- 1二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:37:02
- 2二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:38:07
あの、何でもう目が澱んでるんですか?
- 3二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:38:20
超カワイイ…
- 4二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:39:15
魔法使い型なのに賢さが死んでる……
- 5二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:41:53
世界背景
この世界は
dice1d6=1 (1)
1剣と魔法が
2科学と魔法が
3科学と剣が
4魔法が
5剣が
6科学が
栄えた世界…
- 6二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:42:15
スタンダードだね
- 7二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:48:30
この世界でウマ娘は
dice1d6=2 (2)
1ヒトの上位種 2人と近しい亜人 3人とは相容れない亜人
4神に近しい種 5下賤な種 6奴隷階級 として扱われている
- 8二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:49:37
(魔法と剣がなければ割と現世と変わりないのでは…?)
- 9二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:53:12
運命の相手と会ってないからでしょ
- 10二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:53:36
ウマ娘は人と共にある良き隣人...という立ち位置であった
なにせウマ娘は人がいないと栄えるのに苦労する存在であるが故、いかに優れた能力を持とうとも、人のそばにいることを選んだのである。。。
そんなこの世界だが
人族国家の数は
dice1d6=1 (1)
1小国が無数にある 2大国がいくつか 3小国がわずかに
4国が一つだけ 5国などない 6ex
- 11二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:54:15
小国が無数にある…言ってしまえば戦乱の世の真っただ中であった
- 12二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:54:20
中世ヨーロッパかな?
- 13二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 14:59:24
遥かな昔に存在した神は人の手によって殺され、神話の時代は幕を下ろし
また、その寵愛を受けて生まれる英雄も数を減らし...
人は上位者の手から巣立ち、自らの力で世界を開拓すべく歩み始めた黎明の時代。
数を増やし、魔獣や古代よりの龍など...数多もの恐怖を克服した結果として
人類は
その世界を奪い合うように国を打ち建て、殺し合いを始めた。 - 14二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:00:45
- 15二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:04:47
1代30年としても19代か
やばいな - 16二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:06:17
都市国家が乱立する古代ギリシャとかかも知れん
- 17二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:08:24
泥沼化する戦争、形骸化する暇もなく行われる宣戦布告
もはや今行っている戦争が、如何なる理由で行われていたのかすら。覚えているものは少ない。
それを思い返すころには、人の血を血で洗う復讐の鎖が幾重にも世界を縛り付けていた。 - 18二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:15:09
そして何時からであろう
戦争が、貴族や王族、一部上流階級のスポーツのような扱いを受けるようになったのは…
王が代替わりしたからか?貴族が代替わりしたからか?
いいや
『理由がないから』である
殺しあうのに理由がない。故に時として同じ国家に属する者同士であっても殺し、略奪する。
大義名分など、『之は逆賊であった』とそれだけで十分なのだから。
理由のない戦争は、戦場から戦う『意味』を奪っていった - 19二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:17:37
- 20二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:20:48
- 21二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:26:48
戦乱が当たり前になり過ぎて麻痺してるわ
- 22二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:32:00
- 23二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:35:33
- 24二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:38:01
DEXMP型…TEC弓か?
- 25二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:46:52
カレンチャンは軍に所属する
dice1d6=4 (4)
1将官 2佐官 3尉官
4准士官 5下士官 6兵卒
- 26二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:55:54
なるほど准士官...
あまり戦場に出ない士官以上は貴族階級に独占されているケースが多いので
平民としては実質最高位のようです
では出自を
dice1d6=5 (5)
1敗国の将 2敗軍の将 3忠実なる兵 4野心ある兵 5手負いの兵 6ex
- 27二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 15:59:22
- 28123/01/25(水) 16:00:25
えっ
- 29二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:02:59
こんなところでカワイイユニバース炸裂…
- 30二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:05:17
すげえ
- 31二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:07:55
- 32二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:15:45
異世界転生カレンチャン?
- 33二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:19:38
それは神なき時代に残された、神代の残滓であった。
生まれる前、肉体という檻に囚われ、人の時代へと生を受ける狭間
カレンチャンは出会ったのだ
最初に英雄ヒトの手によって殺された神、その神霊に。
神は言った。
生み出した愛おしき我が子の道末を、どうにか守ってほしいと
人の身で滅ぼされながら、人になる前の赤子に縋るように懇願した
世界ではなく、人類を救済してほしいと
そして。
あまりに偏った価値観を持った人類愛の神は、カレンチャンに呪いをかけた
『カレンチャンよ、人類の救世主であれ』
『如何なる要因があっても、より大多数の人間を生かす道を取れ』
『それが為されぬ時、その身は醜悪な魔神と成り果て、英雄亡き人の世を滅ぼすだろう』
そうしてカレンチャンは、そうあれ、と願/呪われてこの世に生を受けた - 34二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:20:56
どっち道世界はカワイイで包まれる某お姉ちゃんENDになる未来しか見えないw
- 35二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:21:36
やっぱり神様滅ぼして正解だったのでは?
- 36二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:23:15
神様なんて大概身勝手なもんよ
- 37二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:29:01
- 38二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:40:00
カレンチャンはそれまでの経験で心底思い知っていた
この世界、人も何もかもクソ極まりない…と。
高圧的な軍に圧政を敷く王、そして甘い汁を啜り尽くして民草を死地へと追いやる貴族たち
生まれてこのかた、いくつかの国を見てきたものの、どの国も似たり寄ったりなのである。
ではなぜ救世主カレンチャンはこの王国にこだわるのか?
それは、ここが一番最悪な国だったからである。
救世主たるカレンチャンに私情を挟む権利はない。
例え犠牲にすべき少数の側に愛する人がいたとしても、それを救う自由はない。
ただ、より多くの人間を救うべく行動するだけだ。
幸いなことに、この世界では武力があれば大抵の物事は解決できるが故、より悪辣な政治手腕を振るっている愚王こそが、カレンチャンにとって忠誠を捧げるべき人物である。
英雄として生まれたこの身に敵うものなど、真性この世にいないのだから - 39二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:49:42
- 40二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:51:45
- 41二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 16:58:57
- 42二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:01:47
切嗣やんけ…
- 43二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:10:33
それは現女王であるキングヘイローが、幼少の砌、父王に連れられ戦場の最後方から下民の殺し合いセンソウを観覧していた時の事だった。
流れ魔法が不幸にも王目掛けて飛んできたのである。
前線で戦っている者にも、後衛の魔法隊にも不備はない。
腐っても殺し合い続けてきた老練の作戦に不備はなく、近衛兵も近くにいた。
だというのにその時だけは、なんの偶然か
『たまたま一瞬だけ前衛と後衛と近衛兵の戦線に一点の穴が開き、そこをちょうどよく流れ弾が通過して来た』のだ
本来ならば絶対に安全であるはずの場所に打ち込まれた攻撃。
それを認識した瞬間に、キングヘイローは自身の生存を諦めた。 - 44二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:16:59
- 45二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:26:02
- 46二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:37:26
- 47二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 17:53:35
最近、というより昔からずっと、あの日のことを思い返す。
今にしてみれば、私が英雄というものを求めるようになったのはカレンチャンのせいなのかもしれない。
どんなピンチでも助けてくれて、傷だらけでも笑っていられるような
そんな都合のいい味方が、とても強くて、輝かしくて、かっこよく映った。
...まぁ、あとから訓練を見せてもらったらそのへっぽこっぷりったらなかったけれど。
同じ一兵卒の中でも目立たない落ちこぼれで、片腕しか使えなくなってさらにひ弱くなっただの噂されて。
魔法なんて、魔力はこの国でトップクラスにあるのに、使い方がまるっきり理解できないんだからもったいない。
でもそんな彼女が、私は大好きで…
そして今日、急に謁見を求められたことに浮足立っていたりもする。 - 48二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:10:51
「ご機嫌麗しゅう、女王陛下...」
近衛兵達に扉を開けさせゆったりと歩いてきた彼女は、玉座に腰掛ける私に跪き、臣下の礼をとった
そう、私が父王の急逝に際して即位してからというもの、カレンチャンは私に対してきやすい言葉をかけることは滅多になくなってしまった。
最近では彼女に前線を率いてもらうことが多く、中々王城で会う機会も作れやしない。
それだって、いつもは私の方から適当な用事をでっちあげて彼女に来てもらうのである。
こうしてカレンチャンの方から赴いてくるのは初めてではなかろうか。
「そう固くならないで?もう一年近く会ってなかったじゃない…たまには気楽にして欲しいわ」
どんな話をしよう。
そんなこと、兵から手紙を受け取った時から考えていたはず。
なのに、いざ本人を前にすると嬉しくて何も浮かばなくなってしまうのだから
これではまるで恋も知らない気娘のようではないか
「…そうだわ!最近ね、新しい紅茶を手に入れたの!貴方も飲んでみない?」
そうだ、この間戦場で略奪したと聞いた珍しい銘柄のものがいくつもある。
私の権限では准士官までしか昇進させてあれがれなかったし、この手の品にはあまり縁がないはずだ。
お詫びも兼ねて、これを彼女に振舞うのはどうだろう
淹れ方も趣味で散々練習したし、きっとおいしい紅茶を飲んでもらえるに違いない。
そう思うとほほが緩む。
驚いてくれるだろうか、喜んでくれるだろうか、褒めてくれるだろうか。
彼女は優しいから、きっと... - 49二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:17:46
ノウブルマジック
それは、王家の血を色濃く受け継ぐ人間にのみ発現する力。
それこそが王権の証であり、これを継ぐ子を輩出できなくなった時、その王は権威を失う。
では生まれついて貴き魔法を持たないものは王になれないのかと問われれば、答えは否。
貴き力が発現するのは王の血族だが、一族が根絶することによって宿る血を失った力を奪い、自身に宿らせることができる。
つまるところ玉座の奪還とは
その王族の血縁者を、根絶やしにすることによってのみ成立する。 - 50二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:19:42
- 51二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:30:34
私は、目の前で浮かれている友人の首を、彼女から賜った騎士剣で刎ねた。
近衛兵が動く様子はない。
「駄目だったんだよキングちゃん」
個人的には嫌いではないタイプの人間だったけど、好きにはなれなかった。
育った環境が悪かったのだとは思うけれど。
「その茶葉を持ってくるのに、何人罪のない人を殺したと思う?」
この子が教養や淑女としての嗜みに精を出しているとき、いったいどれだけの救えるはずの人間が死んでいったんだろう。
哀れではある。
取り入るために作戦に綻びを出して、あえて身を挺す忠義の騎士の真似事までして...情が湧かなかったといえば嘘だ。
でも…
「わたしが王をやった方が良い、そういう時が来たんだ」
出来るならば、彼女には適当な流行り病か何かで病死してほしかったなぁ。
そうすれば、私は最後まであなたの騎士でいられたかもしれない。 - 52二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:39:31
- 53二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:43:55
- 54二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:47:09
かくしてカレンチャンはこの王国の膿を手足ごともいで自分のものとした。
これで良い
貴族と王を殺し、国民を救った。
天秤は正しく傾き、それに従ってカレンチャンは正義を成した。 - 55二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:49:16
国力ダイス
国力dice1d100=19 (19)
人材dice1d100=40 (40)
鉱物dice1d100=20 (20)
技術dice1d100=65 (65)
木材dice1d100=35 (35)
土地dice1d100=35 (35)
作物dice1d100=7 (7)
- 56二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:52:54
- 57二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:57:24
何度もかみしめるように、殺してよかったのだと反芻する。
そも、殺さない自由がないからこそ、この殺戮は正当だったのだと言い聞かせなければやってられる気がしなかった。
カレンチャンの治世によって
国力dice1d50=33 (33)
人材dice1d50=34 (34)
技術dice1d50=37 (37)
作物dice1d50=43 (43)
アップ!
- 58二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 18:59:15
王国
国力dice1d100=19 (19)33=52
人材dice1d100=40 (40)34=74
鉱物dice1d100=20 (20)=20
技術dice1d100=65 (65)37=102
木材dice1d100=35 (35)=35
土地dice1d100=35 (35)=35
作物dice1d100=7 (7)43=50
- 59二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 19:07:20
- 60二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 19:30:09
「テイオー、その情報の裏付けは取れているのか?」
「間違いないよ、というか信じられないことに、王印の込められた証書に戦争の賠償費用の用意まであるって書かれてて...その確認をしてもらおうと思ってきたんだ」
王印。その言葉を聞いてルドルフは驚愕する。
王印とは、ノウブルマジックの宿った人間が印すもので、同じくノウブルマジックを宿した人間が触れることで、独特の変色光を放つのだ。
これのある書面はいち国家の総意として受け止められ、もしそれに契約が印されていたのなら、故意に違えることは不可能となる。
つまりこれが本物なら、あの王国が敗戦を認め、降伏文書を送ってきたということになるのだ。
「…本物だ」
その血を持つ者にしか見えない光が、ルドルフの指先から零れる。
「…どうする?一旦保留にして会議に…」
「いや、書面に不備がなく、補償も十分な額が用意されている。戦線が一つなくなるだけで帝国にはかなりの余裕が生まれるだろう。その上王国からの厄介な略奪行為がなくなるとなれば、断る理由がない。」
二度とないかもしれない、一切の犠牲なく大量の資源を獲得できるチャンス。
「これをご老人どもに見せてみろ、今まで受けてきた帝国の名誉に泥塗る悪逆非道を忘れたのかとお冠になること間違いなしだ」
「…でも実際、忘れられないんじゃないの?国民のみんなだって、王国兵に家族や友人を殺されたり、犯されたりして恨んでるよ」
「その痛みを晴らしてどうなる。後の世代がしっぺ返しを食らうだけだ。今の世代で苦渋は飲み干してしまわないといけない」
そう言いルドルフは証書に自らの名と、王印を刻んでテイオーに手渡した。 - 61二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:27:20
- 62二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:28:52
テイオーはこの終戦について
dice1d100=83 (83)
100ほどいい印象を持っている
- 63二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:31:10
幸運と知力がやたら低いとかギリシャやケルト神話の英雄みたいだぁ・・・
- 64二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:32:39
テイオーの属性
dice1d3=1 (1)
1秩序 2中立 3混沌
dice1d3=2 (2)
1善 2中庸 3悪
- 65二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:37:25
- 66二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:44:21
- 67二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:46:53
ルドルフとテイオーは親子...?
dice1d2=2 (2)
1いえす
2のー
- 68二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 21:51:49
- 69二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:02:18
それは神なき時代に残された、神代の残滓であった。
生まれる前、肉体という檻に囚われ、人の時代へと生を受ける狭間
テイオーは出会ったのだ
最後に英雄ヒトの手によって殺された神、その神霊に。
神は言った。
生み出してしまった悍ましき我が子の道を、どうにか絶やしてほしいと
人の身で滅ぼされた悪神は、人になる前の赤子に縋るように懇願した
人類ではなく、世界を救済してほしいと
そして。
神として至極真っ当な価値観を持った極悪非道の神は、テイオーに祝福を与えた
『テイオーよ、世界の守り人であれ』
『如何なる要因があっても、この世界が食い荒らされないよう』
『嫌なら為さずとも良い、その時は私が身を借り、神亡きこの世を救うだろう』
そうしてテイオーは、好きにしろ、と願/云われてこの世に生を受けた
その人生が如何な道を辿ろうとも、その選択は人類の絶滅により、全て無に帰すのだから - 70二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:11:00
- 71二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:15:07
- 72二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:16:29
帝王の力
dice1d9999=5291 (5291)
- 73二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:45:53
王宮内、謁見の間にて
ボクが彼女を初めて見た時に受けた印象は…可憐、だった。
黒のドレスはまるで花嫁衣裳のようで、憂いを帯びた表情をしながらこっちを見ている。
その目に光はなく、まるで…何もかもに絶望しきっているかのよう。
ただその視線が交錯した瞬間。
彼女の雰囲気がガラリと変わる。
先程までの憂国の女王の顔は消え去り、敵対者を見る戦士の表情へと。
「あ…なたは…一体…?」
「ボク?ボクは帝国から、キミに証書の返信を持ってきただけの使者だよ」
カレン王女は剣を抜き、片腕で構える。
ああ、やっぱり王は殺されていたのか。
王印なんて百年以上も見る機会がなかったそうだし、こうして対面しないとわかりっこない。
これがあの愚王と同じとは到底思えない。
「その剣は一体何なのかな?教えてくれると嬉しいんだけど」
その堂に入った構えは如何にも正道の騎士といった趣があるけれど…
たぶんこの人、君主を切ってるんだよねぇ。
まさに裏切り者っていうわけだ。 - 74二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 22:56:35
「…とぼけないで。まさかこの時代にもう一人居たなんて思わなかったけど…あなた、英雄でしょ」
「英雄?何言ってるのさ。最後の英雄は、神世歴の末に生まれたかの剣聖だろ?あの人は人世歴121年に122歳で亡くなってるよ」
タコと怪我だらけの素肌からして高貴な生まれではないと思っていたけど、もしかして彼女はまともな教育を受けていないのだろうか。
最後の英雄の死去から451年、今や神代では塵芥の如く扱われていた生活用品なんかがやれ神器だと持て囃されるような時代だ。
英雄が実在するだなんて信じてるのは平民の子供くらいのもの。
「確かにボクは力で成り上がって皇帝の側近にまで上り詰めたさ。もしかしたら帝国...いや、世界で一番強いかもしれない。けどね、それは人の世界の話だよ。神話の世界の登場人物とは、比べ物になりっこない」
ああ…本当に哀れな女だ。
いっそボクが殺してあげようかな?そうすればもうそんな妄言を吐いて世界に恥を晒すこともないだろうし、何よりボクの国を手に入れることができる。
不用心なことに近衛兵の一人も連れていないし。
「そう、自覚がないんだね…馬鹿な人…
うん。いいよ、じゃあカレンが憐れなあなたを救っ/殺してあげる」
...は?
その女は心底憐れんだような表情で剣を振るってきた。
...誰が、バカだって?
...誰が憐れだって?
...救ってやる? - 75二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:00:27
「ねぇ、ふざけるのも大概にしてくれないかな」
...こんな奴でも王だ。
ボクとは違って貴き魔法の使い手で、王権を持っている。
あの皇帝と…神秘の尊さで同等の存在ではある。
だけど、
「裏切り者の泥棒猫に、見下されるほど帝国の使者という肩書は安くないよ」
プライベートで言われたのなら軽く流してあげるさ。
確かに同じ職場の正騎士たちに比べると、平民出で力だけが自慢のボクは少しだけ知識が足りてない自覚はあるから。
甘んじてその評価を受け止めよう。
でも、皇帝に証書を。
『帝国の王印を託された使者』としてわざわざ下賤な蛮族の国の玉座に赴いてこれは、うちの国をナメすぎてる。
そっちがそのつもりならボクだって容赦しない。
こんな国と平和ごっこなんて真っ平御免だ
今この場でお前を切り殺して、ボクの国にしてやる。
「…やっぱり、これを受けられるってことは」
「そっちから切りかかってきたんだから!死ぬ前になって命乞いしないでよね」
戦闘開始 - 76二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:05:08
TURN 1
カレン
KAWAII dice1d8077=7114 (7114)
+
dice1d7000=2901 (2901)
テイオー
帝王の力 dice1d5291=1739 (1739)
+
dice1d7000=4265 (4265)
- 77二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:06:31
カレンチャンの攻撃
dice1d100=92 (92)
テイオーHP
100
- 78二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:12:43
100-92=8
打ち合うこと二十合、カレンチャンの攻撃がテイオーの剣を弾き、その胴へと深く突き刺さった。
「っ!ぐ...」
そのまま力づくで剣を振りぬき、テイオーの体に大きな裂傷が刻まれる。
既に所々に剣閃が通り、全身から夥しい量の血が流れていた。
「嘘...でしょ、こんな、化け物染みた騎士がいたなら...なんで...王国は…」 - 79二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:13:25
TURN 2
カレン
KAWAII dice1d8077=1585 (1585)
+
dice1d7000=6927 (6927)
テイオー
帝王の力 dice1d5291=604 (604)
+
dice1d7000=86 (86)
- 80二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:14:10
カレンチャンの攻撃
dice1d100=13 (13)
テイオーHP8
- 81二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:31:58
出血量が増え、徐々にテイオーの視界に靄がかかる。剣を握る腕に感覚がない。
まるでボールの上に立ってるみたいに体がふらつく。
気付けばボクが皇帝から賜った魔剣は、謁見の間の片隅に弾き飛ばされていた。
...いやだ
死にたくない。
ナンデ、どうして、だって...ボクは何も...間違った選択は、していないじゃないか!
何故、こんなところで、こんな愚かで、王を裏切る、最低の、人の心もないような怪物なんかに…!
「ふざけ...るなぁ…!」
腹立たしかった、悔しかった。
今まで誰にも負けたことがなかったのに、どうしてよりにもよってこんなヤツにこんなタイミングで初めて負けるなんて…!
不幸で…あまりに酷すぎる末路だよ…
「いや…だ…ころさ...ないで…」
「だめ」
そう言うとカレンは、テイオーの体を指先から微塵切りに刻み始めた。
こわい。
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
爪が切られて、指の腹まで刃が突き刺さって。それが何度も繰り返されて、生まれてきてからずっと使ってきた指がミンチにされていく。
念入りに、じわじわと。
脳裏に骨の砕かれる音と肉の潰し切られる音が反響して、気が狂いそうになる。
「ッ!!ッ!!!ぁ!!!˝ッ!!!?!?!?!??!」
「…そう生まれてきたのが悪いの、あなたの体が残ってると、沢山の人が不幸になる」
だから、この世から跡形もなく消してあげる。
それが慈悲だと、女は云った。 - 82二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:41:34
- 83二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:52:52
だからこれは、仕方のないことだったんだよ。
カレンの気持ちなんて関係ない。
ただより多くの人を救うために、私は将来悪を成すかもしれない無実の人間を殺す。
救うべき多数に排斥された少数を殺す。
そう自分に言い聞かせながら、カレンチャンは王城の地下へと降りていく。
そこには
dice1d3=3 (3)
1無数の石棺 2数本のガラス管 3数え切れないほどの墓標
があった
- 84二次元好きの匿名さん23/01/25(水) 23:56:07
その中にある一本へ、カレンチャンは文字を書き込む
『トウカイテイオー、ここに眠る』
そして次に向かうのは地下牢だ。
そこにはdice1d3=1 (1)
1鉄の大釜 2カレンチャンカワイイ 3浴槽
- 85二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 00:00:18
- 86二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 00:09:06
「ごめんねキングちゃん、ちょっとやらなきゃいけないことがあって
会いに来るのが遅くなっちゃった」
その瞼の裏はどうなっているのか
そんなことはとうにわかり切っている。別に始めてやることじゃない。
ただ、殺してしまった人に心残りがある時は、
こうして話し相手になってもらうだけなんだから。
「いきなり切り殺しちゃってごめんね、なるべく痛くないようにしたつもりだったけど、せっかくもてなそうとしてくれてたのにアレは酷かったよね」
「…」
「それに…生まれて初めての友達って言ってくれたの、少しだけ嬉しかったよ」
「あのとき喜んでたのは嘘じゃない」
首についた縫い目を労わるようになぞり上げる。
その手つきはまるで、母親が赤子を撫でるように繊細で、愛情に満ちていた。 - 87二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 00:29:25
今ここで綺麗な形を保っているのはキングだけだ。
お兄ちゃんも、お姉ちゃんも、両親も、『友人のウマ娘』も
皆、とうに腐り果ててしまっている。
でも十分だった。
もうお兄ちゃんにも、お姉ちゃんにも、一生分の愛を囁いた。
両親にも精一杯の感謝の言葉を伝えたし、アドマイヤベガにも目が腐るほど長い間、星を見せてあげた。
死んだ後なら、カレンは自由だ。
腐り朽ち果てるまでのほんの数日だけだけど、その間だけは思う存分誰かを好きになって良い。
「ねぇキングちゃんは、カレンの事…好き?」
「…」
嘗ての女王は何も言わない。
私に殺されたのだから。
救世の女王は、死体の中で嗤い続けた。
一度も自由のなかった身で、ここだけが自由なのだと。
善なる神に聞こえないよう、石室の片隅で蚊の鳴くような呪詛を吐き、善なる神に悟られないよう、音もたてずに涙を流す。
生まれる前から全てを奪われた少女は、ただただ、愛しい死体の傍らで。 - 88二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 00:54:56
- 89二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 09:10:18
ほす
- 90二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 18:14:16
- 91二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 18:31:18
このレスは削除されています
- 92二次元好きの匿名さん23/01/26(木) 18:31:47
- 93二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 00:09:49
保守
- 94二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 02:45:49
このレスは削除されています
- 95二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 13:08:56
スレタイからは想像できなかったが重厚な話でいいな……
- 96二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 17:32:36
- 97二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:05:33
- 98二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:12:40
dice1d6=3 (3)
1帝国 2王国 3神聖国
4公国 5民国 6皇国
- 99二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:18:11
- 100二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:23:41
- 101二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:27:40
スレタイは実はフェイクで、えいゆうじゃなくてひでおカレンチャンだろ?とか思ってたら全然違った
- 102二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:47:30
王国がどういうわけか戦争を止めるのも知っていた。
帝国がそれを受け入れて使者としてテイオーを送ったのも、我が国にも王国から証書が送られてくることも知っていた。
「この水晶で見通せないものなんて…」
全ては代々継がれてきた占い水晶に映し出されている。
なのにどういうわけかテイオーの死因がわからない。
「あの…終戦は…?」
「するわけないでしょうそんなもの!ほとんど勝ちかけの状態で、降参を受け入れる王がどこにいますか!」
「帝国にいますぅ…」
「あれは日和見主義なんです!その気になればいつでも滅ぼせた国をわざわざ放置して…!自国民が略奪され苦しむのを看過し!あまつさえ我が国の王国への侵攻を妨げる始末!」
「では帝国は再び使者を…?」
「流石にそれはないでしょう…あれも王です。敵国に後継として指名した義理の娘を殺されたとあっては、帝国の面子のためにも黙っているわけにはいかなくなります」
教皇は歪む口元を布で隠し、剣呑な雰囲気を漂わせる。
そう、帝国も黙ってはいられない。ここまでの戦況を見る限り王国は敵にも味方にも、大した被害は出せていない。弱兵と腰抜けな指揮官の集まりのハズ。
神聖国の聖騎士と帝国騎士団の攻勢に耐えられるとは到底思えない。
「シンボリルドルフに共闘を提案しましょう。彼女ならこの水晶の力を思い知っていますし、吞んでくれるに違いありません!」
そう考えてマチカネフクキタルは、皇帝の元へ向かった。
今度こそ王国を滅ぼすのだ、と。 - 103二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:51:21
- 104二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 18:55:25
- 105二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 19:09:43
皇帝の反応は教皇の期待とは裏腹に、冷めきったものだった。
「…テイオーのことは残念だった。だが、テイオーは多少の小細工でどうにかなる者じゃない。アレを倒すのは、近しい実力を持った者でないと不可能だ」
脳裏は冷えていた。
圧倒的な実力を持った個には、同じく圧倒的な実力を持った個でしか対抗できない。
これは種という差もあれば、生まれ持った才能の差もある、この世界では当たり前の常識だ。
どれだけ数のいる軍勢でも、一人一人が0に近似させられるほどの強者の前では、塵芥の如く切り伏せられる。
「以前から王国には怪物がいると噂されていたが…ともすれば、今あの国の王座に座っているのは『隻腕の悪魔』かもしれない」
その圧倒的強者を、皇帝は知っている。
アレの逆鱗に触れればどうなるかなど想像もしたくはないほどの、隔絶した絶対者を。
「敗北の淵にしか真の力を出さないとも聞いていたが…テイオーを殺すとはな」
相当な接戦だったに違いない。
テイオーもまた、隔絶した力の持ち主だったのだから。
「今は遺体の返還を求めている所だ。アレに逆らうのなら勝手にしてもいい」
皇帝は握り締めた拳から血を滲ませ、笑いながら告げた。
「ただ、帝国は巻き込まないでくれ」
共闘はできない、と。 - 106二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 19:14:16
- 107二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 19:55:12
教皇が、帝国から神聖国へと帰る道の途中。
二人の前に、美しい黒のドレスを着た女が立ちはだかった。
「…」
教皇とは正反対の光亡き目、服の隙間から覗ける肌は傷だらけで見るに堪えない。
すわ不埒な輩に弄ばれた憐れな物乞いか何かだろうかと思い、声をかける。
「どうしたんですか?こんな人気のない街道で」
よくよく見てみれば衣装の生地はかなり上等なもので、施された意匠から察するに…王国の王侯貴族のものだった。
既に新王の貴族粛清の噂は広がっている。そんなものを着ているということは物乞いの平民ではなく…
粛清から運よく逃れた子女の一人だろうか、と当たりをつける。
「…なるほど」
そう呟くとフクキタルは、懐に入れていた施物のパンと干し肉...それと僅かばかりの金貨を握らせた。
「袖振り合うも多生の縁と言いますからね…心中お察しします。あまりお口には合わないかもしれませんが、食べていただけると嬉しいです。それと、私の来た方向へ行けば宿場町が見えてくるので、怪我はそこで診てもらって下さい」
では!と言って教皇はその場を立ち去ろうとした。 - 108二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:03:16
- 109二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:05:03
- 110二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:09:15
- 111二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:17:24
- 112二次元好きの匿名さん23/01/27(金) 20:24:58
- 113二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 01:51:45
この世界で命は明日のパンよりも軽い。
幼い日に、使えるべき皇より初めて教えられたことだ。
表面上では理解した。理解したつもりに、なっていた。
その日少女は、地獄を見た。
大地が丸ごとひっくり返されたような衝撃が全身を襲い、一瞬の浮遊感に攫われた後に激しい痛みが走る。
遅れてやってきた骨の砕ける音と、よく熱せられた鉄板に生肉を押し付けた時のような音が周囲から聞こえてきた時。
やっと、幼きメイショウドトウの目は光を映した。
家が、ない。
それどころか近隣の家も、自身の生家である屋敷を中心とした街並みも。
そのすべてが焼き焦げている中に、身体の内側をグシャグシャに蹂躙された自分がいた。
息をするだけで気道から腹部まで電流が走り、鼓動が鳴るたびに内出血した箇所が血で押し広げられて灼熱を発する。
両親も、友達も、だれも、いない。
戦争をしているという話は、教養として聞いたことがあった。
この国も戦っているのだ、と。 - 114二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 01:53:33
けれど私の住む国は強く、豊かな方で、その上貴族として生まれたのだから、成人し騎士となることを志願さえしなければこの身は安全だと思い込んでいた。
飼っていた鳥の籠が焼け焦げて、黒ずんだ死体が今もまだ燃えている。
生まれてからずっと一緒に過ごしたものたちが、すべて塵に消えてゆく。
死んでゆく。消えてゆく。終わってゆく。
先の爆発で死にきれなかった不幸なものは、まだ苦しみに喘いでいた。
辛そうな呻き声と、誰か助けてほしいという嘆きの声が、皮肉にも生来より良いこの耳には届いてしまう。
「助けて…」「いたいよ…こわいよ…」「さむいよ…」「領主様…」「教皇様…」
「かみさま…たすけて…」
身体が、まったく動かせなかった。
ただ、今までの自分を構成していたものが、あまりにもあっけなく、一瞬で全て消え去ってしまったせいで。
心の中が、空っぽになってしまっていたから。 - 115二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 01:54:00
…救いはないのですか?
ふと、この世の疑問を聞く時の言葉が胸中に来訪する。
『教皇様、何故人の世には争いが絶えないのでしょう』
『争い合うばかりでは、はっぴーかむかむ、になれないのでは?』
『…救いはないのですか?』
この神聖国には、未だに神が存在すると信じられている。
そう定義する宗教が、国教として定められている。
幸運と幸福の神の寵愛が、この国の敬虔な信徒には与えられているのだと。
生まれながら、でないのが少しだけいじわるだとは思ったけれど。
この国に生まれたというだけで加護を与えてやるよりも、自分に関心のあるものだけに与えたいというのは当然の話で、どうせなら正の方向に向いているなら、尚良いと思うのが当たり前だろう。
神にだって、きっと心はあるのだから。
…救いはないのですか?
だから祈った。
どうにかこの地獄を覆してほしい、と。
理性ではわかっているけれど、今、この瞬間だけは神が実在するのだと信じて。
…どうか、お救いください
純粋な神ではないが故に、神世を生き延びたと謳われている我らが主。
…半神半人の神、シラオキ様 - 116二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 01:54:32
皆が醜く焼け焦げて死に行く中、自分だけが小奇麗な格好で死にかけているのは、あまりに滑稽で。
祈りながら意識を失った私が、中央協会の治療所で目を覚ましたのは、もはや喜劇だった。
神聖国南部侯爵領にて起こった未曽有の大火災の原因は、王国騎士達による襲撃が原因。
地下火薬庫から下水道に爆薬を配置し、大規模な儀式魔法によって盗んだ油を町中に降らせて着火。
結果として町一つが地図から消し飛ぶことになった。
この悲劇の原因は”それ”だが、つながる要因はそれこそ数え切れないほどにある。
だが、その全てが『偶然』。
計画的に起こせるはずがない、不確定要素まみれだというのだからたまったものではなかった。
何重もの奇跡を乗り越えてあの惨劇は起きた。
現に実行部隊はほぼ全員が死亡しており、運よく捕縛できた隊長すらも、アレは奇跡だったと口にする。
生存者はそこの領主の娘が一人。
その胸に掲げる信念は、自身の生存。 - 117二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 01:56:42
隅々まであまりにも苛烈かつ陰惨な世界だ…
- 118二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 02:13:21
メイショウドトウは剣だけでなく、魔法、政治に聡かった。
圧倒的な技で圧し殺されることがないように。
圧倒的な炎で焼き殺されることがないように。
圧倒的な法で謀り殺されることがないように。
どういうわけか運がよく、勘も鋭く、総合的に判断した時、この聖騎士に敵うものはいないとまで称された。
最も剣技に優れているわけではない。
最も魔法が上手いわけでも、最も賢いわけでも、最も政治に通じているわけでもない。
されど、その全てを一流の水準で有する彼女には各要素のシナジーが存在する。
どの世界でも何か一つを極め抜くというのは素晴らしいことだ。
だが、時に非効率であったり、時に対応力に欠けることもある。
故に、メイショウドトウは多くの道を同時に修めた。
死とは、決して覆らないもの。
大怪我をすれば、万が一不具を抱えてしまったら、死との距離は急激に縮まるのだから。
完全ではない、完ぺきではない、頂きには及ばない。
それでも、彼女は自身にとっての最適を選択し続けた結果として、神聖国最優の騎士の名を手に入れたのである。 - 119二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 02:24:49
- 120二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 05:08:08
最低保証無かったらこの一太刀も止められてたか怪しいな……
- 121二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 12:38:58
昼保守
- 122二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:41:08
読みふけっちゃった
続きをお願いプリーズ - 123二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 23:13:15
「...へぇ」
カレンチャンは内心驚愕していた。
この一閃は、首を骨ごと断ち切る剣。
例え防がれても、服の繊維に阻まれても、半端に斬りつけてしまうことがないように。
一切の揺れはなく、まぁまぁ力を込めて振るっている。
それが、英雄でもないただの騎士に防がれた。
「…あ」
自分の剣を防いだ人はどんな顔をしているのか。
力づくで二人を弾き飛ばし、視線を首からずらしてみれば、その顔には見覚えがあった。
そう、以前前線で作戦行動を行っていた際、発見した麻薬組織の根城を町ごと吹き飛ばしたことがあった。
その組織と癒着した領主。その娘、と覚えている。
「あの時死にかけてた子か…」
深い意味もなく、ただポロリと零れたカレンチャンの言葉。
それに反応したのは、教皇。 - 124二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 23:14:28
一都市の壊滅という情報。
それは、この世界において『そこが弱点ですどうぞ狙ってください』と言いまわるようなものである。
故に、ドトウの生まれ故郷の壊滅は神聖国内でも秘匿され、真相を知るものは非常に少ない。
それこそ、各方位に点在する大教会の神父と、中央協会の上層部、教皇、それぐらいしか知らないはずの情報。
「…ドトウ?」
わなわなと震え、全身から剣気を漂わせるドトウ。
自らの仕える皇からの言葉にも返事を返せず、その目はただ真っ直ぐに女の事を見ていた。
「…」
壊滅したという事実を知る。それだけなら不可能ではない。
その上ドトウが侯爵の娘であるということも、知らないものが上層部以外にいないというわけではない。
あの日、治療院に運び込まれるまでに、何かのはずみでドトウの巻き込まれた経緯を知ってしまった医療従事者は存在する。
だが。
その時死にかけていた少女と、この騎士を結び付けられるものが、もし、神聖国外にいるとするならば。
それは。あの大火災の実行犯をおいて、他にはいない。 - 125二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 23:41:58
「あなたが…私の故郷を焼き払ったのですか?」
距離が離れ、正面から相対することで強く実感する。
怒りなんて、抱けるはずもない。そも、私はあの時自分の力で生存を勝ち取っただなんて思っていない。
あの時、死に抗うほどの反骨心も持ち合わせていなかった。
ただ、すべてを奪われたとき、空になったはずの心は。
漠然と不満を覚えた。
「そうだよ。間違いない。カレンがあなたの家族も、友達も、何もかもを焼き殺した元凶だね」
…何故だろう。
こうして、一寸先に死が表れてようやく、私は自身の根底を見つめられているような気がする。
「…そう、だったんですね」
今まで、私はずっと生きたいと願っていた。
一度死にかけたのが強烈に焼き付いて、脳裏から死のイメージが離れなかったから。
でも、今はどうだろう。
目の前にあの時よりも濃厚で、絶対的な死が待ち受けているというのに、私の心は平静を保っている。
…私は、何を望んでいた?
そうだ、そもそも幼いころの私はどう考えていた。
『成人し、騎士団に入らなければ』
その状況は、生家がなくなっても変わらなかったというのに。
ならば何故、ここで聖騎士として立っている。 - 126二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 23:43:31
- 127二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 23:49:06
- 128二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 23:50:49
ドトウの攻撃!
dice1d10=3 (3)
カレンチャンHP
150
- 129二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:19:36
150-3=147
打ち合うこと五十二合。
…死に、一太刀通る。
ドトウがそう確信して振り抜いた聖剣は、薄皮一枚を切り裂くに留まった。
初めての感触。
まるで包丁で鉄板を斬りつけたみたいに、表面を軽く削ることしかできない。
「…ああ、そうだったんですね」
これは、勝てない。
生命としての規格が違うなんて生易しい差じゃない。
存在としての格が、想像もできないほどの高みにある。
握る聖剣の格では決して劣ってはいない。
それどころか、これだからこそ…この至高の肉体に傷をつけられたんだろう。
巨神と人の間に生まれた神、シラオキ様は総身が神殿の柱の半ばまであったという。
その神が神聖国建国の際に、授けてくださったものこそが…
かの神の『足』。
その血肉を食らったものは英雄となる、その血に浸かった骨に秘められた神秘は想像を絶する。
この聖剣…
神骨剣は、その骨を削り出して作られたもの。
人の世では決して作り出すことのできない、失われた幻想のツルギ。
だが、どうしようもなく使い手の格が劣る。
これでは、無駄死にするようなものだ。
隙を狙って教皇様を逃がそうとするが、その悉くが阻止される - 130二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:20:09
この騎士は、まだ全く本気を出していない。
そう歯痒い思いをしていると、死神が軽快に声をかけてきた。
「あ、なんで手加減されるのか…って思ったでしょ」
「…気づかれますか」
「ここだけのヒミツなんだけどね、貴女は別に生かしても良いの」
剣戟の嵐の中で、彼女は私とほぼ同等の実力にまで手を緩めて会話することを選んだ。
無論、刃と刃の衝突する音が止むことは無い。
「貴女は、多くの人を救うから。トータルで見た時にね」
「教皇様は、そうではないと?」
「うん。先祖返りで神様になっちゃうから。今のうちに殺さないといけないの」
そのことまで知っているのか、と背筋が冷え込む。
シラオキ様の血を引くのが、神聖国の教皇一族だ。
一族の者でないと占い水晶の力を使うことは出来ない。
「…そう言われては、なおさら引くわけにはいきません」
「良いの?貴女だけなら見逃してあげるよ?」
僅かながら未来を。
現在の事なら千里先まで見通すあの水晶の力は、今の神聖国の信仰基盤を担っている。
それに、現教皇は先代の忘れ形見。
彼女が殺されれば、神聖国は宗教も王権も失ってしまう。
それだけは、許容できない。
「絶対に、殺させません」 - 131二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:21:44
- 132二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:22:54
- 133二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:48:37
- 134二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:49:43
- 135二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:49:58
- 136二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:51:05
- 137二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:51:57
カレンチャンの攻撃
dice1d120=112 (112)
メイショウドトウHP
13
- 138二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 00:58:19
- 139二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 01:05:58
- 140二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 01:14:22
その涙が零れると同時に、教皇の首は胴体と離れることになる。
戦いになど成らない。教皇はカレンチャンにとって殺さなければならない存在なのだから。
手加減などしない。油断もしてあげない。それは、人類をより多く生かす者にのみ与えられる。
この選択さえも自由ではない。
ドトウがより多くを救うものだったから、手を抜かなくてはいけなかった。
カレンチャンに自由はない。
教皇がより多くを死なせうる者だったから、手を抜くことはできなかった。
初撃すらもそうだ。
あの状況でドトウが剣を取ること自体が予想外だったから。
だから弾けた。
あの二人の一生で変わった運命など一つもない。
その芽は、未来は、英雄であるカレンチャンが刈り取った。
余計な枝葉は、人類は。
カレンが剪定する。 - 141二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 01:23:59
フクキタルが神として成ってしまった場合。
彼女は絶大な力を持ち、英雄を生み出す。神聖国のための騎士として。
そうなれば神聖国の中は幸せになるだろう。
だが、外の国はどうか。
人の世に持ち出された神代の存在達に食い荒らされ、夥しい量の死者が出る。
それほどまでに彼らの存在は圧倒的で。
戦禍を激化させ、多くの人間を死なせる遠因になる。
そんなことはあってはならない。
だから、殺してよかった。
そのフクキタルを守ろうとした騎士は当然、殺してしまっても構わない。
ソレが救う数よりも、教皇を殺して救う数の方が多いのだから。
天秤は傾き、カレンチャンはそれに従い正義を成した。
カレンは、何も間違ってなどいない。
そう思わないと、やってられない。 - 142二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 01:40:01
- 143二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 07:17:43
王道ダークファンタジー
- 144二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 07:55:09
キングちゃんと接吻してそう
- 145二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 08:46:25
お兄ちゃん!アヤベさん!この際お姉ちゃんでもいいから何とかし――死んでる…ってなった
- 146二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 17:24:54
救いはないんですか…
- 147二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:17:57
- 148二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:19:52
龍の知性
dice1d100=78 (78)
50で人並み
属性
dice1d3=2 (2)
1秩序 2中立 3混沌
dice1d3=3 (3)
1善 2中庸 3悪
- 149二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:24:07
知性78 常人離れした知性を有している
アライメント 中立・悪
最も危険な属性。
一般に利己的で、俗事に縛られず、無意味に凶暴だったり行き当たりばったりではない。
しかし、時にそれらの利点を都合よく利用する。
常に自身の目的を最優先とし、他者を傷つける事に頓着しない。
ただし、極めて買収されやすいとされる。 - 150二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:28:01
この世界における龍の立ち位置
dice1d8=6 (6)
1魔獣の上位種 2人と共存している 3人とは相容れない
4神に近しい種 5絶滅寸前(ツチノコ) 6家畜 7凶悪な独立種 8偉大な独立種として扱われている
- 151二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:41:40
ええ…
- 152二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:43:21
この世界における龍の立ち位置は非常に低い。
というのも、厳密に言えば今この世界に生息している龍は、神世にそう呼ばれていたものとは別物だからである。
世界から神秘が失われるにつれて龍は種としての力を失い、羽は空を飛ぶこともできない無用の物になり、嘗ては多様な魔法を一工程で吐き出すことの出来た喉は退化し、今は身に帯びる魔力の質で変わる体表の色と肉の味でしかその属性の痕跡をうかがい知ることはできない。
彼らは魔より見放され、もはや魔獣と呼べるだけの力すらも失ってしまった。
そうなれば絶品の肉と、非常に硬度の高い皮膚と骨を持つだけの獣。
龍は大きく育つため可食部も多く、鉱物を始めとした大概の物質なら餌としてしまえる。
卵も栄養豊富で、文字通り捨てるところがない。
…それが生まれ持って身に着ける知性を切り捨てることなど、この世界の人間にとってはたやすいことだ。
同族ですら平然と殺せるのだから、多少知性があるだけの異種族を殺すことに躊躇などない。
ましてや、これは糧として食すために、防具として命を守るための素材として、必要だから殺すのだ。
不毛な人間同士の殺し合いが日常となっている中ではむしろ、意味ある殺しは癒しですらある。
飼育難易度は確かに高く、全体的に高級品と言う扱いは受けているものの、一般家庭に生まれたものでも一生に一度は口にする機会がある。
それが、家畜へと成り下がった龍の立ち位置だった。 - 153二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:14:20
だが、古龍は違う。
古の時代に生まれた、神と近しい格を持った種。
それは英雄譚の敵役として出てくるに相応しい力を持っており、個体によっては神をも喰らい殺す。
弱い個体でも、英雄は軽く縊り殺せるだろう。
力関係を言ってしまえば、基本的に最も強いのは神であり、それとほぼ横並びに古代の龍が存在する。
その下に位置するのが神より力を与えられた英雄である。
古龍は、生まれた時代による個体差が異常に大きい。
それは古龍が神と同じく、古き時代にしか存在できないからだ。
新しい時代で生きていくには、その身はあまりに強大でありすぎたからだ。
故に、古の龍はその種が遠い未来で破滅することを知っていた。
さらに人が、時代を進めるきっかけとなっていることも。
…その全てを滅ぼせば、世界は成長することなく、古の時代であり続けるであろうことも。
しかし賢き古龍は、人や世界に何か干渉をすることは無く。
時代の流れに従って、種が消え去るという運命を受け入れた。
神は、時代の逆行を行った大地を天へ切り離し、生存を図ったというのに。
そのくせ、見捨てたはずの地上に生まれた命を面白がり、世界の成長を阻害し退行させ。
身勝手にそれを英雄とし、悪戯半分に、時に本気で龍種を殺したというのに。 - 154二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:15:07
それに対して怒りを覚える者もいた。 世界を切り取るなど、と
その横暴に対して憎悪する者もいた。 人間を何だと思っているのか、と
…だが、龍は神に報復することは無かった。
ただ、人をあるがままに見つめ、時に味方として、時に遊び相手にし、時に殺し。
決して超えてはならない一線だけを守り、世界が成長するにつれて老いて、衰えた。
故に現在まで血を繋いできた龍種は、種として衰えている。
彼らは、世界に許容される存在ではなくなってしまったから。
人の時代に、龍という種の居場所は殆どない。 - 155二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:17:51
封印されていた龍は…
dice1d6=6 (6)
1古代 2神世(前) 3神世(中) 4神世(後) 5人の世(家畜龍) 6始祖…
- 156二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:34:43
龍の祖
それは世界を創造した神にすら届きうる存在。
創造神、始祖龍。この二者の持つ絶対的な神秘の前では、如何なる法理も通用しない。
如何なる神であろうと古龍であろうと敵わない。
不壊であれ、と神に創られた剣が紙ペラのように折られ。
絶対に破れない盾が、紙飛行機にされるような差がある。 - 157二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:38:43
- 158二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:46:48
過去 龍の始祖 それは龍の始祖である
経験 諦観 それは悟りの境地で世界の本質を観察していた。
目的 教育 dice1d10=8 (8)
1強大な敵役として 2不要な人間を間引く 3絶滅寸前まで追い込む
4人に化けて世を正す 5ただ世界にあるだけで良い 6教育を諦めている
7強大な敵役として 8人に化けて世を正す 9英雄を殺す
10EX
- 159二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 00:48:58
人として入り込む国
dice1d6=4 (4)
1帝国 2王国 3神聖国
4公国 5民国 6皇国
7EX
- 160二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 01:23:39
その日、カレンチャンは朝食を食べている最中。
「…う…そ」
その動きを、唐突に止めた。
手からフォークが落ちるのなんて、まったく気にならなかった。
「未来、どころか」
直感が指示した方位へと目を向ける、いつものルーティン。
しかしいつもと違ったのは、その一切が見えなかったことだった。
「今すら、見え、ない」
神霊に与えられた、英雄としての力で観測することができない。
それが意味するのはつまるところ、今この世に解き放たれた存在は…
「…な、んで、どう、して?」
一度もミスは無かったはず。
常に千手先を見通して最善手を打ち続けてきた。
じゃないと、とっくに世界は滅びている。
びりびりと感じる圧倒的な気配に全身が砕けそうになる。
それ を認識しようとするだけで体が自ら命を差し出そうとする。 - 161二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 01:24:25
- 162二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 01:29:20
…それから数舜。
生き地獄を味わった後に、先程までの悍ましいまでの神聖な気配が消え失せていることに気付き。
カレンチャンは表面上の平静を取り戻し、顔に何時も通りの能面が浮かべた。
「…ああ」
収まった気配のもとには、人のカタチをした化け物がいた。
その形をとってくれたおかげで、やっとその存在の辿る先を認識することに成功する。
「…アレは、人を救ってくれるんだね」
────カレンが見通した先の未来。
そこには、空と見紛う程の雄大な姿をした龍と。
それに殺される、醜悪な魔神の姿があった。
そう。
この王城で、カレンチャンが殺される姿。
英雄としての責務を放棄した愚か者への清算を、かの存在が引き受けてくれている未来。
「…」 - 163二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 01:53:26
…カレン、なんのために生きてるのかな。
そんなことを思った回数は最早数え切れない。
生まれた時から、どうしたいか、ではなく。どうするべきか、で動いてきた。
…思い返すのは、色褪せた記憶。
今見ると、ちょっぴり安っぽく感じるドレス。
だけど小さい頃のカレンにとってそれは初めて見た煌びやかなドレスで、とってもカワイくて、
欲しくて、たまらなかった。
…でも、それを手に入れようと動く時間があったら、別の事をした方が将来人助けするのに役立つよね。
そう、冷静な部分が囁く。
だから目を背けた。
初めて迷子になってしまったとき。
行先はわかるけれど、そこへどうやって行けばいいのかがわからない、まだ与えられた力をうまく使えなかったころ。
初めて何もかもが上手くいかなくて、一人でも救えずに、最適の道から外れてしまったらと。
不安で、怖くて、泣きながら走り回っていたカレンを助けてくれた人。
お兄ちゃんと、お姉ちゃん。
今でも、覚えている。 - 164二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 01:54:19
- 165二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 02:06:24
- 166二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 02:14:09
- 167二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 02:19:00
- 168二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 02:28:38
盛り上がってきたねぇ!
- 169二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 06:10:55
今のところ行動してきたところで全て救世主の勘を引いてないですか???
- 170二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 17:57:07
保守
- 171二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 23:41:19
- 172二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 23:55:40
私は自分が生きていることでどれだけの人間が救えるのか理解していないのだろうか。
この世界の裁定者を失うことがどれだけ大きな世界の損失であるのか、理解してないわけではあるまい。
人の生死を神の視座からに定め、その本質を裁定し、その命の価値を判別する存在は必要だ。
…カレンがいなくなってしまえばどうなるのかな?
大罪人の親はのうのうと生を全うし、無責任に悪の種を人の世に残すだろう。
その悪人の影響を受ける人間が出てきて、さらなる死を呼ぶことも理解しているはずだ。
だから、その親は殺さなくてはならない。
その身勝手な繁殖行為で人類に害為す前に、殺してしまわなければならない。
人間はそういう愚かな生物だと理解しているはずだ、殺す以外に救う方法などなかった、と何度も納得したはずだ。
人が悪に限らず周囲の環境に影響されて生来からの在り方を歪めるという性質を持っている以上、根底から現れる根源的な悪の芽を事前に摘み取り続ける絶対者が必要だ。
悪として生まれながらに在る人間がいるのだから、その種は絶やさなくてはいけない。
道理にそぐわない人間は、救う数よりも奪う数の多い人間は、殺すのが正しい。
「…そう、かな」
緩やかな破滅的思考を抱き続ける分には構わないけれど、実行に起こすのはあまりに軽率で…危険だと思った。
決して実行に移してはいけない。この身を破滅させるなど、決してあってはあらないと思う。
否、正義を成すために与えられた英雄の力をこの人世から喪わせてしまうということが。
それこそが世界にとって、人類にとって最も許容しがたい損失なのだから。
絶対にそれだけはしてはいけない。
それだけは、いけない。
『悪神の討伐だけは、決して成されてはいけない』
カレンチャンは、そう思った - 173二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:05:56
「…行こう」
その行動は、あまりに道理から外れた愚かな行為だった。
生まれながらにして最強の力を与えられ、救世主としての生を承諾して生まれ落ちたにも拘らず、その約束を反故にするような悪逆非道。
その人類を救うべく矮小な身に祝福を授けてくださった偉大なる神の霊へ唾棄するような
あまりに愚かな行為を行おうとしている自分自身をカレンは嫌悪し、やはり英雄として在り続けようと足が止まる。
「行くんだってば」
しかしその足は止まらない。
愚図極まる駄々にはきっと祝福を与えた神霊もあきれていることだろう。
こんな能無しをなぜ今まで私は信用して、あまつさえ神の眼を貸し出してやっていたのかと。
子を成してから自害するのならともかく、救世の芽を自ら摘み取ろうなどと愚昧極まる理解不能の思考回路だ。
故にカレンはその足を止める。
『私は止まらない』
その頭の天辺に太陽の光が当たり、カレンチャンは思考する。する。
今この瞬間も神は遥かな上位の次元からこの犯行を見ているのではないか、と。
そう思うと胸中に神への畏敬があふれてくる。
…やはりこんな自殺はやめてしまおう、私がいなくなったら誰が人類を救うというのか。
せめてこの英雄の血を引く実子を残すべく貧民街へ向かおうとする。 - 174二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:23:47
- 175二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:24:14
冷徹な自分は鳴りを潜め、声の正体にも見当が行った。
…ああ、冷静になって考えてみれば簡単なこと。
霊体が剝き出しのままで現世に留まれるわけがない。
それは、この世界で絶対の法則。
文字通り私は。ずっと操り人形だったわけだ。
殺す。
絶対に、コレを生かしておくわけにはいかない。
その命を奪った神殺しの槍などという中途半端なものではない。
それよりも概念として、現象として上に位置する、真の絶対者にコレは消されるべきだ。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
何千人を殺害した殺人鬼よりも親を殺して金を奪い去る外道よりも人の不幸を悦とすることでしか満たされない生まれながらの破綻者よりも将来を誓い合った女を売り物にする屑よりも家族を捨てて愛に走った淫売の雌豚よりも
この神霊が、今は憎い。
私からお兄ちゃんをお姉ちゃんをお父さんをお母さんをアヤベさんをキングちゃんを
やさしい人も善人も無罪の人間も全て全て全て全て全てを取り零れさせたこの醜悪なる悪神を
『カレン』は、憎悪している。
…まるで動こうとしない役立たずを、意志だけで動かす。 - 176二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:27:50
何度も立ち止まろうとする塵に鞭打ち続けて、やっとの思いで公国に辿りつき。
…それ、と遭遇した。
一目見て分かる嫌悪の視線。
そうだろう、
理解する。
これは、古龍の祖。
神によって苦渋と煮え湯と死を吞まされた種族の、起原なのだから。
祖龍からの好感度
dice1d100=65 (65)
- 177二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:36:39
…神の英雄は、ただの奴隷だと聞いたことがある。
契約、誓い、贈与、貸与、などの多様な言葉で人を騙し、傀儡のようにするのだと。
本人はそれに違和を抱きつつも、まず逆らうことは無い。
故を問いても口を割らず、皆、生を神の使い捨てにされて終える。
「…祖龍」
低級とはいえ、神から眼を貸されるとはどれほどのものか。
しかし見てみればその力は絞り滓のように僅かなもの。
ドレイ
「何の用だ、神の英雄」
「お見通しなんだね、すごいなぁ」
今まで見てきた中で最も矮小で弱い英雄だが、今の世では絶対者として振舞えるであろう。
少しでも頭があれば、私に干渉などしようとも思わない。
だが、これは。
「…抗っているのか?神の呪いに」
中々どうして、人というものは面白い。 - 178二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:42:21
- 179二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:48:44
- 180二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:54:11
TURN 1
醜悪なる魔神
人類愛 dice1d9=5 (5)
+
dice1d9=2 (2)
+
受肉KAWAII dice1d8=5 (5)
+
dice1d7=3 (3)
祖龍
最古の神秘 dice10d9999=1202 7428 1058 8561 7749 1049 620 6138 4805 2299 (40909)
+
dice1d9999=6920 (6920)
起源の存在
相手の判定ダイスを1/1000にする
自分の判定ダイスが変動しない
相手の勝敗へと干渉する効果を無効化する
- 181二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 00:56:50
祖龍の『 』
ダメージ
dice10d9999=6526 6214 5578 9650 6932 1540 71 5198 419 5057 (47185)
+
dice10d9999=9495 9966 5988 4497 6039 2433 2725 3179 9313 8794 (62429)
醜悪なる悪神
HP66666
受肉
死亡時、HP半分で復活する
- 182二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:06:10
66666→0
即死
受肉によりHP半分で復活!
絶対の神秘を持った起源の存在。
それは世界の法則、現象と呼ぶ方が相応しい。
その前では如何なる概念も意味を失い、無効化される。
絶対に斬れる剣は何も切れずにへし折れ、使用者の筋力を倍にする帯はただの布切れになり。
握った者は絶対に勝利すると作られた聖剣は、何の意味もなさず担い手に冷たい死を運んでくる。
敵うわけがない。
そんなことは理解していながらも、この身は人類を救うために立ち上がった。
肉という檻から解き放たれたその姿は荘厳と言うほかなく、究極の造形美にあふれていた。
「んなあほなこと考えてるから真っ先に殺されたんだろ、お前」
過去の記憶はこの身にはなく、ただ死してもなお消えることなき人類への愛でこの身は英雄へとなった。
それが羽化し、今真なる神として羽ばたき始めたのだ。
「…ホントに記憶がないなら覚えとくといい。
お前が人間の意地に殺されるのは『二度目』だと」 - 183二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:06:37
TURN 2
醜悪なる魔神
人類愛 dice1d9=4 (4)
+
dice1d9=8 (8)
祖龍
最古の神秘 dice10d9999=706 4871 7596 2112 8277 3478 5411 2867 3631 2537 (41486)
+
dice1d9999=3016 (3016)
起源の存在
相手の判定ダイスを1/1000にする
自分の判定ダイスが変動しない
相手の勝敗へと干渉する効果を無効化する
- 184二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:07:14
祖龍の『 』
ダメージ
dice10d9999=7417 3757 9763 4270 469 9332 513 8711 8037 260 (52529)
+
dice10d9999=3764 2380 7071 3254 836 5530 3387 2384 9809 309 (38724)
醜悪なる悪神
HP33333
- 185二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:20:59
33333-91253=-57920
決着はあっけなくついてしまった。
本当にあっけなく、善なる悪神は煙のようにその場から消え失せたのだから。
「…ああ、やはり空気が合わない」
祖龍を受け入れるには世界は成長しすぎてしまっていた。
彼にとってはなにをしていても居心地が悪く、常に窒息しているような状態だ。
力もうまく引き出せない。
「こんな残り滓を消すのに、一回も呼吸しなきゃならないとは」
封印されていたことにより性質は損なわれなかったものの、彼は本来いるはずのない存在。
世界にとってのイレギュラー。
その力は全盛の兆分の一にまで薄れてしまっていた。
「殺してやったぞ、王女カレン」
カレンの肉体は、文字通り破片一つ残さずに消滅していた。
大幅にスケールダウンしていたとしても、人の身で祖龍の全力を受け止めきれるわけもないのだから。
そもそも、カレンは英雄としての力を使わなければ落ちこぼれである。
センスはあっても肉体が全くと言っていいほど追いつかない。
元来漸弱な肉体を、英雄としての力で補っていたにすぎないのだから。
本来なら神の器になることすらできずに崩壊するのを、長い救世主としての活動の中で神代よりの肉体へと作り変えられることにより、決壊寸前の状態で踏みとどまっていたにすぎない。
そう、カレンは騙されていた。
肉体が完成する前に死亡したのなら、その身は悪神になど成りきることすらできずに崩壊していたのだから。 - 186二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:28:18
…哀れなものだ。
人の身でありながら私の攻撃を受けて消し飛んだ。
刹那に覗いた過去は、絶望に満ちていた。
…絶望していることにすら気付けなくされて、言いなりに自身の大切なものを切り捨てた。
無様極まりない。何もかも失ってから気付くなど、あまりに救いがない。
だが、その意志は認めてやろう。
嘗て、英雄とは単に神の奴隷を指す言葉ではなかった。
むしろもう一つの英雄は逆。
人の中から生まれた可能性の極致、『人の英雄』。
創造神と私にすら迫る力を有した、神殺しの英雄。
最初に神を殺した、英雄だ。
認めてやろう。
その意志は世界を、未来を、神から人の手へと取り戻した『人の英雄』として相応しいものだった、と。 - 187二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:29:25
- 188二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 01:54:51
神の英雄ルートがありそうな書き方
- 189二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 12:44:45
ダイスが多いとはいえ一先ずスレ主が満足いくところまで見たいな
展開はある程度決めてるみたいだし - 190二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 16:59:58
- 191二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 17:04:08
祖龍 ロード…
- 192二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 04:41:42
はす
- 193二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 10:19:31