【閲覧注意】ペパーの性癖が純愛妹系後輩学園物だった件について

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:37:46
    【閲覧注意】ペパー コライドン アオイ お別れだ|あにまん掲示板……っと、そういえばエレベーターで約束していたことを忘れていた。
すまないアオイ。私をとめてくれる代わりにペパーがここ一月で抜いた時の本と回数を教えるんだったな。
竿役の事をお兄ちゃんと呼ぶ純愛後輩も…bbs.animanch.com

    ハローあにまん民たち。

    こちら上スレの160。

    時間が出来たので、残りのスパイス駄文をのんびり書いていこうと思います。

    スレ主が語彙力がないために遅れてしまったことを詫びます。


    知らない人に説明すると、このスレにおけるペパーは竿役のことを『お兄ちゃん』と呼ぶアオイに良く似た少女がヒロインの同人誌で抜いているという世界線です。


    過度な期待はしないでくれ

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:40:21

    「アボカド……ピーマン……ハラペーニョ……そして、味付けに秘伝にがスパイス……」

    オレンジアカデミーの自室にて、野菜とにがスパイスがこれでもかと言うほどに詰め込まれた見るからにとてつもなく苦いであろうサンドイッチとアオイが睨めっこしていた。

    このサンドイッチは学食で食べられるものではなく、正真正銘彼女の手作りである。宝探しが始まってばかりの頃は不揃いなサンドイッチばかりを作っていたアオイであるが、宝探しの期間が終わり、学校生活は後期の授業となった現在。家庭科授業の講師であるサワロとアオイの友人であるペパーの努力が実を結び、ついに上からパンを落とさず普通に乗せることを覚えたのだ。

    そんなアオイの調理技術の上達を最も喜んだのは本人や友人ではなく、それを食べることになる当事者達…つまりは彼女の相棒のコライドンやマスカーニャ達であった。

    さて、サンドイッチに話を戻そう。
    実はアオイは苦味というものをそれほど得意とはしていない。里帰りした時に母親から野菜が食べられるようにサンドイッチのレシピを教えてもらうことからも、彼女の野菜嫌いが伺えるだろう。

    もちろん野菜を全くもって食べないという訳では無い。現にバトル学講師キハダが作った肉ばかりで大味だったサンドイッチには「野菜を入れた方が良いのではないか?」と、苦言を呈すほどではあった。あくまで好んでは食べないというだけである。

    ……とはいえ、では何故わざわざそんな苦手な味のサンドイッチを作り、食べもせずに睨み合っているのか?


    その理由は今から1時間ほど前にまで遡る……

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:42:34

    ​───────​──

    カチャリとドアノブを回した時の小さな音と共にアオイはそっと部屋のドアを開けた。
    多くの食材が入った箱が所狭しと積み重ねられ、隅から隅までマフィティフの毛1本すらなく掃除されているこの部屋はアオイの部屋では無い。彼女が想いを寄せている友人ペパー青年の部屋である。

    しかし、当の部屋主は現在留守であり、そしてアオイはそれを知っていながらこの部屋へと入ってきたのだ。

    「……………」

    部屋主がいないと知っていながらもアオイは警戒を緩めず、キョロキョロと顔を動かし辺りを確認する。街中で見かければ警察へ声をかけられるであろう。そんな不審な動きをしている彼女の目的はただ1つ。とある本を入手することだ。

    その本のタイトルは『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが』。

    タイトルだけ聞けばライトノベルと思うかもしれないが、れっきとしたエッチな本である。
    アオイがこれまで読んだことがあるのはシリーズ最初となる『メロアマスパイス編』、そしてその続きとなる『恥じらいのシオスパイス編』である。この2冊によりアオイは『情愛』と『羞恥』について学ぶ事となった。

    なお、明らかに間違った方法で知識をたくわえているアオイであるが、彼女の性知識は後期の保健の授業が始まったばかりで発展途上であるということを頭の片隅に入れて置いて欲しい。

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:45:22

    …!今回のアオイの目的を説明しよう。

    前回訪室時にどろぼう……もとい、拝借していた『しおスパイス編』をトリック……もとい返却し、次の本を手に入れることが今回の任務である。

    ひょんなことから始まったスパイス探しもついに三冊目だ。残るエロ本(スパイス)は3つ。新たに幕を開けたレジェンドルートも中盤へと差し掛かっているのだ。

    部屋主がいないことを何度も確認すると、準備は完了である。
    こうして再びこの学び舎にて、未知を知り知見を深めるための『宝探し』が始まったのである。

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:51:43

    部屋に入り、手早く返却する予定の本をバッグから取り出したアオイは、それをベッドの下へと滑り込ませた。
    これにて証拠隠滅は完了であるとアオイは思っているが、部屋主からすれば無くしていたと思っていた本が急に出てくるというのは明らかに不審であるということを彼女はまだ気がついていない。

    なお、それがしっぺがえしとなるのはしばらくあとのことなので今は割愛しよう。


    早速目的の1つを達成したが、次の本がどこに隠されているかをアオイはまだ正確には知らない。
    モタモタしていると部屋主が帰ってくる可能性があるが、アオイの心に焦りという感情は全くなかった。
    なぜなら、既に次の隠し場所にある程度の目処がたっていたからである。

    ウソッキーを隠すなら森の中という言葉がある。その先人の言葉に従うならばエッチな本を隠すなら本棚という可能性はないだろうか?

    その思考にたどり着いたアオイはオカルト本が並ぶ本棚を見る。一見特に何の変哲もない本棚に見える。
    この時、アオイはジムリーダーコルサとの勝負を思い出したのだ。『ウソからでた実』。ウソッキーという偽物をテラスタルすることで本物の草タイプへと変えたのだ。

    そこからアオイはとある可能性の存在を導き出す。ウソッキーと同じように、隠したい本もブックカバーを変えてオカルト本に成りきっているんじゃないだろうか?と。

    ……もしもジムチャレンジをしていなかったのならば、アオイはこの答えへとたどり着くことが出来なかっただろう。前の宝探しで知見深めその身につけたことにより、新たな宝探しでの成果へと繋がったのだ。

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 01:57:27

    その予想は正しく、4冊目に手に取った本が偽装された本であった。

    カバーを取り外しタイトルを確認する。

    『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが〜上手にごっくんできるもん!ニガスパイス編〜』



    アオイはその本を満足そうにバッグの大切なもの入れへとしまう。
    隠された宝を見つけることが出来たアオイの心は充実感と達成感で満ち溢れていた。
    エリアゼロという未知なる世界へと挑み多くの発見をした冒険者ヘザーはきっとこんな気持ちだったのだろう。いつの間にかアオイは名前しか知らない偉人へ尊敬の念を抱いていた。


    目的の物を手に入れ真っ直ぐに部屋へと戻る、誰よりも自由な冒険者の姿がそこにはあったのだ。




    ​───────​───────​───────

  • 7二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 02:15:15

    自室へと戻ったアオイは扉の鍵を閉めた。
    そして3回ほど鍵がしっかりとかかっていることを確認する。
    前々回は今まさに始めようとした時に鉢合わせてしまった。同じテツノワダチを踏む気はさらさらないのだ。


    アオイは恐る恐るページをめくっていく。
    この本のヒロインであるアイちゃんはアップルアカデミーに通う1年生。2年生の料理が上手な先輩の事が大好きで『お兄ちゃん』と呼び慕っている。また、夜は通いメイドをしているとか何とか。相変わらず謎の設定ではあるが、この本のヒロイン『アイちゃん』がアオイに雰囲気が似ているということを、とくせいがどんかんである彼女は3冊目にもなってまだ気がついていないのだ。
    なお、その先輩が想いを寄せているペパー青年に似ていることにはすぐに気が付いたのではあるが。

    そして、ペパーに似た男性がいるというのも彼女がこの本に対してとても強く興味を惹かれた理由でもある。


    最初の数ページは相変わらず普通の学園ラブコメのようである。先輩とアイちゃんが一緒にいて周りの生徒に茶化される描写があった。
    2人きりで隠れてキスをしているシーンなどが出てきた時には「ペパーとこういう事が出来たらな…」などと思ったりもする。

    そんなふうに読み進めていく中で、男性に体を近づけた本の中の少女が、目線を足元へと移し顔を真っ赤にしながらあること言った。


    『……ごほうしするね。』



    (ほうし………? キノココ……?)


    彼女の頭の中で「ほうし」という言葉が何を指している言葉なののかがピンと来ない。ほうしと聞けば彼女はポケモンの特性か『きのこのほうし』が浮かんでくる。
    『きのこのほうし』という言葉はやや惜しくはあるのだが。

  • 8二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 02:33:27

    さて、

    アオイの性知識は後期の保健の授業が始まったばかりということを覚えているだろうか?
    本のページをめくった時に描かれていた次の描写は、アオイの性理解をさらに混乱させることとなる。


    (えっ……? えっ!?)


    本の中の少女はズボンを下ろし、自身の顔の前に出た大きなキノコへと、てんしのキスをする。
    それを本の少女と同じように顔を真っ赤にしながら見つめるアオイには、その行為の意味が全くもって理解出来ていなかった。

    性行為……というものは授業で知識としてミモザ先生から教わりはじめている。
    また、やや間違った知識ではあるが、これまでペパーの部屋から持ってきていた本からも学んでいた。

    しかし、この本のような前戯というものはまだ殆ど学ぶことが出来てなかった領域なのである。

  • 9二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 02:34:02

    とりあえずここまでで少し寝ます
    続きはまた今日に…

  • 10二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 02:34:35

    このレスは削除されています

  • 11二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 08:23:02

    保守

  • 12二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 09:16:45

    待ってた
    保守

  • 13二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 14:32:11

    戸惑うアオイではあるが、本の中の少女達がしていることはその程度で終わるわけがなく、描写がさらに進んでいく。



    (え、くわえ…えっ!? なんで!?  『ソレ』はハーブソーセージでも、やきチョリソーでもないんだよ!!?)


    そんなことは当人たち……というよりも漫画内のキャラクター達は百も承知であろう。

    恋人とはこういう事もしなければならないのだと。
    完全に不正解というわけではないが、正解とは言えない的外れな理解がアオイの中で生じるが、脳内に生じたその間違いに対し解答をする者は当然いない。

    ここに彼女の良き友人のような立ち位置にいる養護教諭兼保健講義担当のミモザがいたのであればこの間違いは即座に訂正され、性行為という一連の流れの中でお互いの同意のもとに行う可能性のある事柄の一つでしかないという事を教えてくれただろう。

    そもそもアオイが今まで読んできた3冊の本は男性向けに書かれているものだ。ならば、設定からしてターゲットである男性にとって都合の良いものであるというのは容易に予測できる事であるが、未だその辺りの知識や理解が浅いアオイがその事をしるよしは無い。


    そんな間違いに気が付かないまま、涙目になりながらも必死でソレを口いっぱいに頬張り動かすアイちゃんと、それと快楽に耐える先輩の絵を見ながらアオイはある事を考えていた。


    (……私も、こういう事……いつか、するのかな?)

  • 14二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 18:21:07

    (……きっとこの子は、先輩に喜んで欲しいんだ。)


    あまスパイスの蕩けそうな時とも違う、しおスパイスの時のように羞恥と快楽に溺れてる時とも違う『アイちゃん』の様子を見て、アオイはそう考える。

    ネモにチャンピオンを目指してくれと言われた時も、ペパーにスパイスを一緒に探して欲しいと頼まれた時も、カシオペア……ボタンにスターダスト大作戦を依頼された時も彼女は二つ返事で了承しそれを見事に成し遂げた。
    そう、アオイは頼まれたら断れない性格なのだ。ただそれは押しに弱いということではなく、誰かに喜んでもらいたい。そういった献身的な気持ちからなるものだった。

    そんな彼女だからこそ、涙目になりながらも大好きな人に喜んでもらおうと頑張っている少女にアオイは強く親近感を感じたのだ。



    (……もしもだよ? もし、私がペパーと付き合えて、その……『こういう事』をすることになったとするじゃん………?)



    アオイがさらにページを読み進めると、何かが少女の口内に出された絵が描いてあった。
    少女の心の声曰く、ソレはとても苦くて粘っこい液体のようである。
    それでもソレを必死に飲み込む少女の姿。


    そういう時が来ることがあったとして、同じ事をしたら漫画のように頑張ったねと頭を撫でてもらえるのだろうか?
    同じ事ができたのならば、アオイにとって大好きな相手であるペパーは喜んでもらえるのだろうか?



    (それなら……私は……)

  • 15二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 20:24:59

    それから数分後。
    アオイは全てのページを読み終えた。
    当然だがそういう本であるため続きのページでは本番まで描写されている。相変わらず耳まで真っ赤にしながらもアオイは大きく深呼吸をし心の中で強く思う。(苦手な野菜……頑張って食べれるようにしてみよう。)と。
    母親が聞けば喜ぶが経緯まで話すと複雑な顔をするであろう決意をし、アオイは本を閉じた。


    これがこの日の昼食に苦手なサンドイッチを作ることになった経緯である。
    また、その後日、本の内容を意識しすぎたアオイがしでかしてボタンに注意されるのだが、それはまた別の話である。

  • 16二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 20:41:13

    駄文失礼します。
    とりあえずにがスパイス編はここまでとします。
    他の人が書いていたやつの設定とは辻褄があっていますかね……?

    展開的にはボタンが絡んできそうなフラグがありましたがペパアオだけの方がいいのか、他のカプ要素も書いた方がいいのか…?
    駄文でよければ今後ものんびりと書かせていただきますのでよろしくお願いします。

  • 17二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 20:46:03

    とりあえずペパアオだけに絞った方がいいんじゃないか?
    前提からペパー(→)←アオイの関係性が既にできちゃってるからボタンを恋愛的に割り込ませると当て馬になっちゃうかとっ散らかるかしそうだし

  • 18二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 20:58:33

    コルサとヘザーで変な笑いが出た

  • 19二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 21:16:27

    >>17

    確かにそうですね、ありがとうございます!

    では展開はペパアオだけに絞らせていただきます!


    続きは明日の夜ごろに……

  • 20二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 21:40:24

    あーごめんなさい
    前スレでしおとニガのボタン視点書いたの自分です。
    自分的にはペパーにバレるきっかけとしてボタン登場させたのですか締めるときについフラグ立ててしまったんですよね…ほんとすいません


    それと設定拾ってくれてありがたいです。
    続き楽しみに待ってます。

  • 21二次元好きの匿名さん23/01/03(火) 22:23:32

    >>20

    いえ、むしろ素晴らしい設定をありがとうございました

    バトンを引き継げるように頑張ろうと思います!

  • 22二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 09:00:05

    ほしゅ

  • 23二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 10:05:14

    ひっでえレジェンドルートだな!(誉め言葉)

  • 24二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 17:57:32

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 23:10:55

    保持

  • 26二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 23:55:32

    このレスは削除されています

  • 27二次元好きの匿名さん23/01/04(水) 23:59:33

    【おしおきわからせからスパイス編】


    「おっ、ラッキー!! わぎりリンゴが2割引きでお得ちゃんだな!」

    「そ、そうだね……」


    授業の無いとある日の休日。雲一つない快晴の空の下、アオイとペパーはテーブルシティにて食材屋巡りをしていた。現在は東門付近にある缶の大将にいる。

    今日は親友のネモもボタンもいない。アオイにとって想いを寄せる相手と完全に2人っきりである。デートと言っても差し支えないであろうこの状況に何故なったか。それは、コライドンがしたある行動が原因である。

    ペパーの部屋に隠されていた特殊なスパイスの影響により、しばらくの間連続して苦味の強いサンドイッチが食卓に並んでいたのだ。最初のうちは主が好まないために普段なかなか出される機会の無い味付けのサンドイッチをアオイのポケモン達は大いに喜んでいた。
    しかし、それが3日、4日と続くと話は大きく変わる。いくらひでんスパイスを使っていると言っても流石に飽きが来たのだった。

    それと同時期にアオイの味覚にも変化があり、苦味を美味しいと感じられるようになってきていたのである。残念なことにまだしばらくの間、同じ味が続くと察したコライドンは、アオイがサンドイッチを差し出しても顔を背くという策に出たのだ。

    普段であればサンドイッチを嬉しそうに食すコライドンがそのような行動をしたことに、アオイは当然、大いに動揺した。

    彼女はコライドンが自分と同じで食いしん坊ちゃんであることを知っている。
    サンドイッチという単語が出ただけで勝手にボールから出てくることが今までに多々あるほどで、そして、今までもどんなに形が不揃いなサンドイッチでも美味しそうに食べていたのだ。

    そんなコライドンがサンドイッチを目に見えて拒否するという異常事態であったが、アオイはその理由に心当たりが全くもって無かった。そして見たところ、キズぐすりやポケモンセンターで治す必要があるケガなどを負っているわけでもなかった。


    (も、もしかしたら何かの病気!??)


    コライドンは普通のポケモンとは違う。こうなった理由が未知の病気で、マフィティフの時のようにポケモンセンターでも手の施しようが無い可能性もあるだろう。
    そう考えたアオイは、コライドンにいちばん詳しいであろうペパーへと泣きついたのである。

  • 28二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 01:00:38

    アオイちゃんがおばかカワイイな

  • 29二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 06:37:25

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 12:40:48

    保守

  • 31二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 20:55:45

    支援

  • 32二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:07:00

    このレスは削除されています

  • 33二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:12:41

    続いていることに喜びしかないのと同時に、とうとうペパーが気づく時がきちゃったか…!

  • 34二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:18:59

    なお、その誤解はペパーがアオイの冷蔵庫の食材を使い別の味のサンドイッチを作ったことですぐに解消することとなったのだが、野菜以外の食材が尽きてしまった。
    聞くところによれば、ペパーはこれから買い出しに行く予定だったということで、それにアオイも同行することになったのだ。

    かくして2人っきりでの買い物デートが始まったのだ。なお、「一緒に行くか? 」と相手を誘ったのはペパーの方からである。
    思ってもいなかったところこら急遽チャンスが舞い降りた事にアオイは上機嫌であった。もしかしたらペパーの方もちょっとはドキドキしたりしてるのでは?なんで考えていた。


    ある意味で言えば正解だ。彼の心臓は普段よりも早く鼓動を刻んでいる。
    だが、それはアオイの胸中に存在している感情からくるものとは異なる。
    彼の心はとある疑念と焦燥感に駆られていたのだ。

    彼はアオイの部屋で見てしまったのである。
    実際にはキッチンを借りていた彼には遠目にしか見えなかったが、アオイの部屋の机に見覚えのある本が置いてあった。
    あくまで遠目で見ただけだからこそ、彼の見たものが真実とは限らない。普通に考えたのであれば、見間違いの可能性の方が高いだろう。
    しかし、それがもし正しかったのであれば、彼は窮地に立たされることとなる。

    彼がアオイの部屋で見つけた本。
    十八禁という意味を持つマークと共に、片方が三つ編みの髪型をした学生服の少女の乱れた姿が表紙に写っていた見覚えしかない本。

    そのタイトルに『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが〜おしおきわカラせカラスパイス編 上』と書かれていたその本は。


    ​───いつの間にか紛失していたはずのスカーレットブックである。

  • 35二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:35:35

    このレスは削除されています

  • 36二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 21:46:10

    彼の名誉のために言っておこう。

    彼はメイド萌えだとか妹萌えだとかそのような感情は一切無い。決してお兄ちゃんだとかメイド服を着たアオイに「ご主人様♡」だなんて一度も呼ばれてみたくはない……ことは無くはないであろうが、彼にとってはそれがメインというわけではないのだ。
    彼はこれらの本のヒロインがアオイに似ていて純愛ものだったからこそ、無意識にオカズとしていたのである。

    なお、漫画のヒロインがアオイに似ているのは、本と本人を目の前にした今、ようやく理解した事実であると追記する。


    (いまさら、ずりぃよ……)


    遅すぎた自らの恋への自覚に対し、ペパーは心の中で悪態をつく。
    少し考えてみればわかることであった。自らがそう歳の離れていない小さな少女に、誰よりも強く勇敢で優しい少女に惚れていた事を。
    だが、相手は自分の親友であると今の今まで目を逸らしていた。
    そのツケが今になって回ってきたのだ。もし気がついていたのであれば、もう1人の母であるオーリムAIに晒された時点でアオイの目に止まる前に、全ての本を処分していたことだろう。

    この自覚は彼にとってあまりにもタイミングが悪すぎたのである。

  • 37二次元好きの匿名さん23/01/05(木) 22:15:42

    あのままアオイの部屋にいたのであれば、いつ件のスパイスの話になるかわからない。そのためにペパーは理由をつけてアオイを外に誘ったというのが真実なのだ。
    部屋から離れることにより、本を片手に様々なことを追求されるという『いちげきひっさつ』となりかねない可能性を防ぐことができたのだが、まだペパーには解決せねばならぬ問題が山積みである。

    部屋にあったスカーレットブックの出所はどこなのか。何故それを手に入れたのか。

    そして、その本のヒロインが誰かに似ていることにアオイが気がついていないかである。
    事実として、親友だ親友だ言ってた人間が自身に似た少女の絵で致しているのだ。下手すれば1発で関係が崩壊しかねない。追記としてこの本を彼はこれまでに3発分使ったということを記載しておく。


    なお、ペパーにとっては幸いにも自分がヒロインと似ていることなど、とくせいがてんねんであるアオイは全くもって気が付いていないのである。


    もしかしたらとロマンスを期待するアオイ、ロマンスどころか好意を寄せていた少女に引かれている可能性を探らなければならないペパー。

    異なる思惑をもつ2人の男女のデートが始まってしまった……

  • 38二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 02:24:14

    ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 02:52:04

    マフィティフ、なんとかしてくれ

  • 40二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 11:39:00

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん23/01/06(金) 21:36:54

    ほしゅ

  • 42二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 00:08:44

    ……以上が冒頭の会話をするまでの経緯である。


    ペパーは2割引となっていたわぎりリンゴやバナナスライスなどの甘味が強い食材を次々と買い物カゴへと入れていき、レジへと向かった。
    彼がアオイを誘った建前は食材の買い出しであったが、実は彼の部屋には既に十分な量の食材が備蓄されている。そのためこの買い物は全てアオイのためであるため、彼女の味覚に合う食材ばかりを購入していっているのだ。
    建前上、購入した食材のうち半分は彼が持っていくことになるのだが、それらは信頼出来る親友たちと集まった時に使おうとペパーは考えているため、備蓄がやや多くなってもそこまで問題にはならない。

    なお、本人に確認することなく食材の並ぶ棚からアオイの好物ばかりを選んでいけるのは、彼がアオイの舌の好みを知り尽くす事ができるようになるほどアオイのことを考えて手料理を振舞ってきていたという証拠にほかならないだろう。


    一方、そんなことには全く気が付いておらず、購入した食材を次々とバッグへと入れていくペパーに対し、アオイはどうアプローチしていこうかを決めかねていた。何せ彼女の恋愛経験値は0、ポケモンでいうならばタマゴから孵化したばかりのレベル1である。右も左も知らぬ初心者なのだ。
    だが運が良い事に、アオイにはアテがあった。
    アオイがこれまでにペパーの部屋から拝借し読んできた本は紛いなりにも純愛物である。本の前半は少女漫画のような甘く酸っぱい青春の物語が描かれていた。
    運命のイタズラか、ちょうどいいことに、買い物デートのシーンがペパーから拝借している薄い本に載っていたのだ。
    それを参考にすればグッと距離を縮めることができるはずであると思い至ったアオイは、店を出た瞬間を狙い行動に移すことにしたのだった。

    「ごめんね……いくらだった?」
    「気にしなくていいぜ。オレが誘ったんだしな!」



    他愛ない会話をしながらアオイは油断しているペパーの横にそれとなく体を寄せ、自身の右腕をペパーの左腕へと回した。
    彼女が選択した技はからみつく……至極単純に恋人のように腕を組むことであった。

  • 43二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 01:18:37

    > タマゴから孵化したばかりのレベル1

    ちゃんとたまごわざは覚えられたようだな…

  • 44二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 07:03:50

    保守する

  • 45二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 12:38:51

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 21:25:08

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 21:27:08

    なんてすばらしいスレだ
    保守

  • 48二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 21:51:20

    レベル1ながらもアオイは勇気を振り絞って行動に移した。その顔は熟れたマトマのみの如く耳まで真っ赤に染まっていた。

    密着度で言えば、エリアゼロ突入の時にコライドンに乗る際に腰を掴まれペパーの前に座った時の方が多いだろうが、その時のアオイはこれほどまでに動揺することはなかった。彼女が平常心を保てたのは、エリアゼロという未知なる世界への冒険への期待に関心が向いていたというのもあるが、他にも性差というものについて深い知識を持っていなかった事も理由の一つとしてあげられるだろう。

    だが、今は状況が大きく異なる。
    宝探しの期間が終わり、保険の授業が始まった今、彼女は性差、第二次性徴などについてを学んできている。
    そして、極め付けはペパーの部屋で見つけた最初の本の内容である。好きな人に触れる、触れられることに憧れを持っていた。
    触れられれば本に描かれていた少女のように溶けてしまう。それはきっと、どんなスイーツよりも甘くとろける様な瞬間だろうと。

    それらの要素がアオイの五感に多大な影響をもたらしていた。

    当然のことながら、腕組みの方が手を繋ぐことよりも密着する面積が多い。
    服越しでもわかるような鋼タイプを彷彿させるような男性特有の鍛えられた硬い腕に、自らの柔らかい腕とは違う頼りがいのあるその大きな腕に、アオイは異性というものがどういうものなのかを改めて実感しているのだった。

  • 49二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 21:56:01

    そして、その行動は確かにペパーに対して有効打になりえていた。
    返さぬほどの恩があり、自らの初恋である少女が真っ赤になりながら腕を組んできたのだ。これで全く動揺しないのでのはAIぐらいのものであろう。

    だが、いつも通り話していた中で急に組まれた腕に対し疑問も強く感じていた。
    「この状況はなんなのだろう?」と。
    男女であれば恋人とでしかしないであろう腕組みという行為をもってしても、彼はアオイの意図を掴みかねていたのだった。

    その理由は主に2つ。

    まず1つはアオイに恋愛的な意味で好かれているという自覚がペパーには全くないという事だ。そのため、この腕組みという行為は親愛からくるものであり、自身の真横にいる少女にとって何ら特別な事では無いのかもしれないという疑問を彼の中に生じさせた。

  • 50二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 21:56:17

    そしてもう1つの理由だが、ペパーはこれと全く同じ状況を覚えがある。

    後輩と食材屋の帰りに急にからみつく……もとい、腕を組み歩くこの状況は

    『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが〜おしおきわカラせカラスパイス編 上。』

    まさにそれの冒頭シーンなのである。

  • 51二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 21:58:31

    ワクワクしてきたな

  • 52二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 22:04:44

    「〜編上」ってその本めっちゃ長いな!?さては

  • 53二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 22:07:27

    アオイが読んだ『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが〜おしおきわカラせカラスパイス編 上。』について未だ内容が出てなかったのでここにカキシルス。

    きのこのほうし……もといキノコにほうしを行った前作『にがスパイス編』により、ヒロインの少女はちからをすいとるを新たに会得した。そして、それと同時に新たなとくせいに目覚めていたのだ。

    ……そのとくせいの名はいたずらごころ。
    大好きな相手に対し、デートをしながらもあちらこちらでちからをすいとるで悪戯をすることに目覚めてしまった。

    そう。この本の内容とは、ヘイラッシャの威を借るシャリタツの如く、強気に攻める話なのだ。

    そんな本を参考にしているのであれば、アオイの状態もイケイケどんどんとなるのは言うまでもないことだろう。

    なお、この話だけ上、下とあるようであるが、アオイが読んだのはまだ上巻のみである。

  • 54二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 22:17:23

    全部一気に読んで尊さと内容の凄さを見せてもらっている
    ありがとうございます
    楽しみにしています

  • 55二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 22:57:38

    側から見れば初々しいカップルが街中を歩いているように見える2人。だがペパーの心はかげふみをされ、ほろびのうたで瀕死になることを待つしかないポケモンと同様に深い絶望へと沈んでいた。
    なぜならこの状況は彼からすれば、できることなら見間違いであってほしかった部屋にあった本が、自身の知っている本と同じであるということを裏付けてしまっているからである。
    そして、隠し場所から時折本が消えることを考えるとあれはペパーの所有物だったものだと聡明な彼は理解してしまったのだ。

    しかし、人は一つ理解すればその分疑問が増えるものだ。
    腕を組み他愛もない話で取り繕いながらも、彼は思案する。


    なぜその本を参考にアオイは動いているのか?
    もしかしたら、アオイは変な影響を受けてしまっているのか?
    もしかしたら、からかっている?


    あるいは……


    と、ほんの一瞬だけ、本の少女のようにアオイがちからをすいとるを仕掛けてきた妄想をしてしまった自分に対してペパーは嫌気がさした。
    それと同時に自らの息子が反応するも、左腕に感じるアオイの存在を思い出し、ソレがやりのはしらにならないようペパーは必死にこらえる。

    元気にならないでくれ。それだけでいいからと。
    自らのせいなるつるぎに対し、切実に願うのであった。

    彼の懸念とは裏腹に、レベル1のアオイが本のヒロインから遺伝できた技はからみつく1つが限界であったのだが……

  • 56二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 23:19:47

    このレスは削除されています

  • 57二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 23:23:27

    このレスは削除されています

  • 58二次元好きの匿名さん23/01/07(土) 23:42:43

    申し訳ございません。

    もう少し続き書きたいので、まだ前編終わらせないです

    >>56から削除しますので、明日のんびりと続き書かせてください……

  • 59二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 01:27:50

    どうぞ作者様のペースでお書きくだせぇ。
    スレを保守して待ってますけぇ。

  • 60二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 08:14:49

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 12:30:02

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 12:53:06

    > 元気にならないでくれ。それだけでいいから

    名台詞になんて事をwww

  • 63二次元好きの匿名さん23/01/08(日) 21:49:48

    スレを保守して君を待つ!

  • 64二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 00:30:06

    保守

  • 65二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 08:35:14

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 08:35:58

    このレスは削除されています

  • 67二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 08:42:41

    ちょくちょくいらん追記が入ってるのホラアノクサ

  • 68二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 08:48:03

    食材を買い終えた2人はそのまま学校へ戻らず!ものはついでとピクニックで使う道具を買いにテーブルシティ中央のバトルコート近くにあるピクニックショップNOHARAへ寄ることとなった。

    狭い店の中での腕組みは自重せざるを得ない。渋々とアオイが手を離したことにより、ペパーは数分ぶりに左腕が自由になったため軽く肩回しをしながらほっと一息ついた。


    恋愛的な意味は無い。ただ本の真似事を身近にいた異性に親愛として実践しているだけだ。


    そう頭で考えていたところで、時間が経てば自らの状況を冷静に見てしまうものだ。
    ペパーからすれば、いくら恋愛的な意味が無いとはいえ、自身が一方的に好意を持っている少女と腕を組んで歩くという今の状況に気恥しさを感じたのだ。

    しかし、左腕の拘束が解放された時の、手が離れた事が名残惜しいとでも言いたげなしゅんとしたアオイの表情が彼の中の何かを刺激した。
    それを悟られまいと誤魔化すかのように、ペパーは雑談の話題を矢継ぎ早に提供しながら、2人は店内を見て回る。

  • 69二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 18:06:02

    ほしゅ

  • 70二次元好きの匿名さん23/01/09(月) 21:47:16

    甘酸っぱくて(?)いいなぁ

  • 71二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 00:38:53

    一方アオイの方はというと、大切な相棒であるコライドンと同じ赤色のステンレスグラスをカゴに入れながら、アピールのために行う次の一手を考えていた。


    カップルのように腕を組むという行動は恋愛初心者の彼女にとって、相手のテラスタイプを読んで効果のない技を指示する時と同レベルに勇気を出した一手ではあったが、ペパーの反応を見るに、彼女からすれば思っていたよりも効果が出ていなかったのだ。

    実際のところ、アオイの本を参考にした行動は、それらの本の内容をよく知るペパーの感情及び下半身のせいなるつるぎを大きく揺さぶっていたのではあるが、それを表に出さないようにペパーがてっぺきの理性を持って堪えていただけだ。
    特に密着した際に感じた女性特有の柔らかい感触のせいで下半身の疼きを抑える事に、彼は非常に難儀していたのである。

    しかし、そんなことは知る由がないために、さらに過激なことをしなければ目の前の青年を振り向かせることは出来ないのではないか?と。アオイは結論づけた。

  • 72二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 00:44:34

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 06:56:40

    保守だ

  • 74二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 07:38:38

    > 相手のテラスタイプを読んで効果のない技を指示する時と同レベルに勇気を出した一手

    分かる!

    ノーマルジムのアオキ戦でムクバード出された時に地震を指示するときの勇気!


    異性関係の勇気は分からん

  • 75二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 14:26:51

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 18:20:41

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん23/01/10(火) 23:01:09

    ​───────​───────​───────

    買い物を終え、2人が外へ出る頃には、辺りはすっかり夜の帳に包まれており、ヤミカラスの鳴き声も聞こえている。
    時間も時間であるため、2人は急いでオレンジアカデミーへと戻った。

    エントランスにてペパーと別れたあと、アオイはバトルコートのあるグラウンドへと向かった。


    彼女はポケモントレーナーとして突出した才能を持ち、特にポケモン勝負の世界にいる時にこそ、その思考は最も研ぎ澄まされる。
    他にも単純にポケモンたちが好きだからという理由もあるが、だからこそ悩みがあればポケモン達との時間を多く作るよう心がけているのだ。

    今回も彼女にはとくせいふみんになるほどのなやみのたねがあった。
    彼女が解決したい悩みとは、当然ペパーとの事である。


    さらに過激なことをしなければ目の前の青年を振り向かせることは出来ないのではないか?

    そう結論づけたはいいが過激なこととは具体的に何をすればいいのだろうか?
    本の内容は比較的一般誌に掲載できるレベルのからみつくですら恋愛初心者のアオイにとっては勇気が必要であった。
    それ以上の内容が多く記されていたスカーレットブックは、まだまだウブなアオイにとってセンシティブすぎて参考にならなかったのである。

    だからこそ次の一手を考えているのだが、それが上手くまとまらない。
    それが悩みである。

    それを解決させるためという理由や、日課の特訓もしたかったためにバトルコートへ向かうのだ。
    とはいえ、時間はもう夜であるため勝負の相手が見つかる可能性は低いだろう。1人でできる自主練のメニューを考えながら彼女はエントランスのボードへ触れた。

  • 78二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 06:20:21

    保守

  • 79二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 06:59:10

    スカーレットブックがえっちな本だとしたら、バイオレットブックはBLだったりすんのかな

  • 80二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 09:54:14

    >>79

    比喩であってマジモンのスカーレットブックのことやないやろ多分

    そもそもこのスレ自体がバイオレット版スレ(あっちも男女の純愛後輩もの)からの派生だぞ

  • 81二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:53:07

    ──────​───────​───────

    既に19時を回ったところではあったが、予想に反してグラウンドには多くの生徒がいた。
    というよりも、左側のバトルコートの周りに人だかりができていたのだ。
    何か面白い勝負でもやっているのだろうか?
    そう考えたアオイは人混みをすり抜けて最前列へと出た。

    ポケモン勝負をしていたのはアオイのよく知る生徒達であった。スター団のボスであるピーニャとビワの2人が、グラウンド左側のバトルコートでポケモン勝負をしていたのだ。
    どちらも学園有数の実力者であり、その鍛え上げられたポケモン同士の勝負は確かに見応えがあるだろう。


    戦っているのはドンカラスとコノヨザル。お互いに最後の1匹のようである。タイプ相性は不利とはいえアオイにはビワのコノヨザルの方が優勢に見えた。
    アオイの読みは正しく、先に場に出ていたドンカラスは前のポケモンにかなり消耗させられていたようで、一気に距離を詰めたビワのコノヨザルのインファイトで沈んだ。

    ポケモンを戻し2人は健闘をたたえ合う握手をする。それと同時に野次馬となっていた生徒たちの拍手がグラウンドに響いた。
    少しして名勝負を見た熱も冷め、人がまばらになったあと、ボスの2人の方もアオイがいることに気がついたようである。


    「あれ? アオイちゃん?こんな時間に会うなんて珍しいね。」
    「アオイくんもアレに向けての特訓をしに来たのかい?」
    「うん、そんなところ。……ところで、この人だかりは?」
    「……バトルコートを借りて、勝負していたら、いつの間にかこうなってたの。」
    「まあスター団ボス同士の臨時ライヴだからね。そりゃ盛り上がるよ。」

  • 82二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:58:17

    確かにこの2人の勝負ならば盛り上がるだろうとアオイが同意するように頷く。

    ところでアレとはなんのことだろうか。疑問に感じたアオイがピーニャに質問しようとしたその時、『ロトロトロト……』とアオイのスマホロトムの着信音が鳴った。

    話の腰を折るタイミングで鳴ったスマホの画面を確認する。しかし、表示されているのはアオイにとって全く見覚えのない番号であった。
    訝しみながらも、会話の途中だったスター団の2人に許可をとり、アオイは通話ボタンを押した。
    すると、通話相手は明らかに加工された音声で話し始める。


    『アオイのスマホで間違いないな? 私の名前はカシオp……ではなく、アンドロメダ。』


    通話の相手はカシオペアと言いかけたのを訂正し、自らをアンドロメダと名乗る。加工されているため、声だけでは男性か女性かは分からない。しかし、この状況に見覚えしかないアオイの返答は当然……


    「ボタンだよね?」
    『……うん、そうなんだけど、ちょっとこっちに話合わせて貰えると助かる。』


    謎の通話相手アンドロメダは正体をあっさりと白状するも、アオイは合わせてと言われたためその通りにすることにした。
    ボタン……もといアンドロメダは一体何を考えているのだろうか?
    アオイは疑問に思いながらも続きの言葉を待つ。
    すると、アンドロメダは驚くことを話し出した。

  • 83二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 12:59:31

    『スター団のボスたちが集まりとある計画を建てている。それを君に阻止してもらいたい。』

    「えっ!?」



    アオイにとってその情報は寝耳に水であった。思わず振り向き2人のボス達を見るが、2人にとってもそれは新事実であったようで、アオイと同じく首を傾げている。


    「その計画って……?」
    『すまないが、今はそれを話すことは出来ない。』


    アオイが質問するもボタ……アンドロメダは答えることを拒否した。


    『アオイ。明日、チームシーのアジトに1人で来てくれ。そこで決着をつけよう。』


    スター団チームシー。シュウメイ率いるスター団の毒組で、しるしの木立にアジトを構えている。そんなところに呼び出してどうするつもりなのだろうか?と、アオイは疑問に思った。
    とはいえ、ボタンに頼まれたのならば行かないという選択肢はアオイの中に存在しないが。

  • 84二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 13:08:50

    まあ結論はどうあれ聞きたくはなってくる。
    もしも行かなければどうなるかと。


    『…………………………』


    ボタ……アンドロメダは少々の沈黙の後、溜息をつきアオイ質問に答える。


    『その時は……君がペパーの部屋から持ってきてちるあの本を彼へ返そう。君の部屋に落ちてたと付け加えてな。』
    『ちなみにだが、その本の在処は君の部屋では無い。私の手元にある。』


    聞かなければ良かった質問の答えを聞いたアオイの血の気がサッと引いたのは言うまでもないことだろう。

  • 85二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 17:52:41

    「……本? 一体なんのこと?」
    「さあ? でも、マジボスはアオイくんに言ってたんだから、アオイくんは知ってるんじゃない?」


    一方、マジボスの話にビワとピーニャが首を傾げている。
    当然居合わせた2人がなんのことか知るはずがないため、話の当事者であるアオイに質問した。


    「ワ、ワタシモミニオボエガナイナー。」
    「え、でも……」
    「シラナイナー!!」


    棒読みでとぼけるアオイであるが、明らかに聞かれれば不都合な事だと理解したのか、2人からそれ以上の追求はなかった。



    『その声は……もしかしてピーちゃんとビワ姉?』
    「そ、そうだよ。2人とは、さっき会ったんだ。」
    『あ、そうなん。』


    ボタンとしてはアオイとスター団の2人が同じ場所にいたのは予想外の事だったようである。一方ピーニャは手に持ったノートパソコンを確認し、「なるほど、そういうことなのね」と何かを納得したかのように頷いていた。ビワもスマホロトムを確認している。

  • 86二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:12:55

    ボタンとしてはアオイとスター団の2人が同じ場所にいたのは予想外の事だったようである。一方ピーニャは手に持ったノートパソコンを確認し、「なるほど、そういうことなのね」と何かを納得したかのように頷いていた。ビワもスマホロトムを確認している。


    『……とにかく明日、うちはチームシーのアジトで待ってるよ。アオイ。じゃ、また。』
    「えっと、そういう設定みたいだから……よく分からないけど、明日は頑張ってね?」
    「……だね。じゃあ、ボクたちはそろそろお暇するとするよ。」

    「「それじゃ、お疲れさまでスター!」」


    ボタンとの通話が切れた後、ビワとピーニャはスター団お決まりの挨拶とポーズで去っていった。


    「お、お疲れさまでスター……?」


    グラウンドに1人残されたアオイは呆然と呟いた。

  • 87二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:13:49

    ​───────​───────​───────


    困惑しながらも、予定していた特訓は中止にし、アオイは自室へ戻っていた。そこそこ長い時間通話していたため、消灯時間近くとなってしまったためである。


    自分の友人は一体何を考えているのだろうか?
    考えても答えは出ないため、アオイは電気を消しベッドへと潜った。

    その翌日、呼び出されたチームシーのアジトにて、アオイはとあるポケモンをイメージした改造制服を手に入れることになるのだが、それは次の話となるだろう……

  • 88二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:16:01

    わくわくちゃんたぜ!
    お疲れ様です。大変楽しく読ませて頂いております。
    素敵な文章ありがとうございます。

  • 89二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 18:22:53

    皆様遅くなってしまい申し訳ございません。
    ようやくからスパ上が終わりました。
    のんびり書いてたらいつの間にか元スレが2つとも本家でまとめられてました。
    正直なところ、結構嬉しいです。

    スター団ボスたちのエミュが存外難しく、長い時間がかかってしまったことを謝罪します。
    それと保守&感想ありがとうございます。
    ようやくメイド服を着せる話が書けそうだー!!

  • 90二次元好きの匿名さん23/01/11(水) 22:17:44

    >>89

    最っ高のお話をありがとうございます!!!

    メイド服着たアオイちゃんとか絶対かわいいぞ…!(; ・`д・´)ゴクリ

    めっちゃ楽しみにしてます!

  • 91二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 07:11:43

  • 92二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 11:30:37

    まさか…元スレのメイド服ネタまで拾うとは…

    この作者やりおるわ

  • 93二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 18:32:04

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん23/01/12(木) 23:17:55

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 07:37:56

  • 96二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 16:48:24

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 18:53:52

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 21:27:28

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 23:52:55

    頑張って欲しいなぁ
    すごく読み応えあって面白い

  • 100二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 23:55:35

    保守ありがとうございますー!!
    明日の昼前までには続き書き始めますので……!
    本当にごめんなさい……

  • 101二次元好きの匿名さん23/01/13(金) 23:56:17

    >>100

    いえいえ、書いているだけ素晴らしいと思います

    ゆっくり待たせてもらいます

    ありがとうございます

  • 102二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 05:21:08

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 09:25:25

    >>6

    二がスパイスはセンスあるw

  • 104二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 12:53:25

    「ボスの元には行かせるなー!!」
    「どうにか時間を稼ぐんだ!!」


    ボタンとの約束通り、チームシーのアジトへ訪れたアオイを待っていたのはスター団達による手荒い歓迎だった。
    ボタンからアジト前についたらゴングを押してくれと言われていたため、アオイはこれから何が起こるかを薄々察していたのだが、結果は案の定であった。

    アオイの号令の元、コライドンはドオーの群れへと挑む。数の上では1対6、数的優位な相手に対し、コライドンは地を蹴り一瞬で距離を詰めた。先頭にいた1匹を蹴り飛ばす。古代のポケモンの中でも一際強靭な体躯であるコライドンのそれは、ポケモン勝負でトレーナーが指示するわざでは無いが、格下のポケモン1匹を戦闘不能にするには十分すぎるほどの強烈な一撃と化していた。

    リーダー格のドオーをいきなり倒したのか、群れのドオー達は見るからに動揺していた。そして、その隙をコライドンは見逃さない。1匹、また1匹とコライドンはドオー達に挑んでは戦闘不能にしていく。

    一方、アオイの後方ではマスカーニャが待機していた。大切な主を守るかのように最も側に立ち、近づくポケモン達からアオイを守ろうと花爆弾を破裂させていく。これはSTC、実戦形式のような訓練であるため、野生のポケモンと違いアオイの身に危険が及ぶことは無いのであるが、マスカーニャは何故かアオイの側を離れず近づくポケモンのみを倒していった。

    そしてその遥か遠くで迫り来るポケモンを相手に無双のごとく大立ち回りを繰り広げるのはアオイにとって2匹目のコライドンだ。
    エリアゼロで初めてあったその個体はアオイが初めて会ったコライドンよりも好戦的であり、1度は敵対したポケモンであったが、エリアゼロに再度訪れた時に出会いマスターボールにて捕まえたことでアオイのポケモンになったのだ。
    手持ちに加えたばかりの最初こそは上手くいかなかったが、何度もピクニックをしていくうちに馴染み、最初のコライドンとは和解した今ではアオイにとって頼れるポケモン達の1匹になったのである。

  • 105二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 12:53:37

    2匹のコライドンとアオイにとって最初の相棒であるマスカーニャ。その3匹を止められるトレーナーなどパルデアにはほとんどいないだろう。
    撃破数はどんどん伸びていき、50、75……ついには100匹となったところで放送が入る。

    『時間稼ぎお疲れさまでスター!! ようやくボスも準備が終わったようなんで一般団員は撤収準備!!』

  • 106二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 13:39:34

    このレスは削除されています

  • 107二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 13:42:59

    このレスは削除されています

  • 108二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 13:46:13

    その放送後、他のスター団がポケモンを戻して去った後、チームシーのアジトにある一際大きなテントから1人の少年が現れた。


    「我らチームシーのアジトへようこそ、アオイ殿。待っていたでござるよ。」


    左目を隠し緑と紫の忍者装束に身を包む彼の名はシュウメイ。スター団どく組のボスであり服飾担当でもある者だ。


    「自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾往かん。100のポケモンすらも容易く乗り越えるその強さ……お見事。」

    「あ……ありがとう?」


    彼は時折難しい言葉をよく使う。
    その意味をアオイはよくは知らないが、褒められていることはわかるため礼を言った。


    「えっと、ボタンは……?」

    「……マジボス殿から密命を受けてる故、我も事情は既に把握済み。アオイ殿は『あれ』を引き取りに来たのでござるな。」

    「!?」

    シュウメイの言葉にアオイはとても驚いた。なにせ、アオイの目的はボタンがいつの間にか持っていたスカーレットブック……もとい『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが〜おしおきわカラせカラスパイス編 上。』を穏便に返してもらうことである。
    しかし、その事情をシュウメイが知っている。それが何を意味するか。それはペパーのエr……スカーレットブックをボタンが第三者に晒したということになる。推定ではあるが友達の大事な秘密を簡単に晒したボタンに対し、アオイは少し怒りを覚える。
    だが、シュウメイはさらにとんでもないことを言ったのだ。


    「あれは我の魂の作品!! 渡せと言われてはいどうぞと簡単に譲るものではない!」

  • 109二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 13:47:41

    フルタイトルが入るたびに腹筋にダメージがくる

  • 110二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 21:15:42

    >>108

    いやペパーのやけシュウメイの所有権もうあらへんよ…自分の作品回収したくなる気持ちは分かるけどもw

  • 111二次元好きの匿名さん23/01/14(土) 22:11:00

    前スレにあったシュウメイ殿の魂の作品こと、猫耳メイド服がくるんだろ…?!

  • 112二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 00:45:15

    シュウメイもなんてものを描いてるんだw

  • 113二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 06:11:39

  • 114二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 11:38:56

    シュウメイお前絶対ワザとだろ?????
    明らかにその作品のキャラペパーとアオイモチーフだろ?????何時描いたんだそんなもん?????

  • 115二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 12:10:25

    なん…だと…?!シュウメイの作品?!

  • 116二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 13:12:44

    あやつならやりかねん

  • 117二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:13:39

    『我の魂の作品』。シュウメイのその言葉にアオイは驚愕する。あの本……スカーレットブックを書き記したのは自分だとシュウメイは言ったのだ。
    この時のアオイは、ゼロラボで人間だと思っていたオーリム博士がAIであるという真実を明かされた時以上に動揺していたのだ。


    「な………何であんなの作ったの!?」  

    「む、何を言っている? あれの作成はアオイ殿が我に依頼した事がきっかけであるはずでござる!」

    「私が!?!!?」


    困惑しているアオイの口から最初に溢れたのは本を書いた理由を問う言葉であったが、シュウメイは本を書いた理由がアオイからの依頼だったというのだ。


    「ふっ、その様子をみるに、やはり依頼者はアオイ殿ではない……真の依頼者は代理と名乗るマジボス殿だった、という事でござるな!」

    「ボタンがっ!?」


     
    あまりの情報量に脳が混乱したのか眩暈がし、パッチールのようにふらつくアオイ。そのHPは風前の灯で目の前がまっくらになる一歩手前である。

    ボタンが何故、ペパーの好みと思われるエッチな本を書くよう、アオイの名を騙りシュウメイに依頼したのか。
    それが何を意味するのか。
    その真実はわからないが、一つの可能性を彼女の中に浮上させる。

    ペパーの好みを知るための本作りを本当にボタンが依頼した理由。
    その理由は、もしかしたらボタンもペパーの事が好きだからなのかもしれないと。
    そんな疑惑がアオイの中で生じたのだ。

  • 118二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 20:48:30

    「マジボスの依頼とあったのならば、アレを尚更アオイ殿に渡す訳にはいかぬ! どうしても欲しくば、この猛毒ののトラップへと踏み込み、我を超えてみよ!」



    シュウメイがリピートボールを構える。
    目と目があっただけでは勝負をしないパルデアのポケモントレーナー同士の暗黙の了解である勝負の合図だ。

    シュウメイが、その奥にいるはずのボタンが何を考えているかはわからないが、勝負を挑まれたアオイはすぐにスイッチが切り替わる。直前まで混乱していたアオイであるが、勝負を前にして一瞬で頭を冷やせるのは彼女の類まれなる才能がそうさせるのだ。


    「シュウメイ! 推して参る!!」


    とにかく、今すぐにでもボタンに詳しい話を聞かなくてはならない。
    そう思ったアオイはボールを構え











    初手でパオジアンを出した。

  • 119二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 22:19:43

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:21:18

    鬼か?????いやそんだけの緊急事態ではあるか…w

  • 121二次元好きの匿名さん23/01/15(日) 23:21:53

    まさかのそいつか!?

  • 122二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 07:42:38

    秒殺されそうで草

  • 123二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 15:35:58

    保守

  • 124二次元好きの匿名さん23/01/16(月) 20:03:41

    保守

  • 125二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 01:02:34

  • 126二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 07:45:41

    保守

  • 127二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 13:11:14

    ​​───────

    パオジアンの咆哮とともに無数の氷柱が生成された。氷タイプのポケモンが得意とする技、つららおとしだ。
    再度の咆哮。それと同時に、氷柱が雨のように降り注ぎブロロロームへと襲いかかった。

    並のトレーナーであればそこで決着がついていただろう。しかしシュウメイも歴戦のトレーナーである。氷柱の雨の安全地帯を瞬時に見抜き、ブロロームに指示していく。そして、凌ぎきった先で反撃の機会を伺うことにしたのだ。

    パオジアンのつららおとし。特性により物理攻撃への耐久力を落とされたポケモンにとって、一撃でもまともに被弾すれば大きなダメージになる技である。だからこそ、シュウメイの判断は現状選べる最善手であった。


    しかし、アオイの方がトレーナーとしては何枚も上手であった。
    その氷柱を掻い潜った先、パオジアンがどこにもいないことにシュウメイは気づく。

    氷柱を相手のトレーナーへの目くらましとし、身を隠したパオジアンが待機していたのだ。

    不覚にもブロロロームの動きを誘導されていたということにシュウメイは気がつく。
    そこで生じた一瞬の隙が生じた。アオイはそれを見逃さない。

    「かみくだく!」

    シュウメイよりもほんの数秒だけ速く、アオイは指示をパオジアンに通した。
    多くの者を露と消した命を刈りとる伝説の剣。それにより生成された牙をまともに受けたブロロロームは倒れる。
    その一撃で勝負が決まったのだ。


    「……聖人と我とは類を同じくする者なり。その言葉通り我は日々努力し力を尽くしたが、それでもなお敵わぬか。たゆまぬ努力にて培われたその力、今なお強くなろうと鍛錬する姿勢、流石はアオイ殿でござるな……」


    シュウメイはブロロロームをボールへと戻し、自らの負けを認め賞賛の言葉を口にした。

  • 128二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 13:28:29

    「ありがとう。でも、そっちもすごく強かったよ! お疲れ様、パオジアン。」


    アオイは勝負の礼を言ったあと、労いの言葉と共にパオジアンをボールへと戻す。


    「……えっと、」


    どう要求するべきかと、アオイは迷う。
    アオイが勝てば本を返してもらうというのが約束であった。しかし、目の前にいる相手は本の作者であり、どのような内容かを知り尽くしているはずだ。
    勝負の前までは平常ではなかったために勢いで行けたのだが、勝負が終わって冷静になった今は、そんな本を返してくれと言うことに気恥しさを感じるのであった。

    アオイがなかなか言葉を言い出せず、口をまごまごさせているとシュウメイの方から話を切り出した。



    「もちろん約束は守ろう……我のハンドメイドした魂の名作を受け取るでござる。」

  • 129二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 13:40:28

    アオイはシュウメイから毒々しい色をした包みを受け取った。その包みは大きめの枕程度の大きさである。さらに具体的に言うと、その大きさは本一冊を包むにはあまりに大袈裟で、本一冊しか入ってないにしてはたしかな重量感がある。
    そして中に入っているであろう物が明らかに本では無い感触であった。


    (あれ?)


    アオイはシュウメイとの会話を振り返る。

    シュウメイはボタンから話を聞いていて事情を知っている。
    そしてボタンがアオイの名前を出してシュウメイが『あれ』と言っていた何かを作った。

    ボタンが何をシュウメイに話したのか、
    そして、シュウメイの言う『あれ』が何であるかは一言も言っていない。

    そこまで纏めたところでアオイはふと、オーリムAIの言葉を思い出した。


    『君の父親フトゥーは同じ同人誌を本当に愛していたよ』


    同じ本を愛していた。確かにそう言ったのだが、観測所の日記には、ペパーの両親は彼が生まれた時に別れたと記載されている。
    同じ本を愛読していたのなら、ペパーが子供の頃から本が存在したと考えるのが自然だろう。だとすればシュウメイが作者というのは無理があるのだ。


    そこまで考えてアオイはようやく気がついた。
    もしかしたら自分は何かとんでもない勘違いをしているのではないだろうか?と。

  • 130二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 13:54:13

    「すまぬ……マジボス殿……」


    懺悔の言葉を呟くシュウメイにアオイは話しかける。


    「えっと、ごめん……ちょっと聞いてもいい?」
    「む?」
    「……この中には何が入ってるの?」


    アオイはその手に持った毒々しい色の包みを指さしていう。
    明けてみよと促されたアオイは言葉の通り包みをあけた。
    中からは可愛らしい黒と白で作られたフリフリのエプロンドレス。そして、それに緑色の見覚えのある形のポケ耳の着いたカチューシャが出てきた

    明らかに本では無い別の何かが出てきたため、アオイはシュウメイへと再度質問した。
    一体、これは何なのかと。


    その問いに、シュウメイはドヤ顔で答える。

    「もちろん、決まっている。トリックフラワーから着想を得て我がハンドメイドした至高の作品! 『ニャオハ耳メイド服DXセット』でござるよ!!!」

  • 131二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 13:57:37

    シュウメイ有能すぎる

  • 132二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 18:14:48

    まっっっっってシュウメイ優秀だし経緯は何となく察したけどじゃああの本何???????

  • 133二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 18:37:46

    >>132

    親父から引き継いだペパーのスカーレットブック(エロ同人誌)やぞ

  • 134二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 19:38:33

    >>133

    なんかわからんけどめっちゃやだ;;;

  • 135二次元好きの匿名さん23/01/17(火) 23:13:23

    「ニャオハ……え?」
    「ニャオハ耳メイド服DXセットでござる。」


    シュウメイの言う通り、アオイの目の前にある服はポケ耳付きのメイド服コスプレ衣装だ。
    だが、アオイがチームシーのアジトに来た目的はメイド服を手に入れることではない。ペパーの部屋から借りてきていた本を返してもらうことなのだ。


    「本? すまぬが、なんの話かわからぬ。我はマジボス殿からメイド服コスプレ衣装を作ってくれと頼まれたゆえ。」


    しかし、本については全く知らないと、シュウメイは首を横に振った。
    あのような本を読んでいるということが他者にバレなかった事はアオイにとっては幸運ではある。
    しかし、同時に手がかりを失った。
    ボタンから本はどうしたら返してくれるのだろう?

    「……いるよアオイ。メイド服はウチがシュウメイに頼んで作ってもらったんよ。」


    そんなことをアオイが考えていると、近くのテントからボタンが現れた。しかし、その目元には隈ができており、寝不足であることが伺える。


    「マジボス殿にはこの服を作るため、日夜野生ポケモンから素材を集めてもらったのだ……それ先程、我の作品が完成したゆえ、テントの中で休んでいただいたのでござる。」
    「……ん。そういうこと。」

  • 136二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 06:34:08

    保守

  • 137二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 06:59:42

    ボタン…お前何故そこまでして…

  • 138二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 14:46:29

    保守

  • 139二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 21:11:02

  • 140二次元好きの匿名さん23/01/18(水) 21:56:16

    保守ありがとうございます
    とりあえず明日の午前中までには終わらせる予定です……
    語彙力と構成力が欲しい……

  • 141二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 05:59:25

    楽しみに保守

  • 142二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 10:20:32

    「いや、そういうことって…どういうこと?」
    「……だって、最近のアオイは色々とやらかしそうで心配だから。」


    アオイの部屋でにがスパイスの本を見つけてから数日経ったある日、無人であるはずのペパーの部屋から人目を忍ぶようにでてくるアオイの姿をボタンは目撃していた。
    よくよく見ると、その手には例の本を抱えている。そこから、本の出所はペパーの部屋であることを知ったのだ。
    そして、友人であるペパー青年は進んでアオイに自らの性癖が描かれている本を渡している変態なのではなく、ポケ耳メイド妹系後輩が好きなだけの変態であるとボタンは納得する事ができた。

    だが、友人がアオイに性癖を植え付けているわけではないということを安心したのと同時に、懸念が生じていた。
    実はアオイの部屋でにがスパイス編を見つけたボタンは、その日の夜にネットでアオイが知らない続きのスパイス編まで読破している。

    そこには日に日に過激になる内容が描かれていた。実はこの本の主人公には大切な友人もいた。ポケモン勝負が大好きな少女と機械弄りが得意な少女が友人キャラとしてして出てくる。当然サブキャラであるため、そこにスポットが当たる事はないが、ピクニック中その友人2人にバレないようにこっそりとエッチな事をするという場面があった。

    ペパーとアオイが無事に付き合えたとして、この同人誌のようなことをされればボタンからすればたまったものではない。
    やめさせる選択肢もあったのだが、ボタンはアオイの性格を熟知している。やめろと言ってやめる性格であればスターダスト大作戦には協力しなかっただろうし、禁止されているエリアゼロに行くこともなかっただろう。
    だからこそ、アオイが同人誌を参考にしているのであれば誰かが舵取りをする必要がある。でないと、いつか大変なことになると容易に推測する事ができたのだ。



    「だからもっとおもしろ……じゃなくて健全と言っていいか分からないけど、ちょっとはマシになりそうなアピール方法を考えた結果が……このメイド服なんよ。」


    しかし、ボタンはボタンで恋愛経験が豊富というわけではないため、その方法はかなりズレていた。

  • 143二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 10:41:24

    「メイド服……」


    一方アオイは目の前のフリフリのメイド服を見て考える。

    ペパー青年はこういうのが好きなのだという事、はペパーの部屋で多くの秘伝スパイスを手に入れてきたアオイの中でも明確な事実であった。

    ならば、これを着ていけばペパーに対して効果抜群の有効打になるかもしれない。昨日2人で食材を買いに行った時と違い、相手を意識させる事ができるかもしれないとアオイは考える。

    なお、実際のところ彼が無意識のうちに重点を置いていたのポケ耳メイド服や妹云々よりもはヒロインがアオイに似た後輩だったという事なのだが、それはそれとして有効打にはなり得るためアオイの考えは間違いではない。

    それに何より、アオイも年頃である。
    オレンジアカデミーのいつもの制服だけではなく、スター団のボスやボタンのようにたまには可愛らしい服も着てみたいのだ。



    「……でも、校則違反だよ?」
    「人にエリアゼロに行こうって言ったアオイがそれ言うん?」


    そう、オレンジアカデミーには校則がある。
    服装:基本は学校支給の制服を着用ください。
    この一文により多くの生徒が髪型やアクセサリー以外のオシャレを諦めたのだ。
    エリアゼロに勝手に立ち入ったことに関してはタイムマシンを止め、パルデアの危機を救ったことで免除されたが、アオイとしては、できる限り校則違反をすることは避けたいところであった。

  • 144二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 11:09:06

    「それなら問題ない。というより、うってつけのイベントがある。」
    「……イベント?」
    「次の学校最強大会で……ってあれ? ネモからなんも聞いてないん?」


    アオイは首を横に振る。
    最近のネモは生徒会の仕事に忙殺されている。ニャースの手も借りたくなるほどの忙しさだと言っていたが、内容を聞こうにもすぐに他の生徒会の生徒や先生達に呼び出されてしまうのだ。


    「スター団の服装がカッコよくて羨ましいって意見が生徒達から殺到してるらしいんよ。それで、次の学校最強大会では、仮装大会という名目でどんな服装でも自由ににしてみるって。せっかくだからとビワ姉達もそれに向けて特訓してるらしい。」
    「……そこで、これを着ろって?」
    「そういう事。それなら校則違反にならないし、何よりメイド服着ててもおかしくないっしょ?」


    確かにいい方法かもしれない。メイド服を着ていたとしても、大会用に持ってきたマスカーニャと合わせた衣装だと言えるだろう。
    ペパーに対してアピールするには絶好の機会であるとアオイは理解していた。
    しかし、


    「……でも、ちょっと恥ずかしいかも。」
    「公衆の面前でアイスをあの食べ方したやつが言う?」


    それはそれとして、人前でこれを着るというのはなかなか勇気がいる事なのだ。

  • 145二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 11:23:19

    預かり知らぬところでオカズ本把握されて性癖推測されてる…おいたわしやペパ上

  • 146二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 11:36:18

    「スター団みんな出るみたいだし、ウチも当然エントリーしてるから安心してよ。まあ流石にウチはメイド服は……」

    「……なるほど、最初からアオイ殿の衣装でござったか。通りでイーブイではなくニャオハイメージだったのでござるな。」


    事情を察したシュウメイが納得したかのように頷く。


    「うん。そういう事。ありがとうシュウメイ。あと、ごめん。付き合わせちゃって……」
    「礼には及ばぬでござる。このシュウメイ。マジボス殿の頼みとあらばなんでもする心構えゆえ。」


    ボタンの言葉に気にする事はないと返すシュウメイ。彼にとってもマジボスであるボタンには返しきれない恩があるのだ。お互いのどんな無茶振りにも応えられる、スター団のボス達の絆の強さがそこにはあった。
    しかし、そこで話は終わらない。


    「……ならばやはり、アレも一緒に作っておいて正解であったな!!」
    「……は?」
    「……え?」


    しばし待たれよ。そう言ったシュウメイはテントの中に何かを取りに行った。アオイはシュウメイが何をしに行ったのかボタンに聞くが、ボタンも首を傾げている。

    その数分後、戻ってきたらシュウメイはアオイに渡したのと同じような大きさの包みを、ボタンに渡した。
    これは何なのか。目を丸くして質問するボタンに対し、シュウメイは力強く答えた。


    マジボス殿のイーブイ達をイメージしてハンドメイドした至高の名作。ブイ耳メイド服DXセットであると。

  • 147二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 11:38:11

    シュウメイGJ

  • 148二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 11:43:17

    皆様保守と感想ありがとうございます。
    いけいけドンドンのように、とても励みとなっております。
    スレ主があまり語彙力がなく、更新も遅く拙い文章ですがこれからもよろしくお願いします。

    ようやくからスパ編はおわり、次はからスパ下兼すぱスパイス編、最強大会のお話となる予定です。

  • 149二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 20:24:46

    シュウメイお前が神か
    普通にDLCでニャオハメイド服欲しいわ

  • 150二次元好きの匿名さん23/01/19(木) 22:27:46

    からスパ下きたわーー

  • 151二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 06:44:18

    保 守

  • 152二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 15:35:02

    保守

  • 153二次元好きの匿名さん23/01/20(金) 20:54:48

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 00:29:05

    保守

  • 155二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 07:22:50

    保守

  • 156二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 11:27:39

    今北
    なんだこの神SSスレは保守

  • 157二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 12:25:24

    ほっほ

  • 158二次元好きの匿名さん23/01/21(土) 21:04:38

    保守本当にありがとうございます
    明日のこの時間ぐらいから続きを書かせていただきます。
    自己保守失礼します。

  • 159二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 07:20:51

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 12:29:59

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん23/01/22(日) 21:17:06

    【からスパイス編 下】

    「ど、どうかな? 似合う?」

    部屋に設置した大鏡の前で自身の格好を眺めながら、ポケモン達に質問すると、マスカーニャは笑顔で返事をした。

    アオイは今、学園最強大会で着る予定であるニャオハ耳メイド服DXを試着していた。
    ニャオハをモデルとして作られれたこのメイド服は、ニャオハのように自由奔放である彼女のイメージにピッタリであった。

    大好きなアオイとお揃いで上機嫌なマスカーニャと違い、アオイのもう1匹の相棒であるコライドンはその大きな身体で床にゴロンと寝転び、尻尾を上下に動かしている。見るからに拗ねているコライドンに対し、マスカーニャは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、コライドンを煽るようにアオイの近づき、カチューシャと自身の耳がお揃いだと見せつける。
    その煽りに「アギャス」とコライドンはため息をついた。

  • 162二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 06:46:37

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 15:42:55

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 22:35:55

  • 165二次元好きの匿名さん23/01/23(月) 23:28:50

    待ってた

  • 166二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 07:52:13

    ほしゅ

  • 167二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 09:26:57

    なにこの神SS

  • 168二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 13:03:57

    そんな拗ねてしまったコライドンの頭を優しく撫でながら、アオイは机の上に置かれた本へと視線を移す。

    その視線の先にあったのは一冊の本である。
    そのタイトルは『年下の妹系後輩が実は俺の専属猫耳メイドだった件。昼はお兄ちゃん、夜はご主人様で毎日大変なんですが〜おしおきわカラせカラスパイス編 下。』だ。

    そう、アオイは既に続きの本を入手したのだ。しかしこれは、アオイ自らがペパーの部屋から持ってきたものではない。
    チームシーのアジトでメイド服を受け取った時と同じ日に、ボタンから受け取ったものである。
    なお、ボタンがアオイの代わりに上巻を返して、代わりにペパーの部屋から拝借してきたものではあるため出処は変わらない。


    その本は前作の続きであり、ヘイラッシャの威を借るシャリタツの如く強気で攻めていたヒロインであったが、さすがにやりすぎたためにタイトル通り逆転されておしおきを受けるという内容である。

    ボタンは内容が内容であるためにアオイに渡すことを逡巡したが、友達とした約束を守るのは相手への裏切りになると判断し、渋々渡したのだ。
    もちろん、この本のおしおきにまで発展するようなちょうはつをアオイのいたずらごころでされても困るため、渡す際に念入りに「この本を読むのはしばらく後にして」ともボタンは伝えている。

    ボタンと約束したアオイは、チームシーのアジトから寮の自室に帰宅したあと、扉に鍵をかけ秒で本を開いたのだが。


    その本の内容であるが、最初に見たあまスパイス編のように蕩けそうになるような恋に憧れ、相手には積極的に来て欲しいと思う年頃のアオイにとって、些か過激ではあるがある意味ではピッタリの内容であった。

  • 169二次元好きの匿名さん23/01/24(火) 17:55:52

    好奇心旺盛過ぎる…w

  • 170二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 00:13:27

    そりゃまあ、即読むよね…

  • 171二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 09:09:02

    保守

  • 172二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:40:52

    保守

  • 173二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:33:10

    期待

  • 174二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 01:53:08

    そして今現在、メイド服という服装を鏡で再確認した確かな手応えをアオイは感じていた。
    今の自分の姿は、服装だけで言えば漫画のヒロインと同じ、つまりはペパーの好みの姿である。
    普段であれば、ペパーからすれば自分は眼中に無いかもしれないが、この服装なら嫌でも目に付くだろう。
    ペパーは可愛いと言ってくれるかもしれない。いや、それどころか『そういうこと』にまで発展するかもしれないという仄かな期待がアオイの中に生じる。


    実は今日この日から学園最強大会終了時まで、お試しで制服以外の服装が一時的に解禁される。そのため、この服の初お披露目が予定より早まったために今試着していたのだった。
    この服装が吉と出るか凶と出るか、妄想通りに事が進むかは、今日のアオイの頑張り次第である。

    期待に胸が高まりながら、アオイはポケモン達をボールに戻し、集合予定のエントランスまで向かった。

  • 175二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 09:43:22

  • 176二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 17:31:00

    両者ともに頑張れ…特にペパー頑張れ…

  • 177二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 21:12:10

    このレスは削除されています

  • 178二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 02:00:09

    このレスは削除されています

  • 179二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 06:03:56

    保守

  • 180二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 17:09:51

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 23:29:44

    ​───────​──────


    「……まだ誰も来てねえか。どうやら早すぎだったみてえだな。」


    待ち合わせ場所であるスカーレットブック(同人誌では無い方)のある本棚にいち早く到着したペパーであったが他の3人がまだ来ていないことに気がつく。

    手持ち無沙汰となった彼は何となしに辺りを見忘す。

    知識を 欲せよ オレンジよ。

    校歌の歌詞の通り、求めればどんな情報でも得ることが出来るのではないかと錯覚するほどの大量の本棚が並び、荘厳な雰囲気を醸し出しているエントランスであるが、今日はいつもとは違いやや浮き足立った空気が流れていた。
    それもそのはずだ。仮装大会のために普段であれば校則で定められていた服装が一時的に自由で良いとされたために、エントランスには普段通りの服装をしてる生徒はあまりおらず、手持ちのポケモンに合わせた格好や、将来の夢である職業の衣装など、個性豊かな仮装をしている生徒が多いからである。

  • 182二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 23:29:51

    このレスは削除されています

  • 183二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 23:30:21

    「……みんなオシャレちゃんだな。」


    そんな学園の様子を見てペパーはつぶやく
    実は彼の服装は、仮装しておらず学校指定の冬服、つまりはいつも通りなのだ。
    前日からみんながみんな仮装する訳では無いだろう。どんな感じで仮装しているのか見てから決めればいい。
    彼はそうタカをくくっていたのだが、実際には違い、普段通りの服装である彼は逆に浮くこととなった。


    (…………ってことは、もしかしたらあいつらもなんか仮装してくるのか?)


    もしそうだとしたらその中でも浮いてしまうだろう。今すぐ購買に行って何か衣装を買ってくるべきだろうか?
    そう彼が考えた時、「ペパー!」と彼の背後から話しかけてくる声が聞こえた。


    「お、来たかアオイ!」


    声に応じて、彼はアオイの方を向くために後ろに振り返った。

  • 184二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 00:01:40

    元スレと現状の描写的にはお労しやアオ上展開が待ってる感じでちょっときついぜ

  • 185二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 00:12:55

    「ごめんね、ちょっと準備に手間取っちゃったんだ。」
    「…………!?」

    そこにいたのは当然アオイである。しかし、いつもとは服装が違う。

    ペパーの目に最初に移ったのは、緑色のポケ耳であった。
    アオイの相棒であるマスカーニャ、その進化前のニャオハのようなそのカチューシャは、明るく躍動的な雰囲気のあるアオイをより際立てているように彼は感じられた。

    次に目に入るのはその下。彼女の表情だ。律儀にも急いで寮を出て走ってきたのか、その両頬は紅潮していて、また、ダークブラウンの髪は僅かに汗で湿っていたようにも彼は見えた。

    ペパーがさらに視線を下へと移すと、白と黒を基調としたエプロンドレスが彼の目に入る。
    手首近くまで行くロングスリーブに膝下までいくロングスカートとやや正統に近いが、ポケ耳のカチューシャが浮かないよう、メイド服の首元付近にはマスカーニャの首にある花びらと同じような刺繍がしてあった。

    そう、まさにスカーレットブック(ペパーのペパーがよく使う方)に描いてある、本の中の少女そのもののような見た目をしたアオイがそこにはいたのだ。


    「意外とこの服暑くてさ……ん? どうしたのペパー?」
    「い、いや、なんでもない。」


    身長差がある2人であるため、近距離で目線を合わせるとなると、必然的にアオイが上目遣いで彼を見ることになる。だからこそ、この上目遣いは偶然の産物であり、特になにか攻めたという訳ではない。

    しかしブラウン色のアオイの瞳が、僅かに挑発するように揺れたと彼は錯覚した。心の奥底になにかを感じるペパーであるが、それを何とか振り払い、自らのポケットモンスターが戦闘態勢を取らないよう持ちこたえた。

  • 186二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 00:40:00

    そんなペパーの様子を見ていたアオイだが、思うような結果ではなく彼女の予定とはやや狂いが生じていた。
    なぜ自分を下から覗くアオイの瞳が挑発するかのように揺れているとペパーが錯覚したのか。それは攻めたというわけではなく、そこにアオイのとある想いが込められていたからである。

    『「可愛い」と言ってほしい。』
    ただそれだけだ。

    ある意味一足飛びで大人の知識を学んでしまっている彼女であるが、その根底にあるのはまだまだ未成熟な恋する少女のものであった。
    実際は可愛いと言ってもらうとか以上に色んな意味で彼にダメージを与えているのだが。


    「ね、ねえ、ペパー。ど、どうかな??」


    しかし、待てども待てども服の感想を言わないペパーに業をにやしたのか、アオイは直接質問した。

    「ど、どうってそりゃ……」
    「そりゃ……?」
    「か……」
    「か?」


    可愛い。もしかしたらその言葉を引き出せるかもしれない。そう期待したアオイであったが。


    「か、仮装上手ちゃんだな! とてもオシャレだと思うぜ!!」
    「……そ、そっか…! …あ、ありがとう。」


    返ってきた言葉は何ともクソボケであったが、ペパーにとって、これはお互いに相手が自分の事を親友だとしか思ってないのだと考えているからこその回答であった。

  • 187二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 08:06:25

    クソボケェ!!!

  • 188二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 09:01:44

    おっちゃん!このクソボケペパーになんかいってよ!

  • 189二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 18:33:01

    保守

  • 190二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:49:27

    保守

  • 191二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 06:15:32

  • 192二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 09:33:38

    保守

  • 193二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 15:07:45

    クソボケ保守

  • 194二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 20:26:36

    保守

  • 195二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 21:17:51

    保守

  • 196二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 07:53:11

    保守

  • 197二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 12:22:58

    保守

  • 198二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 12:23:41

    保守すいません、ようやくリアルが落ち着き今書き溜めしてますので明日の夜再度立て直します…

  • 199二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 12:41:21

    >>198

    ゆっくりでいいからね!

    スレ主さんのペースでお願いします。

  • 200二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:26:38

    埋め

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