- 1121/12/15(水) 20:22:02
ライスとお兄さまの新婚もののSSです。
ライスシャワー
トレセン学園卒業後に電撃結婚したウマ娘。お兄さまのことが大好きで、支えになるため毎日頑張ってる。お兄さまとハグするのが日課。
お兄さま
トレセン学園のトレーナーさん。顔がいい。過去もライスへの想いも重い男。お婿さん。ライスに甘えたいけど迷惑かなと思っている。
過去作
[ウマ娘SS]汚泥に沈む貴方に青いバラを【閲覧注意】|あにまん掲示板注意事項トレ♂×ウマです。物語の展開上人が死にます。まだ書いている最中ですが「あっ重いなコレ」ってなるぐらい重いです(一応ハッピーエンドです)bbs.animanch.com【ウマ娘SS】【トレ♂×ウマ】新しい呼び方|あにまん掲示板ライスとお兄さまの新婚もののSSです。https://bbs.animanch.com/board/141219/時系列は↑のSSの数日後の話です。登場人物ライスシャワートレセン学園卒業後に電撃結婚し…bbs.animanch.com【ウマ娘SS】【トレ♂×ウマ】運命の2人と見守る1人|あにまん掲示板ライスとお兄さまの新婚もののSSですが、今回のSSはトレーナー同士の会話です。https://bbs.animanch.com/board/141219/↑のSSの続きです。登場人物マヤトレトレセン学…bbs.animanch.com - 2121/12/15(水) 20:23:17
「37.7度…今日は無理かな…」
体温計の表示を見て弱々しく呟くお兄さま。可哀想なことに風邪をひいてしまった。
昨日の夜、お兄さまがお仕事を終わらせて家に帰ろうとしたとき、突然大雨が降ってきてずぶ濡れになってしまった。ライスも急いで傘を届けに出かけたけどそのときにはもう遅くずぶ濡れになっていたので手を引いて家まで連れて行ったんだけど…それがいけなかった。
濡れた体に冷たい夜の風を浴びて弱っているところを無理やり走らせてしまったせいで体力を消耗させてしまい、家に着いたときには立てなくなってしまうほど疲れ果てていた。温かいシャワーを浴びせて、そのあとにしょうが湯を飲ませて、お布団の中で休ませて、晩ごはんは身体を温めるものを作ったけれど、結局風邪をひかせてしまった。 - 3121/12/15(水) 20:24:02
「ごめんなさい…お兄さま…ライスのせいで…」
傘も持たせずに出かけさせただけでなく、体調を崩しかけているのに急がせたせいで大切な人を苦しませた罪悪感に押し潰されかけたそのとき、ほっぺたにお兄さまの手が伸びる。
「…ライスは…何も悪くないよ…むしろ…あの状況で…ベストな行動をしたよ…」
「え…?」
「どっちみち…あの状況だと風邪をひいていた…急いで家に連れ帰って…体を温めてくれたおかげで…酷くならずにすんだ…」
「っ…お兄さまぁ……」
しんどいはずなのに、微笑んで慰めてくれるお兄さま。その優しさに、ちょっとだけ泣いてしまった。 - 4121/12/15(水) 20:29:38
泣き止んだあと、お兄さまが元気になれるようにお粥を作った。栄養がたっぷりの卵と風邪に効くネギを少し、そして風邪でお口の中が変な味になってもすっきりと食べられるように刻んだ梅干しを混ぜた特製たまご粥。それをお椀によそってお兄さまのところへ持っていくとお兄さまが苦笑いしながら電話をしていた。
「担当の娘に説教されちゃった」と困った風に笑うお兄さま。担当の娘がお説教するのはきっとお兄さまのことが大切に思っているから心配しているのだろう。きっと心配しているのはあの娘とライスだけじゃなく、マヤノちゃんのトレーナーさんも、カレンちゃんのトレーナーさんも、お兄さまと関わった色んな人も心配しているはず。
だから、たくさんの人の心配を無くすためにも、なによりも大好きな人が元気になってほしいから、1日でも早く元気になれるように、今日一日お兄さまをお世話することにした。 - 5121/12/15(水) 20:33:53
「あ、あーんっ」
お椀の中のお粥をひとすくいして、そう言いながらお兄さまの口元に差し出すと、お兄さまはしばらくスプーンをぼんやり見つめたあとにぱくりとお粥を食べた。なんだかご飯を食べる小鳥さんみたいで可愛いかも。
気がつくとお椀の中のお粥が無くなっていた。梅干しの味付けが良かったのかな、このお粥を風邪をひいたときの定番にしようかなと考えているとお兄さまの顔が物凄く真っ赤になっているのに気がついた。 - 6121/12/15(水) 20:36:23
「お兄さまっ!?顔が真っ赤だよ!?ど、どうしよう…インフルエンザかな…お米とかまだあるけど、酷くなったらどうしよう…いつでも救急車を呼べるようにしなきゃ…」
「ラ、ライス…違うんだ…ただ単に予想の10倍恥ずかしかっただけで…インフルだったらもう予防接種は受けてるし…」
━━わたわたと慌てるふたり、お互いに落ち着くのはもう一度熱を測って先程測ったときと比べて変動が無かったことがわかってからだった。
つづく? - 7二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 20:44:26
うおおおおお!!!!!!新作ありがとう!!!!待ってた!!!!!!
- 8121/12/15(水) 20:49:09
待ってくれてありがとうございます。続きのストックはまだないですけど、とりあえず飲みながら考えます。
- 9二次元好きの匿名さん21/12/15(水) 21:13:15
一生イチャイチャしろ…
- 10121/12/15(水) 22:27:45
この2人はずっとイチャつきますよ…
- 11121/12/16(木) 10:09:11
ちょっと一悶着はあったけど、落ち着いたあとにお兄さまを近くの病院まで一緒に行ってお薬を貰って、お昼ごはんのお粥を食べさせて、お薬を飲ませた。
「今からライスお買い物に行くけど、お兄さまは何か食べたいものある?」
「ライスの作ってくれる料理ならなんでも美味しいからどんなものでもいいよ」
「うーん、でもたまご粥だけじゃ飽きちゃうし…ちょっと歯応えのあるものがいいかな?」
「うどんとかどうかな?」
「おうどんっ!具はなににしようかな…お揚げはちょっと重いかな?」
「それだったらとろろととろろ昆布のっけてみる?」
「じゃあそれにするね!お兄さまはちゃんと休んでてね?」
「わかってるよ」
お兄さまはちょっと目を離すと古新聞をまとめていたり、タンスのホコリ落としをしてたりとお部屋のお片付けをする癖があるのでちょっと心配だけど素直なこの人であればちゃんと言いつけを守ってくれるはず。そう信じていつものスーパーへ向かった。 - 12121/12/16(木) 10:35:27
おうどん。とろろ芋。とろろ昆布。めんつゆ。最初、買い物かごの中身がそれだけだったはずなのに、ビタミンも取った方がいいかなと思ってゼリー飲料を、お腹の調子も気になったからヨーグルトを、熱で苦しまないように冷えピタを、体温計の電池がちょっと不安なので電池を…。といった感じでどんどん中身が増えてしまった。
…ちょっとお財布の中身が心配になってきちゃった、でもお兄さまには元気になってほしいから…でもこれ以上お買い物を続けるとお金が無くなっちゃいそうだから最後にひとつだけ何かを…。
そうだ、果物だ。お見舞いといえば果物だ。熱でお口の中の水分が奪われていても食べやすいようにみずみずしい果物にしよう。そう思って果物コーナーを見て回っていたら、思いがけない幸運を見つけた。 - 13二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 14:43:18
ライスはあれもこれも買っちゃうタイプよね
- 14121/12/16(木) 19:13:49
「ただいまー…」
玄関のドアを開けてひと声かける。返事は無く、何かがごそごそ動いている気配も無かった。
寝室を覗くとお兄さまがベッドの上でお布団を被りながら丸くなって眠っていて、ちゃんと言いつけを守ってくれたことに安堵する。
起こさないようにそっと荷物を置き、近づいておでこを触れる。朝より熱が下がっている。お薬が効いてるみたいだ。
「……ライス?」
「あっ…お兄さまごめんね…起こしちゃった」
「ううん…気にしないでね」
「具合はどう?ちょっと楽になった?」
「まだちょっとわかんないかな…」
「そっか…ライス、お買い物したものを片付けたらスポーツドリンク持ってくるから待っててね」 - 15121/12/16(木) 19:14:39
キャラストを見ると練習のときに色んなもの持ってきていましたからね。
- 16121/12/16(木) 19:16:06
そう伝えてぱんぱんまで詰め込んだエコバッグを持ち上げてキッチンまで行こうとしたそのとき、服の裾を軽く引っ張られる感覚に気づく。振り向くとお兄さまの手がそこに伸びていた。
お兄さまはライスの視線に気づいて、バツが悪そうな顔をして手を引っ込めた。
「どうしたの…?」
「…………」
「具合が悪いの…?」
「………寂しかった…」
「えっ…?」
「一人でいると、何も聞こえなくて、何も気配がなくて、…また独りになった気持ちになって…寂しいんだ…」
「……!」
『また独り』。その言葉に多くの苦しさや悲しさが詰まっているのが伝わる。お兄さまは独りで風邪をひいたときにどんな気持ちでいたのだろう。お兄さまのまだ熱いほっぺたを撫でてあげると目の端からぽろりと涙がひとしずく流れる。
「ライスは凄いね。毎日こんな気分を味わっているのに…。俺なんて家にいる時間の方が短くて…ずっと構ってあげられなくて…寂しいのに…我慢させて…ごめんね」
悲しそうな表情と声色でぽつりぽつりと弱音をこぼすお兄さまの横に寝そべってそっと頭を撫でる。
「あのね、お兄さま。ライスはたしかに寂しいけど、お兄さまがちゃんと帰ってくれるって信じてるから我慢できるんだよ」
「ライス……」
「ライスは絶対お兄さまを独りにさせないって約束したから…絶対お兄さまのところへ帰るから…それを信じてほしいな…」
「うん…信じてあげられなくてごめんね…」
「いいよ。…少しずつでもいいから、ライスとか色んな人のことを信じてね?」
「うん」 - 17121/12/16(木) 19:16:49
「しかし凄い荷物だなあ、何買ってきたの?」
「えーと、晩ごはんの材料に、ゼリーに、ヨーグルトに…」
「ゼリーだけでも凄い量なんだけど!?」
「うん…いろんな種類があって迷ったから…買っちゃった」
「日持ちするから余ったら非常食にしよう」
「そうだね!あっ、あとね、メロンが半額だから買ってきたの!食べ頃だから今日のデザートに切ってあげるね!」
「メロン!?嬉しい…!俺、メロンが大好物なんだよ!」
「そうなの!?よかったあ…今日のデザート楽しみだね!」
「なんか俺、『メロン』の単語だけで元気が出てきた」
「ふふっ!一玉買ってきたからたくさん食べてね?」
「うん!」
おしまい - 18二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 19:27:34
良い…
- 19121/12/16(木) 20:48:41
ありがとうございます。
- 20二次元好きの匿名さん21/12/16(木) 22:42:24
お兄さまもライスも可愛い
- 21二次元好きの匿名さん21/12/17(金) 07:44:32
ストーリーを見るとライスが可愛いのは当然ですが、時々お兄さまも可愛くなりますよね。ライスの作った料理を食べたがったり、ウララちゃんとノリを合わせたり。