の人間の記載があるのだ
    最初に違和感に気付いたのは、電伝虫放送の事業拡大のため用意させた周辺国家の情報を精査していた時
    資料に書かれている要人の名前に見覚えがないと感じたことだ
    その時は特に違和感もなく、ただ私が知らないだけだと考え、あとでその人物に関する詳しい資料を持ってこさせよう、くらいに思っていた
    しかし、どう調べてもその人物に関する情報が出てこない
    正確には複数の書類などにその名前やデータが載っているのだが、周囲の誰もその人物のことを知らないのだ
    データ上は存在するはずなのに、誰も知らない人間
    どこぞの怪談噺のようだ
    結局それらの資料はすべて表記ミスということになり、破棄又は訂正されることになった
    これが一件だけならただの凡ミスだが、このところ数十件に1件ほどの割合で同じようなミスが発覚している
    このような表記ミスなどのよくあることではある
    しかし、その資料を基に計画を立てなければならないこちらとしては、少しのミスにより下手をすると計画の前提から覆されかねない
    資料を作成する人間には、もっとしっかりして欲しいものだ

  • 107二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 00:00:53

    >>106

    ホビホビ?

  • 108二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:22:53

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 04:45:54

    あ、ドフラミンゴ暗躍中か

  • 110二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 08:12:42

    破棄はしない方がいいんだろうかこの場合

  • 111二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 13:38:22

    ほしゅ

  • 112二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 23:09:33

    保守保守だえ

  • 113122/11/08(火) 23:48:11

    ウタを島に向かい入れて4ヶ月
    エレジア問題などで少々停滞していた「海の戦士 ソラ」の舞台化企画も、ついに完成を間近に迎えていた
    我々が島を離れている間もスタッフたちが着々と制作を進めてくれていたおかげで、すでに劇に利用する舞台セットや衣装、小道具の類も全て完成し、演者たちの練度も十分な域に達している
    唯一不安なのはもともと演劇経験がない上に、ここ数ヵ月は私の護衛として動かしていたため他の演者よりも演習時間の短いダイス演じる悪役だが、そうなる場合をあらかじめ見越して最初から奴が演じるキャラの性格は、平常時のダイスのものを元にして作ってある
    また奴自身現役のファイターなこともあってアクションは練習開始前から十分にこなせていた
    一度行われて通し稽古でも、もともとセリフは他キャラより少なめにしていたおかげもあって、噛んだり他キャラの台詞と重なる、などと言ったハプニングもなかった
    後は今回の舞台最大の見どころである特撮映像だが、これも本番での使用に耐えうるクオリティのものが出来上がっている
    正直に言えば見せてもらった完成品の映像でも何か所か気になる点は見受けられたが、強く言うほどのものではなく、変えるべきかどうかは実際に子供たちに視聴してもらった後、その感想を聞いたうえで決めるべきだと判断したため、あえてそのままにしてある

    とにかく、これで舞台版『ソラ』の準備は万全だ
    後は観客に関してだが、これは前回の舞台とは逆に島の学校や施設に在籍する男子児童たちをターゲットにして招待してある
    やはり合体ロボや正義のヒーローは男子皆の共通のロマンだからな、それを狙うのは至極当然のことだろう
    また今回は我々が招待した子供らのほかに、海軍からも計画の関係者枠として1人の青年を観覧客として招いている
    その青年は1年ほど前に北の海で保護されたが、その当時から何かにひどくおびえ元気がない状態が続いており、それを打破する手助けにならないかと頼まれたのだ
    これと言って断る理由もなく、また今回の舞台の制作には海軍の協力も多大にあったため、二つ返事で引き受けた
    一人くらい観客が増えたところで、作品の完成度に大きな違いが出るわけでもない
    ただその青年―たしかドレーク君、だったかな?―をはじめ観客たちに楽しんでもらえる作品になっているか、それが問題だ

  • 114122/11/08(火) 23:49:06

    本日分の投稿は1レス分のみになるます
    短くて申し訳ございません

  • 115二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 02:47:55

    おぉ、ドレークきた!
    ローにもソラの舞台見せてあげたいな…

  • 116二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 03:58:30

    ダイスすげぇw

  • 117二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 10:28:50

    wktk

  • 118二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 13:38:22

    保守!

  • 119122/11/09(水) 22:02:05

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 120二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 02:36:13

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 04:23:23

    待機

  • 122二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 10:00:19

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 13:49:57

    ほしゅ

  • 124二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 19:12:33

    保守

  • 125122/11/10(木) 22:47:09

    二日連続で申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載も休止させていただきます

  • 126二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 02:46:07

    保守

  • 127二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 05:26:08

    リアルの事情はどうか大事に

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 13:22:21

    ほしゅ

  • 129二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 18:49:24

  • 130122/11/11(金) 23:05:23

    演者、観客、道具類、そのすべてが完璧だ
    これでなんの憂慮もなく、安心して本番に臨むことが出来る
    そしてその初公演もついにあと2週間後に迫っている
    ここまでくれば何の問題もないだろうし、例え多少の問題があったとしても現場で十分に対応できるだろう
    私はそう思い、ここ数日は他の仕事にかかりきりになっていた
    …その油断がいけなかったのかもしれない
    急な天災や人知を超えた謎の存在等、この世に恐ろしいものは多々あれど、人の悪意もその一つであると、その事件の報告を受けて私はそれを久しぶりに思い出していた

    その日、私の執務室に飛び込んできたのは、珍しくタナカではなくバカラであった
    酷く慌てた彼女曰く、劇場で稽古中だったソラの出演者たちが、昼食中に突如喉を抑えながら苦しみだし、病院に担ぎ込まれたのだという
    報告を受けた私はすぐにタナカを呼びつけ、地元警察に連絡し事件現場の封鎖と捜査をするよう指示を出し、急いで皆が搬入されたという病院へと向かった
    病院ではすでに治療を終えた十数名程の者たちが他のスタッフや出演者、看護師などに介抱されていたが、その顔は皆一様に暗い
    介抱されている演者の一人に話を聞こうとしたが、頭を振るばかりで何も話そうとしない
    いや、正確には話すことが出来ない、というべきか
    どうやら声が出ないようだ
    治療してくれた医者の話では、おそらく何らかの刺激物を摂取し、喉、特に声帯周辺に重度の炎症が見られるとのこと
    ちなみに、それ以外の症状はこれと言って出ていない
    命に別状こそないが、10日ほどはまともにしゃべることもできず、3週間は声を張り上げることも難しい、とのこと
    これはつまり、少なくとも症状の出ている演者たちは2週間後に予定しているソラの初公演に出演が不可能になった、ということだ
    …まったく、なんてことだ…

  • 131122/11/11(金) 23:05:43

    当時の状況を症状の出ていない複数名のスタッフに聞き取りしたところ、どうやら昼食時に用意された特定のドリンクを飲んだものがこの症状を発症しているらしい
    本来、スタッフや出演者に出される食事は劇場に併設された専用の食堂で提供しているのだが、今日は定休日だったためいつも発注している地元の弁当屋に頼んでおり、当然件のドリンクも同じ店から提供されたものだ

    ハッキリ言おう
    現段階では確証こそないが、私はこの一件を何者かの悪意によるものだと考えている
    事故にしては症状が喉の炎症の実というのは気がかりだし、何よりタイミングが良すぎる
    だが、仮に店側が故意にやったことであるとすればあまりにもわかりやすすぎるし、それをする理由も思いあたらない
    おまけに未確認にではあるが、今日弁当を運んできたのはいつもの配達員とは別人だったという目撃情報もある
    もしそれが真実であったとすれば、一つの最悪の可能性が浮上してくるのだが…
    …まぁ、ここで一人で考えていても仕方がないだろう
    今はタナカに命じて呼ばせた警察の捜査の結果を待つしかない
    また、まだこれが何者かの班億であるという確証もなく、事故である可能性も残っている
    …しかし、これが本当に何者の悪意によるものだとしたら
    …その時は、相応の対処を考えなければならないだろう

  • 132二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 01:55:17

    やっぱり一番怖いのは人間だなぁ…

  • 133二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 04:40:58

    海賊みたいにわかりやすい悪人以外にも悪い奴はいるもので……こわいこわい

  • 134二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 10:34:30

    悪魔の実とか関係ない悪意
    こわいこわい

  • 135二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 21:08:53

    悪意はどうしようもないよね……誰もが持つものだし、対策が難しくなりそうで
    お金持ちさんはどうするんだろう

  • 136122/11/12(土) 23:13:51

    その後の調査の結果、やはり私の予想通りドリンクから薬物が検出された
    通常は医療用に使用される物で、一般では出回っていないらしい
    …少なくともこれで、事故で混入した可能性は限りなく低くなったか
    後はこんなことをやらかしてくれた下手人の捜索だが、正直こちらはだいぶ骨が折れそう、というよりまず見つけるのは無理だろう
    正確には、下手人の元締めにたどり着くのは無理、というべきか

    薬物の混入が発覚したのち、捜査の手はすぐさまドリンクを発注した弁当屋にまで及んだ
    しかし、結果は白
    店内や店員から薬物の痕跡そのものはおろかその痕跡すら発見されず、事情聴取でも怪しいところは見受けられなかった
    その後、劇場への弁当配達を任されていた従業員が意識不明の重体で発見されたことで店への疑いは完全に晴れ、同時に見慣れない配達員を目撃したというスタッフたちの証言から、何者かが配達中の従業員を襲撃、ドリンクに薬物を入れ上で配達員になりすまし持ち込んだものと結論付けられた
    犯人は未だ特定されていないが、目撃情報は多いし襲撃された本物の配達員の意識が戻るのも時間の問題だろう
    そうすれば実行犯の逮捕は容易だ
    しかし、おそらく直接襲撃してきたのはただの雇われ
    大方金で動かされたそこら辺のチンピラというところだろう
    今回の事件、私はおそらく、いや十中八九島の興行主仲間の誰かの指示によるものだと考えている
    まず、使用された薬は一般には入手しづらいとのことだが、逆に言えば相応のコネがあれば入手は容易という事でもある
    大海賊時代のこの世、海賊ギャングetc…、闇のルートにつながる道はいくらでもある

  • 137122/11/12(土) 23:14:11

    それにここ数年、私は色々と精力的に動いてきた
    電伝虫放送に新演目、グラン・セーニョと、その規模は年々大きく、また相応に利益も十分得ている
    金持ち喧嘩せずとはよく言ったもの、別業種の友人はそれを祝福してくれることも多いが、同業者にしてみれば面白くないことこの上ないだろう
    おまけに、私は一応ニューゲートや海軍とつながりこそ持っているが、それを一般に後ろ盾として公言はしていない
    後ろ盾がないなら、報復を受ける可能性もだいぶ減る
    その可能性も含め、これくらいの嫌がらせは注意しておくべきだった
    それを怠った私の不注意が、この事態を招いたのだ

    とにかく、今は犯人捜しも反省もやっている暇はない
    今はとにかく、2週間後に控えたソラの舞台をどうするかが問題だ
    一応代案自体はある、元は舞台の初期案の一つとして考えられていたものだが、流用すればこの危機を乗り越えられるかもしれない
    しかしそれには海軍側の協力もいる
    何とか2週間、いや準備期間も含めれば4日ほどで契約を取り付ける必要がある
    間に合うかどうかは正直賭けになる、早々に動かなければならない
    私は後始末をタナカに指示し、バカラを伴い交渉用の資料作りのため足早に屋敷への帰路に就いた

  • 138二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 02:30:50

    楽して儲けてる訳じゃないのに災難だな…
    無事に舞台が成功してほしい

  • 139二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 03:52:30

    伝手はやっぱ作っとくべきだな
    さて海軍はどう動くか

  • 140二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 12:25:12

    再発も怖いがどう対策したものか

  • 141122/11/13(日) 22:36:49

    私が考えていた代案、それは台詞とアクションの分業化だ
    正確に言えば、舞台上で実際にアクションをこなす俳優と、そのアクションに台詞を付ける俳優を分ける、という手法だ
    この案はもともと海軍の電伝虫放送で人気を博していたソラの朗読劇とのタイアップ企画として考えられていたものなのだが、アクションだけやらせて台詞は他の人間に、というのはいくら新しい試みとは言え実際に舞台に立つ演者たちのプライドが許さないだろうと考えられたため、一度はお蔵入りとなったのだ
    その案を、今回活かそうというわけだ
    幸いにも薬物による被害は声が出なくなるのみで、アクションには何も影響しない
    さすがにこうなってしまっては、演者たちもプライドどうこう言うことはないだろう
    何せ全出演者の半数ほどが被害にあい、その中には主役であるソラ役の俳優も含まれているのだ
    今から全員分の代役を立てるのはまず不可能
    かといってここまで用意してきたこの劇を、今更中止にすることもできない
    彼らには業腹かもしれないが、ここは納得してもらうしかない

    あとは機材面だが、こちらも問題はない
    もともと特撮映像用に会場には電伝虫をあらかじめ設置してあるので、それを利用すればいい
    一番の問題はスケジュールだ
    向こうも本職の劇俳優であり、このタイミングでオファーだと、スケジュールの埋まり具合によっては断られる可能性もある
    いやむしろその可能性の方が高いだろう
    その場合こちらで代役を立てねばならないのだが、それだと正直クオリティの保証ができない

    こればかりは天にスケジュールに空きがあることを祈るほかない
    私は意を決し、電伝虫放送を担当している海軍広報部へと連絡を取った

  • 142122/11/13(日) 22:37:23

    本日は1レス分のみになります、申し訳ありません

  • 143二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 05:17:45

    ほしゅ

  • 144二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 06:41:12

    できることはまだあるが
    さてうまく行くかどうか……

  • 145二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 17:11:39

    余所のところのスケジュールはマジで祈るしかないな

  • 146二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 22:39:29

    比較的早くに動き出したこともあって、なんとか必要人数分の出演オファーを取ることが出来た
    時間的に海軍のチャンネルの放送時間と被ってしまうが、そこは出演者側には報酬の上乗せを、海軍側には別途謝礼金を払い放送時間をずらすことで納得してもらった
    本来であれば、本番2週間前というタイミングでのオファーなど断られてしかるべきなのだが、そこは今回の依頼内容が逆に功を奏した
    私のいるこの島から、出演を依頼した俳優たちが拠点とする島までは、片道10日ほどかかる
    通常の劇では練習時間もなくまず出演は不可能だが、今回彼らは電伝虫放送と同じく声のみの出演であり、使用する電伝虫の番号さえ連絡すれば島にいながら舞台に出演できる
    ある意味ではこれも新しい舞台の形と言えるかもしれない
    特に今回招待した子供たちの中には放送を第1回目からすべて聴いているというかなりのファンもいるそうだ
    そういった子らには、慣れ親しんだ声で劇が進む方がより没入してくれるかもしれない
    結果は本番にならなければわからないが、これで成功すれば怪我の功名というものだろう

    これで問題はすべて解決したかというと、そうではない
    まぁ犯人の捜索だとか再犯の防止などやるべきことは多々あるが、今はとにかく劇に集中しよう
    その問題というのが、劇の尺だ
    さすがに今回の大幅な仕様変更に伴い、劇の流れや一部台詞の改修を余儀なくされた
    それ自体はいいのだが、セリフとアクションを別人がやる関係所併せやすいようにセリフの一部を短くしたり端折ったりした結果、当初の予定より大幅に上演時間が短くなってしまったのだ
    まぁ子供というのは飽きっぽいもの、下手に長くなるよりかは短く纏まってよかったとも言える
    しかし、この舞台のために長い時間をかけて準備してきたのだ、できることなら使える尺はフルに使いたい
    とはいえ、それを埋めるために新規シーンなど入れてしまっては本末転倒だ
    シーンや台詞の追加ではなく、もっと別の方法を考えなければならない

  • 147二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 22:39:55

    本日は1レス分のみになります
    二日連続で申し訳ありません

  • 148二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 05:20:20

    ここまでリカバリーできるのか…すごいなぁ

  • 149二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 12:33:40

    ご自愛ください、応援してます!

  • 150二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 18:57:05

    やっぱ頭の回転とメンタルの切り替えがすごいな

  • 15122/11/15(火) 22:33:33

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 152二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 03:36:17

    待機

  • 153二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 05:18:36

    ほしゅ

  • 154二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 13:06:44

    期待age

  • 155二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 19:28:36

    Keep

  • 15622/11/16(水) 22:50:09

    なんとか代役のオファーを取り付けることが出来た次の日、私は舞台稽古の視察に来ていた
    とは言ってもソラの稽古ではなく、テゾーロも出演する一般公演の舞台だ
    さすがにソラばかりに注力しているわけにもいかない規模は平時に比べ幾分か縮小しているが、通常の公演も行っている
    今日はそちらの視察というわけだ
    もちろん、問題の発生したソラの方も何もしていないわけではない
    今回の騒動を受け急遽考えられた、アクションとセリフを別々の俳優に演技させるという今回の案
    さすがにぶっつけ本番で初演にやらせるなどということはできないため、今は相手方に台本を送り、読み込みと役作りをしてもらっている
    とはいえ台本の内容は普段彼らが行っているソラの朗読会に使用されるものと大きくは変わらない
    一応舞台用に製作されたオリジナルエピソードだが出てくるキャラはほとんど原作と変わりなく、一部出演するオリジナルキャラも、演技慣れしていないダイス用に用意した敵役も含めてそこまで複雑なキャラクター性は持っていない
    台本を送ったときに軽く目を通してもらったが、セリフを覚える必要がないことも含めて2日も十分役作りもできるだろうとのこと
    そのため一応の猶予を含めて3日後に私が自ら完成度のチェックを行い、問題ないと判断できればその翌日に合同稽古を実施する予定だ
    そのため、今現在先の事件の被害者も含めたソラの出演者たちには自宅での養生を命じている
    合同稽古の前日になったらリハビリを兼ねた通し稽古を行う予定だ
    ダイスも被害にはあっていないが、今はボディーガードとして私に付き従っている
    しかし、視察中も私の頭の中にあったのは、ソラの残りの尺をどう埋めようかという事ばかりだった

  • 15722/11/16(水) 22:50:34

    だが、妙々たるアイデアとはどこかあら湧き出てくるかわからないもの
    その場面に出会ったのは、稽古も無事終わり、帰ろうとした時だった
    劇場の前で、テゾーロがファンの女性たちに囲まれていた
    奴は今では島でも1,2を争う人気俳優兼歌手だ
    奴の出演する劇やライブはチケットが即完
    日に何十何百というファンレターが届き、あのような追っかけが毎日のようについている
    それでもその人気を鼻にかけ、ファンの女性と熱い一夜、なんて事がないのはひとえにステラへの愛ゆえか…
    と、ファン一人一人に握手やサインをしていたテゾーロのもとに、いつから見ていたのか突如としてステラが現れ、不気味なほど穏やかな笑みを浮かべながらテゾーロの腕を掴み、周りの女性に一言あいさつしてから奴を日多合っていった
    ファンらは少々肩を落としていたが、しょうがないといった様子で解散していく
    まぁ群れるファンも嫉妬するステラもいつもの光景だ
    一種の名物と言ってもいい
    ああやって何時も連れていかれるのに何度もアタックするファンたちも、その度にテゾーロを連れ戻すステラも良くやるものだ

    その様子を笑いながら見ていた時、ふとあるアイデアが浮かんだ
    先ほどのテゾーロのように劇の出演者が観客に握手等のサービスするのは当然のこと
    舞台によっては上演後にそのまま握手会へと移行する場合もある
    今回も、その手法を取ればいいのではないか?
    通常であれば観客と演者の交流の場だが、正直子供、特に男の子の場合に劇の内容にはあってもその演者に興味は薄いだろう
    ならば、演者ではなく劇中のキャラのままでサービスを展開すればどうか?
    ソラのままでの握手会である
    そもそも絵巻物の舞台化というのも前例の少ない試みだ
    おまけに俳優とではなく架空のキャラクターとの握手会となれば聞いたこともない
    だが、これまでハプニング込みで色々とやってきたのだ
    ここまでくれば突き抜けてやろうじゃないか
    それに、まるっきり埋め合わせのための時間稼ぎというわけでもなく、企画を煮詰めれば、ともすればなかなかのものになるかもしれない
    急いで案を纏めなければ
    そう考え、私はダイスと共に小走り気味で帰路に就いた

  • 158二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 04:38:46

    テゾステはいいぞ(きぶり勢

  • 159二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 10:24:42

    リカバリーぱねぇ

  • 160二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 20:59:57

    保守

  • 16122/11/17(木) 22:46:28

    先日の事件から2週間
    早いもので、明日は舞台版『海の戦士 ソラ』の初公演当日だ
    だいぶギリギリになってしまったが、何とかもろもろの準備を間に合わせることが出来た

    まず肝心の舞台に関してだが、アクション側とセリフ側の連携は思いのほかうまくいった
    と言っても完成にこぎつけるまでにだいぶ苦労したが

    最初は良かった
    セリフ部分を依頼した先方の俳優たちも期日には完璧に役作りを終え、試しに劇の冒頭を通しでやってみたが、ほとんど違和感なく合わせることが出来た
    その時はこの手法、わりと簡単なのでは?などとも思っていた
    しかし、問題はアクションシーンに起こった
    セリフと動きが急に合わなくなったのだ
    どうにも冒頭は動きが少なかったから合わせやすかっただけで、アクションが入り場面の動きが活発になると途端に合わせづらくなるようだ
    この部分の調整はだいぶ苦労したが、練習を重ね、同時にタイマーとライトによる外部からのタイミング合わせをすることで、この問題点はなんとか解消することが出来た
    ちなみに特撮映像に関してだが、こちらはむしろ映像を何度も再生して練習できる関係上、むしろやりやすかったようだ
    無音の映像だけで味気なかったロボット戦のシーンだったが、セリフと別撮りし音貝に録音していた効果音を入れると途端に迫力満点の映像に仕上がった
    出来たものを実際に見てみたが、これはこれで目の前で行われる殺陣にも匹敵する迫力がある
    男の子であればさぞ興奮することだろう

    そして尺埋めのために考えられていたソラとの握手会に関してだが、案を煮詰めるにつれ握手だけでなく撮影会も同時に行ってはどうかと考え、すでに専門の写真家に依頼を出している
    問題は子供たちと触れ合うときに台詞をどうするかだが、ここは色々と理由を付けてしゃべれないということにして押し通す
    最初は子電伝虫を仕込んで喋ってもらうつもりだったが、どうしても間近では違和感が出てしまったため断念した
    この判断がどう転ぶかは分からないが、成功することを祈るしかない

    正直に言えば、件の事件のせいで大幅に予定が狂ってしまい、現状必ず成功するとは言い切れない
    だが、別の見方をすればあの事件のおかげでアクションとセリフの分業という新しい試みを試せる機会も作れたわけだ
    どのような結果になるにしろ、この舞台は歴史に名を刻むだろう
    わたしの胸中には、その確信があった

  • 16222/11/17(木) 22:47:16

    本日分の投稿は1レス分のみになるます
    短くて申し訳ございません

  • 163二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 05:35:02

    ほしゅ

  • 164二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 05:43:44

    人間万事塞翁が馬
    禍福は糾える縄の如し

    何がどう転ぶかはわからんものよな

  • 165二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 10:16:52

    頑張ってるなぁ

  • 166二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 18:55:07

    保守

  • 16722/11/18(金) 21:36:57

    申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます

  • 168二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 23:44:55

    ほしゅ

  • 169二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 08:15:26

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 10:09:38

    >>167

    ご自愛ください!保守!

  • 171二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 20:22:58

    keep

  • 17222/11/19(土) 23:10:53

    二日連続で申し訳ございません
    作者都合により、本日の掲載も休止させていただきます

  • 173二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 00:31:22

    ほしゅ

  • 174二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 05:19:34

    どうかリアル事情をお大事に

  • 175二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 14:37:45

    舞台が無事成功しますように!
    逆境にもめげずに頑張る人達は報われてほしい…

  • 176二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 17:51:19

  • 17722/11/20(日) 22:42:52

    紆余曲折ありつつも公演初日を迎えた舞台版『海の戦士 ソラ』
    その本番もすでにエンディングを迎え、今は握手会兼撮影会の真最中だ
    肝心の子供たちの反応だが、想定通りの好感触、いや想定以上の興奮度、というべきか
    絵巻物の中だけの存在だったヒーローが、悪役が、現実に存在し動いている
    原作のような派手な画こそないが、その事実は子供らを興奮させるには十分だったようだ
    …いや、少々過剰だったとも言えるか
    というのも、上演中に立ち上がったり大声で叫ぶ子供が続出したのだ
    通常であればそういった行為はマナー違反であり、場合によっては強制退場してもらう場合もあるぐらいだが、さすがに子ども相手にそれはどうなのかということで表立って対処することが出来なかった
    前回の『星空の唄』の時はこのようなことはなかったが、あれはおそらく女児を対象にしていたからだろう
    そのため、本来の子どものテンションの高さを見誤っていた
    おまけに興奮した子供同士で喧嘩しだすは熱気に中てられて泣き出すは
    正直エンディングまで話を持っていけたのも奇跡に近い
    子どもたちが飽きないようにと設けていた複数の途中休憩と引率の先生が他の尽力がなければどうなっていたことか

    そういえば、怪我の功名というべきか、今回の舞台の形式で助かった部分もあった
    知っての通り、本舞台は台詞とアクションを別の俳優が演じているが、そのセリフ部分が電伝虫越しなのもあって少々聞こえづらかったためこちら側の電伝虫を拡声タイプにしておいたところ、子供らの騒ぐ声にも負けることなく最後まで全う出来た
    正直これは客席側の状況を想定していなかったため、ある意味の僥倖と言える

    まぁそんなこんなでハプニングはあったものの、何とか舞台は終了した
    今現在、子供たちは皆笑顔でソラ(の衣装を着た俳優)と握手し、写真を撮っている
    これだけやれば当初の目的通り、子供らに舞台や演技の世界を印象付けることが出来ただろう
    結果が出るのは数年先になるが、まずは成功を喜ぶべきだ

  • 178二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 22:43:11

    このレスは削除されています

  • 17922/11/20(日) 22:44:40

    しかし今回の舞台、コンセプトやその成否はともかく、いろいろと新しいことにチャレンジしたとても有意義なものであった
    特撮映像、アクションとセリフの分業、俳優ではなくキャラの握手会…
    特に特撮映像は子供らは当然として付き添いの大人たちからの反応も良く、事前にリハーサルを観覧に来ていた関係者からも高評価をもらっていた
    今回はロボット戦の再現のために用いたが、この手法は今後様々な舞台への応用ができる
    それ専門に製作チームを作ることも考えてもいいかもしれない

    それに役の分担も、今考えればなかなかに面白い試みだ
    元はアクシデントによる代案だったこの分担劇だが、ともすれば新しい劇の形として体系化できるかもしれない
    最近は電伝虫放送による小説や舞台劇の台本の朗読が人気を集め始めている
    今は本職の劇俳優を使っているが、今後朗読会専門、つまり声だけで演技する俳優を育成するのもいいかもしれない
    声の実での演技であれば、ルックスや身体的障害で生身での出演が難しい人間も雇うことが出来る
    エンタメの世界への入り口がより広がるという物だ
    …うん、やはり面白い
    本格的に考えてみてもいいかもしれん

    握手会に関しては、まだまだと言ったところか
    客の反応からして悪くない催しではあるが、やはりキャラ物の舞台、ひいてはその原作の層の薄さが問題だ
    充実させるには、絵物語というジャンルをまず育てる必要がある
    しかし、私はそちら方面には疎いため概算を出すのも難しい
    とは言え、手を出しづらいからと諦めてお蔵入りさせるのももったいないと思うくらいには評判が良かった
    よって、この件はいったん保留
    絵物語という物を学びなおし、その成長性を考えてから取り掛かることにしよう

    とにかく、今回の本公演は無事終了し、新しく得られた知見もあった
    今回の企画は成功と言っていいだろう
    まずはそれを頑張ってくれたスタッフたちと共に喜びたいところだが、その前に一つやらなければならないことがある
    それは、子供らが暴れたことでひどい有様になっている劇場の掃除、だ
    …今回はスタッフたちにもだいぶ無理させた部分も多いため、これは私も手伝おう
    なに、これも労いの一種、彼らへの感謝を示す行動だ
    まずは、ごみ拾いからはじめようか

  • 180二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 00:31:34

    大成功で良かった!
    金持ちさん上司の鑑すぎる…これは一生ついていきたくなりますわ

  • 181二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 07:45:25

  • 182二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 09:40:05

    そろそろ次スレかな?保守

  • 183二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 11:59:53

    引率の先生も頑張ってくれてるのいいな

  • 184二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 13:15:58

    皆の苦労と頑張りが報われて良かった!

  • 18522/11/21(月) 23:01:59

    作者都合により、本日の掲載は休止させていただきます
    ここ数日筆者のリアルの都合により連日投稿が滞ってしまい、申し訳ございません

  • 186二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 07:28:06

    どうかお大事に

  • 187二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 12:50:28

    リアル大事に!
    保守

  • 18822/11/22(火) 22:28:05

    さて、問題も多く想定より時間もかかってしまったが、舞台版ソラの初演は何とか成功を収めることが出来た
    海軍経由で招待した青年、ドレーク君もだいぶ楽しんでくれたようで、終演後我々が帰るまで待っていた上で態々劇の感想をいいにきてくれたのには驚いたものだ
    その時の彼はだいぶ興奮しており、島に来た際のどこかおびえているような影のある雰囲気は微塵も見られない
    一通り感想を言い終わると自身が興奮していたことにやっと気づいたらしく、急に恥ずかしそうにしたかと思うと、改めて招待したことに礼を言って去っていった
    …律儀な性格だが、その感謝の念はありがたく受け取っておこう
    周りのスタッフも満足そうだ
    それに、彼の高評価な感想はそのままこの舞台の完成度の高さを意味しており、今後の継続的な公演を行うためのいいデータにもなる
    それにこの業界、ああいった客の感謝や満足感という物は、スタッフたちのモチベーション維持などにも重要な要素だし、そのまま売り上げにも直結する
    やはり客のことを考えて作るのが、長く愛され最大の利益をもたらすことにつながるのだ
    …それに、クオリティの高さは別の仕事につなげる要因にもなる

    実はこの舞台のリハーサルを視察に来ていた海軍の上層部から、この演目を他の海の劇場でもやれないかという打診があったのだ
    『海の戦士 ソラ』は世界中で人気の作品であり、おまけに海軍のプロパガンダ作品でもある
    舞台の完成度の高さを見た上層部は、これを世界中の海で公演し今以上にソラと海軍の人気をさらに高めようと考えているらしい
    正直その評価はありがたいが、出演者の中にはすでに次に出る作品が決まっている者もいるし、大道具や衣装・メイク係は替えが効かない
    そこで代案として、記録用にとリハーサル時に撮影していた映像電伝虫を提出することで海軍には納得してもらった
    記録用といっても、以前『星空の唄』の時にも行ったライブ放送システムの検証用として撮影していたもので、視点の切り替えをしつつ本番ではスクリーンに映していた特撮映像を挿入しているため、ともすれば舞台よりも臨場感があるかもしれない

  • 18922/11/22(火) 22:28:52

    おまけに一応の保険として三匹用意しているが、言っても映像電伝虫なのでもち運びにも優れている上に、壁などのスクリーンさえあればどこでも鑑賞することが出来る
    …自分で言っていて思ったが、これはともすれば新しいビジネスチャンスになるかもしれない
    以前グラン・セーニョ建造の時も言ったが、この海に島は無数に存在すれど、劇場を始めとした娯楽施設がない島も多い
    本来グラン・セーニョもそういった島々の間を渡り、期間限定の即席ステージ・劇場として運営するために建造されたのだ
    そして今現在もその役割を果たしているが、正直に言えば出演者やスタッフのほか、彼らの食料等必要物資を積んで移動するのはかなりコストも嵩み、航海のたびに災害や海賊など危険も孕んでいる
    今は黒字を出しているが、正直一度でも事故や襲撃に合えば受けるダメージはそこが知れない
    当然対策はしているが、この世に絶対はないからな
    だがこの手法であれば、最低限のスタッフと映像電伝虫が居れば十分であり、万一の事態が起きても被害を最小限にとどめることが出来る
    もちろん被害などでないに越したことはないが、リスクヘッジは重要だ
    それにこの方法なら、電伝虫の数だけ作品を用意することが出来、停泊中複数の演目を流すことが出来る
    …うん、やはりこのアイデア、わりと使えるかもしれん

    しかも海軍は提出した電伝虫を検閲後、さっそく他の海で上映会を開く―最初は特にソラの人気の高い北の海らしい―そうで、提出元としてその時の詳細なレポートの提出を求めれば、こちらが労力を割くこともなくデータを収集することが出来る
    まさに勿怪の幸い、最初はこちらのマイナスが多く断ろうかとも考えていた依頼だったが、思いがけずこんな新ビジネスのアイデアが舞い込んでくるとは
    まぁまだ構想の段階、先の特撮映像や役の分担などと同じく本格的に取り組んでいくかはまだ未定だ
    だが今回の舞台で、やはり新しいことにはどんどん挑戦すべきということを改めて思わされた
    どんな形であれ新しいことに取り組めば、こうやって連鎖的にアイデアが出てくるのだからな

  • 190二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 02:46:37

    ドレークが楽しんでくれて良かった!
    これでだいぶメンタル回復できたかな…?

  • 191二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 09:57:31

    やっぱ世界に娯楽は大事だな

  • 192二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 16:33:47

    人間、霞食っては生きていけないのよ

  • 193二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 22:43:54

    保守

  • 19422/11/23(水) 22:44:58

    さて、ようやく一連の仕事が片付き、久しぶりに肩の荷を下ろすことが出来た
    まぁ仕事がすべてなくなったわけではないが、一つの区切りがついたのは間違いない
    劇団やグラン・セーニョの興行も、電伝虫放送も実に順調だ
    大きな問題もなく、着実に結果を出している
    ウタも最近は前よりもさらに明るくなってきており、リーテとステラ経由で仲良くなったようでテゾーロと共にデュエットしている姿も見かける
    もちろん観客はあの3人だ
    うん、実に平和だ

    そういえば昨日、久しぶりにトムから連絡がきた
    予定していた美食の町『プッチ』までの線路工事が完了し、残すは太陽の落ちることなき司法の島『エニエス・ロビー』までの路線を残すのみとなったという報告だ
    この路線さえ完成すれば、あの裁判の際に約束した海列車の完全開通にようやく成る
    そうすれば、海賊王の船を造ったというトムの罪も減刑、いや、ともすれば免除にまで持っていけるかもしれない
    それほど、奴の作った海列車のもたらす経済効果は大きいものだ
    ともすればそうなるとは言ったが、トムの裁判を担当している司法船の裁判長は高潔で温和な人物として有名であり、それもあって免罪される可能性はかなり高いと個人的には踏んでいる
    …無事裁判が終わった暁には、奴の好きな酒をもってまた会いに行くとしよう
    あぁ、楽しみだ

  • 19522/11/23(水) 22:48:45

    報告と言えばもう一つ
    先日のことだが、マリージョア襲撃事件の主犯であるフィッシャー・タイガーの死亡が確認されたそうだ
    正確に言うとその死体が確認されたわけではないが、精度の高い情報だ
    なんでもある島で海軍の襲撃に合い、辛くも逃走に成功したがタイガーは深手を負い、治療の甲斐なく死亡したそうだ
    これらの情報はタイガーの部下だった魚人から聞き出したもので、その男―アーロンというノコギリザメの魚人の男の話を纏めると、深手を負ったタイガーは輸血さえすれば助かったが、船には奴と同じ血液の者がおらず、人間からも献血を断られたが故に死亡したらしい
    …一部では奴隷解放の英雄と謳われて、海賊としても襲い掛かる海軍や同業者を返り討つ以外は全く被害を出したことのない高潔な男の最後としては、なんともやるせないことだ
    世間的には凶暴な巨悪が打ち砕かれたという話で終わるかもしれないが、私としてはこれで魚人との種族的間柄に今以上の亀裂が入らないか、それだけが気がかりだ
    彼らとの交易は大きな益を生む
    それは人魚の売買なんていう短絡的なものではない
    彼らの持つ文化や海中を自由に動けるその種族的特徴は、様々なところでの活躍を期待できる
    それを考えると、個人的にはこれで関係がさらに悪化するようなことは勘弁してもらいたいところだ

  • 196二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 01:53:50

    トムさん…
    タイガーさんの件もやるせないよなぁ…

  • 197二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 04:31:24

    この頃のアーロンは同情する

  • 198二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 15:56:10

    悲しいなぁ

  • 19922/11/24(木) 21:49:53
  • 200二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 21:53:17

オススメ

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