【閲覧注意】尊い犠牲でした【その11】

  • 1二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:40:42

    それは楽園への道標か、あるいは地獄への入り口か。

    パルデアの大穴からパラドックスポケモンが溢れ出してきて、
    人々を守るために戦ったジムリーダーたちが全滅してしまった世界線を語るスレです
    (前スレの建て主とは別人です)

  • 2二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:42:49
  • 3二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:44:49
  • 4二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:46:21
  • 5二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:46:33

    移動しました!
    被っちゃったぜ すまなかった…
    では自分描きに戻るので!お疲れ様でスター!!

  • 6二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:47:24

    その前に少し伸ばしたほうがいいか

  • 7二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:48:10

    立て乙!

  • 8二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:48:27

    うーん次スレ建てる目安あったほうがいいのかなぁ

  • 9二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:48:30

    乙乙!

  • 10二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:49:20
  • 11二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:49:22

    そういや前も他のスレ建てようとしてピッタリ被ったことあったなあ
    自分の特性はシンクロなのかも?

  • 12二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:49:56

    おっ安定したね
    ではでは~ お疲れ様でスター!!!

  • 13二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 21:51:51

    他にスレ建ててる人みつけてびっくり、自分のは消した方がいいかなと一瞬まよいました……

  • 14二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:08:44

    (前置き:今回あれもこれもと書いてたらくっっっっそ長くなりましたお納めください)

  • 15二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:09:28

    焼き付いた憧憬を暖炉に焼べる。
    いつか交わした約束は、崩れ去った楽園と共に埋もれた。

  • 16二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:10:46

    剥き出しになった鉄骨と、瓦礫と化したリーグの壁と天井、それからテラスタルエネルギーの影響で光を失くした空をぼんやり眺める。落ちかかった瓦礫を絡め取るのは、ワナイダーの糸か。コルサに庇われるように上に寝そべられたハッサクは、他人事のように自身の置かれた状況を俯瞰した。
    「痛……無事か、ハッさん!」
    ガバッ、とコルサが上体を起こす。身体についた細かい破片や土埃を払い、ハッサクの身体に怪我がないか確かめる。ハッサクは、頭が疑問で埋め尽くされて抵抗もできない。
    「ポピギャルドに頭突かれた額以外は特に怪我もないようだな。まあそれも大分腫れが引いてきているが……ハッさん?」
    「……何故、助けたのですか」
    「何故も何も……貴方が"ハッサク"でワタシが"コルサ"だからだが?……これさっきも言ったな……」
    コルサはそう言ってハッサクの上から退く。キョロキョロと周囲を探り、他の面々の安否を確かめる。それと並行して。
    「ところでハッさん、これは確認なのだが」
    ドキリと、心臓が跳ねた。ハッサクは心音の間隔が短くなるのを自覚して、背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
    「気のせいであったのであれば謝罪するが、貴方あのまま死のうとしただろう」
    核心を突かれたハッサクは、全身から血の気が引く思いをする。淡々とした声音が、余計に深く腹の底の軟い部分に突き刺さった。コルサはハッサクの様子を横目に見つつも、瓦礫を慎重に踏み越えてとっとと歩いていく。
    「無事か、カエデ」
    ガラ、と小さな瓦礫を払い除けて立ち上がったカエデにコルサは手を差し伸べる。ありがとう、とその手を取ってカエデは瓦礫を乗り越えた。

  • 17二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:11:08

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:11:33

    「ハイダイと此方の四天王チリとポピーは」
    「さあ、無事ではあると思いますけど〜。ていうかこっちのポピーさんは普通に呼ぶんですね〜」
    「アバンギャルドなのはワタシたちの世界のポピギャルドだからな」
    「だからアバンギャルドって何???」
    カエデは小さな破片を蹴飛ばす。カラン、と飛んだ破片が瓦礫にぶつかってピンボールのように数回跳ねる。
    果たしてハイダイ達は存外近くにいた。
    「師匠!チリさんとポピーさんも!」
    カエデが駆け寄る。そして、ヒュッと息を呑んだ。
    「師匠……腕……」
    「ああ、気にしなくても大丈夫だい。ちょっと肩外れて上がらんだけだよい」
    左だったのは不幸中の幸いだ、とハイダイは苦笑する。
    「なにもよくないのです!」
    「お、おお?」
    「ポピーさん……」
    わっ、と上着の裾を握り締めて此方側のポピーが怒鳴った。眼には涙が溜まって、今にも溢れ落ちそうになっている。
    「ハイダイのおじちゃん、ポピーとチリちゃんのことかばって、おっこちてきたてんじょうにおもいっきりぶつけてたの、ポピーみたのです!!平気なわけがないですの!!」
    「いや、まあ……それはそうなんだが……」
    ズズ、とポピーは鼻を啜った。どう宥めようか、ハイダイが頭を悩ませていると、カエデは。
    「ひとまず師匠、肩嵌めましょうか〜。外れっぱなしでほったらかしでもいけませんし〜」
    「えっ、うーん……それもそうだい。頼んでもいいかい、カエデ」
    「お任せを〜」
    ぐるんと肩を回してカエデはハイダイの左二の腕を掴む。それを見たコルサは咄嗟に。
    「おい待てカエデ、流石に素人が脱臼した関節を迂闊にあれこれ触るのはマズ———」
    グキッ、コルサが言い切るより早くカエデの手がハイダイの肩を強引に元の位置に押し込んだ。ハイダイが喉が潰れそうな悲鳴を上げて、激痛にもんどり打つ。そらそうなる。

  • 19二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:12:33

    「どうですか師匠〜。肩入りました〜?」
    「入っても入ってなくても返事できないだろコレ」
    普段はアレで存外に常識的な感覚を持ち合わせているコルサは、流石に頭を抱えた。この料理人師弟、体力測定の時から思っていたことだが脳筋が過ぎる。
    チラ、とコルサは物言わぬチリを見る。チリはどうにもワナワナと震えていて、凪いでいた筈の赫い眼が揺れていた。その異変に、コルサは眉間に皺を寄せる。
    PTSDでも出たか?コルサはしゃがんでチリに目線を合わせた。赫い眼は揺れ続け、目の前にいるコルサを映さない。はくはくと口が動いて、ようやっと喉が空気を振動させた。
    「や……や……」
    拒絶。一体何に対して。驚きで大きく目を見開いたポピーを横目に、コルサがなるべく穏便に問いただそうとすると、チリは。
    「これいじょう、は……いやや……」
    コルサもポピーも、息が止まるかと思った。何が嫌か、などとわかっている。この惨状こそが、チリが拒むものであればこそ。
    「もう……だれも、きずつかん……とって」
    俯いて、ボロボロと瞼を開けたままの眼から涙が落ちていく。多少荒療治染みてはいるものの、強く真っ直ぐ小さな身体で突き進むポピーの姿を見て、折れぬ意志を持って間違いを正そうとする平行世界の自分を見て、徐々にチリの精神が修復されつつあるからこそ苦い現実を正しく知覚し始めていた。そして再びその心は痛みに苛まれている。
    しかし、泣けるだけまだ健全だ。
    「非常に残念だが、この先誰も傷付かないのは相当に難しいだろうな。パラドックスポケモン共は未だ続々と此処に向かってきているだろうし、先導者であるトップチャンピオンが先の崩落から逃れていないはずもない。多かれ少なかれ、負傷者は出るぞ」
    コルサの言葉は厳しい。それでも、現実を直視すると決めたのであれば、言わねばならぬことでもある。そして、コルサは。

  • 20二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:13:24

    「だが、だからといって誰一人死なせるつもりはないぞ。ワタシはもちろんそこの師弟も、先の悍ましいパラドックスポケモンを一人で倒しに飛び降りたリップも、ポピギャルド達も、同じ考えのはずだ」
    ぴくりと、チリの指先が動いた。
    「だから、無理にとは言わん。進む意志があるなら進め。いっそ進んだ先でどうなろうが知らんくらいの、投げやりの気持ちで戦うのも悪いものではないだろう」
    それだけ言うと、コルサは立ち上がって踵を返す。チリはゆっくりと俯かせていた顔を上げて、その背中を見つめた。
    「……なげ、やり」
    途切れ途切れに呟いたチリを、ポピーはそっと抱きしめた。

    ガラ、と瓦礫を崩す。ポケモンと協力して崩した瓦礫を退かし、作った道をネモは通る。テツノイサハとの戦いで気絶したリップを休ませたいが、リーグへ行こうとした瞬間にリーグが崩壊してしまった。となると、もうアカデミーに向かうしかないのだろうか。だが、リーグで戦っているはずのポピーをはじめとする四天王や、ライムとナンジャモ以外のジムリーダー達が心配だった。
    「ゔ……」
    弱々しい呻き声がした。それを聞き取ったネモはウェーニバルに抱えられたリップに駆け寄る。
    「ネモちゃん……?今、どうなって……?」
    「えっと、リーグに行こうとしたら建物が倒壊しちゃって、今中にいた人たちが無事かどうか確認しようと思ってたところ!」

  • 21二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:14:03

    リップはネモに手を取られ、ウェーニバルにそっと地面に降ろされた。素足が瓦礫の小さな破片を踏んで、僅かに痛む。そういえば、ヒールをカエデに押しつけたままだったことを思い出し、とはいえこの状況だとまだ持っているとは限らなさそうだと嘆息した。多分普通に邪魔なので。そして瓦礫の中に埋もれてしまっているとしたら、もう探すのは諦めた方がいいだろう。
    「帰ったら靴、新調しなきゃ」
    「その前に病院行ってくださいねー。私人間用の救急道具持ってないから、リップさんの足満足に手当てもできなかったので」
    「……そんなに酷い?」
    「まあまあ電気焼けしてますよ」
    「えー、あんまり痛くないのに……アドレナリンかドーパミンかで麻痺しちゃったかしら」
    そんな会話もそこそこに、崩壊したリーグを歩く。上を見上げれば、未だにパラドックスポケモン達が獲物を求めるように飛んでいるのが見えた。
    「一体何処からアレだけ湧いてくるのかしら。イッカネズミの子供じゃないんだから」
    「大穴から出てきてる個体もいそう。でもタイムマシンはもう止まって……」
    言いかけて、ネモはハタと気付く。そもそもこの世界に、自分たちの姿を見ていないことに。いや、もしかしたらアカデミーで保護されているか、或いは凶行を阻まれぬよう囚われてるかのどちらかである可能性もなくはない。だが、しかし。
    「タイムマシン……本当に止まってる……?」
    聡明な彼女は、皮肉にもそれ故にその可能性に辿り着く。この世界のネモは、ペパーは、ボタンは、そしてハルトは。
    サッとネモが青褪めた。だとしたら、無尽蔵とも言えるほどに迫り来るパラドックスポケモンにも納得のいく説明ができてしまうことに恐怖する。

  • 22二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:14:40

    顔を青くして立ち止まるネモに、リップは。
    「じゃあ、確かめに行く?」
    崩壊した羅針盤が指し示していた方角を指差す。ネモは目を丸くして、いいんですか、と問う。
    「流石に二人だけで行くのは厳しいとは思うから、もう一人くらい戦える人が欲しいけど……どこも人手ギリギリだし……」
    リップは口元に手を当てて思案する。すると、頭上から複数の翼の羽ばたきが聞こえてきた。二人は揃って上を見上げる。
    「トップ!!それにハッサク先生とチリさん、グルーシャさんにアオキさんまで!!」
    「チャンピオン・ネモ!?それにリップさんも。ご無事でしたか」
    チリを抱き寄せた姿勢でキラフロルに乗るオモダカが、二人に気付いた。示し合わせて、カイリュー、チルタリス、ウォーグルと共に地上へ降下する。
    ポケモン達から降りた五人、ハッサク、グルーシャ、アオキ、オモダカ、チリはネモとリップに駆け寄った。オモダカは二人の無事を安堵しつつ、リップの足が酷い電気焼けをしているのを見つけて顔を顰めた。
    「リップさん、全部終わったら病院に行きましょう。できれば入院できる整形外科を」
    「ネモちゃんと同じこと言わないで。それより、ねえ。ポピーちゃんは?」
    げんなりとした様子のリップが問うと、五人はグッと表情を険しくする。それを見るに、何かあったようだとリップもネモも察した。
    重たい口を開いたオモダカ曰く、リーグの崩落と同時に自分達こそ空を飛べるポケモンで退避したが、ポピーは逃げもせず落ちていく此方側のオモダカを追って諸共落ちたと。アーマーガアとジバコイル、デカヌチャンらもいるとはいえ、怪我をしている可能性もあるとのこと。リップは少し考えて。
    「ポケモンちゃん達も一緒なら、そこまで酷いことにはなってないと思うわ。そこに関してはポピーちゃんを信じましょ?それより……」
    リップはネモに視線を向ける。今し方浮上した、してしまったネモの懸念を五人にも伝えた。オモダカらは眉間に皺を寄せて。

  • 23二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:15:14

    「それは……、確かに不安材料ですね」
    チャンプルジムリーダーとして、エリアゼロにもある程度見識のあるアオキが苦い顔をする。身をもってパラドックスポケモンの脅威を知ったハッサクとグルーシャも、揃って顔を顰めた。
    「あの、トップ!私とリップさん、ゼロラボに乗り込んでタイムマシンの様子を見に行きたいんですけど、二人だけじゃ不安なんです!一人で構いませんから、一緒に来てくださると嬉しいです!」
    「そうですね……私もタイムマシンの様子は気になりますが……」
    オモダカはチリ達に視線を向ける。果たして適任は誰か。氷のエキスパートであるグルーシャであれば、仮に道が途切れていても氷で足場を作れる。ハッサクであれば弱点の少ないドラゴンタイプでパラドックスポケモン以外の危険なポケモンにも対応は容易だろう。似たような理由で飛行使いであると同時にノーマル使いでもあるアオキも選択肢に入る。オモダカ自らが行ってもいい。それから———。
    「チリちゃん行きますわ」
    ス、と手を挙げてチリが宣言した。いいのですか、と問えばチリは。
    「や、ええ加減にチリちゃんにええかっこさせて欲しいんよ。こっち乗り込んでからずっとまあ振り回されっぱなしなもんで……」
    「ああ、主にポピーさんに」
    「うん」
    ほとんどが心の底から納得した。此方に乗り込んでからこっち、ポピーの行動力には目を見張るものがある。そのせいで見ている方が胃をキリキリさせているのは全くもって喜ばしいことではないが。
    「では、チリ。チャンピオン・ネモとリップさんの護衛を頼んでも?」
    「任せとき。チリちゃんがしっかり二人のこと守ったるからな」
    「リップ達大人しく守られるほど弱くないんだけど」
    「私は無傷だからともかくリップさんは道中大人しくしてね本当に」

  • 24二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:15:53

    不服そうなリップをよそに、チリとネモは簡単にブリーフィングを始める。ネモの知るエリアゼロの地形と、チリがオモダカから共有されている情報をすり合わせ、最短距離でゼロラボへ向かう道筋を立てていた。
    「そういえばリップさん、そもそも靴は?」
    グルーシャがずっと気になっていたんだけど、と前置きして問う。
    「全力で走るのに邪魔だったからカエデちゃんに押し付けてきちゃった」
    「引き取りにいけよ何してるんだ」
    「だってこの有様だし……もうどさくさで手放して埋まっちゃってそうだし……」
    「そのひっどい足で大穴に潜る気???」
    「うん」
    うんじゃない。グルーシャは頭を抱えて、オモダカにリップの靴をなんとか用立てられないか相談する。女達があまりにも強すぎる。
    差し当たって、チリが持っている包帯で足をぐるぐる巻きにしてその場を凌ぐことになった。その際に、今更かもしれないが簡単に応急処置だけでもしておく。
    「さて、準備はパーペキ?」
    「こっちは全然問題なし!けど、どうやって行きましょっか。私たちが前潜った時はゼロゲートからハルトのミライドンに四人乗りして滑空したんですけど……」
    「流石に、今からゼロゲートへ向かうのは得策ではありませんね……」
    ううん、と唸る。そこでチリは控えめに手を挙げ直した。
    「そのことなんやけど、ちょっと今さっき思い出したことがあんねん」
    そういってチリが手にしたのは、モンスターボール。一斉に向けられた視線の中、アオキとオモダカはほぼ同時に中にいるポケモンを察し、アオキはなるほどと納得して、オモダカはああすっかり忘れてたと額に手を当てて顔を上向けた。

  • 25二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:16:20

    ぽい、とチリがボールを放る。中から飛び出してきたのは誰あろう、アオキが四天王としてバトルする時に使用する手持ちの一体、チルタリスであった。
    「チルルッ」
    ブスッ、とむくれて不機嫌そうに片脚でタシタシ地面を叩くチルタリスを宥めるように、チリは堪忍やって、と両手を合わせて平謝る。此方の世界に来る前に、向こうに残って此方側のオモダカと交戦を始める直前に、オモダカから託されたアオキのチルタリスはいざという時の脱出のための手段であったが、状況は目まぐるしく変化する(だいたいポピーのせい)上なんだかんだで頼る機会もなく、すっかりチリは彼女を連れていることを忘れていたのである。そら不機嫌にもなるわな、とグルーシャは納得した。
    「というわけで、この子に乗ってこっから直で潜れへんかなって。アオキさん、チルタリスって三人乗りできます?」
    宥めすかしてドオー達用に持ち歩いているおやつまで使ってチルタリスの機嫌を取るチリの質問に、アオキは。
    「大丈夫だと思います。自分もそう甘っちょろい鍛え方をさせているつもりはありませんからね。…….ただ、流石にあまり長く飛ぶのはおすすめできません」
    せやろなあ、とチリは苦笑した。
    やっとの思いでチルタリスが仕方ないな、と言うように綿雲のような翼を広げた。チリが一番前でネモがその後ろ、リップが支えるように最後尾に乗る。重くない?とリップが聞けば、チルタリスは平気だとでも言うようにソプラノを奏でるように鳴いた。
    「よっしゃ、ほな行ってきますわ!!」
    ビッ、とチリが敬礼の真似事をして、チルタリスが飛び立つ。重さこそ感じるものの、アオキ以外の全員の想定よりも軽やかに舞い上がったチルタリスは、岩山を越えてパルデアの大穴を覆う雲へ飛び込んだ。

  • 261723/03/07(火) 22:20:40

    >>17

    すいません、SS途中にぶっこむ形になってしまいました……

  • 27二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:23:53

    まさかのエリアゼロ突入キターーーー

  • 28二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:51:24

    エリアゼロ突入は後からハルトも追いかけるかな
    ボールロックシステムがまだ生きてるなら、最終防衛プログラムで戦えるのはミラコラしかいないし

  • 29二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 07:08:17

    犠牲軸チリちゃんの心が戻りつつあるのはとても喜ばしいことなんだけど、彼女が犠牲軸ダカさんに向かって今まで犠牲軸ダカさんのしてきたこと、現状を真っ向から否定する言葉をぶつけたら
    犠牲チリちゃんのことが今回の行動理由のひとつである犠牲ダカさんむしろショックで半狂乱になりそう……
    立ち止まったら罪悪感に押しつぶされるから今更とまれないっぽいし……

    ますますウ○カタララバイを連想するな
    もう戻れないの だから永遠に一緒に歌おうよ……

  • 30二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 14:04:42

    犠牲軸オモダカさんのイメソンウタカタララバイだわ

  • 31二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 19:13:21

    万が一、いや億が一、いや京(けい。億より上の単位)が一犠牲ダカさんが折れるようなことがあったら
    「貴女が始めたことですよ。投げ出してはなりません」と里長の厳しさ発揮しそうだと思った犠牲ハッさん
    おそらくは「自分だけは彼女の傍にいよう」という決意と犠牲ダカさんを裏切れない優しさの裏返しと思われる

    犠牲ダカさんも「下りることは許しませんよハッサク」くらいは言いそうとオモタ
    たぶん二人とも下りる気はさらさらないんだろうけど……

  • 32二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 19:16:36

    シリアスばっかなのも疲れるのでギャグチックなの考えようと思ったら
    パラドックスポケモンの群れをサーフゴーの黄金製サーフボードでサーフィンしてったら面白い絵面になるかもしれないというしょうもない妄想してしまった

  • 33二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 19:19:49

    パラドックスポケモンの群れに蹂躙されウネルミナモに荒らされていくアカデミーの光景に
    古いもの好きの血が騒ぎこの惨事も歴史に刻まれるだろうとテンションぶち上げで高笑いするレホール先生、黒幕感がパない(なお未来種パラポケはスルー)

  • 34二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 19:46:17

    >>33

    黒幕じゃない癖に黒幕仕草が今作で一番似合う女、レホール先生

    自分の好奇心100%でアオハルに四災の封印解かせた女は面構えが違う


    正直高笑いしてるレホール先生と目が死んでると思しき犠牲軸オモダカさん並べたら、多分100人中101人がレホール先生を黒幕だと思う気がする

    オモダカさんは唆されて気付いたらもう戻れなくなっちゃった人にしか見えない人多いよ、きっと


    まあ実際はレホール先生はただの一般人で、犠牲軸オモダカさんが主犯で黒幕なんですけどね

    ……何かのバグかな?

  • 35二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 19:49:49

    >>34

    むしろ(良識良心とは推定別ベクトルの理由で)並行世界侵攻に反対した立場なのでバグどころではないですね。なんで??????

  • 36二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 21:23:35

    アカデミーがあるテーブルシティ周辺は水場に囲まれてるな
    ウネルミナモならこの水上を駆けることも可能なのでは
    ……そこまで行ってるなら、ウネルミナモがテーブル外に出てパルデアに放たれてしまう危険性が

  • 37二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 22:00:33

    久しぶりに見たらだいぶ進んでてやっと追いついた
    ポピーちゃん、皆仲良くしてくれないし大変そうにいつもしてて
    そのうち空虚な目で皆の人形作っておままごとしてると辛いけど良いなと思った

  • 38二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 22:15:37

    >>37

    犠牲チリちゃんが精神を取り戻したと思ったら今度は犠牲ポピーちゃんが……パターンもお労しや……

    立場逆転もよいな……

  • 39二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 02:08:44

    前スレでテラスタルエネルギーを∞エナジーで安定化&増強説あげた者だけど、
    テラスタルはポケモンのタイプを丸ごと変えてしまう、つまりポケモンの生体エネルギーで構成される∞エナジーとのシナジー効果がかなり高いのではないか、そうなると野生のテラスタルポケモンを燃料にするほうがより効率的にテラスタルエネルギーを安定化&増強できるんじゃないか

    などというガバ説をあげてみる 深夜テンションで

  • 40二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 02:14:39

    >>39

    テラスタルさせたポケモンを燃料にするのが手っ取り早いかもしれない


    深夜テンションだからか軽率に悍ましい妄想をしてしまう

  • 41二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 10:13:10

    追い詰められ泣き叫ぶ犠牲ダカさん見たら「やはり放っておけない」と思い、共に地獄に堕ちる覚悟を固めてしまう犠牲ハッさん……生来の優しさがアカン方向に
    というかこの世界線のメンツ、意志の強さが悉く悪い方向にカッ飛んでるのがツボすぎる
    もっと暴走してくれ

  • 42二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 17:24:03

    犠牲ダカさん、犠牲チリちゃんにあなたの笑顔を取り戻したくて……!って弁明するが、当の犠牲チリちゃんは「チリちゃんのこと言い訳にすんなや!」みたいに切り返しそうな気がする
    たぶん彼女自身も、自分の心が壊れたことを言い訳にしたくないし、容認してしまった以上は同罪だと受け入れ、いっしょに罪を背負うタイプと見た

    ぶっちゃけ廃人化したのは完全なる不可抗力なんだけどね!!!!!!!!!

  • 43二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 17:36:34

    並行世界の別人でも、大切な人を助けるため強行したはずが
    自分たちの起こした騒動でその大切な人が傷ついたり、装置の燃料が実はたくさんの罪のないポケモンたちの命だった、とかなら流石にアカデミーの加担した教師陣も諦めそうかな……
    でもどうしても諦めきれないし、ポケモンの命を燃料にしなければオッケーなので、騒動が終わって教師を辞めたらアローラ行ってパケ伝ゲットしてウルトラワープライドで並行世界を渡り歩いて大切な人を救う術を探すね……(悪い方向にカっ飛ぶガッツ)

    SS犠牲軸ジニア先生は騒動が終わって教師を辞したあと、並行世界の研究成果もってアローラの空間研究所に入りそうな気がする

  • 441723/03/09(木) 18:37:00

    せっかくの素敵なSSに挟みこんじゃったレスをこっちに貼り直しまする
    (前の17レスは報告して削除してもらいます)

    犠牲軸世界に飛び込みジムリ奪還のために戦う原作ボタンがピンチに陥ったとき、向こうの世界のスター団が助けてくれそう感はある
    「確かに貴殿は、我らのマジボス殿ではござらぬ……」
    「でも、そっちの世界のスター団に、マジボスを失ってほしくない
    わたしたちと同じ思いをさせたくないから」

  • 45二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 19:30:14

    原作軸と犠牲軸の同姓同名の面々、元と大きく容姿が異なってるキャラもいるけど、外見的には原作軸と大差ないキャラもいるのでは
    ということは、原作軸の親しい知人だと思って話しかけた人が、実は犠牲軸の、ジムリ誘拐を強行している人で……みたいなアクシデントもありそう

  • 46二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 07:01:14

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 07:01:37

    騒動の中、犠牲ダカさんがぶっ壊れていって、リーグも崩壊したので
    オモダカさんの提案で設置したっぽいアカデミーのボール要素も、彼女の崩壊と合わせるようにぶっ壊れるみたいな……
    まあそこはレホール先生が喜びそうだけど 新しいボール部分は好んでいなかったし……

  • 48二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 07:03:48

    レホール先生「そうだ……本能の赴くままに荒ぶり、暴れるがいい、遥か古代のポケモンたちよ……!!
    ……未来種(貴様たち)に用はない帰れ」(ゲンガーのナイトヘッド)

  • 49二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 16:50:12

    >>45

    後ろ姿だけなら見間違えるかも

    それで表情見たら目が濁っててギョッとなるやつ

  • 50二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 19:46:27

    >>49

    軽くホラーやん……

  • 51二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 19:52:11

    >>48

    だから何で悪役ムーブしてんのよレホール先生……


    それから今は趣味全開でウヒョーしてる場合じゃないので、古代種も追い払って下さい

    スマホロトム酷使して動画と写真撮りまくってからでいいから……

    何ならどさくさに紛れて各一匹ずつゲットしてからでいいから……

  • 52二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 21:05:02

    犠牲軸の面々の大半が目が濁ってる中、澄み切った瞳で過去キチウッヒョーしてるレホール先生
    むしろ澄みすぎてギラついている

  • 53二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 22:39:52

    SS読んだ限り、犠牲軸のアカデミーにある並行世界の装置はゼロラボのタイムマシンを横にした感じらしいけど、
    縦軸移動でなく横軸移動だから横なのかなって思った

  • 54二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 22:46:28

    並行世界の観測だけなら地上のテラスタルエネルギーでじゅうぶんだった、しかし並行世界への移動は、エリアゼロ最深部と同じ濃度のエネルギーが必要となる
    そこを補うため、テラスタルエネルギーと非常に相性がいい∞エナジー、すなわちポケモンの生体エネルギーと掛け合わせることで世界線の移動が可能となった
    みたいな可能性を受信したので投げておきます
    合言葉は あくまで妄想

  • 55二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 22:53:01

    >>54

    自レス

    純粋に装置の燃料はテラスタルエネルギーだけだった、というのもありだと思います


    どっちみち総大将たちがしんどいのは変わらないので……

  • 56二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:49:45

    やめて!大切な人達を奪った筈の光で呼び寄せたパラドックスポケモン達で手の中に残った人々まで傷つけたら、オモダカさんの既にズタボロにされた傷だらけの最後の尊厳すら燃え尽きちゃう!

    お願い、死なないでチリちゃんの胃!あなたが今ここで倒れたら、オモダカさんも里長もポピーちゃんも曇っちゃう!戦乙女の祈りはまだ届いてない!あなたのお説教さえ届けば、まだ希望はあるかもしれないんだから!

    次回、「アカデミー爆発」。レイドスタンバイ!

  • 57二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:42:13

    犠牲チリちゃんがようやく精神が回復したと思ったら今度は残り三人が再起不能になるやつですか???
    しかしこれも誰かの宝物を奪い取ろうとした罰なのだ……
    これだとパルデアリーグ再建不能やんけ建物ぶっ壊れちゃってるし、仕方ないお隣のカロスリーグにてだすけしてもらうか……

    「ああ……創立805年の古き建物が燃えていく……古代のポケモンたちの手によって……(未来種はスルー)
    そしてこの惨事も……傷ついた人々、ポケモン……そしてこの私も含めて、全てが歴史に刻まれるのだ……!!
    フフフ……ハハハハハ……ハァーーーーッハッハッハッハッハ!!!」
    (アカデミー爆発炎上という歴史的瞬間に立ち会ったテンション最高潮のレホール先生)

    いっそラストバトルは爆発炎上するアカデミーを舞台に、テラスタルして強襲してきた二号ミラコラを原作&犠牲メンツで力を合わせてやっつけるテラレイドバトル方式にしたらアツいんじゃなかろうか(なおリーグ倒壊アカデミー爆発炎上)

  • 58二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:44:42

    雷雲は、豊穣の先触れである。

  • 59二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:45:27

    ゴオッ、と炎が吹き付けられる。レントラーに掴まって"かえんほうしゃ"を回避したナンジャモは、頭上を併走するように飛ぶタイカイデンに"ぼうふう"を命じた。
    仮称"ウネルミナモ"はタイカイデンの起こした乱気流とも言える暴風を受けて、立て髪を乱して前脚を地面につく。ギョロ、と鋭い眼をタイカイデンに向けて、口を開いた。
    「!!タイカイデン、上に上がって!!」
    ナンジャモの指示を受けたタイカイデンは、翼を大きく羽ばたかせ急上昇を図る。しかし加速する直前、ウネルミナモの口から発射された"りゅうのはどう"はそれよりも早くタイカイデンの身体を撃ち抜いた。
    「みずタイプの技に、ドラゴンタイプまで……?でもさっき"かえんほうしゃ"使って……ぐあぁー!!タイプが絞れない!!」
    ナンジャモは落下するタイカイデンが地面に激突する前にボールに戻す。ミモザがメブキジカに乗ったままウネルミナモの足元に飛び込み、両手で抱えたバチンウニの"びりびりちくちく"を直接押し付けた。バチンウニの電撃がウネルミナモの表皮諸共ミモザの掌を焼くが、ミモザは痛みに顔を顰めこそすれ真っ直ぐウネルミナモを睨みつけ、バチンウニを落とさない。
    「チャーレム、"しねんのずつき"!!」
    テラスタルしたチャーレムがウネルミナモの背中目掛けて"しねんのずつき"を叩き込む。ゴギャ、という音が聞こえたが、ウネルミナモは片脚をつんのめらせたのみでギロ、とチャーレムを睨んだ。
    「図体がでかい分流石に硬いな!ナンジャモさん、どうする!!?」
    キハダは此方側のキハダを庇うように位置取り、ウネルミナモを見据える。
    「ひとまずいろんなタイプの技を撃ってみて!タイプを炙り出す!!」
    「了解した!!」

  • 60二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:46:02

    レントラーが"かみくだく"でウネルミナモの右足を噛みちぎる。合わせるようにチャーレムが高く跳び、"かかとおとし"で強襲した。
    ナンジャモはレントラーにしがみついたまま、ボールからハラバリーを出す。ウネルミナモが"りゅうのはどう"を撃とうとした瞬間を、ハラバリーの"ふいうち"が刈り取った。弾性の強い身体による勢いのある打撃を顎下に喰らったウネルミナモは、溜めていた"りゅうのはどう"のエネルギーを口の中で暴発させる。バフンッ、と爆ぜて仰け反ったウネルミナモの口から煙が立ち昇った。
    「でんき技が等倍……なら水炎は無いな。ミモザ氏ー!!フェアリー技使える子いるー!?」
    「それならメブキジカが"じゃれつく"を使えるわ!かます!?」
    「よろ!」
    短いやり取りでミモザはナンジャモの意図を読み取る。振り落とされないようしっかりとメブキジカに掴まって、ウネルミナモへ向かって"じゃれつく"を指示した。蹄がウネルミナモの肌を傷付け、角が立て髪を引っ掛け引きちぎった。ウネルミナモが痛みを紛らわせるようにか、野太い声で吼える。
    「はい確定!アイツのタイプはみずドラゴンの複合だ!!」
    ナンジャモが叫ぶ。キハダが追加でルチャブルを繰り出し、"がんせきふうじ"でウネルミナモの足を潰しにかかり、ミモザはオニゴーリを出してフリーズドライを撃たせた。ウネルミナモの身体の水分を強制的に昇華し、乾燥した皮膚がパキリとヒビ割れる。みずタイプに効果抜群と同じ効力を発揮する特殊なこおり技をみずドラゴンの複合タイプに撃てばどうなるか、その答えが示された。
    「効いてる効いてる!どんどん撃ってミモザ氏!!」
    「急かさないで!あーもう、メブキジカ、ウッドホーンでアイツの注意を惹いて!!」
    オニゴーリにウネルミナモが意識を割かぬよう、ミモザはメブキジカと共にバチンウニを抱えたままその懐に飛び込む。怯め、怯めと念じながらバチンウニの"びりびりちくちく"を場所を変えて何度も押し付けた。

  • 61二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:46:42

    「レントラー、ボクのこと気にしなくていいからね!ワイルドボルト!!」
    "かみなり"を幾度も落としてウネルミナモの動きを制限するハラバリーの横を通り抜けて、ナンジャモを乗せたレントラーが雷撃を纏う。全身を駆け巡って皮膚を焼く電気にナンジャモはギリ、と歯を食いしばるが、すぐに頭を振って痛みを振り切る。行け、とナンジャモが叫んでレントラーがウネルミナモにワイルドボルトを叩き込んだ。
    「無茶ばっかりするなあ、あの二人は!!」
    麻痺狙いの"かみなりパンチ"でウネルミナモの尾の付け根を殴り倒すチャーレムは、キハダの心配そうな声に本当に、と言うように頷く。せめてナンジャモはレントラーから降りればいいのに、とキハダは思いはするが、おそらくそっちの方がよく見えるのだろう。ウネルミナモのタイプ相性以外のウィークポイントが。
    三人のポケモン達の猛攻の隙間を射抜くように、オニゴーリが再びフリーズドライがウネルミナモに捩じ込まれる。ウネルミナモはやられてばかりでなるものか、とでも言うように"かえんほうしゃ"で迎え撃った。
    「オニゴーリ!!」
    ミモザが叫ぶ。種族的能力差もあるだろう、力負けしたオニゴーリはウネルミナモの炎に播かれて倒れた。急いでボールに戻し、ミモザは戦い方を考え直す。
    次の瞬間、カッと空に光が放たれた。なんだ、と上を向いて確認すると、リーグで発生したテラスタルエネルギーの影響で暗くなっていたはずの空に日光が差していた。"にほんばれ"だ、とキハダが叫ぶ。
    ウネルミナモが口を開ける。熱を持った水のエネルギーが収束し、一気に放たれた。
    「うっわ!!」
    チャーレムがキハダを横抱きにして高圧水流を回避する。ナンジャモとミモザが飛ばされてきた時よりも、威力が上がっているような気がするのはキハダの勘違いだと思いたかった。

  • 62二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:47:27

    「レントラー、"こおりのキバ"!!!!」
    鬼気迫る表情のナンジャモがレントラーをウネルミナモの足元に潜り込ませる。冷気を纏った牙を踵に突き立てられたウネルミナモは、足を振ってレントラーとナンジャモを振り払った。
    再び高圧水流———ハイドロスチームが放たれる。メブキジカはミモザを守るために跳ねて躱すが、後ろ脚の先を引っ掛けた。
    「メブキジカ!!大丈夫!?」
    片脚を庇うように着地したメブキジカをミモザは撫でる。これ以上、ミモザを乗せたまま走るのは厳しいだろうか。
    ごめんね、ありがとう。ミモザはバチンウニを抱えたままメブキジカから降りて、ハイドロスチームに引っ掛けた脚を摩る。ここからは、自分の足で走って戦わねば。キッ、とウネルミナモを睨んだ。
    「メブキジカ、ウッドホーン!!」
    走り出す。メブキジカはウネルミナモに突っ込んでいき、胴体目掛けて飛び込むようにウッドホーンを突き立てた。僅かにウネルミナモが仰け反って、やり返すように"かえんほうしゃ"がメブキジカを襲う。まともに喰らったメブキジカは、悲鳴を上げて地面に落ちた。
    強すぎる。キハダはウネルミナモの圧倒的な暴力に冷や汗が伝うのを感じた。そもこれだけ殴りつけて尚倒れないなど、どこまでタフネスなんだコイツは。
    キハダはタイレーツを出して、"であいがしら"を指示する。飛び出したタイレーツは地面に足をつけた瞬間踏み切って、一直線にウネルミナモの足首に突貫した。挟むように後ろに回り込んだチャーレムが、テラスタル補正付きの"しねんのずつき"を叩き込むと、ウネルミナモは咆哮を上げてバランスを崩した。
    「レントラー、ワイルドボルト!!ハラバリー、"かみなり"!!これはダメ押しだ!ムウマージ、マジカルシャイン!!」
    ハラバリーの"かみなり"がウネルミナモを撃ち抜き、レントラーのワイルドボルトが横っ面を殴りつける。ナンジャモはボールからムウマージを出し、マジカルシャインでウネルミナモを猛追した。

  • 63二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:48:00

    ダンッ、と地面を踏み締めて体勢を立て直したウネルミナモが、"りゅうのはどう"を薙ぎ払うように撃つ。タイレーツのホヘイの一匹がヘイチョーを庇って吹き飛ばされ、チャーレムが跳んで躱した。ハラバリーが頭のこぶを片方抉るように焼かれる。クロスレンジに飛び込んでいたレントラーとナンジャモは間一髪難を逃れ、ムウマージは空を飛んで回避した。
    「ハラバリー、大丈夫!?」
    「タイレーツ、まだいけるか!?」
    ナンジャモとキハダ、二人の声が飛ぶ。一撃一撃が途轍もなく重い。勝てるのか、と一瞬弱音が頭を過った時。
    「バチンウニ、叩きつけるけどいい!?」
    「バチンッ」
    ウネルミナモの背後からミモザがバチンウニを抱えて接近する。フンス、とバチンウニが鼻を鳴らした。バチンウニを上に掲げて、身体の棘がウネルミナモに向くように振り下ろして、ミモザは。
    「バチンウニ、"びりびりちくちく"!!」
    ウネルミナモの尾の付け根に、バチンウニの"びりびりちくちく"が叩きつけられた。
    「グゥオォオオオオオ!!!!」
    ウネルミナモが吼える。しなる尾を振って、ミモザとバチンウニを払うように叩き飛ばした。
    「ミモザ先生!!!!」
    ウネルミナモの尾で払われ地面に転がったミモザにキハダが駆け寄る。ゲホッ、と咳き込んだミモザの額から、打った拍子に皮膚が切れたのか血が出ていた。
    その場を動けず、動かず、安全圏から見ているしかできなかった此方側のキハダが、ヒュッと息を飲む。何故、どうしてこんなことに。答えなど当に出ている問いが頭の中をぐるぐる回る。
    「キハダ氏、ミモザ氏連れて一旦退がって!!その間ボクが引きつけるから!!」
    ナンジャモの言葉にキハダはミモザを抱えてその場を離れる。まだ戦える、とミモザはキハダの腕の中で暴れながら訴えるが、敢えて無視した。負傷者は大人しくしていろ。

  • 64二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:48:37

    ナンジャモはキハダ達が離脱したのを確認して、ウネルミナモを見据える。踏ん張りどころだぞ、ボク。呟いて頬を叩いた。
    「ムウマージ、シャドーボ———」
    言いかけた時だった。

    ———ザンッ。

    知覚外から、何かが飛び込んできてウネルミナモを一閃する。倒れこそしないものの、ウネルミナモはギャオと唸って顔を顰めた。なんだ、とナンジャモが飛び込んできた何者かへ視線を向ける。
    「!?」
    そこにいたのは、メタリックシルバー一色の身体に蛍光ピンクのエネルギー刃の腕と薙刃を持つ機械のポケモン。パラドックスポケモンでのテツノブジンあることは間違い無いのだが、異質であったのは身体の色は当然のこと、その首を飾る黒と緑のストライプ柄のストールだった。
    ストールを巻いたテツノブジンは、電光モニターのような眼でウネルミナモを下から睨みつける。ナンジャモは何が何だか訳がわからなかった。
    ゴオッ、とテツノブジンが飛び込んできた方角から、新たに二体のポケモンが駆けてくる。現れたのは見覚えのあるマスカーニャとソウブレイズ。それに続くようにやってきたのは。
    「は、ハルト氏!?」
    「ナンジャモさん、無事ですか!?」
    ミライドンに乗った、チャンピオン・ハルトだった。

  • 65二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 11:55:48

    ギャグガン振りレホ先絵。後ろの爆発と手前の女性に因果関係はありません。
    たまにはこういうのも……いやちゃんと教師して??(懇願)
    各所でいろいろ言われてるレホ先、個人的には本編でしっかり常識人ムーブしながら「なんだ?意外だったという顔をしているな?ククク…」って見透かされてぇや

  • 66二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 12:00:21

    やっとSS続きだー!
    ハルト、まさかまさかのパラポケを仲間にしていたとは……
    しかも描写みる限り色違いテツノブジン……!?
    パルデアの新チャンピオンは伊達じゃねえ……!!

  • 67二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 12:01:44

    絵を描いてる間にssきてた!ストール巻きでヒトのポケモンってアピった上でピンチ助けてくれるこの展開オレスキー!

  • 68二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 12:06:43

    SS原作ハルトの手持ち
    マスカーニャ
    ミライドン 
    ソウブレイズ
    テツノブジン(色)(ストール巻き)←New!

    という認識でおk?

  • 69二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 13:18:26

    (厳密には黒緑ちゃうしストールならぬスカーフだけど、色ブジンが巻いてモノにこれを見出したポケダンの民……勝手にエモみを感じてる)

  • 70二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 18:19:00

    わぁ!ここで主人公が敵であるはずのパラドックスポケを味方に登場するの熱い!!
    レホール先生「…なんだ古代種ではないのか」(-"-)

  • 71二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:10:00

    >>65

    イラストだけだと

    見事なまでにレホール先生が黒幕にしか見えない罠

  • 72二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:29:52

    騒動の鎮圧に手持ちのパラドックスポケモンが協力することで、
    パラドックスポケモンが必ずしも敵とは限らないということを示せるはず……はず……!!

    ……でも犠牲ダカさんがパラポケを仲間にしてる原作のチャンピオン・ハルトを見たらどう思うんだろうか……
    なんかどんどん追い詰められてますます止まれなくなる気しかしない……

  • 73二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 02:58:45

    並行世界観測装置にも、装置を停止させないための楽園防衛プログラム的な防衛機構が搭載されてたりされてなかったりするかも知れない……ふとそう思ってしまった
    装置に強力なポケモンかAIロボット(テツノシリーズみたいなやつ)か何かが仕込まれてるみたいな
    装置が壊されそうになったらそれが飛び出してくるとか
    「これは……!? トップはどうしても、装置を止めたくないのか!?」

    犠牲世界線ではトップが黒幕なので、原作の楽園防衛プログラムのセリフを犠牲ダカさんで妄想したりしてみました

    「あなたは何も成せないまま、この楽園で朽ち果てるのです」
    「私の楽園は壊させない……殲滅準備を開始します」
    「時は満ちた! 我らの楽園の礎となりなさい!!」

    ……レホール先生に負けず劣らずのラスボス感……

  • 74二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 03:00:03

    >>73

    自レス、下手したら二号コライ、ミライのどっちかが防衛機構に組み込まれてるかもしれない……

  • 75二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 08:29:45

    やだ……この保健の先生ガッツがありすぎる……

  • 76二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 08:32:49

    この世界の人全員吉田沙保里と喧嘩できそう(粉みかん)

  • 77二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 11:30:10

    犠牲世界線のリーグ・アカデミーでのテラスタルエネルギー濃厚なので、オーブにエネルギーがチャージするの早いかもしれない?と思う
    でもパラポケが追ってくるの考えると乱用はできないか

    あえてオーブを使ってパラポケの注意を惹きつけるみたいなこともできそうだけど

  • 78二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 18:08:15

    攫われてきた身でありながら、色々理由はあれどパラポケに襲われそうになった犠牲軸キャラを身を挺して庇って大怪我して、犠牲軸をさらに曇らせ罪悪感マシマシラさせる原作キャラだ~れだ!

    個人的にハルトくんあたりはトップ10にいそう

  • 79二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 18:24:30

    >>78

    自レス

    直近のSS読んだら原作ハイダイさんが犠牲ポピーちゃんを庇ってましたね……

  • 80二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 18:35:23

    >>78

    もしアオキさんが犠牲軸トップかばってそうなったら、いっぺんに4人の心が抉れるわけか

    お得だね!

  • 81二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 20:45:03

    ストールブジンvsウネルミナモfa。最近のポケモンは描くのが難しいと老人は思います(
    やっぱり主人公があらゆるポケモンと仲良くなれるってのは世界を救うんだよ!パラポケに何を思うかは人次第でも分かり合える実例としてハルトくんの存在はまさにパルデアの光やあ

  • 82二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 20:46:11

    騎士として忠誠を誓うように胸に手を当て片膝をつく色テツノブジンにストール巻いてあげるハルトのワンシーンはそれだけでアカシアみがすごい
    どんなに得体が知れなくても凶暴で冷酷でも、絆を紡ぐことができるポケモンとトレーナーであれるんだって
    ミライドンからもなつき度MAXなわけで

    ゴールはきっとまだだけど もう死ぬまでいたい場所にいる
    隣で 君の側で 魂がここだよって叫ぶ
    泣いたり笑ったりする時 君の命が揺れる時
    誰より 近くで 特等席で 僕も同じように 息をしていたい……

  • 83二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 20:59:26

    ミライドンのハドロンエンジンでエレキフィールド作れるし未来パラポケのブジンともシナジー高いのよね
    え?アカデミー襲撃してる未来パラポケも強化される? ……まあそいつら一掃してから……

  • 84二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:30:38

    >>78

    コルさんはなんだかんだ言ってもこっちのハッさん庇いそう

  • 85二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:34:27

    >>80

    これものごっつ見たいけど見たくねぇ!心が二つある~

  • 86二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 00:44:38

    色テツノブジン仲間入りした時の初対面で
    同胞の気配(同じ未来種パラポケ)を感じ取ったミライドンがボタンにしたように色ブジンをなめまわした幻覚を受信
    あると思います

  • 87二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 06:44:26

    >>80

    本編軸込みで最大8人まで曇らせれるってことか!

    ハッサクさんは微妙だけどあとは皆犠牲軸の自分見てるしちょっと過敏になってても良い。怪我した結果全部終わった後しばらくは皆過保護になっててちょっとうんざりしてるアオキさんは存在する

  • 88二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 06:56:27

    >>81

    疾走感のあるバトルシーンが素敵やー!

  • 89二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 16:30:51

    保守

  • 90二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:37:32

    聖剣は特別を求めない。
    勇者の始まりは、一振りの銅の剣である。

  • 91二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:38:13

    マスカーニャのトリックフラワーがウネルミナモの眼前で爆ぜた。瞬きの刹那を貫くように、ソウブレイズの"かげうち"とテツノブジンのソウルクラッシュが突き立てられる。
    「ハルト氏、なんでここに!?あとあのパラドックスポケモンって……!?」
    「すみません順を追って説明させてください!」
    レントラーに乗ったナンジャモの問いかけに、ハルトは待ったをかける。全身に軽い電気焼けを起こしたナンジャモの姿に一瞬眉を下げて、すぐに気を引き締め直しウネルミナモに向き直る。
    「こっちの世界のタイム先生を説得して、その後平行世界の観測装置を占拠……でいいのかな、とにかく抑えたのはいいんですけどグラウンドだから外から入り放題じゃないですか。パラドックスポケモン達が装置のテラスタルエネルギー目当てで集まってきて、僕たち最初迎撃してたんです。そしたら、こっちのネルケ……校長先生が駆けつけてくれて、"ここはおれとジムリーダーさんに任せて、テーブルシティで戦ってる人達の方を助けてやれ"って」
    「校長先生って街角ジェントルだよね???あの人そんな強かったんだ……」
    「校長強いですよ!」
    グッとハルトが両手を握ってガッツポーズを取る。世界が違うのに信頼されてるなあ、とナンジャモは少しだけ微笑ましく思いながら、すぐに切り替えてウネルミナモを睨みつける。であればこそ、ここであのデカブツを倒し切るべきだ。
    「ハルト氏、アイツのタイプは推測だけどみずドラゴンだよ。テツノブジンを軸に攻めていこう」
    「わかりました。テツノブジン!!」
    ハルトの声に、テツノブジンは僅かに顔だけを向けて頷く。視線をウネルミナモに向き直し、薙刃を構えた。ソウブレイズとマスカーニャがテツノブジンの前に出て、先駆けは任せろと告げるように鳴く。
    ヒュンッ、とマスカーニャが軽い足取りで地面を蹴った。タンッ、とソウブレイズが軽快な音を立てて走り出した。

  • 92二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:39:00

    素早い動きと、マント状の獣毛の光学迷彩による幻惑でマスカーニャはウネルミナモを翻弄する。ソウブレイズがウネルミナモの死角から"かげうち"で踵を斬りつけた。ナンジャモを乗せたままのレントラーがサイコファングでウネルミナモの左腕に喰らいつく。ウネルミナモは煩わしいと言うようにハイドロスチームを地面に向けて撃ち、衝撃でマスカーニャ達を追い払おうとした。
    水蒸気と土煙を突き抜けるように、テツノブジンが薙刃を構えてウネルミナモの胸元に飛び込む。
    「テツノブジン、ソウルクラッシュ!!」
    ハルトの声が飛ぶ。テツノブジンは薙刃にエネルギーを集中させ、機械音声の鳴き声を上げてウネルミナモに斬りかかった。
    「グゥオォオオァアア!!!!」
    ウネルミナモが"りゅうのはどう"をめちゃくちゃにぶちまける。テツノブジンはフェアリー複合のため無傷だが、ソウブレイズとマスカーニャは回避したものの僅かに掠めてソウブレイズは肩を、マスカーニャは脇腹を焼かれた。左腕に噛み付いていたレントラーはナンジャモごと力任せに投げ飛ばされ、地面に叩きつけられる。
    「ナンジャモさん、無事ですか!?」
    ハルトの不安そうな声がする。レントラーから落ちたナンジャモは背中を摩りながら大丈夫、と袖を振った。
    「ここが踏ん張りどころっしょ!レントラー、ワイルドボルト!!ムウマージ、マジカルシャイン!!」
    牙を剥き出して唸るレントラーが雷を纏う。空中で隙を窺っていたムウマージがカッと目を見開いた。レントラーは"りゅうのはどう"を掻い潜ってウネルミナモの股座にワイルドボルトを捩じ込み、ムウマージは上からマジカルシャインを何度も叩き込む。頼む、倒れてくれと念じながら、ナンジャモは二匹に指示を飛ばすように叫ぶ。
    マスカーニャが"じゃれつく"でウネルミナモの鼻っ面に取り付いた。ウネルミナモがそれに悶えたところをソウブレイズのサイコカッターとテツノブジンのソウルクラッシュが畳み掛ける。ウネルミナモは振り払うようにハイドロスチームを横薙ぎにするように発射した。
    「……威力、落ちてる?」
    ハイドロスチームの出力が目に見えて低下しているのをナンジャモは感じ取った。その原因として考えられるのは、ウネルミナモが弱ってきていることと、もう一つ。

  • 93二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:39:38

    「ソウルクラッシュの特攻ダウンが響いてるんだと思います!三回当てたから、低下量は150%!!……多分!」
    「そこは自信持ってもろて」
    それじゃあガンガン当ててもらおっと!とナンジャモが両手を合わせる。ハルトは力強く頷いて、テツノブジンに"つるぎのまい"を、ソウブレイズとマスカーニャにテツノブジンの援護を指示した。
    マスカーニャがトリックフラワーをウネルミナモの目の前で爆ぜさせて視界を奪う。ソウブレイズはそれに合わせるように"むねんのつるぎ"で立て髪を斬り裂く。ダメージを与えることは重視しない。それはテツノブジンの役目だと二匹とも理解している故に。
    "にほんばれ"の効力がようやっと切れたのか、周囲を照らしていた陽光がフッと消え失せた。すぐにウネルミナモは"にほんばれ"を再発動し、ハルトとナンジャモ達は急な光度の変化に一瞬眩暈がした。そこを見逃してくれる相手ではないことを理解していながら、生理現象には抗えない。
    ゴッ、と音がした。しまった、とナンジャモが青い顔で目を見開いた時には既に遅い。ハイドロスチームがテツノブジン目掛けて発射される。テツノブジンはスカーフを靡かせて回避しようと足を屈伸させる。その瞬間。

    「ドヒドイデ、そのパラドックスポケモンを庇って!!」

    ボールが飛んでくる。飛び出したドヒドイデはハイドロスチームをその硬いドーム状の触手で受け止めた。
    「!!こっちの世界のミモザ氏!?」
    ナンジャモが目を見開いた。眩む目を抑えるハルトもそちらを向く。
    「……一応言っとくけど、協力するとかじゃないから」
    苦虫を噛み潰したような表情の、此方側のミモザは手のひらから血が滲むほど拳を握りしめている。小さく息を吐いて、少しだけ俯いていた顔を上げる。

  • 94二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:40:16

    「なんか、さっき、そっちのアタシがそっちのキハダ先生に抱えられてて、しかもすごいボロボロになってて……なんでコイツ、アタシ達の世界がどうなろうが関係ないはずなのに、むしろ、敵なんだからめちゃくちゃになった方が都合いいだろうに、そんなになるまで戦ってるの、意味わからないし。馬鹿みたいじゃない、戦いもしないアタシの方が」
    吐露されたのは、不甲斐なさと不理解と罪悪感が複雑に絡み合った感情で。
    ごめんねこっちのミモザ氏、ミモザ氏がボロボロなの半分くらい自爆ダメージなんだ。ナンジャモは内心でそう言って、若干申し訳ない気持ちになった。
    此方側のミモザはウネルミナモを睨め付ける。此方側のオモダカから提供されたパラドックスポケモンの情報に、コイツのことは記載されていなかった。では、コイツは一体なんだ?疑念は抱きつつ、此方側のミモザはドヒドイデを"じこさいせい"で回復させる。
    「で、そのスカーフ巻いてるパラドックスポケモン、"つるぎのまい"積んでたけどあと二回やるの?」
    「そうですね……できれば最大火力で叩き込みたいので」
    「じゃあ守ってあげる。その代わり、絶対仕留めなさいよ、ハルト」
    「撹乱はボクらに任せろー!」
    「はい!!」
    ムウマージがシャドーボールをウネルミナモの足元目掛けて撃ち込んだ。ドヒドイデが"どくどく"を浴びせ、ウネルミナモを猛毒状態にする。ソウブレイズとレントラーは足元に潜り込み、それぞれサイコカッターと"こおりのキバ"を足の甲に突き立てた。その隙に、テツノブジンが二度目の"つるぎのまい"を積む。
    マスカーニャが"つじぎり"で跳ねるようにウネルミナモの背中を薙いだ。ウネルミナモは咆哮し、尻尾を振り回して足元のレントラーとソウブレイズを払い除ける。その衝撃で、最初から今の今まで最前線にいたレントラーは遂に倒れた。
    ナンジャモは急いでレントラーをボールに戻す。

  • 95二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:41:27

    「ありがとう、よく頑張ったねレントラー」
    ムウマージが心配そうな顔でナンジャモを見る。大丈夫だよ、とナンジャモはひらひら袖を振った。
    ウネルミナモの"りゅうのはどう"が再びテツノブジンを狙う。今度は撃ち出されるより早く気付いたマスカーニャが、下からかち上げるように"じゃれつく"で飛び上がり、射線をずらした。放たれた"りゅうのはどう"が上に向かって飛んでいく。ドヒドイデのベノムショックがその隙を狙って捩じ込まれた。
    三度目の"つるぎのまい"が積み終わる。テツノブジンはハルトの方を振り返り、いつでも行けると言うように頷いて、電光掲示板のような眼でウネルミナモを見据えた。
    「行くぞテツノブジン!最大出力でソウルクラッシュだ!!!!」
    ハルトの声に応えるように、テツノブジンは電子音声を高らかに響かせる。ダンッ、と地面を蹴り、ウネルミナモの上を取るように跳び上がり薙刃を振り上げた。
    ウネルミナモが吼えて、ハイドロスチームを構える。そうはさせるものかと、ムウマージのシャドーボールとマスカーニャのトリックフラワーが左右からウネルミナモの顎を撃ち抜いた。ソウブレイズの"かげうち"が踵を二度打つ。ドヒドイデのアクアブレイクが鳩尾にめり込んだ。

    ———ズバッ!!!!

    縦に一閃、ウネルミナモの身体をテツノブジンの最大パワーのソウルクラッシュが両断した。
    ナンジャモが、此方側のミモザが、ハルトが息を呑む。時間にして数秒、しかし体感で数時間にも感じられる静寂が流れた。
    ぐらり、ウネルミナモの身体が揺れた。崩れるように膝をつき、そのまま呻き声を上げて前のめりに倒れる。
    警戒を解かない。ハルト達は倒れたウネルミナモを注視して、戦闘体勢を維持した。
    果たして、ウネルミナモは動かなかった。

  • 96二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 17:42:00

    力尽きたのを確認したナンジャモは、緊張の糸が解けたのか大きく息を吐き出して、そしてその場にドサッ、と座り込んだ。
    「終わった〜〜〜〜〜〜!!」
    空を仰いで大声でナンジャモは宣言した。そのまま服が汚れるのも気にせず———そもそも既に焼け焦げた跡や擦って傷んだ跡やらがあるので今更だ———地面に背中から寝転がった。
    「お疲れ様、よく頑張ったね。マスカーニャ、ソウブレイズ、テツノブジン」
    ハルトは自身のポケモン達を順番に撫で回す。マスカーニャは得意そうな顔で鼻を鳴らし、ソウブレイズは少し照れたようにそっぽを向く。テツノブジンは忙しなく首を飾るストールを弄っていた。
    「アギャッス!」
    「あ、ミライドン」
    ボールからミライドンが一人でに出てきた。そのままスタスタとテツノブジンに近付いて、べろりと主に顔周りを舐め回す。ミライドンなりの労りであることはハルトもマスカーニャ達も重々承知だが、テツノブジンは少しだけイヤイヤと言うように両手でミライドンを押し返していた。
    「……なに、アレ」
    此方側のミモザは改めて信じられないものを見たような顔をした。当然だ。この世界にとってパラドックスポケモンは絶望の象徴で、大切なものを軒並み壊していった破壊の化身で。しかし目の前でハルトに労られミライドンに舐め回されているテツノブジンは、まるで普通のポケモンと変わりない。ミモザの知る機械の身体のパラドックスポケモン達は、どれもこれも冷徹で冷酷で、兵隊人形か殺戮兵器かのようだったのに。
    「あ、ミモザ氏とキハダ氏に報告しなきゃ。やっつけたよーって」
    「そうですね。まだ予断は許せませんけど、一先ずみんな休ませたいし……」
    ポケモン達をボールに戻し、ナンジャモとハルトはミモザ達との合流を考える。小休止を挟みたいのもそうだが、何よりハルトとしてはナンジャモの怪我も手当したい。
    「こっちのミモザ先生も、一緒に来てくれますよね?」
    「えっ」
    当たり前のように確認を取られた。何故、さっきまでそちらの自分と本気で潰し合っていた筈なのだが。
    ハルトはキョトンとした顔で、どうして疑問視されたのかわかっていないようなそぶりを見せた。ナンジャモは流石に苦笑して、辛かったら無理についてこなくていいよと言う。

    斯くして、超大型パラドックスポケモン、仮称"ウネルミナモ"。討伐、完了。

  • 97二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 18:13:57

    ss続きだ!やっぱハルトくんが圧倒的光!スキー!
    遂にミナモも討伐されたな…エリアゼロの動向も気になる

  • 98二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 19:34:07

    アギャス「ブジンくんおつかれさまー!ヨシヨシヨシ」ペロペロペロ
    ブジン「勘弁してくれ……」
    こうですかわかりますん

    ブジンくんのストール、ハルトくんからもらったものなのかな?損傷がないか確認してた?とか想像が広がってイイネイヌ……

  • 99二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 19:39:58

    前スレでSS読み返したりすると、
    SS原作軸ポピーちゃんがライムさんに聞きたいことがあるって言ってたの、彼女が見た犠牲軸ジムリの残留思念?について聞きたいのかな?と思ったり、
    リーグ崩壊時に他の人も逃げ出してるはず……と思ったり
    読み返すのもけっこう楽しい

  • 100二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 20:49:41

    マスカーニャ「とーぜんでしょ♪」フンス
    ソウブレイズ「指示通りに戦っただけだ」ツンデレ気味
    テツノブジン(色)(ストールの位置を直したり損傷がないか気にしてそう)

    こんな感じでしょうかポケモンたちの反応いいすね……これぞアカシア……

    それだけに犠牲軸のポケモンたちめっちゃ辛い心情だろうなってなる……犠牲ポピーちゃんとこのデカヌチャンとか犠牲ダカさんの良心と忠誠で揺らぐ苦悶の表情を浮かべるゴーゴートとクエスパトラとかもう……もう……(語彙力/Zero)

  • 101二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 23:29:43

    犠牲世界のみんなも自分の心に決着をつけて前を向いて!と思うが、どう足掻いても諦めきれない!
    なまじ『彼ら』を見てしまったから、手段を見つけてしまったから…どうしても、どうしたって!
    もう一度!この手に!!此処に!!!という人もいるかもしれんし、それが人間だよな…

    それはそれとしてハルト君かっこよ!

  • 102二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 23:58:14

    いくら別人だと言われても、そう断じるには亡くした大切な人とあまりにも似すぎて、いや瓜二つで、割り切れない人も多いだろう
    それにポケモン世界には、装置に頼らずとも並行世界に移動する方法は存在してしまってる
    たとえばアローラのパケ伝とか、ウルトラワープライドとか

    言葉で止められないのならポケモンによるダイレクトアタックをかますしか

  • 103二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 00:04:22

    犠牲軸の何人かがウルトラホールの存在を知ったら
    「人のものを盗ったら泥棒だというなら、大切な人が生きている世界に行けばいい、あの人がいなくなったこの世界に未練なんてない」と、元の世界を捨てて並行世界に定住するみたいな選択肢だってあり得る ただそれは自身の大切な人が命がけで守った世界を捨て去るわけで……
    そうと分かっていても諦めきれない、会えるならそのチャンスにかけたい
    なんて考えてしまう人がいても不思議じゃない

  • 104二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 07:08:10

    犠牲軸が追い詰められ許されない凶行に走ってしまった今回の騒動
    事態が収束した後のハルトくん、犠牲軸の面々に起こったことが自分にも降りかかったら?と ふと考えそう
    もしかしたら、自分も彼らと同じ選択をしてしまうかもしれない
    もしそうなったら、ハルトが自分たちを助けてくれたように、何が何でも絶対に止めてやる、今度は自分たちが助けると約束するホームウェイ組
    とうといと思います…

  • 105二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 15:50:35

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 15:52:44

    ホームウェイ組全滅かつグルーシャ生存IFなら、グルーシャがやらかしそうな案件過ぎる
    多分他ジムリーダー(特にコルサ)は自分が生き残って自分の大事な人が死んでもやらないとは思うけど

  • 107二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 19:43:50

    犠牲軸の面々みて頭に浮かぶのは


    「繰り返すあやまちの そのたび ひとは

    ただ青い空の 青さを知る」


    っていう歌詞


    SSだとテラスタルエネルギーの影響で空が暗いっぽいけど

    騒動が収束したら青い空を見上げてほしいとも思います……


    「いつも何度でも/木村弓」の歌詞 って「イイネ!」「呼んでいる 胸のどこか奥で いつも心躍る…」勇気をもらったり、泣けたり、癒されたり…、この歌詞をチェックしてみて!人の心を打つ「言葉」がぎっしり!www.uta-net.com
  • 108二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 21:39:07

    タイムマシンは動かせる状態で残ってるんよな?
    今の犠牲軸面々の実力だったら過去に戻ってジムリーダーたちを助けに行くことも出来るんではないだろうか
    勿論都合よくその日に戻れるかも分からんし、それが出来てもタイムパラドックスで犠牲軸の存在が消えたり、ただ単に世界線が分岐したりするだけで結局ジムリーダーたちと共に生きる未来は存在しないかもしれないけど、別世界の存在でも彼らがあの日の未来で生きてくれるなら、助けることが出来るなら……っていう

  • 109二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:52:37

    犠牲世界とは逆でジムリ(アオキさん含む)が生存、トップと四天王が全滅になった世界の場合
    同じように別世界観測できたとしてもそれでもジムリたちは凶行に走らず、あの人たちが幸せに生きる世界もあるんだな良かった…で終わりそう
    特にトップと四天王と関係の深かったアオキさんとコルサさんが筆頭に前を向くから他の人たちも懸命に前に進む
    「この世界の『彼ら』は失った彼らだけ。同じ枝に実ったからといって同じ果実ではないように」
    取り戻したいけど代替品が欲しいわけではないから

  • 110二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 07:11:03

    >>108

    問題はタイムマシンで過去化未来へ飛ぶと人間じゃ戻ってこられないということ……

    元の世界を捨てて、タイムスリップした先で定住するつもりなら話は別だけど

  • 111二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 18:09:40

    保守

  • 112二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 18:58:39

    奈落の底の楽園は、虚栄の墓場である。

  • 113二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 18:59:23

    バサ、と翼が羽ばたく音が響く。蓋のように大穴を覆う雲を突き抜けて、チリと、ネモと、リップを乗せたチルタリスは大穴の中へ下降した。雲を抜けた先に見えた景色は、煌めく粒子が空気中を舞う幻想郷。その足で訪うのは初めてのチリとリップは息を飲んだ。
    フワッ、とチルタリスが存外にゆったりと着陸した。チリ達はチルタリスに負担をかけないよう慎重にその背中から順番に降りて、首や頭を撫でて労った。此処からは、自分たちの足で進まなくてはならない。
    ネモは胸の前で両手を握る。膝が少しだけ震えているのを見たリップは、大丈夫?と声をかけた。
    「あ、大丈夫です。私は、うん。ただ……その」
    ネモが歯切れ悪く言葉を詰まらせて眼を逸らす。どないしたん、とチリが聞けば、ネモ少しだけ唸ってから。
    「前来た時は、ハルトと一緒に冒険できる!とか、強いポケモンと戦える!って感じでワクワクしてたんですけど、その……今は、なんか、此処……気味が悪いです」
    気味が悪い。その言葉にチリもリップも同意した。雲に覆われて地上の光が届きそうもないのに、真昼のように明るく眩いこの景色には、幻想的な美しさこそある。だが、それが却って不気味な印象を与えるのだ。
    「此処入ってからチラチラしとるこのキラキラもなんやけったいな感じするし、チリちゃんもできればあんまり長居したないわ」
    「同感。なんだか全体的に身体に良くなさそうな場所よね」
    さっさとゼロラボへ向かおうと歩き出す。一先ず第一観測ユニットへ向かい、ワープ装置が生きているかどうかを確認しなければ。
    坂道を降る。ネモは周囲を見渡しながら、自身の記憶と様子の違うエリアゼロに寒気を覚えた。
    何故、こんなにもポケモンがいない。

  • 114二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 19:00:10

    明らかに何かがあったと思われる。ネモが以前ハルト達と来た時には、野生のアーマーガアやキリンリキ、モルフォンやワタッコなど様々なポケモンが棲息していたはずなのだが。何故、表層のはずの此処ですらフラエッテ一匹見当たらない?
    顔色の悪いネモを気にしつつ、チリとリップは足を止めない。今は生憎一秒でも時間が惜しいのだ。
    暫く歩いて、一行の視界に明らかな人工物が映り込む。ネモが、足を止めた。
    「……嘘」
    眼を見開いて、左手で口元を覆う。チリとリップも、流石に目の前の光景には信じ難い思いだった。
    観測ユニットの面積の半分ほどが、テラスタル結晶に取り込まれかかっている。いわんや、取り込まれつつあるのは観測ユニットだけでなく、岩壁も、木々も、テラスタル結晶に飲み込まれつつあった。
    「なんや、これ」
    チリは言葉が出ない。こんな異常な場所なのか、エリアゼロは。そしてこんなにも異常なものなのか、テラスタルの力とは。
    幸にして、入口はまだ無事な様子で結晶の侵蝕からギリギリ逃れている。チリ達は気合を入れ直してユニット内部に足を踏み入れた。
    「わっ」
    リップは思わず声を上げた。中はところどころテラスタル結晶が氷柱状に生えていて、機材やベッドに突き刺さっているものもあった。床には欠片が散乱していて、現在素足に包帯を巻いただけのリップには危険だとチリはリップを入口付近で待たせた。
    「ネモ、そっちどない?」
    「一応装置自体は生きてるっぽいんですけど……これボタンが来るべきだったやつかなぁ……ロックかかってるくさいです」
    「マジかぁ」
    ワープ装置が生きていてもロックがかかって使えないとなると、やはり自力で、徒歩でゼロラボまで向かうしかないのか。ネモは流石にげんなりした顔でため息を吐き出した。体力のないネモにとってあの道のりは正直割と、いやかなりしんどい。
    「……ッ」
    ピクッ、と入口の側に待機させられていたリップが何かに勘付いた。チリとネモがそれに気付いて、入口の側に近付く。

  • 115二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 19:00:49

    ポケモンの鳴き声がした。それも、複数。
    チリが警戒してボールを手にする。ネモは息を殺して壁に背を預け、耳を澄ませた。
    数秒音で様子を伺っていた時だった。ポップコーンが弾けるような勢いで、ドアを開け放ちリップが飛び出す。チリの咄嗟の静止は間に合わず、事前に回復させていたリキキリンをボールから繰り出した。
    開け放たれたドアからネモは外を覗き見る。そこにいたのは、観測ユニットを囲むように漂うキラフロルの群れ。ヒュッ、と息を呑んだネモは、やはり自分がハルト達と共に潜った時と比較して明らかに様子がおかしいと確信した。この世界で一体、何が起きたらこんなことに。
    「先手必勝よリキキリンちゃん、"しねんのずつき"!!」
    リップが声を張る。リキキリンが全速力でキラフロルの群れに突撃し、"しねんのずつき"で数匹ほど突き飛ばした。
    「あーもう、何しとんねんなあの人!!仮にも怪我人やねんからもうちょっと大人しいでけへんのか!!?」
    「多分私と二人で倒したヤバそうなパラドックスポケモンとの戦いで、変なとこに頭のチャンネル固定されちゃったんじゃないですか?見てくださいよあのめちゃくちゃいい笑顔。眼とかギラッギラしてますよ」
    「メディア出演しとる人がやってええ顔ちゃうんよなあ!!スーパー総大将もびっくりのバーサーカーやんけ!!」
    キラフロルの群れを相手に早々に暴れ倒すリップを助けるため、チリはダグトリオを出す。ネモも後に続いてルガルガンを出した。
    ルガルガンのドリルライナーがキラフロルを次々貫きテンポよく屠る。キラフロル達も反撃の為パワージェムを撃つが、ルガルガンはそれを軽い身のこなしで回避した。倒されたキラフロルの特性、"どくげしょう"で飛び散ったどくびしをおっとっと、と避けながらネモはキラフロルの群れの全容を捉える。自分たちが来た時は、第一観測ユニットに現れたのは一匹だけ。その姿を頻繁に見るようになったのは、地下洞窟に足を踏み入れた辺りだったはず。生息域を此処まで広げてきたのだろうか。ネモは戦いながら並列で思考する。

  • 116二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 19:01:18

    「ネモ!リップさん!跳べ!!ちっとばかし揺らすでぇ!!」
    チリが叫ぶ。瞳孔をかっ開いたリップと並列思考に沈んでいたネモが反応して、リキキリンとルガルガンが地面を蹴って跳んだ。
    ゴッ、と観測ユニットの周囲一帯が大きく揺れる。ダグトリオの"じしん"がキラフロルの群れを飲み込んだ。
    "どくげしょう"でどくびしをばら撒きながら、キラフロルの群れの大半がボトボトと地面に落ちて倒れた。辛うじて生き延びたキラフロル達は、分の悪い勝負だと判断して一目散に下層へ逃げていく。
    一先ず、直近の危機は去ったと判断して、チリは一息ついた。ダグトリオを労ってボールに戻すと、ムスッとした顔で。
    「リップさん、堪忍してえな。何が起こるかわからんのに勝手に飛び出さんでもろて」
    「でもあのままユニットの中に隠れてても時間の無駄でしょ?ただでさえリップ達、ケツカッチンなんだからいっそ強行突破も選択肢の一つよ」
    「それはそうなんやけども」
    タハーッ、とチリは額に掌を当てて雲に覆われた空を仰ぐ。ボールに戻したダグトリオと交代するように、チリはドオーを出した。
    「チリさん、なんでドオーを?」
    「どくびし掃除」
    ネモはチリの返答にあぁなるほど、と手を叩く。毒タイプがどくびしを踏むと消える性質を利用するのかと。正直足の踏み場を探さねばならぬほど散らばったどくびしをなんとかしなければならないので、移動速度は落ちるだろうがリップの足のことを考えると却ってそっちの方がスムーズに進めそうだ。
    「なんだか腑に落ちない……」
    「腑に落ちんでも我慢してや。リップさん再三言うけど靴無い上に電気焼け酷いんやから」
    ドオーを歩かせてどくびしを踏み潰していくチリを先頭に、苦笑いをするネモと不満そうな顔を隠しもしないリップは第二観測ユニットへ向けて歩き出した。

  • 117二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 19:10:42

    SS続きだヒャッホイ

    テラスタル結晶が上まで浸食してきてる……
    そしてエリアゼロの表層にポケモン一匹もいない、どこいっちゃったの?
    クリア後はたしかパラポケも一層に湧いてきた気がするんだけど
    ただならぬ気配がする……

  • 118二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 19:58:12

    もとから様子のおかしいエリアゼロ! さらに様子がおかしくなってる!!
    BGMに声が入ってるの、エリアゼロだけなんだよなぁ…

  • 119二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 02:10:28

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 07:09:30

    テツノイサハ戦で闘争本能が大いに刺激されちゃったリップさんよ……

  • 121二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 17:02:13

    普段綺麗に澄ましてる人の闘争本能剥き出しって良いな……

  • 122二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 19:51:07

    そもそもキラフロルはなんなんだろうね?
    あいつら元々エリアゼロが生息域で、其処から出てきたのが鉱山に居ついた感がない?

  • 123二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 19:53:17

    リップさんに限らず闘争本能剥き出しになるジムリは見たい

  • 124二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 19:56:11

    「キラフロルをエースに据えている」というただ一点のせいで定期的にオモダカさんのスーツの襟を掴んで知ってること全部吐け!!!!って揺さぶりたくなる衝動に駆られるからあいつらについて早く回答が欲しい気持ちがある。クラベル校長とジニア先生も知ってることキリキリ吐いてほしい

  • 125二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 20:03:58

    茶でも飲みながらDLC追加シナリオで真相が明らかにされるのを待ちなされ

  • 126二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 21:16:16

    犠牲ダカさんたちは何度かエリアゼロに調査に潜ったんだよね
    その時はポケモン達いたのかな?

  • 127二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:03:35

    ヒトは何故、取り零したモノばかり追い求め、手の中にあるモノを置き去るのか。
    その果てに、自ら深く傷付くとしても。
    今は小さな六等星の告げて曰く、喪失の回帰は英霊への冒涜であると。
    深淵に失墜せし北極星の嘆いて曰く、我らはとうに報われざると。

  • 128二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:04:19

    夢を視る。久しく逢えなかった男の夢を。失って初めて、彼もまた自身の宝であると思い知った図太い男の夢を。
    やめてくれ、と懇願された。もういいと、これ以上は自分自身が辛いだけだと諭された。
    それでも、彼の言葉に首を縦に振ることはできなかった。もう止まれない、止まってはいけない。自分だけは、罪も責も憎悪さえ、全てを背負って抱えて地獄へ堕ちなければならないと。
    彼が哀しそうに眉尻を下げた。嘆くように目を伏せて、背を向ける彼に手を伸ばす。
    待って、行かないで、まだ、いかないで、逝かないで。
    届かない手が空を切った。

    「———あ……?」
    目を覚ます。眼前に映ったのは光を失くした空と、こちらを心配そうに見下ろすゴーゴートとクエスパトラ、それからキラフロル。
    彼女は———オモダカは思い出す。リーグの建物が崩れて、自分はそのまま逃げようともせず落ちたのだと。落下死してもおかしくなかったのに、全身に痛みこそあれ大きな負傷は見当たらなかった。すぐにポケモン達が守ったのだと思い至り、オモダカは一番近くにいたゴーゴートの顎下をそっと撫でた。
    「……あれ、は」
    上体を起こして、周囲を見渡す。瓦礫の山と剥き出した鉄筋、空を悠々と飛び回るパラドックスポケモン。自ら招いた惨状の中に、オモダカはその姿を見つけた。
    じっとこちらを見張るように見つめるジバコイルとダイオウドウ。その背後に、瓦礫の上に立って幼さに見合わない鋭い眼差しで、空と地上双方のパラドックスポケモンに睨みを効かせる傷だらけの少女の姿を。
    ふと、少女がオモダカの視線に気付いた。鍵型のポーチを両手で抱えてオモダカを見つめ返す少女———ポピーは、幼い子供に似つかわしくない静かな声で。
    「おきましたのね」
    ただ、それだけ。それだけ言ってポーチを開けて中を漁った。取り出したのは真ん中に穴の空いた円形のラムネの入ったプラスチックの容器。手袋を片方外してペリペリと後ろのフィルムを剥がし、一つラムネを取り出して穴が正面を向くように口に咥える。

  • 129二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:05:02

    今はもう届かぬ場所にある過去の記憶を思い返す。確か、似たようなお菓子をチリが地元から送ってもらって、ポピーと一緒になって遊んでいたような。ダガシ、という分類の極東文化圏のお菓子だったと記憶している。食べ物で遊んではいけませんよ、とハッサクに注意を受けたチリが唇を尖らせて、これはこうして遊んでから食べるものだと反論していたのがすでに懐かしい。もう、あの快活な声は聞くことができないのだけれど。
    記憶の海に沈む静寂を打ち破るように、ピィーッ、と安っぽいホイッスルのような音が周囲に響き渡った。その音がラムネから発せられた音だと理解するのに、オモダカは数秒を要した。
    「何を」
    ポピーの行動の意図が掴めず、オモダカは立ち上がって問いかける。
    「よびもどしましたの」
    ポピーは口に咥えたラムネをそのまま親指で押し込み、口の中に入れてパキ、と噛み砕いた。外した手袋を着け直して、パラドックスポケモンのひしめく空を見上げる。
    暫くしないうちに、翼を羽ばたかせてアーマーガアが降りてきた。周囲を捜索していたらしいアーマーガアを、ポピーは小さな手で背伸びをして、羽を撫でて労った。
    「チリちゃんたち、みつけてくれた?うん、じゃあポピーも戻らなきゃ。でもそのまえに……」
    ポピーは瓦礫の山からぴょんと飛び降りて、つかつかとオモダカに近付いてくる。ジバコイルとダイオウドウが人間なら「あっ」と言ってそうな顔をした。ゴーゴートとクエスパトラは嫌な予感がしてオモダカの服の裾を引っ張る。
    ポピーの頭がオモダカの腰の下に来る。そして。
    「———せいっ!!」
    何処で学んだのかと訊きたくなるような綺麗なフォームで、ポピーのローキック———身長差の都合でほとんどミドルキックになっている。こっそりポピーは縮めと内心で悪態をついた———がオモダカの脛に思い切り叩きつけられた。

  • 130二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:05:55

    「あっっっだ!?!!?!?!」
    脂肪のクッションに覆われていない骨に直接叩き込まれた打撃に、思わずオモダカはガクリと膝をつく。俯いて声にならない悲鳴を上げ、蹴られた脛を押さえた。
    キラフロルが警戒音を立てて石の花弁を開く。ゴーゴートはわかりやすく狼狽えて、クエスパトラはなんてことを!?と言うように高い声で鳴いた。あちゃー、という顔で首を横に振るのはダイオウドウとアーマーガア。
    追い打ちをかけるようにポピーは、痛みにしゃがんで自分の頭と同じか、少し低い位置に下がったオモダカの頭に向かって頭をスッと反らし、勢いをつけてブンッ、と頭突きをかました。
    ゴチンッ!とまあまあエグめの音がして、ポピーの石頭を喰らったオモダカの頭が衝撃で地面にあわや激突しかかり、慌ててクエスパトラがサイコパワーでそれを防いだ。
    「な、にを……」
    痛みのあまり涙目になるオモダカは、別世界の同一人物とはいえポピーに暴力を振るわれたという事実に相当ショックを受けた様子だった。なお、ハッサクは上から強襲された上で、落下の勢いのついたヘッドバットを実質不意打ちで喰らっているのをオモダカは知らない。知らぬが仏。
    「むずかしいおせっきょうはアオキのおじちゃんやチリちゃんがしてくれるので、ポピーはおしおきをしますの」
    「お仕置きで実行する暴力の程度を超えていませんか……」
    「うるせえしらねえですの。ポピーわるいこなので、ごちゃごちゃいうならもういちどてをあげるのもじしません」
    「……何処で覚えたんですかそんな暴君仕草」
    ツーンと、ポピーは腕を組んでそっぽを向いた。アーマーガアがため息を吐いて、ジバコイルとダイオウドウが顔を見合わせる。
    「……やりかえしませんのね」
    そっぽを向いたまま眼だけをオモダカに向けてポピーが言う。
    「よく言うことで。なんでもないような自然体を装って、いつでも戦える体勢でしょう貴女達」
    「あらまー、バレてました?」
    「何故バレないと?」

  • 131二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:06:24

    途端にピリ、と緊張が走る。互いに目が笑っていないのを認識して、アーマーガアが威嚇するように翼を広げ、クエスパトラがそれを睨み返してフリルを逆立てた。一触即発と言っていい空気が二人の間を満たしたその時。
    ガラ、と瓦礫が崩れた。弾かれたようにポピーが音の方を向く。
    「……パラドックス」
    ラムネの笛を鳴らしたのは失策だっただろうか、とポピーは苦い顔で舌打ちした。アオキのように鳥ポケモンを呼び戻す指笛ができるわけではないので、代わりにラムネを鳴らしたのだがどうやらアーマーガア以外のものも聞きつけてしまったらしい。クソッタレ。
    テラスタルエネルギーに惹き寄せられたパラドックスポケモンの群れが、ポピーとオモダカを取り囲もうとしていた。
    「ダイオウちゃん、ジバコちゃん、アーマーガアちゃん、もうひとあばれおねがいしますの」
    ポピーは四天王の証である黒手袋をぎゅっと引っ張る。その仕草が在りし日のチリを思い出させて、オモダカはギリ、と歯を食いしばった。
    「ダイオウちゃん、"10まんばりき"!!」
    ポピーの指示を受けたダイオウドウが、鼻を振り上げてパラドックスポケモンの群れに進撃した。

  • 132二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:17:18

    ポピギャルドは ずつき を おぼえた!

  • 133二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:28:16

    なんてこった…非常時とはいえポピーちゃんのおくちが加速度的に悪くなっていく…犠牲軸じゃない方のみなさんご愁傷さまです

  • 134二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:32:13

    Q.ポピーちゃんのお口わるわるラーニング対象って何??????

    A.クソ客対応や挑戦権無し面接受験者超過の直後のイライラチリちゃん(当人は誰にも見られていないと思ってた)

  • 135二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:44:02

    >>134

    チ、チリちゃーーん迂闊すぎやで!!

  • 136二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 23:59:53

    ポピーちゃんのおくちのわるさの真相を知ってしまった原作チリちゃん、騒動が片付いて元の世界に帰る時、「自分ホンマ言葉には気ィつけえよ……そっちのポピーのお口が悪ぅならんようにな……」って犠牲チリちゃんに忠告するかもしれない運転……

    ふと思ったのだけど
    大将と総大将に説得&説教する時、犠牲軸のふたりがあんまり聞き分け悪いとイライラして口が悪くなる犠牲チリちゃん(儚げな雰囲気はウルトラホールの彼方に消えた)という可能性も……?

  • 137二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 07:05:43

    エリアゼロの表層にポケモンがいなかったの、表層まで上がってきた二号ミラコラがぜんぶ食べちゃったんじゃないかという想像をしたが、パラポケまで食べたのか?って疑問も出てくる……

  • 138二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 13:01:41

    罪も責も憎悪も何もかもを抱えて堕ちていく気の犠牲ダカさん…
    郷土愛と権力者としての責任感がここまで突き動かしたのか
    何もかも捨てて他地方にもでも高跳びすればよかったのに

  • 139二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 18:57:53

    犠牲チリちゃん、廃人になっちゃったのは完全に不可抗力で彼女自身はちっとも悪くないはずなんだけど
    それでもみんなが狂っていくのを止められなかった、目の前で起こっていたのに……って彼女も責任を抱えそうなのが……
    もし正気になったら、多大な迷惑をかけてしまったと原作勢一人一人に丁寧に謝罪していきそうと思った

    あと、原作ポピーちゃんが大将総大将に頭突きかましたと聞いたら自分も同罪なのでおしおき食らわせてほしいとか言い出したらどうしよう
    まって犠牲ポピーちゃんもおしおき頭突きを望みそうかもしれない

  • 140二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 21:13:32

    ポピーちゃんのおしおきが全方位に強すぎる!!!
    そりゃポピギャルド呼びされますわ…

  • 141二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 22:05:37

    並行世界の彼らは自分たちの世界の彼らとは別人という線引きと、彼女なりのけじめという意味で
    原作勢には基本的に敬語で接する犠牲チリちゃんの幻覚がみえた……

  • 142二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 01:42:08

    亡霊アオキさんの懇願にさえ首を縦に振れなかったなら、
    犠牲チリちゃんの言葉も届くかどうか怪しくなってきたな……

  • 143二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 12:37:54

    アニポケのリコはパルデア出身なんだっけ?
    どうにかしてこの概念にねじ込めないかと思ったけど、現状は情報が少なすぎる
    今後の展開次第かな……

  • 144二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 12:57:50

    前スレのポピーちゃんループ概念で、どこかのループで主人公やホームウェイ組と接触できれば急激に戦力アップできると思うんだけど 主人公はループを速攻で信じるだろうし ボタンちゃんは説得の難易度が高そうだけど
    ホームウェイ組に協力要請できるのは、パラポケ進撃がいつ発生したかにもよるな……

  • 145二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 17:21:03

    悪い子ポピーSSいつも楽しみにしてて、前スレの話も読み返してる勢だけど
    ポピーちゃんがみた犠牲軸ジムリたちの残留思念的な何かは、推定テラスタルエネルギーで見せられたもので生死問わずこの状況を何とかしたいと強く願う人たちの祈りが媒介?になってるってのがエモすぎてな……
    この祈りの中に、廃人チリちゃんは絶対はいってると思う
    原作軸の自分に叱ってやって、と託したほどだし

    この残留思念はホームウェイ組も見せられるかも知れないとのことだったので
    原作軸ハルトに犠牲軸のアオハルがひそかに助言したりとかありそうでは

  • 146二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 17:22:59

    エリアゼロ表層にポケモンがいなかったの、
    ぜんぶモンボでゲットされてタイムマシンで過去や未来に送られた説がふと浮かんだけど
    じゃあなんでタイムマシンで送ったの?っていう疑問が生じるし、現状そんなまわりくどいことする理由が見つからないしで、苦しい説になっちゃったな……

  • 147二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 22:11:59

    これとアニポケを絡ませれば劇場版にできるのでは……
    主人公はサトシかリコとロイ、もしくはトリプル主人公で
    パラポケ進撃でジムリ全滅を未然に防ごうとしてループしてるキャラがゲストになる

    ゲストキャラがループしてるのも、その理由も明かされるのは物語の中盤以降
    それまではサトシたちもパラポケ進撃を防ごうと尽力するんだけど、力及ばず敗北して、気が付いたら最初の地点に戻ってる、つまり主人公たちも一度だけ(もしくは二回ほど)ループを経験する
    それまでは訳も分からず全滅してしまう
    そうしたらゲストキャラの話も飲み込みやすいんじゃないか という

  • 148二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 23:28:16

    今1から一気読みしてきたけどめっちゃ面白い。もうクライマックスか

  • 149二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 10:13:39

    エリアゼロ編楽しみ…一体何が待ち受けているのか…

  • 150二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 14:22:40

    ふと並行世界関連の装置が不安定なテラスタルエネルギーで暴走して、色んな世界への穴を無差別に開けてヤバいことにならないか不穏な妄想してしまったが、天才オモダカさんのことだ
    そこはしっかり対処してそうかも……
    いや装置が想定外の壊れ方して暴走する可能性もあり得る……
    でも装置が壊れたら原作勢が元の世界に帰れない!!

    騒動が終わったら、二度と過ちを犯さないように装置は破壊し、設計図は燃やしとく必要があるかな……

  • 151二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 14:51:57

    SS読む限り、犠牲軸の並行世界侵攻かつジムリ拉致は犠牲軸の民衆の総意でもあるのか
    このままだと民衆の中から別世界からのジムリ誘拐を引き継ぐ誰かが現れるかも知れない
    なのでそんな気力も余裕も起きないように、犠牲ダカさんのテラピース破壊の光によるパラポケ進撃の被害拡大で「これが誰かの宝物を奪った罰だぞ」って突きつけなきゃね……
    そうすれば、並行世界侵攻なんてするもんじゃないと世論が変わるよね……よね……??

  • 152二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 14:57:19

    ヒビ割れた胸に秘めた激情は、暗影に沈む星々の手を掴む。
    ヴァルキュリアに落とされた口付けは、目覚めの曲を奏でん。
    ヴァルキュリアは何を願う。ただ去り行く英傑に離別の手向けを。
    ヴァルキュリアは何を描く。愛おしき人々の穏やかなる寝顔をこそ。

  • 153二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 14:58:08

    ワナイダーの糸と持ち出した包帯でハイダイの左腕を固定する。カエデの暴挙によって脱臼自体はどうにか元に戻せたものの、流石にかなり患部が腫れているのであまり動かさない方がいいだろうというコルサの提案である。割と本気で、帰還したらジムリーダー全員必修で救命講習でも開いてもらうのをオモダカに提案しようかとコルサは考えた。出力されるのはアヴァンギャルドでエキセントリックでサイケデリックな行動の割に、コルサは感性自体はまともに常識人だったので。
    「戦闘になっても絶対に動かすなよハイダイ。絶対だぞ」
    「そんな重ね重ね言わなくてもわかってるんだい……。それにしたってリップ嬢は無事だろうか……」
    「サワロさんを先に外に行かせて正解でしたね〜。きっとネモさん辺り救援に向かわせてくださると思いますので〜」
    だといいな、とコルサは嘆息する。
    カエデはふと思い至って、リングマを出して瓦礫の山を崩して退かす。何をしている、とコルサに聞かれたカエデは。
    「リップさんの靴、建物が壊れた時にうっかり落としてしまったので〜。半分押し付けられたみたいなものですけど、預かったからにはちゃんと返して差し上げないと〜」
    真面目だな、と言いかけて、そういえばアイツ今裸足だな?とコルサは思い至る。ほんの僅か、嫌な予感がするが果たしてそれが当たっていることなどコルサは知る由もない。
    その一方で、ハイダイは瓦礫の下敷きになった車椅子の前に立つ。流石に、車輪もフレームもひしゃげて潰れて、瓦礫の下から引き上げたところで使えそうにない。参ったな、と無事な右手で頭を掻いた。
    「すまんポピー嬢、チリ嬢の車椅子使えなくなっちまったんだい」
    心底申し訳なさそうなハイダイに、此方側のポピーはフルフルと首を横に振った。気にしないで欲しい、という意味で。
    とはいえだ、今のチリはある程度自発的に動けるようにこそなりつつあるが、まだ自分の足で立って歩くことができるかどうかはわからない。何せ"あの日"から瞬く間に衰弱し、歩くどころか動くことも話すことすらできなくなってしまったチリに、歩けるほどの体力があるとポピーには思えない。

  • 154二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 14:58:55

    ハイダイは左肩の脱臼(応急処置済み)を鑑みて背負うのは無理だとして、コルサは筋力的に不安がある。であれば、カエデに頼むのが正解か。ポピーはクイ、とカエデのエプロンを引く。
    「カエデおねえちゃん、チリちゃんおねがいしてもいいですか?」
    「そうですね〜。車椅子使えませんし、師匠は片腕動きませんし、コルサさんは控えめに申し上げてもやしですし……」
    「誰がもやしだ」
    チリさん、失礼しますね。コルサの抗議を無視してカエデはそう言って、座り込むチリをひょい、と横抱きにした。うわパティシエ強い。流れるような動きでチリが抱き抱えられたのを見たポピーははわ……、と口元を両手で覆った。チリは少しだけ身体を強張らせて、すぐに緊張を解き片腕をカエデの首に回す。
    カエデがチリを抱えているので、代わりにコルサと此方側のポピーがリップの靴を探すことにした。身体の小さく腕力もないポピーは、デカヌチャンを出して瓦礫を退かす。
    暫くして、ポピーは瓦礫の隙間に目当てのものを見つけた。羽のようなリボン飾りのついたヒールは、リップの靴だ。
    「あった!ありましたの!!」
    「でかしたポピー!」
    デカヌチャンで大きな瓦礫を退かし、小さな瓦礫はコルサが持ち上げた。そうして空いた隙間に上半身を突っ込んで、ポピーはリップの靴を掴む。かくほー!と埃と砂で顔と上着を汚したポピーが瓦礫の隙間から脱出して、回収したリップの靴を掲げた。
    「見つかってよかった〜。ポピーちゃん、ありがとうございます」
    申し訳ないのですが、代わりに持っててもらえますか、とカエデに頼まれる。ポピーは眉尻を下げて快く承諾した。
    「用は済んだか?一先ず外でパラドックスポケモンの討伐に当たっているはずのサワロ達と合流するぞ」
    「それには同意しますけど、なんだかコルサさんに言われると癪ですね〜」
    「何故!!」

  • 155二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 14:59:59

    コルサとカエデのやり取りに、抱き抱えられて緩くしがみついていたチリが聞こえるか聞こえないかという声でくすりと笑う。きっと、みんなが欲しがったのはこれなんだ、と虚に揺蕩う心で。だからこそ手段も目的地も違えて見失ったことが、ただ哀しい。
    一同は敷地外に向かって歩く。途中でその場で突っ立ったまま動かないハッサクを、他の面々の反対を押し切ったコルサが強引に腕を掴んで引きずって連れて行った。大人しくコルサに引きずられていくハッサクは、ぐるぐると思考する。何故、コルサは自分があの瞬間に死にたがったことを、と。
    「カエデさん!ハイダイさん!コルサさん!それに此方のポピーさんとチリさんも!」
    サワロがコルサ達の向かいから駆けてきた。側に大きなバックパックを背負った少年と青年の中間くらいの年頃に見える男の子、ペパーも着いてくる。
    「皆さんご無事でしたか」
    「サワロさんも大事無いようで〜。そちらの男の子は……」
    「あっ、ペパーです。ハルトとネモの……ええっと、ダチの!」
    緊張でカチコチになりながら、ペパーは言う。なるほど、ハルト達の。コルサ達はおそらくただの一介のアカデミー生でしかないであろう彼がここにいる理由を察した。
    「ジムリーダーのみんなと合流するまでに、チラホラ職員さんも瓦礫から脱出してんの見ました。つっても、大多数がオレたちの陽動に引っかかっちゃったちゃんだから、リーグ倒壊した時点でリーグん中いた人ってアンタら以外だと数人くらいだと思う」
    「つまり心配はいらないってことだい?」
    こくん、とペパーは頷いた。
    此方側のポピーが胸を撫で下ろす。正直、ジムリーダーを解放するためとはいえ、何人かは気絶させられていたのが気がかりだったもので。
    「とりあえず合流できたちゃんだし、後はボタンがアカデミーの演算装置ってやつを確保して、ハルトとネモたちが戻ってくれば粗方解決しそうだな。こっちの世界の理事長さんが気になっけど……」
    「そういえばトップは今どこに……」
    チリを抱き抱えたカエデがスイ、と周囲を見回すと、その時。
    「!!デカヌちゃん、"かわらわり"!!」
    ペパーとサワロの上から奇襲をかけてきたのは、トドロクツキ。此方側のポピーが咄嗟にデカヌチャンを出し、"かわらわり"で迎撃した。

  • 156二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 15:00:45

    「うお!まだいたのかよ!」
    ペパーは"かわらわり"で叩き落とされたトドロクツキに驚いて片脚を上げる。ぐぐ、と前足で上体を起こして睨みつけてくるトドロクツキに、ポピーとデカヌチャンは警戒を高める。カエデに抱えられているチリは、僅かにカエデの首に回した腕を力ませる。
    トドロクツキは暫くコルサ達を睨みつけて、諦めたように持ち上げた首を下ろした。
    「えっ……」
    ポピーとデカヌチャンが呆気に取られた。よく見ればトドロクツキは、デカヌチャンに殴られた痕以外に、も塞がってこそいるものの身体のあちこちに傷痕が点在している。これは、一体。
    「何かしら大型のポケモンの爪痕のようにも見えるな。向きと形状から考えるに、ドラゴンポケモン……」
    サワロが考察する。なるほどそう言われればそう見えるが、しかしだとして、凶暴なパラドックスポケモンに古傷を付けるようなポケモンとなると、トレーナーに育てられていなければ同じパラドックスポケモンくらいのものかと思われるが。
    「……2号」
    ペパーが思い至る。博士がタイムマシンで呼び出した、楽園の守護者。ハルトとミライドンが力を合わせて倒した、もう一体のミライドンの存在を思い出す。
    「パラドックス同士の縄張り争いにしたって、ここまでなるほど痛めつけるものなのか?」
    「パラドックスでないポケモンにもたまに意地悪な個体がいるくらいだし、そういうことをする個体がいてもおかしくはないよい。確かにここまでするのはやり過ぎのきらいがあるが……」
    うーむむ、とコルサとハイダイが唸った。
    「……2号のやつ、ミライドンがバトルフォルムになれなくなった上に、ライドフォルムでもフロートモードやグライドモードになれなくなるくらいボコボコちゃんにしてたから、多分アイツの仕業だと思う。爪でやられた痕があるのが、気になっけど」
    ミライドンって特殊型?ってやつらしいし。
    ハルトとネモの言葉を思い起こしつつペパーが首を傾げた。まあ、爪自体は結構御立派なものを持っているので、取っ組み合いにでもなった時に引っ掻いた可能性はある。

  • 157二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 15:01:36

    「……そういや、こっちの世界のオレたちってどうなってんだ?」
    ペパーはふっと頭に降りてきた疑問をそのまま口にした。ポピーがピシ、と固まる。それにただならぬ気配を感じ取ったサワロは、片膝をついてポピーに視線を合わせた。
    「何か知っているのかね?」
    努めて穏やかに問う。ポピーは少し視線を彷徨わせて、ペパーの顔色を窺って、漸く重い口を開いた。
    「おにいちゃんたち、あのひ、ゆくえふめーになったまま……ですの。いきてるのか、しんでしまったのか……ポピーには、しらされていません」
    トップならしってるかも。そう言ってポピーは俯いてしまった。よく話してくれました、とサワロは大きな手でポピーの頭を撫でる。
    「ハルトギャルドとネモがいないとなると、なるほど、この世界の惨状も頷ける」
    「こっちの私たちが戦死したのも含めて、ですね〜」
    「であれば、ハッさん。ハッさんならばハルトギャルド達の生死についてトップチャンピオンから聞いているのではないか?四天王で尚且つアカデミーの教師でもあるアナタなら」
    コルサの言葉に、その場にいた全員が一斉にコルサに腕を掴まれた、此方側のハッサクに向く。ハッサクはスッと目を伏せて。
    「……遺体こそ見つかっていませんが、彼らは既に死亡報告書が上がっていますですよ」
    残酷な事実を突きつけた。
    ペパーがヒュッと息を飲む。カエデのチリを抱える腕に力が入った。コルサとサワロは眉を顰め苦い顔をする。ハイダイは口を半開きにして険しい顔つきになった。
    「……だったら尚更、オレたちこの事態を終わらせないといけないちゃんだな」
    掌を握りしめて、ペパーが言う。此方側の自分達とて、こんなこと望んではいないはずだ。綺麗事だと言われても、ただペパーは自身の確信に従うだけだ。

  • 158二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 15:02:09

    「理事長さん探す組と、アカデミーに行ってハルトとボタンたちを手伝う組に分かれませんか。パラドックスポケモン達、まだまだどんどん寄って来てっけど……」
    「なら私はトップを探しに行きますね〜。多分、チリさんもトップに言いたいことありそうですし……」
    「オイラはアカデミーに行くよい。この腕だから、あんまり役には立てなさそうだが……ま、なるようになるよい!」
    「ワタシはハッさんを捕まえておかねばならんからな、トップチャンピオンを探す方に行こう。ポピーもそうだろう?」
    「は、はい。ポピー、トップにちゃんといわなきゃ……もうやめようって、みんなに、おやすみなさいもさよならもいえなくなっちゃうって、つたえなきゃ……」
    「人数を考えると我が輩はアカデミーに行く側だな。ミモザ先生とキハダ先生も気がかりだ」
    「うっし、オレもアカデミーに行ってボタンの護衛でもしてやるか!ハルトはまあ、無事だろ。アイツいつの間にかテツノブジン捕まえ……あっ、これナイショちゃんにしてんだった」
    「おい今聞き捨てならない単語が聞こえたぞ」
    「聞かなかったことにしてくれ!!」
    ペパーが口を滑らせて出した固有名詞に、此方側のポピーとチリ、ハッサクが驚いて目を見開いた。ペパーは、ハルトに次のバトルスクールウォーズでお披露目したいから秘密にしててくれって言われてんだ、と追求から強引に逃れようとしている。
    ペパーへの質問攻めも程々にして、一同は二手に分かれる。此方側のオモダカを探すため瓦礫の山へ再び舞い戻るカエデ達と、この事態を作り上げた最後のピースとも言える観測装置と演算装置を拿捕するべくアカデミーへ向かうペパー達。
    夜明けは、彼らが思うよりほど遠く、しかし彼らが思うよりも近付きつつあった。

  • 159二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 15:07:35

    SS続きだー!
    ポピギャルドに続きハルトギャルドというパワーワードよ、さすが芸術家……

    しかし2号が地上に出てきてるっぽいフラグが……
    その2号にやられたっぽいトドロクツキ、2号へのリベンジとかで仲間になってくれないかなーみたいな希望的観測などをした
    原作でもテツノブジンと対の扱いっぽいし……関係ないけど……

  • 160二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 18:41:22

    SS感謝〜
    この人のSSとても読みやすいし物語がちゃんとしてて好きだ…

  • 161二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 19:02:15

    ss続きだ!!特殊ミライドンが爪…妙だな……((
    これで2号くんアーマードしてたり2号くんを元にしたXDとかだったら戦力的な意味で怖ぁ(見てみたいんじゃないかって?…言うだけタダだからまぁハイ…)

    やっぱホームウェイ組は少なくとも死亡扱いかぁ、この世界いちばんの光は絶たれていたんやね…頑張れ本軸ホームウェイ組…!

  • 162二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 19:18:15

    犠牲軸のホームウェイ組…下手したらエリアゼロに突入したネモちゃんは此方の自分たちの遺体を見るのかも…うわぁ

    ところで親友を救出にきたハッサク先生は此方のハッサクさんを一緒にいるコルサさんを目撃して号泣するのか、どうなるの
    そっちも気になるところ!

  • 163二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 19:27:44

    その2号もしかして2号は2号でもコライのほうなんでは((

  • 164二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 19:28:58

    古代のやつらも出てるしツバサノオウもくるよな…

  • 165二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 23:23:38

    古代ぽけも未来ぽけも両方出てきてるなら、ねぇ
    コライドンもいるよね…?(震え声)

  • 166二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 07:07:16

    SS軸本編メンツはバイオレット基準っぽいのを見るに、もしかするとコライドンを知らない可能性が……?
    いやトップからの資料に書かれてたかも知れないし……

  • 167二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 18:57:48

    止まれない犠牲軸の大将と総大将、なんかブレーキがぶっ壊れた暴走列車みたいに思ってしまうんだけど、
    流石に例えが辛辣かな……

  • 168二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:10:13

    >>147

    自レス

    キーポケモンになるのは円盤のポケモンらしき亀ポケモン、テラパゴス

    かつての映画ポケモンのようにテレパシーで人語を話すタイプか、昨今のように人語を喋らないのも、どっちでも良さげ


    サトシピカチュウのコンビは突然ループに放りこまれても、持ち前のふくつのこころとポケモンパワーで数回のうちにループ打破しちゃいそう

  • 169二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:24:37

    SSもしかして本編軸がバイオレットで犠牲軸がスカーレット?

  • 170二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:56:57

    煌く涙は、風に乗って天に昇り、星雲を巻き取って新たな星となるだろう。

  • 171二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:57:41

    「はーなーしーてー!!まだ戦えるってばー!!」
    「ダメだ」
    「まだやってるのミモザ氏とキハダ氏」
    ウネルミナモを倒したナンジャモとハルト、此方側のミモザは、負傷したミモザを連れて撤退したキハダと合流した。ミモザはボロボロの手を振り回して戦闘意欲を持て余し、キハダはそれを嗜めている。流血していた額は裂いたハンカチを当てて、紐で固定しているようだ。とりあえず後でちゃんとした手当てをしてほしい。
    ナンジャモ達に気付いたキハダはミモザを抑えながら、すまない、と一言。
    「本当ならアカデミーの建物内に連れて行きたかったんだが、まだ戦える、逃げたくないと言って聞かなくて……」
    「いやそれはいいよ気にしないで。ミモザ氏そんなネモい人だとは思わなかったけど……とにかくあのでっかい怪獣みたいなパラドックスポケモンはハルト氏のお陰で倒せたよ」
    「ならよかった」
    ぶすくれるミモザを一旦おいて、ナンジャモの報告にキハダは胸を撫で下ろす。
    ハルトが持参していた"げんきのかたまり"や"まんたんのくすり"などの各種回復アイテムで、傷付いて戦線離脱した手持ちポケモン達を回復させる。一先ずこれで、迫ってくるパラドックスポケモン達相手ならどうにかなるだろう。
    「道路とか階段とか結構ボッコボコに穴開けちゃったなあ。幸いアカデミー自体にはあんまり被害いってないっぽいけど」
    「そのアカデミーもグラウンドにパラドックスポケモン達が集まりつつあるんですよね……ライムさんと校長がなんとか抑えてるはずなんですけど……」
    助けに行った方が良くない?とナンジャモが提案する。ハルトも、ライムの強さもネルケもといクラベルの強さも熟知しているとはいえ、休む間もなく攻め込まれればいずれガタが来るだろうと予想している。であれば今一度、グラウンドに蜻蛉返りすべきか。

  • 172二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:58:32

    思案していると、西側からこちらに駆けてくる小さな影が見えた。ハルトは僅かに驚いて。
    「ボタン!?」
    その名を口にした。駆けてきた影、ボタンはずり落ちかけていたイーブイリュックの肩紐を元の位置に戻して、息を整える。
    「ハルト、無事でよかった……っ。サワロ先生にアカデミーの座標演算装置を掌握してくれって頼まれて、それで来たんよ。あと、ネモはリップさんがやばそうなパラドックスポケモンと戦ってるから救援行ってくれって頼まれてそっち行ってる」
    「やばそうなパラドックスポケモン」
    「あの怪獣みたいなやつの他にもいたの?」
    ハルトが冷や汗を流してボタンの言葉を反芻し、ナンジャモはヒェッ、と悪寒に身体を竦めた。キハダは眉間に皺を寄せて、不安に顔を顰めた。
    「怪獣みたいかどうかは知らんけど、少なくともウチらがエリアゼロに潜った時には見なかったポケモンっぽい。確かトップがウチらが遭遇したパラドックスポケモンの情報、先生達とジムリと四天王に共有してるって言ってたから多分間違いなく新種」
    「だよね?ぼくあれからエリアゼロ何度も潜ってオモダカさんにレポート提出してるけど、あの怪獣みたいなパラドックスポケモン見たことないし」
    「レポート提出してたの?」
    一先ずボタンの目的である座標演算装置へ向かうべきか、と相談する。それをぼんやり眺めていた此方側のミモザは、羨望と嫉妬と悔しさとで歯噛みした。だって、この世界の彼らは———。
    突然、ハルトの持っているボールからミライドンが一人でに飛び出した。苦々しそうな顔で頭を低くし、警戒するように尻尾を振る。
    「み、ミライドン?どうしたの?」
    ハルトがミライドンの頭を撫でて宥めようとしたその時だった。

    落雷が落ちた。ハルト達のすぐ側に。

    ハルト達は咄嗟に身構え、ボールを手にする。もう新手が来たのか、と警戒と緊張が全身を駆け巡った。落雷が落ちた場所に立ち上がる煙が晴れた先に、待ち構えていたものは。

  • 173二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:59:11

    「……っ!お前は!!」
    「アギャギャ!!」
    ハルトとミライドンが険しい顔つきになる。何故なら、そいつは。
    「グルギャアァアアアアア!!!!」
    細いアンテナ状の角を覆うように電撃エネルギーを纏い、折りたたんだ脚をジェットエンジンのようにして宙に浮く紫色の機械龍。見間違えようがない、二体目の、ハルトのでない別のミライドンである。
    「え、コイツ、2号!?」
    「いやまあそりゃいるよね!ハルト氏、どうする!?」
    「迎え撃ちます!ミライドン、いけるね?別世界って言ったって、一度は勝った相手なんだ。もう怖くなんてないでしょ?」
    「アギャッス!」
    ハルトの発破に応えるように、ミライドンはバチバチと全身にエネルギーを張り巡らせバトルフォルム・コンプリートモードに変異した。それを確かめたハルトは、連戦だけどごめん、と一言断ってスカーフを巻いたテツノブジンをボールから繰り出す。薙刃を軽く回転させ、臨戦体制を取ったテツノブジンのスカーフが靡く。凛とした眼差しで、テツノブジンは2号と呼ばれたミライドンを真っ直ぐに見据えた。
    それに呼応するようにボタンがニンフィアを、ナンジャモがムウマージを、キハダがチャーレムを、ミモザが回復させたメブキジカを出す。眼前のパラドックスポケモンがウネルミナモに比肩する難敵であると空気感で察しているポケモン達は、キッとミライドンを睨みつけた。
    「前はボールロックシステムのせいでウチらなんも役立てんかったもんね……けど、今回は違う。別ポケモンだけど、今度こそブイブイパワー見せつけてやる!」
    腹を括ったボタンがテラスタルオーブを構えた。エネルギーがオーブに収束し、煌々と輝く。
    ハルトもまたテラスタルオーブを頭上に掲げる。光はミライドンの咆哮に呼応するように強まっていく。

  • 174二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 19:59:41

    「星々のように、テラスタル!なりたい自分に変身しろ!!」
    「行くぞミライドン!ぼくたちのとっておき、テラスタルだ!!」
    宝石がニンフィアとミライドンの身体を覆う。頭上に冠するフェアリーテラスタルジュエルと、ドラゴンテラスタルジュエルが煌く。2号と呼ばれたミライドンは威圧するように雄叫びを上げた。
    因縁のリターンマッチ(冤罪)が、幕を開けた。

  • 175二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 20:52:44

    SS続きやー!
    しかしここで2号ミライ参戦か、コライも外に出てるっぽいし……
    2号が外界に解き放たれてるということは、やっぱ犠牲軸ホームウェイ組は……

  • 176二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 22:40:20

    2号ミラコラが外界にでてるっぽい? ということは、ゼロラボに楽園の守護竜はいない……いや、タイムマシンから送られ続けてる大量のパラポケ軍団はいそうだ……

  • 177二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 23:09:07

    リターンマッチ(冤罪)の一文に笑った
    まぁそうだね、冤罪だね
    罪がないとは言わんが、たぶん

  • 178二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 07:56:29

    テツノブジンが巻いてるスカーフってなんだろ
    こだわりスカーフではないらしいし

  • 179二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 10:58:30

    >>178

    個人的にはハルトくんからもらったものじゃないかと思ってる

    描写みる限り大事にしてるっぽい

    エリアゼロ潜ってパラポケ調査してる時に偶然 出会ったのかな

    というかハルトくん、何回もエリアゼロ潜ってレポート提出してたのね 猛者すぎる……


    もしハルトくんからもらったものだと、激戦の中でストール燃え尽きて(´・ω・`)するテツノブジンの幻覚がみえるみえる(言うだけタダで……)


    犠牲軸ミモ先の様子がヤバい、そうだまだ説得できたワケじゃないし、

    アカデミーに伝説級パラポケの強襲再びだし気の休まる暇がない……

  • 180二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 14:33:49

    DLCでメタグロスが内定したし、こっちのポピーちゃんも隠し玉としてメタグロス連れているのも……(言うだけタダ)

  • 181二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:22:28

    弱虫な君は、勇気がないと嘆くだろう。
    しかし私は知っている。
    君が誰よりも優しくて勇気がある存在であることを。
    困難という硬い壁を打ち破る力があることを。

  • 182二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:23:19

    ガンッ、とルガルガンの爪がテラスタル結晶に突き立てられる。道中度々キラフロルの小規模な群れに襲撃されながらも辿り着いた第二観測ユニットは、入口のドアの半分ほどが結晶に覆われかかっていた。
    「ダメですね、剥がれそうにないです」
    ネモは諦めてルガルガンを一旦ボールに戻し、ため息を吐く。
    「普通のポケモンどころか、パラドックスポケモンも全然見かけないあたり、異常が起きてるのは間違いないけど……ネモちゃん、前に来た時はどうだったの?」
    「私たちが潜った時は本当に、結晶に取り込まれかかってたのってそれこそ第四観測ユニットとゼロラボくらいで……その二つは地下だったし……」
    「つまり侵蝕……言うてええんかな、それが起きとんのはチリちゃんらの世界では地下に止まっとって、こっちでは地上側にまで進みまくっとるってことか」
    「地上側も、木の根元がちょっと結晶被ってるとこはありましたけど、あんながっつり幹まで覆われてるのは……」
    まだ第二観測ユニットに到達した時点で差異が大きすぎる。それですら情報量としては不足しているため考察が進まないのがネックだった。
    次行こか、とチリが視線で先を促した時だった。

    ———ズシンッ。

    何か大きな生き物が歩く音がして、地面が僅かに揺れた。ピリ、と三人に緊張が走る。
    チリがリップの腕を掴んで引っ張って、ネモ共々観測ユニットの影に隠れた。痛いじゃない、とリップから講義の声が上がるがチリはそれをシカトする。多分、捕まえてないと足音の主に突撃かましそうなので。今のリップが大人しく様子見してくれるという信頼は、既に第一観測ユニットの戦いで跡形もなく無くなっていた。ネモですら首をそっと横に振る程なので致し方なし。
    足音が近付いてくる。ゴクリと誰ともなく生唾を飲み込んだ。地面の揺れが大きくなる。緊張でチリの手袋の下が汗で湿ってきた。生き物の影が視界に入り込む。リップの瞳孔が開き、ネモはヒュッと息を呑んだ。
    ズンッ、と地面を踏み締める。大柄な緋い身体にウォーボンネット状の鶏冠、そこから伸びた長い触角に鋭く太い爪。
    ネモはスマホロトムの図鑑アプリを起動する。捕獲したことのないポケモンでも名前だけはオートで登録されるのはネモとしてはありがたかった。そこに表示された名前は。

  • 183二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:24:02

    「……コライ、ドン」
    いるかいないかで言えば、いてもおかしくはなかった。ミライドンが文字通り"未来のモトトカゲ"であるならば、パラドックスポケモンに未来種と古代種がいるならば、"古代のモトトカゲ"に相当するパラドックスポケモンが存在することは。
    「ハルトのエリアゼロレポートには書いとらんかったポケモンやな」
    「他の古代種ってやつは、ごく稀に、ほんっとうに稀に見かけたらしいけど……アイツは……」
    チリの眉間に皺が寄る。視線の先で、緋色のパラドックスポケモン———コライドンは周囲を見回したと思ったら、木の根元の周りを物色し始める。バキ、という音と共に木を覆っていたテラスタル結晶が樹皮ごと剥がれ、コライドンの右手に握られていた。
    「……何する気?」
    ネモが訝しむ。コライドンは首を捻って手の中のテラスタル結晶を品定めするように眺め回したと思えば、直後に。
    「!?」
    思わずチリは飛び出しかけた。寸前で冷静になり踏みとどまったが、驚きのあまり口元を手で覆う。
    コライドンはガリ、ゴリ、とテラスタル結晶を咀嚼している。食べていいのかアレ、という疑問が頭に浮かぶ。ゴクン、と結晶を飲み込んだコライドンは、再びズシン、ズシンと足音を鳴らして立ち去った。
    チリとネモが詰まっていた息を大きく吐き出した。チリはズルズルと壁に背中を擦り付けるようにしてしゃがみ込み、ネモはぺたんとその場に座り込んだ。
    「なんやアレ、こっわ……いくらパラドックスでもテラスタル結晶なんて食べなや……」
    「ちょっとやなこと気付いちゃったんですけど、こっから先あのコライドンを警戒しながら進まなきゃダメなやつでは……」
    「嫌やー!!もう出会したないー!!」
    「無理じゃない?」
    駄々を捏ね始めたチリをリップはバッサリ一刀両断した。
    しょぼしょぼと普段は元気に跳ねている右のアンテナのような髪が萎れてしまったチリの背中をせっついて、リップとネモは先を促す。こっそりネモは、その髪チリさんの気持ちと連動してたんだ…….、とどうでもいいことに考えを巡らせた。

  • 184二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:25:08

    第三観測ユニットまで、幸いにもコライドンと遭遇することはなかった。相変わらずキラフロルの群れには襲われるし、ここに来てウォーグルやエクスレッグ、リキキリンなどの普通のポケモンが僅かながら熱り立ったように襲ってき始めた。よかった、まだまともなポケモンは残っていると安堵すると同時に、襲撃してきたポケモンのいずれ毛や羽毛が一部毟られていたり、治りきっていない傷跡が残っているのが気がかりだった。何に襲われたのだろうか。或いは、あのコライドンが暴れたせいか。
    「うっわ」
    チリが思わず声を上げる。第三観測ユニットは、やはり想定通り建物全体が結晶に覆われ切っていた。入口のドアも隙間なく結晶に閉ざされ、剥がして侵入しようという考えすら起こすことを許さない。第三観測ユニットでこれなら、第四観測ユニットとゼロラボは果たしてどうなっているのやら。
    第四観測ユニットに続く地下への洞窟の位置を確認しようとネモが周囲を見渡す。そこで、違和感のある場所を見つけた。
    「え……何、あの不自然なヒビ……」
    岩壁の一部に、タマゴ型を描くような割れ目があった。三人が割れ目に近付いてよく見ると、それは岩壁に開いた穴を塞ぐ岩だった。明らかに何者かが意図して塞いだと思しき穴の岩を、チリのドンファンとネモのヌメルゴンが協力して退かす。少し寄り道になってしまうが、気になった以上は仕方がない。
    ズズ……、と重量級ポケモン二匹がかりでどうにか岩が横に動いた。そのままドンファンとヌメルゴンはグッと全身に力を入れて岩を押し、塞がれていた穴を完全に開いた。穴の向こうは、ちょっとした洞窟になっていた。
    「……見た感じ、結構奥まで続いてそうやね」
    「入ってみる?」
    「当然」
    チリが先頭でネモが最後尾という隊列で、三人は小さな洞窟へと足を踏み入れる。洞窟の壁や地面を見るに、自然にできた穴というよりも何かしら、ポケモンなどの力で掘り進められたように思えた。そう言えばエリアゼロって地下部分にダグトリオも棲んでたっけ、とネモは思い出す。それにしては、少し壁が歪に凸凹しているが。

  • 185二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:25:59

    チリの足が止まる。洞窟の奥側から、複数の生き物の息遣いが聞こえてくる。いつでも戦闘に入れるようリップがボールを構えるのをネモが制した。流石にこんな狭い空間で派手に暴れられたら生き埋めになってしまうと理解できる頭くらいはある。
    チリが一歩踏み出す。その音が聞こえたらしい何者かがザリ、と立ち上がる音がした。臆せず進む。何者かはゆっくり慎重に此方側へと歩いてくるのが音でわかった。チリの赫い眼がスッと細められる。そして、奥から近付いてくる何者かは。
    「……!?」
    「あら」
    「…………」
    薄暗い洞窟の中でなお自身の存在を主張する緋色の身体。全身に残る痛々しい傷痕。空気抵抗を減らすように萎びた鶏冠。
    先ほど第二観測ユニットで見たコライドンとは別個体のコライドンであることは、誰の目にも明らかだった。
    「キミ、は……」
    ネモが言葉を失う。コライドンはチリたちを値踏みするように見つめ、そして、無闇にこちらを攻撃しようとはしないと判断したのか踵を返して奥へ戻っていく。その際に、三人に顔だけ向けてクイ、とついてくるよう促した。
    「……どないする」
    「行きましょう。多分、あの子こっちのハルトのポケモンです」
    さよか、とチリはコライドンの後に続いて歩いていく。リップとネモもそれに続いた。
    程なくして、おそらく洞窟の最奥に辿り着いた。そこにあった光景に、チリも、ネモも、リップも目を見開いた。
    そこはそれまでの道幅の狭さとは裏腹に、テーブルシティの広場ほどの広さの空間が広がっていた。そこでは、パモとヤミカラス、ドンメルが複数匹身を寄せ合っていた。ネモたちが相対したどの個体よりも二回り以上小さなトドロクツキが身体を小さく丸めて眠っている。片側の羽がポッキリと折れたテツノコウベが、ノコッチが運んできたきのみをゆっくり口にしていた。

  • 186二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:26:50

    「これって……」
    チリはコライドンを見る。コライドンはアギャッス、と鳴いてチリたちを促す。あの異種混合の群れに近付く許可が降りたらしい。
    恐る恐る、手前の方にいたサケブシッポとチルットの二人組(二匹組という方が正確か)に歩み寄ってみる。チルットもサケブシッポも一瞬見知らぬ生き物がやってきたことに怯えたが、彷徨いた視線の先にいるコライドンが安心させるように鳴いたことで落ち着きを取り戻す。ネモはサケブシッポの頭を撫でてみた。
    「あ、この子も傷が……」
    「こっちのジヘッドちゃんも、背中に怪我した痕があるわね。もしかしてあの子、生存競争とかで傷ついたりしたポケモンを此処に匿って……?」
    「ありそうやな。あのコライドンがこっちのハルトのポケモンやって言うんなら、自分もその手の争いに一度負けた側やし、助けたりたかったんやろ」
    どのポケモンも、既存種、パラドックス問わず大人しい性質のものが多い。おそらく、それ故に敗れて、コライドンに助けられたのだろうとチリは推察した。
    「……博士の理想郷とか楽園って、本当はこういうのを言ったのかも」
    ネモがポツリと呟いた。
    「なあ、自分チリちゃんたちにこれ見せて、どないしたいん。言っとくけど、チリちゃんたち此処にずっとおるわけちゃうし、ゼロラボ行って確認するもん確認したら地上戻らなあかんねんわ」
    「アギャ」
    ブルブルとコライドンは犬ポケモンのように身体を震わせる。数匹の小柄なイダイナキバが寄ってきてチリのズボンを引っ張った。
    「ちょお、待ち、待ちって!」
    あわや転けかけたチリの腕をリップが掴んで転倒を防ぐ。イダイナキバ達はそれでもグイグイとチリを何処かへ連れて行こうとした。行くしかなさそうだ、とチリはすまんと断って、イダイナキバについていく。身を寄せ合う小さなポケモンのグループや、おそらくまだ傷が塞がっていないと思われるパラドックスポケモンや大型のポケモンの傍を通り抜ける。その先にあったのは。

  • 187二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:27:44

    「……秘伝スパイス?」
    ハルトが時折テラレイド結晶から持ち帰っているという、エリアゼロ由来の特殊なスパイスがそこに生えていた。しかし何故、自分たちにこれを。
    イダイナキバがチリの折り返されたシャツの袖をスパイスの方へと引っ張る。なんやなんや、とチリが宥めようとその鼻の付け根を撫でてやると、イダイナキバはファンド、と鳴いてスパイスを鼻先で指す。
    「持ってけ、って?」
    「ドンッファ」
    チリは暫し迷って、自分を見上げるイダイナキバ達の眼を見て、意を決する。そっと青白く発光する秘伝スパイスに手を伸ばし、一本根本を指で挟んで手折った。一見、匂いはあまりしないが、それはおそらくこのスパイスが"しおスパイス"であるからだろうか。少し離れた場所には、黄色く光るスパイスや桃色の光と甘い香りを放つスパイスが群生していた。イダイナキバ達は、チリをせっついて他のスパイスも持っていけと促す。
    「ちょお、落ち着きいな。なんやねんこの子ら……」
    イダイナキバに促されるまま黄色く光る"すぱスパイス"と、桃色に光り甘い匂いを漂わせる"あまスパイス"をそれぞれ一本ずつ手折る。大きな声でネモを呼び、ショルダーバッグに摘み取ったスパイスを入れておいてもらった。
    「どうします?とりあえず一旦外に出ないことにはなんともなりませんけど……」
    「せやなあ、コライドンが此処にチリちゃんら招いた理由もわからんし、あんまり長居しても……」
    チリが髪をガシガシと掻いたその時。
    ズシンッ、とついさっき聞いたばかりの足音。コライドンがバッと洞窟の出入口の方を向いてギャギャス、と唸る。チリとネモ、リップも外へ続く通路に身体ごと向いた。
    「アカン、ヤバそうな方のコライドン近くに来てもうた」
    「そう言えば私たち、入り口隠してた岩退かしてそのままにしてましたね」
    「そういえばそうね。どうするの?迎撃する?」
    「迎え撃つにしたって先ずは外でなあかんで。此処で戦うわけにもいかんし」
    「この子達巻き込んじゃったら大変ですもんね」
    満場一致で、外で迎え撃つ方針を固めた三人にコライドンが近寄る。スッと伏せの体勢になり、首で乗れと示す。

  • 188二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:28:38

    三人乗り行けるん?ミライドンは四人でも平気でした。そんなやりとりを手早く済ませて、チリ達はエリアゼロに突入する際にチルタリスに乗っていた時のフォーメーションでコライドンの背中に乗る。グッと立ち上がったコライドンは、喉袋を膨らませて尻尾を巻き、"しっそうけいたい"に変形した。
    「アギャッス!!」
    一言吼えたコライドンが、ドウッ、と空気を突き抜けるようにして洞窟を駆け抜ける。瞬く間に視界に出入り口から差し込む外の光が見えた。
    ダンッ、と洞窟から飛び出したコライドンは、進行方向に対して身体が垂直になるようにして向きを変え、急ブレーキをかけた。慣性でチリ達は危うく振り落とされかけるが、コライドンの首にしがみついてなんとか事なきを得る。果たしてそこに、奴はいた。
    「グギャアァアアアア!!!!」
    もう一体のコライドン。おそらくはこの世界における2号、楽園の守護竜が咆哮する。
    「ギャギャアッス!!!!」
    古傷を抱えた此方側のハルトのコライドンは、しかし臆せず吠え返した。ネモはいの一番にコライドンの背中から降り、ウェーニバルを出す。
    「一緒に戦お。大丈夫、みんなで力を合わせたら、どんなに強くったって絶対勝てるから!」
    チリとリップが降りたのを確認したコライドンは、ネモの言葉に応答するように鳴くと前脚を上げて立ち上がる。寝ていた鶏冠が立ち、尻尾の付け根の羽飾りのような器官が広がる。バトルフォルム"かんぜんけいたい"にフォルムチェンジしたコライドンは楽園の守護竜を睨みつけて咆哮した。
    チリがナマズンを繰り出す。リップはフラージェスをボールから出して前に構えさせた。
    楽園の守護竜対パルデアの守護竜、その変則的リベンジマッチのゴングが鳴った。

  • 189二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 20:14:32

    犠牲軸ハルトの相棒はコライドンくんだったか……
    傷ついたポケモンは既存種、パラポケ問わず匿ってるみたいだしこっちの方がよっぽど楽園の守護竜では……

  • 190二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 21:16:57

    犠牲軸はコライドンだったかー!!!スカーレット民だからか古傷の存在に胸が痛む…もし自分負けてたらあったかもしれない世界だ…
    1匹でいるという事は遺体も残ってないのかな帰宅道組

  • 191二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 00:29:03

    お前が楽園の守護竜だよコライドン…
    弱肉強食は野生の鉄則だけど行き過ぎた弱肉強食は世界のパワーバンスを崩すってことですよね
    あかん(あかん)

  • 192二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 07:05:57

    ひでんスパイスまでくれるとは思わなんだ
    強化アイテムってことかな

  • 193二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 17:31:47

    ミラもコラもアギャスvsグギャアで熱い保守!

  • 194二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 17:38:31

    支援と保守がてら古傷あぎゃす!

  • 195二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 19:44:02

    傷ついたトドロクツキ、2号コライにやられたんだろうか

    ゲームじゃ出てこない主人公のテラスタル発動セリフよき……

  • 196二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 20:25:22

    そういえば秘伝スパイスはもともとエリアゼロで見つかったんだよな
    そうか、ないほうがおかしいのか!

  • 197二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 20:28:45

    秘伝スパイスと言えばペパー、ぺパ先に調理してもらえば……
    いや、この非常時に料理なんてできるか……?
    ぺパ先ならきっとできる!!(無茶ぶり)

  • 198二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 20:31:33

    こんな事態になって、結果的に博士の夢見た楽園が部分的にとはいえ出来上がったのが皮肉すぎる

  • 199二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 20:36:46

    >>198

    こんなのが楽園ってありかよ!

  • 200二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 21:28:56

オススメ

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