- 1二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:11:16気にしなくていいよ内海|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/img/1750494/749ほら全部あの宇宙人が悪かったんだからさグリッドマンや蓬たちが来てくれてなんとかなったしむしろ宇宙人の仕業で良かったよ。俺…bbs.animanch.com
このスレは上記のスレで投下させてもらったSSのリメイクの続きになります
(クロス注意) グリッドマンVSメフィラス星人|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1788995/このスレは上記のスレで投下させてもらったSSのリメイクになります捏造設定モリモリ・これメフィラスというよりトレギアのやり口…bbs.animanch.com(クロス注意) グリッドマンVSメフィラス星人 Part2|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1788995/このスレは上記のスレで投下させてもらったSSのリメイクの続きになりますhttps://bbs.animanch.com/b…bbs.animanch.com【クロス注意】 グリッドマンVSメフィラス星人Part3|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1788995/このスレは上記のスレで投下させてもらったSSのリメイクの続きになりますhttps://bbs.animanch.com/b…bbs.animanch.comこれまでのスレこちらになります
ノベライズ版含めての捏造設定モリモリ・メフィラス…?・流石にPart4は…
等々の問題は引き続きありますが、またお付き合いいただければ幸いです
- 2二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:11:26
このレスは削除されています
- 3二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:12:55
先程はスレ立て失敗して立て直ししました
お騒がせしてもうしわけありません - 4二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:17:36
遠くから自分を待つ声が聞こえる。
紅い機竜の轟きを黒いアカネはそう捉えていた。
手には既に青いダイナソルジャーを備えている。見つけるのは簡単だった、なにせダイナソルジャー自身が黒いアカネを呼んでいたのだ、それに従えばいいだけの事。
問題はその後である。本来ならば黒いアカネはこのツツジ台のどこにでも好きに転移する事できる。
それは曲りなりもこの世界の神として持ち得る機能であるが、あのデイワルダスが出現してからその機能が上手く働かない。
きわめて強力な空間湾曲が転移を阻害していることを黒いアカネは感覚として理解していた。
だからこそ、走る。
生まれて初めて、全力で誰かの為に。
「デイワルダスが出てるって事は、私の責任じゃん」
アレを造ったのは紛れもなく黒いアカネだ、ならばダイナレックスとグリッドナイトの苦境の責任は彼女自身にある。
ならば己の責務を果たせねばならない、青いダイナソルジャーを届け友人達をたすけるのだ。
「動きにくい……!」
中途半端に気崩していたパーカーを乱暴に脱ぎ捨てる。
ただそれだけの筈なのに体だけでなく心もどこかで軽くなった気がする。
二つの要素が更なる加速を齎し、黒いアカネは飛びかかる瓦礫の破片を軽々と躱しながら前へと進むのだ。
『上!』
唐突に聞こえる声に誘われ上を見上げるとひときわ大きな瓦礫が降り注ごうとしていた。
弾かれるように、或いは押し出されるように黒いアカネは横に跳ぶと、そのすぐ脇を瓦礫が掠めて行く。
『危なかったね』
声の主、新条アカネの幻影が黒いアカネに並走する。
尤も、新条アカネは走っているわけでは無く宙を飛んでいる状態だ。本来の彼女は別宇宙(リアルワールド)にいるはずなので飛んでいるのですらイメージでしかないが。
そう言う事を諸々すっ飛ばし、黒いアカネは目を白黒させる。
「なに、その恰好」
光の茨の王冠、純白のブーツ、大きなリボンを思わせる二つの腰布、そして軍服を思わせながらも胸元の大きく開いた煽情的な衣装。
かつてユニバース事件の時、アレクシス・ケリヴをドミネーションした彼女の決意と返報の証。
新条アカネ【ニューオーダー】であった。
『似合ってるでしょ?』 - 5二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:20:18
自慢気に新条アカネはその無駄に大きな胸を張って答える。
対する黒いアカネは言葉に詰まった。
正直を言えば、似合っている。新条アカネとは色々感性が違うのだが服装の趣味はどうやら似通っているらしい。
ただ、それを言うのも癪なので全く違う言葉をぶつける。
「全然」
『えぇー絶対似合ってるってば。ほら右』
「似合ってないから。それに何その胸、そんなに大きく広げて、前々から疑問だったけどなんかやたらと胸強調したがるよね? パーカーもあの不自然な着崩してるのその為だよね?」
『そっちの方が可愛いじゃん。今度は左』
「見せる相手もいないくせに」
『君だって同じじゃん!』
「私は好き好んであんな格好してたわけじゃないから!」
売り言葉に買い言葉。
ナビゲートとそれに従っての回避行動を取りながら二人のアカネはだんだんとヒートアップしてゆく。
「あれでしょ、リアルワールドの本体のスタイルに自信がないからコンピュータワールドで盛に盛った体にしてそれ自慢してるだけでしょ」
『そういう事ストレートに言う!?』
「言うよ! 誰かさんと同じで性格悪いから!」
『うぐぅ』
訂正しよう、ヒートアップしていたのは黒いアカネだけだ。
新条アカネの方と言えば、罵倒を受けて反論はすれど罵りはしていない。
何をやっているんだと苛々してくる。もっと言ってやりたい事沢山あった。
怖くて憎くていなくなればいいと思ったのは数えきれない。
創るだけ創って放置して、人間でいうならネグレクトの毒親だ、黒いアカネの性格が捻くれて歪んでジメジメした蛞蝓みたいな性格にならなかったのは奇跡みたいなものだろう。
……一時期そんな感じだったのは横に置いておいて。 - 6二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:22:10
出会ったのならば面と向かってあらん限りの恨み言をぶつけるのだろうとそればかりを予想してたのに、それが全然出てこない。
だって友達の為に必死になるその姿を知ってしまったから。
狡くて弱くて自分勝手で短気で短慮で暴力的。そういう部分は多分だけど変わってない、一足飛びに変われるほど人間は便利な存在じゃない。
だけど、六花との友情を抱て、その為に戦おうとするのを観てしまったらもう憎み切れないじゃないか。
「あぁ、もうっ!!」
代わりに噴き出す自分への悪態を吐いて、黒いアカネは不本意な本心を絞り出す。
「私、アカネともっと早くこうしていればよかった!!」
無理な可能性だ。あの頃の新条アカネはアレクシス・ケリヴの共犯者でどうしようもない悪神だった。
黒いアカネの恐怖は紛れもなく正しく、こんな風に話をするなどできるはずがない。
けれども、今こうして色々な複雑な感情と関係を抱えながら話が出来ている。
あの頃からこうしていたかったと優しい後悔が溢れてきてしまう。
そうすれば、どんな関係になれていただろう親子の様にも姉妹のようにも主と僕の様にもなれたのかもしれない。
与えられた役目に邁進し自分の心を得て新条アカネの理解者へと至れたナイトが……弟がこんなにも羨ましいと思える日が来るとは想像もしていなかった。
和解と呼ぶには色々なモノが足りてない、互いの溝を埋めるのはもっと沢山の時間がお互いに必要だろう。
二度と取り戻せず、これからも得ることのできない時間。
だからこそ、強く跳ぶ。
互いに力を合わせて、足りない時間を強く重なる事で補うように。 - 7二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:27:13
やがて二人はデッドラインへと到達する。
デイワルダスとダイナレックス・グリッドナイト・サウンドラスが死闘を繰り広げるそのギリギリのライン。
ここから先は破壊と死の暴風域だ、怪獣である黒いアカネと言えど踏み込めば細切れに消し飛びかねない。
しかして、それは希望が潰える事と同義ではなかった。
「インスタンス・リレイション!!」
黒いアカネは己と青いダイナソルジャーを繋げる。
繋がり伝えるのは南夢芽の記憶と想い。
「そして、こう!!」
新条アカネは青いダイナソルジャーに触れる。
その中に与えられた南夢芽の記憶を形にするために。
そうして、ダイナソルジャーの背にダイナウイングを模したる青い翼が生まれるのだ。
儚い翼だ、当然だろう黒いアカネは南夢芽の事を良くは知らない。
根本的に他者と解り合うためには時間が必要なのだ、たった一日で測れるほど人間と言う存在は小さくはない。
だがその一日で十分だった、すくなくとも夢芽の蓬に対する気持ちをなんとなしに知ることは出来たからだ。
ここから先、あの二人はどんな人生を歩むのだろう。どのような人生であろうと二人で一緒に最期まで歩いていくのは間違いない。
ならこの高々数百mの距離が何だと言うのだ、彼らの道行きからしたら無いも同然じゃないか。
これはどんなに小さくとも蓬と夢芽の一つとなった存在だ、ならば必ず飛んで希望を届ける事が出来る。
その名をダイナソルジャーウイングコンバイン・ライジングブルー
二人のアカネの手の中で生まれた大いなる合体怪獣であった。
「『ダイナソルジャー! 頼んだよ!!』」
力一杯腕を振り切って、ダイナソルジャーWC・RBを空に放つ。
彼女たちの期待に応えるように、それは蒼炎を纏って真直ぐにダイナレックスを目指してゆく。
巻き起こる破壊も降り注ぐ暴虐もその全てをあっという間にすり抜けて。
瞬く蒼炎がダイナレックスに宿った時、麻中蓬の高らかなる勝利への宣誓が果たされる。 - 8二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:28:13
≪アクセスモード!! ダイナソルジャー!!≫
小さな蒼炎が爆発を伴ったように膨れ上がり、それは竜人の形を取る。
夜空の黒を更に焦がすような熱と光を伴って、巨大化を果たしたダイナソルジャーRBは空に飛び上がった。
ダイナウィングRB見当たらない、おそらくダイナソルジャーRBを届けた時点で力尽きたのだろう。
だがその欠片は未だに残っているようにダイナソルジャーRBは華麗に空中で軌道を変え、デイワルダス・ミラージュに飛びかかる。
≪いっけぇぇぇ!!≫
雄たけびと共に放たれた蹴りがデイワルダス・ミラージュを捉え、その首の一つを蹴り飛ばした。
空間を蹴るという奇妙なれど確かな感覚に蓬は歓声を上げる。
≪やった……!≫
だがそこは通常のダイナソルジャーとは異なる全てが透明なインナースペース。
そこで蓬の脳裏に接続される幾つもの色のケーブルで繋がった怪獣の内部のようなイメージが流し込まれ、思わず顔を顰める。
それで怯むことは無いが、以前にナイトから警告されたとおりにこのダイナソルジャーRBの力は蓬に大きな負担を与えるのは明白だ。
≪蓬、大丈夫か!?≫
≪大丈夫です!≫
ガウマに対し、まだまだ戦えることを示す。だが長くはもつまい。
一人では無理だ、勝てない。
ならば、取る手段は一つであった。
≪よし、だったら!≫
≪今こそ全員の力、合わせる時だ!≫
ガウマとグリッドナイトの号令が下される。
それと同時に、ゴルドバーンが雄たけびを上げダイナレックスは分離して空へと向かう。
≪ちせ、ダイナソルジャー久々だけど大丈夫!?≫
≪任せてくださいよ先輩、この中で一番ダイナソルジャーに乗ってるの私なんすから!!≫
在り得ないやり取りだ。
ダイナソルジャーのメインパイロットは蓬で、ちせは一回乗って失敗したぐらいしかない。
だが今は、ちせの自信に満ちた声のとおり彼女は完璧にダイナソルジャーを操っている。
それは彼ら自身も気づかぬ内に宿っていた可能性の欠片。
覚えておらずとも消えはしない過去の残滓。
その過去を今ここに再現する!! - 9二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:28:51
ゴルドバーンの光を浴びてグリッドナイトに出力調整が行われる。
ダイナウィングは胸部装甲に、ダイナストライカーは両腕に、ダイナダイバーは両足に。
ゴルドバーンの黄金はさらなる防壁となって重なってゆく。
そしてそこに力強き-strong-真紅と奇跡-miracle-の蒼が双竜砲として組み込まれる。
紫光から蒼き姿へと変わったグリッドナイトが金色の王冠を戴くとき夢幻のクロニクルから竜王が帰還するのだ!
≪超絶合体竜王!! カイゼルグリッドナイトオーバースペックモード!!≫
6つの声が多重層の様に轟き響く。
大地を揺るがし雄々しく降り立つその姿は見るものすべてを圧倒する。
デイワルダス・ミラージュもその威を感じ取ったのか、複数の視線を一斉に向けて歪んだ空間を叩きつけてきた。
今までであれば成すすべなく叩きのめされていたであろう力を、しかしてカイゼルグリッドナイトOSは悠然と受け止める。
固く重い拳を振り上げ力一杯殴りつければ、デイワルダス・ミラージュが吹き飛ばされてゆく。
ダイナソルジャーRBの世界を超え打ち砕く力が合体を通じて隅々まで行き渡っている証拠だ。
≪皆さん、気を付けてください! その力は負荷か強すぎます、おそらく戦える時間は180秒が限界です!≫
≪いや……180秒もいらねぇよ≫
二代目の警告にガウマは不敵に笑う。
デイワルダス・ミラージュは恐るべき大怪獣だ、しかし本当の敵の前座にしかすぎない。
そんな相手に180秒も時間をかけて力を使い果たすなどもってのほかだ。
なにより、今のカイゼルグリッドナイトOSならば負ける気が一切しない。
≪―――――!!≫
デイワルダス・ミラージュが吼える。
ただの脅しではない、ただでさえ多い首の中から一際大きな首が生えてくる。
≪これは……!≫
ヴィジョンにしかすぎにとは言え体の構造を作り替え、デイワルダス・ミラージュはまるでカイゼルグリッドナイトOSに対抗するようにまた違う怪獣へと変貌を遂げる。
嘗ては大衆の身勝手な情動を叶えるべく凍り付いた可能性世界を作り上げた存在・ギュオバイアンへと。
二つの可能性世界を一つに纏めたような怪獣はまさに混沌そのものだ。
だが、ガウマはそのあり様を否定する。 - 10二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:29:34
≪いくら数を増やそうともなぁ、心も意思も一つにならなきゃそんなのは烏合の衆にしか過ぎねぇんだよ!≫
この怪獣の心とはなんだ?
所詮が二つの悪意が宿ったただそれだけの存在にしか過ぎない。
黒いアカネを利用しつくし使い捨てにしたアレクシス・ケリヴが起動させた世界終焉プログラムと、響裕太を嘲笑い闇に堕とさんとするメフィラス星人の世界を隔てる力。
確かにとてつもなく強大で恐ろしい存在だ。
だが今ここにある竜王は決してそんなものに負けたりはしない。
なぜならば、小さくても数多くの力と心が宿っているのだから。
≪俺たち「10人」の力を見せてやる!!≫
ガウマ隊5人とゴルドバーン、グリッドナイトと二代目。
そして彼らを見守る二人の少女。
カイゼルグリッドナイトOSを支える全員の意思を結集し、最大の力を解き放つ!
≪ツイン・ダイナミック・スパイラルファイヤーーーー!!≫
ゴルドバーンが変形した黄金の鎧と王冠から光が放たれ、そこに紅と蒼のツインダイナミックキャノンのエネルギーが絡み合う。
上空から放たれたサウンドラスの砲撃も加わり、かつてない威力を奮うのだ。
対するデイワルダス・ミラージュあるいはギュオバイアン・ミラージュも全ての視線を向け恐怖の轟きを上げる。
世界を揺るがしそのまま打ち砕いてしまいそうな程の湾曲空間で大いなる螺旋を受け止めようと言うのだ。
ぶつかり合う力と力、されど拮抗するのは一瞬だけ。
デイワルダスにしろギュオバイアンにしろ、それはすでに敗北した怪獣。
新生しようと正しきものを阻まんとする邪悪である限り、とっくに賞味期限は過ぎているのだ。
なればこそ、常に前に進もうとする者達に敗北するのは必定であった。
≪――――!!≫
ミラージュの中から、無機質な無念の声が上がる。
それはかつての戦いの中で敗北した誰かの念の再現なのだろう。
聞き様によって邪悪とも空虚とも取れるそれは爆炎に呑まれ儚く消える。
代わりに現れたのは、空に浮かぶ虚空の門。
世界を繋ぐパサルートであった。 - 11二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:31:21
≪ついに……!≫
≪はい、あのパサルートは裕太さん達の宇宙に通じる道です!≫
グリッドナイトと二代目の確信はガウマ達にも喜びとなって伝わる。
大変な道のりであったが、ついぞ目的の門が開かれたのだ。
むしろこれからが本番であるが、故にこそただ見ていることしかできなかった今までとは違う。
≪って……あれ!?≫
≪おい、蓬どうし…っておおおおお!?≫
蓬が戸惑い、ガウマが驚くのも無理はない。
ダイナソルジャーRBがゆっくりとカイゼルグリッドナイトから分離したかと思うと、役目は終わったと言わんばかりに夜空に溶けるように消えてゆく。
残された蓬は宙に投げ出される形になるのだからたまったものではない。
すかさず、カイゼルグリッドナイトは分離し、グリッドナイト・ゴルドバーン・ダイナレックスに変形する。
重力に従って落ちる蓬を受け止めたのは、その内のダイナレックスであった。
「うわっ」
叩きつけられる感覚はない、なにか優しく受け止められたようで蓬はその正体を確かめようとする。
「お帰り、蓬」
労わると同時に嬉しそうな声は誰かと問うまでもない。
蓬を受け止め抱きかかえは夢芽であった。
どうもうまい具合にダイナウィングの内部に落ちてきたらしい、その二重の幸運に感謝しながら蓬は苦笑してしまう。
「またこのパターン?」
ユニバース事件での再会を思い出すシチュエーションで、こういうのって逆じゃないかなぁと再び口にする。
二人は笑いあうと、ふと外に視線を移す。
廃墟と化した街でこちらに向かって大きく手を振る一人の少女。
この世界で出会った、新しい友達。
「アカネさん!!」
夢芽は彼女に確実届くような大きな声を上げる。
「本当に、ありがとうございました!!」
「俺たち、必ず裕太達を助けます!!」
蓬もそれに続く。
残念ながらきちんとした別れを告げる時間は残されていない。
今この瞬間にも、別世界の友達は危機に晒されているのだ、一秒たりとも猶予は無かった。 - 12二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:32:31
ダイナレックスとゴルドバーンはパサルートを目指す。
グリッドナイトもサウンドラスの艦橋に乗って空に昇る。
「世話んなったな!!」
「アカネさーん! お元気でー!!」
「いってくる!!」
ガウマもちせも暦も同じだ。
おそらくもう二度と会えないだろう。
思い出の中で存在する友達との最後を湿っぽくなんか嫌だから、最高に明るくする。
そうだとも、見送るのも見送られるのだって笑顔が良いにきまってるのだから。
「アノシラス!!」
今度は黒いアカネの声が届いた。
二代目はまさか自分にと予想はしていなかったので少し驚く。
「ナイト君の事、これからもよろしくね!!」
グリッドナイトが目を丸くした様子を見せる。
思わず互いに視線を合わせれば、グリッドナイトは何を思ったのか顔を背けるのだ
それがどうにも面白くて二代目は「いひひひひ」と笑ってしまう。
「はーい! お姉さん!ナイト君の事任せてくださーい!」
何を任せるのかと言うのまでは敢えて言わないし聞かない。
どこか居心地の悪そうなグリッドナイトに黒いアカネは笑みを向け、グリッドナイトは何処か憮然としながらも優しい眼差しを返してきた。
やがて彼らの存在がパサルートへとたどり着き、世界を結ぶ虚空へと飛び込んでゆく。
「夢芽さん」
最後に黒いアカネは一番深くかかわった友達の名前を呟く。
きっと届いているはずだと信じて。伝えられた気持ちに応えたくて。
「ありがとう。私も、夢芽さん達に会えて本当に良かった」
それと同時に、天空の門は閉じられ満天の星空が広がった。 - 13二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:33:40
『行っちゃったね』
黒いアカネの隣に新条アカネが並ぶ。
創造主に対して、ちょっと胡乱な目を向けて黒いアカネはこう言い放つ。
「まだいたの?」
『なに、いちゃいけないの?』
「そいういう訳でもないけどさ」
いずれにしろ麻中蓬もダイナソルジャーRBもいなくなった今、新条アカネがこの世界に干渉できる時間は残りわずかだ。
さっさと帰れと言うまでもなく、消えてしまう事だろう。
その短い時をどんな事に費やせばよいだろうか。
『もう出来る事もないしね』
操るべき怪獣もない以上、新条アカネがツツジ台で力を貸すことは出来ない。
それ以上に、約束を破る事にもなる、それは彼女に与えられた罰を無に帰すあってはならない事だ。
だが黒いアカネはそんな新条アカネの諦観をあっさりと否定して見せた。
「あるよ」
『え?』
「信じる事」
全てを賭して送り出した彼ら。
きっと間に合い、六花達を助けてくれる。
それを信じる。何にもならないけど、きっと最大限のエールだ。
『そうだね』
新条アカネは微笑む。
残された時間を互いの理解に使うよりも、友達の為に使いたい。それだけは二人に共通した願いだった。
「ま、こっちの事は気にしないでしょ」
黒いアカネは新条アカネを見つめながら言葉を紡ぐ。
「私はここでしぶとく生きてやるからさ」
二人のアカネにとって最低で最高の別れ。
お前の事なんか知ったこっちゃないという思いと、これからも大丈夫という思いを込めて。
互いに色々なモノが混ざり合った笑顔を向けあい……そうしてあっさりと時間切れはやってきた。
幻は消え失せ瓦礫の山で一人残される黒いアカネ。 - 14二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:38:13
- 15二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:40:09
そしてアカネの見送る先、パサルートをダイナレックスとゴルドバーン、サウンドラスは全力で疾駆する。
宇宙を結ぶと言えどこの虚空の道はさほどの距離を感じさせない。
これが物理的距離によるものなのか概念的距離に寄るものなのかはわからないが、兎に角としてもうじきツツジ台に到達するのは間違いなかった。
そんな中、サウンドラスから意外な通信が届く。
≪皆さん、私とナイト君は一時別ルートを取ります≫
≪どうしたんだ、なんか不具合か?≫
先の戦いの激しさを思えばサウンドラスとグリッドナイトの消耗は無視できるものでもあるまい。
連戦に耐えられない程であるならば一時離脱も止む得ないだろう。
≪いえ、私たちは敵に備えたいと思います≫
ガウマの杞憂を二代目はそう言って否定する。
≪備える?≫
≪はい、なにせ敵はメフィラス星人、どのような手段を用いてくるかわかりません≫
つまり、グリッドナイト同盟は後詰めに回るという事だろう。
同時にツツジ台に突入し裕太たちを救出しようとしても逆に罠にかかって一網打尽という状況になっては目も当てられない。
だからこそ、グリッドナイト同盟は別ルートからツツジ台に入り何が起こってもいいように備えようと言うのだ。
≪解りました、俺たちは先行して裕太達を助けます≫
≪二代目とナイトさんもお気をつけて≫
蓬と夢芽はその提案を受け入れる。
常に冷静な視点と思考を持つ二代目の提案に異を唱えるものなどいない。
≪ゴルドバーンも二代目さんたちを助けてあげて≫
ちせの願いを受けて、ゴルドバーンがまかせてと言わんばかりに吠える。
そうしてグリッドナイトを乗せたサウンドラスはゴルバーンを伴ってパサルートを外れてゆく。
≪大丈夫なんですかね≫
≪なんだよ暦、心配してんのか?≫
≪いえ、あの言い方、メフィラス星人は相当に厄介な奴なんじゃないかって≫
これまでの戦いや事件が偶発的に起こっていたこともあるが、あそこまで慎重に事を進めようとする二代目は観た事がない。
それを考えれば暦の不安も無理らしからぬことだ。
≪おいおいおいおい、まさかビビってんじゃねぇだろうな!≫ - 16二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:43:25
ガウマは揶揄う様に暦に迫る。
無論、ガウマとてメフィラスの脅威を感じていないわけでは無い。暦が言っていることは正しい事は解っている。
だがそれ以上に、仲間がこんな時にどんな返事をするか知っているから問い詰めるようなことも詰る事もしない。
≪まさか≫
苦笑交じりに暦は応える。
≪そんなわけ、ないじゃないですか!≫
ガウマはダイナレックスの中でニヤリと笑う。
期待していた事が期待していた通りに返ってくるのは心地が良いと言わんばかりに。
≪よぉし!!向こう側にでるぞ、お前ら全員備えろ!!≫
≪はい!!≫
虚空の道から風の荒ぶる夜へと景色が切り替わる。
眼下にあるのは荒れ果てた街と、漆黒の悪魔。
そして悪魔の雷に貫かれもだえ苦しむ赤い戦士。
凄惨なる現実を目にしたとき、ガウマ隊の怒りは一気に頂点に達する。
≪必燃ォ!!≫
蓬と夢芽の激昂。
≪大ィ火炎ッッ!!≫
暦の義憤。
≪レックスゥゥゥ……≫
ちせの憤怒。
≪ロアアアアアア!!!!≫
ガウマの激怒。
その全てを一つに束ね、ダイナレックスは極大の炎を放つ!
宇宙の掟を乱す者を人の心を試す者を許さぬ炎は夜を焦がしながら降り注ぎ。
そして、ツツジ台に紅蓮の大華が咲いた。 - 17二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:45:21
これにてSIDE:DYNAZENON終了です
ようやく次からメフィラスフルボッコ……基CROSS:GRIDMAN-UNIVERSEになります
ありがとうございました - 18二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:48:59
おかえり、待ってたよ
- 19二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 03:59:06
新スレ立て、更新ありがとうございます。
- 20二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 05:39:51
思ってたより早い帰還で嬉しいよ!早速新規イラスト使ってるのもありがたい
- 21二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 13:40:37
保守開始
- 22二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 21:06:30
ほしゅ
- 23二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 02:57:26
インスタンス・保守ネーション
- 24二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 14:01:10
保守保守
あぶないあぶない - 25二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 20:01:19
このレスは削除されています
- 26二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 20:01:36
このレスは削除されています
- 27二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 23:47:25
ほ
- 28二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 03:38:30
- 29二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 03:53:49
前スレにもあったけど、メフィラスが来ている時点でマルチバースの侵略者たちが押し寄せてくる可能性もあるんよな…
- 30二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 12:30:48
後追いってガウマさんの後追いしたひめみたいだ…
- 31二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 14:15:33
- 32二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 17:51:32
- 33二次元好きの匿名さん23/08/15(火) 23:31:32
保守〜
- 34二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 07:09:10
超魔光閃保守(メフィラス繋がり)
- 35二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 15:15:18
保守
- 36二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:29:34
ツツジ台が揺れる。
大地に着弾した炎は全てを照らし出す勢いで天に昇る柱となり、封じられた世界を抉じ開ける楔ともなる。
街を焼き尽くすほどの熱量。しかして、それが焼くは邪悪なる侵略者ただ一人のみ。
≪ぐぅおおおおおおお!!?≫
劫火の中で悪魔が悶える。
悪魔より放たれていた稲妻・グリップビームは掻き消え、苦痛の戒めから解かれた響裕太がゆっくりと力尽きるようにビルを背にもんどり討つ。
突然の出来事に、宝多六花と内海将は何が起きたのか理解できない、炎が放たれた元である空を反射的に見上げるだけだ。
そこで二人が観たものは真紅の巨体。
世界を超えて結ばれたもう一つの同盟者達。
「あれは……」
「ダイナレックス……?」
はるか上空から、凄まじい勢いで降下してくる合体強竜。
鋼で形作られ表情など無い筈なのに猛り狂うという言葉を形にすれば、あのような存在になるのだろうと思わせる程の激しい怒りを伴っているのが判る。
≪一時解散!!≫
夜の空にガウマの怒号が轟き響く。
ダイナレックスはその指示に瞬時に応じ、ダイナソルジャー・ダイナウイング・ダイナストライカー・ダイナダイバーの4大マシンへと分離した。
飛行能力を持つダイナウイングが離れた事により、当然の事ながらダイナストライカーとダイナダイバーは頭から垂直に落ちる。
だが両者はそんな事をお構いなしに、メフィラス星人に向かってミサイルと砲撃を浴びせてゆく。
炎の中で更に爆発が炸裂し、メフィラス星人の自由を奪い続ける。
そして、その隙を突いて赤い竜人とその翼が真直ぐにある一点を目指すのだ。
≪裕ぅ太あああ!!≫
≪裕太さぁぁぁん!!≫
ダイナソルジャーウイングコンバインは、救うべき相手の名を叫ぶ。
叫びを聞いた六花と内海の心を揺るがしながら、必死になって手を伸ばすのだ。
二人の願いと、二人の迷い。それを受けて、彼方より呼びかける事が木霊す。
『蓬……!夢芽……!』
≪グリッドマン!?≫
ダイナソルジャーとダイナウイングを通じて届く超人の声。
直接語りかけられるそれに若干驚きながらも、次の瞬間はその声の導きを知るのだ。
『裕太は、ここだ!!』 - 37二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:30:16
グリッドマンが赤い戦士のある一点を指し示す。
そこに、響裕太が居る。
蓬と夢芽の目の色が変わる。怒りのそれから、決意と使命を帯びた色に。
≪≪いっけええええええええ!!≫≫
スラスターが一気に最大出力にまで上がる。
大気ですら裕太への道を阻む障害であり、それを突き破ろうとする勢いで。
瞬く間に戦士の元に迫ると、躊躇いもなくその爪を振り下ろす。
グリッドマンにおけるトライアジャスターの中心、フィクサービームの照射部分。
まるで飴細工のように砕ける装甲と肉体に、更に深く斬り込んでゆく。
≪……掴んだ!!≫
ダイナソルジャーから伝わる確かに人間を掴んだその感覚。
強くされど繊細に、その命を決して手放さないように蓬は力を籠める。
≪夢芽!≫
≪解ってる!!≫
ダイナソルジャーが反転し空へと昇れば、地上に残された空の器は役目を終えたように光の粒子となってほどけてゆくのだ。
メフィラス星人に齎されたものなれど最後に光へと還るのは響裕太とグリッドマンの在り方を示しているようで、その感傷を噛締めながら裕太を保護する為にダイナソルジャーのインナースペース内へと彼を招き入れる。
「裕太!!」
火傷と擦過傷と打撲痕と……凡そ傷ついていない個所など無く、負っていない傷など無いのではないかと思わせる程に痛々しい戦友の躰を蓬は抱き起す。
「裕太、しっかりしろ!!」
『蓬、落ち着け』
「ガウマさん……でも!」
『……呼吸はしっかりしてる。裕太の奴、見かけによらず骨があるぜ』
大将の相棒なんだから当然か、とガウマは笑い飛ばす。
それが蓬達を安心させるセリフなのは解っている、ガウマとて不安であろう。
今すぐにでも病院に連れてゆかねばならない、しかしそれは目の前の脅威を取り除いてからだ。
そうでなければ、ツツジ台にどんな災厄が齎されるか判らず、安全な治療などできようはずもない。
≪ガウマさん!!≫
≪おぅよ!! 行くぜお前ら!!≫
≪≪≪はい!!≫≫≫
そうすればもはや迷う事は無い、分かたれたる4つのマシンが再び一つになる時だ! - 38二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:32:55
ダイナソルジャーとダイナウイングが分離し、ダイナストライカーがエネルギーの道を走る。
ダイナダイバーは引き寄せられるように宙を飛びそれぞれにフォーメーションを組みながら合体形態へと移行してゆく。
四肢を畳んだダイナソルジャー
装甲となるダイナウイング
両腕となるダイナストライカー
両足となるダイナダイバー
互いに強く引き寄せ合い、ダイナレックスとは違うもう一つの大いなる姿へと還る。
同じく真紅なれどそれは輝ける巨人、誰かを守るための誇り高き力。
≪≪≪≪≪合体竜人!!≫≫≫≫≫
ツツジ台に希望が轟く。
≪≪≪≪≪ダイゼノン!! バトル……ゴーーーーー!!≫≫≫≫≫
あらゆる邪悪を堰き止める勇者の砦の如く、今ここにダイナゼノンは大地へと降り立った。 - 39二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:36:20
時を同じくして炎の中から漆黒が這い出てくる。
信じられぬものを見るようにメフィラス星人は吠えた。
≪馬鹿な……ダイナゼノンだと!? 貴様ら、いったいどうやってこの世界に! ぐぉ!?≫
汚らわしい声を無理やり閉じさせるようにダイナゼノンは拳を奮う。
寸分たがわず顔面に叩き込まれ、威力の程を物語る様にメフィラスはたたらを踏んで後退する。
≪あぁん? 何故だと?≫
ガウマの声に深く重い激情が宿る。
忍耐を重ねてきたのだ、その激情に流されぬだけ充分すぎる程に自制が効いていると言っていい。
≪私たちには友達がいる!苦しい時に助けてくれる友達が!!≫
激情を夢芽が引き継ぐ。
拳だけではない、気持ちも何もかもこの敵に叩きつけ完膚なきまでに打ちのめさねば気が済まなかった。
≪グリッドマンだけじゃない! 俺たちだけじゃない! 裕太達が積み重ねてきた事が俺たちをここに導いてくれた!!≫
≪他人の事、そうやって見下してるから色んな事見落とすんすよ!!≫
≪ま、俺たちとしても助けてくれたのが二人の神様ってのは予想外だったけどな!≫
鋼が唸りメフィラス星人を何度も打ち据える。
重く鈍いそれは一撃一撃がガウマ隊の叫びがそのまま乗っているかのよう。
その乱打の中で、メフィラスは在り得ないと呻き洩らす。
≪二人……だと? 新条アカネだけではないというのか……?≫
狡猾にして明晰な頭脳を持とうとも知らなければ正解にたどり着くことは在り得ない。
誰からも忘れ去られた一人の少女と青い竜の事をこの悪魔は完全に見落としてしまっているのだ。
忘却によって響裕太を追い詰めようとしたメフィラスが、忘却の彼方からの助けによってその企みを挫かれる、あまりにも痛烈な皮肉であった。
≪覚悟しろ! メフィラス星人!!≫
ガウマが誇る様に胸を張る。
今ここにいる仲間達だけではない、自分たちを送り出して出してくれた人々も其処にいるかのように。
気高き勇姿は見る者の心に正しき光を灯すであろう。
一方で光を愛さぬ者には憎悪を湧き立たせる。
≪……ぬぅぅ! たかがアシストウェポンの後身風情が!!≫
ダイナゼノンの拳とメフィラス星人の拳がぶつかり合う。
双方ともに一歩も譲らず、青い双眸は火花を散らす。
それが機神と侵略者の開戦の幕開けであった。 - 40二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:38:31
≪バーストキックミサイル!!≫
ダイナゼノンが飛び上がり、その巨体からは信じられない程に軽やかに胴廻し回転蹴りを放つ。
同時に脚部、つまりダイナダイバーのミサイルハッチが下方から順次解放され、バーストミサイルが射出された。
無論それを黙って受けるメフィラスではない。テレポーテーション能力を使い姿を消すと、廻し蹴りもミサイルもむなしく空を切る。
アスファルトを砕きながらダイナゼノンは素早く体制を立て直し相手の再出現位置に目掛けて両肩のペネトレイターガンを向けた。
≪なんとかビーーム!!≫
≪しゃらくさい!!≫
放たれるビームをメフィラスのグリップビームが迎え撃つ。
目が眩むような閃光の鍔迫り合い、緊張と破壊は高まり続けやがて耐え切れずに大爆発を引き起こす。
吹き付ける爆風をものともせずダイナゼノンを両ての指を真直ぐに向けた。
≪くらえ!!≫
≪やっちゃうっすよー!!≫
両者を遮る爆炎を貫き、指先の銃口から無数の光弾がメフィラスに着弾するが黒い体にみなぎるエネルギーがダメージを防いでしまう。
≪ダイナセイバー!!≫
≪舐めるなァ!!≫
合体竜人の手甲から緑光の刃が伸る
メフィラスも肉体をエネルギーで覆いながら互いに激しい白兵戦へと縺れ込んでゆく。
≪この野郎ぉ!!≫
≪ぬぅ…!≫
まさに竜が吼えるが如くにメフィラスを攻め立てるダイナゼノン。
戦いの熱はガウマ隊の全員の内側から生まれ、そしてまたダイナゼノンを通じて全員に伝わる。
そう全員だ。
ダイナゼノンを駆る者達だけではない、ダイナゼノンの内に在るものすべてに熱は宿り力を齎す。
「ぅ……」
「裕太!」
背後から上がる呻き声に蓬は即座に反応する。
振り向けば血濡れた儘なれどうっすらと目を開け蓬を見つめる裕太が居た。 - 41二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:40:23
「よも……ぎ……」
「よかった……目を覚ましたんだな」
安堵の息が漏れる。ガウマの見立てがあったとはいえ、こうして意識を取り戻せば安心の度合いは遥かに違う。
これでもう後はメフィラス星人を打倒すのみだと改めて気合いを入れなおした蓬の耳に、思いもよらぬ言葉が飛び込んで来る。
「蓬……おれを、ジャンクに……」
信じられないと言わんばかりに蓬は目を見開く。
「お前、何言ってるんだ!?」
響裕太をジャンクの前に連れてゆく、その意味が解判らぬものなどガウマ隊には一人もいない。
普段ならば快諾しただろう、だが今この状況ではダメだ。
誰が既に限界である友を戦いの場に出そうなどと思う。蓬達は裕太を助けに来たのだ、裕太を危機に晒しに来たのではない。
「ダメに決まってるだろ!」
焦りを多大に含み、裕太を𠮟りつけた。
蓬は裕太の性分というものを知っている。普段は穏やかで虫も殺せないような優しい人間でありながら、為すべき事があると定めればそれに向けて一念を貫こうとする。
こうなると止めることが出来ない、むしろ止める暇もなく突っ走ってゆく。
満足に動くこともできない程の傷を負っている故に走り出す事が出来ず、だからこそ蓬達も願いを聞き届けるわけにはいかない。奇怪なるパラドクスだった。
「あいつは…俺を狙ってきた……俺を怪獣にするためにやってきた……」
裕太は蓬の叱咤を受けても止まらない。
体が動かずとも、心はまだ動けると言わんばかりに言葉を紡ぐ。
「グリッドマンを苦しめようとして、その道具に俺を利用しようとした」
今や裕太はグリッドマンの半身。
かつてハイパーワールドからやってきた名もなきエネルギー体が少年少女出会い、名前と形を貰った。
誰かと共に邪悪を打ち破ってきたヒーローは時代を経て姿を変えて裕太に継承されたのだ。
裕太以前にグリッドマンと共に戦った人がいて、裕太以降にグリッドマンと共に戦う人もきっと現れるに違いない。
そうして繋がる光を裕太は穢しかけた、それが彼にとってどれほどの屈辱で恥ずべき事か。
「蓬達が助けに来てくれたこと…本当に感謝してる……そうでなかったら、おれは…死んでたから…」
力なんか殆ど入らないであろう体をそれでも無理矢理に起こす。
普段ならば何でもない動作に苦痛が伴っているのだろう、動きは緩慢で絶えず呻き声が漏れる。 - 42二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:43:13
「でも……この戦いを……あいつとの決着を……蓬達だけに任せる訳にはいかない……!」
響裕太はヒーローだ。いつだって自分よりも誰かのために戦ってきた、その為に命を賭すことも厭わなかった。
その彼が一番大事にしているものに手を出されたのだ。
メフィラスはヒーローの癖に身勝手に恋などするからこんな事になるのだと嗤った。
嗚呼、なるほどそうなのだろう。宝多六花は明確に響裕太の弱点で、彼女奪われそうになったからこそ憎悪の赴くままに怪獣になってしまったのだ、言い返すことなど何もできない。
何だったらその暗い感情は今も裕太の中で燻っている。
「あいつは…内海と…六花の心を…踏みにじったんだ……」
今の響裕太の心はどれほどに吹き荒れているだろう。
正も負も光も闇も義も利己も、凡そ考えうる限りのあらゆるものが渦巻き混沌を生み出している。
だが敢えて繰り返し告げる、響裕太はヒーローだ。
自分の中に混沌があるのならばそれを背負い立ち上がる事ができる。
愛と友情を抱き、敵に対する果てなき怒りを燃やして、今の裕太を突き動かすのはある意味で最も彼から遠い情動。
「これは、俺の戦いだ」
すなわち男の意地である。
燃え盛る青い瞳に気圧され蓬は思わず息を呑む。
この友人のここまでに激しい在り様を蓬は観た事が無い。
「裕太」
「蓬なら、わかってくれるだろ?」
なんとか諫めようと絞り出した言葉は、しかして裕太に先んじられ封じられる。
無論だ、わからない筈がない。
もし仮に蓬が裕太の立場ならば、南夢芽の記憶が同じように奪われたのならば蓬はその敵を決して許しはしない。
必ずや自分の手で相手を打ち倒すだろう。
「けど……!」
裕太に対して共感していた部分を指摘され、蓬は俯く。
感情は裕太を送り出すべきだと主張するが、理性は裕太に無理はさせられないと否定する。
ただ迷いだけを生む選択肢、どちらを選んでもきっと後悔する。 - 43二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:47:35
「蓬」
そんな蓬に、ガウマが呼びかける。
厳つく優しい、蓬を導く兄貴分の声だ。
「迎えが来たぜ」
それが指し示す方を観る。
戦いの余波を恐れず死地に飛び込まんとするのは宝多六花と内海将だ。
何故とはもはや問わない。
大事なのはあの二人が間違いなく響裕太の為にここを目指そうとしている事。
そして、蓬の心が感情の方へと大きく傾いた事実だけであった。
「くそっ……」
敗北を喫した理性が毒吐く。
「ここは俺たちで抑えておくからな!!」
絞り出すような蓬の決意に、裕太は微笑む。
「うん……ありがとう……それと」
裕太は言葉を切って一呼吸置く。
まだなにかあるのか、と蓬が思いかけた瞬間、気まずそうなそれでいて優しく嬉しい声が届く。
「ごめん」
ちょっとした頼みを無理に聞いてもらったように申し訳なさそうな顔をされては蓬としてはもう何も言えない。
「はぁ……お前って奴はさ……六花さん達の苦労ちょっとわかった気がする」
「ははは……」
裕太は周りを振り回すタイプだ。
いつぞやの時はそれを笑って揶揄って囃し立ててやったけど、振り回される側に置かれてあれはちょっとやりすぎだったなと蓬は反省する。
「行けよ、二人が待ってる」
「……うん」
裕太は光に包まれインナースペースから消えてゆく。
その姿を見送ると、蓬は決意を新たにメフィラス星人へと向き直る。
「さぁ、こい!!」
力強い叫びとと共にセイバーが振るわれ赤と黒の戦いは更なる激戦へと突入していった。 - 44二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:49:15
ダイナゼノンとメフィラス星人の戦いを背に、淡い光の球に包まれた裕太はゆっくりと地面に降りる。
それを見守る内海と六花の前に立つと同時に光の球は消失し支えを失った裕太はその場に倒れ込む。
「お、おい!」
「……大丈夫」
思わず声を上げた内海を制しながら、裕太は辛うじて立ち上がる。
明らかに無理をしている。
生まれたての小鹿のように足をがくがくと震わせ、苦痛を追いやる様に呼吸は荒い。
「大丈夫ってお前……」
目をそむけたくなる程に深く傷ついた体。
強がりを口にすることすら相当な苦痛に耐えているはずで、それを察した内海はそれ以上言葉が出てこない。
「六花……内海……俺を、ジャンクに……」
「ジャンク……?」
二人は顔を見合わせる。
今の2人はジャンクという言葉を裕太の口からしか聞いたことが無い。
それが何を指しているのかなど理解できず、どこに連れてゆくべきかなど解らないのだ。
「頼む……そこで、グリッドマンが俺を待ってる……」
「グリッドマンが?」
六花は手にしたプライマルアクセプターを握りしめる。
謎の存在グリッドマン。
人間を器として世界に出現するというハイパーワールドからの来訪者。
彼はこんな体で尚戦おうと言うのか。
メフィラスと敵対していることは理解している、だがしかし一体何のために?
もはや何も理解できない。
仲間であると思っていた黒い巨人に対してその信用は揺らいでしまっている。
その不安を肯定するようにダイナゼノンが現れメフィラスと死闘を演じているのだ、何を信じればよいのか。
「……ほら」
揺れる心と苦悩の中で、それでも最初の行動を取ったのは内海だった。
裕太にしゃがみながら背を向ける。 - 45二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:52:11
「そんな体じゃ、碌に動けないだろ」
内海も何を信じていいのか解らないはずだ。
だからこそ、自分の良心に従おうとしている。
その判断がどのような結果をになろうとも、せめて今この場で正しいと思えることを選択したのだ。
裕太はその意を汲んで、内海の背に自分の体を預ける。
「ありがとう、内海」
「いや……」
内海は言葉に迷う。
「その……悪かった」
奥底から無理矢理に押し出したようなその一言。
これを口にするためにどれほどの勇気を必要としていたのだろう。
短いながらも深い何かが込められたそれは内海の誠実さの顕れの様で、言葉を受け取った裕太は嬉しそうに微笑む。
「いいんだよ」
それは事を知る者からすれば赦しの言葉であろう。
誰が悪いわけでは無い、だが傷つけてしまった事に対する正しい優しさだ。
内海と六花には未だそれは理解できていない。けれども、強く響く事だけは間違いなくて、ただそれを噛締める。
「よし!行くぞ!!」
「うん!!」
繰り広げられる戦いを背に二人は走り出す。
逃走ではない、明確に彼らは彼らの戦いがありその為に走るのだ。
(なんだろう、前にこんな事があった?)
自分の前を走る内海と背負われた裕太を観ながら六花は曖昧な過去に惑う。
何時の頃の何の記憶だろう。
こうしてあの二人が先に走って行って自分が追い付けなくて足手まといみたいで嫌な思いをした。
彼がたどり着かなければ意味が無くて、自分を置いて先に行ってもらって。
嗚呼……いや、違う。何時のじゃない、いつもだ。
いつだって彼は自分を置いて走って行った、追い付こうとしても追い付けないか見送るしかできないそんな事の繰り返し。
今度もまたこうして…… - 46二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:53:01
「ちがう!」
苦しくなる息を無理やり黙らせて走る。
今度もまた追い付けないなんか嫌だった。
何もできなくてもせめてずっと近くで見守っていたいってそれが始まりだったはずだ。
……始まりとはなんだろう? 思考が乱れて混線する。
知らない事が見えないままに溢れてきて押しつぶされそうだ。
何も考えられないのに体だけは衝動のままに走り続ける。
「六花!!」
内海の声に六花ははっとする。
気が付けば自宅であるジャンクショップ絢の前。
店主も住民もいないそこは当然の事ながら戸締りが為されている。
「はやく開けてくれ! こいつのいうジャンクってお前ん家にあるらしいんだよ!!」
「う、うん!!」
慌ててポケットから鍵を取り出し、シャッターを開錠する。
間髪入れずにシャッターを人ひとりが通れる程まで上げると暗い店内に飛び込むのだ。
六花が明かりをつけて、内海が最後の問いを投げかける。
「どれだ!?」
「そこの……古いパソコン」
指し示された先。
そこには店内のカウンターのすぐ横に鎮座しているいつ入荷したのか覚えていない年代物のパソコンがあった。
「これが…」
「ジャンク?」
確かに、言われてみればジャンク品の集合体のような明らかに正規品ではないパソコン。
何処かの誰かの手で組み上げられた、買い手など付くはずがない、ただ知る者だけに価値がある思い出の結晶のような存在。
それを前に、裕太はゆっくりと内海の背から降りる。
両の脚でしっかりと体を支え、大きく息を吸い込んで心を整えてゆく。 - 47二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:57:12
六花は裕太の左手を取る。
いつも自分を置き去りにされて見送るしかできなかった。
けれども、いつだって帰ってきた。
不安や心配を乗り越える希望をいつだって六花に与えてくれたのだ。
裕太の左腕に六花はプライマルアクセプターを通す。
在るべきものが在るべきところに戻る。それは裕太が六花に立てた信用の証であると同時に、六花自身が裕太を信じる事の証。
「六花……」
「裕太君……」
互いに名を呼ぶ。
未だ完全に通じ合ってるは言えないけれど、それでも確かな力をくれる。
「絶対に、戻ってきて」
「……うん!」
裕太はジャンクに向き合う。
六花と内海から分け与えられた力を振り絞る様に、彼方にありし友の名を呼ぶ。
「グリッドマン!!」
ジャンクに電力が奔り、モニターにその姿が映る。
「裕太」
グリッドマンが万感の念を込めて裕太の名を呼ぶ。
彼としてもこの時をどれほどに待ち望んでいただろう。
卑劣なる罠の向こうで、仲間達と共に耐え忍んだ時が今報われるのだ。
「俺と一緒に、戦ってくれるよな!」
「――ああ! もちろんだとも!!」
グリッドマンが裕太に応えるように右腕を掲げる。力強いグリッドマンの決意を表すように。
故に、裕太は残った己の全てを解き放ち左腕を掲げ、そこに右腕をクロスさせるのだ!
「アクセスッッ!! フラァァァッッシュ!!」
世界を切り拓くような叫びと共に、プライマルアクセプターは眩い光を解き放つ。
叫びのとおりに裕太は光に触れる。そしてそれは、誰もが求めたヒーローへの呼び声であった。 - 48二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:57:40
今回はここまでになります
ありがとうございました - 49二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 23:04:40
更新感謝!
燃えてきたぜ……! - 50二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 08:21:10
段々と終わりに迫ってきた感じがして楽しさ半分寂しさ半分
- 51二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 17:20:57
保守
- 52二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 23:41:27
楽しみにしながら保守
- 53二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 05:16:18
- 54二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 13:03:02
保守
- 55二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:19:17
保守
- 56二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 05:41:23
こっちのスレで完結する前に必ず追いつく!
まだ2スレ目 - 57二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 13:40:54
保守
- 58二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 22:44:34
保守
- 59二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 08:04:36
保守
- 60二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:14:46
レッドマンずっと待機してる
- 61二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 23:25:17
保守
- 62二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 07:53:26
保守
- 63二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 07:55:57
卑怯もラッキョウもあるか保守
- 64二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 15:25:11
保守
- 65二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 17:02:30
ほ
- 66二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 22:14:56
ほほほしゅ
- 67二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:23:06
天地万象を揺るがし黒と紅がぶつかり合う。
まさに総力戦だ、ダイナゼノンは持ち得る機能と武装をフル回転させ仇敵メフィラス星人を打ちのめすべく前進しようとする。
対するメフィラス星人もまた自身の能力の全てを駆使してダイナゼノンを翻弄してゆく。
守護者と侵略者の競り合いは運命の天秤を揺らす。
攻めて守る、撃たれ立て直し、弾かれ押し返す、その繰り返しは拮抗という状況を確実に崩すのだ。
≪ちっ……!≫
天秤の在り様をガウマは苦し気に漏らす。
そう、戦況は少しづつメフィラス星人の方に傾きかけていた。
何故か? それはダイナゼノンを観れば一目瞭然だ。
ダイナゼノンは確かに力強く猛々しく戦っている、だがその動きに精彩を欠く。
僅かに遅れる動き、防ぎきれないダメージ、効果が薄い攻撃。それらが重なり有効打を与えられない。
≪ぐぅ…く、そっ……!≫
≪蓬!≫
≪大丈夫、まだ…やれる!≫
夢芽の声に蓬は疲弊を滲ませながら強がりを返す。
ダイナゼノン不調の要因の一つが、蓬だった。
無理もない、負担が大きいと警告されたダイナソルジャーRBの力を必要だったとはいえ何度も行使し、さらにはデイワルダス/ギュオバイアン・ミラージュとの連戦なのだ、限界を迎えつつあるのも当然だろう。
これは蓬だけではない、ダイナゼノン自身も短い時間とは言えオーバースペックモードを行使した為に本調子とは言い難い。
ガウマ隊5人の心が一つとなって今のダイナゼノンは最大のパワーを発揮している。だが器がそれに追いついていない、インナースペース内のコントローラの反応がいつもと違う事を彼らはもどかしく感じていた。
そして苦境の原因はなにもダイナゼノン側の消耗だけではないのだ。
≪くそっ……こいつ、強い!≫
そう、純然にメフィラス星人が強かった。
高い威力のグリップビーム、汎用性の高いペアハンド光線、変幻自在のテレポート能力にエネルギーダメージを軽減する肉体。
多彩にして厄介な能力の数々を巧みに使いこなすのだ。
恐るべき侵略宇宙人という事は聞いていたが、その評に違わぬ強敵であった。
≪ふふふふ……どうしました、焦りが見えますよ≫ - 68二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:24:19
ガウマ隊の心を見透かすようにメフィラスは嗤う。
いや実際に、メフィラスには彼らの心が見えているのだ。ここに内海か新条アカネがいればメフィラスの青い目はクレアヴォイアンスと呼ばれる他者の心を見透かす能力を持っている事を指摘していただろう。
他者に見えぬ物が見える、それは益々以て戦いの趨勢が侵略者に有利になる事を意味する。
≪へっ……よく言うぜお前も大分へばってるじゃねぇかよ!≫
ガウマが吠えるようにメフィラス星人も決して万全ではない。なにせ必燃大火炎レックスロアの直撃を受けているのだ、すくなからぬダメージがある。
逆を言えば、そのダメージがある状態でダイナゼノンに有利が取れるのだからとんでもない話だ。
無論、それに臆し怯むようなガウマ隊ではない。
≪裕太と約束したんだ……お前には負けない!≫
≪私たちをこれで倒せる気でいるなら間違ってるって教えてやる!≫
≪生憎と、今週はまた面接があるんでなぁ! 負けられないんだよ!!≫
≪このまま、さっさと倒されてくれてもいいんすよ!≫
この程度の苦境何するものぞと血気盛んに己を奮い立たせてゆく。盛る心はダイナゼノンの炉心となり、どこまででも戦い続ける原動力となる。
彼らの心の炎が消えるかダイナゼノンを全て砕かない限り彼らの敗北は在り得ない。
≪ふぅむ……なるほど、響裕太と言い君たちは本当に厄介な存在だ≫
他者の心が見えるからこそダイナゼノンの無限にも等しく湧き出す力を覚ったのであろう、メフィラスは面倒そうに眼を細める。
≪ところで、その響裕太は何処です?≫
≪答える必要があるかよ!!≫
≪確かに、敵である私に言う必要はありませんね……さて、それでは内海将と宝多六花はどこでしょうか?≫
≪お前、さっきから何を≫
≪……何、安全な所にいればよいという話ですよ。なにせ我々の戦いに巻き込まれてうっかり踏み潰されるなんて事も在り得ますからね≫
言葉の意味を理解し、誰もが顔を青くする。
この悪魔はグリッドマン同盟を人質に取るつもりなのだ。
≪そんな事、させるわきゃねぇだろうがよ!!≫
ガウマの怒声と共にダイナゼノンはメフィラス星人に掴みかかる。
鋼の巨腕は黒い肉体をがっちりと掴み動きを封じるのだ。
≪おぉ、なるほど、これでは私は何もできませんね≫
≪ふざけやがって!≫ - 69二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:27:33
心底馬鹿にしたメフィラスの言葉に暦は苛立ちを隠さず吐き出す。
だが次の瞬間、その苛立ちを凍てつかせる一言を耳にするのだ。
≪では、他のモノを呼び寄せるとしましょう≫
≪何ッ!?≫
メフィラス星人以外の敵がいる可能性を完全に失念していた。
これまでの戦いの殆どを一対一の経験しかしていなかった故の思い込みによる失敗だ。
≪ハハハハ……どうします?いかなダイナゼノンと言えど複数相手の大立ち回りでは周囲の被害を気にする余裕はないでしょう?≫
≪こっ…の……卑怯者!!≫
街とグリッドマン同盟を護りたくばこのまま無抵抗でなぶり者になれという宣告に夢芽は唾棄する。
この侵略者は躊躇いなくやる、そして戦いとなればダイナゼノンだけではツツジ台を護り切る事が出来ない。
出来る事は、街を護る壁となって敵の攻撃を受け止める事だけだ。
≪私は他の同胞たちと違い、手段と目的を入れ違える事も、手ぬるい事をするつもりも、遊びを入れ過ぎることもしません。目的を達成するだけです≫
ただそれだけを告げメフィラスは躊躇なく王手を打つ。
≪来るがいい!ゴメス!ジュラン!ペギラ!ゴーガ!パゴス!ネロンガ!ガボラ!≫
数々と告げられる怪獣達の名前。
夜の空にパサルートが開かれ、そこから絶望の群れが押し寄せようとしていた。
しかし……
≪なんだ……?≫
≪え……何も来ないんだけど≫
蓬と夢芽はパサルートを見上げながら首を傾げる。
あの虚空より怪獣達がやってくることを予想して身構えていたのに、何時まで経っても何もやってこないのだ。
≪ぬ…?何をしている!?早く来い怪獣軍団!≫
彼らの疑問とほぼ同じ意味をメフィラスは空に向けた。
ただ只管に困惑だけが膨れ上がる戦場に、やがて3つの影がパサルートを通ってやってくる。
ダイナゼノンにも負けぬほどの衝撃を伴いツツジ台に降り立つその影は、紫光を纏う戦士と深緑の装甲を持つメカ怪獣そして皆を護る翼をもつ黄金竜! - 70二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:29:12
≪貴様が待っていた奴らは我々が倒したぞメフィラス星人≫
≪完全に支配下に置けるようにとそこまで強くない個体ばかり選んだのが仇になりましたね!≫
その戦果よりも仲間の窮地に間に合った事を誇る様に胸を張るグリッドナイトとサウンドラス・バトルモードとゴルドバーン。
一方のメフィラス星人はと言えば眼前の事態を信じられないと言わんばかりに狼狽え惑うばかり。
≪な、な……きさま、らァ……!≫
≪すみません、私たちラッキョウは好きですが卑怯は嫌いなんです≫
この為にグリッドナイト同盟は敢えて別行動を取ったのだ。狙いすました一矢が的を射貫くかの如く悪しき策略を打ち砕けばまさに面目躍如。
二代目の自慢気な嫌味も痛烈に効くというものだ。
≪残念だったなぁメフィラス星人……≫
≪ぬぅおっ!?≫
グリッドナイト同盟の活躍に応えるようにダイナゼノンは力強くメフィラス星人を持ち上げる。
そうして一切の遠慮も容赦もなく黒い巨体を地面向けて投げつけるのだ。
≪ぐはぁ!≫
極めて単純それ故に効果は抜群。
大地に叩きつけられよろめきながら立ち上がるメフィラスの前に立つのは世界を守る4つの抗体。
いや……それだけではない。
≪さぁ! いよいよ真打登場ですよ!!≫
夜空に二代目の意気軒昂たる声が響く。
そうだともいつだって誰もが彼を待っていた。
その顕現を全ての者が目にする。
悪しき者も正しき者も戦う者も力なき者も。
そして、その同盟者達も。 - 71二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:31:56
宝多六花と内海将の目の前でジャンクが火花を散らしけたたましく警告を発する。
だが二人にはそれが悲鳴ではなく限界に耐え超えようとする猛々しき雄叫びに聞こえた。
そうだとも物言わぬマシンであっても、勇敢な少年少女たちの世界を守ると言う使命と友情の結晶だ。
許されざる邪悪を前に決して屈したりせず、その気高さから目を逸らすことが出来ない。
嗚呼、故にこそ見るがいい。
いつだって誰かの熱い想いに応え来た夢のヒーロー
太陽と月と星と遥かに深遠なる宇宙の全てを抱いて一つの形へと鋳造したる天壌無窮の超人。
そう! 今ここに来るはグリッドマン・ユニバースファイター!
「これが……!」
「グリッドマン……!」
眩い白銀の姿に六花と内海は感嘆の声を上げる。
吹き込まれた悪意など欠片も見えない、正義と秩序を体現する光の化身がそこには居た。
そして忘れてはならないグリッドマンには常に共に戦う仲間がいる事を! - 72二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:36:04
≪アクセスコード!! パワードフォートレス!!≫
4つの声が一つになって、重なる力は誰もが憶えていない形態を再誕させてゆく。
船首はスカイヴィッターの短翼部、その後ろにバトルトラクトマックス更にバスターボラーが続く。
上部にはグリッドマンキャリバーのアックスブレードが装甲として組み込まれ、後方両部にはスカイヴィッターの後部がスラスターとして合体していた。
さながらに空を翔ける巨大戦艦。
その背にグリッドマンユニバースファイターを乗せ、時をも超えそうな勢いで黒い侵略へと迫るのだ。
≪行くぞ皆!!≫
≪≪≪≪応ッ!!≫≫≫≫
グリッドマンの号令と共に合体戦艦パワードフォートレスは全ての砲門から苛烈な砲撃を始める。
それらは吸い込まれるようにメフィラス星人へと命中し、火線の檻へと閉じ込めてゆく。
≪おおっ!!≫
無論、グリッドマンとてその威力に負けてはいない弾くようにパワードフォートレスから飛び上がれば、稲妻の如き蹴りを放つのだ。
グリッドマンそのものが巨大な砲弾であるかのように着弾すれば、それは如何なる攻撃よりも深くメフィラス星人を抉り弾き飛ばす!
≪ぐおおおおおお!!?≫
再び地に伏せるメフィラス星人の前にグリッドマンは仁王立ちにて立ちふさがる。
≪大将!≫
≪グリッドマン!!≫
≪やはり来たかグリッドマン!≫
≪えぇ、信じていましたよ≫
ダイナゼノンから上がる歓声、グリッドナイトと二代目の称賛。
天空のゴルドバーンが祝福の雄たけびを上げれば、ユニバースファイターと適応反応を起こしてビッグゴルドバーンの姿を取り戻してゆく。
≪そういや、どうしたんですその姿!≫
ガウマが知らない姿を取る新世紀中学生に驚きを向ける。
≪これは我々の新しい……いや、おそらくは古いものでもある形態パワードフォートレスだ≫
マックスがそう答えると、他のメンバーも次々とパワードフォートレスの在り様を語り始める。
≪ヒカリのバトルハンガーとグリッドマンが同期したことで得られた情報から再現した、それがパワードフォートレスだ≫
≪ま、本当に合体できるとは思わなかったけどね、これ接続部とかどーなってんの?≫
≪どうでもいいんだろ、そんな事! あんにゃろうに一泡吹かせてやったんだからよ!≫
久々に揃う戦士達。再会の喜びも他所に、蓬は焦る声をかけた。 - 73二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:37:31
≪裕太!! 大丈夫なのか!?≫
≪……あぁ! グリッドマンが、六花が、内海が、俺を支えてくれている! 俺は、戦える!!≫
輝けるインナースペースから息を切らせながらも尽きぬ闘志を燃え上がらせる裕太。
強いからこそ悲壮である。
グリッドマンのレーザーランプは既に激しく点滅し、裕太が限界ギリギリで踏みとどまっていることを告げていた。
そしてその事実にグリッドマンの心には今までにない怒りが吹き荒れるのだ。
≪メフィラス星人……!≫
拳を人間ならば血が滲むのではないかと思う程に強く握りしめグリッドマンは悪魔を睨みつけた。
≪私の友を苦しめ、この世界を危機に陥れた報いを受けてもらうぞ!!≫
≪グリッドマン……! バカな、まだジャンクに掛けた迷いの力もあの二人の記憶の封印も生きているはずだ≫
グリッドマンがこの場にいる、それは響裕太が宝多六花と内海将の手を借りてジャンクに到達したことを意味している。
メフィラス星人が響裕太の心をへし折るために敢えて垂らした蜘蛛の糸、それが巡り巡ってメフィラス星人の首を絞めているのだ、今までのどれよりもメフィラス星人にとっては信じがたく屈辱であろう。
≪裕太と六花と内海の絆をお前は侮ったのだ!!≫
≪絆、だと!?≫
グリッドマンが躍りかかりメフィラス星人はすかさず起き上がって拳をぶつけ合う。
互いに消耗しながらも始まる殴り合い。其の最中でメフィラスは苦し紛れにグリッドマンを否定する。
≪ほざくなグリッドマン!!貴様の都合に強引に巻き込んだだけではないか!!≫
≪ぬぅ…!≫
≪ハイパーエージェントの使命を果たすために人間を利用していたという事実は変わらんではないか、それを絆だと抜かすか!!≫
額をぶつけ、至近距離で心を覗き込むようにメフィラス星人はその眼を見開く。
≪貴様の心が見えるぞ。私への怒りと憎しみが! グリッドマン、貴様は何者だ? 世界を守るハイパーエージェントか? それとも響裕太の復讐の為に戦う存在か!?≫
≪私は……!≫
≪半端者め!!自分の弱さを言い訳に、人間に縋っているだけだ!!≫
≪違う!!!≫
グリッドマンとメフィラスの鬩ぎ合いに響裕太が渾身の力を以て殴り込みをかける。 - 74二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:39:47
≪俺たちはいつだって自分で何かを決めてきた!!≫
裕太だけではない、メフィラスの言を許せない全ての存在がその間違いを正しすために次々と参戦してゆく。
ガウマが麻中蓬が南夢芽が山中暦が飛鳥川ちせが。
グリッドナイトや二代目やビッグゴルドバーンも、その胸の中にある大事なものを護るために強く叫ぶ。
≪何もわからなくても!≫
≪戸惑いだらけでも!≫
≪ある種の逃避でも!!≫
≪流されてただけでも!!≫
≪疎外感でも!!≫
≪与えられた意味を果たす為だけでも!≫
≪古い恩を果たす為でも!≫
≪始まりや動機がどうであれ、迷って失いかけてそれでも全部抱えてきた大切な過去と思い出と繋がりなんだ!! それをお前なんかに嗤われてたまるものか!!≫
裕太の脳裏に黒い髪の少女がよぎる。
いつかどこかで出会ったであろう名前も憶えていない少女。
そんな裕太の為に力を貸してくれた少女の想いに報いるために、裕太は六花と内海を取り戻したい。
グリッドマンの脳裏にもブロンドの女性がよぎる。
グリッドマンの過ちを受け入れ共に戦う事を使命を果たす事の大切さを共有した女性。
彼女との約束を果たすために、グリッドマンは裕太達を守り抜きたい。
≪そうだ、メフィラス星人……常に誰かが居なくてはいけない私はきっと超越者-ULTRAMAN-にはなれないのだろう≫
グリッドマンはメフィラスの弁を一つ肯定する。
偉大な伝説にも宇宙の神秘にも全能たる王者にも至る事はは出来ない。
≪私を何者かと問うたな! ハイパーエージェントなのか裕太の為に戦う存在なのかと!≫
人ともにありたいという弱さを抱え、だがそれを言い訳にはしたくない。
共にある事の素晴らしさを人間達から教えてもらったのだ。 - 75二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:42:02
≪両方だ! 私はハイパーエージェントとしての使命と裕太達との友情を抱え戦う! お前の様な存在から一つでも多くの命を護るために!≫
遠い彼方のハイパーワールド。謎に満ちたる光の中からやってきた命を護る存在。
神ではない、どれほどの力を持っていたとしても彼は人の範疇であり……だからこそ人間の友足りえるのだ。
≪故に私は!!≫
そう、だからこそ彼は電光超人。
≪グリッドマンだ!!!!!≫
誇り高く名乗り上げると同時に、グリッドマンは左腕を掲げる。
放たれるのはグリッドマンと裕太の覚悟を体現したかのような虹色の光線。
≪グリッドォォ…ビィィーーーム!!≫
≪ぐぅおおおおおおおおおおおお!!!!??≫
両腕をクロスさせメフィラスはグリッドビームに耐えんとする。
一見するとグリッドマンが有利な状況。しかして、響裕太はもう限界でグリッドマンのエネルギーとて少ない。グリッドビームはグリッドマンとて諸刃の刃だ。
レーザーランプが激しく点滅し残ったエネルギーを使い果たそうとしていることを告げる。
≪≪うぉおおおお!!≫≫
構うものかとグリッドマンと裕太が自分たちに残っている全てを絞り出すように吠えればプライマルアクセプターは輝きを増してゆく。
グリッドマンも響裕太も互いが大事だ護りたいと思う。
大事に思うからこそ信じあえる。
だからこそ死力を尽くす。
ひとりじゃ無理でも、君となら―――
その想いを胸に、グリッドマンと響裕太は執念を燃やす!
≪な…んだ、とおおおおおおお!!?≫
メフィラスの防御が弾かれグリッドビームが直撃する。
夜に輝く虹は黒を切裂き、メフィラスを吹き飛ばしながら巨大な爆炎を生み出した。 - 76二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:43:24
≪はぁ……はぁ……≫
炎に照らされながらグリッドマンは肩で大きく息をする。
正真正銘、グリッドマンの全てを解き放った一撃だこれ以上はもう何も出せない。
一刻も早く実体化を説かねば危険な状態であるが、それでもグリッドマンはファイティングポーズを取る。
解っているのだ、自分の放った攻撃が決してあの仇敵を撃つに足りていない事を。
≪……≫
爆炎の晴れた先でメフィラス星人が煙を纏いながら俯いている。
ビームで焼かれた痛みを味わう様に体を戦慄かせ、ゆっくりと顔を上げた。
≪かつて……同胞を嘲った事がある、人間の子供の心への挑戦こそ真の侵略などと嘯いていた同胞を≫
凡そ感情の無い声でメフィラスは語り始める。
いや、よくよく集中して聞けばその中にある種の後悔を見て取ることが出来るかもしれない。
≪人間の心など所詮が利用できる道具にしか過ぎないと思っていましたが……どうやら私はその心に、あなた方の言う絆に負けたようだ≫
メフィラスの敗北宣言。
何になぜ負けたのか、それを認めた一言は少なからずグリッドマンやダイナゼノン達の留飲を下げる。
だが、決して油断はしない、出来るはずがない。
何故ならば、メフィラスの声に徐々に憎しみが広がるのを感じ取っていたからだ。
≪だが!!≫
メフィラスがグリッドマンに飛びかかる。
否定していたグリッドマンはそれに対応しきれず、為すすべなく蹴りぬかれ弾き飛ばされてしまう。
助けに入ろうとしたダイナゼノンとパワードフォートレスににフォアハンド光線が放たれ、グリッドナイトもまた黒い拳で殴り倒された。
残ったビッグゴルドバーンとサウンドラスをグリップビームが薙ぎ払ってゆく。
≪私は好機を逃すような真似はせぬ!≫
暴力と言う手段を好まないと告げたメフィラスが最後は己の暴を振るう。
むしろ侵略宇宙人屈指の実力を誇るこの種族がその力を存分に振るえばどうなるかという恐怖を今この場で証明してるのだ。
≪貴様らそろいもそろって満身創痍! その状態でこのメフィラス星人を倒せると思うな!!≫
確かに、深く傷ついたグリッドマン達のみではメフィラス星人に勝つことは不可能かもしれない。
だが、彼らは誰一人として絶望も悲観もしない。なぜならば最後の切り札がまだ残っているからだ。 - 77二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:45:57
≪やっぱり……解ってねぇなぁメフィラス星人!!≫
ガウマが笑うと同時に、ダイナゼノンは立ち上がる。
グリッドマンとグリッドナイトも負けるものかと己を奮い立たせてゆく。
誰かが仲間が傷ついていたらどうする?
決まってる、互いに肩を貸し合うのだ。
≪皆……≫
≪今こそ全員の力≫
≪≪一つにするとき!!≫≫
≪≪≪≪≪応ッ!!≫≫≫≫≫
グリッドマンと裕太は高らかに告げる。
最後にして最強の手段、それを行使するときがやってきたのだ!
≪させるかぁ!!≫
≪それはこちらの科白です!!≫
いつも冷静沈着な二代目が、激昂しながらメフィラス星人に体当たりをかます。
元が戦艦であるサウンドラス・バトルモードの大重量はメフィラス星人とて生半に弾き飛ばせるものではなかった。
≪皆さん!この隙に!!≫
≪二代目!≫
≪助かったぜ!!≫
二代目の決死の行動によって生まれた時間を無駄にはしない。 - 78二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:49:01
グリッドマンとグリッドナイトが天を目指して高く跳ぶ。
ビッグゴルドバーンの放つ黄金の光に導かれて、ダイナゼノンとパワードフォートレスも追従してゆく。
二人の巨人に対して4つのマシンがフォーメーションを組む。
グリッドマンにはダイナゼノンが、グリッドナイトにはパワードフォートレスが出力調整を施されながら支え合うための形態をとるのだ。
ダイナストライカーはグリッドマンの腕に、バトルトラウトマックスはグリッドナイトの腕に
ダイナダイバーはグリッドマンの脚に、スカイヴィッターはグリッドナイトの脚に
ダイナウイングはグリッドマンの装甲に、バスターボラーはグリッドナイトの装甲に
最後にグリッドマンキャリバーを手にすればアシストウェポン達はグリッドナイトとの適応反応により紫光に輝く。
ビッグゴルドバーンはグリッドマンの更なる装甲、そしてダイナソルジャーと合体してダイナミックビッグレードへと変じた。
≪超合体騎士!! フルパワーグリッドナイト!!!≫
グリッドナイトとサムライキャリバー・マックス・ボラー・ヴィットの声がまさに一心同体となって無敵の騎士は出陣を果たす。
そして―――
≪超竜王合体超人!!≫
グリッドマンと裕太とガウマと蓬と夢芽と暦とちせの声が一心同体に……
いや、違う。忘れてはならない聞こえない筈がない。
ジャンクを通じて届く声と思い、少し形を歪められてしまっているけどいつだって裕太を支えてくれた人たち。
『負けないで裕太君!』
『俺はお前と話したいことがまだあるんだ!!』
そうだ、離れていようと心の檻に閉ざされていようと六花と内海が居てくれる限り裕太は何処までも戦える!
故にこそ誇りをもってこの名を告げる。
≪ローグカイゼルグリッドマン!!≫
過去を握りしめ今を生き未来を目指すために。
何一つとして零すことなく最強の竜王は威風堂々と君臨するのだ!! - 79二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:50:03
≪ぐぅ、おのれぇ!!≫
≪きゃあ!!≫
渾身の力でメフィラスはようやくサウンドラスを投げ飛ばす。
弾かれたサウンドラスは、しかして地面に激突する前に巨大な腕に受け止められるのだ。
≪大丈夫ですか二代目≫
≪ナイトくん……えぇ、おかげさまで!≫
バイザー越しからも解る慈しみと安堵の眼差し。
腕の中で令嬢を護る騎士そのものなシチュエーションに、二代目の声は何処か色めく。
≪こんな時にいちゃつくんじゃねぇよお前ら!≫
≪ボラー、彼は自分のパートナーを護っただけだ、そう邪険にするものではない≫
≪やれやれ緊張感ないねぇ≫
≪いや……大丈夫だ、敵から気を逸らしてはいない≫
キャリバーの言う通りフルパワーグリッドナイトはサウンドラスを受け止めつつも切っ先をメフィラス星人に向けている。
これ以上二代目を傷つけるのであれば即座に斬り捨てると言わんばかりだ。
その気迫に押されつつ、メフィラス星人は忌々し気に吐き捨てる。
≪おのれ……死にぞこない共が一つになったところで何が出来る……!≫
≪お前に打ち勝つことだ!≫
ローグカイゼルグリッドマンが一歩前に踏み出す。
もうグリッドマンと裕太だけでは戦えない、ダイナゼノンもメフィラス星人を倒せるほどの力は残っていない。
だからこそ、手を取り合って全てを搔き集め一つに組み上げる。
≪これが、俺たちだ!≫
≪いつだって、誰かを求めて誰かと一緒に居て!≫
≪沢山悩んで喧嘩もして!≫
≪どんなに小さくくだらない事であっても≫
≪前に進んでいく為に大切にするんスよ!≫
崩れそうな体を仲間達に支えられながら裕太は真直ぐに倒すべき……いや、乗り越えるべき敵を見据える。
≪いくぞメフィラス星人!!≫
≪決着の時だ!!≫
裕太とグリッドマンの鬨の声が上がる。
それを迎え撃たんと、メフィラス星人は両拳を突き合わせた。 - 80二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:51:22
≪ぬかせぇえぇ!!≫
放たれる最大出力のグリップビーム。
幾度となく裕太達を苦しめてきた必殺光線がローグカイゼルグリッドマンの巨体を捕らえる。
≪ぅぅ…おおおおおおおお!!≫
≪負ける、もんかあああああ!!≫
痛みを分かち合い、それが出来る仲間がいる事を勇気に変えてローグカイゼルグリッドマンは悪しき稲妻を押し返し突き進む。
フルパワーグリッドナイトがスラスターを吹かして高く飛び上がる。
何時の時も変わらぬ彼の役目、それはグリッドマンを護り道を切り開く事。
≪フルパワーチャージ!≫
紫光の体が白銀を纏う。
アシストウェポン達はまさに騎士の鎧の如くに輝き、光の聖剣と化したグリッドナイトキャリバーが高らかに掲げられる。
≪ナイトフルパワー……フィニィィィィッシュ!!≫
渾身の力を以て振るわれる剣が、悪魔の肉体を深く斬り裂く!
≪ぐぅがあああ!? おの、れ……ま、だ……!!≫
それだけでも致命傷と言えるダメージを負いながらもメフィラス星人は未だ執念を燃やす。
行いの正と負の違いはあれど最後まで諦めようとしない姿勢は裕太達と同じ。
恐るべき憎むべき敵ながらも、その有様を決して貶める様な真似はしない。 - 81二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:54:46
≪カイゼルパワーチャージ!!≫
ビッグゴルドバーンの一部であるジェネレーターが猛回転を初めエネルギーが吹き荒れる。
≪ダイナミックビッグブレード!!≫
紅き大剣に注がれた力は嵐を巻き起こし雷と炎が渦巻く。
そしてジェネレーターと一体化していた車輪が唸りを上げれば、光の帯を纏って超合体竜王は星の如く翔る!
≪ローグカイゼルパワー!! フィニィィィィィッシュ!!!≫
最後にして最大の一撃が、メフィラス星人を貫く。
もはや、メフィラス星人ですらそれを耐える力は残ってはいない。
≪おの、れ……! グリッドマン! おのれ、響裕太!!≫
崩れ行く体でメフィラス星人はあらん限りの憎悪を滾らせる。
≪このままで、済むとおもうな……! 必ず私は戻り、貴様らに再び……!!≫
≪来るなら来い!!≫
どす黒い呪いを、裕太はただ一言で斬って捨てる。
≪≪≪我々/俺達/私達は!≫≫≫
≪≪お前なんかに!≫≫
≪≪≪≪≪≪≪絶対に負けない!!≫≫≫≫≫≫≫
そうだとも、どれほどの呪いと悪意であろうと彼らは決して屈しない。
だって、ここにいるのは生涯の中で出会った最高の仲間達。
いかなる闇にも立ち向かう光の同盟者達。
『『そう、君たちは私たちのヒーローなんだから』』
≪おおおおおおおおおおおおおおお!!≫
そして闇は光の中に呑まれ消えていった――― - 82二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:56:20
かくて死闘は終わる。
ローグカイゼルグリッドマンは力なく膝をつきかけ、フルパワーグリッドナイトが肩を貸すことで辛うじて倒れずにすんでいた。
≪終わったな……≫
グリッドナイトの呟きは、全員の胸に深く沁みる。
今までも楽だった戦いなど一度もないが、今回は経験したことのない苦境だった。
戦う前から策略を張り巡らされ、肉体どころか心も追い詰められたのだ。
≪けど、まだだよねグリッドマン≫
≪あぁ、裕太もう一つ頑張ってくれるか≫
≪勿論、俺とグリッドマンは一緒じゃないか≫
≪―――ありがとう、裕太≫
ローグカイゼルグリッドマンが分離する。
ふらつくグリッドマンを助けるようにビッグゴルドバーンがその翼となった。
≪ありがとう、ゴルドバーン≫
グリッドマンの感謝に気にするなと言わんばかりに1つ吠えるビッグゴルドバーン。
そして両者はハイパフィクサービームフォーメーションを取り空へと昇る。
この形態になったのであればやるべき事はただ一つだ。
≪フィクサービーム!≫
破壊と混沌を正し創造と秩序を取り戻すフィクサービーム。
世界を街を修復してゆく。
そう、人の心すら。
「あ……え……」
「うそ、だろ……なんで、俺……」
優しい光が照らす残酷な現実。
そう、最後の試練がまだ残っていた。 - 83二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:56:47
今回はここまでになります
次回が最終回です
ありがとうございました - 84二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 00:22:17
このレスは削除されています
- 85二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 00:35:26
更新おつです!
しっかりアフターケアしないと同盟2人のメンタルが崩壊してしまう… - 86二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 01:11:55
おつ
呼んだ怪獣達がシンウルの面子なのがなんかいいな - 87二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 03:43:13
遂に...遂に...
- 88二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 08:27:00
- 89二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 13:26:47
第二ラウンド開始だな。
- 90二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 14:51:47
このレスは削除されています
- 91二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 16:04:20
- 92二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 20:34:31
六花と内海のアフターケアも気になる。
多分生きてるだろうメフィラス星人のケジメに赤いアイツが来るのも気になる。
だがしかし!俺は特に気になるのは『怪獣散歩』の個体のメフィラス星人が新世紀中学生にガンを飛ばされ、グリッドマン同盟から白い目で見られる可能性の有無が気になる!! - 93二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 22:58:08
このレスは削除されています
- 94二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 06:27:48
このレスは削除されています
- 95二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 13:21:13
オマケ的なヤツなんだろうけどちょっと気になったよね
- 96二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 20:42:03
最終回まで保守!
- 97二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 01:28:30
ほしゅ
- 98二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 06:39:48
このレスは削除されています
- 99二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 14:39:15
保守
- 100二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 19:04:09
どこまででも保守
- 101二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 00:10:13
ほっしゅ
- 102二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 06:41:43
ほ
- 103二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 15:43:32
保守
- 104二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 21:11:58
このレスは削除されています
- 105二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 21:12:14
このレスは削除されています
- 106二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 03:43:40
ほしゅ
- 107二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 11:00:22
保守
- 108二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 21:50:33
保守
- 109二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 08:00:59
保守
- 110二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 08:42:08
これ、大怪獣ラッシュのジェントやシン・ウルトラマンの山本メフィラスが来てたらまた違った話になってたんだろうな………。
ラッシュハンター・オーナー→普通に決闘ものみたいになる?
外星人0号→政争系になって直接戦闘なし?
………やっぱり今回みたいなメフィラス星人じゃないと難しいか。 - 111二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 15:14:58
保守
- 112二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 18:30:05
このレスは削除されています
- 113二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 18:30:17
このレスは削除されています
- 114二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 22:17:35
ほし
- 115二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 01:55:18
「裕太!!」
「裕太さん!」
ガウマ隊とグリッドナイト同盟がジャンクショップ絢に飛び込むや否や友人の名を呼ぶ蓬と夢芽。
しかして、そこにいたのはカウンター席で項垂れるように座り込む内海と、そんな内海を心配そうに見守る新世紀中学生の面々であった。
「裕太は!?」
「大丈夫だ、今は奥で眠っている」
レックスの食い入るような問いにマックスが落ち着き払って返す。
「怪我は大丈夫なんすか? だいぶ酷いって」
「……フィクサービームの影響で体の方は、まぁ大丈夫だ」
ボラーにしては歯切れの悪い物言い。そのまま、裕太が眠っているであろう店の奥へと視線を向ける。
「ま、フィクサービームは傷を癒してはくれるけど、疲労まではどうにもならないから、ね」
「い、今は、ね、寝かせるのが一番、だ」
裕太の戦いはどれほど続いていたのだろうか。
少なくとも、一昨日から参戦した蓬達よりもずっと長かったのは間違いない。
ましてや最後の激戦は誰の目から見ても限界を超えていたのは明らかで、なによりも誰にも邪魔されない休息が必要なのだ。
「あの……六花さんは?」
「彼女は裕太に付いている」
夢芽は蓬と視線を交わし互いの意思を確かめ合う。
「あの、俺たちも裕太の様子見てきていいですか?」
「お願いします」
懇願する二人に、マックスはふむと独り言ちる。
「まぁ、敢えて言う必要も無いだろうが静かにな」
「ありがとうございます」
「いこう、蓬」
許可を貰い、二人は頭を下げて礼を述べると急ぎ足で店の奥を目指していった。
「隊長」
「ちせ、堪えろ」
レックスに制され、ちせはもどかしく俯く。
心配しているのは皆同じだ、裕太の傍についていてやりたいと思う。だが大人数で押し寄せては裕太の眠りの邪魔になるのは明白だ。
今は最も親しいあの三人に任せるのが最良であろう。 - 116二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 01:58:32
暦はちせの肩に手を添えて彼女を慰める。それで幾分か気が楽になったのか、力なくではあるものの笑みを見せた。
もしくは、この場でもっと傷ついている人がいるのに自分だけ落ち込んでいられないという、ちせなりの強がりだったのかもしれない。
そう、あの内海将を見ればそうならざるを得ない。
最初の戦いにおいて、新条アカネが響裕太を刺した時の状況と似ている。
あの時の内海も傷ついた親友と戦いの現実を突きつけられ、このようにふさぎ込んでいた。
違うとすれば、記憶を封じられたとは言え内海自身も加害者になっていた事であろう。
それはいつも傍にいるという裕太との約束と誓いに対するこの上ない冒涜。
……眠る裕太に寄り添えていないのがその何よりの証拠だ。
「……おい内海」
勝利の後とは思えぬほどに暗鬱な場を一番最初に破ったのはボラーだ。
ふさぎ込む内海の前に立ち、右手を差し出す。
「携帯貸せ、携帯」
「……なんすか」
「いいから、携帯寄こせよ。あ、ちゃんとロック解除しろよ、俺お前のパスしらねーし」
普通だったらこんなことはしないが頭がまともに働いて無いのであろう、内海は緩慢な動作でポケットからスマホを取り出すとそれをボラーに渡す。
「……お前の彼女の名前、はっすだったけか?」
「そうですけど……って、なにやってんすか」
「決まってんだろ、電話かけんだよ」
それは、そうであろうスマホの使い道と言えばネットに繋ぐか動画を撮るか写真を撮るか電話をかけるになるわけで、まぁこの場合は電話を掛ける話になる。
と、そこで内海の頭が強制的に再起動した。
「いや、ちょっと待ってくださいよ、なんで!?」
「話、聞いてもらえ」
内海を真直ぐ見据えてボラーは短く告げる。
同時に突き出されたスマホの画面は、はっすの番号になっていて後は発信を押せば電話を掛けられる状態だ。
「あの」
「男にはな女に泣きついていい時があんだよ」
「いや、でも……俺、こんなみっともない……」
「うっせぇ!」
「ってぇ!?」 - 117二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:01:30
ボラーはガシッと内海の脚を蹴る。
思わず痛がる内海に、容赦なくボラーは迫った。
「いいか! 人間なんてなぁ、格好いい時よりもダセェ時の方が圧倒的に多いんだよ! それを何とかしようと意地張んのはいいけどどうしようもねぇ時だってあんだろうが」
「ボラーさん……」
「どうしようもねぇ時に、誰かに頼って泣きついて慰めてもらう事の何が悪ぃんだ。相手のそういう所を認めて許して寄り添うのが」
そこで一つ区切り、呼吸を整える。
「愛ってもんだろ」
凡そボラーが言いそうにない言葉だった。
内海は目を丸くし、ナイトは心底意外そうな顔をして二代目は優しく微笑む。
そして仲間の新世紀中学生達は存外に良い事を言うと互いに視線を交わすのだ。
「電話、しなよ内海くん」
「暦さん」
「俺もさ、ダセェ自分をちゃんと受け止められなくて誰かに言えなくてここまで来ちゃったからさ。内海くんはそう言う人いるなら頼った方が良い」
「内海さん、今すぐ電話してください。私、先輩みたいになっちゃう内海さんとか見たくないんで」
暦とちせからも背を押され、恐る恐る内海はスマホを手にする。
発信ボタンを押し、スマホを耳に当てて数コールおそらくは相手が出たのであろう内海が上ずった声を出した。
「蓮……! その……大丈夫だった、か? 今夜、大変だったからさ」
名を呼び、言葉を交わす。日常でやっている、何でもない事。
だがそれが、内海の心を揺さぶったのだろう、彼の眼から涙が滲んでくる。
「……どうしたって? いや、なんつーか……声聞いたら、安心しちまった……」
止められない感情に情けないという思いがかぶさるのか、それとも言葉の通りに安堵が勝るのか。
ぐちゃぐちゃになった顔を手で覆いながら内海は店の外に出る。
……聞かれたくない事がきっと沢山あるのだろう、誰もそれを止めようとはしなかった。
「ったく、何時まで経っても世話の焼ける奴だぜ」
ボラーの悪態がどこか優しいのは気のせいではあるまい。
マックスはそれにどこか満足気な視線を向けたのち、レックスに声をかける。
「レックス、我々はジャンクの修理と調整をする。手伝ってくれ」
「……ウッス!」
一つ、解決とまではいかないが物事が動けば他もそれに伴い動き出す。
ヴィットもサムライキャリバーも先の戦いの影響でボロボロになったジャンクに手を付け始めた。 - 118二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:03:34
「我々もサウンドラスに戻りましょうか」
「二代目……いえ、自分はここで響裕太の護衛を」
「ナイトくん」
未だに戦いの備えを解かぬナイトの胸に二代目は拳を当てて押し込む。すると、ナイトの体が少しばかり後ろに下がった。
「こんなくらいの力でもふら付くのにこれ以上無理をしてはいけませんよ。ナイトくんだって連戦だったんですから」
「それは……」
ナイトがアンチと名乗っていた頃から続く彼の弱点、内臓されているエネルギーの配分を間違えると容易く巨大化が解けてしまうという事。
今回の一件に関してはそこは相当に上手くやったと言える。勿論、ダイナゼノンや新世紀中学生との合体に助けられた部分も大きいだろうが、それを踏まえても連戦に続く連戦を戦い抜いた事に変わりはない。
だからこそ、その消耗は無視できないし無理をさせるのは決して良くない。
「今のナイトくんのやるべき事はしっかりと休養を取る事です。後は余裕がある私たちに任せてください」
「しかし、二代目。消耗しているのは二代目も同じなのでは」
「えぇ、否定しません……ですので、暦さんとちせさん、ちょっと手伝っていただけますか?」
「え……?」
「わ、私達ですか?」
「はい、お二人とも疲れているところ申し訳ありませんが、それでも一緒にやれば早く片付きますから」
当然の道理だ、一人よりも二人、二人よりも三人。力を合わせれば面倒な物事が面倒ではなくなる。
暦とちせは高いに顔を見合わせて頷くと、二代目の願いを快く引き受ける。
「まぁ、俺で役立てることがあるのなら」
「二代目さんがナイトさんの看病に専念できるようがんばっちゃうっすよ」
心強い言葉に、二代目は顔を綻ばせる。
「ありがとうございます。それじゃあ、ナイトくん」
三対一の多数決なんですからと二代目はナイトの背を押して店の外に出る。
それじゃあ皆さん頑張ってください、と明るく新世紀中学生達に声をかけてちせと暦もそれに続いた。
「あ、あれも、よ、よいパートナーを得た」
キャリバーの表情もどこか明るく嬉しそうだ。……その表情にどこか凄味と言うか、なんか妙な悪役面さがあるのはさておいて。
彼にとってナイトは弟子の様なもの、ならばナイトが良い縁に恵まれるのを喜ばない筈がない。 - 119二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:06:18
「へっ、あの連敗キッズが、わからねぇもんだな」
「それこそ、ボラーの言った人生にはダセェ時の方が多いと言う奴だ。彼は自分に寄り添ってくれる相手を見つけたのだろうさ」
マックスの感慨深げな一言に、ボラーは何とも言えない表情をする。
勢いで言ったらしくもない言葉とは勢いがなくなれば言った本人の居心地が悪くなるものなのだろう。
「あーそれはそうと、これどうします?」
レックスはジャンクの中を開きながら若干困った様子だ。
なにせグリッドマンと裕太が限界ギリギリまで戦ったのだ、ジャンクのダメージも生半可なモノではない。
直せないという事はないだろうが、さてそれは部品を交換すればの話だ。
「あるには、あるんだけどね」
「使ったら……マズいよなやっぱ」
ここはジャンクショップだ、古いPCのパーツも結構な数があってジャンクの修理に困るという事はない。
ただ、ここはジャンクショップだ、当然の事ながらこれらは商品で勝手に使うなんて事はあってはいけない。
アレクシスとの決戦前は緊急事態だったし店主もいたから何とかなっただけで、店主もおらず緊急事態でもない今にそれをやるのはさすがに憚られる。
「極力、店のジャンク品は使わないようにやるしかあるまい」
「使わないって断言はしない訳だ」
「そりゃ、ここまでダメージあると断言できないっすよ」
「パーツ使う事になったら、全員でママさんに土下座な」
「せ、誠心誠意謝れば、わ、解ってもらえるはずだ」
「ところでお前達、パーツ代は持っているか?」
何気なしにマックスは問うたのだろう、単なる話の流れと言う奴だ。気安い会話のはずなのだが、帰ってくるのは只の沈黙。
仲間達が黙々と作業しているように見えて、現実逃避をしているのを悟りマックスはため息を吐く。
「極力、使わないようにな」
もう一度繰り返し、マックス自身も作業に入る。本当ならば、店主である六花の母が返ってくるのを待てばよい。
だが一刻も早く、ジャンクを直しグリッドマンと裕太を合わせてやりたいという気持ちがどうしても勝るのだ。
そう、裕太も六花も内海もまた元気な姿を見せてくれると信じて。
その時にグリッドマンも一緒にいられるように、彼らはジャンクの修復に勤しむのであった。 - 120二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:07:33
南夢芽と麻中蓬は一つの扉の前にいた。
そこは宝多六花の兄が使っていたという部屋で、以前のユニバース事件においても蓬達男性陣が宿として借りていた部屋だ。
今は、この向こうに裕太と六花がいる。
「六花さん」
蓬が極力声を抑え呼びかける。だが反応が無い。
聞こえていないという事は無いはずだ、周囲は静寂が支配し布の擦れる音ですら聞こえてきそうな程である。
どうするか、と何気なしに扉に手をかけると何の抵抗も無い事に気が付いた。
鍵がかかっていない。
僅かな躊躇いの後、夢芽は意を決して扉を開ける。
「六花さん、入りますよ」
返事のないままそれでも部屋の中に二人は踏み込んだ。
そこあったのは、まさに泥の様に眠る裕太と傍らで見守る六花の姿。
予想していた、しかして実際に目にすればあまりにも重いそれに夢芽と蓬はあっという間に飲まれてしまう。
「六花、さん……」
「わかってる」
なんとかその空気に抵抗しようとした夢芽の一言に、六花は震える声で返す。
「私、強くならなきゃいけない……」
裕太を見つめながら、六花は胸の内の願いを紡ぐ。
「あの時、グリッドマンが裕太の気持ちを教えてくれてからずっと悩んでた。私は、裕太の事をよくは知らなかったから」
時間がかかってよかった。
あの時、そう言ったのは単に照れ隠しだったわけでは無い。
六花だって劇の脚本という形で過去を振り返って考えて悩んで、自らの命を顧みない裕太の背中を見て、そうして結論を出す為の時間が必要だった。
一番お互いの気持ちが熱せられていた時を過ぎても変わらず残ったそれを拾い上げて確かめて、だからこそ裕太の事が好きなのだと確信をもって言える。
「裕太に告白された時、大変な事になるのは解ってた。裕太は走り出しちゃう人だし、グリッドマンは私にとっても大事な友達」
裕太が傷つくのは嫌だ倒れる所なんか見たくない、置いていかないでほしい。
それは六花にとって当然の悩みと苦しみ。響裕太を好きになった故に生まれた影。
嗚呼、嘗て夢芽が言った冷静で居られたらそれは恋愛じゃないと言うのはその通りなのだろう。
裕太の事を良い所も悪い所も、ちょっと他人とは違う所も知ってそういう所も全部含めて好きになって、理性も情動もそれに染まって止められはしない。 - 121二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:08:26
だからこそ、六花を苛む影とて間違いなく六花の恋の形なのだ。
それを拒むというのであれば、裕太の告白を受け入れたりはしていない。
自分にも決して負けないように、強くなろう。
裕太と一緒に歩めるだけの勇気を持てるように。
ヒーローに恋をした少女の、切なる願い。
「けど、さ……」
痛みを耐えきれなくなったように、六花は夢芽に縋る。
胸の中で俯く六花を受け入れて、夢芽は蓬に視線を送ると蓬はそれを察したのだろう静かに部屋を後にした。
「ごめん、夢芽ちゃん、今だけ」
その言葉と同時に同時に嗚咽が漏れる。
内側から湧き出る悲しみを必死になって押しとどめ、それでも抱えきれずにあふれ出してしまうのだろう。
「……いいんですよ六花さん。強くなる事と泣かなくなることは多分別物だから」
夢芽は六花を優しく抱きしめる。
涙が誰にも見えないように、嗚咽が二人以外の誰にも聞こえないように。
少しづつ大きくなってゆく六花の涙の全てを、夢芽は胸の中で受け止めて。
二人の少女の時間はただ静かに過ぎゆくのであった。 - 122二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:11:12
それから、どれほどの時間が過ぎただろうか。
麻中蓬はリビングのソファに座り、大きくため息を吐いていた。
ここは蓬にとっても大切な場所だ。
新世紀中学生のレックスと成ったガウマとの再会の場であり、新しい仲間達との出会いの場であり、彼らと過ごした楽しかった日々を思い出させてくれる家。
カオス化によって齎された歪で半ば強制された楽しさであったが、それでもその過去が今の繋がりを作る礎なのは間違いないのだ。
そんな場所を仲間達を断ち切ろうとしたメフィラス星人に対する怒りと嫌悪は打ち勝った今でも消えてはいない。
いや、まだ本当に勝ったとは言い切れないのだろう。
絆と心に挑まれた戦いならばグリッドマン同盟が復活した時こそ、本当の勝利なのだ。
「蓬」
「夢芽……六花さんは?」
「泣きつかれて寝ちゃった」
「そっか……」
そうなれば、もう出来ることは無いだろう、後は時が来るのを待つしかない。
夢芽は蓬の隣に座り、頭を肩に預ける。
「……なんだか私、今回こういう役回りが多い気がする」
それは事実だろう。黒いアカネの時も彼女の悩みに一番寄り添っていたのが夢芽なのだから。
ある種、男にはできない事だろう。
どんなに強い気持ちと関係があっても、踏み込めないし踏み込んではならない領分なのかもしれない。
「あのさ……」
「大丈夫、六花さんは立ち直れるよ」
昨晩の逆で今度は蓬が言いたい事を夢芽が先んじる。
「そっか」
驚くようなことはしない。強い信頼が籠った言葉がもらえたのならばそれで良いのだろう。
「疲れたろ?」
「うん……だから、帰ったらいっぱい癒してもらうから」
「帰ったら?」
「そう、帰ったら」
それは全てが円満に終わったらという事だ。
蓬は微笑み、夢芽の手に自分の手を重ねる。
来る勝利の時を信じて待つように、ゆっくりと瞳を閉じた。 - 123二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:12:55
光は人を眠りより揺り起こす。
部屋の中に差し込む太陽は響裕太の体にエネルギーを注ぎ込むよう。
本当に活力を得たという訳ではないだろうが、それでも太陽によって裕太は目を覚ます。
胸に何かの重さを感じてぼやける視界を向ければ、そこには愛しい人の姿。
泣きはらした顔で、それでも安らかな寝息を立てる六花に自然と裕太のが伸びる。
指先がなぞるのは、涙の痕。どれほどの涙を流したのだろう、裕太にとって一番見たくない痕を消すように優しく触れる。
普段はこんな事できないのにな、と未だにぼやける頭で苦笑すると触れる感覚に依ってか六花もまた目を覚ますのだ。
「六花」
「……裕太!」
互いの名を呼び合う恋人たち。
弱くだが確かな笑顔を作る裕太に対し、六花は安堵と憂いを混ぜた顔を見せる。
「裕太、私……」
「よかった……記憶戻ったんだ」
「うん」
自分の頬に触れる手に六花は自分の手を添えて、その温かさを己の中に刻み込もうとする。
何故忘れていたのか信じられない程に大切な体温。
「裕太、ごめんね」
最初に口にするのは謝罪の言葉。
喩え他者の悪意によるものであろうと、一番大切な人を忘れていた罪と傷つけてしまった慚愧。
そして……
「ありがとう、私を取り戻してくれて」
裕太はいつでも戦いに赴く。皆が生きる世界を守るために、なにより六花が生きる世界を守るために。
それは紛れもない事実だから、心からの感謝と愛を告げる。
止めるのでも否定するのでもなく、何もできなくも一緒に走って行きたいから。
「うん」
「好きだよ裕太。この気持ちをもう二度と忘れない」
六花は裕太を抱きしめる。指先でも掌でも足りない、もっと裕太を感じて刻み込みたい。
「俺もだよ六花」
裕太もまた、六花を抱きしめる。取り戻したものを確かめるように、二度と奪われることが無い様に。
朝の光の祝福の中で二人の気持ちが一つになるのであった。 - 124二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:13:47
「お、来たな」
仲間達が集うジャンクショップ絢のカウンターでいの一番に裕太と六花に気が付いたのがレックスだった。
理由としては何ということは無い、出入り口に一番近い場所に陣取っていたからというものだ。
「大丈夫なのか?」
「おかげさまで、なんとか」
「そうか」
本当は未だに疲労が抜けきっていないであろうことを何と無しに察しながらもレックスは休んでいろとは言わない。
裕太にはやらなければならない事があるからだ。
「裕太」
仲間達が道を開ける。
その先に居たのは、裕太にとって無二の親友である内海だ。
今までにも幾度か見せてきた真剣な表情、内海が何か重大な事を心に決めた時の顔。
「すまなかった!」
直立不動のまま、体を90度曲げて内海は謝る。
大きくはっきりと誰の耳にも聞き間違えることが無いような声で。
「内海」
「いや! 謝らせてくれ。これは、俺のケジメなんだ、お前と一緒にいるって約束したのにそれを破った事への」
内海の友情もまた大きく重い。
いや、方向性が違うだけで想いの大きさで言ったら六花の恋にも負けてはいないかもしれない。
只のどこにでもいる友達関係から始まり、軽い気持ちで始めた同盟関係を経て内海は裕太の大きさと強さを知った。
内海だって裕太の事を護りたいのだ、その為に一緒に居ると約束したのにそれを忘れてしまった。
他者の悪意によるものだとしても、それを割り切ってしまえるほどに内海は器用な人間ではない。
「大丈夫、記憶がない時も内海は内海だったよ……それは、六花もそう」
裕太が親友と恋人を交互に見つめる。
「最初、俺に関する記憶が封印されてすっごい戸惑ったし悲しかったけど、二人は俺の知ってる二人だった」
「裕太……」
「だから、俺は戦えた。二人が、きっと戻ってきてくれるって信じていたから」
それは、裕太にとってのいつもの事だ。
六花と内海が居てくれるから戦える。今回はその距離がただ遠かっただけの事。
「ありがとう内海、俺と一緒に戦ってくれて」 - 125二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:15:00
「裕太、お前……」
内海は滲む涙を乱暴に拭う。
「そんなこと言われたら、俺何にも言えねぇじゃねぇかよ」
少し悔し気な、それでも親友の赦しに対する無上の感謝を込めて内海は呟いた。
仲間達は互いに顔を見合わせ、笑顔で頷き合う。
今ここに、グリッドマン同盟は復活を果たしたのだ。
『裕太、私からも遅れたことを謝罪させてほしい』
修復の間に合ったジャンクからグリッドマンが語りかける。
裕太はそれに頷くと、しかして逆に感謝を述べた。
「そんな事ないよ、グリッドマンは俺を必死に助けようとしてくれてたじゃないか」
怪獣に変じた時、アクセプターを通じて掛けらてたグリッドマンの声にどれだけ奮い立たせてもらった事か。
そしてそれはこの場にいる全員も同じことだ。
「ありがとう、グリッドマン。それにマックスさんにボラーさんに、ヴィットさんにキャリバーさんも」
新世紀中学生の面々が誇らしく胸を張る。
「ナイトさんと、二代目さんにも」
やるべき事をやっただけと言いたげなナイトと、感謝は素直に受け取るものですよと笑う二代目。
「レックスさん、暦さん、ちせちゃん」
満面の笑みを浮かべるガウマ隊。
「そして、蓬に夢芽さんも、本当にありがとう」
蓬と夢芽は互いに顔を見合わせる。伝えなければならない事を確かめ合う様に。
「裕太、実はさ今回の事で力を貸してくれた人たちがまだいるんだ」
「うん、新条さんとアカネさん」
出てきたな前に一番に反応したのは六花だった。
「アカネが……?」
「あ、いやでもなんか今の言い回し変じゃないか? なんか、新条が二人いるみたいな」
「えぇ、だから話したい事沢山あるんです」
夢芽はどこか待ち遠しそうにそう告げる、蓬もまた同じような顔をしているのだ。
どんな話なのだろうか? 裕太達を助けるまでの短くも波乱に満ちた冒険の物語は未だに仲間達全員には共有されてはおらず、だからこそ興味を引く。 - 126二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:17:37
『蓬達も、何か出会いがあったのだな』
グリッドマンもまた感慨深げに頷いた。
『裕太、私も懐かしい友と再会した。彼女の助けが無ければ、私は倒れていたかもしれない……だからこそ君に伝えたい、私が出会ってきた人たちの話を』
「うん、蓬達の話もグリッドマンの話も聞かせてほしい。俺を助ける為に力を貸してくれた人たちの事、全部覚えていたい」
語られることはきっと多いだろう。
けれども、それを余すことなく知っておきたい。遠い場所に居ても顔も知らなくても、その人たちはきっと仲間なのだから。
仲間の事を知りたいのは当然の事だ。
『あぁ、怪獣墓場に行く前に君に全てを伝えよう』
嬉しそうなグリッドマン。
だが、そこに以外……でもない反応をした者がいた。
「怪獣墓場? 今、怪獣墓場って言ったかグリッドマン!?」
ジャンクに掴みかかるような勢いで迫ったのは、ほかならぬ内海である。
『そうだ、実を言うとメフィラス星人は死んでいるわけでは無い。力を極力削いでかつてのアレクシスの様に封印してあるのだ、これから怪獣墓場に連行して更なる封印を……』
「グリッドマンは怪獣墓場に言った事あるのか!?」
『う、うむ……何度かある、そしてそこで友に再会……』
内海に気圧されるグリッドマンという中々に見ない光景に裕太も六花も呆然とする。
ここまで反応するからには、怪獣墓場とはなにかウルトラシリーズに関係する場所何だろうか?
そんな疑問を余所に、また気の抜ける様な事を言い出したのは暦だった。
「そういえばガウマさん、俺まだガウマさんに聞いてない事あるんですけど」
「なんだよ」
「ほら、ダイナストライカーのなんか光弾連射する奴、アレの名前、俺教えてもらってないんです」
「先輩、それ今聞きます?」
「いや、なんか唐突に気になって」
「……フィンガーフォトン弾だろ」
「え、そうなんですか?」
「言ってなかったか?」
「聞いて無かったです」
誰かがプッと吹き出す。
真面目な話をしていたのに、急に緩い話を突っ込まれた落差がバカバカしかったのだろう。
けれどそれを皮切りに、笑い声がそこかしこから起る。最初は遠慮がちに、次第に大きく。 - 127二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:18:36
- 128二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:22:56
これにてグリッドマンVSメフィラス星人本編完結になります
GW中に完結させるなどと言う甘すぎる見通して初めて三か月もかかると言う長丁場になってしまいましたが
今までお付き合いいただいた皆様に本当に感謝したいと思います
後、なんか要望があったので次はコメディな後日談になります
それではありがとうございました - 129二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:25:47
- 130二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 02:27:25
遂に...遂に完結した(´;ω;`)
おめでとう。そしてお疲れ様でした
後でじっくり読みます! - 131二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 06:21:13
このレスは削除されています
- 132二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 08:02:43
もっとこの二次創作を見てもらいたい
- 133二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 08:47:52
めちゃくちゃ面白かった
いいもん見せてくれてありがとう - 134二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 09:08:52
最高だった
- 135二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 17:07:38
ありがとうございます。
- 136二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 19:01:53
完結お疲れ様でした
良いSSをありがとうございました!
読み返しのためと、多くの人に読まれて欲しいと思うので
pixivにまとめて頂けるとありがたいです。 - 137二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 23:24:35
良質なクロスオーバーをありがとう……ありがとう……
- 138二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 08:08:47
ほしゅ
- 139二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 08:10:13
後で感想コメしたかったから保守ありがとう
- 140二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 17:34:44
ピクシブなどでの再投稿の予定はありますか?
- 141二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 23:39:03
このレスは削除されています
- 142二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:40:30
良く晴れた午後のけだるい教室、そこに4人の少女が集まっている。
一人の少女が両腕を汲んで仁王立ちをし、他三人はまたなんか考え付いたなこいつと言いたげに視線を向けていた。
「よく集まってくれたわね、ゴン!ジャック!ババン!」
凡そ少女のものとも思えぬ……ニックネームにしたってそれは無いだろうという名前を仁王立ちの少女は告げる。
「いや、集まったって私達同じ教室」
「私、デートの約束あるんだけど」
「まぁまぁ、それでギラさん、ご用件というのは?」
ゴンとババンがあきれた様子をみせて、ジャックは一応それをなだめる。
ギラと呼ばれた少女は「ふふん」とどこか得意げにスマホに似た端末を掲げたのだ。
「見てよ、これ!」
「ん?んー……あーこれ?」
「私の端末にも来たよ。なんか事件があったから巡回が来るんだっけ?」
「物騒ですよね……こっちに来ないでくれるといいんですけど」
「んで、これがどうしたのさ」
「決まってるじゃない!この巡回を見に行くのよ!」
何を言っているんだろう、と三人は呆れた顔をするもギラは一向に気にした様子を見せない。
まさに気炎万丈、一旦やる気になるととことんまで盛り上がろうとする厄介極まりない性格を三人は良く知ってはいるが、さりとて時に迷惑なのは変わりなかった。
「なんで?」
「そんなの観たいからに決まってるじゃん」
「嫌だから何で」
「いい? 私達グリッドマンしか知らない訳よ」
「それが?」
「他のヒーローを観て見たくない!?」
「帰っていい?」
「ちょっとゴングリー! 人の話聞いてるの!?」
「なにさ、グールギラスだけで観に行けばいいじゃん、バジャックもデバダダンもそう思うでしょ?」
「うん」
「まぁ、はい」
「えええええ!?」
「うっさいなぁ」 - 143二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:41:34
絶叫するグールギラスにゴングリーが心底うんざりした表情を浮かべる。
「だいたいさぁ、なんでヒーロー見たい訳?」
「だって先輩たちは色んなヒーロー知ってるじゃない!ウルトラマンにウルトラセブンに帰ってきたウルトラマンジャック二世に…なんか、羨ましい」
「一人で行けばいいじゃん」
「それは……怖い」
「はぁ?」
「いやだって怪獣墓場だよ!?」
「別に幽霊が……いるにはいるけど正体解ってるし襲ってこないし大丈夫じゃない?」
「それは……そうなんだけど」
「私たちの創造主はお墓大好きなのにね」
「怪獣墓場なんて知ったら大喜びで入ってゆきそうですよね」
「それだよ!」
「なんだよ」
「私たちはアカネの情動から生まれた怪獣じゃない!」
「今は怪獣娘ですけど」
「バジャック意外と細かい」
「どっちにしたって、アカネの想いが私たちの中にはあるわけ」
「あんまり認めたくないですけど」
「バジャック意外と酷い」
「だったらさ!」
「話拗れそうだからってスルーしたよこの子」
「アカネのヒーローへの憧れは私たちの中にも確実にあるんだよ! 思い出してよ、皆に込められた思い!」
「え、私に込められた情動は、ぶっコロすぞなんだけど」
「私は、お前消してやる」
「来ないで、としか言われてません」
「改めるとホント酷いな私たちの創造主」
「そうじゃなくて、皆はグリッドマンを倒す目的もあって生まれてきたんでしょ!?」
「グールギラスは違うけどね」
「デバダダン、ゴングリーが虐める!」
「はいはい、ダメだよゴングリー」 - 144二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:43:55
「はーい、反省してまーす」
「うぅ……くそっ、負けないぞ……私たちはアカネから生まれたんだから、アカネのダメな部分だけじゃない情動だってどこかにある筈なんだ」
「暗にアカネの事ディスってない?」
「いいから! 皆、胸に手を当ててよぉく考えて。ヒーロー……見たいでしょ!?」
「……」
「……」
「……まぁ、見たいか見たくないかと言ったら見てみたい気もしますけど」
「だよねバジャック!」
「えぇ……本気?」
「私も、付いて行っていいかなって」
「デバダダンまでさぁ」
「ゴングリーは残ればいいじゃん? デートあるんだし」
「……なんか、逆に私だけ残される流れになってる」
「どうするの?」
「え……う、うーん……それじゃあ、行く」
「割とあっさり」
「ちょっと孤高を気取っててもなんやかんや言って集団に属してる人は流されやすいもんだよ」
「よし! それじゃあ、皆でこれから怪獣墓場に!」
「何処に行くって?」
ぐだぐだな会話の末ようやっと話が纏まりかけたところに水を差す者が現れる。
聞き覚えのあるその声に、ひぇっと4人が振り返ればそこには大御所中の大御所が居た。
「め、メフィラス先輩……!」
そう、かの「そうだろうねぇ」でお馴染み、今や押しも押されぬウルトラマンのライバル・メフィラスである。
その策謀紳士的な振る舞い、暴力を嫌い素直に敗北を認める潔さ……
全てにおいてまさに強豪宇宙人なのはまぁ間違いないんだけど、よくよく考えるとサトル少年に酷いことしてない?
子供相手に脅迫懐柔ってそれはそれで大人げないっていうか、そりゃ悪質宇宙人呼ばわりやむなしだよね。
むしろ山本メフィラスってメフィラスの事を滅茶苦茶美化しまくってて、あとあとウルトラマン本編見返すと割とろくでもないなこの人というギャップもすごい。
そんな大物である。色々な意味で立ち位置が特殊過ぎるグールギラス達からしてみれば雲の上の存在だ。 - 145二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:45:02
「お前達、怪獣墓場に行くとか言っていたな」
「え、いやその」
「言ったような言ってないような」
「き、気のせいじゃないですか?」
「っていうか、なんかメフィラス先輩姿と性格違くない? 私たちの知ってるメフィラス先輩ってなんていうかこうアホっぽいっていうか」
「誰がアホだ!私はIQ1万だぞ!」
「うぇぇ、すいません!」
「とにかくお前達、スマホの通達は見ただろう! 今怪獣墓場は非常に危険なんだ、絶対に観に行こうとするな!」
「でも、先輩、ヒーローが来てるって」
「グールギラス……良い事を教えてやろう」
「は、はい?」
「昭和を舐めるな! なんだかんだ言って首切断唐竹割ドロドロに溶かされると何でもありの残虐ファイトが日常茶飯事、それが昭和ヒーローだ! お前の首をもがれたなんて可愛いもんだぞ!」
「それもなんか大袈裟な」
「今来てる奴はそれが大げさじゃないんだよ! めった刺しにされたくなかったら、警告は守れ!いいな!?」
「あの、もしかして来てるヒーローって」
「……想像の通り赤い通り魔だ」
4人は顔を見合わせる。
その異名を怪獣娘たちの怪談話としてよく聞かされてきた。
全身を怪獣達の血で染め上げた恐ろしい殺戮の申し子……
「わかりました!」
「絶対に!」
「怪獣墓場には!」
「行きません!」
「よし、判ればいいんだ判れば」 - 146二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:46:52
青い顔をする4人に、メフィラスはうんうんと頷いてその場を後にする。
ちらりと様子を見れば、なんかだか気が抜けたのだろう4人とも解散して別々の方角に歩き出していた。
これならばもう変な気は起こすまいとメフィラスは安堵する。
「それにしても……」
誰か知らないが、面倒な事を起こしてくれた。
最近はマルチバース間を自在に行き来できるようになったせいか、あちこちで事件と問題が起きているそうだ。
特にアブソリューティアンなる連中が厄介極まりなく、宇宙警備隊もギャラクシーレスキューフォースも銀河連邦もてんてこ舞いとの事で、手の空いている人材がいない。
……だからと言って、よりにもよってあいつを派遣しなくてもいいじゃないかと言いたいが。
いや、むしろあいつならば物事を手早く、シンプルにかたずけてくれるから助かるのかもしれない。
「だれが怪獣墓場で怪獣を復活させるなんて事を……どうせ、未だに力押しの古臭い侵略にばかりこだわる奴だろう」
やはり人の心に訴えかける侵略こそが至上のそれだ。
自分の意思で渡すと口にさせてこそ、価値があるというもの。
マンダリン草を使った二代目もそうだが、記憶消去と洗脳の三代目もどこかずれている。
「ふん、見ていろ私は諦めないからな」
ちょっと得意げに胸を張ってメフィラスもまたその場を後にしたのであった。 - 147二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:50:13
そしてその怪獣墓場にて嵐が巻き起こる。
何処からか大量の怨念を含んだエネルギーがある場所を目指し収束し始めていたのだ。
エネルギーは螺旋を描き、怪獣墓場の岸壁を抉る。
紅いグリッドによって何重にも施された防壁すら浸食して、やがてエネルギーはその最奥にある黒い炎に注がれてゆく。
炎が大きくなってゆく。いや、そればかりではない、だんだんと人の形を形成してゆくではないか。
全てのエネルギーが炎に呑まれた時、そこに現れたのはメフィラス星人であった。
「ふ……ふははははははははは! 成功したぞ! いざという時の為、保険をかけておいたが正解だったようだ!」
これはいったい如何なることか?
実はメフィラス星人はジャイガンターを復活させたとき、ある仕掛けを施しておいたのだ。
それはジャイガンターのエネルギーがメフィラス星人に反応するというものである。
どんなに微弱であってもメフィラス星人を感知すれば、そこを目掛けてエネルギーが集まる様にしておいた。
ジャイガンターがグリッドマンを倒せればよし、負けたとしても残ったエネルギーを活用するという二段構えの策略である。
「ふふふふ、グリッドマンめ話の通りに甘い。私を完全に殺すのではなく、封印に留めるとは」
極めてどうしようもない状況を除き、グリッドマンは命を殺めない。
そんな情報を基に掛けた保険であったが、この場合は見事に役にやった。
「とはいえ、万全とはいかぬか」
自分の体を見て、メフィラスは忌々し気に呟く。
体はなんというか皺が寄ってヨレヨレ、鏡が無いので確認できないが顔もなんかのっぺりしていてパチモノ感が漂う。
無理な復活の代償である。
「だがよい、どこか適当な星に潜伏しじっくり傷を癒して再び作戦を練るのだ」
響裕太のみならず宝多六花も内海将の事も侮っていたのは認めざるを得ない。
更にはガウマ隊もグリッドナイト同盟も厄介極まりない。
だが失敗は成功の母だ、次においてはあの三人のみならず全員を狙って分断してしまおう。
こんどこそ、誰からも助けを得られぬようにしてやるのだ。
「まっておれグリッドマン、そして響裕太、二度も不覚をとる私では……」
そこまで言いかけて、何かが落ちてきた事に気が付く。 - 148二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:53:20
なにか?と思い視線を向けると、そこには金色の鎧を纏った兵士が倒れているではないか。
「これは……アブソリューティアンか?」
たしか、アブソリューティアンの一般兵がこのような装備をしていたはずだ。
しかし、何故ここにアブソリューティアンが?と疑問に思う前に、またしても兵士が落ちてくる。
「な、なんだ!?」
一人二人ではない、次々と落ちてくるアブソリューティアン兵。
その全てが絶命している。
さしものメフィラス星人とて尋常ならざる事態に平静を欠き、崖の上に視線を向けた。
そこにいたのは
真っ赤な一人の巨人
燃えるようなと言えば聞こえはいいし、紛れもない正義なのであろう。
しかし、容赦も慈悲もない、悪を観たのならば即座にそれを消去にかかる恐怖の形。
無論、メフィラスの様な存在を見逃す通りは一切なく……
刃を掲げ、それは高らかに死を宣告するのであった。
「レ ッ ド フ ァ イ ッ !!」
「お……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!????」
メフィラスの悲鳴が怪獣墓場に響く。
あんまりにもあっけない、彼の最後であった。 - 149二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 01:55:32
という訳で、後日談のコメディ編でした
これにて本当にこの作品はおしまいです
渋には……どうしようかな上げるかどうかは迷っています
気が向いたらやるかもしれません
今まで本当にありがとうございました - 150二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 02:28:25
乙!
レ ッ ド フ ァ イ ッ !! - 151二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 02:39:40
よっっしゃああwww
- 152二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 08:11:59
- 153二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:13:03
過去スレ全部お気に入りしておきました
とても楽しかったです! - 154二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 06:18:06
>>152 謎に続編を匂わすスタイル
- 155二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 13:17:46
乙
- 156二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 23:31:05
2スレ辺りでスレ落としてそこから数週間音沙汰無しだった時はもうダメかと思ったけど、完結までこれたね
- 157二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 07:52:48
いつかPixivに上げてもらえたら嬉しいです
- 158二次元好きの匿名さん23/09/01(金) 17:29:38
この掲示板だけのSSにとどまるの勿体ないから応援する
- 159二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 02:29:32
ハピエン至上主義さんと並んでこのカテ優秀な2次創作者多くて助かる
- 160二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 12:58:22
結構どう書くかって最初からある程度決めていたのかな?書いてる最中に付け足した部分とか色々とありそう
- 161二次元好きの匿名さん23/09/02(土) 22:07:08
完走まで上げてたくさんの人の目に留まってもらうようにする保守
- 162二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 09:12:30
>>161 ありがとう
- 163二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 19:35:16
1から読み始めるの大変そう
- 164二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:43:13
とりあえず完走まで保守してその間に感想コメ増えたら良いな
- 165二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 16:38:09
保守
- 166二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 00:08:06
保守
- 167二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 07:31:43
- 168二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 17:59:39
俺このSSのおかげでダイアクロンにめっちゃ興味湧いたから凄く感謝してる
- 169二次元好きの匿名さん23/09/05(火) 23:31:31
保守だけするのも何なので、個人的ここ好きポイント
PART1のレス56の
「人目に付かない暗がりを行き、車の音がするたびに心臓が跳ね上がる逃避行を重ね、街のはずれにある水門に流れ着く」のところが好き
あの裕太が車の音にまで怯えるようになってしまった異常事態に、「ゲーム」が始まってからの裕太がどんな扱いをされてきたのかを想像できるし、そう仕向けたメフィラス星人の悪辣さも高まる - 170二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 00:50:01
残り30レスを全部保守してもらうというのも心苦しいので適宜返信をば
プロト版から大筋は変えない事は決めてたので、概ねどう書くかは最初から決まってました。
けど、黒アカネちゃんを登場させた事で、黒アカネちゃんに関する描写を大量に増やしまくる事になり
そういう意味ではSIDE:DYNAZENONは付け足しまくりのパートになりました。
ダイアクロンは格好いマシン沢山でいいですよね!と言っても、高額トイなので自分は手がでてなかったりするんですが
小さな巨人ミクロマンやトランスフォーマーを観て好きだったので、その源流であるダイアクロンとグリッドマンのコラボネタ使わないの勿体ないなと思ってSIDE:DIACLONEを書きました
後は、忘却によって追い詰められる裕太を、忘れられた人や忘れてしまった人が助けに来るという構図が面白いなというのもSIDE:DIACLONEを書いた理由です。
ありがとうございます
裕太が追い詰められる場面に関しては細かく書こうとすると冗長になるし諄いし話が暗くなりすぎるというので内海と六花さんに拒絶される場面以外は省きました
とは言え、そのままでは逆に軽すぎるので日常の何でもない音に恐怖するというのは、裕太の状況の顕れとして狙った通りです
渋に関しては希望されてる方もいるで上げる方向で決めました
もう少しして別件というかルビコンでの戦いに一段落したら上げていく予定です
それでは、今回はこの辺で
- 171二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 08:54:24
序盤の裕太と六花の衝突と後々公園でのシーンがめっちゃ好きです
- 172二次元好きの匿名さん23/09/06(水) 20:52:33
保守
- 173二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 06:38:04
プロトタイプ版から読んでましたと古参アピ
- 174二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 15:06:49
スレにちょくちょく出てくるレッドマン好き
- 175二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:33:03
幼い頃メビウスを見た時のイライラしながら見てた気持ち悪さの再現度がこれでもかと裕太を追い詰めるのがこのスレにハマるトリガーでしたね。
それから3ヶ月、長かった - 176二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 05:39:13
- 177二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 14:57:15
このレスは削除されています
- 178二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 00:41:26
保守
- 179二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 10:49:59
ノベライズ未読で黒アカネのことほとんど知らなくて、このスレで色々と興味出てきました
- 180二次元好きの匿名さん23/09/09(土) 22:36:23
- 181二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 09:43:24
頑張れ応援の保守
- 182二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 20:28:50
- 183二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 20:42:59
落ちのレッドファイ!までしてくれて感謝しかない
お疲れ様でした
渋にあげてくれたらめっちゃうれしいです - 184二次元好きの匿名さん23/09/10(日) 23:37:22
保守
- 185二次元好きの匿名さん23/09/11(月) 10:35:18
保守
- 18618023/09/11(月) 19:53:08
- 187二次元好きの匿名さん23/09/12(火) 00:12:32
この度、ルビコンの戦いにケリがついたので改めて渋に投稿することにしました
一気にではなく、順次公開していく予定です
よろしくお願いします
「グリッドマンVSメフィラス星人」/「つめきり」のシリーズ [pixiv]マッドオリジンの引き起こしたユニバース事件終結後、平和を取り戻したツツジ台 しかし、ある時彼が目覚めると宝多六花と内海将は裕太の事を忘れ去っていた!? 戸惑う裕太の前に現れる黒い異星人 ふふふふふ、響裕太君、私とゲームをしようではないか グリッドマン同盟の絆を砕かんとするメフィラ...www.pixiv.net - 188二次元好きの匿名さん23/09/12(火) 07:38:53
やったぜ保守
スレ主ありがとう! - 189二次元好きの匿名さん23/09/12(火) 17:23:03
シブで投稿感謝!これからも応援する
- 190二次元好きの匿名さん23/09/13(水) 01:42:42
そろそろ200か
- 191二次元好きの匿名さん23/09/13(水) 11:45:52
残りレス数とピクシブでこのSS読者が増えることを願う
- 192二次元好きの匿名さん23/09/13(水) 22:34:58
保守
- 193二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 08:44:10
保守
- 194二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 18:00:20
- 195二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 00:19:18
保守
- 196二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 10:43:50
すっっっごく今更この作品の為のファンアートが描きたくなった...映画のポスター的なキービジュ的なのが欲しい
- 197二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 21:05:37
もうそろそろ200
- 198二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 22:43:26
スレの最後に返信をしたいと思います
あそこは映画での告白失敗と成功の反対シチュエーションを意識して書きました
やっぱり六花さんと向き合う時の裕太はアクセプターを着けてちゃいダメだと思うので
最初はアクセプターを外す勇気を持てなかったけど、次はちゃんとその勇気が持てる本当の裕太って感じです
あの時は深夜と夜明けのテンションで書き上げました
マジで自分としては酷い出来だったのでどうしても書き直したいと思って、まさか三か月もかかるとは思いませんでした…
なぜこうもグリッドマン関連のスレにはレッドマンが出てくるのか……
自分もリアルタイムでの初めてのウルトラマンがメビウスだったので、メフィラスというと三代目のイメージです
アレもキャラが後の作品でコロコロ変わるので、ある意味でこの作品での「こういうメフィラスだっていいじゃん」という開き直りの根拠になってます
い、一応他のヒーローの制止をちゃんと受け入れる度量ぐらいはレッドマンにもありますから……
ノベライズでの黒アカネちゃんは中々面白いキャラをしてると思います
アカネちゃんのコピーであるためにアカネちゃんの行動をトレースすることを強要されてるようで
その実アカネちゃんのそれを最初から逸脱し、六花さんに執着を見せる一方で裕太には助けを求め
その全てを本人が良く解ってないまま、色々遠回りしながら最後は普通の女の子になる
今回のヒロインとして選びましたが正解でした、おかげでSIDE:DYNAZENONがエライ量になってしまいましたが
- 199二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 22:43:51
- 200二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 22:45:40
渋の方は毎日22時頃での投稿を予定しています
よろしければ、そちらもお願いいたします
読んでくれた皆さまには感謝しかありません
長い間のお付き合い、お疲れさまでした
それでは