ここだけウタが part2

  • 1二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:36:31
    ここだけウタが|あにまん掲示板エレジアの真実を知った後、感情すべてを失った世界線bbs.animanch.com

    エレジアの真実を知り、感情を全て失った世界


    (前スレ主≠スレ主)

  • 2二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:37:33

    保守なのだよ
    続きを待てばよいのか我らで紡げばいいのか

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:39:07

    立て乙です続き待ちつつ自分達でもなんかやればいいんじゃない?

  • 4スレ主22/11/01(火) 22:39:42

    >>2

    貴方の紡ぐ物語も見てみたいので、是非。

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:41:40

    乙です、まぁ今書いてるのもスレ主じゃないし…あ、前スレのは明日更新します

  • 6スレ主22/11/01(火) 22:44:24

    (前スレが埋まりそうだったので、いてもたってもいられず立てた…スレ主はこれ以降は名無しに戻るので、皆様のお好きな様にこの概念で語り合って欲しい…)

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:56:27

    保守

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:57:33

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:58:25

    ぶっちゃけ勝手に続けてる側面あるからこの概念で話したい人がいるならそれはそれでいい気がする

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:58:56
  • 11二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 07:05:28

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 07:15:17

    果たしてウタちゃんは心を取り戻せるのか…

  • 13二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 17:35:45

    ほっしゅっしゅ……

  • 14二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 22:00:45

    ほっしゅ

  • 15二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 06:54:21

    ほしゅ

  • 16遅れてごめーん!!22/11/03(木) 08:34:38

     ルフィは大きくなった腕をそのまま魚さんの顔に叩き込む。すると魚さんは白目を剥いてしまった。
    「あ、やべっ」
    「何やってんのこのアホ! みんなサニーにしっかり捕まえて! 水飛沫が来るわよ!」
    ルフィが焦り、ナミさんが檄を飛ばす。
    悪魔の実の能力者は海に嫌われている。ルフィが倒したお魚さんはルフィたちの船の何十倍とある。だからこの後起こることも必然だった。
    お魚さんが倒れ水飛沫が上がる。ただ、その水飛沫の高さは船を覆うには十分であり、もはや高波に近い。
    「ウタアアアアアアア!」
    ルフィが叫び、私に抱きつく。
    …え、私に?
    「大丈夫か! ウタ! 安心しろ、俺が付いてる!」
    「馬鹿! お前も能力者だろうが! 水に飲みこまれたらひとたまりもないだろ!」
    チョッパーさんと一緒に船にしがみついているウソップさんが叫ぶ。
    「ぎゃあああああ! そうだったどうしよう!」
    ルフィは慌てながら私を揺らす。ちょっと揺れが気持ちわるい。船のどこかに捕まらないといけないのに、時既に遅く水飛沫は船を襲う。

    「一刀流 居合 死・獅子歌歌(ししそんそん)」

    カチンと刃物が鞘に収まった音が聞こえた。
    見上げると高波となった水飛沫は真っ二つに裂かれ、そのまま水に落ちていく。その結果、新しい水飛沫が私達に降り注ぐが、雨に濡れた程度の被害に収まった。
    「初めて水を斬ってみたがまぁ悪くはねぇな」
    笑いながらそう語るのはゾロさん。ウソップさんからサムライだって聞いていたけど、サムライはなんでも斬れるって知らなかった。

    「「「「た、助かったぁ〜」」」」
    ヘナヘナとルフィたちはその場で倒れこむ。私はルフィの腕に巻かれながらただそこで立っていた。
    ゾロさんはチラリと私を見るとルフィの方に目を向ける。
    「おい、ルフィ。ウタを離してやれ。固まってるぞ」

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 09:07:08

    「うん? あっ、悪いウタ! 平気か!?」
    ルフィが腕を解き私を見つめる。
    「え、平気だよ…」
    言葉を続けようとしたけど、それ以上続かなかった。
    その場にへたり込んでいこんしまったからだ。
    どうして座ってしまったんだろう。体は特に疲れたわけじゃないのに…
    「ウタ!? チョッパー、ウタを診てくれ!」
    「あぁ! ウタ。今、診てやるからな」
    「体平気だよ、ルフィが守ってくれたし、ただちょっと…」
    ちょっと、何だろう? 分からない。どういうことなのか言葉にもできない。
    「大方、この馬鹿のやらかしたことに驚いて緊張してたってのが関の山だろ。何たって、こいつはド級の馬鹿だからな」
    剣の柄でポコポコとルフィの頭を叩くゾロさん。
    「そうなのか、ウタ?」
    真剣な目つきでチョッパーさんは私を見つめる。
    「そう、なのかも…。…分からない、です。ごめんなさい…。驚いたとしたら、ごめん、なさい…」
    だって、みんなはルフィのこういったことに慣れてるだろうし、驚いて腰を抜かしてたらやっぱり足手纏いにしかならない、気がする。
    だから…

  • 18二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 09:08:36

    「気にしなくていいって、プリンセス・ウタ! うちの船長のバカさ加減は今に始まったことじゃないしな!」
    「そうそう、それにこいつに驚かされるなんてしょっちゅうよ。別に恥ずかしいことでも何でもないわ」
    「オレもルフィがやることには毎回驚かされるしな! むしろ普通の反応だと思うぞ。それに驚いて腰抜かすなんて、医者としても普通の反応で安心するぞ、一応後で検査しなきゃだけどな!」
    「そう、なのかな…?」
    「まぁ、俺は腰抜かすなんてことぁないがな」
    「「「いや、お前は普通じゃないじゃん」」」
    ウソップさん、ナミさん、チョッパーさんがゾロさんにツッコむ。
    「にしし、そっかぁ! ウタは驚いただけかぁ!」
    ルフィは私の手を掴む。
    「なんだか昔とは逆だな! フーシャ村だとウタの歌には俺が驚きっぱなしだったしな!」
    …知らなかった、ルフィはそう思ってたのって
    「んじゃあ! 釣りの続きするぞおお!!」
    「「いや、マイペースか!」」
    ワクワクしているルフィにウソップさんとナミさんがツッコむ。
    ふと、ゾロさんの方をみる、既にゾロさんは腕を頭の後ろに回して寝こけている。
    ゾロさんは優しい。さり気ないけど私のことをフォローしてくれた


    ただ、私が階段降る時に私を見る目つきがちょっと…

  • 19二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 11:47:01

    >>18

    大丈夫だウタちゃん。その剣士、君がバランス崩して落ちるんじゃないかって心配して見てるだけだから。自分の幼なじみを重ねちゃってるだけだから。いや割りとマジで落ちる可能性あるんよな…無気力で無頓着だから。

  • 20二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 18:02:47

    保守~

  • 21二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 21:25:43

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 06:49:50

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 16:04:57

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 17:03:05

    「まったく、あんたのマイペースぶりには驚くわ…。それにしてもウタがびしょびしょじゃないの」
     ナミさんはこめかみに手を当てながら私のほうを見る。確かに、今海水のせいで服が私に張り付いており、体のラインがはっきりと見えてしまっている。
     ナミさんの服がなぜ水着のようなのか少しわかった気がする。こういったことが何回も起こるから、海水を被ってもいい服を選んでいるんだ。
    「ちょっと早いけどお風呂にしましょう? 気持ち悪いでしょうし」
    「えー、そんなこと気にする必要ないぞ。オレなんか毎回汚してるし」
    「ウタは別なの。それにこのままだとウタが風邪ひいちゃうでしょ」
     ナミさんは「任せて」とルフィに言うと、「わかった」とルフィは不承不承ながらも手を放す。その離れた私の手をナミさんは掴んでお風呂場へと向かう。
    「あら、お風呂に行くの? ならご一緒してもいいかしら? 私もちょっと塗れちゃったの?」
     そういってロビンさんは本を閉じて、私のもう片方の手を掴んだ。
    「大丈夫よ、ウタ。それにサニー号で髪や体を洗うのはまだ二回目じゃない? 私たちに任せて?」
    「ウタ~。実はロビンって体洗うのすっごく、上手なんだから、覚悟しときなさいよ~」
     うりうり~と笑いながらナミさんは私にくっついき、私は二人に押されるように風呂場に向かっていった。

    余談だけど、後ろを振り返るとウソップさんとサンジさんがなぜか鼻血を出しており、特にサンジさんはまるで噴水のように鼻血が流れて、チョッパーさんの悲痛な叫びが聞こえた。

  • 25二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 17:34:40

    「ふぅー、気持ちいい……」
    お湯に浸りながらゆっくりとナミさんは腕を伸ばす。
    私は今、ロビンさんに髪を洗い流してもらっている。ロビンさんはいろんな場所から自分の手を増やすことができるらしく、そのせいであっという間に服は脱がされ、体のいたるところを丁寧に洗われてしまった。自分では手の届かないところ、普段では見逃してしまうような細かいところまできめ細やかにやってくれ、さらに首、肩、胸、腕、お尻、さらに足もストレッチを施してくれた。ナミさん曰く「極上の気持ちよさ」とのことであり、事実、寝たきりだった体ということもあり、私の骨が鳴る音が聞こえた。
    「それにしてもウタの髪ってとっても綺麗ね。ほとんど洗っていないなんて思えない」
    「それに肌も綺麗。ウタってどんなスキンケアしてるの? 若干妬けちゃうわ」
    「あら? そうかしら、ナミの肌もとっても綺麗よ?」
     ニコニコとロビンさんは増やした腕でナミさんの背中を触り、ナミさんは「きゃあっ!」と声を上げた。
     そんな二人の声を聴きながら、私は過去の記憶に思いをはせる。
    『配信だからこそ、みんなが見れるように肌は丁寧になやらなきゃ!』
    『でもそういうスキンケア用品ってエレジアにはないし・・・そうだ作っちゃえば…』
    『うーん、これでどうだろう・・・? あっ、いい感じ~! 配信のみんなも聞いたら喜ぶかな? 今度配信でお勧めしてみようか? 楽しみだなー、みんながどんな反応するのか楽しみ♪』
     ただ、思い出したのはそんなどうでもいいことで、いまいち自分が何をやっていたのか鮮明に思い出せない。だからこういうしかなかった。
    「…ごめんなさい」

  • 26二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 17:36:14

    「そう、いいのよ。全然気にしなくて…。ありがとうね、答えてくれて」
     そう優しくナミさんは語りかける。
    「ウタ、できたわよ。正面見て」
    「ロビン! いいじゃないその髪型! かわいい!」
    正面を向くと髪がお団子まとめられ、ラマ型のピンセットで止められていた。
    「それじゃぁ、一緒にお風呂入りましょう、ウタ」
    「気持ちいわよ~、なんて言ったってこの前約束してたとっておきのバスボムも使ってるんだから」
    そうして促されるままお風呂に入ると体が芯まで温かくなり、オレンジの香りが体を覆う。
    「………」
    「どう? 驚いた? これが私の秘蔵っ子よ♪」
    「やっぱりナミのバスタブは気持ちいいわ、それに気持ちが落ち着いちゃう……」
    いたずらが成功したような笑顔をナミさんは私に向け、ロビンさんは私の肩を優しく揉んでくれた。
    「あいつらっていっつもうるさいからね。それはそれで好きだけど、やっぱりこういうのんびりとした同性同士の時間も必要な時とかあるじゃない? だからゆっくり羽をのばしていいのよ、ウタ」
    「そのあとはまた存分に騒ぎましょ? 私たちの船長さんと一緒にね?」
    「………はい」
    小さな声で私は答える。そうしてしばらくの間、ロビンさんとナミさんの会話を聞きながら肩までお風呂につかる。
    私はそこで一瞬のようでいて、ゆっくりとした不思議な時間を体験した。
    ナミさんは優しい。しっかりとしているのもみんなのためを思ってのことなのだろう。
    ロビンさんは優しい。普段は気が付かないような細かいところにも目が行き届いている。それはきっとロビンさんがみんなのことをしっかりとみているから。


    そうして、お風呂を出た後、ロビンさんに新しい服を着せてもらった。
    「ロ、ロビン? なんかそのTシャツってすごー-く、個性的だと思うんだけど?」
    「あらそうかしら? 私はかわいいと思うわ」
    着せてくれたTシャツには体がまっすぐと伸びきった猫がプリントされていた。
    ロビンさんの服のセンスって…。

  • 27二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 18:37:25

    ポカポカしてるウタちゃんカワイイね…
    そうだよね、配信してた時は気を使ってたよね。
    壊れちゃったらどうでもよくなっちゃったんだね…悲しい。

  • 28二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 21:26:16

    ウタちゃんの口癖がごめんなさいなのいっぱい悲しい…早く良くなればいいんだけど

  • 29二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 23:58:08

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 02:23:38

    この悲しみが晴れますように

  • 31保守ついでに少しだけ更新です22/11/05(土) 11:40:20

    「ウタ! 遅かったな、もう宴は始まってるぞ!」
     甲板をでるなり、ルフィは真っ先に私の手を取り、引っ張て行く。私はルフィにされるがままお肉の山の前に連れて行かれる。
     お肉の正体は先ほどルフィにのされたお魚さんだった。
     しかし、あれだけの大きなお魚をどうやって鯖いたのだろうと不思議に思っていると、
    「その疑問にはこのフランキー様が答えようじゃねーか。みよこのスゥパァーな変形型包丁を!!」
     フランキーさんは自信満々にそういいながら線がたくさん入った奇妙なデザインの包丁を見せてくれた。
    「この取っ手をまわすとだな・・・」
    カチッと音がなったかと思うと、包丁はガチャガチャと音を立てながら形どころか、大きさそのものを変えていき、最後には巨人もかくやというほどの大きな包丁に変形した
    「やっぱ、すっげ——!!!」
    「かっけぇよ、フランキー!」
    「よっ! フランキー大将軍!」
    「アウ、褒めてもこんなことしかできないぜ」
     そういうとさらにその包丁は包丁からミキサー型の刃物に形を変える。
     ルフィ、チョッパーさん、ウソップさんはその光景に目を輝かし、ロビンさん、ナミさんは「しーん」と無反応だった。

  • 32二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 15:11:07

    ときめくスーパーメカだねぇ

  • 33二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 17:31:21

  • 34二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 17:33:08

    このレスは削除されています

  • 35二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 17:33:35

    このレスは削除されています

  • 36二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 17:54:16

    このレスは削除されています

  • 37二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:40:46

    前スレ見直してたんだけどゴードンさんも乗ってるはずなのに全然出てこないな

  • 38二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 23:00:30

    >>37

    (前スレ主のゴードン前提完全に忘れてたので後で補完しますぜ)

  • 39二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 10:13:53

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:52:12

    「ちなみにその包丁で魚を鯖いたのはこの俺で」
    「それを船に持ち込んだのがわしじゃな」
     そういって大きなお皿を両手に持った二人組が現れる。サンジさんとジンベエさんだ。
    「うひょおおおお、うっまそう!! 久々にこんだけの量食べるな!」
    「ここしばらくは海の上だったからのぅ、ルフィがあの魚を仕留めてくれたのが幸いじゃったわ」
    「それにあの魚は相当なレアものだ。俺たちは相当ついてるぜ、それと…」
     サンジさんはお皿を机の上に乗せ、小皿に綺麗に切り分けていく。
    「レディたちには一等おいしい場所を食べてほしいからな。はい、ナミさん、ロビンちゃん、ウタちゃん♡ これがこの魚の希少部位、『ルビーのトロ』。お三方のような宝石もかくやというほどの美貌の持ち主には相応しい食材だ♡」
     そういってサンジさんは私たちの前に赤色に輝くお刺身が目の前に置かれる。
    「んー、いいなー。俺にもくれよ、ウタ」
    涎を垂らしながら、ルフィはだらしなく舌を出す。そういえば、ルフィは食べたいものを目の前にするとよく舌を出していたなとふと思い出した。
    「おい、ルフィ、お前の分も……」
    「…………ルフィもみ、ほしい?」

  • 41二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:56:56

    『!?!?』
    みんな驚いたといった顔をして、私のほうを振り返る。
    「ああ! ありがとうな!」
    その驚きの後、ルフィは無理をしたような笑顔を見せ、私の提案を受け入れる。
    「……ごめんね、ルフィ」
    ただやっぱり無理な笑顔を見てお皿を引っ込めることにした。私は良かれと思って場を乱す。あの時のようにー
    「ヨホホホホ! 違いますよ、ウタさん。私たちはね、感激しているんですよ。あなたの優しさに」
     そういいながらバイオリンを引き始めたのはブルックさん。
    「ウタさん、あなたはね、すごい人です。心が疲れている時でも誰かの手を取り助けようとする。そんなあなたにみなさんは目を見張っているんですよ。まぁ私は目とかないんですけどね、骨だけに!」
     ヨホホホホと笑いながらブルックさんは笑う

  • 42二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:57:33

    「そうだぞ、ウタ! 自分の気持ちを表現するそれが回復までの第一歩だ!」
     ピョンと小さい体を跳ねさせながらチョッパーさんは私に笑いかける。
    「ウタ、俺は別に無理してねぇぞ。俺たちは好きでやってんだ。だから遠慮することはねぇって!」
     ルフィはそう言って徐に、肉を頬張り始める。
    「うっめぇー! サンジこれおかわりあるか?」
    「あぁあるぞ。だがんなことよりも…レディのモノ奪った上にレディの目の前で食べながら食い物食うんじゃねぇ!!」
     そう言ってサンジさんはルフィに飛び蹴りをかまし、
    「なんだよ!! これはウタからもらったんだ! だからもうこれは俺のもんだ!」
    ルフィがよけ、
    「なんだ、お前もしかして、ルフィに嫉妬してるのか?」
    ゾロさんが煽り、
    「はいはい、あのアホどもは放っておいてウタはこっちで食べましょうねー」
    ナミさんは私を連れ出し、
    「ヨホホホホ、では私不詳ブルックことソウルキングが一曲奏でましょう」
    ブルックさんは楽器を奏で、
    「いいぞ! ソウルキング! 歌え歌え!」
    ウソップさんはジョッキを掲げ、
    「チョッパー、ここなんか美味しいけどどうかしら?」
    「本当かロビン? うっめー! 頬が蕩ける〜」
    ロビンさんはチョッパーさんを餌付けし、
    「アウ、ウタちょうどよかった! このスプーンをためしな! 力入れなくとも食べ物が支えれる優れもんだ!」
    フランキーさんは私に新しい発明品をくれる。
    そうして皆んながみんな思い思いに食事をし、騒ぎ、歌う

    そう、その景色はまるで…

  • 43二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 06:43:28

  • 44二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 12:58:59

  • 45二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 20:11:45

    懐かしいのねウタちゃん。

  • 46二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 07:16:06

  • 47二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 18:05:59

    ほしゅ

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 03:59:19

    保守

  • 49二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 09:37:53

    ほしゅ

  • 50二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 18:34:41

    ほっしゅ

  • 51二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 01:18:15

    ホシュホシュの実

  • 52二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 07:41:35

    今日の夜に更新します

  • 53二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 13:54:20

    楽しみにしてます。保守

  • 54二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 17:35:59

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 21:09:43

    「昔のようじゃのう、ワシにとっては」
    背後から語り掛けられ、後ろを振り返るとそこにはジンベエさんがいた
    「どうじゃ、ウタ。といっても、お前さんにはそれをいう余裕もないじゃろうな…」
     だからこれは独り言と思って聞いとくれとジンベエさんは続ける。
    「ワシはこの船に乗る前に別の船の海賊じゃった。その時にお前さんのような子供がおったんじゃ」
    名前はコアラといってな、と言いながら話を続ける。
    「はっきりいうがワシは気に食わんかった。どげんして、こないなガキを船に乗せたんじゃとな」
    「そんなコアラをアーロンっちゅう不義理な男が殴り飛ばしたんじゃ。だが、殴られた後、コアラが最初にとった行動はワシらにとって驚くべきものじゃった。…笑いながら自分の血で汚れた床を拭き続けるんじゃ。
    …コアラは天竜人の奴隷じゃった。心で泣いておっても笑うことしかできないようになっとったんじゃ…」
    「ウタ、ワシはなルフィくんのためいうたが、その一方でお前さんを生かしてるんわ、ワシのためでもある」
    そういいながら、ジンベエさんは海の彼方に目を向ける。まるでもう会えない誰かを惜しむように、慈しむように。
    「ゆっくりじゃ、ゆっくりでええんじゃ。泣きたい時に泣いてくれるようになってくれたら、ワシにとってこれ以上嬉しいことはない」
     そういってジンベエさんは酒を注ぎ、私の隣に置く。
    「ウタ〜! みろよ、これ! あちょ〜ん〜」
    ルフィは割り箸を鼻に入れ、口につっこみ変な顔をしていた。
    それを見たチョッパーさん、ウソップさんは笑い、ナミさん、ジンベエさんは呆れる。
    いつの間にかゾロさんとサンジさんは喧嘩して、ブルックさんはロビンさんと一緒に歌って、フランキーさんは変態していた。
    ジンベエさんは優しい。本当なら気にする必要のない私をジンベエさんの仲間たちのように接してくれている。

    それにしてもルフィの今の顔ってちょっと…

  • 56二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 21:10:33

    そしてすっかり夜になり星空すら見えなくなったころ、ルフィは私の手を握りながら、寝室に入っていく。
    朝とは真逆に静かに私をベットに運び込み、優しく布団をかけてくれた。
    「おやすみ、ウタ」
    そういうとルフィは私から手を離そうとする。
    「ねぇ、ルフィ」
    「手、握ってていい?」
    「わかった。いくらでも握れ」
    自然と手に力がはいり、ルフィもゆっくりと握り返してくれた。
    あぁ、ルフィの手って暖かい。
    そう思いながら瞼を閉じる。
    今日は夢を見なくてすむ、そんな考えが一瞬だけよぎってしまった。

  • 57二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 21:11:29

    深夜、海軍の戦艦にて
    「いや〜、驚いたねぇ〜。麦わらのルフィ、2年前とは立場が逆転しているねぇ。まさか海軍が一人の人間を奪還するために大軍を動かすとは、因果なものだねぇ〜」
    声の主は海軍大将黄猿。その声にはやる気があるのかないのかわからないどっちつかずな雰囲気が漂っていた。
    「ですけど、世界の皆々様のためには絶対に奪還しなけりゃなりません。彼女の歌は余りにも危険がすぎる」
    棒の音を頼りにやってくるは盲目の海軍大将藤虎。その声にはどこか達観めいたものがありながらも焦りも混ざっていた。
    「ボルサリーノ大将、フジトラ大将。軍艦20隻による完全包囲は完了しました」
    「赤髪の方はどうですかい?」
    「はい。目下ビッグマム百獣海賊団と小競り合いが発生しています。10分ほどは釘付けは可能です」
    「いいでしょう、では今夜こそ『魔王』ウタは奪わなきゃなりません。時間も迫ってきているでしょうし」
    「そうだねぇ〜、麦わらたちがトットムジカを再び目覚めさせる、それだけは絶対に防がなきゃならないねぇ」
    黄猿はそう言い残すと光の粒子となり姿を消し、藤虎は仕込み刀をゆっくりと引き抜く。

    サニー号甲板
    「来たぞ、お前ら」
    ルフィは帽子を深く被り、マントを靡かせながら敵を見据える
    「いいのかよ、ルフィ。プリンセスウタには黙ってでてきて」
    そういいながら、的を絞るのは狙撃手ウソップ。
    「大丈夫だ、ゴードンのおっさんに変わってもらってる」
    そう言ってルフィは先程までウタのてを握っていた掌を眺めた。
    「にしても今日は海軍か、面白くなってきやがった」
    両の手に刀を持ち、今にも飛び出しそうなゾロは不敵にわらう。
    「どっちでもいいさっ。ウタを狙ってんだろ。そこに大した違いなんてねぇ」
    ルフィはサニー号の頭に飛び乗り、腕を組む。
    「やろうども! こいつらをウタに指一本近づけさせるなぁ!!」
    『応!!』
    そして戦いの火蓋は切って落とされた。

  • 58二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 06:45:27

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 17:25:24

    夢を見る。
    夢を見るときはいつだって心が動いたとき
    ブルックさんは食べ方がすごい汚くて、私はちょっと笑いそうだった。
    ゾロさんが私が階段降る時に私を見る目つきが優しくて私はちょっと安心した。
    ロビンさんの服のセンスは可愛くて私はちょっと共感した。
    それに、ルフィが変な顔した時は私は嬉しかった。
    ルフィとルフィの友達はみんな、優しいし、すごい。


    だからこそ、私はどうでもいいと思いたかった。放っておいてほしいって叫びたかった。でもそんな心の叫びすら、夢への呼び水になる。

  • 60二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 17:34:18

    ごうごうと燃え立つ炎と廃墟の中、化け物である私はみんなに恐れ忌み嫌われている。
    『あの子の歌は危険だ! 世界を滅ぼす!』
    ごめんなさい。エレジアを滅ぼして
    『赤髪海賊団が戦ってくれてるがいつまでもつかわからない!』
    ごめんなさい。シャンクス達を疑って
    『やめて! 私の赤ちゃんを奪わないで!!』
    ごめんなさい。私のせいです。
    『化け物め! よくもやってくれたな!!』
    ごめんなさい。生まれてきて。
    『私たちを殺したのにどうしてあなたは幸せなの?』
    ごめんなさい。幸せになったらだめです
    『置いて行かれたのはお前が化け物だったからだ』
    ごめんなさい。置いていかないでなんて言って

  • 61二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 17:35:46

    『父親と幼馴染に愛される資格なんてお前になんかない』
    ごめんなさい。償いをさせてください。
    『お前のせいで国は滅びた。何で償う?』
    一人でも多く救います。
    『貰ってばかりの卑怯者にどうやって?』
    私にはウタワールドがあります。
    『ならば歌うしかあるまい』
    でも歌ったら、またみんなを…
    『だが歌以外に何がある?』
    歌以外にはありません。
    『ウタ、お前の歌なら平和で平等の世界が作れる』
    『君の天使の歌声を無駄にするというのか』
    『ウタちゃん、私ウタちゃんの音楽がずっと聴いていられる世界に行きたいな』
    あぁやだ、やだ。いやだ、殺したくない傷つけたくない。でも歌わないと救えないでも歌うとまた滅びちゃう。いやだ、考えるな。どうでもいい。どうでもいいんだ。考えちゃダメなんだ。
    『どうでもよくなんかない。歌うんだ、ウタ。その天使の歌声でみんなをー』
    やだ!やだ!やだ! 考えたくない! 考えたくない! 考えたくない!
    どうでもいい! どうでもいい! どうでもいい!

    どうでもいいのに声が止まらない。夢が止まらない。ごめんなさい。心が軋む。心が叫ぶ。心が崩れる。

    どうして心なんか、あるの?

  • 62二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 01:10:10

    このスレを絶やしてはならん…(保守)

  • 63二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 07:57:22

    ホッシュホッシュ

  • 64二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 17:24:47

    保守

  • 65二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 23:03:56

    ほしゅ

  • 66二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 08:12:40

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 18:08:23

    悲しい。救われて。

  • 68二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:35:03

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:42:19

    こういうのを見るとゴードンさんが毎回不憫すぎる...

  • 70二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:11:59

  • 71二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 18:26:23

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 18:57:52

    「ウタ----! 起きろーーー!」
     目を覚ますとルフィの笑顔が目の前にあり、しっかりとルフィに手を握られている。
     この二週間ずっとこの調子であり、ルフィやルフィのお友達が優しく出迎えてくれ、そのままご飯を食べ、遊んで、ルフィたちのたわいもない話を聞いて、お風呂に入って、宴をして、ルフィに手を握られながら眠る。
     私は…そのたびに彼らの優しさに心が動き、そして眠るたびに夢を見て心を閉ざす。それをずっと繰り返している。そして夢はどんどんと鮮明になっている。
     けど今はそれ以上に気がかりなことがある。
    「…………ねぇ、ルフィ?」
    「ウタ? どうしたんだ? やっぱメシか?」
     ルフィは私に笑いかけてくれる。優しく、笑いかけてくれる。
    「ルフィ、無理、してない?」
    「何言ってんだ、ウタ? 無理なんておれはしてねーぞ!」
    タハハっと笑う私の幼馴染。私の幼馴染はどうやら昔と違って気遣いができるようになっていた。
    「なに、してるのか、わからない……けど、私、ルフィが傷つくのはいや」
     この一週間でルフィたちには目に見えて疲労がたまっているように見えた。甲板をルフィと一緒に歩いたときには不自然な黒い焦げ目があったり、チョッパーさんが忙しそうにしていたりと最初の数日と違って目に見えて疲れが見て取れた。
     何かあったのだろう。そしてそれをルフィたちは隠している。
    私のせいで誰も傷ついてほしくない。誰にも無理はしてほしくない。特にこの幼馴染とシャンクス達、そして…。
     あれなんで私今まで忘れてたんだろう・・・?
     けどそれ以上に私は気が付いた。今、私はルフィを困らせている。
     心が動いたとたん、私は誰かを傷つける。一番、この世にいちゃいけない私が今、またわがままを言っている。
    「……ごめんなさい」
     短くいって、ルフィの手から逃れようとする。

  • 73二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 18:58:10

    「……前にも言ったよな。おれの手を振りほどきたいなら力づくでやれって、じゃないならだめだ。放さねぇ」
     ギュッと握られる力が強くなる。麦わら帽子のせいで顔は見えない。けど、これ以上私なんかのためにルフィを困らせたくはなかった。
    「ごめんなさい。ルフィ」
    「気にすんな、ウタ。ありがとうな心配してくれて」
    ニカッとルフィは笑って私に応える。
    「それとな、ウタ。やっぱこれは言わなきゃだめだと思うんだ。ウタ、お前からはごめんなって言葉よりもありがとうって言葉が聞きてえ」
    フーシャ村でもあんまり聞いたことなかったけどなとルフィは笑いながら続ける。
    「ルフィ……」
     その笑顔を見て、私は…
    「それにおれうれしいんだ! なんだか久々にウタと話せた感じがしたしな!」
     ルフィはそういいながら背中をバンバンと叩く。背中に刺激を感じる。
    「じゃあいこうぜ! 今日はサンジがすっげーうまそうなパン焼いてくれてんだ! おれもう腹減って仕方がねーんだ!」
     ルフィは私の手を引き扉を開く。いつものように優しく、楽しく、うれしそうに。
     そんなルフィを見て私は…
    「ねぇ、ルフィ・・・ゴードンさんって知ってる?」

     そうして私はまた考えちゃいけないことを考えてしまった。

  • 74二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 05:36:28

    保守

  • 75二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 16:32:41

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:47:53

    明日の夜更新します

  • 77二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:48:00

    ほしゅ

  • 78二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 06:52:27

  • 79二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 16:02:27

  • 80二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 22:52:13

    ごめん! 想像以上に急いんで朝一に流します!

  • 81二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 23:29:27

    納めまする

  • 82二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 23:44:46

    微妙に目に光があるウタちゃん…髪は下がりっぱなしの…素晴らしい…

  • 83二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 06:39:31

  • 84二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 06:50:34

    >>81

    神絵、感謝…!!

  • 85二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 16:29:13

    ホッホッホッ

  • 86二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 17:09:59

    もそもそと食べ物を口の中に運ぶ。味はわからない。
     この食べ物も食べていいのかわからない。けど平静を装うために無理にでも口に運び、咀嚼する。
    「どうしたんだい、ウタ? なにか辛いことがあったのかい?」
     ゴードンはおっかなびっくりしながら私に尋ねる。
     やはり、そんなに態度に出てしまっていたのだろうか。……やっぱりゴードンには言うべきだと思った。

     エレジアの真実を。私がエレジアを滅ぼしたということを。

    「もしかして、配信のほうで何かあったのかい? もし辛いのならいつでも辞めていいんだ」 
     ゴードンは優しい。この国が滅びたというのに、シャンクス達に…置いて行かれた私をここまで育ててくれた。ただ育てるだけでなく、演奏家として作曲家として作詞家として歌手として、音楽に関するありとあらゆる知識を授けてくれたすごい人だ。
     それなのに私は今、大きな裏切りをしている。彼には正直に話そうそう思い、フォークを置こうとして・・・
    「わかったよ、ウタ。なにかあれば呼んでくれ。いつでも駆けつけるから」
     そういったゴードンの声には優しさと一緒に『恐怖』が混じっていた。
     ここはエレジアの城。といっても私とゴードンしかおらず閑散としていて、この大きな部屋ではゴードンの小さな声は皮肉にもよく響いた。
     だから聞き取ってしまった。
     ゴードンは私を怖がっている……?
     そそくさとゴードンは私に背を向け部屋を出ようとする。

  • 87二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 17:11:28

    「……ゴードン」

    「な、なんだい? ウタ、私にできることがあれば…」

    「ゴードンはどうして私に優しくしてくれるの?」

    「それは……君がシャンクス達に騙されあまりにも不憫だったからだ」

     私はゴードンのいっている言葉ではなく、声色に耳を傾ける。

     そしてわかる。これは嘘だ。今になって気が付いた、ゴードンはずっと嘘をついていた。でもなぜ?

    「ゴードンはシャンクス達のこと、どう思っているの?」

    「シャンクス達のことかい……? ……酷い連中だと私は思っているよ」

     これも嘘だ。緊張と後ろめたさの乗った声色。

     なぜ? なぜ? 後ろめたさを感じるの、ゴードン?

    「酷い連中だったよね……。ごめんね、ゴードン。私のせいで……」

    「何を言う! 君は被害者だ! それに私はあの夜に君を守り世界一の歌姫とすると誓ったんだ! 君は悪くない」

     これは本心だ。必死で強い決意を感じる。

     もしかして、ゴードンは……ううん、ゴードンとシャンクスは……私を守るために?

     期待と高揚感で自分の心臓の音が鳴り響く。同時に冷えた頭がまったく違う結論を出している。

     ゴードンとシャンクスの答えが私の期待通りであってほしい。

     いや期待通りにはならない。まとまった思考こそ残酷だが、真実だ。

     ……確かめるしかない。『この言葉』を言って確かめたい。

     でも『これ』を言ったらゴードンは怒ってくれるかもしれない。試しているようで気が引けるけど、私はゴードンを信じたい。

     むしろ私はゴードンに怒ってほしかった。こんなバカなことを言ったらダメだって。

    「ありがとうね。ゴードン。……やっぱりシャンクスは許せない。……『復讐』、したいな……」

    「! あ、あぁ……気持ちはわかるが」


  • 88二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 17:43:35

    長い沈黙が部屋を支配する。


    「なーんてね! 嘘だよ、ゴードン! 私はそういう暴力みたいなのは嫌いだよ! ごめんね! 最近考えてる歌詞とか作曲が物騒だったから」

    「あ……あっそうだろうね! はっはっはっは、分かっているとも! ウタ、余り物騒なことをいうもんじゃないよ」

    「はーい! じゃぁパパッと食べて…ごちそうさまでした。 …ありがとうね、ゴードン」


    私はさっさと食べ物をかきこんで、部屋を出る。

    廊下を歩く。長い長いいつもより長い廊下を歩く。

    自分の部屋に入り、へたり込む。


    「ゴードンの嘘つき……シャンクスの嘘つき……」

     嘘だった。ゴードンの声色は恐怖一色だった。

     顔は見ていない。どんな顔をしているのか分かり切っているから。

     そうだ、お前はエレジアに置いて行かれたんじゃない。置き去りにされたんだ。

     私がひどいことをしたんだ。だから置き去りにされて当然だったんだ。

     シャンクス達は私を守るためにエレジアにおいて行ったんだ。

     何が海賊嫌い。何が悪い海賊。何が許せない。何がみんなの希望。何が歌姫

     疑ってしまった、大事な人たちを。試してしまった、大事な人たちを。

     そして知ってしまった。自分の本質はどんな『怪物』なのか。

    「ごめんなさい、ゴードンさん… ごめんなさい、シャンクス…ごめんなさい、ベック、ごめんなさい、ホンゴウさん…ごめんなさい、ルウ……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

     涙を服で拭う。それでも止まらない。

     お前には泣く資格なんてないのに

     信じなかった自分が一番悪いのに。

  • 89二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 17:57:19

     ふと腕のマークを見る。大切な私の中にある最も純粋で綺麗な思い出の象徴。

     新時代へ至る大事なルフィとの約束手形。それすらも自分で穢している気にしかならない。

     私は不意に、筆ペンを取り自らの首を狙って大きく振りかぶる。

    bbs.animanch.com

    「こんなのが、こんなのがあるのがいけないんだ…!」

    『ねぇウタちゃん。私ウタちゃんの歌がずっと聴いていられる世界に行きたい』

     不意に声が聞こえた。この声はロミィちゃん。元気な女の子でいつも私の歌を聞いてくれる。

    『ウタのコンサート、あるならいってみたいなぁ』

     この声はヨルエカくん。いつも牧場のお世話で大変に苦労している子だ。

    『ウタ、あなたならこの苦しみをわかってくれるはず』

     この声はロミーさん。私が歌い終わると私に祈りをくれる。

     ファンのみんなの声だ。はっきりと声が聞こえる

    『ウタ、助けてくれ、海賊が!』

     この声はグーフーさん。魚人島に住んでいて海賊に苦しめられた愚痴を聞いている。

    『ウタ、天使の歌声よ! 歌ってくれ! ウタ!』

     他にもたくさんのファンの声が聞こえる。頭の中に流れてくる。

     腕をゆっくりとおろし、うなだれる。

     

     

  • 90二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 17:59:15

    自分で自分の心を蹂躙していくとは痛々しいし哀れ…

  • 91Phantom of UTA22/11/17(木) 17:59:50

    泣いている暇なんかない。苦しんでいる資格なんてない。死んでしまうほうがいいに決まっている。
     でも彼らはもっと苦しんでいる。お前はそれを放置するのか?
     放置なんてできない。なら、今、彼らを放って死ぬのがやるべきことなのか?
     無理だ。私は彼らを裏切って死ぬことなんてできない。
    「違う。放っておくことなんてできない」
     ならどうすればいい? 何ができる?
    「歌を歌う……みんなの心の支えになる……」
     本当に、それだけ? 彼らはそれだけを望んでいる?
     彼らは逃げたいんじゃないのか? ここではないどこかに
    「……そう、ウタワールドに」
     振り返るとそうだ。みんなをウタワールドに招待すると喜んでくれた。私の歌はみんなを不幸にする。でもウタワールドでならみんなもきっと…
     そうだ そのために歌うのだその天使の歌声で
    「うん、わかったよ。みんな・・・私、新時代を作るよ」
     歌うのだ。みんなのための新世界をみんなが平和で楽しく争いのない私みたいな『怪物』がいない世界にみんなを逃がすのだ。
     そうだ歌うのだ 歌い上げるのだみんなのために お前の心に従い歌うのだ
    「みんなの心を救えればきっと・・・」
     心を救うために歌おう 唄いあげよう 唱いあげるのだ ……私たちのために
     私はその日、歌った。すがるように、許しを請うように、この声が枯れ果てるまで歌い続けた。

  • 92Phantom of UTA22/11/17(木) 18:10:34

    ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
     歌声が聞こえる。荒々しく、悲しい歌声が。
     歌声はエレジアを震わし、聞いたもの皆がその歌声に心を打たれるだろう。
     ゴードンは腕の震えを抑えながらただその歌声を聞くことしかできなかった。
    「ウタ、君の歌声は天使の歌声だ。みんなを幸せにする。それは間違いない。だが、君自身が無理をしたら元も子もないんだ。だから…あぁ、なぜ私はそんなことが言えないんだ……私は何と愚かな男なんだ……」
     それを言って何が解決するのだろうか。ゴードンはそう思いながら、4枚の楽譜を睨み付ける。
     彼女は明らかに無理をしていた、なのに勇気づけるどころか彼女の目を見た瞬間、恐怖が勝ってしまった。
     それを察したのか、彼女は言いたげな言葉を引っ込めてしまい、立ち去ってしまった。そしてゴードンは憤った。その言葉を聞かなかったことにではない。
     その言葉を聞かずに安堵していた自分に怒りをぶつけることしかできなかった。
    「すまない、シャンクス……すまない、ウタ……」
     そのつぶやきも歌姫の歌声に塗りつぶされ夜の闇へと消えていった…
     ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

  • 93二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 02:22:42

    辛え…しかし見事な心情描写だと…お前は語り継がれる…

  • 94二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 11:37:54

    ゴードンさんも悩んでるんだよな…

  • 95二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 20:30:31

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 00:59:10

  • 97二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:21:14

    ほしゅ

  • 98二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 18:23:49

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 18:29:25

    そういやなんでルフィ達エレジアにきたんだ...?

  • 100二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 23:31:19

    確かに何で来たんだろう?

  • 101二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 11:06:13

    ルフィが配信見たとかじゃない?

  • 102二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 16:59:15

    このレスは削除されています

  • 103二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 22:58:34

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 05:35:15

    ほっしゅ

  • 105二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 17:11:03

  • 106二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 23:49:39

  • 107二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 07:36:05

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 17:45:14

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 05:06:42

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 14:53:01

  • 111二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 21:55:48

    保守

  • 112二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 05:24:16

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 12:35:11

  • 114二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 21:37:55

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 05:50:40

    ほっほっほ

  • 116二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 13:42:58

     ゴードンに会いたい、そういった時にルフィの顔から笑顔が消えた。
     「ウタ、ちょっと待っててくれないか」
     ルフィがそういうと私の手を握ったまま、私のいる部屋を出た。そういえばルフィはゴム人間だから手を握りながら外に出れるんだなっとぼんやりと考えていると、外から複数の話声が聞こえてきた。
     内容はわからないが、ルフィの仲間たちが言い争っている。ルフィの声は聞こえない。
     やがてわずかな静寂が訪れる。私が知っている限りこの船でこの空気は初めてだ。まるでエレジアにいたときのような誰もいない静かな時間が流れる。
     ルフィの声が聞こえる。
     ガチャっと扉が開く音が聞こえる。ルフィだ。
    「ウタ、一緒に来てくれ」
     有無を言わせないガンとした口調でルフィは私に伝える。私は首を縦に振って、ゆっくりと立ち上がり、ルフィにつれられたまま船の中に移動する。
     私たちは扉の前に立つ。確かチョッパーさんに一度紹介された場所だ。中には入ったことはない。体の調子もチョッパーさんの診療室で見てもらってばかりだからだ。
    「開けるぞ、ウタ」
     そういうと、ルフィはゆっくりと扉を開ける。
     そこには人がいた。

  • 117二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 13:43:08

    「その声はルフィ君かい?」
     聞き覚えのある声だ。誰に対しても気遣うような優しい声。
    「もしかして、ウタになにかあった・・・」
     見覚えのある顔だ。その顔を見ると常に私のことを想ってくれた朗らかな笑顔を思い出す。
    「・・・・・・ウタ?」
     でもこんな体は見たことない。
    「ウタなのか?」
     もっと大きくて、私が届かない場所にも届いた大きな背丈。
    「ウタっ・・・! 辛かっただろうに…、私のところに来るなんて…」
     手と手が触れ合う。私の知っているその手はもっと暖かくてごつごつしたはずで、
    「こんなにもやせ細って・・・、すまない、本当にすまない…!」
     目線は常に私に合わせようと努力していたのに、
    「君は悪くない、悪くないんだ・・・。この怪我は私への罰なんだ…!」
     ゴードンは全身に包帯を巻き、やせ細り、手の指は一部欠けて、私の顔がどこにいるのかわかっていない。
     後ずさる。なんで、どうして、いつのまに、疑問が沸き上がる。
     どうでもいい。どうでもよくない。目を向けなければいけない。
     思い出す。思い出せ、思い出すんだ!!
     二人の手を振り払い、私は走り出す。
     そうだ、思い出せ 思い出すんだ
     
    お前が彼から全てを『奪った』んだ

     思い出す。思い出した。思い出した!!
     
     あの日、何があったのか。あの時私が何をしたのか、私がなにをしでかしたのか

  • 118二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 21:04:04

    えっ?ゴードンさん…?

  • 119二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 00:42:51

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 07:47:32

  • 121二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 18:10:26

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 22:31:31

    このレスは削除されています

  • 123二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 22:32:30

    泣かないで…

  • 124二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 07:30:33

    おはようの保守

  • 125二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 09:55:40

    ウタちゃんは強くて優しすぎるのね

  • 126二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 17:42:10

    ほす

  • 127二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 20:46:32

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 06:13:49

    ホs

  • 129二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 16:00:14

    保守

  • 130二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 01:40:42

  • 131二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 12:54:29

    保守

  • 132二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 22:35:06

    このレスは削除されています

  • 133二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 00:57:20

    どうか続きを…!

  • 134二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 07:23:03

  • 135二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 16:12:07

    保守

  • 136二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 01:21:45

    待ってる

  • 137二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 09:11:21

    みなさん、ありがとうございます。保守感謝と生存報告です。明日までには区切り悪いかもしれませんが更新します。

  • 138二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 19:11:58

    ほしゅ

  • 139二次元好きの匿名さん22/12/01(木) 23:38:16

    続きを…

  • 140二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 07:41:31

  • 141二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 15:17:11

    このレスは削除されています

  • 142二次元好きの匿名さん22/12/02(金) 21:30:27

    「みんな、ウタだよ! 今日の配信は久々の語り弾き! みんな楽しみにしてね!」
     私はギターを両の手に持った姿を電伝虫に映しながら配信を始めた。あの日、みんなのための新時代を作ると決めた日からより積極的に配信に挑むようになった。
     ただ私は歌や配信だけでなく沢山のことを勉強した。まずはお城にある地下の書庫に出向き、あるものを片っ端から全部読んだ。歴史のこと、世界のこと、音楽の知識のこと、建築のこと、経営のこと、数学のこと、詰めれることは沢山詰め込んだ。
     ただ、書庫自体はとても古く中には何の文字で書かれているのかもわからない文字もあり全部が全部読めているわけではなかった。
     それでも書庫に出向いたのは正解だったと思う。
    『ウタちゃんの語り弾き大好き!』
    『ウタさんの語り弾きはわしら世代の曲が多くて助かるわい』
    『ウタって博識なんだな』
     こんな風に配信でもバリエーションが増えて今まで興味がなかった人にも目を向けてくれるようになっていってくれたし、みんなの笑顔も増えているのを直に感じ取れてる。
    「ありがとう、ラミィちゃん! アマゾンさん! メガくん! それじゃあ一曲いってみよう!」
     私はみんなの声色が好きだ。私の歌を聞きに来る人はみんな幸せいっぱいの声で語りかけてくれる。
     歌うのは好きだし、私が歌って幸せになってくれるのは本当に嬉しい。この時だけは私もしがらみとか罪悪感を忘れることができてのびのびとできる。
     そうして私が歌い終わるとみんなの拍手と歓声で配信の音声はいっぱいになった。『世界の歌姫』とか『ウタ愛してるー!!』なんて本当に嬉しい言葉ばかりで・・・ぐっと私は涙をこらえて笑顔で応える。
    「ありがとう、みんな! ありがとう! 私もみんなのことが大好きだよ! それじゃあね、アマゾンさんがこの前リクエストでくれた恋愛ソングとか歌おうと思ってるんだ! 恋愛って私にはよくわからないけど、歌詞の韻の踏み方がすごくうまくてびっくりしちゃったんだ」
     私はギターの弦を調整しながら声を弾ませる。恋愛ソングは初挑戦だしアマゾンさんの『甘酸っぱい私の青春のような歌』っていうのをどこまで再現できるかわからないから緊張する。
     昔にもトーンダイヤルがあればいいんだけどなぁって思いながら、でもアマゾンさんに喜んでもらえるならそれは最高の歌になると思うと同時にわくわくが止まらなかった。

  • 143二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 08:34:45

    続き来た…!

  • 144二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 10:33:47

    たのしみ

  • 145二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 16:45:33

    期待

  • 146二次元好きの匿名さん22/12/03(土) 23:37:23

    『ねぇ、ウタちゃん。それも嬉しいけどさ…』
    「どうしたの? メガくん? あっ、なるほどね! この前教えてくれたマリアさんの音楽聴いたよ! すごいよね、マリアさんにどこまで近づけれるかわからないけどちゃんと歌えるようにしてきたから期待してて! でもまずはアマゾンさんのリクエストが先!」
     ギターの調整も終えていざ、もう一曲!
    『いやそうじゃなくてさ…』
    「ん? どうしたのアンジュさん?」
    『歌もいいけど聴いてほしいんです。・・・海賊が私の村で何をしたのかを』
    「あっ・・・」
     私はそこで手を止める。同時にみんなは口々に思っていることを話し始めた。
    『ウタ、税金が増えてで次の冬を越せるかわからない』
    『うちはまた近所に奴隷狩りがうろついててなにもできない』
    『村が海賊に焼かれたせいで住める場所がなくなった・・・』
    『世界政府も海軍も何もしてくれない』
    『海賊に小麦粉とお菓子が欲しいからって町が破壊されたんだ』
    『ウタ様どうかお導きを…』
    『あなたならこんな世界から解放してくれると信じてる、だから・・・』『だから・・・』『だから…』
    『『『『『『『ウタ、私たちを助けて』』』』』』』
     異口同音に私に助けを求めてくれる。私を必要としてくれている。そしてわかってしまう、みんなの声が悲痛と嘆きで彩られているのを。

  • 147二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 11:14:00

    保守

  • 148二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 15:15:13

    保守

  • 149二次元好きの匿名さん22/12/04(日) 22:44:39

  • 150二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 06:37:25

  • 151二次元好きの匿名さん22/12/05(月) 17:22:32

    ほしゅ

  • 152名無し22/12/05(月) 22:53:04

    保守

  • 153二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 08:59:03

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん22/12/06(火) 18:29:16

    このレスは削除されています

  • 155二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 05:21:05

    ホシュホシュ

  • 156二次元好きの匿名さん22/12/07(水) 15:01:48

    保守

  • 157二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 02:44:05

    保守

  • 158二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 12:45:28

    保守

  • 159いつも保守ありがとうございます22/12/08(木) 23:26:54

     異口同音に私に助けを求めてくれる。私を必要としてくれている。そしてわかってしまう、みんなの声が悲痛と嘆きで彩られているのを。
     最初は雑談という体でただみんなとおしゃべりしているだけだった。羊のお世話は大変だとか学校での勉強辞めたいとか、自分の村のおいしいシチューの話みたいなそういう他愛のない話。私も自分が牛の世話をしたり海岸で見つけた面白いものの話をしたりと、久々に血の通った会話ができて嬉しくて、私はついつい雑談の時間を伸ばしてしまうことがあった。
     その時からだろうか、だんだん雑談ではなくてみんなの悲しみを聞く時間になっていったのは。
     知識としては私も海賊がどんな存在かは知っていた。私のいた赤髪海賊団は世間一般のいう海賊たちとはかけ離れてはいたけど、実際にこの目で見て聞くとその実情は大違いだった。
     映像を通して生々しい破壊を見せられた時、私の胸は押しつぶされそうだった。
     そしてその時に私は本当の意味で理解した。私がどんな場所で生まれ育ったのかを。そして私が今まで食べていたものはどんなお金で作られていたのかを。私は罪悪感で胸が押しつぶされそうだった。
     真実を知った今となっては、その罪悪感に苦しめられることそのものがおこがましいとわかったのだけれども。
     そんな彼らの助けになろうと私は彼らの話をしっかりと聞き、時には私の稼いだお金で村や町の一部を復興するお金の支援をしたりしていると、いつの間にかみんなはどんどん私のことを、
     救世主と呼び始めた。
     その名は留まるところを知らずに世間には大々的に知らされ、「海賊嫌いのウタ」と呼ばれるようにもなった。ここ最近はそういった噂が影響したのか、どんどん人が増える一方で、どんどんこの時間が増えている。
    「…………うん、わかったよ。今日もみんなの話しっかり聞くよ!」
     私はギターを脇に置き笑顔を作る。もっとこの歌が上手なら歌うだけでみんなの心を満たせれられるのに、私はいまだにその域に達していない。
     悔しいという内心の忸怩たる思いを心の隅に追いやり今日もまた、私は救世主として活動する。
     なによりもあの夜決めたはずだ。みんなが望む「新時代」へ連れていくことを。

  • 160いつも保守ありがとうございます22/12/08(木) 23:27:18

    『ウタ様、あなたのいう新時代へは何時行けるのでしょうか?』
    「ごめんね、まだまだ私も準備不足なんだ。でもライブまでには間に合わせるから!」
    『新しい時代が来てくれれば誰かこの世界を変えてくれたらって思ったし、やっぱりそれにはウタちゃんしかいないと思う。まだ戦ってるよね。私もまだ戦うよ。諦めないよ』
    「まかせて! 私が海賊がいないみんなの望む『幸せで誰も争わない平等な』新時代には必ず連れて行ってあげるから!」
     私は笑顔であり続ける。私にとっては信じられないかもしれない世界でもみんなが望んでいるなら、みんなが信じているなら私はやりきる。
     私がそう宣言するとみんなの声は喜びに満ち溢れていた。
     そうして今日も始まる、救世主ウタとしての時間。やることといえば、最初に計画の進捗具合をみんなに共有した後、みんなが思っている愚痴や不満を私が聞く時間。
     計画のほうは私が提案するたびにみんなが同意してくれるのですぐに終わる。でも、みんなの苦しむ声の時間はとにかくたくさんとる必要があり、その多くが海賊による被害への嘆きと怒りだった。
     
     けどその日はまったく違った声が飛び込んできた。

  • 161二次元好きの匿名さん22/12/08(木) 23:40:11

    このレスは削除されています

  • 162二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 07:59:06

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 08:11:02

    >>160

    どうなんのコレ…

  • 164二次元好きの匿名さん22/12/09(金) 18:13:37

    ほす

  • 165二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 05:51:32

  • 166二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 16:51:40

    保守

  • 167二次元好きの匿名さん22/12/10(土) 22:42:09

    ほす

  • 168二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 08:54:09

    hs

  • 169二次元好きの匿名さん22/12/11(日) 18:53:41

    どう壊れちゃったのか…気になる…

  • 170二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 02:18:53

    保守

  • 171二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 07:04:24

    待機

  • 172二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 16:04:28

    待機

  • 173二次元好きの匿名さん22/12/12(月) 22:35:36

  • 174二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 04:18:48

  • 175二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 12:18:37

  • 176二次元好きの匿名さん22/12/13(火) 21:31:23

    ほしゅ

  • 177二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 07:06:06

    ほしゅ

  • 178いつも保守してくれてありがとう22/12/14(水) 08:30:23

    『こんにちは、ウタちゃん。今日も元気で僕もうれしいよ』
    「うん、私もうれしいよ! ドレスローザでのお仕事はまだまだ大変そう? この前みたいに船場に海賊が船を止めて困ってるってお話、どうにかできたかな? 私に何かできることはある?」
    『あっ、う、うん、そのことなんだけどさ・・・。実はウタちゃんになら、ウタちゃんなら分かってもらえると思ってるんだけど、いいかな…?』
    「全然いいよ、私でよければいくらでも聞くよ!」
    「その、さ、海賊の麦わらのルフィって知ってる?』
    「麦わらのルフィ…? ううん、ごめんね。私は知らないな」
     麦わらとルフィ。私にとってはどちらもなじみ深い単語だった。
    『その…もしさ、ウタちゃん。もしもだよ? もしも・・・海賊にも中にはいい奴がいるって言ったらウタちゃんは信じる?』
    「え・・・?」
     青天の霹靂。そんな言葉が似合う本当に予想外の声が飛び込んできた。
     その瞬間、私の心にはフーシャ村でのシャンクスとルフィ達との楽しい思い出が艶やかによみがえる。

  • 179いつも保守感謝です22/12/14(水) 08:32:05

    『実はうちの国の王様は本当はとんでもなく悪い海賊で、そいつのせいで、おれお父さんは人形に変えられて、お父さんがいたことすらすっかり忘れてたんだ』

    『でも、麦わらの一味とその仲間たちがおれたちドレスローザを助けてくれたんだ! それでお礼がしたいっていうのにみんな自分たちは邪魔になるからって、悪い海賊をやっつけるなり帰っていったんだ…』

    『ウタちゃんが海賊嫌いなのは知ってる。…でも海賊がみんながみんな悪いわけじゃないって思うようになったんだ。本当は中にはいい奴もいるんじゃないかって…どうかな…?』

     不安そうにこちらを見つめる彼の声には私への申し訳なさと彼らを讃えたいという純粋な思い、そして「海賊嫌い」の私に打ち明けたい勇気が宿っていた。

    『じ、じつはさ…わたしたちも麦わらの一味に助けられたことあるんだ…』

    『わたしはハートの海賊団に我が子を』

    『おれは白ひげの親父に! あの人がいなかったら魚人島はとっくに滅んでた!』

    『非加盟国の私達を守るためにキャベンディッシュ様が悪い海賊に助けてもらったの、それにサインも貰ったの!』

    『お、おれも麦わらの一味は悪くないと思うぜ。特にキャプテンウソップは勇敢な海の戦士だと聞いたことがある』

    『そうだ! 魚人島だとホーディをやっつけてしらほし姫を救ったのは麦わらの一味だ! あいつらこそ大恩人だ!』

    『エースくんがいなけりゃわしらの村は壊滅じゃった…! あの子が海賊王の子供でも受けた恩は一生忘れんよ』

    「みんな・・・」

    https://bbs.animanch.com/storage/img/1258528/119

  • 180二次元好きの匿名さん22/12/14(水) 16:20:07

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 00:26:38

    保守

  • 182二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 08:26:59

    ほしゅ

  • 183二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 19:43:29

    そこからは続々と『いい海賊たちに守ってもらった』という人たちの声が上がり始める。きっとみんなは我慢していたのだんだ。本当は助けてもらったのに、本当はいい人たちもいるって、言いたかったのに言い出せなかったんだ。
     みんなの声を聞いて私は少しずつ希望が湧いてきた。
     今なら、私がシャンクスの娘だってことをみんなに言えるかもしれない。
     悪い海賊は嫌い。エレジアにも定期的に現れるし、みんなを傷つけていることには代わりはない。
     でもシャンクスたちは違う。自由で楽しくて歌が大好きで冒険が好きな本当の海賊たち。
     それにシャンクスたちは今まで悪い海賊たちを倒してきて、エレジアのことで汚名を被ったのも私のせいなんだ。だから、私が誤解を解いてみんなとシャンクスたちが仲良くなればそのほうがいいに決まってる。
    きっと名前が一番多く挙げられている『麦わらの一味』もそうだ。シャンクスたちと同じように悪い海賊たちをやっつけて、陽気に歌う私の知ってる本当の海賊。
     それならみんなが望んでる計画だって変えてもいいかもしれない。
     もっと、昔みたいなルフィと約束した『新時代』に連れていけるかもしれない。
     ・・・それはお前が望んでいることでみんなが望んでいることじゃない
     そうかもしれない。でもやれるならみんなとシャンクスたちが仲良くなった方がいい。
     シャンクスは海賊だ 嫌われるに決まっている
     それでもみんなが勇気を出しているのに、私が勇気を出さないなんて間違ってる。私は嫌われてもいい。でもみんなとシャンクスたちが仲良くなれる可能性があるならそれにかけたい!
    「ねぇっ、みんな・・・『ふざけんじゃねぇぞ!!!』・・・え?」

  • 184二次元好きの匿名さん22/12/15(木) 23:24:28

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 07:00:33

    保守!

  • 186二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 18:05:36

    保守 

  • 187二次元好きの匿名さん22/12/16(金) 23:48:31

    保守

  • 188二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 02:00:02

    ウタちゃん優しくてかしこくて、でもやっぱり夢見がちで…うう…

  • 189二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 08:59:29

    ここからあんな風になってしまうのか…

  • 190二次元好きの匿名さん22/12/17(土) 13:49:53

    これファンも割れてるからみんなを新時代に連れて逃避という逃げ道すらなくなってる?

  • 191ここのスレ主22/12/17(土) 18:17:51

    ゆっくり進行してるこのスレではあるが
    (最早神SS作者が更新してくれるの待ちで保守っている所ある)

    そろそろ次スレいる?

  • 192二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 03:36:00

    このレスは削除されています

  • 193二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 03:38:58

    >>191

    近々立ててくれたら嬉しい

    神ssできたら完結まで見届けたいよね

    盛大に誤字ったから送り直しました

  • 194二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:28:30

    このレスは削除されています

  • 195ここのスレ主22/12/18(日) 05:46:09
  • 196二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:46:28

    うめ

  • 197二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:46:55

    ウタちゃんに突きつけられる現実

  • 198二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:47:37

    さてウタちゃんの記憶とは

  • 199二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:48:18

    彼女の心は治るのか
    麦わら晴れは訪れるのか

  • 200二次元好きの匿名さん22/12/18(日) 05:48:50

    次スレにて更新を待つ…

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています