【SS注意】【トレウマ注意】【閲覧注意】たくましいダイワスカーレット

  • 1二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:21:44

    ――目が、覚めた。
    視界に入ってくるのは、いつもの何の変哲もない天井。
    仰向けに寝ている背中に感じるのは、昨日と同じベッドの感触。

    ドンドン ドンドン

    ドアを何度も叩く騒がしい音。
    インターホンが連打されている。
    スマホはさっきからひっきりなしに呼び出し音を鳴らしている。

    「はーい。今開けますよー」

    折角の休日になんだろうか。
    同僚の悪戯だったら、怒鳴っても許されるんじゃなかろうか。
    身支度を簡単に整えると、応対に出る。

    「トレーナー! やっと会えた! 大変なの!」

    そんな、自分の前に現れたのは。
    担当で愛バの、ダイワスカーレットだった。

    「どうしたの?」

  • 2二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:22:04

    眠い目をこすりながら、彼女に訪ねる。
    自主トレをしようとしていたのか、体操服にブルマ姿。
    ……違和感。

    「それどころじゃないのよ! アタシのツインテールが!」

    「ツインテールが?」

    スカーレットの後頭部に目を向けて、違和感の原因に気付く。
    彼女のトレードマークでもある、長く美しいツインテールが根元からない。

    「……切ったの?」

    おそるおそる、聞いてみる。
    昨日は、そんな素振りは微塵も見せていなかったが。
    首を振るスカーレット。

    「違うわ。朝起きたら、ツインテールに足が生えて走ってったの!」

    「は?」

  • 3二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:22:25

    困惑する。
    そんなことがあるはずはない。
    ……そんなに、彼女に無理をさせてしまっていたのか。
    無意識に、スカーレットを抱き締める。

    「ごめん。スカーレットが疲れているのに気が付かなくて。なんでもしてあげるから、今日はゆっくり休んで」

    胸の中で、赤面する彼女。

    「それは、それで……。じゃないの! ちょっと来て!」

    「うわっ! ちょっと待って!」

    スカーレットに手を引かれるままに、駆け出す。
    ずっと早いその速度についていけず、身体が宙に浮いた。

  • 4二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:22:55

    着いたのは、いつもトレーニングに使用しているグラウンド。

    「……なにあれ」

    そこにいたのは。
    スカーレットのツインテールに足の生えた、名状しがたきものだった。
    赤いリボンがないところを見ると、多分右側のツインテール。

    「ちきしょー! 全然勝てねえ!」

    「くっ、スカーレットさん強すぎですわー!」

    「ま、まさかアタシが全く追いつけないなんて……」

    死屍累々。
    まだ、目に火が灯っているのは、ウオッカにカワカミプリンセスにスイープトウショウ。
    だが、遠目に見ても連戦連敗を重ねている。
    10馬身以上の大差で。

    「ど、どうしたんだ!」

    スカーレットを連れてグラウンドに降りると。

    「おや、スカーレットのトレーナーさん」

    アストンマーチャンが声を掛けてくれた。

  • 5二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:23:19

    「あれ、どうなってるの!?」

    指差しながら聞いてみると。

    「あれですか? 朝練にスカーレットが乱入してきまして。東京2,000mや京都2,000m、阪神2,200m等の設定で勝負しているのですが、みなさん全然歯が立たないんです」

    「いや、あれスカーレットじゃないだろ」

    そう言うと、首を傾げて不思議そうな瞳をこちらに向けるアストンマーチャン。

    「あのツインテール、どこからどこを見てもスカーレットだと思うのですが……」

    そこで、初めて俺の後ろのスカーレットに気が付く。
    だが、まるで他人のようなよそよそしい視線。

    「ふむふむ、そういうことですか。新しい担当さんを見つけたのですね。だからスカーレットがあんなふうに荒れていると。初めまして、トレセンのマスコット予定のアストンマーチャンをよろしくお願いします」

    彼女の対応に、顔面蒼白のスカーレット。
    代わって、アストンマーチャンに言い募る。

    「いや、こっちが本物のスカーレットだって! いつも一緒にいただろ!」

    「はて、おかしいですね。スカーレットならツインテールがあるはずです。そちらの方にはないではありませんか」

    「そうだけど!」

  • 6二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:23:41

    これ以上、話しても無駄と判断して、コースを走っているツインテールに目を向ける。
    スカーレットそっくりの良い脚だ。
    ちらり、と隣のスカーレットを見る。
    ……この脚は、本当にスカーレットの脚だろうか。

    「きゃっ!」

    感情の赴くままに、その脚に手を這わせて揉む。
    ……本物だ!

    「なにすんのよ!」

    ……蹴られる!
    受け身を取ろうとしたところに、横から衝撃が来て、そのまま土手に叩き付けられる。

    「……いててて」

    打った腰をさすりながら立ち上がって、そちらを見ると。
    蹴ったのは、さっきまで走っていたツインテール(右側)だった。
    そのまま、どこかへ走り去っていくそれ。

    「追わないと!」

    慌てて2人で追いかけるものの、見失ってしまう。

  • 7二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:24:04

    「……なかなか、しぶといわね」

    「そりゃあ、スカーレットの脚に、上半身がないんだもんな。早いよ」

    カフェテリアで作戦会議。
    クリームソーダを飲みながら、打開策を話し合う。
    気分転換に、と周りに目を向けると、スイーツを山盛りにして悦に浸っているメジロマックイーン。

    「……あー、その量はやめたほうが良いんじゃないかな」

    スカーレットのライバルではあるが、思わず声をかけてしまう。
    友人でもあるマックイーンのトレーナーが、いかに減量に心を砕いているか知っているから。
    だが。

    「美味しいですわ~、最高ですわ~」

    彼女の耳には全く届かないらしく。
    幸せそうな顔で、次々とスイーツを平らげていく。
    そこに、手を引かれて現れたマックイーンのトレーナー。

  • 8二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:24:26

    「あ、あれ!」

    「わかってる」

    マックイーンのトレーナーを連れて来たのは、スカーレットのツインテール(左側)だった。
    赤いリボンがついているから間違いない。
    しかしながら、殺気が洩れていたのだろう。
    こちらを認めると、一目散に逃げてしまうスカーレットのツインテール(左側)。

    「くっ、早いわね」

    飛びついたものの、一瞬で躱されたスカーレットが悔しそうな声を上げる。
    「許してくださいまし」と情けない声を上げながら、ズルズルと引き摺られていくマックイーン。
    本当に、手立てはないものか。
    溜息を、つく。
    すると。

    「なんだい? あんたたち、スカーレットちゃんを捕まえたいのかい?」

    救世主となってくれたのは、食堂のおばちゃんだった。

  • 9二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:24:48

    「……本当に、上手くいくのかしら」

    「さあな、でもやってみるしかないだろう?」

    トレーナー室のテーブルの上に置いてあるのは、「そこ一番屋」のポスター。
    2人で手に持っているのは、昔ながらのトリモチ。
    罠を張り、待ち伏せをしている。

    食堂のおばちゃんに話を聞くと、スカーレットのツインテールたちは、今度食堂でコラボする「そこ一番屋」のカレーのポスターを、軒並み持って行ってしまったとのこと。
    だから、それを罠にすれば寄ってくるに違いないとのことだった。
    予備のポスターを預かって激励されたので、ミスをするわけにはいかない。

    「きたわね」

    「ああ」

    そして、本当に来た。
    しかも、右側と左側、2体一緒に。
    テーブルの上のポスターに、スカーレットのツインテールが飛びついたところを。

    「えいっ!」

    「やあっ!」

  • 10二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:25:08

    ソファの影から躍り出て、手に持ったトリモチを一閃させる。

    「やったわ!」

    「やったな!」

    2人とも、それぞれツインテールをゲット。
    所詮、ツインテールと脚の分の重さしかないので、強力なトリモチにくっつかれて、中空に浮かせられると、足をジタバタさせるだけでなにもできない。

    その、2体の足を、スカーレットがむんずと掴んだ。

    「ふんっ!」

    そして、そのまま後頭部にめり込むように吸い込まれていくツインテールの足の部分。
    ……夢でも、みているのだろうか。
    腰までずぶずぶと入りきると、そこにいたのは、いつものツインテール装備のスカーレット。

    「ありがとう、トレーナー」

    満面の笑み。
    だが、自分は今の光景が信じられなくて。

    ――意識を、手放した。

  • 11二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:25:29

    ――目が、覚めた。
    視界に入ってくるのは、いつもの何の変哲もない天井。
    仰向けに寝ている背中に感じるのは、昨日と同じベッドの感触。

    ドンドン ドンドン

    ドアを何度も叩く騒がしい音。
    インターホンが連打されている。
    スマホはさっきからひっきりなしに呼び出し音を鳴らしている。



    ……To Be Continued?

  • 12二次元好きの匿名さん24/05/07(火) 20:25:48

    これで終わりです。
    ありがとうございました。

    至らない点もあると思いますが、よろしくお願いいたします。

  • 13二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 06:53:59

    スレタイどういうことかと思ったら、たくましいなwか

  • 14二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 07:07:08

    トレウマ…?

  • 15二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 07:15:20

    >>14

    (パーツが)トレ(てしまった)ウマ(娘)

  • 16二次元好きの匿名さん24/05/08(水) 17:58:24

    >>13

    ありがとうございます。わかりましたか。その通りです。スカーレットばんじゃーい。


    >>14

    ありがとうございます。トレウマです。


    >>15

    ありがとうございます。上手い、ツインテール(左側)さん、座布団1枚持ってきて~。

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