【SS】トレちゃん、昨日はプリンの日だったね

1二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 00:00:04

「トレちゃん、今日はプリンの日だよ。やることは…分かってるね？」
「ああトラン。食い尽くすぞ」
午後の6時を過ぎた夕暮れ時、俺たちは街に出向く
こんな時間からでかけ出すのにも意味があるのだ
そう、それには深い、深いわけがあったのである
世間で人気のプリンだが、プリンの日は意外に世間に認知されていない
なぜなのかトランに聞いてみる事にしたのが発端だった
「プリンの日がなぜ世間に認知されていないのか、って？当たり前じゃん」
それはね…と神妙な顔をして続ける
「暴動が起こるからだよ」

2二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 00:00:55

時は20xx年5月25日。とあるプリンの人気店が今日はプリンの日と掲げ、プリンの大安売りをした
ただでさえ人気なプリン。そんなプリンをプリン好きだけでなく一般人の多くが買おうとした結果売り切れそうになるワケで
そうするとそのお店が、もうすぐプリンがなくなりそうって広めまくったんよね
人気店だから発言力があるわけで、近所どころか県内全域くらいまで広まりまして
噂に尾鰭がついてプリンが消え失せる…なんて陰謀論まで囁かれ米騒動状態に…
1日で鎮圧されたんだけど小さいマニア向けのお店がバレたりしてマニアに大ダメージ
それから大中小関わらず同盟が結ばれてキャンペーンは大々的に行わず、日が沈んでからひっそり一夜だけのプリン横丁が開かれる事になった
細くて普段は碌なとこじゃないんだけど、この日だけ一転するのが特徴
マニアの間の口伝えだけで続いてるお祭り…みたいなものだよん

3二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 00:02:31

「ふっふっふ、今年はついにその場所を突き止めてねー♩」
トランは上機嫌で俺の手を引っ張っていく
待ちきれないようで、互いに早足になっていた
「プリン横丁って言っても何があるんだ…？普通と変わらないプリンじゃないよね…？」
「そんなゲテモノみたいなのじゃなくて、掘り出し物とかだね。トレちゃんが大好きなやーつ」
「まさか」
「そう。あの古のバケツぷりん〜大正浪漫風味〜」
「なついな…」
もう生産終了されてるものまで手に入るかもしれないらしい。これは…戦争だ
「さ、着いたよ。」
怖い顔のおっさんたちが真剣な顔でプリンの交渉をしている
非常にシュールだった事は覚えていた
「さて、連れてきたはいいけどこっから先は見られるわけにはいかないなー。てことでトレちゃんは少し眠っててね」
ﾌﾟﾘﾝﾊ､ｾﾝｿｳ。ｵﾚﾊ、ﾈﾙ。そんな文字列が流れ込んだ
そこから先は記憶が曖昧だけど柔らかくて、いい匂いがした気がする。

「おはよ。トレちゃん」
慌てて体を起こすと、時計はまだ今日を指していた
「夜はまだこれから、だな」
ニヤリ、笑いながらトランは言う
「プリン、堪能しよーぜい」
トランが後ろを向いてガサガサと袋を漁る
ツートンカラーの鹿毛を見て思った
「そういえばトランってプリンみたいだな」
ばしり。尻尾で顔を叩かれた
「…えっち。」
トランは顔を真っ赤にしてブツブツ何かを言っている
何故だろう、怒らせてしまったかもしれない
この後何やかんやあってバケツプリン食べた。めちゃくちゃ美味しかった
太り気味になってしまったのはご愛嬌