- 1二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:02:49
- 2二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:03:02
クソボケ伊織はよく見るのでクソボケセイバーに無自覚矢印を向ける伊織概念です。寝てるうちに落としてしまったのでもう一回チャレンジです。
私が伊剣だと思うので伊剣です - 3二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:03:28
特に近頃、助之進の奴と近い気がする。
自分たちの仲を夫婦だ何だと根も葉もない嘘で揶揄う癖に、よくセイバーに甘味を贈っている。美味しそうに与えられた団子を頬張るセイバーは微笑ましいが、それでもその表情が助之進に向けられるのが少し嫌だ。餌付けと同じではないか。
と、色々と云うのは良いものの。
本当はきっと、気に食わないのだろう。
セイバーは白鳥のように自由に、伸びやかに生きてほしい。俺のような人間では、縛る資格などない。
……だが、なぜかセイバーのその笑顔が俺にだけ向けられてほしいと思ってしまっている自分がいる。
(この思考は、早く改めなければな……) - 4二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:11:46
- 5二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:13:18
「あー…その、伊織さん。アンタの嫁さんに話しかけたのには謝るからさ、その…殺気、抑えてくれねぇか?」
殺気?
出していたつもりはなかったのだが…まあ、心当たりがないわけでも無し。これからは気をつけよう。
…しかし、俺自身セイバーがこれからも助之進との交友を続けても構わない。そうずっと考えているはずなのに…
(……)
「…まずは、セイバーを嫁と呼ぶのをやめてくれないか」
「………あー、喧嘩でもしてるのかい? それとも複雑な感じか?」
夫婦だと思われているこの現状から、変えるべきだろうか。俺たちはそのような仲ではない。
…たとえもし、俺がその想いを抱いていたとしても。セイバーはそんなことを一度たりとて考えたことはないはずだ。 - 6二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:13:44
- 7二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:20:18
それから、助之進には取り敢えず「俺たちは夫婦ではない」と何度も語った。
初めは
「またまた、冗談だろう? なにか喧嘩で嫌なことでもあったのかい?」
と揶揄っていた。だが俺と彼が何週間前にあったばかりで、彼には伴侶もいると伝えると目を瞬かせ始めた。
「…逆に、寝食共にして目合ってもいない、しかも相手方は伴侶あり…それはそれでおかしくないかい…?」
「いや、俺も初対面で寝食を共にすると言われた時は驚いたが…セイバーは頑なにそう云って聞かなくてな」
「…複雑だねぇ」 - 8二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:28:41
「だが、伊織さんはセイバーさんに優しいじゃねえか。俺や浅草の人間に対しても明らかに対応が違う。それは一体どういう…」
そこまで云って、助之進は黙り込む。きっと俺の、碌でもない表情を見て何かを察したのだろう。もう一度瞬いたあと、混乱しつつも笑顔になった。
「そ、そうか〜…アンタとなれば江戸のどんな美女でもコロリといきそうだが、今回ばかりはなぁ…いやだがオレはあんたの親友として、その気持ちは応援するぜ! 和歌でも諳んじようか?」
「……気持ちだけ受け取っておく」
相変わらず、頼りになるが騒がしいな。 - 9二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:38:36
俺は彼とそういう関係になりたいとは思っていない。しかし「相手を落とすならばまずは胃袋から」という助之進の助言を嫌々実行しなければならなくなった。成果まで報告しなければならないらしい。
屋台で買った甘味や間食、そして彼の好物の米と御御御付けからなる一膳を用意する。少し多すぎたか。
やってきたセイバーは食事を見ると目を輝かせたが、少し戸惑いもあるように見えた。手をつけようとするそぶりもみせない。
「セイバー、食べないのか?」
「い、いや…とても魅力的だが、今日はいつにも増して豪勢な食事だと思って…えへへ…今日は何かの祝い日か?」
戸惑いながらも、笑みを隠しきれていない。喜んでくれているようでよかった。すこし銭は減ったが、それで彼の笑顔が見られるならば安いものだ。 - 10二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:47:54
「そういうわけではない。ただ、セイバーにたらふく食わせたいと思っただけだ。俺が勝手に用意したのだから、残してくれても構わない」
「の、残すだなんて…そんなことはしないぞ!! だ、だが…」
するとセイバーは身をよじらせ始めた。恥じらう乙女のようだ。なにか気に障る食物でもあっただろうか。
「…お、男は、その…よく食べて、ふくよかになった女をどう思う…? ああいや、男ではなく君がどう思うかを教えてくれれば良いのだが…」
ふむ。考えたこともなかった。
「そうだな…よく食べるのは良いことだ。それに俺は容姿で人を選ぼうとするつもりはない」
「……!!」
「…だが、俺は浪人だ。そのような食欲旺盛な人間を養えるとは思っていない。銭がすぐに消えていく」
「………そ、そう、か」
寿司に手を伸ばしていたセイバーの手が止まり、そっと膝下に戻る。あまり気分が良くないのだろうか。
「そ、その…あ、明日以降、少しずつ頂こうかな」
「遠慮する必要はないぞ、セイバー。それにこの量、貴殿が食べられない量ではないだろう」
セイバーはわなわなと震えて何かを云おうとするが、こちらには何も聞こえなかった。そしてついに諦めたのか、ゆっくりと料理に手をつけ始めた。
(気に入ってくれれば良いんだが) - 11二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:48:20
すみません、クソボケ伊織とクソボケセイバーの伊剣です
- 12二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 09:53:49
埋めおつ
伊織もだけど、セイバーも「特別」を向けられてることに気付けていない気がしてたからこのスレうれしい - 13二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 10:30:55
両片想いの美味しい出汁がとれるスレだ…そういうのもっと頂戴!!!
- 14二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 11:03:00
お、スレ主受験終わったんか
- 15二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 11:17:16
受験前にスレ立ててた人とは別じゃないかな…
伊剣の両片思い大好きだ。たのしみ。 - 16二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 11:35:24
- 17二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 11:46:30
- 18二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 12:07:25
合格おめでとうございます!!! よかった!!!!
心置きなく伊剣にひたってください!
伊剣はどちらも、相手にクソデカ感情持ってるのは自分だけだと思ってる感がありますよね…
で、それを伝えなくともよいと自分一人で抱え込んでいるという…
- 19二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 12:08:31
- 20二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 13:23:40
お祝いありがとうございます!ぼちぼち続けていきます…!
セイバーのことは基本的に女として表現していきます…もし嫌な人がいたらブラウザバックお願いします
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「どうだった? ちょっとは伊織さんに惚れてそうだったか?」
「…無理だ。それに、そんな一日二日で変わりはしないだろう。普段と変わらず愛らしい顔で頬張るが、俺の方は見向きもしない」
だが、何故かあれ以降セイバーは何か事あるごとに俺の反応を伺うようになった。
『その…勇ましい女はどうだ?』
『し、身長が小さい女をどう思う?』
『な、なあ。やはりその、豊満な人の方が好き…なのか? 男はそういうのが好きと…その、助之進に聞いたのだが…』
また助之進。セイバーの口から助之進と発せられる回数は何かと多い。やはり手始めにセイバーから離すべきは助之進だろうか。
「…伊織さんって、時々大胆だよなァ。真顔で結構恥ずかしいことを云って……に、睨まないでくれねえか?」
……とはいえ。そうやって訊かれる質問に答えるたび、一喜一憂するセイバーがいる。まさかセイバーには、想いを寄せている男でもいるのだろうか。セイバーは美しい。きっとどんな男でも惚れさせることは難しくない。一番近くにいる男である俺に聞いて、もし誰かに実践しているのならば……
(ああ、それは…とても嫌だ) - 21二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 17:43:09
ある日、セイバーが横を通ると花のような香りがした。
「セイバー。今、何かをつけているか?」
「ん、んんっ!? あ、えっと、そのぅ…ダユウから香をいただいてな。君が出かけている間に外で焚いて、少し身にまとっていたんだが…いや、か?」
「いや、構わない。だが…」
華やかな香りはよく香る。セイバー自身の香りがかき消されてしまうのは少しもったいないし、この香りで変に欲情する男が増えても困る。
「俺といる、この長屋だけにしてくれるか?」
「…あ、ああ。そ、そうか、君にだけか…ふふっ…」
「お前は良い香りがするな」
「……〜〜〜〜っ!!い、云うなっ!!」 - 22二次元好きの匿名さん24/04/14(日) 22:54:02
思ったことをそのまま云っただけなのに機嫌を損ねてしまった…甘味で機嫌を直してくれるといいんだが…
「わ、私がそんな都合のいい人間だと思うな!!ぷんっ!!君はそういう甘ったるい言葉を他の女にでもぽんぽん云っていればいいんだ!!」
…完全に拗ねてしまった。他者と関わるのは難しい。
「セイバー、俺は貴殿にしかこんなことを云わない」
「嘘だ!!君は、も、モテるから……綺麗な女だって、好き放題……ぐすっ」
セイバーの目尻から涙が溢れる。詳しいことは理解できないが、自分の行いがセイバーを傷つけたらしい。これでは、彼を守ることもできない。彼に想いを寄せる男として失格だ。
「…セイバー、泣かないでくれ。俺が、ああいった言の葉を貴殿以外に云ったところを見たことがあるか?」
「な、無いが…ぐすっ、どうせ私のいないところで…」
「セイバー。俺は貴殿を、大切に思っている。貴殿にだけだ。他の女にも、カヤにも、この気持ちを抱いたことはない」
「……」
これで伝わるかは分からない。だが、彼に熱情が伝われば少しは男と関わるのをやめてくれるかもしれない。そして、俺が他の女など見てはいないことも気づいてくれるだろう。そうすれば…
「私に、だけ…」
「そうだ、貴殿にだけだ。俺のこの…」
「…つまり、私と君は、ずっとずっと心を通わせた友というわけだな!! 誰にもこの座は渡さぬぞ!」
「……そ、そう、か」
セイバーは幾分か…いや、よっぽどの鈍感らしい。まあ、流石に先走りすぎたとも思っていたからちょうどいいのかもしれない。今はこの距離で、だがいずれはもっと踏み込んだ…
「バカイオリ…そ、そんなこと云われると勘違いしてしまうだろう…」
「セイバー、よく聞こえなかった。なにか云ったか?」
「な、なんでもない!」