【SS・閲覧注意・キララク】「あなたの真剣な目を……?」

  • 1二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:28:49

    「なにこれラクス。今日は漫画?」
    「はい。呼吸を止めて一秒待ってくださいませ。今回の漫画は健全ですわ」
    「……さすがに休日とはいえ、真昼間から調教ゲームとか成年向け漫画とか官能小説を読んでなし崩しにそういうことばっかりするのはまずいよね」
    「目を逸らさないでくださいな。でもキラが望むのであれば私に否はありませんので」
    「冷静に考えると僕が押し倒してばっかりで、ラクスに押し倒されたことはないんだよね。当たり前の話だけど……僕が全面的にいけないんじゃないかなって。
     ちょっとは自重しなきゃね……」
    「ですが今回は健全な漫画なので、キラが劣情を抱いて私を襲うなどということはないかと思います」
    「そうだね」
    「青春の一時を思い、若さに身を任せて私を押し倒すはずがありません」
    「……ラクス?」
    「恋愛物を出した時点で私の意図をキラは汲んでくれるものとわたくしは思っております」
    「……イチャイチャしたいのか、それともやっぱりそういうことをしたいのか、僕には理解しかねるかな……」
    「どちらでも問題ございませんわ」
    「やっぱりちゃんと言葉にするって大事だよね」
    「小さいことでも話し合いましょう」
    「漫画でも読みながら、かな?じゃあ一緒に読もうか、ラクス」
    「はい♪」

  • 2二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:29:28

    ※特殊な性癖のラクスとキラがいちゃつくだけの話です。性癖が特殊なので閲覧注意。

    過去作はこちら。

    【閲覧注意】平和の姫騎士調教記……?|あにまん掲示板「すまないな、こんな時間に」「うん、早く帰らないとラクスの機嫌が悪くなるから手短にね」「いうようになったな……いや、今回見てもらいたいのはこれだ」「平和の姫騎士調教記……?絶対に貴女に自由の剣を与えた…bbs.animanch.com
    【閲覧注意】閃光桃姫シャイン・クルス……?|あにまん掲示板「絶対にあんたになんか負けない?なにこれラクス。また調教物?」「そうですわ、いわゆる変身ヒロイン調教ゲームですわ。アイドルが好きなキラは変身ヒロインもお好きでしょう?」「偏見だし別に僕はアイドルが好き…bbs.animanch.com
    【閲覧注意】声なき闇の姫君……?|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/3000152/こちらの続きです。表題は前スレ>>123からbbs.animanch.com
    【閲覧注意】特攻騎兵スパークル……?|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/3007256/こちらの続きです。ひたすらキララク。表題は前スレ>>119からトリとか必要であれば今度からつけますbbs.animanch.com
    【閲覧注意・CP注意キララク】「風の騎士と海の姫~愛の物語……?」|あにまん掲示板こちらの続きです。ひたすらキララク。表題は前スレ>>117からhttps://bbs.animanch.com/board/3018578/bbs.animanch.com
    【閲覧注意・CP注意キララク】世界の果ての三機神……?|あにまん掲示板こちらの続きです。ひたすらキララク。https://bbs.animanch.com/board/3043706/表題は前スレ>>139からbbs.animanch.com

    ※今回は多分ただの現パロ的な何かです。久しぶりなので生ぬるい目で見てやってください。ペースはゆっくりで。落ちたらもうあきらめてpixivにでも投稿します。

  • 3二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:31:14

    ダイ・キリノはハイスクールに入ったばかりの学生。
    友人のアッシュ・ザマと幼年学校のころから野球をしていたが、入学したのは野球部のないハイスクール。
    妹のケイと友人のアッシュは最近どんどん距離が近づいていてほほえましいやらうらやましいやら。幼年学校のころ、対外試合で知り合ったが今は不良っぽいムーグ・タカノや女教師のマリ・ラミューと過ごす日々。だが、この学校には、野球を愛する理事長の娘がいて……?え?彼女はアッシュの元婚約者?何それ?
    (※画像はイメージです)

  • 4二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:32:31

    「スポーツものかあ。オーブだとわりと平和に語れるけど、プラントとか連合の影響強い国だとなかなかね……」
    「コーディネイターとナチュラルの軋轢の原因の一つですものね」
    「ああ、敢えてコーディネイターとナチュラルの話は入れてないんだ。再構築戦争前の舞台設定かな?」
    「あるいは、今とは別の未来、でしょうか」
    「ラクスはもう読んだの?」
    「粗筋だけ目を通しただけですわ」
    「じゃあ、展開はわからないんだね……さて、第一話、と」

  • 5二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:33:15

    「なあ、アッシュ。ここなんかどうだ?」
    「そうだな……ダイはどう思う?」
    「なんで二人のデートプランの相談に僕が乗らなきゃいけないのさ……僕課題やってるんだけど」
    「嘘をつけ。課題をやる振りをしてゲームをやってるの見えてたぞ」
    「俺はこういうことに疎いからな」
    「僕の方が疎いよ!そもそもアッシュは今は破棄したって言ってたけど婚約者いたんじゃないの……?そういうこと、僕よりよっぽど経験あるでしょ。子供のころからモテてたし」
    「俺よりはお前の方がケイのことについては詳しいだろう」
    「だってさ。ダイが私のことわかってるとは思えないけどな」
    「……僕の部屋でイチャつかないでよぉ」
    「そんなに触れ合っているつもりはないが」
    「距離は離れてるよな」
    「精神的な問題だよ……僕も彼女作ろっかな……」
    「お前が?やめといた方がいいと思うぞ、私は」
    「えっ」
    「絶対重い女に引っかかるか、重い女に付きまとわれるタイプだな」
    「えっ何それ……」
    (※画像はイメージです)

  • 6二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:35:07

    「主人公よりモテる親友。王道だね」
    「……そうですわね?」
    「それにしても野球のやの字も出てこない始まり方だなあ。
     ダイがどんなプレイヤーだったか、ある程度説明あると思ったけど」
    「でも野球漫画というのはこういうものでは?」
    「うん……?いや……そうかな……そうかも……」
    「恋愛が主軸だと、野球自体が添え物になることもあるのではないかと」
    「でもその方が展開早くてスポーツものとしては読みやすかったりするんだよね」
    「では、重い女に引っかかる主人公とは」
    「……隙だらけで言い寄られやすいタイプ、とか」
    「それでいて、懐に入ったら今度は離れられなくなるタイプでしょうか」
    「うーん、あまり想像がつかないなあ」
    「……そうですわね?」

  • 7二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:36:54

    「よう、キリノ!なんだ、野球結局やんないのか、お前」
    「ムーグさん」
    「いや、同い年にさん付けはだな……まあいいや。
     そうそう、野球だ野球。それともハイスクールでは別のスポーツやるのか?」
    「……スポーツそのものをやらないかも。
     まだ決めかねてるんですよね」
    「まだ年度始まったばかりだからな。
     ゆっくり決めりゃいいさ、暇なら帰りに遊びに行かないか?」
    「え、でも……」
    「校則なんて堅いことは言いっこなしさ。
     ほれ、どうせ暇なんだろ?」
    「こぉらタカノ!!キリノくんを素行不良のあんたの行動に巻き込むんじゃないわよ!!」
    「げっ、ラミュー先生に見つかっちまった……じゃ、またあとでな!」
    「待ちなさーい!!」
    「……野球、か……ここの野球部は、楽しそうだな。でも……」
    『お前には才能がある。一緒にこい』
    「アッシュの誘い断っといて、どの口で……って感じだよね。
     何しようかな、これから……」
    (※画像はイメージです)

  • 8二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:37:47

    続きはそのうち
    今回のイメージ画像です。インスパイアというか元ネタ先が露骨ですが…

  • 9二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:44:46

    うおおお
    新作待ってたぜ

  • 10二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:55:57

    加速

  • 11二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 05:57:16

    >>3

    誤) 野球部のない

    正) 弱小野球部の

    です

  • 12二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 06:30:03

    ヨメノ先生の新作だありがたい

  • 13二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 07:15:20

    これは期待

  • 14二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 07:17:34

    タイトル的に元ネタはあれか
    …アッシュ君大丈夫だよね?

  • 15二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 07:46:56

    ヨメノ先生きたー!

  • 16二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 09:32:57

    うおおおおおおおおお‼︎‼︎
    ヨメ・キラノ先生の新作だあああああ‼︎!
    これは全裸待機させてもらう‼︎

  • 17二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:10:13

    「なるほど……不良だけど、面倒見のいい同級生。
     そして実はかなりの実力者みたいな風格」
    「これは助っ人として参入する可能性大ですわ」
    「だねぇ。わざわざそれを追いかける女教師とか、別の方面での恋愛劇も期待できそうだ」
    「たまにはこういうのもいいですわね……不良になってみませんか、キラ」
    「ラクスみたいなかわいい先生がいれば、気を引くために素行不良になるかもしれないね。
     現実はそう上手くはいかない、というか。
     このムーグも何かバックボーンがありそうだよね」
    「では、次の話、ということで」

  • 18二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:18:25

    ……野球は、嫌いじゃなかった。
    でも、実際はアッシュが誘ってくれてたからやってただけ。
    幼年学校を卒業するころ、肩に違和感が出た。
    医者に行ったけど、原因はわからなかった。親は、僕のしたいように、と言ってくれたけど、将来のことを考えると、そのまま野球を続ける気にもならなかった。
    それでも。アッシュは、僕に手を差し伸べてくれた。
    『ダイなら、野手でも十分に通用する。何だったら、野手一本なら俺以上にだってなれるかもしれない。
     お前には才能がある。一緒にこい。野球を続けよう』
    その言葉に、僕はうなずけなかった。
    才能がある。だから野球をやる。それでいいのだろうか。
    アッシュは、才能もあるし、野球が好きなんだと思う。妹のケイも野球が好きだ。
    そんな二人と子供の頃から遊んでいたから、僕も野球はやった。でも……。
    「僕は、野球をやりたいのかな」
    だから、二人とは違うハイスクールに進学した。家の近く。そして、弱小野球部。
    どうなのだろう。その選択が正しかったのか、わからない。
    ムーグさんに誘われて、夜のアミューズメント施設で遊んだ帰り、一人バッティングセンターにいく。
    飲み物を飲みながら、ぼんやりと外からバットを振っている人たちを見る。
    みんな、楽しそうだ。でも僕はバットを握る気にはなれない。
    (※画像はイメージです)

  • 19二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:26:57

    「きゃっ!?」
    そんな中、バッティングセンターから出てきた少女の悲鳴が聞こえた。
    彼女の前には、二人の男。
    反射的に、割って入ってしまう。
    「ちょっと!!」
    「ちっ……」
    「騒ぎになるのは、まずいぞ!」
    「あなたたち、一体何を……!!」
    全部口にする前に、彼らは立ち去ってしまう。
    「なんなんだよ、もう……」
    考え事をしていたのが吹き飛んでしまう。
    背後に庇った少女を振り向くと。
    「あら……助けていただきまして、ありがとうございます」
    「いえ」
    ピンク色の髪。それに、見覚えのある制服。
    同じ学校の学生のようだった。
    「お優しいのですね」
    こんな状況で、まったく動揺していないようだった。変わっている人だな、と思うより前に、否定が口をついた。
    「同じ学校の人だったので……」
    「それでも、わたくしを助けてくださったのはあなただからでしょう?」
    「……そう、なのかな」
    「はい」
    可愛い人なのは間違いない。ただ、顔を合わせたこともない人に親しく接することもない。
    とはいえ……。
    「家、近くなんですか?必要なら、送っていきますけど」
    「まあ……ぜひ?」
    首をこてん、と傾げる彼女のしぐさは、まるで小鳥のようだった。
    (※画像はイメージです)

  • 20二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:31:25

    「ヒロインですわね?」
    「お嬢様だね。となると、野球漫画的には、社長令嬢とか理事長の娘とか……もっと単純に、野球部のマネージャーとか?」
    「幼馴染や同居人ということもありますわ」
    「いやさすがにそれだったらこの反応はないでしょ」
    「では義理の妹」
    「あー……うん?ありえなくはないのかな……」
    「キラは幼馴染ヒロインは好きですか?」
    「ずっと一緒、というのは恋が芽生える、というよりいきなり愛に行きがちだよね」
    「私とキラのように、でしょうか?」
    「僕はそうかも。でもラクスはどうだろう」
    「私は恋が先ですので」
    「そっかぁ……恋、ねえ。あまり縁がないかなあ」
    「ならば私への恋心を芽生えさせて差し上げます」
    「愛の先に恋ってあるのかな……」

  • 21二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:41:23

    「またお会いしましたね」
    「あ……」
    野球部の練習。それを遠目にみていたのは、偶然じゃなかった。
    気になってしまったのだ。ここの野球部は、どんな練習をしているのか。どんな人がいるのか。どれぐらい、楽しそうなんだろうか……。
    つい、見入ってしまった。みんな、笑いながら練習をしている。精一杯汗を流している。
    ただ、人が少ない。数えてみると、7人。試合すらできないのだ。
    「野球はお好きですか?」
    「……わかんないかな」
    「では、まずは入部する、というのはいかがでしょう」
    「え?」
    「やってみなければ、楽しさもわかりませんわ」
    「え、え?」
    「今なら今週末に練習試合が控えております。
     幸いうちの野球部には7人しかおりませんので即レギュラーです」
    「いや、僕は」
    「さらに美少女マネージャーもついてきますわ」
    「つまり……」
    「はい。野球部美少女マネージャーのルリ・エイエンとは私のことです」
    「……自分で言っちゃう?」
    変わった人だな、と思うがそれはそれとして。
    別にかわいい人に誘われたから野球部に入ったわけじゃない。と、そう思う。
    思いたかった。うん。
    (※画像はイメージです)

  • 22二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:45:45

    「王道だね」
    「美少女マネージャーが正解でしたわ」
    「ハイスクールの名前と苗字が一緒なのはそういうことなんだろうね。
     そういえば、ダイのポジションとかはまだ説明がなかったね」
    「はい。とりあえず才能があるけど、怪我でしばらく野球を離れていた、という描写しかありませんわ」
    「この表紙からすると、ピッチャーだよね」
    「王道ですわ。3番ピッチャー」
    「4番は?」
    「サードかキャッチャーで」
    「ラクスも結構詳しいね?」
    「こちらをキラと一緒に読むと決めたので予習してまいりました」
    「ラクスのやる気はどこからくるの……?」
    「愛からですわ、キラ」

  • 23二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 13:58:22

    そしてあっという間に週末。
    練習試合とやらにとりあえず僕は同行する。
    どことやるのだろうか。
    「なんだなんだ。お前も結局入部したのかよ」
    「仮ですけどね……」
    「俺はラミュー先生に助っ人で呼ばれただけだけどな。お前はあのマネージャーに誘われたか?可愛いよな、あの子」
    「……いえ、僕は彼女に誘われたから入部したわけじゃ」
    「わかってるわかってる。理事長の娘でアイドル!しょうがないよな」
    「……理事長の娘?アイドル?え?」
    「知らなかったのか?癒し系アイドルのルリ・エイエン。苗字もハイスクールの名前と同じだろ。あの子有名人だぞ。むしろあの子目当てで入部しようとするやつが多いんだが」
    「多いのに、なんでここ七人しかいないの……?」
    「監督が結構スパルタな上、下心のあるやつは理事長が圧力かけてやめさせてるとかなんとか。おかげで部員も足らず、毎年一回戦負け。
     ちなみに監督はラミュー先生だ」
    「……ああ。うん……?そんなことある……?」
    「だから俺は、あの子がお前のこと知ってて誘ったんじゃないかなって思ったんだが」
    「あ……」
    「あのアッシュ・ザマとのコンビで3番エース。幼年学校のリーグチェックしている子なら知ってるだろうってな」
    「でも、僕は……」
    「あんまり無理すんなよ。野球は楽しんでやるもんだ。体壊したら元も子もないぜ」
    「……あれ。僕、ムーブさんに肩のこと話しましたっけ」
    「ま、そこは企業秘密ってやつだ。お、相手チームが来たぜ」
    「え、ゾディアック高校?」
    「ああ、名門だな……というか、なんでまた、ウチなんかと……ん?」
    「アッシュと、ケイ。今日遠征だって……そういうこと?」

  • 24二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:03:02

    「野球部マネージャーでアイドルで理事長の娘……?このヒロイン盛りすぎだよ」
    「よろしくお願いいたします。
     コンパス総裁で元歌姫でクライン元議長の娘でキラ・ヤマトのお嫁さんのラクス・クラインですわ」
    「ラクスはいくら盛ってもいいけども」
    「他に何が盛れるでしょうか」
    「制作意欲に満ち溢れてる同人作家で料理が上手で踊りも上手で家事も得意で抜群にかわいいラクス・クラインだね」
    「まあ……」
    「それはそれとして、盛りすぎると属性がブレちゃうんだよね。
     キャラクターとして押し出す部分は限定した方がいいかなあ」
    「アイドルにも通じるところはありますわ」
    「本業の人が言うと重みが違うなあ」

  • 25二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:08:58

    「アッシュは一軍。で、今出てるのは?」
    「二軍だな」
    「……試合にはなるのかなあ」
    「お前が投げてやっと、というところだろうな」
    「アッシュ、ちょっと機嫌悪い?」
    「うるさい。お前が野球をやらないというから、遠方の強豪校にいったのに」
    「まだ、肩が治ったわけじゃないし。それに、まだ、仮入部だし」
    「あら、アッシュ」
    「……そうか、お前の高校だったか。ルリ」
    「え?知り合い?」
    「ええ。『元』婚約者のアッシュですわ」
    「ああ。『元』婚約者のルリだ」
    「なんでそんな元を強調するの……?」
    「フラれましたので」
    「婚約に乗り気じゃなかったのはお前だろう。ケイがいるからな」
    「……もしかして二人ってすごい仲いい?」
    「どこをどう見たら!」「そう見えるんだ!!」
    (※画像はイメージです)

  • 26二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:22:36

    「それにしても、ちゃんと試合になってるね」
    「まあ一巡目はな。特にショートに俺、お前がセンターでセンターラインはそろってる。
     うちの投手もなかなか捨てたもんじゃないぜ」
    「ちゃんと低めに丁寧に投げてるよね……一回戦負け常連とか、全然思えないんだけど」
    「とはいえ、毎回三者凡退じゃキツイぞ」
    「……僕からホームラン打っといて、なんで普通に凡退してるんです、ムーグさん」
    「打ち損じたんだよ。バッターは3割打てば十分だろ。お前こそブランクのせいか?バット振れてないじゃないか」
    「目が慣れてないんですよ……ああ、でも。楽しいですね、やっぱり」
    「そいつはよかった。しかし、なんでゾディアック・ハイスクールとかいう名門なんかと試合組んだんだか」
    「……わたくしのせいですの」
    「えっと、ルリ、さん?」
    「ルリとお呼びくださいな。ダイ」
    「……んん?」
    「わたくしは、今年このハイスクールに入学したのですが」
    「あ、僕たちと同い年なんだ」
    「初めて野球部の練習を見たとき、感銘を受けまして」
    「感銘」
    「この野球部は強い。9人揃えば絶対に王舞園に行ける、と言ってしまって」
    「そこまでじゃないと思うけど……」
    「元々野球が好きだったわたくしは、ついついマネージャーになってしまいました。
     ただ、私がマネージャーを始めたせいで、入部希望者が殺到して、お父様が……その、怒ってしまって」
    「……まあ、可愛い娘目当ての男しか入らないようじゃなあ」
    「この試合、2軍相手に勝たないと、廃部になってしまうのです」
    「……えぇ……」
    「ゾディアック・ハイスクールが試合相手になってくれたのは、監督とお父様が友人だったので、その縁で」
    「……え?ゾディアック・ハイスクールの監督って、アッシュのお父さんじゃ……」
    「はい。知り合いですわ。なので、私とアッシュは婚約者だったのです」
    「うっそぉ……」
    (※こちらは投手のチャン・サードさんのイメージ画像)

  • 27二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:27:08

    「まさかのヒロインが原因で廃部の危機になっているとは……うん?」
    「どうしましたの、キラ」
    「いや、ダイとアッシュって知り合いだよね」
    「ですわ」
    「で、アッシュとルリは元婚約者」
    「はい」
    「……もしかして、ダイが自分のところのハイスクールにいる、ってルリは知ってた?」
    「ああ……ムーグさんが言っていたことが、本当だった、と」
    「そして、ダイは幼年学校では有名なプレイヤー」
    「というと?」
    「ルリが自分の父さんに、大口叩いた理由って、ダイが理由なんじゃ」
    「……良かれと思ってやってることが、全て裏目にでてます?このヒロイン」
    「そんな気がするなあ……」

  • 28二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:38:59

    「ちゃ、チャンさん!皆さんは知ってたんですか、このこと!」
    「ああ、俺らはな。
     ただ、ルリちゃんがマネージャーになって問題起きたのは事実だし……」
    「それに、七人しかいないからな。
     今年の新入生は色々あってやめちまったし。お前らが入らないなら、そもそも試合もできなかった」
    「助っ人、っていう手もあるけどな……」
    「だから、廃部になるならしょうがないかなって」
    「野球!できなくなるかもしれないんですよ!?」
    「愛好会でも続けられるだろ、野球自体は」
    「……ルリ……さんは、これでいいの?部活動じゃなければ、王舞園には出られない」
    「私の、責任ですので。ここで負けるのでしたら……それは、仕方のないことです」
    「……チャンさん。ちょっと、キャッチボールしてもらっていいですか?」
    「ああ、いいぜ。俺も次の回の肩慣らしもあるからな」
    (※画像はイメージです)

  • 29二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:45:51

    「……なんだあの球」
    「えぇ……仮入部の新人が、あんな球、投げるか、普通……」
    「チャンさん。一つ、ご相談が」
    「……えーっと。一応外野はできるけど。
     お前の球捕れるやつなんて……」
    「お、やる気になったかキリノ」
    「今日だけですよ。無理して体壊すなって言ったのはムーグさんでしょ」
    「ま、そうだな……やっと本職に戻れるか、俺も。プロテクター、後で貸してくださいよ、先輩方。
     お前、球種どんぐらいあったか?」
    「今日の球でどれだけ投げれるかは今から調整します」
    「あの……ダイ。ご無理は……」
    「……試合で全力を出さないでおめおめ負けたら、妹と妹の彼氏に殴られる。
     それに」
    「それに?」
    「無理をしないで勝てる試合なんてないんだよ」
    (※画像はイメージです)

  • 30二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:50:11

    「今まで大人しかった主人公が野性味溢れる口調になるの、好きですわ……」
    「ギャップはいいよね。主人公の特権だ」
    「キラのギャップも素敵です」
    「……僕のギャップってそんなある?」
    「たくさんありますわ。数えきれないほど。
     少なくとも毎日私はそのギャップで脳みそを滅茶苦茶にされていますので」
    「……そんな?」
    「はい。日常の中では、特に優しいキラが急にすっと目が真剣になってわたしを押し倒すのは格別です」
    「今日はやらないからね?」
    「今日は健全な方向で?」
    「いつも健全だよ?」

  • 31二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:52:41

    始まりがタッチっぽかったけどH2だった

  • 32二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 14:55:52

    続きはそのうち

    なんか平和なキララクを書いているとどんどん話が長くなっていきます

    >>31

    キララクとアスカガでH2!これだ!!はい、その通りでございます

  • 33二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 15:01:46

    H2かぁ
    キラとカガリが兄妹設定だと恋愛的にはかなりシンプルな話になるのかな

  • 34二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 15:27:54

    お疲れ様です  
    また見られて嬉しいです

  • 35二次元好きの匿名さん24/04/06(土) 17:21:50

    いやぁ凄いバーサーカーっぷりだなぁ、一体誰がモデルなんだろうなぁ(白目)

  • 36二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 00:14:34

    キラノ先生!キラノ先生じゃないか!

  • 37二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 03:33:51

    試合が再開する。
    バァン、と音。……え?
    ぴくり、とも打者が動けない。そのまま、三つ。ミットを鳴らす快音が響く。
    元婚約者で、現友人のアッシュが言った意味を、私はやっと理解する。
    『あいつがいれば、お前のところの野球部でも、うちといい試合ができるんじゃないか?二軍なら、だけどな』
    真に受けたわけではなかった。さっきまで、投球練習で見ていた球でも、それほどではなかった。一段、上の球。全く別の人が、そこにいる。
    なんでしょう、これは。ストライク、バッターアウト、と審判が三回言った。9球で1回を終えてしまった。
    ぽかん、としていたのは私だけではないと思う。隣にいる監督のラミュー先生も、唖然としている。
    相手のベンチもだ。それを当然のものとしていたのは……ベンチと、グラウンドの中には一人だけ。
    彼のボールを受けていた同級生は、どこか嬉しそうに笑っていた。
    「いやあ、なかなか。悪くないんじゃないか」
    「残り6回。しっかり投げ切るのは悪いことじゃないと思いますけど」
    グラウンドの外では、何人かいたようだが。
    「……なんだあいつ。投げ始めたぞ。マジか」
    「このグラウンドでこの後1軍の紅白戦をやる予定だから、早く終わる分にはいいかもな」
    そんな声は私に届かない。私に届いた声は、彼の声だけ。
    「マネージャー?……ルリさん?」
    「……はい?」
    「ちょっとスコアブック見せてください」
    「……はい」
    ただ彼の声に従うまま、機械的に記録してたそれを渡す。何もしないまま、それを受け取る。
    「大丈夫?震えてる気がするけど……ほら、これ」
    「はい……?」
    「ジャケット。寒いんじゃない?」
    「はい……」
    唯々諾々と、彼の言葉にただ従う。
    「こりゃ……重症ね」
    回始め。部員にこの回の方針を伝えたあと、戻ってきた先生の言葉の意味は、私にはわからなかった。
    私はスコアブックをつける準備を始めながら、ぼんやりとグラウンドに向かって叫んでいる彼を見ていた。
    (※画像はイメージです)

  • 38二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 03:41:45

    「ヒロインも可愛いね……さっきまでどこか遠目で見ていた印象があったけど、急に恋する乙女になっちゃった。
     バッティングセンターでの出会いやその後の勧誘の時点でも感情の動きは見て取れたけど、完全にそうなったのはこのシーンだね」
    「キラは恋する私は好きですか?」
    「ラクスは好きだよ、いつでも」
    「でも恋している時は?」
    「僕は君が恋している時は、君のこと見てなかったからね……」
    「そうでしょうか?」
    「そうだと思うよ。あまり……うん。酷い話だけど、オーブで一緒に暮らすようになるまでは」
    「いいえ。私はいつだってキラに恋してましたわ?」
    「え?」
    「異性に感情を寄せるのであればそれは恋だと思います。キラは難しく考えすぎだと思いますの」
    「そうかな………?じゃあ僕も、君に今でも恋しているかな」
    「ありがとうございます」
    「どういたしまして」

  • 39二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 03:57:44

    「で、どうすんだ?このままいくと引き分けだぞ」
    「どうしようも、こればっかりは。揺さぶって、少しでも点を取れる可能性を上げるしかないんじゃないですか」
    「お前のテンポがよすぎて相手の投手もなんか調子出てきてるぞ」
    「うまくいきませんね」
    「タカノ!!早くネクストに行きなさい!!」
    「っとぉ、監督に怒られちまった。
     行きますかね……調子が出てきてる相手投手。テンポがいい。となると?」
    「不用意にストライクを取りに来る初球、ですかね?」
    「だな。格下と思っている相手に投げる、定石通りの外角低めの直球……」
    「あの球威でコースに決められたらムーグさんでも打てないでしょ。僕らまだ一年ですよ」
    「そこはまあ、相手の油断に期待しますかね」
    (※画像はイメージです)

  • 40二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 13:28:49

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん24/04/07(日) 22:24:12

    アークエンジェルにキラの球受けれそうなのがムウしかいないから同い年になったのかな

  • 42二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 06:19:38

    「こらぁタカノ!なーに追い込まれてんの!!
     あんだけ大口たたいてあんたはー!!」
    「……あっさり追い込まれてますわ?」
    「ムーグさんはあんな感じですよ、いつも。
     配球の読みは鋭いんですけど」
    「それは、なんと言いますか……」
    「ほら、追い込まれた。でも、まあ……」
    「あーもうなんでそんな大振りしてんのよ!!追い込まれてるんだから、コンパクトにいきなさいよコンパクトに!!」
    「どうなんでしょう、解説のダイさん」
    「相手もそう思ったよね。変化球にタイミングが合ってない上ぶんぶん振り回す奴だなって」
    「え?……あ、変化球を真芯でとらえましたわ」
    「読み自体は鋭いんだよね、さっきも言った通り。根は真面目だからかな?スイングも愚直で、鋭い。だから、追い込まれて相手の一番いい球が一番いいところに来た時、狙いすまして打っちゃう……のかな?なんなんだろうね、あの人」
    (※画像はイメージです)

  • 43二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 06:27:07

    「あっさり試合も終盤ですわ」
    「1軍出てくるとかそういう展開あると思ったけどね」
    「1年生バッテリーで強豪校をきりきりまい、ですの?」
    「そうそう、そんな感じ。
     ああ、でもダイにも不安要素があったね」
    「あ、肩……」
    「それ。さて、本人も気にしてて、親友と一緒に野球をやらなくなった理由になった身体的な不安。
     それがどう影響を与えてくるんだろう」

  • 44二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 06:36:21

    「お前、本当に大丈夫か」
    「まあ、この一回ぐらいならいけるんじゃないんですかね」
    「怪我しててもこれぐらいはやれちまう、ってのも難儀だな」
    「練習もあんまりしてないはずなんですけど」
    「それでそんだけ下半身がブレないのはもう才能だ。何をやっても一流になれるさ」
    「……ムーグさんは、野球やれって言わないんですね」
    「まぁ……他人に言われてやってもな。好きなことやった方がいいと思うぜ?
     嫌でもやってて、好きになるってことはあってもなぁ……ほれ、ラスト1イニングだ。
     あのマネージャーちゃんのためにもしっかりな」
    「だから、僕は成り行きでやってるだけですって」
    「わかってるさ。でも、期待には応えたいんじゃないか?お前も。
     今はそれでいいんじゃねえかな」
    (※画像はイメージです)

  • 45二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 06:57:22

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 07:03:48

    「試合は終わりましたわね」
    「無事ゾディアック・ハイスクールの2軍に勝って、廃部は撤回。
     野球部のみんなは喜ぶけども……」
    「ダイが肩の痛みに苦しんでますわ」
    「大分深刻だったんだね。実は本当にただの違和感だった、という展開もちょっと期待してたんだけど」
    「ルリはダイの肩のことを、知っていたんでしょうか」
    「……知ってたんじゃないかな?そもそもがルリはアッシュの知り合いだし、彼からダイのことを聞いたんだろう。
     だから、野球をできる助っ人としては半ば強引に引き込んだけど、ピッチャーとしてマウンドに立ってくれとは言わなかった。彼がマウンドに立つ前も、むしろ無理はするなと言っている」
    「では……」
    「そうだね。彼と彼女が出会った経緯とか、彼がマウンドに立った描写を考えると、ルリはダイに、色々と好意を抱いてたんじゃないかな。でも、これだと自分がダイを苦しめた、ということになっちゃう……かな」
    「青春としては、少し苦いお話になってしまうのでしょうか」
    「まだ、始まったばかりだからね。これをどう克服していくのか。そういう話になるんじゃないかな、ほら」

  • 47二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 07:13:13

    「……ダイ。ありがとうございます。あなたのおかげで、野球部は廃部にならずに済みました」
    「うん、よかったよ……頑張った甲斐があったかな」
    「その、肩は……」
    「ああ、アッシュから聞いたのかな……うん、駄目だね。上がらないや。
     練習もせず、いきなり全力で投げるのが悪いんだけど」
    「なんで、そんな……」
    「後先考えないからかなぁ……いつもアッシュとかケイには怒られてる」
    「……」
    「泣かないでよ。せっかく、野球部が廃部にならなかったのに……」
    「あなたがそんな顔をしてる時に、喜ぶなんてこと、できませんわ……」
    「あってから、1週間もたってないよ、僕ら。気にしないでって」
    「……病院に、行きましょう。私も付き添いますわ」
    「え」
    「行きます。意地でも連れていきます。ありとあらゆる検査を受けていただきます」
    「あ、ちょ、まだ試合終わったばっかりで」
    「うるさいですわ。そうやってあなたは今まで面倒くさがって自分のケアを後回しにしていたのではないのですか」
    「そんな、大したこと」
    「私は!あなたがマウンドに立つところを見て、幸せな気持ちになれたのです!その気持ちを……汲み取ってくださいませ!」
    「そ、そんな感じだっけ、ルリ……さん?」
    「ルリと!そう呼んでくださいな!」
    (※画像はイメージです)

  • 48続きはそのうち24/04/08(月) 07:17:40

    「……すごいね。これは強い」
    「好きな方がボロボロになってるのを見たら、こうもなろうというものです」
    「えぇ……?」
    「わたくしも色々としがらみがなければ、キラにこれぐらいは言っていたかもしれません」
    「そっかぁ。そっかぁ……」
    「失望されましたか……?」
    「ううん、惚れなおしたかな」
    「……」
    「うん、ありがとう、ラクス」
    「はい」

  • 49二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 17:39:32

    察してるのか例によって例の如く気付いてないのか…

  • 50二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 19:42:35

    続きが楽しみですわ

  • 51二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 20:42:39

    「ほら、早く起きてくださいませ、ダイ」
    「……もう、何か、用……かあさ……え?ルリ?」
    「おはようございます」
    「お、おは、よう……?」
    「さ、顔を洗ってきてくださいませ。
     水を飲んだら、ランニングですわ」
    「……待って?ちょっと待とう。え、これ夢?」
    「夢ではありませんわ?」
    「……ここ僕の家だよね?」
    「はい。ダイのお母様にお願いして入れていただきましたわ」
    「ちょっと待って?なんで?」
    「ダイは放っておいたら運動もしなさそうですので」
    「……んん?今日学校だよね?え?6時?」
    「さあ、ランニングですわ?」
    「え?」
    「目指せ王舞園、とは言いませんわ。
     でも、ダイはしっかり運動しないといけません。
     しっかり体を鍛えて、少なくとも肩を治療して、健康的な生活をいたしましょう」
    「え?え?」
    「わたくしも付き合いますので。ちなみにアイドルは休業です」
    「……冗談でしょ?」
    「冗談で乙女が男性の部屋には上がり込みませんわ?」
    (※画像はイメージです)

  • 52二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 21:19:29

    確かにラクスは野球やるならマネージャーだなあ……応援団とかチアガールとかには行かないよなあ……って変なとこで納得してたら押しかけ妻始めててダメだった
    好きな人がボロボロになってた時、許されるならその人のために怒ったり泣いたりしながら癒そうとするって本当にいい子すぎるけどラクス的には失望されたかなって不安がるの乙女仕草で可愛いね……そこで惚れ直したって言えるのはイイ男だよほんとに

  • 53二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 21:59:30

    「ぐいぐい来るね……」
    「押しの強いヒロインは好みではないですか?」
    「ぐいぐい来るラクスは好きだね」
    「では引き気味のわたくしはいかがでしょう」
    「謙虚なラクスは好きだね」
    「では、怒ってるわたくしは?」
    「怒ろうとしても怒り切れないラクスも好きだよ?」
    「ではどんなわたくしでも?」
    「大好きだよ?」
    「……」
    「うん、抗議したいのはわかるかな」
    「わたくしはともかく、こちらのヒロインはいかがでしょう?」
    「実際、常に一辺倒な人なんていないからね。
     ルリもダイのためになるからぐいぐい行ってるだけで……マウンド上がろうとしてた時はむしろ引こうとしてたし。
     相手のことを思いやって動ける人が好きなだけだよ、僕は」
    「でも作品の感想としては、何でもいいと言ってるようにしか聞こえませんので」
    「じゃあ素直な感想で」
    「どうぞ」
    「朝起こしに来るヒロインは好きだな。やっぱり王道だよね」
    「あなたを朝起こす王道ヒロイン、ラクス・クラインですわ?」
    「ラクスも結構ぐいぐいくるね?」
    「キラが暖簾に腕押しなだけですわ?」

  • 54二次元好きの匿名さん24/04/08(月) 23:31:03

    絵柄の安定度が上がっているのが分かりますね…
    あそいえば某スレの「愛のスタグフレーション」概念、実はキラノ先生シリーズを眺めながら考えてたことを咀嚼してたら出てきたやつだったりします。

  • 55二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 08:10:36

    このレスは削除されています

  • 56二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 15:45:41

    安心安定のキラノ先生シリーズすき

  • 57二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 19:39:33

    「これ……っ!!ペース、はや、くない!?
     もう少し、ゆっくりにしよう!?」
    「わかりましたわ、ゆっくり帰りましょう。
     ただ……遅刻してしまいますわ」
    「ルリだけ先に帰ってくれれば、いいから、ね!」
    「いえ。ダイを一人置いて先に行ってしまうなど、私にはできません……一緒に遅刻いたします」
    「え、え……?」
    「優等生のルリ・エイエンは今日でおしまいですわ。
     他のクラスの男子と一緒にいて遅刻する不良生徒になります」
    「……あー!!もう!!
     どうせこれペース上げたってギリギリでしょ!!わかってるんだからね!!」
    「ファイトですわー!」
    「しゃべ、らせ、ないでよね!?」
    (※画像はイメージです)

  • 58二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 19:47:29

    「ランニングするエースとそれを自転車で追いかけていくマネージャー……憧れます……」
    「自転車とランニングでペース一緒ってきつくない……?」
    「ではキラは私に自転車で後ろから励まされたら限界を超えてくださらないのですか?」
    「限界はあると思うよ、さすがに……アスランじゃないんだからさ」
    「わかりました、それでは一緒にジョギングで妥協いたします」
    「ラクスすごい体力あるよね……」
    「……軍人のキラほどではないと思いますが……?」
    「訓練とかろくにしたことないからね、僕。ラクスは歌姫だけあって肺活量すごいもんね……。
     よく息持つなあって思う」
    「……キラ?何を思い浮かべたのですか?」
    「ラクスこそ何を思い浮かべたのかな?」

  • 59二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 19:49:36

    唐突に絵を描きたくなったので……どうなんだろうなあと思うんですが

    ゆっくりペースとか言ってたのはこのあたりです

    >>54

    そんな……こんな浮かれポンチなお話からあんな理論を思いつくなんて……

  • 60二次元好きの匿名さん24/04/09(火) 22:21:11

    >>59

    繰り返し同じモデルからお話が描かれるので、原典のキャラクターを学ぶのに本シリーズ(及びその他のキララク浮かれポンチストーリー)が役立つんですよね~。

    それで心理学で共通する部分汲み取って(なぜか)経済学で翻訳するとすっと出てきたのが「キララク銀行のスタグフレーション」とか言う謎理論でした。割と好評なので使い倒しています(


    それはそうと、絵のタッチが非常に丁寧に進化しています。これもキララクパワーですか…?

  • 61二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 07:44:48

    「これ……えっと?」
    「お弁当ですわ?」
    「なんで?」
    「朝無理やり起こして朝ごはんもそこそこに、お弁当を受け取る間もなく家をたたき出したのは私ですので、その責任はとらないといけないと思いまして。せっかくなので……私がなぜか余分に二人前作っていたお弁当をさしあげようかと?」
    「疑問形になってる……あとこれ二人前?三人前はない?」
    「運動部のダイにはちょうどいいのではないでしょうか」
    「今日は朝から走ってたし、放課後も練習だし、いいかもだけど……そもそもなんで自分の分とは別に三人前のお弁当用意してたの?」
    「なんとなく」
    「なんとなくかぁ……何時から起きてたのさ、ルリ」
    「4時半からですわ」
    「……まさかその時間からうちにいたの?」
    「ご想像にお任せします……ダイ?」
    「うん……ありがとう。いただきます……あ、おいしい」
    「ダイの好きな揚げ物だけでなく、野菜と鳥肉も大量にありますので」
    「僕そんな大食漢じゃないと思う」
    「運動部の学生ならこのぐらいいけます」
    「うん……ちょっと前まで帰宅部だったんだけどね?」
    (※画像は用意できなかったのでイメージです)

  • 62二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 07:53:17

    「……うん?練習終わったのになんで家までついてきてるの?」
    「明日も朝4時半から起きないといけませんので」
    「……ううん?色々と問い詰めなきゃいけないような気がするんだけど」
    「お父様と、おばさまとおじさまの許可は取りました」
    「ケイと一緒の部屋で寝るの……?」
    「客間を貸してくれるそうで」
    「ああ、和室かあ。あそこ寝心地いいんだよね。そもそもなんでウチに泊まってまで僕のフォローを」
    「したいからです」
    「したいからかあ……うん……?なんかおかしくない?」
    「理論の破綻はないと断言できますわ」
    「そっか、断言しちゃうか……」
    「さあ、ダイも早く家に帰ってお風呂に入って寝ましょう。明日も6時起きですので」
    「なんか、僕も4時半に起きなきゃいけない気がしてきたんだけど」
    「一緒にお料理も楽しそうですわね?」
    (※画像はイメージです)

  • 63二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 15:00:59

    必要だからするのではありません 
    したいと思うからするのです…?

  • 64二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 15:26:08

    このレスは削除されています

  • 65二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 21:29:10

    このレスは削除されています

  • 66二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 21:29:47

    「……なあケイ」
    「なんだアッシュ」
    「ここに来るまで知らなかったんだが、ダイとルリはここ最近ずっと一緒なのか……?」
    「そうだぞ。ルリって子曰く朝から晩まで暮らしを見つめているそうだ」
    「婚約者だった時は、ああもガツガツしてなかったぞ?」
    「そうだな。アッシュも私に会う前はそんな印象なかったってダイは言ってたな。……お前ら、似た者同士なんじゃないか?」
    「…………いや、そんなことはないと思うが」
    「じゃあたとえばの話をしてみるか」
    「ああ」
    「私がアッシュのために、何かやった……まあ、お前がどうしても欲しい工具を買うためにアルバイトでもしたとしよう。そのせいで私は怪我をした。さて、お前はどうする」
    「朝から晩までケイが治るまで側にいるな」
    「そういうことだよ」
    「そういうことか……しょうがないな」
    「まあ、お前と違って、ルリって娘は大分奥手みたいだから、苦労するかもしれないけどな」
    「……奥手?アレがか?」
    「お前に比べればな」
    (※画像はイメージです)

  • 67二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 21:40:18

    「奥手かあ……これはどちらかというと、ダイが鈍感なだけだと思うなあ」
    「キラのように、ですの?」
    「耳が痛いね……」
    「とはいえ、ここではっきりルリが自分の気持ちを言えば、色々前進するような気がするのですが」
    「どうかな。負い目とか貸し借りがある状態だと、色々本当のところは見えない、という気が僕はするね。
     一気に踏み込んでも、そこで最後まで結論を出さない、という姿勢は正しいのかも」
    「……なるほど」
    「ただ、理論の破綻はない、かあ。
     そりゃそうだよね、好きな人が自分のために頑張って怪我したら、そうもなるかなあ。とはいえ、知り合って間もないんだけど……」
    「出会ってからの時間と思いの深さは関係ありませんわ」
    「どうだろう……僕はなんだかんだ、時間は重要だと思うな。あれ、このやり取り前もやったっけ?」
    「わたくしとキラの間の平行線、ですわね。この点だけは毎回意見が合わないような気がします」
    「ラクスは自分でこうと決めてから動くからね。
     僕はわりと動いてから考えるタイプだから……その分、ラクスが隣にいてくれると、助かるよ。ん?これも前に言ったかな」
    「どうだったでしょう……でも、理解はできますわ。
     私とキラでは、行動に至るまでの過程が異なりますもの」
    「だから心地いいのかもしれないけどね」

  • 68二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 21:50:37

    「ふあ……おはよう、ルリ……母さんも、おはよう……」
    「ほら、ちゃんと顔を洗ってきなさい!そんな顔でルリちゃんの前にでない!」
    「うう……わかったよぉ……」
    「全く……ルリちゃんも、いいのよ?こんな毎日こなくても」
    「いえ、私が好きでしていることですので」
    「その好きの意味にあの子が気づけばいいのだけれど。
     一週間。二週間。そろそろ一か月、ね……」
    「……」
    「いいのよ、気にしなくて。あの子は、あの子のままに動いただけ」
    「……ですが」
    「ほら、もうお湯が沸いているわ。早く豆腐と油揚げを入れないと」
    「は、はい……!」
    (※画像はイメージです)

  • 69二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:04:01

    「ねえ……タカノ」
    「なんだよ、先生。
     今日はグラウンド使えない日だぜ?先生がノックする必要はないし、見張りにこなくても、みんなサボりゃしないって」
    「違うわよ。あんたぐらいでしょサボるのは……じゃなくて。
     キリノくんとエイエンさんって、付き合ってるの?」
    「そう見えるよなあ」
    「見える……ってことは違うの?」
    「少なくともキリノの方はそういう感じじゃないな。いいのやら悪いのやら」
    「え?エイエンさんの片思い?」
    「だろうなあ」
    「……もう三か月でしょ?」
    「だなあ。いい加減、進展してもよさそうなもんだけど」
    「実はもう行くところまでいっちゃってるとかない?」
    「……生徒の恋愛を、出会いがない教師のエンターテイメントにするのはどうかと思うぜ?」
    「だまんなさい。でも、正直、泊まり込みで他の人の家に、という時点でかなり外聞が悪いのよ。
     エイエンさん本人が全く隠そうともしないし。親同士ですでに話し合いしているみたいだし、こちらから首を突っ込むことでもないかもしれないけど……野球部員とマネージャーよ?
     もしそういう関係になってるなら、顧問の私の方から釘を刺しておきたいのよ」
    「そういうことはやるなって?」
    「バレないようにやりなさい、って」
    「ああ……あいつら、どっちもヤリはじめたらやばそうだしなあ」
    「あんたからなんか言ったりしないの」
    「いやあ、藪蛇になりそうでなあ」
    (※画像はイメージです)

  • 70二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:09:54

    え、このお話路線だと先生と生徒の恋も描かれうる路線あるのか
    造詣深いなあキラノ先生

  • 71二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:23:38

    「ヤリはじめたらやばそう……うん、そうだね。
     若くても、ちゃんと自重しなきゃだめだよね」
    「キラ……」
    「うん……反省してる。反省してるから。
     さすがに砂浜はまずかったよね」
    「正直あの時のあの出来事は私にとっていい意味で凄まじく衝撃的で一生に残る大切な思い出でしたが、その後のお義母様の怒りもすさまじかったしおそらく一生に残る思い出ですわ……」
    「僕も父さんから大目玉食らったよ……軍隊勝手に入った時より怒られたなあ……」
    「それは……なんと言いますか……」
    「お前は社会的に立場のある人間だろう!何を考えてるんだ!!ってね……」
    「世界平和監視機構の准将ですものね……」
    「そんな人が世界平和監視機構の総裁と砂浜でそんなことしちゃだめだよね……そりゃそうだよ」
    「耳が痛いですわ……」
    (※画像は砂浜で二人がやらかしたことの中の比較的健全な部類の行為)

  • 72二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:27:37

    >>71

    「それはそうと」でその後ヨメさんの創作物に全力で協力してくれるカリダご夫妻、無茶苦茶太っ腹だな?!?!?

    この少年漫画だってバックにはハハ・キラノさんがいて初めて成り立ってるんだろうし…

  • 73二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:33:10

    「ダイ、肩の調子はいかがですか?」
    「うん、大丈夫……夏も、秋にも、間に合わなかったなあ。来年の夏がんばらなきゃ」
    「……あまり頑張らなくてもいいと思いますわ」
    「え、でも……」
    「野球部が存続できただけで十分です。
     それで、あなたが無理をして、また怪我でもされたら、私は……」
    「あ……」
    「……」
    「ここで、大丈夫、って言っても駄目だよね。
     でも、まあ……うん。前も言ったけどさ、無理をしないで勝てる試合なんてないんだ。
     そして、やっぱり……僕は、野球をするなら勝ちたい」
    「……」
    「何より、さ。
     一緒にリハビリ、付き合ってくれた君のためにも、もう少し頑張りたいんだ、僕は。
     僕は、野球が好きなのかどうなのか、よくわからない状態で、あの試合に出て。
     でも、君と一緒に頑張ってきて。なんとなく、どうして野球をやってたのか、わかってきたから。
     きっと、僕は野球が好きなんだろうね」
    「ダイは、野球が好きなのですか?」
    「多分、ね。
     何より……こんなに一緒にいてくれて。こんなに支えてくれた君が好きな野球を、もうちょっとだけ頑張りたいって思うのは。君のために、少しでもいい試合をしたいって言うのは、わがままかな?」
    「……いえ」
    「泣かないでよ……ね?」
    「これは、嬉しくて……泣いてるのですわ?」
    「そう、かな。ごめんね、鈍感で」
    「いえ……」
    (※画像はイメージです)

  • 74二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:38:35

    続きはそのうち
    基本普通に平和な話なのでダラダラやっちゃってます

  • 75二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:38:50

    >>71

    ヨメ・キラノ氏が感極まりすぎてない?

  • 76二次元好きの匿名さん24/04/10(水) 22:40:16

    >>74

    いいじゃないですか、2人が一番望んだ世界をモデルにしたお話ですし

  • 77二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 08:32:02

    「ここで心が通い合った……のかな?
     どうも微妙に決定的なことを言うのを避けてるような気もするけど、作者の作風とも取れるんだよね……。
     これをわかりにくくしてると取るか、ダイとルリのスタンスと取るか」
    「少年漫画でしたら、もっとわかりやすいイベントとして挿入しそうなものですわ」
    「だね……あと気になるのは、青年漫画……あるいはそっちの意味での成年漫画の方が得意なのかな、この作者」
    「と、いうのは」
    「少年漫画であれば群像劇みたいに話を広げそうなものなんだけど、この漫画は大分閉じた世界で物語を展開している。ただ、それも最終的に性行為という終着点がある成年漫画であれば納得できる。野球と恋愛を交差させる青春漫画というよりは、本当に恋愛漫画……ひいてはそういった行為に主眼を置いた漫画のような構成の気がするんだよね」
    「……なるほど?」
    「主人公とヒロインに極力焦点をあてる、というのは割り切った構成だし、特に大御所の恋愛青春漫画でもそういう構成をとる人もいる。とはいえ、ここまで思い切った構成は、最後にそういったシーンがあるからこそ、という気もするんだよね……濃厚な接触描写をするとか?青春漫画の範囲で……うーん?」
    「そろそろダイとルリのハイスクールでの生活も一年目が終わりますわ」
    「だね。さて、この漫画はどこを終着点にしてるんだろう」

  • 78二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 12:28:47

    「そっか、今年度もあと二か月なんだね」
    「ダイもしばらくしたら先輩ですわ」
    「君もね?部員、新しく入ってくるといいね」
    「ええ……どうぞ」
    「お茶なんて入れなくてもいいのに」
    「飲みたかったのでは?」
    「そうだけど……言わなくてもわかったの?」
    「なんとなく」
    「そっか……ありがとう。でも、静かだね」
    「はい……おじ様とおば様と、ケイさんがいないので」
    「そっか。初めてだっけ。二人きりの時にここに泊まるの」
    「……はい」
    「旅行、かぁ。アッシュはついて行ってるのに僕が行かないっていうのも変なのかな」
    「なぜ、一緒に行かなかったのですか?」
    「病院……は言い訳かな。どうせルリにはわかってるでしょ?」
    「……あ」
    「誕生日プレゼント。こういうの、滅多にしたことないから何がいいのかわかんなかったけど」
    「オルゴール……」
    「もう何買えばいいのかわからなくなっちゃってさ。君には色々もらってばかりなのに」
    「いえ、そんなことは……いいえ。ありがとうございます。大切にしますわ……」
    「……うん」
    「あの」
    「うん」
    「今日は、その……」
    「……うん。明日まで、二人きり、だね」
    「……あ」
    「……好きだよ」
    「私も……ですわ」
    「うん……」
    (※画像はイメージです)

  • 79二次元好きの匿名さん24/04/11(木) 19:45:37

    貰ってばかりと言うがね
    持ちつ持たれつなんや

  • 80二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 00:06:47

    キラノ先生は多彩だなあ

  • 81二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 02:54:38

    「や、おかひぃ♡♡はじめれらのに♡♡はじめれらのにぃ♡♡」
    「なんとなく、わかってきたかな?ここがいいんだよね?」
    「ま、待ってくださいませ!?おかしくなってしまいまひゅッ……んぐぅ……♡」
    「ん……もっと。もっと、気持ちよくしてあげるから」
    「じゅ、十分っ……十分、きもちよ、んひぃい♡♡」
    「まだいけるよ、僕は」
    「げ、限界れひゅっ♡♡限界れひゅからぁ……♡♡」
    (※画像はイメージです)

  • 82二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 03:01:42

    「……ねえラクス?」
    「愛が成就しましたわ……♡」
    「健全って言ったよね?健全って言ったよね?」
    「大事なことなので二回言ったんですの?」
    「いや青春ものっていったじゃん!!」
    「青春と愛し合うことは不可分ですわ」
    「健全ってなにさ!!不純異性交遊だよねこれ!!」
    「不純異性交遊ではないので問題ございません。
     快楽より愛を優先してるので二人の間では純粋な気持ちの果ての行為です!!」
    「青少年の育成には悪影響じゃないかな!!」
    「……いえ。ですが」
    「うん、ですが?」
    「正直、若い年ごろの憎からず思いあっているというか愛し合っている二人が基本朝から晩まで一緒に暮らしてて」
    「うん」
    「それで、親もいない時間帯」
    「うん」
    「これはもう愛し合うしかないのでは……?むしろ愛し合わない方が色々と支障が出るのでは……?」
    「そう言われるとそうなんだけどね?」
    「初々しい男女の睦みあいは素晴らしいと思いますの」
    「初々しい……これが……?」
    「わたくしとキラの初めてもこのような感じだった気が」
    「えっ?」
    「えっ?」

  • 83二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 03:06:30

  • 84二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 03:10:31

    「ただいま」
    「あ、おかえり父さん、母さん、ケイ」
    「おかえりなさいませ」
    「昼飯、作ってたんだな」
    「はい、今日は山かけ丼にしてみましたの」
    「へえ……ネバネバしたものばっかりだな。
     マグロにたくあん、トトロにオクラ……うまそうだな」
    「ケイさんもどうぞ?お疲れでなければ」
    「私の分もあるのか!じゃあいただくかな……というかむしろお前の方が疲れてないか、ルリ?」
    「いえ、私は元気ですわ?ちょっと夜更かしした程度で」
    「そうか……?ダイもなんかちょっと疲れてそうだな」
    「ん……二人で野球の試合の録画見ててさ」
    「あのなあ。年ごろの二人が一緒の家にいて色気がなさすぎるんじゃないか?」
    「だ、そうですよ、ダイ?」
    「あはは……そうだね……?」
    「……ねえあなた」
    「ああ……とりあえずお風呂はちゃんと見ておこうか……」
    (※画像はイメージです)

  • 85続きはそのうち24/04/12(金) 03:17:32

    「おかしい……なんか序盤でしっかり堅実に付き合っていたケイとアッシュが凄い勢いで追い抜かれていった……」
    「ケイとアッシュはなんというかお堅いと思いますわ」
    「ダイとルリのは生々しいというか、性欲を制御できてないだけというか……」
    「制御する必要はあるのでしょうか?」
    「いや、ないかな……ないかも……。
     でも青春恋愛漫画ってなんだろう……というか成年漫画が得意なんだろうなあとか思ってたらいきなりそういうシーンぶち込まれて僕は途方に暮れてるよ……」
    「キラの目はごまかせませんわね?」
    「なんか悪意を感じる。作者の手のひらの上で踊らされた感じがする。
     局部を隠しているだけでほぼそういった行為を描いていると断言できるシーンが描かれた場合、それは少年漫画なんだろうか」
    「恋愛漫画でそういったシーンが描かれることは珍しくないと思います」
    「そうなんだけど、この作者露骨にそういう絵に慣れてる人だと思うんだけど。
     特有の局部アップとか見せない構図とかもうさ……」
    「見せるエロと見せないエロですわ?」
    「エロエロ言わない」
    「エロいわたくしは嫌いですか?」
    「大好きだけどね?」

  • 86二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 08:17:16

    踊らされてはいるよね…
    悪意と言うか好意とか欲望まみれだけど

  • 87続きはそのうち24/04/12(金) 08:28:49

    「ほら、ルリ。ここ間違ってる」
    「え……?あ、本当ですわ」
    「なんか最近、ダイのやつ勉強までできるようになってきてないか?
     彼女出来てからなんか何でもできるいけ好かないやつみたいになってきてるんだけど」
    「あいつは前からあんな感じだ。やろうとしないからできないだけだ。
     よし、俺の方も終わったぞ。ダイ、どうだ新入生は?」
    「うーん……やっぱり主力は僕らの一つ上の人たちと、僕らかなあ……。
     夏までに誰かしっかり守れる人がでてくればいいんだけども」
    「そうか」
    「ご機嫌そうだね、アッシュは」
    「ああ。二人凄まじいやつらが入ってきた」
    「へぇ。アッシュがそこまで言うなんて珍しいね」
    「今年の地区大会、うちに負けはあり得ないぞ」
    「お手柔らかにね……?」
    「まだ課題が終わりませんわ……」
    「こっちはこっちで頑張るしかないだろ……あーわからん!」
    (※画像はイメージです)

  • 88二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 16:13:07

    ジャンルはなんなんだろうこの漫画…

  • 89二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 22:17:31

    >>88

    青春恋愛野球青年漫画、かな?

  • 90二次元好きの匿名さん24/04/12(金) 23:02:12

    「さて、新年度だね……夏の大会、というのが一区切りになるみたいだけど、どうなるかな?」
    「公式大会は初めてでしたわ」
    「というか、ここしばらく全然試合に出てないね、ダイは」
    「リハビリと練習は順調のようですが……」
    「そうだね。前回いきなり練習試合ですさまじいピッチングを見せたことからも、そういった心配はないのかも。
     むしろ、ちょっとルリとずっと一緒にいすぎるのが気になるね」
    「……愛し合う二人が一緒にいるのは当たり前なのでは」
    「うーん……僕が言えた話じゃないけども。依存しすぎるのもよくないんじゃないかな……それこそ遠征とか。いや、マネージャーだからずっとついていくのか……にしたって、本当に朝から晩まで一緒にいるし……。なんか他人事に思えなくて心配なんだよね」
    「朝から晩まであなたを見つめるお嫁さんのラクス・クラインも、あなたと1か月会わないだけでもう駄目になってしまう生き物ですわ」
    「自分から傷を抉っていくのやめない?というか、最近はアコードのアレでなんだかんだ色々と意識つなげてるよね、離れてても」
    「キラはわたくしと会えなくても大丈夫なのですか?」
    「実際駄目になっちゃったから、なるべく側にいてほしいかなあ……」
    「ではずっと側におります」
    「……ラクスが側にいてくれるのは僕にとってはとてもありがたいんだけども」
    「私にとっても、あなたが側にいることは幸いですので」
    「うん……ありがとう」
    「いいえ」

  • 91二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 09:05:21

    夏の甲子… 王舞園は定番

  • 92二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 16:39:03

    このレスは削除されています

  • 93二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 16:41:06

    「……にしても気合入ってんな、キリノ」
    「ええ……」
    「やっぱり彼女ができたからか?」
    「そうですね。彼女のために、王舞園……頑張らなきゃ」
    「ま、それがモチベーションになるならいいがね。
     調子は悪くなさそうだ」
    「ムーグさんも最近は真面目じゃないですか」
    「俺はいつだって真面目よ?遊びはしてもそりゃ気晴らしは必要だろ?」
    「ラミュー先生にいいところを見せたいからですか?」
    「生意気言ってんじゃないよ、っと。それに教師と生徒じゃねえ……じゃ、残り2回。しまっていこうぜ」
    「練習試合で投げ切れるようになったのも成長なんですかね……」
    「だろうよ。ウチがまともに勝てるようになってきたのもな」
    (※画像はイメージです)

  • 94二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 16:48:52

    「とんとん拍子で夏の予選に向かって話が進んでいくね」
    「年度が始まって4か月ですので……あっという間に夏ですわ」
    「試合が早いテンポで進むのもこの漫画の特徴だよね……。あとなんでダイとルリのそういうシーンはちょくちょくしっかり描写されるんだろうね」
    「関係性の描写ではないでしょうか」
    「毎日そういうことしてる、というのが?……うーん?」
    「毎日ラブラブですわ」
    「逆に、ラブラブじゃなくなる状況がしっかりあるのかなあ。
     離れ離れの恋人とかすれ違いとかは王道だけども……」
    「障害を越える前の幸せの時期をしっかり描写する、そういう意図があると?」
    「作者がそういうシーンを描くのが好き、というだけかもしれないけどね」
    「……そんな風に見えるでしょうか?」
    「筆が生き生きしてるようには見えるかなぁ。なんだろうね、このダイの攻め攻めな雰囲気は。
     とてもこの間初めてそういうことをしたような少年には見えないというか」
    「ヒロインはどうでしょう」
    「自分の欲望に正直だよね、彼女……」

  • 95二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 17:00:26

    「一回戦の相手は……ウエスギ学園……?」
    「エースはカゲトラ・バロウだってさ」
    「バロウか。なかなか強敵だぞ」
    「あ。こいつ知ってるぞ、ダイ。人の食ってるもんにイチャモンつけてくるやつだ、ろくなやつじゃないぞ」
    「ケイさんの知り合いなんですの?」
    「去年、アッシュと一緒に予選の試合を見てるときにな。
     ソースで服が汚れてたいへんだった」
    「……あれ?野球に関する情報は?」
    「バッテリーのレベルが高い。特にバロウは高いレベルで安定している。さらに守備もかたく、連携もとれている」
    「悪い情報が全くない……」
    「そうだな」
    「もしかして、優勝候補なのでは?」
    「有体に言ってその通りだな。俺たちのチームが負けるとは思ってないが、お前たちの高校では、点が取れるかわからないんじゃないか」
    「どうしますの、ダイ?」
    「点をやらないようにするしかないね」
    「……」
    「急にどうしたんだルリは」
    「見惚れてるだけだろ」
    (※画像はイメージです)

  • 96二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 17:14:40

    「夏の全国ハイスクール・ベースボール・トーナメント。
     第一回戦はエイエン・ハイスクールとウエスギ学園の試合です。
     実況は私トライアングル、解説はアレックス・エモンさんでお送りします」
    「よろしくお願いします」
    「早速ですが見どころはどこになるでしょうかエモンさん」
    「エイエン・ハイスクールのキリノ君。彼がウエスギをどこまで抑えられるかにかかってますね」
    「バロウ君を打ち崩すのはやはり難しいですか」
    「そうですねぇ……彼の実力は折り紙付き。なので、エイエン側のエース、キリノ君の調子次第というところでしょうか」
    「2年生のキリノ君は今年から……いや、エイエン・ハイスクールそのものが去年予選に参加していなかったんですね」
    「ええ。しかし、見る限り、これは、どうして……ううむ」
    「どうかされましたかエモンさん」
    「いえ。キリノ君なんですが、フォームはきれいですし、球も走ってる。というか、球自体、かなり速いように見えますね……こんなピッチャーが、埋もれているものですか……」
    「そうなんでしょうか?確かにコントロールはいいようですが」
    「これは、もしかするともしかするかもしれませんなぁ」
    「エモンさんの予想通り、下剋上なるでしょうか。ではプレイボールです」
    (※画像はイメージです)

  • 97二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 17:22:33

    「でっかい球場だなあ……」
    「ここで試合ができるなんて、夢みたいですわ」
    「キリノ君もエイエンさんも、舞い上がっちゃってるみたいね?」
    「大丈夫というか絶好調だよ、キリノは。さて、俺らが点を取れるかどうかが問題なんだが……なあ、先生」
    「なに?」
    「実況中継入ってるからって、そんな気合いいれなくてもいいんだぜ?どうせただの一試合だ」
    「悪かったわね!?初めてなのよ、こういうの!!」
    「そりゃそうか……逆にキリノとエイエンはそっちの方は意識してないのか」
    「負けちゃったら悲しいですけどね」
    「歌のお仕事をさせていただいておりましたので、そういうものには慣れておりますわ」
    「緊張感がない、ってのもねぇ……」
    (※画像はイメージです)

  • 98二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 18:45:43

    「さて、試合だけども」
    「三振ばっかりですわ……?こんなものなのですか?」
    「オーブのプロの試合でも、たまにこういう試合はあるよ」
    「見てる方はつまらないのでは」
    「9回27個のアウトのうち、ピッチャーの調子がいいと15個とか20個の三振とっちゃったりするしね」
    「そうなると」
    「うん、3人に2人とか4人に3人とかが三振でアウトになるから、三振ばっかりになる。つまらないか楽しいかで言うと、うん……まあ人によりけり、ということで」
    「なるほど……」
    「でも、敵も味方も、というのは漫画でも珍しいかな。いや……そうでもないか」
    「作中だとルリがずっと興奮してますわ」
    「テンションおかしくない……?」
    「でも自分のかっこいい彼氏がこんなにかっこいいところを見せてくれたら女の子はこうもなると思います」
    「ラクスはこうはならないよね?」
    「日常茶飯事、常時内心はこんな感じですので」
    「そっか……そうかな?」
    「ではどうぞ」
    『キラかっこいいですわああ横顔かっこいいです私の旦那様最高です漫画でも真剣に考察しているところかっこいいですわあっちょっと戸惑ってるところも可愛いです』
    「…………たまにラクスってはっちゃけるよね?」
    「いつもこんな調子ですが……?」

  • 99二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 18:54:04

    「やれやれ……なんで一回戦からこんなピッチャーに当たらないといけないんだね」
    「相手もそう思ってますよ」
    「まさか、一点も取れないまま最終盤とはね」
    「一点も、ではないです」
    「そうだった。一本のヒットも出ないままとは」
    「いっそ、バントで掻きまわしてみますか」
    「それもいいかもね……が、とりあえずこの回を抑えないと」
    「まだ3巡目です。キャプテンの球ならそうは捉えられません」
    「だといいがね。さて、この回は7番……あのエース君からか。いっそ怪我でもしてくれれば助かるんだが」
    「キャプテン?」
    「冗談だよ。これはスポーツだからね……さて。怪物君のバッティング、あれも大概不気味なんだがねぇ……」
    (※画像はイメージです)

  • 100二次元好きの匿名さん24/04/13(土) 19:05:48

    「9回の裏まで来てしまいましたね、解説のエモンさん」
    「ですなぁ。これはまさかの試合展開となってしまいました」
    「両軍合わせてヒットは0本。エイエンの方はパーフェクトに抑えられてますね」
    「バロウ君の見事なピッチング、というところでしょう。一方キリノ君ですがフォアボールとエラーでピンチを招いたものの、いずれも抑えて結局こちらもヒットは0本」
    「いずれのチームもピッチャーが飛びぬけた実力を持ち、それでいて守備もしっかりしている。
     その結果でしょうなぁ」
    「にしても、バロウ君はある意味下馬評通りですが」
    「キリノ君に関しては、驚きの結果ですね。球の力、コントロール。この予選でも一、二を争う投手なのではないでしょうか」
    「さて9回裏、まだ最終回ではありません」
    「7番バッターのキリノ君。彼のバッティングも不気味なんですねぇ」
    「ワンストライク。初球のストレートを見送ってます。どういったところでしょうかエモンさん」
    「段々とタイミングがあってきている。1打席目はそうでもなかったのに、2打席目でタイミングを合わせてきた。3打席目の初球。今の球を見逃したのも……手が出なかったというよりゾーンから外れていたというように見えましたが。同じ調子でカウントを稼ごうとしたらまずいですよ」
    「2球目も直球……打った!打ちました!!右中間真っ二つ!!」
    「外野の一歩目が遅れてますねぇ。試合展開が締まりすぎて、緊張してたのでしょうか」
    (※画像はイメージです)

  • 101二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 01:00:05

    キラノ先生は野球描写もできるのか…

  • 102二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 10:18:59

    投手戦も乱打戦もやきうの華だから…

  • 103二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 10:20:14

    このレスは削除されています

  • 104二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 10:23:30

    「まさかの守備の連係に付け込んでランニングホームランみたいな形で幕切れ……これはやらかした選手は記憶に残っちゃうだろうけど、実際トーナメントとかだとあるから洒落にならないよね」
    「そういうものなのでしょうか?」
    「起こらないことが起こるのがトーナメント、とかはよく言われるね。それだけ緊張感がある、ってことなんだろうけど。僕らの日常業務でも言えるかな?チェックを怠ったときに限って事故が起きるってやつ」
    「なんとなくわかるようなわからないような」
    「ミスはいつでも起こる物とでも言えばいいのかな。にしても、圧巻だったね。
     さて、強豪を下したダイはニュースにも取り上げられるんだね。しっかりデータを保存するルリは健気というかなんというか……」
    「ダイはそのようなことに無頓着のようですし」
    「だね」
    「キラは私の記録はしっかり保存しておりますか?」
    「日常の記録は保管してるけど、業務とかのラクスはあんまり保管していないかな」
    「そう思いまして、私とキラの公務におけるツーショット写真は全て保管させていただいております」
    「いろいろあるね……コンパスの広報も大変だ」
    「背の高い私はいかがでしょう?」
    「どんな君でも好きだけど、そのままの君の方が好きかな?」

  • 105二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 17:53:41

    一回限りのトーナメントが齎す独特の雰囲気に飲まれるのは珍しくないからな

  • 106二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 18:28:09

    トーナメントじゃないが、一回かぎりの偶然はメジャーオールスターでのイチローのランニングホームランが有名かもね
    あれクッションボールの対処ミスったのとイチローの走力が合わさった結果だったし

  • 107二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 00:21:06

    つづき待機

  • 108二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 05:48:21

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 07:12:39

    「こちらのフォルダに試合動画は入れて、こちらのニュースは別のフォルダに入れておきますわ」
    「……そんなに頑張って保存する必要あるかな、動画。試合はともかく」
    「私はダイのファンですので」
    「そっか、ファンかぁ……」
    「ふん、有名になった後に騒ぎ始めるとはミーハーだな」
    「アッシュ、突然何を……それは!」
    「幼年学校時代の動画も持っていないでファンとは片腹痛い」
    「えっなにそれ。アッシュなんでそんな動画持ってんの」
    「ケイとダイの日常動画もあるぞ」
    「いやさすがにそれはおかしくないかアッシュ」
    「……それどっちも母さんにお願いされて録画したやつでしょ?別にファンがどうとか関係なくない?」
    「ですが、ダイのハイスクールに入ってからの投球練習全集はさすがにアッシュも持っていないはずですわ!」
    「なッ……!?」
    「なんだこいつら」
    「それはそれとして、ゾディアック・ハイスクールとこのままいくと当たるのかな」
    「勝ち続けれればな、お前らが。そんなにうまくいくか?」
    「どうだろう。でも、ルリのためにも王舞園に行かないと」
    「……ん、無理すんなよな」
    「現在進行形で最もダイに密着しているのは私ですわ」
    「だが昔から見てきたのは俺の方だ……!」
    「僕の動画なんてたかが知れてるけど、アッシュがケイのプライベートビデオとか録画してそうで怖くなってきた」
    「さすがにしないと思うぞ、そこまでは……しないよな?」
    (※画像はイメージです)

  • 110二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 08:09:42

    愛が重い…!

  • 111二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 13:55:28

    対外試合始まってない?

  • 112二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 18:45:39

    「うげぇ、きっつ……」
    「あんたが駄目になったらマジでヤバいんだから、休んでおきなさいよ」
    「それはそうなんだけどなあ……夏バテだな、こりゃ」
    「遊んでばっかりいるからよ」
    「さすがにこの時期は遊ばねえよ、キツイ。くそ、なんでキリノのやつはあんな元気なんだ」
    「なんでかしらね……そりゃ毎日イチャイチャしてんじゃないの」
    「そんなことやってたら、余計疲れるだろ」
    「……セクハラよ、あんた」
    「おいおい、勘弁してくれって」
    「はぁ……あっつ」
    「おい」
    「あ……」
    「青少年にはそれは厳しいぞ。むしろあんたの方がセクハラだ」
    「しっかり見てんじゃないわよ!!」
    「なんで俺が怒られるんだろうなぁ!?」
    「……あの二人仲いいよねえ」
    「そうですわねー」
    (※画像はイメージです)

  • 113二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 18:51:28

    「ダイとルリを軸に、ムーグとラミュー先生、あとはアッシュとケイの関係も描いていく、と。
     さっきまでは一対一のそういう漫画に見えてたけど、段々青春漫画っぽくなってきたね」
    「夏は野球と青春ですわ」
    「だねえ。まさにシーズンなわけだけど……しかし、特に波乱は起きそうにないかな」
    「恋愛漫画といえば、ということですの?」
    「うん、すれ違いで恋愛を盛り上げるのはよくある文法だけど、現状そういったことはない。
     ダイとルリはしっかり触れ合っていて、想いも通じ合っている。脇のキャラもそれぞれ順調に思いを育んでいるね」
    「野球の試合の方はいかがでしょう」
    「どうだろう。ダイのおかげでエイエン・ハイスクールは勝ち続けてるけど、決勝の前にゾディアック・ハイスクールと当たりそうだね」
    「準々決勝、ですわね」
    「そして、決勝戦の相手はあまりクローズアップされていない」
    「……と、いうことは」
    「普通に考えたら、まあ、そういうことだけど。さて、今の完璧なピッチャー、ダイ・キリノ。
     彼を打ち崩すのは一体誰なんだろうね」
    「アッシュでは?」
    「ま、そうなのかなあって気もするんだけど……さて。あっさりいくね。その準々決勝だ」

  • 114二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 20:13:56

    「まさか、アッシュとここで野球をやれるなんてね」
    「ああ……全力を尽くそう」
    「いつだって、無理をしないで勝てる試合なんてないしね……全力でやるに決まってるよ」
    「おい、アッシュ!ミーティングが始まるぞ!」
    「彼は……?」
    「ああ、アイザック・ジューン。うちのエースだ」
    「速球を軸にコントロールも良い、右の本格派……」
    「よく調べてあるな。そしてルリの大ファンだ」
    「そうなんですの?」
    「そんなわけだからな、あまりダイは近づくな」
    「ああ……うん……」
    「本当は一年生も紹介したかったんだけどな。ダイとは相性がいいと思うんだが……時間か。
     いい試合をしよう」
    「うん、お互い頑張ろう」
    (※画像はイメージです)

  • 115二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 20:20:15

    ヨメさんシリーズでは初めてのイザーク出演。
    チームスポーツものも関わる人物が多い漫画だから作者の腕の見せ所だよね

  • 116二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 20:51:45

    「夏の全国ハイスクール・ベースボール・トーナメント。
     準々決勝、第二試合はゾディアック・ハイスクールとエイエン・ハイスクールの試合です。
     実況は私トライアングル、解説はおなじみアレックス・エモンさんでお送りします」
    「よろしくお願いします」
    「さて早速ですが、この試合の見どころはいかがでしょう」
    「エイエンのキリノくんをゾディアックが打ち崩せるか。そして、ゾディアックのジューンくんからエイエンが点を取れるか、ですね」
    「やはり投手戦でしょうか」
    「キリノくんもジューンくんも力のある直球を低めに投げ込む本格派のピッチャーです。
     球種の多彩さ、球の力、コントロール、いずれもキリノくんに軍配が上がりますが、ここまでの投球回数、そして体力はあきらかにジューンくんの方が上ですね」
    「となりますと、試合は終盤に動くと」
    「エイエンはジューンくんから序盤に点を取りたいところですが」
    「そのジューンくん、あっさりと三者凡退で切り抜けました」
    「難しいでしょうなあ」
    (※画像はイメージです)

  • 117二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 20:55:51

    早々に因縁のライバルと当たるのって少年漫画だとワクワクするよね
    直近では火ノ丸相撲がそうだったし、そこをアッサリめにして青春に割り振るスタイルはアオノハコが強みを証明してる

  • 118二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 20:59:17

    「さて、読者的にも注目の一戦かな」
    「ダイも相手投手のアイザックも互いに譲りませんわ」
    「そもそも、エイエン自体のチーム力が大分足りてない気はするね。ダイの同級生がほぼ主力なんだけど……」
    「なかなか点が取れませんわ」
    「強豪校の投手相手に、毎年一回戦負けのハイスクールがバットに当てれるだけで御の字ではあるよね」
    「でも、そんなことでは物語になりませんわ」
    「とはいえ実際難しい。頼みの綱はムーグとダイなんだろうけど」
    「歯が立ちませんわ」
    「どうなるかな、この試合」
    「お茶をいれてきましょうか」
    「ありがとう……あれ、これは?」
    「お義母様が作ったジャムですわ。こちらのクラッカーと一緒に」
    「母さん本当になんでも作るよねぇ……」

  • 119二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:05:39

    「3番、4番、5番が全員2年生ってなんなんだろうな、本当に……これじゃ来年も勝てねえんじゃねえか?」
    「今年から来年のことを考えてもしょうがないですよ。しかも、あっちは2番と6番にいたっては1年生です」
    「舐められてるのかねぇ」
    「いえ……十分バットを振れてますよ、どっちも。ただアッシュやジューンさんほどじゃないだけで。
     そもそも、ゾディアックの二遊間を任されてるんです。生半可なセンスじゃないです」
    「ま、そうだな。とりあえず二巡目だ。塁に出すなよ、キリノ」
    「そう言ってると、大体打たれるんですけどね……」
    (※画像はイメージです)

  • 120二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:12:24

    「さて4回裏、ゾディアックハイスクールの攻撃ですが、二死満塁のピンチです」
    「3番エルロンくん、4番ザマくんの連続ヒットから、5番のジューンくんは歩かせて満塁。
     1年生のタカイチくん勝負を選びましたね」
    「やはりジューンくんよりタカイチくんの方がくみしやすいと?」
    「いえ、単純にストライクを有利なカウントでとれなかった、ということでしょう。
     あるいは1点勝負になると踏んで満塁策をとったか」
    「序盤でですか?」
    「ジューンくんを打ち崩せるビジョンがありませんからなぁ」
    「なるほど。さあ初球ストレート……打ち上げました!しっかりショート・ノインくんが掴んでスリーアウト。
     チェンジです!エイエン、序盤のピンチを乗り切りました!」
    「なかなか厳しいですが、ここで上手く流れを変えたいところですなあ」
    (※画像はイメージです)

  • 121二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:21:44

    「シュン!なんだ今のバッティングは!」
    「はぁ!?試合中にそういうのやめてくださいよ!
     アッシュだってさっきの走塁、2塁までいけたのに1塁で止まってたじゃないですか!」
    「馬鹿者!!試合中だぞ!そういうことはミーティングの時に話せ!!」
    「……ああ」
    「……はい」
    「……全く。さあ、二人とも守備に付け!」
    「さすがジューン先輩……!」
    「確かに助かるが、監督としての私の存在感が薄れている気はするな……」
    (※画像はイメージです)

  • 122二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:34:47

    「どうするキリノ?あいつ打てる気がしねえぞ」
    「……」
    「おい、どうした?」
    「しっ。ちょっとムーグさんは黙っててくださいませ」
    「ひでぇ言われようだな……しかしなにぶつぶつ言ってんだ、キリノは」
    「右足で溜めを作りつつ、左半身で壁を作り、体で球を隠すように投げる……理想的なフォーム。緩急の使い方もうまい。外角低めの直球にはまず手が出ない。ならフォーク?無理だ、ストレートを待った状態じゃ反応できない。低めは捨てる。カーブ。そもそもあれを狙い球にしたらストレートに手がでない。まず高めにくる球を狙う。狙い打てるのはストレートと同じタイミングでスライダー。抜けたフォーク?いや、変化が大きい分、あのスライダーはすこしインよりに投げてくる……?」
    「ダイ……♡」
    「エイエンさん、ちょっと男の好みが独特よね……?」
    (※画像はイメージです)

  • 123二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:39:03

    出たキャリブレーション取りつつうんたらちゃんたらモード
    死なない新妻編でもプレイヤーのキラがやってたけど解像度高いなあ

  • 124二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:49:27

    「さてあっという間に9回まで来てしまいましたが」
    「ジューンくんはここまでコールド勝ちが多かったとはいえ無失点。キリノくんもわずか2失点の好投手ですからね。
     そしてキリノくんも球数がかさんできましたが、まだ球威は衰えてません。延長戦も見えてきましたが……」
    「3番のノイン君が出塁。二死ながらバッターは主砲のタカノくんです」
    「唯一まともにジューンくんのストレートに負けないスイングができているバッターですなあ」
    「厳しいところをついていくべきでしょうか」
    「ええ。この回で点を取られて次の回を抑えられてしまったらゾディアックの負けが決まってしまいます。
     一瞬のミスも許されません……しかし、妙にこの打席のタカノくんはインを嫌がってますなあ」
    「内角のストレートを二球見逃していますね」
    「さて、そうなると組み立てとしてはインを決め球にするか、一度外に外してから再度内をつくか」
    「ピッチャージューンくん、セットポジションから投げました、フロントドアのスライダー!!
     これを捉えた!この試合、エイエン初の長打です!!」
    「三球で勝負を決めに来ると読み切りましたね。内角に来たにも関わらず、一切軸をブラさず振り抜きました。タカノくんが配球を読み切っての一打です」
    「一塁のランナーがホームイン!二塁上で拳を突き上げましたタカノ!均衡がくずれました!!1-0!8回表、エイエン、先制です!!」
    (※画像はイメージです)

  • 125二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:56:24

    「……こういうのって、点が先に取った方が負けるよね」
    「そういうメタ的な読み方をするのはキラの悪い癖ですわ?」
    「うん、ごめん……」
    「でも私もそんな気がします」
    「だよねぇ」
    「しかも次は3番からの好打順ですわ」
    「お互い三人しかランナーだしてないんだよね。うーん、こんな試合、守ってる人たちはきついだろうなぁ」
    「守りのミスで決着がつくと?」
    「投手が主人公だと、主人公のチームが負ける時はそういう幕切れが多いんだけども。
     どうもアッシュもダイのボールに手がでないみたいだしね」
    「ではキラの予想が当たるかどうか。最終回の裏を見てみましょう」

  • 126二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 21:58:21

    初回の鑑賞会からかなりメタ読みしてたよねキラ
    「なのに気付かないのか」ってアスランは呆れてたがw

  • 127二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:04:49

    「九回の裏、一死二塁です」
    「エルロンくんが出塁、盗塁しましたが、キリノくんの前にザマくんは打ち取られましたなあ。
     狙い球を外したのでしょうか」
    「タカノくんのリードがさえています。さあバッターは五番のジューンくん。四番ザマくんほどではありませんが、この予選で通算4割の打率です。ここで歩かせますか?」
    「いえ、逆転のランナーをわざわざ出塁させることはないでしょう」
    「予想通り、タカノくんは座ったまま。初球、あーっと打ち上げてしまいました!」
    「いえ、芯は食っているでしょう。紙一重でした」
    「センター、サードくんが掴んでツーアウト!さあ、最後のバッターになるか、タカイチくんがバッターボックスに向かいます」
    (※画像はイメージです)

  • 128二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:15:52

    子供のころから、自分の思ったところに投げ切ったとき、打たれたことはなかった。
    あのなんでもできるアッシュですら、僕が思う通りに投げたときには、まともに打たれたことはない。
    ただ、そんなのは難しい。100%自分の思った通りのボールを投げられるなんてことは、なかなかない。
    けれど。それが、今はできる。
    一年以上の努力。肩の治療とともに地道に続けてきた体力づくりと練習は、自分を変えた。
    自分を変えてくれたのは、ずっと側にいてくれた彼女だった。
    だから、彼女のために、王舞園にいかなきゃ。
    僕が試合に勝つたびに喜んでくれる彼女。僕が嬉しそうにすると、嬉しそうに笑い返してくれる彼女。
    彼女のために、勝つ。あっさりと追い込んだ。視線の先には、アッシュの後輩が、バットを構えている。
    変化球でタイミングは外した。外でカウントを取った。この一球のために、内角への速球はこの打席では投げていない。
    そうだ。今の僕なら、この球を打たれることはない。
    そう思って投じた渾身の一球。内角低め、一番肘をたたみにくいコースの速球。まさに思い通りの一球だった。
    だから、まさかそれが打たれるとは思っていなかった。
    全ては布石だったのかもしれない。ただ、あんなに鋭い腰の回転で、真芯を捉えられるとは思っていなかった。
    ……要は、僕はまだ、井の中の蛙だった、ということ。
    最初に言った通り。チームの中で、一番センスが求められる遊撃手。一年ながらそのポジションに座り、クリーンアップの次を打っている打者が凄くないわけがない。
    快音が響く。ああ。僕は、今確かに野球をしている。野球の怖さを、思い知っている。
    (※画像はイメージです)

  • 129二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:32:15

    「サヨナラツーランホームラン……」
    「伏兵……だったのかな?でも、彼の前の二打席はどちらも飛球。描写的に、球威に押された、という感じでもなかったね」
    「なるほど……伏線は張られていたのですね」
    「ただ、力負けとは思わなかったね。逆に言うと、まだダイには投手としての伸びしろがある、ということかな」
    「9回までしっかりと、これだけの球が投げれて、ですの?」
    「……どうなんだろうね。ただ少なくとも、それを打ち返せるだけのバッターはいたわけだ。
     後、それ以上にバッターとしてのダイはまだアイザックを打ち崩せるほどじゃない」
    「確かに……」
    「あとは精神面かな。ルリに依存しすぎている気はするね。
     野球への動機。普段の生活。一緒にいるのは幸いだと思うけども」
    「でも、キラは私に依存していますし、私はキラに依存していますわ?」
    「……僕らはそれでも、お互いを一度失いかけたから」
    「……」
    「いつもいつまでも、一緒にいれるわけじゃない。それを知ってるでしょ?
     だからこそ、一緒に居たい。だよね?」
    「……はい」
    「一緒にいられなくなることの怖さを知らないダイとルリには、まだ超えるべき壁がある。
     そんな気はするよね……」

  • 130二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:44:45

    「ノインさん、サードさんが辞めるとなると、きついぜ」
    「うん……どうしようかなあ。
     イケタニくんとゴウダくん、セイザワくんに頑張ってもらおうかなあ……」
    「あとは俺らの後に入ったマッシュとヘルバーか。二遊間とセンターラインが固まればどうにかなるか……?」
    「どっちにしろ、厳しいね。全体的に戦力が落ちるし……もっと練習しなきゃいけないかも」
    「練習は嫌いじゃないけどな。でも、監督に負荷がかかるんじゃないか?」
    「あー……そっか。ラミュー先生、普通に授業もやってるしなぁ」
    「ノックできるか、お前」
    「練習すればできるとは思うけど」
    「前途多難だなぁ……」
    「お二人とも、どうしたんですの?」
    「いや、ちょっとこの先のこと考えてたら頭が痛くなってきてさ」
    「んで、現実逃避中ってわけだ」
    「……ねえ、ちょっと。タカノ」
    「あ、ラミュー先生」
    「こっち来て一緒に考えてくれよ、スタメンどうするかとか、練習どうするかとか」
    「ちょっと。いいから。こっち。来なさい」
    「え?」
    「ムーグさん、赤点でも取ったんですか?」
    「いや、そんなやらかしはしてないはずだけども」
    「いいから!!こっち!!」
    「いったぁ!?おい、行くから!引っ張るな!引っ張るなって!!」
    「……あの二人、やけに距離が近くありませんか、ダイ?」
    「……そう?あんな感じじゃないっけ?」
    (※画像はイメージです)

  • 131二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:56:14

    「と、いうわけで私は監督を辞めることになりました」
    「えぇ!?」
    「嘘でしょ!?」
    「……」
    「しょうがないでしょ!!こんな現実、私だって受け止められないわよ!!」
    「……いや、なんつーか、その」
    「タカノは黙ってて!!」
    「……」
    「え、何があったんですか……?」
    「一体、どういう理由で……?」
    「……いいわ。あなたたちだけには話すわ。どうせその内バレるけど」
    「……」
    「ムーグさん、さっきから黙ってるけども」
    「色々後悔してるのよ。私もだけど」
    「後悔?」
    「何を?」
    「……できちゃったのよ」
    「何が……できたのです?」
    「…………できちゃったのよ!!子供が!!」
    「「は?」」
    「こんなの辞めるしかないでしょーが!!あーもー馬鹿すぎる、私、馬鹿すぎるぅ……」
    「え?」
    「冗談では、ないの、ですよね……?」
    「冗談だったらどんなによかったかって感じだなぁ……俺も、野球なんてやってる場合じゃねえのかもしれねえけど」
    「うっさい。とりあえず相手のことはあんたが卒業するまで黙ってるから。大丈夫よ。両親にはもう伝えたけど」
    「……逃げ場はねえんだな」
    「絶対逃がさないから。というわけで、私はもう学校辞めるから。いい?あんたたちも、避妊はしっかりしなさいよね……」
    「……いや、その、え?嘘でしょ?そういうこと?」
    「じょ、冗談、ですわ、よね……?」
    (※画像はイメージです)

  • 132二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 22:57:52

    あーもう滅茶苦茶だよ

  • 133二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:02:46

    「これは酷い。これは酷い」
    「大事なことなので二回言いましたわ」
    「嘘でしょ……その展開は予想してなかったよぉ……」
    「まさかの寿退職ですわ」
    「そんな幸せなもんじゃないってこれ……いや、駄目でしょ、駄目だよこれぇ」
    「成年向けも描ける作者が本気を出した結果ですわね」
    「いやいやいや。いやいやいや。怪我とかさ、すれ違いとかさ、そういうのじゃない?少年漫画の超えるべき壁って」
    「青春漫画ではありますが少年漫画ではないのかもしれません」
    「生生しすぎる……」
    「ハイスクールの学生は現在はわりと成人扱いされることもありますので」
    「いやダメでしょ!!教師と生徒がそういうことしちゃ!」
    「でも禁じられているからこそ、燃え上がるのでは」
    「……いやダメでしょ?」
    「わたくしもキラにあんなことやこんなことをされて興奮するのは道義的にどうだろうかと思う部分があるからだと思いますわ?」
    「…………わかるけどね?わかるけどね……?」

  • 134二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:17:48

    このレスは削除されています

  • 135二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:19:01

    「頭を抱えてる場合じゃありませんわ、ダイ」
    「だけどさあ……どうすんの、これ」
    「一応、ラミュー先生は生徒に手を出した淫乱教師であることは知られておりませんので」
    「辛辣すぎる」
    「他の先生が監督を買って出てくれたそうですが……」
    「ほう、君かね、ダイ・キリノくんというのは」
    「あ、体育の……」
    「ああ。ラン・メルトだ。よろしく頼むよ、ダイ・キリノくん」
    「……は、はい。よろしくお願いします」
    「そして君がマネージャーのルリ・エイエンくん」
    「はい」
    「君の歌は好きだったのだがね……最近は休業中だとか」
    「恐縮ですわ」
    「ふむ……タカノという男はいないか。まあいい。
     では早速、部員全員で3時間ランニングとダッシュを繰り返してもらおうか」
    「3時間……!?」
    「できないのかね?」
    「いや、そんな非効率的な……」
    「効率というより、精神的な問題だな。あとはおまけ程度だが基礎的な体力か。
     それとも、いきなり全員でサーキットトレーニングを始める方がいいかね?確かにキリノ君だったらついて行けるだろうが、他の部員はどうなるだろうね?」
    「……わかりました」
    「うむ。本気で勝ちに行くならば、戦力の底上げは不可欠だ。頑張りたまえよ、キリノ君」
    「だ、ダイ……!」
    「大丈夫……来年の春まではしっかり基礎練を繰り返さなきゃいけないのは確かだ」
    「その通り。よくわかっているじゃないか」
    (※画像はイメージです)

  • 136二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:28:50

    一緒にいられなくなることの怖さ,ざっつ・愛のStagflationですな
    ところでクルーゼがメルトなのは「溶鉱炉」…だから?
    先生役でナタルさん役が出てこなかったのは不思議だけどこれからかな

  • 137二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:33:47

    「……ここで新キャラかぁ」
    「キラがげっそりしてますわ」
    「そりゃね……ある意味漫画の脇を支えていたキャラがとんでもない事件で退場したわけで。
     これ個人製作だから成立したけど、編集者がいたら絶対止めてたよね」
    「でもインパクトはありますわ」
    「インパクトしかないよ!!……しかしこの新監督、わりと正論しか言わないね……」
    「ノックも上手いですわ」
    「軍隊的、っていうのかな、こういうのも。ただこの人、そんな強制はしてないんだよね」
    「そうでしょうか?」
    「うん。指示はしているけど強制はしてない。できないならやめろとか言ってるわけじゃないし、怪我するまでやれって言ってるわけじゃないしね。
     実際、ここで体力のあるなしで篩い落としている感じはする」
    「確かにそうですが……」
    「ラミュー先生はある程度緩かったから。だから、ダイが入ってくるまでろくに試合で勝てなかったんだろうけど……」
    「でも青春というよりかは、これでは……」
    「スポ根っぽいよね。ムーグさんがラン監督と会うとなると、さてどうなるんだろう。
     ふざけた生徒と、規律正しい熱血体育教師。合うわけがないよね……」

  • 138二次元好きの匿名さん24/04/15(月) 23:40:53

    続きはそのうち
    ラン先生のキャラ造形に関しては色々設定はあるので終わったときにでも

  • 139二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 03:48:37

    「……ムーグさん、大丈夫です?」
    「お前、本当に一人でずーっと走ってたよな……っつ」
    「あの人、やたらムーグさんにあたり強いですね」
    「ちっ……授業の時から因縁つけてくる野郎だったからな。
     あんまり仲良くしているとお前も巻き込まれるぞ」
    「多分もう巻き込まれてますよ……ルリには辞めてもらった方がいいかな、野球部」
    「理事長が娘を野球部から遠ざけるために……って線もあるのか、これ。ラミュー先生に続けてあいつもやめちまったら、部員減るかもなぁ。が、しょうがねえか、こりゃ」
    「やろうとしていることは理解できるんですけども、ね……」
    「理解できるか?」
    「強くなるためには、練習しかない……というより、ウチが練習足りてないのは間違いないと思います。ただ、やり方ですよね。これじゃあただのパワハラだ」
    「そのくせ、キャプテンには俺を指名してきたし。わっかんねえ……それも勝つため、ってか?余計気に入らねえ……」
    「楽しくやるのが部活、のはずなんですけど」
    (※画像はイメージです)

  • 140二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 04:22:50

    「この野球部の色々な問題に一気に切り込んできたね」
    「問題?」
    「色々あるんだけどね……一つずついこうか。チームというのはワンマンだとどうしても、どこかで歪みが出る。
     少なくとも、実力に差があるなら、そこを詰めようとしなきゃいけない。そのためには、厳しい練習もやむをえない。時にはそれが部活の範疇におさまらなくなった、としても……ね」
    「……はい」
    「それと関連して、楽しい部活と強いチームは必ずしも合致しない。これはどうしても、ね。
     これはダイの中でも葛藤があるんだろうね。最初に彼が言った言葉、覚えてる?」
    「『無理をしないで勝てる試合なんてない』……」
    「そう。ダイの中にはある程度それを割り切れる部分はある。でも彼はそれを周囲に強要しなかった。自分が無理をして肩代わりできる部分はしたんだ。でも限界はある。それが、あの準々決勝。結局最後は地力の差で負けちゃったんだね。結局、ダイの選択は相手に勝つ、という意味では間違いだったんだ」
    「なるほど……」
    「次は教師であるラミュー先生かな。優しく、言わばやや素行不良と言っていいムーグさんにすら、軽く怒鳴るだけで済ませていた。優しい一方、練習でも、監督としても指導力が不足していたのは事実だ。
     その果てに、彼女は教職であるにも関わらず教え子と関係を持った。
     教師という立場故のやさしさで指導していたのに、教師としては許されざる行為をした彼女は、職を辞する。
     これは責任を取る、という意味では正しい行為なのかもしれない」
    「……」
    「一方で、責任を取ってない人もいる。それがムーグさんだね」
    「あ……」
    「そう。現時点で彼が乗り越えるべき壁はそれだ。責任をそもそも負える立場ではない彼は、それから浮いてしまい……結果として、野球部では最も責任を果たすべき立ち位置へと据えられる」
    「キャプテン、ですわね」

  • 141二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 04:23:58

    「奇しくも、一人一人が己の課題点を浮き彫りにさせられ、それぞれ行く道を選ぶ。
     ラミュー先生は教師を辞めて、一人の男性と生きる覚悟を決めたんだろう。
     そして、ダイとムーグは、口では文句を言いつつも、半ば新しい監督を受け入れているようにも取れる。勝つため。自分の壁を超えるため。二人とも、その劇薬を受け入れたんだ。……さて。
     青春とはいえ、行き過ぎた関係に対するナタが振るわれた。あるいは、それぞれの業や課題に向き合い、それを乗り越えようとする登場人物たち。あともう一人。
     すでに言及があるけど、己のやってきたことに向き合わなければいけない人がいるね」
    「ルリ……」
    「うん。ダイに対して、無理をしないでほしいと言った彼女。
     あるいは、ダイと肉体関係を持ち、その結果どういったことが起きうるのか、目の当たりにした彼女。
     マネージャーとして、部にいることが正しいのかどうか。選ぶべきは何か。本当に大切なものは何か……ちゃんと彼女は見つけられるんだろうか?」

  • 142二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 04:49:43

    「おい、ルリ」
    「……ケイさん」
    「そんなしょぼくれるなよ。ダイがもっと本気になった、ってだけだろ?野球にさ」
    「……わかっております」
    「野球に打ち込んでるのも、お前のためだろ?」
    「……わかっております」
    「そんなずっと一緒にいられる、ってもんでもないだろう?
     それとも、毎日イチャイチャしてなきゃ足りないか……いや足りないのか……」
    「……」
    「私もアッシュとずっと一緒にいたい、って思った時期はあったけどな。
     むしろあっちが私と一緒にいたがったけど。ま、やりたいこと、やるべきことのためにはしょうがない時もある」
    「私は、マネージャーを続けるべきなのでしょうか。そして一緒にいられないのであれば、ここに来る意味も、ないのでは」
    「私も母さんも、ルリが来るのは嬉しいけどな。でも、それこそ、ダイと話せよ、それは」
    「……お父様からは、お前がしたいことをしろ、と。以前は野球部に入ってきた方を辞めさせていたのに」
    「そりゃ、アイドルにお近づきになりたいってやつはなぁ……それとこれは別だって。
     そもそも本気で野球部のマネージャーやらせたくないなら、そこを邪魔するだろ?ある意味、1年の時のゾディアックとの試合も……まあ、そっちはいいか。ほら、寝ろって、もう」
    「……そうですわね。ありがとうございます、ケイさん。
     少し、ダイと話します。明日は休養日とのことですので」
    「ああ……お休み」
    「はい……」
    (※画像はイメージです)

  • 143二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 12:25:06

    色々インモラルな展開に目を瞑れば真っ当な野球ものだあ…

  • 144二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 12:29:02

    「ワンマンでは絶対どっかでガタがくる」
    「でも環境上そうせざるをえない」

    うーん、見事な落とし込み…さすがキラノ先生

  • 145二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 12:30:39

    甲子園の猛暑とか色々言われてるけれど、
    あれ「天然芝と土だから身体に優しい」というメリットや、
    「全国一斉に集まらせてやるなんて夏休みくらいしかない」っていう事情もあるんよねー…

  • 146二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 12:32:24

    オーブの地理的に、夏休みの時期(王舞園)って本土日本よりめちゃ暑そう

  • 147保守がてら 続きはそのうち24/04/16(火) 12:44:39

    「あの……ダイ」
    「ん……なに、ルリ」
    「疲れてらっしゃいますの?」
    「まあ、ね……さすがに、練習量が一気に増えたし。
     ルリには心配させてばっかりだ」
    「いえ……」
    「あの監督のやり方だと、マネージャーとか針のむしろだろうし。監督の方も、他の学校との折衝とか、器具の準備とかも、部員にやらせるようになったし……むしろ、今までずっと僕や野球部の世話を見すぎてたんだ。
     ……ルリもさ、やりたいことをやった方がいいと思うよ」
    「……」
    「歌、とかさ。僕のために、アイドル、休業しちゃったんだよね」
    「私は……歌を歌った方がいいでしょうか」
    「君の思うようにするべきかな。僕は、皆の前で歌を歌っている君を知らないから。
     でも、いつか僕の前で歌を歌っていた君は、本当に楽しそうだった」
    「……迷っております。私は、どうすれば、いいのか」
    「僕は、王舞園に君を連れていくために頑張る。僕をずっと支えてきてくれた君のために。
     だから、君も……」
    「ダイ……」
    (※画像はイメージです)

  • 148二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 20:34:51

    野球、お好きですか?

  • 149二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 21:00:48

    ラブレター送ろうと自分たちを振り替えったら大反省会しなきゃならないの難儀だよな…
    かつての傷抉ることになってもそれでも愛情表現するのは偉いよ先生

  • 150二次元好きの匿名さん24/04/16(火) 21:03:09

    >>145

    そもそも「学生野球大会のために作られた球場」だからね甲子園

    なんでそれ有るのにわざわざ別の場所使うの?って話から始めないといけない

  • 151二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 00:16:05

    このレスは削除されています

  • 152二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 00:20:18

    「……そうなるのか」
    「キラ?」
    「まあ、ちょっと別の展開もありうるかな、と思ってたから、意外と言えば意外かな」
    「そうでしょうか。キラのおっしゃる通り、ルリは自分の大切な物を迷った末に掴み切れなかった、という話だったように見えましたが」
    「うん、僕の半分は予想通りではあるかな。ダイとはすれ違い、大事なものをまだルリは見つけきれてないように見える。ただ、ラミュー先生がいたからね。彼女はどちらかというと、ルリとダイの反面教師となっちゃったわけだけど。その一方で社会的な通念というものには囚われなかった……そして、僕の予測を完全に超えてきた」
    「キラの予測を超えた……?」
    「うん。たった一人の男性と生きるために全てをかなぐり捨てれる、というのは、凄いなって。
     そういう引き出しがこの作者にあったというのも含めてね……結局、そんな彼女がいても、ルリは正解というものをこの時点で得られなかった。あるいは、そんな彼女を見たからこそかな。ああはなれない、と思ったのか……うん。
     さて。いよいよ最後の夏に向かって、物語は進んでいく。予選まで、あと1か月。
     ダイとルリの浜辺でのやり取りから、ダイの近辺からルリの姿はなくなり、ルリは迷いながらも、かつてダイのために一度は休んだ歌の道を歩み始める。むしろ、ダイの家であれだけ一緒にいた、ケイやアッシュとのつながりすら、ダイとルリとは希薄になっていく。たかだか予選までの1か月とはいえ、こうと決めたら、まっすぐに行く。
     若者らしい。青春らしい。でも極端だよね、この恋人たちは……」
    「このような物語はお嫌いですか?」
    「嫌いどころか大好きだよ、僕は。優しい人も、優しい物語もね」

  • 153二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 00:37:58

    しばらく一緒に居なくても、大丈夫。
    私はそう思ったのです。見るからに、彼は充実していました。
    だから、きっと大丈夫だと。しばらくの間、距離を置くだけ。
    死に別れるわけではない。永遠の別れになるわけではない。一緒の学校。共通の友人。そして、お互いがただあるということ以上の縁。そして何より、彼は私を愛しているのだ、という信頼。
    ……ただ。私と離れた彼は、明らかに飛躍していた。彼の野球への姿勢も、そして彼の投じる球自体も、徐々に徐々に、私がいる時より凄まじさを増していきました。
    私は彼にとって、枷だったのかもしれない。彼という翼が羽ばたくのを邪魔していた、檻だったのかもしれない。
    なら、彼のためには私は側にいるべきではないのかもしれない。
    思考が淀む。迷走する。あんなに一緒だったのに、たった少し離れているだけで。
    愛しているはずなのに、想いは通じ合っていたはずなのに。あるいは、私は彼のことを、何も知らなかったのか。痛みが心の中にトゲとして存在し、そのトゲに触らないように触れ合うことを避ける。
    ずっと一緒にいたときには、なかったもの。
    恐怖。私という存在が側にいることで、本来あるべきだった彼をゆがめるのではないかという、恐怖―――それを解消するためにはどうしたらいいのか。私には、答えは見つからなった。

  • 154二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 00:56:32

    「ふむ……それにしても凄まじい体力だね。まだ走れるのか」
    「……ムーグさんや、他の人にはしつこいぐらいに指導するのに、僕の練習には口を出さないんですね」
    「見たことがないからね。君のような球を投げるような存在を」
    「え……?」
    「私はたかが体育教師だ。故に、一般的な範疇の中で、もがく人間を鍛えることはできる。
     足りないから、超人に追いつこうとする者たちの指導はできる。チームの間に存在する、力の差を埋めようとすることはできる。が……君のような投手の指導はしたことがない。超人の指導など、したことがない。
     したことがなければ、できない。道理ではないかね?」
    「……何を、言ってるんです?」
    「野球をやっている者であれば、皆望むだろう。君のような球を投げたい、と。
     だが、そんな君のようになるためにはどうすればいいのか、答えを持っている者はいないんだよ。
     君は、常識からかけ離れすぎている。そのセンス。その肉体。せいぜい精神ぐらいなものだ。つけ入る隙がありそうなものは」
    「でも、僕は……そんな大した人間じゃない」
    「そうかもしれない。だが、誰にもそれはわからない……あるいは彼女にもね」
    「何を言いたいんです……?」
    「別にどうということはないさ。ただ、私はこういう情報が巷ではささやかれている、ということを伝えに来ただけだよ」
    「……こんなもの、ゴシップ誌が騒ぎ立てているだけです」
    「『熱愛発覚?復帰の歌姫、アイドルとデート』……いや、君がそう思うなら私はそれでいい。
     むしろ、そうあってほしいと望んでいるぐらいだからね。君にはその心のままに生きて欲しい」
    「……っ!!もう一度、走ってきます」
    「ああ、そうしたまえ」
    (※画像はイメージです)

  • 155二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 01:09:28

    一緒にいなくとも大丈夫だと思った。
    僕は彼女を愛している。彼女は僕を愛している。うぬぼれじゃない、とそう思っていた。
    たった1か月。たった1か月、僕が我慢して野球に打ち込めば、よりよい結果が出せるはず。
    そう思った。
    だって学校に行けば、会えるのだから。そう思っていた。
    でも、彼女が歌の仕事をする、という事実を僕は甘く見ていた。彼女の歌は素晴らしく、まともに学校にすら来れないほど、彼女は忙しくなってしまった。
    会えない。触れ合えない。ただの一度も。
    動画やニュースで流れてくる彼女の姿は本当に楽しそうに見えた。僕の前にいた彼女は、あんなに素直に笑っていたか。あんなに朗らかだったか。
    もう思い出せない。辛そうな彼女の顔も、僕をいたわるような優しい彼女は思い出せるけれど、笑う彼女は思い出せない。
    ゴシップ誌の言うこと。それはそうだろう。だが、確かに彼女の顔は安らいでいた。笑顔だった。
    ……僕には、彼女をあんな顔にはできない。
    なら、せめて、王舞園に彼女をつれていかないと。せめて。
    それだけが、僕を突き動かす。周囲が何を考えるかとは別に、僕は自分の球をただひたすらに磨いていく。
    それが傲慢だと、誰も言わない。
    (※画像はイメージです)

  • 156二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 01:22:38

    「……さて。いよいよ極まってくるダイの球。
     それとは別に、ダイとルリの間には不穏な空気が漂っている」
    「想いがすれ違っているのでしょうか」
    「そうだね。というか、互いの顔が見えないからひたすらに自分たちで不安になっていっちゃってる。
     ずっと一緒にいればそれを日々補正できるんだろうけど、頭の中の相手に振り回されてるんだ。
     本人たちで話し合う……いや、ここで話し合っても駄目な気もするなあ」
    「そう、でしょうか?」
    「あるいは話しあうより、もっと端的に愛し合えば早いのかもしれない。案外そういう行為の方がすっと自分と相手の立場というものを現状に落とし込めるからね」
    「私とキラのようにですか?」
    「唐突に首輪を見せつけない。鎖とか引っ張らないからね?
     ラクスはなんで僕をいつも隙あらばご主人様に仕立てようとするのかな……?」
    「いつだって私は準備万端ですので」
    「僕の情緒は全く準備ができていないよ?……さて、課題はあるけれど、あきらかにエイエン・ハイスクールは以前より一回りも二回りも強くなっている。チームの新監督との軋轢はあるけども。
     例えばこれもだね。監督はエースにおんぶにだっこなチームはいやみたいだ」
    「二、三回戦はダイを温存するのですね」
    「長丁場ではあるし、当然の戦略ではあるけどね。なんかこの監督、嫌な感じはするんだけどやってることは理にかなってるんだよなぁ……」

  • 157二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 01:32:39

    「今回も僕が控えなんて……!」
    「今日もヘルバーが先発だ。しっかり休んでいたまえ」
    「でも……!!」
    「君の球も体力も認めているがね。それでも、監督としてはどこまで戦うためにどう戦力を切るか、というのはあるのだよ」
    「……気に入らねえが、こいつの言う通りだ、キリノ」
    「ムーグさんまで……」
    「ほう、貴様と意見が合うとはね」
    「うるせえ。俺たちを信用しろよ、キリノ。ここまで、あの地獄みたいな練習を潜り抜けてきたんだぜ?
     俺だって……負けるつもりはねえよ。こんなところで負けちまったら、理事長の嬢ちゃんにも、マリにも顔が合わせらんねえからな……!」
    「……わかりました」
    「さあ、準備を始めたまえ!あとダイくん。君は今日は軽くブルペンで投げておきたまえ。
     少しはフォームを確認しておくべきだ。明日はおそらくこの球場で投げるのだからね」
    (※画像はいかつい顔だけど本来はレフトで控えのピッチャーのヘルバーくんイメージです)

  • 158二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 01:40:00

    このレスは削除されています

  • 159二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 01:49:31

    「エイエン・ハイスクールとアトランティス・ハイスクールの今日の試合を振り返りましょう。
     7-5でエイエンの勝利。いかがだったでしょうか、エモンさん」
    「エイエンは序盤にヘルバーくんが捕まってしまいましたが、よく持ちこたえましたね」
    「タカノくんの気迫あふれるブロックもありました」
    「5点取られてからも、試合をあきらめなかった結果が、8回での逆転に繋がりましたなあ」
    「エイエンは今日もエースのキリノくんを温存しましたが」
    「少し心配ですねえ。元々肩に不安があるという情報もあります。このままエイエンは勝ち進むと、話題のファンダー・ハイスクールと準々決勝で、ゾディアックとは決勝でぶつかることになりますね」
    「ファンダー・ハイスクールは今年から新設された野球部で、今話題のアイドル、オルト・ドーくんの所属する野球部でもありますね」
    「アイドルということばかりが先行していますが、ゾディアックのジューンくん、エイエンのキリノくんに匹敵する好投手ですよ」
    「さて、それではまた。実況は私トライアングル、解説はエモンさんがお送りいたしました」
    (※画像はイメージです)

  • 160二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 01:55:28

    「あ、ここであの熱愛報道されてたアイドルが出てくるんだ……」
    「どうせ大嘘ですわ」
    「辛辣だね……かっこいいじゃないか、彼」
    「ルリとお似合いだと?」
    「それとこれとは別だけどね。僕は一途なヒロインの方が好きだな」
    「あなたに一途なラクス・クラインですわ」
    「うん、愛してる」
    「はい、私もですわ」
    「ありがとう……さて。ゾディアックの試合が、野球漫画としてはハイライトになると思うけど、ダイとルリの関係性としては……まあ、そうだね。どう考えても、ファンダーとの試合が山場かな」
    「でも、あれだけ一緒にいたケイとアッシュの出番がありませんわ」
    「ダイは予選の間は合宿所に今年はいるんだね。そしてルリは仕事、と……うん?」
    「どうされましたの?」
    「うそ、エイエンの試合の背景にルリがいる。これ。これも。これもそうだよね?
     えっ、合宿所にもちょいちょいいない?健気すぎる……」
    「……本当ですわ」
    「と、いうことは……このルリにダイはずっと気づいてない?」
    「でも、しょうがないのでは。観客席の相手など、なかなか見つけられないような気が。合宿所でも、ちょうど練習中にいるといったかんじですし」
    「これまではベンチにいたから、かなぁ。でもどっちかというと……」
    「どう思われますか解説のキラ・ヤマトさん」
    「余裕がないダイの描写ですね。あれだけ一緒にいたのに、彼女が自分の試合を見に来ているはずがない、彼女が自分のことを心配になって見に来るはずがない、なんて思い込みに囚われている。作者の人物描写が光りますね。
     ……さあ、エイエンは順調に勝ち進み、準々決勝に駒を進める。相手のピッチャーはあのルリと因縁があるアイドル。二人の関係はどこに行きつくのか。でもこの作者、本当に人物描写がこう、真に迫っているというか、真に迫りすぎてるよねえ……そこが好きなんだけどさ」
    「……え?」
    「……うん?」

  • 161二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 02:06:38

    「夏の全国ハイスクール・ベースボール・トーナメント。
     準々決勝、第一試合はエイエン・ハイスクールとファンダー・ハイスクールの試合です。
     実況は私トライアングル、解説はおなじみアレックス・エモンさんでお送りします」
    「よろしくお願いします」
    「ファンダー・ハイスクールは今年が初めての大会参加にも関わらず、準々決勝まできましたね」
    「ドーくんも含めて、極めて高いレベルのチームですね。このような人材がいて、なぜ昨年出場しなかったのか、不思議なぐらいです」
    「新設校ということで規定上の問題があったようですね。さて、一方エイエン・ハイスクールですが」
    「エースのキリノくんを中心に、昨年より一回りはチーム力がアップしております。守備は堅く、打撃も4番のムーグくんを中心に当たっていますね」
    「チーム打率はファンダー・ハイスクールの方が上ですが、投手力は互角」
    「特に前の試合では、ドーくんはノーヒット・ノーランを達成しています。キリノくんも4回戦以降、2連続完封。
     両投手の立ち上がりがどうなるか、楽しみですね」
    「それでは試合開始です」
    (※画像はイメージです)

  • 162二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 02:13:01

    「よう、アイドル」
    「ささやき戦術、というやつか?マナー違反じゃないのか?」
    「大したことないだろ。別に悪口言ってるわけじゃないし」
    「ふん……しかし大したことのないピッチャーだな」
    「あいつにそんなことを言えるのはお前ぐらいだよ……っ!?」
    「……ふっ」
    「嘘だろ、低めのあの球を、スタンドまで持っていくのかよ……!?」
    (※画像はイメージです)

  • 163二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 02:25:44

    「1回裏、ドーくんのホームランのシーンです」
    「外角低め、完璧なコースだったんですがねぇ」
    「ものの見事に持っていかれました」
    「まるで球種を読み切ったかのような、完璧なバッティングですね。
     それとも、何か癖でも見破ったのでしょうか。リリースやフォームには定評のあるキリノくんなのですが……」
    「3回にも、ラセツくんのツーベースで追加点がありました」
    「3対0。一方、ドーくんの前に、エイエン打線は沈黙しております」
    「ファンダのバッターがことごとくキリノくんの決め球を狙い打ってますね。
     精神的な影響は大きいですよ」
    「さて、中盤、どうなるでしょうか。
     4回表、エイエンの攻撃は1番ライト、ヘルバーくんからです」
    (※画像はイメージです)

  • 164二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 02:26:54

    「……」
    「おい、大丈夫か?」
    「はい……切り替えましょう」
    「それは俺のセリフなんだがなぁ……もしかして、お前結構気にしてたのか、アレ」
    「いえ……違います」
    「いや、どう見ても……」
    「力負けです。完璧なコースに投げたのに、持っていかれました。ことごとく」
    「……はぁ。しょうがねえな。ま、お前の言う通り、球自体は完璧だったんだよなぁ……。
     あれ打たれちまうと、わりとどうしようもねえ感じが」
    「とにかく、低めになげるしか、ない」
    「そうだな……あと、少し目先を変えてみるか。
     今日はカーブがよさそうだし、緩めにいってみるかね……」
    (※画像はイメージです)

  • 165二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 02:38:34

    「さあ、この試合だけども、まさしくあの監督の言う通り、精神面を攻めてきているね。
     決め球の狙い撃ち。あるいは、あの報道すらもそういう戦略だったのかな?まあ、それは勘ぐりすぎかもしれないけど、どっちにしろ、ダイは大分参っている。エースが困るとき、盛り立てるのはバックであり、チームメイトだ。度々のピンチを味方の好守で、あるいはムーグさんのリードで乗り切っていく。でも、ダイはまだ、精神的には立ち直っていないよね」
    「ですわ、ね?……キラ?なんだか段々早口になってきている気がしますわ?」
    「とはいえ、そもそも完璧なコースに投げても狙い撃ちされた、というのも変だよね。
     ああ、そういえばいたね、心を読む、とか、そういったことをできる人たちが、現実でも。野球でそれやられちゃお手上げではあるんだけど……ただ、監督曰く、『見たこともないような球』を投げるようなダイだ。突破口はある気はする。それにしたって、ダイの精神的な復帰が不可欠なんだけどもね」
    「その……えっと?」
    「さて、その鍵はスタンドにいる、ダイはまだ気づいていない誰か。これも青春だね。
     本当に、そういう生々しいというか、ある意味酷い描写を好き放題混ぜつつ、しっかりと伏線を張って本筋は進める。ちょっととっちらかってるかな……それも好きな作風なんだけども」
    「キラ、その、何を言っているのかが」
    「この作者の名前。ラピスラズリ・エターナル。そう来たか、ってちょっと笑っちゃった。
     なるほど。ラピスラズリ。ルリ。エターナル。永遠。さて。彼女がいったい誰をモチーフにしているのかは語らぬが華として、ゲームは中盤戦。ダイにとっては苦しいところだよ、ラクス?」

  • 166二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 02:52:24

    「どうしたね、ダイくん。そんなに苦しいか?」
    「……苦しくないはず、ないでしょう。ことごとく決め球を打たれるなんて、初めてです……」
    「そうかね?たかが野球。たかが部活動だ」
    「でも僕は、勝たなきゃ、いけないんです……」
    「そんなもの、誰も知らないさ。私も。チームの皆も。君に一番近しい誰かすら、そうだ」
    「だからって……!」
    「それでも、君はマウンドに立とうと、己のしたいことをすると心のままに決めたのだろうが……だが、他の人間には、知ったことではないさ」
    「てめぇ……!!」
    「キャプテン、落ち着いて!!」
    「キャプテンを抑えろ!」
    「……とまあ、あのように怒る者もいるが、結局はそんなものだ。
     君の知っている、あの子だってそうさ。どうせそう思っている。私がいなければ、彼は勝てない。私が側にいなければ勝てるはずがない。そう思っているに決まっている」
    「ルリは!!そんな人じゃ!!…………え?」
    「どうしたのかね、ダイくん?さあ、こちらの攻撃はまたあっさり三者凡退だ。
     せめて投手がリズムを作ってくれないと、この試合は厳しいぞ!!」
    「ちっ……おい、キリノ!ダイ!!あんなやつの言うことなんざ、気にするな!!」
    「……ムーグさん。先、マウンド行ってますね」
    (※画像はイメージです)

  • 167二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:04:40

    マウンドに立って、一人、空を見上げる。
    真っ青な空に、じりじりと照り付ける熱い日差し。
    夏だ。……そもそも、なんで野球なんてやってるんだっけ。
    思い出す。結局、始まりは彼女と出会ったからだった。まあ、巻き込まれたみたいなものだけども。
    でも……楽しかったんだ。彼女と一緒にいるのが。だから、彼女のために、頑張ろうと思った。
    そのために、野球に打ち込もうとして……周りが見えなくなった。
    考えてみれば、彼女がわざわざ話しかけてきたのは、僕を気にしていた、という以上に自分が辛かったからなのだろう。駄目だよね、本当。
    『私がいなければ、彼は勝てない。私が側にいなければ勝てるはずがない』
    そんなこと、彼女はきっと思わない。でも……逆は?
    僕は、彼女がいなければ、勝てない。彼女が側にいなければ、勝てるはずがない。
    そもそも、彼女が一緒にいてくれても、ゾディアックには負けちゃったのにね。
    ……全く、ほとほと、嫌になる。でも、お互いまだ生きている。お互い、まだやり直せる。
    いくらだって、言葉を交わせるはず。あの男と一緒に歩いているのが彼女の望み、というならそれはしょうがないけど。いや、嘘だ。嫌だ。だから、何がなんでも、彼女にもう一度一緒に居よう、と伝えよう。
    吹奏の音が、三塁側のファンダーの方から聞こえてくる。3番、エース。あの男を応援する曲だ。
    嫌だなあ、と思って、何気なく一塁側を向くと……そこに、彼女がいた。
    (※画像はイメージです)

  • 168二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:11:13

    ずっと、心配していた。
    あの報道が出てから、露骨に彼は私を避けていた。
    どうにかして会いたいと思った。自分の想いを伝えたいと思った。
    だが、合宿所に行っても彼はいない。仕事の合間に会えないかと彼の家に行っても留守だった。
    だから、私には、スタンドから彼を応援することしかできない。こんなことなら、マネージャーをやめるんじゃなかった、と後悔しても遅い。マネージャーだったら、ずっと彼の側にいれたのに。今辛い顔をしている彼に声をかけられたのに。
    遠い。何もできない。それが、辛い。ただ、祈るように、苦闘する彼を見る。
    彼の球は、明らかに前より力があった。でも、それが通じない相手。
    だが、彼はきっと、負けない。ただ、そう信じて祈るように、彼を見つめる。
    捨てられた子供のように、彼はマウンドに立って、儚げな顔で空を見上げる。
    ああ、私には、何もできない。
    呼吸を止めて一秒。祈る。
    瞬間、視線が、交わった。
    (※画像はイメージです)

  • 169二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:13:08

    ああ、祈るように僕を見ている君は誰だろう。
    そして、そんな君を見て、僕はきっと笑っているのだろう。
    だから、僕は思いを口にした。

  • 170二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:22:03

    「さあ試合は五回の裏。前の回も大分キリノくんは苦労していたようですが」
    「そうですねぇ。やはり彼の生命線であるストレートが狙い打たれているのは厳しいでしょう。
     いいコース、いい球は行っているのですが、ことごとくコースを読まれている印象です」
    「さあ、立ち直れるか、キリノくん……おや、マウンドに立ったキリノくん。
     スタンドの方を見ているようですが」
    「投球練習をしないで大丈夫でしょうか?」
    「スタンド、おや、こちらにはルリ・エイエンさん。ハイスクールに所属している傍ら、歌を発表しているそうで」
    「私も新曲を聞かせていただきましたねぇ」
    「心配そうにマウンド上のキリノくんを見ているようですが……おや、音声が?」
    (※画像はイメージです)

  • 171二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:23:01

    「ルリーっ!!僕は、君を、愛してる……!!愛している!!」

  • 172二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:23:56

    「ダイーっ!!私も、あなたを!!愛してますわぁあああああっ!!」

  • 173二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:24:50

    「……」
    「……」
    「……青春ですなあ」
    「……さて5回の裏。熱烈な愛の告白が聞こえましたが、それはそれとして。バッターは3番ピッチャー、ドーくんからの打順です」
    (※画像はイメージです)

  • 174二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:31:40

    「さてここでタイトル回収。そして熱烈な告白。
     本当にこういうの好きだよね、ヨメ・キラノ先生。いや、これはラピスラズリ・エターナル先生だっけ。
     どっちでもいいかな、もう」
    「……どこで、バレたのですか……?」
    「作風かなぁ……?
     こんな唐突にエロをぶちこんできといてシリアスに引き戻した後すれ違い描くの散々やってない?さすがに僕もわかるというか、これでバレないと思ってるとかかわいいよねラクス」
    「嘘ですわ、前回あたりから急にわたくしの旦那様が鋭くなってますわ……」
    「最初はなんだこの作者自分の名前を作中のキャラをもじったペンネームにしてる……ってドン引きしたのは秘密だよ」
    「秘密になってませんわ、キラぁ……」

  • 175二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:36:58

    「あ、アッシュ。今、ダイの試合中なんだけどな、すごいことになってるぞ」
    「ああ……久しぶりにみたな、このフォーム。
     幼年学校のころは、思いっきり足を高くあげてたんだ、ダイは。
     肩を痛めてからやたら色々フォームを弄ったみたいだけど、こっちの方がいい球がいっているんじゃないか?」
    「そっちじゃないそっちじゃない。これこれ」
    「……あいつら試合中に何をやっているんだ」
    「でもああいうのやってみたいんじゃないか、お前も」
    「やっていいのか?」
    「やめろ」
    (※画像はイメージです)

  • 176二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:48:26

    「なんなのだね、あの球は。ずっと直球一本じゃないかね」
    「いやもう悩みが吹っ切れたら、考えるのが面倒くさくなっちゃって」
    「……それで、とりあえず思い切り投げていると」
    「ですね。なんだか久しぶりに楽しく野球してる感じがしますね。
     アッシュに文句ばっかり言われてた時のこと思い出します……きっと、これが原点なんでしょうね、僕の」
    「なるほど。これが人の愛、か……」
    「それはそれとしていい加減、指示だしてくれませんか?狙い球とか」
    「私の指示は大体元マネージャーのメモに頼っているのだが」
    「初耳ですね」
    「だが、君のところはダイの思うままにしてもらえばOK!という文と花丸が書いてあっただけだったのだ」
    「……えぇ……?」
    「まあ、強いて言うなら初球を狙いたまえ。おそらく相手は動揺しているぞ。その隙に付け込むのがいいのではないかな」
    (※画像はイメージです)

  • 177二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 03:53:21

    「この監督もね……もしかしてモチーフとかいるの?」
    「……完全に私が作者ということ前提で話が進んでますわ……」
    「だってそうでしょ?」
    「そうですけれども……えっと、このキャラは製作協力していただきましたアスランとシホさんに監修していただきましたの」
    「アスランはわかるけど、シホさん?」
    「ジュール中佐の部下の方ですわ」
    「あ、イザークさんの……ああ、なるほど、ね……?上司のイメージがそう重なっちゃったかぁ」
    「何か気になることでもございましたか……?」
    「ううん?いや、でもそっか。平和だと、こんなこともあるのかなって、ね。
     ちょっとしんみりしちゃった。うん、いいキャラなんじゃないかな」

  • 178二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:31:16

    「さて4対3でエイエンの勝利に終わりました、準々決勝第一試合、振り返りましょう。
     最初は1回表、最初はドーくんのホームラン」
    「4球目の外角低めの直球を見事捉えましたなあ」
    「先制したファンダー、なおも攻めの手をゆるめません。2、3番の連続安打から4番のラセツくんのツーベースヒット。こちらは内角低めを掬い上げました。あわやホームランのフェンス直撃の一撃」
    「序盤は決して悪くないキリノくんの球をファンダーの中軸が打ち崩すという展開でしたね」
    「エモンさんがおっしゃっていたターニングポイント。下位打線から、上位打線に回った4回裏。こちらです。ライトのマッシュくんからの火の出るようなバックホーム。そしてタカノくん、しっかりとブロックしてタッチアウト」
    「キリノくん自身のスイッチはともかく、チームとしての流れが変わったのはここだったでしょう」
    (※画像はイメージです)

  • 179二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:32:25

    「5回表。ドーくんのピッチング」
    「ここまでパーフェクト。4、5、6番を三者凡退。これはすごい、と思ったのですが」
    「さあここです。おそらくニュースで流れてしまうでしょうあの出来事から、キリノくんのピッチング。これが圧巻でした」
    「全てストレート。今日最速どころか、予選の記録最高を更新する球速でファンダーの中軸を3者連続3者三振。いやあお見事。なかなかプロでも見られないボールですよ、あれは」
    「ルリ・エイエンさんも大喜び。さて7回です」
    「ラッキーセブンでしたね。2、3番が出塁してからの4番のタカノくんの打席」
    「打者一掃のツーベース。ファンダー側のお株を奪うような完全に配球を読み切ったバッティングでした。これはすばらしい」
    「冷静沈着が代名詞のメルト監督が吠えてましたね」
    「さらにエイエンの攻撃は続きます。6番ゴウダくんが出塁して1、3塁になってからのキリノくん、まさかのセーフティスクイズでした」
    「我々でも意表を突かれました。俊足キリノくんが一塁を駆け抜ける間に、3塁ランナーホームイン。こちらが決勝点となりました」
    「いやあ、いい試合でした。やはり好投手同士の試合は見どころがありますね」
    「ファンダー・ハイスクールのトラマール監督のコメントです。『オルトの精神的に未熟な面が出てしまいました。5回まではこちらの思い通りに試合を進めれていたのですが、相手が一枚上手でした』。一方、エイエン・ハイスクールのメルト監督のコメントです。『人の業、見ていただけたかな?』」
    「さすがに今日の試合には、普段は真面目なメルト監督も興奮してしまったようですね」
    「それでは次は準々決勝第二試合になります」
    (※画像はトラマール監督のイメージです)

  • 180二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:39:53

    「さ、ここからは消化試合になっちゃうのかな。
     あるいは準決勝だけ描写して、決勝は描写しないとか」
    「はい……後者ですわ」
    「まあ、恋愛的にはある意味、1年目で決着がついてた話だけど、しっかりと野球も含めて三年目まで描き切ったのはすごいと思うよ」
    「批評が痛いですわ……」
    「プロットありきだからしょうがないよね。今回、わりと直球で僕……じゃなかったダイが告白してたけど。こういうのがやってみたかったとか」
    「はい……平和な時で、私もキラも元気でしたら、こんなことがあったのかもという妄想ですわ……」
    「そのあたりが今回のキーワードかな。平和な時代の君と僕。あるいはみんな。うん、楽しかったよ」
    「恐縮ですわ……」
    「ほら、顔真っ赤にしないでよ、そんな……自分と僕をモチーフにしたキャラの濡れ場描いて僕に見せつける方が恥ずかしくない?」
    「その恥ずかしさが今襲い掛かってきているのです……普段はキラが抱きしめてくれてるから、緩和されているのです……」
    「よくわかんないかなあ、その機微は……もう一つ。これマリューさんは?」
    「全力で乗っかってきましたわ」
    「凄いなあ……むしろ子供欲しいアピールなんだろうか、これ」

  • 181二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:47:15

    「こちらが偵察してきたゾディアック・ハイスクールのデータですわ」
    「すごいよね、なにやってるのルリ……」
    「あなたのためです」
    「そう言われると何も言えない……」
    「なのでしっかり頑張ってくださいませ……あと」
    「これ、歩きにくくない……?」
    「ほら、ダイ!しっかり手を繋いで!見せつけるのです!!」
    「いや、その、僕は一般人なんだけど……?」
    「どうせ皆さま見たい物しか見ませんので。見せつけた方が得だと思い始めました」
    「ルリのそういうところはかっこいいなあと思うけどね」
    「なので、超高校級の投手と歌姫のカップルということで行きましょう」
    「自分がそう言われるの違和感しかないんだよね」
    「マネージャーには復帰できないので、せめて球場から帰って合宿所に行くまでの間はあなたを堪能させてくださいな」
    「そうだね……うん……」
    「ふふ♪」
    (※画像はイメージです)

  • 182二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:51:18

    「そうだね。色々合点がいったかな。平和だから……うん。いろんな人もいていいよね。
     たまにはこういうのもいいかな……」
    「キラ?」
    「ううん、なんでもない。結構今回は取材したのかな。野球関連も含めて」
    「はい、情報集めが大変でしたわ」
    「ありがとう。なかなか僕はそれに報いることができないけども」
    「……いいえ。一緒にこうやって、本を読めて。喜んでいただけるのが一番の幸いですわ」
    「僕にとっても、笑顔で君が笑ってくれるのが一番かな。あ、もう一つ、気になったんだけど」
    「なんでしょう?」
    「なんで野球なの?青春といえば、みたいなところがあるけれど」
    「……笑わないでくださいね?」
    「うん、もちろん」
    「……ユニフォームを着て、かっこよく三振を取るキラが見たかっただけですの」
    「……思った以上に単純な理由だった」
    「ほら、笑ってますわ?」
    「拗ねないでよ……もう」

  • 183二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 07:59:57

    『こちらエイエン・ハイスクールのエースのキリノくんと仲睦まじく移動するルリ・エイエンさんの様子で……』
    「……はあ。全く、羨ましいわねぇ」
    「何がだよ」
    「あの二人がよ。こっちは全く表に出れないのに」
    「いや、俺が悪かったのはそうなんだけども」
    「私もよ。ああ、でも、私じゃあんたたちを王舞園に連れていけなかったかもしれないのよね」
    「あのなあ……そんなことはないと思うぜ」
    「いいのよ。甘かったしね、私。なんだかんだで。それでこんなことになっちゃうんだから」
    「……」
    「メルト先生とは仲良くやってる?」
    「仲良くなれるわけねえだろ。あいつは……」
    「それでいいわよ。ま、そんなもんよね」
    「ああ……」
    「ただ、少しは大人になりなさいよ?」
    「わかってるよ。こいつのためにも、な」
    『キリノくんといえば、今年の全国野球大会での活躍。特に地区予選決勝でのザマくんとの名勝負は語り草で……』
    「端末、つけたままでいいのか?」
    「教え子が褒められてるのよ?いくらでも聞くわよ」
    (※画像はイメージです)

  • 184二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 08:07:53

    「あなたの真剣な目を……完、ですわ。
     お楽しみいただきありがとうございました」
    「うん、楽しかった……さて」
    「え?」
    「せっかくだし、予約しとこうか」
    「それは……?」
    「うん、ちょっと気になってね、僕も。オーブにもベースボールスタジアム自体はあるんだよね」
    「あ……」
    「こういうとき、なんて言うのかな。一緒に野球場に行ってくれる、ラクス?」
    「……はい。私を野球に連れて行ってくださいませ、キラ」

    ~Happy end~

  • 185細かい話24/04/17(水) 08:23:00

    ・一本道の物語とか本を読む形式だと若干冗長になりがちですね。あとこの世界線の二人は久しぶりに書いたので結構やりとりを忘れてました。

    ・もろもろの名前の由来は大体ご指摘あったのが正解です。

    ・野球は好きです。キララクも好きです。好きなものはいろいろあるんですが、なかなか情熱を詰め込めません。

    ・キラとラクスのキス画は感極まってます。元々エロい絵しか描いてない人間なので、どうもそっちの描写に寄りがちなところは否定できません。あの絵もう一回清書したんですが、いまいちでした。うーん絵が下手。

    ・お気づきの方は多いかと思いますが、冒頭で言及させていただきました作品以外にも色々とオマージュがあります。

    ・今回もありがとうございました。一応下に関連、というかこれまでに書いたものを置いておきます。ご参考までに。

    https://bbs.animanch.com/board/3094072/

    https://bbs.animanch.com/board/3129082/

  • 186二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 08:38:02

    世間様から精神的デバフをかけられたのなら世間の眼があるとこでデバフ返しすればいいじゃない
    なんという強引な発想…
    今回も素晴らしいお話をありがとうございます


    というか徹底してオルフェは描かれないね
    ここんとこに、この世界線におけるラクスのエゴめいたこだわりを感じる

  • 187124/04/17(水) 08:51:49

    >>186

    >というか徹底してオルフェは描かれないね

    >ここんとこに、この世界線におけるラクスのエゴめいたこだわりを感じる

    オルト・ドーくん=オルフェモチーフですね。通常、本編後における死者はなるべく描写しないようにしています。

    たとえ似たキャラがいても、大体はたまたま似ている相手になります。

    フレイとか、ラクスの親とか、あるいはアスランの親とかは特に、死者を冒涜する、という基準がラクスにはあるのであまり描写したがっていません。

    ただ今回はちらちらと出てきていて、そのあたりがキラの言及する「平和なif」になります。

    とくにオルフェはイングリットは自分の手で殺した相手ですので、そう簡単に創作には詰め込めない。ただ、今回は平和なもしもだから……ということになります。描写不足でした。

  • 188二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 09:09:55

    >>187

    解説ありがとうございます!

  • 189二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 11:07:28

    面白かったです 
    お疲れ様でした

  • 190二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 19:15:22

    キラノ先生の作品は最高だぜ

  • 191二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 20:28:09

    一応次回作を待っておきながら保守

  • 192二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 22:53:57

    いい話でござった

    完走までうめうめ

  • 193二次元好きの匿名さん24/04/17(水) 22:56:51

    乙でした
    ピクシブの謹慎中の2週間ラクス調教の方も楽しみにしてます

  • 194二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 01:31:52

    大活躍のラウ役さん
    オルフェとかもそうだけど平和ならこうなるんじゃないかなのIfも盛りだくさんで予想を上回ってるからすごいよね

  • 195二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 10:01:29

    あれもこれもと出力できるヨメノ先生のリビドーすごいね
    次も気長に待ってます

  • 196二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:28:45

    乙です

  • 197二次元好きの匿名さん24/04/18(木) 21:46:38

    毎回描写がすごくて読みごたえがある…
    お疲れさまでした

  • 198二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 09:12:28

    楽しかった

  • 199二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 19:39:37

    乙でした!

  • 200二次元好きの匿名さん24/04/19(金) 19:43:12

    完走

オススメ

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