私のパジャマがないんだが知らないかい？

1二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 00:53:18

「ああ……全部洗濯しましたよ……」
「ははぁ、余計な世話まで焼いてくれたわけだ」

　研究室で寝泊まりする時は、白衣のまま寝るのをやめろというからわざわざ用意させたのに。
　確かに自分でも、着たままの白衣が臭くなっているなと気になることはあったが。それを避けるために用意させたパジャマを全て洗ってくれては、またこの白衣と制服で寝る他ないじゃないか。

「臭かったので……パジャマ全部……」
「デリカシーというものがないねぇ」

　さすがに私も下着や全裸で寝るつもりはないし、まあ一晩ぐらい着てたってどうってことないだろう。

「シワになりますよ……」
「アイロンはかけてくれるだろう？」

　彼女は大きくため息をつくと、部屋を出ていく。怒らせたかな？　まあいつものことか、と制作途中の薬品に意識を移す。これの試作にはまだまだ時間がかかる。もう二、三日はここにいるだろう。
　作業に戻ってから十数分後、部屋に戻ってきた彼女は紙袋を抱えていた。

「なんだいそれは」
「ん……」

　その紙袋を無言で押し付けてくる。中身はわからないが危険はなさそうだし受け取っておこう。プレゼントならありがたい。中身を確認してみると、これは……。

「パジャマ……？」
「…………」

　どうやら彼女の使っているものらしく多少よれていて使用感が見受けられる。なるほど、これを使えということらしい……だが。

「下着の替えもまとめて洗ったろう？　そっちも貸してもらえるかい」

　それからしばらく、彼女は口をきいてくれなかった。