ここだけです「、トレーナーさん

1◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 20:41:31

ここだけマーちゃんと

dice1d5=2 (2)

1.出会わなかった世界

2.ラブラブな世界

3.結婚した世界

4.身体が入れ替わった世界

5.兄妹の世界

2二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:41:51

ここだけ…？

3◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 20:42:24

タイトル誤字った…

4二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:43:04

ここだけ…？

5◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 20:44:25

もうこのまますすめます
立て直せそうにないので

6二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:45:09

割とそこそこの世界線でラブラブになってそうというか、ラブラブな状態に持ってける奴なんてトレーナーぐらいのものでは？

7◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 20:49:01

ふふふ、おはようございますトレーナーさん♪
む……どうしてそんな驚いたようなお顔をしているのですか？　ぎゅってしてしまいますよ？

はい、ぎゅーっ……です
昨日の夜は寂しかったのです
あなたに会えない時間が一晩あるだけでもつらくてつらくて、眠れる自信がありませんでした

トレーナーさんはどうですか？
本当ですか？　そうですか、ふふふ
だからこんな朝早くから出勤しているんですね？

ほえ、マーちゃんですか？
マーちゃんも……えへへ、おんなじなのでして
あなたに会いたくて会いたくて、実はもう30分前くらいからずっと待っていたんです

なのでおててはもうひえひえです
ね、握ってみてください

……ね、冷たいでしょう？
温めてくれますか？　……あなたのぬくもりで

……入りましょうか、トレーナー室

8◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 20:56:31

エアコンがついてないと、お部屋の中もひえひえですねえ
ささ、トレーナーさん、こちらにどうぞ
何をしているんですか？　カバンを置いて早くこちらにきてください
マーちゃんの隣があいていますよ？
寂しそうですね、悲しそうですね、ひえひえですね……

早くあなたのぬくもりを感じさせてくれませんか
マーちゃんずっと待っていたんです、寮から出られるようになってからずっとずっと

5時半くらいから、ずっと
空が真っ暗な時間から、ずっと

……ふふ、やっときてくれましたね
ぎゅーってしちゃいます

ぎゅーっ

トレーナーさんも……してください
ふふ、はい……ぎゅーっ

……あなたの香りがします
あたたかくて、やさしくて……大好きです
む、知ってる……ですか

ふふ、そうですか
そうに決まっていますよね

マーちゃんはあなたのことが大好きですから

9◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 20:58:32

……トレーナーさん？

どうしたんですか

マーちゃんに言ってくれないんですか？

大好き、って

dice1d3=3 (3)

1.大好き

2.言えない

3.何かおかしい

10二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:00:34

流石の泣きゲー主人公力

11二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:02:28

どこでもラブラブになれ

12二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:02:54

話が急転しそうなdice来たわね

13◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:05:03

何かおかしい……ですか……？

なにもおかしくありませんよ

いつもしていることじゃありませんか

いつもふたりで学校に来て、トレーナー室で過ごしています

授業が始まるまではここでふたりで愛し合っているでしょう？

昨日も一昨日もその前も、ずっとずっとそうしていたのです

……そうでしょう？

忘れてしまったのですか？

dice1d2=2 (2)

1.覚えている

2.知らない

14◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:09:49

知らない……？

知らないはずありません

そんなわけありません

マーちゃんは昨日もあなたと過ごしていましたよ

あなたと朝からここで過ごして、膝枕をしてもらいました

授業が始まるまで、眠くなったわたしを優しく寝かしつけてくれました

あなたはそんなマーちゃんを優しく撫でながら、少しだけお仕事をしたり……マーちゃんの寝顔を写真に撮って、遊んだり……

……していました、よね……？

どうして知らないなんて、そんなことを

違う、って何がですか

何が違うんですか……？

dice1d3=2 (2)

1.キミは僕の知るマーチャンじゃない

2.ここは僕の知る世界じゃない

3.僕はキミを知らない

15二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:10:34

流石マートレ！

16二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:12:07

世界線を漂流してしまったタイプのマートレか
理解が早すぎる

17◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:16:22

そうですか……そうですか
あなたは……流れてしまったのですね

流れて、流れて、流れて、落ちて
その途中に、マーちゃんのトレーナーさんに掴まってしまったのですね

でもマーちゃんのことを知っているのは、良かったです
あなたの世界にもマーちゃんはいるのですね

……でも、あなたはわたしのトレーナーさんではありません
なので……あなたにはまた流れてもらいます
マーちゃんのトレーナーさんを返してください

返してください

あなたは、わたしの世界には必要がないのです

18◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:17:23

ここだけです、トレーナーさん

ここだけマーちゃんと

dice1d4=4 (4)

1.出会わなかった世界

2.結婚した世界

3.身体が入れ替わった世界

4.兄妹の世界

19二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:17:46

育成目標未達成でマーちゃんが忘れられた世界のマートレの可能性もある

20◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:26:21

……────……

────……────

おや、おはようございます

よく寝ていましたね、もう朝なのですよ

？　何を言っているんですか、ここはわたしたちのお家じゃないですか

もう、しっかりしてください、

dice1d3=1 (1)

1.お兄ちゃん

2.兄さん

3.（名前呼び）

21◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:28:59

もう、しっかりしてくださいお兄ちゃん

？　はい、あなたのラブリーな妹のアストンマーチャンなのでして

……まだ寝ぼけているんですか？

兄妹仲

dice1d100=76 (76)

100に近いほど良好

80以上でブラコン

22二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:30:01

ギリギリか

流れに若干ホラーっぽさ感じたのは自分だけ？

23◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:35:54

ふふ、おかしなお兄ちゃんですね
トレセン学園に入学するとき、ちょうどトレーナーさんになったお兄ちゃんのお部屋にお邪魔することになったんじゃありませんか

寮のお金も浮いて、マーちゃんもお兄ちゃんというトレーナーさんをゲットできて順風満帆なのでして

ふふふ、兄妹パワーでマーちゃんを世界一のマスコットにする計画は順調ですよ

それなのに……忘れちゃダメじゃないですか
こんなに可愛らしくてラブリーな妹ちゃんなのに
あのあばれ妹よりよっぽど優しいですし、ラブリーですし、お兄ちゃんのお世話だって嫌がらずにしますよ

こんなに優しい妹、世界を探してもマーちゃんくらいでしょう

……そうでしょう？
ふふふ、そうでしょうとも

24◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:43:13

さ、お弁当もできてますよ

早く朝ごはん食べちゃってください

マーちゃんはお着替えしてきますので、お兄ちゃんのお部屋借りますね

覗いちゃダメですよ

ふふ、いくらラブリーな妹でもそれは犯罪なのですから

・・・

……さてと、これでお着替えマーちゃんタイムも終了です

ふふふん！　制服姿のマーちゃんもとっても可愛いでしょう？

dice1d3=1 (1)

1.可愛いよ

2.待ってくれ

3.ここも違う

25◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:46:15

ふふふ、ありがとうございます
お兄ちゃんのお墨付きなのでトレセン学園でもきっと一線級の可愛さでしょう

さあご飯食べたらお兄ちゃんもお着替えしてきてくださいね

今日は6時半から朝練がありますので

あと30分しかありませんよ、はりーあっぷあっぷです！

26◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 21:56:37

いってきます

……ちゃんとお兄ちゃんも言ってくださいね
はい、それでよいのです
いってらっしゃい

ふふふ、兄妹揃って学校に行くなんて……何年振りでしょう
小学校以来ですね、ふふふ
お兄ちゃんが高校に行く時、途中まで送ってくれたんですよね

今でも覚えてますよ
毎日手を握って、歩幅を合わせてくれて、時にはおぶってくれて

大学生になってからは実家を出てしまったので、もう一緒に行くことは無くなりましたけど……

……また、一緒に登校することができて嬉しいのです
ふふ、登校するのはマーちゃんだけで、お兄ちゃんは出勤ですけどね

27◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:01:49

……さあコースにつきました！

よろしくお願いしますお兄ちゃ……ん、ではないですね

学校なので

……────トレーナーさん！

……トレーナーさん？

どうしたんですか、とれ……

……お兄ちゃん？

dice1d3=2 (2)

1.いや、なんでもないよ

2.……違う

3.なにかおかしい

28◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:05:07

違う……？

何が違うんですか、お兄ちゃん？

dice1d3=2 (2)

1.僕はキミのトレーナーじゃない

2.僕はキミのお兄ちゃんじゃない

3.僕はこの世界の人間じゃない

29◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:12:02

……お兄ちゃんですよ？
マーちゃんが生まれた時から一緒にいる、お兄ちゃんなのです
同じ家で暮らして……いつも、いつも優しくしてくれて、いつもマーちゃんと、もうひとりの妹の……頼れる、お兄ちゃんで

…………お兄ちゃんじゃ、ないのですか……？

あなたは、誰ですか？

……そうですか
そうなんですか

あなたは……違う世界の、あなたなんですね
流れて、ここに辿り着いたんですね
ふむ……ふむふむ
頑張っているんですね

理由は、分かりませんが
……分かりませんが、頑張っているのですね

ごめんなさい、マーちゃんのお兄ちゃんはあのひとだけなのです
だからあなたがここにいては……いけません

また、流れてください
そうして、あなたの……マーちゃんを……────

30◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:13:11

ここだけです、トレーナーさん

ここだけマーちゃんと

dice1d3=2 (2)

1.出会わなかった世界

2.結婚した世界

3.身体が入れ替わった世界

31二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:15:42

マートレがまた泣きゲーみたいな事やってる…

32◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:18:35

おはようございます

ふふふ、寝顔を見ていました

今日も可愛いなあ、って思いながら……

……おや？　泣いているのですか？

どうしたんですか、あなた

怖い夢でも見てしまいましたか？

泣かないでください、マーちゃんがいますから

はい、あなたの愛する奥さんのマーちゃんですよ

ほら、ぎゅーってしてあげますから

……ね、落ち着いて

あなたのマーちゃんがここにいますよ

dice1d3=2 (2)

1.違う

2.違う

3.違う

33二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:20:00

ヒェッ…

34◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:23:07

違う……？
どういうことですか？

大丈夫、今日はお休みですから
マーちゃんにゆっくり話してみてください

あなたの奥さんは宇宙一のマスコットです
どんなことでも優しく大きく受け止めてあげちゃいますよ
そのために大きな胸をしているので

……すみません、茶化す雰囲気ではありませんでした
マーちゃん失態です、しっぱいマーちゃんでした

落ち着いて、落ち着いて

ゆっくり呼吸をしてください
静かに、落ち着いて、ゆっくりと

わたしが優しく受け止めていますから
パジャマが涙でぐしょぐしょになるのも気にしません
大切なあなたの涙ですから

あなたが辛いとき、助けてあげるのはわたしの役目
いままで何度もわたしを助けてくれましたから

さあ、我がマーちゃん号に乗船されたお客さま
船長のマーちゃんにお話ししてみてください

35◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:26:54

トレーナーさんが世界を流れている理由……────

dice1d3=1 (1)

1.マーちゃんを探している

2.海に流れ着いた

3.覚えていない

36二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:30:52

ア　カ　ン

37◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:33:36

ふむふむ、マーちゃんを探しているのですか

あなたがいままで流れ着いた世界にもマーちゃんはいたのですよね？

でもあなたはそれを拒み、世界を流れ続けている……そうなのですね

この世界にもマーちゃんはいます

あなたの……今はあなたですが、あなたが借りている身体の本来のあなた……

む、ややこしいのです……では、こうしましょう

わたしのトレーナーさん

わたしのトレーナーさんと結婚した、マーちゃんがこのわたしです

あなたは……どうしてマーちゃんを探しているのですか？

dice1d3=1 (1)

1.マーチャンが先に流れてしまった

2.マーチャンが世界から忘れられた

3.マーチャンより先に流れてしまった

38二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:34:19

Oh...No...

39二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:35:57

繋ぎ止められなかったのか...でも覚えてはいるんだよな

40二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:39:42

運命力があればきっと流れが引き合せるはず

41◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:41:39

そうですか、そうですか
マーちゃんは……あなたより先に流れ着いてしまったのですね

だからあなたは……あなたが流れたあと、マーちゃんを探すことにしたのですね
またマーちゃんに会うために、探しにきてくれたのですね

……抱きしめても、いいですか？
あなたはわたしのあなたではありません
ありませんが……あなたがマーちゃんのことを、そこまで思ってくれていることが嬉しいです

なので……代わりというわけではありません
ありませんが……マーちゃんの代表として、あなたにお礼をさせてください

……ぎゅーっ

ふふ、マーちゃんに抱きしめられるのは初めてですか？
む……初めてではない、と
ふうん、そうですか……それはそれは

いえいえ、嫉妬なんてしていませんよ
あなたはわたしのあなたではないですし

……ただ、同じ顔で同じ声で同じ名前で、同じ精神性をした……違うあなたなだけで

嬉しいなあ……えへへ
他の世界でも、マーちゃんと……一緒に流れようとしてくれるヒトがいるんですね
“あなたもいなきゃいや”と言ってくれるひとが、いるんねすね

42二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:42:59

良い…

43◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:43:55

……トレーナーさん
身勝手なお願いです
独りよがりなお願いです
あなたからすれば、言われるまでもないかもしれません
余計なお世話であるかもしれません

でも、それでも

マーちゃんを見つけてください
あなたの……あなたが大切にしてあげたかったマーちゃんを
あなたが大切にしてあげられなかったマーちゃんを、見つけてください

約束ですよ
きっと、きっと見つけてあげてください
あなたの大切なマーちゃんは……きっと、あなたを待っています

きっと、きっと
あなたを……────

44二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:43:55

多くの世界線でマートレとマーチャンは一緒だなんて素敵だなぁ…(流れている事実から目を逸らしながら)

>>46

45◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 22:47:36

ここだけです、トレーナーさん

ここだけマーちゃんと

dice1d2=2 (2)

1.出会わなかった世界

2.身体が入れ替わった世界

46二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:47:56

>>44

会えぬまま流れることもなく停滞し続け融けたマーチャンも居るのだろうな

47二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:49:33

おっとここで引いたか

48◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:00:19

……────……
────……────

目が覚めて、首を傾げた
布団から起き上がって、目を疑った
鏡を見て、膝から崩れ落ちた

何度も探した
たくさん探した
どれだけ探しても、見つからなかった

その果てに、僕は
僕は……────アストンマーチャンになっていた

スマホには僕のLANEが登録されていたので、30分後にトレーナー室に集合するように連絡をした

【分かりました。すぐに行きます】

返事はすぐに戻ってきて、焦りかけた心が少しだけ落ち着いた
共に暮らす相手のいない部屋で、ベッドに身体を預けて天井を仰ぐ

僕はどれほどの世界を流れただろう
どれほどの、どれほどのマーチャンと出会い、別れただろう

僕を拒絶したマーチャンがいた
僕の背を押してくれたマーチャンがいた
僕を慰めてくれたマーチャンがいた

そうして辿り着いたここでは、僕自信がマーチャンで
……とにかくこの世界の僕に……会わなければ

49二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:02:14

また頭の中のRADWIMPSが勝手に歌いだしそうになってきた

50二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:06:34

世界線漂流みたいなことやってる…

51◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:08:59

30分後、僕はトレーナー室へ来た

部屋の鍵はないため、僕が来るまで待たなくちゃ

……まだか

まだか、僕の身体

僕がマーチャンになっているということは……つまり、僕の身体にマーちゃんが入っている可能性が高い

ありえないなんてことは、ありえない

これまで色々な世界を流れてきたからわかる

僕と夫婦の世界があった

僕と恋人の世界があった

僕と兄妹の世界があった

なら、僕と身体が入れ替わっている世界があってもおかしくはないはずだ

まだか、まだか

そう願い続けてようやく────

僕が、現れた

dice1d2=2 (2)

1.おはよう、マーチャン

2.おはようございます、トレーナーさん

>>54

52◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:15:03

おはようございます、トレーナーさん────

その言葉にひどく安心した
そして同時に、彼女が流れ着く前の……

……最初の僕の世界と同じ関係性の彼女に、涙すら溢れ出してくる

ああ、すまないマーチャン……話を聞いてもらえるかな

少し長いけど……僕を助けてほしいんだ

53◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:22:36

……そうですか、そうですか
流れて、流れて……あなたはここへきたのですね

では目が覚めて、突然マーちゃんで驚いたことでしょう
ふふ、そうですよね、驚きますよね

入れ替わってしまった原因ですか？
それはですね────……

……ここでお話しすることではないでしょう
きっとこの世界のお話の趣旨ではあるかもしれませんが、あなたの旅には不要な情報ですから

はい、ご安心を
いずれわたしたちの身体が戻ることは保証されているのです
ですからあなたは……あなたの旅を続けてくだされば構いません

……そうですか
もう、探すあてがないと

あなたは……これまでどのような世界を巡ったのか、教えてもらえますか？
だいじょうぶですよ
わたしたちはトレーナーと担当ウマ娘
それ以上でもそれ以下でもありませんから

54二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:23:10

>>51

ここのダイス、おはようマーチャンだったばあいやばいことになってた気がする

>>55

55二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:31:02

>>54

対消滅か？

>>59

56二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:32:53

マーチャン……マーチャン…………
あの娘は……誰だ？誰だったんだ？
確かに覚えてた……覚えていたはずなのに！

57◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:34:22

……なるほど、そんな世界があったのですね

マーちゃんと恋人で
マーちゃんと夫婦
マーちゃんと兄妹

ふふふ、どれも楽しそうです
どれも楽しそうで、素敵です

きっとどの世界も、あなたがマーちゃんを繋ぎ止めてくれたのでしょう

あなたがマーちゃんの船に乗り込んでくれたのでしょう

それとも……あなたの船に、マーちゃんを乗せてくれたのでしょうか

でも……あなたにとっては、そのすべてが残酷に見えたことでしょうね
あなたはマーちゃんを繋ぎ止められず、流れさせてしまったのですから

……とりあえずあたたかいものを飲みませんか
マーちゃん、紅茶とコーヒーくらいなら淹れられますから

58◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:38:14

おいしいですか？
……よかったです

あなたはまだ、マーちゃんを探す旅を続けるつもりですか？
……そうですか

そうですね……探すために流れ続けるとしても、限界はあるのかもしれません
世界は無数にあるでしょう
もしかしたら、あなたの探しているマーちゃんが流れ着いた世界もあるかもしれません

ですがその世界に辿り着けるかと言われたら、それはきっと……大きな砂浜からたった一粒の砂を見つけることと同じですから

であれば……ここで、このマーちゃんに乗り換える手もあるのではないでしょうか

……驚いた顔をしましたね
いいえ、実はわたしとトレーナーさんはまだ契約を結んでからそう時間は立っていない状況でして

なので、身も蓋もない言い方をしてしまえば……
まだマーちゃんは、あなたとの絆を紡げておりません

ですから……あなたが良ければ、この世界に留まっても良いのではないでしょうか

あなたがわたしのトレーナーさんになってくれるなら
……マーちゃんを探して流れてきてくれたあなたなら、この世界のマーちゃんは安心できるかもしれません

……もちろん、この世界のあなたが、他の世界のあなたのように繋ぎ止めようとしてくれる可能性もありますけど

……どうですか？
この提案、魅力的では……ありませんか？

59二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:38:49

>>55

入れ替わったのは身体だけじゃなくて存在そのものも入れ替わってしまっていた、とか

>>60

60二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:39:45

>>59

こっわ

61◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:40:46

この世界で、マーちゃんと……

……1から……いいえ、ゼロからやり直すというのは、いかがでしょう

dice1d1=1 (1)

1.それはできない

62二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:42:21

マートレ漢やん

63二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:42:42

よう言うた
いやでも次の世界って…

64二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:44:42

確定演出好き

65◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:46:53

……そうですか
いえ、そうでなくてはいけません

あなたは、わたしを探しているのです
他でもない、あなたの……わたしを

このわたしは、あなたのマーちゃんではないのです
あくまでこのマーちゃんは、この世界のトレーナーさんのマーちゃんですから

今日のことは知らないふりをして、この世界のトレーナーさんを見守ってみます

ふふふ、たのしみですね
わたしが……流れ着く瞬間、あのひとはどうするのでしょう
他の世界のあなたのように、繋ぎ止めてくれるのでしょうか
それともあなたのように失敗するのでしょうか
もしくは、マーちゃんのことを忘れてしまうのでしょうか

……考えるだけで怖いです
とても、恐ろしいです

でもあなたは……もっと恐ろしいことをしています
あなたのこと、マーちゃんは忘れません
マーちゃんを探し、あらゆる世界を流れていく数奇な運命をしたあなたを

わたしは忘れません

……いってらっしゃい、トレーナーさん
あなたがいつか……わたしに会える日を願っています

66◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:49:15

ここだけです、トレーナーさん

ここだけマーちゃんと

dice1d1=1 (1)

1.出会わなかった世界

67二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:53:20

これ最後に残るの運命すぎる

68◆wXEMlU8P1g23/02/07(火) 23:57:37

恐ろしいものを見た

恐ろしいことを知った

恐ろしい世界に、辿り着いてしまった

この世界で、僕は────アストンマーチャンの担当トレーナーではなかった

覚悟したのに

必ず見つけると決めたのに

だから、彼女の申し出を断ったのに

やめておけばよかったと、飲み込んでおけばよかったと思わされる世界があるなんて思わなかった

彼女がいない

僕のそばに、彼女がいない

その代わり……彼女には別の担当トレーナーがついている

僕はその男の顔を知らない

その名前に覚えはない

そもそも出会ったことがない

だが……彼女は、生きている

まだ流れ着いていない

今日の日付は────

3年目5月より……

dice1d2=2 (2)

1.前

2.後

69二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:58:51

良かった…のか？

70◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:01:21

時期は……────僕が失敗した時期を、超えていた
本来流れ着くはずの時間よりも、先の世界

つまりこの世界で彼女を繋ぎ止めたのは……僕ではなかった

トレーニングコースで彼女の隣に立つ、あの男

あのトレーナーがマーちゃんを繋ぎ止めたのだ

そうか、そうか
そうか……────

この世界に、僕は必要がないのか

71◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:07:19

幸い、僕に担当ウマ娘はいなかった
いないままこの時期まで過ごして、学園側から色々と言われているようだった

机には色々な書類やプリントが散らばっていて、この世界の僕は相当腐っていたことが窺える

はは……あのとき、あの子と契約を結べたのはラッキーだったのかもしれないな

あの子に受けた衝撃
あの子を忘れさせたくないと感じた気持ち
それらはすべて真実で、きっと……この世界の僕も感じていたに違いない

だというのに
彼女と契約を結んだのは僕ではなくて
彼女を繋ぎ止めたのは、僕ではなくて

この世界に流れ着いた僕に、価値はなくて

いいや、そもそも

そもそも僕が探していた世界はここではないのだ

72◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:07:50

また、次の世界に

次の世界……に……

…………、…………待ってくれ

いままで、僕はどうやって世界を流れていた……？

73◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:14:20

これまで僕はマーチャンに触れて世界を流れていた
恋人だった世界でも
兄妹だった世界でも
夫婦だった世界でも
入れ替わった世界でも
そのどれでも、彼女が押してくれたおかげで世界を流れられた

……この世界で僕とマーチャンに接点はない
担当ではない、担当のいないトレーナーが話しかけて……どうなる

話しかけて、どうなるというのだ
次の世界に流れるために、背を押してほしいと頼むのか？
担当トレーナーでもない、顔見知りですらない、そんな……赤の他人の男が

74二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 00:22:17

地獄か？

75◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:22:21

この世界で暮らし始めてから、数日が経った
もともとここにいた僕は目覚めることなく、僕の中で眠り続けている

いまは真っ当なトレーナーとして仕事をするため、契約を結ぶべく活動し始めている

これまでの僕を知っていた先輩や同期から、今更かよと茶化されたりもしたが……それはそれだ
学園を駆けずり回り、選抜レースを見て目をつけていた子に声をかけたり

思えば、久しくトレーナーとしての活動をしていなかった

彼女を追いかけはじめて、どれくらいの日数が経ったのだろう
体感では、もう何年も何十年も流れ続けていたような気がする

久しぶりに仕事をしている実感に、すり減っていた心が少しずつ回復していく気すらする

……マーチャンの姿を見ると、回復した心はまたすり減ることに目を瞑って、だが

76二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 00:22:30

頼む、停滞するな

動け

77◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:26:48

ようやく担当ウマ娘ができた
大きな活躍ができるかはまだ分からないが、光るものはあるし伸び代もありそうだ

彼女は最初、自身の才能のなさに腐っていた
出会ったのは校舎裏の不良生徒が集まる溜まり場で、ひとりでいたところに声をかけた

最初は煙たがられたが、何度か話すうちに仲良くなって、思い出作りと称して契約を結ぶことになった

僕だって長らくトレーナー業をしていなかった
お互いゼロから始めるにはちょうど良い相手だったのだろう

78二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 00:28:32

ひょっとしてジャジャマーチャンなんじゃないか？

79◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:32:28

どこか……“彼女”と似た面影を感じるそのウマ娘は、結局レースで活躍することはできなかった

一度も勝つことはできず、そのまま引退となった

しかし、それでも
それでも……そのウマ娘は清々しい顔をしていた
腐っていた頃に比べればよっぽど気持ちのいい走りができたと
もっと早くに僕に出会っていればよかったとすら、言われた

その頃には“彼女”を追う気持ちも忘れて、僕は自分の担当ウマ娘との日々を楽しく過ごしていたのだった

80◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:38:49

担当ウマ娘の引退した日の夜
僕はその子と共に、海へといくことになった

理由は、仲のいい先輩が綺麗な海を知っているからと教えてくれたから……らしい

その海を僕は知っている
忘れられない場所
忘れたくない場所

でも、忘れてしまいたい場所

あの海だ
僕が彼女を繋ぎ止められなかった、あの海

この子がここを聞いた先輩というのも、僕は……知っている
知らないふりをしていただけで
見て見ぬふりをしていただけで
知っている
きっとこの世界の誰よりも追い求めていた、あのウマ娘

アストンマーチャンが最後に流れ着いた、あの海だ

81◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:44:14

「本当に綺麗な海っすねトレーナーさん！」

担当ウマ娘が脚を海につけながら楽しそうに笑う
夜中だからやめるように言っているのに少しも聞かないのでもう諦めた

僕ははしゃぐ彼女を少し遠くから眺める

あの子が、アストンマーチャンが座っていたのは……このあたりだっただろうか
ここから海を眺めて、流れ着いたのか

もうこの世界で過ごすことを決めていたのに
今更、いまさらここに来てしまうなんて

涙が出そうになる
あの子を失った悲しみが、いまここにきて溢れ出してくる

忘れるために新しいウマ娘を担当にした
忘れるためにあの子と違う寮の子を担当にした
忘れるためにあの子と違う……

……いや、忘れられなかった
片時も忘れることなどできなかった

トレーニングコースで見かければ、自分の担当ウマ娘よりもそちらを目で追っていた
彼女の担当トレーナーを見かけたときは張り倒してしまいそうになったことだってある

僕は
僕は……────

マーチャンを、忘れられなかった

82◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:46:25

「ちょ、どうしたんすかトレーナーさん！　めっちゃ泣いてんじゃん……」

心配したあの子が駆け寄ってきて、僕の背をさする
その手つきが、マーチャンを更に思い出させる結果になり

……僕は、彼女を

「うぇっ！？　ちょ、いい大人がなに泣いて……ったく……はいはい、だいじょぶだいじょぶ……」

ジャジャマーチャンを抱きしめて泣いた

83◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 00:58:15

「はー……なんかすごい話ね」

落ち着いた僕は、なぜか彼女との話をジャジャマーチャンに話していた
もう今更だというのに、思い出してしまったからだろうか
話したところで解決するわけでもないのに……────いや、話すことですっきりしたかったのかもしれない

「トレーナーさんが違う世界のヒトで、マーちゃん先輩の担当トレーナーで、流れ……？る？　よく知らんけど、それで世界を巡って？　ここに来て……あたしの担当になった、ってことでオケ？」

頷いて返す

「作り話にしちゃ壮大すぎるし……意味わからんし、なんかアニメでありそ〜って感じすね」

……返す言葉もない

「んで、次いく先も分からーんってなって、諦めてたの？」

そういうこと、になる……のかな

「で、これからどうすんの？」

……え？

「行くんしょ？」

いや、でも

「あたしはトレーナーさんに救われたよ。引退もしたし、もうトレーナーさんに何かしてもらわなきゃいけない時間は終わった」

次はあたしがトレーナーさんを救う番っしょ────
そう言って、ジャジャマーチャンは笑った

84◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:04:44

「よく知らんけどさ、あんたを送り出したマーちゃん先輩って、きっとあんたのこと大切に思ってたんすよ。それって多分、ウマ娘の不思議ってやつだと思うんね。それか、三女神様の奇跡ね！」

ジャジャマーチャンが僕に腕を回し、優しく抱きしめて言う

「んじゃあさ、同じウマ娘で……あんたのこと大切に思ってるウマ娘がいれば、ワンチャン狙えるって思うんすよ」

……それ、は……どういう

「……あたし、感謝してんすよ。あんたが声かけてくれたから不良やめてさ、最初はやべーやつじゃんって思ってたけど、あたしのためにめっちゃ本気で指導してくれたし」

それは、でも

「だとしても、あたしは感謝してんの。いいから聞けマジで」

……はい

「だから……だからさ、あんたを大切に……想うあたしが背中押したったら、きっと……また行けるよ、その旅に」

……待ってくれ、僕は……

「頑張って、トレーナーさん。んで、あんたのマーちゃん先輩を見つけたげて」

ジャジャマーチャン、僕は……

「……で、そのあとでさ。そのあとで……めっちゃ暇で仕方ね〜ってなったら、あたしに声かけてよ。多分その世界でも腐ってっから」

僕は、僕は────

「いってらっしゃい、トレーナーさん」

85二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 01:05:21

妹が姉を…か

86◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:06:08

ここだけですよ、トレーナーさん

ここだけマーちゃんが────

マーちゃんが────流れ着いた、世界

87二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 01:09:09

たどり着いた……!

88◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:09:21

流れました

流れました

たくさん、流れました

たくさんの世界を流れて、流れて、流れて

流れ着いたのは、なにもない真っ白の世界

混じり気のない、真っ白の世界

最後にたどり着いたのが、わたしの苦手な白い世界だなんて……ちょっぴり運命の神様を恨まずにはいられません

他に誰もいません

スカーレットもウオッカもいません

お母さんも、あばれ妹もいません

トレーナーさんも、もちろんいません

わたしだけです

真っ白が無限に広がる世界で、ただひとり、わたしだけ

この世界に夜はありません

朝もないし、昼もないし、夕方もないです

89◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:14:12

どこまでも無限が広がっている
どこまで行っても無限が続いている
どこまで歩いても、果てにたどり着くことはない

流れた後の世界は、こういうものなのでしょうか
思っていたよりもつまらない場所で、マーちゃんは退屈しています

誰かお話しできるヒトがいてくれたら、また変わるかもしれませんが────……流れる速度はヒトそれぞれ

乗る船もひとり乗り

相乗りなんて、ありえないので

なのでマーちゃんは退屈なこの世界を、ひとりでゆっくりと歩いてみます

幸い、眠たくもならないし疲れたりもしないみたいなので

時間はそれこそ無限にあります

もう流れ着いてしまったので、消費する時間がありません

今日はどこにいきましょう
明日はどちらへ向かいましょう

いまここにいる場所には、もう2度と戻ってこれません

真っ白で目印すらつけられないので、仕方ありませんね

90◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:20:07

音のない世界を歩き続ける
もはやこれは旅と言っても差し支えありません
どれほどの日数を歩き続けているのでしょうか────……体感ではもう何年も続けているようにすら思います

でも大概、こういうものは数日しかしていなかったりするのできっとその程度なのでしょう

ただひたすらまっすぐに歩くだけの日々
たまに歩くのに飽きたら、数日ずっとその場で寝転んだり眠ったり

眠気はなくとも、眠ることができるのは幸いでした
でないと、マーちゃんの心はもうずっと前に壊れてしまっていたでしょうから

さて、今日も歩きます
どこまでも歩きます
どこまでもどこまでも歩きます

障害物などはないので、ただ、永遠に歩きます
まっすぐ、まっすぐ
たまに右に曲がって、左に曲がって
本当にたまにその場で眠って
また歩いて

歩いて歩いて歩いて歩いて
歩いて歩いて歩いて歩いて
歩いて歩いて歩いて歩いて
歩いて歩いて歩いて歩いて

91◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:23:28

飽きました

飽きました

歩くことに飽きました

眠ることに飽きました

目を開けることに飽きました

目を閉じることに飽きました

立ち上がることに飽きました

この真っ白な世界に空きました

でも、でも

他にやることもないので、マーちゃんは少しだけ考えることにしました

なぜこの世界は白いのでしょう

なぜこんなにも混じり気のない白なのでしょう

まるでマーちゃんに嫌がらせをしているかのようです

わたしに色がないと言われているような気がして、とても不愉快です

わたしにとっての“色”とはなんなのか、考えてしまいます

92◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:25:29

例えばスカーレットが流れ着いたら
その世界は青いのでしょうか、赤いのでしょうか、それともマーちゃんのように白いのでしょうか

例えばウオッカが流れ着いたら
その世界は黒いのでしょうか、黄色いのでしょうか、それともマーちゃんのように白いのでしょうか

多分、きっと、マーちゃんのように白い世界なことだけはあり得ないと思います

だからこれはきっと、マーちゃんがみんなから忘れられてしまった世界なのではないかと結論つけました

93◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:28:41

マーちゃんの世界には、わたしの知るわたし以外に何もないから、真っ白なのです

世界から抜け落ちてしまったから、真っ白なのです

わたしを誰も覚えていないから、真っ白なのです

……そう考えると、なんだかつらい気持ちになります
悲しいです、残念です、悔しいです

マーちゃん、けっこう頑張ったと思うのです

世界のマスコットとは言わずとも、ご地域……せめて町内のマスコットくらいにはなれたのではないかと

カレンチャンさんと写真を撮ってウマスタにも投稿しましたし、トレーナーさんが描いてくれていた4コマブログもかなりの閲覧数でした

だったら真っ白はありえなくないですか？

ちょっとくらい色がついていてもいいのでは？

むむむ、考えたらなんだか無性にぷんぷんしてきました

マーちゃん、ちょっぴりおこなのです

ならばやっぱり探すしかありません

この真っ白な世界で、マーちゃん色のした場所を

がんばれマーちゃん、いけいけマーちゃん！
ふぁいと、おー！

94◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:32:46

……結局見つかりませんでした

あれから何年歩いたでしょう……もう数えてすらいません
それくらいの長い年月を歩いて過ごし、探し回りました

でも、見つかりませんでした
ひとかけらもありませんでした
この世界で、マーちゃん色に染まったものなんて、ひとつも

なかったのです

もう悲しいという気持ちすら湧いてきません
悔しい気持ちすら忘れてしまいました

そもそもマーちゃんってどんな顔をしていたでしょう
何十年も見ていないの思い出せなくなってしまいました
記憶力には自信があったのに、とても残念です

95◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:33:00

……大切なヒトの顔も、思い出せなくなりました

スカーレットも、ウオッカも……記号としてはなんとなく覚えています

でも……どんな顔で、どんな話し声で、どんなことを話していたでしょう

自分の声の出し方すら思い出せないのに、思い出せるわけがありません

……もうこの世界にいるのも嫌になりました

誰かいませんか

マーちゃんはここにいます

誰か

誰か……────

dice1d1=1 (1)

1.見つけた

96二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 01:35:26

来た！

97二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 01:39:45

待ちかねたぞマートレェ！！！

98◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:39:56

振り向いた先に“色”がいました
マーチャンの色がそこにいました

世界で唯一マーちゃんの“色”に染まったヒトが、そこにいました

声が出せませんでした
そうでした、声の出し方を忘れてしまったのでした

「マーチャン……見つけた。見つけたよ」

その“色”はマーちゃんの名前を口にしながら……ゆっくり、ゆっくりと近づいてきました

マーちゃんの目の前で立ち止まったヒトの、その瞳からは涙が流れていました

その涙に触れて、マーちゃんはヒトの温度を思い出しました

そのヒトが優しくマーちゃんを抱きしめました

そのぬくもりに触れて、マーちゃんは何かに触れられる感覚を思い出しました

99◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:45:41

ゆっくりと手を持ち上げて、その背中に腕を回します
その身体に触れて、ようやく抱きしめる感覚を思いましたした

「会いたかった」

その声を聞いて、ようやくマーちゃんは音を思い出しました

「…………、……な…………さん」

ようやくマーちゃんは口の開き方を思い出しました
声の出し方を思い出しました
思い出し方を、思い出しました

そして最後に────

このヒトが誰かを、思い出しました

「とれー……なー……さん……」

トレーナーさん

トレーナーさん

トレーナーさん

マーちゃんの、わたしのトレーナーさん

わたしを繋ぎ止めようとしてくれたヒト

わたしが流れてしまった世界で、唯一わたしのことを覚えてくれていたヒト

100◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:46:35

どうして、ここに

「キミを探していたんだ。ずっと、ずっと」

その声は、ひどく震えていて

涙のせいで、ほとんど聞き取れなくて

なのに不思議となにを言っているのかが理解できて

とても、とてもあたたかい気持ちになりました

「わたしも待っていました。ずっと、ずっと」

101◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:49:17

それからわたしたちはたくさんのことを話しました
お互いの流れた世界の話
この世界の話
どれだけ探したのか、どれだけつらかったのか、どれだけ苦しかったのか

最後には会えた嬉しさで、ずっと笑い合っていました

こんなに笑ったのは何年ぶりでしょう
こんなに話したのは何年ぶりでしょう
こんなに嬉しかったのは、何年振りでしょう

わたしはその日、この世界に流れ着いて初めて……────疲れて眠ってしまいました

目が覚めたとき、このぬくもりが消えていないことを心の底から願いながら

102◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 01:52:11

目が覚めても彼が隣にいて、安心しました
安心したら、涙が流れてきました

わたしは声をあげて泣きました
彼もつられて涙を流しながら、泣き続けるわたしを抱きしめてくれました

あたたかかったです
やさしかったです
うれしかったです

……あなたが来てくれて、本当によかった

103二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 01:56:50

よしっ、あとはイチャつくだけだ！

104◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:03:13

「帰ろう」

そうトレーナーさんが言いました
どこへ帰るのか、マーちゃんには理解ができませんでした

「僕たちの世界に帰ろう」

続けてトレーナーさんはそう言いました
どうやって帰るのか、マーちゃんには理解できませんでした

「僕に任せて」

どうやらトレーナーさんはその方法を知っているらしく、マーちゃんは彼の手を握り続けることしかできませんでした

「帰れるのですか……？」

マーちゃんは気づかないうちに、そう問いかけていました

一度は流れることを受け入れた世界
生きることを諦めた世界
流れてよいと認めた世界

そこに、マーちゃんが帰ってもよいのでしょうか

疑問は尽きません
なにを問いかけても、トレーナーさんは大丈夫とわたしを抱きしめてばかり

「僕はまだ、キミと走り続けたい。だからここまで来たんだ」

105◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:04:17

その言葉を聞いたのは、いつのことだったでしょう

いつか聞いたことがあるような気もするし、初めて聞いたような気もします

「キミがいなくちゃ嫌なんだ。アストンマーチャンはまだまだこれからなんだ。キミが諦めても、僕が諦められない」

とてつもないわがままさんでした
それだけのために、こんなところまで流れてきたのですか

「それだけ大切だったんだ」

そうですか、そうですか
……そうですか

なら……戻っても、いいのでしょうか
マーちゃんはあの世界に帰っても、許されるのでしょうか

106◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:04:44

またスカーレットに会えるのでしょうか

またウオッカに会えるのでしょうか

またあばれ妹と電話ができるのでしょうか

また、あなたに写真を撮ってもらえるのでしょうか

「大丈夫、大丈夫だよ」

でも、でも

「僕はキミと一緒にいたい」

……
…………、…………

しかたのない、ひとです
とんでもないわがままさんなのです
こんなところまで流れてきたのに、ここから流れに逆らおうだなんて
とんでもない、おばかさんです

「……僕と一緒に生きてほしい。マーチャン」

……仕方ありませんね

ふふ、えへへへ
責任、とってくれなくちゃだめですよ

マーちゃん、記憶力だけはとってもよいので

107◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:05:46

ここからですよ、トレーナーさん

ここからマーちゃんと

dice1d1=1 (1)

1.あなたが生きていく世界

108◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:07:48

目が覚めると、あの海でした
隣にはトレーナーさんがいて、マーちゃんの手を握って泣いていました

また、泣いているのですか
ほんとうに泣き虫さんですね

マーちゃんはここにいますよ

……マーちゃんもですか？
当然です
当たり前です

泣いてしまうに、決まっています

まだまだマーちゃんは、これからなんですから！

109◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:15:38

帰ってきたわたしたちは、改めてトレーナーと担当ウマ娘としての日々を歩み始めました

まずはリハビリです
ありがたいことに身体は走り方を覚えていたので、心のリハビリです
多くの世界を流れ、最終的にあの真っ白な世界ですり減らし続けた心を……わたしたちは回復することに努めました

まずは会いたかったヒトたちに会いに行きました

スカーレット、ウオッカ、お母さん、お父さん、あばれ妹

みんなに会って、ありがとうを伝えて、ハグをしました

みんなみんな驚いていました

当たり前ですね、えへへ

そしてふたりで過ごす時間がとても増えました
マーちゃんのマスコット計画は変わらず進めています
でも、ふたりで他愛無い会話をする時間がとても増えました

それは今まで流れた世界の話であったり
それは今までお互いに対して考えていた話であったり
どちらがどれほど相手に会いたかったのかという話であったり

ちょっとだけ怒ったのは、マーちゃんと出会えなかった世界で他のウマ娘に浮気をしたことです
いえ、その世界で最初に浮気していたのはマーちゃんでしたが……それはそれです

しかも、その相手が……あの子だなんて
トレーナーさんだから特別に許しましたが、あなたでなかったらこの場でひどいことになっていたでしょう
……まあ、あなた以外に担当されるつもりはありませんが

110◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:18:24

その後、夏合宿を経てマーちゃんはスプリンターズステークスを優勝しました

なんと連覇です、ダブルビクトリーです、ぶいぶい

トレーナーさんがとんでもないわがままさんだったから、マーちゃんは勝利できたのだと思います

変なヒトだから、勝てたのだと思います

あなたがわたしのトレーナーさんだったから、わたしは勝てたのだと思います

その日の夜、マーちゃんはトレーナーさんとまた海に行きました

流れるためではありません
海に流れるときはふたりでいっしょに────……そう宣言をするために行きました

これからはあなたと一緒に流れていくと、宣言するために行きました

もうマーちゃんはひとりではありません

111◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:21:42

URAファイナルズ短距離の部で、なんと優勝することができました
これは快挙ではないでしょうか

これはもうウルトラマスコットではないでしょうか

トレーナーさんも喜んでくれました
わたしも嬉しくて、ファンの皆さんの前だというのにトレーナーさんに抱きついてしまいました
……今後は気をつけなくてはいけませんね

その後、ふたりで温泉旅行に行き────

次の年の、春

マーちゃんは初めて春に体調を崩すことなく過ごすことができました

嬉しくて嬉しくて、春に行きたい場所に沢山連れて行ってもらいました

最初の3年間を乗り越えて落ち着いたので、もうどこにでも行き放題です

でもトレーナーさんはその年に入ってきたウマ娘と、担当契約を結ぶことになりました

その子の名前は……────ジャジャマーチャン
うちのあばれ妹でした

112◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:25:35

「おはよーマーちゃん先輩！　今日もトレーナーさんと仲良さそうだね！」

あばれ妹は学校ではマーちゃんのことを茶化してそう呼びます
正直すごく嫌です

嫌ですが、トレーナーさんの折れた心を立て直してくれた恩があるので強く言えません
もちろん本人は知らない話なので、伝えることはできませんが

その世界で妹は未勝利のまま引退だったので、今度こそは勝たせるためにトレーナーさんは今日もあちこちを走り回って研究の日々です

だからと言って、マーちゃんが放置されているわけではありません

あまり大きな声で言えませんが、マーちゃんたち……恋人になりまして

えへへ、内緒ですよ？　あ、でも……ちょっぴり噂にしてもいいですよ、ちょっぴりだけですけどね

大きな噂にされると、トレーナーさんがたづなさんに連れて行かれてしまうので

ちょっぴりだけにしてくださいね

113◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:32:45

「……ありがとうマーちゃん」

ある日、ふたりでトレーナー室にいるときにトレーナーさんがそう口にしました

ありがとうは、むしろわたしが言うべきなのに

「僕の担当になってくれて、一緒に生きてくれて」

それは、本当にマーちゃんのセリフで

「これからも大切にするから」

まあ、これはあなたから言ってほしい言葉ですけど……

「……わかっていますよ」

なのでマーちゃんは、全て理解している顔で彼の身体に腕を回すのです

114◆wXEMlU8P1g23/02/08(水) 02:33:32

「マーちゃんはもう、あなたがいないと生きていけないのです」

本心からの気持ちを口にして、

「……大好きです、トレーナーさん」

その口唇に、キスをしようとして

「おはよーざいまーす！　ジャジャマーチャン、遅ればせながらやってまいり────……まし、……た」

タイミングの悪いあばれ妹が暴れにきて

「……あー……ごめんね？」

「あなたはいつもタイミングが悪いですね……」

「あ、あはは……ごめんて……お姉ちゃん」

こんなふうに邪魔されて

どたばたした日々がまだまだ続くのかと思うと、うふふ

楽しくて、楽しくて、流れようなんて気持ち……

……もう、湧いてくる暇なんてありませんね

こんなの素敵な日々を捨てちゃうなんて、もったいないですから