釘崎の関係者生やしたい(ダイス) その7

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:03:55

    伏黒・・・どんまい!

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:04:43

    盾乙

  • 3二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:04:57

    乙〜

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:05:17

    いつのまにか7スレ目

  • 5二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:05:51

    フッシー…ドンマイ

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:13:19

    禪院の話跨ぎそう・・・

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:17:36

    >>6

    YES…そうだったね

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:24:59

    >>6

    正解!

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:34:21

    ちょっとした会話程度の感覚だったのに・・・!




    直毘人「馬鹿息子は能力はあるが魅力がない、扇はもちろんダメだ。あれは話にならん」
    真希「だろうな」

    扇に関しては両者ばっさりである。真希にとっても直毘人にとっても京極家に関しては扇は厄ネタでしかない。

    直毘人「術師として優秀なだけでは組織としての禪院家を束ねていくのは無理だ、アニメーターだけではいいアニメが作れんようにな」

    真希は黙って聞きつつも直毘人がまともな事をしゃべり続けているのに内心驚いていた。
    普段から禪院家は一般人が被害を受けたりしても無視することが多い中で彼がこんなまともな事を考えていたとは思ってもみなかったのである。

    直毘人「ワシは京極の血に流れる不撓不屈の精神が欲しい、格上の呪霊にも怯まぬあの胆力が」
    真希「不撓不屈・・・ね」
    直毘人「左様、きっと京極の倅の子も似たような性質を持つだろうて」

    真希の記憶の中の夏彦は確かに直毘人の言う不撓不屈の精神の持ち主だった。独りぼっちになってもくじけずに努力を続ける姿、そして困難にあっても決して怯まない大胆な精神。それが血筋であるというのなら確かにそれは才能とすら言える。

    真希「で、勝弘さんみたいな人が多いとして・・・それで、何が言いたいんだよ?」
    直毘人「わからんか?京極の倅をこましてこいというんだ」

    真希は飲んでいた茶を盛大に噴出した。

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:35:19

    扇草

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:36:09

    真希さんのあはーんうふーんが見れると言うのか…

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:36:30

    >>11

    ※棒読みです

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:37:53

    >>11

    好感度の表的にいうとこまされる方の真希ちゃんにできるのだろうか・・・?

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:52:41

    真希「馬鹿じゃねーのか!」
    直毘人「京極の倅を落として子を儲けてこい」

    そしたら当主の座でもなんでもくれてやるぞ!と直毘人は呵呵大笑した。

    真希「ふざけやがって!」
    直毘人「おふざけでこんな提案ができるか!あいつの血にはそれだけ価値がある!」
    真希「馬鹿みたいな事を大声で叫びやがって・・・!」

    真希は耐えかねて立ち上がり、部屋を出ようとしたがその際にも

    直毘人「いいか!多ければ多いほどいいぞ!ワシは京極家の縁者を歓迎する!勝弘のようにな!」

    直毘人の声が響いてきて、真希は顔を真っ赤にしながら逃げるように料亭を出た。





    直毘人の遺書に『京極家が相手の場合に限り、禪院真希・真依の両名の婚約に一切の口を挟むべからず。両名どちらかが京極家の子を産んだ場合、親子ともども当主に据えるべし』という文言が足されたのはまた別の話。
    真希がその文言を見て発狂したのもまた別の話。

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 00:07:00

    今日はここまでにしときます。またちょくちょく過去の会話とかを挟むかもしれません。
    掘り下げのリクエストとかあれば拾えるタイミングで拾っていきますので気軽にどうぞ~

  • 16二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 00:13:47

    はーいお疲れっぢ

  • 17二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 00:16:41

    下衆の勘繰りだけどもしかしてそっち系の復興(物理)なんじゃ…

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 00:17:37

    >>17

    跡継ぎが沢山増えるね!…て事?…うわ

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 00:17:53

    >>18

    もしかしてだけどねもしかして

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 08:31:42

    保守域展開

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 08:32:26

    過去スレありますか?

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 08:58:53
  • 23二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 09:00:21

    >>22ありがとうございます

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 18:39:01

    このレスは削除されています

  • 25二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:30:44

    再開します!

    釘崎が目を覚ましたのはどれくらいたったころだろうか。気が付くと自分は箱の中に押し込められていることが分かった。

    釘崎(棺桶くらいの大きさかしら)

    自分で言って不吉すぎると思いつつ身をよじる。蓋は頑丈だが他は毛布が詰め込まれており、さながら壊れ物を梱包しているかのようだ。

    釘崎(とりあえず私をすぐにどうこうするってつもりはないのね・・・)

    時折伝わる振動、どうやら移動しているらしい。しかも車?だ。釘崎は五感を研ぎ澄まして周囲から情報を集めようとする。移動中に車が揺れた時、ガタンと揺れる音とともに

    「ぐっ」

    という誰かの声が聞こえた。

    釘崎(誰か一緒に掴まってる・・・?もしかして夏?真希さん?)

  • 26二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:32:45

    ハジマタ

  • 27二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:53:09

    釘崎は声を掛けようと思ったが、少し考えた。このまま声をかけてもし自分の想像と違う人物だったら?
    そもそも声を上げたのが誰かもわからないのだ。

    釘崎(もう少し大人しくしてるべきか・・・)

    仰向けになり、もう少しだけ待つか・・・と考えると何故かまた眠気が・・・。








    真希「おい、起きろ釘崎!」
    釘崎「んゅ・・・?」
    真希「可愛い声だしやがって!起きろ!」

    次に目が覚めたのは日本庭園のど真ん中。椅子に縛り付けられた状態だった。

    真希「気が付いたか?ぐっすりだったぞ」
    釘崎「そうなんですか・・・?そういえば、なんか吸い込んだ気が・・・」

    実際は溜まった疲れと寝不足が解消されただけだったのだが。それでもまだぽやぽやしたままの釘崎に真希は呆れながら自由に動く首だけで周囲を伺う。

    真希「ここ、京極家の屋敷じゃねえか?」
    釘崎「くぁ~・・・」
    真希「・・・危機感なさすぎだろ・・・」

    コイツは役に立ちそうもないな、と真希は釘崎を放置して現状を整理し始めた。

  • 28二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:54:11

    カワよ

  • 29二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:56:03

    んゅ…と言っていいのは釘崎みたいな可愛い子だけなんよ
    甚一君や夜蛾学長が言ったら隠匿死刑確実なんよ

  • 30二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:57:07

    >>29

    貴様ー!やがせんが可愛くないと申すか!!あっ…ブサイクメテオさんは下がってもろて…

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:57:21

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 22:59:08

    全身の体毛を得る代わりに顔面偏差値と人権を失った男

  • 33二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 23:13:58

    真希(捕まってどれくらい経つのかわからんが・・・ここが京極家の屋敷なら私達は京都まで連れてこられたってことだ・・・)

    そうなると東京校の同級生たちがこちらに助けにくることは残念ながら難しいだろう。そうなると京都校の面々か、東京校のメンツが異変に気付いて京都に連絡を入れてくれればいいのだが・・・。

    正明「おや、お目覚めですか」

    思考を巡らせていると黒幕こと正明がやってきた。真希は殺気を飛ばし、椅子を蹴って立ち上がろうとしたが真希を縛っている縄はどうやら呪術的な強化がされているらしくビクともしない。

    正明「相変わらず元気なお嬢さんだ、あまり暴れると傷がついてしまう。それはよろしくない」
    真希「はっ!私たちをどうしようってんだ?」
    正明「そうですね、まあ知らぬままというわけにもいきませんし・・・単刀直入に言いましょう」

    釘崎もさすがに眠気が吹っ飛んだのか鋭い目つきで正明を睨んでいる。真希は正明が思惑を明かすことに内心驚きつつも続きを促すように沈黙した。

    正明「二人には夏彦君と結婚してもらいます」
    真希「・・・は?」
    正明「京極家の未来の為に二人・・・正確には三人、ですがね」

  • 34二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 23:42:27

    釘崎「結婚?なんで私達が?」
    真希「そうだそうだ!っていうか重婚だろ!」
    正明「そうですね、法的な手続きに則ってすれば犯罪でしょう。ですが家族に迎える呪術的な儀式としての婚姻は別段なにも問題はありませんよ?」

    そもそもそれを言えば君たちはまだ未成年じゃありませんか。と正論を返されて二人は口ごもった。
    真希も本題はそこじゃないと頭を切り替えて質問を変えることにした。

    真希「結婚するだけならなにもこんな無理矢理しなくてもよかったじゃねえか、何か裏があるんだろ!」
    正明「裏・・・ですか、そうですねぇ。特にありません。しいて言えば京極家の未来のためということでしょうか」
    釘崎「京極家の・・・?」

    釘崎の問いかけに正明は少しだけ寂しそうに答える。

    正明「そうです、真希さんはご存じですね?この屋敷が昔、活気にあふれ・・・笑い声の絶えないにぎやかな屋敷だったことを」
    真希「覚えてるよ・・・」
    正明「あの賑わいを知っているから、そして京極家が代々受け継いできた務めを知っているからこそ・・・私は今一度京極家を再興するべきだと思っています」

    真希が普段から見せたことがないような寂しそうな表情に釘崎は改めて屋敷を見渡した。
    当然ながら今のあまり自然とは言い難い状況を見て騒ぐものも咎めるものもいない。屋敷はそもそも人の気配がまったくないといっていい。

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 00:16:44

    だめだ、眠い・・・今日は短いですがここまでにしときます・・・

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 00:20:50

    お疲れです眠い

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 00:23:24

    乙〜

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 09:21:01

    保守域展開

  • 39二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 14:34:54

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 21:29:29

    再開します!
    釘崎「そういえば・・・京極家の話って・・・」

    釘崎は伏黒が夏彦と会ったときに言った話を思い出した。

    『京極家は呪霊のせいで全滅した』

    釘崎「そっか・・・夏が最後の一人・・・」
    正明「そうです、生き残った未来ある若者はもはや彼だけ・・・私なぞはもうあとは死ぬだけの老人です。なにも残せない・・・」

    正明は溜息をついた。そして、顔を上げて二人を見る。

    正明「だからこそ、どのような手を使っても京極家の血筋を、一族の理念を絶やすわけにはいかないのです」


    釘崎はその言葉に少しだけ迷った。京極家のことはよくわからなかった。
    でも、家族の話題が出る度に寂しげに笑う彼の顔がよぎった。

    正明「まぁ、本来ならみなさん思うところがあるでしょうが・・・」


    正明が手招きをすると一人の男がやってきた。

    正明「彼の力で婚姻成立にかかる時間を短縮させてもらいます」
    「チャオ、みなさん。皆さんの恋のキューピッドよん!」

    釘崎「なんでオネエが・・・?」
    真希「オネエが・・・?」

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 21:30:55

    赤糸「赤糸 結(あかし ゆい)よ!お嬢ちゃんたち!私の術式を見ても私がただのナイスなチャンネーだと思っていられるかしら?」
    釘崎「チャンネーじゃなくてオネエだろ!」 
    赤糸「んもう!強気なコね、でも、好きな人の前ではどうかしら」

    赤糸が手を叩く。

    赤糸「私の術式は幻覚、幻術の類と思って頂戴」
    真希(術式の開示!・・・幻術となると何が起点だ・・・?)

    するとぐにゃりと力が抜けるような感覚が起きて真希はその気持ち悪さに顔をしかめた。

    赤糸「起点を探ってるわね?でももう遅い、手の音と動きでもう術中・・・そしてあなた達・・・」

    真希がごくりと固唾をのんでみていると。

    赤糸「私をオカマだとおもったでしょ?」
    真希「いや、そりゃそうだろ・・・」
    釘崎「そりゃどうみてもね・・・?」
    赤糸「私の術式はそんな思い込みに強く反応する・・・『これはこうに違いない、これはこうだろう』なんて考えにほんの一匙、情報を加えることで私の術式は完成する」

    そこに、とさらに赤糸は続ける。

    赤糸「私はさらにそこに縛りを加えることでさらにそれを高める」

    体をくねらせながら人差し指を口の前に持ってくるとにやりと笑う。

    赤糸「私の術式によってなされる幻術、幻覚によって私は『あなた達を傷つけない』、『術によって不利益を齎さない』という縛り」

  • 42二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:21:49

    真希(ここまでガチガチに縛られるとどこまで抵抗できるか・・・)
    釘崎「嫌々結婚させられるのは不利益にならないのかよ!」

    真希が術式の考察をする中で釘崎は真っ先に不利益を齎さないという縛りに食いついた。しかしそれに対して赤糸は頬に手を添えてあら?と問いかけた。

    赤糸「アナタ夏彦君と結婚したくないの?」
    釘崎「えっ・・・」
    赤糸「そうなると前提が崩れる、アタシは無理矢理は嫌いだし、そこまで高度な幻術となると洗脳と変わらない。綺麗じゃないからキライなのよね」

    それじゃああなたは計画に使えないわね、と赤糸は言う。釘崎はそのことに動揺して、思わず言い返してしまった。

    赤糸「結婚は隣のお嬢ちゃんでもいいし」
    釘崎「ち、ちがっ・・・したくないわけじゃ・・・」
    赤糸「はい、完了ね」

    釘崎の前でパンと再び手を叩くと釘崎はとろんとした表情になり、そのまま俯いた。

    赤糸「やせ我慢するならせめて表情くらいは誤魔化さなきゃね」

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:37:20

    今日あったんかい!おかマァ!

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:43:32

    男は度胸女は愛嬌おカマは最強 これ真実なり

  • 45二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:54:33

    うふーんあはーん(バリトンボイス)

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:58:09

    真希「釘崎っ!?」
    赤糸「心配しなくても眠っただけよ、私の術式は遅効性、それ故に根底が崩れなければ解除できない高い強度を誇るわ」
    真希「くそっ・・・」
    赤糸「眠らせるだけなら簡単、あなた達はもうアタシの術中。けど本命が先に落ちてくれたのは幸先いいわ」

    本命?と真希は頭の中で疑問が浮かんだがそれを上回る情報がやってきた。

    赤糸「真依ちゃん、だったかしら?あの子も待ってることだしお部屋に連れてってあげるわ」
    真希「真依だと!お前ら真依にまで・・・!」
    赤糸「あら、怒った顔もステキ。でも心配しないで、目的はあなた達と同じ・・・夏彦君の結婚相手なんだから」
    真希「心配しなくていいわけねえだろ!」

    拘束を解きつつ赤糸は言う。そして真希の拘束を解いた後、釘崎を抱えて立ち上がった。

    赤糸「ほら、真依ちゃんのところに行くわよ」
    真希「そう都合よくいくかよ!」

    真希は椅子を蹴り上げたが・・・椅子は明後日の方向へ飛んでいき、転がって倒れた。

    真希「?!」
    赤糸「あら、元気ね。でも無駄よ、領域が齎す必中効果ってあるじゃない?あなたには今その真逆の効果が働いてるのよ」
    真希「どういうことだ・・・?」
    赤糸「私の縛り『術式で相手を傷つけない』は自傷にも適応される。あなたは今、術で弱体化してるのよ?そのせいで転んだりしたり、限界を誤ってケガをしたりしたらそれは私のせい。だからこそ術で半端な攻撃しかできないようになってるの」

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:00:39

    コイツ…強いぞ

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:01:50

    めちゃくちゃ賢いな使い方もさる事ながらサラッと術式の開示っぽい事もしてるし

  • 49二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:28:57

    赤糸「ついてらっしゃい、無駄な事はやめてね」
    真希「くっ・・・」

    赤糸が歩き出したのに真希はついていくことしかできなかった。渋々ついて歩く先は真希も良く知る場所。
    京極家の家族が使っていた広間だった。

    赤糸「真依ちゃん、お姉ちゃんとお友達を連れて来たわ」
    真依「!・・・真希!アンタまで捕まったの?」
    真希「うるせえ、お前が言えた義理かよ」

    二人が言い合いをしているのを見ながら赤糸は釘崎を寝かせて、座布団を釘崎の頭の下に敷いてあげる。

    赤糸「座敷牢にいれるかって聞かれたけど、それだと私の縛りに違反する。それにそもそもそんなことしなくたってこの部屋のふすまに簡易の結界を張ればいいのよねぇ」
    真希「ああ?さすがに馬鹿にしすぎだろ、今の私でも襖くらい・・・」
    赤糸「ふふふ、おバカさんね。ここがどこか知ってて言ってる?」
    真依「ホント馬鹿ね、それなら私がここにずっと捕まってるわけないでしょ」

    結界といいつつもただ鍵をするように貼られた呪符だ。くっついて取れないようになっているが襖そのものは強化されていないらしい。真希はそれを壊そうとしたが・・・

    真希「こ、この!」

    襖を叩こうとしたが力が抜けて軽くトンと叩くにとどまった。音は鳴るがそれでも触れた程度で倒れるほどさすがに襖は脆くない。

    真依「思い出の品を壊すこと・・・それも自傷扱いってことよ」
    真希「!」
    赤糸「ふふ、正解、これ・・・正明さんや生き残ったお手伝いさんから聞いたわ。ここで皆とお食事してたんでしょ?」

    真希は思わず振り返って広間を見る。そこはかつて京極家の面々と食事を楽しんだ広間。
    時に勝弘たち当主と、時にはお手伝いさんと、膳を抱えて、卓を囲んで食事をした。
    あまりのなつかしさに真希は思わず呆然とするほどだった。

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:33:36

    なんか落ちてましたね

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:35:10

    >>50

    なぜかかなり時間がかかりましたねぇ

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:00:46

    赤糸「ほい」
    真希「! あぶねっ!」

    咄嗟に真希は耳を塞ぎ、目を逸らした。ゆっくり目を開けると赤糸が手を合わせていた。

    赤糸「反射神経すごいわね、若いってことかしら」
    真希「うるせー!」

    悪態をついて赤糸から距離を取る。すると赤糸は溜息をついて部屋の出口へ。

    赤糸「野薔薇ちゃんが起きたらいろいろと進めることがあるから休憩してちょうだい」
    真希「あ、待て!」
    赤糸「待たない、チャオ!」

    ぴしゃっと襖を閉められ、外側から結界の呪符を張られたらしく襖は開かなくなった。

  • 53二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:01:03

    今日はここまでにします、また明日!

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:02:30

    お疲れです

  • 55二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:02:52

    >>53

    明日は大体何時からですのん?

  • 56二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:27:27

    >>55

    平均的に21-22時台です

  • 57二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:57:10

    >>56

    ありがとナスっ!

  • 58二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 07:10:03

    保守域展開

  • 59二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 13:06:29

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:57:36

    再開します

    赤糸は考えていた。三人のこと、そして夏彦のことだ。

    赤糸(あの三人はチョロい、手に取るようにわかるわ。彼女達は夏彦君が大好き・・・、背中を押せば縦に頷くのも時間の問題・・・けど、夏彦君は・・・?)

    赤糸の頭の中で未だに頑強に幻術に抵抗する夏彦の事が浮かんだ。

    赤糸「お待たせ、夏彦君」
    夏彦「・・・無駄だぞ、俺は彼女たちと結婚しない!」
    赤糸「ふーむ、なにか裏がある感じね。彼女達と結婚するとなにか不都合があるの?」
    夏彦「好意はもちろんある、けど、儀式を行うことがダメだ」

    三人と違い、夏彦は屋敷に未練がない。その為に真希や真依のような閉じ込め方は無理だ。釘崎は真希の思い出の場所ということでデバフがかかるので問題ない上にメンバーの中で一番幻術に深くかかっているためおそらくは大人しくしているだろう。
    逆に現在視覚を奪われ、尚且つこちらに敵意をむき出しにしている夏彦はいつ暴れだしてもおかしくないのだ。

    赤糸(目隠しすると音でするしかない、触れるのもたぶんNG・・・ヤマアラシ状態だものね)

    不用意なボディタッチは反発を招く。そもそも他人が相手の体にべたべたと触ること自体不愉快なものだ。
    赤糸はそれを理解している。矛先をそらしたり、意識を逸らすために以外にはやる事は避けるべきだろう。

    赤糸「儀式がダメ、ね・・・それなら彼女たちの気持ちはどうなるの?」
    夏彦「わかってるけどダメだ」
    赤糸「野薔薇ちゃんは乗り気だけどね」

    釘崎の名前を出した瞬間にピクリと反応した。赤糸はそれを目ざとく見受けてこっそりと笑みを浮かべた。

    赤糸(弱点ね、真希ちゃんは強い子だし、真依ちゃんも強気な感じで、自分の前を歩く感じ。でも野薔薇ちゃんは幼馴染で、助けてあげたい女の子なのかしらね)

    好意のベクトル、惚れたか惚れられたか、ラブかライクか、赤糸が察するに好意の深度、そのバランスが取れているのが釘崎なんだろう。

  • 61二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:59:11

    始まったぜ 俺の中の気ぶりおじさんが騒いでいるぜ

  • 62二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:15:18

    構ってあげたい、守ってあげたい、信頼していないわけじゃないけど・・・自分の後ろに隠してしまいたい。
    離れてほしくない相手。離れると寂しい相手。それが釘崎に対する好感度だ。

    赤糸(自立心の強い真希ちゃん、ツンツンしてるけど繊細そうな真依ちゃん。どっちも好意はあるけど、なんというか・・・さっぱりしてるのよねぇ・・・、その点、野薔薇ちゃんは独占欲ありそうで、夏彦君のストライクゾーンにぴったりなんでしょうね)

    仕事仲間としての側面がどうしても強い真希、学校の先輩後輩としての生活が長い真依。
    二人はそのイメージが強くてどうしても夏彦には彼女達の好意に対してピンと来ていないのかもしれない。

    赤糸(どストレートに告白でもされりゃ変わるでしょうけど、今のままじゃ仲のいい女友達よね)

    そうなると赤糸が責めるべきポイントが絞られてきた。

    赤糸「どうしてもというなら野薔薇ちゃんにはお断りしとく?正明さんもこれ以上の無理強いは良くないって言ってくれるだろうし」
    夏彦「そ、それは・・・」

    食いついた。赤糸は思わず笑みを浮かべる。釘崎も夏彦を引き合いに出すと途端に優柔不断になった。
    ウィークポイント、心を操る者にとって取っ掛かりはなにより大事だ。

    赤糸「簡単な事でしょ?野薔薇ちゃんをまずお断りして、真希ちゃん真依ちゃんのどっちかと結婚する」
    夏彦「それは、だ・・・ダメだ」
    赤糸「何がダメ?」
    夏彦「それは、結婚が・・・」

    思考の泥沼にはまったのを赤糸は確信した。呪力で目と頭部付近の呪力の流れを妨害されている以上精神力でしか赤糸の幻術から逃れる術はない。弱点を知った以上はそこを中心に思考を誘導すればいい。

    赤糸「そうだったわね、野薔薇ちゃんとの結婚がダメだったわ」
    夏彦「ち、ちがう!」
    赤糸「えー?でもしないって言ったじゃない?」

  • 63二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:18:34

    赤糸さんはどんなポジションなんや…?

  • 64二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:45:52

    >>63

    男女の仲を取り持つキュートでストロングなチャンネーです

  • 65二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:49:50

    >>64

    なるほど…

  • 66二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 23:12:39

    夏彦「それは・・・ちがう・・・ちがうんだ」
    赤糸「ふーん?」
    夏彦「結婚は・・・ダメだ」

    赤糸(さて、目に見えて疲弊してきたわね・・・でも引っ掛かる。どうしてそこまで・・・)

    赤糸が受けた依頼は三人の女性との縁談を成就させること。呪術界は元より、名家だのの世界では結婚を急ぐ老人や世話を焼きたがる大人が多いのが常だ。赤糸はその中で名うての仲人。幻術の術式で相手の真意を聞き出し、結婚に踏み切らせる役割を担ってきた。実は嫌いでした!というのは経験があった赤糸だが、好きだけどしたくないは異例だった。

    赤糸(裏があるのは彼ではなく・・・正明さんの方かしら)

    赤糸は過去に何度か京極家の人間に世話になったことがある。その恩義から今回の仕事を請け負い、強引な婚姻までのショートカットを請け負った。それは正明が大病の明けで老い先短い身の上だからだ。
    彼がせめて夏彦がお嫁さんをもらう姿を見たいと候補三人の個人情報を添えて依頼してきたのだから断る理由はなかった。なにせ儀式として婚姻を行ってくれれば正式な婚姻に関しては若い人たちの意思を尊重するとまで言われたのだ。

    赤糸(恰好だけの婚姻、京極家の未来を紡ぐためと聞いたけど・・・)

    仕事として請け負った以上、手は抜けないし婚姻を破綻させる気なんてさらさらない。だが、もしも正明に婚姻以外の目的があったとしたら・・・。

    赤糸(悲恋なんて冗談じゃないわ、保険を打つべきかしらね)

    赤糸は夏彦の耳元で手を打ち鳴らした。術式を発動したのだ。音で相手に幻術を見せる。
    質問で相手から情報を聞き出すのもお手の物。

    赤糸「ダメなのは結婚の内容がお気に召さないのかしら?」
    夏彦「いや、僕は別に・・・」
    赤糸「僕は?じゃあお気に召さないのは野薔薇ちゃんが?」
    夏彦「ホテル・・・ドレスでって・・・」

    約束した・・・と夏彦が呟いた。赤糸はそれを聞いて良し、と内心で手を叩いた。

    赤糸(これね、順風満帆な式をぶち壊すキーワード!術式解除に設定できるわね)

  • 67二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 23:45:09

    今日はここまでにしときます。また明日!

  • 68二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 23:51:01

    乙ん

  • 69二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 23:51:59

    面白かったです特に

  • 70二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 23:53:32

    >>69

    赤糸さんの何やら相談が始まった所が

  • 71二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 23:55:14

    >>70

    ありがとうございます、頭痛がするので今日のところはここまででオナシャス!

  • 72二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 00:29:52

    >>71

    勿論やで休んでもろて

  • 73二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 05:25:41

    >>71

  • 74二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 08:07:08

    保守域展開

  • 75二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 12:56:53

    保守

  • 76二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:03:50

    領域展開

  • 77二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:20:16

    再開します!

    赤糸にとって防御の無いに等しい快の感情、好意の感情を増幅することはたやすい。それと同時に相手の焦燥を操って行動や言動を制限することもだ。
    これは彼が呪術だけでなく、精神などに対しての研究、研鑽を積んだからに他ならない。

    赤糸「それじゃあ、野薔薇ちゃんたちの思いを確認してから、判断する?」
    夏彦「判断・・・判断・・・」
    赤糸「もしも夏彦君と同じ意見なら、あなたはそれに合わせる。もしも彼女達がしたいっていったら・・・」
    夏彦「断らない・・・」

    赤糸は呪力を手に込めて手を叩き、術式を発動した。

    赤糸「これで夏彦君の仕込みはばっちりね。彼女達と答え合わせにいきましょ」
    夏彦「・・・わかった」

    術式が夏彦の頭に響いた。一瞬うなだれた様子の夏彦だが拘束を解くとすぐに顔を起こして立ち上がった。




    赤糸「はぁい、休憩は終わりよお嬢ちゃんたち!」
    釘崎「あ、オネエだ!化粧濃いぞバカヤロー!」
    真希「なんかもっと言うことあるんじゃねえのか・・・」

    赤糸が夏彦を部屋の近くに待機させ、再び部屋に入ると意識を取り戻した釘崎がさっそく赤糸に悪態をついた。
    真希は呆れたが赤糸は地味に傷ついた。

  • 78二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:21:27

    ますます催眠術師みたいな術式だなぁ…暗示ともいいますか

  • 79二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:21:41

    傷ついて草

  • 80二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:50:14

    落ちてるぅ〜

  • 81二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:53:16

    赤糸「おだまり!そんな強気な言葉が吐けるのもここまでよ!」
    真依「なによ、またへんちくりんな催眠術でもかける気?」
    赤糸「幻術は聴覚、視覚、触覚のどれでも可能なのよ、それに私のナイスな話術が加わればあなた達の本音を引き出すくらいわけないことなの」

    直接的な攻撃能力の欠如、重ね掛けを前提にした下準備を元に行う術式、本来なら発動までの手順をいかに省略するかが術師としての力量といっていい。しかしながらその工程を全て省かないことで出力を向上させる呪術師は少なくない。赤糸は後者として典型的な組み立て型の術師なのだ。

    赤糸「あなた達から縛りに値する言葉を引き出すわ」
    真希「縛りだと・・・?それは自分の意思じゃないと意味がないだろ」
    赤糸「ええ、もちろん。でもあなた達が利益を被るようにこちらが言葉を引き出せばいいだけ、そして縛りを結ぶのは私や正明さんじゃないわ」
    釘崎「回りくどいこと言ってないで本題に入れよ!」

    ばーかばーか!と悪態をつく釘崎と呆れて冷たい視線を送っている真依。恥ずかしい真希を見ながら赤糸は不敵に微笑む。

    赤糸「夏彦君よ!彼と縛りを結んでもらう!」
    三人「!」

    三人は夏彦の名前に驚いた様子で赤糸を見た。

    赤糸「彼と結婚するかどうか、その縛りよ」
    真希「断ると・・・」
    赤糸「断るという約束の縛りが成立するわね」
    真希「それは不利益になるんじゃねえのか?こちらがそれを強制された場合には・・・」
    赤糸「ええ、でもそれは強制された場合。言ったでしょう?私はあなた達から結婚の対するイエスの返事を引き出すって」

    三人はあえての拒否をあっさりと封じられた。結婚を拒否すること、それが夏彦に対する婚姻そのものの否定になると言われたのだ。実際は赤糸にとってそれは特大の大ダメージだったのだが、三人が夏彦との関係を壊す勇気なんぞをはなから持ち合わせていないことを知ったうえでのハッタリだった。
    必然的に三人は特定ワードを封じられた状態で沈黙するしかなくなった。一度「結婚する」と言ってしまえば夏彦が目の前に現れた際に縛りが成立してしまう。

  • 82二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 23:19:56

    真希「ふん、だが私達がだんまりを続ければ話が進まないのは同じことだろ」
    赤糸「そうねぇ、でも、それは私達だけの場合よ」

    こっちへおいでなさいな!と赤糸が言うと襖をあけて、三人の前に夏彦がやってきた。

    釘崎「夏・・・」
    真希「釘崎!呆けるな!」
    赤糸「ほいっと」

    赤糸が手を叩くのを真希は慌てて釘崎の耳を塞いで阻止する。

    真希「~~~っ!」
    赤糸「踏ん張るわね、まあそっちは隙もなにもないから当たり前だけど」

    ぞわぞわと力を奪われる感覚を感じながら真希は自然と夏彦に視線が向くのを我慢できなかった。

    真希(夏彦に注目させる気か・・・!)
    赤糸「うふ、皆さんが見るべきは私じゃなくて、大好きな夏彦君よねぇ」

    真希は依然捕まった時のまま視界を奪われて部屋の入口で立ち尽くしている夏彦を見た。

  • 83二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 23:48:17

    赤糸はあえて三人から言葉を引き出すと宣言した。しかしそもそも縛りなどしなくても三人を幻術で操れば婚姻をさせることは可能だ。回りくどいが縛りを作れば今度は術に頼らずとも可能となる。
    三人にとって守るべき事項は一つのように見えているが実際は赤糸にとって同時進行で進められる攻略ルートが二つに増えている。

    赤糸(さて、真希ちゃんは私の思惑に気付いたかしら・・・?野薔薇ちゃんは元々もう私の術中だからいくらでも操作できるし、そもそも夏彦君を絡めればお互いが意識し合って弱体化するのはわかってるのよね)

    釘崎は一度赤糸の術中に落ちているので強がったところで赤糸に「夏彦と結婚する?」と問いかければ承諾させることができる。彼女が先ほどのように呆ける瞬間があれば確実だ。

    赤糸(夏彦君を呼んだのは野薔薇ちゃんを追いつめるように見せかけて・・・)

    実際のターゲットは釘崎を叱咤している真希とその隣で脱出の為に頭を働かしているらしい真依の二人である。

    赤糸「さて、それじゃあ手始めにぃ・・・」

    赤糸はなにやら策を練っているらしい真依を標的に定める。

    赤糸「夏彦君!真依ちゃんの思いを受け止めてあげなさいな!」
    夏彦「真依ちゃん・・・?」

    夏彦が声を頼りに真依の方へ向いた。

  • 84二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 23:58:11

    ピンチのゴリイン夏彦

  • 85二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:15:00

    夏彦が真依に向かい合う。若干の距離こそあるものの一直線に真依と夏彦は向かい合っている。

    真依「な、なによ・・・」
    夏彦「真依ちゃん、俺と・・・結婚したい?」
    真依「はぁっ・・・?!」

    小首を傾げつつ、夏彦は直球のストレートを真依に投げかけた。真依はその言葉に一瞬で真っ赤になった。

    真依「ば、ばか・・・いきなりそんなこと言わないでよ!」
    夏彦「僕は、嫌じゃないけど・・・」

    三人に電流が走った。

    夏彦「真依ちゃんの気持ちを確かめないと」
    真依「うゅ・・・?!そ、そそれ、は・・・ええぇと・・・」

    真希(変な声でた!)
    釘崎(カワイイ声出しやがって真希さんの出涸らし!)

    応えたら縛り、黙れば夏彦が困る。真依は目に見えておどおどし始めた。元より強気な態度もツンツンした態度も彼女なりの心の防衛術、それが役に立たない状況では彼女は無力だ。好意を持った相手に軽口も煽り文句も見つからないからだ。三人は本来なら抑揚の乏しい夏彦の言葉に疑問を感じただろうがあまりにも話題がセンシティブすぎた。

    真依「え・・・ええ・・・ええと・・・お、お姉ちゃん、ど、どうしよう・・・」

    真希(お姉ちゃん!?)
    釘崎(お姉ちゃん??!)
    赤糸(あらやだお姉ちゃん!)

    おどおどし始めた真依が真希に助けを求めた。

  • 86二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:21:46

    今日はここまでにしときます、また明日!

  • 87二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:22:05

    カワよ

  • 88二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:22:27

    >>86

    乙〜おやすみ

  • 89二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:22:48

    いいですねえ!

  • 90二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 08:30:47

    保守域展開

  • 91二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 13:11:59

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 22:29:16

    真希「どうしようったって・・・!」

    自分も困っていた真希だが赤糸がすすすっと真依の傍に移動し始めたのを見て真希は慌てて声を上げた。

    真希「夏彦!私を抱きしめろよ!」

    釘崎「?!」
    真依「お姉ちゃん・・・?!」
    赤糸「あらやだ大胆」

    夏彦の注目がこちらに向いた。そして真希はちらりと開きっぱなしの襖に目をやる。

    真希(あのオカマを出し抜いてあそこから出るには・・・どうするか・・・)

    咄嗟に飛び出た言葉、半分は願望だったがもう半分は思いつきを実行するための言葉である。

    夏彦「・・・?わかった」

    夏彦は半分以上夢うつつといった状態らしい。目隠しをされたままなのも相まってゆっくりとこちらに向かってくる。
    真希はそれを誘導するように広間を歩き回る。

    夏彦「?・・・あれ?真希ちゃん?」
    真希「こっちだ夏彦!」

    釘崎「なにやってんだろ・・・?」
    真依「うーん・・・わからない」

    真希はとたたと夏彦を誘導しながら広間を小走りに移動している。対する夏彦は呼ばれるままにふらふらと歩き回る。

  • 93二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 22:56:27

    夏彦羨ましい…貴様は何を持ち得ないのだ

  • 94二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:13:35

    真希はそのままぐるぐると広間を歩き回っていたが・・・。

    赤糸「?」

    赤糸の傍まで夏彦を誘導すると・・・。

    真希「あ、足元に釘崎がいる!」
    夏彦「えっ」
    赤糸「えっ」
    真希「せぇい!」

    素早く回り込んで夏彦を嘘でバランスを崩すように誘導すると赤糸の方へ夏彦を突き飛ばした。

    夏彦「あー」
    赤糸「オ”ア”ーッ!」

    足元を気にして片足を上げた夏彦は容易くバランスを崩し、赤糸に覆いかぶさった。赤糸はそれに対してもがきながら

    赤糸「ンアァァ! 圧迫祭りよぉぉ!大胸筋がアタシを悩ませるわぁぁぁ!」

    と叫びながら悶えた。

    真依「キッッッッッショ!」
    釘崎「おえーっ!」
    真希「今の内だ!逃げるぞ!」

    目の前の惨状を目にしてか二人は正気を幾分か取り戻したらしい。真希は二人に指示を飛ばして開いている襖へと向かう。

  • 95二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:14:10

    大胸筋は草

  • 96二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:14:53

    圧迫祭り…ウホッ

  • 97二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:15:05

    >>96

    やめい

  • 98二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:26:45

    真希「真依!さっさと立て!」
    真依「わかってるわよ!」

    へたり込んでいた真依がやや立ち上がるのに手間取り出遅れた。真希がそれを急かすように振り返ったときだった。

    釘崎「真希さん!前!」
    真希「へ?・・・わぶっ」

    真希が何かにぶつかって立ち止まった。ズレたメガネを直して前を見ると・・・。

    真希「夏彦・・・?」
    夏彦「真希ちゃん、見つけた」

    いつの間にか回り込んでいた夏彦だった。突き飛ばしたはずと赤糸の方を見ると赤糸が何やら短い帯を持っている。
    それが夏彦の目隠しに使われていたものだと気づいたのは夏彦と目があった瞬間だった。

    真希「なつ・・・ひこ」

    幻術の効果で感情の高ぶりを増幅されている真希は夏彦と目が合ったこととぶつかった時に倒れないようにと肩に手を置かれたことで完全にフリーズしてしまった。

    赤糸「ふーっ、ホント・・・やってくれたわね。おかげでちょっと夏彦君の目隠し取っちゃった」

    夏彦の目が片目だけ露わになっている。元々視覚と同時に幻術への対抗手段を弱めるために巻かれた呪布だったが幻術の深度が深くなった為に赤糸の現場の判断で取り外された。それにより夏彦は視覚をもって三人を追うことができたのだ。

  • 99二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:43:26

    夏彦「真希ちゃん、抱きしめて欲しいんだっけ」
    真希「あ、いや・・・今は、ヤバ」

    離れようとした真希を捕まえて夏彦は真希をギュッと抱きしめた。

    釘崎「ずっる・・・じゃなくて、真希さん!」
    真依「ずる・・・真希!」

    赤糸(心の声駄々洩れね・・・)

    真希「・・・」
    夏彦「真希ちゃん、泣いてる?」
    真希「・・・たりめえだろ・・・心配、したんだからな」

    ぎゅっとされた瞬間に真希の中で堪えていたものが溢れた。幻術によりタガの緩んでいた感情に夏彦の体温と、心拍、それに程よい力加減が伝わって真希の感じていた不安を溶かしたのだ。

    真希「お前も、京極の人たちみたいに・・・いなくなって、怖かったんだ・・・やられるはずないって、言い聞かせた」
    夏彦「真希ちゃん・・・」
    真希「いなくなるなよ・・・もう・・・」

    私は・・・と真希が嗚咽を洩らした時、赤糸はそっと近づいた。

    赤糸「じゃあ、結婚する?」
    真希「・・・一緒にいられるなら・・・」
    赤糸「そう・・・じゃあ縛りね」

    赤糸が手を叩くと真希は糸が切れたようにその場に崩れ落ちる。夏彦がそれを優しく抱き留め、そっと寝かしてあげた。

    赤糸「健気ね、そういうのも嫌いじゃないけど・・・次はうれし涙が見たいわ」

  • 100二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:45:57

    真希さん…

  • 101二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:46:28

    ずっるは笑う

  • 102二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 00:07:13

    赤糸が倒れた真希の額に触れて印を書き込んだ。縛りを利用した幻術の効果の増幅、これで真希はおそらく今回の婚姻の儀式には逆らえないだろう。

    赤糸「さてと、あとは二人・・・」

    正確には一人だけど、と赤糸は内心でほくそ笑んだ。真依が転べばもう抵抗できる人間はいなくなる。
    現に真希が落ちて混乱する真依とは裏腹に釘崎は既に本人の意思とは無関係に逃げることすらできないでいる。

    赤糸「それじゃあ、真依ちゃんの話に戻りましょうか」
    真依「!」

    思わずへたりこんだ真依に夏彦が近づく。

    夏彦「真依ちゃんは、どうしたい?」
    真依「・・・」

    唇をぎゅっと結んで耐える真依。それを見て赤糸は真希と真依に決してちぎれることのない繋がりを見た。
    二人はきっと同じように夏彦を思い、京極家を思っているのだろう。

    赤糸「がんばるわね」
    夏彦「がんばる?真依ちゃんは頑張っているんだね」

    夏彦はそういうと真依に視線を合わせるようにしゃがみこんだ。

  • 103二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 00:16:32

    真依「・・・」
    夏彦「頑張ってる真依ちゃん、偉い偉い」
    真依「!」

    夏彦がそっと真依の頭に触れて、撫でてあげる。

    夏彦「辛くても投げ出さないで、誰かの為に頑張れる真依ちゃんは偉いよ」
    真依「や・・・やだ、やめて・・・」

    夏彦が頭を撫でると真依はぼろぼろと涙を流し始める。孤独と喪失の恐怖に耐えてきたのは真依も同じだ。
    特に彼女は心を許した存在を失って、ここまで生きてきた。その繰り返しが起こるかもしれないと恐怖していたのはほかならぬ彼女だ。

    真依「うぇぇ・・・やだ、怖かった・・・私もやだ・・・この家に誰もいなくなっちゃうっておもった・・・お姉ちゃんだけじゃないもん・・・私だって・・・怖かったよぉ・・・」
    夏彦「ごめんね」
    真依「もう、いなくならないで・・・置いてかないで・・・」

    どこにだって、ついていくから。と真依も真希と同じように、夏彦に縋りついた。

    赤糸「ええ、一緒にいなさい。結婚してね」
    真依「・・・ついていく・・・」

    赤糸が手を叩くと真依も同じように倒れた。

  • 104二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 00:43:48

    今日はここまでにしときます、また明日!

  • 105二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 08:32:18

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 14:30:44

    ほしゅ

  • 107二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 21:31:15

    再開します!

    釘崎はその光景を見ても不思議と焦燥感も何も感じていなかった。ただあったのは覚悟を決めないといけないという使命感だった。

    釘崎(夏と・・・そういう関係になるんだ)

    既に赤糸の術中の中の釘崎は真希と真依が結婚を承諾した事を目の前にして自身がそれを避けるべきでないとすら考えている。好意を決意に、思考の誘導は既に済んでいる。あとは彼女の中に眠る好意に従うだけ。
    そんな彼女は思いと対峙して、夏彦がこちらを向くのをじっと見つめている。

    赤糸(この子も思いは本物ね、ホント・・・罪な男)

    潤んだ瞳で夏彦を見つめる釘崎を見て赤糸は甘酸っぱい空間に内心飛び上がりたい気持ちでいっぱいだった。
    赤糸にとって誰かの愛や恋が成就する瞬間ほど楽しいことはない。三人目がどのような恋模様を描くのか、それが楽しみでしょうがなかった。

    釘崎「夏・・・」
    夏彦「・・・とげちゃん」

    二人はお互いに見つめ合いながらゆっくりと距離を詰める。そして互いに手が届く距離まで近づくと夏彦はそっと釘崎の頬に触れた。

    夏彦「・・・」
    釘崎「真希さんに先に言われちゃったけど・・・私も心配したんだからね」

    頬に触れた手に自分の手を添えて、自分から頬を寄せる。夏彦が申し訳なさそうに視線を逸らすと釘崎はそのまま夏彦の手のひらに口づけた。

  • 108二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:04:49

    夏彦の頬に赤みがさした。釘崎のむき出しの好意に嬉しさと恥ずかしさの混ざった感情で彼女を見つめる瞳が揺らいでいた。

    赤糸(やっぱり、人間だれしも弱い相手っているものなのね・・・)

    夏彦の抵抗力が目に見えて落ちていく。術師である赤糸は今、この空間にいるだけで幻術の深度を微かにではあるが深めていくことができる。それゆえの時間稼ぎ、会話で弱点を探り、音で侵し、言霊で削る。
    その中で耐久力が著しく下がる瞬間も赤糸は熟知している。今が、その時だ。命に代えても、全てをささげても構わない人、モノ、矜持・・・それらと真っ向から対峙したとき、人は赤糸にとって無力になる。

    釘崎「ねえ、夏・・・私、覚悟を決めてもいい?」
    夏彦「覚悟・・・?」

    釘崎はそういうと彼女らしからぬ、躊躇いを見せた。夏彦と同じように頬を染めて。
    お互いに視線を交差させては、逸らして。互いに頬を染める色を深くして。

    釘崎「すぅ・・・はぁ・・・」
    夏彦「?」

    深呼吸をして、釘崎は再度真向から夏彦を見つめる。

    釘崎「ねえ、夏・・・私ね、いつか、こういう日が来るって思ってた。うまく言えないけど・・・夏とじゃなかったとしても。いつかは誰かが私を好きになって、私も誰かを好きになって・・・」

    大人になったら、ってと釘崎は言う。

    釘崎「でも、思ったより早かったね。それに、なんていうか・・・嬉しい誤算、だと思うけどさ」
    夏彦「とげちゃん・・・」
    釘崎「夏とそうなれて、嬉しいと思う」

    これだけは間違いないよ。と告げられて夏彦は耳まで赤くなった。

  • 109二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:06:42

    うぉォォォ!!

  • 110二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:07:05

    >>109

    落ち着けジジイ!

  • 111二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:16:48

    二人が愛を囁く中、赤糸はあまりの尊さに部屋の隅で悶えていた。

    釘崎「ねえ、夏・・・」
    夏彦「うん」
    釘崎「私と、結婚・・・してくれる?」

    赤糸(はがもががががが・・・術式!術式を展開しなきゃ!)

    赤糸は尊さの臨界点でマグロのようにびちびちしながらも渾身の理性を振り絞って二人の傍へ向かう。

    夏彦「・・・うん」
    釘崎「ありがと、嬉しい・・・私も、夏と結婚したい」

    赤糸「お、おめでと・・・」

    赤糸が手を叩き、縛りと術式を成立させる。二人は互いに抱き合うような恰好で倒れた。
    赤糸は術式を成立させ、婚姻を成立させた達成感をひしひしと感じつつも保険の達成を同時に達成できたことに安堵した。

    赤糸(野薔薇ちゃんから促してくれたのは嬉しいわ、これでなにかあれば野薔薇ちゃん経由で全てを壊せる。たった一つのほころびが残ったわけだからね・・・)

    そう思いつつ夏彦の額に印を刻み、同時に釘崎に触れた刹那。

    釘崎「夏・・・」

    うわごとのように呟き、互いに繋いだ手を握る動作を直視した赤糸は

    赤糸「この子たち尊過ぎィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!?!?!?!」

    感涙して窓から錐揉み回転しながら飛び上がって庭の池にダイブした。

  • 112二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:19:14

    エンダァァァァァァァ!!イヤァァァァァァ!

  • 113二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:19:48

    赤糸さーん!?

  • 114二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:20:55

    >>112

    ラヴィァァァァァァイイ!!

  • 115二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:24:06

    やっぱコイツだけギャグ補正効きすぎやろ!!!
    いいぞもっとやれ!!!!

  • 116二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:32:23

    正明「?!」

    突然の水しぶきに流石の正明も仰天した。

    赤糸「ぶくぶくぶく・・・」
    正明「あの・・・大丈夫ですか・・・?」

    池の中で叫んでいるのかえげつない量の気泡を発生させている。人間得体のしれないものには及び腰になるものである。正明は恐る恐る声をかけた。

    赤糸「はぁっ!・・・無問題(モーマンタイ)、仕事も、アタシもね!」
    正明「!?・・・そうですか、お疲れ様です。夏彦君たちを説得できたようでなにより。これで次に進めますよ」

    池から飛び上がってヒーロー着地をこなした後、正明に仕事の完了を報告する赤糸。正明はドン引きしつつも仕事をやり遂げた赤糸を労いつつ、自身は次の段階へ計画を進めるべく他所に連絡を回した。

    赤糸「ねえ正明さん」
    正明「なんでしょうか、赤糸さん」
    赤糸「彼女たちは幸せになれるわよね?」

    唐突な問いかけに正明はすこしキョトンとしたがすぐに笑顔で答えた。

    正明「ええ、どんな障害も乗り越えられる、素敵な夫婦になれるでしょう」

  • 117二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:59:19

    赤糸は確信した。
    赤糸「そう、ならいいわ。悲恋なんてガラじゃないから」
    正明「そうですね・・・」
    正明は電話で呼び出した着付けの女性たちにあれこれと指示を飛ばしつつ、夏彦を屋敷の最奥へと運ばせた。

    正明「さて、夏彦君、夫婦になる前に・・・君には京極家の当主を正当に継いでもらわないとね」

    屋敷の最奥にストレッチャーで運ばれた夏彦は屋敷の最奥。祭壇を思わせる空間で正明と二人きりになった。

    正明「君が血盟破邪に目覚め、私の余命が尽きる前に当主継承を行えるのは運が良いとしか言いようがないですよ」

    手を合わせて正明がなにやら祓言を唱えると意識の無いはずの夏彦が起き上がり、祭壇の中央に移動する。
    そしてその中央でどっかと胡坐をかいた。

    正明「当主襲名、誠におめでとうございます。先祖代々があなたを見守りますよ」

    正明がそういうと祭壇から漏れ出した呪力が夏彦を包んでいく。

    正明「素晴らしい、これほど呪力を取り込めるとは・・・」

    その半分を取り込んだところで呪力は霧散し、祭壇に静寂が戻った。
    正明「血盟破邪の本領、それは術式に目覚める事じゃない。血盟破邪、その本質は継承にある・・・」

    十種影法術の式神が能力を次に受け継いでいくように、親から子に遺伝子が紡がれるように、血盟破邪に目覚めた人間は一族の呪力を受け継いでいく。そして、次の継承者が現れるまで呪力の蓄積は続く。

    正明「今、呪力はこの屋敷、この祭壇に満ちています・・・皆の無念を無駄にしないためにも」

    漲る呪力を纏い、夏彦は意識の無いままゆっくりと立ち上がった。

    正明「血盟破邪に目覚めたものは、喪う度に、その力を受け継ぐのです」

  • 118二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:06:55

    ん?きな臭くなってきた気がする…

  • 119二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:12:19

    ふむ…

  • 120二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:40:22

    正明「さあ、行きましょう、お嫁さんが待っていますよ」

    夏彦が祭壇から降り、部屋を出た後、正明は一人祭壇に目線を投げた。

    正明「さて、当主の継承を済ませた・・・あとは・・・」




    赤糸「あらあらまあまあ!素敵!素敵な白無垢さんだこと!」

    着付けにやってきた老若の着付け師と化粧師は三人の白無垢を完璧に仕立てていた。
    脱いだ服を預けた籠をちらりと見やった赤糸は三角形の布を発見した。

    赤糸「あら、まあこれって・・・ってことは彼女たちって・・・」
    着付け師「下着も純白にしてありますよ」
    赤糸「本気の白無垢ってわけ?凄い気合の入れようねぇ」

    最高級の白絹ですよ!と女性たちは鼻息を荒くしている。おそらくは彼女達も京極家に恩義のある人たちなんだろう。若い当主がお嫁さんを迎えると聞いて彼女たちはこれからの京極家の行く末に心躍らせているだろう。

    赤糸(三人いることに疑問持たないってのもちょっとアレだけど・・・)

    彼女たちの中には若い子もいるようだが揃ってそれが甲斐性だと言わんばかりだ。名家に関わりある人間はこんなものなのかと赤糸もあきれるやら感心するやら。
    まあ京極家の資産なら家族そろって遊んで暮らすのも造作もないだろうが・・・。

  • 121二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:41:30

    ハーレム王夏彦

  • 122二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:51:50

    >>121

    問題は誰が正妻か・・・だ

  • 123二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:53:00

    全員娶れ夏彦お前にはそれが出来る…

  • 124二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 00:14:17

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 125二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 00:37:12

    乙〜

  • 126二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 00:40:34

    実は禪院家のオリキャラを作ってたりするのだ。別スレだからアレだがなんというか筆が乗ると書いちゃうよね!

  • 127二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 07:55:41

    保守

  • 128二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 08:48:23

    ほしゅ

  • 129二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 12:04:46

    保守

  • 130二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:16:39

    再開します!

    赤糸の術式で三人はやや虚ろな目をしているが、それでも彼女達の頭の中は婚姻への幸せでいっぱいだ。
    周囲で手伝う人たちもそれを知ってか、皆どこか浮足立っている。

    赤糸(さて、アタシも色々と仕込みをしないとねぇ)

    赤糸は正明の目、言動にある直感を感じていた。それは赤糸が望むものとは真逆の、受け入れがたい感覚。

    赤糸(あの人は・・・犠牲を望んでいる・・・!)





    正明「おやおや、素晴らしい、お三方・・・見事な花嫁姿ですよ」

    正明が部屋に入ってくると術式下にあっても三人の視線がどこか鋭いものになる。しかしながら正明はそんなことはお構いなしに式の手順を決め始めた。

    正明「今回は戸籍や手続きではなく、一族の霊に迎えられ、一族の一員として認められるための儀式・・・血の儀式とでもいいましょうか」

    正明は三人の前に赤い液体の入った瓶を差し出して説明する。

    正明「牛耳る、なんて言葉がありましたね。昔は仲間同士の誓約に牛の耳を切り落とし、その血を器に溜め、それを回し飲みすることで誓いを交わしたと」

    老齢の女性が目配せをすると着付けや化粧をしていた面々はそそくさと部屋を出ていく。最後の一人が膳を置き、そこに三つの盃を置いてから退出した。

    正明「さあ、みなさん・・・家族になりましょう」

    三人は躊躇ったが、赤糸の術式を込めた鈴を正明が振るとその音に反応して従順になり、それぞれ家紋の入った盃を釘崎が、血と絆の文字を描いた盃を真依と真希が取った。

  • 131二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:20:24

    きな臭すぎるジジイ

  • 132二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:20:41

    はえ〜博識

  • 133二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:39:02

    正明「血の繋がりを結びます」

    瓶の液体を盃にそそぐ。それをまず釘崎が、次いで真希、最後に真依がそれぞれ盃を空けた。

    正明「おめでとうございます、これであなた達は晴れて京極家の一員・・・そして、これから夫となる夏彦君と互いの血を交わすことで、婚姻が成立します」

    やや常識とは異なる婚姻であったが、呪術の世界ではそうなのだろうか。
    三人は正明に連れられて屋敷の奥、イベントなどで使われる仏間へと向かう。

    正明「ここは京極家の先祖代々がおわす神聖な場所・・・婚姻の儀式を行うことにおいてここほど相応しい場所もない」

    仏間、というが実際には10人以上の人が入っても十分なほどの広間だった。真希と真依も見た事のなかった屋敷の部屋に夢うつつながらも驚き、釘崎も物珍しさに視線を彷徨わせる。

    正明「それではご先祖様にご挨拶を」

    正明が正座をして頭を下げると三人は三つ指をついてゆっくりと頭を下げた。そして仏間の中央には紋付袴を着た夏彦が三つの膳を前にして座っていた。
    上座にご先祖様の仏壇が、そして東西に花嫁と花婿、下座に正明がそれを見守る形になる。

    正明「お互いに縛りは済んでいます。婚姻と血盟破邪の儀式。ここからは同時進行になります」

    赤糸の術式を縛りによって解除に対するハードルを上げ、痛覚や不快感による解除を除外する。
    つまり、解除には約束の不履行という最大の禁忌以外はできないということになる。
    血の誓いは何物にも代えられないからだ。

    正明「さて、まずは真希さんと真依さん・・・お二人と夏彦君の血を交換してください」

    膳の真ん中に置かれた小刀が鈍く光る。

  • 134二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:53:08

    素面の四人が見たら大ツッコミ入れる様な展開

  • 135二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:55:24

    真希「ッ・・・」
    真依「ッ・・・!」

    二人は正明の指示に従い、互いに指に傷をつけると手のひらに血を二、三滴溜めた。
    それを夏彦に差し出すようにすると夏彦はその手を取って、口づけるように二人の血を舐めた。
    そして今度は二人が差し出された夏彦の両手をそれぞれが取って、夏彦の指先に傷をつけるとその指先に口づけた。

    正明「よろしい、これで、夏彦君もまた、正式に京極家の一員となりました」

    問いかける者はいない。しかしこれは正明にとって夏彦に血盟破邪の最終段階に進めるために必要な手順だった。
    夏彦は京極家で過ごした日があまりにも浅く、本人もさして思い入れもなかった為に京極家との縁はとても薄かったのだ。しかし今は違う。京極家に深い思い入れのある真希と真依、京極家に迎え入れられた二人と血を交わしたことで夏彦は血縁だけでなく、呪術的にも本当の意味で京極家の一員となった。
    真希と真依は血盟破邪を促進させるための触媒のような存在であり、仕上げを行った後に正式に迎えられる花嫁だ。

    正明「さて、最後になりましたが・・・釘崎さん、あなたにまずは結婚していただきましょう。正妻として」

    夏彦と釘崎の前の膳に神酒が注がれる。この盃を交わすことで婚姻は成立する。
    まず最初に夏彦が三度、盃を呷った。

    正明「あとは貴女です」

    一度目、盃を呷った。二度目を注ぐ最中に、正明はほくそ笑んだ。

    血盟破邪の継承を行うには喪失が必要。婚姻が済めば、釘崎は用済みである。彼女を始末して、喪失に苦しむ夏彦を血盟破邪の継承にあてがい、その後真希と真依と婚姻させ、跡継ぎを産ませれば万事うまくいく。
    儀式により血盟破邪で受け継いだ呪力、術式は子に、孫に受け継がれていく。

    正明(鳴かず飛ばずの京極家は、ここに終焉を迎える。これよりは京極家こそが呪術界の棟梁として・・・!)

  • 136二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:58:25

    それが夏彦の逆鱗に触れた…

  • 137二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:05:36

    釘崎が二度目の盃を受け取ったとき、ふと、窓にひらりと白い布が翻った。レースの布だ。
    その瞬間に、釘崎の頭に強烈な違和感が走った。

    釘崎(結婚、したい。でも、なにか・・・違う気がする・・・)

    夢うつつで正常な判断ができない中、首を向けてその布の本体を見た。


    赤糸「おおおおおおおおおおっ!ブライダルよぉぉぉぉぉぉ!」
    着付け師「気でも違ったんですか!婚姻の儀式の最中ですよ!」
    赤糸「だまらっしゃい!花嫁のリクエストに応えるのよぉぉぉぉぉ!」

    赤糸がケープを被ったドレス姿で庭先を走っていた。

    釘崎「あっ・・・」

    釘崎の頭に走っていた術式はある一点をもって完全に崩壊した。常軌を逸した光景がそれを助長したのは言うまでもない。

    釘崎「・・・がう」
    夏彦「?」
    正明「?」
    釘崎「ちっがーーーーーう!!!!!!」

    強烈なビンタが夏彦を直撃した。

  • 138二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:20:47

    夏彦はもんどりうって転がり、正明は仰天して硬直した。釘崎はそんなことはお構いなしにフリーズした真希と真依すら置き去りにして夏彦の胸倉を掴んで憤怒を露わにした。

    釘崎「夏ゥ!テメエ、結婚式はホテルで洋式つっただろうがぁ!!!!」
    夏彦「うぅ・・・ご、ごめんよ!なんでか知らないけど忘れてたんだよ!」

    前後に激しく揺さぶられながら夏彦は釘崎に平身低頭だった。

    釘崎「それ忘れたら戦争だろうが!私と結婚する気あんのかテメエ!」
    真希「待て待て野薔薇!そこらへんにしとけよ!」
    釘崎「こんな芋臭い結婚式じゃなくて!ホテルって!約束したの!」
    真依「和婚が芋臭いってなによ!アンタ頭おかしいんじゃないの!」

    そこは譲れないの!と釘崎は叫び、二人は夏彦に怒鳴る釘崎を宥めるのに必死だった。
    もはや神聖さなど微塵もなく、正明は人選を間違えたと後悔した。
    野に咲いた薔薇は強く、たくましい。花弁の美しさはさることながら、棘は鋭く、何者にも思い通りにはできない強さがそこにはあったのだ。

  • 139二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:22:43

    トゲちゃん流石やで…だが和婚もいいぞ。

  • 140二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:25:48

    >>139

    田舎大嫌いだから田舎を思い出させるようなイベントは嫌いなんですねぇ。

    そしてなにより小さい頃の約束を破ったら・・・ねえ?

  • 141二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:28:24

    >>140

    なるほどなあ…

  • 142二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:29:34

    ちょっと短いですが今日はここまでにしときます。また明日!

  • 143二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:32:39

    乙ー

  • 144二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:32:56

    WaiWai

  • 145二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 07:00:11

    保守域展開

  • 146二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 13:13:37

    ほしゆ

  • 147二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 15:02:22

    ほし

  • 148二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 22:23:59

    ボス

  • 149二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 22:25:55

    再開します!

    赤糸(ああ、抜け出したわね。偽りのウェディングから・・・!あとは、己が手と意思で愛する人と添い遂げるのよ!)

    赤糸は着付けの女性にボコボコにされながらも四人が姦しく騒いでいるのを眺めていた。
    その最中である。

    夏彦「!」
    釘崎「!」
    真依「何このやな感じ・・・!」

    静寂とは言い難くも厳かな雰囲気であった仏間から邪悪な気配が溢れ始める。

    正明「なんだ・・・?これは・・・」
    真希「どうもご先祖様って雰囲気じゃねえな、これ・・・呪霊の気配か?」


    『贄ハマダカ!』

    不意に響いた声に一同は身構える。

    夏彦「贄だと?結婚式に必要なものとは思えないな!」
    真依「どこから?そんな気配は微塵も・・・」

    真依がそう言った瞬間に夏彦が儀式を受けた祭壇のある離れから禍々しい呪力があふれ出した。

    正明「あそこは・・・そんな、馬鹿な!」

    正明が顔面蒼白になって駆けだした。

  • 150二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 22:37:43

    さりげなくボコられる赤糸さん…

  • 151二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 22:50:07

    夏彦「あそこは・・・確か血盟破邪の儀式を受けたところ・・・だったかな」
    真希「なんだそりゃ?」
    夏彦「一族に時折現れる生得術式とは違う遺伝する術式・・・らしい」

    夏彦も要領を得ない術式だ。しかしその効果は絶大で、術式によって引き起こされた事象の無効化というとんでもない代物。

    釘崎「それで私は一回助けられてるわ」
    真依「そうなの?」
    釘崎「お腹に空いた穴が無くなってて・・・呪霊もいなくなってた」

    ただそれ以降は良く覚えてないのよね。と話し合っていると離れから今度は爆発が。

    夏彦「ぼーっとはしてられないな・・・離れに行ってくる。待っててくれ」

    夏彦はそういうと正明の後を追って走り出した。

    真依「ちょっと!夏彦!」

    三人はそれを見送ったが・・・。

    真希「っても待つ理由ねえよな?」
    釘崎「もち!」
    真依「ホントに世話が焼けるわ」

    三人は白無垢の姿のまま夏彦の後を追いかける。

  • 152二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 23:15:28

    真希「っても手ぶらじゃ厳しいよな、こっちだ!武具の類はこっちにある!」

    真希は幼少期の記憶を頼りに途中にある倉庫へと向かう。当然施錠されていたが。

    真依「鍵掛かってるわよ!」
    真希「ふっ!」
    釘崎「おお!」

    南京錠を当たり前のように蹴り壊してこじ開けると真希は中へ入っていく。

    真希「よっしゃ、ここら辺皆呪具だ」
    釘崎「うわぁ、さすが金持ちの家・・・」
    真希「それもあるけどやっぱ京極家の人たち呪術師の等級低い人多かったからな、呪具で補ってたんだろ」

    倉庫には籠手や刀、槍や弓などが保管されている。時折誰かが手入れしているのか、はたまた呪具の特性か、大半はすぐにでも使用できそうだった。

    釘崎「あ、金槌と釘発見。これで戦えるわ」
    真希「真依、お前、弓とか大丈夫か?」
    真依「自信ないけど・・・まあ加茂とかに教わったから多分いけるわよ」

    三人は武装を整えると離れへと向かう。

  • 153二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 23:18:51

    ふむふむ最終決戦は近いですな

  • 154二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 23:19:18

    なんかプチ落ちてたな

  • 155二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 23:51:45

    夏彦が離れへと駆け付けると祭壇に何やら佇む黒い影とそれと対峙する正明の姿があった。

    夏彦「声の主はお前か、京極家の祭壇でなにやってる?」

    黒い影は人型に見える。対峙している正明は短い間に戦闘になったのかあちこちに傷を作っており、満身創痍といった有様だ。

    正明「夏彦君・・・私は、どうやら、踊らされていたようです・・・」
    夏彦「そこの黒い奴にですか?」
    正明「奴は・・・奴こそは京極家の皆を死に追いやった呪霊です・・・おかしいと思っていた、祓ったという報告がどこの情報にもなかったのは!」

    正明がそう言って立ち上がろうとした時、呪力の塊が正明を吹き飛ばした。

    『死にぞこないの役立たずめ・・・贄を連れてくることもできない、なけなしの呪力をこんな小僧に渡す・・・手間をかけて準備までさせたのに』

    ぼそぼそと呟いている黒い影。目を凝らしてみると呪霊らしい。かなり高位の呪霊だ。

    夏彦「こんな小僧で悪かったな。お前、ここでおしまいにしてやるよ」

    夏彦は全身に呪力をみなぎらせる。

  • 156二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 23:58:58

    爺はまさかの黒幕ではない…?なるほどなあ

  • 157二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 23:59:26

    いけー!夏彦

  • 158二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:04:17

    >>156

    善意からくるものが一番防ぎにくいものよ…

  • 159二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:11:45

    一歩、足を進めると影は祭壇から飛び降りてこちらへまっすぐに向かってくる。
    影「お前を取り込んで、損を補填するとしよう」
    夏彦「高くつくぞ、僕は」

    刹那、拳が交差した。衝撃が走り、祭壇のある部屋が揺れ、お互いは弾かれるように後ずさった。
    影は距離を取ると前のめりの姿勢になって再度勢いをつけて突っ込んでくる。

    夏彦「ふっ!」
    影「ガオッ・・・グガッ!」

    左手で受け流し、体を捻ると右肘でカウンターを入れる。そのまま頭を掴んで膝蹴りを入れると右ストレート一閃。
    影はごろごろと転がって祭壇の土台に派手にぶつかった。

    夏彦「口ほどにもないな」
    影「が、ぐげ・・・呪力が、もっと呪力が必要だ・・・」
    夏彦「持ってるもんで勝負しろよ情けない」

    祭壇に上ろうとする影の首を掴んで引きずり落とすと再び殴り倒す。



    真希「見えてきたぞ、うわっ!」

    離れに向かう三人の傍をを呪力の余波が通り過ぎて行った。そしてその余波とほぼ同時に正明がふきとばされて転がってくる。

    釘崎「あ、さっきの・・・いったい何が・・・」
    真依「ちょっと!何があったの!」

    真依が駆け寄って助け起こすと正明は既に虫の息だった。

  • 160二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:24:23

    正明「がはっ・・・、み、みなさん・・・すみません」
    真希「何があった?」

    真希が再度尋ねると正明は歯を食いしばって三人に謝罪し、事のあらましを説明した。

    正明「血盟破邪は元々、志半ばで散った仲間が残された仲間に呪力を、術式を継承させるために作られたものでした・・・」

    絶えず戦い続け、犠牲者が多かった京極家は考えていた。仲間の死を、自らの死を無駄にしたくないと。
    できることなら死してなお家族を守りたいと。
    その為に開発されたのが血盟破邪。血の盟約によって邪を破り、一族を守らんと。

    正明「私は焦っていました・・・祭壇の呪力は一族の呪力・・・それが、目に見えて減り始めていたのです・・・呪力の喪失がまるで、一族の消滅を暗示しているようで・・・」

    正明は一刻も早く、夏彦に全てを継承してほしかった。そこを呪霊に付け込まれた。
    京極家を壊滅させた呪霊は安全と安定した呪力を供給させるために京極家の一族の呪力が集まる祭壇に潜んで一族の呪力をかすめ取りながら生き続けていたのだ。
    そして倹約していた呪力を多く食らったのは本来と異なる多くの犠牲を贄として差し出させるために正明を苛むためだ。先祖の声色を真似して本来の条件よりもさらに厳しい条件・・・つまるところ呪霊はコストをふっかけて多めに呪力を食らい、コストを支払い精神的に弱った継承者を取り込み受肉するつもりだったのだ。

  • 161二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:49:51

    正明「呪霊の目的は、ぐっ・・・夏彦君そのものです、助けにいかなくては・・・!」

    正明は体を起こそうとしたが既にあちこちをケガしている。加えて老齢で病身だ。三人は正明を宥めて壁に寄りかかるように移動させた。

    真希「事情はわかったよ、夏彦の事は私達にまかせてくれ」
    正明「・・・すみません」
    真依「京極家の仇っていうなら私達の仇も同然よ、気にしないで」
    釘崎「っていうか、夏に手ェ出すならそもそも許す理由ないしね」

    三人の気迫に正明は安心感と同時に怖いのでちょっと引いた。

  • 162二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:55:59

  • 163二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 01:04:22

    今日はここまで!また明日!
    本編が終わったら真希パイセンから順番にえっちいの書きたいんじゃあ・・・

  • 164二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 01:23:45

    >>163

    おお…マジですかい?旦那…神かな?

  • 165二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 01:24:02

    乙〜

  • 166二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 08:28:48

    保守の番

  • 167二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:32:41

    ほし

  • 168二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:53:55

    再開します!

    夏彦(なんだ・・・?呪力の割に手ごたえが無い)

    目の前で自身に殴り倒された影のような男はみっともなく倒れ伏しては逃げまどっている。攻撃はそれなりだがやはりどこか不自然さを感じる。

    夏彦「相性がいい・・・ってわけではなさそうだな」

    呪力の塊を飛ばしてくるのを躱し、殴り飛ばすと派手に転がった。逃げる呪霊の腕を掴んで再び拳を振り上げた。

    呪霊「ひひっ!」
    夏彦「!・・・コイツ腕を!」

    自分の腕を切り落としてまで逃げまどう呪霊に夏彦はいよいよ疑念を募らせる。

    夏彦(こいつ何か隠し玉がありやがるな・・・)

    夏彦が呪力を籠めて攻撃を再開しようとした時だった。

    真希「夏彦!」
    夏彦「な!なんで来た!」
    真依「私達が待ってられるわけないでしょ!」

    真依が弓を引き絞ると呪力を帯びた矢が呪霊を襲う。釘崎とさらにドレス姿の赤糸がそれに合流して四対一の状態になる。

    夏彦(嫌な予感がするけど仕方ない・・・)

    四人が戦闘態勢に入ったのを見た呪霊は先ほどの弱腰な態度を一変させた。

  • 169二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:04:13

    五対一だった、ミス!

    祭壇を背に、打って変わって不敵な態度の呪霊に夏彦はちらりと出口を見た。前衛に夏彦と真希、それに赤糸が。後衛に釘崎と真依といった陣形で呪霊に対峙する。その中で疑問が尽きない夏彦を察して赤糸が話しかけた。

    赤糸「何か不審なことあった?」
    夏彦「逃げてばっかりだった奴が急にやる気になった、今のを待ってたみたいだ・・・」
    赤糸「こういうときって・・・」
    呪霊「ぐががっ!・・・」

    呪霊が印をくむと足元が急に泥沼に変わった。

    真希「領域展開・・・!?」
    夏彦「くそ、これが隠し玉か!」

    五人の体が沈み始める。どうやら切り飛ばした腕が出口に移動して呪霊の本体と同じ印を結んで祭壇のある部屋を領域としているようだった。

    赤糸「呪霊!こっちを見なさいな!」

    赤糸が呪霊に向けて呪力を籠めて手を叩いた。

    真希「なんも起きねえじゃねえか!」
    赤糸「あれー!?」
    釘崎「もう!下がってて!」

    キョトンとする赤糸をいつの間にか夏彦の傍にいた釘崎が襟をつかんで領域の外へと放り出した。

    真依「もう!役に立たないんだから!」
    釘崎「それより領域が閉じる・・・わわわっ!?」

    四人はそのまま呪霊が展開する領域へと吸い込まれていった。

  • 170二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:17:17

    四人は気が付くとそこは赤黒い壁に囲まれた異様な空間だった。

    真希「ここは・・・?」
    夏彦「呪霊の領域・・・か?」

    四人は周囲を確認しつつ領域の中を進む。

    真依「ここ・・・領域っていうよりなんかお墓とかみたいな感じね」
    釘崎「真っ赤な分不気味・・・」

    名前の刻まれた墓石が立ち並んでおり、まさしく墓地の様相である。

    真希「それより野薔薇、おい!」
    釘崎「えっ!あ、はい・・・!」
    真希「ボーとっすんな!お前金槌と釘はどうしたんだよ?」

    そう言われて釘崎は両手を見て空っぽの手を差し出した。

    釘崎「落としたかも・・・」
    真依「グズね、足引っ張らないでよ?」
    釘崎「・・・ごめんなさい」

    しゅんとした釘崎を見て真依は少し不思議そうにしたがそれをかき消すように呪霊の雄たけびが響いた。

  • 171二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:40:10

    総力戦か…

  • 172二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:40:49

    あんましガッチガチに強いタイプの敵ではないな

  • 173二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:48:31

    夏彦「来るぞ!」

    呪霊が先ほどの人型とはかけ離れた大型の姿で登場した。真希は持ち出した槍を構える。咄嗟に使う太刀も佩いている。

    呪霊「グルルアアア!」

    祭壇の前ではよく見積もって夏彦と同等のサイズだったのが今は四メートルほどに巨大化している。

    夏彦「くそっ!さっきまでの弱腰は・・・がっ?!」

    自分たちを一度におびき寄せるための時間稼ぎだった!あの迸った呪力、それ相応の肉体こそが今の姿だと察知したのは夏彦が初撃で数メートルを吹き飛ばされた瞬間だった。

    真希「夏彦!ぐっ!この・・・やろっ!」

    夏彦が転がって行ったのを後目に真希は槍を突き出して腕に突き刺した。鮮血がほとばしり、ダメージを受けたのか呪霊はやや怯んだが力任せに腕を振り回し、真希を間合いの外へと追いやる。

    真希「ちっ!見たまんまの固さ・・・夏彦!生きてるか!」
    夏彦「問題ない、ちょっと驚いただけ」

    真依「次が来るわよ!」

    墓石の上に立って弓を引いていた真依が呪霊の行動を報告してくる。それを見て二人は態勢を整えて再度攻撃を敢行する。


    釘崎「うーん、うーん・・・あんま上手くいかないかも・・・」

    釘崎は三人が奮闘する傍らで領域の特性を調べるべく歩き回っていた。戦闘には参加できない以上なにか代わりにやれることを探さなければならないが・・・。

  • 174二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:03:25

    もしかしなくても特級?

  • 175二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:09:17

    三人の攻防は続く。真希と夏彦が攻撃をしかけ、真依が援護する。対する呪霊はパワーを主体に呪力の塊を放出したり、巨体にものを言わせた攻撃で真希と夏彦を苦しめていた。

    夏彦「おお!」
    真希「はああ!」

    蹴りと槍の殴打が同時に入り、呪霊が怯む。崩れたバランスを取り戻そうとする隙をついて真依は矢を飛ばす。
    コンビネーションで少しずつ削っていき・・・。

    真希「とどめだ!」

    夏彦の補助を受けて高く飛び上がった真希が槍を呪霊の頭部へと突き刺した。

    呪霊「グギャアオオ!」
    真希「手ごたえあり・・・ん?!」

    不意に感じた違和感に真希は槍を手放して飛び退った。

    真依「しくじったの!?」
    真希「いや!確かに呪力の濃いところを貫いた・・・!」

    槍を引き抜いて何事もなかったかのように呪霊は立ち上がった。

    夏彦「しくじったって言うならまだいい・・・これは・・・!」

    傷ついた体が徐々に再生していく。致命傷を受けたにもかかわらずだ。
    呪霊なら体の再生をすることはできる、しかし先ほどは確かに真希が呪霊の頭を貫いたにもかかわらず呪霊はこともなげに立ち上がり、傷を回復させたのだ。

  • 176二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:10:03

    なんかのトリックがありそうだなあ…

  • 177二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:15:30

    >>176

    本体じゃない説

  • 178二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:16:04

    夏彦「これが領域の特性か・・・?」
    真希「領域に居る間は死なないってか?ふざけてるな・・・」

    二人は即座に構えた。真依は弓を引こうとしたが・・・

    真依「矢が・・・」
    真希「拾っといたぞ!ほら!」
    真依「気が利くわね!」

    尽きた矢を手渡されて真依はそれをひったくって矢筒に収める。

    真依「ってかあの役立たずはどこよ!」
    真希「野薔薇か?戦えないんだからしょうがないだろ!」
    夏彦「来るぞ!」




    釘崎「うーん、ここでもない・・・確か・・・」

    釘崎は三人の奮闘の最中も墓場を歩き回っていた。墓石には全てが呪力を帯びており、それぞれ『実在した京極家の人間』の名が刻まれている。

    釘崎「ここに力を貸してくれる存在がいるはず・・・」

    釘崎は一つ一つ墓石を調べていく。

  • 179二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:27:02

    夏彦「はぁ・・・はぁ・・・くそっ!」
    真希「しつこい奴だ・・・」

    真依「何度目・・・?そろそろキツイわ」

    戦闘が始まってどれくらい経っただろう。何度目かわからない致命傷を呪霊に与え、三人は息も絶え絶えに再び起き上がった呪霊を見上げる。

    夏彦「このままじゃジリ貧だ・・・」
    真依「呪力の量に差がありすぎる!」
    真希「疲れてる様子も見せないんじゃたまったもんじゃないな」

    夏彦「こうなったらこっちも領域を・・・!」

    三人が作戦を話し合いながら呪霊をいなしていると・・・。

    正明「皆さん、はやまってはなりませんよ」

    三人の元に正明がやってきた。

    夏彦「正明さん!?どうやってここに・・・」
    正明「簡単なことです、ここは呪霊の展開した領域ではないからですよ」
    真希(あれ?このおっさん確か瀕死だったはず・・・)

    真希が不思議に思いつつ正明の話に耳を傾ける。

    正明「ここは呪霊によって無理矢理現実に繋げられた生得領域です。本頼ここは血盟破邪の力によって集まった京極家の一族、その魂の眠る場所なのですよ」
    夏彦「じゃあ奴の呪力は・・・」
    正明「ええ、一族の皆の呪力、あなた達は呪霊ではなく数百年続いている京極家と戦っていたのです、勝てなくて当然」

    どこか自慢げな正明にちょっとイラっとした三人。しかし呪霊の強さの種が分かった。

  • 180二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:41:12

    正明「ここの呪力は言うならばバッテリーや発電機、呪霊はそれにコンセントを繋いで皆さんと戦っている。それを可能にする為にここにあなた達を引きずり込んだのでしょう」
    夏彦「しかし種がわかっても対処法がない・・・領域を使うなって言うのも・・・」
    正明「領域を使わないでほしいのはこの生得領域を破壊されては困るからですよ、だれだって墓場を木っ端みじんにされたら困るでしょう?血盟破邪の術式だってどうなってしまうかわからない」

    そう言われて夏彦も納得した。自身の中の術式がどうなるかわからない以上、むやみのこの領域を破壊することはできない。一族の魂が眠る場所を壊すなというのも納得できる理由だ。

    正明「まあ、大丈夫ですよ。対処法はある。なにせここは私達の先祖が眠る場所なんですよ?」
    夏彦「それはわかってますけど・・・」
    正明「呪霊は敵、そしてあなた達は守るべき家族、あとはこの領域で縁のある存在に呼びかけるだけで力を貸してくれるでしょう。皆さんはそれを探して、ご先祖様の力を借りればいい」
    夏彦「じゃあここには・・・」
    正明「貴方の両親もいらっしゃるはずです、会いに行ってらっしゃい。私がここは引き受けます」

    正明が呪霊の前に立ちはだかった。

    正明「お二方も行って下さい。心当たりがおありでしょう?力を貸してくれる一族に」
    真希「じいさん、アンタ・・・」

    真希と真依が躊躇っていると先ほどまで姿の見えなかった釘崎が卒塔婆を抱えて帰ってきた。

    釘崎「二人とも!あったあったよ!力を貸してくれそうな人って・・・うわっ!正明さん!」
    正明「おや、あなた・・・今はそれよりその卒塔婆を二人へ!」

    釘崎は卒塔婆を真希と真依にそれぞれ一本ずつ渡す。

    釘崎「この卒塔婆、どうにもいつ亡くなったかで酒類が分かれてるみたい、この卒塔婆と同じ種類の卒塔婆のある列に二人のよく知ってる人がいるはず!さあ行って!」
    真依「これ・・・!」

    卒塔婆は比較的新しく、書かれた字もまだはっきり残っている。これを目印にしろということらしい。

  • 181二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:53:00

    真希「探すのはいいがお前はどうするんだよ!」
    釘崎「モーマンタイ!正明さんと二人で頑張るから!」

    ビッとサムズアップで答える釘崎。真希はそれを見ても尚不安だったが・・・。

    釘崎「あーもう、仕方ないわね、じゃあネタばらししちゃう!」

    釘崎は拳を握りしめると痺れを切らして突っ込んできた呪霊に真向から向かっていった。

    正明「それっ!」

    正明が呪霊の目に砂を操ってぶつけ、視界を奪う。釘崎はそれを好機と手を叩いた。

    釘崎「夢も幻もいつかは覚める、それを自ら破壊することで今まで術式の発動に使った呪力を拳の一点に集める!」

    拳にちゅっとキスをして釘崎?は拳を大きく振りかぶった

    釘崎?「おめざの一撃よ!これで正気に戻んなさいな!『気付の一撃(ウェイクアップ・ヒート)』!!」

    拳が触れた刹那、空間が歪み、黒い閃光が走った。

    呪霊「ギャアオオオオ!!?」

    呪霊は上半身が粉々に吹き飛び、そこにはドレスを着た赤糸が立っていた。

    赤糸「ふぅ、あんまり張り切ったから黒閃キメちゃったわ」
    真希「ゲッ!オカマ!」
    真依「いつの間に・・・」

    呆れる真依に私は何時だって可愛い花嫁の味方!不可能なんてないわ!と鼻息交じりに応える。

  • 182二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:53:34

    >>180

    酒類は種類の誤字です・・・

  • 183二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:56:34

  • 184二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 23:15:59

    今日はここまでにしときます、また明日!
    明日で決着つくだろうか?

  • 185二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 23:17:20

    頑張って!お疲れ

  • 186二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 07:16:11

    保守域展開

  • 187二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 13:08:14

    保守域

  • 188二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 21:50:08

    このレスは削除されています

  • 189二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:24:51

    再開します!


    赤糸「ほら!さっさと行く!これしきで呪霊はくたばったりしないわ!」
    真希「うげ、まじかよ・・・」
    真依「急ぎましょ」

    真依に促されて真希は走り出した。その後ろでは呪霊が再生していく音が聞こえる。

    赤糸「さて、オカマが最強たる所以を見せてあげましょうかしら」
    正明「及ばずながら援護しますよ」






    夏彦「あった・・・父さんと母さんのお墓」

    他の一族と同じように列になった鎮座する墓石には夏彦の両親である 京本 和彦と京本 夏江の字が。
    苗字のところには京極の字も隣に彫られており、二人が京極家の血を引いているのだと証明するように並んでいる。

  • 190二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:26:50

    夏彦「父さん、母さん、力を貸してくれ・・・!」

    夏彦がそういって墓石に触れると墓石から呪力が迸った。

    和彦『夏彦、久しぶりだな』

    迸った呪力が人の形をとり、夏彦の前に立った。忘れもしない、あの時、わかれた姿のままの父と母が立っている。

    夏江『大きくなったわね』
    夏彦「うん、その、こんな時でなんだけど、奥さんもできてさ」
    和彦『知ってるとも、野薔薇ちゃんのほかに二人も嫁さんを取るなんて罪な男だぞ、夏彦』

    呆れたように、でも嬉しそうに和彦が笑うと夏江が和彦の耳を引っ張った。

    和彦『いででで・・・!』
    夏江『生前は無力だったけどここの領域の住人になって私達は呪霊の本体に触れることができるようになってる。私達が夏彦と力を合わせれば奴に致命傷を与えられるかもしれないわ』
    夏彦「そうなの?」
    和彦『奴はこの領域を利用して幽体と肉体を行き来しているから急所を破壊しても呪力がある限り死なない。そして呪力はここに京極家の人たちが眠っている限りほぼなくなることはない。このままでは永遠に戦い続けても終わらないだろう』

    魂でも知覚できるならわからんが・・・と和彦はつぶやいた。

  • 191二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:28:53

    パパン…ママン…

  • 192二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:41:35

    夏彦「魂・・・か、確かにこのメンツでは無理だね。それで・・・力を貸してくれるのはどうやって?」
    和彦『簡単だ、俺たちは呪力の塊みたいなもんだからな。お前の体に宿って戦うさ』
    夏江『こんな感じにね』

    二人が夏彦の手に触れる。温かい感触と共に夏彦の体に淡い光となって吸い込まれていった。

    夏彦「これって・・・」
    和彦『俺たちは意思を持った呪力、京極家の歴史そのものだ。京極家が無くなるその時まで、俺たちはお前の味方だ』
    夏江『生前には勝てなかったけど、あなたと一緒なら・・・』

    漲る力と呪力を手に、夏彦は再び闘志をみなぎらせる。
     


    真希「私の卒塔婆だけなんか豪華だから嫌な予感してたけど・・・ここら辺当主とか重鎮のばっかじゃねえか!」

    真希は似たデザインの卒塔婆を探していたところ、俄かに大きな墓石が並び始めたので仰天した。

    真希「どれも何代目当主とか書いてる・・・マジで私がここ来ていいのかよ・・・」

    夏彦がくるとこじゃねえの?と思いつつ真希が進むと・・・。

    『おーい、こっちだ。真希ちゃん』

    声が上から聞こえてきた。真希が顔を上げると・・・そこには幕末の剣客を思わせるような出で立ちの偉丈夫が墓石の上で胡坐をかいていた。

    真希「私に面識あるってことは・・・勝弘さんか!」
    勝弘『大正解だ、真希ちゃん。綺麗になったな、死んだ妻にそっくりだ』

    夏彦君は見る目がある、もちろんワシもな!と勝弘はにっかりと笑いながら墓石から飛び降りて真希の前に立った。

  • 193二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:57:25

    真希「すっげ・・・」

    真希は目のまえに立った勝弘の威圧感に気おされた。かつて直毘人が言っていた勝弘の話が蘇る。

    直毘人『奴は威圧感だけで呪霊を祓えそうなほど、若い頃は裂帛の意志を持っていた。自身は準一級がせいぜいと自嘲していたがワシは奴が一級呪霊を一刀の元に斬ったのをみたことがある。呪力が乏しく、呪具頼みの戦法であったが奴の渾身の一振りは・・・特級にも届くぞ』

    傲慢な禪院の術師が、その頂点に立つ直毘人が珍しく他家の人間をほめたので強烈なインパクトとして彼女の記憶に残っていた。珍しく友人関係だった直毘人と勝弘は生前から多く交流があり、真希と真依を引き取る話も勝弘だからと直毘人は二つ返事するほど彼を信頼していた。

    真希(これを知ってりゃ・・・確かに信頼もできるかも)

    無手の勝弘が、まるで抜き身を持っているかのように鋭い。武具を持った相手を見ているかのように一挙手一投足に注目してしまうほど。

    勝弘『・・・どうやらあの呪霊に引導を渡す時が来たようだな、真希ちゃん。ワシが力を貸そう、ちょうど良く刀を持っているようだしな』
    真希「勝弘さん・・・」
    勝弘『水臭いぞ、おじいちゃんで構わん』

    はっはっは!と大笑する勝弘に呆れつつ、その刹那に勝弘は光の粒子となって真希の刀と両腕に宿った。

    勝弘『秘伝の一太刀、真希ちゃんに授けよう。絶えた流派故にどこまで役立つかはわからんが』
    真希「勝弘さんの技だろ、十分すぎる」

  • 194二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:59:02

    秘伝の太刀…強そう

  • 195二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:59:24

    最終決戦…

  • 196二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:00:54

    こりゃ終わりそうにないな、次スレで決着になりそうなので次スレ立てます!

  • 197二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:01:17

    ほい次スレ!

  • 198二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:01:34

    次スレだぁ!

  • 199二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:02:17
  • 200二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 23:03:02

    次!

オススメ

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