【🎲？】『推論でよろしければお伝えしましょう、先生』

[1 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 13:21:28]

『現在先生が入っているその匣(ﾊｺ)は、おそらく中の物体に多次元解釈論に基づく状態の重ね合わせを引き起こすことで、容積以上の物質を保存できるオーパーツだと思われます』

『その影響で、外からの連絡は届かず、中からの電波は平行世界の無作為な連絡先に届いてしまうのだと思われます。当然、今話している私もあなたの知る私ではありません』

『そういうこった！』

『ただ、「外から」キヴォトスにやって来たあなたから掛けるなら、ある程度は縁のある人物に繋がるはずです』

『幸い、推測通りの状態なら飢えや渇きはありません。フランシスのいう「主人公」であるあなたなら、必ず乗り越えられると期待しています』

『願わくば、そちらの私に中での体験を伝えてくだされば幸いです』

『そういうこったぁ！！』

pi!

“どうしよう……”

[2 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 13:22:28]

＊＊＊

　事の起こりは半日前。
　どうにか仕事をさばききって、何日ぶりかの残務無しを達成したのが日の出過ぎ。一度仮眠を取ろうと地下室に行き、ふと目についたクラフトチェンバーを衝動的に起動して、仮眠から起きたらこのいかにもな宝箱が鎮座していた。
　物は試しと色んなものを入れてみたが、埋まるどころか重くなる気配すらない異常。
　どうなってるのかと中をのぞいて、うっかり足を滑らせてしまい、そのまま中に閉じ込められて。
　リンちゃんの番号に掛けてみたところ、絵の中の人と通話が繋がり、先の説明から今に至る、という訳だ。

“さっきの話が本当なら、元の世界に繋がるまで繰り返すことになるんだろうけど……”

　抽選(ｶﾞﾁｬ)と聞くとあまりうまくいく気がしない。
　具体的には200回ぐらい回して引換券をもらうしかない感じ。

“ええい、ままよ！”

prrrr、prrrr、……pi

1d9=

１～３：セミナーオオフトモモ
４～６：異世界おじさん
７～９：ペインターグラインダー

[3 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 13:24:30]

>>2

dice1d9=8 (8)

[4 ペインターグラインダー 1/2 24/01/06(土) 13:30:05]

　通話が始まる。表示された番号に見覚えは無い。

　意を決して話しかける。

“もしもし？”

『あ、先生？ 副部長のケータイ借りたの？』

“え？ ちょっと色々とね”

　聞こえてきたのはマキの声だ。

　どうやらあちらにはチヒロの番号が出ている様子。

　まあいい、そこは置いておこう。

“えっと、マキは今どのあたりにいるの？”

『ん？ 今は《《ドオォォォン》》』ザザザザザ

　電話越しの爆音と、何かが大量に降り注ぐ音に通話が遮られる。

“何今の音？！ 大丈夫？！”

『あははは、ごめーん！ ちょっとはしゃいでるみたいでさー！』

『カラフルに塗ってあげたら喜んで、砂とかすっごい巻き上げてるんだよねー！』

　そう言うマキの後ろでは今も地鳴りのような音が続いている。

　多量の砂、砂漠？ なぜマキが？

　疑問が積みあがる中、マキのすぐ側に巨大な何かが地をこすり、

『■■■■■■■―――！！！』

　聞き覚えのある、機械仕掛けの咆哮が鳴り響いた。

[5 ペインターグラインダー 2/3 24/01/06(土) 13:34:22]

“な……！”

　忘れようもない。

　理解を通じた結合、違いを痛感する静観の理解者。

　第三のセフィラ、ビナーがすぐそこに来ている。

『わわっ押さないでよもー。ビナー君おっきいんだから』

“え……え？”

　なんかその割には、危機感は微塵もなさそうだけど。

『えー、どうしたの急に？ あ、もしかしてこの電話？』

『■■■■』

『もー、先生とは何もないって。なぁに、嫉妬してくれてるの？』

『■■■■……！』

　なんだろう、これ。

　大型犬とじゃれているような、引っ込み思案な彼氏をからかっているような空気が、通話越しにも伝わってくる。

　アビドス砂漠はいつから砂糖の産地になったのか。　

“……えーっと、邪魔したみたいだから、もう切るね？”

『あ、ごめんね先生！ そんなわけで、私もうちょっとビナー君と遊んでるから！』

『■■■■■■■―――！！！』

（※）

　元気そうな預言者の咆哮を最後に、通話は途切れてしまった。

（※）

キヴォトス昔ばなし / ゆかりご飯 さんのイラスト

[6 ペインターグラインダー 3/3 24/01/06(土) 13:35:19]

“――――――聞かなかったことにしよう”

　世の中忘れた方がいいこともあるのだ。

　広い平行世界、●本むかしばなしを再現してるのはオンリーワンだと思いたい。

“改めて掛けなおそう”

　さて、ちゃんと繋がってくれるといいんだが……

dice1d9=8 (8)

１～４：セミナーオオフトモモ

５～８：異世界おじさん

　　９：熱烈歓迎

[7 スレ主 24/01/06(土) 13:39:45]

こんな感じのネタを投下するスレです。
（着想元：ミミック遠坂Lv2）

ちょっと所用で離れます。
皆さんも好きな生徒で書いていいのよ？

[8 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 13:53:43]

ユメ先輩の記憶をイキュラスキュオラするおじさんか...

[9 異世界おじさん 1/2 24/01/06(土) 15:41:51]

　通話が始まる。やはり表示された番号に見覚えは無い。

　意を決して話しかける。

“もしもし？”

『うへ？ なんだ先生かぁ、知らない番号だから身構えちゃったよ』

　電話から聞こえてきたのはホシノの声。

　番号表示がおかしいのは共通のようだ。

　さてどう切り出そうか、と少し姿勢を正したところ、

『この時間に掛けてきたってことは、決心したってことかな、先生？』

“ん？”

　何かホシノの方から話を切り出してきた。

『まあ色々使えるからねぇ～、どこにするか迷うよね。

　だからおじさんのところに掛けてきたんだろうし』

“んん？”

　いまいち話が読めない。

　知らない前提条件、別の世界のホシノに繋がっているのはほぼ確定。

　問題は、その世界の私がどんな話をしていたのかだが。

[10 異世界おじさん 2/2 24/01/06(土) 15:43:33]

『先生はあんまり慣れてないだろうし、まずはスタンダードなところがいいかもね。

　メンフィスビルから三つ先の「ドゥアト」とかどうかな』

“……んんん？”

　雲行きが怪しい。

　記憶が正しければ、そのビルの辺りは普通の商業施設は無かったはずで。

『オススメはやがみんって娘かな～？ 小麦色の美肌で、すべすべの美脚でのマットはいいよ～？』

“エッチなのはダメ！ 規則違反！”　pi!!!

　完全に大人のお風呂だった。

　ジャッジマンも一発有罪である。

　何が悲しくて生徒に下のお世話を相談しなければならないのか。

“――――――聞かなかったことにしよう”

　世の中忘れた方がいいこともあるのだ。

　広い平行世界、本当におじさんしてるのはレアケースだと思いたい。

“改めて掛けなおそう”

　さて、ちゃんと繋がってくれるといいんだが……

prrrr、prrrr、……pi

dice1d9=2 (2)

１～８：セミナーオオフトモモ

　　９：熱烈歓迎

[11 セミナーオオフトモモ 1/2 24/01/06(土) 15:55:54]

　通話が始まる。どうも番号表示に規則性はなさそうだ。

　意を決して話しかける。

“もしもし？”

『先生？ どうしたんですか、知らない番号ですけど』

“え？ うん、ちょっとね”

　電話から聞こえてきたのはユウカの声だ。

　今回もやはり表示がおかしいらしいが、詳しい理由は分からないので流して、本題に入る。

“それで……ユウカ、今シャーレまで来れる？”

　同じ世界のユウカなら、いつも通りミレニアムにいるはずだが……

『ええ、今からですか？！ ま、まぁ、構いませんけど……その、準備もありますから、ちょっとお時間いただけますか？』

“準備？ えっと、ユウカ、今どこにいるの？”

『あれ、実家に用事で帰るってお伝えしてたと思ったんですけど』

　知らない予定。

　どうやら別世界に繋がったらしい。

“そっか。ゴメン、だったら無理は言えないね”

『いえ、構いませんけど……本当に大丈夫ですか、先生？』

“うん、本当に気にしないで”

　さすがに世界をまたいで、とはお願いできない。

[12 セミナーオオフトモモ 2/2 24/01/06(土) 15:57:43]

『……まあ、先生がそういうのでしたら。仕事はため込んでからじゃなくて、早めに呼んでくださいね』

“うっ……気を付けるよ”

『それでは――え、なに？』

　通話を終える、というところで、ユウカの後ろで何やら声がする。

　実家という話だから、ご家族か。

『うん、わかった。先生、父が少し話したいそうなので、代わりますね』

“え？ ユウカの？”

　マイクを押さえるくぐもった音。

　どうする、と考える間もなく、

『クックックッ……お久しぶりです、先s』 pi!!!

　なんか黒いアイツの声がしたとき、反射で通話を切っていた。

“――――――聞かなかったことにしよう”

　世の中忘れた方がいいこともあるのだ。

　広い平行世界、親子関係も自分の世界(ｺｯﾁ)とは無関係だと思いたい。

“改めて掛けなおそう”

　さて、ちゃんと繋がってくれるといいんだが……

prrrr、prrrr、……pi

1d5=

１～３：親の顔より見た白目

４、５：フフフ……ＦＯＸ！

[13 セミナーオオフトモモ 3/2 24/01/06(土) 15:58:27]

>>12

dice1d5=1 (1)

[14 親の顔より見た白目 1/2 24/01/06(土) 16:04:05]

　通話が始まる。

　番号表示は……［The Music You Know］？

『はい、便利屋68の陸八魔です』

“アル？”

『あら、先生。……先生？』

　繋がった先は便利屋の事務所らしい。

　ただ、なんか様子がおかしい。

　事務所内の誰かの声がわずかに入るが、アルはそれに返事することもなく。

　勢いよく振り返るような音が何度かして、

『――――――ええええええ？？！！』

　ノワールシュートもかくやという程の、大絶叫を響かせた。

“ど、どうしたの？ 大丈夫？”

『どどど、どうしたも何も、なんで電話が？！』

“いや、なんでと言われても”

　すごい取り乱し様だ。

　電話の向こうのもう一人の声も、詳しくは聞こえないものの、何とか落ち着かせようとしてるようだ。

[15 親の顔より見た白目 2/2 24/01/06(土) 16:08:20]

『だって、先生はここ……ハッ？！』
“アル？”
『な、何でもない！ 何でもないわ！ ちょっと先生が顔を合わせちゃいけない人がいるだけよ！』
『だからせん、電話のアナタは今日はウチの事務所に来ない方がいいわ！』

　何かに気づいたのか、アルがかなり必死に説得し始める。
　そんなにマズい人がいるのだろうか。

『ええ、だからそっちのせn、事務所のアナタも今日はうかつに出歩かない方がいいわ！』
『詳しくは言えないけど会うと死んじゃう感じだから！』

　電話の向こうの人にも注意してるあたり、よほどその人と会うのはマズいらしい。
　……なんだか悪い大人に騙されてないか、ちょっと心配になってきた。

“ねえアル、そっちにいる人は誰？”
『ええ？！ べ、別に誰もいないわよ？！』

　さすがにそれは無理だと思う。

“ちょっと代わってもらっていいかな”
『あ、それは、ああっ電波が悪いみたいごめんなさいね切るわよ！！』ｶﾞﾁｬﾝ！！

　切られてしまった。
　……多分、平行世界のどこかだったのだとは思うけど。
　無事出られたら、一度便利屋68の様子を見に行こう。向こうのアルについては、向こうの私がちゃんと対応してくれることを祈るしかない。

“……うん、今度こそちゃんと繋がってほしいな……”

prrrr、prrrr

[16 フフフ……ＦＯＸ！ 24/01/06(土) 16:12:54]

　通話が始まる。表示されているのは……非通知？

『やあ、先生。バーボンセイアへようこそ』
“もしも……ん？”
『この紅茶はサービスだから、まずは飲んで落ち着いてほしい』

　こちらに反応せず、一方的に話しかけてくるセイアの声。
　どうやら録音メッセージのようだが……バーボン？ 紅茶？

『そう、「また」なんだ。仏の顔も、とも言うしね。いくらセクシーでも、謝って許しされるとも思っていないよ』
『でもこの状況になった時、先生は言葉にできない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う』

　いや閉じ込められた焦りだけですが。

『殺伐としたキヴォトスで、そういう気持ちを忘れないでほしい。そう思って、この録音を準備したんだ』

　予知の無駄遣いである。
　いや、知ったところでセイアもどうしようもないとは思うけど。

『そうそう、脱出なら鷲見セリナに連絡するといい』
『それじゃあ、注文を聞こうか』

pi―――！

“…………ええっと。とりあえず、セリナに掛けてみるよ。ありがとう”pi!

　一応お礼を録音して、通話を切った。

“……他にあてもない、か”

[17 角度からの救護 24/01/06(土) 16:18:07]

prrrr、prrrr、……pi

“もしもし？”
『もしもし？ 先生ですか？』

　セリナの声だ。同じ世界かは分からないが、セリナには繋がったらしい。
　思い切って、初手から救助を頼んでみる。

“ごめん、セリナ。今、シャーレの地下室で出られなくなってるんだけど、来れるかな”
『ええ！？ 閉じ込められてるんですか！？ ちょ、ちょっとお待ちくださいね、通話はそのまま切らないでください！』
“う、うん”

　セリナの切羽詰まった空気に押されてしまう。
　電話の向こうからは「地下……」とか「この感じだと……」とか、考え込んでるような呟きが聞こえてくる。

『―――そこですね。先生、今から私が行きますから、通話を切らずに待っててください！』
“分かった、お願い、セリナ”

　と。返事をするか否かというタイミングで、箱に光が差し込む。

[18 角度からの救護 24/01/06(土) 16:18:42]

「先生！ 大丈夫でしたか？！」

　そこには、駆けつけてきて箱を両手で押し開けてくれた、セリナの姿があった。

“ありがとう、早かったおかげで何ともないよ”
「はぁ……良かったです」
『安心しました』

　よほど焦って来てくれたのか、ほっと溜息をつくセリナ。
　電話から聞こえる声にも安堵がにじみ出て……あれ？

“え？”
「？ どうしました、先生？」

　セリナに引っ張り出されながら、手元の端末を見ると、すでに通話は途切れていた。
　ふとセリナに目を向けると、いつものカバンと銃。
　端末は手元に見えない。

“…………………………いや、うん。ありがとう”

　――――――聞かなかったことにしよう。
　世の中忘れた方がいいこともあるのだ。
　自分のいる世界だからこそ、暴き立てるだけが正義じゃないと思いたい。

　あまり知りたくなかった可能性の数々を垣間見て。
　たった半日、ポケットの中の特異現象は、こうして幕を閉じたのだった――――――

[19 スレ主 24/01/06(土) 16:23:23]

以上になります。
ご清覧ありがとうございました。
残りはSSスレとして【エダ死】以外ならご自由にお使いください。

[20 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 16:47:44]

乙
SSスレだったのか、スレタイで分からんかった

[21 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 19:39:55]

黒服ユウカ親子概念とか久々に見たな

[22 二次元好きの匿名さん 24/01/06(土) 21:26:34]

>>10

[23 二次元好きの匿名さん 24/01/07(日) 01:37:25]

原理的にはサイコパススズミやカビの生えそうな継承戦の最中や遺書を見たコユキに繋がったりするのか

[24 二次元好きの匿名さん 24/01/07(日) 02:10:43]

サラダ触手が溢れた世界とかにも繋がれ

[25 二次元好きの匿名さん 24/01/07(日) 02:17:15]

弾道ミサイルの卵を預かってるミカに繋がる事もありそう。

[26 二次元好きの匿名さん 24/01/07(日) 07:41:20]

＞　なんだろう、これ。

＞　大型犬とじゃれているような、引っ込み思案な彼氏をからかっているような空気が、通話越しにも伝わってくる。

＞　アビドス砂漠はいつから砂糖の産地になったのか。

ビナマキに混じって砂糖ネタまで入れてんのか

[27 二次元好きの匿名さん 24/01/07(日) 11:56:51]

保守

[28 二次元好きの匿名さん 24/01/07(日) 20:56:43]

色彩呼ぶつもりが箱の中の先生につながるベアおば？

[29 二次元好きの匿名さん 24/01/08(月) 07:59:56]

保守

[30 スレ主 24/01/08(月) 10:19:33]

●●保守して下さった方へ●●
拙作をご清覧いただきありがとうございます。
スレ主による書き溜めは全て投下済みで、追加の予定は無く、続編をご期待されている場合、残念ながらお応え出来かねるのが現状です。
ネタ出し、短編投下等をスレ主以外の方もご自由に使っていただいて構いませんが、保守のみ続けて残すのも心苦しいので、何もなければそのまま過去スレ行きを見届けていただければ幸いです。

[31 二次元好きの匿名さん 24/01/08(月) 18:54:36]

良スレ保守