【閲覧・キャラ崩壊・CP「ロイリコ未来時空確定、スピ→リコ(成立なし)」注意、🎲&SSスレ】フリード!空から女の子が!Part4

  • 1124/06/20(木) 20:05:05

    まさかスピネルって人がルリを狙うなんて思わなかったな。そのせいか未来から来た私の調子も良くないみたい。しかもニャオハも風に飛ばされて、私の代わりにキャッチしてくれた未来のロイが一緒に飛ばされちゃって…
    どうしよう。ニャオハも未来のロイも、無事だよね?
    怪我なんて、してないよね?

  • 2124/06/20(木) 20:05:35

    ここだけ未来からリコの娘がやって来た世界Part4

    ロイリコ、スピ→リコ要素含みます。キャラ崩壊(特にスピネルの変態化)注意してください。

  • 3124/06/20(木) 20:06:03
  • 4124/06/20(木) 20:08:43

    現代軸

    未来のことを気にしている割合
    フリード 2
    リコ 62
    ロイ 22
    ドット 4
    マードック 69
    モリー 84
    オリオ 43
    ランドウ 59

    赤ちゃん(リコ娘)の可愛がり度
    フリード 83
    ロイ 56
    ドット 92
    マードック 72
    モリー 83
    オリオ 78
    ランドウ 52

    現在のロイリコの好感度
    リコ→ロイ 39→50(意識あり)
    ロイ→リコ 88(大好き)
    信頼値
    リコ→フリード 70→80
    リコ→アメジオ 17
    リコ→スピネル −37

  • 5124/06/20(木) 20:09:36

    未来軸ロイリコの好感度
    リコ→ロイ 37→48
    ロイ→リコ 68
    赤ちゃんへの感情の強さ
    ロイ 40
    スピネル→リコの好感度 48

    ・未来軸でロイリコは一度成立済み。
    しかし皆にお付き合いの報告をする前に事故(実はスピネルの陰謀)に巻き込まれ、互いに交際していたことを忘れる。
    ・お付き合いの期間はわずか1週間。リコは交際していた人がいたことは覚えていたが肝心の相手がわからず、ロイは交際していた人がいたことすら忘れている(ただ何か大事なことを忘れたという深い喪失感はある)。
    ・その後妊娠発覚→出産の流れのため未来リコは未婚の母。アレックスさんは気絶した。

    ・アメジオ一行はエクスプローラーズのまま。
    未来軸手持ち
    リコ→マスカーニャ、ブリムオン
    ロイ→ラウドボーン、タイカイデン
    ドット→ウェーニバル、カヌチャン

  • 6124/06/20(木) 20:10:06

    ロイリコの交際にどれだけ気づいていたか
    フリード 44
    ドット 35
    モリー 89
    オリオ 25
    マードック 66
    ランドウ 70
    マスカーニャ 51
    テブリム 18
    テラパゴス 25
    ラウドボーン 30
    タイカイデン 35

    未来軸リコ関連の信頼値
    リコ→フリード 130→178
    リコ→ドット 147
    リコ→モリー 57
    リコ→マードック 67
    リコ→オリオ 70
    リコ→ランドウ 105

    フリード→リコ 88
    ドット→リコ 137
    モリー→リコ 72
    マードック→リコ 116
    オリオ→リコ 114
    ランドウ→リコ 115

    リコ→アメジオ 49
    アメジオ→リコ 58

  • 7124/06/20(木) 20:10:40

    バトルの仕方


    ダイスの女神様のご意思により簡潔に行うことになりました。他スレを見ながら我流に作ったルール説明です。

    ①ポケモン1体につきHPは200。未進化は100とします。

    ②ダメージはdice1d(HP)で振ります。出た数だけダメージを与えます。強さによって10や50で固定する場合もあります。

    ③回復技を撃った場合もdice1d(HP)で振ります。出た数だけ回復します。

    ④ゾロ目が出た場合急所にあてたとみなし、出た数の1.5倍にします。条件は下二桁が揃ったら。

    ⑤リフレクターやひかりのかべ、タイプ相性によって0.5倍や2倍にします。合計ダメージ等は次のレスに記入します。効果抜群やいまひとつも適用した合計で考えます。

    ⑥ダメージを与えたら次のターンは残りHPでダイスを振ります。HPが0になるまで繰り返します。

    ⑦複数人でのバトルの場合、誰に攻撃するかもダイスで決めます。

    例)〇〇→ダメージdice1d100=35 (35)

    攻撃の相手dice1d2=2 (2)

    1 △△

    2 □□

    ⑧1ターンでやられた場合は絆耐えのダイスを振ります。


    アニポケよりゲームのポケモンに近いルールとなっています。ご了承ください。

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 20:26:43

    待ってましたー!
    展開読めなくて楽しみです!
    新スレ立て乙です!

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 20:30:10

    頑張れー!

  • 10124/06/20(木) 21:27:16

    「ロイー!!!」

    フリードはリザードンから飛び降り、そのまま駆け寄る。ニャオハのマジカルリーフが目印になったことですぐに見つけることができた。
    「ニャオハは無事か!?」
    「ニャオハ!」

    ニャオハの返事を聞いてフリードはロイの方を向く。そして頭部からの出血がわかると首にかけていたタオルを取り、横たわせた後慣れた手つきで止血を開始した。
    じわじわと黄色いタオルが赤く染まる。肩を叩いても声をかけても反応は返ってこない。二人が土砂に飲み込まれたあの時と同じ光景はフリードの心の、その深くまでえぐりとった。

    幸いにも出血はすぐに止まり、取れないようにタオルを包帯代わりにして縛る。そこがフリードの限界だった。トラウマそのものといえる体験をこの短時間で二度も経験したのだ。たとえいくつもの修羅場をくぐり抜けてきた彼だとしても、せり上がってくるその感情を抑えることはもう不可能であった。

    少し経ってからのことだ。いくらか落ち着きを取り戻したフリードはロイの下に潜り込み、右腕を引っ張るとそのまま持ち上げた。それからリザードンの目の前まで運ぶと、口角を無理やり上げてニャオハとリザードンを見た。

    「ニャオハ、呼んでくれてありがとうな。
    リザードン!とばしてくれ」

    ロイをリザードンの腕に乗せると、自身も青白い顔で背中に乗る。後から乗ったニャオハをフリードが腕で支えたのを確認したリザードンは、揺れを最小限に抑えながら飛び立った。ゴーグルを着ける気力も失ったその顔は、既にずぶ濡れだった。

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 21:52:06

    このレスは削除されています

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 21:52:26

    涙が雨で上書きされてるやつかな

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 22:16:02

    未来のリコとロイもだけどフリードもかなり辛すぎる…
    三人仲良く幸せになってほしい

  • 14124/06/21(金) 07:01:40

    「ニャオハ…大人のロイ…どうしよう、私がちゃんと掴まえられなかったから…」
    「リコのせいじゃないよ!それに、大人のぼくは強いんだ!だからきっと大丈夫だよ!!」

    船の上で子どものリコが後悔をこぼす。ロイがフォローするも、手の震えは収まらなかった。風が落ち着いてすぐに未来フリードがリザードンに乗って大人のロイたちを追いかけたが、まだ帰ってきていない。
    大人リコを見つめる悪意を持った視線に気付いた現代のフリードが張本人、スピネルの視線を遮るように立ち塞がる。キャップもフリードの足元に移動しブラッキーも毛を逆立てる。両者の睨み合いはしばらくの間続いていた。

    それを止めたのはリザードンに乗って帰ってきた未来のフリードだった。リザードンの腕には目を閉じたままの大人ロイの姿があった。
    「ロイ!?」
    「大丈夫だ、もう血は止まってる。早くモリーのところに連れていきたい」
    現代フリードに返事をする未来フリード。無理していることを察されないようにしながらリザードンの腕から未来フリードの肩に重心を移動させて持ち上げる。怪我人を運ぶにしては少し乱暴かもしれないが、筋肉量も多い成人男性を確実に運ぶにはやむを得なかった。

    「…ロイ?」
    大人のリコがルリを抱えたまま二人の元に駆け寄る。雨に降られて身体はずぶ濡れなのにひどく口が渇く。リコはこれ以上話せないままモンスターボールを取り出した。
    「ブリムオン、ロイを救護室まで運んで」
    呼んだのはブリムオンだった。淡々と伝えるトレーナーを見てその感情を知ったブリムオンは静かに頷くと、サイコキネシスでロイを浮かせる。そして未来フリードと共に船内まで歩いていった。

    「ニャオハ!」
    ニャオハが子どもリコの元に走ってくる。ニャオハには怪我一つない。ロイが守ってくれたのだろうと察したリコは、言葉にもならない息を漏らすだけであった。泣きそうな顔で声をかけることもできないまま、ギュッとニャオハを抱きしめた。

    雨風の音だけが鳴るこの場所で、次に響いたのは一人の男の笑い声だった。

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 17:27:00

    今度は現代と未来のリコに信頼されてる現代フリードにスピネルの嫉妬の矛先が向きそうで不安だ
    未来リコロイの心の支えでもある未来フリードの精神状態も限界に来てるしハラハラする

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 18:20:37

    頼むから無事であってロイ

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 19:39:36

    このレスは削除されています

  • 18124/06/21(金) 19:51:02

    「あは、ははは、ははははは!!
    あはははははははははははは!!!」

    口角を吊り上げ声量も気にせず笑うのはスピネルだ。両手で目元を覆い、その指の隙間から覗かせる瞳に光はなくどんよりと濁っている。歓喜と狂気をその瞳に同居させた彼の様子は、見る者を恐怖に陥れるには十分過ぎるものだった。

    「何がおかしい!!」
    現代フリードが声を荒げる。当然の反応だ。怪我人を見てこの態度なら誰もが怒りを露わにするだろう。だがスピネルは気にもとめず答えた。
    「おかしいもなにも、嬉しいんですよ私は!!あんなに憎らしかったあの男が、勝手に自滅してくれたんですから!!」

    唇を噛みしめた子どもリコがニャオハを抱きしめる力を強くさせる。胸が痛かった。あのとき自分がニャオハを掴めなかったからだと、責任を感じてしまっていたからだ。

    「…いい加減にして」
    笑いが止まらないスピネルを封じる声があった。その主は大人リコだ。言葉を荒げることもなく淡々と発するその音は冷静さを保っていた。ただスピネルを睨みつけるその瞳には強く燃え上がるような感情、憤怒が宿っていた。

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 05:58:48

    おこリコ

  • 20124/06/22(土) 07:25:53

    「おやおや、庇うのですか?こんな大事なときに自滅するようなあの男のことも、言葉の乱暴なこの男のことも?」

    未来スピネルはわざと大人リコを挑発するような発言をする。だが、リコはそれには乗らなかった。あくまで冷静に、子どもの前だから言葉を選びながら返答を繰り返した。

    「仲間を侮辱されて、黙っていられるわけがないでしょ?」
    「…仲間、ですか……」

    偶然にもこの言葉は、ついさっき大人ロイが言ったことと同じであった。もちろんリコがそれを知っているわけがない、聞いていたのはスピネルだけだ。だがスピネルは、リコの言葉が紛れもない本心だとわかったからこそ気に入らなかった。

    「どうするおつもりですか?また私だけを見てくださる訳ではなさそうですが…貴女だけで何ができると?先ほど私に、"負けた"じゃないですか」

    クスリと微笑むスピネルは美しく、そして悍ましかった。どうしても自分がされたことを思い出してしまい、ひどく恐ろしかった。大人リコは口を閉ざしてしまい、ギュッと手を握る力を強くするだけであった。

  • 21124/06/22(土) 07:30:26

    「そんなことない!」

    声は隣から聞こえてきた。子どものリコだ。彼女は未来の自分の方を向くと、その顔を真っ直ぐ見ながらこう言った。

    「さっきは戦えなくてごめんなさい。でも、今はニャオハがいてくれる!ロイにはホゲータが、フリードだってここにいるよ!未来の私はもう一人じゃないよ!!
    ずっと冒険してきたんだよね?なら私も知ってるはずでしょ?一歩踏み出せばもう怖くないって!ポケモンと一緒なら、どこにでも行けるって!!」

    子どもリコの言葉に呼応するかのようにバッグに入ったボールが揺れる。罪を犯そうとした自分を優しく抱きしめて許してくれたマスカーニャ、自分たちを守るために進化してくれたブリムオン。この時代のフリードとロイも頷く。そうだ、今はみんながいてくれる。みんなで、勝つんだ。

    「ありがとう、子どもの私!」
    子どもリコの目を見返してお礼を言う。大人リコの目に、もう迷いはなかった。そしてフリードとロイがいる方に顔を向けると口を開いた。

    「お願い、みんな協力して!
    彼を、空に連れて行ってあげよう!」

    不敵な笑みを浮かべる彼女には考えがあるようだった。瞬時に理解したフリードは笑い返したが、子どもたちには意味がわからなかったようだ。ロイにはフリードが、子どものリコには大人のリコが耳打ちして内容を伝えた。

    「…お話は終わりましたか?」
    腕を組んで冷たい視線を送るスピネル。隣に立つブラッキーも毛を逆立てて威嚇の姿勢を崩さない。リコたちも、フリードもロイもスピネルを見据える。覚悟を決めた表情は真剣で、そこにあるのは仲間や自分を信じる気持ちだけだった。

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 10:11:23

    スピネルを前に複数でバトルって、本編のリコロイドットVSスピネル思い出すな
    あの時とはメンバー違うけど

  • 23124/06/22(土) 14:09:50

    (バトル描写はしないルールでしたが、多分最後になるので書いてみました。ご了承ください)



    まずキャップが飛びだし、ボルテッカーで走り回る。その両足は風を切るほどに速く駆け回り、自ら風をつくっていくとやがてゴウゴウと音を鳴らす竜巻を生み出した。

    「リザードン!」
    「ホゲータ!」
    「「かえんほうしゃ!!」」

    そこに躊躇いもなくリザードンとホゲータは炎を吐き出す。はじめは強かった炎が雨風にあおられ、芯が揺らめき灯火が消え入りそうになるが、フリードもロイも指示を止めず二体は全力で火をつけ続けた。

    「何を企んでいるのか知りませんが無駄です。ブラッキー、バークアウト」

    ブラッキーから黒い衝撃波が放たれる。遠距離からの攻撃だったためほとんどが竜巻に呑み込まれていったが、その力はわずかにリザードンとホゲータを揺るがした。それでも、通常よりは弱まってしまったもののなんとか竜巻の中に火が届き、風に熱が灯る。

    「今だよ!!」
    叫んだのは大人リコだ。スピネルの視線が竜巻に移った一瞬を利用してマスカーニャとニャオハはブラッキーの後ろに、それも竜巻とブラッキーの対角線上になるように移動していた。

    「マスカーニャ、リーフストーム!!」
    「ニャオハ!マジカルリーフ、いっぱい!!」

    リコたちが指示を出すとすぐにそこら中緑で満たされ、あっという間に葉柱が出来上がった。包み込むような優しい色で、全てを切り裂くような風が吹いていた。

    「ブラッキー、バークアウト!」
    森と見間違うほどの葉の嵐にも一切怯むことなく、スピネルもまたブラッキーに指示を出す。葉の嵐と黒い衝撃波は一進一退の勝負を繰り広げていたが、やがて黒い衝撃波を葉の嵐が押しのけていき、ブラッキーはそのまま緑に呑み込まれていった。

  • 24124/06/22(土) 14:14:15

    キャップが竜巻の中から脱出した直後、葉柱と竜巻は合体し今までに見たことがないほどの風を呼び起こした。それは人間もポケモンも例外なく立っていられないほどの衝撃であった。


    大人リコは子どもリコとルリを、現代フリードは子どもロイを、リザードンはホゲータを、マスカーニャはニャオハが飛ばされないように、しゃがみ込んでしっかりと抱えながら押さえていた。ウイングデッキごと壊してしまいそうな音だけが響いていた。


    「ブラッキー!!」


    スピネルは竜巻に呑み込まれたブラッキーを救出しようとした。しかし全く近付くこともできず、スピネルはなすすべもなく吹き飛ばされてしまう。その衝撃でバランスを崩し、そのまま全身を叩きつけられ横たわってしまった。

    ここが嵐の原因だと言わんばかりの、全てを壊して崩しかねないほどの風を受け、誰も目を開くことができなかった。ただギュッと目を閉じて、風が収まるのを待っていた。


    空を飛ぶどころの高さではない。竜巻は葉と共にどこまでも勢いよく伸びていき、やがて空を貫いた。そして貫かれた雲の間から、目が眩むほどの一筋の光が覗いたのだった。


    ブラッキーへのダメージ(補正+50)

    dice1d200=7 (7)

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 14:24:07

    ようやく決着かあ
    良かった

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 14:43:24

    ダメージが……少ない!
    ダイス神がスピネルにまだ終わるのは早いと言っておられる

  • 27124/06/22(土) 18:49:40

    光が射す。雲が晴れる。風が当たる感覚がなくなりゆっくりと瞼を開くと、そこに見えていたのは空から照らす眩しい光、太陽だった。あんなにリコたちを打ちつけその身を冷やし続けていた雨が嘘のように止んでおり、分厚い雲も散り散りになっていくのが確認できた。

    「晴れたー!!」
    「ホンゲー!!」
    ロイとホゲータが空を見上げ、光を受け取ってキラキラと輝く眼を目一杯見開いて喜んでいた。突然天候が変わったことに驚きを隠せないフリードであったが、ずぶ濡れの髪をかきあげて見た久方ぶりの太陽に目を奪われていた。

    「わあ!」
    ルリが両手を挙げて喜ぶ。冷え切った身体を優しく包み込むような日差しは、この結果を祝福してくれているかのようだった。

    空に見惚れていた大人リコがふと正面に視点を戻すと、かつて竜巻があった場所にブラッキーが立っているのが目に写った。
    「!?」

    フラフラになりながらも歩いていく姿に再び警戒するが、ブラッキーの目線は倒れているスピネルにのみ向けられていた。きっと、もう走る体力もないのだろう。
    それでもなんとかたどり着くと、ブラッキーはスピネルの顔を覗き込み、自らの額をぐりぐりと擦り付けた。長い睫毛に縁取られた瞼が固く閉じられたままであることを確認すると、今度は服の裾を噛んで引っ張りはじめた。だがスピネルは微塵も動かず、目覚める気配もみせない。ブラッキーはリコたちになど目もくれず、スピネルの近くから動かなかった。

    そこにいたのはトレーナーを心配する一体のポケモンであった。大人リコはハッとするような感覚に襲われ、ブラッキーから目が離せなかった。

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 20:32:59

    ブラッキー懐き進化だもんなあ

  • 29124/06/22(土) 21:09:09

    ブラッキーに57ダメージ 残りHP9.5

    「ッカチュ!!」
    大人リコが声のする方を向くと、いち早くブラッキーが倒れていないことに気付いたキャップが拳に電気を蓄えていたのがわかった。トドメをさすためにかみなりパンチを打とうとしているのだ。当たり前だ、敵なのだから、それは正しい判断だ。大人リコもわかっていた。

    「待って!キャップ!!」
    だがその口は思考と正反対のことを叫んでいた。空に見惚れていた現代の三人も、ここでようやくブラッキーを倒せていなかったことに気付いた。ホゲータもリザードンもニャオハもマスカーニャも再び戦闘態勢をとる。
    「みんな、お願い待って!」
    みんなを止めるのは大人リコの言葉だ。彼女は自分の口から紡がれるそれを止めることができなかった。

    「リコ!アイツは敵だぞ!今なら取り押さえられるんだ!これ以上好きにさせられないだろう!?」
    「わかってる!スピネルは許せない、だから…ブラッキーと話したいの。お願い、少しだけでいいの。話をさせて!」

    大人リコが希う。何故今さら彼らを庇うような、こんな行動をとるのかリコ自身にもよくわからなかった。ただ、ブラッキーのこの姿を見て何もしないという選択肢も選べなかった。子どもリコが頭上にハテナを浮かべながら大人リコを見つめていた。

    「…わかった。
    だが少しだけだ。いつスピネルが目覚めるか分からないからな」
    険しい顔のまましぶしぶといった具合にフリードが了承した。リザードンとキャップも構えを崩さない。ロイも大人リコが何故急に話を望んだのかわからず、疑問を表情に出しながらホゲータと共に首を傾げていた。ポカンとしたニャオハを抱え、マスカーニャが呆れたようにため息をついていた。

    「ありがとう」
    大人リコは立ち上がった。そしてルリを抱えたまま歩き出し、スピネルを引っ張ろうと試行錯誤していたブラッキーの元へと向かっていった。

  • 30124/06/23(日) 02:25:24

    ブラッキーは近づいてくる大人リコに威嚇していたが、その身体から発せられる覇気は今までのものとは桁違いなほど弱々しかった。それでもスピネルを自身の背に庇う姿を見たリコは屈んでブラッキーと視線を合わせると、優しい声で話しはじめた。


    「あなたたちは、固い絆で結ばれているんだね」

    リコがマスカーニャとブリムオン、テラパゴスという相棒と生活を共にし日々を過ごしていたように、スピネルとブラッキーも同じように暮らしていたのであろう。マスカーニャがサンゴのオニゴーリが放つふぶきを耐えてくれたように、ブラッキーもあの渾身の一撃を耐えたのだろう。ブリムオンが自分を守るために進化してくれたように、ブラッキーも今スピネルを守ろうとしているのだろう。


    スピネルは敵だ。自分の時代でもこの時代でも色んな人を傷つけて沢山の酷いことをした、許せるわけがない。だが彼がいなくなればこのブラッキーは間違いなく悲しむだろう。スピネルだって、紛れもないポケモントレーナーなのだから。こんな簡単なことを忘れてしまっていた自分が恥ずかしいくらいだ。ルリの頭を撫でながらリコは続けた。


    「ずっと、こうやって生きてきたの?」

    ブラッキーはリコを見たまま黙ってしまった。騙し、出し抜き、ときに相手を傷つけて生きていくなんてリコには想像もつかない。それでも彼らが行ってきたことであり、そこには確かに絆があった。この事実は見なければいけない、そう感じていた。


    「お願い、負けを認めて。そうしたらもうバトルはしないし、彼の怪我も治療するよ」


    スピネルとリコを交互に見る、ブラッキーの表情が歪む。この子の一存で決められることではない、意地悪なことを頼んでいる自覚はあった。だがリコにだって守りたいものがある、引くわけにはいかなかった。

    やがてブラッキーは両足を揃え、姿勢良く座って一鳴きした。じっとリコを見つめる瞳にもう敵意はなかった。了承してくれたのだろう。ポケモンの愛情は本物だ、それを利用した若干の申し訳なさを感じながら、リコはもう一度微笑んで口を開く。


    「ありがとう、ブラッキー。

    あなたのご主人に、どうしても伝えないといけないことがあるんだ。協力してくれる?」


    大人リコがスピネルに対してしたこと dice1d3=2 (2)

    1 思い切りビンタして起こす

    2 縛りあげ起きるまで待つ

    3 腹に乗るようブラッキーにお願いする

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 08:05:10

    ほぼ容赦ねえ

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 16:14:33

    果たしてどうなってしまうのか

  • 33124/06/23(日) 18:56:46

    「よいしょっと」

    大人リコは抱えていたルリを自身の膝に乗せ、バッグから何かを取り出そうとしていた。ルリは向かい合うように座った状態で、自分が乗せられた母親の膝をペチペチと叩いていた。

    「あだー!」
    「ごめんね、ちょっと待っててね…
    えーっと確かここに…あった!」

    構え!と言いたげな娘を宥めながらリコが取り出したのはロープだった。そして身体だけで娘を支えながら、慣れた手つきでスピネルを縛りはじめた。それを見たフリードが急いで大人リコの元に駆け寄ると焦りを含んだ声で話しかける。

    「待つんじゃなかったのか!?」
    「うん、だから縛ってから目を覚ますのを待とうかなって思ったの」
    「……」

    さもそれが当たり前だと言わんばかりに親子そろってニコニコしている。意味を理解していないルリはともかく、リコはわかってやっているのだ。
    果たしてこれも成長なのか?同じリコでも、今の時代のフリードが知っているリコとは違う存在ではないか?とフリードが考えてしまうくらいには異端な光景であった。フリードの背筋に冷や汗がつたう。

    「ちょうど良かった。一人だと大変なの。フリード、手伝ってくれる?」

    有無を言わせない大人リコの視線に、フリードは頷くしかなかった。子どもたちはそんな様子を見て、未来のライジングボルテッカーズ、自分たちのアウトロー加減を感じていた。

  • 34124/06/23(日) 22:03:11

    「う…ん」

    ミシミシと鳴りそうなほど痛む身体に瞼をこじ開けられる。スピネルが目を覚ますと、まずその視界に映ったのは光に照らされた愛しい相棒の姿だった。確か自分は相棒を助けようとして…彼らの集大成のようなあのわざに手も足も出なかったのだ。

    記憶の糸を手繰り寄せて思い出したのはなんとも情けない愚行であった。相棒は…ブラッキーはあんなにも頑張ってくれていたのに。横たわったままの自身に頬を擦り寄せてくれる相棒の頭を撫でようと、スピネルは手を伸ばそうとした。
    しかし、手が動かない。ここではじめてスピネルは、自分が縄で縛られて身動きが取れない状況にあることに気がついた。

    「気が付きましたか?」

    頭上から降ってくるのは愛しい人の声。大人リコは立ったまま顔だけを下に向けて、スピネルを見下ろしていた。その腕の中にはルリがいた。母の胸に抱きつく娘の姿は今までなら憎らしくて仕方がなかったはずなのに、太陽を背にしたリコのあまりにも美しい姿にそんな感情すら消え失せた。逆光に照らされた彼女は、スピネルから見ると女神のようだった。

    「もう手出しはできませんよ」
    「しませんよ…大方、ブラッキーと取引をしたのでしょう?」

    眉一つ動かさず淡々と言葉を発する大人リコ。拘束されてこそいるが、丸腰の自分がわざわざ目を覚ますまで待っていたことと、ブラッキーが大人しくしていることからある程度の予想はついていた。

  • 35124/06/24(月) 00:58:15

    「ブラッキーの行動を見ました」


    大人リコは、スピネルが気絶していた間のことを語りだす。ブラッキーがあの攻撃を受けても立っていたこと、ひんしに近い状態でもスピネルを優先していたこと、自分ではなくスピネルを守ろうとしていたこと。ブラッキーは凛とした佇まいでリコの話を聞いていた。


    「私もあなたたちを見て気付きました。ポケモンとトレーナーの絆、そこに一切の嘘はなかった。あなたたちは、ずっとこうやって生きてきたんですね」


    そう言うとリコは一歩進み、膝をついてスピネルと目を合わせた。スピネルは横たわった状態であるためどうしても見上げる姿勢になるが、先ほどまでより距離が縮む。


    「もちろん、それも一つの生き方なんだと思います。私も全ての行いが清く正しいわけじゃないので、あなたの行い全てを強く咎めるわけにもいきません」


    わずかに血色が戻った唇から紡がれる優しい言葉。リコは祖母の言葉を思い出していた。リコから見ればスピネルの行いはどう考えても悪いことだった、だがスピネルから見れば当たり前の行いだった…のかもしれない。当然許すつもりはないが。


    「でも、私はそれを好ましく思えません。

    私は、誰かを蹴落としてまで見る頂上の景色よりも、隣を歩いてくれる人と進む道を見ていきたいと思ってるから」


    一言で言えば価値観の違いだ。温かささえ感じる言葉で、リコはピシリと言い放つ。


    「だから、ごめんなさい。

    あなたの気持ちには応えられない」


    スピネルを真っ直ぐ見据えながら、リコは正直な気持ちを伝えた。


    スピネルの気持ち(数値が大きい方を優先する)

    ・諦める(ブラッキー補正+50) dice1d100=15 (15)

    ・諦めない dice1d100=88 (88)

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 01:17:41

    >>26が預言者すぎる

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 06:50:12

    ロイー!早く来てくれ!

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 07:10:08

    流石に未来のロイは休まないとまずいレベルだから安静にしててくれ
    この後スピネルがどんな行動を起こすか分からないが力づくで事に及ぶとしたらどうにか出来るのは大人の男の現代フリードかポケモン達くらいだな

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 17:37:13

    現代リコ→現代フリードと未来リコ→未来フリードの信頼の高さ(現代の方は残り僅かで好感度ダイス発生)
    耐久力があり拗らせた恋心を諦めることを知らないダイスの女神様に愛される男スピネル

    ロイリコ確定スレだけど他の男性陣もロイに劣らずリコと関係築いてるなーって思いながらスレタイを改めて眺めたら確定なのは「未来時空の」ロイリコだと気付いた
    つまり現代がどう転ぶかはダイスの女神様の気分次第...?

  • 40124/06/24(月) 19:39:18

    好きな人に真っ直ぐに見つめられながらフラレてしまった。彼女の行動は何もかもが予定外で本当に面白いと、スピネルはそんなことを考えていた。ますます彼女が欲しいと願ってしまうほどに。

    普段は引き際を考えて行動するのに、強く興味を惹かれるものには自ら突っ込んでいってしまう。飛んで火にいるテッカニンだとわかっていても好奇心には抗えない。スピネルは根っからの研究者気質だった。


    「だから諦めてください」

    「どうしてですか?」

    「…え?」

    大人リコが目を見開く。瞬時に立ち上がって娘の頭を抱え込み、スピネルから遠ざけた。彼女は明らかに動揺していた。


    「私を無視すればいいだけの話なのにわざわざお断りするなんて、やはり不可思議で魅力的ですね。ますます貴女が欲しくなりました」

    スピネルは横たわったまま口角を綻ばせうっとりとリコを見つめる。ブラッキーは何も言わず嗜めることもなくただ虚空を見つめていた。おそらく、もう諦められているのだろう。


    「約束ですから、もう危害は加えませんよ。ですがそれは私の想いを捨て去る理由にはなりません。

    私はこれからも、貴女に想いを伝え続けます!」


    リコは嫌悪を隠す素振りも見せず、憑き物が取れたようにニコニコしているスピネルをゴミを見るような目で見ていた。ブラッキーというストッパーを無くしたスピネルはその厳しい視線にさえ興奮していた。

    この一連の流れを見た現代のフリードが、未来のリコは随分厄介な男に好かれたものだと感じてしまうほどのことであった。


    この後の出来事dice1d4=3 (3)

    1 ドットが医療キットを持ってくる

    2 現代のリコとロイが医療キットを貰いに救護室に行く

    3 現代のフリードがスピネルを完全に取り押さえる

    4 テラパゴスを連れて未来組の誰かがやって来る


    4の場合来たのはdice1d2=1 (1)

    1 未来アメジオ

    2 未来ドット

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 20:37:08

    それはそうなる

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 20:42:15

    サンキューフッリ

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 20:55:25

    >リコは嫌悪を隠す素振りも見せず、憑き物が取れたようにニコニコしているスピネルをゴミを見るような目で見ていた。

    >ブラッキーというストッパーを無くしたスピネルはその厳しい視線にさえ興奮していた。

    >この後の出来事:現代のフリードがスピネルを完全に取り押さえる


    フリードが完全に不審者を取り押さえる警察で草

    こんなんリコのフリードへの信頼が加速してスピネル嫉妬不可避案件では

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 02:36:29

    またロイが………。

  • 45124/06/25(火) 04:24:24

    「リコ、ロイ」

    「フリード」

    「どうしたの?」

    未来組があれこれ話している間、現代フリードはリコとロイの肩を抱き、二人の間に顔を挟むように絡む姿勢をとった。そして三人にしか聞こえないような声量で話しだした。


    「頼みがある。モリーから医療キットを預かってきてほしいんだ。俺は奴を取り押さえる必要がある、だからこれは二人にしか頼めないことだ」

    「もちろんいいけど…」

    「フリードは一人で大丈夫なの?」


    リコもロイもすぐに頷いてくれる。ただ、フリードのことを心配していた。心優しい子どもたちの温かさについ目頭が熱くなる。

    「ああ!俺は心配いらないさ!」

    古城のときのようにウインクを返すと、リコとロイは互いを見合わせて頷き船内へと駆けていった。


    子どもたちが見えなくなったところでフリードは小さくため息をつき、未来のリコとスピネルがいる方に移動した。そしてリコにドン引きされているスピネルを取り押さえた。


    「ありがとうフリード」

    リコの強張っていた表情が途端に緩む。フリードが来てくれたことで安心したようだ。自分と向けられる視線の違いにジェラシーを感じたスピネルが抗議する。


    「その男ズルいですよ!リコさんに信頼されていて、さっきなんてリコさんをお姫様抱っこしてたじゃないですか!それなのに視線まで独り占めするおつもりですか!?」

    「…フリード、この人に猿轡付けてもいい?」

    「子どもたちの教育に良くないからやめてくれ」


    再び見てもらえるならば、たとえそれが軽蔑どころかこの世のどんな汚いものに対しても絶対に向けられないであろう厭忌の眼差しであったとしても、リコから向けられるものであればスピネルは何であろうと嬉しかった。それを見せつけられるフリードの胃は痛かった。


    大人リコはこの後dice1d2=1 (1)

    1 大人ロイが心配ですぐに救護室に行く

    2 医療キットが来るまで待機する

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 07:30:23

    選ばれなかったけど未来組の誰かが来る選択肢あるのにちょっとドキドキしちゃった

  • 47124/06/25(火) 16:32:28

    「…フリード?」

    救護室にてクワッスを回復してもらい、その腕に抱えていたドットが未来フリードに恐る恐る声をかける。


    フリードはモリーから投げられるようにして渡されたタオルもそのままに壁に背を預けたまま、手当てをされてベッドに寝かされた大人ロイから目を離さない。何かを伝えるわけでもなく、ただぼんやりと焦点の合わない瞳を向けているだけだ。ブリムオンもちらちらとフリードを見るだけで何か行動をするわけでもない。

    こんな姿、ドットは今まで一度も見たことがなかった。雨で身体が冷えたからかもしれないが、悪寒がしたドットの耳に声が届いたのはそれからすぐのことであった。


    「ドット!」

    「ここにいたんだ!クワッスも!」

    「リコ、ロイ…」

    救護室に入ってきたのはこの時代のリコとロイだ。タオルを首にかけたドットと医療器具のチェックを行っていたモリーの姿を見た二人は胸を撫で下ろす。


    「モリー、大丈夫なの?みんなは…」

    「ああ、みんな無事だよ。ポケモンたちは別室にいたしね。二人は平気?どこか痛めたりしてない?」

    モリーは振り返って答える。あの後全員の内診を行ったが異常はみられなかった。


    「ぼくたちは平気!あのねモリー、医療キットを持ってきてってフリードが!だから貸してくれないかな?」

    「いいよ」

    「ありがとう!」

    モリーがロイに医療キットの箱を渡している最中、リコはずっとそこにいた未来フリードが何も言葉を発していないことに気づいた。


    「…フリード?」

    リコが声をかけるも返事はない。俯いて顔に影を落とし、タオルを持っているのに拭くこともなく髪からはポタポタと水滴を垂らしている。まるで、そこだけ時が止まったかのようだった。


    フリードを慰める(鼓舞する)のは?(傷が深そうなので二人)dice2d6=3 6 (9)

    1 現代リコ

    2 現代ロイ

    3 現代ドット

    4 未来リコ

    5 現代モリー

    6 未来アメジオ

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 19:43:33

    ここでライバルのアメジオとフリードが過去船に誘ったドットっていうのがいいな!
    うまく言葉にできないけど

  • 49124/06/25(火) 20:08:40

    「フリード、アンタいい加減に…」
    子どもたちの声にさえ反応を示さない未来フリードにしびれを切らしたモリーが口を挟もうとしたとき、子どもたちの中で声をあげた子がいた。

    「フリード!」
    クワッスをギュッと抱きしめながら話しかけるのはドットだった。彼女は上着を機関室に干してきた代わりにバスタオルを肩にかけており、ずぶ濡れだった髪も少し乾いてきていた。

    「あ…あのさ!えっとさっき、た、助けてくれて…ありがと!」

    目の前のフリードは自分が知っているフリードとは別の存在であると思うと、ドットはどうしても緊張してしまう。それでも普段あんなに真っ直ぐ気持ちを伝えてくれるフリードがこのままなのは嫌だった。

    「フリードはその時やれること、ちゃんと全部やってきたってさ、もうちょい自信…持って、いい…と思う!」
    焦りからだんだんと言葉が尻すぼみになりつつあったが、ドットにしては目一杯叫ぶように気持ちを伝える。ドットの言葉が届いたのか、フリードが子どもたちに目を向け顔を動かした。見開いた目はしっかりドットの、子どもたちのことを視認していた。

    「ドット、ありがとうな」

    そう言うとフリードがヘラリと笑った。時計の針が再び回りだしたのだ。ようやく双眼に光が戻ったが、それはまだか細いものであった。

  • 50124/06/26(水) 05:37:19

    「失礼する」

    フリードに何を言うべきか皆が考えていたとき、救護室をノックする音が聞こえてきた。三回叩かれた後一人の男が入ってくる。テラパゴスを抱えていた彼のことをリコは、ライジングボルテッカーズはよく知っていた。

    「アメジオ!?どうしてここに!?
    テラパゴスまで、一体何のつもり!?」
    「…ってあれ?なんかアメジオ大きくない?」
    「テラパゴスもテンション高いし…」

    ぎょっとして構えるリコ、首を傾げるロイ、違和感を感じるドット。現代組全員が距離をとるのは致し方ない。アメジオは敵なのだから。この時代のリコたちもアメジオと、後に共闘することになるとはまだ知らないのだから。

    「…そうか。説明が必要か」
    一人納得した様子であるアメジオ。リコたちが知っているアメジオよりも背が高く声も低い、何より彫刻のような端麗さに磨きがかかり顔立ちが随分と大人びているように見える。そんな彼は一呼吸おくと冷静に語りはじめた。

    「オレはコイツと同じく、12年後の未来から来たアメジオだ。今ライジングボルテッカーズとは一時休戦中だ。このままではコイツらの帰る手段がないということに気付き、テラパゴスを連れて未来からやって来た」

    親指でフリードを指しながら淡々と答えるアメジオ。一見冷たいようにみえる眼差しに敵意は一切なかった。
    「安心しろ。この時代のテラパゴスを狙ったりはしない」
    そしてテラパゴスを抱えたまま、片手を腰に当てるとまだ動けずにいたフリードに話しかけた。

  • 51124/06/26(水) 06:08:13

    「不様だな、フリード」


    いつもならフリードはテキパキと行動をとり、特に子どもたちの前ではカッコつけるくらいに情けない姿を見せないようにしている…というのがアメジオのイメージだった。

    しかし今の彼はそんな姿とはかけ離れたくらいに弱りきっている。ベッドに寝かされた大人ロイの姿を一瞥し状況を察したアメジオは、あえて素知らぬ顔で続けた。


    「お前の仲間は、お前がそんなに情けない姿をさらすほど弱いのか?」

    「…人間って結構簡単に怪我すんだぜ」

    「そんなことは聞いていない」


    過去にも今も、何があったかアメジオは知らない。フリードの心の傷も、今考えていることすらも。アメジオの考え方はきっとフリードとは違うし状況も異なるが、今までの関わりから感情の根は同じであると信じて突き進む。

    「ジルもコニアも優秀なオレの部下だ。オレは彼らを信じているからここに来た」

    「…それとは状況が違」


    「お前が信じてやらずどうする!仲間の選んだ行動を、仲間の強さを、お前が認めてやらずにどうする!!フリード!」


    食い気味に発した言葉を突風のように浴びせ、フリードの心を揺らす。その者が大切なら心配するのは当たり前のことだ。それでも、大切だからこそ自身が最後にできるのは、その強さを信じてあげることだけだ。目を見開いて少し考える素振りを見せた後、フリードは壁から背を離して姿勢を正した。


    「そうだな、その通りだ。ロイの強さを俺はよく知ってるもんな。

    …ありがとう、アメジオ」


    アメジオが伝えたかったことは、不器用な優しさは、フリードにしっかり届いたようだった。言葉に覇気が戻り目の光もいつも通りになった。アメジオに感謝を述べるフリードの顔に、もう迷いはなかった。


    この後の出来事dice1d4=1 (1)

    1 未来組(アメジオとフリード)が医療キットを持っていく

    2 子どもたち(リコ、ロイ、ドット)が医療キットを持っていく

    3 モリーが全員を救護室の外に出す

    4 未来リコが救護室に入ってくる

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 07:55:14

    当然っちゃ当然なんだけど未来アメジオも見た目成長してるんだな…良いな…!
    フリードが立ち直って良かった

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 19:12:56

    本当に胸熱な展開をありがとうございます…!続きも楽しみです!!

  • 54二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 01:00:19

    未来フリードは見た目が現代とほとんど変わらないそうだけど未来リコやロイやアメジオは大分違いそうなのでどんな感じなのか想像してしまうな

  • 55124/06/27(木) 01:04:32

    未来フリードはタオルで顔と髪をわしわしと拭いた後、何かを決めたような表情で医療キットを持った子どもロイの方を見た。

    「子どもたちをスピネルに会わせるのは危険だろ、俺が持っていく。どこにいるかわかるか?」
    「ぼくたちが見たときはウイングデッキにいたよ!今はフリードが取り押さえてくれてる!」
    「わかった、ありがとうな!さあ行くぞアメジオ!」

    ニカッと笑ったフリードは医療キットをロイから貰い、その手でアメジオを手招きする。当のアメジオはポカンとした後できる限り冷静に尋ねた。

    「待てフリード、オレも行くのか!?」
    「ああ駄目か?スピネルはこの時代の俺が押さえてるからな。万が一のとき戦える人手が欲しいんだよ」
    「…承知した」

    理由はご尤もであった。眉間にシワを寄せて一瞬迷っていたアメジオだったが、頷くと大股で救護室から出ていくフリードの背中を追った。
    子どもたちは部屋に取り残される。そんな中、ずぶ濡れのリコとロイを見たモリーがタオルをくれた。

    「お疲れ様」
    「ありがとう!」
    「…ありがとう。もう少しだけ頑張らないとだね」

    リコが呟く。大人ロイが目覚めるまで未来組は帰れないだろうと考えているため、もう一度気を引き締めていた。モリーはそんなリコを見て、タオル越しに頭を撫でてくれた。

  • 56124/06/27(木) 01:52:47

    「…」

    「リコ?」

    大人リコがチラチラと船内の方を見ていることに気づいた現代のフリードが声をかける。無意識の行動だったのか、リコがフリードの問いの意味を理解するのには時間がかかった。


    「?えっとフリード、どうしたの?」

    「いや船内を見ていたからな。ロイが心配なら見に行っていいぞ、スピネルは俺が見張ってるから」

    フリードの言葉を受けてギクリとするリコ。そんなに見ていたのか、だが現代のフリード一人に任せて良いものか…とリコが狼狽えていると噛みついてくるのはもちろんスピネルだった。


    「リコさん!私はここにいるのにどうして余所見するのですか!!」

    「…」

    「嫌です!!認めません!!あんな男のところ行かないでください!!」


    おそらくスピネルよりも体格があるであろうフリードに体重を乗せられていることも気にしないかのように暴れ、駄々をこねるスピネル。侮蔑の視線を送っても効果の見込めない地獄のような現状にリコは呆れを隠せない。ブラッキーでさえ無言を貫いていた。

    そんな中リコの足元にやって来たのはニャオハとホゲータだ。二体がそわそわしている様子から、相棒のところに行きたいのだと考えたリコが話しかけた。


    「ニャオハ、ホゲータ!そうだね、この時代の私とロイは救護室にいると思うから、良かったら一緒に行く?」

    「ニャオハ!」「ホンゲ!」

    「わかった!マスカーニャはフリードと、一緒に見張りお願いね!」


    そう言い残し、急いだ様子で駆けていくリコ。ルリを抱えたまま、ニャオハとホゲータが足元で一緒に走っていく光景をフリードは見守っていた。


    大人リコはdice1d2=1 (1)

    1 未来フリードと未来アメジオとすれ違う(会話あり)

    2 すれ違うことなく救護室にたどり着く

  • 57124/06/27(木) 08:44:25

    救護室に向かう途中、二つの影が見えた。それはこちらに近づいてきて、すぐに目の前に現れた。
    「フリード!と…アメジオ!?」

    リコが見たのは医療キットを持ったフリードと、先ほどまでいなかったはずのアメジオだ。テラパゴスを抱えており、未来での船の警備を頼んでいたはずの彼が何故ここにいるのかもわからず、今は一時休戦中であるにもかかわらずつい身構えてしまう。

    「ど…どうしてここに!?」
    「ああ…途中で気付いたんだ、お前たちはどうやって元の時代に帰るつもりだったのかと」
    「あ…」

    ここでようやくリコは自分が生きる時代へと帰る方法がないことに気付いた。フリードも同じ思考だったのか先ほど同じことを言われたのか、なんともいえない表情でこちらを見ていた。
    スピネルが使ったと考えられる何かで全員が無事に戻れるとは限らない。アメジオがテラパゴスを連れてきてくれなければ帰れなかったかもしれないと考えると、感謝こそすれ責めることなどできなかった。

    「あ…ありがとうアメジオ」
    「気にするな。スピネルの奴を捕らえるついでだ。それと、テラパゴスを渡しても大丈夫だろうか」
    「パーゴ!」「あだー!」

    テラパゴスがアメジオの腕から今にも抜け出しそうな姿勢でリコの方を向いている。ルリもつられて手を伸ばす。リコはルリを抱える姿勢を変えてスペースをつくると、アメジオから受け取ったテラパゴスをそこに入れた。片腕でひとつ抱えることになったが、ルリもテラパゴスも仲良く大人しくしてくれているため事なきを得る。

    「わざわざありがとう!」
    「礼には及ばない。テラパゴスも主のもとにいるほうがいいだろう」
    「…そうだ、二人とも…えっと、ロイは…」
    自ら振った話題で表情に陰りを見せるリコ。この質問にはフリードが答えた。

    「モリーが処置してくれて、今は眠ってる。だから安心して顔みせてやってくれ!」
    「…あ、ありがとう!」
    ニカッと笑うフリードの、その隠しごとを感じ取ってしまったリコが無理やり笑顔をつくる。そしてそのまま救護室に駆けていってしまった。

    ホゲータが一度コケたが問題なく走っていったところまで見送ったアメジオが、フリードに対して呆れたようにため息をついた。しかしフリードはその意味がわからなかったため、普段の表情でアメジオの方を見るだけであった。

  • 58二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:39:48

    これロイだけ記憶戻っても意味無いんだよな、リコも戻らないと

  • 59124/06/27(木) 22:46:46

    「ロイ!」

    ドアが開けっ放しだった救護室に走ってきたのは大人リコだ。ノックをする余裕もなく駆けつける腕にはルリとテラパゴスがいた。それを追いかけるように入ってきたのはニャオハとホゲータだった。

    「ニャオハ!来てくれたの?」
    「ホゲータも!」
    トレーナーの胸に飛び込んでくる相棒たち、その勢いは良かったがリコもロイも体勢を崩さずに受け止める。そして感謝を述べながら思い切り抱きしめてあげた。

    「ニャオハのマジカルリーフすごかったよ!頑張ってくれてありがとう!」
    「ホゲータやったね!リザードンと一緒のかえんほうしゃ、カッコよかった!」
    相棒を褒め称える子どもたち。ドットもクワッスに笑顔を向けていると、最初に部屋に入ってきた大人リコがベッドにいるロイの方を見ていることに気付いた。

    「…」
    テラパゴスとルリを両手に抱えながら、伏し目がちのまま大人リコは言葉もなく横たわる顔と目線を合わせて膝をつく。綺麗に巻かれた包帯の白さが遠くに行ってしまいそうなほど眩しくて、今はひどく悲しかった。

    「パーゴ?」
    「あうー?」
    テラパゴスもルリも、大人ロイが眠っているだけだと思っているのかじっと見つめて呼ぶように声を出すだけである。すると何に反応したのかはわからないが、固く閉ざされていた瞼がピクリと動くのが確認できた。

    しかし変化に気づくことができたのは、すぐそばにいて顔を覗き込んでいた大人リコだけであった。
    「…ロイ!?」

  • 60124/06/27(木) 22:56:32

    薄く開かれた瞳から赤色が覗く。その目はまだ虚ろで今にも閉じて消えてしまいそうなほど儚かった。一本の糸で吊るされたような緊張から大人リコは思わずヒュっと呼吸が止まったかのような感覚に包まれた。

    「……リ、コ…」

    大人ロイの口がわずかに動いたことに気付きすぐに顔を近づける。大人リコの様子から周りの皆も大人ロイの変化がわかったが、それは一瞬のことであったためその様子、発された言葉を知ることはできなかった。

    「…好………なっ……めん……」

    再びロイは目を閉じてしまった。唯一聞き耳を立てていた大人リコに届いた言葉は誰よりも優しくて、そして彼にとっては何よりも残酷なものだった。

    「ロイ!?ロイ!!??」

    今にも揺さぶってしまいそうなほど近づいて何度も彼の名を呼ぶ。同じ名の子どもは状況が理解できず首を傾げているだけだ。大人リコの行動はモリーが止めに入るまで続けられた。何かを感じ取ったブリムオンが大人リコの背中を支えるような体勢をとる。

    名を呼ぶことをやめた唇が震える。ブリムオンが寄り添ってくれていることへの感謝を伝えなければいけないのに、テラパゴスとルリを支える手の力を保っていなければいけないのに、何もできない。
    全身に駆け巡る悪寒と残酷な現実が大人リコを襲う。ただ鼓動がひとりでに速まり、過呼吸気味に息が上がるだけだった。

    『好きになってごめんね。』

    もしかしたらこれが最後かもしれないとわかっていて、そんな中どんな思いで彼はこの感情を語ってくれたのか。その言葉の意味を悟ってしまったリコは、その場に崩れ落ちることしかできなかった。

  • 61二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:12:54

    え!?ロイ死んだの!?嘘だ僕は認めない

  • 62二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 06:36:33

    最初のスレでロイが亡くなる可能性も選択肢にあった
    つまりロイリコ未来時空確定=2人が無事に生存するのも確定、とは限らないってわけか…
    全身を打つぐらいだったらまだ希望はあったのかな

  • 63124/06/28(金) 07:01:49

    スレ主です。

    あの…書き方が悪かったと思います。

    ロイ生きてます。

    安心してください。

    一応状態をダイスで振ります。

    どちらの結果でものちに目を覚まします。

    dice1d2=1 (1)

    1 眠っただけ

    2 今夜が山場

  • 64二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 07:07:48

    眠ってるだけで良かった
    スレ主さんハラハラさせるの上手だね

  • 65二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 08:30:04

    本当に良かった…

  • 66二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 17:12:59

    これは、あれかな?
    記憶が戻ってて、自分が父親であるにも関わらず、その事を事故があったと言え忘れ、2人に苦労をかけたことへの後悔の念だったのかな?

  • 67124/06/28(金) 17:47:44

    「脈は正常、眠っているだけだね」

    「本当!?良かったぁ…」
    大人ロイの心拍と呼吸の確認が終わり、聴診器を取ったモリーの言葉に胸を撫で下ろす子どもリコ。そんな彼女を見ても、安心したような声を聞いても大人リコはその場から動けなかった。

    「…リコ?」
    ブリムオンのようにドットと子どもロイが近付くが、大人リコは心配してくれるその目を見ることもできない。ドットが茫然自失としたままの彼女の肩に手を当てると、ここでようやくそばに人がいることに気付いたようだ。

    「……あ、ドット」
    「えっと…床じゃ冷えるからさ、大人のリコは立てる?」
    「う、うん。ありがとうドット」
    なんとか笑顔を取り繕った大人リコは、テラパゴスとルリをしっかり抱えたまま立ち上がり救護室を出ていった。すぐ後ろをブリムオンが着いていく。

    「アンタたちも、怪我がないならミーティングルームに戻りな。みんなが待ってるから」
    「わかった!」

    相棒を抱えた状態で三人は救護室を出ていく。リコは未来の自分に何があったのかはわからなかった。現在ボールの中にいるミブリムなら何か教えてくれたのだろうか、なんて考えながら、彼女の様子の変化を心配することしかできなかった。

  • 68124/06/28(金) 19:42:15

    ミーティングルームに戻った子どもたちは無事であることを大層喜ばれた。特にマードックが全員を褒めちぎりドットの番になったときはちょっとした騒ぎになったほどであった。

    しばらくしてキャップと共にフリードも戻り、未来組のこれからについて教えてくれた。スピネルは拘束したままであること、未来のフリードとアメジオが見張りをすること、ロイが目覚め次第出発すること。

    取り敢えずスピネルは余計なことをしないように相棒と離して船の下の方、保管庫に移動させたらしい。彼のモンスターボールは現代のフリードが預かっていることも皆に通達された。今日は船を停泊させたままにし、一同は休むことにした。




    やがて夜になった。大人リコはテラパゴスを足元付近で自由にさせてあげると、ルリを抱えたまま一人で廊下の壁にもたれかかっていた。

    ルリは食事を済ませた後、寝かしつけのためにリコの胸に抱かれていた。数日ぶりに母に抱かれたからか、しばらくの間あやされていたからかはわからないがぐずることもなく瞼はとろんとし始め、うつらうつら夢と現実を彷徨いはじめている。娘とテラパゴスをぼんやりと見つめているリコの目は、未だに現状を受け止めきれていないようであった。


    大人リコに話しかけたのは?dice1d2=1 (1)

    1 未来フリード

    2 未来アメジオ

  • 69二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:29:49

    続きが気になりすぎて夜も眠れない

  • 70124/06/29(土) 02:06:47

    「リコ!」
    「…フリード」

    佇んでいたリコに声をかけたのは彼女と同じ時代を生きるフリードだ。リコとルリに笑顔を向けて手を振る姿はどことなくげっそりしていたが顔色は良かった。

    「見張りお疲れ様。ごめんね、私も交代で参加できれば良かったんだけど…」
    「いいんだ。アメジオが交代で見張ってくれてるから問題ないし、リコは…来ない方がいい。アイツのヤバさは嫌ってほど見てきたからな…」

    リコの言葉に遠い目で答えるフリード。二人を会わせるのはリコの精神状態的にもスピネルのテンション的にも良いことがないと考え、少し大変ではあるがこのような方法をとっていた。そんな彼の手にはアルミホイルに包まれたサンドウィッチと水筒が握られていた。

    「そうだ、ルリにご飯あげたらすぐにミーティングルームから出ていったらしいじゃないか。何も食べてないってマードックから聞いたぞ」
    「あはは…お腹空いてなくて…」

    頬をポリポリかきながら誤魔化すリコ。ロイが目を覚まさない今、どうしても食欲がわかなかった。目を逸らしたままのリコを見たフリードがこんなことを言った。
    「サンドウィッチ食べないか?さっき食事をもらったときに渡されたんだ」

    フリードがリコの目の前に差し出したのは半分にカットされたサンドウィッチ。リコは力なく首を横に振った。
    「私はいいよ。フリードこそしばらくしたらまた交代だよね?良かったら夜食とかにしてほしいな、せっかく美味しそうなんだもん」
    「夜食用のは別にもらってるんだがなぁ…いらないならしょうがないか。だが、せめて水分補給はしてくれ」

    マードックがリコ用にと持たせてくれた水筒を差し出すが、これさえも受け取ってくれない。目を逸らして唇を結び何も語らない姿は見かけによらず強情で、フリードは強硬手段に出ることにした。

  • 71124/06/29(土) 02:24:33

    「そうか…それは残念だ。このサンドウィッチはこの時代の子どもたちが、わざわざリコのために作ってくれたものらしいんだがなぁ」

    わざとリコが反応するような言葉を選んだフリードが続ける。フリードの予想通りリコは聞き耳を立て、気まずそうにチラチラと目を合わせていた。
    「リコが食べないならこれはどうしようか、返しに行くしかないかぁ?」

    わざとションボリしたような顔でそんなことを言えば、フリードの予想通りプルプルと震え頬を膨らませたたリコが返答をしてくれる。
    「…食べる!食べるから!」
    「いいのか?さっきいらないって言ってたじゃないか、無理しなくてもいいんだぞ?」
    「もう!フリードの意地悪!」

    少しからかいすぎたか、リコはいじけた様子で唇を尖らせている。そんな彼女を見て笑ってみせた後、サンドウィッチを手渡した。

    「ルリをこっちに預けてくれないか?」
    「あ、ありがとう」
    両手を差し出すと温かい小さな人間がずっしりと乗ってくる。このままだと食事ができないから提案したのだが、当の赤ん坊は大層不機嫌そうにフリードを見つめていた。
    「んゔ〜!!」

    「すまんルリ、リコが食べ終わるまででいいんだ。だからそれまでは俺の抱っこで我慢してくれ!」
    ルリは普段誰が抱っこしても平気なのだが眠いときだけはリコじゃないと駄目だった。このままだとまたリコが遠慮してしまうと思ったフリードが表情と首の動きだけで食べるよう促す。それから水筒もリコに渡すと、ようやくリコはサンドウィッチをもそもそと食べ始めた。
    温もりがまだ残っているため、きっと作ってすぐフリードに渡してくれたのだろうとリコが考える。ハムとレタス、オニオンが挟まれたシンプルなサンドウィッチはリコが好んで食べる食材たちだ。今のリコには少ししょっぱく感じるサンドウィッチを、お茶を飲んで全て流し込んだ。

    「ごちそうさまでした」
    空になったアルミホイルを小さくたたみ、水筒の蓋をしっかりと閉める。それから両手をめいっぱい伸ばすルリを受け取るとフリードが水筒を持ってくれた。目が覚めてしまったのかまたべったりとくっつく娘を再び寝かしつけるため、リコがゆっくりと左右に揺れ始めた。

    食事をとっても全然元気を取り戻さないリコを見たフリードは、新たな提案をした。
    「なあリコ。一緒に外の空気を吸いに行かないか?」

  • 72二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 06:26:13

    リコのことをよく理解してるフリードいい…
    それに、自分も色々大変だったのにリコの前では表に出さず気遣えるの凄いしかっこいい
    リコもフリードも一緒に過ごすことでお互い少しでも元気を取り戻してくれるといいなぁ

  • 73124/06/29(土) 13:50:39

    「わぁ…!」
    「こりゃすごい!一面の星空だ!月もよく見えて、明日は晴れだろうな!」

    リコとルリ、フリードはウイングデッキに移動した。見上げた空は雲ひとつなく、ペトリコールが消えた水の匂いとカラッとした澄み切った空気を肺いっぱいに吸い込む。雨上がりを主張する月は掴めそうなほどに眩い光を放っていた。

    「懐かしいな…はじめてフリードと出会ったときも月が掴めそうな気がして、少しだけ自信が持てたんだ」

    全ての冒険はあのとき始まったのだと、リコは今でも思っている。マスカーニャと…あのときはニャオハであったが、相棒と一歩踏み出せたから自分は今ここにいると胸を張って言える。
    ポケモンと一緒ならどこにだって行けることも、この子たちが教えてくれたのだ。ボールの中で休んでいるマスカーニャとブリムオン、今はフリードが抱えてくれているテラパゴスのことを考えながらリコはもの思いにふける。まあ、まさか娘と共に過去に行くことになるとは思いもしなかったが。

    「本当に大きくなったよな。そういえば、ブリムオンに進化したんだな」
    「うん」
    「おめでとう。出会ったときはまだミブリムだったのに、まだまだ成長するんだな。眩しいくらいだ」

    空を見ていたフリードがリコの方を向く。その柔らかな視線の源である彼の目は星々の輝きを反射していて、その黄金をますます美しいものにしていた。

    「出てこないな」
    「うーん、多分眠ってるのかも」

    フリードが祝福の言葉を口にしたが当のブリムオンの反応は返ってこない。あれだけ活躍したなら無理もないと思った二人は休んでもらおうと、そのままボールから出さずに会話を続ける。
    ルリの目はぱっちりなのになぁ、なんて笑いながらルリの頬をぷにぷにとつつくフリードの目にはいつの間にか光が戻ってきていた。

  • 74124/06/29(土) 13:53:08

    「パァーゴ!」

    「テラパゴスも、頑張ってくれてありがとうね!」


    空に興味津々なテラパゴスにリコが笑顔を向ける。無事であることへの喜び、敵を制圧できたことへの安堵。これらは間違いなくリコの中に存在している。


    ただ一つだけ、拭いきれない違和感がリコの胸の中で渦巻いていた。思えばこの時代に来る前から、何か大切なことを忘れているような感覚が付き纏っていたしかし、それが何なのかはわからないままここまで来てしまった。

    月に抱いた想いは今のリコを創り出した大事な原石だ。だがリコの視線の先に必ず瞬く星々、そこに抱いたはずの感情の名前を、どうしても思い出すことができずにいた。


    リコはこの美しい星空を、誰かと見たことがあるような気がして止まなかったのだ。




    それは誰だった?数値が大きい方を採用します。


    ・ロイだ!(合計補正+90)

    (←未来での補正+20、現代での出来事補正+20、星空を見た補正+50)(記憶を取り戻す)

    dice1d100=58 (58)

    ・誰だったかな…(記憶を取り戻さない)

    dice1d100=54 (54)

  • 75二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 14:27:25

    ようやく記憶が戻った!
    良かった
    たくさん大変な思いをした分リコとロイとルリちゃんと3人とも幸せになってほしい

  • 76二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 15:41:55

    補正+90は草
    これはどうあがいても記憶取り戻すしかない

  • 77二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 16:00:12

    「記憶を取り戻さない」が dice1d150 や dice1d200 ではなく「dice1d100」のままだから

    極端な話「記憶を取り戻す」で1が出たとしてもリコの記憶が戻ることほぼ確定なんだよな

  • 78124/06/29(土) 16:22:20

    どうして忘れていたのだろう。

    星空の下で伝えられた言葉を、あのとき感じた熱を、想いが通じ合ったときの喜びを、抱きしめられたときの温もりを。彼は、いつでも一生懸命で、優しくて、温かくて…あんなに大好きだったのに、どうして忘れてしまっていたのだろうか。

    全ての記憶が忘れたくなかった思い出として、再びリコの脳裏に焼き付いた。一気に記憶が弾けるような感覚に、リコはルリを抱えたまま膝から崩れ落ちた。

    「リコ!?」
    フリードが慌てて膝をつきリコの顔を覗き込む。両手で顔を覆ったリコの表情はわからなかったが、小さく口を動かしてポツリポツリと話してくれた。

    「どうしよう…私、私…ロイにひどいこと言っちゃった……」
    「ひどいこと?」
    フリードはリコの発言の意図がわからず首を傾げる。華奢な両手から溢れる雫を見て、かろうじて泣いていることだけは確認できた。

    「あのとき、邪魔しないでって…ロイには関係ないって…」
    確かに言ってたな、と思い出す。いくら眠っているだけだと言われても、ロイの今の状態から後悔しているのだろうかと思ったフリードは、リコにどう声をかけるべきか考えていた。

    「違ったの」
    そんなフリードの考えを遮ったのはリコが続けて発した言葉だった。リコの背中を擦ろうとしていた腕がピタリと止まる。

    「関係なく、なかったの。だって…」
    リコの声が震える。一緒に吐かれる息が大きくなる。顔を覆っていた両手が少しずつ離れていき、涙で濡れた眼を露わにする。その手もまた、小さく震えていた。

    「ルリの父親は、ロイなの!!」

    「ええっ!?」
    フリードが驚きを隠せず声をあげる。見開かれた両目に写るのは、そのまま泣き出してしまったリコの姿であった。そんな二人の様子を、リコに抱きついたままのルリが不思議そうに見つめていた。

  • 79二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 00:04:01

    大人ロイが無事で良かった
    にしても未来現代問わずリコとフリードのやり取りはやっぱり良いな
    未来フリードの瞳の表現といい未来のフリ+リコが夜空を一緒に眺めるシーン全部ロマンチックだ

  • 80二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 08:20:34

    このレスは削除されています

  • 81124/06/30(日) 11:02:29

    (※少し後ろ向きなロイ注意)


    リコのことが好き。


    人にもポケモンにも別け隔て無く優しくて、いつも一生懸命で、バトルのセンスも良くて…そんな温かさが滲み出る彼女の笑顔は、何よりも眩しくて。仲間に向ける笑顔ももちろんかわいくて、それを見られるだけで一日頑張ろうって思える。それくらい僕にとって嬉しいことなんだ。

    でも…ルリに、我が子に向ける笑顔は少しだけ違う気がする。慈愛に満ちた瞳で包み込むようなあの表情は手持ちに向ける笑顔とも種類が異なる、あの子だけに向けられるものだった。


    スピネルが話していたことが何度も僕の中で反芻される。ああ、僕もスピネルと一緒だったのかな。ルリが羨ましくて仕方がない。リコの子なんだから愛されるのは当たり前なのに、嫉妬なんてしちゃいけないのに「いいな」って、どうしても思ってしまう。

    それにスピネルがリコに何かしようとするたびに怒りがこみ上げてくる。スピネルと僕は違うだなんて啖呵を切ったけど実際は、仲間を傷つけられるときの感情とは少しだけ違うそれを感じるたびに飲み込んでいた。スピネルは無茶苦茶なことばかり話していたけれど、リコへの気持ちは理解できてしまった。

    膨れ上がったこの気持ちをどうすることもできないまま怪我をしてしまって僕は倒れた。みんな大丈夫かな、スピネルを止められたかな。


    だからかわからないけれど、夢を見たんだ。夢の中でリコが僕を見ていた。その目は純粋に心配しているような気がして、途端に申し訳なくなったんだ。リコ、僕はそんなにキレイな目で見てもらえるような存在じゃないよ。だって僕も、スピネルの気持ちを理解してしまったから。リコは大好きな人がいるのに、僕はそれを知っているのに、リコを好きになってしまったから。


    リコ。好き、大好きだよ!だけど…

    好きになって、ごめんね。




    大人リコは思い出したことをどうするつもりか(数値が大きい方を採用)

    ロイに話すつもり dice1d100=27 (27)

    ロイに話さないつもり dice1d100=64 (64)


    誰に気持ちを吐露するかdice1d2=1 (1)

    1 見張りを交代した未来アメジオ

    2 交代を待ってもらった未来フリード

  • 82二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 12:02:09

    あああダイス目!
    ロイもリコもちゃんと話し合ってほしい

  • 83二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 14:16:12

    まあリコなら話さないよね
    ロイは記憶がなくて、今更この子の父親って言っても迷惑になるって分かるし
    だからロイから思い出して話さないと

  • 84二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 21:38:21

    実際ロイの記憶って戻ってるのか?
    戻ってて、リコに僕が父親だって言ったとしてもリコは嘘つきそうだが

  • 85124/06/30(日) 22:55:34

    「ここにいたのか」
    「!アメジオ…」

    リコは今展望台のソファに座っていた。ルリは腕の中ですっかり寝息をたてていたし、テラパゴスもリコの隣で大の字になって眠っていた。そこに現れたのがアメジオとソウブレイズだった。

    「アメジオも座る?」
    「わかった。失礼する」
    テラパゴスを踏まないようにアメジオがソファの空いたスペースに姿勢良く座る。電気はついていたが漂う空気が重く暗い。互いに一言も発さない中ではじめに口を開いたのはアメジオだった。

    「フリードが交代の時間になってもやって来なかったから問い詰めた。はじめは口を割らなかったが、引かずにいたらリコの名前が出た」

    フリードは、あれから泣いてしまってしばらくその場から動けなかったリコのそばにいてくれた。なんとか動けるようになったリコを展望台まで連れて行ってから急いで向かっていったのを見る限り、とっくに時間は過ぎていたのだろう。フリードだけでなくアメジオにまで迷惑をかけてしまった罪悪感がリコにのしかかる。

    「勝手に聞いてしまってすまない。記憶を取り戻したらしいな。その割には浮かない顔をしているが、良いことではなかったのか?」
    「う、ううん!良かったよ、思い出せて!」

    アメジオがリコの顔を覗き込む。薄暗い部屋でも結晶のように鈍く輝く紫には、リコをただ心配している優しい視線を感じる。

    「では、何故そのような顔を?」
    「…えっとね、思い出したことをロイに言おうか悩んでるの」
    アメジオは口を閉ざしたまま目を見開く。リコは頬をかきながら気まずそうに続けた。

    「ほら、ロイも付き合ってたこと忘れてるみたいだし…だから今さら言われても困ると思うから」
    リコの言葉にアメジオは眉を潜めて首を傾げる。腕を組んだまま少しの間考え込み、自分の考えをまとめてから話しはじめた。

  • 86124/06/30(日) 23:50:25

    「リコは…ロイと好き合っていたのだろう?何の問題がある」

    「あるよ!だって付き合ってたこと伝えるだけならまだしも、子どもがいるんだよ!?ロイの意見とか聞かないで、一人で産むこと決めちゃったし…」


    腕を組んだまま視線だけをリコに向けていたアメジオとは対称的に、上半身ごとアメジオがいる方向に捻り慌てて反論するリコ。よくわからないと言いたげな表情で足も組んだアメジオが再び口を開く。


    「忘れてたのだから仕方がないだろう」

    「そうだけど!お腹にいたときならまだしも、もう産まれちゃってるし!いきなり父親なんて…きっと、迷惑だよ…」


    尻すぼみになりながらも本音を吐露するリコ。その険しい表情の中で狭められた目は真剣で、受けとめてもらえるかわからない不安が滲んでいた。

    ぐっすり眠っているルリを見るときも辛そうな表情を隠せず、それでも娘を抱く手はどこまでも優しかった。アメジオは小さくため息をついた後、彼も上半身ごとリコの方を向いて語りかけた。


    「リコが好いた男は、好いた女が産んだ自分の子に対して迷惑だと言うような薄情者なのか?」

    「そ、そんなこと!」

    リコがパッと顔を上げ、食い気味に否定する。その顔を一瞥した後アメジオはいたって真面目に、その表情を崩すことなく続けた。


    「語らない美点もあるだろうが…大事なことを伝えてもらえないという悲しみもそこにはあるだろう。少なくとも、ロイはその事実を知らないままでいることの方がよっぽど嫌がりそうだがな」

    アメジオは目を見開いて唇をギュッと閉じたリコを見据える。そしてもう一度深くため息をつくと呆れたように己の意見を出した。


    「全く……

    フリードといい…遠慮するのも必要だろうが、もう少し仲間を信じてやれ」

    「うぅ…」

    アメジオがそこまで答えるとリコが気まずそうに顔を背けた。アメジオの真っ直ぐな言葉は少なからず影響を与えているようだった。


    ロイに話すつもりの数値27+dice1d50=36 (36)

    (最低値20)(合計値64以上のときリコの心境に変化が訪れる)

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:16:35

    63だからリコは話さないこと確定か
    ダイス神が判断した結果だから仕方ないね

  • 88二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 06:08:09

    これやっぱロイからアプローチしないとダメよ

  • 89124/07/01(月) 06:54:49

    背けた顔はやがて俯き、リコの表情に影を落とす。アメジオの言葉に思うところはあった。それでもあと一歩ロイに言うつもりにはなれなかった。


    「聞いてくれてありがとう。

    …少し、考えてみるね」

    「ああ、そちらの方が良いだろう」


    アメジオの言葉はロイを的確に表していた。わざわざ話してくれたことを無下にするわけにもいかない、一旦考え直そうとリコは目を閉じた。しかし疲れが溜まっていたのと腕から膝にずり落ちていった娘の体温につられて、あっという間に眠ってしまった。船をこぐ間もなく寝息をたて始めたリコに気付いたアメジオは思わず二度見した。


    「一時休戦中とはいえ敵の目の前で…」

    「ソウ?」

    「…いや、一気に緊張の糸が切れただけか。そのまま寝かせておこう」


    事前にモリーに渡されて展望台に置いておいた肌掛け布団の一枚を手に取り、リコの肩にそっと掛けてあげた。わずかに上がった口角から紡がれる言葉はどこか優しかった。ソウブレイズは見張りのようにアメジオのそばに立っている。

    それから電気を消して二人と一体を起こさないようもう一度ソファに座ると、腕を組みながら窓から見える星を眺めた。展望台の中ではソウブレイズの炎だけが妖しく揺らめいていた。


    (未来は信頼オンリーです)

    アメジオへの信頼値 dice1d2=1 (1)

    1 上がる

    2 上がらない

    1の場合 49+dice1d20=4 (4)

  • 90二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 07:40:26

    本当にギリギリの差で話さないか…
    でも少しだけどアメジオへの信頼値が上がったのは良かった

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 18:30:49

    と言うか、フリードにはルリの父親がロイって言ってるんだよな
    でもフリードはそれがリコの口から言わなきゃいけないって分かってそうだし、フリードは言わないんだろう

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:27:45

    でもロイが気付いたところで「ボクがその子の父親だよ」って言っても、リコが覚えていない、もしくは隠す気で知らぬ存ぜぬで通した場合堂々巡りになるのでは………。そもそもロイの視点からしてリコに責任を取るつもりでいても、「実はボクが父親だったんだ」って言っても気持ち悪いだけだしなあ…双方迷惑をかけてしまうと考えるから中々に詰んで無いか?

  • 93124/07/01(月) 22:47:43

    ふわふわしたような、宙を漂っている感覚の中で夢を見ていた。
    そこではリコが笑っていた。愛する特別な存在だけが見られるような眩しい笑顔を、僕に向けている。一瞬、都合の良い夢かと思ったけどそこには違和感があった。なぜか、僕はその顔を知っていたから。

    僕はリコが好き。リコも僕を、好き?その二文字を、リコから何回も聞いたことがあった気がする。そうだ、僕から伝えたんだ。リコが好きだって、付き合ってほしいって。ずっと一緒にいようって、約束だってするつもりだったんだ。

    でも崖崩れに巻き込まれちゃって…目が覚めたら僕は骨が砕ける大怪我をして、リコのお腹には赤ちゃんがいるってモリーが教えてくれたんだっけ。あのときから大事なことを忘れてるようなモヤモヤがずっと胸の中で突っかかっていて消えなかった。リコも恋人のことを忘れてしまったらしくて、最初の頃はドットに泣きついていた。

    僕は、その涙を拭ってあげられる存在になりたかった。リコの特別になりたかったんだ。きっとあの頃から、また僕はリコのことを好きになっていた。



    思い出した。全部全部。忘れたくなかった思い出が一気にこみ上げる感覚と一緒に、僕の意識も浮上していくのを感じた。

    そして僕は、目を覚ました。

  • 94124/07/01(月) 23:09:13

    僕はベッドの上にいた。病院とは違って消毒の匂いは控えめなそこは救護室。すごい勢いでベッドから起き上がった僕に驚きながらもモリーが駆け寄ってくれた。


    「ロイ!まずここはロイから見た過去の世界だよ、覚えてる?怪我したこと」

    「うん、覚えてるよ!」

    そうだ、まだ僕は過去の時代にいるんだ。色んなことがありすぎて未だに実感がわかなかった。


    「うん、異常はないね」

    モリーが聴診器を取ったのを見て、僕は胸の方までまくりあげていた服をおろした。あれからモリーは簡単な検査をしてくれた。その後フリードたちもまだ帰ってないこと、僕らの時代のアメジオがテラパゴスを連れてきてくれたこと、スピネルはちゃんと捕まえられたことを教えてくれた。


    「何にせよ良かった。目を覚ましたことみんなに連絡するよ」

    「わかった!ありがとうモリー!

    あ、そうだ!僕行かないと!」


    「待ってどこに!?」

    ベッドから降りようとしたところでモリーに腕を引かれる。彼女は休んでろと言いたげな表情でロイをじっと見ていた。目的のために僕はしっかりと答えた。


    「リコのところに!」


    ロイがはじめに会ったのは?dice1d4=4 (4)

    1 未来リコ(偶然見つけた)

    2 未来アメジオ

    3 未来フリード(スピネルもいる)

    4 モリーが腕を離さなかった

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 06:15:08

    リコに会おうとするならマリーは止めるよね
    ロイなら自分から!って言い出しかねないし、それをリコが自分の口から打ち明けて、その上でロイに「一緒になろう、あの子は私達で育てよう」って言わないと意味ないの知ってるし

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 07:20:27

    >>95

    モリーがマリーになってて草

    我ながらちゃんと確認せんと訳分からんな

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 18:42:56

    リコは迷惑だから言い出さない、ロイから言ってもリコを困らせるだけ、これもう詰んでへんか?

  • 98124/07/02(火) 19:14:57

    「待って」

    ロイの言葉を聞いたモリーは、さらにぐいっと腕を引く力を強くする。目をパチクリとさせるロイに向かってモリーが問いかけた。

    「アンタ、昨日リコになんて言ったの?」
    「昨日?」
    昨日何か話したっけ?と言いたげな表情のロイに対してモリーが一瞬驚いたような表情を見せたが、そのまま言葉を続けた。

    「昨日、一瞬だけ目を覚ましたの。覚えてない?」
    ロイは首を横に振る。彼は"あのときの言葉"は夢の中での出来事だと思っているため当然の反応であった。

    「そのときリコに何か話したでしょ。でもリコにしか聞こえなかったから私は何を言ってたのか知らない。
    でもリコは、ショックを受けてたみたいだった」
    モリーがロイをじっと見据える。時代が違えど仲間であることに変わりはない。彼女から紡がれる言葉はリコへの思い、愛情が詰まっていた。

    「覚えてないならこれ以上は聞かない。けどロイは今、リコに何を伝えるつもり?答えによっては行かせないよ。あの子を悲しませるなら、たとえロイでも容赦しない」

    力強い眼差しを向けられる。ロイはその瞳を真っ直ぐに見つめ返すと大きく口を開いた。
    「リコと付き合ってた人も、ルリの父親も僕だったんだ。忘れちゃいけなかった大切なことなのに、僕が忘れちゃったからリコは一人で抱え込まないといけなくなったんだよ」

    ここでロイが一度深呼吸を挟む。吐息には彼自身が抱いていた迷いが含まれていた。それを全て吐き出すかのように呼吸を整えたところで話を続けた。

  • 99124/07/02(火) 19:47:35

    「ずっと後悔してたんだ、リコに好きって言わなかったこと。でもそれと同じくらい、好きになったことが申し訳なかったんだ。この気持ちを伝えたらリコの迷惑になるって、またリコは抱え込んじゃうって思ったから」


    両手を拳にして目をギューっと閉じながら眉を寄せて語るロイの姿は大人になっても変わらない。彼が熱弁を振るうくらいなのだから、リコの性格もおそらく大人になっても変わっていないのだろうと簡単に予想がついた。


    「でもね、リコの話を聞いてわかったんだ。きっと本当のこと話しても、何も話さなくても、結局リコは抱え込んじゃうんだよ。僕はリコの気持ちを知りたいけど、どうやってもリコは自分の気持ちを教えてくれないと思う。だったらせめて本当のことを全部話して、リコが自分だけの責任だなんて思わないようにしたいんだ!」


    本当は、責任も喜びも悲しみも苦しみも、不幸も幸福も一緒に背負っていきたい。しかしそれは全部リコが望むかどうかだと、ロイも理解していた。

    「逃げられても!呆れられても!嫌がられても!今でも好きだよって伝えたい!リコと付き合ってたことを忘れても、もう一度好きになっちゃうような奴なんだって!言いたいんだ!!」


    モリーは想像していた話の着地点とはだいぶ異なりそうな流れに困惑していたが、軽く頬を叩きなんとか冷静になってから一言伝えてくれた。

    「…しつこい男は嫌われるよ」

    「むしろ嫌われたいんだよ!そしたらリコは自分一人だけで抱え込まなくなるでしょ?いっそ全部僕のせいにしてほしい!!実際僕が悪いわけだし!」


    ロイなら全て話すとは思ってはいたが、これは予想外だった。真っ直ぐすぎて違う方向に突き進んで行っても誰にも止められない。

    リコがルリと笑ってくれるなら、ロイは何でも良かった。リコに見てもらうためなら何でもすると語ったスピネルの気持ちが、今なら理解できた。二人の目的も内容も全くと言っていいほど異なってはいたが。


    「もちろん、うまくいかないかもしれない!それでも何もしなかったらずっとリコだけに背負わせちゃう、それだけは嫌なんだ!!」

    ロイが叫ぶように語った直後、救護室の外からガタッいう物音がした。モリーが動くよりも速くロイが立ち上がり、急いでドアを開けた。


    そこにいたのは?dice1d3=1 (1)

    1 未来リコ

    2 未来アメジオ

    3 ???

  • 100二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:49:39

    リコだったけど???は誰だったんだ…

  • 101二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:55:43

    これはもしやハッピーエンドが見えてきたのでは?
    さっすがロイはまっすぐだなあ

  • 102二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 20:24:57

    これは惚れる🤩

  • 103二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 20:35:05

    てっきりロイもリコに話すかどうかのダイスを振るかと思った

  • 104二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:03:55

    嫌われると分かってもリコの為、か
    これは盲点だったわ

  • 105124/07/03(水) 06:14:47

    そこにいたのはドアに向かって手を伸ばしたルリと、慌ててそれを止めようとやんわり手を押さえていたリコだった。音を鳴らしたのは、きっとルリだろう。

    突然の来訪者に丸くなったロイの目とまさかロイが目覚めているとは思ってもいなかったリコの目、両者の視線がかちあった。ロイは、イタズラがバレたときの子どものような気まずい顔をしながらリコに話しかけた。

    「…リコ?えーっと、いたんだね!
    そ、それでー、いつからそこにいたの?」
    「…あ、あはは……」

    間延びする声と笑顔で取り繕ってロイが尋ねたが、その質問に答えることなくリコは苦笑いと共にすぐに目を逸らした。そして何の準備もないままその身を素早く捻り、なんとルリを抱いた状態でその場から逃げ出した。

    「あ、リコ!?」
    「ちょっと二人とも!?」

    不意を突かれたロイであったが、すぐに飛び出してリコを追いかけた。モリーがドアに駆けつけたころには、二人は既に部屋の外。しかも目視するにはかなり小さくなっていた。片や赤子を抱えていて、もう一方は怪我人であるため救護室内に留めておきたかったのだが、仕方がないので諦めることにした。

    「まさか、リコとロイがね…」
    モリーはドア近辺に立ったまま呟く。彼らを見て未来の子どもたちについて考えた後、スマホロトムを取り出して一斉連絡を行った。
    内容はロイが目覚めたことと、大事な話をする必要があるようなので帰るのはその後になることであった。

  • 106二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 06:59:25

    まあ、リコなら逃げるわな

  • 107二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 10:18:49

    未来のリコとロイが子供まで作った事実は他の現代組には明かさないでほしい
    例えばロイやリコが他の人を好きになっても自分は将来リコ/ロイと結ばれるから…って恋を諦めかねないから
    現代の大人達もリコとロイを好きになる可能性がゼロと言い切れないから未来のロイリコが結ばれていたのを知るのは現代組ならモリーだけであってくれ

  • 108二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 10:33:22

    >>107

    一理ある

    未来ロイリコが正史ではなく野史かもしれないしな

  • 109二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 20:18:45

    このレスは削除されています

  • 110124/07/04(木) 04:48:21

    外は薄明るい。もうすぐ朝日が昇るであろう早朝に、全力で繰り広げられる追いかけっこ…もとい逃走劇が勃発していた。
    甲板から屋内へと通じる通路を駆け抜けるリコと彼女を全速力で追いかけるロイ。一人はその腕に赤子を抱えた状態、一人はつい先ほどまで眠っていた怪我人とは思えないほどの速さであった。

    「なんで逃げるのー!?」

    ロイが叫ぶ。追いかけてきた彼が階段で上に行ったのを確認したリコは、ルリを片腕だけで抱えもう片方の手で船の縁を掴み、流れるように飛び越えた。パルクールの要領でペースを崩すことなく走り去っていくリコを見たロイは、何の躊躇いもなく同様に飛び出した。くるりと一回転して着地するとすぐにリコを追いかける。

    「逃げてないー!!」

    ロイの様子を見ていたリコはその躊躇の無さにギョッとし一瞬止まってしまったが、ロイが諦めずに追いかけてきていることがわかったためまた駆け出した。それからリコがそんなことを叫び返したが足は明らかにロイから遠ざかっているのだ。何の説得力もなかった。

    「絶っ対、逃げてるってばー!!」

    彼らに道などあってないようなものだった。その身一つで階段がない場所でも上に登ったり下に飛び降りたりと好き放題していた。早起きしたアローラベトベトンが二人の足の速さに固まってしまったし、謝罪と声かけはしながらもイッカネズミのすぐそばをくぐり抜けて行ったために彼らは驚くあまりくっついてしまった。

    この追いかけっこはリコが舳先にたどり着く直前、操舵室の真上である船首まで続いた。

  • 111二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 06:36:40

    めっさイチャついててワロタ

  • 112二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 08:24:22

    カップルが砂浜でやるやつ!

  • 113二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 08:31:56

    このレスは削除されています

  • 114二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 08:36:27

    このレスは削除されています

  • 115124/07/04(木) 10:11:12

    「つっかまえたー!!」


    リコが船首にたどり着いたところでロイはようやく追いつくことができた。リコがいた船首の両端、そこの手すりを両手で掴み逃げ道を封じる。このままだと舳先に移動してまた逃げ出すだろうと考えたからである。

    リコが少し反りロイが身を乗り出しそうになる体勢でようやく勝負は期した。ロイの勝ちだった。


    「僕、一応、怪我人、なんだけど…」

    「じゃあ、追いかけて、こないでよ…」

    肩で息をする二人。汗をかき動悸もするほど走り回りさすがに疲れたようだった。そのためリコとロイの顔が険しく、ルリが固まってしまっていた。


    「なんで逃げたの?」

    ロイの身体が影になりリコを暗く写す。ゼイゼイ息切れを起こしながらも聞かれた問いに対して、リコは口を閉ざしていた。

    万が一ここでされると落ちてしまい命の危機に瀕するため行われることはないが、押し倒される直前のようなこの体勢の気まずさと恥ずかしさにリコは目を逸らすことしかできなかった。


    「じゃあ聞くこと変えるね。

    リコは、付き合ってた人のことまだ思い出せてないの?」


    顔が近いことに気付いたロイが、ごめんねと謝りながらパッと距離をとる。手すりから手を離したことによって、リコは姿勢を正すように立ち上がることができた。


    リコはdice1d2=2 (2)

    1 嘘をついた

    2 黙り続けた

  • 116二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 14:36:35

    記憶が戻ったことを言わずに擦れ違ったまま未来に帰って別々の道を歩むのも美しいから未来リコロイもその流れで終わってほしい

  • 117二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:20:36

    このレスは削除されています

  • 118二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 19:29:41

    なんとなく消されたレスがどう言う類のものか察したわ

  • 119124/07/04(木) 19:45:17

    ロイをじっと見ていたルリとは対称的に、リコは俯いてしまった。キュッと固く結ばれた唇からは静寂しか流れない。彼女は何も語らないと悟ったロイは、自ら切り出すことにした。


    「僕はリコが好きだよ」


    彼が持つ赤に染められてしまいそうで、見透かされているようで双眼を直視することができない。リコは目を逸らし続けていた。


    「リコはどうして逃げたの?

    …僕のことが、嫌だったから?」

    「ち、違…!」

    ロイの言葉に顔をパッと上げて否定する。ロイはようやくリコと目を合わせることができた。雲の向こうに広がる青空のような瞳に吸い込まれそうになりながら、ロイは笑顔をつくった。


    「やっとこっち見てくれた!」

    その表情には一滴の悲しみが混ざっている。それは零れたインクのようにじわじわと広がりを隠せずにいた。それでもロイは言葉を止めなかった。


    「話、聞いてたんだよね?リコも驚いたよね…僕は記憶がなくなっても、もう一度リコを好きになっちゃったんだ」

    ロイはえへへ…と頭をかいて笑うがいつものような元気はない。


    「それでね!リコに嫌われてもいいから、この言葉だけ聞いてほしいんだ」

    ロイが息を吸う。心臓が脈打つのが自分でもわかる。リコは釘付けになったかのようにロイを見ていた。ただ、見つめるその表情は決して穏やかなものではなかった。


    「これで思ったんだ!たとえ全部忘れても、生まれ変わったとしても、きっとまたリコを好きになるって!!

    何度でも何度でも、僕はリコのこと好きになるよ!!」


    ロイが叫ぶように口を開く。リコはどうしても、彼の真っ直ぐな瞳から目を離すことができなかった。そして彼は希う。


    「だからお願い!!リコの気持ちを教えて!!!」


    リコは事実を話すかのダイス(数値が大きい方を優先します)

    ・打ち明ける(合計補正+40)(アメジオの言葉+20、ロイの言葉+20) dice1d100=94 (94)

    ・打ち明けない dice1d100=60 (60)

  • 120二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 19:53:04

    熱烈な告白を受けた上で補正抜きでも文句なしの打ち明ける選択肢…いい…

  • 121二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 20:11:23

    よかった
    これはもう話すしかないよね

  • 122二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 22:44:14

    ルリちゃんにパパって呼ばれて欲しい………。

  • 123124/07/05(金) 07:06:13

    「私…」

    リコが小さく口を開いて話し始める。彼女の唇はかすかに震えていた。


    「私も…ロイが好き」

    白い頬が赤みがかる。ロイもつられてその肌を赤く染めていた。彼らの目が合うと、互いに持っていない色に思わず見惚れてしまいそうになる。


    「ロイが良いの、一緒にいたいよ」

    腕の中にいるルリをぎゅっと抱きしめながらリコは話し続ける。ロイのことを見つめる空色が溶けてしまいそうなほどに滲んでいく。


    「一緒に、ルリを育てたいの!」

    そして、溜まり続けていた涙がとうとう決壊した。彼女は押し寄せる感情を抑えることなどできなかった。リコは膝をつき、何度も手で涙を拭いながら何とか言葉を繋いでいく。


    「ロイ、忘れちゃっててごめんね。ひどいこと、言ってごめんね…」

    急いで駆け寄り、膝をついてリコの顔を覗き込むロイ。ひどいこと?と言いたげな顔をしていると話が続いていった。


    「関係ないなんて言ってごめんね。

    ロイはずっと、ここに居てくれていたのに」

    涙を止めようとゴシゴシと強く目を擦ってしまうリコの手をとると、彼女の顔を近くからよく見ることができた。泣き腫らした目元は赤く、涙でぐしゃぐしゃになった表情、彼女の全てが今は何よりも愛おしかった。

    だがロイはどうしていいかわからなかった。オロオロしながらも頬を伝う涙を指で拭ってあげていると、もう一つの青がロイを見つめていることに気付いた。ルリは泣き崩れるリコとそばにいるロイをただじっと見ていた。


    ルリのロイへの行動 dice1d4=1 (1)

    1 頬をペタペタ触る

    2 身を乗り出して抱きつく

    3 「ぱぁぱ」と呼ぶ

    4 1〜3まで全部

  • 124二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 07:34:35

    良かった………本当に良かった………。

  • 125二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 08:30:05

    このレスは削除されています

  • 126二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 08:34:42

    このレスは削除されています

  • 127二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 09:30:56

    このレスは削除されています

  • 128124/07/05(金) 20:36:29

    こぼれ落ちそうなほど丸く大きい瞳で見つめられて穴が空いてしまいそうだ。そうだ、この子は自分の子なのだと今さらながらに思う。もちろんリコを疑うわけではないが、未だに自分が父親であるという実感はなかった。


    「ルリ…」

    「あだー」

    愛する人と同じ青につい見惚れていると、ふくふくの指がロイの元に伸びる。その手はロイの頬に届くと、ペチペチと音を立てながら触れられた。


    「あぷ、あう」

    叩く力としては割と容赦ないが、痛みはあまり感じない。ぷにぷにの手のひらはほんのり温かく、こんなに小さくても生きているのだと思わされる。


    「だうー?」

    「あ、あれ?」

    いつの間にかルリの表情が変わっていた。彼女の不思議そうに見つめる視線から、ロイは自分の頬に温かいそれが伝っていることに気付いた。止めようとしても流れ続け、何度拭っても涙が溢れて止まらない。

    たまらずロイは、リコとルリを力強く抱きしめた。


    「リコ」

    真ん中の子どもはきょとんとしているのに、その子を囲んだ大人は二人揃って泣いている。傍から見れば随分と情けない姿だが、それでも良かった。涙で顔をべしょべしょにしながらロイはリコに言った。


    dice1d3=3 (3)

    1 「もう一度、僕と付き合ってください」

    2 「僕と結婚してください」

    3 「ずっと二人と、一緒がいいです」


    リコは何度も首を縦に振りながら言葉を返す。ロイの言葉を聞いていたリコもまた、ひどい顔をしていた。それでも彼女は笑っていた。


    「私も、ロイと同じ気持ちだよ」


    リコの言葉と共に、ライジングボルテッカーズ結成の、全ての始まりの象徴が眩い光を放ちながら顔を覗かせる。落ちる涙がどこまでも広がる黄金に溶けてしまいそうな気さえしていた。輝き照らす光が、三人を祝福してくれているようだった。


    先ほどの言葉よりも朝日に目を奪われてしまう。喜びと共に光に照らされた彼女はロイにとって、世界で一番美しかった。

  • 129二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 20:55:16

    良かった………本当に良かった………!

  • 130二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:00:30

    よかった。これからずっと一緒にいろよ…

  • 131二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:19:37

    ロイリコハピエンでよかった…

  • 132二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:33:17

    このレスは削除されています

  • 133二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:41:27

    このレスは削除されています

  • 134二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:45:39

    このレスは削除されています

  • 135二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:47:47

    このレスは削除されています

  • 136二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:53:21

    このレスは削除されています

  • 137二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 09:07:56

    このレスは削除されています

  • 138二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 10:45:59

    管理お疲れ様です
    心ない言葉で荒らす愉快犯や荒らしに便乗して特定のキャラやCPを叩くアンチがいて大変かと思いますがどうか気に病まないで欲しいです

  • 139二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 13:45:21

    良かった〜!
    3人には辛い思いした分幸せになってほしい

  • 140二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 14:32:48

    フリリコ好きとアメリコ好きとスピリコ好きを偽ってロイリコを悪く言う卑怯な対立煽り。
    どう見てもどのファンにも属さない対立煽りの自作自演なのに××リコ派がやったんだと言ってスレの空気を悪化させる××リコアンチ。

    この2勢力のせいでレスしづらかったので全消し超感謝です。
    ロイリコ幸せになってよかった……。

  • 141124/07/06(土) 15:15:04

    スレ主です。
    今日は個人的な用事により朝から管理できない状況にありまして、ただ今スレの様子を知った次第です。
    どなたかスレを管理してくださりありがとうございました。
    この場を借りて感謝申し上げます。

    本編の更新はもう少しお待ち下さい。

  • 142二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 21:53:29

    本編更新まで首をリキキリンにして待ってるわ

  • 143124/07/07(日) 01:33:14

    「おはよー!」
    「おはよう」

    モリーの連絡によって現代組は全員が起きて集合しており、既に未来組を見送る準備を終えていた。ウイングデッキの中央に未来のフリード、手を縛られたままのスピネル、アメジオ、ロイ、そしてテラパゴスとルリを抱えたリコがいた。未来組も全員揃っていた。

    「あれ?大人のリコも僕もどうしたの?」
    目真っ赤だよ?と子どもロイに指摘され、慌てる大人のリコとロイ。彼らの行動、その一部始終を見ていたのはモリーと、実はキャップだけであったためそれ以外の皆が首を傾げていた。

    「短い間だったけどありがとう!」
    「うん!ロイたちも元気でね!」
    「過去の俺たちも元気でな!」
    「おお!フリードたちも頑張れよ!」
    ロイの言葉にオリオが手を振りながら答えた。未来のフリードとマードックがライジングボルテッカーズのハンドサインを行い、互いを鼓舞した。

    「世話になったな」
    アメジオが全員に向けて感謝を述べる。皆が思い思いに言葉を交わしていた中で、未来のテラパゴスをじっと見ていた子どもリコがおそるおそる口を開いた。

    「あの、未来の私に聞いておきたいことがあるの!」
    「!どうしたの?」
    腕の中で元気にジタバタしているテラパゴスとルリを宥めていた大人リコが反応を返す。少しの間もじもじしていたリコであったがなんとか言葉を絞り出した。

    「えっと…わ、私も将来…子どもを産まないといけないの?」
    大人リコが目を見開く。そしてその言葉の意味を理解すると、慌ててぶんぶんと首を横に振って答えてくれた。

    「う、ううん!それは強制じゃないよ!あなたが嫌ならその選択をする必要はどこにもないから!」
    「で、でもそれじゃあルリは…?」

    不安げにルリを見つめる子どもリコと、その視線の意味がわからずニコーっと笑顔を向けるルリ。二人を交互に見た後、大人リコは子どもリコに足を向けて近づきながら説明を始めた。

  • 144124/07/07(日) 01:47:17

    「そもそもこの時代のテラパゴスが全く同じタイミングで、同じ力に目覚めるかもわからない。私たちは"リコ"だけど、あなたの未来が私の人生そのものとは限らないの」

    「それって、どういうこと?」
    「私たちは違う世界線…パラレルワールドの存在かもしれないってことだよ」
    「パラレルワールド?」

    疑問を抱いたのは子どもリコだけではなかった。子どもロイも頭上にハテナを浮かべている。ここでテラパゴスの様子を見ていたドットが口を挟んできた。

    「パラレルワールドって確か、並行世界のことだよね?そうだとすると、大人のリコとボクが知ってるリコは別人ってこと?」
    ドットの言葉に大人リコが目を伏したまま頷く。これ以降発言は消えてしまい、そのまま空気が重くなる。

    「ここからは、私が説明しましょう」
    そんな中、意外にも助け舟を出したのはスピネルだった。監視も兼ねて隣にいたアメジオはジト目で見ていたが、スピネルは気にする様子もなく語り始めてくれた。

    「我々が行ったタイムスリップ。これはテラパゴスの力の、派生の一つに過ぎないのです」
    手は縛られたままであったが、彼が研究していたテラパゴスの力について得意げに説明する姿は、持ち前の知性を惜しみなくさらけ出しているものであった。

    「私たちの見えないところでは少しずつ違う未来を歩んでいる沢山の世界があると考えられています。この考えこそがパラレルワールドです。そもそも私たちの時代とこの時代の違いは時間だけではないのです。つまり我々が来た世界とここの世界は、本来交わることはない別の世界なのです。

    しかしこの二つを繋げるのがテラパゴスの力の一つである、というわけです」
    私がこの時代のテラパゴスを狙わなかったのも別の世界の人間が干渉しても意味がないからです、などとかなり大事そうなことまで話してくれた。

    「どちらにしても、あなたたちは全てを忘れます。テラパゴスの力はまだまだ研究の途中でしてわからないことも多いのですが、別々の時空を繋げる代償だと考えれば妥当かと。もしかしたら私たちが帰ってすぐかもしれませんし、その瞬間は平気だったとしてもしばらくしたら記憶が朧げになる…と考えられますね」

    普段のミステリアスさは鳴りを潜め、解説をするスピネルはどこか楽しそうであった。

  • 145124/07/07(日) 01:51:09

    「リコさん、どうです私の説明は!」
    「あ、ありがとうございます…」
    説明を終えるとスピネルは大人リコの方を向いてはしゃいでいた。どうやら大人リコのためだったらしい。
    アメジオだけでなくリコまで何とも言えない微妙な表情を浮かべながら、とりあえずお礼を伝えていた。説明において助かったのは事実であるため、大人リコはなんだか複雑な気分であった。

    説明を聞いた子どもたちの内、ロイとドットは納得した様子であったがリコの顔だけが晴れていなかった。
    「どうしたの?」
    「う、うん。違う未来ってことは、ルリにはもう会えないんだって思って…そうしたらなんか、嫌だなって思ったんだ」

    確かに関わった期間は短かった。それでも毎日を一生懸命生きていた彼女を、わからないことだらけで上手くお世話できなかった自分を「まぁま」と呼んでくれた彼女を、リコは愛してしまったのだ。
    子どもリコは大人リコの腕に抱かれていたルリの頬をそっと撫でた。ルリの身体は母である大人リコに預けられたままであったが、ルリは嬉しそうにしながら子どもリコの手に自ら頬を擦り寄せた。その表情は間違いなく幸せだと言っていた。

    まだあまり話せない娘からの愛情表現に、リコの心は満たされていた。そして気が付いたときには視界が滲んでいた。いつの間にか子どもリコの目から涙がこぼれていく。周りの人間も驚いていたが、一番驚きを隠せずにいたのは彼女自身だった。

    「あ、あれ?なんで私…」
    溢れる涙を拭っても拭っても止まらない。なんとかして涙を抑えようとする彼女を見て、大人リコは子どもリコをぎゅっと抱きしめた。ルリとテラパゴスを腕に抱えたままだったため少しだけ狭かったが、その手はどこまでも優しかった。

  • 146124/07/07(日) 01:55:17

    「大丈夫だよ、泣かないで。
    だって、もしかしたら私たちよりもずっと早くラクアを見つけられて、テラパゴスを連れて行ってあげられるかもしれない。私のブリムオンはここで進化したけど、これもあなたのミブリムの方がタイミングが早いかもしれない。私は遠回りしちゃったけど、あなたはもっと良い道を見つけられるかもしれない。
    だから、未来が違うことは決して悪いことばかりじゃないんだよ」

    「パァーゴ!」
    「まぁま!」
    大人リコが子どもリコの頭を撫でてあげていると、大人リコに完全に身を預けていたテラパゴスとルリも子どもリコの方に身を寄せていて、まるで彼女を慰めてくれているようだった。

    「大丈夫。あなたがなりたい自分を見つけられれば、あなたが信じる道を進んでいけば、できるだけ後悔しないように一生懸命選んでいけば、それがあなたの人生になる。きっとそれが、あなたにとっての正解なんだよ。
    私と同じ道を無理に進んでいく必要はないんだよ。あなたの人生は、あなただけのものなんだから」

    大人リコが軽く背中をポンポンと叩くと、子どもリコはその背中に手を回して抱きつき返した。少しだけそうしていると、いつの間にか子どもリコの涙は止まっていた。気恥ずかしくなったのか子どもリコが手を離したタイミングで、互いに距離をとった。

  • 147二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 08:48:23

    ルリと出会ってくれ頼む

  • 148二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:02:39

    お別れ切ないけど良いな…
    まあ現代(本編)リコたちの方が早めに目的達成できるのは確かだろうなあ…

  • 149二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:34:42

    お別れが切ないけど、たくさんある未来の中で現代リコがルリちゃんに会える未来へいつか辿り着けたら素敵だね

  • 150二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:32:37

    この後未来ロイリコの後日談書いて欲しいわ

  • 151124/07/07(日) 21:40:17

    「そうだドット、さっき見せてくれたルリの写真はあれで全部?」
    「う、うん…」
    切り替えるようにして大人リコがドットに問う。実は先ほど、この数日間でドットがスマホロトムで撮影していたルリの写真を全て削除してもらっていたのだ。当然ドットには渋られたが最終的には了承してくれた。

    「時間取らせてごめんね!消してくれてありがとう!」
    「すまないドット、どうしても時代の改変を抑えるためにこうする必要があってな」
    ポケモンたちにも別れを告げ、この時代のキャップと笑顔で言葉を使わずに思いを交わしていた未来フリードが会話に加わる。

    「せっかく写真あったらリコたちのこと忘れないかもしれないのに、なんで消さないといけないんだよ…」
    「あはは…そうなんだけど、万が一ドットのスマホロトムが壊れたら困るから…ね?」
    「うっ、確かにそれは困るな…」

    未だに納得のいかないドットだったが、大人リコの言葉に頭を抱えるしかなかった。記憶に干渉する力が強制的に発生する中で、電子機器にどのような影響があるかは未知数だったためやむを得なかった。

    皆が別れの挨拶を終え、未来組が中央に集まった。大人リコが抱えているテラパゴスにお願いをすると、一鳴きした後眩い光を発する。当事者からすると目が眩むほどの光のせいでわからなかったが、桃色の霧が未来組を包み込んだ。光と霧が反射し拡散されることで神秘的な空間を生み出していた。

    やがて霧が濃くなり、未来組の姿が隠れだす。すると子どもリコが一歩踏み出し、ほとんど見えなくなってきた未来の自分に向かって気持ちを叫んだ。
    「私、やっぱりあなたみたいになりたい!私、頑張るから!!だからあなたも頑張ってね!!」

    子どもリコからは見えなかったが、大人リコは彼女の想いを聞いて笑みをこぼしていた。そして片腕だけで娘とテラパゴスを支えると、濃霧の中過去の自分に対してめいっぱい手を振った。
    「ありがとう!!バイバイ!」

    そして霧と共に光が途切れ、跡形も無く未来組の姿が消えた。全員何も言わず彼らがいた場所を見つめていた。胸の方に当てていた手を拳にしながら、溢れ出る感情と共に息を整えていたリコの隣にドットが立つ。そして唇を噛みしめていたリコをそっと支えてあげていた。そこに一切の言葉はなかった。

  • 152二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 06:47:23

    未来で待っててね

  • 153124/07/08(月) 07:17:01

    〈未来時空〉

    「リコ!ロイ!フリード!」
    「アメジオ様!」
    光と共にリコたちが降り立つ。その場所は見慣れた船の中、どうやら全員無事に元の時代に帰ってこれたようだ。隈が薄くなったドット、モリーにオリオ、マードックとランドウにキャップにパモをはじめとした船のポケモンたちまでみんなが駆け寄ってきてくれた。アメジオのところにはジルとコニアが来た。

    「みんな無事だったか!?平気か!?腹空かせてないか!?」
    「ルリも無事だったんだね!アメジオがテラパゴス連れて行ったときはどうなることかと思ったけど…みんな平気?」
    「!ロイ怪我してるじゃない!向こうで何があったの!?」
    「皆落ち着かぬか。一度に言うてもフリードたちも答えられないであろう」

    マードック、オリオ、モリーが口々に言うのをランドウが嗜めるが、そう言う彼の目にも不安と心配が滲んでいた。彼らが心配するのは至極当然のことであった。
    「僕は大丈夫だよ!向こうのモリーが治療してくれたし!」
    「俺も平気だ、リザードンにも怪我はない」

    ロイとフリードが報告をしていた際、アメジオたちも同様に話をしていた。スピネルはアメジオのところにおり、彼らに見張られていた。
    「アメジオ様!よくぞご無事で!」
    「当然だ。ジル、コニア、協力に感謝する。
    オレは今からコイツを連れて行く」
    そう言って手を縛られたスピネルを指す。スピネルは何も言わず、アメジオを見て苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

    「リコ、今から本拠地に戻るが着いてくるか?」
    「!それならボクが行く、リコは帰ってきたばかりだぞ!そんな無茶させられない!」
    「ドット…」

    ドットが自ら名乗り出るが、リコは静かに首を横に振った。アメジオがわざわざ話を振ったということは、ギベオンのところに行くという意味であるとわかったから。自分が話をしたいと言い出したのだから自分でけりを付ける必要があると思ったから。リコはルリとテラパゴスを抱え直し、本拠地のある方向を見据えた。

    「行こう。まだ、話は終わってない」

  • 154二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:19:28

    パラレルワールドってことはリコが別の人と将来を共にする未来もあるってことか
    別カプの未来でもルリちゃんと出会ってほしい気持ちとルリちゃんはロイリコの子供であってほしい気持ちがある

  • 155二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 08:27:30

    気が早すぎる上にスレ主さんにお願いするのも気が引けますが完結したらパート2でスレ主さんが語ったバッドエンド含む他ルートの番外編スレを見たいです

  • 156二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 10:46:14

    >>155

    パート2じゃなくてパート3(前スレ)でしたよー

  • 157二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:32:19

    そういや誰とくっついてても子供はリコ似なんだっけ…遺伝子が強い

  • 158124/07/08(月) 21:38:29

    「ならせめてボクも行く!リコ一人なんて危険だ!」
    「それなら俺も着いていく」
    「ドット、フリード…私は大丈夫だよ。アメジオがいるし、ルリとテラパゴスもいてくれるから」

    食い下がるドットにフリードも同意する。しかしリコも下がらなかった。ルリもいると言う、彼女の言葉に突っ込んだのはロイだった。
    「待って!?ルリも連れて行くの!?」
    「うん。もう離れない、ずっと一緒だってこの子と約束したから」

    「でも危ないよ!?ル、ルリは…」
    リコがルリをぎゅっと抱き寄せる。ロイがルリの方を見てその手を差し出したが、ルリはロイの方を一瞬見てすぐにリコの胸に抱きつくだけであった。

    「あうあ!」
    「ダメかぁ…」
    ガックリと肩を落とすロイ。もしかしたらルリにまだ父親であると理解されていないのかもしれないと考えると、仕方がないことではあるがもの悲しかった。

    「もう決めたの。行こうアメジオ」
    「わかった」
    「待ってくれ!それならせめて送っていく!リザードンにならリコたちを乗せても大丈夫だからな」

    今にも進もうとしていたリコたちをなんとか留めフリードはリザードンを出した。歩いていくには少し遠く、アーマーガアやエアームドにルリとテラパゴスを抱えたまま乗るのも無謀であったためリコはお願いすることにした。

    「行ってきます!」
    「い、いってらっしゃい!!」
    リザードンに抱えられたリコの言葉に声を張るドットとめいっぱい手を振るロイ。アメジオたちもスピネルを連れて飛び立ったことを確認すると、ドットが大きなため息をつきながらへなへなと腰をおろした。

  • 159124/07/08(月) 21:54:27

    「はぁ〜…」

    「ドット大丈夫!?」

    「ボクは平気、だけどリコたち本当に大丈夫かな…」

    「こればっかりはアメジオたちを信じるしかないね」

    ぼやくドットに声をかけたのはモリーであった。オリオとマードックもうんうんと後ろで頷く。モリーはロイの近くにまでよると頭に巻かれた包帯を確認し始めた。


    「巻き方全く同じ…本当に過去の私が手当したんだね」

    「うん!

    そうだ、僕みんなに言わないといけないことがあるんだった!」

    ロイはみんなの方に振り向くとこう言った。


    dice1d3=2 (2)

    1 「記憶取り戻したよ!」

    2 「僕、リコと付き合ってたんだ!」

    3 「リコとルリと一緒にいたいって伝えたら、リコがいいよって言ってくれたよ!」


    次の瞬間悲鳴のような、呆れたような、叫びのような何ともいえない声が船内に響いた。キャップだけが呆れたように片目を閉じ、皆を見つめていた。




    オマケダイス

    ・ルリがロイを父親だと理解するまでの日にち dice1d10=3 (3)

    ・ルリがロイを「ぱぁぱ」と呼ぶまでかかる日にち dice1d30=20 (20)

    ・ロイリコの結婚意欲(数字が大きいほど結婚を望んでいる)

    ロイ dice1d100=51 (51)

    リコ dice1d100=56 (56)

  • 160二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 06:51:55

    ロイリコは早く結婚してくれよ………。

  • 161124/07/09(火) 11:37:35

    入口付近にたどり着き、アメジオたちがライドポケモンから降りる。リコたちもリザードンが優しく降ろしてくれた。

    「ありがとうリザードン、フリード」
    「リコ、本当に一人で行くつもりか?」
    一度リザードンから降りたフリードが心配そうに聞くが、リコは笑って頷くだけだ。彼の心労をたたらせてしまって申し訳ない気持ちもあったが、ここで引くのはどうしても嫌だった。

    「…アメジオ、リコとルリ、テラパゴスを頼んだ」
    「…善処する」
    アメジオの後ろをリコが、その後ろにスピネルを挟む形でジルとコニアが着いていく。ドアが閉まるまでずっと、フリードは彼女の後ろ姿を見続けていた。彼女らの安全と聞きそびれてしまった目的の達成を願いながら。

  • 162二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 14:15:17

    1が番外編スレに言及してたってことは完結したらアメリコスピリコ見たいですっていうファンの主張はスレチじゃなかったってことか

  • 163二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:37:50

    >>162

    明らかにロイリコを貶めていたのもいたからスレチも多かったけどな

  • 164124/07/09(火) 21:29:06

    長い廊下を進んでいく。一度通ったきりのこの場所で迷子にならないようにアメジオに着いていくと、とある部屋の前で足を止めた。そして方向転換をして中に入っていくと、そこにはエクスプローラーズの幹部たちが集まっていた。

    「あー!!さっきはよくも!サンゴのこと縛りやがってー!!」
    「もう助けてやっただろ」

    リコを見た瞬間食いかかってきたのはサンゴだった。そして彼女を宥めるのは隣にいるオニキスだ。そういえばそうだったっけ…と言わんばかりの表情で見てくるリコに対してサンゴが地団駄を踏む。
    「そうだけどそうじゃないし!!マジ鬼ギレだっつーの!!」

    「良いではないですかサンゴさん。彼女の技術は最高ですよ!」

    「……」

    一瞬で場の空気が凍りつく。ぜったいれいどを使ったポケモンはこの場にはいないにもかかわらず、だ。我間せずなアゲートや仲裁側に立っていたオニキスはともかくとして、サンゴなどあんなに湯気が出そうなほど怒っていたのにすっかり今は動きを止めている。要は全員からドン引きされているのだ。

    「スピネルヤバっ」
    結局、不快の感情を一切隠さない表情でサンゴが一言語るだけであった。当のスピネルはここで待機することになっていたらしく、アメジオたちは三人だけで会話を続けていた。

    「では頼んだ」
    「承知いたしました!」
    ジルとコニアはアメジオの言葉に良い返事をする。どうやらジルとコニアも共に待機するようだ。手の拘束を解かれたスピネルは、嬉しそうにひらひらとリコに手を振っていた。

    部屋から出るのはアメジオとリコ(とリコが抱えているルリとテラパゴス)だけであった。彼らだけがドアをくぐり再び廊下を歩んでいく。
    どうかルリが彼らの言葉を理解していませんように。間違ってもここで聞いた言葉を話したりなんてしませんように。リコは遠い目のまま、そんなことを考えていた。

  • 165124/07/10(水) 05:48:41

    ギベオンとの対話です。

    前編です。前後編となっております。

    ギベオンとルシアスにはまだ謎が多く、人によっては解釈違いの可能性があること、また匂わせ程度の設定(捏造)を含むためこちらにうつしました。


    Writeningwritening.net

    パスワードはznpnです。

  • 166二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 17:18:58

    アニメで判明した設定が反映されてる…!!ルシアスとギベオン、テラパゴス関係は本当気になってるんですけどスレ主さんがどう書くのか楽しみです

  • 167二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 21:45:37

    まだかなー

  • 168124/07/11(木) 06:11:17

    ギベオンとの対話(後編)です。

    お待たせしました。後編です。

    今さらですがほとんど対話してないです。注意点は大体前編と同じ、あと文章が長いことです。


    Writeningwritening.net

    パスワードはkuhnです。

  • 169二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 17:50:39

    この後どうなるんや………。

  • 170124/07/11(木) 21:58:15

    あれからしばらくして、リコたちはハンベルに連れられて部屋を出た。あれから行われた話し合いは無事に一段落し、残りの議題は次回に持ち越すことになっていた。歩いていたリコが立ち止まり、ハンベルに頭を下げてお礼を言った。

    「あの、ありがとうございました!資料もわかりやすかったです!これ、船のみんなに共有してこちらでも話し合います!」
    「こちらこそありがとうございました。あれほど貴女が真剣に考えてくださっているのを拝見いたしましたら、こちらとしても作成した甲斐がありましたよ」

    リコの様子を見たハンベルもぺこりと一礼を交わす。リコの手にはテラパゴスとルリ、先ほど貰った資料があった。彼女の両手は塞がり、もう何も持てない。

    「入口まで送ろう」
    「!ありがとうアメジオ」
    すっとアメジオが前に出ると、リコの返事を確認した後から歩みを進める。リコたちはアメジオの後ろを歩いていった。それを見送るハンベルは、彼らが見えなくなるまで45度に曲げた腰を戻さなかった。

    ハンベルは一人考え事をしていた。戻した背筋も真っ直ぐで年を感じさせない美しさがある。ギベオンが愛おしそうに見つめていた彼女の瞳、いにしえの冒険者ルシアスを重ねて見ていたことはハンベルにもわかった。だがハンベルにはあの瞳の奥に別の者が見えていた。

    「あの輝き…私には、あの赤い服の青年が見えました」
    ハンベルはその言葉を誰に伝えたいわけでもなかった。静かになった通路の中で囁いていた言葉は、ゆっくり解けるように消えていくだけであった。

  • 171二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 06:48:10

    ハンベルもロイに一目置いている感じなのか

  • 172124/07/12(金) 07:00:04

    「リコ」

    「アメジオ?」
    終わりが見えない廊下を歩いていると、不意にアメジオが声をかけてきた。そして足を止め、反応を返したリコの方へ振り向いた。
    「お祖父様のあんな表情はオレも初めて見た。本当に、感謝する」

    そう言うとアメジオは深々と頭を下げた。リコはまずシンメトリーの髪の毛がサラサラとなびくのを綺麗だな〜なんて考えていた。要は一瞬現実逃避しそうになっていたのだが、アメジオの行動の意味を遅れて理解した彼女はひどく慌てていた。

    「ア、アメジオ!?頭上げて!」
    あれは私じゃなくてテラパゴスとルリのおかげだから!と続けながらアメジオの元に近付くと、腕に抱えていたルリが大きく身を乗り出した。

    「あう、あー!」
    「!?」
    その手は下げられていたアメジオの頭に伸びると、彼女なりに撫でるように数回横に動かされた。だがアメジオの髪の毛はボサボサになるし手つきも乱暴と言って差し支えないほどであったため、焦りまくっていたリコがすぐに止めた。

    「ルリ!ダメだよ!」
    「んむー!」
    「パーゴ?」
    ルリはリコの腕の中で活きの良いミガルーサのようにジタバタしている。テラパゴスもつられてはしゃぎ出すため収集がつかない。リコはボサボサになった頭を直しているアメジオに対してすぐに謝罪をした。

    「ご、ごめんなさい!」
    「いや、いい。オレは平気だ」
    リコの考えとは裏腹に、誰かに撫でられるなどいつぶりだったろうか、本当はもう少しだけ…なんて考えていた彼の紫がゆらゆらと瞬く。アメジオの表情はどこか寂しそうで、しかしそれと同じくらい嬉しそうであった。

  • 173二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 07:54:01

    頭撫でられて嬉しく思うアメジオ良いな…
    そうだよな…誰かに撫でられたことなんてもうずっとなさそうだよな…

  • 174124/07/12(金) 19:17:00

    「リコ!」
    「フリード!?」
    あれから何事もなく入口までたどり着いたら、そこにはフリードがいた。両手がいっぱいの状態でリコはフリードとリザードンのところに駆け寄る。

    「わざわざ来てくれたんだ、ありがとう!連絡してなかったのに…いつ来たの?」
    「いや?リコたちが行ってからずっとここで待ってたぞ?」
    「え」
    フリードの言葉にリコが目を丸くする。面食らった様子の二人を見ながらフリードは言葉を続けた。

    「言ってなかったか?リコたちが来るまでここで待ってるって」
    「言ってない!」
    「言ってないな」
    いつもの調子で話すフリードに振り回されるリコとピシリと言い放つアメジオ。あれこれ言われても全く意に介さず、あははと笑いながら頭をかくフリードの姿をリザードンが目を細めて見ていた。

    「上手くいったんだな」
    「うん!あのね、聞いてフリード!」
    フリードの言葉を聞いて、跳ねた毛をぴょんぴょんさせながら経緯を話すリコの瞳はキラキラと輝いていた。テラパゴスとルリがリコに合わせてご機嫌に揺れるのを目で追っていたフリードがよしよしと頭を撫でてあげる。するとさらに嬉しそうに揺れるのをアメジオがじっと見ていた。

    「何があったかわかるのか」
    「そりゃあ、リコの顔見ればわかるさ」
    案外わかりやすいぞ、なんて言いながらリコの頭もわしゃわしゃと撫でる。その手に特に抵抗もせずに照れているリコに構い倒しながら、フリードはアメジオの方を向いた。
    「船やテラパゴスのこと、本当にありがとうな。お礼と言っちゃあなんだが撫でてやろうか?」
    「遠慮する」
    「あちゃー、フラレちまったか」

    彼らの笑う姿は本当に幸せそうで、ほんの少しだけ羨ましかった。絶対に口に出すものかと意固地になったアメジオが横一文字に口を結んでいると、フリードがリザードンにポンと触れる。そしてリザードンがリコたちを抱えるとフリードが背中に飛び乗った。

    「何から何までありがとー!!」
    「じゃあまたな!今度は俺たちも参加するって伝えておいてくれよなー!!」
    言いたいことだけ言って、あっという間に飛び立っていってしまった。リザードンが巻き起こした風に髪を揺らすアメジオが彼らを見送ると小さくため息をついた。見上げていた瞳に届いたリザードン越しの太陽の光を、静かに瞬かせて。

  • 175二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:41:56

    フリードに頭を撫でられてもっと嬉しくなって揺れちゃうルリちゃんとテラパゴスかわいいね
    フリードにお話ししようとしたら頭を撫でられて照れちゃうけど抵抗しないで受け入れちゃう大人リコもかわいいね
    ずっと思っていたことだけどロイとリコだけじゃなくてフリードとリコのやり取りも現在も未来も可愛くてずっと顔がにやけっぱなしよ

  • 176二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 22:00:50

    ロイも早く見たいですなあ

  • 177二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 22:20:20

    フリードとアメジオのやりとり、大分好きだわ…
    正直この二人の関係好きなんよね

  • 178124/07/13(土) 08:20:13

    「お・ま・え・か・よぉー!!!」

    「ドット落ち着いてくれー!!」


    一方その頃ドットは、ロイの襟元を掴みながら絶叫していた。マードックが制止するのも聞かずガンガン揺らしていたためロイの頭がガクガク揺さぶられる。

    先ほどのロイの言葉を聞いてモリーとマードック、ランドウは納得したような顔をしていたのだが、オリオとドットはすっかり面食らっていた。


    そしてドットの中で時間をかけて、

    ・ロイはリコと交際していた→・リコが皆に対して「ルリの父親は交際していた人だから安心してくれ」と話していた→・つまりルリの父親はロイである

    という連想ゲームを終えて、現在の状況である。


    ロイの頭が取れるよりもドットの疲労蓄積の方が早かったのか、ゼイゼイ息を切らしながらようやく動きは止まる。最後までロイは抵抗しなかった。できなかったと言った方が正しいのかもしれない。

    ドットはdice1d3=2 (2)

    1 真顔で話し始めた

    2 目に涙を溜めて話し始めた

    3 ぼろぼろと涙を流した(話せない)


    ・相手が不明だったときドットの、リコの交際相手への感情dice1d3=1 (1)

    1 リコがそう言うなら仕方がないのか(向こうも自然消滅と思ったのかもしれないし、というリコの発言を受けて)

    2 連絡くらいしろ薄情者

    3 リコを悲しませた奴絶対許さない

  • 179二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 19:06:26

    仕方ないと思ったからこそ、今になって判明するとブチギレるわけね

  • 180二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 20:26:36

    ドットは本当にリコを大事に思っているんだな

  • 181124/07/14(日) 00:07:16

    「リコ、泣いてたんだぞ!?」
    「…うん」

    ドットとの身長差からどうしても見下ろす形になり、ロイの顔に影が落ちる。Tシャツが伸びるのも気にせず、自分を見つめるドットの言葉に頷くだけであった。

    「なんで、なんで言わなかったんだよぉ…?」
    前髪の間から覗く目にいっぱいの涙を溜めながら、ドットはぎゅっと襟元を掴む手の力を強くする。ロイを見上げ続けることで、涙を溢さないようになんとかこらえていた。感情を吐露するような彼女の視線からロイはやっと口を開いた。

    「ごめん。リコと付き合ってたこと、忘れてたんだ。今までずっと」

    ロイの言葉にドットが息を呑んだ。襟元を掴んでいた手がわずかに緩む。ドットを止めようとしていたマードックも、ロイから記憶喪失の話を聞いていたモリーも、状況がイマイチ飲み込めていないオリオも、ある程度察していたランドウも。そして腕を組んで見ていたキャップも後ろにいたポケモンたちも、皆黙って二人の話を聞いていた。

    「ねえドット、リコのそばにいてくれてありがとう!ドットがいてくれたから、あのときリコは一人で抱え込まなくて済んだんだよ!」
    「別にそんなんじゃ…ボクなんて何もできてないし、結局リコは一人でルリを…」
    「それでも僕にはできなかった。あのときのリコは、僕のこと好きじゃなかったからね」

    ロイがなんとか笑顔を作って口にしたのは感謝だった。震える唇を動かして無理やり口角を上げる姿は、いつも明るいロイにしては非常に珍しかった。

    「僕だけがリコを好きでもダメだった。でもリコが一人で抱え込まないようにもしないといけなかった。僕はどっちも上手くできなかったんだから、今のままじゃダメだってよくわかったよ!」

    そう言うと両手を拳にして胸の前に置く。改めて覚悟を決めたロイの様子を見て、ドットは手を降ろした。いつの間にか開きっぱなしの目に溜まっていた涙が少しずつ吸い込まれていった。

    「ボクだってわかってるよ、これが八つ当たりだってことくらい…あのとき怪我したのは、記憶を失ったのはリコだけじゃなかった。ロイも同じだったってモリーから聞いたから、ボクも知ってたし…」

  • 182124/07/14(日) 00:37:01

    「悔しかったんだ…リコがあんなに悲しんでたのに、何もできない自分が許せなかった」


    ドットは袖で顔をごしごしと擦りながら語る。そうだ、苦しんでいたのはリコだけでも、ロイだけでもなかった。今は口を閉ざしているライジングボルテッカーズの皆だって同じ気持ちだったはずだ。大事な人が悲しんでいるときに思うことは、きっと皆同じだとロイにもわかった。


    「みんな、ごめんなさい!」


    そうなればすることは一つだ。ロイは皆に向かって頭を下げた。しかし誰が口を開くよりも早く頭を上げて、その言葉の意味を語り始めた。


    「リコだけじゃなくて!みんなを不安な気持ちにさせちゃって、苦しくさせちゃってごめんなさい!」


    思い返せば、リコの妊娠がわかってからどことなく空気が重かった。ルリが産まれてからはそれどころではなくなりどんよりとした感覚は消えていたが、完全に綻びがなくなったわけではなかった。握りしめた彼の言葉はまだまだ続く。


    「ルリのこととか責任とか、もっと色々考えていきたい!今からでも僕にできることとか僕だからできることとか頑張って探してみる!だって僕、これからもみんなと、リコと一緒にいたいもん!」


    言葉を聞いてしん…と静まり返るが、やがてロイとドットが子どものころから一緒だった大人たちの小さく頷く姿が見えた。もちろん完全に納得したわけではないかもしれないが、ロイの言葉の意味を、気持ちを汲み取ってくれたようだ。

    唯一眉尻を下げて俯くドットの肩にポンと触れるのはロイの手だった。驚いた様子で顔を上げたドットを見ながらロイは続けた。


    「ドット、怒ってくれてありがとう!好きって気持ち以外にもリコと話さないといけないことがいっぱいあるってこと、ちゃんとわかったよ!


    だから、教えてくれてホントにありがとう!」


    ニコニコと笑いながら答えるロイの目は、どこまでも真っ直ぐだった。そんな彼らの頭上に大きな影が落ちていく。翼の形をしたそれはリザードンのものであり、フリードたちが戻ってきた証だった。


    フリードには話が dice1d2=2 (2)

    1 聞こえていた

    2 聞こえていなかった

    リコには話が dice1d2=2 (2)

    1 聞こえていた

    2 聞こえていなかった

  • 183二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 01:01:25

    リコもフリードも揃って聞こえてないの申し訳ないけど笑ってしまった
    この難聴系主人公ズめ!

  • 184二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 08:55:34

    次スレの季節ですなあ

  • 185124/07/14(日) 09:29:53

    >>184

    スレ主です。お声掛け痛み入ります。


    皆様に次スレのご相談をば。

    本編はあと2〜3つ投稿したら終わります。できればこのスレ内で終わりにしたいと考えております。そこで、次スレを後日談スレにするか番外編スレにするか悩んでおります。

    内容的に同じスレに書くことは良くないと考えていますし、同時にスレを管理することもスレ主には難しいです。あと番外編の場合その他カテゴリの移動も選択肢として考えています(CPが入り乱れる、投稿頻度が下がるため)。スレ民の皆様のご意見も欲しいです。


    とりあえずダイス。dice1d3=2 (2)

    1 後日談(未来時空)

    2 後日談(現代時空)

    3 番外編(if設定)

  • 186二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 10:03:27

    このレスは削除されています

  • 187二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 10:20:01

    注意書きをした上でCPごとにスレを分けた方が荒れないと言いましたが、前にあったアニポケCP総合スレは
    様々なCPが入り乱れていても全く荒れていなかったことを思い出しました……ごめんなさい!
    注意書きをしてWriteningを使用して「ここからはA×リコの番外編」と各CPごとに前置きをすればもしかしたらCP別に
    スレを立てるより荒れないかもしれません

    ※ややこしくさせてしまうため自レスの186は削除しました(番外編スレをその他話題カテゴリに立てるのはアリだと思います)

  • 188124/07/14(日) 13:41:47

    「おーい!」

    手を振るのはフリードだ。翼をはためかせ、風を巻き起こしながらリザードンはゆっくりと地に足をつけた。腕から降ろされたリコがリザードンにお礼を伝えているところに皆が迎え入れるように歩いていく。初めに駆け寄ったのはドットだった。

    「リコ!!」
    「ドット!」
    焦るドットとは対称的に穏やかな表情を崩さないリコ。彼女と何故か自慢げなフリードの様子から、上手くいったであろうことは容易く予想がついた。胸を撫で下ろすが、それでもドットの感情は収まるところを知らなかった。

    「ホンットに無茶ばっかりして!!リコはいつもいつも!!過去行ったときも今も!!!ボクだって、ボクだって心配くらいするんだからな!!」
    リコが口を挟む間もないほど感情を爆発させたドットは、先ほどまでは我慢できていた涙を決壊させながらリコに思い切り抱きついた。

    「でも、無事で良かった…」
    結局大人になってもドットがリコの背を越すことはなかった。リコの腕の中にいたルリとテラパゴスに不思議そうに見つめられながら全員を抱きしめていると、ドットの頭上から優しい声が降ってきた。

    「ドット、心配してくれてありがとう。
    でもごめんね、後悔はしてないんだ…」
    あはは…と誤摩化すように笑うリコ。いつものドットならさらに怒り出すであろうに、今日は何も言い返してこない。

    鼻を啜る音だけがリコの耳に聞こえてくる。リコは少し体勢を変えてルリとテラパゴスを片腕だけで支えると、ドットの背中に片手を回した。
    これ以上かける言葉はない。ただその背中を擦る優しい手の温もりに、ドットはますます涙腺を刺激されていくだけであった。皆も何も言わないで、二人を見守っていた。二人はしばらくの間その体勢で過ごした。

  • 189二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 17:42:48

    このレスは削除されています

オススメ

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