【現パロCP注】実習生ウタと小学生ルフィ【短めSS】

  • 1122/10/27(木) 16:48:43

    紅葉の見える小学校の音楽室。
    教育実習生の私は、この学校の音楽教師のパンチ先生と次の授業の生徒達を待ち構えていた。

    「緊張してるか」

    「少しだけ…」

    「なァに大丈夫さ、あんたみたいな若いキレイな先生の方が生徒には人気だろうよ」

    「それほどでも…あるかも?」

    「おう、結構余裕あるな?」

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:49:22

    🐲年齢差か…それもいい

  • 3122/10/27(木) 16:50:25

    「あァ〜、おはよう。今日から二学期の音楽の授業だ!だがしばらく授業をするのはおれじゃねェ、誰か分かるか?」

    そう言うと生徒達の目が一斉にこっちを見る。なんか猫みたい。

    「そう、この若い女の先生だ!よかったなお前ら、こんなイカツイおっさんよりこっちの方がいいだろ?」

    うなずく生徒もいる。素直だなあ

    「というわけで、バトンタッチだ!
    それじゃお願いするぜ、"ウタ先生"」

    パンチ先生が脇に下がる。
    黒板の前のステージは私のために空けられた。
    正直まだ緊張してるけど、腹をくくるしかない。

  • 4122/10/27(木) 16:52:54

    「こんにちは!私は教育実習生のウタです!3ヶ月くらいの短い間だけど、一緒に音楽を勉強していこうね!」

    はーい!と口を揃えて元気のいい返事をする生徒達。眩しいな、私が小学生の頃はどんなだったっけ。

    「まだ人に教えたことないから下手かもしれないけど、分からないこととか質問があったら何でも聞いてね!」

    < カレシいますかー!

    「いませーん!じゃあまず自己紹介ついでに一曲歌おうかな!後でみんなも一緒に歌おうね!」

  • 5122/10/27(木) 16:58:08

    歌い終わると、小さな観客達が拍手をくれる。その中で、一人だけ動かずこちらを見つめてぽかんとしている子がいた。
    大きな目でまっすぐ私を見ている、跳ねた黒い髪の男の子。その瞳は見つめているとうっかり吸い込まれてしまいそうで。
    周りはみんな拍手や笑顔で溢れていたのに、その男の子だけは時間が止まっているように見えた。

    「はーいみんなありがとう!ね、私は歌が大好きなの。たまにみんなと一緒に歌いたいな!じゃあ自己紹介はここまで、授業を始めていきます!」

    ────
    ───
    ──

    「お疲れさん、初めてにしちゃなかなかだったんじゃないか?授業っていうかなんかラジオの配信みたいだったけどよ」

    「ぐ…実は前にちょっとだけやってた時期が…」

    「やっぱりか!でもまァ教えられりゃいいだろ。堅い先生や授業ばっかりだと生徒達も学校がつまらなくなっちまうし、あんたみたいなのは必要だ」

    「そう言ってくださるとありがたいです…」

    「生徒達の前じゃあんなんなのに大人の前だと縮こまっちまうんだなァ……ま、これからもよろしく頼むぜ、ウタ先生」

    「はい!」

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:01:15

    わくてか

  • 7122/10/27(木) 17:05:02

    パンチ先生は先に教室を出て職員室に向かう。私も道具を持って出ようとした。

    「……うん?」

    教室の中に生徒が残っている。
    さっきの黒髪の子がまだ床に座っていた。
    私の存在に気づかなかったのか、近づいてこちらの姿を確認するとびっくりした様子を見せる。私はしゃがんで目線を合わせて話しかけた。

    「どうしたの、授業終わったよ?……あ、君みんな拍手してる時にも一人だけぽかーんとしてたね。今もそうだけど。私の歌、よくなかった?」

    「い、いや。すげーよかった」

    「ありがと!じゃあみんなと一緒に拍手しないと。歌った人はそれが一番嬉しいんだから」

    窓の外に揺れる紅葉のように、その男の子は顔を赤くして背けてしまう。もしかして。

    「ふふふ、もしかして先生に惚れちゃったのかなー?」

    「…………」

    「え?」

  • 8二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:06:34

    21歳ウタと7歳ルフィか……それもいい……🐉

  • 9122/10/27(木) 17:08:39

    まさか本当に惚れているというのか。
    ……なんかちょっと恥ずかしくなってきたかも。でもまあ、小学生だし。甘酸っぱい青春?とか、若気の至り?とか、そんな気持ちや経験も必要だよね。

    なんて一人で勝手に納得していると、その男の子はぐっと拳を握りしめ、私にまっすぐ向き合った。




    「おれ、大人になったらせんせーとケッコンする!」


    まさかの告白。されたことはないこともないけど、流石に小学生からは初めてだ。最近の小学生は飛び越えるのが早いのかな。

    まだ幼いけど……私を強くまっすぐ見つめるその瞳に、大樹のように太くしっかりした、この子の将来の姿を感じた。

  • 10122/10/27(木) 17:11:58

    「あっはっは、先生いきなり告白されちゃった!……君、名前は?」

    「モンキー・D・ルフィ! 1年生!」

    「1年生のルフィ。よし、あんたが結婚できる年になった時に恋人がいなくて、私にも相手がいなかったら結婚してあげる!」

    「ホントか!?やくそくだぞ!」

    その男の子、ルフィの初めて見た笑顔だった。

    「はいはい、ほら次の授業始まっちゃうから早く行きなよ。私も忙しいから」

    「またな、せんせー!」

    「廊下は走っちゃだめだぞー」

    手提げ袋を持って、彼は勢いよく教室を飛び出して行った。

  • 11二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:12:43

    うーん


    好き

  • 12二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:14:38

    ウタ19歳なのかな?

  • 13122/10/27(木) 17:16:38

    ─────
    ある日の放課後。

    「ひゃ」

    一人でピアノを弾いていると、脚に冷たい感覚が走った。下を見ると、ルフィがしゃがみこんで何かやっていた。

    「……何してるのルフィ」

    「せんせーにツバつけた」

    「なんで?」

    「"まーきんぐ"って言うんだってさ」

    「どこでそんなの覚えたの!」

    「好きなやつにはツバつけとけって本に書いてあった」

    「そういう意味じゃないと思うけどなあ」

    「えー違うのか。じゃあごめん」

    「いいけど、他の人にやったらダメだよ?ばっちぃ!って嫌われちゃうからね」

    「はーい」

  • 14122/10/27(木) 17:18:04

    それはそれとしてその本、上に見せようかな。ありえないでしょ、小学生の教育上。

    ツバはルフィが律儀に拭いてくれた。袖で。




    その日から、ルフィは放課後よく音楽室に来るようになった。私がいない日も来てるらしいけど。

  • 15122/10/27(木) 17:21:58

    ─────
    ある日の放課後、夜に差し掛かろうという夕暮れ時。
    また告白された。だけど今度は体育の先生から、校舎裏の駐車場で。

    「一目惚れしました。結婚を前提にお付き合いしてください」

    直球だけど、誰でも言えるテンプレートみたいな言葉。
    でも私は実習とこの先数年は音楽に集中したいし、結婚する気はさらさらない。だから申し訳ないけど、お断りさせてもらう。

    万が一、ここで断って無理矢理……なんてこともあるかもしれない。人気の少ない駐車場がそう思わせるのかもしれないけど。
    それでも今は断っておかないと。
    ……そうだ、断りの文句はこれにしよう。

    「ごめんなさい、私将来を誓った人がいますから」

    事実だし。

    「そう……ですか。やはりいますよね、あなたほどの人ならば。……きっぱり言ってくれてありがとうございます。今日のことはどうか忘れてください」

    そう言って、先生はうなだれて踵を返した。

    ……ちょっとキッパリすぎたかな。告白は嬉しかったけど、ごめんなさい。でもいい人でよかった、私の頭がちょっとピンク色だったかも。こんな私よりいい人はいっぱいいるから、相手を見つけて幸せになってほしいね。
    明日から関係悪くならないといいな。

    後ろ姿が見えなくなるのを確認してから、私は帰路についた。

  • 16122/10/27(木) 17:25:38

    >>12

    ウタ19歳、ルフィ7歳ですね。

  • 17122/10/27(木) 17:26:35

    ─────
    小学校の秋といえば運動会。
    この学校でも毎年開かられていて、生徒の親御さん達も見に来て応援することもできる。
    そんな運動会の日に、私は家にいた。授業ないし。なんてだらけていると、パンチ先生から電話がかかってきた。

    『おーいウタ先生、運動会来てねェらしいじゃねェか!せっかくなんだから見に来いよ、あんた生徒達から人気なんだしさ』

    「えっ、実習生でも行っていいんですか?」

    『実習生じゃなくたって一般人でも入れるんだぜ?あんたも仮にも先生なんだから、生徒の勇姿は目に焼き付けておかなきゃいけねェだろう。それも先生の仕事だぜ』

    「先生の仕事か……分かりました、すぐ行きます」

    『あ、仕事っつってもお祭り気分でな?実習生は競技には出られねェからさ』

    「了解です」

  • 18二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:29:18

    原作で言うところのルフィとハンコックの年齢差なのか
    しかも丁度同じ

  • 19122/10/27(木) 17:29:20

    急いで支度をする。
    今日はスーツじゃなくていいかな?動きやすそうなジャージにしよう。髪はポニーテールで。
    もうすぐお昼だけど、お弁当なんて作る時間ないし、途中で買うか。



    学校についた頃には前半の競技が終了して、皆それぞれ家族や友達で集まって昼食をとっていた。
    学校の壁に掲げられた大きな数字は、紅組白組の総得点を表していて、白組が紅組を追いかける展開のようだ。

    観戦するのにいい感じの日陰を探していると、樹の下に座りもくもくとおにぎりを頬張るルフィの姿が見えた。親御さん、来てないのかな?

    「はーいルフィ!どう、疲れてない?」

  • 20122/10/27(木) 17:32:09

    「あれ、せんせーいたのか」

    「実習生だけど一応先生だからね、見に来いって言われちゃった。競技には出ないけどね!親御さんはいないの?」

    「父ちゃんもじいちゃんも仕事でいそがしいから今年は来れないってさ」

    「ふーん、大変なんだね。じゃあお隣失礼しちゃおうかなっ」

    樹の下、ルフィの隣に座って買ってきた弁当を開ける。
    ルフィは…帽子見ると白組かな。リバーシブルでひっくり返して使えるみたい。

  • 21122/10/27(木) 17:35:48

    「せんせーは運動会好きだったのか?」

    「うーん、普通かな?体動かすの苦手ってほどでもないし、体力もそこそこあったし。昔は一番じゃなきゃ嫌だったけどね!それより……今白組負けてるぞー?このまま負けてもいいのかなー?」

    「うるせェ、ここから逆転するんだ!せんせーはどっち応援してんだ?かみの毛赤と白どっちもあるけど」

    「髪で紅白を決めないの、ルフィは黒組じゃないでしょ?……そうだねえ、諦めずにより頑張ってる方を応援しようかな!」

    「そっか……ならおれいっぱい頑張る!リレー出るから、せんせーはここから見てろよな!」

    「おー、その意気やよし!行ってこい!」

    時間になると、生徒達は決められた位置に戻っていく。午後の競技は少ないが、リレーや組体操など大きな項目でプログラムされていた。

  • 22122/10/27(木) 17:42:30

    <<さあラストランナーにバトンが渡った!!紅組2人が前を走る状況、白組巻き返せるか!!

    僅差で紅組がリードしている中行われた最後の競技、リレー。なおも紅組が先行し、白組は窮地に立たされている。

    1年生にしてラストを任されたルフィはそのバトンを最後に受け取り、前を走る3人を猛追していた。

    <<白組のラストランナーの一人はなんと1年生!なぜ6年生を最後に持ってこなかったのか白組、はたまたそれを覆すだけの力がその選手にはあるのか!!ご覧あれ、前の選手に負けじと差を縮めているぞ!!頑張れ1年生〜~~!!

    <ギャッツー!ちゃんと実況しろー!

    前の一人を追い抜くも同じ白組。総合で勝つには前の紅組二人を抜かなければならない。

  • 23122/10/27(木) 17:46:26

    しかしいくらポテンシャルを見込まれたとはいえ体力の差か、二位を走る生徒に追いつきかけるも、そこから徐々に差が開いてしまう。

    そんなもんじゃないでしょルフィ、いっぱい頑張るって言ったじゃない!

    私は木陰から立ち上がり、小さな走者へ精一杯の声援を送る。


    「ほーら頑張れルフィー!!!!」


    私の声が届いたか、ルフィは再び前を向きギアを上げて走り出す。


    やがて歓声が渦巻く中ゴールテープが切られ、決着の発砲音が響き渡った。

  • 24122/10/27(木) 17:49:23

    ───

    「元気だしてよ。2着だったけど、最後どんどん追い抜いていったところ、かっこよかったぞ」

    「でも……チームが一番じゃないとメダルもらえなくて……せんせーにあげたかったのに……」

    結局ルフィは先頭を追い抜くには至らず、二位どまりだった。総合点でも紅組に軍配が上がり、表彰を経て運動会は終了となった。

    閑散としたグラウンドの隅、一緒にお昼を食べた場所に私達はいた。

    「メダルなんかなくたって、あんたの頑張りはちゃんと私の目に映ってたよ。それにね、ルフィ。もしルフィが頑張らないでメダルを取ったとしてね?そんなメダルなんかより、一番になれなくても私のために頑張ってくれたってことの方が何倍も価値があるんだよ。その頑張りの方が、先生は嬉しいな」

    「ううっ…うわああァァん!!!」

    「ほーら泣かないの、男の子でしょ。……んーそうだね、じゃあご褒美あげる!」

    私は膝をつきルフィを思いっきり抱きしめて、頭をぽんぽん叩いてあやしてやった。
    頑張って咲いた花には水をあげなきゃね。

    数分して泣き止んだ頃、離してやると少し寂しそうな顔をしていた。だけど、ずっとこうしているわけにもいかない。我慢してもらわなくちゃ。

    「さ、早く帰りなよ。もう暗くなっちゃうからね、温かいお風呂に浸かってご飯食べて、ぐっすり寝てまた元気で学校に来ること!分かった?」

    「…うんっ!」

    「よし、いい子だ」

    門までルフィを送り、手を振って分かれた。
    ……運動会、来てよかったな。

  • 25122/10/27(木) 17:55:31

    ─────

    私が授業を始めて3ヶ月が経つ。
    すなわち、このステージともお別れだ。

    「突然ですが、今日で私の授業は終わりです!私がこの学校に来るのも今日が最後!」

    <えーっ
    「……!」


    「私まだ実習生だからね。いつかちゃんとした先生になったら、また来るかもしれないからさ!担任できるか分からないけど、その時はまたみんなで楽しく授業しようね!」

    <はーい
    「……」

  • 26122/10/27(木) 17:58:22

    その日の放課後、私は夕陽射し込む音楽室の窓からグラウンドの方を眺めていた。
    たった3ヶ月だけど、なかなか濃い実習生活だった。というかこの間に2回も告白されてるのか私。やるな。

    実習生生活が始まった場所で、この学校であったことをいろいろ思い出す。
    でもこれは時間からの逃げで、もうここから離れて行かなきゃいけないのに足が動かなかった。



    後ろからドアの開く音がした。
    いつもより元気のない足音がゆっくり近づいてくる。
    誰が来たかなんて、見なくても分かる。


    「どうしたのルフィ、いい子はみんな帰る時間だよ」

  • 27122/10/27(木) 17:59:47

    「今日最後なんだろ、先生」

    「そうだね」


    窓の外を見ながら答える。
    来てくれた生徒の方を見て話さない。
    私はつくづく誠意のない先生だ。


    近づく足音が止まると、左手に感触があった。

    「これ、先生にやる」

  • 28122/10/27(木) 18:02:45

    そう言って左手の指につけられたのは、紙を細く丸めて作ったリングだった。テープで無理矢理留めた部分が少しちくちくする。

    「素敵な指輪だね、ありがとう! 私の初めての指輪だよ」

    お礼を言うためにようやく向き合えた私は、床に置いたバッグの中からある物を取り出した。


    「じゃあ私からも……いつも持ってるお気に入りの帽子をあげる。いつか立派な男になって、この帽子を返しに来てね……本物の指輪も待ってるぞ♪……なんてね!」


    それは私がお守り代わりに持ち歩いていた、鍔の小さな麦わら帽子。大学ならともかく、流石にスーツを着るようになってからはかぶることが少なくなってしまったそれを、小さな婚約者さんの頭にかぶせてやる。

    これからはその帽子が、私の代わりに近くにいるから。


    黙りこくる帽子の下の表情は見えない。
    膝をついて、最後に抱きしめてあげた。


    「……じゃあ、もう行かなくちゃだから。またね、どうか元気で」

  • 29122/10/27(木) 18:16:51

    ───────



    「なんてこと、あったなあ」

    あれから私は無事教員免許を取得して、学校で音楽を教えている。昔実習していた学校だけじゃないけどね。
    学校を転々としながら空いた時間で作曲したり配信したりして、悠々自適な音楽家ライフを楽しんでいる。


    そうして12年が過ぎた。
    その間、言い寄ってくる先生もいたし、街ですれ違った大学の元同級生から誘われたこともあった。
    だけどその度、私は「誓い」を盾にそれらの手を断ってきた。

    今日は通っていた大学で仲の良かった子と、その子が経営しているカフェで夜を過ごしている。

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:19:05

    わいのとこは数学の教育実習生だった人とわいの同級生が結婚したから大丈夫だよ

  • 31122/10/27(木) 18:19:49

    「どうしたの?手を見てぽけーっとしちゃって。さっきから見つめてるその高そうな指輪?」

    「ああ、ごめんねマキノ。……この指輪ね、私の2番目の指輪なの」

    「えっ、ウタちゃん実はバツイチだった?それとも浮気?」

    「ふふっ……内緒!」


    反対側に座った私の友達、マキノはメールの画面が開きっぱなしになっている私のスマホを手に取る。


    「ふーん、言わないんだ。それなら旦那さんに言っちゃおうかしら?白状しないと、ここと向こうが繋がっちゃうわよ?」

    「ちょっとやめてよね」


    なんて、言っても問題ないけどね。
    だって──

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:20:51

    どきっとした

  • 33122/10/27(木) 18:21:46

    「あら、電話するまでもなかったわね」





    「よっ。迎えにきたぞ、ウタ」






    ──この指輪と最初の指輪をくれたのは、同じ人なんだから……♪

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:23:13

    エンダァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァ!!!!!!!!

  • 35122/10/27(木) 18:23:34

    おわりです。
    現パロ年齢差ルウタル増えろの巻ね!

  • 36二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:32:17

    うおおお!!!
    うめぇ……!うめぇ!
    ありがてぇ!!神ssだ!!

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:43:56

    見事なSSだとお前は語り継がれる…

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:45:51

    お前の様な神SS作家との出会いを待っていた…!!

  • 39二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:50:13

    >>35

    素晴らしいssをありがとう…!

  • 40二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:51:18

    後日談!5億で買うえ〜!

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 18:58:29

    おい~~!!
    再会と結婚するまでの話を書かんのか~~♡♡

  • 42二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 19:25:13

    純愛いいゾ〜

  • 43二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:01:19

    やっぱりお姉さんやってるウタあまりにも良すぎる…すき…

  • 44二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:03:05

    小1の告白を真面目に受け止めてちゃんと待ってあげるのすげえな…

  • 45二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 05:47:58

    waiting

  • 46二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 14:43:17

    writing

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 01:39:24

    meet

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 01:52:45

    スレ主が完結と言ってる以上あまり期待保守しても重荷になってしまうのでは

  • 49二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 02:36:19

    年齢差ゆえの距離感が最高すぎる…!!
    語り継がれる…

  • 50二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 02:54:46

    また好きなssが増えました。ありがとう。

  • 51122/10/29(土) 03:52:08

    >>48

    蛇足になるかもですが再会するまでを書いているのでしばし

  • 52二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 06:13:16

    >>51

    ホホホ

    ぶち保守しますよ

  • 53二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 06:13:47

    再会編くるのか!やったー!

  • 54122/10/29(土) 07:42:19

    最後まで書き溜めたので昼頃に少し投下します。
    想像より長くなってしまったぞ

  • 55122/10/29(土) 12:18:48

    高校を卒業して、法律上結婚できる年齢になった。

    大学にすぐ入る必要はない。
    それよりも先に果たしたい約束があった。

    今日、思いの丈を伝えよう。そう携帯電話を手に取る。



    しかし忘れていた。
    それはルフィだけでなく、互いに。
    やがて、その忘却が大きな壁となった。




    [電話番号や住所を教える]
    想いの相手がいれば誰でも交わす、そんな普通のことを完全に忘れていたのだ。

  • 561-再会編22/10/29(土) 12:22:14

    とりあえず、電話に登録している友達に先生を知らないか聞いてみる。

    ……とはいえ、この携帯は中学生になってから買ってもらったもの。先生を知っているであろう小学1年生の知り合いは、その箱の中にはいなかった。

    先生を覚えている同級生がいたとしても、先生と一番仲が良かったのは自分だという自信がある。いや、もしかしたら女子はキャッキャと電話番号教えてもらっているかもしれないが。


    しかしそんな想像も意味がなかった。昔の連絡網など、もう残っていないのだから。

    どの道、知人に連絡先を尋ねるのは不可能に等しかった。

  • 57二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 12:23:02

    うおおおおおおおおお!!!!来てた!!
    🍲🔫🐲!!

  • 581-再会編22/10/29(土) 12:25:43

    ───

    自分にとってお守りにしている、麦わら帽子を提げて街に出る。

    この帽子を被っている人は、今の時代、ましてやこの季節ではそうそういない。
    だから、もしかしたら向こうの目について見つけてくれるかもしれない。

    夕陽の見える高台、落ち着いた雰囲気のカフェ、公園の大きな樹の下。
    先生が行きそうな場所に何ヶ月と廻ってみた。

    それでも先生の姿は見えず、しまいにはぼんやり先生の姿が何の関係もない一般人に重ねて見えてしまうこともあった。

    当然といえば当然である。星の数ほどいる人の海で、たった一人見つける確率など、それこそ連絡先を知るよりも難しいのだから。

    互いにしか分からない記号をつけて外に出るのは、可能性を広げるものとしてはいいかもしれないが、やはり別の方法を考える必要があった。

  • 591-再会編22/10/29(土) 12:29:03

    冬の曇りの日。
    十年前に通っていた、母校たる小学校に来た。


    幼い頃遊んでいた木の遊具はカラフルな鉄の遊具に置き換わり、半分埋まっていたタイヤは撤去されている。
    新しい建物が増えて中庭は狭くなり、その窮屈な風景に息苦しさすら覚える。
    あの日先生と昼飯を食べた木があった場所も、然り。


    そんな景色を見ると、嫌でも時間というものを感じさせられる。


    昔あったものがなくなると、それにまつわる大切な記憶までもが風化してしまいそうで。


    それが嫌で嫌で、頭に霧がかかるのを振り払うように、ざくざくと職員室の方へ歩き出した。

  • 601-再会編22/10/29(土) 12:31:42

    「え、昔勤めていた教員の情報?ですか?
    うーん、そういう個人情報は職場やめたら消されちゃうんですよ。
    これはどこ行ってもでも同じです。……ウタって名前に聞き覚え、はないですね。ごめんなさい、力になれそうにないです」

  • 611-再会編22/10/29(土) 12:39:12

    ───

    家の中で、大の字になる。

    はっきり言うと、参った。手詰まりだ。

    誰も連絡先を知らず、連絡先を教えたであろう所もそれを抹消している。
    街で悪い意味で目立つことも避けたかった。

    ……しかし、それで諦めるほど十年という時間はヤワじゃない。

    たとえしらみ潰しに何十年かかっても、その間に相手ができていたとしても。
    絶対に伝えに行かなければならないのだ。

  • 621-再会編22/10/29(土) 12:42:24

    ────

    その日はコンビニエンスストアを訪れていた。



    もしかしたら有名な音楽家になっていて、コンサートやライブの開催みたいなニュースもあるかもしれない。そんな一縷の望みを欲しくて、店先の新聞を手に取る。

    そして目に飛び込んだ記事は。

  • 631-再会編22/10/29(土) 12:43:15

    ──────────

    【警察の英雄
    モンキー・D・ガープ
    ──起訴される】

    ──────────

  • 64二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 12:44:34

    何やってんだお前ええええ!!

  • 651-再会編22/10/29(土) 12:46:10

    大好きな家族が、やらかして裁判沙汰に。
    そりゃあ──



    「……なにやってんだじいちゃん!!!!」



    誰だって叫ぶだろう。

  • 661-再会編22/10/29(土) 12:48:50

    はっとして周りを見る。
    視線が痛くて逃げてきた。
    おれ何も悪くねェのに。


    「このままじゃ、何も進まなさそうだなァ」


    気分転換……になるかは分からないが、行ってみようか。
    とりあえずコンビニに戻って、さっきの新聞を買おう。



    「ごめん先生。おれちょっと寄り道していくよ」

  • 671-再会編22/10/29(土) 12:50:54

    「裁判ってスーツで見に行った方がいいのかなァ……でもスーツないしなー、なんか固いし動きにくいし」

    「そうだ、高校の制服まだあったかな。カビ生えてねェといいけど。学ランはいいや」

  • 681-再会編22/10/29(土) 12:52:51

    ────

    ここが裁判所かー。初めてみた

    ここに座っていいのか?



    ああ、じいちゃんがスーツで立っている



    ……あのカンカン鳴らすやつやりてェ



    ベンゴニン?横からちゃんとじいちゃんかばってくれる人がいるんだな。



    笑うなじいちゃん、ほら怒られたじゃねェか




    守るって、体じゃなくて言葉で守る仕事もあるんだな



    しっかしじいちゃん守るのも大変だなァ……だから笑うなじいちゃん。

  • 69122/10/29(土) 12:57:07

    閉廷後、出入り口で待つ。
    守ってくれた礼を言わねばと。

    「おおルフィ、わざわざわしの裁判なんぞに来てくれてじいちゃん嬉しいぞ!ぶわっはっはっ!」

    「笑いごとじゃねーだろじいちゃん、新聞見たとき心臓止まるかと思ったぞ」

    「犯人を捕まえるためにどうしてもああする必要があったんじゃ。仕方ないじゃろ」

    「お前ならどうするんじゃ、ルフィ。捕まえられる時に捕まえなくて逃げられでもしたら、わしゃァ絶対後悔するわい」

    「んぬぬぬ……」

  • 70122/10/29(土) 13:00:44

    「あ、わしもう時間じゃから帰る!どうやらまたセンゴクが怒っとるらしいからの、今度は誰のせいじゃ」

    「どう見てもじいちゃんだろ」

    「ん?そうか、わしか!わはははは!
    ……そういやァルフィ、まだ小遣い一銭も使わず貯めとるのか?」

    「ああ、せっかくもらってわりぃけど」

    「いいんじゃよ、無駄遣いさえしなけりゃわしは怒ったりせん。じゃあルフィ、達者での」

    「おうまたなー」

    げ ん
    こ つ

    「じいちゃんの別れじゃぞ、もっと惜しまんかァ!!」

    「いってェ〜!!!」

    「フン、愛ある拳じゃ!」

    「今どき流行らねェよ!気持ちの罰は!」

  • 71122/10/29(土) 13:06:27

    「くぁ〜〜……?」

    頭を抑えて顔を上げると、奥からもう一人出てきた。あれはさっきじいちゃんをかばってくれた。

    「ガープさん、無罪になったばかりなのにまた訴えられますよ」

    「おおシャンクス。世話になったな!こいつはワシの孫のルフィじゃ。ちと話をしてやってくれ、わしゃァ署に戻る!」


    「まったく元気なじいさんだ……聞こえちまったが、お前小遣いをずっと貯めてるのか。偉いな、何か大きな買い物でもするのか?」

    「内緒だ!しししっ」

  • 72122/10/29(土) 13:09:18

    「あ、そうだ。赤い髪のおっさん!じいちゃんを守ってくれてありがとう!」

    「ほう、お爺さんの礼とはできた孫だな」

    「そうか? おれはルフィ。じいちゃんが裁判かけられるって新聞で見たから来たけど、おっさんがじいちゃんのベンゴニン?して守ってくれたんだろ?だからお礼言いに来たんだ」

    「おれはそういう仕事なんだ。訴えられた側に立って可能な限り擁護する。まァ守る仕事だが、基本的に正義の側じゃあないな。
    ……ところでルフィお前、その帽子は」


    「ん、この帽子がどうかしたのか?……あっ、欲しいのか!ダメだ、これは渡せねェぞ!」


    「だっはっは、人の帽子を見て欲しがるほどガキじゃねェさ!ただ──


    ──独り立ちしたおれの娘を思い出してな」

  • 73122/10/29(土) 13:12:06

    娘…?帽子、独り立ち。

    「…………!?」
    もしかすると。

    「なあ、赤い髪のおっさん……」

    「シャンクスだ。聞き逃していたが、やっぱりおっさんはちょっと心にクる」

    「シャンクス。その娘ってやつのことについて教えてほしいんだ」

    目の前にいる青年はさっきまでの、一人の子供とは別人のような目をしていた

    「ああ、分かった。いいだろう、教えてやる。おれの自慢の娘のことをな」



    「おれの娘……と言っても義理だがな。
    血が繋がってる娘じゃないが、赤ちゃんの時から育ててきた。ほとんど娘みたいなもんだよ。昔から歌が好きで、泣きじゃくった時はよくおれが子守唄を歌うと笑ってくれたもんだ」

    「……!」

  • 74122/10/29(土) 13:16:15

    「さっきその帽子を見て思い出したんだが、ちょうどそれによく似た帽子を昔あいつに買ってやったことがあってな。いつかの夏に海に連れて行ったことがあるんだが、その日は陽射しが強かった」

    「それでかあいつはフラフラしちまって、すぐに近くの店で水を買って飲ませたり、日除けに買った麦わら帽子をかぶせてやったり。そうしたら元気になったんだ。子供にかぶせるにはちょっとサイズが大きかったがな。
    その日の外出はそこで終わりにしたんだが、あいつはそれ以来、その帽子をお守りと思っていつも身につけるようになった」

    「お守り……」

    「ルフィ、お前のその麦わら帽子も買ってもらったのか?」

    「いや、これは預かってる。誓いの帽子なんだ。いつかは返さなくちゃならねェ」

    「そうか……大事にしろよ?もしかしたらその帽子の持ち主にも、おれの娘のように何か想いがあるかもしれないからな。まァ預かってるものなら当然大事にするだろうが」

  • 75122/10/29(土) 13:19:03

    昔は大きくなったらパパと結婚するとか言っていたのにいつしか言わなくなって寂しくなったとか、うわついた話も聞かなくて逆に心配だとか。
    シャンクスは自慢の娘の話をこれでもかとしてくれた。

    所在以外は。



    「なあシャンクスの娘は昔これと同じ帽子を被ってたんだろ?話がしてェんだ、電話番号とか教えてほしい!」

    「番号は渡さない」

    「なんでだ」

  • 76122/10/29(土) 13:23:23

    「なんでってお前……おれの娘が誰か、お前には分かるのか?その証拠はあるのか?答えられないなら、娘の電話番号などお前に教えることはできないだろう。それにもしお前が探しているのと全く別の、赤の他人だったらどうする?
    もしかしたらおれが間違えてとんでもない所の番号を教えて、お前が二度と這い上がれないような、人生のドン底に落ちるような事件が起きるかもしれない。それでもお前は人に番号を教えろと言えるか?……悪いが、一人の人間としても、娘を持つ親としてもお前に番号を渡すことはできない」


    ある程度の確信はあるが、証拠には至らない。

    「……ああ分かったよ、番号はナシだ。
    ……うーんでも会いてェ!」

    「だ〜っ、分かったよ。一つだけヒントをやろう。あいつは今、この都市のどこかの小学校の先生だ」


    二人の横に一台の車が止まった。

  • 77122/10/29(土) 13:30:08

    「悪いな、迎えが来た。
    おれが伝えられるのはここまでだ。後はお前の好きにすればいい。
    ……だがルフィ──人の親に娘のことを聞き出してこと細かく教えてもらったからには、最後まで自分の行動に責任を持てよ?お前自身がどんな結末を迎えようともな」

    「ああ、分かってる。ありがとうシャンクス。あとは一人でなんとかするよ」

    「ガープさんにもよろしくな。
    またな、ルフィ」


    シャンクスは別れの挨拶をすると迎えの車の助手席に乗り込み、ドアを閉める。走り出した黒い車は道路の向こうへと消えていった。

  • 78122/10/29(土) 13:33:50

    「驚いたよベック。おれの娘についてあの少年と少し話をしたんだが、電話番号教えてくれって言われてな。流石に出会ったばかりのやつには教えられないからと、少しばかりまくしたてたんだが……おれの口撃にも余裕とはな。さすがガープさんの孫だ」


    「アンタが大人げねェだけだろ」


    「だっはっは!!だがベック、今の時代は番号を教えるという行為一つで人生が台無しになるケースもあるからな。娘が関わるならなおさらガードを硬くしないとダメなんだ。
    あの少年の、ルフィのためでもある。

    ……それにこれくらいで萎縮するようなら、娘は任せられないだろう」

  • 79122/10/29(土) 13:42:57

    ───

    家に帰ったルフィは、床に地図を広げた。
    今日裁判をした都市にある小学校について、端から端まで印をつけてリストアップする。


    狙いは文化祭。羅列した全ての小学校の文化祭を訪れれば、見つかるはずだ。あとは途中で先生をやめたり、体調不良を起こしたりしないことを祈る。


    傍から見ればやってることは不審者のそれだが、約束を果たすためだ。


    交通費は、小学生の頃から一切手を付けず貯め続けた小遣いから極力抑えて切り崩していけば問題ない。


    月明かりに照らされた桜の空を舞うことの夜。
    一年かけた盛大な人探しが始まった。

    ───

  • 80122/10/29(土) 13:44:54

    続きはおそらく夜に。
    FilmZよりも遅くなります

  • 81二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 13:49:47

    >>80

    楽しみにしています!

  • 82二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 22:17:20

    保守

  • 83122/10/30(日) 00:27:14

    ─────
    ────
    ───

    壊滅状態だった。

    折れ目が白くなるまでになった地図はバツ印で覆われ、残る希望も2校のみ。

    もし今まで訪れた学校の中にいて、自分が見つけられなかっただけだったらどうしよう。秋に偏っていたから、忙しくて目につかなかったかもしれない。

    そんな不安が頭をよぎる。が、まだ訪れていない学校は残っている。それでも見つからなければ、それから考えればいい。

    今年見つけられなくても、二年だって三年だってかけてやる。絶対に会って伝えなければ。

  • 84122/10/30(日) 00:38:18

    最後の小学校だった。
    どこか自分の母校に雰囲気が似ている。
    もしとてつもなく疲れていたり、あるいは歳を重ねすぎるとボケて間違えるかもしれない。

    夕方にさしかかる頃には展示も終了し、外から来た客は出ていかなければならない。そうなる前に、何としても。


    目の前に扉があった。
    ついているガラスの窓から中を覗く。机も椅子ない部屋だが、奥にピアノが見える。しかし誰も座っている様子はなかった。


    ついドアノブに手をかけてしまう。
    すると施錠されていれば降りるはずのないそれは、力のままに下にさがる。
    そのまま手前に引くと、中に入ることができた。

  • 85122/10/30(日) 00:45:08

    その光景は見覚えがあった。
    もうすぐ冬になろうという季節の夕暮れ時、黄金の光が外から部屋を照らしている。

    ──これだけならどこにでもある光景だったかもしれない。


    だがその光景に確かな見覚えがあったのは、目に頭にじわりと広がるものがあったのは。
    きっとどこにもない、思い出の記憶の中にしか持ってない、何よりも忘れてはならない存在があったからだ。


    その存在へと、ゆっくりと一歩踏み出す。
    疲れではない、その時間を踏みしめるように、一歩ずつ。


    逆光を浴びて窓の外を見ているそれは、あの時のように、こちらを見ることもなく唱える。

  • 86122/10/30(日) 00:46:29




    「どうしたの、もうみんな片付けに入る時間だよ」


  • 87122/10/30(日) 00:51:47

    この時が来た。果たせるのだ。
    やっと、やっと。


    「返しに来たぞ、"先生"」


    首から提げていた帽子を取り、目の前にいる帽子の持ち主の頭にかぶせる。


    振り向き驚いた表情の彼女、ウタを、ルフィは帽子ごと優しく抱き締めた。

  • 88二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 00:52:25

    エンダアアアアアアアアアアアア

  • 89122/10/30(日) 00:54:02

    「やっと……やっと見つけたぞ、先生……」

    「……ああ、また泣いて。まったく、男でしょ」

    「うるせェ、泣いてねえ」

    「ふふっ、負け惜しみ?」

    「先生だって泣いてんだろ」

    「泣いてないよ。……いい男になったね。流石、私の目に狂いなしだね。ごめんね、何も言えなくて。
    連絡先、渡しておけばよかったと思った頃には手遅れでさ」

    「おれも気づいたの最近だからな」

    「そっか。……でも、こんなに時が経っても私を想ってくれているならさ。そんなルフィなら、きっとどんなに時間をかけてでも私を見つけてくれるでしょ?」

    「……当たり前だろ」



    手を一瞬絡ませてみる。左手の薬指には、何の印もなかった。

  • 90二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 00:56:37

    このレスは削除されています

  • 91122/10/30(日) 00:58:11

    それから互いに無言のまま、何分そうしていたか分からない。さっきより日が傾いているのは確かだが。
    先に離れたのはウタの方だった。

    「っと、いけないいけない。私今はもう先生だからね、生徒達が頑張って片付けしてるのに先生が誰もいない部屋で抱き合ってました、なんてバレたらクビにされちゃうね」

    「あ、わりぃ。そうだったな」

    「……ん?誰かに聞いたの、私が先生だって。まあいいや、後でゆっくり聞くから。今の時間はもう生徒以外は学校から出なきゃいけないから、外で待っててね。一時間くらいしたら行けると思うから」

    「十年以上待ったんだ、それくらい待てる」

    「そ。じゃ、また後でね!あ、帽子はもうちょっと持ってて」


    校舎の昇降口までは送ってもらった。
    外の人間ゆえに途中で教員達に何か言われるかもしれないからと、教え子と話し込んでしまったという言い訳を通すために。

    結局大きくなっても、先生に守られてしまった。

  • 92122/10/30(日) 01:02:43

    秋は一度日が傾くと暗くなるまでが早い。
    教室の外の景色を最後に見てから外に出るまでの間、その短い時間ですら空は目に見えて暗くなっていた。

    門の外で待つルフィはただじっとしているのも、と、少しだけその場を離れて街の店に寄っていた。



    用事を済ませて戻ってくると、ちょうど職員達も解散する時間のようだった。手を振って別れる者、並んで駐車場へ向かう者など様々だ。

    程なくして、夜の帳も照らすようにウタが手を振って走ってきた。


    「ごめん、待たせちゃったね。お話いっぱいしたいけどとりあえず私の家行こっか?一人暮らしだし誰もいないからさ」

  • 93122/10/30(日) 01:06:40

    ─────

    「ここが先生の家かァ」

    「家……まあ、アパートだけどね。あともう先生じゃなくて、ウタって呼んでよ」

    「ん?おう、ウタ……ウタ。しししっ」

    「なぁに笑っちゃって。ほら上がって上がって」

    靴を脱いで揃える。履くものを探していると、後ろからスリッパはないよと言われた。

    「ごめんね狭くて。でもこのアパート防音なんだ!私はいつだって歌を唄いたいからね、そういうところ選んだの」

    「へェ、いいなー。おれも声デカめだし歌うの好きだからなー」

    「ホント助かってるよ。じゃあ私スパゲティ茹でたりしてくるから、ゆっくりしてて!あ、手は洗っておいてね」

  • 94122/10/30(日) 01:11:08

    なんだか落ち着かなくて、台所で作業するウタの背中を眺めることにした。


    「あ、そうだルフィ。今からじゃ絶対帰るの遅くなるからお家に連絡いれといて」


    「ああ、家は誰もいないから大丈夫だ」

    「えっ、ルフィも一人暮らし?」

    「いや、じいちゃんは警察だし父ちゃんは政治家だし、帰るのすげー遅かったり帰ってこなかったりすることが多いんだ」

    「ふーん、じゃあ料理とかできるの?」

    「まァ簡単なやつならな」

    「へェ……なんかルフィって、お肉の色んなおいしい焼き方とか知ってそうだよね。私はめんどくさくなると冷凍食品とかカップ麺とかにしちゃうからなあ……
    ね、たまにご飯作りに来ない?」

    「保留!」

    「えー、即答しちゃう?
    と。ほらできたから持っていって」

  • 95122/10/30(日) 01:13:52

    削いだタラコをお湯でほぐし、コンソメを溶いて混ぜたあとにめんつゆをほんの少し。
    そうしてできたソースを、茹でた麺の上にかけて食べた。

    一人で食べる店の料理より、
    二人で囲む食卓。
    誰かと一緒のご飯というのは、落ち着きも暖かみも、おいしさもワンランクアップする。


    「ごちそうさまでした。久しぶりに誰かと一緒に晩ごはん食べたけど、やっぱり一人より二人のほうがおいしいね!……それともルフィとだからかな、なんて」


    「うん?」


    「なんでもない!食器ぱぱーっと洗ってくるから、そしたらお話しよっか」


    「おう!待ってる!」

  • 96122/10/30(日) 01:17:55

    ─────
    テーブルを挟まず、畳の床に座布団を敷き対面で座る。ウタがテレビの電源を切った。


    「ふぅ。……よし、じゃあ何から話そうかな。まずルフィ、シャンクスには会ったの?」


    「ああ、じいちゃん……警察なんだけどさ。なんかやらかして裁判にかけられちまったんだよ、無罪になったけど。それでその時弁護人やってくれたのがシャンクスだったんだ」


    「確かにシャンクスは弁護士だね。ていうか、なにやってんのあんたのおじいさん……」


    「ホントだよ!知ったのコンビニの新聞ちょっと見たときだけど、おれびっくりして店先で叫んじまったよ!」

  • 97122/10/30(日) 01:19:16

    「まァいいや、無罪なら。それでシャンクスと何の話をしたの?」


    「とりあえずお礼言いたかったんだけどよ、あの帽子に気づいて娘を思い出したって言ったからさ。もしかしてと思って聞いてみたんだよ」


    「なるほどねェ……じゃあ私が預けた帽子が、結果的にまた私達を会わせてくれたんだね!やっぱりあの帽子はお守りだね、私だけじゃなく、ルフィにとっても」


    「だな!しししっ」


    「……うん?シャンクスとそこまで話し込んだなら電話教えてもらえば良かったんじゃないの?」


    「そりゃ聞いたけどよ、どうしてもダメだって断られた!まァシャンクスの言うことも一理あるしな、仕方ないと思って自力で探すことにしたんだ。このへんで学校の先生やってるってヒントだけはもらえたけど」

  • 98二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:21:48

    防音室…夜中…男女二人きり…

  • 99122/10/30(日) 01:21:53

    「まったく過保護なんだから……ま、おかげでこうして元気でいられてるけどね。でもやっぱり、連絡先教えてなかったのは失敗だったなー」

    「教えるきっかけも何も無かったんだからしょーがないだろ、それにまたこうして会えたんだからなんでもいいじゃねェか!」

    「ふふっ、そうだね……それからはどうしたの?」

    「とりあえずこのあたりの小学校全部の文化祭に行ったんだ」

    「全部……!?」

    「そうすりゃ絶対見つかると思ってよ。見逃してたり見つからなかったら二年でも三年でもかけるつもりだったけど、なんとか見つかってよかったよ、ホント」

    「本当にご苦労さま……なんかごめんね」

    「いーんだよ、誰もなんも悪くねェだろ」

    「ありがと。シャンクスとのことはよく分かったよ。……それじゃあ、早いけど最後の質問」

  • 100122/10/30(日) 01:25:07

    部屋に緊張が走る。

    「ルフィ。今、私には好きな人がいます」

    「……」

    「その人は十年以上前に私に告白しました。
    私はその時立てた二人だけの誓いを、今でも覚えています」


    「……」


    「その時から、私の心は変わっていません。
    女心と秋の空、と言われますが。
    私の心は、私の好きの気持ちは十年以上前からずっと変わりませんでした」


    「……ウタ」


    「私には、誰も想う相手がいません。
    モンキー・D・ルフィ、あなた一人を除いては。
    私の中には、あなたただ一人だけなのです」


    「ウタっ……」


    「ルフィ、改めて聞きます。あなたの今の想い人は、誰ですか?……心は、変わってしまいましたか」

  • 101122/10/30(日) 01:27:03

    思いの丈の言葉を紡ぐ。
    想い人たる歌姫は、舞台を用意してくれた。
    あとは自分がそれに応えるだけだ。
    それで全てが終わり、始まるのだ。

    息をおもいっきり吸い込む。


    「……ウタ、おれは何も変わっちゃいねェ。昔から、あの教室で約束した日から一度も!
    ずっと会いたかったし、いつか大きくなったら絶対伝えてやるって毎日思ってた!

    ああ、おれの心も同じだ。十年よりもっと前から変わらねェ、おれの相手は目の前にいるウタ、お前以外誰にもいねェ!!」



    この瞬間、十年にわたる誓いを果たす二人の心に一つの橋が架かる。

    機は熟した。
    さあ橋を渡れ、この約束に終止符を。

  • 102122/10/30(日) 01:29:51

    「……!…じゃあっ……」


    「ああ、改めて言うよ。先生……いや。
    ウタ、結婚してくれ!ずっとおれの隣にいてください!!!」


    告白でどう頭を下げるかなんて分からない。
    だから自分なりの心からの、渾身の土下座をする。



    「っ……はいっ………!
    不束者ですがっ、よろしくお願いじますっ……!!」




    その言葉を聞き、頭を上げる。
    もう彼らを阻む壁は何もない。

    二人はその背中に腕を回す。
    片方は飛びつくように、
    片方は優しく抱きとめるように。
    そして滝のような涙を互いの肩に落とした。




    かくして、十年越しの縁は結ばれた。

  • 103二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:31:26

    えんだーいやー

  • 104122/10/30(日) 01:32:23

    「なあウタ、わりぃ」


    「えっ…?」

    「あァいや、そんな顔させたいんじゃないんだよ。ただまた告白したのに、なんにもあげるもんなくてごめんなって」

    「なーんだ。いらないよ、そんなの」

    「でも安心しろ!今指輪作ってもらってるから」

    「え、もし私がすでに結婚してたらどうするつもりだったの?それにサイズとかさ」

    「学校で会ったときに手触ったけどよ、指輪とか何もついてなかったじゃねェか。誰のもんにもなってねェってことだろ、そんならってことで待ってる間に頼んできた」

    「あの一瞬でサイズまで把握するかァ……
    でも嬉しいよ、もらえるその日まで待ってるね」

    「おう!しししっ」

  • 105122/10/30(日) 01:35:12

    「……ね、今日ルフィ帰ってもひとりなんでしょ?もう遅いしさ、泊まっていってよ」

    「ああそうする!」

    「やった!じゃあお風呂先入ってきてよ、今日疲れたでしょ?あったかいの沸いてるからさ。あー、着換えがないね……ごめん、この古いジャージで我慢してね」

    「これ、なんか懐かしいな」

    「分かる?まあお風呂入りながらゆっくり思い出してみてよ。……あ、ルフィの下着どうしよ」

    「買ってきた」

    「え?」

    「待ってる間に」

    「……もしかして最初から泊まるおつもりで?」

    「い、いや。そんなことねェ。ないです」

    「嘘が下手っ!!ほら私も入りたいから早く行ってこーい!」

  • 106二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:38:21

    長い年月の末に結ばれた年齢差カップルですか…
    ロマンチックですねぇ…

  • 107122/10/30(日) 01:38:30

    頭にシャンプーをつけて掻くように洗う。
    リンスを軽くつけて流す。
    ウタが使っているもので、今自分はウタの匂いがするのだろうか。
    ガラリと扉の開く音。下に見えるすらっとした脚。
    それはウタの

    「ぅウタァーッ!?」



    「残念、着てまーす。そんな必殺技みたいな声出しちゃって、期待しちゃった?そういうのはまだ早いぞ、小学校からやり直しだァ!
    ……なんてね。はいこれ身体洗うスポンジ、使ったらそこに置いといていいからね?あと、のぼせないように!ごゆっくりー」



    扉が閉まる。……まったく心臓に悪い。

    もらったスポンジで、思考をかき消すように身体を擦り洗い流す。

    高鳴りが収まるまで、浸かった湯船から出ることができなかった。

  • 108122/10/30(日) 01:43:52


    「おっ上がったね!じゃあ私も入ろうかな」

    「なあウタ、これもしかして昔の運動会の時に着てきたやつか?」

    「ご名答。当時の私でちょっとぶかぶかだったけど、もしかしたら今のルフィにはキツいかも。でもそれしかないから、ごめんね?」

    「大丈夫だ!あったけェし!」

    「そりゃあよかった」

    んじゃそれおっふろー♪とルンルン歌いながら、家の主は風呂場に駆け込んでいった。

    自分が風呂に入っている間に、布団を敷いてくれていたようだ。テーブルが少し窓の方に寄せられている。


    だけどこの布団、なんか小さくないか。

    2つなかったのか。念のため押し入れを開けて確認するも、中には何もなかった。
    いやあったらあったで嫌だけど。

  • 109122/10/30(日) 01:45:45

    ウタが風呂から上がるのを待って、布団のことをきく。

    「へっへっへっ。悪いねルフィ、この布団は一人用なんだ」

    「じゃあおれ床で寝る」

    「なんてね……えっ?いやダメ!ルフィは布団で寝るの!私が床で寝るから!」

    「おれはそっちの方がイヤだ!」

    「タオルでぐるぐる巻きになればいいから!!」

    「それじゃ寒いだろうが!!」

    「じゃあ布団しまって二人で床で寝ようか!?」

    「一旦落ち着けェ!!!」

  • 110122/10/30(日) 01:48:39

    「ハァ……ハァ…………
    ……落ち着きました。はい、ごめんなさい」

    「いや謝らなくていーけどよ」

    「うーん。
    ……ね、私達もう婚約したじゃん。じゃあ一緒にくるまって寝ても問題ないよね?」

    「そういうもんか?」

    「そういうもんだよ。じゃあ決まり!ほら布団に入るよ、一名様ごあんなーい」

  • 111122/10/30(日) 01:50:19

    「分かってたけど狭いね」

    「でもあったけ〜……」

    「もう、背中向けてないでこっち見て。
    あっ、まだ私に手出さないでよ?」

    「よっ、と。手は出さねェよ」

    「む、それはそれでなんかヤダ」

    「えェ……」

  • 112122/10/30(日) 01:51:33

    「……目の前にあるのはルフィの首かぁ……」

    「なんだよ急に。食うのか」

    「そうじゃなくて。私のほうがいくつも歳上なのに、いつの間にか背追い越されちゃったなーってさ。昔はあんなに可愛かったのに」

    「今は?」

    「かっこいい」

    「……しししっ、そうか!」

    「……やっぱりかわいいかも?」

    「どっちだよ」

    「どっちも、だよ」

  • 113122/10/30(日) 01:53:24

    「……ねみィ」

    「疲れてるんだし寝なってば」

    「でも寝ろって言われたら、逆に寝られなくなるんだよな……」

    「全くもう……ほらルフィ」


    頬に手が添えられる。


    「おやすみのっ……」

  • 114122/10/30(日) 01:53:49

    ……♡

  • 115122/10/30(日) 01:55:03

    ほんの一瞬だった。

    唇に柔らかい感触が走る。


    その源を見ようと目線を下にすると、すでに顔を毛布の中に埋めていた。


    触れた場所を、つい指で触ってしまう。

    「おやすみ、ウタ」

    ……今日はよく寝られそうだ。

  • 116122/10/30(日) 01:57:51

    再会編、終わりです
    初めてなのでテンポとかおかしなことになってるのにも関わらずこんな時間まで読んでくれたロミィちゃん達、ありがとうございました

  • 117二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:59:05

    この年の差カップルかわいすぎか

  • 118二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 02:01:13

    歳の差を感じさせない再開した二人…
    良きかな…

  • 119二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 02:02:23

    年の差カップル(もうすぐ夫婦)良き…

  • 120二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 02:05:08

    ロマンチックで最高でした…!

  • 121二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 02:05:45

    お前の様な神SS作家との出会いを待っていた…!!

  • 122二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 02:45:01

    お前は語り継がれる(画像略)

  • 123二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 02:56:50

    素晴らしいSS

  • 124二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 09:54:43

    続きが気になってカエレナイヨ

  • 125二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 19:40:12

    良き

  • 126二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 19:50:36

    実習生編 >>1

    再会編 >>55

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