- 1二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:33:03
絵とかSSとか書けないけど続きが見たくてスレ立てました…!
他の人が立て直すなら消すのでよろしくお願いします…
1
【閲覧注意】尊い犠牲でした|あにまん掲示板突如エリアゼロの大穴から湧き出した未知のポケモンたちの侵攻巨大化したいわば『ぬしポケモン』と呼ばれるポケモンたちの大量発生その裏に潜む悪の組織の野望地域に根ざし見守って下さっていたジムリーダーの方々が…bbs.animanch.com2
【閲覧注意】尊い犠牲でした【その2】|あにまん掲示板……しかしながら残された爪痕はあまりにも深いものです一部地域では未だ大穴から這い出た未知のポケモンやぬしポケモンの現存が報告されています万が一それらしきポケモンを発見した場合すみやかにポケモンリーグ本…bbs.animanch.com3
【閲覧注意】尊い犠牲でした【その3】|あにまん掲示板「ハッコウジムが未配信のまま残されてたナンジャモちゃんの動画上げてくれててさ」「久しぶりにグルーシャくんの現役時代のインタビュー見返しちゃった」「有志の手によって未完成だったコルサさんの作品が発掘され…bbs.animanch.com4
【閲覧注意】尊い犠牲でした【その4】|あにまん掲示板元のスレ主じゃないけど立ててみました。迷惑だったらごめんなさい救いは…救いはないんですか?bbs.animanch.com5
【閲覧注意】尊い犠牲でした【その5】|あにまん掲示板マイクテス マイクテス…… ……お元気ですかこの声が届いた皆さま私はパルデアポケモンリーグ理事長オモダカでも皆さまの知るオモダカではありません皆さまが無事乗り越えて来た過去あるいはこれから辿る可能性の…bbs.animanch.com6
【閲覧注意】尊い犠牲でした【その6】|あにまん掲示板…………ザザッ…………なるほど、そうですかそちらの私は受け入れたのですか……彼らのいない世界を乗り越えて、未来を見据えて時折後ろを振り返りながらも、前に進む事が出来るのだと、そう言うのですね『尊い犠牲…bbs.animanch.com7
【閲覧注意】尊い犠牲でした【その7】|あにまん掲示板砂埃が舞うパティスリーもう増えることのない芸術作品二度と配信が始まらないチャンネル活気を失ったマリナード市場シャッターの閉まった宝食堂閉鎖されたライブステージ化粧品を見て悲嘆する人々沈黙が響くナッペ山…bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:33:50
- 3二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:37:32
ほ
- 4二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:37:47
し
- 5二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:38:39
- 6二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:39:48
スレ立て乙
気づかず前スレ埋めきってしまって申し訳ない… - 7二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:41:08
- 8二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:41:08
- 9二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:41:57
- 10二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:42:33
たて乙ありがとうございます!!!
……なんか、ラスボスでオモダカAIとか出てきたらどうしようとか思ってしまった
楽園防衛プログラムが歴代パルデアチャンピオンの戦闘データをもとにして出来たっていうし
その中にオモダカさんのデータがあっても何ら不思議ではない…… - 11二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:47:23
- 12二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:47:26
- 13二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 19:50:59
彼女たちはどこへ向かうのか
そして彼らはどこへ向かったのか
絶望に立ち止まるか
引きずりながらも再び歩き出すか
SSの続きお待ちしてます - 14二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 20:41:30
ここはSS本編とは別で「こういう事もあったのかな」とか妄想書くのはOK?
- 15二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 20:49:22
好きな幻覚を見ていいのよ……あなたの幻覚を見せてくれ……
- 16二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:33:49
- 17二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:41:08
グルーシャが生き残ったら心が保たなそう、みたいなのは見かけたな……
- 18二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:51:40
…… ……ああ
とうとう……とうとう完成したわ!!
アハ アハハハハ!
アハハハハハハハハハハハハハッ!!
…… ……
…… ……
ポピー ハッサク!お久しぶりです!
「それで チリちゃ……あ……え?お お久しぶりなのです」
「……オモダカ嬢 一体どうされたのですか」
はぁ……はぁ……失礼 少し興奮し過ぎてしまっていました
以前並行世界の観測技術を開発したことは既にお伝えしていましたよね?
タイムマシンの理論を応用することで並行世界間の移動が可能であることを実証出来ました!!
しかも!タイムマシンでは人間サイズのものは送るばかりで帰還不可能の一方通行でしたが……並行世界間の移動にはそれがない!
「?えっと へーこーせかいはこの前見せてもらった みんなが居る世界のことですの だから……」
「ジムリーダーのおにーさん おねーさんに会えるのですか?…… ……アオキのおじちゃんも……?」
会えるどころではありません つまり つまり これでジムリーダーたちを 取 り 戻 せ る の で す!!
「とり もどす……」
そう!時間がかかってしまいましたがようやく成果が実ります 危険を犯した甲斐がありました!
あの頃の『楽園』が返って来ます 全部全部元通りです!!
……けれど その為には多くの障害と戦わなくてはなりません あなた方を含めてたくさんの方々の力が必要なのです
協力 して 下さい ます ね?
「オモダカ嬢 あなたは……」
「私が列の先頭に立ち誰よりも働きます だからどうか ハッサク いいえ 今はハッサク様でしたね 力をお貸し下さい 私の力不足により喪ってしまった全てを取り戻すために……!」
「…… ……ハッサクで構いません えぇ 協力させて頂きますオモダカ嬢 さいごまで今度こそ砦として守り続けましょう」
「おじちゃん…… ……もとどおりって……オ…… ……チリちゃんも?またいっしょにあそべますか?ピクニックも?ポケモン勝負も?」
「勿論ですポピー!誰よりも心を痛めていらっしゃった彼女のためにも アオキは最優先で連れ戻さなければ 一緒にがんばりましょうね!」
「……うん わかりました ポピー お役に立ちますの」
お疲れ限界突破オモダカさんとハッサク様とかしこくていい子ポピーちゃんの前日談〜それ略奪や目ぇ覚ませ〜 - 19二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:53:25
何度もループを繰り返して「 もういい!! 」って言いながら
学校の防衛をやめてリップのところへ駆け出すキハダ先生はいますか ………
駆けつけたら駆けつけたで「 そんなのキハダちゃんじゃない 」って否定されて
7スレ目のポピーちゃんみたいな状況で「 私は辛くて…お前を… 」とか言うんだけど
リップさんの思いは揺らがなくて結局キハダ先生がループで初めての自殺をするんだよね ………
そしたらリップさんにループがつくことになって辛さを実感するんだよね ………
でも気がついた時にはキハダさんはループしていないキハダ先生か存在がなくなっててみたいな ………
失礼しました ……… - 20二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:55:13
そもイラストもSSも妄想のうちのひとつですからね
みんな違ってみんな良いと思います - 21二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 21:56:07
- 22二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:02:17
「 私の ……… いや 私たちの宝物 譲りはしない 」
スター団員達を守りながらそう言うビワちゃんが見たい - 23二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:13:00
ダメなことをダメだと言える人が軒並み全滅&再起不能なゆえにストップがかからず行くとこまで行っちゃった感がががが……
仮称■■■(円盤ポケモン)の詳細によっては犠牲軸の面々の暴走の原因、実はこいつの影響だった、ということもありえそう
- 24二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:18:00
そもそもこの世界線の前提条件は
・パルデアの大穴から何らかの理由(悪の組織?)によりパラポケが侵攻を開始
・侵攻を食い止めるためにジムリーダーが全員犠牲に
くらいなんだ
だから廃人にならず復讐に燃えるチリちゃんがいてもいいし、すっかり捻くれて弱肉強食理念をぶち上げるポピーちゃんがいてもいいし、全てに絶望して闇堕ちする誰かがいてもいいんだ - 25前スレ主23/01/28(土) 22:18:45
- 26二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 22:22:13
- 27今123/01/28(土) 23:30:14
- 28二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 08:13:11
- 29二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 08:16:18
このレスは削除されています
- 30前スレ主23/01/29(日) 09:20:28
申し訳ないんですが、基本的に自分も見る専読む専人間なので、SSとかは書かないんです……
今回書いたのは流れ的な部分もありましたが、初代スレ主のオモダカ心情SSからスレが始まるのが「凄い良いな途切れさせるのもちょっとアレだな」の考えで思い切ってやったのが大きいです。無理やり捻り出したやつだったので心臓バクバクです。
なので普通に投下は……ごめんなさいちょっと躊躇うマンです。
せっかく新スレ別の人に立てて頂いたし、既に最高SSが投下されてるので、自分はこの辺りで匿名に戻ろうかと思います!このスレはその8として、そのまま進行して頂いて大丈夫です。
初代に比べ拙い冒頭SSだったかと思いますが、楽しんで頂けていれば幸いです。
これからも皆さんのレス、楽しみにしています!
- 31二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 12:02:58
無理いってすみませんでした……
- 32二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 12:04:25
- 33二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 13:11:27
このレスは削除されています
- 34二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 17:59:46
エリアゼロへの探検よろしく 犠牲世界軸のリーグの奥底へともぐっていくホームウェイ組を受信…… これもしかしてホームウェイ組も拉致られてない……?
- 35二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 18:10:14
ちょっとありそうで困ったけどなんかペパー以外自力で檻をぶち壊しそうなメンツなのがもっと困る
- 36二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:23:04
- 37二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:26:17
(明らかに円盤生物の介入が見られる記述が後半に書かれてある…)
- 38二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:28:16
この概念で夢書きたくなったが特殊すぎるから大人しくしとこう。
犠牲世界線オモダカさん自分が狂ってる自覚あってもなくても怖いんだよなぁ… - 39二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:40:46
パルデアの大穴に過去も未来も有りはしない。
深淵に始まりはなく、最果てに終わりはない。
確かめたくば往くがいい。
かつて虚しい浪漫に取り憑かれた彼らのように。
その無謀な勇気が何をもたらそうとも、誰の知ったことでもない。 - 40二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:41:48
「キラフロル、テラバースト」
「ミガルーサ、サイコカッター!」
ドッ、とテラスタルエネルギーとサイコパワーの刃がぶつかり合う。その衝撃で起きた爆風が、リーグの窓を砕く。
キラフロルの頭上には岩タイプのテラスタルジュエルが煌々と輝き、その影響か周囲から光が削り取られている。
自分と同じ顔をした二人の女が自分が勤め、まとめ上げるリーグをぶち壊していくのに内心うわ、と思いながら睨みつけるオモダカは、自身のクエスパトラの張ったリフレクターの陰に身を潜めて割り込む隙を窺う。頭の中の電卓を叩いて、果たして何処の予算を削って修繕費に当てるかザッと算出する。
正直な話、何か悪いことしましたかね私たち、と思わなくもない。だが現実に、並行世界からの侵略とさらに別の並行世界の救援(と言っていいかは若干怪しい)が今ここに行われており、自分もまた、戦わなくてはならない。少なくとも、信頼のおける部下たちが拐われたジムリーダーたちを連れ戻してくれるまでは。
そこまで思考に沈んでいると、ゴッ、と嫌な感じのする音が聞こえて、現実に引き戻された。顔を上げるとミガルーサが吹き飛ばされて、髪の短い方の"オモダカ"にぶつかってしまったらしい。床がひび割れて隆起しているのを見るに、"だいちのちから"でも使われたか。 - 41二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:42:53
「ぐっ……」
背中を強かに打ったらしい"オモダカ"が、どうにか上半身を起こそうとしている。
ああ、これはダメだな。
そう思ったら早かった。リフレクターの陰から飛び出して、"オモダカ"の腕を引っ掴んだ。何を、という声を聞かなかったことにして、入れ替わるようにリフレクターの陰に"オモダカ"を投げる。流石に成人女性を腕の力だけで投げるのはまず無理なので、多少乱暴に振り回して慣性を使った。
オモダカはさっき出した予算修正案を再修正する。とりあえず、事が済んだらチリたちに謝罪をしなければ。たぶん、いろんな部署がカッツカツになるので。
ゴーゴートをボールから出す。キッとテラスタルしたキラフロルを睨むゴーゴートの頭を撫でて、頼みますよ、と一言。
「クエスパトラ、その"オモダカ"を守りなさい!!ゴーゴート、ウッドホーンでキラフロルを外に突き飛ばしなさい!!壁はそのまま突き破って構いません!!」
オモダカの指示を受けたゴーゴートが、蹄の型が付くほど力強く床を蹴る。頭を低くして、キラフロルに向かって突進していく。
「チッ……キラフロル、ヘドロウェーブで迎え撃ちなさい!!」 - 42二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 19:44:13
ドバッ、と毒性のエネルギーがキラフロルの花びらから放たれる。ヘドロウェーブを受けたゴーゴートは顔を顰めるが、歯を食いしばって速度を緩めずキラフロルの身体に、深緑のエネルギーを溜めた角を突き立ててそのまま突き上げ、壁をぶち破った。
リーグに空けられた穴の向こうは、エリアゼロを囲う山岳が埋め尽くしていた。岩山に叩きつけられたキラフロルは、しかしテラスタルを維持したままふよふよと浮いている。対峙するゴーゴートは、流石の体幹で岩山の僅かな凹凸に脚をかけ悠然と構えている。
「……やってくれましたね」
澱んだ眼の"オモダカ"の底冷えする声が落ちる。オモダカは好戦的で挑発的な顔で口角を上げて、少々はしたないでしょうか、と思いながら。
「申し訳ありませんが、ひとまずここで膝を屈していただきますね」
両の手の中指を立てた。 - 43二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 20:02:31
- 44二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 21:41:05
最初はその日あった事や心に残った事、平穏な日常が沢山書かれていたのに、あの日から日記の内容ががらりと変わって復興の状況、自身の不安な感情を淡々と記してあって、並行世界の観測を始めてから狂ったようにタイムマシンの実験記録とか取り戻さなきゃと書かれてるんじゃないかと想像しちゃった…めっちゃ辛いけど読んでみたい
- 45二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 22:18:43
流れをぶった切る上に凄く今更で
申し訳ないんだけど、立地的に
シュウメイ殿がめちゃめちゃ
死にそうで心配…
早めに撤退して、ビワちゃん達のいる北2番エリア位までさがるか、ハッコウシティの方にひいてナンジャモちゃんに合流するかしないとキツい気がする。
下手にその場で防衛戦するとパラドックスポケモンに囲まれてジリ貧になりそうで… - 46二次元好きの匿名さん23/01/29(日) 23:17:20
おーいつの間にか8スレ目…!
勢いが衰えることを知らない!!嬉しいぞ - 47二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 07:07:30
- 48二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 15:17:30
保守
- 49二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 16:27:21
その他話題の方はスレタイが「ここだけパルデア騒乱記」に変わってスレ画もオモダカさんじゃない画像になってたから大丈夫だと思う
内容はよくわからないけどパルデアを舞台にしたオリジナルキャラごっこ遊び?みたいなスレなのかな
- 50二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:04:21
雪原に灯る蒼の篝火に背を向けて、輪廻を手繰るものの告げて曰く。
必ず、必ず護り抜くと。
やがて彼らは憂いける。
彼らの未来が久遠に絶たれることを。
彼らの希望の永遠に失われることを。 - 51二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:05:00
ライムは味気のない食事をそこそこに、椅子の背もたれに背中を預け切って天井を見上げていた。フリッジタウンやアカデミーに行くことだけは、監視付きで許可されている。最も、この陰鬱とした気分では普段通りの自分を演出できる気はあまりしない。
拉致されたのだ、当然と言えば当然だった。
自分を此処に———並行世界であるこの世界に連れてきたのは、姉だった。藁にもすがる思いで、追い詰められた顔をした姉を、ライムは少なくとも成人してからこの方見た事がない。聞けば、此方の自分はエリアゼロに由来する凶暴なポケモン———パラドックスポケモンと呼称される———による暴動を止める為、此方のグルーシャと共に雪崩を起こし自らごとパラドックスポケモンを生き埋めにしたとかなんとか。覚悟決まりすぎだろ、と思ったが、まあ、自分ならやりそうな気がしたので飲み込んだ。
姉は———タイムは、ライムを連れてきた後もただただ懺悔の言葉を口にしていた。
ごめんなさい、わかっているのよ。こんなことしたって意味はないわ。それでも、貴女にもう一度逢いたかった。もっと、話したかったの。
ライムは何も言えなかった。多分、同じ立場なら同じようにしたかも知れなかった。 - 52二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:05:38
ましてや、仮定としてタイムがアカデミーの教師陣再編に乗じて教職に専念するため、ジムリーダーを辞めなかったとして。
そして同じ事が起きたとして、そうなれば死んでいたのはタイムの方で。
責めることは、できない。それでも赦してはいけないんだろうし、赦すことはタイムも求めないだろうと、察していた。
そんなことはどうでもいい。いや、よくはないがそれ以上にライムには気にしなければいけない事があるのだ。ジムリーダーとしてだとか、タイムの妹としてというよりも、一人のゴースト使いとして。
【おはこんハロチャオ!向こうのライム氏元気なさげ?】
「どっから湧いてきてんだい、"ナンジャモ"」
これである。ライムはふよふよと浮く半透明の身体の"ナンジャモ"を、しっしと手で払い除けるようにする。
ライムたちが監禁、或いは軟禁されているパルデアリーグ本部には、此方側のジムリーダーたちの霊が彷徨いていた。無論というか、彼ら彼女らの姿を視て、声を聴くことができるのは現状ライムのみである。大変に、貧乏くじを引いた気がしてならない。 - 53二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:06:11
【しょうがないじゃんかさ〜。ライム氏以外ボク達の姿も視えなきゃ声だって聞こえないんだから、コミュニケーション取れるのがライム氏だけなんだよー】
「いやまあそれはそうなんだが」
なんだか何もしていないのに疲れた気がする。止めろチラチラ視界にフレームインするな。平泳ぎを止めろ。
【あ、よかったいたいた】
壁から半透明の"グルーシャ"が生えてきた。上半身だけ壁から出した状態で、どうも、と右手を挙げる。オカルト映画じゃないんだぞ、止めな。
【向こうのライムさん、多分、もしかしたら此処から出られるかも】
「は?」
ライムは"グルーシャ"の言葉に疑問符を浮かべる。出られる、とはどういう。
【向こうの四天王やチャンピオン達が、アンタ達を助けにきたみたい。チラッと見に行ったら向こうのポピーがこっちのポピーと戦ってた】
【わあ、自分対決?】
「地獄か?」
そんな業の深すぎるもん子供にやらせるな。思わず溜息が漏れた。 - 54二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:06:42
「他の連中はどうしてるんだい」
ふと気になったライムは、"グルーシャ"に問う。"グルーシャ"は壁の向こうにやりっぱなしだった下半身を部屋の中に持ってきた。
【リップさんはキハダ先生だっけ?バトル学の教師のとこ。ハイダイさんとカエデさんは向こうの自分たちのところかな。アオキさんはチリさんの側についてると思う。ライムさんは……】
チラ、と"グルーシャ"はシェードの閉じた窓を見やる。その向こう側には、アカデミーが見えるはずだった。
【ライムさんのお姉さんとこ、行ってるっぽい】
「そうか」
視線だけ窓に向けて、すぐ戻した。
しばらくの間静かになる。話す事がなくなったのか、"ナンジャモ"も"グルーシャ"も何処かへ行った。ライムは椅子から立ち上がって軽く身体を伸ばしていると、外が俄かに騒ぎ出したのを聞いた。念の為、霊ではなく生きた人間のものである。
ドタン、バタン、ドサッ。
外で誰かが倒れる音がした。なんだ、と思いつつ慎重にドアに近付いて、そして。
バンッ、とドアが開かれて、そこにいたのは。
「は、ハルト!?」
「ライムさん、無事ですか!?」
見張り役の職員を伸して胸を張るマスカーニャを後ろに控えさせた、若きチャンピオンその人だった。 - 55二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:08:13
ホームウェイ組の男女比を考えてチャンピオンをハルトとしましたがアオイちゃんでも代入可能です。好きな方を選んでね
- 56二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:11:04
SSオモダカさん、エリアゼロのタイムマシンをもとに並行世界移動を実現させたぽいので
たとえ別世界といえど、自分の親が残したものがさらなる事件を巻き起こしていることにものすごい罪悪感に駆られるペパー君ありうる…… - 57二次元好きの匿名さん23/01/30(月) 20:16:01
と思ったらSS続きだー!
雪山ジムリ組の雪崩でパラドックス倒すSSのやつが取り入れられてて嬉しみ - 58二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 06:21:46
雪山組ありがてえ…保守
- 59二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 07:13:30
前スレで幽霊ジムリがいるかも知れないって話が出てたけど、そうかゴーストのジムリーダーのライムさんなら全員の幽霊視えるから、直接助言が聞けるのか
- 60二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 07:20:33
否定できないから気持ちぐちゃぐちゃになるかもと一瞬思ったけど
ライムさんならちゃんと区切り付けてくれるだろうし最終的にはタイム先生も認めてくれそう
幽霊設定好き
割といっぱい取られてんだな…と感じた
- 61二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 16:23:05
良いSS感謝
- 62二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 22:17:12
原作世界に攻め入る前夜、「もうすぐアオキさんに会えますよ、もう辛い思いはさせませんからね、チリちゃん」と廃人チリちゃんの手を取る犠牲軸ポピーちゃん概念(なお廃人チリちゃんの内心)
- 63二次元好きの匿名さん23/01/31(火) 22:33:58
- 64二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 00:01:38
- 65二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 08:36:05
円盤ポケモンの詳細が出たらぜひこれと絡めて語りたい
- 66二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 12:11:23
明日の攻略本?資料集?楽しみだな
ここと絡められる情報ないかなって思ってるわ - 67二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 16:53:17
本当なら 私が …… 救 え た は ず な の !! ▼
俺のせいで …… 俺の親が …… …… 俺 の せ い な ん だ ! ! ▼
私たち しょせん 最強なんかじゃ ないんだね ▼
やっぱり 仲間を持つ資格なんて うちには …… …… ▼
ホームウェイ組が自分一人だけ生き残った時イメージセリフ - 68二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 18:01:26アカデミー生避難完了まで、残り四名「やっと出来た、宝物だったんだよ」
力なく立ち上がったネモは、覇気のこもらない声で呟く。その黒く染まった視線の先には、悲惨無惨な血溜まりが三つ。
それらを生み出したバケモノ達は、最後に残った非力な少女へと標的を移す。ネモは、既に感情が焼き切れてしまったのか、冷え切った声で、言葉を紡ぐ。
「これから、沢山、バトルするはずだったのに」
ネモは、強かった。最強だった。誰にも負けない。誰も追いつけない。誰からも、手を伸ばされない。
ネモの立つ高みは、ネモが思うよりもずっと、ずっと、遙かな場所で。自分の他には誰もいない極みの上で、ネモは、隣に立つ者を求め続けた。
「ようやく見つけた、全力でぶつかれる相手だったのに」
そんなネモに、ある日訪れた僥倖。
ついにみつけた、たからもの。
本気の敗北を知った。追いつかれる焦りを覚えた。それは、孤独に触れる者。孤独な少女が立つ遙かなる高み。その、更なる上に立ちうる者。
暗く沈みかけた目に、明るく眩い光が射した。ただただ暗い上を見上げる瞳に、ようやく映った、暁の光。
光の中から差し伸べられる、小さく力強い掌。ネモは、心の底から笑みを浮かべて、その手を握った。
――握った、筈だったのに。…telegra.phホームウェイ組全滅ルートです。おれはつらい。たえられない。コイツラには毎日アイス買い食いしてゲーセンによって深夜までゲームしてお泊まりしていてほしい(こんなもん書いてる人間がほざくセリフではない)
- 69二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 18:02:43
心臓ギュってされたが
- 70二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 18:12:27
このレスは削除されています
- 71二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 18:13:33
時間稼ぎで死んでってるのと最強なネモちゃんでも死んじゃうのほんとつらい
SS感謝… - 72二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 19:36:13
潰える光はあと八つって 八つって ヒィ
- 73二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 20:08:23
転校してきたばかりで知り合いの少ない主人公
あちこち東奔西走してるイメージのあるネモ
学校にあまり行ってなかったペパー
ガラルから戻ってきたばかりのボタン
4人とも行方不明なことがわかるの遅くなりそう
- 74二次元好きの匿名さん23/02/01(水) 22:22:42
どうか……どうか…みんな生きて…
- 75二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 06:24:37
保守
- 76二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 07:04:23
あと一歩、あと少しで救えたのにってなるのが一番辛い…
- 77二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 13:19:26
- 78二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 14:51:48
1人だけ生き残りホームウェイ、まだスター団がいるボタンちゃんはギリギリ再起できる可能性があるけどほか3人は本当にダメそう
- 79二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 15:25:02
- 80二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:38:40
恐れるなかれ、彼らを想い災禍の中へ身を投じるべし。
慄くなかれ、彼らを想い厄災の目をその剣で貫くべし。 - 81二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:39:30
存外に、尽くしてくれるのだなと思った。
リップはお世辞にも質の良いとは言えないが、しかし今自由に使える中では一番良いベッドの上で、自分に縋り付いてうたた寝をするキハダを見やる。
力づくで連れてきた割に、この部屋にいる限りはキハダはリップを丁重に扱った。並行世界の同一人物であるが故に、芯の部分は同じらしい。
リップは今、自分のいた世界とは異なる結末を迎えた世界に拉致され、軟禁されていた。リップ以外のジムリーダーは、リーグに捕えられているようだが、おそらくはキハダが嘆願したのだろう、リップだけが、アカデミーの使われていない教室を片付けて用意したこの部屋に閉じ込められた。泣き叫ぶように、懇願するように、此処にいてくれ、何処にも行かないでくれと言われてしまって、リップは思わず狼狽えた。何があれば、あのキハダがここまで追い詰められることになるのだろうか。何も知らないリップは、この世界に起きた惨劇に知らないが故に恐怖した。
眠るキハダの目元に、コンシーラーで隠してはいるものの隈が出来ているのを見つける。眠れぬ夜があったのだろうか。
物思いに耽りかけたリップを現実に戻したのは、部屋のドアが開けられる音だった。 - 82二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:40:01
「あ、キハダ先生やっぱりここにいたんだ」
入ってきたのは、キハダの同僚の養護教諭のミモザ。リップはキハダからの話でしか彼女の人となりを知らないが、しかし、本来の彼女ならばきっと、その眼は優しく穏やかな光を湛えていただろうに。
「……」
羨望、嫉妬、憐憫、様々な感情が複雑に混ざり合った、濁った眼がリップを射抜いた。
「……キハダちゃんに、何か用事?」
「たいした事じゃないですよ。なんか、向こうの世界の四天王とかチャンピオン達がこっちにきて、貴女達を奪おうとしてるみたいで」
取り返しに来た、の間違いでしょう。とは言えなかった。
「私は、あの日誰か親しい人を亡くしたわけじゃないけどさ、でも、ただ失うよりキッツイことあるなんて、それまで知らなかったんだよね」
ミモザが眠るキハダに視線を向ける。リップは静かにミモザの言葉の続きを待った。
「貴女の遺体を見つけたの、キハダ先生なんだよ。それで、ほんと、酷かったんだから。ご飯も食べられないくらい追い詰められててさ、もう、貴女のとこに逝きたいって、心の中だけで思ってるつもりだったんだろうけど、声に出ちゃってて。そしたら、理事長達がチャンプルジムのジムリーダーさん取り戻したって聞いて、じゃあ、貴女も取り戻せるんじゃないかって」 - 83二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:40:47
ああ、だから彼女はこんなにもボロボロだったのか。リップは合点がいって、目を伏せた。ミモザは続ける。
「こんな身体で一人で行ったら、途中で倒れそうだからって、私に相談されてさ。まあ、キハダ先生のこと、心配なのは本気だから、一緒に行ったわけだけど。あとは貴女も知っての通りね」
キハダの側まで歩み寄って、ミモザはしゃがんでその髪を撫でる。
「でも、リップはこのキハダちゃんのリップじゃないわ」
リップが吐き出したのは、言うべきか否かを断ぜず胸の中でつっかえていた事実。
ピリ、とミモザの纏う空気が肌を突き刺すように変化した。
「キハダちゃんも、貴女も、ホントにこれでいいと思ってる?こんなイミテーションが、貴女達の欲しかったものなの?こっちのリップは———」
「うるさい!!」
立ち上がって、ミモザが吼えた。
「ジムリーダーの責任だの義務だのは知らないけど、大切な人を生きたまま苦しめてまで守らなきゃいけないものがあったの!?賭けバトルの約束で縛りつけてまで、側に置いてた人を置き去りにしてでも成し遂げなきゃいけないことって何!?」
それはミモザの怒りだった。悲鳴だった。 - 84二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:41:53
「無惨な死体になって悲しませるくらいなら、みっともなくても生き延びたらよかったじゃない!!ジムリーダーだからってなんで死ぬの受け入れてんのよ!!遺される側の気持ちも知らないで!!」
「……リップに言われても、わかるわけないじゃない」
キュッと眉を顰めた。哀しみなんて要らないのに、それでも、胸を締め付けるのは彼女達への悲哀だった。
「何があったか、詳しく教えてくれないから知らないけど、ジムリーダー云々は抜きにして、もしキハダちゃんが危ない目に遭っていて、リップが命をかければ助けられるって確信できたとしたら、きっとリップは躊躇せず命をかける。それで死んじゃっても、キハダちゃんが無事なら、それでいいかなって思うんじゃないかしら」
本心だった。この世界のリップが何を思って戦い、死んだのかは知らないが、同じ事が起きたとして、自分が自分の命を優先できるかと言われると、無理がある。
自慢ではないが、リップは自分の命とキハダの命なら、キハダを取る自信しかないので。
馬鹿なんじゃないの。ミモザが絞り出すように吐き捨てて、部屋を出ていった。
「……あーあ、怒らせちゃった」
自嘲して、リップは困ったような笑みを浮かべるしかない。カーテンに閉ざされた窓を見遣って、睨む。 - 85二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:42:20
パルデアの大穴、エリアゼロ。その最も冥府に近い場所に造られたタイムマシン。キハダの話では、オモダカがその技術を悪用———もとい転用して、並行世界の観測と移動を可能としたという。キハダも詳細までは理解できていなかったが、要するに縦軸の移動では不可能であった人間大の質量の往復を、横軸の移動においてならば可能であると証明したのだ。そして、この事態に繋がった。
アレはもはやパンドラの箱だ。幾万の絶望の中に一握りの希望が秘められた。
しかし、それは或いは麻薬だろう。望む希望を見せ、弄び、狂わせ、最後に訪れるのは度し難いほどの絶望感。だとして、
「一体、何考えてるの。オモダカちゃん」
落ちた言葉は、誰にも届かなかった。 - 86二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:42:56
テーブルシティの中央からアカデミーへ向かって伸びる大階段の前に、人影が三人。
一人は黒いジャージのいかにも体育会系な女。もう一人は白衣を着たふわふわ花のような雰囲気を纏う養護教諭の女。三人目は可愛らしいアップリケを付けたエプロンを巻いたガタイのいい男。
「私の我が儘に付き合わせてすまない。ミモザ先生、サワロ先生」
黒ジャージ———キハダはグローブの裾を引っ張って、階段の向こうにあるアカデミーを見上げる。
「別にキハダ先生に振り回されるのはいつものことだし、気にしなくていいわよ。それより、本当にこっちなの?他のみんな……っていうか、ハッサク先生含む四天王とかチャンピオンの子達とかは、リーグ本部の方行ってるけど」
養護教諭———ミモザはチラ、と西側のリーグ本部へのゲートがある方へ視線を向ける。
「ふむ……はたして我が輩が何処まで力になれるか……。障害となるのは、此方のキハダ先生やミモザ先生だけではないのだろう。或いは、タイム先生やハッサク先生が待ち構えている可能性も十分考えられるな」
ガタイのいい男———サワロが思案する。
「大丈夫だミモザ先生!結局アイツも私だ。足を運びにくいリーグよりも、自分が会いに行きやすい場所にリップを置いておこうとするはず。だとしたら、ベイクタウンかアカデミーかの二択だろう。私たちじゃなくてタイム先生やハッサク先生に出会したら……まあ、その時はその時だな!」 - 87二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:43:24
にぱっと笑うその顔に、緊張と恐怖が混じっていることにミモザもサワロも気付いた。しかし、キハダもそれは自覚しているだろう。それでも奮い立ち、幼馴染を奪還すべく世界を渡って此処に来た。ポケットにしまったリップの口紅に、布越しに触れる。約束を、守らなければ。
ミモザに協力してもらって、薄くだが普段はしない化粧もした。ポケモン達のコンディションも、万全に整えた。あとは、自分の腹を括るだけ。
押忍!とキハダは気合を入れて、大階段を駆け上がった。 - 88二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 17:57:24
SS続きやー!
ジムリ達が閉じ込められてるのは、犠牲軸のリーグとアカデミーっていう認識でおk……? - 89二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 18:48:08
- 90二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 19:57:39
レジェンド派生のほうでハッサクさん強くなければ何も守れないという思想を掲げてるけど、VS世界線でも同じだったとしたら「小生を止めたければ、小生に勝ってみなさい」と説得にさえ応じずバトルふっかけてくるという可能性もありそう
そんなハッさんに内心でバチクソにキレる廃人チリちゃんもセットで受信した - 91二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:48:52
- 92二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:06:18
- 93二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 00:05:47
パラドックス騒動に一応の決着がついたの、テラレイドバトルの最強リザードンやエースバーンが力で薙ぎ払った説すこ
……たぶんその最強種たちも無事ではなさそうだけど…… - 94二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 00:10:20
ただでさえ忙しいのに平行世界の研究にのめり込んでいっただろうからポピーのお絵描きに付き合う時間もなくなってったんだろうと考えるとおいたわしいな…
- 95二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 00:22:10
ssありがたい…!リップさんとキハダ先生が、仲良く二人で
エクササイズしてるところが見たいな…だから…
幸せになってくださいね - 96二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 02:24:39
「それでハッコウシティの港もほぼ修繕が済みまして 明日災害以来初の出港が行われるのです……それで ハッサク」
「それは素晴らしいですね はい どうされましたか」
「…… ……ごめんなさい 何でもありませんの」
「その前置きで何もないことはないでしょう 話してごらんなさい」
「…… ……」
「…… ……」
「……チリが 食事も自分で取れなくなってしまいました」
「それは」
「初めは徐々に意思疎通というものが取れなくなり次は動けなくなり……今度は何が悪くなるのでしょう?」
「オモダカ嬢」
「そうですね彼女を信じるべきなのでしょう…… ……でも でもっ!チリがこのまま戻らず最後には死んでしまうんじゃないかって!アオキたちの所へ行ってしまうんじゃないかって……怖くて怖くて堪らないの!!」
「私が飛び回っている間は ポピーが一番チリの世話をしてくれているんです あの小さい手で 最初チリの様子に誰よりもショックを受けていたのに あの日からろくに涙も見せず……」
「…… ……」
「私っ 私は……これ以上何を頑張ればいいっ……のか……分からないのです!もっと頑張らないといけないのにっ!私のたからものが……守りたいのに……こわれていってしまう……」
「うっ ううっ……ぐす……っ……」
「…… ……」
「……しばらく 里を留守にしてそっちに泊まりますですよ 今決めました」
「っあ! ハッサク そんなつもりは!……少し 感情的になってしまっただけです こちらはこちらで何とかしますから……」
「存じております でも そんな寂しいことをおっしゃらないで下さい 小生のとんぼがえりは迷惑ですか」
「い いえ!そんな!あなたが戻ってくるなんて そんな心強いことはありません……けれど その……無理はなさらないで下さいね あの方々が……」
「どうってことはありません それよりこのまま小生と駄弁るよりチリとポピーに会ってあげなさい あまり会えていないのでしょう」
「お互い時間に追われる身ですがまたゆっくりお話できる機会を設けたいものです……今度は笑顔になれるような報告ばかりになるといいですね」
「誰よりパルデアとそこに住まう者たちのことを考え行動するオモダカ嬢をずっと尊敬して感謝していますですよ きっと皆も同じ気持ちでしょう ありがとうございます」
「……それはこちらが言うべき台詞です ハッサク……」 - 97二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 02:37:03
このハッさんには悪いモノがついている
具体的に何であるかの検討は付かないが 外付けの何かが彼に悪影響を与えていると確信している
例えるならば悪い虫 悪いカビ 悪い病気……生きるため植物に取り憑いて栄養を奪い枯らしてしまうような厄介モノだ
……ハッさんとあろうものが他者に手を出すほど萎れているのだ 想定済だがあまりにもむごい
だから自力で悪いモノの正体に気が付き 自分の歪みを認め 正していって欲しいという気持ちも嘘では無いのだが……
褒められた話ではないが ワタシはあまり気が長くない むしろ短い自覚がある そろそろ口出しを我慢できそうにない
今も「目を覚ませ!!」と叫びながらぶん殴ってやりたい衝動をこらえている
それに 進んで付いてきたといえど いい加減ワタシは この部屋に閉じ込められっぱなしのグロテスクな生温い生活に気が滅入って来た
聞けば他の捕まっているジムリーダーどもには 制限付きでの外出が既に許可された者もいるという
ワタシと彼らの違いは何なのか?
……そういえばハッさんは「外出を許可できる」と言ったがボウルタウンの名を一言も出していないな……
…… ……邪推はよそう まずハッさんのことだ 何がハッさんの目を覆ってしまったのか?
やはり災害か?長の座に縛り付けたあの一族どもか?この状況の元凶らしきトップチャンピオンか?呑気に死んだこちらのワタシか?未知の何かという可能性もあるだろうか?あるいは全てなのか?
心当たりが多過ぎる……
要因が何にせよ ハッさんが見失ってしまった道を再び見つけ出すためには 覆いを取り去らねばならない
しかし一度ああなってしまったハッさんを曲げるのは非常に骨が折れるのだ どう彼の心にアプローチをすれば……
…… ……
…… ……
ええい 頭痛になりそうなほどアタマを悩ませるのも 飽きたぞ!
もう本当にぶん殴るか? ぶん殴ってしまおうか!?丁度ここに……
「……さん……を…… ……コルさん」
「ぬおっ!」
「頭を抱えてどうされました 頭痛なら……」
「よくぞ来てくれた!!もうこっそり観察しながら……などとまどろっこしいこと無しで直接聞いてしまえと思っていたところだ!!」
「今日はコルさんとってもお元気ですね 嬉しいですよ それで如何なさいました」
「ハッさんの本当の願いはなんだ?」
- 98二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 02:46:27
「……最初にお伝えしませんでしたか?『我らの世界にジムリーダーを……」
「違うだろう!?」
「何も違いなどありはしませんが」
「……もう もう我慢ならん!許せ!そも待つなどという悠長な選択肢はワタシ向きではなかったのだ!」
「コルさん」
「最初から理解していたのだろう!?あなたは全て見えているにも関わらず目を閉じ覆って見えぬふりをしている!!」
「コルさん 何がなにやら」
「とぼけるなッ!!」
「!」
「瞳を覗いてやろうと勇んで来たは良いが こう厳重に保管されてしまっては何の手出しもできん!このままでは ハッさんやワタシたちの世界に迷惑をかけるだけかけてイイところ無しではないか!」
「……小生は忠告しましたし 迷惑上等とおっしゃったのはコルさんでは」
「うるさい!!作品すら作れんレベルの謹慎は予想外だったんだ!!」
「そうですか……」
「まったく 案の定見ていればろくな枝葉が伸びん!いい加減剪定が必要と見た!バッサリといってやろう!!」
「……ハッサク キサマはおかしくなっている 誰の差し金だ」
「……」
「ハッサクとあろう者が 他の世界の同一人物を誘拐したところで犠牲を取り戻せなどしないと理解できなかったり 分かっているのに進んで他者を傷付けたりするほど愚かとはとても思えない……」
「そして他者の分かりきっている愚行に対して忠言しないほどおくびょうとも思えない ならば こうなってしまった理由があるハズだ」
「…… ……」
「なぁ ハッさん あなたに何があったんだ 教えてくれ」
「…… ……」
「全部黙って 顔にも出さず 心の中に秘めて破滅にひた走るつもりか? ノットアヴァンギャルドだ! そんな投げやりなぞ ワタシは認めない……!!」
「もう一度たずねる! ハッさん あなたの本当の願いは何なんだ!?」
「ハッさんッ!!」
しびれごなを切らしたコルさんVS見えないハッサクさん&思い出の中のオモダカさん
ハッサクさんの心情も書く予定でしたが長過ぎたので削りました
- 99二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 07:11:37
SS続きやったー!
これ見る限りだと、犠牲軸チリちゃん徐々に心を壊していったのか……
溌溂な人がゆっくりゆっくり壊れていく様を、間近で見ていたのどんな気持ちで……
見ていた人たちも心が壊れていってしまったとしたら……
ひぇぇ悪循環…… - 100二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 07:36:59
- 101二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 07:37:54
- 102二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 12:29:03
ちょっと目を離すとすぐ良概念だらけになってる…ありがとう…
ドーナツホールどんどん進んでてすごい!
データ消えて大変だと思うけど絵が見れて嬉しい!楽しみ〜
SSもすごい…!遺族の折れ方がそれぞれ違ってみんなつらい…
オモダカさんとタイムさんが弱ってるのってなんか下手なホラーよりショッキングだね…
アオキさんや校長みたいな濃い人を尻に敷いてそうな強さが印象に残ってるからかな? - 103二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 13:43:42
一向に状況良くならない中で、パルデア民の心もだんだんささくれていって、トップは攻撃の的にされるんだよね。
トップに対する心ない言葉を聞いてしまったポピーがトップの部屋に入ってきて、どんなに忙しくてもトップは目線を合わせてしゃがんでくれるから、ポピーはトップの頭をなでていい子いい子してくれるし、トップはポピーに抱き着いて肩を震わせてしまうんだよね
(そしてポピーや未来の子供たちの為にもとさらに暴走を加速させていくんだ)
- 104二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 18:23:02
- 105二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 19:13:56
- 106二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 20:06:49
このレスは削除されています
- 107二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 20:22:28
- 108二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 22:21:36
廃人チリちゃんから周りはどう見えてるのか気になる
反応に乏しいだけで、周囲の状況を把握できてないわけじゃないとは思うが…… - 109二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 22:29:36
SSみる限り、並行世界移動はタイムマシンの理論を応用したとのことだけど、博士がつくったものなら、ボールロックシステムにも目を通してそう
しかしポケモンリーグに属する、最高峰トレーナーとしての矜持からそのシステムは使わなさそうな気もする……し、今の狂いっぷりを見ると手を出してしまいそうな気もする……(どっちでもアリ) - 110二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 22:49:40
唐突で申し訳無いが、個人的に考える犠牲世界のイメソンがこれ。自分は全体的と思ってるけど、誰かを当てはめてもいいかもしれない
「綺麗だった日々もただ死んでいった」の所が刺さりすぎてしまってな…
- 111二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 22:58:26
SSみる分だと、犠牲軸ハッサクさん
別世界からジムリ達つれてくるのが間違いだと分かっていても、苦しむオモダカさんやポピーちゃん、どんどん衰弱していくチリちゃんの姿にいてもたってもいられず誘拐を決行した感じか……?
それでもう戻れないところまで来てしまっている……というところまで推測した - 112二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 23:26:14
空気読めなくてごめんな!全ての元凶にプリ○ュアが如くテラバぶち込む四天王+トップとジムリーズのセリフが降って来たから置いてくぜ!
・四天王+オモダカ
オモダカ「お願いします!」
四天王「「「「了解ッ」」」」
ハッサク「テラスタルジュエルをその冠に!!」
アオキ「風向きを変え」
ポピー「おめかししーましょ!」
チリ「隆起せい!」
四天王「「「「パルデアリーグ四天王テラスタル!」」」」
オモダカ「いきますよキラフロル、パルデアの未来のように!」
全員「「「「「トレーナーを導く光あれ!!」」」」」
・ジムリーズ
アオキ「ご協力お願いします」
「ガッハッハここは流されるのもまた乙!」「こーんな超大型コラボ参加するっきゃない!」「流石にアツイね」「共同制作か引き受けた!」「下地処理バッチリだわ」「ビターにいっちゃいますよ〜」「魂揺さぶるユニゾンにしてやるかね」
全員「「「「「「「◎△$♪×¥●&%#ッ!!!!」」」」」」」
「声の大きさとセリフの長さを揃えてください」「ロクな打ち合わせなしじゃこうなるわな」「アオキ氏のゴニョニョ声基準じゃ気合入らないよっ!?」「セリフどうします〜?」「テラバースト!でよくない?」「捻りがない!もっとこうアヴァンギャルドに…」「ちょっとこのままじゃケツカッチンよ!」「テラバースト!を強制採用だい!!」
アオキ「自分をさらけ出した我らの一撃、ご確認下さい」
「ちょ!一人だけ口上増やしてる!ズルくない!?」「そこ集中ッ!今度こそいくよ、ユニゾン!」
全員「「「「「「「「テラ バーストッ!!」」」」」」」」 - 113二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 23:51:28
ボウルタウンに連れて行かないのは、人の被害こそ出てないが町自体がめちゃくちゃになってたりするんだろうか
ボウルタウンのあちこちに作品置いてたあたり町そのものもコルサにとっては作品みたいに思っててもおかしくないし、その場合壊滅した姿を見たらショック受けそう
- 114二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:00:24
オモダカさんが苦しまない為に、チリちゃんが元に戻る為に
ポピーちゃんに笑顔が戻る為に、ハッサクさんが泣けるようになる為に……
幸せになってくださいね - 115二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 08:04:31
自分は何も出来ない無力感のあるチリちゃんが
もうだめだと立ち上がっても止められるだけだしなんなら悪化して
理由を聞きもしなかったのに「もう あかん …… …… !」とか言って
チリちゃんのためでもあったであろうハッサクさんがまた精神削られそう
誰か作って(他力本願) - 116二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 08:23:06
「ポピー …… …… っ どこ 行ってたん !?」
「もう 子供じゃ ないのです …… …… へっちゃら です」
そういつものポケモンバトルじゃ到底つかないはずの汚れを頬につけ、
それを拭いながら複雑な顔で笑うポピー。
空からも穴からも多くこの地を踏み荒らして壊した存在。
あの日から落ち着いた今も、ポピーは外に出て何も言わず傷をつけて帰る。
「ああ なんで 行くん …… …… お外は 怖いやろ ?」
「また それなのです」
「え?」
そう言うと、今まで言葉を飲み込んでいたのか微妙な反応をしていたのに。
それも確かに辛かったけど、ちょっとでも認めてくれているなら安心の材料にはなったから。
でもその分返ってきたのは辛い言葉だった。
「チリちゃん は ポピーのこと 引き止めないでしょう ?」
「そんな …… ……」
「っ ポピーは !! いつかまた こんな事が起こらないように 訓練 してるのです !!」
そんなの二回目だったかいつかの言い訳の時に聞いた。
そして安堵したのも束の間だった。
すぐポピーの真っ直ぐな目と少し高くなった身長で射抜かれたようになる。 - 117二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 08:23:19
「…… …… チリちゃんは !! げんじつとおひして 見てないだけ なのです !!」
「ぇ」
そう言われて思わず固まってしまう。
ちがう。
ちがう。
ちがう。
ずっとリーグに籠って、オモダカの部屋にはジムリーダーの墓があったことからずっと、
籠って、アオキさんが一人いないだけで狂っちゃうみたいで怖かった。
でもちがう。
「もう いくのです」
「まっ …… ……」
そう言って彼女が出て行ったのはリーグの扉の先。
今でもポケモンが自分に襲いかかるみたいでこわくてこわくて。
出れない。
怒って出て行ったポピーへの心配と、出れない自分と。
ああどうしよう。
現実逃避チリちゃんと現実を見ているポピー - 118二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 09:26:28
シリアスばっか思いついてしまう中、こういうコミカル路線は貴重なのでありがたいっす
- 119二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:13:51
- 120二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:14:28
バチッ、と電気が爆ぜる音がした。スーツを着た職員が膝から崩れ落ちて床に倒れ込む。その背後には磁石ユニットから電気を放出しているジバコイル。
すぐさま身を潜めていたカエデがワナイダーの糸で職員を簀巻きにして通路の隅に転がす。チリが職員のスーツを漁って鍵を手にした。
鍵をドアに差し込み、回して、蹴破った。
「ハイダイさん!!」
「師匠!!」
「ハイダイおじちゃん!!」
チリが、カエデが、ポピーがその人を呼ぶ。勢いの良さに驚きつつ、部屋に囚われていた恰幅のいい男———ハイダイは、手慰みとして貰ったのだろうジグソーパズルのピースを取り落として、椅子から立ち上がった。
「カエデ!それにチリ嬢とポピー嬢!?なんだってここにいるんだい!?」
「チリちゃん達が助けに来たったで。カエデさんはなんか自力で脱走しとったけど」
「師匠の教えの賜物ですよ〜」
「ひとのくびをしめおとすのがですか???」
ポピーの言葉にハイダイが頭を抱えたのをチリは見てしまった。珍し、んでおもろ。と思っている場合ではないのだが、我慢できなかった分が溢れて無意識に咽せた。 - 121二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:15:04
「危ないと思ったら手首くらいなら捻り上げちまえいとは言ったよい……。だが自分の方からチョーク入れろとは教えてないんだい……」
「あっ、ぶつりをおしえたのはおしえたのですね」
「おじちゃんたちのパワーでてくびグリンッてされたらふつうにほねがおれますの」
幼女二人の率直な感想が突き刺さった。ちなみにハイダイは体力測定では歳の関係で持久力関連の成績は並より少し下回っていたが、筋力などはオモダカとハッサクに迫る成績だったことをここに明記する。そもそも平均値が高いとかは言ってはいけない。
カエデがハイダイにポケモン達の入ったボールを返す。受け取ったハイダイは中にいるポケモン達に、無事でよかった、と声をかけてポピー達に向き直る。
「この後はどうするつもりなんだい」
「とりあえず今んとこは他のジムリーダーも助け出してポケモン返してこかなって。約二名カエデさんみたく自力で脱走しとる人らおるけど」
「脱走」
「あ、アオキのおじちゃんのいるはずのへやにいったら、もぬけのからだったですの。その……たおれてたみはりばんのおかおにキノコのほうしがついてたので、きっとコルサおじちゃんですの」 - 122二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:15:46
「ほねおれぞんびのくたびれもうけでしたの……はっちゃれもへもへぇ……」
「骨折り損のくたびれ儲けな。チリちゃんら死んでへんから」
ポンポンとチリがポピーの頭を撫でる。いつも通りのやり取りに、ハイダイは心底安堵したことに気付き、自分が思っているよりも参っていたことを自覚した。
此方側のポピーが、ハイダイの顔をチラと見ては視線を逸らすのを数回繰り返す。
「あの、ハイダイおじちゃん……その……」
「どうしたんだい、ポピー嬢」
ハイダイは此方側のポピーに目線を合わせるようにしゃがむ。ポピーは視線を右往左往させて、しどろもどろになりながら。
「えっと……ぽ、ポピーたちのせいで、おじちゃんたち、たいへんなおもいさせて……んと……ご、ごめんなさい、ですの」
ぎゅっと、両手を握りしめて俯く此方側のポピーは、恐る恐る、といった様子で謝罪の言葉を絞り出した。ハイダイは一瞬呆気に取られはしたものの、すぐに調子を取り戻してポピーの頭を優しく撫でた。
「オイラは気にしてないんだい。でも、ちゃんと謝れて偉いぞポピー嬢」
ハイダイの声のあまりに優しいものだから、此方側のポピーは堪え切れずに泣いてしまった。ああ、なんだかチリに叱られてから、泣くのを我慢できなくなっているとポピーは自嘲した。 - 123二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:16:48
「ほんなら、次誰んとこ行こか」
「ライムさんかナンジャモさんかグルーシャさんか……職員たちの会話を盗み聞いた限りだと、リップさんはどうもリーグにいないみたいなのよね〜」
「嘘すぎひん……?」
「はい!ポピーはライムおばちゃんのところにいきたいですの!ポピーはちょっときになることがありますので、おばちゃんのおはなしききたいですの!」
「気になること?」
「ごーりゅーしたらおはなしします!」
一同、ハイダイを加えて残りのジムリーダーを助け出すべく廊下に出た。巡回する職員は殆どいない。おそらくは、外で引きつけるべく暴れているネモたちのおかげだろう。此方側のチリの車椅子をハイダイに任せる。此方側のポピーは泣き腫らして赤くなった目元のまま、キュッとチリのズボンを掴んでいた。 - 124二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 10:17:17
此方側のポピーの案内で、ライムが囚われている部屋へと向かう。その道中。
「なんやちょいちょい人倒れとるな……嫌な予感すんねんけど」
誰にやられたのか、リーグ内を見回っていたであろう職員がまばらに廊下に転がっていた。またコルサか?と思ったが、胞子らしきものは見受けられない。
「あっ」
チリの嫌な予感は、はたして的中していた。
ドアが開けっぱなしになっている。その側で、見張り役だったであろう職員が失神している。タタッ、とポピーが駆け出して、開けっぱなしのドアの中を覗くと、案の定誰もいない。
「またすれちがってますの!!!!」
「あらあら〜」
ゴンッ、とポピーは小さな拳で壁を叩いた。
ハイダイは車椅子を停めて、倒れた職員を調べる。髪に粉のようなものが入り込んでいるのを認めると、ちょい、と摘んで指の腹で擦り合わせた。
「花粉みたいだよい」
はて、花粉ときたか。チリはリーグ関係者や有力なトレーナーで、花粉を扱うポケモンを持った人物を脳内検索エンジンにかけた。そして。
「ハルトか〜〜〜そっか〜〜〜〜そうやんなあ、ネモ達がおんねやったらハルトもそら来とるわな〜〜〜〜〜」
ハルトが何か悪いわけではないのだが、それはそれとして間の悪さにチリもポピーも天を仰ぐ他なかった。 - 125二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 15:07:22
またコルサか?で笑っちゃった
どこがどういう順番で合流していくのか楽しみ - 126二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 16:09:30
どこかの書庫に綴られてそうなシリーズ好き
- 127二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 16:44:30
- 128二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 18:21:12
- 129二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:07:33
SS続きだー!
こうして見ると、自力で抜け出してるジムリがちょいちょいいるのがww - 130二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:30:46
気が向いた時でいいので、この時のハッサクさんの心情もいつか読みたいです……
- 131二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:23:02
犠牲世界線での惨劇を夢で見てしまった原作軸ポピーちゃんが、朝起きた時に、夢の中で亡くなってしまったアオキさんや傷ついていった四天王やチャンピオンの面々が無事であることに心底安堵し泣き出してしまってめっちゃ心配されるハピエン?ルートを妄想した
- 132二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:59:33
そういえば、SSだと廃人チリちゃんが犠牲軸ポピーちゃんともどもジムリ取り戻すぞ原作組についてるわけで
たぶん犠牲軸ハッサクさんにバレたら絶対ヤバい
すりぬけ特性のドラパルト差し向けて死角から廃人チリちゃんを掻っ攫う犠牲軸ハッサクさんとか受信してしまった - 133二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:54:16
- 134二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 00:50:47
- 135二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:17:37
雪原に足跡を残すように、絶望という爪痕を刻む。
いずれ時が経つごとに、雪が足跡を埋めるように爪痕は風化するだろう。
しかし雪原に足跡の窪みが僅かに残るように。
絶望の爪痕は消えることはない。
壊れた卵のように、元には戻らない。 - 136二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:18:07
バンッ、とドアが開け放たれる。
中でアルクジラ———自分のではなく、此方の世界の自分に懐いていた———の構ってアピールに押し負けていたグルーシャが、驚いた顔でドアを開けた人物を見遣る。
「おっと、此処にいたのはグルーシャさんでしたか」
「え……ハッサクさん?」
「はい、ハッサクでございますですよ」
直前まで走っていたのだろうか、額に汗を滲ませて柔らかい笑みを浮かべるのは、グルーシャのよく知る方のハッサクだった。傍らにはアップリューが控え、周囲を警戒している。
「申し訳ありません、グルーシャさんはコルさんが何処に囚われているかご存じありませんか?」
袖で額の汗を拭って、ハッサクが問う。グルーシャが流石に知らない、と答えるとハッサクは腕を組んで悩ましげに唸った。
「当てずっぽうに探すのも流石に限界でしょうか。しかし此方の小生がどういう考えと心理状態をしているのか想像し辛く……うむむ」
「……コルサさんの居場所はわからないけど、少なくともあの人大人しく捕まっててくれる人ではない気がするんだ」
「と言いますと?」 - 137二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:18:52
「ぼくもコルサさんのことよく知ってるわけじゃないっていうか……むしろ関わりとか定例会とか以外殆どないけど、それでも又聞きする感じだと、芸術家として題材にできそうなものがない場所に長期間閉じ込められて、我慢できる人ではないでしょ。それに、多分一度こうしようって思ったら即行動に移しそうなイメージがあるよ。ぼくが勝手に抱いてる、だけだけど」
マフラーを整えて、グルーシャはサムいこと言ったね、とそっぽを向いた。
あながち的外れでもないだろう。コルサは存外、欲求と常識と良識の擦り合わせという思索の上で、突飛な行動を起こす人だ。それが彼の素敵なところだと、ハッサクは思う。
「自力で脱出を図った可能性もあるということですか」
「なくはないんじゃない?それに、ハッサクさんが今此処にいるってことは、他の四天王とかチャンピオン達も、きてるんでしょ。外、騒がしい気がするし」
今なら騒ぎに乗じて逃げ出しやすいんじゃない?
アルクジラを撫でて、グルーシャが言う。ああ、確かにありえるだろうな、とハッサクは納得した。探している相手も動き回っているのなら、なかなか見つかるわけがないはずだ。
グルーシャはグッと伸びをした。 - 138二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:19:27
「こっち連れてこられてからいろいろ考えはしたけど、結局最後に行き着くのは"帰ってジムテストの準備したい"なんだよね。折角お迎えが来たわけだし、そろそろぼくも出るか」
「グルーシャさん……それはつまり、小生と行動を共にすると?」
「それ以外、なんかある?どっちにしろぼく今丸腰だから、せめてポケモン達取り返すまでは一緒にいてくれると助かるんだけど」
この子はこっちの子だから連れて行けないし、とグルーシャは何もわかっていなさそうなアルクジラを指した。
「ふむ……わかりましたですよ。ただし、危険だと思ったら小生に構わずすぐ逃げてくださいね。そして、チリやポピーと合流を目指してください」
「わかった」
グルーシャは一歩、部屋の外へ踏み出す。アルクジラがその後をついて行こうとするのを制して、一言。
「ぼくはキミの"グルーシャ"じゃないよ。だから、もう一緒にはいられない。ごめんね」
バイバイ、と緩く手を振って、グルーシャはハッサクと共に駆け出した。 - 139二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:19:50
「———小生の目を掻い潜ろうとは、チリにも困ったものですね」
- 140二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:20:20
ハッサクがグルーシャを解放したのと同じ頃、ポピー達はドラゴンポケモンの強襲を受けていた。前門のドラミドロ、後門のオンバーンに挟まれたポピー達は、意を決して二体を迎え撃つ。
「ケケンカニ、アイスハンマー!!」
「フォレトスちゃん、ストーンエッジ!!」
師弟が斬り込む。アイスハンマーがドラミドロの腹部に捩じ込まれ、ストーンエッジがオンバーンの左翼を撃ち抜いた。
「ジバコちゃん、"ひかりのかべ"!!」
此方側のポピーが二体のドラゴンの特殊技を警戒して、"ひかりのかべ"を張る。案の定、ドラミドロがケケンカニに"りゅうのはどう"を撃ち込んだ。
「あぁ〜〜〜もう!!此処までトントン来とった思たらこれや!!こっちのハッサクさんわざとチリちゃんら泳がしとったんちゃうやろなあ!!」
「ひていできないのがいやですの……」
技の余波をドオーの"まもる"で防ぎながらチリがぼやく。ポピーはドータクンを車椅子のチリを庇うように配置した。
オンバーンがフォレトスに向かって、牙を剥き出しに直進する。カエデはジャイロボールを指示して迎え撃った。ガキンッ、と言う音と共にフォレトスのジャイロボールとオンバーンの牙が———"いかりのまえば"がぶつかり合った。 - 141二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:21:03
一方で、特殊技の猛攻を受けてハイダイとケケンカニはドラミドロに対して攻めあぐねていた。弾幕のように放たれる"りゅうのはどう"や"10まんボルト"、ハイドロポンプを掻い潜り"しねんのずつき"を叩き込みたいのだがそれが難しい。
「げえっ!!」
チリが目を見開いた。ドラミドロの後方から、モトトカゲの集団が列を成して向かってきている。振り返ると、オンバーンの後ろからもシャリタツの群れが這い寄っていた。
「数の暴力で押し潰す気だい!?」
「こんの……ッ」
チリはバクーダを出し、キッと増援として来たモトトカゲとシャリタツ達を睨み、
「みんな堪忍な、床ぶっ壊すで!バクーダ、"だいちのちから"!!」
ゴオッ、と床を突き破るように地面タイプエネルギーが噴き出す。群れの先頭周辺にいたモトトカゲとシャリタツは"だいちのちから"をモロに喰らい、衝撃で天井まで叩きつけられるものもいた。隊列が崩れたモトトカゲの群れは統制を欠いて右往左往し、シャリタツはビビって擬態を始める個体もいた。
「チリちゃんたち、ポピーたちのこといえないくらいあばれてますの」
ポピーがジト、とチリたちの背中を見る。此方側のポピーはなんとも言えなかった。仕掛けてきたのは推定ハッサクで、自分たちは迎え撃っているだけなので。 - 142二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:21:33
不意に、ポピーの背中を悪寒が走った。
幼いながらに四天王を務めるトレーナーとしての直感、或いは虫の知らせ。ポピーはバッと周囲を見回す。戦いの轟音が音を掻き消し、まばらに立つ煙幕で視界が悪い。
ヌ、と壁から何かが現れた。
不味い、と思った時にはもう既にソイツは車椅子のチリの細い身体を掴み、連れ去らんとしていた。
「っ!!チリちゃん!!」
ポピーはすかさず小さな身体で飛びついた。ガシッ、と物言わぬチリの腰辺りにしがみつく。見上げてみれば、物言わぬチリを捕らえたのはドラパルドのようだった。
「ポピー嬢!!」
ハイダイが叫んだ。手を伸ばしてポピーと物言わぬチリを助けようとして、しかし。
「ポピー!!みんなをおねがいしますですの!!」
「!!」
ハイダイの手が空を切る直前、ポピーは此方側のポピーにチリたちを任せ、物言わぬチリ共々ドラパルドによって連れ去られた。
「ポピー……!ポピィイイイイイイ!!!!」
チリの絶叫が、木霊した。 - 143二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 09:42:55
SS続きだヤッホイ
とも言ってられない急転直下な状況に
やはり元アカデミーの教職にして四天王の大将は格が違ったぐぬぬ - 144二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 10:16:59
SS有難い
グルーシャのところが一番好き
「ぼくはキミの"グルーシャ"じゃないよ」ってなにさいこう - 145二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:28:28
うわーっ上にあったすりぬけドラパルト!!!かっっこよ
そして原作軸のハッサク先生もこっちに来た!
合流はグルーシャ君か想像出来なかった組み合わせで好きだ - 146二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:21:50
同じ木から生えたからといって折れた枝の隣に生えている枝を同じ枝だと勘違いするほど皆愚か者ではありません
我らが本当に求める彼らは空に地に水に……パルデアに還ってしまっています
もう 二度と 会えない 過去の光です
それでは何故頑なに事実から目を背け『取り戻す』ことに執着したのか
……そうでもしなければ 再起不能なまでに傷付いたパルデアの人々は 前を向けなかったのです
ジムリーダーを喪い 土地を荒らされ ポケモンを傷付けられて……普通に生きることすら困難になってしまった人々に 現実はあまりにも酷なものでした
街によっては要石とも言える存在を亡くした悲しみに浸る間もなく復興を進めなければならない
未だに悪の組織や凶暴なパラドックスポケモンやヌシポケモンの残党が蔓延る中でです
しかもパルデアの大穴がある限り この地に再び災害が起きる可能性はけしてゼロではないと知りながら……
オモダカ嬢やクラベル校長など 一部の方々は希望を見据えて懸命に駆け回って下さっていましたが 大いなる絶望の前には焼け石に水
並行世界の観測に成功しなければ パルデアは緩やかに衰退していくばかりだったでしょう
未来への希望を失った人々に欠けの無い完璧な世界は劇薬が過ぎましたが 毒は薬でもあったのです
我々が生きるには『我らの世界にジムリーダーを取り戻す』と願い 行動することがどうしても必要だった……平和な世界の人々には大変迷惑な願いでしょうが
奪わねば奪われる弱肉強食が世の摂理 どうか我らの尊い犠牲となって下さい
…… ……
…… ……
というのが『我々』の願いの話
もちろん『我々』の願いも小生の願いです この手を汚すと決意したのは けして周囲に流された結果ではありません
この 色を失くし味気なくなってしまった世界も 愛おしく大切でかけがえがないものであるからです
業や責任から逃げることなど致しません
そうでなくてはパルデアへの裏切りです…… …………チリの苦悶を ポピーの傷心を オモダカ嬢の献身を無駄にしてしまう
ただ コルさんがおっしゃるならば 小生の願いがもうひとつ別のところにあるのも 間違いではないのでしょう
……『願い』と今考えて強いて浮かぶのは…… ……
…… ……
…… ……
……あぁ また 思い起こしてしまいました - 147二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:24:16
『ハッサク いいえ 今はハッサク様でしたね 力をお貸し下さい』
明くる日狂ったように高笑いを上げながら ジムリーダーたちをこちらの世界へ『取り戻す』計画を演説した 気高くあったトップが小生にかけた言葉
聞いた瞬間 小生の頭に過ぎった願いがあります
無責任で罪深い願いです
ですから素知らぬ顔をして興奮で震える彼女の手を取りました
『さいごまで今度こそ砦として守り続けましょう』
何故なら小生は……
…… ……彼女に触発されて多くのパルデアの民が同じ方を向き進み出しました
日増しに穏やかな笑顔が削られていく ゴーストポケモンの世話もしながら教師を続けている 元ジムリーダーの同僚
悲しみを押し殺して作り出した笑顔を振りまき 覚えたメイクを強がりに使いながら教鞭をとる バトル学を教える同僚
遊び心を失くしたポケモン勝負でパラドックスポケモンの残党を倒しながら 時折ゾッとするほど大人びた表情でこちらを見やる 幼かった同僚
今や誰の行動にも言葉にもほぼ反応らしい反応を返してくれることは無い けれど確かに意思を保っているだろう 少しふざけていた同僚……
彼らと歩み続けながら『願い』が心の奥底へ澱みのように溜まっていくのに気が付かないふりをしました
何故なら小生は……
…… ……そうしてとうとう我らは平和な世界へ土足で踏み入りました
苦しむ者が居ると知りながら 宝を奪い去ったのです
ジムリーダーたちを『奪還』し これで救われると歓喜する者たちに手を貸し 自らももうひとりの友を引き入れました
そして無残に壊されたアートに紛れ 一体だけ以前と変わらぬ姿で葉を広げていた『投げやりのキマワリ』と同じように 大事に保管 もとい閉じ込めてしまいました
どちらも似合うのは太陽の光溢れる外だというのに
友はそれでも『やりたいことを自由にやってみて欲しい』『あなたの本当の願いは何なんだ』と訴えてくれましたが答えられるわけがありません
何故なら小生は……
小生は……
自分をおわらせたい と……そう 願ってしまっているのですから
- 148二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:27:11
あの日以来 肝心な時にばかり 何をどうしたいのか分からなくなってしまうのです
小生たちは間違った道を進んでいます 我に返った時 皆きっと自分の行いに深く後悔し傷付いてしまう……
……そう感じたとして 小生はどうしたいのかと考えても 何も浮かんで来ません
だから結局 間違っていると思いながらも 相手が必要だと言うものを差し出すことしかできない
答えの出ない疑問で埋め尽くされた晴れない頭と ようやく悪癖が治った代わりに空虚になった心を抱え 画竜点睛を欠き盲いた瞳で 芯を失ったまま人を傷付けながら……
…… ……いっそ終止記号を 最後の一筆を 入れてしまったら楽になれるでしょうか
痕跡だけが遺されて 本人だけが忽然と消えてしまったかのように見つからない 声の小さかった同僚
目蓋を閉じて安らかに微笑みながら 彫像の一部になってしまったかのように冷たく 固くなってしまった友
そちらに……いけたならば……
「ハッさん?」
離別に傷付いた者たちを前にして よくもこんなに醜い願いを持てたものです
曝け出す気も叶える気も毛頭ありません 『我々』の願いとはまるで噛み合いませんからね
オモダカ嬢とも あなたをさいごまで守り続けると約束しましたし
それに小生は続けなくてはなりません
求めて下さる声に応え責任を果たし続け動けなくなってしまった方々の前でまだ真っ直ぐ立てるふりをし続け本当にこれでいいのかと煩悶し続け彼らが遺してくれた種を誰も上手く育てられず腐っていくさまを見続け知る人々が次々に壊れ自分も壊れているであろうことに苦悩し続けひとの宝物を奪い我が物にしようとする行為を正当化し続けこの状況で自分に何ができるのか考え続けつづけてつづけつづけなくてはならないかれらはもっとくるしんでいるこれくらいたえられなくてどうするこれはむえきにいきのびみちをふみはずしたなかまをさとすどころかもどれないところにまですすませてつみのないものにきばをむくあくりゅうとなりはてたしょうせいのむきあうべき罪で罰なんですから……!!
これすら『本当の願い』かといえば怪しいものです
受け入れがたい苦痛を軽減するための防衛機制から来る反応を勘違いしている可能性も大いにあります
……それでも 願ってしまったのは本当ですから
全て秘めて生き続けましょう
今の愚鈍な小生にできることなぞ それくらいです
- 149二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:31:34
「……考えてみましたがね なんの違いもありませんですよコルさん」
「皆の願いが小生の願いです」
「小生がこうしているのは 奪わねば奪われる弱肉強食が世の摂理と思い至ったため……あなたにとってそれは間違いですが小生には違う それだけのこと」
「あなたの思う小生と違うのは当然でしょう 異なる人生を歩んでいるのですから」
「ハッさん ワタシも考えてみたが やはりあなたの願いは違うところにあるとそう思う」
「『弱肉強食』と言うが ワタシを攫う時 ワタシの世界の人々の悲しみを慮っていたあの姿が嘘だとは到底思えないのだよ」
「それに……あなたのその表情……昔鏡で見た 自暴自棄な頃のワタシにソックリだ」
「……」
「ハッさん……忠告しておくが秘密は秘め続けられるものではないぞ 激痛を伴うものならば尚更だ いつか破綻してしまう その前にどうか一度吐き出してみてはくれまいか」
「杞憂ですよ 破綻など致しません 小生の隙を探しているならば諦めなさい 逃しはしませんよ」
「……いいや! あなたを焼いた絶望がいかほどか 想像を絶するが……ワタシはハッさんを諦めんぞ!」
「その自暴自棄は乗り越えることができるものだと 身に染みて理解しているのだから!!」
「その目を癒やし 口を割らせ 苦しみを分かち合い この身をていして救い導いてみせる!! そして全てが解決した後は元の世界に戻りアーティスト活動に戻るのだ!!」
「今は嘘でも真にしてみせるぞッ!!」
「…… ……を……き出……で……さい……」
「……は?」
「…… ……こちらを思い真剣に向き合って下さりありがとうございます しかし その献身はどうか他の方々のために」
「あの時のあなたと 昔の小生と違い もうろくな望みも持てない小生には 応える資格がありません」
「っ何が資格だ!!ワタシはハッさんだから…… ……あっ……」
「? コルさん そんな顔をなさらないで 雨が降っているだけです」
「……あなた方は希望 ひとり残らずこの世界に『戻って』頂きますですよ」
「あなた方の世界へ忸怩たる敗北の爪あとを刻み 完膚なきまでに叩き潰してでも」
「目的を達するか 退治されるまで竜は止まりません 食うか食われるか そちらとこちらの間にあるのはその二択のみ……」
「情けなど無用です」
「では また」
「っ待て! ハッさ……」
- 150二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:35:54
はは ペリッパーも居ないのに部屋の中に雨など降るものか
…… ……
…… ……
最悪だ!! ハッさんがマズい状態なのは分かっていたがな!!いざ直面してしまえば最悪の気分にもなろう!!
ハッさんが大きな傷を抱え 彼らしさを失うほど憔悴し それなのに助けを拒絶して枯れ朽ちそうになりながら ひとり立っている
あの ハッさんが!! 思春期どもに囲まれながら時に笑い時に泣き彼らを先導して来たハッさんが!!
濃い四天王の面々と並びながら堂々とトップチャンピオン最後の砦を勤め上げていたハッさんが!!
どうしようもないと思いながら周囲の彼奴らは何をしていたのか何故誰も助けなかったのかハッさんもハッさんだ何故そんな状態になっても痛いの一言も言わず黙り込んでいるのだと責め立てたくなる
……ハッさんですらこうなったのだ 状況は察するに余りあるので 実際には何も言えやしなかったのだが
はぁ…… ……
……よしっ! 相手の事情を考えるのは終いだ 何にせよワタシが一肌脱ぐ他あるまいな!
思い切り拒絶された?知るか!ハッさんの言う通り迷惑上等!やりたいことを自由にやるぞ今のワタシは!!あんな何をするのも楽しくなさそうで不自由なハッさんはワタシが嫌だ!!
さてどうしてくれようか!折角したアドバイスをことごとく無視された腹いせもあるので本当は派手にいきたいが 正面突破はワタシ向きでは無いのでまたの機会だ
まあ捻りは無いがこの手で行くか……あの子たちにはろくでもない嘘を吐いてしまったな ハッさんをとっちめた後で謝らねば
首を洗って待つがいい こちらの世界のハッさんよ!
知らないのなら覚えてくれ! 忘れてしまったのなら思い出させてやる!
「なっ なんだぁ!?」
「……ふぁあ……いしき……が……」
「フハハハハハ!! 投げやりと自暴自棄は全くもって異なるのだよ!!覚えて眠れッ!!」
「キワマッタ〜」
「はっ 天啓が! いっそ「コルさん どこですか」とお呼びしてみるのは……」
「格好のマトになるだけだと思うけど?」
あくりゅうハッサクさんVS投げやりのコルさんVSちょっと何かを知りだしたハッさん
ハッサクさんの心情を書いていたら思った以上に危うい人になってしまいました
あくまでこのSSも妄想のうちのひとつでしかないことをここに断っておきます
- 151二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:43:38
- 152二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 16:53:40
是非これからも色々な概念を生んで欲しい
ちょっと前に別の人が言っていたが廃人じゃないチリちゃんが居てもいいし
全て滅ぼそうとしたり世界と心中しようとする誰かが居てもいいんだ
現実逃避チリちゃんを書いた者でした失礼します… - 153二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 17:00:42
犠牲軸ハッサクさんの心情SSかなり危うくてすてきですあざます
その犠牲軸ハッサクさんに掻っ攫われた廃人チリちゃん
とそれに食らいついていった原作ポピーちゃん
その続きも楽しみでございます - 154二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 17:47:15
「ああ やっと やっとだ」
こぼれ落ちた希望を 救ってはこぼして またこぼして。
そんな自分達が やっと見つけた 終わらない永遠の 希望 !
手を空へと翳して 思わず笑ってしまう。
木から溢れ出す光は まるで これからのぼくらを 祝福してるみたい。
「この世界は 綺麗だな …… …… ね!みんな!」
ぼくらを繋ぐと スター団の象徴でもあるスターになる !
マジボスを入れれば 本当は7人 …… …… でも7つの点でできる星だって ここにある
皆 突然のパラドックスポケモン襲来に焦ってた。
団員が崩れ落ちていく様子を ぼくも見ていたからこそ この希望を思いついたんだ
(まちがってるよ その希望は)
ううん ちがう そんなことはない !
ぼくの内側から聞こえた そんな邪悪な 天使と悪魔が脳でささやくみたいな声を無視する。
「ピーニャ…くん…」
途切れ途切れの ビワちゃんの声が ちょっと耳に靄をかける。
なあにといつも通り平常心で返事を返すと ビワちゃんは曇った顔をしていて。
「…… …… 大丈夫だよ ぼくらは来世も絶対 会えるよ」
「うん …… …… そうだね」
「じゃあ そろそろ 降りるでござるよ〜?」
ぼくらの会話に しびれごなを切らしたのか シュウメイがそう言って布を手で避ける。
今世のぼくらのフィナーレの服は たいじな大事な スター団の服。 - 155二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 17:47:29
そして高い高いここから 空を飛んで ぼくらを来世へと誘う穴へ落ちる。
これなら うち達が大穴で戦ったと思っても おかしくないってマジボスに言ってもらっちゃって
それは節穴だった! ってわざとらしく驚いたら怒られたっけ。
「おい 手繋ぐって決めたろ ! スター団として散るんだ」
「あれ ? ふーん …… …… 意外と怖かったりして?」
「ちげぇよ!」
オルティガとメロコが言い合いをしてるのを見て こんな時でも …… …… って一瞬思うけど
それも心地いいなって 言い合いをしていてバランスを気にしていなさそうな二人を皆でぎゅっと掴む。
「マジボス ! みんな ! いつものアレやろっか!」
「…… …… っうん !」
「「「「「「「お疲れさまでスター!」」」」」」」
こういう感動系の雰囲気で心中しようとしてるのギャップで心臓が喜ぶ
いいよねこういうの
呼び方の違いがあったらすみません - 156二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:39:23
- 157二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:48:26
過去を追いかけ目を閉ざす、竜の巣穴の朽ちるまで。
悲嘆を重ねて深淵の祭壇へいざ往かん。
光を振り払い、唯一無二の宝を取り戻す為に。
示そう、煤まみれの咆哮の届く果てを。 - 158二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:49:04
ハッサクにとって想定外だったのは、彼方の世界のポピーが存外に行動力のあることだった。現に、ドラパルトを差し向けて連れ戻したチリを後ろに庇い、自分を睨みつける小さな姿にハッサクは僅かに驚いている。
「着いてくるとは、思いませんでした」
「ポピーだって、まさか、こっちのチリちゃんをねらうだなんておもわなかったですの」
ポピーはチラと、床に座り込んで動かないチリを見る。翼を捥がれたヴァルキュリアは目覚めない。気泡の入ったガラス玉のように濁った赫い眼は、今も動かない。
「ハッサクおじちゃん、おねがいですの。こんなこと、もうやめて。チリちゃんはとりもどしたいなんていってない。これは、だれもしあわせになれない。ただしくなんて、ない」
ポピーはハッサクの心情を慮ることは端から捨てた。否、慮ることは逆効果であると理解していた。此方の世界のポピーのように、とにかく事実を突きつける。ハッサクの中にある真実は、ハッサク自身がその門を開かなければならない。その鍵を持ち得るのは、決してポピーではない。
「おじちゃん、ほんとうはわかっているんじゃないのですか?ただしくないことも、のぞんでないひとがいることも、わかってて、みないふりをして、ちがいますか?」
真っ直ぐ、純真な眼がハッサクを射抜く。言葉の刃が容赦なく振り翳される。 - 159二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:50:00
「ですがポピー、貴女とて小生たちの全てを否定することはできない。違いますか?」
「それはそのとおりですの。ただしくないのは、ひとりひとりのはなし。ほとんどのひとは、とりもどせるのならとりもどしたいとのぞんでしまった。それがたすーけつのそーいなら、おじちゃんたちはまちがってはいない」
「そう、かつての平穏に焦がれ求める我々も、かけがえのない日常を守ろうとする貴女たちも、間違ってはいない。だからこそ、必然としてこうならざるを得ない」
ハッサクがボールからセグレイブを出した。相対するポピーも、デカヌチャンを出す。
「正道となるは勝者のみ。そして、それは小生たちの世界です」
「ポピーたちはそれをみとめません。ポピーたちのせかいも、このせかいも、あるべきかたちにおさまらないとダメですの」
お互い掲げるのはテラスタルオーブ。これ以上の問答は、トレーナーである彼ら彼女らには不要。
ポケモン勝負に、年齢は無関係。ただ、才能と努力と、意志だけが勝者を決める。
「小生は砦を守る竜として、この世界に希望を取り戻す!!貴女達を完膚なきまでに叩き潰してでも!!」
「それはにせものですの!このせかいはちゃんと、パルデアのためにちったみんなとさよならしないと、ほんとうのいみできぼうをつかめない!!」
テラスタルオーブを投げる。結晶に包まれたセグレイブとデカヌチャンが、頭上にそれぞれの宝玉冠を頂きテラスタルした。
「セグレイブ、"きょけんとつげき"!!」
「デカヌちゃん、デカハンマー!!」
竜の剣と巨大な鉄槌がぶつかり合った。 - 160二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 22:59:02
SS続きだー!
犠牲軸ハッさんVS原作軸ポピーちゃん、四天王同士のアツいバトル……!!(なお状況はかなりヤバい) - 161二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 23:10:58
もとからスラっとした体型だったけど、さらに痩せこけて、枯れ枝みたいに瘦せ細ってしまった廃人チリちゃんの手をとって、その細さに愕然とする犠牲軸ハッさんとか受信してしまった定期
- 162二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 23:12:52
- 163二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 06:27:24
SS続きありがとうございます!
ポピーちゃん連戦だなぁ…四天王の意地がぶつかる… - 164二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 07:09:53
例の円盤ポケモンが時間移動でなく、願いをかなえる願望器説というのを取り入れて考えてみたら
ジムリ全滅やパルデア荒廃などで追い詰められてギリギリだったチリちゃんが、遺体がみつかってなくて希望を持ってたアオキさんの亡骸を直視してしまう
↓
それで絶望、もう何もできない、戦いたくないと強く願ってしまう
↓
そこに運悪く円盤ポケモンと遭遇
↓
願望器としての力が働き、チリちゃんは願い通り「戦えない」状態になってしまう(廃人化)
とか妄想した、あくまで妄想だけど
そもそも円盤ポケモンが願望器的な能力持ってるって話も仮説だし……
というかこの説だと、円盤ポケモンが大穴の外に出てきてるってことになってしまうし、色々トンデモ説 - 165二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 15:58:54
保守
- 166二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 17:34:52
ポケモンが多く死んでしまう事になって
いわゆる個体値厳選とか何かあった時用の回復要因とか用意するようになるんだろうか
つらい - 167二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:33:28
トドメの一撃はアオハルとミラコラが担うんでしょホゲしってる
- 168二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:07:32
真実の眠る場所は此処にある。
どこを探しても見つからないのは、最も側にあるからだ。
八つの星は瞬いて、全てを視ている。
悲嘆も、失意も、絶望も。
最後に残った、本当の希望の在処も。 - 169二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:08:04
【ライム氏、ハルト氏、こっちこっちー!】
【そっちのナンジャモ嬢の部屋はこの先だい!】
「えぇい、何回も言わんでいい!わかってるから!あとハルトには聞こえてないからねアンタたちの声!」
宙に浮く"ナンジャモ"と"ハイダイ"に案内され、ライムとハルトは捕らえられているナンジャモの下へと向かう。側から見れば虚空に向かって話しかける奇怪な姿に見えるだろうに、ハルトは何も突っ込まない。ハルトはライムが"そっち"方面の異能を高い水準で有していることを、本人からも彼女の姉である数学教師のタイムからも聴き及んでいたため、純粋に凄いなと尊敬の念を抱くのみである。器が大きいのかなんなのか、いずれにせよライムとしてはそこそこありがたい。
見張りの職員をドロップキックで沈め、スーツのポケットの中にある鍵を拝借する。ライムさん強い、というハルトの呟きは聞かなかったことにする。
「ナンジャモ、無事かい!?」
「ナンジャモさん!!」
「おわぁああああ!?ライム氏とハルト氏!?なんで!?!?!」
ドアを開けると、驚いたナンジャモがオーバーリアクションに椅子から転げ落ちた。
大丈夫か、とライムはナンジャモに手を差し伸べる。平気、とナンジャモはその手を取って立ち上がった。 - 170二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:08:46
ハルトはナンジャモが座っていた席に、パソコンが置いてあるのを見た。
「ナンジャモさん、これって?」
「ああ、それ?ボクのファンだっていう職員さんがまた配信してくれーってくれたんだ。物資あんまりない中で持ってきてくれたやつだから初期化もされてないやつだけど。お陰でリーグのローカルネットに接続できたからラッキーだったけどね」
「ローカルネット?」
ナンジャモがパソコンを操作して開いた画面を、ライムとハルトは覗き見る。
そこには、リーグ職員と四天王、そして委員長であるオモダカのデスクを接続したローカルネット上にあるデータファイルが並んでいた。
ナンジャモはその中のファイルをひとつ開く。ファイル名は、「平行世界の観測及び移動実験進捗報告書」。
「うわ」
ハルトが思わずといった声を出した。
綴られている内容を完璧に理解することはできない。というかこんなもの理解できてたまるか。誰だこれ書いたやつ、とライムが末尾の署名を見ると"オモダカ"の文字が見えた。
どうにか読み取れたのは、エリアゼロ最深部のタイムマシンの解析から、過去へ移動する方法の模索とその断念、縦軸ではなく横軸への次元移動論の仮設と実験、平行世界の観測と転移実験などの記録。
日付が今に近付くにつれて、私情混じりに文章がめちゃくちゃになりかけていっているのも含めて、恐怖が勝った。 - 171二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:09:27
「あ、ライムさん、ナンジャモさん、ここ」
ハルトが指さしたのは、後半に差し掛かった部分。そこには、観測装置をアカデミーに設置するという文言があった。
「アカデミー……」
「そっかトップ、アカデミーの理事長もやってるから融通効きやすいんだ。それでもだいぶ揉めてたっぽいけど」
「だろうね。クラベルが許可するわけないだろうし……それでも設置が決まったってことは、教師陣を何人か抱き込んだな」
地理的にも、アカデミーは大穴に程近い。最深部にあるゼロラボに危険を冒して行くよりも、近郊でエリアゼロから漏れ出たテラスタルエネルギーの上澄みを取り込んで利用しようとしたというわけか。
最後の報告書は、ジムリーダーの拉致の決行とその段取りだった。
「何人かはアカデミーに向かう奴がいた方がいいやつかね」
「でもボクたちポケモン取り上げられたまんまだよ?戦えるのハルト氏しかいないじゃん」
「ぼくは大丈夫ですよ?」
「いや流石にボクらも大人としてメンツが……」
この後の方針を相談する三人。その時。
【ライムさん!すみません緊急の用件よろしいでしょうか!!】
壁を突き抜けて(正確にはすり抜けて)"アオキ"が文字通りすっ飛んできた。うわ、とライムは思わず驚いて半歩後ずさる。"アオキ"アンタそんなデカい声出せたんか、とは言わない。相手は霊魂なので。 - 172二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:10:29
【申し訳ありません、ですがそちらにとっても自分たちにとっても相当に不味い状況になりまして……】
「弁明はいいよ。さっさと話しな」
「あ、なんかいるのそこ」
「ナンジャモさん、しぃっ」
ライムに促された"アオキ"は、深呼吸をするポーズを取って自身を落ち着ける。そして、告げる。
【ハッサクさんが、そちらのポピーさん達と一緒にいた此方のチリさんを、そちらのポピーさんごと連れ去りました。現在、そちらのポピーさんとハッサクさんが交戦を始めています】
ライムはサッと青褪めた。いくら四天王同士といえど、大人と子供である。経験に対して才能で詰められる力量差など、たかが知れている。ましてやハッサクは、竜使いの一族で長と成ることを望まれるほどの人物だ。
なんでポピーたちが此方側のチリと一緒にいたのかとか、聞きたいことはそこそこあったが、今は傍に置いておく。優先するべきは。
「"アオキ"、アタイたちのポケモンは今何処にいる?」
【ライムさんとナンジャモさんのポケモン達であれば、そちらのチリさんたちが保護しているはずです。先ずはチリさんたちと合流することをお勧めしますが】
「なるほどね。よし、ハルト、ナンジャモ。チリたちと合流するよ。そんでポケモン達を受け取ってからアタイ達はアカデミーに行く。いいね?」
「おっ、チリ氏がボクらのポケモン助けてくれてたんだ。よかったー」
「わかりました!それじゃあ行きましょう」
戦えるハルトを先頭に、三人は"アオキ"の案内でチリ達との合流を目指して走り出した。 - 173二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 06:32:21
ついに合流入っていきそうか…?
SS感謝 - 174二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 07:03:09
SS続きだい!
観測装置はアカデミー……ラスダンはアカデミーかな? - 175二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 12:27:52
イメソン聞きながらスレ見るの捗るね!
勝手だけど…SSに自分がレスした概念かな?って描写あるとドキドキしちゃう…!
VS犠牲世界も犠牲世界単体もSSすごくて嬉しい〜
スター団の心中は本人たちは明るいのに夜に駆けてそうでつらいよ…
あとビワちゃんが最後まで止めたそうしてるように見えて悲しかったな…
ハッサク先生の心情はひらがなになる所が限界感すごくてつらかった…
部屋の中で降る雨って涙…?泣いてもおいおいしないハッサク先生…
悪い子ポピーちゃんSSはカエデさんが心も体もつよつよなのが好き!
あと幽霊見える設定のライムさんかっこいい〜!
でも犠牲世界お願いしたい事ある幽霊ばっかでしんどそう…
しかも下手な相手に見える事バレたらもっと大変になっちゃうだろうし…
幽霊のアオキさんが大声出してるのつらい…小声じゃいられなかったのね… - 176二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 19:19:49
ほしゅ
- 177二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:42:22
俺の親が作り出したモノが、ジムリーダーや四天王、チャンピオンやアカデミーの先生たちに、そして大勢の人々に大きすぎる迷惑をかけちまってる
父ちゃんが作り出したタイムマシンがなければ……あっちの先生方やリーグの人が狂っちまうこともなかったんだ
並行世界の時点でもう別人みたいなもの、ペパーは悪くないってボタンが言ってくれたけど
それでも俺は、起こってしまったことから目を背けたくない
ジムリーダー奪還作戦に参加したのだってそうだ。これは、俺が受け止めなきゃいけないことなんだ
だから――――
「行くぜ、マフィティフ!」「バウッ!」
VS世界線の原作ペパー心情妄想SSやってみました
ゲーム未プレイだからペパーのエミュに解釈違いちゃんかも知れないぜ……
あと「父ちゃん」の部分は「母ちゃん」に変換しちゃってもOKだぜ - 178二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:44:04
- 179二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:44:45
最近スレ見始めたけどすごく名SSや二次創作を読めて最高......
犠牲世界のアカデミーの先生たち、並行世界からジムリーダーを連れてくるの反対派の人とかは助けてくれたりするんだろうか - 180二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:54:08
- 181二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:45:53
天さえ焦がす災いが奈落より這い出でる。
奈落の門の番人、這い出でし災いを押し返さんと遂に挙兵す。
羅針の女王これに呼応し、七つの砦に専守を命ず。
災い止めどなく溢れ、七つの砦遂に崩落す。
楽園に導かれし四人の光抱く者、遂に帰らず。
賢者に誘われし四人の光抱く者、永遠に帰らず。 - 182二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:46:31
ハッサクとグルーシャは戸惑っていた。二人がいるのは委員長であるオモダカ———あくまで此方側の、だが———の執務室である。だが、ハッサクの知る光景とあまりに相違ある。観葉植物は葉が萎び、デスクの上は書類と携帯栄養食の袋とゼリー飲料の容器が乱雑に置かれ、ソファーの上にはほつれと毛玉の目立つブランケットがほったらかしにされていた。
「……ここ、ホントにトップの使ってた部屋なの?あんまりにも荒れてるっていうか……」
首元のマフラーを思わず握り締めて、グルーシャは部屋を見渡す。彼らのよく知るオモダカからは、想像もつかない有様に動揺を禁じ得ない。
「それだけ、追い詰められるほどのことがあったということでしょう。何か手掛かりがあるかもしれません、手分けして調べてみますですよ」
ハッサクの言葉にグルーシャは頷いた。資料棚を注意深く確認して、目ぼしい物は手に取って中身を確かめた。
ハッサクはデスクの引き出しを開ける。中に入っているのはメモ帳と、鋏や定規といった文房具。それから一冊のノートだった。手に取って確認すると、それはどうやら日記らしい。 - 183二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:47:07
グルーシャがスス……、とハッサクの後ろから覗き込む。手には資料棚から抜き取った資料ファイルを持ったまま。ハッサクは注意すべきかと思ったが、おそらくはこの日記の持ち主のことを考えると一緒に見た方がいいだろうとそのままにすることにした。
ページを捲り、日付が現在へ近付くごとに二人の顔色が悪くなる。最初はよかった、まだ平穏な日常、取り留めないことが記録されていたのみだった。しかし、ある日付を境に狂っていっている。
始まりは悔恨と懺悔。涙で滲んで所々文字が読めなくなってはいるものの、どうにか意味が通るように脳内で文字を補足しながら読み取れたのは、惨劇を止められなかった己の無力さを嘆く声。その後はぐちゃぐちゃになったパルデアの復興の為に寝る間を限界まで削って、時に身体を壊しながら尽くす様子が記録されている。その隙間に、遺された四天王達の異変が記されていた。
「キッツ……」
グルーシャの感想はそんなものだ。正直、ハッサクも読んでいてしんどいなと思う。
ページが残り三分の一になった辺りで、様子がおかしくなった。しきりに繰り返される取り戻すという言葉、平行世界という単語、ゼロラボのタイムマシン。日記を綴った人物の精神状態が、明らかにまずい事になっているとハッサクは悟る。
そして、ジムリーダー達が拉致されたあの日の日付のページに辿り着く。 - 184二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:47:39
〔やっと、やっとこの時が来た。私達は、パルデアはようやく明日に進むことができる。
あの日、彼らの血によって固められた砂時計の砂が、もう一度落ちる。涙で錆びついた時計の秒針が動き出す。
これで、やっと光が戻る。ポピーが、また子供らしい笑顔を見せてくれるようになる。チリが、悪夢から目を覚ましてくれる。ハッサクが、アカデミーで教鞭を再び振るうことができる。アオキの、あの不満そうで太々しい顔が見られる。やっと、やっと、私達の愛おしい日常が帰ってくる。〕
違う、と叫びたくなった。残念ながら持ち主は此処には不在である。ハッサクはギュ、と下唇を噛んだ。
「……それは、紛い物ですよ、トップ」
絞り出したのはそんな言葉。
ハッサクは日記を引き出しに戻した。此処にはもう何もない。であれば、当初の目的であるコルサの捜索を再開すべきと、グルーシャを促した次の瞬間。
ゴォン……と遠くから地鳴りの音がして、建物全体が揺れた。何事か、と二人が顔を見合わせる。
「誰か戦ってる?」
「そのようですね。もしや我々、コルさん以外の他の方々とも合流を目指すべきでしょうか」
「まあぼくがそもそも丸腰だしなぁ」
手袋を引っ張ってグルーシャがドアに手をかける。
成すべきことは。
「最終的に、トップを張っ倒す必要があるんでしょ?それで目を覚まさせよう。B級映画以下の悪夢からさ」
言い方の悪さには目を瞑り、ハッサクは力強く頷いた。 - 185二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:56:18
SS続きだヒャッホイ
冒頭の詩文がいい味出してる
あにまんには文才に優れた者が集う効果でもあるのか…… - 186ドーナツホール描くよーの人23/02/08(水) 00:16:55
- 187二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 07:07:33
- 188二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 16:18:21
保守
- 189二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 18:19:45
祝福か或いは呪詛か、盲た彼らの眼を憂う。
ただ座して涙無く哭く彼女の手を取り、誓う少女。
葦のような希望の待つ、穏やかなる鏡像の国。
彼女は声無く叫ぶ、割れた硝子の心を抱いて。 - 190二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 18:20:35
不屈の心、というのは時に残酷である。間違ってもポケモンの特性ではなく、言葉通りの意味で。
ドラゴンタイプテラスタルジュエルを戴くセグレイブが、はがねタイプテラスタルジュエルを戴くデカヌチャンを見下ろしている。元より体格差で見下ろす形にはなるものの、今は更にデカヌチャンは傷だらけの状態で膝をつき、ハンマーを支えにどうにかセグレイブを見上げ睨みつけている状態だった。
ハッサクは小さな身体でふらつきながら、強い意志を持った眼で真っ直ぐ自分を見るポピーを睨む。力の差を見せつけて尚、ポピーは折れなかった。それでもハッサクは、なけなしの親切心で告げる。
「諦めなさいポピー。貴女では小生に勝てませんですよ。これ以上貴女が苦しむことになる前に、取り返しのつかなくなる前に帰りなさい」
自分が思っていたよりも冷たい声音になってしまったが、致し方無し。却ってポピーも怖気付くだろう、いや怖気付いてくれとハッサクは思う。しかし。
「いやですの。ポピー、わるいこだから、おとなのいうことはききませんの……!」
大人とばかり関わらせてしまった弊害だ、とハッサクは眉間に皺を寄せた。セグレイブが威圧するように吼える。
デカヌチャンがハンマーを構え立ち上がる。ポピーはぺちんと頬を叩いて気合いを入れ直した。 - 191二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 18:21:12
「チリちゃんのねがいは、まげさせません」
セグレイブの"つららおとし"をデカヌチャンが"かわらわり"で弾き飛ばす。
「たとえポピーがにどとうごけなくなったとしても」
ストーンエッジを足場にして跳ぶデカヌチャンに、セグレイブの"かわらわり"が撃たれる。
「チリちゃんのこころだけは」
デカヌチャンの脇腹を"かわらわり"が掠め、体制が崩れたところに追撃の"きょけんとつげき"が放たれる。
「これいじょうこわさせませんの!!」
デカヌチャンが体を捻ってセグレイブの"きょけんとつげき"をすり抜けるように躱し、そのまま遠心力に任せてデカハンマーを振り抜いた。その刹那。
———ドォーーーンッ!!!!
部屋の外から壁が吹き飛んだ。瓦礫を掻い潜るように突き抜けてきたビームのようなエネルギーの帯が、セグレイブの横っ面を直撃した。
「は?」
「えっ?」
風穴の開けられた壁を二人同時に見る。煙の向こう側に、人影が二人分。とても聞き覚えのある高笑いが聞こえてきた。
「ハァーーッハッハッハ!!素晴らしい啖呵ではないか四天王ポピー!いいや、ポピギャルド!!」
「なんて???」
煙が晴れた先にいたのは、絶賛脱走中であるコルサとアオキ、それからコルサが連れてきたキマワリたちだった。 - 192二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 19:34:27
SS続き、いつもリキキリンのように首を長くして待っておりますですよ
シリアス真っただ中に突如あらわれたキマワリの群れを率いるアヴァンギャルド
コルさん最高すぎる
あとポピーちゃんのことポピギャルド呼びがじわじわくる
冒頭によさげな詩文ついてるの好き
廃人チリちゃんのことだろうか……犠牲軸ハッさんと原作軸ポピーちゃんの戦いに、心の内でもうやめて、って何度も叫んでたんだろうか……
- 193二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 22:01:40
- 194二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:32:20
目の前でボロボロになっていくポピーちゃんを、そのポピーちゃんやデカヌチャンをボロボロにしていく犠牲軸ハッさんの戦いを、廃人チリちゃんはどんな気持ちで……と考えるとつらみ……
- 195二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 05:09:56
コルさんが出ると一気に雰囲気が和らぐ
- 196二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 07:04:22
シリアスの中和剤コルさん
- 197二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 18:11:12
さすがコルさん!
- 198二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:44:09
さすコル
もうそろそろスレも埋まるな
ここまで続くとは……
できればDLCで来るであろうエリアゼロの幻ポケモンや円盤ポケモンの詳細も絡めて話したい - 199二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 07:01:15
前スレ読み返すの楽しい
- 200二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 18:40:41
200なら犠牲軸のみんなが晴れる