A.W.0016――彼らはバルチャーをはじめた

  • 1二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:19:14

    過去スレ

    A.W.0015――シリーズリンク集【10/15更新】リンク一覧 【①】A.W.0001――私はバルチャーをはじめた 【②】A.W.0015――私はバルチャーを続けていた 【③】A.W.0015――私は一人の少女を保護した 【④】A.W.0015――私は...w.atwiki.jp

    前スレ

    A.W.0015――魂は戻りて|あにまん掲示板過去スレhttps://w.atwiki.jp/aw0015/かつての戦争で銃爪を引いたらなんやかんやあって時空が歪んで他のガンダム世界から人が流れてきたA.W.荒廃した大地で、ジャミル・ニートは宇宙…bbs.animanch.com

    かつての戦争で銃爪を引いたらなんやかんやあって時空が歪んで他のガンダム世界から人が流れてきたA.W.

    荒廃した大地で、ジャミル・ニートは宇宙世紀の少年アムロと共にバルチャーを立ち上げ、仲間を集めていった


    それから15年

    "ニュータイプ"と呼ばれた者達の時代は幕を閉じ、古き価値観は刻の彼方へと消えていく


    ジャミルの旅は終わり、仲間たちはそれぞれの道を歩みはじめる



    年は明け、新たな時代がはじまる――…

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:21:05

    スティングの登場と

    デスサイズが好き勝手やって去っていったので

    なんか無理にプロット戻すより変更した方良いかなと


    なので今日はダイスだけ振ります



    まずは軽いところで



    ・カリス君の新部下(ちょい役)


    dice1d30=25 (25) 世界の


    >>8




    ・ギレン(バルチャー)の艦



    dice1d30=8 (8) 世界の


    >>15

  • 3二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:23:18

    オブライトさん

  • 4二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:29:27

    ゼハート

  • 5二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:30:41

    ゼハート

  • 6二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:33:50

    ウルフ・エニアクル

  • 7二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:34:04

    ルウ

  • 8二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:34:19

    ゼハート

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:36:01

    ヘビィ・フォーク

  • 10二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:36:13

    ダブデ

  • 11二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:41:11

    パプア級

  • 12二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:41:27

    ビックトレー

  • 13二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:42:36

    ガウ

  • 14二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:45:23

    ヘビィフォーク

  • 15二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:45:34

    ヘビィ・フォーク

  • 16二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:49:39

    どんな世界でもイゼルカントに愛されるより

    マシな生き方ができると思われるゼハート君


    ・信頼関係


    カリス → ゼハート

    (部下 +10)

    dice1d100=17 (17)



    ゼハート → カリス

    dice1d100=34 (34)


    https://bbs.animanch.com/storage/img/1241257/1

  • 17二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:50:36

    まだ会って間もないって感じかなこれは

    >>16

  • 18二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:50:52

    デスサイズはともかくスティング君も…
    確かに治療に再会と急にイベント増えましたもんね。
    お疲れ様です。

  • 19二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:51:16

    自警団入隊したてでお互いよくわかってない感じ



  • 20二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:51:29

    ゼハートくんはまだ前の世界からの強迫観念に囚われてそうな数値ですね…

  • 21二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:51:40

    こっちでは家族を作れるといいな

  • 22二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:52:04

    A.W.0016を生きる者


    dice1d30=8 (8) 世界の


    >>28

  • 23二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:52:45

    モニク

  • 24二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:53:09

    ソンネン

  • 25二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:53:20

    カリス君も多忙だろうし、新入りだと救世主ゾルタントークに中々入れないだろうからね。仕方ないね…

  • 26二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:53:27

    >>22

    モニク

  • 27二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:53:30

    ジャン・リュック・デュバル

  • 28二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:53:32

    モニク・キャデラック

  • 29二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:53:37

    ヅダおじさん

  • 30二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:54:17

    マイくん知り合いいたやん良かったね

  • 31二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:54:32

    良かったねマイさん
    モニクが居てくれて

  • 32二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:54:43

    これはマイさんフリーデン引退フラグか?

  • 33二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:54:45

    マイの嫁が来たぞ

  • 34二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:55:40

    エンディング最終段階でまたプロット書き直す白イルカの姿が見える……!!!

  • 35二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:55:44

    良くてコック、最低限でお客人か

  • 36二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:56:06

    これがヘビィ・フォーク級か、戦艦の安価がまともだ……
    あと、今度はダイスがIGLOOに偏ってきたな……

  • 37二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:56:34

    全く掠らない種にはビックリですな

  • 38二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:56:40

    AWで血眼になってヅダを探しまわるおじさんが居なくて良かった…

  • 39二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:56:58

    ダイス「スレ主、俺たちはズッ友だろ?もう少しだけ続けようぜ…」

  • 40二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:57:20

    >>38

    肩は宇宙で塵になりました…

  • 41二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:57:31

    マイの嫁になる√が潰れたので
    自分からA.W.に来ますね

    マジかよ…

  • 42二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:57:47

    >>37

    関連作品ばっか掠ってSEED自体は本当に来ないよな。

  • 43二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:57:52

    >>38

    奴さん逝ったよ……ドッカ―ンってな

  • 44二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:57:56

    >>39

    15も出していいんだゾ♡

  • 45二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:58:21

    >>41

    行動力の化身…

  • 46二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:58:39

    >>41

    強いヒロイン力(ちから)を感じる…

  • 47二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:58:41

    >>32

    逆にフリーデン入りしてくれてもいいんじゃよ?

  • 48二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:59:26

    >>44

    ダイス「うーん。でもカテジナさん、会えないのもまた罰って言ってたし…MSは取り寄せたしなぁ…」

  • 49二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 22:59:31

    モニクさんだったのでこれぐらいの比率で




    100~41 本人

    40~1  異世界人

    ゾロ目  いない


    dice1d100=41 (41)

  • 50二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:00:14

    執念が足りてるダイス値をお出しされた

  • 51二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:00:22

    ダイス「まだ踊ろうぜスレ主ぃ…」
    ギリギリで本人なの草

  • 52二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:01:12

    ここでギリギリ居ることになるとはダイスの野郎め…

  • 53二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:02:03

    滑り込みました……


     



    …………


     

  • 54二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:02:22

    本編ティファがガロードと絶賛イチャイチャ中に2周目AW突入するという酷い状況にならなくて良かった

  • 55二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:03:00

    今日はここまで




    そもそもエピローグなのに隙きあらばダイス振ってるのが良くない

    ちょくちょく振ってりゃクロノクルでるんじゃね?みたいな精神、これガチャの時のアレやんけ

    「そろそろ目当てが出てくる…」「流れは来てる…」はこないと一緒なんだよ……

    教えてくれよ、この仕組みの深さを破壊する方法を


    いやでも最近の自分のガチャ運は良いはずなんだ。天丼前で凸したし……

    だから、もう一回……

  • 56二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:03:55

    もう一回降って15が出たら良いんじゃないですかね(血涙)

  • 57二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:04:41

    乙でした
    文字通りもうちょっとだけ続くんじゃ
    となりましたとさ

  • 58二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:05:07

    乙です…
    まさかの延期&脚本大修整√に突入……
    頑張ってください

  • 59二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:06:07

    ダイス「カテジナさんはこれからも周りの人間が再会するのをみて自分も…と希望を持って欲しい」

  • 60二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:06:11

    乙でしたー、ガチャは悪い文明……いやでも15を出してクロノクルに会わせてあげたいし……

  • 61二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:07:09

    異世界人ダイスで15を出して、俺達だってクロノクルをこっちに引っ張りたいんだ!
    やってみる価値はありますぜ!

  • 62二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:07:33

    天井前で完凸でもなくただ凸っただけはソシャゲ沼にハマってるだけで運が良いわけでは無いことをスレ主に教える。

  • 63二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:07:50

    そもそも30もあるダイス目で目当ての数値を引く確率は3%ちょいしか無いのである
    その割にはダイス目がやたら偏ってる気もするが

  • 64二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:08:15

    >>59

    ダイスのやり方、正しくないよ…

  • 65二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:10:01

    >>63

    ソシャゲの最高レア率で良くある確率じゃん。出るな。(錯乱(ソシャゲは基本10連です

  • 66二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:10:06

    >>63

    3%で目当てを引けるのは良心的だろうが!!

  • 67二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:10:59

    乙です!

  • 68二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:12:08

    >>64

    中盤ダイス「クロノクルの機体が爆散した後にカテジナさんの目を治したよ!おめでとう!でもクロノクルの思い出の品は観れなかったね♡」

  • 69二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:16:00

    とりあえず折角の異世界ダイスキャラの最後の登場が
    変態陰湿ストーカー男で終わらなかった点は良かった・・・?

  • 70二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:16:11

    特務大尉にはマイの外付け制御装置として頑張って貰わなきゃな

  • 71二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:18:32

    >>69

    あんなのが野に解き放たれた時点で既にアウトのような…

    いつぞやの小説全裸と違って良い感じにまとめ切れる程の尺も残ってないし

  • 72二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:21:21

    >>71

    いやもうアイツはそれこそSD勢がなんとかするだろ…策も何もなく突っ込んでいったし……

  • 73二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:22:08

    言うてスティールドラゴンも無いんじゃゼロが適当にシバいて終わりだと思われる

  • 74二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:24:07

    デスサイズくんはリリ姫見つけて攫おうとしたところをキャプテンやゼロに返り討ちに合う結末でいいんでない?
    そういえばリリ姫のモデルってリリーナだったよな……ヒイロはリリ姫を見てどう思うんだろう

  • 75二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:27:37

    >>74

    既にゼクスみたいな仮面をつけた奴が仲間にいたから「そんなもんか」で済ますような気がする

  • 76二次元好きの匿名さん23/02/02(木) 23:31:38

    >>75

    因果逆転してるぅっ!

    開幕早々手持ちにあったウイングゼロを躊躇なく売った奴だ。面構えが違う

  • 77二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 01:11:15

    しかし本編ヒロインなのにミラージュコロイド並みに存在が無いティファはどこにいるのだろうか…

  • 78二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 06:02:51

    さりげなくシリーズのスレタイにちょっとした変化が……A.W.0015から年が明けてA.W.0016になってるね

  • 79二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 12:56:23

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 17:40:27

    異世界ダイスをソシャゲのガチャに例えているのなら……ソシャゲは基本10連、どこで誰が何をしているのかは後で決めることにして
    一度だけでいいからダイスの出目が複数出てくる式を使って、異世界人の10連ガチャをやってみて欲しい気持ちがある
    そこまでやって15が出てこなかったら、流石に諦めがつくかもしれないし……

  • 81二次元好きの匿名さん23/02/03(金) 22:49:32

    ふと思ったけど、仮にシンの妹がAWに転移してたらシンはやっぱりこっちに残ったかな?

  • 82二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 01:36:38

    >>81

    ダリル達に会って主人公として覚醒する前だったら残ったかも

    あれで過去を振り切って虎と手を取り合ったからな

    それでもマユが安心して暮らせる為にしばらく残るだろうし「たまにこっちに来れないかな…」とか考えそう

  • 83二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:02:10

    アルタネイティヴ「ふ、ふふふ……」


    ヒビ割れた眼鏡の視界に眉を顰めながら

    胸にアタッシュケースを大事そうに抱えるアルタネイティヴは笑う


    アルタネイティヴ「新連邦軍に敗れ、バルチャーに艦を奪われたが」


    アルタネイティヴ「逃げる際には金目のものはキチンと持ち出してきた!」


    クロッカ「おお、やるじゃねえか大将」


    アルタネイティヴ「伊達に一度会社を(物理的に)潰されてはおらん!!」


    アルタネイティヴ「さらに前回の反省を生かし」


    アルタネイティヴ「こういう時の為に財産は集中させずに分散させていたのだ!!」


    アルタネイティヴ「私にはアンデス級戦艦の他にもう一つ別の戦艦を隠し持っている!」


    クロッカ「よっしゃリベンジだな!」


    アルタネイティヴ「…………」


    アルタネイティヴ「クロッカ!? お前死んだ筈では!?」


  • 84二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:02:49

    クロッカ「MSの頭ブチ抜かれただけだぞ!?」

    クロッカ「あれから身一つで北米まで逃げてきたのにそりゃねえぜ!」

    アルタネイティヴ「え? まさか泳いで?」

    クロッカ「さすがにそこまで人間辞めてねぇよ」

    クロッカ「北米行きの貨物船見つけて、ロープ着けたカギ爪でぶら下がってなんとかな」

    アルタネイティヴ「え?」

    クロッカ「最初だけな。一度陸を離れちまえば後は密航が見つかっても土下座して」

    クロッカ「甲板掃除でも何でもして、北米についたらトンズラよ」

    クロッカ「それまで真面目にやってりゃ警戒も緩むしな!!」

    そんな根性あるなら普通に働けばいいのにとアルタネイティヴは思った

  • 85二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:03:28

    天然の洞窟を加工して作られた隠しドック

    旧連邦が作り放棄していたものを、かつて技術士官だったアルタネイティヴが再利用した

    といても周囲の目を欺く為の入口付近は再整備したが、中まで整えるには人が足りず

    錆びついた資材や、埃をかぶった消耗品などが散乱していて

    拠点としての利用ができるようには見えなかった。


    クロッカ「くそ、埃っぽいな」


    アルタネイティヴ「ま、戦艦を隠し置いておくだけの場所だからな」


    クロッカ「勿体ねぇな」


    アルタネイティヴ「私とてアルタネイティヴ社が健在ならば手入れしたわ!」


    そもそも会社が健在ならクロッカのような木っ端盗賊など配下にしない

    ……とアルタネイティヴは内心で歯噛みした


    クロッカ「で、これが大将の切り札……」


    アルタネイティヴ「ああ、異世界の陸上艦」


    アルタネイティヴ「ヘビィ・フォークだ」


  • 86二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:04:53

    200メートル級戦艦を見上げ、クロッカは口笛を吹いた


    クロッカ「っていうかアンデス級よか立派な艦じゃんかよ」


    クロッカ「なんでコッチを使わなかったんだ?」


    アルタネイティヴ「2つ理由がある」


    まず1つは艦が大きくなればなるほど、それを動かす人員が必要になってくる

    ヘビー・フォークは全長210メートル。この世界の陸上戦艦では最上位のヒマラヤ級に属し

    加えて左右の艦首に3連装砲を各1基、中央部に1基装備

    さらにホバークラフト部に2連装砲が12基という火力を重視した戦艦なのである

    ただでさえ巨大な上に、砲撃手の数もいるこの戦艦を十全に動かすだけのクルーを揃えるのは難しい


    さらに異世界の戦艦であるということは、その運用のノウハウが無いということだ

    整備に関しても部品が合うものが流通しているかわからない

    優れたメカニックがいれば互換性のあるものを見つけられるだろうが

    バルチャーとなったアルタネイティヴの部下にそれを満たす者がいなかった

    よって信頼性の高い、この世界の戦艦を使っていたのだ


  • 87二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:05:25

    クロッカ「ま、地獄の沙汰も金次第」


    クロッカ「練度を無視すりゃ動かせるだけの人数は集まるだろ」


    クロッカ「そしたらアンデス級を奪っていったっていう連中にリベンジしようぜ」


    アルタネイティヴ「ふん、くだらん……」


    復讐を煽るクロッカをアルタネイティヴは一蹴した


    アルタネイティヴ「艦を奪われたのは腹が立つが、やり返したところで儲けがでる訳ではない」


    アルタネイティヴ「私の艦と元私の艦をぶつけ合って、艦を取り戻したところで疲弊した艦が2隻」


    アルタネイティヴ「修理代だってかかる。儲けがあまりにも少ないッ!!」


    クロッカ「そういうもんかねぇ?」


    この世界でやられたらやり返すを示さなきゃナメられるだけだとクロッカは感じているが

    アルタネイティヴは頭のいい男ではあり、それなりに良い目を見させてもらったので

    強いて不満を言おうと彼は思わなかった

  • 88二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:06:23

    アルタネイティヴ「まずはバルチャーサインでクルーの募集を……」


    クロッカ「んじゃ、他に儲けがでる算段があるってのか?」


    アルタネイティヴ「当然だ」


    というよりも出なければ今度こそ本当に終わりだ……とはアルタネイティヴは口にしなかった

    そこまでクロッカと一蓮托生の関係ではない


    それに今まで後回しにしてきたのには相応の理由がある

    希少な宝石でもそれを金に変換できるかは別だ

    会社を持っていた時ならイザ知れず……という話である


    アルタネイティヴ「まあいい」


    クロッカ「……?」


    アルタネイティヴ「ふっ……クロッカよ」


    アルタネイティヴ「ニュータイプという言葉を聞いたことがあるか?」

  • 89二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:06:59

    北に位置するフォートセバーンの冬の雪は深い

    大通りは除雪や温水によって歩きやすくはなっているが

    一歩外れると軍靴ギリギリまで足が埋もれる


    元の世界に居た時はこのような雪景色など見たことはなかった

    ゼハート・ガレットは空を見上げる

    深々と降る雪は、学生として地球連邦軍のコロニーに潜伏していた時とも印象が違う

    あれは人工的に再現された冬の雰囲気を感じるためのものに過ぎなかったのだなと彼は改めて思った


    しかし雪を見ると彼は人生に置いてもっとも艶やかであった時代を思い出す

    友であったアセムとロマリーと三人で映画を見に行った日も雪が降っていた

    隕石を押し返すというラストにロマリーはよく分からないという感想だったが


    ゼハート(よくロマリーは不意打ちで俺たちの写真を撮っていたな……)


    2人の、いや3人での写真は彼は一枚も持ってはいない

    MS戦でアセムに敗れ、爆発するレギルスの中からこの世界に転移してきたのだから当然だ

    持ち込めるものはこの身一つで、生きているだけ感謝しなければならない


    カリス「死の運命にあった者は帰ることはできません」


    彼はフォートセバーンに流れ着いて、自警団に入った

    そこの隊長であるカリス・ノーティラスは宇宙より帰還した後、教えてくれた

    カリスはゼハートがが異世界出身者であることと、転移前の経緯を覚えていたのだ

  • 90二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:07:56

    元の世界に帰った所で戦争犯罪者として処刑される身分だろうとゼハート本人は思っているし

    その上で帰るべきか否かと問われれば、帰るべきだろうと思う

    火星の為に多くの兵士が死んでいったのだから、彼らを死地に送った自分は裁かれるべきなのだ、と


    こうして寒空で白い息を吐いている、生きているということは

    なんと恥知らずなのだろうとゼハートは考える


    ゼハートは歩きやすい道に入る。商店が立ち並ぶので定期的に雪かきをしているのだ

    ウィンドウにメニューの写真が並んでいる。反射して映る自分の姿というシチュエーションが

    先程の学生時代の事を思い出させた。機嫌の悪いロマリーを食事で宥めようと男2人で企んだのだ


    ゼハート(今は俺一人か……)


    ふと、自警団の同僚が「見たこともない相手の似顔絵を話を聞いただけで描ける絵描きの少女」の話をしていたのを思い出した

    どこかの港町で評判になっているらしい。その少女ならアセムやロマリーや、フラムの顔を描いてくれるだろうか……

    肩に積もって重たくなった雪をゼハートは払った。払っても払っても、放っておくと積み重なっていく

    自分の体温では溶けることがないのだろうと思っていた彼の耳に、大音声が聞こえてくる


    赤い二連星「"前の戦争で超能力を使う兵士がいた"という噂を、聞いたことがあるだろう!!」


    赤い二連星「あれは根も葉もない流言、デマの類かというと、そうではない!」


    雪は音を吸収するというのに、ここまで響くとは大したものである

    内容は……どうにも、であるが

  • 91二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:09:30

    声の方、ゾルタン広場にゼハートは向かっていく


    赤い二連星「実はこの男こそ、その生き残り!!」


    赤い二連星「人は我らを呼ぶ。"ニュータイプ"と!」


    子供「ニュータイプだってぇ」


    子供「何それー」


    恐らく先程まで雪合戦をしていたであろう子どもたちが

    旧連邦の制服を着た二人組の話を笑うと、それで飽きたのかまた雪玉作りに戻っていく


    市民「今どき流行んねーぞ! そんな職探しぃ」


    フードトラックでホットドックを販売している男が、そんな野次を飛ばした


    赤い二連星「な、なぁにを言う! 前の戦争では我々は二人で15隻の戦艦を沈めてだな……!」


    ゼハート(一人頭7、8隻か……)


    自分もそれぐらいは沈めた記憶がある、とゼハートは何気なしに思う

    なんとなればアセムとの戦いの片手間で沈んだ戦艦もあるから、彼の実力はそこのホラ吹きと違って確かだ

    自警団でも否応なく頭角を現し始めている。それでもゼハートにとって自警団はただ惰性で生きるための糧でしかないが


    赤い二連星「職探しなどではないぞ!! 今こうしてナリは汚いが……はっくしゅ!!」


    確かにこの寒空に薄いコートに旧連邦の軍服であるくのはフォートセバーンの人間ではありえない

    よほど困窮しているか、フォートセバーンに来たばかりか、まぁ両方だろう

  • 92二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:09:34

    おっとティファの伏線が

  • 93二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:10:13

    ゼハート「金がないなら市庁舎に行けば当面の生活の面倒は見てもらえる」


    ゼハート「その間に就職先を探すといい。市庁舎までの地図は……」


    赤い二連星に近づいたゼハートは、懐からメモを出して地図を書くと破って差し出した

    以前の戦闘で破壊された市庁舎は、今では立派に建て直されている

    暫くキョトンとしていた赤い二連星だが、暫くすると寒さで真っ赤になった鼻から鼻水を垂らしながら怒り出した


    赤い二連星「だから我々は職探しなど……」


    ゼハート「今フォートセバーンは国際会議を向かえて雇用が上向いている」


    ゼハート「この市内の企業だけじゃなく、外からも営業の機会と見込んで他の地方から企業がやってきている」


    ゼハート「就職するならチャンスだぞ」


    赤い二連星「ぐ…ぐ、ぐ……くそぉ!!」


    メモをゼハートの手から奪い取ると、赤い二連星は広場を走り去っていく

    雪国になれてない2人は何度か足を滑らせていて、見ていて不安になったが


    ダリル「同情されたと思ったのか。国際会議をやるような町に浮浪者がいると困るってだけなのに」


    カリス「それは少し手厳しい言い方ですね」


    ダリル「そういう言い方の方が受け入れやすいかなと思っただけだ。でも浮浪者はプライドが傷つくか」

  • 94二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:11:13

    語りかけてきた男は、男の隣に立つ隊長に友人と先日紹介された人物だ……とゼハートは記憶を手繰った

    たしか太平洋の企業であるダントンエレクトロニクスの幹部で、営業にやってきていた筈


    カリス「すみません」


    ゼハート「何か?」


    急に年下の隊長に謝られ、ゼハートは困惑した


    カリス「いえ、実は貴方より先に彼らを見つけていたんです。ですが出遅れました」


    カリス「"ニュータイプ"なんて話をしていたものですから」


    彼はダリルと視線を合わせた。2人をして足を止める理由が、ニュータイプにはあるのかとゼハートは思う

    そしてその疑問を実際に口にして問いかけた。なんとなく、そんな気分だったのだ


    カリス「ニュータイプの力があれば世界平和だの、争いを終わらせるだの」


    カリス「そんな夢物語はないそうですよ?」


    赤い二連星が陣取っていたゾルタン・アッカネン前自警団隊長の像を見上げて、カリスは微笑した


    ダリル「新しい時代を創るのは、それを実現しようっていう人間の意思だからな」

  • 95二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:12:10

    ゼハート「それは、納得できる話だ……」


    2人の言葉にゼハートは呟く

    彼はニュータイプというものがどんなものかは知らない

    だが赤い二連星の話を聞く限り、戦闘に特化した……Xラウンダーのようなものかと考えた

    Xラウンダーであるゼハートはその資質をもたないアセムに敗れた。人のの意思と経験に敗れたのだ


    ゼハート「力を欲することを、自分が特別だと思いたい気持ちも理解らなくはないが」


    赤い二連星の足跡をゼハートは眺める


    ゼハート「私の友も、かつては力を欲していた」


    ゼハート「でも俺だってアイツが持っているものが羨ましかった」


    子どもたちの遊び声が聞こえる中で、カリスとダリルの2人はゼハートの話に耳を傾ける

    彼らにもそれぞれ思い浮かべる人がいる


    ゼハート「だがアイツは最後にこう言ったよ。掴めないものだってある、人間なんだから……と」


    それは諦めだけど、哀しいことではないように聞こえた


    カリス「それでも、共に過ごした時間が色あせて消えたりはしません」


    この白く染まるフォートセバーンを守った男のカリスは思い浮かべる

  • 96二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:12:55

    おやダリル……社長はいないのかな?

  • 97二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:14:02

    ダリル「傷つけあったり、分かりあえず、すれ違ったりしたこともな」


    元の世界へ戻った戦友を思い浮かべ、ダリルは新雪を蹴っ飛ばした


    かつてアセムにかけられた言葉を、再び耳にしたゼハートは目を丸くする


    ゼハート「共に泣き、そして笑いあったことも……か」


    カリス「ええ」


    ダリル「そうだ」


    力強く頷く2人に、ゼハートはこの世界の人間の強さを思う

    降り積もる雪が赤い二連星の足跡を消しかけていた


    ゼハート「カリス隊長、俺はもう少し自警団を真剣にやってみます」


    カリス「今でも充分、真面目に働いてますよ、貴方は」


    ゼハート(歩けば、愛せるだろうか、この世界を)


    多くの人間を死地に送った自分が、もう一度人生をはじめようとするのに罪悪感はある

    だだ自死できるほど本当の自分は気高くも強くもなくて、自分に好意を向けてくれた人たちが

    それを許してくれるなんて思うのは都合が良いけれども、それでも無為に生きるよりは何かを見つけたい

    その形の見えないモノは「夢」とか「愛」とか、そんな誇らしいものではないかも知れないけれど


    カリスとダリルの背を追いかけながら、ゼハートは思う

    踏まれて固まっていく雪の音が彼だけに聞こえた

  • 98二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:15:37

    ナンパ男「いや~……参ったね」


    ナンパ男「カッコよく"もう帰ることはないな…"なんて言っておいて」


    ナンパ男「まさか北米に出戻りとはねぇ~」


    もちろん、故郷が恋しくなったわけではない

    カリブ海からヨーロッパに渡ろうと大西洋行きの船に乗ったは良いが

    途中嵐にあい、北に流されながら戻ってきた結果だった


    ナンパ男「んーどうすっかね、これ……」


    船は先払いでこういう時のトラブルで支払いを返す契約にはなっていない

    要するに丸損となったわけである


    ナンパ男「取り敢えずお仕事するか」


    先立つものがなければどうにもならない。ガンダムの整備だってある

    フリーデンとは不首尾に終わったが、この時代まだまだMS乗りを雇いたいところはある

    と男は気分を上げるために上を向いた


    ナンパ男「……って、あら?」


    空にはバルチャーサインが打ち上げられている

    その意味は『戦力募集』


  • 99二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:16:40

    おいおい、きな臭いサインが上がったぞ…

  • 100二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:17:02

    ペインはアルタネイティヴから戦艦を奪ったボーナスとしてクルーに金をバラ撒く

    近くの酒場で急場で集めてた連中なので、こうでもしないと働かない


    ペイン「ちょっと君、さっきも受け取ったでしょう?」


    二重取りをしようとした男を咎めるペインだが

    その場に居合わせたギレンが彼を宥める


    ギレン「彼が二重取りをした男か。なるほど顔は覚えた」


    ギレン「彼は人の二倍働くそうだ。二倍渡してやれ」


    ギレン「実際に人の二倍働いてない時は契約不履行で支払った分は取り戻すだけだ」


    ギレン「北米のバルチャー流の取り立て方でな?」


    声を荒げるでもなく淡々とギレンは男に語る

    それが返って恐怖心を煽り、男は受け取った金を返却した


    ギレン(ふん……)


    つまらなそうにギレンはその場を後にした

  • 101二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:17:10

    あらあら
    そっち行っちゃうの?

  • 102二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:18:22

    ペイン「しかしこのままだと軍資金が尽きます」


    ギレン「アルタネイティヴが意外と逃げ慣れていたな」


    艦を脱出した際、彼はちゃっかり資金持ち出していた

    持ち出しやすい貴金属や宝石に変えてあった上に

    あっという間にジープで逃げた辺り、こういう事態を予測していたに違いない


    ギレン「侮りすぎていたかな……」


    新連邦時代にアルタネイティヴ社の資料を読んで受けた

    フォン・アルタネイティヴの印象とは少し異なるとギレンは感じた


    資料を読んで想像したものと現実にズレがあったと彼は感じない

    自分の頭脳に絶対の自信を持っているからだ

    だが、現実のアルタネイティヴはギレンの想像を越えた


    ギレン(成長していたのだ)


    そう、ギレンは結論付ける

    ガルマがそうなのであれば、他の者とて過去のままではあるまいと

  • 103二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:18:40

    流石ギレン
    あのヒャッハー共を従えているとは…

  • 104二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:19:01

    ギレン「まあどのみち私の敵ではない。だが、金策は考えねばな」


    ペイン「アルタネイティヴの部屋に妙な地図がありました」


    ギレン「ふむ?」


    受け取った地図を眺めながらギレンはペインに言葉を促す


    ペイン「どうやらニュータイプの存在を利用しようと考えていたようです」


    ギレン「ニュータイプ? 今更だな」


    鼻で笑うギレンに、ペインも頷く


    ペイン「私もそう思います」


    しかし能力者は能力者だから金策には使えるかも知れない


    ギレン「が、それよりも。アルタネイティヴがコレを得ることを考えていたのであれば」


    ギレン「この場所にいけばアルタネイティヴがやってくるかもしれん」


    ペイン「奪いそこねた金を持って……ですね?」


    悪代官と越後屋のように2人は静かに笑いあう

  • 105二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:19:26

    ギレン「しかし戦力が足りんのは問題だな」


    ギレン「デスサイズのスカウトは失敗した……」


    ギレン「いや、アレを配下に加えるのもな……」


    もうヤツの事は忘れようと思うものの

    ダンボールで塞いだ窓から吹き荒ぶ風がそれを許してくれなかった


    ペイン「取り敢えずMS乗りに募集をかけましょう」


    ギレン「あとは町でガラスを買わねばな。至急……」


    ペイン「そうですね」


  • 106二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:19:54

    金の切れ目が縁の切れ目になりそうで、大丈夫だろうか……?

  • 107二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:20:14

    ガラス割れたまんま北米をウロチョロしてたのかよw

  • 108二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:20:17

    ティファ確保するのアンタらかい

  • 109二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:20:59

    ランスロー「そうか、シャアは来なかったのか」


    ダリル「ああ、急な商談が入ってな」


    カトック「でもヤツのこった。さっさと纏めてこっちに来ようとするかもなぁ」


    バルトフェルド「ほう、ダリル君は信用されてないのかな?」


    ダリル「嫌味を言うな」


    国際会議の為にフォートセバーンには各地の首脳陣が集まってきた

    カトックやバルトフェルドは会議に参加する訳ではないが

    太平洋や中米の代表に軍部から意見を求められることもあり同行している


    カリス「しかしギレン・ザビが脱走とは、年末に悪いニュースが飛び込んできてものです」


    ダリル「年明けまでに解決とはいかないだろうな……」


    鎮痛な趣のランスローは責任を感じているのだろう

    彼らの会話を聞いていたウィリスが、場を和らげようと割って入ってきた


    ウィリス「そのギレン・ザビというのはそこまで驚異なのですか?」


    ダリル「この世界で奴が何か事を起こした訳ではないから、感じにくいのはあるよな」


    ダリル「でも宇宙世紀の人間は、みんなその名前に驚異を感じると思う。一部の連中は畏敬も払うさ」

  • 110二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:22:34

    ダリルの声音を聞けば、笑い事にできないのはウィリスも理解できる

    しかしそれはやはりダリルという人間を信頼している立場だからで、ギレンの驚異を多くの人間に共有するのは難しいだろう


    ランスロー「北米にきていたフリーデンにギレンの探索を頼んではいる」


    カリス「ガロードにですか?」


    確かにフリーデンならば真剣にギレンを探索してくれるだろうし

    能力・戦力ともに申し分ない。だがただ一隻で北米の大地に消えたギレンを探すのは難しい


    バルトフェルド「その点でも考えられた逃げ先だね」


    北米には統一政権あるいはそれに準じる機構や、盟主となれる大勢力がない

    よって組織的に人を探す命令を出せないのもある


    ダリル「…………」


    暗い雰囲気が彼らを包んだ


    ゼハート「失礼します」


    ゼハート「ジャミル・ニート協議会議員、到着いたしました」


    その報告を受けて、彼らの顔色が良くなるのをゼハートは見た

    フォートセバーンに現れた新連邦の代表の存在の大きさを思い知らされる


    カリス「すぐに出迎えましょう」


    歩き出したカリスが町の外を見る。明日以降は晴れという天気予報の通り、降雪の勢いは治まってきていた

  • 111二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:24:51

    港町から外れた海の近くで、絵描きの少女は一人で住んでいる

    町にやってくる人間を相手に、絵を描いて生計を立てているが

    この町の人間は彼女をイルカの少女と呼んでいた

    絵描きの時以外は海でイルカと戯れているからだ


    ただでさえ、見知らぬ人間を話を聞いただけで正確に描けるのに

    イルカともまるで言葉を交わしているように動かせる姿に

    町の人間は少女にあまり近づかない

    かといって、少女の絵が評判になって町にくる人間も増えているものだから

    積極的に害そうという人も居なかった


    絵描きの少女「今日、不思議な人に逢いました……」


    海面に顔を出した白イルカに、少女は昼間のことを語った



    いつものように路上で絵描きの仕事を待っていた時

    参考に並べていた絵に、一人の少年が食いついた


    ガロード「え? これマイじゃん!」


    その絵は、少し前に妙齢の女性の依頼で描いた似顔絵だった

    2枚、描いた

    ひとつは彼女の弟の似顔絵、もう一つが彼女と似合いの年齢の男性の似顔絵

    少年が食いついたのは後者の方である

  • 112二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:26:07

    やはり白イルカと心を通わせることができるのは彼女しかいないか

  • 113二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:26:35

    白イルカ!
    原作通りティファとは普通に分かり合えてるのね

  • 114二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:27:13

    ちなみに、女性の依頼で二枚描き上げたのであるが

    当の女性は暫く悩んだ後、何故か弟の似顔絵だけ持って帰った


    モニク「なぜ私がヤツの似顔絵を求めなければならないのだ!」


    それなら最初から依頼しなければよかっただけなのだが

    ちなみに代金はちゃんと二枚分くれた


    ガロード「これウチのメカニックの顔なんだけど」


    ガロード「もしかしてマイと知り合い?」


    そう質問してきた少年に、少女は首を降った

    自分は人の話を聞いただけで会ったことのない人間の似顔絵も描けると


    正しく言えば、その人物の話をしてもらうことで

    その人の脳裏に浮かんだ人物の顔を見て描いている

    彼女には人の心を読む力があった


    ガロード「へぇ、凄いな」


    絵描きの少女「怖くはないのですか……?」


    ガロード「なんで?」


    少女に絵を依頼する人間も、最初はその力に驚く

    それでも、もう逢えない人の似顔絵を手に入れられて、それで感謝の方が勝って去っていく

    怯えられているだけなら、少女はこの仕事を続けてはいない

  • 115二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:27:52

    こっちだと逆に白イルカの方が成長したと言うか経験を積んだと言うか

  • 116二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:28:31

    ドストレートなツンデレ頂きましたー!

  • 117二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:28:44

    なるほどね
    ちょっとだけ会ったって感じなのか

  • 118二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:29:21

    ガロード「ちょっと人とは違う才能があるやつなんてこの世界、ゴマンといるだろ」


    ガロード「俺の仲間にもモビルシチズンとか、狙撃が上手い奴とか」


    ガロード「あと知り合いには自分を天才って言ってるヤツとか、色々いるしさ!」


    ガロード「この似顔絵でみんな喜んでるならいい才能の使い方してんじゃん!ってヤツ?」


    ガロード「今の時代、大切な人の写真も残ってない人とかもいるからね……」


    彼の言葉に嘘はないと少女は理解した

    力を含めて少女を少女として認め、そしてその生き方を純粋に褒めてくれる

    彼女にとっては初めての経験だった


    絵描きの少女「貴方も……」


    ガロード「へ?」


    絵描きの少女「描いて欲しい人は、いますか……?」


    そう問われて、ガロードは少し考えた

    写真が手に入らない、もう逢えない人といえばまずは両親だろうか

    父親の顔はもう覚えていないが、母親なら……


    ガロード「あー、でも……」


    ガロード「他の人、連れてきていいか?」

  • 119二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:31:47

    そう言ってガロードはカテジナを少女の前に連れてきた

    彼女にはクロノクルという恋人がいたが、彼に類するものを何一つ持ち込めていない


    カテジナ「なんでマイの似顔絵が?」


    少女の広げる絵の中にマイの顔を見つけたカテジナが疑問を口にする


    ガロード「あ、そうだった。マイのこと忘れてた!」


    2人のやり取りに思わず絵描きの少女は小さく息を吹き出した

    その後、雨が降り出してしまった為に、似顔絵は明日の約束をして別れた


    絵描きの少女「……ええ、優しい人」


    白イルカの念話に少女は頷いた

    ガロードは自分の過去の思い出より今の仲間の事を優先した。それは優しいとしか表現できない


    月夜に少女は服を脱ぎ捨てて海へと潜る

    白イルカと彼女の仲間たちが少女を迎え入れるように共に泳ぎ触れ合う


    白イルカは何度か少女を自分たちの仲間に誘ったが、少女はまだ人間でいようとする

    それはわかる。偶に人間にはそういう希望を感じさせる者がいるから

    彼女もかつてローレライの海で人の温かさに触れた

  • 120二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:32:40

    翌日は快晴で、ガロードとカテジナとマイは連れ立って少女の元へやってきた


    マイ「確かにこれは私ですね」


    ガロード「いや、でもよく見たら絵の方がちょっと格好良くない?」


    マイ「そうですか?」


    似顔絵を見ながら談話する男2人の横で、少女がカテジナに向き合って木炭を滑らせている

    時折、少女がカテジナにクロノクルのことを訊ね、カテジナは答える

    そのプライベートな話を聞かないように、ガロードとマイは敢えて別の話をしてもいる


    ガロード「マイは誰か描いて欲しい人とかいないのか?」


    ガロード「元の世界に恋人とかさ」


    マイ「そういうお付き合いをしていた方はいませんね」


    ガロード「好きだった人も?」


    マイ「ちょっと思い当たりませんねぇ……」


    絵描きの少女「…………」


  • 121二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:33:29

    マイ「皆が皆、ガロードみたいな訳じゃないですよ」


    ガロード「へっ!?」


    マイ「思えば艦長と副長というのは一緒に居られるようで居られない関係ですね」


    確かに普段の仕事ではもっとも密な関係であるが

    こうやって停泊中の自由時間は片方が休憩の時は片方が艦に残ることになる。責任者であるのだから当然だ

    つまりガロードとステラが2人揃って町にデートという状況は中々やってこない


    ガロード「そーなんだよなぁ……失敗したかなぁ」


    ちなみにステラを副長に推したのはマリーダだった記憶がマイにはある

    まぁ、実績としてステラが副長なのは妥当ではあるが


    絵描きの少女「…………」


    カテジナ「どうした? 私の話に何か問題が?」


    絵描きの少女「あ、いえ。大丈夫、です……」


    力を持つ彼女はガロードが思い浮かべている少女の姿も、彼の想いも察してしまえるのだった

  • 122二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:33:39

    マイさん…

  • 123二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:34:06

    お労しやモニ上

  • 124二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:34:32

    絵描きの少女「どうでしょうか……?」


    少女が描きあげた絵を受け取って、カテジナは息を呑んだ

    確かに自分の記憶の中にあるクロノクルと同じであったからだ


    カテジナ「大したもんだね」


    絵描きの少女「貴女の想いがとても鮮明でしたから、描きやすかったです」


    カテジナ「そうかい……そういう自信はなかったのだけれど……」


    目を伏せたカテジナの耳に風切り音が聞こえる

    長く視力を失って発達した聴覚と、MS乗りの経験が彼女に危険を伝えた

    と、同時に絵描きの少女も叫ぶ


    絵描きの少女「逃げて……!!」


    カテジナ「伏せろっ!」


    港町の一番大きな赤い屋根の商店が砲弾によって吹き飛ぶ

    人々は頭を抱えながら逃げ出していく

  • 125二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:35:11

    リアルのツンデレなんて自分に好意があるとは思わんよねという事例

  • 126二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:35:46

    砲弾の飛んできた先、荒野から巨大な戦艦のシルエットが現れた


    アルタネイティヴ「ふ…ふふはは……」


    アルタネイティヴ「イルカのニュータイプなど眉唾かと思っていたが」


    アルタネイティヴ「調べていくウチにまさか人間のニュータイプがいるとは思わなんだ!」


    アルタネイティヴ「これは商品価値があるぞ!!」


    ヘビィ・フォークの艦橋でアルタネイティヴが高笑いをする


    モニク「おい、話が違うぞ」


    モニク「ニュータイプの少女を手に入れるのではなかったのか?」


    そのために以前、モニクこの町に潜伏して少女の能力を確かめたのだ


    アルタネイティヴ「だからこうして町を脅して、町の連中に持ってこさせようというのだ!!」


    モニク「ゲスが…ッ!!」


    アルタネイティヴ「なんだと貴様ッ! 雇い主に対する口がなってないぞ!!」

  • 127二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:35:53

    だってそんな態度取られ続けたらそら避けると言うか

  • 128二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:36:44

    モニク「私が貴様と結んだのは奴隷契約ではない」


    モニク「私は少女と交渉してクルーに加えると聞いていた」


    モニク「こういうやり方を黙って行うのであれば、契約不履行というものだ」


    己の襟首を掴み上げるモニクの希薄に、アルタネイティヴが少し怯んだ


    クロッカ「おい、何か揉めてんのか?」


    MSで出撃したクロッカは第二射の様子がないことに怪訝そうな顔を艦橋に向けた

    その油断を


    クロッカ「ぐあぁあ!」


    ナンパ男「はいよ、いっちょ上がりっ!」


    緑色のガンダムから放たれたミサイルが襲来し、クロッカのMSは火達磨になって倒れ込んだ

    さらにナンパ男は手際よくヘビィ・フォークの艦橋に受信機を取り付ける


    アルタネイティヴ「な、なんだ!?」


    ギレン『ふっ……徴収し忘れた金の回収しにきたぞ』


    アルタネイティヴ「元から私の金だろうがあぁぁ!!!」


    電波ジャックしたギレンの顔が、ヘビィ・フォークの艦橋モニターに映る

  • 129二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:37:40

    アルタネイティヴ「盗人猛々しいとはこのことか!!」


    アルタネイティヴ「やってしまえ!!」


    モニク「ギレン総帥だと!?」


    ギレン『ほう、私を知っているか。その軍服……公国のものか』


    モニクの存在を認めたギレンの視線に、彼女は反射的に敬礼をする


    モニク「ハッ! ジオン公国軍第603技術試験隊所属、モニク・キャディラック特務大尉であります」


    赤い軍服が示すとおり、政治将校で実際の権限は1つ上の少佐である

    能力に優れ、軍に忠誠心がある者が特殊部隊の監査として送られる


    ギレン『なるほど。ではキャディラック特務大尉』


    ギレン『フォン・アルタネイティヴを拘束せよ』


    モニク「了解であります」


    アルタネイティヴ「何ィィ!!!」

  • 130二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:37:45

    哀れアルタネイティヴ

  • 131二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:38:41

    ナンパ男「ありゃりゃ、まさかフリーデンとはねぇ」


    ナンパ男「運命感じちゃう?」


    マリーダ「あの緑のガンダム、以前会った…!!」


    騒動を聞きつけ駆けつけてきたフリーデンとそのMS隊が

    ナンパ男のガンダムに向かって銃口を突きつける


    ナンパ男「ちょっと誤解されてない? ロミジュリは勘弁よ?」


    雇い主のギレンのいる陸上戦艦を男は振り返る




    トニヤ「アンデス級から通信」


    ステラ「受けて」


    フリーデンのモニターに赤い二連星が映し出される


    赤い二連星『あー…我々はフリーデンの皆さんとは敵対する意思はない』


    赤い二連星『町を襲った連中とは因縁があり、彼らを追いかけてきたのだ』


    赤い二連星『現在我々は連中の艦を制圧している。これ以上の戦闘はない』


    赤い二連星『矛を収めて欲しい。町の方々もこのままでは不安に思うだろう』


  • 132二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:38:46

    これだからジオン軍人は怖い

  • 133二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:39:15

    プル「なんで私達がフリーデンって知ってるの?」


    パーラ「そりゃあのナンパ男が教えたんだろ」


    赤い二連星が通信を切った後、プルが疑問を口にした

    パーラはそれに答えるが、しかし何か違和感を覚えた

    後に、映像をみたマドナッグが「視線だ。カンペを読んでいる確率が86.385%」と看過する

    が、この時は別のことが優先された。つまり


    ステラ「町にいるガロード達の確認と収容が先決」


    ステラ「ザコソルジャーたちも出して。町の人の救助にも参加して」


    プル「了解。私も行ってくるね。お医者さんだし!」


    ステラ「うん」


    トニヤ「あ、アンデス級の人たちも町の人の救助に参加してるみたいよ」


    トニヤ「胡散臭かったけど意外といい連中じゃん!」


    ステラ「ホントだ……」


    ステラ「ホントに?」

  • 134二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:39:59

    ガロード「フリーデンに戻ったほうがいいか……?」


    カテジナ「この子はどうする?」


    瓦礫を受けないようガロードに抱きしめ守られた絵描きの少女に視線を向けカテジナは問う

    それでも少女の腕に切り傷が残っていた


    ペイン「コチラには消毒や包帯などの準備があります。怪我をした人はどうぞ頼って下さい!!」


    遠くからアンデス級戦艦の乗組員が叫んでいた


    ガロード「任せちゃっていいか……?」


    フリーデンに連れて行って治療してもいいが、もしかしたら戦闘になるかも知れない

    実際はヘビィ・フォークは制圧されているのだが、ガロードには情報がなかった


    絵描きの少女「私は大丈夫です……でも……」


    少女を庇ったガロードの方が傷が多い。頬と足に切り傷ができていた


    ガロード「これぐらいヘーキ、ヘーキ!!」


    ザコ「ガロード、どこザコー!!」


    今度は逆方向から見知った声が聞こえて気、ガロード達は頷き合うと

    絵描きの少女と別れ、自分たちの艦へと帰っていった

  • 135二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:40:25

    街が襲撃されるのを想定してればね
    そうするよ

  • 136二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:41:46

    ガロードはコクピットを撃たれても大丈夫なくらい耐久力が高いからな…

  • 137二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:41:54

    赤い二連星(俺たちは何やってるんだ? 結局バルチャーやるならフォートセバーンで就職したほうが……)


    赤い二連星(馬鹿野郎! 武士は食わねど高楊枝っていうだろ!!)


    赤い二連星(でもバルチャーに身を落としちゃ意味がないじゃないか)


    ギレン「まさかフリーデンが現れるとはな」


    ギレン「もしフリーデンから通信が来た場合はまたお前たちを使うぞ。台詞はコチラで指示する」


    赤い二連星「「りょ、了解です艦長!!」」


    赤い二連星((な、何者かしらないけどこのバルチャー……怖い……))


    ギレン「あとはペインか」


    医療品を放出したのは町の歓心を買いたかったからではない

    ギレンが見たかったのはこの騒動の中で、冷静に動ける人間がいるかどうかだ

    そういう「使えそう」なのを見つけたらスカウトするようにペインに申し付けていた


    ギレンはアルタネイティヴの戦艦を見る

    宇宙世紀の連邦軍が使っていたビックトレーに近い。自分ならば扱えるだろう

    足りない人員も集めれば良いし、統率するのには自信がある


    ギレン(となればこのアンデス級は売り払うか……)


    やるべきことが多いが、早急に片付けなければフリーデンに気づかれる危険性がある

    今はまだ彼らからは逃げる他ない……ギレンはアゴを撫でてて不敵に笑った

  • 138二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:43:11

    ギレンの野望
    立志編

  • 139二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:43:34

    よく考えたら……とアルタネイティヴを拘束し

    彼を町に引き渡し(アルタネイティヴはそのまま町の人間にフルボッコにされていた)

    そのままヘビィ・フォークの副艦長に命じられたモニクは

    艦長席にすわるギレンの背中を見た


    モニク(A.W.にまできてギレン総帥もなにもないのでは?)


    あの場ではとっさにジオン軍人としての体が反応したが

    よくよく考えれば弟のエルヴィンもこのギレン・ザビの統括したジオン軍の

    杜撰な作戦によって命を落としたと言える……とモニクは口を結んだ


    モニク(こちらに来てまで以前の関係を引きずる必要など……)


    艦内のチェックに歩き回っているモニクは、いっそ出奔しようかと考えていた


    絵描きの少女「困ります……」


    ペイン「ちょっとだけ! ちょっとだけ試してみるのは?!」


    ペイン「一回だけ! 一回だけだから! 案外ハマるかも知れないし……!!」


    モニク「蛆虫ィィィィ!!!!!!」


    自分の半分も生きてないような少女に向かい拝み倒す中年男性を見つけたモニクは

    手に持った分厚いヘビィ・フォークのマニュアル(の角)でペインを殴りつけたのだった

  • 140二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:44:16

    こればっかりは仕方ない

  • 141二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:44:22

    町の救護活動でペインは何人かの人間をスカウトした

    途中からザコソルジャーが現れてからは、自分の顔を知られている可能性があり

    距離ととって後方から見ていたが、特に動きがいいのが絵描きの少女だった

    怪我人や探し人、探し物を的確にあてて、なんというか目端がきくというのか……

    以前ならば彼女はニュータイプと呼ばれていたかも知れない


    ペイン(であればニコラ様は宇宙を見せに連れて行っただろうか?)


    そんなことを考えながらペインは彼女をスカウトしたが、断られ

    しかし職務に忠実な彼が粘り続けた結果が、モニクによる殴打だった


    ペイン「酷い目にあった」


    モニク「誤解を招くような真似をするな! 私だから良かったものの」


    ペイン「まさかの謝罪なしとは……」


    むしろペインに代わってモニクが少女に謝っているぐらいだ

    彼女が床に落とした画材を拾い集める。ちなみにペインによって落ちたのではなく

    モニクのペイン襲撃に驚いた少女が思わず落としたものである

  • 142二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:44:58

    画材を拾うモニクの手が止まる

    以前、彼女に依頼して描いてもらったマイの絵があったからだ


    モニク(ふ…未練を……)


    マイの絵を拾うと他の画材と纏めて少女に返却した

    少女は戸惑っていたが、意を決して口を開く


    絵描きの少女「その人は……この世界にいます……」


    モニク「なんだと……!?」


    絵描きの少女「襲撃の時に一緒にいました……」


    モニク「この町にいるというのか!!」


    思わず少女の掴んだモニクは、力加減を間違い

    身体を揺らされた少女は折角モニクが拾ってくれた画材を再び落としてしまう

    ガシャンと画材はさっきより大きな音を立てて床に散らばった

    その音を聞きつけ、ガンダム乗りのナンパ男がやってくる


    ナンパ男「何々? 何かあった?」

  • 143二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:45:31

    原作でほとんど出番のない人が活躍してる……一応ペインさんの素材を投下しておきます

  • 144二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:45:36

    モニク「いや、何でも無い」


    男を制したモニクだが、男の方はモニクの方にすでに興味を移していた


    ナンパ男「ねぇ君、これからメシでも……」


    モニク「彼は私のことを探していたのか?」


    が、少女に男の事を尋ねるその姿に男は色々と察してしまう

    一方で少女はモニクの質問に酷く困ってしまった

    そもそも「マイが自分を探している」というモニクの発想も非常に突飛なものである

    そんな発言が出てきたこと自体、彼女が「自分はマイを探しているから相手もそうだろう」という思い込みをしているからだ


    モニク「なんだ? どうした!?」


    少女はその場から逃げ出そうと思ったが、自分を掴むモニクの力が強くどうにもならなかった

    問い詰められ、少女は仕方なく、ガロードとマイの会話を一字一句正確に再現した


    ナンパ男「あちゃー……」


    部外者のガンダム乗りの男ですらこの反応になった

  • 145二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:46:13

    モニクは全てを聞き終え、唇を三日月に曲げた

    口の中でくぐもった声で笑い、マニュアル本を手のひらで叩いた


    モニク「ペイン! 新しくスカウトした人間のリストを渡せ! 適所に配置する!!」


    ペイン「は、はい!!」


    ナンパ男「うわ、お仕事熱心ね」


    モニク「当然だ。まずは戦力を充実させる」


    ナンパ男「あの眉ナシ男の為に?」


    とナンパ男は自分の雇い主の顔を思い浮かべて尋ねた

    せっかくの美人があんな男の為に汗水垂らすのも勿体ない気がする


    モニク「誰があんな男の為になど働くか!!」


    啖呵を切った彼女に、思わず男は謝った

  • 146二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:46:43

    モニク「いいか、MS乗り。このA.W.には、特に北米大陸は」


    モニク「人間は自由に生きている! 欲しいものは力があれば手に入る!!」


    ナンパ男「は、はぁ……」


    モニク「と、言うわけで私はオリヴァー・マイを手に入れることにした!」


    絵描きの少女「あの、それはお付き合いをするということですか……?」


    モニク「違う! ヤツを私の所有物にし、私の有り難みを徹底的に叩き込んでやる!!」


    ナンパ男「あー…そーゆー……」


    絵描きの少女がチラリと男を伺ってくる


    ナンパ男「まぁ、ね。押して駄目なら押してみろ的な?」


    ナンパ男「俺も女性を口説く時は諦めないで何度でもが信条だしなぁ……」


    ナンパ男「彼女の場合、ちょ~っと過激だけど」


    絵描きの少女「そういう…ものですか……」

  • 147二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:47:21

    ナンパ男「しかしフリーデンか……俺もフラれた女性が乗ってるんだね」


    ナンパ男「こうなると運命感じちゃうなぁ……」


    絵描きの少女「え?」


    ナンパ男「もう一回、アタックしちゃおうかな?」


    絵描きの少女「そういうものですか……」


    急にヤる気スイッチの入ったモニクがペインを引き連れその場を去り

    残された男は絵描きの少女を紳士的にヘビィ・フォークから家まで送り出した


    家に荷物を置いた少女は、海に足を運ぶ

    岩場に座り、足を水に浸していると、イルカたちが集まってきた


    少女は今日の出来事と、自らの想いを彼らに話した


    絵描きの少女「どう、思いますか……?」


    白イルカはイルカ的視点で、彼女の問いに答えた


  • 148二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:48:02

    うーん悲しいな一個はどうにかなりそうだけどあと二つは…

  • 149二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:48:13

    ギレンのバルチャーも個性的なメンツが揃ってきたな

  • 150二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:48:40

    一両日が過ぎ、ヘビィ・フォークの出発の準備が整った

    想定以上の速さだったのはモニクの働きが大きい

    人員は整備され、アンデス級戦艦は売却し(これは町の歓心を買っておいたギレンの妙もある)資金を整えた


    ギレン(思わぬ拾い物をした……)


    ギレン(いや、公国軍人ともなれば優秀なのは当然か)


    艦長席で満足気なギレンだが、赤い二連星の報告に耳を疑うことになる


    ギレン「左舷後方に浸水とはどういうことだ!?」


    赤い二連星「そ、それが、先日仲間になった女の子が」


    赤い二連星「ヘビィ・フォークの左舷に水を汲み上げています!!」


    ギレン「なんて?」


    赤い二連星「あ、でもモニク副長の許可は得ているそうです!!」


    ギレン「なんて?」


  • 151二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:48:44

    憐れマイ
    AWではっちゃけすぎたバチが当たったな

  • 152二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:49:18

    ギレン「モニク副長! 彼女は一体何をしているのだ!!」


    モニク「はっ! 彼女の仲間は水がなくては暮らしていけない為、水を用意しました」


    ギレン「どういうことか!!」


    赤い二連星「あ、水の中にイルカが入ってきました!!」


    赤い二連星「な、なるほど。あれが彼女の仲間……!!」


    ギレン「何を馬鹿な!?」


    モニク「現在ヘビィ・フォークはその巨大さに反してクルーが足りておりません」


    モニク「なので左舷後方の一部にプールを作っても問題ないと判断しました」


    モニク「循環器も用意しており、白イルカ本人より快適のお墨付きを頂いております」


    ギレン「なんて?」


  • 153二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:49:57

    イグルーの人たちは頭のネジ2本ぐらい外れてるのがデフォなの?

  • 154二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:50:43

    ドチャクソに動揺するギレンで草

  • 155二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:50:44

    ペイン「ギレン艦長、あのイルカは人語を理解する特殊なイルカです」


    ペイン「私が確認しました。間違いなく有為の人材です」


    もし1年前であったらニュータイプと表現していたかも知れない、とペインは遠い目をした


    ギレン「人材というかイルカだぞ……イルカ材だぞ……」


    モニク「エンジン点火! 出発準備」


    艦長であるギレンを無視し、モニクが音頭を取る


    赤い二連星「りょ、了解!!」


    ヘビィ・フォークが轟音を立てる。のち、ホバーにより船体が浮き安定する


    ギレン「く…まあいい、処遇はおいおい考え……」


    モニク「フリーデンに通信開けッ!!」


    赤い二連星「は!!」


    ギレン「何やってるのッ!!」

  • 156二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:50:58

    ギレンがギャグとシリアスの狭間を反復横跳びしておる……

  • 157二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:51:09

    >>153

    じゃなきゃヅダなんて…

  • 158二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:51:45

    その頃、フリーデンでは赤い二連星の通信の違和感に関して再び話し合いが持たれていた


    マドナッグ「やはり連中は何かを隠していると思われる」


    シャムス「何かって何よ?」


    マイ「それがわかったら苦労しません」


    ガロード「もういっそ連中の艦に忍び込んで見る? メンバーは俺とザコと……」


    パーラ「おめーは自分が艦長なことを自覚しろ」


    ステラ「ステラ行く! 潜入は得意!」


    パーラ「ステラも副長だかんな!?」


    トニヤ「ちょっと、噂をすればなんとやらよ! ヘビィ・フォークから通信!!」


    ガロード「モニター出して!」


    フリーデンのモニターにヘビィ・フォークの艦橋が映る

    と同時に、画面に映った人物にトニヤら一部を除いたメンバーが思わず吹き出した


    ガロード「ギレン・ザビじゃねーか!!!」

  • 159二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:51:48

    オーバーしてる女はこえーな

  • 160二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:51:56

    例のクソ出目のせいで仲間入りできなかったイルカさんがギレン側の仲間になるのか

  • 161二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:52:59

    バルチャー立ち上げたかと思ったら面白集団と化したギレン達

  • 162二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:53:18

    ギレン「キャディラック特務大尉、なんのつもりか!!」


    フリーデンに自らの存在を明かすとすれば戦力が整った後である

    こんな早いタイミングで存在をバラすメリットなどギレンにはない。ギレンには


    モニク「フリーデンの諸君、特にオリヴァー・マイ技術中尉!!」


    マイ『はっ…大尉!?』


    モニク「ギレン総帥はここに健在である!!」


    モニク「総帥はこの世界を支配すると我々に仰られた!!」


    ギレン「常々思って入るが口に出すほど迂闊ではないっ!!」


    モニク「この暴挙を止めたくば私を…もとい我々を必死になって追いかけることだ!!」


    モニク「追いかけてこい! 中尉!!」


    ナンパ男「やっぽー! そういう訳だから」


    ナンパ男「マリーダちゃんも俺のこと追いかけてきてね♪」


    マリーダ『お前……』


    モニク「通信、切れ!」


    驚愕したマイの表情を認めたモニクは満足気に赤い二連星に命ずる

    そして呆然とするギレンを余所に、ヘビィ・フォークの発進を命じた

  • 163二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:53:54

    恋する人間>俗な野心で動く政治家


    ガンダムXなら当然なんだなぁ

  • 164二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:53:59

    なんなのあの人たち……

  • 165二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:54:39

    揺れるヘビィ・フォークの中で絵描きの少女は

    フリーデンが自分たちを追いかけてきているのを感じた


    絵描きの少女「ガロードが、追いかけてきます」


    今はまだ捕まる訳にはいかない。逃げ切り、相手に意識させつつ

    戦力を蓄え、逆に喰らうのがモニクの作戦である


    絵描きの少女「なるほど……」


    彼女の足元の水槽で泳ぐ白イルカはキュイキュイと鳴き声を上げた


    曰く――…


    『子供を産んで番になるまでは番じゃない』


    ガロード・ランとステラ・ルーシェの間に子供が居ないのだから

    2人は番ではなく、まだ全然少女にチャンスはあるよと

    この水生哺乳類は畜生の論理で彼女の背中を押しやがったのあった


  • 166二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:54:51

    >>ギレン「常々思って入るが口に出すほど迂闊ではないっ!!」

    思いっきり口に出しちゃったんだよなぁ

  • 167二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:55:23

    シロッコ「ギャグキャラはいいぞ、ギレン・ザビ」

  • 168二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:55:26

    獣の理論だー!

  • 169二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:55:51

    ガロード「待ちやがれーーー!!!」


    モニク「ふふふ…追いかけてこい!!」


    A.W.に生きるものは誰も彼もが逞しい


    ギレン「……ペイン」


    ペイン「彼女たちに翻弄されるようであれば、貴方もそこまでの人間ということでは?」


    ギレン「ふっ、挑発しようというのか?」


    ギレン「まぁよかろう、間違った意見ではない」


    ギレン「だが私を侮って後悔せんようにな」


    一人と一匹の能力者を抱えながらも、ギレンは野心を捨てはしない

    彼女らを出し抜き、利用し、自らの望みを叶えようとするだろう


    ギレン「進路を変更せよ! このままではフリーデンに捕まるぞ!」


    彼の明敏な頭は既にフリーデンから逃げ切る算段をつけているようだった


    ギレン「ヘビィ・フォーク3時の方角へ回頭ッ!!」

  • 170二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:56:24

    白イルカさんガロティファ気ぶり勢だったかー

  • 171二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:57:20

    フォートセバーンで行われた国際会議は滞りなく進み

    3日目までに幾つもの取り決めが結ばれた

    正式な調印はまた後日になるし、新たな議題も浮かんできた

    しかし、次を見据えられること自体が前進であろう


    ジャミルの秘書であるオルガは今日の予定が全て消化されたことを彼に伝えた

    しかし夜が明ければもう新年であり、翌日には各国首脳陣が参加する新年を祝うパーティがある

    国際会議ほど硬い場ではないのでオルガたちだけでなく、カリスやカトック、バルトフェルドらも参加する

    商機なのでダリルも顔を出すつもりらしい。ひょっとしたらシャアが突然現れるかも知れない


    そんなジャミルの元に当のダリルと、それからランスローもやってきていた

    彼らは翌日のパーティで顔を合わせるだろうが、ゆっくり話す時間は取れないだろう

    新連邦に復帰したジャミルは、ウィリスらの後押しもあり

    新連邦再編協議会の議員として軍籍にありながら政府の末席にも身を置く


    かつての英雄、今度の動乱を収めた功労者、反新連邦からの支持があるとはいえ

    弱冠30歳のジャミルは苦労することも多い


    ジャミル「彼らには随分助けられている」


    フリーデンを解散した後、ジャミルについてきたオルガ、シャギア、シュタイナー、バーニィ

    彼らには感謝してもしきれないとジャミルは語った


    ダリル「悪いな、見捨てて」


    ジャミル「いや……政府の外にも仲間がいること以上に頼もしいことはない」


    この冗談が通じない感じがジャミル・ニートだなとダリルは懐かしさを感じた

  • 172塵になった気ぶり勢23/02/04(土) 02:57:24

    実際合切どうなるかは…スレ主とダイス次第だからな……

  • 173二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:57:32

    この独裁者実は木星帰りだったり頭に輪っか乗せてたりとかしない?

  • 174二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:58:21

    ジャミル「15年、自営自活のバルチャーをやっていたからな」


    ジャミル「組織の中で生きる難しさを感じているどころだ」


    組織人としてやってきたランスローのように上手くやれないと、ジャミルは語るが

    ランスローの方こそ、外の人間との繋がりとトップとしての決断力はジャミルを意識している


    ジャミル「お互いにお互いが羨ましいというのは妙な話だな」


    ランスロー「みなそれぞれの15年を、戦後社会を生きてきたのだ」


    ランスロー「過ちもあったが、それだけが全てではない」


    ランスロー「この世界で生きてきた時間、誰にとっても決して無意味ではない」


    あの時みた刻よりも、眩しくはなくとも尊い輝きがそこにはある

    ジャミルは大きく頷いた。窓の外では新年を祝おうとするフォートセバーンの市民たちがひしめいている

    彼らの中にはアースノイドもいて、スペースノイドもいて、異世界の人間もいる

    みな、吐く息は等しく白く、胸に抱くものは新年への期待だ

  • 175二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 02:59:18

    ダリル「しかし心残りはギレン・ザビだな……」


    渋い顔でダリルは口にする。それさえなければもっと気楽に新年を楽しめるのだが


    ランスロー「あの男には以前直接顔を合わせたな……」


    ランスロー「自分を信じて疑わない強靭さと、人類への冷徹さ、そして野心を感じさせた」


    ランスロー「すまない。責任をもって監視するといいながら」


    頭を下げるランスローをダリルは慌てて止めた


    ダリル「すまん、そういうつもりじゃない」


    ダリル「俺は宇宙世紀の人間だから、どうしてもギレン・ザビを無視できないんだ」


    そういいながら、ダリルはシャアが自分の歴史に拘ったのが少し理解できた

    他人のギレンですらダリルはこう思うのだから、自分自身の未来なら尚更だろう


    ダリル「この世界に禍根は持ち込みたくないな……」


    この世界で出会いがあり、別れがあった。ここに残るのは、この世界を愛しているからだ

    だから平穏であって欲しい。そんな当たり前のことを実現するために、こうして皆努力している

  • 176二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:00:56

    ジャミル「君たちには申し訳ないが、私は意外と楽観視している」


    ランスロー「何?」


    ギレンとはジャミルも会っている。その危険性をジャミルが感じなかったとは思わない

    それでもなお、楽観視できる理由があるなら、ランスローはそれを聞きたかった


    ジャミル「今の所、ギレン・ザビを受け入れたという勢力は聞き及ばない」


    ダリル「新連邦にも偽名と変装で潜り込んでたみたいだし、ツテらしいツテもないんじゃないか?」


    ランスロー「ならば彼らはどうするつもりなのだろう」


    調べたところ、ペインが己の私財と、ニコラの遺産の一部を持ち出していたのは分かった

    だが巨大な組織を運営できるだけの金額とはいかない。せいぜい……


    ダリル「バルチャーをはじめるぐらいか……?」


    ジャミル「ああ……」


    机の上にはジャミルが持ち込んだ仕事道具がある。ペンやコンピューターの他に

    写真立てが一つ置かれている。それにはフリーデンのクルーの写真が納められていた

  • 177二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:01:20

    真夜中の荒野でフリーデンは立ち往生していた


    ガロード「くそう、見失ったぜ」


    ステラ「むぅ……巻かれるとは思わなかった。次は捕まえる」


    トニヤ「っていうかココどこ?」


    シャムス「ま、暫くは補給無しでも大丈夫だろ。フリーデンなら」


    マリーダ「それなら次にやることは決まってるな」


    カテジナ「マイの取り調べだね」


    プルツー「敵の女とどんな関係かミッチリ吐かせてやるさ」


    マドナッグ「連れてきた」


    簀巻きにされたマイが床に転がる


    マイ「僕は何もしてませんよ!!」


    何もしてないからこうなったのである

  • 178二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:02:11

    パーラ「ところで親父、そのケーキは?」


    ステラ「マイの顔面に塗りたくる?」


    プル「違うよー! みんな気づいてないの?」


    プルが合図し、入ってきたザコたちが同時にクラッカーを鳴らす

    一糸乱れぬ行動は流石のものがある


    ザコ「ハッピーニューイヤーザコ!!!」


    ガロード「あー……新年か……」


    ガロード「こんな形で迎えるとはなぁ……」


    なにやらどっと疲れが押し寄せてきた気がガロードはした

    夜空には満月が輝き、浮かれた鳶が夜にも関わらず飛んでいる。


    ガロード「ま、いいか! 新年はめでたいしな!!」


    ガロード「フリーデン総員、今日は騒ぐぞ!!」


    トニヤ「そうこなくっちゃ!!」

  • 179塵になった気ぶり勢23/02/04(土) 03:02:16

    ナニかしてたら見捨てた事になって何もしてなかったからこうなった
    救われないな……マイ

  • 180二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:03:14

    荒野で新年をみんなで迎えるなんて格別だぞ

  • 181二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:03:49

    新年を告げる鐘はすでに鳴り終わり、市民たちも一通り騒ぎ終わり、人はちらほらと残っているものの

    深夜の静寂が戻り始めていた残っている人は日の出を待っているのだろうか


    ジャミル「この大地に立って一人で歩いたとき、得られるものがある」


    ジャミル「巡り合った人は、人を変えていくのだ」


    フリーデンの仲間が、ガロードたちが、ジャミルをここまで歩ませてくれた

    一つ一つ、思い出話をし、そして話が脱線していたことに気づいたジャミルは、珍しく、芝居がかった咳払いをして、話を切り出した


    ジャミル「ギレン・ザビとて、違わないのではないかと思うのだ」


    あのパプテマス・シロッコですらガロードとの戦いで考え方を改めた

    そうランスローは思い返す。ならばジャミルの言うこともあり得るかも知れない

    もっとも、希望的観測だけで動けないのはお互いの立場で、ジャミルも無論、ギレンを放置する気はないだろう


    ランスロー「それでも、そういう未来もあってもいいな」


    そのために努力するのならば

    ガルマ・ザビが兄を倒そうとしたのを止めたのは、そういう未来にしてみせると信じたからだ

    D.O.M.E.に言われる前から、本当は選べていた


    ジャミル「フリーデンを解散した時、本当は寂しくてな」


    ダリル「知っている。みんなそうだった」


    ジャミル「だがすぐに新しい旅がはじまった……」


    ジャミル「きっと誰もがそうなのだろう」

  • 182二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:07:16

    どんちゃん騒ぎの後で、ガロードは外の風に当たりにフリーデンのデッキへ出た
    空が青白さを増していく

    ガロード「おっ…」


    夜勤を交代し、ようやくアムロは休憩時間となる
    医者に正月もなにもないなと、過酷な現場を選んだのは自分だけれどと
    テクスから渡されたコーヒーに口を着け、眠気を覚ましてしまったことを後悔した

    アムロ「ん…」


    自警団の各警備責任者をカリスは視察する。彼らは返ってカリスの体調を心配したが
    彼も身体を壊す気はないと、笑って応じた。生きることが戦いであることを、少年はよく知っている

    カリス「ああ……」


    新年だというのにスレッタは農地開拓に精を出す。曰く「水星に正月はない」意外とスパルタだ
    だがここは地球なのだからと、宇宙生まれ宇宙育ちの元サテリコンの入植者に連れて行かれる

    スレッタ「ふぇ?」


    フォートセバーンに自分がやってくるのを期待されているのを感じていたシャアだが
    身重の妻を放って向かうわけがないと彼はいう。足がウズウズしているのをアルレットは見逃さない

    シャア「む?」

  • 183二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:07:58

    威勢のいいガンダム乗りの後輩をドートレス・ネオでしごいた後はしこたま飲ませて息抜きをさせた
    酔っ払った青年に偶々やってきたルクスとグラントがリー将軍の帽子を被せ、互いに頷く

    スネオ乗り「あー…」


    正月にはそれそれの文化圏でそれぞれの衣装があって、コロニー住民にはそれぞれのルーツがある
    年末にかけてクリーニング屋はちょっとした万国博覧会といった風だ。その忙しさがようやく終わり
    坊っちゃんだちは早寝早起きで就寝して、一人クァンタンだけが店で酒を飲んでいた

    クァンタン「……」


    グラハム・エーカーがこの日の為に用意していたのか、紋付袴でジュピトリスを練り歩いている
    妙に派手な傘でザコソルジャーを転がしているが、無重力であれば落ちる筈もないし
    そもそもその芸は和傘でするべきだろうとシロッコは頭を抱えた

    シロッコ「ふ……」


    ギレン・ザビは大晦日の為に蕎麦粉を密かに用意していた。しかし大逃走の果てに、年越し蕎麦の機会は失われ
    モニクが作ったガレットを頬張っている。至急、コックを雇う重要性を感じていた

    ギレン「うむ……」

  • 184二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:08:51

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  • 185二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:10:40

    地平線が銀色に輝いていく


    戦後16年、最初の日の出だ……とジャミルは輝く大地をみて思う

    明日のパーティを思えば、寝ておいた方がいいのだが、仕方あるまい

    未来の分からない朝は何時だってドキドキするものなのだから



    新しい時代へ……



    ジャミル「旅がはじまる」


  • 186二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:11:25

    【新連邦軍】
    協議会議員:ジャミル・ニート
    議員秘書:オルガ・イツカ
    議員秘書:シャギア・フロスト

    少佐:ハーディ・シュタイナー(乗機:アシュタロンHC+P.D.ディバイダー)
    准尉:バーナード・ワイズマン

    アフリカ分司令:ロマノフ
    司令補佐官:真面目な女性

    【国際医師団】
    医師:アムロ・レイ
    医師:テクス・ファーゼンバーグ

    【バルチャー・二代目フリーデン】
    艦長:ガロード・ラン(乗機:ガンダムDX・サテライトキャノン抜き)
    副長:ステラ・ルーシェ(艦長適正100、エクステンデッドと人工NTのハイブリット)
    通信士:トニヤ・マーム
    操舵士:パーラ・シス
    MS乗り:マリーダ・クルス(乗機:ガンダムアレウス)
    MS乗り:カテジナ・ルース(乗機:トールギスワルキューレ)
    MS乗り:プルツー(乗機:ロズウェル・ジェガン重装備型・バーナム仕様)
    MS乗り:シャムス・コーザ(乗機:ブルデュエル)
    チーフメカニック:ガンダムマドナッグ(親バカ)
    メカニック:オリヴァー・マイ
    船医:エルピー・プル
    クルー:ザコソルジャー
    MS:エスペランサ

  • 187二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:12:50

    【交易バルチャー】
    首領:グリーツ・ジョー
    部下:スティング・オークレー

    首領:ローザ・インテンソ
    部下:カロッゾ・ロナ

    首領:ロッソ・アラマント
    部下:嵐の騎士トールギス

    【野に解き放たれた変態】
    犯罪者:闇の騎士デスサイズ

    【フォートセバーン】
    自警団隊長:カリス・ノーティラス(乗機:ガンダムF91)
    自警団隊員:ゼハート・ガレット

    【中米海洋通商同盟委託護衛兵団マルダーフント】
    CEO:アンドリュー・バルトフェルド(乗機:アトラスガンダム)

    移民屯田兵:元サテリコンのみなさん

    保有戦力:ジェガン・バーナム仕様
         ドーシート

    【運び屋・ホオリ】
    船長:スレッタ・マーキュリー(乗機:エアリアル)
    副長:エアリアル(モビルシチズンボディ)
    操舵士:中分けの気のいい青年

  • 188二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:13:48

    【セインズアイランド】

    軍事顧問カトック・アルザミール

    保有:ガンダムヴァサーゴ


    女店主:エニル・エル

    バルチャー:ルマーク・カウト


    【ダントンエレクトロニクス】

    社長:実写シャア・アズナブル

    副社長:アルレット・アルマージュ(社長夫人)

    お腹の中:アフランシ

    社員:ダリル・ローレンツ

    社員:マイルズ・グッドマン

    社員:キッド・サルサミル

    社員:ロココ

    社員:ナイン


    【エスタルド人民共和国】

    国家主席:ウィリス・アラミス

    主席補佐:ルクス・ハノマアク

    人民会議議長:グラント・スチュアート


    エスタルド軍:エスタルド兵

           元新連邦兵×5(乗機:ドートレス・ネオP.D.B.M.P)

           威勢のいいMS乗り(乗機:ガンダムエアマスター)


    MS:ドートレスフライヤー(新連邦払い下げ)

      エスタルドス


    P.D.B.M.P=プラネイトディフェンサーおよびドラゴンハング<EW>(R)ビームシールド<S.C.>(L)装備ミノフスキーエンジン<ZZ>搭載サイコフレーム仕様

  • 189二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:17:14

    【クラウド9】

    代表:ランスロ―・ダーウェル


    国家議会軍総司令:ガルマ・ザビ

    国家議会軍:ベルノ

    国家議会軍:ネラー・ガモウ


    【ヴァルタークリーニング】

    代表:クァンタン・フェルモ

    社員:元新連邦エリート兵

       元ジゴックファイター


    【国際宇宙開発局】

    局員:セレーネ・マクグリフ

    スタッフ:ザコソルジャー


    木星船団団長:パプテマス・シロッコ

    ソレスタルビーイング:グラハム・エーカー<メタル>(乗機:∀ガンダム)




    【ブラックリストバルチャー】

    艦長:ギレン・ザビ

    副長:モニク・キャディラック

    通信士:赤い二連星

    操舵士:赤い二連星

    科学者:ペイン・ネル

    MS乗り:ナンパ男(乗機:ガンダムレオパルド)

    クルー:絵描きの少女

    クルー:白イルカ

  • 190二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:19:03

    【完】


  • 191二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:20:41

    お疲れ様でございました!

  • 192二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:21:39

    この4ヶ月間本当にお疲れ様でした!

  • 193二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:22:14

    完結乙です

  • 194二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:22:21

    乙です!
    とってもすごいもの(神SS)を見たんだ(ZZ並感)

  • 195二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:22:26

    乙でした

    最後に面白集団が出来たのと変態が野放しになってるのはある意味A.W.らしいな

  • 196二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:22:59

    お疲れ様でした!! 素晴らしい物語をありがとうございました!!
    気が早いかもしれないけど、次回作の予定とかありますか?

  • 197二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:23:30
  • 198二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:24:52

    >>195

    原作でもフロスト兄弟が野放しになってるしね

  • 199二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:33:44

    ニュータイプの名前を出して職探ししてた二人組が、無事(?)に新しい職に就くことができてよかったね!

  • 200二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 03:57:04

    第1話【私はバルチャーをはじめた】 最終話【彼らはバルチャーをはじめた】
    対になっているスレタイが素晴らしい……!!

オススメ

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