【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats 11

[1 1 24/08/28(水) 20:06:02]

前回までのあらすじ
待たせたな！！

[2 二次元好きの匿名さん 24/08/28(水) 20:06:30]

お帰りなさいませ！！

[3 二次元好きの匿名さん 24/08/28(水) 20:08:52]

>>1

[4 １ 24/08/28(水) 20:11:03]

いや本当お待たせ致しました
突然何の通知も消えてしまい申し訳ありません
また前スレでギリギリまで保守をして待ってくださった皆様、大変ありがとうございます
リアルの職場でトラブルが連続発生したり、コロナで乙ったり冠婚葬祭が建て込んだり、余りのトラブルの多さにキチゲ解放したり、同居人が出ていく関係でバタバタしたり…
結果かなり長いこと失踪してしまいましたが、スレ主は取り敢えずある程度元気になりました
また少しずつ書き込めるタイミングで書き込んでいきますので、拙作ですがお付き合いいただければ幸いです

追伸
前スレ195様
AC6本編にはちいかわもガンダムもオルフェ系ヴォルタもグラハム系フロイトもいないよ？大丈夫？？

[5 １ 24/08/28(水) 20:12:12]

今までの①

【🎲】ある独立傭兵がルビコンで生きる話｜あにまん掲示板

【🎲】運び屋傭兵ルビコンeats②｜あにまん掲示板

【🎲】運び屋傭兵ルビコンeats③｜あにまん掲示板

【🎲時々閲注】運び屋傭兵ルビコンeats④｜あにまん掲示板

【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats⑤｜あにまん掲示板

[6 １ 24/08/28(水) 20:13:48]

今までの②

【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats⑥｜あにまん掲示板

【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats⑦｜あにまん掲示板

【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats⑧｜あにまん掲示板

【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats⑨｜あにまん掲示板

【🎲時々閲覧注意】運び屋傭兵ルビコンeats⑩｜あにまん掲示板

[7 １ 24/08/28(水) 20:34:28]

今までのスレ全部終えるわけねーだろタコ！って方向けの１レスで分かる！運び屋傭兵ルビコンeats！
誰の味方にもならず敵にもならず、ルビコンで八方美人しオッサン共に愛されながらアホの子のこのこ虎視眈々とレッドガン食堂のBBAの弁当に涎を垂らし運び屋専業として活動していた“運び屋の傭兵”ミラージュ・ストラトス（まだちいかわ）
レッドガンの役立たず共と仲良く険悪に戯れる役立たずだった彼女だが、窮地に追い込まれていた犬猿の仲のG4ヴォルタを助け、彼の仲間の遺骸を渡す為に戦ったことを皮切りに、彼女を狙っていた限界オタクおじさんフラットウェルの策謀もあって次第に戦いの中に巻き込まれていくこととなる
壁に誘拐され成り行きでヴォルタとDay after day（※死なない）、そこからナイルの死亡フラグを折るミラージュ、へそを曲げるイグアス
そこからヴォルタと晴れて恋人同士に…と思いきや中身は共依存のドロドロ泥船心中、またしても曲がるイグアスの矢印とヴォルタの性癖と思考、そこに現れる真に恋に落ちてる男フロイト
「この気持ち…まさしく愛だ！」
燃え残った恋心にダイス神が火を点けた結果グラハムと化したフロイトとここたま！第２ラウンドを繰り広げるミラージュだったが、彼女が新世代型の手術を受けた強化人間であり記憶がないこと、そして彼女とフロイトを狙う謎の勢力の存在が判明する、一体何オーバーマインドなんだ…
フロイトやイグアスとの出会いや潰し合いの末にヴォルタとの関係が歪だと気付きあんなに一緒だったのに距離を置くミラージュだが、フロイトと渡り合えるくせにベイラムの影から抜けた彼女を他の勢力が放っておかない
ミラージュを英雄にしたい解放戦線、ミラージュを飼いベイラムを潰したいアーキバス、そして彼女を“コーディネイター”と呼び狙う封鎖機構とポンコツ
過去の因果と人の業が絡み合う中、戦いの舞台は中央氷原へ
加速する集積コーラル到達競争、その裏で静かにフロイトと接触を図るオールマインド
明らかに今までと違う展開を見せる世界の中、自分自身に従い動き出す独立傭兵レイヴン
そして自分の意思で武器を取り、何かを守る為に戦うことを諦めないミラージュ
イレギュラーが渦巻くこの惑星で、コーラルへ到達するのは一体誰なのか？
大体そんな感じ、作画は時々サンライズでお送りしています

[8 前スレ195 24/08/28(水) 20:44:43]

アクションゲーど下手ながらもなんとかやってます
はやくスレに追い付けたらいいなー

[9 １ 24/08/28(水) 20:52:43]

今までのおさらいも兼ねての主人公紹介
ミラージュ・ストラトス（偽名）
今作の主人公でもある「運び屋の傭兵」（ちいかわ）（でかつよ）（潔世一）（コーラサワー）（キラ・ヤマト）（アレルヤ・ハプティズム）（六平千鉱）
肩書が多いって？一側面や一つの属性とはいえ全部事実だから仕方ない
空力か樹大枝細かっつったら空力寄りのスリム体形らしいのだが、ベイラムと仲が良かった時期は壁越え以降ヴォルタによって帰還する度散々“わからせ”られていたのでちょっとボディラインが変わっている疑惑がある
本編開始時にはロマンティクスどころかデューの経験もなく、外見を男がちょっと褒めただけで破廉恥！！！！と叫びながら乱闘を引き起こすレベルで雑魚だったなんか小さくて可哀想なくらい弱い矮小なマスコット（今も雑魚）、でも昔は人類最強レベルの近接性能だったでかつよ、擬態型かぁ～？
フロイトと出くわすまで、ご友人の火炎放射器で近くのコーラル輸送コンテナが大爆発起こそうが頭空力機体をガチタンに轢き潰されコクピットを粉砕されようが出血すらなく生存していたリアルコーラサワー
しかしうっかり不機嫌なイグアスに虐められながらパリィ芸に脳を焼かれた結果、戦いながらパズルして成長しながらレスバする潔世一的生命体になってしまった、こんなのちいかわじゃない！ただのでかつよよ！
かと思いきやその学習能力は遺伝子調整と後天的な手術の恩恵によるものという疑惑が生じ、キラ・ヤマトだのアレルヤだのと更に属性が増えた、戦いながらACのプログラムを書き換えられるレベルの電子戦性能もキラ似、そこはラクスじゃねえのか…と言いたいが、それでも！守りたいものがあるんだああああ！！と言いながらミーティア流して覚醒し、ツィイーは今！泣いているんだ！と叫んで目からハイライトを消したのでやっぱりキラ・ヤマトで良いのかもしれない
ヨルゲンの燃料基地で封鎖機構の鯉登少尉みたいなのと戦った結果、なんとかレイヴン共々生きてミッション達成となるが代償に右眼と左脚がないないした
現在はアーキバスの拠点で治療を受けながら、フロイトの昔話を聞いている

[10 １ 24/08/28(水) 21:05:43]

ミラージュを取り巻く男達（現時点で主要なところのみ）
・ヴォルタ…真っ先にミラージュとフラグを立て、ロマンティクスし（デューはしていない）、あんなに一緒だったのにまでやった現在SAN値がほぼ０でACに乗れなくなった男。イグアスをシバきMT部隊を全滅させたミラージュに脳を全焼させられ、ヤバい表情とガンギマリの目をしながらハンガーに消えた
・イグアス…野良犬が二人、来るぞイグアス！自分より弱いミラージュを舐め腐り虐めた結果覚醒のトリガーを引き、相棒が生き残ったものの育ちまくるミラージュがいる分拗れっぷりは原作レベルで酷い。以降もなんか重要なタイミングで毎チャプター交戦しては経験値になる残念な生き物だが、戦闘中の彼のシャウトは健康の良いと好評
・ミシガン…クソ雑魚ちいかわがクソ雑魚の役立たずと知っているのに何故か彼女に輸送の仕事を回しまくっていた訳知り顔のオッサン。彼女が第９世代の強化人間になった経緯を知っており、記憶を失った彼女が最初に出会った人物らしいが、詳細は不明

・フロイト…ご存知最強のフリーダム。この時空ではアイランド・フォーの動乱でミラージュ（となる前のアマリア）に出会っており、初恋を覚えてしまった。アマリアが消えミラージュとなった今となってもアマリアを想っており、現在自分似の空力AI×２を部下としてシバきながら強くなり続けている…と思ったら満身創痍の彼女が来て一瞬心停止しかけた
・オキーフ…現在まだ表舞台には出てきていないヴェスパーの三番手。アイランド・フォーの動乱の時点でミラージュと因縁があるが、実は彼女の幼馴染。アイランド・フォーの動乱終戦後アーキバスのファクトリーで出会った彼女に初恋を覚え、その後記憶や姿を奪ってでもファクトリーを脱出させてている。フロイトとは不仲を極めている。いちいちセリフがオルフェっぽい

[11 １ 24/08/28(水) 21:11:10]

・フラットウェル…初期好感度１００という大事故を起こした結果、次々愚策を練りあの手この手でミラージュを誘拐し始めた限界オタクTwitterおじさん（都度前科２犯）。メンタルが擦り切れていたミラージュに渾身の寝返り教唆ASMRを繰り出し見事味方化させることに成功したが、ぶちギレた彼女の戦い方を見て流石に危機感を覚えだした。対ミラージュでは毎回パーフェクトコミュニケーションをするが、元をただせば大体全部こいつのせいである

・レイヴン…皆大好き６２１。現在何周目かは不明、性別も不明、トレードマークは導きのパルブレかパイルバンカー。周回した結果鬼神のような強さと背景を手に入れ、ごすのリードを引きちぎる勢いで自分自身に従い暴れ回っている。自由過ぎてミラージュにAC越しにセクハラしたので多分割とガチめに嫌われている。現在ちょっと死にかけ

[12 １ 24/08/28(水) 21:13:19]

では次から書き溜めた奴を投下していきます
前回（前スレ157）からの続きとなりますので、過程が思い出せない方はそこからみてね

[13 １ 24/08/28(水) 21:14:14]

《ぁ…》
「アマリア…！？アマリア！！」
姿の見えない彼女が苦しむ声が通信越しに聞こえて、頭が真っ白になった
アマリアが、俺から敵を庇った
俺じゃなくて、敵を守った
そのせいで、俺は今アマリアを刺してしまった
何もかもが信じられない、信じたくない
目の前に広がる景色と起きた事実の全てを脳が理解することを拒んで、酷い頭痛がした
「なんで…どういうことだ、アマリア…」
茫然自失としそうになる理性を最低限留まらせておきながらも、脳に過るのはそればっかりだ
アマリアが、俺を捨てた？
俺を裏切って、自分のことすら踏みつけた奴の味方になった？
俺から、離れる気か？
そんなの意味が分からない、理解出来ない、分かりたくない
《……ゃ、くそくを…》
「あ…？」
今の衝撃で回線が一部焼き切れたのか、アマリアの声が遠くなる
崩れ落ちそうになるその機体を、背後に庇われていた四脚が支えるように下敷きになった
《―――……》
《……嘘だ》
下敷きにされ触れた四脚には、アマリアの声が届いたらしい
何を言われたのか、敵が息を呑む音が微かに聞こえた
《あいつが、こんな戦場にいるわけがない…》
《………》
《なのに、何故…》
「……」
アマリアがあの男に、一体何を吹き込んだのか
アマリアとあの男の間に何があったのか
それは当時の俺には知りようもないことだったし、そんなことが分からなくても自分が何をすべきなのかは分かっていた
「だ、駄目だ…」

[14 １ 24/08/28(水) 21:14:37]

戦いを楽しみ、生き残ることこそにやり甲斐を見出していた頃の自分から変わったつもりだった
初恋を覚えて、「好きだからACを降りてほしい」なんてプロポーズの仕方を覚えるくらい真人間になれた筈だった
俺は人生で初めて、ACよりも綺麗で、戦いより大事なものを見つけた
なのに
「それだけは駄目だ、アマリア…」
弾をありったけ撃ち尽くしたライフルはとっくに捨ててある
残ったのは彼女と同じレーザーブレードだけ
それを備え付けた左腕が自然と胸の前に持ち上がって、ロック・スミスが近接戦闘の構えを取った
今しがた起きたばかりの惨事に今だ冷や汗は止まらず、自分のしたことを認めることすら出来ないまま
彼女が離れていってしまう…その焦燥だけが、思考すら停止していた俺を独りでに動かしていく
「お前のことが、こんなに好きなのに…」
四脚を守るように身を預け、背中を向けたままのアマリア
さっきまで殺す気だった筈のアマリアを踏みつけることなく、ただ身体を支えている四脚
ロック・スミスの認証が書き換わり、二つの存在が同じ色に染まる
味方を示す青から、ひとつ残らず駆逐すべき赤へ
赤く染まる認証に、忘れていた筈の感覚が呼び覚まされる
一瞬も誰にも渡したくないから、手放さずにいるしかない
俺の手から離れようとするなら、捕まえるしかない
地表を走る脚をへし折って、俺を振り払おうとする腕を捥いで、俺以外に向けられる眼を潰してしまうしかない
せっかく「まとも」に愛せると思ったのに、アマリアのせいだ
アマリアが俺を普通の男にして、同じように元の俺にしてしまった
「なのにそんなことされたら、俺は…」
《……》
「お前を、殺したくなるじゃないか…！」
どこまでも俺を振り回し、人生に嵐を齎す女
それに向けているのが憎悪なのか怒りなのか、はたまた愛なのかも分からないまま、ただ俺は激情を振りかざして駆け出した

[15 １ 24/08/28(水) 21:15:04]

飛んできたバズーカを避け、距離を詰める
斬りかかった俺を四脚に近付けさせまいと前に出たアマリアの機体と激突する
すかさずブレードを起動する俺の動きを読んでいたかのようにリロード中の砲身が下から腕をかち上げ、その勢いのままグレネードに持ち替えた右腕が振り下ろされながらロック・スミスを撃ち抜いた
躱す間もないゼロ距離射撃で広がった爆炎に装甲が焼け、衝撃にACSが悲鳴を上げる
衝撃に一瞬霞む視界の中、カメラ越しにアマリアのACと目が合った気がした
「なんでだ、アマリア…どうしてその男を守る」
《……》
「俺にはお前だけなんだよ。なのにお前は、ここに来て俺を捨てるのか？」
熱に炙られるのを嫌がって離脱しようとする機体の左腕を空いた右の五指で掴み、強引に拘束する
拘束を振り解こうにもAC同士の出力に大差はなく、焼き払おうにもブレードは冷却が終わっていない
すかさず頭目掛けてグレネードの砲身が振り抜かれるのを横目に、直前でパルスアーマーを切る
広がっていくパルスに弾かれ少し吹っ飛んだアマリアをアサルトブーストで追いかけ、壁際に押し込んだ
「答えろ、アマリア！」
パルスの壁と互いのACの装甲に阻まれ、今の彼女がどんな表情をしているのかは見えない
それでも知りたかった
彼女はどんな顔で俺を殺そうとしているのか
そこに迷いや葛藤、あるいは背中を押す激情があるのか
俺に向けられるその全てを、知りたかったんだ
だが、そんなものは叶わない
一度銃を握り引き金を引いてしまえば、誰かが死んで戦いが終わるまでどんな言葉や気持ちにも何の力もなくなるんだ
自分の意思で剣を向けた時点で、俺にはそんなものを知る権利なんてものはとっくになくなっている
俺が死ぬか、アマリアが止まるか…どっちかの結末を迎えるまで、互いに止まれっこなかった
《アンタに…教えてやる…》
パルスの壁が消えるのと合わせ、目の前に押さえ込んだ機体の眼光が強まった
《一緒に生きる未来なんて…最初からあるわけがない…！》
そしてカウンターとばかりに一際大きい閃光が弾け、俺の視界とリセットされたACSを焼き尽くした

[16 １ 24/08/28(水) 21:16:48]

《私は、アンタと生きられる人間じゃない》
焼き切れた回路のせいで動けなくなった俺を、リロードを済ませたバズーカが今度こそ焼いた
二度の衝撃を受け、さっきまで無傷だったロック・スミスの装甲がみるみるうちに焦げていく
脱出も出来ないまま衝撃に揺さぶられ焼かれる感覚に晒され続け、じりじりと死が迫っているのを感じた
《フロイト》
名前を呼ぶ声には、何の感情も見えてこない
《未強化のノーマルでありながらこの戦場で誰よりも強い、存在するだけで戦況を書き換えてしまう嵐の目…イレギュラー》
右腕が完全に機能停止している僅かな隙間を埋めるように再度ブレードが輝きだす
それをACSが復帰した側から吹かせたブーストで間一髪躱し、カウンターの横薙を叩き込んだ
が、それすらお見通しと言わんばかりにチャージされ振り抜かれた二発目が受け止める
《私は、失敗作にしかなれなかった。出来損ないの旧世代型だったせいで、この時代に目覚めてしまった。私が戦場に立つ理由は、ここで全てを片付ける為。無論アンタのことも勘定に入ってる。私がアンタと一緒に旅をしてきたのは、求婚に応える為じゃない》
「……！」
冷却に入ったアマリアのブレードが消え、俺の剣がコアに肉薄する
が鉄を焼き切る直前に彼女の五指が鏡のように俺の手首を掴んで押し留めたせいでまたしても斬り損ねた
先に既定されたモーションを終え自由になった脚でブレードの射程外まで蹴り飛ばされ、再び大口径で狙われる
ジグザグにクイックブーストを繰り返してロックオンから逃れ続ける俺にバズーカと、すかさず持ち替え放たれたグレネードが挟み撃ちで迫って爆ぜた
《利用価値のある独立傭兵を最後まで有効活用する為。そしてイレギュラー、戦いが終わる前にアンタをここで片付ける為》
爆炎と煙幕の向こうで、淡々とした声のままそう種明かしをされた
俺の度重なる求婚を面倒臭がりながらも拒まなかったのも、贈った名前を受け取ったのも、俺の話をいつだって聞いていたのも
全ては、終戦の直前に俺を殺せる場所に居続ける為の作戦でしかなかったと
「………」
そう言われたのを、煤だらけになった思考でゆっくりと処理していく
一世一代の恋心を無碍にされ利用までされたことを明かされても、特に何の怒りも湧いては来なかった
《だから分かって。諦めながら死んで。２人揃って迎えられる未来なんて、最初からどこにもない》

[17 １ 24/08/28(水) 21:20:02]

言いながら、レーザースライサーが振りかぶられる
それがやけにスローモーションで再生されるのを、コアの中から熱と冷たさの同居する頭で見ていた
足元で大口を開けて俺を待っている死の淵、それに落ちてしまえばもう助けてくれる存在はいない
だからなのか、それまででその時は一番色濃く死の気配が漂っていた気がした
「お前に一回フラれるくらい、最初から覚悟してたさ」
迫るレーザースライサーを、手で受け流す
受け流され体勢を崩したアマリアの機体が晒した首に手をかけ、何も持っていない右手の拳を入れた
重要な駆動系を殴られカメラを強く揺さぶられ、一瞬機体の動きが止まる
「フラれるの上等で、落ちるまで口説くつもりだった。それくらい本気でこっちはお前が好きなんだ」
《話聞いてた？》
「聞いてた。だがフラれるくらい想定済みだ、このくらいで俺の恋が止まるもんかよ」
《…そんな説得力のないこと、言ったところで！》
スタッガーにまで追い込めなかった機体はすぐさま背後に照準を合わせて引き金を引こうとする
それを前へ詰めて腕で押しのけ、ロックオンを強引に外して再度駆動系を狙う
俺にはもう射撃武器はない、近接格闘戦に持ち込んでアマリアの右腕を封じた方がまだやりようはあった
《だったらどうして抵抗する！私が好きなら、私に撃たれて消えろ！》
往生際の悪い俺に痺れを切らしたのかスタミナに限界が来たのか、アマリアの声に乱れが出始めた
肩で息をするように荒々しく吐き出されるその声は、感情が焼き切れた筈なのに今までで一番感情的だった
「お前に一番近くで看取られながら死ぬのは、確かに魅力的ではある」
《だったら！》
「だがな、そんなもの恋じゃない！」
カメラを狙う左の貫手を受け止め、ブレードを狙う右の砲口を掴み上げる
再び拮抗する掴み合いの中、頭突きしそうな距離で通信越しに叫んだ
「確かに好きだからショックだった。本気で理解出来なかったし、お前を殺してやりたいと思うくらいにはムカついた！」
《…！だから私を殺す為に、抵抗してると？》
「違う！」
何か間違った理解をしようとしているアマリアに頭を振りながら絶叫する
最初は俺自身そう思っていた
アマリアのことを誰よりも好きで、誰よりも近くにいる自覚があったからこそ、俺を裏切ることを許せなくて殺意が湧いた
誰かの側に行ってしまう前に、壊してでも自分の側にいてほしかった

[18 １ 24/08/28(水) 21:22:20]

けど死の淵に追い込まれながらアマリアに種明かしをされ、考えが少し変わった
――私は、失敗作にしかなれなかった
――私が戦場に立つ理由は、ここで全てを片付ける為
彼女は俺にそう言った
俺が戦場の外の世界のことを教えても、彼女は外の世界に興味を持つことはなかった
俺の教えたものは、彼女にとって生きる理由にはなり得なかった
当然だ、今の彼女には何の感情もないのだから
好奇心を持ち得ない人間が、生きる動機なんて見つけられるわけがない
分かっていた筈のことをこうして突きつけられ、自分のしてきたことが何一つ届いていなかったことを証明され…俺の中に湧き上がったのは、怒りじゃない
今なお人に買われ戦場の中で商品価値を示す生き方しか出来ない彼女に対する、悲しさだった
初めて出会った時に、俺が彼女に対し思ったことを思い出す
身を置き続ける戦場にすら何の感慨も抱かないで生きてきたのであろう小さな身体
運命の相手ならば、隣で満たされ微笑んでいてほしい
俺の与えていくものの意味を、そこにある想いを、知ってほしい
だから俺は側にいることを決めたんだ、殺してでも手放さない為じゃない
そう思い出せば、胸を焼き腕を振るわせる憎悪はみるみるうちに弱っていった
激情に駆られ忘れかけていた、俺が彼女に伝えたい想い
それが激情に代わって胸を満たし、戦いから降りられない俺を立たせた
戦いの中では、どんな言葉も想いも力を持たないのかもしれない
そんなこと、俺自身認めているしよく分かっていた
けど力がなくなったって、意味まで消えてしまうわけじゃない
思っていることを口に出さない限り誰にも伝えられないし、一度口に出してしまえばどんな言葉も相手に届いてしまう
俺達人間は、そういう生き物なんだから
「誰かを好きでいるってことは、死んでも離さないってことでも、傷つける前に身を引くってことでもない！」
その叫びと共に拘束する腕を振りほどき、右手の指を折り畳む
同時にアマリアも握られていたバズーカをパージし、空いた右手を握りこんだ

[19 １ 24/08/28(水) 21:31:27]

奇しくも同時に似たような行動を思いつき選択した辺り、やはり俺達は似た者同士で相性が良い
けど、譲れない
《まだそんなこと言えるわけ？なんで…》
諦めてここで倒れろと言う彼女は、やっぱりまだ外の世界を知らないままだ
そんな彼女を置いて逝けないし、だからって殺すのも出来ない
俺は彼女を倒して、証明しなければならない
押し通さなければならない
想いにも言葉にも力がないのなら、それが彼女に届くところまで
「言った筈だ、俺は死なん！聞けアマリア！俺の言うこれは！」
《なんで…この期に及んで、アンタって人はぁあああ！》
「何があっても、共に生きる覚悟だ！」
ライフルすらまともに構えられないほどの近距離から、一歩も退かない
そしてそのまま、握り固めた右の拳が同時に互いの顔面を捉えた

[20 1 24/08/28(水) 21:46:16]

書き溜めた分投下完了
ご飯食べたりするのでCM入ります

[21 1 24/08/28(水) 21:56:44]

そういえば今AC初心者部のスレが２つ立っていますね
当シリーズ見て買っちゃったニキネキ含め、一周年を迎えてまた火がついている…？

[22 二次元好きの匿名さん 24/08/29(木) 03:12:29]

あ～～～～（長文を浴びまくって整う）

[23 1 24/08/29(木) 12:30:50]

構文がすぐガンダムしちゃう悪癖を治すためにちょっとガンブレしてきます（言い訳）

[24 二次元好きの匿名さん 24/08/29(木) 23:22:19]

保守！

[25 二次元好きの匿名さん 24/08/30(金) 09:47:55]

保守

[26 二次元好きの匿名さん 24/08/30(金) 20:23:15]

保守