釘崎の関係者生やしたい(ダイス) その12

  • 1二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:01:42

    続き!

  • 2二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:02:38

    ほしゅ1

  • 3二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:02:50

    ほしゅ2

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:03:02

    ほしゅ3

  • 5二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:03:14

    ほしゅ4

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:03:32

    ほしゅ5

  • 7二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:03:52

    ほしゅ6

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:04:05

    ほしゅ7

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:04:17

    ほしゅ8

  • 10二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:04:30

    保守域展開

  • 11二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 00:49:45

    サンガツ!

  • 12二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 01:01:21

    前スレで安価もどき中・・・

  • 13二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 01:21:33
  • 14二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 02:14:51

    だれだー!前スレ200で修羅場なんて書いた奴だれだー!

  • 15二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 08:30:20

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 17:57:43

  • 17二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 22:12:13

    再開します。 修羅場っていうから!修羅場にしますとも!


    翌朝、真依は少しばかり元の勝気さを取り戻し、真希はちょっと残念に思った。

    「さてと、帰るわよ夏彦」
    「うん」

    夏彦はいつも通り仕事帰りの様子だ。元々遠征続きで外泊が多いのも理由だろう。しかしそれに待ったをかける奴が。

    「ちょっと待った、その手はなによ」

    真希が首を横に向けると釘崎が真依と夏彦の様子を見て何やら苛立ちを隠せない様子。真希も手という単語を聞いて夏彦の手に注目すると、たしかに真依は夏彦と手を繋いでいる。
    真依はどう思っているのかわからないが夏彦の様子からして小さい女の子と保護者がはぐれないように手を繋いでいるようにしか見えない・・・が釘崎はそうでもないようだ。

    「なによ、アンタだって昨日は繋いでたじゃない?」

    がっつり根に持っている。真希は少し雲行きの怪しさを感じつつ成り行きを見守っていた。

    「私は、その幼馴染だし・・・たまにしか会えないからいいの!アンタはおんなじ学校なんだしいつでも会えるでしょ!」
    「そんなの理由になってないわよ!それに幼馴染っていうなら私と真希だって似たようなもんでしょ!」

    10歳くらいからの付き合いなので若干遅い気がしないでもないが、物はいいようだろうか。
    隣で聞いていた真希も、幼馴染という括りに入れるならまあ入りたいとは思った。

    「ま、まあまあ二人とも・・・」
    「夏、直近の任務は東京なんでしょ?じゃあ京都にはコイツが一人で帰ってもいいんじゃない?」
    「ちょ!何勝手に決めてんのよ!次の任務は関西だから帰るに決まってんでしょ!」

    夏彦が困り果てているのが見える。真希はどうしたものか考えていた。

  • 18二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 22:50:51

    二人が睨み合う中で夏彦はとにもかくにも困っているばかりだった。
    夏彦にこう言った選択をさせること自体が酷といえば酷なのだ。

    「二人ともそろそろやめとけ、夏彦が困ってるだろ?」
    「真希さんだって夏彦が東京に残ってくれたら嬉しいでしょ!」
    「うっ、それは・・・まあ」

    珍しく即答できなかった。それが二人の口喧嘩を加速させることになった。

    「ほら!真希さんも言ってる!」
    「だからなんだってのよ!」

    ただ流石に埒が明かないと思ったのか、真希は夏彦に目配せをすると二人が掴んでいる腕を器用に引き抜いて一歩下がった。

    「おまえら」
    「あ・・・ぐぇっ」
    「いい加減に」
    「ちょ・・・きゅっ」
    「しとけよ?」
    「「あががが・・・!」」

    二人を器用に片腕でヘッドロックにかけた真希は夏彦に待っているように告げて二人を引きずっていった。

  • 19二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 22:51:41

    >>17

    ニヤリ…

  • 20二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 23:16:18

    真希は二人を物陰まで引きずっていくと芝生の上に二人を転がした。

    「うぅぅ・・・頭が割れるぅ」
    「な、なにすんのよぉぉぉ・・・」

    二人が頭を押さえて悶える中、真希は腕を組んで二人を見下ろすと

    「お前らな、夏彦の気持ちを考えろ」
    「なによ・・・それ」

    真希の言葉に真依はすかさず不満を漏らし、釘崎も口には出さないながらも同意しているようだ。

    「夏彦は・・・まあ、こればっかりは自意識過剰かもしんねーけど」
    「?」
    「アイツにはもう、知り合いしか残ってねーんだぞ?」

    真希の言わんとすることを察して真依は俯いた。釘崎はそれを見て何かしらの事情があると察して目を逸らした。

    「そんな中で誰が必要で、誰がそうじゃないとか・・・あいつに選べっていうのか?」
    「それは・・・」
    「必要が迫ったとしても、辛いことじゃねえか。それをお前らの胸先三寸で決めろってのはわがままが過ぎるだろ」

    二人はそれを聞いて、正直反省した。

    「ちょっと頭冷やせ、夏彦にはまっとくよう言っとくからさ」

    二人はちょっと気まずそうに、頷いた。

  • 21二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 23:23:52

    おろおろしている夏彦の元に真希は一足先に戻ってきた。

    「真希ちゃん、二人は?」
    「ああ、ちゃんと言っといたよ。あんなんでもお前が好きなだけだからな。責めないでやってくれよ」
    「責めはしないけど・・・仲良くしてくれるといいんだけど」

    夏彦は面倒ごとに巻き込まれるより二人が喧嘩をしていたことを気にかけていたようだった。
    さすがのお人好しぶりに真希も苦笑するほどだ。すぐ戻ってくるさ、と言いながら真希は改めて言う。

    「あいつらは好きなのはいいけど、二人はやり方が悪ぃんだよな」
    「やりかた?」
    「そそ、独占するばっかりがやり方じゃないってことさ」

    真希は周囲を見渡すと、誰もいないことに気が付いてニヤッと笑う。

    「まあちょっと耳を貸せよ」

    言われるままに顔を寄せた夏彦の顎に手を添えて

    ちゅっ、と

    「これくらいして、すぱっと送り出すのが正解だろ?」
    「ま、真希ちゃん!」
    「いってらっしゃい、あ・な・た・・・なんつってな」

    頬を染める夏彦に悪戯っぽく笑って真希は踵を返した。振り返らず、手だけを振って。

    (あぁぁぁ・・・マジで、何やってんだ私!結局私もあいつらと張り合ってんじゃねえかよ・・・)

    多分自分も耳まで真っ赤になっているのがバレないように。それでもやりたいことはしっかりと、真希も、意思は見せた。

  • 22二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 23:24:33

    などと言いつつ…と思っていたらホンマにやりおったで

  • 23二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 23:25:41

    素晴らしい…

  • 24二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 23:29:56

    >>22

    真希パイセンも夏彦大好きだからね、仕方ないね。

    基本的に真希はめっっっっちゃへたれるか、スパッと済ませるかのどっちかしかないと思ってますので。

  • 25二次元好きの匿名さん24/03/15(金) 23:36:39

    そろそろ本編に戻ります! 津美紀は本編にどうかかわってくるかなぁ・・・

  • 26二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 00:18:17

    それから数時間後に、伏黒と虎杖、釘崎の三名が無事に任務を終えて帰還したことを賀樂たちは伊地知から聞かされた。

    「よかった、恵は無事なんだね」
    「うん、そうみたい」

    賀樂は護衛の必要もなくなったことも踏まえて帰り支度を始めた。

    「さて、とりあえず目が覚めて元気になったことも伏黒のお兄ちゃんに教えなきゃだし。私達はもう行くね」
    「うん、わかった。今度は私の方から皆のところへ行けるように頑張るからね」

    柏と賀樂は津美紀に手を振りながら帰っていった。柏は帰りはトラックの荷台に乗った。



    「おまえ!どこに行ってたんだ!此処で待ってろっていったろ!」
    「うう、なんでそんなにおこる?おれはわるいことはしてないぞ」
    「お前の身柄は五条先生が預かってんだよ!勝手に動き回ると先生が怒られるんだ!」

    帰ってきた柏は恵に怒られて大きい体を小さくしていた。しかし反応的に何が悪いかはわかっていない様子。

    「まあまあ、伏黒、お前の姉ちゃんも目が覚めたって話だし・・・それにこいつらが伏黒の姉ちゃんの護衛してたんだろ?仕方ないじゃん」
    「お前な・・・」

    虎杖ののんきな反応に脱力した伏黒はもういい、と短くつぶやいて自室に戻ってしまった。

  • 27二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 00:24:00

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 28二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 01:17:23

    乙〜

  • 29二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 08:11:42

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 13:26:11

  • 31二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 21:35:41

    ほしゅ

  • 32二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 22:30:16

    再開します!

    「歌姫先生、それは本当ですか?」
    「ええ、あなたには辛いでしょうけど・・・」
    「・・・わかりました、ただ、最後に一回だけ、連絡をとってもいいですか?」

    京都校の一室で急遽呼び出された夏彦は歌姫と話していた。

    「アイツが呪霊に僕たちの情報を流していた・・・か」
    「消去法よ、一人ずつ可能性を潰していった結果・・・上層部まではわからないけど高専にケチをつけられるとなると学生側か・・・それこそ私か五条か、学長のどちらかしかありえないもの」

    なんでわかったのかと聞きたげな夏彦の表情を悟ったのか歌姫は先んじて答える。

    「東京校のメンバーにメカ丸を確保してもらう手筈なの」
    「そう・・・ですか」
    「悪いけどバックアップはお願いね、与君の手数に対抗できるのはあなたの付喪躁術だけだから」

    夏彦は黙って歌姫の後に続いた。

  • 33二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 22:50:05

    駐車場の一角。そこに歌姫と夏彦は待機していた。

    「・・・出ないか」

    携帯電話を投げ捨てたい気持ちを抑えて、夏彦は空を仰いだ。時刻は夕方だ。

    「こっちよ」

    歌姫が東京校一年生の三人を招く。

    「夏、流石に暗いわね」
    「とげちゃんか、まあね」
    (暗いというより、殺気すら感じるぞ)

    伏黒は普段の夏彦とは思えない雰囲気の夏彦を見て少しだけ身震いをし、虎杖は心配そうに彼を見ている。

    「どうしてわかったんです?」
    「わかったというより、彼しか怪しい人物がいないのよ」
    「そうなんすか?」
    「でないと私達に頼む理由がないでしょ」

    未登録の傀儡を使えば諜報活動なんてお手のものだし。と歌姫がいう。案内されつつ向かうのは駐車場の地下に偽装されたメカ丸の本体。与 幸吉のいる場所だ。

    「天与呪縛で彼の傀儡躁術の範囲は日本全土・・・その代わりに彼はここから動けないのよ」
    「つい最近までここにいたはずだけど・・・」

    夏彦は鋭い眼差しをドアに注いでいる。

  • 34二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 22:51:58

    ロボ丸…

  • 35二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 22:53:28

    >>34

    惜しいメカ丸です

  • 36二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:00:48

    一行がドアの前でたたずんでいる中、歌姫がドアノブに手をかけゆっくりとひねった。
    「・・・やられた」
    「空っぽ・・・?」

    天井から幾重にもダクトが伸びた部屋は主を失い、閑散としていた。

    「けど、これで確定ね」

    釘崎が短くつぶやき。空気だけが重く、淀んでいた。

    「・・・なめやがって」

    ズン、と地鳴りがなったかと思い全員が身構えたが振り返った伏黒がその発生源を見て思わず冷や汗をかいた。

    「夏、わかるけど今は抑えて、アイツだって何かしら理由があるかもしれないし」
    「わかってるよ、頭では・・・」

    地鳴りの発生源は夏彦だった。床にできた罅と壁を叩いた時にできた亀裂が彼の怒りを示している。

    「先に出ます、五条先生と合流して対策を練らないと」
    「わかった、気を付けてね」

    歌姫がそう言うと夏彦は振り返ることなく立ち去り

    「夏彦キレてたな・・・」
    「ううん」
    「?」
    「泣きそうな顔してたよ・・・夏」

    釘崎だけが不安げだった。

  • 37二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:01:22

    さす嫁

  • 38二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:13:37

    2018年 10月31日 19時ちょうど・・・

    東急百貨店、東横店を中心に半径400メートルの帳が下ろされる・・・。

  • 39二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:18:52

    今日は更新はここまでにしときます。渋谷事変突入前になりましたので明日からは
    賀樂ちゃんの過去話にスイッチしようかと思います。ここでは統合前の話から時系列的に始まるので
    オリジナルキャラからの視点になります。面倒くさいかもですが賀樂ちゃんの過去編をチェックしていただけると
    嬉しいです。

  • 40二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:20:39
  • 41二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:32:08

    乙ー

  • 42二次元好きの匿名さん24/03/16(土) 23:40:07

    一応主軸になるっていうか、メインで賀樂と並行して行動するキャラだけ簡単に紹介しときます。

    鈴村 鈴鹿(すずむら すずか)
    年齢 16 女性
    術式 言祝(ことほぎ)  呪言の逆でバフ専用。正の呪力を言霊に乗せて放出するため呪霊には強い。

    非術師だったが賀樂の手で蘇生された時に呪術師として目覚めてしまった。後天的に術式を持っている非術師が呪術師になった影響か常に体に正の呪力を帯びている。筋力・呪力ともに平凡だが常時反転術式が掛かっているため半不死身。

  • 43二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 08:04:21

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 17:45:10

  • 45二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 21:05:40

    再開します!

    「この喧噪も・・・懐かしいかな?」

    ビルの屋上で賀樂は呟く。その隣には白色の肌を持つ巨人型の式神、魔虚羅が佇んでいる。

    「そうだね、まだ一年くらい・・・懐かしいもなにもないか」

    吹く風に少しだけ伸びた髪が遊ぶ。風はどこか冷たさを帯び始めており、季節の変わり目を教えるようだ。

    「あの前髪野郎と戦ったのも・・・こんな都市だったよね」



    蘇生剣開闢の章。開幕!

  • 46二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 21:52:13

    2017年、某月。 〇〇公園にて大規模な呪術テロが発生。

    民間人・呪術師の死傷者多数の大災害は影で特級呪詛師 夏油傑の暗躍も示唆される。
    事件発生から〇時間後、現着した特級術師 五条悟により呪物の完全消滅をもって事件の収束を発表。
    七海一級術師を筆頭に高専呪術師の活躍により被害は最小にとどめられたと信ずる。

    また、匿名の反転術式持ちの呪術師による治療が行われたことを併記する。


    「うわっ、ちっさ!うそでしょ!アタシたちがいた事件ってこんな扱いなの?!」
    「あたりめーだろ、記事になってるだけでもスゲー事だぞ」

    呪術高専東京校にて、一年生の一人が資料を手に不満声を上げていた。

    「このときアタシは非術師で!それでも呪術師の人たち助けに走り回ったのに!」
    「それで一回死ぬ羽目になったんだろ、鈴鹿」
    「それはそれだし!」

    東京校では一年生の禪院真希 狗巻 棘 パンダ 、そして少し先に入学が決まった乙骨が所属している。
    入学と同時に限界集落?!と叫んだ彼女の姿は語り草である。
    そして彼女こそ公園で起きた呪術テロからの生還者であり、賀樂と共に五条悟の庇護下で高専に所属することとなった
    元非術師である。

    「はー!ま、アタシが表に出たら賀樂ちゃんが表に出ることになるし・・・しゃーないのかなー」

    不満顔の一年生、鈴鹿は印を組んで口元に当てるとふーっと息を吐いた。するとその息に呪力が乗り、色鮮やかな風になって教室を流れ・・・やがて霧散した。


    ↓鈴鹿 画像イメージ

  • 47二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 22:25:31

    あら可愛い

  • 48二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 23:03:56

    「硝子、あの子が助けた人の調査・・・どれくらい終わった?」
    「そうだね・・・七割かな。だけど問題の現象が起きてるかどうかの一点なら十割」

    高専の保険医である家入硝子は数枚のカルテと伊地知たちが調べ上げた名簿を置いて眉間を揉んだ。

    「非術師の、呪術師への・・・覚醒、もしくは変化か」
    「反転術式の出力が馬鹿げてるのが問題なんだろうね・・・未曾有過ぎてどうにも仮説の域を出ないけど」

    本来反転術式のアウトプット、その出力は自身に施すそれの半分以下だという。賀樂はそれにも関わらず人体の再生レベルでの反転術式を使用できるのだ。抉れてなくなった個所を塞ぐどころか生やして修繕できるとなるとそれはもう・・・

    「異能・・・っていうべきかな」
    「べきっていうか、専門家の私からみても異能なんですけど?無くなった腕が生えてくるとかありえない」

    彼女はかつて学生時代に彼らに反転術式のやり方を聞かれた時

    『簡単だよ、ひゅーとやってひょい。ひゅーひょい』

    そう答え悟たちを唖然とさせた。しかしながら自分が大人になってからそれをよもや自分が言われる立場になるとは。

  • 49二次元好きの匿名さん24/03/17(日) 23:36:20

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 50二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 00:00:05

  • 51二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 07:17:54

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 13:29:16

  • 53二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 19:27:30

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 22:24:01

    再開します!

    文言まで全てが一緒というわけではないが凡そ賀樂の感覚は五条にも家入にも理解はできない物だった。

    「そもそも、式神を体の一部にして顕現させるなんて・・・」
    「召喚術とか、降霊術とか、そういう類とはやや異なるよね。まあ召喚といえば召喚なんだろうけど」

    反転術式も術で治すというより溶接でもしてるのかと思うスピードだ。それを可能にしているのがおそらく彼女
    、賀樂が従える魔虚羅の退魔の剣だろう。

  • 55二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 22:24:27

    もし訳ないですが体調がヤバいので今日はもう終わりにしときます・・・

  • 56二次元好きの匿名さん24/03/18(月) 23:03:56

    ぜんぜん大丈夫です!ゆっくり休んでください

  • 57二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 09:22:48

    ほしゅ

  • 58二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 17:16:21

  • 59二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 18:24:55

    魔虚羅の剣は純粋な正の呪力で出来ている。賀樂の呪力が六眼使いも真っ青なレベルで正の呪力に変換されているとするならあの馬鹿げた治癒能力にも納得がいく。

    「十種影法術・・・というより魔虚羅についての手引き書が欲しいところだけど・・・」
    「ま、無理だろうね。僕が頼んでも無理だろうし、そもそもあるのかも怪しい」

    元よりまともに調伏できた術師がいるのかすら怪しいレベルだ。何せ五条と同じ無下限と六眼を備えた五条の人間すら倒し得る式神だ。仮にあったとして五条家の人間や関係者には死んでも渡さないだろう。

    「あの子が退魔の剣を発現させられるようになったのは反転術式を利用できるようになってからだったっけ?」
    「そうだね、それまでは魔虚羅に呪力を流して、魔虚羅から正の呪力を循環させる形で行使していたけど、自力でできるようになってからは退魔の剣を自力で生成できるようになった」

    家入は疲れを誤魔化すように机に置いてあった飴を一つ取って口に入れた。

    「あれ、硝子飴なんか買ってたんだ?」
    「あの子が好きなんだ。彼女の為に買って上げたんだけどどういうわけか私が食べないとあの子も食べないから・・・癖になったかもね」

    コロコロと飴を口の中で転がしながら家入は言う。

  • 60二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 22:27:53

    昨日よりは復活してるので 再び再開します。

    「ふーん?天元様の結界はすり抜けて入ってくるのに妙に奥ゆかしいとこあるね」
    「独りぼっちだったからかな・・・独り占めとかそういう考え、まったくないから」

    独りで動いている時は賀樂はとても自由に動き回るが誰かが居ると途端に彼女は誰かの傍でじっとしていることが多い。他人相手にはそれはしないが知り合いがいるとそれが明確に出てくるのだ。

    「彼女に足りないのは自信と人間関係の経験値・・・か」
    「かもね、比較対象がいないから自分のやってる事は過小評価してる節があるし」

    呪術師になれる人材がどれだけいるかはわからない。しかしながら現時点でほぼ全員が呪力に目覚め、高専関係者の保護下にある。鈴鹿のように即入学とはいかないだろうがそうなれるだけの人材もちらほら。

    「人道を無視すればいくらでも呪術師増やせんじゃない?マジで」
    「そうなってきたらいよいよアンタが守ってあげなよ・・・悟」
    「そのときは学長も巻き込むか・・・怒るよな・・・絶対」

    五条は夜蛾の顔を思い浮かべてあからさまに嫌そうな顔をした。

    (しかし、こればっかりは引き下がれないよな・・・せめて彼女が自分の考えで自分の道を切り開けるようにならなきゃ)
    「ま、いっちょ先生らしいことしますか」

  • 61二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 22:30:32

    始まったぜ

  • 62二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 23:16:16

    「さて、これは面白いことをする人がいたもんだ」

    宗教団体の総本山の一室で僧形の男性が一人、部下からの報告を聞いて笑みを浮かべていた。

    「猿を人に変える呪術師・・・ふふふ、面白いじゃないか!」
    「いかがしますか夏油様」
    「是非欲しいね!猿を人に変えるなんて・・・夢のようじゃないか!」

    立ち上がり、空を仰ぐようにして両手を広げる男性こと、特級呪詛師 夏油 傑は報告書に添付された写真をみて
    目を輝かせた。

    「みてみるといい!こんな幼気な女の子が!呪術師の為に!命の危険を顧みず呪術師を助けるためにあの現場にいたなんて!」
    「・・・どうやらこの現場に来る前から高専で呪術師達の治療に当たっていたらしいですね」
    「素晴らしい!素晴らしいよ!呪術師を守り!猿どもを人間に変えていくなんて!ああ!なんて素晴らしい逸材!」

    報告書とは別途の資料を手に部下がそう言うと夏油は感涙しながら絶叫する。

    「彼女たちこそ歴史を塗り替える逸材かもしれない!我らの目的が決まった!」
    「目的ですか?」
    「ああ、一つは彼女、禪院 賀樂を仲間に引き入れる事。そしてもう一つは呪いの女王「折本 里香」を手に入れることさ」

  • 63二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 23:27:02

    夏油参戦!!

  • 64二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 23:27:20

    ウキウキやろなぁ…

  • 65二次元好きの匿名さん24/03/19(火) 23:56:45

    「はー、不味い・・・座学ヤバい」
    「そりゃあんだけグースカ寝てりゃあな」

    ところ変わって高専では体術の鍛錬に体力を全振りしていた鈴鹿が頭を抱えていた。元より勤勉な性質ではなかったが
    それに鍛錬の疲労が重なってとんでもない負の相乗効果を生んでいた。

    「うぅ・・・パンダちゃんたすけて」
    「そうは言われてもな・・・」
    「おかか」
    「もうちょい体力管理をしろよ」
    「だってさぁ!こっちはスタートした時間っていうハンデあるんだもんよ!二人に追いつくには全力勝負一択でしょ!」

    頭を抱えて叫ぶ鈴鹿に三人は溜息をついた。鈴鹿は典型的な直情努力型で、決め込んだ一種類にしか頭が働かない奴だった。

    「私らに追いつくったってなぁ」
    「それで留年か・・・」
    「嫌なこというな!」
    「こんぶ」

    結局三人は付きっ切りで座学の補強も手伝うことになった。

  • 66二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 01:20:41

    それから次の日、鈴鹿は真希と共に任務に当たることに。

    「よっしゃ!張り切っていこう!」
    「お前なぁ・・・」
    「人助けだし、なによりここで実績積んどかないとヤバいんだって」

    二人のテンションには天と地ほども差があったが、意外なことに二人の目的は同じだった。

    「それになにより、アタシは宗家とか言ってる連中の鼻を明かしてやりたいんだから!」
    「ま、それには概ね同意だわな」

    鈴鹿の実家である鈴村家は縁を辿るとどうやら呪術師の家系らしかった。真希が知らなかったということはさして名家というほどでもなかったのかもしれないが、どこも呪術師の家系という奴はそういうところなのかもしれない。

    「あいつらさー、お祖母ちゃんにおんぶにだっこのクセにえっらそうで腹立つからいつかボコボコにしてやる!」
    「おもしれえ、そんなら私も加勢してやんよ」
    「マジ?ふっふっふっ、ここにアタシらの同盟が成立するわけね!」
    「やってやるか」

    真希もエンジンがかかってきたのかにやりと笑い、大刀を携えて歩き出した。

  • 67二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 01:21:13

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 68二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 03:21:09

    乙〜彼様です

  • 69二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 08:46:54

  • 70二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 15:46:48

  • 71二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:53:44

    再開します!

    鈴鹿と真希、二人は思いのほか相性が良かった。性格的に反骨心の塊のような二人だったし、鈴鹿の言祝は人間にはバフになり、呪霊には攻撃になる便利なもの。なので真希が切り込み、鈴鹿が術式を発動することで

    「『気を付け!』」
    「ヴァアア!?」
    「せぇぇりゃっ!」

    鈴鹿が足止めしつつ削り、真希がトドメを刺す。言祝は音として響く術式と吐く息に乗せて空気中に滞留させる方法の二種類だ。密閉空間で効果を発揮するタイプと言える。

    「ふぅっ、しかしその丁寧な物の言い方どうにかならねえのか?言いにくいだろ?」
    「そうしたいのはやまやまなんだけど攻撃的な言葉だと利きが悪いんだよね」
    「正の呪力だからか?」
    「たぶん」

    鈴鹿も頭に血が上りやすいのでどちらかといえば狗巻のように「ぶっとべ」や「おちろ」など言いたいが
    どういうわけかそういった言葉だと正の呪力出力が下がってしまう。通常の呪力だと鈴鹿は出力が小さいために
    攻撃性能に欠けるのだ。

  • 72二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 21:57:25

    綺麗な言葉が一番ですわよ

  • 73二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 22:23:53

    >>72

    ギャルなんだけどなw


    「『お座り』!」


    小型の呪霊を吹き飛ばし、大型呪霊の動きを封じる広範囲の術式は共に行動する真希にとって大助かりだった。


    「合わせろ!」

    「うい!・・・『ジャンプ』!」


    対象を絞って言祝を行使する。すると対象の行動を一時的に底上げする。真希は踏み切りに合わせて言祝を受けると、大きく飛び上がって呪霊を頭から真っ二つに切り裂いた。


    「よし・・・と」

    「呪霊はこれくらいかな?」

    「まあ待て・・・お、帳が上がった。終わったみたいだな」


    打ち捨てられた施設に蔓延った呪霊を討伐し、二人は帰路についた。


    「術式の言葉選びってどれくらいになった?」

    「そうだね、ジャンプとダッシュと・・・あと、頑張れでパンダがちょっと元気になったね」

    「指揮するみたいな言葉が鈴鹿の術式としては適当か、ってか頑張れで元気になるのか・・・?」


    真希はピンとこない様子だ。

  • 74二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 23:29:53

    「反転術式?ってのに近い効果があるみたい。アタシの体を循環してる呪力がそもそも正に近いらしいし」
    「ふーん、じゃあお前が今までケガ無しでやってこれてるのもそれが関係してんのか?」
    「たぶん、おかげで体力以外は何とかなってる感じだね」

    真希ほどの身体能力がない都合上、呪霊に殴られているのも何度か確認していたがケガらしいケガもせず
    帰りにはけろっとしているのが不思議だった真希だがそのことを聞いて納得した。

    「まあ・・・疲れるから・・・いいことばっかじゃない」
    「おい、寝やがった」

    帰りの車では鈴鹿は寝ることが多かった。真希は常に術式をフル回転させているんだろうと結論づけて
    鈴鹿の負担を減らすための戦術などを考えることにした。



    「今日は転校生を紹介します!」

    「おー!」
    「なんか尖った奴らしいぞ」
    「ほーん」
    「こんぶ」

    五条が相変わらずのハイテンションで教室に入ってきた。午前中の座学が終わり、一息ついた後になんと
    転入生が来るという。

    「呪術師って珍しいんだよね?」
    「まあな」
    「ま、にぎやかになるならいいか」

    鈴鹿はのんきだった。

  • 75二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 23:30:28

    今日はここまでにしときます・・・明日は早いのだ・・・

  • 76二次元好きの匿名さん24/03/20(水) 23:47:49

    乙〜面白かったです

  • 77二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 06:35:49

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 13:19:39

  • 79二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 21:07:40

  • 80二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 22:26:49

    再開します!

    「ま、誰が入ってきてもいーじゃんいーじゃん!カモーン!編入生!」
    「おぉ!さっすが鈴鹿!話がわかるー!」

    なんだかんだいいつつ五条の悪ふざけのテンションについていける数少ない人間。三人がテンションを下げていっているのもどこ吹く風。

    「・・・」

    さっきまで笑顔だった鈴鹿も、だるそうにしていたほかの三人も、彼が放つ呪いの気配にすぐさま戦闘体勢に入った。

    「あの・・・乙こ・・・ひっ!」
    「おい、お前・・・呪われてんぞ」
    「え?」
    「ここは呪いを学ぶ場だ、呪われた奴が来るところじゃねえ」
    「え、ええ?」
    「今聞いたのか・・・?」

    乙骨がぎぎぎと首を動かして五条を見る。揃って首を動かすと五条は「めんご!」と手を合わせた。

    「マジかよ」
    「あ、そろそろ離れた方がいいよ」

    『憂太を・・・イジメるなぁぁぁぁ!!!!』

    祈本里香が黒板から染み出すように飛び出し・・・瞬く間に四人をボコボコにした。

  • 81二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 22:42:11

    「とまあ、こんな感じで憂太を攻撃すると里香ちゃんが出てくるから気をつけてね」
    「・・・早く言えよ」
    「せんせー、マジで言葉ってか説明たりなすぎー」

    ちょべりばー!と不満顔の鈴鹿。狗巻と真希を庇って余計に殴られたはずだがやはり頑丈だ。

    「まあ、それは置いといて・・・軽く紹介から。そこに居る頑丈でハイテンションなギャルが鈴鹿!」
    「よっろしくぅ!」
    「そこのメガネの子が禪院真希、呪具の扱いなら学生一だ」
    「ふん」
    「そこの子が狗巻棘! 語彙がおにぎりの具しかないから会話頑張って!」
    「しゃけ」
    「パンダ!」
    「パンダだ」

    以上!仲良くね!と五条に言われ、乙骨は混乱の最中だった。

    (一番欲しい情報が無かった・・・!)

    前途多難であった。

  • 82二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 22:49:46

    早いですが今日はここまでにしときます。また明日!

  • 83二次元好きの匿名さん24/03/21(木) 22:50:49

    乙!

  • 84二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 07:00:59

  • 85二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 13:37:01

    保守

  • 86二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 16:58:45

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 22:29:20

    再開します!

    「それじゃあ、午後から野外実習だ。初心者が二人だからまずは慣れるところからだね」

    ペアはできないから初心者二人に経験者が着く感じかな。と五条は言う。

    「とりあえず自分に合うものを選んでね」

    五条は倉庫から武具の入ったかごを指した。

    「決まったら運動場集合ね!先行ってるからねー」

    鈴鹿に肩を叩かれて驚きつつ、乙骨は武具の倉庫を見渡した。自分に合ったもの。自分が使えるもの・・・。

    「んで鈴鹿と同じか」
    「ま、武具と来たらそれがセオリーじゃん?基礎基本だし」

    竹刀を手に運動場に来た乙骨に鈴鹿と真希はそれぞれの反応を見せる。

    「よろしくお願いします・・・あの、鈴鹿・・・さんのそれは?」
    「アタシの?ああこれ乳切木、アタシにはこれくらいのが使いやすくってさ」

    身長より長い杖を使っている真希と、胸の中ほどまでの長さの杖を使う鈴鹿。
    鈴鹿も最初は竹刀で鍛錬を積んでいたが、やがて呪力を帯びさせるのと実家の相伝の神楽を舞うようになってからは
    幣束のついた杖を使うようになっていた。

  • 88二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:04:10

    「さてさて、んで?どーする編入生の乙骨君、アタシか真希ちゃんか、両手に花だよ?」
    「両手に花って・・・」
    「ちょ!嫌そうな顔すんなし!」
    「嫌そうってか困ってんだろ、まずは私と鈴鹿のを見て何するかをおおよそ掴め」

    ちぇ!と鈴鹿は舌打ちをしつつ真希と向かい合って杖を構える。

    「前よりかは動けるようになったろ、鈴鹿」
    「まあね、伊達に真希ちゃんや呪霊に殴られてないって」

    カ、カンと杖と杖がぶつかる。その最中に蹴りや掌底、柔などが混ざって鈴鹿が転げまわり、真希が武具を振り回す。
    互角かと思われたがすぐに鈴鹿が押し負け始めた。

    「あいった!割とマジに殴ったでしょ!」
    「どうせ治るからな」

    カンッ!と杖がいい音を鳴らした。当たったのが頭という事を除いても痛そうな音だ。鈴鹿も最初に比べればかなり
    動きが鋭くなったがそれでも真希には及ばない。

    「頭割れると治っても髪の毛バサバサになるんだけどー!?」
    「ならちゃんと避けろよ」
    「意地悪すぎる!」

    真希がニヤつきながら鈴鹿に蹴りを入れるとごろごろと転がって鈴鹿は大の字に倒れた。

  • 89二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:26:05

    規制脱出成功した

  • 90二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:26:38

    乙骨うらやま

  • 91二次元好きの匿名さん24/03/22(金) 23:44:38

    「やーらーれーたー!交代!」
    「うぇっ!?」
    「敵討ちは任せた・・・がくっ」

    ぜーはー息を切らしつつ鈴鹿は乙骨の肩を叩くと大げさにひっくり返った。よくみると叩かれまくって赤くなったり痣になったりしている。

    「や、やりすぎなんじゃ・・・」
    「アイツはこれくらいでいいんだよ、本人が良いって言ってるし」
    「そ、そうなの?」
    「どMなんだよアイツ」
    「嘘おしえるなー・・・」

    ひっくり返ったまま聞こえてくる抗議の声もそこそこに乙骨も真希のシゴキに参加することになった。

    ちなみにきっちりボコボコにされた。里香がはみ出してた。

  • 92二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 00:40:02

    一年生として呪術高専に入ってきた乙骨。彼は少しずつではあるが高専に馴染んだ。
    真希と任務をこなすことで呪術師としての決意を、狗巻と任務をこなし呪術師としての勇気を、パンダと過ごすことで彼の優しさと他の一年生が内に秘めた優しさを知り、鈴鹿と過ごすことで彼女の明るさと芯の強さに触れて自身も奮い立った。

    季節が蒸し暑い夏に差し掛かった頃、物語は再び動き始める。


    「チョットイイデスカ」
    「?」

    街を歩いていた賀樂は突然、見知らぬ外国人に声を掛けられた。

    「おじさんだれ?」
    「ワタシ、霊能力研究シテマス。チョットイイデスカ?」
    「変なおじさんだね」

    パンフレット片手に、サングラスをかけた男はクセのあるイントネーションで話し続ける。

    「ココ、幽霊ガタクサンデルッテキキマシタ。シリマセンカ?」
    「幽霊?しらないなぁ・・・」
    「ホワッツ?デモ、人、タベル奴イルッテキキマシタヨ!研究必要ダヨ!」
    「人?」

    それを聞いて賀樂は少し考えた。もしかしたら呪霊のことでは?と。そうなると放っておくのも危険だ。

    「どこで聞いたの?」
    「エエット、〇〇町12ー2番地ダネ」
    「結構近所だ・・・わかった、ちょっと見に行こうか」
    「サンキュー!」

    賀樂は外国人の言う番地へと向かう。

  • 93二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 00:48:17

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 94二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 02:08:31

    乙〜ミゲルかと思った

  • 95二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 09:38:03

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 18:10:33

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 22:12:46

    再開します!


    二人が件の住所へと到着する。そこは廃屋とまではいかないものの人気のない古びた家屋だった。

    「ココダネ」
    「見るからに何か出そうだね」

    現地に到着してみると外人の男はきょろきょろと周囲を見渡している。不思議に思った賀樂が尋ねたところどうにも
    現地のガイド代わりの友人がいるはずだという。

    「イナイネー、彼ガイレバソモソモ迷ワナカッタンダケドネ」
    「まさか先に入っちゃったのかな」

    賀樂は家屋にじっと目を凝らす。間違いない、呪力がうごめいている。呪霊が居るはずだ。
    ここに一般人が迷い込んでしまえば間違いなく問題なる。

    「中に入ってみるね」
    「エ?アブナイヨ?!」
    「いいの、私は大丈夫だから」

    足を踏み入れた瞬間に賀樂は確信した。呪霊だ、しかもそれなりに強烈なやつがいる。ここは既に領域に近いものとなっている。

  • 98二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 22:57:49

    「やっぱり呪霊か・・・」
    「ジュレイ?」
    「ついてきたの・・・?」
    「アブナイヨ、モドロウ!管理者ニモ連絡デキテナイ」

    普通についてきた外人に呆れつつも賀樂は家屋の中へと足を踏み入れる。

    「もし中に誰かいたら・・・殺されてしまうかもしれない」
    「エ?チョット!」
    「それにもう戻れないよ」
    「ホワッツ!?」

    振り返った外人はいつの間にか越えられない高さのブロック塀に囲まれていることに気付き驚いた。

    「片付けてくるから、待ってて」

    中へ入ってしまった賀樂の背中を見ながら呆然としていた外人だったが頭を掻いて溜息をつくと

    「ホットケナイ!」

    続いて家屋へと足を踏み入れた。

  • 99二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:08:53

    重くない?

  • 100二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:09:19

    まずい…ミゲルが脳裏にチラつく…

  • 101二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:25:11

    外から見た際には一般的な家屋だったはずが、中に入ってみればまるで屋敷のような広さだ。

    「これは・・・2級とかそんなレベルじゃないね」

    視線の先には人型の呪霊が何かをニヤニヤとみている。その足元に誰かが怯えた様子で這いずりながら逃げているようだ。

    「ひぃ、ひぃい・・・」
    『ゲタゲタゲタ!』

    あ、ぎゃっ・・・と短い悲鳴とともに頭を引っ掻かれた人物は頭の中身をこぼしながらあおむけに倒れた。

    「ひどい・・・」

    魔虚羅を呼び出して、賀樂は即座に距離を詰めると魔虚羅と自身の退魔の剣で呪霊を切り裂いた。

    「ったく・・・呪霊はホントに性根が腐ってるね」

    呪霊は思ったよりも弱かったのか、それとも退魔の剣がチートなのかわからないが領域が閉じて家屋は元の家屋に戻り、賀樂と外人は玄関前の廊下で立ち尽くしていた。犠牲者は家具の全くない居間で倒れているようだ。

    「とにかく・・・今ならまだ間に合うかな」

    血だまりを広げながら痙攣する犠牲者に賀樂は駆け寄ると剣を差し入れて修復を開始した。
    回数をこなしたからか、傷は瞬く間に広がり、犠牲者は意識こそ戻らないものの咳き込みながら息を吹き返した。

  • 102二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:43:40

    「オーマイゴッド!彼、タスカッタ!?」
    「病院につれてってあげなきゃ」
    「チョットマッテ」

    携帯電話を取り出そうとした賀樂を外人が制した。

    「なに?」
    「不法侵入ダヨ、コノママジャ彼ツカマッチャウ」
    「いや、大丈夫だって・・・」
    「ノーノー、コンナコトポリスニハツウジナイヨ!」

    外人はひたすらごねた後、自身の携帯電話でどこかに連絡すると車が迎えに来た。

    「おじさん・・・何者?」
    「霊能力研究ノメンバーヨ、気ニナル人、スポンサー多イダケネ」

    トニカク、内緒ニシテ!と念を押され、外人は逃げるように被害者を連れて立ち去ってしまった。

  • 103二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:45:36

    やったら重いな、フリーレンのせいか?!

  • 104二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:53:18

    重ォォォい!?入れんぞ中々

  • 105二次元好きの匿名さん24/03/23(土) 23:54:00

    >>103

    容疑者Xとフリーレンぽいですね

  • 106二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 00:05:21

    「変なおじさんだった・・・それにしても・・・」

    どうしてこれほどの呪霊が窓や高専の関係者の目を掻い潜って存在できたのか。賀樂は不思議に思ったが
    人手不足と嘆く関係者の多い業界でもある。彼女はそのことを思い出して深く考えないようにした。





    「・・・ドウダ?」
    「すごい・・・感じますよ、これが・・・呪力なんですね」

    車の中で意識を取り戻した男は体に宿った力を見ながら興奮した様子で自身の手を見つめている。
    外人はそれを見て携帯電話を再び取り出し、電話を掛けた。

    「モシモシ、夏油カ?」
    『やあ、どうだった?情報は・・・』
    「マチガイナイ、彼女ハ本物ダ」
    『そうか!やはり・・・それにしても直接見てみないとわからないとはいえ・・・顔を見られて大丈夫だったのかい?』
    「大丈夫、問題ナイ。高専ニモ面識アル者ハイナイ。呪力ガアルカドウカモバレテナイト思ウ」

    流石だね、と電話越しに聞こえる声は明るい。彼らの疑念が確信に変わった瞬間だからだろうか。

    『とにかく、お疲れ様。戻ったらお祝いだ』
    「気ガ早イ。仲間ニナルカハ未知数ダロウ?」
    『大丈夫さ、やり様はいくらでもある。それじゃあ早く帰っといで。待ってるよミゲル』

    外人こと、ミゲルは夏油と共有した情報と、これからの計画を練るために一路アジトの宗教施設へと戻った。

  • 107二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 00:10:31

    今日はここまでにしときます!また明日!
    外人キャラ出した途端にミゲルとバレてて草なんだ。仕方ないんだけどさw

  • 108二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 01:20:46

    このレスは削除されています

  • 109二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 01:21:27

    >>107

    本当にミゲルで草生える

  • 110二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 08:56:36

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 13:23:41

  • 112二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 22:07:48

    再開します!

    「お帰りミゲル、彼はどうした?」
    「呪力ノ感覚ヲ掴ンダラシイ。マルデ玩具ヲモラッタ子供ダ」
    「猿から人間になれたんだ、そりゃあ嬉しいだろうさ」

    夏油は呪霊玉を飲み込みながら言う。吐しゃ物を処理した雑巾というとても常人には耐えがたい味を飲み込みながらも
    笑顔が絶えないのは彼が求める理想の鍵となる二つの存在が確実となったからである。

    「特級過呪怨霊『祈本里香』、そして人為的に呪術師を作り出す奇跡の少女『禪院賀樂』・・・楽しみだねぇ・・・どちらが手に入っても・・・理想がすぐそばにやってくるんだよぉ・・・」
    「シカシ、人ハドウスル?」
    「教団から信仰心の篤い者を選べばいいさ。コマとして使うもよし、呪術師として真に覚醒できるなら家族として迎えてあげてもいいだろう」

    ミゲルは笑みを浮かべて天を仰ぐ夏油を見て自身も笑みを浮かべる。彼は王になれる。
    今は自分たちが少数派だが呪霊の数と、呪術師の数。たとえ二級以下の呪術師だとしても数に頼めばいかようにも
    やり様はあるのだ。

    「ああ、そうだなぁ・・・表向きは猿どもと和解したふりをすれば高専の連中もいくらか引っ張れるかもしれないな」
    「ソウナノカ?」
    「ああ、京極家の跡取りとかね。彼はいい子だったよ、弱い者を助けずにはいられない・・・ね」

    少しだけ懐かしそうな顔をして、夏油はすぐにそれを笑顔に変えてつづけた。

  • 113二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 22:08:18

    始まり

  • 114二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 22:59:11

    そうか師匠だったね…夏油は

  • 115二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 23:05:43

    「なんとなくだけど、猿どもには『惜しい』奴がいるんじゃないかとおもってるんだ」
    「オシイ?」
    「ああ、例えば術式が肉体に刻まれているのに呪力を持っていないやつとか・・・あるいは呪力があるのにそれを認知できない脳の構造をしているせいで肉体が呪力を循環生成できないやつとかね」

    彼女の蘇生によって呪力に目覚めるのはそういうところも関係しているかもね。と夏油は言う。

    「現に呪力に目覚めた奴はみんな心臓や脳とか、呪力の根幹にかかわる部位を直前に欠損している者が多い」
    「ナルホド、タシカニ奴モ頭ヲヤラレテイタ」

    夏油が人為的に放った呪霊に事情をほとんど聞かされず放り込まれた哀れな信徒は自分がどのような扱いを
    受けたかも忘れて無邪気に呪力のコントロールに勤しんでいる。
    彼は恐らくだが術式をもっていない。夏油の言う『家族』にはなれないだろう。あくまで人工の呪術師、そのプロトタイプにすぎないのだ。

    「私の呪霊躁術と人工で作った呪術師でマッチポンプを行えば・・・高専にスパイを送り込むことも難しくない・・・」
    「ナルホド」
    「ふふふ、思いつくだけでこれだけのことができるんだ。彼女達の価値は計り知れない」

    「夏油、皮算用もいいけれど・・・その子、本当に大丈夫なの?」

    不意に現れた一人の男性が夏油に疑問を投げかける。

  • 116二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 23:18:48

    これは羂索の事が少し勘付かれてる?

  • 117二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 23:32:18

    >>116 メロンパンは関係ないっす。メロンパンのやろうとしていることが小規模になってる感じですかね。



    「ラルゥ、それはどういうことだい?」


    夏油は現れた上半身裸に筋骨隆々の男性、ラルゥに尋ね返した。


    「その子、聞くところによると・・・10歳かそこらでしょう?そんなにつらい事ばかり経験させて大丈夫?」

    「そうだね・・・確かにそれは考慮に入れるべきだ」

    「それに、禪院って呪術の名家でしょう?奴らと敵対することになったらそれはそれで面倒じゃない?」

    「うぅん、それも確かにそうだ・・・ま、猿どもを弄る分には彼らは問題ないだろうが・・・肝心なのは彼女の価値に奴らが気付いた時だろう。そもそも、彼女は禪院家の相伝の術式を有しているからね」

    「ナラドウスル?オオキナリターンニ見合ッタリスクダゾ」


    その点でも注意はすべきだろうね。と夏油は続ける。ラルゥはそもそも子供を利用すること自体に少し忌避感があるようだ。ミゲルも諸々の障害の多さに少し考えを改めたようだ。

  • 118二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 23:33:43

    >>117

    なるへそ

  • 119二次元好きの匿名さん24/03/24(日) 23:47:53

    今日はここまでにしときます!また明日!
    明日は早出だぁ・・・

  • 120二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 06:54:42

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 12:46:58

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 22:05:44

  • 123二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 22:45:00

    再開します!


    「今は彼女の警戒を解いて、徐々に友好関係を築くべきだろうね。話せばわかってくれるかもしれないし」
    「そうね、美々子ちゃんや菜々子ちゃんみたいに傑ちゃんを気に入るかもしれないしね」
    「ドウダロウナ、デモ・・・ソノホウガイイ。戦闘能力ダケデモカナリノモノ・・・暴レラレタリニゲラレタラ手ニ負エナイゾ」
    「ミゲルちゃんにそこまで言わせるの?末恐ろしい子ね・・・」

    三人はそれからしばらく話し合っていたが、やがて方針が決まったのか再び各々が行動を開始した。




    「うん、治療の術後も完璧だ・・・ホント、人手が増えるのは助かる」

    高専の保健室で家入は賀樂に笑顔を見せた。反転術式に家入が教える医療知識、そして呪術師としての知識や鍛錬を
    経て賀樂はさらに力をつけていた。

    「えへへ、役に立てると嬉しい・・・」

    照れくさそうにしながら賀樂は頬に手を当てて笑みを浮かべた。その仕草に家入は笑みを深めて賀樂の頭を撫でる。
    一癖も二癖もある呪術師の多い中で生徒を含めて彼女のような無垢な子供を相手にするのは疲れもするがそれ以上に彼女にとってはいい刺激だった。

    「カルテ書いたら終わりだから、今日はもう休んでいいよ」
    「わかった」

    そう言うと賀樂は部屋に備えてあるソファに座るとそのまま横倒しになった。それを見届けてから家入はカルテに目を通し始める。

  • 124二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 22:50:28

    今日も重いな

  • 125二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:01:12

    最近はよく言い含めたからか賀樂はちゃんとソファや寝台で寝るようになった。それまでは石畳や外でもお構いなしに寝ていたので度々五条や家入は仰天し、夜蛾が五条にキレていた。

    『悟ーッ!!!貴様っ!子供を外に置き去りにするとは・・・ガッデム!』
    『いってぇ!そんなつもりなかったんだって!眠いから寝に行くっていってたんだって!マジで!』

    それで公園で寝てるなんて思わないでしょ!と五条が夜蛾にビンタされながら弁解していたのを思い出した。
    家入も最初は笑ってみていたがマジで賀樂がそこらへんの床で寝ているのを見かけて仰天したのを今でも記憶に新しい。

    (あの子の性格なのか、それとも生い立ちなのか・・・それが問題だ)

    あの子がただ無頓着ならいいが、いや、良くはないのだがまだましだ。しかし、彼女が何も知らないが故に、何かに恐怖や忌避感を抱いているが故に自身を無碍に扱っているとしたら・・・。それが怖くもあり、家入は彼女の奇癖に踏み込めずにいた。

    あの子がもしも涙を流して自分に助けを求めたら?
    もしも声を上げて自分を拒絶したら?
    もしも、あの力を暴走させたら?

    意図せぬ力を持ったばかりに、彼女は、とても複雑な立場にいる。五条はどこまで夜蛾たちと情報を共有したのだろう。どこまで彼はこの子を守るつもりなのだろう。

    「禁煙・・・やめようかな」

    思考がまとまらず家入は煙草の代わりにキャンディを口に入れた。

  • 126二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:03:31

    あの家入サンが…隕石降りそう

  • 127二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:04:50

    天変地異の前触れ定期

  • 128二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:06:38

    >>126

    やっぱり人手が増えて、癒しがあるのって大事だなって・・・

  • 129二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:53:00

    翌朝、五条は家入の元に患者の情報を聞くためにやってきた。

    「硝子、あの件なんだけど・・・おっと」

    賀樂を抱きしめるようにして眠っている家入を見つけて五条は出かけた声を抑えるように口を閉じた。
    そして無下限を最大限に悪用しつつ音を消して近づいた時に、五条は計画していた悪ふざけを中止して部屋の隅へ移動した。

    「なにがあったのよ・・・泣いてんじゃん」

    賀樂の目が赤く腫れていて、対する家入も遅くまで付きっきりだったのだろうか。隈が濃くなっている。

    「子供の泣き顔って嫌いだ・・・どうしたらいいかわかんないし」

    五条は不貞腐れたようにそう言うと、耐えられないとばかりに部屋を出ていってしまった。




    「あああぁぁ!」

    昨日の夜中、不意に声を上げた賀樂に寝ぼけ眼の家入は飛び上がった。

    「賀樂ちゃん?どうしたの?」
    「ご、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
    「賀樂ちゃん!おちついて・・・!」

  • 130二次元好きの匿名さん24/03/25(月) 23:54:48

    床に転げ落ちて泣き出した賀樂を家入は慌てて助け起こしたが賀樂は泣きながら謝るばかりで家入の言葉が
    耳に入っていない様子だった。

    「ひぐ・・・あぅっ・・・ごめ、んなさ・・・」
    「賀樂ちゃん!こっちを見て!ほら、私、わかる?」

    呪力が不安定になっているのか普段の真っ黒な瞳ではなく、彼女のきれいな水色の瞳が家入を映している。
    しかしその瞳は彼女の混乱と恐怖を示すかのように揺れていた。

    「怖い夢をみたのね?」
    「ゆ、め・・・?」

    肩に手を置くとひどく震えているのが分かった。きょとんとして少ししてからまばたきをして周囲を見渡す賀樂。

    「うぁぁぁぁ・・・」
    「よしよし・・・もう、怖くないから」

    安堵したのか、再び声を上げて泣き出した賀樂を抱きしめて家入はソファに腰掛けた。

    「何があったの?」
    「しんだひとが・・・でてきた・・・」
    「死んだ人?」
    「なんで・・・私はたすけてくれないのって・・・」

    そう言うと賀樂は再び泣き出してしまった。

  • 131二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 00:02:51

    家入は彼女がいつも屋外で眠っていた事を思い出して嫌な予測が的中したことを悟った。

    「トラウマかな・・・出来ないことが、怖いのね」

    泣き疲れて再び眠った賀樂を抱き寄せたまま、家入は呟いた。術師として活動し始めた彼女は落伍者としての
    転落人生の始まりから急激な変化と共にここにやってきた。
    そして、多数の死を目の当たりにして、彼女が知らない内に溜め込んだストレスが溢れたのだろう。

    七海の報告を聞いた家入は前回の公園での呪術テロで多数の死人が出ていることは知っていた。そして彼女が奇跡を起こしたことも。しかしながらそれでも、彼女の手を零れた者は少なくなく・・・。

    (それが彼女を苦しめる・・・なんでだろうねこんな子ばかりが・・・)

    大人であっても耐えがたい命の取捨選択。それをわずか10歳の子が何も知らずにやっていた。
    助けた命と助けられなかった命、その責任の重さ、向けられるだろう視線、それが傷にならないはずがなかった。それに気付けなかった自分が嫌になった。

  • 132二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 00:15:01

    今日はここまでにしときます!また明日!

  • 133二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 00:24:37

    お疲れ様でした

  • 134二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 08:41:31

    ほしゅ

  • 135二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 13:18:21

  • 136二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 22:23:57

    ほす

  • 137二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 22:56:44

    今回ノ再開ハ・・・俺ダヨ!特級!


    結局、家入は賀樂を抱きしめたままソファで一緒に眠ってしまっていた。体の冷えを彼女と触れていたことで感じる体温の温かさが引き立てる。何も掛けずに眠るには冷房が強かったかもしれない。

    「さすがに寒いわね・・・」

    年のせいか、と一瞬よぎった考えを追い払いつつ家入は賀樂をもう一度抱えなおした。
    彼女の家での扱いを家入は真希から少しだけ聞いていた。そして、そのことが家入の自責の念をすこしだけ強めた。

    「はー・・・ぬくいわ」
    「よっす、起きた?」

    子供の体温の高さに得も言われぬ心地よさを感じつつソファの背もたれに体を預けると五条が入ってきた。

    「この子はまだかな、それで?」
    「ああ、患者の事を聞きたかったんだけど・・・」
    「できればもう少し待って欲しいかな。せめてこの子が起きるまで・・・」
    「何があったの?」
    「公園での事、それが環境の変化と相まって彼女のストレスになってたみたい。元々家族がアテにならない環境だしね」

    家入は賀樂の頭をそっと撫でる。

  • 138二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 23:09:36

    ヤッタゼ

  • 139二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 23:28:57

    ママ…

  • 140二次元好きの匿名さん24/03/26(火) 23:36:34

    「そんな繊細な子には見えなかったけどな」
    「アンタみたいなクズとは違うのよ、それに・・・つい最近に母親も亡くして、父親は知らん顔。親戚はたくさんいるはずなのに・・・この子の保護者は誰もいないのよ」
    「家庭環境ってだけで言うなら呪術界ほどひどいとこもないからね」

    五条はどこか知った風な様子で応えるとがさがさとコンビニの袋を机に置いた。

    「ま、それならもうしばらく時間潰してくるわ。起きて朝飯済ませたら連絡頂戴よ」

    そう言うと五条は立ち上がって部屋を出ていった。袋からは菓子パンやジュースなど、子供がすきそうなものが入っているのが見えた。彼なりの気遣いだろうか。

    「まったく・・・ま、たまにはいいか」

    賀樂の食生活も気がかりではあったが、家入もまだ眠い。五条がドアを閉めたのを確認してからブランケットを被って再び家入は目を閉じた。

  • 141二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 00:18:53

    「はー、なにやってんだか・・・」
    「五条さん!」
    「伊地知じゃないか、どうした?」
    「例の件でピックアップしていた人たちなんですが・・・」

    五条は少し嫌な予感を覚えつつ伊地知の報告を聞くことに。

    「それで?」
    「はい、呪力に目覚めた人物はこちらで保護することを念頭に置いて交渉を続けていたのですが・・・」
    「もったいぶるなよ、どうした?」
    「消息が途絶えました。それも一人や二人ではありません」

    いいにくそうな様子の伊地知。それを促して報告を聞いた五条は案の定ともいうべき嫌な報告に思わず唸った。

    「ちびっ子の夜泣きの次は患者の失踪か、本当に参るよ」
    「ちびっ子?賀樂さんがなにか・・・?」
    「ストレス感じてるみたいよ、家入ママが面倒みてるけど」
    「ママって・・・」

    伊地知が呆れた様子で聞いていたが失踪者の話に戻る。

    「失踪者の大半は病院を出て、一般の生活に戻ってからすぐに連絡がつかなくなったケースがほとんどです。中には突然、何者かに連れ去られたケースもあって、警察も動いています」
    「ヤバい宗教団体にでも見初められたか・・・黄泉帰りってやつだからかな」

    ったく、面倒なことを。と不満を漏らす五条。そして捜索が芳しくないことを添えられるとますます五条の機嫌は
    悪くなった。

  • 142二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 00:37:16

    ママ…(認定)

  • 143二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 00:50:02

    今日はここまでにしときます!また明日!

    家入さんはママなんだ!(ぐるぐる目

  • 144二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 01:19:06

    乙ー

  • 145二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 09:09:53

    ほしゅ

  • 146二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 15:12:32

    保守

  • 147二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 22:52:01

    再開します!


    「護衛はつけてなかったんだよね?」
    「こちらのスカウトに応じてくれた人には護衛をつけていましたが・・・やはりというべきかはわかりませんが呪霊や呪術に拒否反応を示す人も一定数いまして・・・」
    「トラウマになった人が早く普通の生活に戻ろうとして・・・か、まあ・・・それなら仕方ないか」

    実際一度死んだといってもいい。そんな経験をしてまで呪術の世界に入ろうなんて思う奴の方が少ないだろう。
    普通は原因から自身を遠ざけて刺激から逃れるのが理想だろうが、それが原因で保護から抜けて拉致されたのだから
    皮肉としか言いようがない。

    「引き続き調査お願いしとく、相手が違法な事に手を染めるのを厭わないならこちらもそれなりに戦力を割かないといけないかもしれないな・・・」

    とにかく慎重にね。と五条は伊地知に指示を出しておくことにした。

  • 148二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 23:01:10

    始まってたぜ!

  • 149二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 23:21:44

    少しすると五条の携帯に家入から連絡が入った。

    「もしもし、起きた?」
    『うん、久しぶりに熟睡したわ・・・ところでさ、なんで総菜パンとかないの?菓子パンばっかじゃん』
    「えー、せっかく買ってきてあげたのに」
    『ホントクズだね、気が利かないわー』

    ないわーと賀樂の声も聞こえる。イラっとした五条だったが確認事項が増えたのでぐっとこらえる。

    「硝子、悪いニュースだ。患者の何割かが行方不明になった」
    『寝起きに聞きたくなかった・・・、それで犯人とかは?』
    「わからない、でも警察や窓を掻い潜って一般人レベルとはいえ呪術師の素養のある人間を拉致できるとなると結構大きな組織か・・・呪詛師かもね」
    『マジで・・・、それで、こっちはどうしたらいい?』
    「そうだね、しばらくはその子と高専で大人しくしててくれると助かる。お出かけはできるだけ無しで」


    「わかった、大人しくしとくわ。元々私は外そんなに出ないしね」

    家入はそう言うと通話を終えて目の前の菓子パンを見て溜息をついた。

    「どうしたの?」
    「甘い物苦手なんだよね・・・」
    「そうなんだ」

    変わらずもぐもぐと食べ続ける賀樂の口元を拭いてあげたりしつつ、自身も嫌々菓子パンを口にした。

  • 150二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 23:50:41

    二人が菓子パンを食べている最中・・・

    「ようこそ、皆さん。まずはここに無理やり連れてきた無礼を許していただきたい」

    巨大な宗教施設で夏油は連れてこられた人たちを前に人好きのする笑みを浮かべていた。
    全員が自身を拉致した人たちへの恐怖と、目の前の男性の笑顔に混乱しながらも彼の声に耳を傾けていた。

    「まず、あなた達が体験した不幸に対して・・・我々はとても、とてもとても、深く、同情しております」

    額に手を当てて溜息を吐きながら夏油はうろうろと歩き、とても残念そうにつぶやいた。

    「皆さまが経験したあの悍ましい体験は今までの経験ではとてもではありませんが表現できないほどのものでしょう・・・本当に、辛かったでしょう」

    私も友人や仲間を失った経験があるのでよくわかりますよ。と夏油は続ける。

    「そ、それで・・・どうして私達がここにつれてこられたのでしょうか・・・」

    たまりかねて一人が夏油にそう尋ねる。すると夏油はそれをまってましたとばかりに顔を上げて答える。

    「皆さまはその悍ましい体験と引き換えに!素晴らしい力を得たと、言いたいのですよ」
    「力?呪力とかなんとか聞きましたが・・・それが私達となんの関係があるんですか・・・?」
    「それがとても重要なことなのです、私達は・・・その力の扱い方についてもっと学ぶべきだと考えます」
    「学ぶと言われても・・・」

    呪力だ呪霊だと言われても当然彼らにそれが理解できるはずもない。オカルトを聞いたことがあるからといって
    オカルトに理解があるとは限らないように、呪力に目覚めたからといって呪術そのものに理解が及ぶわけでもないからだ。

  • 151二次元好きの匿名さん24/03/27(水) 23:53:32

    今日はここまでにしときます、また明日!

    最近ちょっとスランプ気味だな・・・

  • 152二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 00:14:28

    >>151

    いつも面白いもの読ませてもらってます!お疲れ様でした

  • 153二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 07:05:05

    保守

  • 154二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 07:27:38

  • 155二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 13:28:51

    保守

  • 156二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 22:28:46

    保守

  • 157二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 22:31:01

    再開します!

    「皆さまはある種、特別な存在になったと言っても過言ではない・・・しかしそれは義務を伴ったものでもある」

    夏油は空き缶を空中に放り投げると呪力を行使して空き缶を空中でぐしゃぐしゃに潰した。
    それを見ていた数人が悲鳴を上げて潰れた空き缶から距離を取った。

    「これは・・・ほんの初歩的なことです。つまるところ・・・あなたたちもできることなのですよ」
    「これが・・・私達にも?」

    独りが夏油の言葉に反応して呟くと周囲にざわめきとなって伝わる。その中には恐怖と・・・わずかの好奇心。

    「これがあなた達に宿った力・・・これがコントロールできなければあなた達が普通に暮らすなんてとてもとても」
    「私達がこれをすると・・・?」
    「これは感情の高ぶりに反応しますからねぇ・・・暴発することも、ありうるかと」
    「ここではその、暴発しないようにコントロールする術を教えていただけると・・・?」
    「もちろん、それだけじゃありません。自分の身を護る術も、お望みなら」

    警備員に扮して隣で聞いていたミゲルは夏油が時折口からでまかせを言うので噴き出しそうになりながらも
    夏油が彼らの心理を掌握しつつあることに賞賛を心の中で送っていた。
    その証拠に彼らはその日の内に夏油を先生と呼び、その身に宿った呪力の使い方を教わる生徒となった。
    そして、無理やり連れ去られたことなどを巧妙にすり合わせて彼らを解放した。

    「解放シテ良カッタノカ?」
    「ああ、このままだと警察も騒いでるみたいだしね」

  • 158二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 22:36:03

    教祖夏油はなんか良いよね

  • 159二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 22:43:32

    >>158

    0で全然描かれなかったのもったいないですよねぇ

  • 160二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 22:51:00

    >>159

    ですねぇ本当勿体ない

  • 161二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 22:56:14

    >>160

    芥見先生、キャラの掘り下げ全然しないからなぁ・・・

  • 162二次元好きの匿名さん24/03/28(木) 23:20:43

    ミゲルと夏油は帰っていく呪力に目覚めた人たちを笑顔で見送り、将来の呪詛師の種をあちこちに撒くことに成功した。

    「素晴らしいね、あとは二人のヒロインをどうやって手に入れるかだ・・・」
    「警戒シテルラシイ、最近ハミカケナイカラナ」
    「彼女、禪院賀樂のことかい?」

    夏油が尋ねるとミゲルは頷いた。ミゲルはあれからも賀樂の隙を探るべくトンチキ外国人を装って東京を歩いてはついでに呪霊の調査を行っていた。呪いを集めることには成功したものの、最近はとんと賀樂の姿は見なくなっていた。
    元より彼女の行動パターンを知っているわけではなかった上に、既知のルートは高専に近いので警戒もしていた。

    「まあ、それなら彼らを解放してしばらく大人しくしていれば問題ないさ」
    「ソウカ?」
    「ああ、もしも彼女と遭遇できたらまた前回のように彼女を私が配置した呪霊のいる建物に送り込めばいい。雑魚の呪霊一体で呪術師一人が手に入るなら安いものさ」

    教団から選抜した人間を呪霊の餌食にさせ、それを賀樂に治療させてから教団に帰投させて本格的に帰依させる。
    それらの流れを組むことで賀樂と親交を深めつつこちらの戦力を拡充できる一挙両得の作戦だ。

  • 163二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 00:12:38

    「病院なんかと連携する必要もあるか・・・硝子みたいな人がいればいいんだが」
    「ショーコ?」
    「ああ、学生時代の同級生でね・・・医療に携わっている呪術師さ」

    高専の人間だからなぁ・・・残念だ。と夏油は零し、うーんと考え込んだ。

    「ま、なるようになる。それまではこちらも彼らの教育を頑張ろうじゃないか」
    「ソレシカナイナ」
    「それと・・・少し、古い友人を訪ねるよ」

    夏油はそう言うといそいそと出かけ支度を始めた。

  • 164二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 00:53:30

    今日はここまでにしときます、また明日!

  • 165二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 08:58:10

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 20:33:37

    保守

  • 167二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 23:36:27

    今日はおやすみかな

  • 168二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 23:37:07

    アメリカ版呪術廻戦観てたぜ

  • 169二次元好きの匿名さん24/03/29(金) 23:42:13

    再開します。


    某県某市、一人の呪術師が単独任務に当たっていた。

    「・・・ったく、また等級詐欺か。嫌になるな」

    目の前で塵になっていく精霊に近い呪霊を見ながら呪術師は溜息をついた。五条からのお願いを聞いたのが間違いだった。さりとて彼がわざわざお願いするくらいのことだからとやって来てみればこれだ。

    「お疲れ様です、京極君」
    「ありがとうございます、新田さん」

    依頼の上では等級は二級、しかし自分の体感で感じる上では十分に一級も視野に入る危険な相手だった。
    補助監督に罪はない、それが頭でわかっているからこそ表面上では冷静を装っていたがそれでも上層部の適当な仕事ぶりには辟易していた。

    (これで等級通りの術師が当てられていたら・・・普通に死んでたな)

    分裂して数を増すタイプで、本体はのうのうと影に隠れて消耗を待つ狡猾なやつだった。夏彦の術式と相性が良かったためにごり押しが可能だったが単独での撃破はそもそも難しいのではないだろうか。
    おそらくは土地に根付いた土地神レベルの精霊が水子などとくっついて呪霊に堕ちたのだろう。元々持っていた呪力のほどがそこらの呪霊とは違う。

    「・・・すみません、ちょっと用事ができました。先に戻ってください」
    「え?あ、はい・・・」

    新田に心付けを渡して、夏彦は先に彼女を帰らせた。そして、人気のないことを確認して振り返った。

    「突然ですね、お久しぶりというべきですか?」

  • 170二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:03:59

    コレはナツアブラさんかな?

  • 171二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:06:47

    「や、久しぶりだね・・・夏彦」

    袈裟姿の男、夏油が物陰から顔を出した。

    「呪詛師として手配されてる貴方がどうしてここに?」
    「そう身構えないでいいよ、こちらに戦うつもりはないから」
    「それ、信用できるとおもいます?」
    「手数で私に張り合える君がそう身構える必要ないだろう?」

    呪力を迸らせ、夏彦は夏油と向かい合った。地面はひび割れ、鋭い視線は相手を射抜く矢ようだ。

    「それにしても・・・君はまだ非術師のために働いているのかい?」
    「夏油さんなら知ってるでしょう?僕の一族は変わり者の集まりだってこと」
    「それもそうだね」

    夏油は京極家の人間ともそれなりに親交があった。というより、高専で忙しく働いているときは同じく忙しなく働き続ける彼らの姿を目にしたのも一度や二度ではない。彼らの死が夏油の道を決める遠因と言えなくもないほど。

    「嘆かわしいよ、今になってみれば・・・もっと早くに止めるべきだった」
    「・・・」
    「猿の為に身を粉にして働く姿はホントに嘆かわしかった。彼らは呪術師としての志も、人間性も素晴らしかったのに・・・結局は猿のせいで擦り切れて今は君一人だ」

  • 172二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:08:04

    >>168

    嘘バレのやつですか?

  • 173二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:13:14

    >>172

    ゴーストバスターズ…

  • 174二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:18:51

    >>173

    ゴーストバスターズって呪術ほどドロドロしてなかった気が・・・?

  • 175二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:51:21

    空間が軋むような音を立てる。夏油は未だに飄々としているが対する夏彦の表情はどんどんと険しいものになっていく。

    「久々に来たと思ったら喧嘩でも売りに来たんですか?」
    「嫌だな、そんなつもりはないさ。だが、猿どもが嫌いなのは君も知ってるだろう?」

    その嫌悪感が出ただけさ。と夏油は続ける。

    「とにかく、君と君の一族を侮辱するつもりは毛頭ない。君たちを顎で使ってきた猿どもが腹立たしいのは事実だがね」
    「話が見えないですよ、結局・・・何が目的ですか?」

    夏油は笑顔を見せて、夏彦に歩み寄った。

    「私はね、呪術師だけの世界を作りたいんだ」
    「そのために非術師を絶滅させると・・・そういってたそうですね?」
    「そうさ、そうすれば呪霊も産まれなくなる」
    「イカレてる・・・呪霊が形を変えるだけだ、呪術師に対する恐怖が、僕たちを食い潰す呪霊に変わるだけだ」

    理解できない、と夏彦は吐き捨てるように言うと頭を抱えた。かつての師がこんなことを言い出したのだから
    夏彦も頭が痛かった。

    「そうだね、物理的にとなるとそれも難しいのは理解できていたよ。でも、それでも私はね呪術師を呪術師が守り、尊ぶ世界にしたい・・・」
    「・・・」
    「その希望が、より穏やかな方法で叶うかもしれないとすれば・・・君の評価も変わるかな?」
    「今度は何を思いついたんですか・・・?」

    胡乱なものをみる目と言えばこのような感じと言わんばかりの表情で夏彦は夏油を見つめていた。

  • 176二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 00:59:42

    今日はここまでにしときます、また明日!

  • 177二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 01:17:53

    乙〜 お疲れ様です

  • 178二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 08:36:15

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 11:28:33

  • 180二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 20:14:47

  • 181二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 22:46:12

    再開します!

    「非術師を呪術師に後天的に作り替える呪術師が産まれたのさ」
    「・・・は?」

    突然の発言に夏彦は思わず絶句した。

    「禪院家に居る少女がそうだ、彼女がこちらに協力さえしてくれれば・・・」
    「なるほど、それで・・・僕が協力するとでも?」
    「ふふふ、まあ今はまだ無理だろう・・・でもじきにわかるさ」

    夏彦は即座に距離を詰めて拳を突き出した。しかし夏油はそれを呪霊でガードし、飛び上がって距離を取る。
    ガードした呪霊は跡形もなく吹き飛び、その背後に大きな破壊痕を残した。

    「腕を上げたね、君は昔から優秀だった」
    「そりゃどうも、次はその顔に叩き込んでやりますよ。降りてきたらどうです?」
    「遠慮させてもらうよ。ヒロインを迎える準備をしなければ」

    夏油は笑顔でそう言うとそのまま何処かへと姿を消した。その場に残された夏彦は頭を掻いて携帯を取り出した。

    「マジでそんな人いるのか・・・?」

    五条に確認を取るために電話かける。夏彦の疑念は数分後に驚愕の事実で塗り替えられることになる。

  • 182二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 23:00:32

    ハジマタ

  • 183二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 23:23:02

    夏彦はキャンセルできる予定は全てキャンセルして一路東京へ。
    夏彦はまだ高専生ではない。それ故に事情はしらなかったのだが・・・。

    「こんな大事な事なら共有してくれても良かったんじゃないか・・・?」

    相変わらずの五条のマイペースさに溜息をつきながら夏彦は東京校へ。

    「夏彦君・・・?」
    「こんにちわ、家入さん。あの・・・」
    「?」
    「その、聞きにくいことで申し訳ないんですが・・・その子が?」

    保健室へと向かった夏彦は家入に件のことを尋ねた。彼女の傍らには賀樂が立っており、夏彦の視線を感じてか家入の陰にかくれるようにしている。

    「なんのことかな」
    「呪術師を生み出す呪術師・・・ってやつです」

    家入は思わずペンを取り落とし、賀樂は明らかに警戒しながら家入にしがみついた。

  • 184二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 23:43:39

    「どこでそれを聞いたのかな」
    「聞いたら驚くと思いますけど・・・傑さんですよ」

    家入にとって、二度目の衝撃が走った。まさかそこでかつての級友の名前が出てくるとは思わなかったからだ。

    「マジで言ってる?」
    「ええ、本人から彼女の存在を知らされました。禪院家は知ってるんですか?」
    「知らないよ、教えてもいいことないし・・・この子も嫌がってる」

    禪院家が彼女をどう思っているのかはわからないが、こんな小さな子が扱うには危険すぎる能力であることは夏彦にも理解できた。

    「ただでさえ相伝の術式を持ってるのに、そんなおまけまであったらどうなると思う?」
    「まあ、自由に外には出られないでしょうね」
    「いやだ・・・」

    家入にしがみついたまま悲し気に呟いた賀樂を見て夏彦は彼女に視線を合わせるように屈むと彼女に優しく語り掛けた。

    「ごめんね、君が特別な力を持ってる子だって知らなくて・・・」
    「・・・」
    「でも、安心して。僕も君が嫌がることをしたりはしないから」
    「帰らなくていい?」
    「いいさ、君が安心できる場所で過ごせばいい。家入さんは優しいからね」
    「うん、ありがと・・・」

    夏彦がそう言ってほほ笑むと、賀樂もぎこちなくではあるが笑顔を見せた。

  • 185二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 23:44:44

    さす夏

  • 186二次元好きの匿名さん24/03/30(土) 23:46:24

    今日は早いですがここまでにしときます、明日は次スレに行くかな?

  • 187二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 00:01:06

    乙〜行きそうですね

  • 188二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 07:18:04

  • 189二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 13:24:24

  • 190二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 21:36:33

    再開します!ちょっと最近スランプ気味なので次スレまで小ネタをしようと思います。

  • 191二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 21:43:52

    小ネタ※時系列はヒロイン三人が夏彦と関係持った自分(夏彦編完結くらい


    「なあ、野薔薇、真依」
    「なによ」
    「なんすか?」

    夏彦とめでたく結ばれた三人娘こと真希・真依・野薔薇はそれぞれが夏彦としっぽりしつつもお互いの交流も増えて来ていた。

    「お前らさ、ぶっちゃけ夏彦とシてる時・・・どこまで意識ある?」
    「ストレートすぎません?」
    「デリカシー前世に置いてきた?」

    二人のあきれ顔もどこ吹く風。しかし二人も実際はちょっと興味があった。
    もしかして夏彦にいいように転がされてるのって自分だけでは?と。

    「ぶっちゃけ夏彦が欲求不満になったらさ、部屋に連れ込まれるだろ?それはいいんだけどさ、アイツ手加減ってもんを知らないから気が付いたら朝なんだよ」
    「へぇ」
    「そうなんですか・・・」

    真希のあっけらかんとしたカミングアウトに二人は内心ほっとした。それぞれ似たようなもんであるからだ。

    「溜まってる度合いによって顕著な気はするけどまあ・・・抵抗は大抵無意味よね」
    「だよな」
    「確かに・・・抵抗ってどれくらいの?」

    三人はそれぞれが夏彦に詰め寄られた時のシチュエーションを想像する。

  • 192二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:02:01

    真希はというと
    「真希ちゃん、いい?」
    「いい?って聞くなら部屋に連れ込む前にしろよ」
    一週間が空いてしまい、残る二人からも会えていないというメッセージ。つまるところ危険信号である。部屋に連れ込まれてから後ろからがっちりと抱きしめられている。

    「真希ちゃん・・・」

    形だけの抵抗をしてはみるものの、夏彦は力が強い。全力抵抗してどうにかという感じだ。
    どんどんとベッドが近づいてくる。お決まりのキスが済めばもう朝まで逃げられないだろう。

    「ちょ、ま・・・ん」

    どうにか時間稼ぎだけでもと思いながら夏彦のほうを向いた瞬間に唇を重ねられ、素早くベッドに連れ込まれた。
    さりとてこれで諦める真希ではない。

    「まてって・・・言ってんだろうが!」

    夏彦に蹴りを入れて素早くベッドから飛び出したが・・・

    「なんでもう下着だけになってんだよ!」

    既にショーツとブラジャー一丁になっていた。フィジカルギフテッドの動体視力を上回る脱衣術である。

    「ったく・・・もうこうなったら・・・」

    真希は眼鏡を取って机の上に放り投げると
    「かかってこいやぁぁぁぁ!」

    勇ましく夏彦の前で下着を脱ぎ捨てた。
    次に気が付いた時には昼だった。

  • 193二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:07:27

    真依の場合

    「ね、ちょ、まって、なつひ・・・ひっ!」
    「ちゅっ、ちゅっ」

    口であーだこーだ言ったところでどうにかなるものでもない。そして、受け身の真依はこういう場合美味しく頂かれるにまかせるしかないのである。

    捕まる→キスされる→脱がされる→ベッドに連れ込まれる→気が付いたら朝のくりかえしであった。



    野薔薇の場合

    「あ、ちょ・・・もう、ほら!そこに横になれ!」
    「うん」

    野薔薇の場合後退や抵抗という選択肢をあえて捨てる縛りにより夏彦を幾分かクールダウンさせることに成功していた。
    しかしながらそれはさながら領域の押し合いに似て・・・

    「いいか・・・ゆっくりだぞ・・・ゆっく・・・ひぎっ!」
    「と、とげちゃ・・・!とげちゃん!」
    「や、やめ!・・・ひぃぃぃん!」

    圧倒的な体力差を覆すには至らないのである。

  • 194二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:29:32

    いつのまにかオモロい小ネタ集が繰り広げられている…真希さん勇ましっ!

  • 195二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:31:21

    無抵抗という縛りを科すことにより…釘崎は夏彦をクールダウンさせることに成功する(なお)

  • 196二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:32:04

    真衣さんは…ザコ

  • 197二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:35:39
  • 198二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:45:07

    次スレの頭で三輪ちゃんの小ネタやろうと思います。

  • 199二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:47:29

    立て乙!了解です

  • 200二次元好きの匿名さん24/03/31(日) 22:47:47

    おっす200

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