- 1122/01/26(水) 23:07:36
- 2122/01/26(水) 23:08:45
曰く、メジロ家で開設する12歳以下のウマ娘向けトレーニングクラブ。そこに自分を招き入れられないか交渉してほしい、とマックイーンが頼まれた…とのこと。
「ヘッドハンティング?」
「ええ……良くないことでしょうけど。直接職員を寄越すわけにはいきませんから、私に言伝を頼んだのでしょうね」
すこし呆れ顔である。マックイーン自身、良くない気はしているようだ。話すかどうかも悩んだことだろう。倫理観とせめぎあいを起こしたかもしれない。
「理由は聞いているか?」
「私への指導を買ったようです。トレーナーの中でも若いですし、優秀な成績もあるとなれば、文句なしの人選でしょう。多少なりともメジロ家への理解があれば尚更です」
評価されていることは嬉しい話である。だが。
「確かにそうかもしれないけど、急な話だし様子見かな。君も現役だしね」
「ふふふっ。ありがとうございます。これからもよろしくおねがいしますね」
柔らかい表情を見せた。この様子なら特に引きずるようなこともないだろう。余計な心配は必要なさそうだ。 - 3122/01/26(水) 23:10:12
しかし、マックイーンが現役にも関わらず自分をハントしようとしたのか?引退後ならまだしも、いや引退後だとしても、新人を狩るのは気が早いと思うのだが。
「これからもよろしく。なんでこんな真似をマックイーンに頼んだんだろう?契約更新の時期でもないし」
「それは思い当たることが一つありますわ」
「え、そうなの?」
「トレーナーさん、大人気ですのよ?各良家・組織が引き込みを狙っているのですから」
……嘘だろ?なんだその話?曲がりなりにも新人を狙っているなんてあるのか?
「ポカンとされてますけど、思い当たる節はありませんの?」
なにかプレゼントをもらったり、偉い人の名刺を受け取った憶えは無かった。イマイチピンとこない。
「いや、分からない、な。周りにいる良家なんて、それこそメジロ家や桐生院さん、あとはサトノダイヤモンドさんか?本当かそれ?」
「ええ、トレーナーさんを系列に引き込み脅威の排除と陣営の強化を画策している、という情報は私の耳にも入りました」
マックイーンを疑っている訳ではないが、漫画や小説でしか聞かないような話をされてもついていけない。
「そんなファンタジーな」
「それだけの事を、私達は成し遂げたのですわ」
ちらりとトレーナー室の壁に目を向ける。飾られているこれまでの栄光の記録。……確かに、退屈であろうとファンタジーに手が届いているのかもしれない。 - 4二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:10:27
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- 5122/01/26(水) 23:11:10
「それで他に取られないうちにメジロ家も動き出して、てことか。掛かり過ぎだろう。そもそも俺トレーナーは続けたいし、教官経験もないからね。しばらく…マックイーンのトレーナーを辞める気はない、と伝えておいてくれるか」
「分かりました。これからもよろしくお願いしますね。トレーナーさん」
「ああ、よろしく」
なにかと騒がしいことに巻き込まれた気がするが、将来が安泰であることだけ汲んで喜んでおこう。賃金アップとか教官業のほうが向いていてトレーナーとしての限界を感じたら考えてみるか。いやまずはマックイーンの事だ。
そんなこんなで、この話は頭の片隅に追いやられていった。 - 6122/01/26(水) 23:12:47
数日後、トレーナー室にて。マックイーンが入ってあいさつもすぐに、爆弾を放り投げてきた。
「トレーナーさん。えっと、その…お付き合いされている方は、いらっしゃいますか?」
「……どうした!?」
どういうことだ。まさか恋愛相談?彼氏がいたのか?できた?いや好きな人ができた?どうにしろメディアの網に引っかかるのは不味い。いや落ち着け決まった訳「トレーナーさん!どうですの!!」
「い、いや、いない……けど」
「そ、そうですか、いらっしゃらないのですね…そうですのね……」
マックイーンの反応がハッキリしないことに震える。
「マックイーン、答えてくれ。彼氏がいるのか?」
「?いませんわ」
「好きな人がいるとか?」
「い、いません!」
「本当だな?」
「本当ですわ!なにかスキャンダルになるような話もありません!」
「そうか、それならいいんだ」
ずっと一緒に頑張ってきたんだ。真偽はともかく、信じることにしよう。大丈夫だ。性格や年齢、美貌を考えたらいてもおかしくないんだ。いずれ向き合う日が来る話だろう。節度ある恋愛をしてくれるならなにも言うことはない。提言はまだしも、止める権利はないのだ。大胆なマネはしないようにと、それだけは伝えておくべきだろうか。いやそれも余計な話か…
「そ、それでは彼女はいないと、私の家に伝えておきますね!以上ですわ!」
「……え」
いや待て、どういうことだ!俺の話だったの?そうだったな!なんでメジロ家に報告を!?
言葉に出る前に、マックイーンはトレーナー室を出ていってしまった。
どういうことだ……? - 7122/01/26(水) 23:13:58
「うう、聞くだけでも恥ずかしいですわ……」
以前トレーナーが辞めることは当分ないことを報告したあと、通話していた人が「お嬢様にトレーナー様をおとしていただければ…」なんてことを言い出した。その意味が分からない訳ではない。想像してそのまま固まってしまった。
そのあと、上司の人から謝罪された(さっきの人のあまりキレイでない叫び声も聞こえた気がした)のだが、それ以来トレーナーのことを直視しづらい。
(といいますか、別に彼女の有無なんて聞けと言われてないですわ。別に嫌という訳ではありませんけれど、トレーナーさんと付き合うことになったら私……トレーナーさんでしたら趣味嗜好も理解されてますし、変に気を遣う必要はありませんね……あとトレーナーさんにきちんとマナーを教えなければ。以前は会場で付け焼き刃程度でしたが、今度はマンツーマンで私の隣として相応しく。いえ、その前に私ももっと活躍してトレーナーさんの隣に立つものとして……)
「いえいえ、何考えてますの!?」
変な想像をしてしまい、顔から火が出そうになる。
「もう!どうしたらいいんですのー!」
しばらく、メジロマックイーンの調子は安定しなかった…
おしまい - 8二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:14:50
爆弾を投げ入れてきた(物理)かと思って身構えちまった
尊いね……… - 9二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:15:15
- 10二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:15:25
やるやんけ
- 11二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:26:13
続きは!続きはどこで読めますか!
- 12二次元好きの匿名さん22/01/26(水) 23:40:48
グッド。素晴らしいトレマクだった
- 13122/01/27(木) 00:19:48
- 14二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:23:15
殺伐とした時を過ごしていたからか安らいだわ…
- 15二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:24:38
良いものを見た
いいトレマクだ…… - 16二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:26:58
- 17二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:31:05
トレーナーくんにちょっかいをかける年上の女をひとつまみ入れることでもっとトレンディになると頭の中のマル姉が囁いてくるが、どう考えても邪道である
- 18二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:40:53
トレーナーのことは憎からず思ってるけどあんまりグイグイ行くのもはしたなくてヤキモキするマックちゃん可愛い
- 19二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:46:13
- 20二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 00:56:26
- 21二次元好きの匿名さん22/01/27(木) 02:21:35
- 22122/01/27(木) 08:21:13