ニカ・ナナウラに幼馴染を生やすスレ【I】【season】

  • 1進行のキューピッド23/07/17(月) 19:43:09

    魔女って、なに?

  • 2進行のキューピッド23/07/17(月) 19:43:32
  • 3二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 19:43:56

    帰ってきたな!
    前作までの矛盾点をどうするか気になる

  • 4二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 19:46:40

    ifだからなあ
    元スレのif→チグハグくんのスレの時間軸 
     なのか
    元スレ及びチグハグくんのスレのif
           ↓
      全く新しい時間軸
     なのかどんなストーリーになるか楽しみだ

  • 5進行のキューピッド23/07/17(月) 19:48:26

    このスレってどんなスレ?


    このスレは、ニカのことが大好きな少年ドルム・ガナンが


    時に相棒「グランゲイル」で強敵と戦い


    時にガンダムに乗り


    ニカの幸せと笑顔のために命をかなぐり捨てて戦うスレです

  • 6進行のキューピッド23/07/17(月) 19:51:20

    ※本スレはダイススレ「自分はグラスレー寮の生徒です」シリーズの外伝的立ち位置の作品です


    こちらのスレと合わせて読んで頂くと、新たな発見があるかもしれません

    【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅠ【season2】|あにまん掲示板ティガ 勇気が 今 足りないhttps://bbs.animanch.com/img/2104797/76bbs.animanch.com
  • 7進行のキューピッド23/07/17(月) 19:55:32

    <人物紹介>


    名前:ドルム・ガナン

    学科:パイロット科

    学年:2年

    性別:男

    所属寮:ジェターク寮

    身長188cm


    細っこい体で顔の線も細い

    狂犬属性のきらいがあるでも忠犬属性もある

    小さい頃に、ニカと一対のイヤリングを分け合っている

    GUND使用者であり、病気で左腕を喪っている

    料理以外の家事全般が得意


    ちなみにMSの操縦の腕前は人並みくらい

  • 8二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 19:56:25

    おお、主、おひさしぶりです

  • 9進行のキューピッド23/07/17(月) 20:01:48

    <MS紹介>


    LW-LF-08 グランゲイル


    ジェターク傘下の企業「リバティーワークス社」が開発した軽量高機動MS

    フレームベースはデスルターのものを使用しているが、その面影は全くない

    その最大の特徴は剥き出しのフレームに必要最低限度の装甲がついているというその姿であり、この極まった軽量化により瞬間速度や俊敏性はグループの中でもトップの位置にある

    武装は両腕部のラックに収納されているビームカタナと、胸部のバルカンというシンプルな構成になっている

    この武装構成故に遠距離戦は大の苦手で、その俊敏性で都会の近距離に持ち込み格闘戦で仕留めるのが主な戦術である(つまりはグフである)

  • 10進行のキューピッド23/07/17(月) 20:05:41

    LW-LF-08-Cs グランゲイル改

    決闘により大破したグランゲイルを修復・改造した姿
    改修案にはニカ・ナナウラの要望がふんだんに盛り込まれており、走行材の見直しやビームカタナを一本にして、左腕にのみラックを設置、ラックにはショートビームライフルを設置して射撃戦に対応可能に、ビームカタナもより軽いものへと変更され、全体的なスペックアップを果たしている

  • 11二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 20:07:17

    このレスは削除されています

  • 12進行のキューピッド23/07/17(月) 20:08:47

    ラストムーン

    ドルムが乗った謎のガンダム
    出自、開発目的全てが不明の機体であり、パーメットスコアの上昇で武者モードとナイトモードを切り替えられることくらいしか特筆すべき点がない謎の多い機体である
    あと、暴走すると吠えるがその機構も謎である

  • 13進行のキューピッド23/07/17(月) 20:09:47

    と言うわけで次のレスから始まります

    みなさんからの意見などでストーリーが変わるかもしれませんので是非ともコメントをよろしくお願いします

  • 14進行のキューピッド23/07/17(月) 20:15:09

    ドルム・ガナンは憂鬱であった

    というのも、最近ニカと過ごす時間が少なくなってきているのだ

    地球寮に入ってきた新入生のパイロット科生「チュアチュリー・パンランチ」彼女の乗る機体の改造でなかなか会えない時期があった

    そしてそれが終わりまたいつものようになると思ったら、今度は水星からの編入生「スレッタ・マーキュリー」と彼女の乗るガンダムの方に興味津々になってしまったのだ

    思春期の男の子としてはいささか面白くない日々であった


    今日はどうするか

    dice1d3=3 (3)

    1.ダメ元でニカにお昼を一緒に食べないかのお誘いをする

    2.できる王子様は我慢ができるのでニカが変な輩に絡まれないか草葉の陰から見守る

    3.寮のパイロット仲間と用事があるんだった

  • 15チグハグ君23/07/17(月) 20:35:55

    今日は同じ寮のパイロット仲間であるフェルシーと用事があるのだ


    用事の内容

    dice1d3=3 (3)

    1.課題のレポート制作

    2.シュミレーターでの模擬戦

    3.一緒に昼飯を食べる

  • 16進行のキューピッド23/07/17(月) 21:21:17

    「よ!遅かったじゃん」

    食堂ではすでにフェルシーが席を陣取っており、ニコニコ笑顔で手招きしていた

    「遅かったって時間ぴったりだろ?」

    「はぁ〜お前、デートの時は1時間前から行ってるくせに!」

    「おまそれどこで知ったんだ?」

    「知るも何もジェターク寮じゃ当然のことじゃん「ドルム・ガナン」が朝早く起きる日はデートの日と相場が決まってるって」

    「いや、えぇ……」

    「そりゃ、公衆の面前でなんな告白決めたらそうもなるよ」

  • 17二次元好きの匿名さん23/07/17(月) 21:44:00

    そういえば今までは一年のコロの話だったからな。チュチュ達がでたあたりの話はされてなかったからなんか新鮮だ

  • 18進行のキューピッド23/07/17(月) 21:55:01

    1年ほど前、ドルムはニカを守るために同じ寮の先輩に決闘を挑んだ

    その当時からしてみれば無謀すぎる戦いだったが、持ち前の気合いと根性で辛くも勝利したのだが、この際、レギュレーションの穴を突いた攻撃でコックピットのドルムギリギリに攻撃が掠めるという事態が発生、これを間近で見ていたニカが号泣してしまったのだ

    泣き続けるニカを安心させるために抱きしめたり、「ずっとそばにいる」と言ったのが全校放送で公衆の面前で晒されてしまい、2人は一躍学園の名物カップルになってしまったのだ


    「ドルムって彼女のことになるとわかりやすくなるから見てて面白いんだよね〜」


    「僕はともかくニカは見せ物じゃないからな」


    「わかってるって」


    そう言って唐揚げをつっつくフェルシーを見ながらドルムはdice1d3=2 (2) に箸をつけていた


    1.焼き魚プレート

    2.ラーヌードル

    3.肉豆腐

  • 19進行のキューピッド23/07/17(月) 22:33:06

    「……それ美味いの?」

    「それなりには…まぁトッピング次第じゃない?」

    「ちなみに、ドルムは何乗っけてんの?」

    「あー僕は…豚まぜラーヌードル、ヤサイマシ、ショウガ、ニンニク、アブラ、ガリマヨ、チーズ、タマゴ……だね」

    「え?なにそれ呪文?」

    「いやトッピングのコール」

    「私には無理だなそれ」

    「そもそもフェルシーのちみっ子ボディじゃ全部入らないよ」

    割と辛辣なことを言いながら、ドルムはラーヌードルをずるずると啜る。このジャンキーな味が生きていることを実感させてくれるのだ

  • 20進行のキューピッド(今夜最後)23/07/17(月) 23:16:37

    「そういえばグエル先輩これからどうするんだろうね」

    ドルム達の所属するジェターク寮の寮長「グエル・ジェターク」は2度、水星から来た少女に敗れついには決闘禁止が言い渡されてしまったのだ
    それは今まで決闘でその地位を確固たるものとしていたグエルが学園での地位を少しずつ失っていくのと同義であった

    「まぁ、グエル先輩のことだし、なんとなるよきっと」

    そんな無責任な言葉を吐いても状況はどうにもならない

    「スレッタ・マーキュリーか…」

    ドルムにとっては別の意味で警戒対象な彼女は今、ニカと仲良くやっている。ついこの前は寮にまで誘ったという

    なんだかニカが遠くへいってしまっている気がして、少しだけ寂しくなった

  • 21進行のキューピッド23/07/18(火) 08:15:40

    「ご馳走様」

    「早っ…」

    フェルシーと話している側、ドルムはラーヌードルを爆速で完食していた

    「……いいよ急がなくても。待つのには慣れてるから」

    そう言われると急ぐのが人間なのだが、この男はそれに気づいていない

    もぐもぐと唐揚げを食べ進めていると、生徒手帳から通知音が鳴った

    「お、決闘だ。ふーん…シュネー寮とグラスレー寮の奴がやるらしいよ」

    「へー…」

    「ドルムお前、本当に決闘に興味無いよな」

    「違うよ…決闘にいい思い出が無いだけだよ…」

    そういうと、コップに残った水を飲み干した

  • 22二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 09:39:20

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 12:23:46

    同時に2スレ進行とは豪気な・・・

  • 24二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 13:53:42

    保守

  • 25進行のキューピッド23/07/18(火) 14:33:16

    昼食を取り終えた後、ドルムは1人アスティカシア学園の廊下を歩いていた
    フェルシーには「たまには一緒に教室に帰るくらいしろよな」と言われたが、そんなことよりも優先すべきことがあるのだ

    そして歩き続けて、人気のない校舎の端の方までやって来た

    〈第3屋内修練場〉

    その看板を確認すると、ノック3回で部屋へと入る

    「失礼します!本日もよろしくお願いします!先生!」

    だだっ広い修練場にドルムの声がよく響いていた

  • 26二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 17:48:28

    ここではドルムサイドのストーリーとかチグハグ君とかとの関わりが補足されるのか

  • 27進行のエンジェル23/07/18(火) 18:09:11

    >>26

    (概ねそんな認識で大丈夫です)


    「来たか……」


    ドルムの挨拶を聞くと、修練場の奥から1人の男がのそのそとやって来た

    壮年であることを示す白髪に動脈を流れる血のような赤の瞳、それだけ見ればごく一般的な初老の男性なのだが、額から目を通り、顎下まで走る分割さんのようなラインがこの男の外見を特徴付けている


    「時間通り、言いつけはしっかりと守っているようだな、ドルム」


    「はい!ウィリアム先生との決め事ですので!」


    そういうドルムに持っていた木刀の一本と黒い帯を渡すと、自分は修練場の中央へと移動する

    その間ドルムは渡された黒い帯を目隠しとして巻きつけ、木刀をしっかりと握った


    「それでは、本日の修練を始める」


    男の声と共にドルムが勢いよく駆け出した

  • 28二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 18:27:41

    サムライスタイルはこの人から?

  • 29進行のキューピッド23/07/18(火) 18:46:27

    目隠しをして修練場の端から中央まで一直線で駆けていくドルム。木刀は左手を腰に当てて固定しており、柄に軽く添えられた右手でいつでも抜刀の準備ができる構えを走りながらも崩さずに維持していた


    「フッ!」


    大股でかけた時の自身の脚の距離と中央までの距離を脳内でシュミレートし、剣先がウィリアムに触れるくらいの所で振り抜く


    しかし、何かを捉えた実感はなく、空を切る音だけが修練場に響く

    だがドルムは焦らない。ここまではいつも通り、むしろここからが本番である

    目隠しの裏でドルムは目を瞑ると全ての神経を耳に集中させ、周囲の音と気配を聞き取る。いわゆる心眼と呼ばれる技術だ

    そして、その眼は敵の姿を捉えた


    「ハァッ!!」


    dice1d3=1 (1)

    1.お見事!剣先が少し触れた!

    2.残念!そこに敵はいないよ!

    3.「遅い」ドルムの側頭部に先生の木刀が!

  • 30二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 18:55:48

    御見事に御座いまする・・・

  • 31進行のキューピッド23/07/18(火) 19:02:00

    確かに当てた感触が剣先から伝わった

    (よしっ……!)

    思わず心の中でガッツポーズを決めてしまう。ようやくここまで来たのだ喜んでしまうのも無理はない

    だが、この修練の勝利条件は、そうではないのだ

    「忘れたのか?」

    ドルムの背後からウィリアムの声が聞こえる

    「この修練は"芯で相手を捉える"ことが勝利条件だろ?」

    「あ…」

    そして木刀ではなく、ゴツゴツとした手のチョップがドルムの後頭部へと炸裂した

  • 32二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 19:46:32

    このレスは削除されています

  • 33進行のキューピッド23/07/18(火) 19:47:03

    暗転する景色の中でドルムは少し昔のことを思い出していた

    ─数ヶ月前

    ドルムが2年生になりたての頃、ニカが自身の寮に新しく入って来たパイロット科の生徒の機体改造につきっきりになっていた頃、ドルムは不貞腐れていた

    ニカが楽しそうなのはドラマにとっては1番望むところであるのだが、それはそれとしてニカが自分と離れたところで笑っているのを見ると、心の奥がズキズキとしてなんだか息苦しかった
    しかもドルムにはそれを相談できる存在もいなかったし、今更声をかけようにも、みんなあの決闘でドルムについたイメージが先行していてなんだか話しづらかった

    だから、空き時間を見つけては筋トレをしたり、ランニングをしたり、木刀を振ったり基礎体力作りに努めていた訳だが、ぐちゃぐちゃに壊されて新造中のせいで相棒である「グランゲイル」に乗れないのもあって肝心のMSの練習もできない

    何もかもが致命的に噛み合わない現状に不満だけが溜まり続け、学園の木に打ち付ける木刀に込める力が徐々に強くなっていった
    そしてある日、自分でも気づかないほどの力を込めて木刀を振った時、あまりの反発力で木刀が手をすり抜けて遠くの方に吹っ飛んでいってしまったのだ

  • 34進行のキューピッド23/07/18(火) 20:25:51

    木刀を探し森の奥まで入っていくと、少し開けた場所に木刀が落ちているのが見えた
    見つかってよかったと胸を撫で下ろし、それを取ろうとすると、それよりも先に別の手がそれを取ってしまった

    「すいません、それ僕の…」

    「…芯にあたっていない」

    男が急にそんなことを言い出した

    「芯……?」

    「この木刀、側面がかなり削れている。本来ならあり得ないことだよほどの下手くそでもない限りこんな削れ方はしない。君、相当下手くそだな」

    あまりにも無神経な物言いにドルムのイライラが蓄積していく

    「それにさっきの音とここまでの距離、ここまで飛んできてしまったのは芯に当たっていないからだ。芯に当たれば反動は最小限だ。反動が強くなるのは芯を捉えられず下手くそに当てるのが原因だ」

    「なんですがさっきから!下手くそ下手くそって、木刀見ただけで何がわかるんですか!」

    ついに鬱憤が爆発してしまう。子供のように怒るドルムを見る男の目は真紅であるのに冷たかった
    そしてドルムに木刀を渡すと、挑発するように言う

    「君が下手くそでないのなら、これでわたしに一撃当ててみろ。もし当てることができたら先ほどの発言を訂正しよう」

    「……わかりました。約束ですよ!」

    男の見え見えの挑発にドルムは乗ってしまう
    以前から変わらない、ドルムの短所が顔を出してしまった

  • 35二次元好きの匿名さん23/07/18(火) 20:42:57

    焼きもちか…

  • 36進行のキューピッド23/07/18(火) 21:37:53

    「タァッ!!」

    木刀を片手で持ち、横一線に振り抜く。グランゲイルに乗っている時はいつもやるドルムの得意技である
    棒立ちの人間に食らわせればひとたまりもない、何が下手くそだと心の中で反抗しながら剣を振り抜く

    「甘い」

    だが、その剣先が相手に届くことはなく、ドルムの視界が180度回転する
    気づけば地面に叩きつけられ、その視界は昼下がりの人口の青空を写していた

    「雑念が多すぎる。それでは何も斬れやしない」

    男はドルムを一蹴すると、その場を立ち去ろうとする

    「まだ…だ…」

    「…………」

    「僕の敗北条件は無かったでしょ?なら、まだ負けてません」

    その足を止めたのは木刀を支えにヨロヨロと立ち上がるドルムの姿だった

  • 37進行のキューピッド23/07/19(水) 06:54:58

    それからドルムは何度も地面へと叩きつけられた
    その度に立ち上がり、木刀を持って再び男へと切り掛かった
    そしてまた地面へと叩きつけられ、また立ち上がる
    そのループをひたすらに繰り返していた
    何度も
    何度も
    そのループは空が茜色に染まるまで繰り返され、ドルムのジャージは土でドロドロに汚れ、汗で髪が皮膚に張り付き、足も疲労でガクガクと震えていた

    もはや体力の限界を通り過ぎており、いつ動けなくなってもおかしくなかったが、それでもドルムは立ち向かい続けた
    この諦めの悪いところはドルムの長所だ

    そして数えるのも嫌になるくらいの繰り返しの中、ついにその時は訪れる
    空の色はすでに暗く、もう数分もしないうちに夜空へと変わるそんな黄昏時
    木刀を握るドルムの手は疲労でパンパンになり、木刀を握る手に力を込めることが困難になっていた
    そんな状態でも声を張り上げ切り掛かる
    汗と泥に塗れた一閃は、偶然か必然か、疲労によって無駄な力が抜け、残り少ない気力を保つために腰を深く入れた斬撃は今までのどの攻撃よりも素早く、そして正確に男の体を捉えるコースに入っていた

  • 38進行のキューピッド23/07/19(水) 06:55:18

    (やった!)

    そう思うドルムであったが、その剣はあっさりと男の片手で止められてしまう
    なんとか押し込もうとするが、男はビクともせず、奥歯が砕けそうなほどに力を込めても、限界の体では碌な力すら引き出せない。本当にこれ以上は何もできなかった

    「……合格だ」

    諦めかけたドルムに男が語りかける
    合格?なんの話だ?
    困惑するドルムには自体の把握ができていなかった
    だが、とりあえずは終わったらしい。そう思うと安心感で限界を超え体を動かしていたアドレナリンが切れ、そのままシャットダウンしたコンピューターのように視界がブラックアウトした

  • 39二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 14:43:59

    ドルム君根性はすごいけど身体能力そんな無さそうなんだよな

  • 40進行のキューピッド23/07/19(水) 18:15:23

    「うぅ…あ……はっ!」

    強い倦怠感を感じながら無理やりに目を開くと、視界に飛び込んできたのは見知らぬ天井であった
    妙に薄暗い部屋の中を見回していると、金属製の棚に詰め込まれた小難しそうなタイトルの本や、床に散らばった書類、乱雑に置かれた雑誌類等が妙な生活感と他人の家に来た時のような居心地の悪さをドルムに感じさせていた

    起き上がると、自身の体から毛布がずり落ちた
    どうやら自分はこの古ぼけたソファに寝かされていたらしい
    さてここからどうしたものかと辺りを見渡していると、金属棚の奥からあの男が顔を覗かせた
    そしてドルムの顔をじっと見るとひと言

    「……飯、行くぞ」

  • 41進行のキューピッド23/07/19(水) 20:13:23

    かなり長い間眠っていたようで、外はもう真っ暗になっていて、食堂も明かりが少なくなっていた
    ドルム自身もこの時間に食堂を利用するのは初めてのことだ

    初めての経験になんだか心がワクワクしていると、ドルムの前を行っていた男が麺のコーナーで止まる

    「豚まぜラーヌードルヤサイマシショウガニンニクアブラガリマヨチーズタマゴ」

    なんか呪文のようなことを言っていた気がする

    「…お前も同じのでいいな?」

    「アッハイ」

    男の圧に負け反射的に返事をしてしまったが、なんだか嫌な予感がしてならなかった

    ──────────

    結論から言えば、出て来たのは地獄だった
    天高く積まれた野菜にとんでもない量のマヨネーズ、ニンニク、ショウガ…なんかよくわからないブヨブヨのやつに申し訳程度の生卵と、ドルムの中のラーヌードルのイメージが音を立てて崩れていっていた

    「うぅ……ごちそうさま………」

    なんとか皿にある全てのものを食い切った頃、目の前で同じものを食べていた男は、卓上の紙ナプキンで口元を拭いていた。初老にしか見えない外見でこれを全て、育ち盛りのドルムよりも早く胃袋の中に収めたとはとても信じられなかった

  • 42二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 22:26:44

    チグハグくんがガールズ達と
    キャッキャウフフ(誇張)してるころ、ドルムくんは剣を振り、油を食らっていた…

  • 43二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 22:35:29

    >>42

    なおその後のテロ

  • 44二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 22:38:03

    スレ主生きとったんかワレ!!おかえり!!
    新シーズンやったぜ!

  • 45二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 22:42:50

    >>43

    途中までラブコメしてたのに本編11話放送で完全に流れ変わったの今でも面白過ぎる

  • 46進行のキューピッド23/07/19(水) 22:45:22

    「ウィリアム・オルランドだ」

    「へっ…?」

    腹をパンパンに膨らませ、元々あまり血色のよくない顔を青くしていたドルムは突然の自己紹介に素っ頓狂な声を出してしまった

    「担当科目はフロント地方自治論。パイロット科のお前には関係のない科目だがな」

    「あ、あの僕は…」

    「ドルム・ガナン」

    「!」

    「パイロット科2年、学籍番号LP027、推薦企業はリバティーワークス」

    「な、なんで知ってるんですか……?」

    「お前の端末から調べさせてもらった」

  • 47進行のキューピッド23/07/19(水) 22:45:43

    そう言うと壮年の男─ウィリアムは懐から板状の物体を取り出した

    「あ!それ僕の生徒手帳!?」

    ドルムはウィリアムに提示されて初めて自分の生徒手帳が無くなっていることに気づいた

    「すみません…」

    「誰が返すと言った?」

    ウィリアムの手に握られている生徒手帳を取ろうとすると、ドルムの手の届かないところに引っ込められてしまう

    「……返して欲しかったら質問に答えろ」

    なんだかきな臭くなってきた

  • 48二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 23:03:13

    >>45

    あの時は「おい・・・スレ主どうすんだよ・・・」っていう感じだった、でも今はノリノリでチグハグ君のトラウマ叩き起こしたり、サビーナさんをライナー化させようとしてるよ

  • 49進行のキューピッド23/07/19(水) 23:04:15

    「話ってなんですか?」

    2人の間に緊張が走る。いきなりドルムに修練をさせ、部屋まで運び、ラーヌードルを奢ったこの男を信用していいのか悪いのかドルムは判断がつかなかった
    この学校の教師であるということは、特別悪い人間ではないとは思うのだが…

    「お前、わたしの元で修練に励まないか?」

    「え…?」

    「えではない、返事は「はい」だ」

    「え、あ、はい!」

    「決まりだな…それでは、明日昼過ぎ第3修練場で会おう」

    この時、ドルムは自身の過ちを理解した
    それと同時に「安易に了承の返事をしてはいけない」とさまざまな媒体で言われていたことの意味をようやく理解した

  • 50二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 23:07:10

    何者なんだこのサムライ爺さんは

  • 51進行のキューピッド23/07/19(水) 23:17:55

    ─そして現在に至る

    「うぅ……先生、今のは反則ですよ…」

    「最初に言っただろうこの修練の目標は「心の眼で相手を捉える」それにあると。第一、それを了承したのはドルム、お前自身だぞ」

    「それは…そうなんですけど……」

    ドルムがウィリアムの元で修練を始めてからすでに数ヶ月の時が過ぎていた。あの日の翌日、修練場へと赴いたドルムに言い渡された修練は、目隠しをしてウィリアムから一本を取ることであった
    これは目で見て相手を切っているうちは芯には当たらないと言ったウィリアムの発案で、心の眼で見ることで真に相手を捉えることができるという彼の自論によるものだった

    しかし、目隠しをして剣を振るというのは想像よりもずっと困難で、まず細かい音や気配から相手の位置を測らないと切るべき場所もわからないし、場所がわかっても自分の体の長さ、リーチを正確に理解していなければ十分な踏み込みの余地の確保もできない
    ドルムは今こうして目隠しをしていても最低限動くことができているが、ここまでできるようになったのもつい最近の話なのだ
    これではいつになったらウィリアムから一本を取れるのか、想像するだけで徒労感に襲われるものだった

    「……だが、気迫は素晴らしいものがあった。今後もそれを維持するように」

    とはいえ、ウィリアムがただの鬼畜教官というとそういう訳でもなく、ドルムがいい動きをしたり、いい反応をした時はこうして褒めてくれることが多い。ドルムはそれを反映して動きを徐々に良くしていっているのだが、一向にウィリアムとの距離が縮んでいる気がしなかった

  • 52二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 23:26:51

    MS戦闘に活かすと意識外の攻撃が主体のビット攻撃に対処できるようになるとか?

  • 53進行のキューピッド23/07/19(水) 23:35:50

    「明日の修練は休みだ」

    フロントの空の気象設定が夕暮れへと変わり、それが茜色に染まりかけていた頃、修練終わりにウィリアムがそんなことを言ってきた

    「今まで一度も休みがなかったのにですか!?」

    当然ドルムは驚く。修練を始めてからというもの、毎日毎日来る日も来る日も剣を振り、その度に叩きのめされ、1日も休みなど無かったのに、いきなり休みが湧いて出てきたのだ。喜びよりも困惑の方が大きかった

    「この修練は人間同士の戦闘で活かすのもそうだが、MS戦に発展させることも視野に入れた修練だ。よって、明後日よりの修練はMSでの修練も取り入れる。1日ごとに対人戦とMS戦をこなしてもらうぞ」

    「でも今の自分にはデミトレーナーくらいしか動かせるMSありませんよ?」

    「お前、自分の予定くらい把握していないのか?前に行っていただろう、明日は」

    「あっ!グランゲイルの届く日!」

    「……明日は新機体受領と乗り換えの準備日とする。明後日の修練に影響のないように」

    「はい!」

  • 54進行のキューピッド(今夜最後)23/07/19(水) 23:51:42

    <キャラクター紹介>


    ウィリアム・オルランド


    ドルムに戦い方を教えている壮年の男

    白髪に鮮血のような赤い瞳、額から顎下にかけてはしるラインが特徴

    アスティカシア学園の教師であり、担当はフロント地方自治論。経営戦略科の専門授業であり、レポートは多いがテストは簡単

    ドルムのラーヌードルのカスタムの師匠でもあり、胃袋は育ち盛りの学生に引けを取らない

  • 55二次元好きの匿名さん23/07/19(水) 23:58:02

    >>オルランド

    絶対強い(確信)

  • 56進行のキューピッド23/07/20(木) 11:28:15

    ─翌日 アスティカシア学園宇宙港

    休日のお昼時、宇宙港の物資搬入口へと向かう影が2つあった

    「今日はおじさんとおばさん来るの?」

    「いや、なんか今日はチーフが来るらしい」

    「あークマさんが来るんだね」

    たわいない話をする2人の目の前に一台のMS輸送用コンテナが急停止してくる
    慌ててニカを守るように覆い被さったが、彼らの手前1メートルくらいでコンテナは止まった

    「ちょっ…危ないじゃないだろ!ここ速度制限域だろ!」

    コンテナの運転手に文句を言うドルム。そんな暴走コンテナを操っていた人間がらコンテナの出入り口から出てくる

    「いやぁーメンゴメンゴ!慣れないところでいつも通りやっちゃった☆」

    「はぁっ…!?何言って…って、チーフ!?」

    「おはよう坊主!お、嬢ちゃんも一緒か……なになに手ぇ繋いじゃって〜うーん、青春してるねぇ!おっちゃんには眩しいよ」

    「えっあ…これは!」「…………」

    豪快に笑う少し日に焼けた、マッシブな作業着の男は今まさに轢き殺しかけたドルムとニカを見るなりガハハと笑い始めたのだ

  • 57進行のキューピッド23/07/20(木) 17:10:09

    「ていうか、なんでチーフが?」

    「第1はこいつを届けにきたってのが理由だが、第2にはにこいつが色々と新しすぎるってのがある。そして第3の理由、こいつが重要だ…」

    「第3の理由…」

    「第3の理由それは… 久しぶりに坊主と嬢ちゃんがよろしくやってるところを見たくなったからだ!」

    真剣にチーフの話を聞いていた2人とも派手にズッコケた

    「そ、そんなことのために!?」

    「そんな事とはなんだ!おっちゃんくらいの年齢になると、坊主辺りのガキンチョの甘酸っぱい青春を体が求めて仕方ないんだよ!」

    「えぇ……」

    「あの、チーフさん。そのコンテナの中に入ってるのって」

    「ご明察!その通りだ嬢ちゃん」

    MSコンテナの扉が上から順々に解放されていき、中に格納された蒼い機体がその姿を現す

    「LW-LF-08.2 グランゲイルV2(ヴァージョンツー)下ろし立てたばっかりのピカピカの新車だぜ?」

  • 58進行のキューピッド23/07/20(木) 17:11:24

    <機体解説>


    グランゲイルV2


    型番:LW-LF-08.2


    大破したグランゲイル改に変わり、新造された新たなグランゲイル

    開発にはアスティカシア学園メカニック科のニカ・ナナウラも関わっており、主に胸部(コックピット)周りと左腕部多目的兵装コンテナの設計を担当した

    今までメインフレームはデスルターのモノをベースとしていたが、今回からはリバティーワークスの開発した完全新規の専用フレームをベースとしている

    グランゲイル本来の持ち味である、軽量な機体故の高機動、高加速、高スピードは顕在で、新造され装甲材や装甲の配置が見直された事で、防御能力も上昇している

    主武装であるビームカタナ「騒速(ソハヤ)」は、より軽量かつ高強度に作られており、尚且つビームの発生原理に新規技術を搭載したことにより切断力が向上した。非使用時は左腕部コンテナに収納されており、使用時にはコンテナに仕込まれた電磁カタパルトで高速射出されることで「居合」を可能となっている

    その他にもコンテナには中距離用のビームショートライフルや、攻撃を受けた時にコンテナ表面がが微細に振動する事で衝撃を受け流す「リアクションシールド」等の機能が搭載されている他、頭部には牽制用のビームバルカンポッドシステムが搭載されている

  • 59二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 17:12:29

    このレスは削除されています

  • 60進行のキューピッド23/07/20(木) 20:36:27

    それぞれの反応


    ドルム:dice1d3=2 (2)

    1.うぉっー!ピッカピカだー!

    2.…なんか太くない?

    3.これが新しいグランゲイル…


    ニカ:dice1d3=3 (3)

    1.自分で考えたものが形になるってやっぱり良いなぁ-

    2.ドルムドルム、あの鞘私が作ったんだよ!

    3.ど…どうかな?変じゃないかな?

  • 61二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 21:00:59

    ビームカタナはどういうタイプなんだ?あくまでビーム発振機構で刀身が作られるのか、実体剣にビーム発振機構についてるハイブリット式なのか

  • 62進行のキューピッド23/07/20(木) 21:52:06

    >>61

    (前者に近いっす)


    「ど…どうかな?変じゃないかな?」


    「…なんか太くない?」


    「太くないよ!」


    「いや太いよ!なんか前のグランゲイルより着膨れしてるよ!」


    「だって、ドルムってば戦うたびに死にかけるから心配なんだもん。前なんか本当に死にかけて…次やったら本当に死んじゃうかもしれないし…だから!」


    「…………ニカから見て僕ってそんなに危なっかしく見えてるの?」


    コクン


    「……えぇ……じゃ、じゃぁ僕のことどう思ってるの?」


    dice1d3=3 (3)

    1.私の優しい王子様

    2.目を離すとすぐに死にかける王子様

    3.……えへへ

  • 63進行のキューピッド23/07/20(木) 21:57:27

    「……えへへ」

    「…ニカ?」

    「いや、新入生で恋バナが好きな子がいてね、その子の話を聞いてるうちに私とドルムってなんだかすごい関係じゃないかなぁ〜って思っちゃって」

    「……そうかなぁ?」

    「そうだよ!……たぶん」

    「おーい、お二人さーん!自分ただの世界に浸るのもええけど、はようコイツの受け取りしてくれ〜」

    2人の会話に何かの摂取量を超えてしまったおっちゃんが茶々を入れる

    「あ、ごめんチーフ!今行くよ!」

    そう言うとドルムはコンテナへと駆け出した

  • 64二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 22:20:07

    この後のどの面下げてそんなこと言ったんだ?って行動するのを思うと何か高鳴るものがある

  • 65二次元好きの匿名さん23/07/20(木) 22:23:34

    うーんこれは甘い
    コーヒーいれてくる

  • 66進行のキューピッド23/07/20(木) 22:42:44

    ─第13試験区域

    「それじゃ、基礎運動試験から始めるね」

    「オーケー。チェック1、試験歩行開始します」

    蒼き体の巨人グランゲイルが、その巨体を二つの脚で支え、荒野を一歩ずつ歩いていた

    「うんうん、歩行に関しては問題ないね」

    「そりゃまぁ……」

    「どうしたの?」

    「普通は試験官って外で見てるもんだと思うんだけど……なんでコックピットいるの?危ないよ?」

    「へー、ドルムは私が怪我するような危ない操縦しちゃうんだ」

    「そんな……あ………いや、あの時とは違うから」

  • 67進行のキューピッド23/07/20(木) 22:42:58

    彼の脳裏によぎったのは1年生の頃の記憶。危うくニカをMSで踏み潰しかけた時のことだ
    あの時のような失敗は2度はしない、ドルムは心の奥底で心に決めていた

    操縦桿を握る手に力がこもる
    絶対に傷つけてはいけない人が同席していると思うと、いつも以上に安全運転になる
    その結果……

    「すっごいへっぴり腰だwww」

    「なんで笑ってるのさ!?」

    なんとも情けない初試乗になってしまった

  • 68進行のキューピッド23/07/20(木) 23:38:59

    稼働試験をほとんど終えたお昼頃、2人は解放されたコンテナの縁に腰掛け、サンドイッチを頬張っていた

    「どう?アリヤに教わったトマトチーズサンド」

    「うまい!これほんとうまいなぁ…」

    「でしょ!トマトはセミドライにして、強めにコショウ振るのがポイントなんだって」

    「へーセミドライ…セミドライって?」

    「えーと、こう、切ったトマトをオーブンでチン!ってやるやつ。出来上がったらオリーブオイルに入れるの」

    「なるほど、それだけでこんな上手くなるんだね」

    「不思議だよねぇ料理って。今でもマルタンやアリヤに教わってるんだけど、どうしてそうなるの?っていうのたまにあるもん」

    「ニカでもわからないことあるんだな」

    「昔は私の方が何もわからなかったのにね」

    「……僕は体動かす方が得意だから」

    「あー、言い訳してるーw」

    「してないって!」

  • 69進行のキューピッド(今夜最後)23/07/21(金) 00:17:33

    「お熱いねぇ…」

    若者2人の青春を横目に見ながらチーフは1人、優雅にコーヒー(缶)を啜っていた

    ──────────

    「それじゃぁ、おっちゃんは会社に戻るわ」

    全ての動作試験を終え、時刻が16:00を回った頃、ドルム達は宇宙港にチーフの見送りに来ていた

    「ありがとうチーフ、今度帰る時はお土産持って行くよ」

    「ありがとうございましたチーフさん。グランゲイルの整備、預かりました!」

    「おう、頼んだぜ。…それと坊主、その手離すんじゃねぇぞ?」

    チーフが視線を向けた先には、互いの手を強く握るドルムとニカの姿があった
    慌てて手を離そうとするドルムだったが、離れようとするドルムをニカが繋ぎ止めた

    「離しません!絶対!」

    「嬢ちゃんは頼もしいねぇ」

    にこやかに宣言するニカは、チーフに宣誓すると、こちらを向いてニコッと笑いかけた
    その青春の煌めきを見て満足した様子のチーフは、大きく手を振ると、帰りの便に搭乗し、学園を後にしたのだった

  • 70二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 11:11:25

    なおテロ

  • 71進行のキューピッド23/07/21(金) 16:52:21

    ─次の日

    「それでは、MSを使った実機修練を行う」

    試験場にはドルムとウィリアムが学園指定のパイロットスーツに身を包みそれぞれのMSを積んだMSコンテナを前に立っていた

    「修練内容は大人と同じ。私に芯を捉えた一撃を与えられればお前の勝ち、当てられなければお前の負けだ。わかったか?」

    「はい!」

    「よろしい。では、MSを出せ」

    その言葉を合図に、ドルムはコンテナに積まれたグランゲイルのコックピットへと昇降機を使い登っていく

    「LP-027、ドルム・ガナン、グランゲイル、出ます!」

    土煙を巻き上げ、蒼い体のグランゲイルがコンテナから弾き出されるように射出される

    「ウィリアム・オルランド、ウェアウルフ、出る」

    遠方ではオルランドがMSを発進させていた。黒い外装の随分と重装甲そうな機体である

    「それでは…修練、始め!」

    ウィリアムの開始の宣言と共に試験区域の空がパネルを裏返したように変わっていき、辺りには夜空と荒野が広がる
    昨日と同じ第13試験区域で修練が始まった

  • 72進行のキューピッド23/07/21(金) 19:59:47

    MSによる目隠し戦闘は対人戦の時のそれとは似て非なる

    というのも……


    「パーメットリンクとほとんどのセンサーを切って操縦するって…なんかの拷問でしょ…」


    この世界のMSのほとんどはパーメットを介し、パイロットと機体がリンクすることでその操縦が成り立っている

    どんなMSもパーメットリンクによる機体の操作性の簡略化を前提に開発されているため、それを切って操縦することは目隠しをして運転することに等しいと言われている

    それに加え、地形把握のためのセンサーやサブカメラ、自立制御システム等も切らなくてはいけない為、もはや手足のついた棺桶になっているようなモノなのだ


    「あっ……!やべっ!」


    dice1d3=1 (1)

    1.機体バランスが取れず派手にすっ転ぶ

    2.転倒は防いだがコケないように踏ん張った体勢から動かせない

    3.意外となんとかなった

  • 73進行のキューピッド23/07/21(金) 22:48:34

    「うわぁぁぁぁぁ!」


    機体のバランスが取れず派手にすっ転ぶグランゲイル


    「何をしている早く立て」


    「わっ…かってます!」


    dice1d3=2 (2)

    1.フラッフラになりながら立つがめっちゃヨロヨロ

    2.刀に捕まりながら生まれたての子鹿みたいになっている

    3.3歩進んではすっ転びながらウィリアムのウェアウルフに近づいていく

  • 74二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 23:23:59

    なんかここだけクロスボーンやアストレイに似た不思議な感じがするな

  • 75進行のキューピッド23/07/21(金) 23:27:52

    なんとか立ちあがろうと、左腕のコンテナから刀を抜き、それを支えに立ちあがろうとしていた
    とはいえ動きはひどく緩慢で、まるで生まれたての子鹿のような情けないものであった

    「ドルム」

    そんな時、通信でウィリアムの声が聞こえてきた

    「恐るな」

    「恐るなって…怖いというよりも出来ないんです…」

    「そんな情けない姿を晒しているのは見えないことを恐れ
    力を出し渋っているからだ」

    「自転車は速く漕げば漕ぐほど安定する。MSもそれは同じだ。足がすくみ充分な出力を味することを放棄すれば途端にバランスを崩してしまう。出力を上げろ、立てないのならスラスターで無理矢理にでも移動しろ。勝つために大事なことは相手よりも執念で勝ることだ」

    あまりにもスパルタかつ無茶苦茶な指導であったが、それに縋るしかないというのも事実だった

    「やってみろ、出力を最大まで上げ、スラスターで走れ!」

    「は、はい!」

  • 76進行のキューピッド23/07/21(金) 23:28:06

    指示通り出力をMAX、スラスターを全開にしカッ飛んでいく
    体にかかる巨大な圧力、凄まじい加速によるGがドルムの体を襲っていた。ただ同時に、先ほどとは打って変わって移動ができていることも実感できていた

    (これなら!)

    ドルムの口角が少し上がる。これからが新しくなったグランゲイルと自分の最初の1ページだ、そんな気分でグリップを再度握り直す

    そして……


    そのまま試験区域の小高い丘に激突した

  • 77二次元好きの匿名さん23/07/21(金) 23:59:11

    >>74

    まあスピンオフだからね、話の本筋に関わる前というか

  • 78二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 11:58:58

    >>70

    シャディクくん関係も絡んでくるし、どうなってしまうんだろうなぁ

  • 79進行のキューピッド23/07/22(土) 12:25:52

    「で、下手くそな操縦して地面に激突してそのまま納車2日目でキズモノにしちゃったんだww」

    「ちげーよ!グランゲイルはぶっ壊れてなくて、乗ってた僕が気絶しただけ!」

    ジェターク寮の補食室でドルムは同学年のメカニック科生、ペトラ・イッタから今日の失敗を笑われていた

    「余計にダサいじゃんwww」

    言い訳をするドルムを、風呂上がりで首元にタオルをかけた同学年のパイロット科生、フェルシー・ロロが笑う。同い年にしては随分子供っぽい笑い方だと、ちょっとムッとしながらもぼやーっと考えていた

    「それにな、アレはいくらなんでも条件がキツすぎるんだって!試しにフェルシーもやってみろよ!」

    「ほらそうやって言い訳する。そんなことやってるから、いつまで経ってもグエル先輩みたいに強くならないんだよ」

    「なっ!?そこでグエル先輩のこと出すなよ!」

    「確かにフェルシーのが言えてるわ。言い訳する男はモテないぞぉ〜?」

    「えっ……?」

    ペトラの一言にドルムは冷水をかけられたように、驚愕の表情から固まって動かなくなる。余程ショックが大きかったようだ
    そんなドルムの様子を見て女子2人はより一層ケラケラと笑うのだった

  • 80二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 13:24:28

    そういえばドルムの推薦企業ジェタークの関連企業だったな。結構仲いいね

  • 81進行のキューピッド23/07/22(土) 13:50:33

    ショックを受けたドルムはその夜、寮の格納庫に停められているグランゲイルの元を訪れていた

    ドルム「はぁ… 今日は散々だったな、相棒」

    見上げるグランゲイルは、何も答えてはくれない
    機械だから当たり前のことだが、ドルム以外誰もいない深夜の格納庫、心を許せる相棒と言葉を交わさないのは少し辛い気持ちがあった
    一流のパイロットはマシンの声が分かるらしい。その声が危険を教えてくれたり、整備が必要な箇所を知らせてくれるらしいのだ。早くそうなりたいとドラムは切に願うが、今日のような状態では、そうはいかないんだろうなと、確信めいた何かがあるのは事実であった

    「それじゃ、おやすみ、また明日……乗るのは明後日か」

    グランゲイルにおやすみを告げ、自室に戻ろうとしたドルム
    しかし、急に足の力が抜けてしまう。急に感覚がなくなり、足に力が込められない

    「あっ…あれ?疲れすぎたかな……」

    しばらくすると、足の感覚が戻り、再び歩けるようになった
    先ほどの感覚はなんなのか、不安になりながらも、連日の修練による疲れだろうと結論づけて自室への道を辿っていった

  • 82恋のキューピッド23/07/22(土) 16:25:39

    ─次の日


    その日もウィリアムとの修練(昨日のこともありいつもよりキツかった)を終え、トボトボと帰路に着くドルム


    dice1d3=2 (2)

    1.電動スクーターで帰っている途中、買い出しに出かけたニカに出くわす

    2.腹が減って限界なので食堂へ(地球寮と出会う)

    3.限界でぶっ倒れたところを誰かに助けてもらう

  • 83進行のキューピッド23/07/22(土) 16:41:26

    「ダメだ腹の空きが限界だ……食堂行こ」

    限界まで体を酷使したドルムの胃袋は無視できないほどの要求の声を上げ、食堂へと駆け込ませていた

    ────────────

    「へへへ、今日は豚マシまぜラーヌードルヤサイマシマシニンニクマシマブラマシガリマヨマシチーズWショウガタマゴカラメにしちゃった…!」

    ドルムの持つお盆に乗せられたラーヌードルはいつもの彼が食べているものよりも更にボリューミーで、野菜にかけられたアブラがテリテリと輝き、芳醇な豚の香りが尾行を刺激し、食欲は爆発寸前であった

    空いてる席を見つけ、箸を取ればもう彼を止めるものはいない。胃袋の鳴る音が最高潮に達するのを感じながら手を合わせ、食前の挨拶を決める

    「いただき……」
    「ドルム……?」

    「えっ?」

    聞き慣れた声がすると思い、自分が座っている席の奥の方を見る

    「やっぱドルムだ!偶然だね」

    そこには、幼馴染のニカが眩しい笑顔でドルムに笑いかけていて、そしてその周りには─彼女の今の仲間達である地球寮の面々が席を囲んでいたのだ

  • 84進行のキューピッド23/07/22(土) 16:59:40

    「あの人がニカ先輩のボーイフレンドさん!」

    妙な空気が漂う食卓で真っ先に声を上げたのは地球寮の恋バナ担当、リリッケであった

    「ぼぼぼ、ボーイフレンド!?ちっ違うから!」

    「えー、でも決闘の後に「ずっと一緒にいる」ってニカ先輩に言ったんですよね?」

    「あ、イヤーそれはー…ダッテソレハニカノカオヲミルトイワナキャイケナカッタシソレニボーイフレンドッテイウナラボクタチマダコクハクモシテナイシソレニコクハクナラボクノホウカラシタイシ……」

    ぐいぐいと来るリリッケにドルムはタジタジになっていた

    「アイツ、普通の時と比べて決闘の時とかニカが絡むと性格変わるよな」

    「だよな。戦ってる時はこうガルガルって狼犬な感じで、ニカといる時はキューンって子犬みたいに忙しなくなるし」

    「さすが「猟犬王子様」って言われてるだけはあるわ」

    地球寮の2年生男子メカニックコンビ、オジェロとヌーノはそんなドルムを見て、画面越しで見るのと実際に見るのとではやっぱり違うんだなと実感していた

    「好きな子のことについて聞かれてしどろもどろになる男子、青春の香りがするな」

    「同じ耳飾りをしてる以上、もう仲は推して知るべしだと思うけど」

    「いやぁ〜流石に人の恋愛関係にずかずか踏み込むのはマズイんじゃないかなぁ」

    3年生組のアリヤ、ティル、マルタンはリリッケに質問され慌てふためいているドルムに同情の念を送っていた
    1つ上でもこの学園の生徒の中では一番上の立場にあたる年齢なのだ。親のような年長者のような目線になるのも致し方なかろう

  • 85進行のキューピッド23/07/22(土) 17:27:09

    そんな中、色恋沙汰には興味がないのかチュチュは熱々の五目揚げ焼きそばを頬張りながら、我関せずといった様子だ
    対してニカは慌てるドルムを見て、やってしまったと苦笑いしていた

    「なぁ、ニカ姉」

    「ん?」

    「ニカ姉はさ、アイツのどこが好きなの」

    「……もしかして、チュチュもそういうの興味あるの?」

    「そんなんじゃねーし…ただ、ニカ姉の幼馴染ってどんなやつなのかなって」

    「うーん…優しい人……かな」

    「…なんか随分抽象的」

    「あ、いや優しいだけじゃないよ。私のピンチにはどこにいても駆けつけてくれて、私を笑顔にしてくれて、でもちょっと見てて心配になるくらい怪我しやすくて……そんな人」

    「ふーん、あーしには泣き虫のヘナチョコ野郎にしか見えないけどな」

    「普通の時はね。でも、それでいいんだよ」

    「ニカ姉ってダメ男が好きなのか?」

    「違う違う!…ドルムがカッコいい時って、大体危ない状況の時だからさ、だったら私はずっと平和な世界で、ドルムがカッコつけなくてもいい世界の方がいいかな」

    「……そういうもんなのか?」

    「そういうものだよ」

  • 86二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 17:27:44

    ドルムくん以外と恥ずかしがるからね
    決闘後とか一緒に寝るときとか

  • 87二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 18:24:38

    これから自分で危ない状況を作る女が大層なことを言いますなあ

  • 88二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 18:28:49

    >>87

    この時はまだ知らないし…

  • 89進行のキューピッド23/07/22(土) 19:52:42

    あまりにぐいぐい来るリリッケにノックダウン寸前のドルムであったが、視界の端に映る特徴的な赤毛に言葉を奪われた

    「スレッタ……マーキュリー……」

    それは最近、彗星のように─本人は水星からやって来たのだが─この学園に現れた話題の編入生、この学校にやってきたその日のうちに学園最強のパイロットであったグエルを破り、学園最強の地位である「ホルダー」となった少女であった
    それは彼女が身につける白い制服がなによりも克明に証明していた

    だが、ドルムにとって彼女への評価は突然降って湧いたホルダーでも、水星から来た不思議ちゃんでもない
    ドルムにとっての彼女の評価、それは



    ガンダムを操る者


    その一点に尽きる

  • 90二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 21:19:10

    そりゃ会ったこともないからな

  • 91進行のキューピッド23/07/22(土) 21:43:14

    ガンダム
    その言葉を聞いて、いいイメージを持つ人間は少ない
    20年以上前、多くの人の命を奪った悪魔の機体それがガンダムなのだ。その製造は現在では禁止され、所持することは違法であり、なぜ彼女が所持を特例で許されているのか、ドルムには不思議で仕方なかったが、なにか大人の事情でも絡んでいるのであろうと無理やり納得していた

    そんな事よりも、ドルムにとってはそんなガンダムのパイロットがニカと親しい仲である事のほうが問題であった

    ドルムも一度、ガンダムに乗ったことがある
    その際、命を食われかけ、ニカの助けがなければ今ここに自分はいないとハッキリと断言できる
    ドルムにとってのガンダムは悪魔以外の何者でもない
    いまだに時折夢に見るほど、あの体験は強烈で肉体に死の恐怖を染み込ませていた

    そんなガンダムがニカの近くに今再びある
    ドルムには気が気ではない
    ガンダムによってニカの幸せが、平和が壊されるそんなことはあってはいけない。今はガンダムに乗ってもなんともないスレッタであるが、いつガンダムがその牙を剥くとも限らない

    ─もういっそ、壊してしまった方が─

    そんな言葉が喉からでかける
    それくらいドルムはガンダムを、ガンダムがニカを傷つけることを恐れていた

  • 92二次元好きの匿名さん23/07/22(土) 22:02:44

    だけど君の想い人はガンダムと関係なく人も自分も傷つける選択をするよ、良かったね!

  • 93進行のキューピッド(本日最後)23/07/22(土) 23:09:13

    「あ、あのはじめまして!噂はかねがね伺っています!ち、地球寮でお世話になっているスレッタ・マーキュリー、です!」 

    「こちらこそ、学科は一緒だけど話すのは初めてかな?僕はドルム・ガナン、よろしくお願いするよ」

    スレッタのぎこちない挨拶に笑顔で答えると、互いの手を握り、握手をする
    義手…ではない。これは生身の人間の温かさだ
    それに、人に害を加える人間特有の感覚もしない。……信じても良いのだろうか?

    「あ、あの、ニカさんとはその…幼馴染…なんです、よね?」

    「まぁ、うん」

    「お、幼馴染で同じ学校って私すごく憧れなんです!」

    「そ、そうなんだ……」

    ……本当にガンダムに恒常的に乗っている人間がこんなふうに振る舞えるのだろうか
    命を貪られる感覚を味わいながら、死の恐怖と戦う
    それでなおこの人畜無害そうな性格を維持できるのは、一つの才能だろう

  • 94二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 10:58:12

    エアリアルはなぁ…ラストムーンとは違うし

  • 95進行のキューピッド23/07/23(日) 13:40:22

    あの後、さらにリリッケから追加の質問が来たと思ったらスレッタからの質問も来たり、スペーシアン嫌いのチュチュは何も話しかけてこずただただ睨んでいたり、他の地球寮生が助け舟を出すこともなく、ドルム1人がヘロヘロになりながら騒がしい夕食は終わった


    「なんか、来る前よりも腹減った…」


    ようやく質問地獄から解放されたドルムは燃え尽きた灰のように食堂の壁にもたれかかっていた

    そんなドルムの背後から、銀の包み紙に包装されたチョコバーが現れる

    驚いて振り返ってみると、そこにいたのはニカであった


    ニカ「いやー、大変だったね」


    ドルム「いやいや、全然大丈夫だよ!……本当はちょっとキツかった」


    ニカ「だよね…ごめんね助け舟出せなくて」


    ドルム「いいよ全然!命に関わるようなものでもないし」


    ニカ「…………そっか」


    ニカ「dice1d3=1 (1)

    1.スレッタのこと、まだ警戒してるの?

    2.……ねぇ、ドルム最近体調悪いとかない?

    3.修練は上手くいってるの?

  • 96進行のキューピッド23/07/23(日) 14:28:13

    ニカ「スレッタのこと、まだ警戒してるの?」

    ドルム「そりゃするよ、だってあの子の機体は…」

    ニカ「ガンダムだから、でしょ?」

    ドルム「…ニカだってガンダムの危険性は分かってるでしょ?それなら、なんで地球寮なんかに…」

    ドルムとしてはニカにはもうガンダムには関わってほしくなかった。ガンダムに乗り暴走したドルムを止めるためニカはその身をかけて危険を冒した
    そんなこと2度としてほしくなどないのだ
    そんなドルムの心配とは裏腹にニカは振り返ると笑顔をドルムへと向ける

    ニカ「ドルムが私にしてくれたのと同じだよ」

    ドルム「僕が……」

    ニカ「そう、初めて会ったとき……」

    ドルム「なんか、やったっけ?」

    ニカ「………忘れたの?」

    ドルム「…はい」

    ニカ「もぉー…せっかく私がかっこよく語ろうと思ってたのにぃ…」

    ドルム「ごめん」

    大きなため息をつき、わかりやすく肩を落とすニカであったが、ドルムの手を取ると帰り道をぐいぐいと引っ張って行く
    その顔は眩しいくらいの笑顔で、ドルムをつられて笑っていたのであった

  • 97進行のキューピッド23/07/23(日) 19:06:47

    そしてまた修練の日々が続いていく
    1日ごとに対人、対MSと代わる代わる内容を変え、毎日ボロ雑巾のようになるまで修練に励み、床について泥のように眠る
    そんな日々が続いて……


    今日の修練を終え、いつものようにフラフラボロボロになりながら寮へとたどり着いた
    しかしどうにも様子がおかしい。皆顔を見合わせては何かをヒソヒソと話しているようだった
    事情がわからないドルムは寮のラウンジで困惑していたが、近くにいたフェルシーとペトラを発見した

    ドルム「フェルシー、ペトラ、これみんなどうしたの?」

    ペトラ「ドルム、アンタ今日の決闘見てないの…?」

    ドルム「決闘……?見てないけど」

    フェルシー「早く見ろ!みんなそれでこうなってんだよ!」

    ドルム「いや、たかが決闘だよ?……寮の権利でも賭けたの?」

    ペトラ「…負けたんだ」

    ドルム「……負けた?ペトラって賭けやってたっけ?」

    ペトラ「負けたんだよ!グエル先輩が!ペイル寮のエラン・ケレスに!」

    ドルム「……へ?」

    なんとも情けない声が口から漏れ出た

  • 98進行のキューピッド23/07/23(日) 22:58:38

    ドルム「いや、それにしてもみんな集まりすぎてない?」


    ドルムの指摘はその通りであった

    グエルが決闘に負けた。それ自体もジェターク寮生に衝撃をもたらすには充分すぎる出来事であるが、最近のグエルは負け続きである。負けただけで寮生の多くがこんな時間に寮のエントランスに集まるのは異常の一言に尽きた


    フェルシー「そっそれが……」


    ─────────


    ドルム「グエル先輩が退寮!?」


    ペトラ「声デカすぎだって…」


    ドルム「ごめん…でもなんで!?グエル先輩、本社の御曹司じゃんか、それなのに追い出されるの?」


    フェルシー「CEOの判断なんだって」


    ドルム「……まじかよ」


    2年生組─主に情報の伝達が遅れたドルムが─アタフタしていると、帰寮したグエルにスーツを着たジェターク社の社員がバックパックを乱雑に投げ捨てる

    グエルはそれを拾うと、寮を後にする


    グエル「ラウダ。ジェターク寮を頼む」


    たった一言、弟であるラウダへの労いの言葉を残して



    ドルムのショック度合い

    dice1d100=25 (25)

  • 99二次元好きの匿名さん23/07/23(日) 23:18:58

    ドライだな・・・正直自分に近しい人以外にはあんま関心がない感じがある

  • 100進行のキューピッド23/07/23(日) 23:33:12

    過ぎ去るグエルの背中を見ている寮生はそのほとんどが困惑か、悲壮な表情を見せていたが、ドルムは特にショックを受けた様子もなくいつも通りケロッとしていた


    ペトラ「……アンタ、こういう時も他人に興味ないわけ?」


    ドルム「いや…」


    ドルム「dice1d3=1 (1)

    1.だって、僕らが何か騒いでもCEOの決めたことが揺らぐわけじゃないだろ?

    2.─あれじゃニカを守る力にはならないよ

    3.何か考える分のエネルギー残ってないし…早く飯

  • 101進行のキューピッド(今夜最後)23/07/23(日) 23:47:35

    ペトラ「そうかもしれないけどさ……」

    ドルム「それに…!」

    ドルム「事情を聞く限り、今回の決闘はグエル先輩の非、かなり多いだろ」

    フェルシー「だからって何も言わないの?」

    ドルム「だからだよ。僕らはあの人のことは尊敬してるけど、あの人の事をなんでも肯定するような存在じゃないだろ?間違ってる時は間違ってる言わなきゃあの人に失礼だよ」

    そう言い残すと、自身の部屋へと戻って行くドルム
    ペトラとフェルシーはそんな背中を、薄情だとは思いながらもどこか納得できてしまう、そんな表情で見ていた

  • 102二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 00:23:04

    2は少し狂愛が見えるな、ニカがテロ補助したことすら正当化してしまいそうな危うさを感じる

  • 103進行のキューピッド23/07/24(月) 09:59:17

    それから数日が経った

    グエルに勝利したエランは、今度はスレッタへと決闘を挑んだ。結果としては突如発現したエアリアルの不可解な力によってファラクトの動きが止まり、その隙を見逃さなかったエアリアルによるガンビットの一斉照射によりスレッタの勝利となった


    この決闘を機にドルムはスレッタへの疑念と脅威の眼を強めることになる

    あの瞬間、エアリアルから放たれた謎の電磁パルスめいたものがなければエランの勝利は確実であった。あの状況は魔法が起こったとかそんな事でないと説明ができなかった

    あれはエアリアルの機能なのかそれとも…

    何にせよ、ドルムのガンダムを危険視する姿勢は強まるだけであった


    ドルム「(でも…自分も同じなんじゃないのか……)」


    一度でも手を汚せば、その手は2度と元の純潔には戻らないと昔から星の数ほどある戦争映画がメッセージとして伝えていた

    であるのなら、一度ガンダムに乗り、人を殺しかけた自分も同類なのではないだろうかとドルムは思う。あの時ガンダムの呪いに蝕まれ、己を失った─もしくは本当に自分の意思で殺そうとしたのかもしれない自分がニカのそばにいても良いものか


    ウィリアム「無駄な事を考えるな」


    思考の深みにハマっていたドルムの頭頂部にウィリアムの手刀が突き刺さる。思わず痛みに悶え、頭を抑えてその場に座り込んでしまう


    ウィリアム「無駄な悩み、無意味な思考は剣を鈍らせる。怨みなどはもってのほかだ。怨みで出来るのは人を救うことではなく殺すことだぞ」


    ドルムの心の内を見透かすようにウィリアムは言葉をかける。この男の言葉は不思議と説得があった。普段教壇に立ち、生徒に学を教える教師なのだからそれも当たり前なのかもしれないが


    ドルム「dice1d3=1 (1)

    1.怨みって…先生は誰かを怨んでるんですか…?

    2.先生は、一度汚した手がまた綺麗になると思いますか?

    3.…ガンダムについて、どう思いますか、先生?

  • 104進行のキューピッド23/07/24(月) 10:16:55

    ドルム「先生は誰かを怨んでるんですか…?」

    ドルムのその言葉に一瞬、ウィリアムの動きが止まる

    ウィリアム「お前には関係のない昔話さ……さぁ、修練を始めるぞ」

    そう言うとウィリアムは修練場の中央、初期地点へと戻って行く

    ドルム「…自分は怨みで自分を失いかけました」

    ウィリアム「…………」

    ドルム「自分が強くなれないのは心が弱いからですか?…怨みを抱くような心の弱さがあるからですか!」

    古今東西の創作作品において怨みの感情というのは大抵の場合、いい捉え方をされない。主人公が誰かに怨みを抱いてもそれは自分の心の弱さが原因であると言われる事が多く、心の弱さを克服するというエピソードの動線になる事がもっぱらである
    だからドルムも怨みを抱くのは心が弱いからだと考えていた。自分に打ち勝てないから心が弱く、その弱さに怨みがつけ込んでくるのだと

    ウィリアム「怨むことは、当たり前の感情だ」

    そんなドルムの言葉を切って捨てるように、ウィリアムがその言葉を否定する

    ウィリアム「怨むことは、生きていなければできない。誰かを怨むこと、それも生きる事だ」

    ウィリアムの言葉は妙な実体感があって、どこか冷たい空気が修練場に流れていた

  • 105進行のキューピッド23/07/24(月) 16:08:32

    ドルム「怨むことも、生きること……」


    その言葉がドルムにはとても悲しい言い訳に聞こえてならなかった。怨むことを正当化し、それを生きる意味とするのなら、最後にその手に残るものはきっと何も無いからだ

    それならば…


    ドルム「なら僕は、誰かを愛して生きていきます」


    ドルム「好きな人を大切に思ったり、愛しく思うのも生きているからできる事ですよね…?」


    そんなドルムの青臭いセリフにウィリアムは何も答えない。沈黙が自身の答えだと言わんばかりに



    その日の修練は

    dice1d3=2 (2)

    1.少しばかりいつもより厳しめだった

    2.大分厳しめだった

    3.少しだけ優しめだった

  • 106進行のキューピッド23/07/24(月) 21:44:30

    その日の修練はなぜかいつもよりだいぶ厳しめであった

    やはり、あの会話が余計であったかと後悔するドルムであった


    今日の修練を終え、修練場を後にしようとするドルムにウィリアムが声をかける


    ウィリアム「dice1d3=3 (3)

    1.誰かを愛することは生半可な覚悟ではいずれ己を破滅に導くぞ

    2.愛することを生きる意味とするのならそれのみを心に留めろ。雑念が混じれば剣が鈍る。心にあるべきなのは一点の曇りなき感情だ

    3.……愛することを後悔するなよ

  • 107二次元好きの匿名さん23/07/24(月) 21:44:54

    過去になんかあったのかね

  • 108進行のキューピッド23/07/24(月) 21:49:35

    帰り道、腹ペコのドルムはいつもの如く早く帰ろうと電動キックボードを最高速で走らせる
    もう数ヶ月こなしているので、慣れたモノだ

    ─愛することを後悔するなよ─

    帰り際、ウィリアムに言われた事が胸の中で反芻していた

    愛することを後悔する、その言葉の意味をドルムは知らないし、今後も知らないでいられればと思う。どう考えても知ったらダメそうな事なら知らない方が幸せに決まっている

    ドルム「そういえばニカ、今日はパーティなんだっけ」

    腹が減ってあまり回らない頭で、堅っ苦しいパーティに参加している幼馴染が今何を食べているのか、そんなことを考えていた

  • 109進行のキューピッド(今夜最後)23/07/25(火) 00:20:37

    その日の夜、ドルムはニカと電話で通話をしていた
    内容はニカが参加したパーティのことについてであった
    どんなMSがあったとか、出されたお肉が美味しかったとか、そんな当たり障りのない内容であった

    ニカ「そういえばね、ミオリネが会社作ったんだよ!」

    ドルム「ミオリネさんが…」

    ミオリネ・レンブラン、ドルムにとっては馴染みがありそうで特にない…というわけでもなく、案外関係のあるこの学園でも人気の美少女─ニカには劣るが─である
    1年生の頃、ニカとギクシャクしていた時、ドルムに発破をかけてくれたのがミオリネであったのだ

    ドルム「そういえば何て会社なの?」

    ニカ「えーとね、ガンダムの生命倫理問題についての…」

    その瞬間、ドルムの手から生徒手帳が滑り落ちる
    思ってもみない最悪が思わぬ所から顔を出して来た

  • 110二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 01:15:03

    ミオリネが人気・・・?

  • 111二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 10:18:45

    あっそっかぁ…ガンダムに殺されかけたドルムにとっては株ガンは地雷なのか

  • 112二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 10:21:06

    重いイベントが今後ありそう

  • 113二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 19:06:10

    >>112

    確かに

  • 114進行のキューピッド23/07/25(火) 20:34:20

    この事態にドルムはどうする?


    dice1d3=2 (2)

    1.翌日、地球寮に突撃しに行く

    2.ミオリネを探し事情を聞く

    3.一気に高ストレスがかかり気絶する

  • 115進行のキューピッド23/07/25(火) 22:52:47

    ミオリネを探し事情を聞こうとするドルム


    dice1d3=3 (3)

    1.噛み合わずなかなか会えず2週間近くが過ぎた…

    2.会えたけど……

    3.会えなかったので、ニカに聞いてみることに

  • 116進行のキューピッド23/07/25(火) 23:05:31

    結局学校中を探し回ってもミオリネに会うことは叶わなかった

    ニカ「ミオリネなら調べ物があるとかでしばらく留守にするって」

    なにか手掛かりがあると思いニカに電話をかけても、帰ってきたのは不在の連絡だけだった

    ドルム「その、株式会社ガンダムだっけ?…具体的には何やるの?」

    ニカ「それを今決めてる途中。まぁ立ち上げ段階だからね。必要な資料を集めて、ロゴを作って、みんな大忙しだよ」

    ドルム「……ガンダム、造るの?」

    ニカ「どうだろね。……その可能性も高いと思う」

    ドルム「…………」

    ニカ「心配しないで、多少乱雑でもミオリネは多分、最悪な方法には手を伸ばさないと思うし、そうなったら私たちが止めればいいから」

  • 117進行のキューピッド23/07/25(火) 23:05:49

    ドルム「……僕は、ニカにはガンダムに関わって欲しくないって思ってる」

    ニカ「………」

    ドルム「21年前にガンダムは駆逐された。それは危険なものだから。なのに今更それを掘り起こしてわざわざ会社にするなんて…そんな見え見えの地雷にニカを巻き込みたくない」

    ニカ「……でも、私もう社員だからさ。一度関わったら責任はちゃんと果たさなくちゃ」

    ドルム「……もし危険なことがあったら、何が何でも止めるから」

    ニカ「それじゃぁ私はそれを信じてできるとこまで頑張るよ」

    ドルム「…頑張りすぎには気をつけてね」

  • 118二次元好きの匿名さん23/07/25(火) 23:13:03

    でもガンダムと関係なしにニカ自身が地雷みたいなもんだからな

オススメ

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