- 1124/11/02(土) 23:03:04
こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその16です
最近はそれ以外の設定の4スレSSもよく掲載されています。SSが掲載されない間は4スレを中心にした水星キャラや世界観についての雑談や、まったく関係ない作品の雑談などが入ります
基本となるSSは6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっています。現在逃避行編は終了し、監禁編を連載しています
現在の更新速度は非常に遅くなっています
以下注意事項です
・4号×スレッタ
・独自設定、捏造過多※1
・犯罪行為、残酷な描写あり
・元スレに書かれたセリフの使用※2
※1)このSSの設定はアニメ本編のものとはだいぶ剥離しているものが多いです。独自設定ばかりで、例えばオリジナルキャラが横行していたりするので、どうしても気になる方はブラウザバックしてください
※2)元スレに書かれたセリフの使用は、意図せず思わぬ使い方をしている可能性があります。その際はお申し出くだされば、出来る限り修正をかけます - 2124/11/02(土) 23:03:21
- 3124/11/02(土) 23:03:40
元スレを参考にスレ主が書いたSSスレその1~10はこちら↓
[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSを掲載するスレです6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっています参考にした元ス…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その2|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSを掲載するスレのその2です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっています。現在…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その3|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその3です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっ…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その4|あにまん掲示板これはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその4です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーになっ…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その5|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその5です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーにな…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その6|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその5です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーにな…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その7|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその7です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーにな…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その8|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその8です6話以降のエラン4号がスレッタを誘拐、逃避行の末監禁するストーリーにな…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その9|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその9です。稀にそれ以外の設定の4スレSSも掲載されます基本となるSSは6話以降…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その10|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその10です。稀にそれ以外の設定の4スレSSも掲載されます基本となるSSは6話以…bbs.animanch.com - 4124/11/02(土) 23:04:37
その11~15はこちら↓
[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その11|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその11です。稀にそれ以外の設定の4スレSSも掲載されます基本となるSSは6話以…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その12|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその12です。稀にそれ以外の設定の4スレSSも掲載されます基本となるSSは6話以…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その13|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその13です。稀にそれ以外の設定の4スレSSも掲載されます基本となるSSは6話以…bbs.animanch.com↓その14だけ途中で落ちています
[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その14|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその14です。稀にそれ以外の設定の4スレSSも掲載されます。SSが掲載されない間…bbs.animanch.com[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その15|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその15です(直前のスレは127レス目で落ちていますが、時間も経っているので14…bbs.animanch.com - 5124/11/02(土) 23:05:12
関連スレです
書き逃げSS様です。よくお邪魔させてもらっています。数が多いので最初と最新のスレを載せておきます
最初のスレ
書き逃げSS他|あにまん掲示板・タイトル通り、SSを書き逃げしていくスレです・話を思いついたけど、書けるところがない・スレの進行を止めたくない等、投稿したいけどする場所がないとき等に使って下さい・設定だけの箇条書きでもOKです・C…bbs.animanch.com最新のスレ
【閲覧注意】書き逃げSSほか その16.5|あにまん掲示板【閲覧注意】とありますが、未成年の方が見ている可能性もあるので『【閲覧注意】の作品に関しては』注意書きの記載や別リンクでの書き込みをお願いします。bbs.animanch.com - 6124/11/02(土) 23:05:51
スレにて頂いた素敵な絵です。今回のスレ画像にも使わせてもらっています
便宜上スレ主が勝手に題名らしきものを付けています
ありがたいことにたくさんの絵を頂いております。正直なところ常に見せびらかしたいのですが、レスが長くなりますので、保管庫を作ってみました
夜市へ行く2人(今回はこちらの元絵を使わせて頂きました)
↓以前に頂いた絵はこちらに纏めて保管してあります
ごめんねスレッタ・マーキュリー宝物庫
Write an article | Write a story | Write a blog | Publishing tool | BlankaryBlankary is a minimalist publishing tool. Write and publish with one click.blankary.com※現在『テレグラフ』さんでの画像貼り付けが上手くいかないので、別の単発ブログである『ブランカリー』さんを使わせて頂いています
- 7124/11/02(土) 23:06:37
【ごめんねスレッタ・マーキュリー本編SS保管庫】
基本的に閲覧注意作品となります
現在0話~35話まで掲載しています
SSをお読みになりたい場合は↓をクリックして保管庫に移動し、さらに各タイトル名をクリックして下さい
x.gd - 8124/11/02(土) 23:07:03
【ごめんねスレッタ・マーキュリー番外編SS保管庫】
本編SSでは書かれていないエピソードを時系列順に纏めたページです
物語の合間の出来事を書いた番外編は『端切れ話』、本編終了後の出来事を書いた番外編は『こぼれ話』として区別しています
新しいSSを各レスにて掲載した後は、きちんと推敲を行なった状態で番外編SS保管庫に収録する予定です
x.gd - 9124/11/02(土) 23:07:19
【水星の魔女 ごちゃ混ぜSS保管庫】
『ごめんねスレッタ・マーキュリー』のシリーズとは違う設定の水星の魔女SSを纏めたページです
4スレが多いですが、稀にそれ以外のカップリングやコンビを中心にしたSSも掲載されます
殆どが単発ものになります
x.gd - 10124/11/02(土) 23:10:10
という訳でさっそく新しいスレを立ち上げてみました
去年の今頃は来年はさすがに本編SSも最終回を迎えているだろうとか書いてましたが、まだまだ先は見えません
遅筆で申し訳ないのですが、これからもよろしくお願いします - 11124/11/02(土) 23:19:42
途中なので読み辛いかもしれませんが、スライムの続きです。どこまで読んだか思い出せるように数行だけさかのぼって見ました
【スライム転生】続き
淫獄迷宮で生まれたスライムの僕だが、とんと女体には縁がなかった。何故かと言うと、ここへ来るのはいかつい兄ちゃんかおっさんが殆どだったからだ。
若い女性が好き好んで貞操が危険に晒されるような迷宮に来るだろうか?答えは否である。
僕の頭に、勇者として過ごした日々が流れてくる。
───勇者であるならば、清廉潔白であれ───
国からの指示を忠実に守っていた僕は、夜の店などには見向きもせずに魔物と戦う日々を過ごしていた。
『お兄さん、パフパフしていかない?』
なんて綺麗なお姉さんからの客引きに遭遇したこともあったが、僕はいつもクールに断っていた。
内心はものすごくドキドキしていた。
勇者と言っても、そこは思春期の男子。本当はそういう事にとてもとても興味があったのだ。
『お兄さん、パフパフしていかない?』
この言葉にもし『うん』と頷いていたら。お姉さんの後について行っていたら。僕はどんな体験をしていたのだろう。
正直いつも妄想していた。
その妄想が、現実のものになっている。いや、むしろ妄想のはるか上を行っている。
僕が想像していたのは、お姉さんの豊満な胸で顔をパフっとされるくらいである。実際はパフっどころかパの字すらなかったが、今のこの状態はどうだ。
ちょっとやぼったい、けれどメチャクチャ可愛い女の子の胸で全身がパフパフされているのである。
これはもう究極のパフパフ。『アルティメットパフパフ』と言っても過言ではないだろう。 - 12二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 09:58:58
新スレめでたい!
- 13124/11/03(日) 15:53:15
嬉しいお言葉ありがとうございます!
このスレもまさかこんなに続くとは思いませんでしたが、このペースだと20の大台に乗ってしまいそうでちょっと恐ろしくも感じています
何とかペースアップしたいものですが、よく考えたら転生スライムとか書いている場合ではなかったのかもしれません(もう遅いですけども)
それでもコツコツ書いて行けばいつかはゴールにたどり着けるはずなので、少しずつ進んで行こうとは思っています
ところでネット環境が復活しているうちに転生スライムをテレグラフに移して公開しようかと思ったんですが、まだ次に公開予定の本編SSが書き終わっていない為、間を持たせるためにこのままチョコチョコ最後まで公開して行こうかと思っています
ただフツーにパフパフとか臆面もなく書いてますので、センシティブ過ぎたかもしれないな…とドキドキしております
あんまりやり過ぎたらスレ自体が削除されてしまうので、あまりパワーワードを使うべきではなかったかもしれません
一部伏字にするなどの配慮をするべきだった…!と今になって反省しております
そんなこんなでほんの少しだけ続きです
「きゃあっ!」
そんな事を思ってドキドキしていると、ガラッと大きな石が崩れる音と一緒に、女の子の悲鳴が聞こえてきた。
───はっ、まずい!!
僕はとっさに彼女の胸の谷間から脱出し、服からも飛び出し、高く空中に飛びあがった。そうして、一瞬で現状を把握した。
コボルトと女の子、両者ともに目立った外傷はない。けれど女の子の方は足を踏み外して大きく体勢を崩している。そしてコボルトは今まさに彼女を組み敷こうとしていた。
再三言うが、ここは淫獄迷宮である。住んでいる魔物は人間を攻撃するよりも性的に襲う方を優先する。
命の危険は少ないが、死んだ方がマシくらいの目に合わされる。少なくとも、若い女性が耐えられるものではない。
僕は飛び上がった勢いのまま、洞窟の天井に張り付き、ゴムまりのように勢いをつけて自身の体を射出した。狙いはもちろんコボルトである。
ベチイィィン…ッッ!!という音と共に、僕の体がコボルトの腹にぶち当たる。
「ギャンッッ!!!」
けたたましい悲鳴を上げたコボルトが、よだれを垂らしながらどさりと倒れる。咄嗟だからそんなに攻撃力は出なかったけれど、どうやら戦闘不能にできたようだ。
- 14二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 18:12:56
4号スライム、妄想を上回る体験ができて良かったね🎊
パフパフはドラ●ンボ●ルやド●クエで使われている単語なので、センシティブ判定はされないのでは? - 15124/11/03(日) 23:36:42
感想ありがとうございます
確かに言われてみれば天下のDBやド●クエでも堂々とパフパフと言う単語は出ています!(と言うか4号のパフパフの言及は正にDBやド●クエを前提にしたネタです)
少年漫画や全年齢対象のゲームでOKな表現なら別の作品でもOKな表現のはず
目から鱗でした
スレ主がやましい気持ちで書いていたので、釣られてパフパフもやましいモノとして見てしまっていたようです
伏字なんて最初から必要ありませんでした。高らかに書ける対象、それがパフパフなのです!
…と、書いていてやっぱりちょっと恥ずかしくなってきたので、後でこのコメントだけスルーする事になるかもしれません
それはそれとして続きです
「……えぇ?」
ぽかん、という感じで女の子が声をあげる。彼女は何とか体勢を立て直し、はぁ、はぁと息を弾ませながら、僕とコボルトを交互に見やった。
やがてコボルトが起き上がって来ないことを確認すると、息を整えながら大ぶりのナイフを仕舞い、安心したような笑顔になる。
「スライムさん、助けてくれたの?」
───ま、まぁね。
勇者だった頃はいくらだって人を助けたし、お礼を言われたことは一度や二度ではない。
けれどこの時の僕は何だかとっても照れてしまい、ぽいんっ!と跳ねてそっぽを向いた。
ちなみに今の僕はまん丸なので、女の子側からはどちらが正面か分かっていないと思う。
「ありがとう、スライムさん」
お礼を言われて、チラッと振り返る。すると女の子は両手をこちらに差し出していた。
吸い寄せられるように、ぽんっ!と跳躍して柔らかくて温かい手のひらに着地する。ほとんど無意識の行動だった。
そうして気が付いた。彼女は別に実力者という訳ではない。たぶん見たままの初心者冒険者だという事に。
先ほどの僕は、彼女に捕まえられたのではなく、自分から彼女の手のひらに乗ったのだ。
- 16124/11/04(月) 08:12:50
今見たら前スレがすべて埋まっていました
ありがとうございます!
───もしかして、きみ、テイマー?
だからこんなに惹かれてしまうんだろうか。僕はジッと女の子の様子を見てみた。
やっぱりちょっと野暮ったい。いかにも田舎でのびのびと育ちましたという雰囲気だ。
太い眉に、よく日に焼けた肌に、ピョンピョンと跳ねた赤い髪。あんまり手入れはしてなさそうだなと感じる。
でもキラキラとした碧の目と、口角の上がった優しそうな表情は魅力的だ。何より僕を柔らかく包み込む手のひらはとても惹かれるものがある。
「やっぱりきみ、冒険者に飼われてたんだよね。人間に慣れてるし、助けてくれたし。そのビー玉はおしゃれか、首輪代わりなのかな?とっても似合ってる」
女の子がふにふにと指の腹で撫でてくる。こそばゆくなってぷるりんっ!と震えると、彼女は楽しそうに笑いだした。
勘違いされているが、僕の体にはビー玉なんて入っていない。でも『核』ならある。
スライムなら誰しもが持っているもので、人間で言う脳や心臓のように重要な器官だ。五感のすべては『核』を通じて感じるもので、僕が周りを見る事も匂いをかぐことが出来るのもこれがあるからだ。小さなスライムの核は目に見えないが、強く大きくなると核も相応に育ってくる。
- 17二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 10:18:38
ぷるぷる(((( '-' ))))
- 18124/11/04(月) 22:09:02
ぷるぷる(((( '-' ))))
可愛いアスキーアートありがとうございます
4号スライムが実際にいたら、プルプルする様子を見るためにずーっと突いていると思います
僕の体はまだまだ小さく、オレンジよりもなお小さい。たぶんレモンと同じくらい。
それなのに見て分かるほどの大きさの透明な玉が入っているので、女の子は装飾品だと思ったんだろう。
ちなみに僕の体の色は透明な若草色で、核の色は青色だ。核は僕の体色の影響で一見すると濃い緑色のビー玉が入っているように見える。正直に言って、とても綺麗なスライムだと思う。
この迷宮には鏡なんてないけれど、助けた冒険者のピカピカの防具でチェックしたから知っているのだ。
僕が女の子の手のひらの上でコロコロ転がりながら自画自賛していると、休憩を終えた彼女がふーっと長い息を吐いた。
「よし、先に行かなくちゃ。今度は用心して進まないとね。スライムさんは…。危ないから、ここで飼い主さんを待ってる?」
問答無用で僕を連れて行くこともできるだろうに、女の子は僕を尊重してそっと地面に降ろしてくれた。固くてゴロゴロした岩の感触は彼女の手のひらとは雲泥の差だ。
見上げると、キリっとした意思を込めた面持ちの女の子が見える。彼女がどうして淫獄迷宮に来たのかは知らないけれど、何かしらの事情があるんだろう。
まぁ、まだ迷宮自体を間違えている可能性を否定できないけれど…。
僕が心配のあまりぴょいっと小さく跳ねると、女の子は目を和ませて手を振ってくれた。そして意識を失ったままのコボルトを迂回して、慎重に先へと進んで行く。
- 19124/11/05(火) 08:07:44
……。
…………。
………………。
小さくなっていく女の子の後姿を見守ったあと、僕は一度振り返って洞窟の出口を見た。
明るい光が差し込んで、まるでこっちに来なよと誘っているようだ。
事実、あそこを抜ければ久方ぶりに外の景色を拝めるんだろう。そうしたらこんなサイテーな迷宮なんて忘れて、勇者としての責務も忘れて、好きに自由に生きることができる。
だけど僕はもう決めていた。
ぴょんっ!と大きく跳ねて、女の子の後姿を追いかけていく。洞窟を出ようとしていた時よりも、力強く。
ぴょんっ!
ぴょんっ!
一回跳ねるごとに彼女の後姿が大きくなって、最後にぴょーんっ!と大きく跳躍して追い越した。
「きゃっ」
ビックリしたような彼女の声。ぽよんと振り返ると、綺麗な碧の目をまん丸にしたとっても可愛らしい顔が見えた。
「スライムさん?」
きょとんとした声に答えるように、真上にぽんっ!と飛び跳ねる。もう彼女の進行の邪魔はしない。けれどその代わり、自分も連れて行って欲しかった。
ぽんっ!ぽんっ!何度か飛び跳ねて、彼女の様子を見る。
彼女はしばらく戸惑った様子だったけど、僕の意思が伝わったんだろう。少し笑ったあとに、両手を差し出してきた。
柔らかくて温かい、居心地のいい手のひらをこちらに向けて。
- 20二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 15:30:45
このレスは削除されています
- 21二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 20:34:22
なんか和む……ぽいんぽいんぼいんぼいん
- 22124/11/06(水) 00:08:22
今のところちょいエロほのぼの路線の転生スライムです
4号自身がぽいんぽいんしつつ、スレッタのぼいんぼいん()も堪能しつつ、この世界のスライムの生態をさらっと開示していきたいなと思っています
ぽんっ!
真上ではなく前に飛び跳ねて、彼女の手のひらの上に着地する。
「わたしと一緒に来る?」
もう分かっているだろうに、きちんと確認を取ってくれる。彼女のそんな律儀なところが好ましくて、何だかとても嬉しくなって、僕はコロコロ転がった後にぽよんっ!と跳ねて返事をした。
───了承の合図だよ、分かってくれる?
僕の心が伝わったのか、彼女が嬉しそうに抱きしめてくれる。とは言っても僕はとても小さいので、胸にそっと押し当てられただけだ。
ちょっとドギマギしてしまうけど、厚みのある冒険用の服を着ているので感触までは分からない。…まぁ、僕は直接触れた事もあるのだけど。
先程の『アルティメットパフパフ』を思い出す。あれはすごかった。なんかもう、とてもすごかった。すごすぎてちょっと記憶が飛んでいるくらいだ。
蕩けた語彙と同じように、体もふにゃふにゃと形が崩れそうになる。このごわごわした服の下に存在する、スライムボディを凌駕するほどの魅惑の感触…。
───はっ!いけない!
僕は彼女が気付く前に、力を入れてぷるん!とした丸々ボディを取り戻した。
彼女は僕を無害なペットスライムだと思っている。生憎僕は普通のスライムで、いくら普段は美しい色や形を保っていても、気を抜くとデロデロとした不定形の生き物になってしまう。
一般的には嫌われ者のスライム、それが僕の正体だ。なので、このまま可愛くて無害なペットスライムのフリをしようと思う。
卑怯者と言うなかれ、これは処世術なのである。
- 23二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 09:27:04
ファンタジーパロ大好き人間なのでまだ続くの嬉しいです
頑張れスライム4号!スレッタの貞操は(たぶん)君にかかっている - 24二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 18:04:32
核の色変わったりするのかな
- 25二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 22:08:44
このレスは削除されています
- 26124/11/06(水) 23:47:06
プチ失踪していてすみません。仕事が忙しすぎて死んでました
感想や質問、そして可愛いᓚ☉ˆ☉ᓗありがとうございます
ファンタジーパロ好きと言って頂けてホッとしております
今回で最終回みたいなノリになってますが、ダンジョン攻略がまだ残っているのでもうちょっとだけ続きます
もちろん無垢なスレッタの貞操は4号の頑張りに掛かっています。そのはずなのですが、4号自身がちょびっとヨコシマなので完全な無垢ではなくなるのではないか…?という疑惑は尽きません
とりあえず胸は4号の丸々ボディでぽよんぽよんされます
スライムの核の色ですが、基本的には生まれ持った色をそのままに成長する感じです
4号に関しても核の色は青色のままです
食べているモノが汚物とか腐肉とか体に悪そうなものばかりだと、核の色が濁ったりはします(色自体は変わりません)
ただごくごく稀にものすごい進化を遂げるスライムがいまして、そういう別スライム?じゃないかと思えるくらい属性や性質が一気に変わったスライムは、核の色が変化してしまう可能性はあります
すごいレアケースです
物語中に落とし込めるかは分かりませんが、一応そんな感じの設定になっています
- 27124/11/06(水) 23:48:25
「スライムさん。ここから先は危ないから、わたしの胸ポケットに隠れていて。ちょっと狭いけど、大丈夫かな?」
───!む、胸ポケットだって!?
それはごわごわとした冒険者服と、スライムボディを凌駕する魅惑の感触の、ちょうど真ん中という事である。
まだ経験値が低く、さりとてちょっぴり刺激が欲しいお年頃の僕にはピッタリのプランに思える。
僕は大賛成した。ぴょいぴょいと跳ねて、賛成の意を表した。あまりに興奮しすぎて手のひらから転がり落ちそうになりつつも、彼女の提案を全力で支持しまくった。
「ふわわ、危ないっ。あのね、イヤじゃなければ、ここに」
彼女は暴れ出した僕に手を焼きながら、胸ポケットを広げて見せてくれた。
服の上からでも分かるふくらみ。微妙にカーブした胸ポケットの中を覗き込むと、何も入っていない暗い空間が広がっている。
安らぎに満ちた暗闇が、まるでこっちに来なよと誘っているようだ。僕は抗うことなくススっと移動して、いそいそと胸ポケットに入り込んだ。
「すごいね、まるで言葉が分かってるみたい」
いい子だね、というように服の上から撫でてくれる。僕は下からのふくらみに圧迫されつつも、心地よい狭さと彼女の服越しの指に酔いしれた。
───僕はこの為に生まれて来たのかもしれないな。…永住の地、決定!
記念すべきこの日。
たとえ彼女にその気はなかったとしても、僕の住所は淫獄迷宮から彼女の魅惑の胸ポケットに永久にお引越しを完了したのだった。
- 28二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 09:06:05
このレスは削除されています
- 29124/11/07(木) 19:12:12
今日一日お休みで泥のように寝ていたスレ主ですこんばんは
起きてすぐ寝て起きてすぐ寝てを繰り返し、完全に覚醒した時には部屋が真っ暗で震えました
朝に保守して頂いた方がいたようで、ありがとうございます
気付いたらコメントが消えていたんですが、スレの寿命が延びてることを確認した後速攻で寝てしまったので、何が書かれていたのか分かりません。何故見なかったのかと悔しさでいっぱいです…(クッ
淫獄迷宮は、住んでいる魔物の性質を除けばよくあるタイプの迷宮だ。
人工物などもなく、自然の洞窟のような場所が広がっている。
自然の洞窟のような場所、というように、普通の洞窟と迷宮では明らかに違う箇所がある。
魔物と遭遇するまでもなく判別は可能で、迷宮は普通の洞窟のように真っ暗になることもなく、常に日陰のような薄ぼんやりとした光に照らされている。
これは迷宮が生きているから起こる現象だと言われていて、迷宮を構成する構造物に魔力が含まれているのが原因だった。
以前勇者だった頃の僕は実際に光源はどこから発生するのか調べたことがある。迷宮が生きている、という事に異論はなかったのだが、生きているからといって必ず光るという理屈がよく分からなかったからだ。
結果として、世間一般で言われていることは概ね正解だった。迷宮を構成する物質には魔力を溜め込み光に変換する魔法が組まれていて、それは動物の営みのように自然に形成されていた。
迷宮は様々な恩恵をもたらせてくれる。潤沢な魔力、魔力によって育まれた豊富な資源。そこに光も加われば、生きていくには十分だ。
そうやって引き寄せられた魔物や動物や人間を、迷宮は自分の餌としている。命そのものを、死ななくても生命力を、迷宮は少しずつ食べて吸収している。
中には大陸を繋いでしまうほど大きくなるものもある。僕は行った事はないけれど、話を聞くに魔境だと言う噂だ。
現在僕がいるこの迷宮は中堅どころくらいだろう。広大ではないが、けっして狭くはない場所だ。
迷宮そのものは自然物で間違いない。ただそこに生息している魔物の生態は弄られていた。
「ひょわええッッ!!な、なにこれェ…ッ!!?」
そう、ぬらぬらと触手を揺らめかせる、目の前の魔物のように。
- 30二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 23:09:56
スレッタの貞操を守れ〜!!
- 31124/11/07(木) 23:33:47
男4号、気になる女の子の貞操を守り通しますっ!(ムネヲポヨンポヨンシナガラ!
植物と動物の特徴をあわせ持つ魔物が僕らの前に立ちはだかる。うねうねと動く様子は見ていて気分のいいものではない。
現に女の子も引いて距離を取っている。対処としてはとても正しい。
僕は胸ポケットからひょこりと顔を覗かせて、その魔物を観察した。
触手型モンスターは数種類いる。触手が細いもの、太いもの。移動するもの、移動しないもの。どれも共通するものは、獲物を性的になぶるために触手の形が進化している事だ。
ヒダがたくさんついていたり、吸盤が付いていたり、中には明らかに男のアレを模した形だったりする。
いま目の前にいるのは吸盤が付いているタイプだ。これがもし男のアレタイプだったら、僕はすぐに女の子の目を塞いで聖魔法で消し炭にしていただろう。
───どうする?倒す?逃げる?
この迷宮に来た女の子の目的が分からないので、どう対処すればいいかもいまいち判断できない。もし魔物の素材が目当てだったら、下手に手を出せば素材ごとダメにしてしまう。
とりあえず静観していると、女の子が大ぶりのナイフを抜いて戦闘する意思を見せた。
「こ、こんな所で引き返してちゃ、お姉ちゃんが…っ。頑張らなくちゃ!」
自分を鼓舞する為の言葉が彼女の口からまろび出る。どうやら彼女には姉がいて、この迷宮へ来ることになった理由にもなっているらしい。
思わぬところでひとつの情報を得た。このまま彼女と一緒に居れば、そのうち迷宮へ来た具体的な目的も分かるかもしれない。
そうしたら僕の力で目的を達成させて、さっさとこんな場所から彼女を脱出させることができる。ついでに、僕も脱出だ。
緊張に強張る彼女の胸の圧迫を受けながら、僕はひっそりと魔力を練り始めた。
- 32二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 10:35:27
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 16:36:51
4号がんばれー!
ところで、スライムになった今でも聖魔法を使えるんですね🧙さすが元勇者 - 34二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 22:18:56
((( ˙-˙ )))
- 35124/11/09(土) 00:24:26
★彡や4号への応援や((( ˙-˙ )))ありがとうございます
操作ミスという話ならスレ主が寝ぼけて消した可能性もありますね、何にせよわざわざ返信ありがとうございます
そして聖魔法ですが、4号がスライムになった時点で一旦ほとんどのスキルや魔法はリセットされていたのですが、聖属性の草をもしゃもしゃ食べている内に再取得したものになります
聖魔法は結界や回復が主な使い方で、種類は少ないですが邪悪な存在を消し去る攻撃魔法がいくつかある感じです
僕らの戦う意思を感じたのか。触手がぬらぬらとしたピンク色の粘液を滴らせながら、こちらへと狙いを定めてくる。
ヒュッと鋭い息をひとつ吐いて、女の子が触手へと突進した。
───戦闘開始!
僕は彼女に知られないように、聖魔法をいくつか展開する。
───常時結界形成。
───身体能力強化。
───体力継続回復。
攻撃魔法は使わない。彼女が動けるうちはあくまでサポートに留めておく。
僕の内助の功もあって、先程のコボルト戦よりも彼女はよく動いてくれた。向かってくる触手を躱し、端を切り捨てて後退する。
動き方はぎこちないが、戦闘の基本は出来ている。実践こそ少なそうだけど、誰かに戦闘の仕方をきちんと教わっていたのだろう。
「い、いける…っかも。…たぁーっ!」
自身を付けた彼女が更に切り込んでいく。多少触手がかすめても僕の結界がすべて弾くし、膂力を上げたから与えるダメージも増えている。体力も回復しているから長い戦闘にも耐えられる。正直、負ける要素がない。
このまま彼女に任せよう。そう思って胸ポケットにススっと戻ろうとすると、甘ったるい匂いがしているのに気が付いた。
- 36二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 09:45:34
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- 37124/11/09(土) 14:57:51
応援ありがとうございます!
攻撃役スレッタ&サポート役4号で頑張ります
切った触手の断面からぼたぼたと液体が流れている。粘液を更に濃くしたようなどぎついピンク色だ。
おっと、いけない。僕はあわてて彼女に追加の聖魔法を放った。
───状態異常無効。
触手型モンスターの体液はいわゆる媚薬効果があり、どんな屈強な冒険者でも下手をすれば格下の魔物にヤラれる危険性がある。
むしろ媚薬に頭をおかしくされて、自分から罠に飛び込む可能性すらある。中毒になった冒険者がこの迷宮に単身でやって来るのを僕は何度も見てきた。
あられもない犠牲者たちの姿を思い出し、もしそれが彼女だったらと想像する。
あんな事やこんな事になっている彼女の姿…。
……。
…………。
………………。
───状態異常無効!
僕はあわてて自分にも聖魔法を放ち、うっかりホーリースライムからエロスライムにスライド進化することを阻止しておいた。
- 38二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:10:48
聖魔法ってサポート系の魔法が多めなのかな
もしや転生前の勇者4号って聖魔法で自分にバフをかけまくって物理で敵を殴るタイプです? - 39124/11/10(日) 02:14:23
安定の寝落ちしていたスレ主です
書き込みありがとうございます。こういう風に考察されると嬉しくなるものです
という訳でついつい回答が長くなってしまいました
聖魔法はRPGでいう僧侶や聖職者のイメージなので、おっしゃる通りサポート系多めです
転生前の勇者4号はどちらかと言うと魔法が得意でした。もちろん剣の腕も相当でしたが、大抵は強力な攻撃魔法を使って戦っていました。炎や雷などバンバン飛び交うような戦闘です
しかもそれだけでは終わらず、相手の能力を下げたり自分の能力を上げたり物理攻撃も強かったりと、手の付けられない勇者っぷりで大暴れをしていました
普段の雑魚的には攻撃魔法でドーンと
ボス級の敵には攻撃魔法&バフデバフてんこ盛りの物理攻撃を織り交ぜてドーンと
基本的にはそんな感じで攻撃方法を切り替えていました
ちなみに魔王相手には初手に最大火力である極大攻撃魔法をぶっぱなしました。その後の記憶がないので、恐らく相打ちになったんだろうなと4号自身は思ってます
そんな『僕はすごい勇者だった!えっへん!』と思っている4号ですが、スライムに生まれ変わった時に超絶弱体化しています。レベルが1に戻ってスキルや技能がすべてロックされた状態になったと言うか、まぁそんな感じでか弱いスライムからリスタートする事になりました
しかしそこは元勇者、すべての経験値が0になった訳ではありません
彼はひどい環境にも関わらず人助けに奔走し、だんだんとレベルを上げました。そしてある意味で幸運にも恵まれました
何かいつも食べている名も知らぬ草のお陰で、聖魔法関連のロックがすべて解除されたのです
これはレベル10でホ●ミからベホ●ズンまで唱えられるようなものです。あるいはレベル10でケ〇ルからホーリ〇でもいいでしょうか
なので今のところ聖魔法を主体に戦っていますが、その内レベル?が上がればどんどん別系統の魔法が再取得できるかもしれません
ただ体はスライムのものなので、成長が頭打ちになる可能性はあります
あとMP切れに関してですが、今のところその心配はないようです。本人も全く気にせず聖魔法を使いまくってます
- 40二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 02:32:45
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- 41二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 10:22:25
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- 42二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 10:39:51
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- 43124/11/10(日) 15:24:45
ぷるん!とした書き込みありがとうございます!
また何やらレスが消えていますが、きっと☆して頂いたのでしょう。そちらもありがとうございます
まさかスレ主が寝ている間に消していたとか、そんな夢遊病もびっくりの事にはなっていないと思いたいものです
「ふぅ、ふぅ…。や、やったぁ!……よね?」
僕が勝手に窮地に陥っている間に、女の子は問題なく触手を倒しきったようだ。くてりと力を失くしている触手を、ツンツンと大ぶりのナイフで突いている。
記念すべき初勝利の瞬間を見逃してしまった。僕はほんの少しガッカリしつつも、すぐに気持ちを切り替えて彼女を安心させることにした。
───大丈夫。もう起き上がってこないよ。
僕はぴょこっと胸ポケットから抜け出すと触手のそばに着地した。触手の近くにぴょんぴょんと近づいて、何も起きない事を証明する。
───ほら、大丈夫でしょう?
でも女の子は僕の意図に気付かなかったようで、慌てて僕の体を掬い上げた。
「あ、あぶないよっ!もし生きてたら、パクッて食べられちゃうよ!」
すごく心配されてしまった。ちょっと嬉しいかもしれない。
ご機嫌になった僕は、ついつい手のひらの上でコロコロしてしまう。すると彼女は触手の横をそのまま通り過ぎようとした。
───あれ。こいつの粘液、採取しないの?
こういった触手型モンスターの粘液は薬の材料になる事が多い。特に淫獄迷宮の触手の粘液は高く売れるらしいし、見逃すのは勿体ない。
- 44124/11/10(日) 23:06:43
「あっまた!」
僕は居心地のいい手のひらからぴょいっと脱走して、もう一度触手のそばに近づいた。そうして、ほんの少しだけ体の表面を崩してにょいんと小さな突起を作る。
腕とか指とか、そんなイメージだ。これくらいの形状変化なら変に思われないだろうと思って作ってみた。
その突起でちょいちょいと触手を突いたあとに、ぷるるんっと女の子の方に振り向いてみる。僕の意図が伝わっていないのか、不思議そうな表情をしている。
とりあえずもう一回ちょいちょい触手を突いてみる。…何度か繰り返せば伝わるだろうか?
ちょいちょい、ぷるるんっ。
ちょいちょい、ぷるるんっ。
何故だろうか。振り返る度に、女の子の眉が下がっていく。
「……もしかしてその触手、食べたいの?」
───いや。違うよ!
思わぬ誤解をされそうになって僕は慌てた。引かれ気味なのがちょっと悲しい。
───僕はあんなの、食べないよ!
もう触手なんて構っている場合じゃない。シュッ!と速攻で彼女の元へ帰ると、差し出された両手の上でゴロンゴロンと転がって身の潔白を主張した。
- 45二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 01:17:09
健気なスライムや
- 46二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 07:43:56
スライムがぷるぷるしてるのはかわいいけど、中身が4号だと思うとなんか笑える
- 47二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 11:01:36
ぷるぷる…
- 48124/11/11(月) 15:18:38
感想や書き込みありがとうございます
4号は健気かつちょっとエッチなスライムですが、人間だった頃はそれなりに格好いい勇者でした
しかし今はスライムなので、やりたい放題しております
書いていて非常に楽しいのですが、ごめんねスレッタ・マーキュリーの4号と同時進行で書いていた時には謎の笑いが誘発されてました
という訳で先にスライムの方を集中して書くことにしたのでした。ぷるぷる
そんな一幕がありながらも、僕らは先に進んで行った。進むというか…僕的には戻っているのだけど、女の子目線では進んでいるのだ。
そうして気付いたのは、彼女がこの迷宮へ来た目的は魔物ではなさそうだという事だった。
何せ出来るだけ戦闘は避けようとしているし、いざ戦闘になって魔物を倒しても素材はすべてスルーしている。
代わりに迷宮のあちこちに目をやって、何かを探しているようだった。多分、薬草とか鉱石とか、そういう魔物由来じゃない素材が欲しいんじゃないだろうか。
僕が胸の弾力を楽しみつつ考え込んでいると、ポケットの上からぽんぽんと優しく叩かれた。
ぴょこっと顔を出すと、女の子が優しく話しかけてくる。
「ちょっと休憩。スライムさんも、付き合ってくれる?」
───いいとも!
ぴょいっ!と跳ねて返事をする。ほんの少し疲れた顔をした彼女は、僕の様子を見て楽しそうに笑ってくれた。
女の子は隠れやすそうなくぼみに腰を下ろして、ふーっと大きく息を吐いている。相当疲れているようだ。
密かに体力回復の魔法を使っているけれど、別に万能と言うわけではない。体の疲れは少しずつ溜まってくるし、精神までは癒やせない。いつ魔物と遭遇するかも分からない迷宮では気疲れのひとつもするだろう。
僕は元勇者だったのでひとりでも迷宮をずいずい攻略していたが、彼女はそんなに経験もなさそうなので仕方ない。あまり無理はして欲しくないな、と切に思う。
- 49二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 20:56:24
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- 50124/11/12(火) 00:23:15
11月11日はポッキーの日だ!
…と気付いて帰ってからこぼれ話を書き出したのですが11日には間に合わなかったスレ主です。こんばんは
途中までせっかく書いたものなので書き終わったら公開しようと思います
それとまた何か書いてくださった方がいるようです。ありがとうございます。たとえ削除されていても、何か書いて頂いたんだなと思うだけで嬉しい気持ちが湧いてきます
何とか12日中にポッキー話を更新してしまいたいですね
という訳でスライムの続きです
僕は少しでも彼女の助けになるように、にょいんと突起を作ってふくらはぎ辺りをモミモミする事にした。
足のケアって意外と馬鹿にならない。風呂がないような宿でも、桶一杯の水をもらって足を洗うと生まれ変わったようにサッパリする。そうして、すごくリラックスできたり、びっくりするくらい気力が湧いてきたりする。
もみもみ。もみもみ。生地が厚いからきちんと揉めているのか分からない。でも、もみもみ。もみもみ…。
「あはは、スライムさん。わたしの足で遊んでるの?」
魔法では解せない疲れを癒そうとする僕を、じゃれていると勘違いした女の子がおかしそうに笑っている。
───違うよ!僕は真剣なんだよ!
抗議をするようにぴょんぴょん跳ねると、その様子も面白かったようで女の子はますます笑ってしまった。
───まぁ、いいけど。
少しでも気が晴れたなら、ある意味僕の目的は達成されたという事だ。勘違いされて笑われてしまったけど、僕もそんなに悪い気分じゃなかった。
- 51二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 12:01:54
細いポッキーもいいけどジャイアントポッキーも食べ応えあっていいよね
- 52124/11/12(火) 20:45:01
ただいま帰ってまいりました
途中の書き込みありがとうございます
スレ主も仕事の合間に保守しようと虎視眈々と隙間時間を狙っていたのですが、スレの寿命が延びたことで安心して仕事に集中することができました
これから所用を済ませて残りのポッキー話を書いていきます
早ければ今日中に、遅くなれば夜中過ぎになる予定です。詰まったら明日の朝以降になるかもしれませんが、こればかりは書いてみない事には分かりません
ちなみにスレ主はジャイアントポッキーを食べた事がありません。ちょっと興味が湧いたのでスーパーに寄って見たのですが生憎と見つかりませんでした…
書き終わったら記念にお取り寄せしてみようかなと思います
ではまた後で - 53124/11/13(水) 00:34:57
いつものごとく前置きが長くなってしまい最後まで終わりませんでした
11日がどんどん過ぎていく…!
とりあえず出来上がった所まで載せておきます
こぼれ話⑩(11月11日。ポッキーの日)
今日は11月11日。スレッタは朝からソワソワしていた。
買い物袋の中身を見て、カレンダーを見て、最後に端末を熱心に読んで、そうしてまたソワソワする。
もうすぐエランが帰ってくる。そうしたら、自然な感じで声をかけよう。
心の中で意気込んでいると、「ただいま、スレッタ」さっそくエランが仕事から帰ってきた。
「おお、お、おかえりなさいっ!エランさん!」
「うん、ただいま。今日も大変だったよ」
汚れた仕事着をつまみながらエランが笑う。大変だと言っているけど、彼がとても楽しんで仕事をしている事をスレッタは知っている。
「おお、お、お風呂、すぐに入っちゃいますか?」
「………。ありがとう、そうしようかな」
まずはいつも通りの会話をしてみる。いつ話そう、いつ誘おう。そうグルグルと考え込んでいるうちに、エランはいつの間にかお風呂に入ってしまった。
仕方ない、彼がお風呂に出たら改めて話をしてみよう。まずはお水を渡しながら、自然な導入で…。
そうシミュレートしていたら、さっぱりした様子のエランがお風呂から出てきた。
「ど、どうぞ!」
「ありがとう」
さっそくお水を渡すと、美味しそうにゴクゴクと飲んでくれる。
いつ言おうか、いま言おうか、と意気込んでいたスレッタは、コップ一杯のお水を飲み干した彼が、それでもどこか物足りなそうな顔をしているのにふと気付いた。
「あれ、もしかしてお腹空いてます?」
「…うん。今日は仕事中からお腹が空いて仕方なくて…。夕飯は何だろう?」
恥ずかしそうにお腹を擦るエランを見た瞬間、言おうとしていた事がすべて吹っ飛んでしまう。 - 54124/11/13(水) 00:36:26
スレッタは指折り数えながら、今日の夕飯のラインナップを口に出していった。
「えっと、今日のお夕飯はサケのホイル焼きがメインですよ。他にもダイコンのサラダとか、ポテトのベーコン巻きとか、焼きシイタケとか…他には、えーと」
「みんなすごくおいしそう」
「え、えへへ。そうですか?」
屈託のない、少年のような表情にきゅんっと胸が高鳴ってしまう。すぐにでも彼のひもじさを解消させてあげたくなる。
スレッタは話をするのをすっかり忘れて、いそいそと台所へと戻っていった。
「すぐに用意しちゃいますね」
「ありがとう。サケのホイル焼き、楽しみ。ここだと魚も新鮮なものが手に入るからいいよね」
「いいですよね。今度は『ニツケ』っていう料理も挑戦してみようと思ってます」
「それも魚料理?」
「そうです。どうやら甘いらしいですよ」
「魚が甘いのかぁ…」
そんな会話を行ないつつ、手早く夕飯を仕上げていく。エランが匂いを嗅いでソワソワする様子や、出来上がった料理を見て目を輝かせる様子にくすくすと笑みが零れてしまう。
そうしていつも通りの楽しい夕食が始まった。この頃には自分が何を言おうとしていたのか完璧に忘れてしまっていた。
夕飯を食べ終わり、大満足のまま片づけを始める。鼻歌を歌いながら食器を洗っていると、テーブルの上を拭いていたエランが「スレッタ」と呼びかけてきた。
「はい?何ですかエランさん」
「いや、帰って来たときに何か言いたい事があるみたいだったから。今更だけど、何だったのかなぁ、って思って」
「……はっ!」
あれだけ意識していたのに、すっかり忘れていた。スレッタは自分自身にビックリしてしまう。
「あ、やっぱり何かあったんだ」
「ちょっと待っててください!」
エランの突っ込みを背後に聞きつつ、スレッタは急いで買い物袋からとあるお菓子を取り出した。
今日は11月11日。
恋人ならば、ぜひとも挑戦したい記念すべきゲームの日だ。スレッタは赤い色のパッケージを眼前に掲げ、高らかに宣言した。
「エランさん!『ポッキーゲーム』をやりましょう!」
エランが帰ってくるまでに考えていた自然な導入はまったくなく、気付けば勢いのまま直球で誘っていた。
- 55124/11/13(水) 00:41:26
とりあえずここまでです
本当に導入で止まってます
「ポッキーゲーム?」
「はい、そうです!」
首を傾げるエランに、勢い込んだまま説明する。
「このお菓子を2人が両端から食べて行ってどこまで食べられるか競うゲームです!」
「お菓子を…両端から…?」
目をパチパチさせて驚くエランに、恥ずかしい気持ちが湧いてくる。何も知らないエランに、自分は何てことを教えてるのか。
そう思いつつも、勢いのまま突っ走る事にした。
「本来はパーティゲームですがっ!こ、こ、恋人がするゲームとしても有名なんです!11月11日はポッキーの日で、ポッキーゲームをする日なんです!せ、せ、せっかくなので、どど、ど、どうですかッ!」
途中から支離滅裂になりつつも、頑張って最後までいう事ができた。
ポッキーゲーム。コミックで初めて見た時は大胆過ぎてビックリした。読んでいると恥ずかしくなって、ドキドキして、でも好きな人とやったらどうなるんだろうと想像した。
元ネタのコミックではこれを切っ掛けに主役の2人が互いを意識し始めて、紆余曲折のあとに最後は結ばれていたものだ。
スレッタにとっては、ちょっとした憧れのゲームである。
エランはもう一度首を傾げると、更に詳しく話を聞こうとしてきた。
「それって、勝敗はどうやって決めるの?」
「えっと、えっと。先に口を離したり、途中でポッキーを折ったりしたらその人の負けです」
「……口を離さなかったら勝ちって事?」
「そうです!度胸試しってやつです」
「……度胸試し」
分類的にはチキンレースと似たようなモノだと思う。でも危険度的にはポッキーゲームの方が遥かに安全だ。
ドキドキとしながら返事を待っていると、スレッタの様子をチラリと見たエランが小さく頷いてくれた。
- 56二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 10:15:11
(*゚▽゚)っ-━━
- 57124/11/13(水) 20:52:26
ポッキーのアスキーアートありがとうございます!今帰って来たばかりのスレ主です
もろもろの所用を済ませた後にさっそくポッキー話の続きを書き始めようと思います
ただ実は話の細かいところを決めていなかったりするので、書き上がるまで数時間はかかるかなという見積もりだったりします
いつものように日付が変わる前か変わってからの更新になりそうです
ではまた後で - 58二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 00:05:49
━━─⊂( ˘ω˘ )つ─━━
- 59124/11/14(木) 02:30:15
再びのポッキーアスキーアートありがとうございます!
チョコの掛かってる部分と掛かってない部分とで太さが違うのが細かくていいですね
そしてめちゃくちゃ夜更けまで頑張ったんですが最後まで終わりませんでした…
とちゅうアニメRe:ゼロの最新話に浮気してしまった事も関係あるのでしょうが、単純にただただ筆が遅いだけかもしれません
明日も朝早くから起きて仕事なので、さすがにそろそろ就寝しようかと思います
大変申し訳ありませんが、11月11日はもうしばらく続きます
という訳で出来た所まで続きです
「きみがやりたいなら、やってみようか」
「いいんですか!」
「お菓子を食べるだけだしね。…その、棒の部分はすごく甘いって訳じゃないよね?」
「お砂糖とか掛かってないんで大丈夫ですよ、たぶん」
ウキウキとお菓子のパッケージを開ける。中には小分けになった袋が2つ入っていて、更に片方の袋を開けると焼いた小麦とチョコの美味しそうな匂いが漂ってきた。
「すごい、本当にポッキーです」
「有名なお菓子なの?」
「すごく有名です。お菓子コーナーに行くとほとんどの店で置いてありますよ」
「そうなんだ。お菓子コーナー、あんまり見ないから…」
「わたしも買い物途中に見るだけで、実際に買うのは初めてです」
普段スナック菓子はほとんど買わないので、今回の買い物はちょっとした冒険だった。
ポッキーゲームも楽しみだが、ポッキーを食べること自体も楽しみだ。
スレッタはウキウキとしたまま、たくさん入っている内の1本を手に持った。そのまま顔の前に持ってきて、思わず食べてしまいそうになる。
「………」
「たくさんあるし、1本くらいなら食べてもいいんじゃない?」
「そ、そうですか?本当にいいですか?」
「遠慮なく、どうぞ」
「で、では。いただきます」
エランの言葉に甘えて、ポリポリとポッキーを齧ってみる。細い棒を齧るごとにチョコレートの甘さとプリッツェルの小麦の味が口の中で合わさっていく。食感も楽しくて、いくらでも食べられそうだった。
ポリポリとチョコが掛かっていない部分まで食べきると、スレッタはほうっとため息を吐いた。
- 60124/11/14(木) 02:32:06
「美味しいです…」
「それは良かった」
「こほん。お待たせしました。じゃあ、ポッキーゲームの開始です!」
改めて宣言する。
2本目のポッキーを手に取ると、まずはチョコの部分を噛まないように口に挟み、唇に力を入れて水平に保ってみた。そのまま、んっとエランの方に突き出してみる。
「ふりゅんしゃん、ろうろ」
唇を動かせないので気の抜けた声になる。でもエランはきちんと分かったようで、パチッと目を瞬いた後に、顔をポッキーの端に寄せてきた。目を伏せてそっと唇を開き、チョコの掛かっていない部分を口に咥えようと近寄ってくる。
スレッタはその様子を間近で見て、何だかドキドキしてきてしまった。
思えばポッキーの長さは15センチもない。両端をそれぞれが口に咥えるなら、実際はもっと短い。せいぜい10センチくらいだろう。
その10センチ先のエランは、ゆっくりと棒の端を咥え込んできた。彼の背に釣られてポッキーが上向きになり、スレッタの上唇を圧迫する。
視覚と触覚によって、ドキドキと、ますます心臓が高鳴っていく。
エランとはキスをした事もあるし、もっとすごいことをした事もある。それもけっこう頻繁に。
けれど、ある意味正気のまま、こんなに近くでマジマジとお互いの顔を見たことはなかったかもしれない。
伏せていたエランのまつ毛が上がり、ばちっと緑の目と合ってしまう。
「~~~っ」
スレッタは何だか異様に恥ずかしくなって、すぐにポッキーを折ってしまった。
「っ!ふぁっ!」
「………」
無言のまま、エランがポリポリとポッキーを食べていく。チョコの部分もすべて口に入れると「…僕の勝ち?」と戸惑いがちに聞いてきた。
- 61124/11/14(木) 02:33:59
「そ、そうですね。えっと、ちょっと意気込んでしまったみたいです」
「細いから、力を入れるとすぐ折れちゃうのかな?」
「そ、そうですね。意外とテクニックがいるようです」
「………」
「………」
「もう一回やる?」
「や、やりますっ!」
せっかくのポッキーゲームだ。1回だけ、しかも負けたままで終わりたくはない。
2回目なら恥ずかしさも慣れるだろうと、果敢に挑戦してみる。チョコの部分を口に咥えて、いざ再戦だ。
けれど結果は、2回目も、3回目も、4回目ですら…。
ポキッ。
ポキッ…。
ポキィッ…。
「………」
「ま、待ってください!そんな、こんなはずじゃあ…!」
スレッタは慌てた。何故かエランの目と合った瞬間に猛烈に恥ずかしさが湧いてきて、気が付いたらポッキーを折っているのだ。
その度にエランは苦手な甘いチョコレート部分を食べてくれている。本来の予定なら美味しいチョコレート効果でどんどんスレッタが食べ進められたはずなのに、どうしてか上手くいかない。
「ちょ、ちょっと作戦会議です!」
エランがポリポリとポッキーを食べている隙に、勝ち筋を考える。
まず思ったのは、キスをする時は平気な時が多いのに、なぜ今はこんなに恥ずかしいんだろう?という疑問だった。
最初は勝とうと意気込んでいるのに、エランと目を合わせるたびにものすごい恥ずかしさが襲ってくる。そして気付いたらポッキーが折れている。
目を合わすたびに…。
「あっ」
スレッタはキスをする時、いつも自分は目を瞑っている事に気がついた。
ポッキーをどれくらい食べたか確認するために目を開けていたが、それが敗因だったのだ。ポッキー以外……この場合はエランの顔も、必ず目に入って来るのだから。
なら、いつも通り目を瞑れば…。
「今度こそ大丈夫です!」
自信を取り戻したスレッタは、6本目のポッキーを準備していた。
- 62二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 10:24:53
あらあら(*^^*)
- 63124/11/14(木) 21:21:50
書き込みありがとうございます!ただいま戻りましたスレ主です
これから所用を済ませた後にポッキー話の続きを書くつもりですが、今日は仕事でめちゃくちゃ疲れたので途中で寝落ちする可能性があります
とりあえず保険として途中まで載せておこうと思います
とても短いですが、あらあら、まぁまぁな感じの4スレです
根気強く付き合ってくれるエランが、大人しくポッキーの端を咥えてくれる。スレッタはそれを確認したあと、すぐにしっかりと目を瞑った。
そのままポリポリと齧る。先ほどまでは一口分しか食べられなかったが、今回は違う。ポリポリポリ…!と食べ進めていく。
やがてチョコの部分を過ぎ、プリッツェルだけの部分になった。小麦の素朴な味が口の中のチョコの甘さを洗い流していく。
そうやってどんどん食べ進めていって、はたと気付いた。こんなに食べて、エランとぶつからないだろうか。
思わず目を開けると、まつ毛が触れるくらいの至近距離にエランがいた。緑の目にビックリして、そのまま口を離してしまう
同時に、唇の先が何かに触れた。
エランの口だ。彼の上唇に、自分の上唇が触れてしまった。羽のように軽い感触だったにも関わらず、またもや恥ずかしさが襲ってきた。
- 64124/11/15(金) 08:40:05
やっぱり寝落ちしてしまいましたッ!
途中キーボードの跡を頬に付けたまま起きたのですが、まだ眠いので普通に寝てしまいました
今日の夜こそは11月11日を終わらせたいと思います
では行ってきます
「~~~っ」
顔を離すと、エランの咥えている棒の先が濡れている事に気付いてしまった。自分の唾液だ、と分かった瞬間、先程までとは別種の恥ずかしさが襲ってくる。
「あっあのッ!」
焦って反射的に声を出す。このまま食べさせるのはどうかと思ったのだ。
でもエランはスレッタの言葉が続く前に、平気な顔で残りのポッキーを口に入れてしまった。
丁寧にすべてを咀嚼したあとに、「なに?」と首を傾げてくる。
「はわ…」
顔が熱い。まるで火が出そうだ。
「あああ、あの、エランさん…。あの…」
自分でも何が言いたいのか分からない。先ほどまで勝てると思って自信満々だったのに、今はただ混乱してしまっていた。
「……今回はスレッタが食べ進めるのを待ってたんだけど、この場合も僕の勝ちになるのかな?」
平気な顔をしたままのエランが、小首を傾げて聞いてくる。
勝ち。何をもって勝ちと言うのか。混乱したままのスレッタは何も考えられなくなっていた。
けれど、確かに今のエランは勝者そのものだと言えた。
「か、勝ち…。エランさんの勝ちです」
スレッタの言葉を受けて、エランがにこっと笑う。そうして封を開けた袋に手を伸ばすと、最後のポッキーを手に持った。
「せっかくだから、もう一戦勝負しよう?」
「は、はひ…」
今のスレッタには勝てるビジョンが浮かばなかった。
- 65二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 09:51:07
このレスは削除されています
- 66二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 12:18:36
ポッキーより甘い2人だ〜〜
- 67二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 23:14:25
つよつよエランさんすこ
- 68124/11/16(土) 01:32:51
書き込みありがとうございます
残りのポッキー話を書いている合間にちょっと息抜きにと思って見た動画に夢中になってしまいました
という訳で夜中にこっそり続きを投稿です
甘々な2人につよつよな4号にてお送りします
及び腰になっていると、エランがポッキーをこちらに差し出してきた。唇をちょんと突かれ、反射的に口を開けるとチョコの部分をそっと差し込まれる。
いつゲームが始まってしまうんだろう。ドキドキしながらエランを見ていると、彼は自由になった手でそっと両目を塞いできた。
「…目を瞑ったままの方がいいよ。折ったり離したりしないように気を付けながら、ただ咥えてるだけでいい。たぶん、それで今度は勝てると思う」
「ほうれふか?」
あまりに勝てないスレッタを哀れに思ったのだろうか。もしかしたら、彼はわざと負けてくれるつもりなのかもしれない。
少々ムッとしてしまう。けれどエランの言う通り目を瞑ることは有効な戦法だった。その証拠に、先程のゲームだって目を開けてしまうまでは上手くいっていた。
スレッタは霧散していた気合を入れ直し、とにかく絶対に目を開けないことにした。咥えたポッキーに歯を立てないように気を付けながら、むむっと口元を引き締める。
「じゃあ、始めるね」
合図のすぐあとに、ポッキーの反対側からエランが咥えた時の振動が伝わってくる。
最後のゲームスタートだ。
とりあえず、スレッタは少しずつポッキーを食べ進めることにした。
先程のエランのように待ちの戦法でもよかったが、それだと完全に彼のマネっこになってしまう。それは何だか格好悪いので、できるかぎり全力で迎え撃とうと思ったのだ。
ポリポリ。
ポリポリ…。
リスにでもなった気分で、ほんの少しずつ齧り取る。エランの方も少しずつ齧っているらしい。ポッキーで繋がっているので、何となく彼の挙動が分かってしまう。
いつ折るんだろう。いつ離すんだろう。でも、本当は手加減なんてして欲しくない。
そんな事を思いながら、今までの不甲斐なさを払拭するように食べ進める。
そうしていると、だんだんとエランの顔が近づいてくるのが分かった。プリッツェルを齧る音が、伝わってくる振動が近づいてくる。…彼の熱が、すぐそばにある。
- 69124/11/16(土) 02:07:35
ほんのちょっと閲覧注意です
「………」
スレッタは一瞬目を開きたくなって、どうにかその衝動を治めようとした。口の中のポッキーはまだ無事だ。折ったり離したりはしていない。
まだ負けていない。
いつの間にかエランからの振動が無くなっていた。彼はもう齧るのをやめて、今まさに折ろうか離そうか考えているのかもしれない。
何だか嫌だな、と考える。
これだけ頑張ったのに、不戦勝のように勝っても嬉しくない。だからスレッタは齧るのを再開して、大きく前に進んでみた。
すると、ふっと笑ったような息がかかり、自分の唇が相手の呼気で温かく湿る感覚があった。
いつもキスをする直前に感じているものだ。
思い至った次の瞬間、スレッタの唇が相手の唇に到達した。
「ん…っ」
離れようとは考えなかった。スレッタはごく自然に唇を開き、エランの唇にピッタリと寄り添った。チョコの匂いがふわりと香る。
バレンタインデーを思い出す。その後のホワイトデーも…。思えば、あれも食べ物をお互いの唇でやりとりしていた。
…なんだ、全然変じゃない。こうするのが自然だったんだ。
安心したスレッタは力を抜いて、より大きくエランの舌を迎い入れた。
「ん、ん…」
残ったポッキーの欠片を、お互いの舌でコロコロと転がす。そうやって遊んでいるうちに、いつの間にかポッキーの欠片は無くなっていた。
- 70124/11/16(土) 02:09:10
これで最後です
どちらが飲み込んだのかは分からない。もしかしたら、長く遊んでいるうちに溶けて消えてしまったのかもしれない。
「ん、ふぁ…」
唇を離して、エランの顔をそっと伺ってみる。彼はほんの少し顔を赤くして微笑んでいた。
「僕らの勝ちだね」
エランの言葉にパチパチと目を瞬く。
「『僕らの』…ですか?」
「だって、お互いにポッキーを折ったり離したりしてないでしょう?だから、2人とも勝利者ってこと」
「………」
…確かに。敗北の条件であるポッキーを折ったり離したりしていないのだから、ゲームの勝利条件に2人は合致している事になる。
ビックリしているスレッタを余所に、エランは嬉しそうにニコニコしている。
「勝負事なのに2人共が勝てるって、何だかいいね。せっかくだからもう一袋分ゲームしてみる?必勝法も分かった事だし」
珍しくエランが積極的だ。けれどスレッタはあと一袋分もゲームを出来そうになかった。
必勝法は分かっても、気力や体力が持つのかは別の話だ。だって、ポッキーはあと7本もある。
「~~~ッ!」
スレッタはエランにぎゅっと抱き着くと、「もう!ポッキーゲームはおしまいです!」と真っ赤な顔で宣言した。
- 71二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 06:05:42
ラブラブだー(*´ω`*)
- 72124/11/16(土) 14:20:08
早朝の書き込みありがとうございます!
11月11日のポッキーの日が計5日間にも及んでしまいましたが、お陰様で無事にラブラブな2人をお届けできました
ポッキーゲームは一旦終了となりますが、この後スレッタは4号によってお姫様抱っこで寝室へと連れ去られています
ラブラブ続行な2人なのでした
とりあえず突発的に考えたこぼれ話は終了したので、今夜から再びスライム話の続きを載せ始めたいと思います
なんとかスライムが終わるまでに本編SSの続きを完成させたいところです
ラブラブ4号で英気を養ったので、ぼちぼちエンジンをかけ始めなければいけません
ではまた - 73二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 22:30:31
ポッキーゲームは終わってもラブラブは続くんだね☺️
- 74124/11/17(日) 01:04:14
寝る直前に投稿することで少しでもスレを長く持たせようと言う姑息な作戦に出たスレ主ですこんばんは
途中の書き込みありがとうございます
こぼれ話の4スレは本編SSのすれ違いを払拭するかのように年中無休でラブラブしております
さて、では久しぶりのスライム更新です
さて、改めてもう一回もみもみしようかな、と考えていると、「スライムさん、ちょっと待ってて」と言いながら女の子がゴソゴソと背負っていた荷物を漁り始めた。
小さな袋を取り出して、そこから薬草や木の実、干し肉やチーズなどの携帯食料を手のひらに乗せて見せてくれる。
「お腹すいてない?スライムは何でも食べるって聞くけど、この中から食べたいものはあるかな」
何と女の子は、偶然出会った野良スライムの食事を優先してくれるつもりらしい。
僕は感動にブルブル震えてしまった。うっかり丸い形から崩れそうになりつつ、女の子が差し出した手のひらに近寄っていく。
薬草、木の実、干し肉、チーズ。
ラインナップは先ほどと同じなのに、女の子の言葉を聞いた後だととてもキラキラして見える。
正直、僕はグルメなスライムだと思う。やたらと強い聖属性の草ばかり食べていて、『異次元収納』の中には膨大な量のストックが眠っている。
ちなみに僕がスライムになってから最初に意識を取り戻したのは、ダンジョンの中でも特殊な場所だった。子どもたちが追いかけっこをしてもなお余るような、やたらと広い土地にポツンと佇んでいたのだ。出入口はとても狭くて、他の魔物も入って来ない、まさに僕だけの秘密部屋だった。
そこにわさわさと生えていた草が僕の主食になった。食べても食べても次々生えて来る草だったので、今は数十年分くらいのストックはあると思う。
僕は女の子の手のひらを改めて見た。この中から食べるとしたら、薬草だろうか。ただ僕はグルメなスライム、食べて美味しいと思えるかどうかは分からない。
- 75124/11/17(日) 12:04:01
現に主食の草に埋もれるように別の種類の草がポツポツと生えていたけれど、苦みが強くて僕はあまり好きではなかった。たぶんあれは雑草だと思う。
僕はちょっと悩んで、結局薬草を1枚頂くことにした。他は明確に女の子の食べ物だと分かるし、薬草なら僕の聖魔法が代わりになれる。
そうと決めたら他の食べ物を踏まないようにぴょんと手のひらに移って、目的の薬草をもしゃもしゃと食べてみた。たぶん外からだとじゅわわ…と溶けているように見えると思う。
「美味しい?」
女の子の言葉にぴょんっ!と跳ねて返事をする。僕はグルメなスライム、けれどもそのお味は。
───意外と……おいしいじゃないかっ!
冒険者がよく使う普通の薬草だけど、雑草なんかより断然このみの味だった。
「じゃあわたしも、いただきます」
ご機嫌で揺れる僕を見ながら、女の子も自分の食事をし始めた。水筒からごくごくと水を飲み、干し肉をガシガシと齧っている。
ワイルド…!と思いながら見ていると、女の子は自分の手のひらに水を垂らして、僕に差し出してくれた。
「喉もきっと渇いているよね。はい、どうぞ」
至れり尽くせりである。先ほどまで僕が奉仕する側だと思っていたが、どうやらそれは間違いだったようだ。
- 76二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 13:29:31
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- 77二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 21:58:25
一緒にご飯食べるスライムさんとスレッタかわいいねぇ…
- 78124/11/18(月) 01:24:13
書き込みありがとうございます
2人の休憩はもうちょっとだけ続きます
うぬぼれていた自分に恥ずかしくなりながら、遠慮なく彼女の手のひらにぴょこんと舞い戻る。
スライムの体は見た目通り水分量が多いので、補給もそれなりに必要だ。
秘密の部屋には水源がなかったので、最初の頃は草に付いていた朝露をせっせと集めて取り込んでいた。活動範囲が広がるとそれなりに綺麗な水源を見つけることができて、今も僕の『異次元収納』にはけっこうな量の水が入っている。たまに助けた冒険者の水筒の中身を拝借することもあった。
なのでもし女の子の飲み水が枯渇したとしても問題ない。僕は遠慮なく手のひらの器に注がれた水をゴクゴクと飲んだ。
「…スライムさんがいてくれて良かった」
女の子が唐突にぽつりと呟く。
どうしたの?というように顔を上げると、僕を慈しむような表情で見ている女の子がいた。
どきん。僕の『核』が振動する。こんな風に人から見られた事なんて本当に久しぶりかもしれない。
何せ僕は勇者だったので…。頼りにはされても、慈しまれる側ではなかったのだ。僕が昔を思い出して物思いにふけっていると、さらに女の子が口を開いた。
「お姉ちゃんの為にって飛び出してきたけど、スライムさんがいなかったら怖くてすぐ逃げてたかも」
また『お姉ちゃん』だ。もしかしたら、彼女が迷宮に来た理由が語られるかもしれない。僕はプルプルと震えて続きを促した。
- 79二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 11:49:21
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- 80二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 11:50:01
一体お姉ちゃんに何があったのか…気になる…
- 81124/11/18(月) 15:02:41
お姉ちゃんに何があったのかはスレッタの口から語られます
今回はキリの良い所までにしようと思ったらものすごく短くなりました
「…あのね、お姉ちゃん体が弱いの。今まではお母さんが特別な薬を作ってくれてたんだけど、その材料が貴重品で、中々手に入らないものなんだ。今年は特に不作で…。お母さんは何とかするって都会まで探しに行ってるけど、帰ってくるまでに薬が持つかどうか分からない。だから、わたしが直接材料を採りに来たの。…ダンジョンで、時々手に入る草だって聞いたから」
そこまで言うと、女の子は黙った。本当に手に入るのか不安になっているのかもしれない。
僕は『貴重品』『草』というキーワードから、ある存在を思い浮かべた。
秘密の部屋にわっさわっさと生えていたもの。その割には迷宮内ではとんと姿を見かけないもの。
そう、僕の主食である聖属性の草である。
- 82二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 22:18:40
おお…ここでスライムさんの貯蔵が生きる…!
- 83124/11/19(火) 01:28:59
大食い動画を夢中になって見ていたらいつの間にか寝る時間を過ぎていたスレ主ですこんばんは
4号スライムは今こそ僕の貯蓄が生きる時…!とやる気まんまんになっております
はたして結果は…!
思い至れば即実行。僕はシュッ!と女の子から見えない位置に移動した。
「スライムさん、どこ行くのっ!」
女の子の焦った声が聞こえる。言い訳できないのが心苦しい。
───ごめんね、すぐに戻るよ。
心の中で返事をしながら、ちょっとした隙間に潜り込む。
女の子から見えない場所にたどり着いたあと、僕は大急ぎで『異次元収納』から聖属性の草を取り出した。時間が止まっているから、草の状態はツヤツヤとした新鮮なものだ。ちなみに根っこ付きだ。
薬に使う部分は葉っぱだけとは限らないから、葉も茎も根っこも付いているものをチョイスしてみた。
この迷宮を出たとして、もしかしたら他では手に入らない草の可能性がある。数十年分くらいのストックはあるけれど、念には念をと外で育てられるように完全な状態の草も用意していた。
数年か、下手したら数十年は出番はないものと思っていたけれど、まさかこんなに早く出番が来るとは…。
僕は自分の用意周到さを褒めちぎりながら、シュッ!と急いで女の子の元に戻った。
「あ、スライムさん。よかった!いきなりどうしたの。もしかして、おしっこ?」
───ち、ちがうよ!女の子がそんな……だめだよっ!
女の子の口からまろび出るシモな話題にちょっぴりドギマギしながら、すすっと秘蔵の草を差し出してみる。
「え、スライムさん。この草…!」
───そう、きみが探していた草だよ!これでこの迷宮から帰れるね!
葉っぱも茎も根っこも揃った『The・完全体!』な草を見て、女の子が満面の笑顔になる。
「すごい、ダンジョンの中に草が生えてたんだね!じゃあ、やっぱり探してる薬の材料もどこかにあるんだ!」
───ん?違うよ、これがこの草だよ。よく見て、ほらほら。
ずずい、とさらに出すと、女の子がそっと受け取ってくれる。
「さっきの薬草のお礼かな?こんなに大きい草、持って来るの大変だったでしょう。でもこれは探してる草じゃないから、スライムさんが食べていいよ」
───え?
衝撃的なことを微笑まし気に言った女の子は、自信満々に差し出した草を丁寧に僕に返してくれた。
- 84二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 12:08:19
探してる草じゃない…だと…?
- 85二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 14:57:35
このレスは削除されています
- 86二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 18:35:19
やっぱ迷宮探索は必要かぁ
スライム4号さん…ToLOVEるしつつスレッタを守護ってくれ…! - 87二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 22:59:40
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- 88124/11/20(水) 00:30:39
感想や書き込みありがとうございます
実は消えてるレスについては書き込まれて3分後とかに見た時にはもう消えていたので何が書かれていたのかは相変わらず分からないままだったりします
消すのが早いですよ…!でも書き込み自体は嬉しいです
そしてスライム4号ですが、またもやエンドっぽい所で切れていますがもうちょっとだけ続きます
───そ、そんな…!この草じゃないのっ?
僕はびっくりしながら、返された草を思わずムシャムシャと食べていた。さっぱりとした風味で、ほのかな甘みがする恩草。こんなに美味しくてすごい草なのに、特別な薬の原料じゃないなんて…。
信じられない気持ちになりつつも、彼女がきっぱりと断言するのならそうなのだろう。きっとこの草は探している薬の材料とはまったく違う形をしているんだ。
しょんぼりしていると、女の子は僕を両手で掬い上げた。
「よし、休憩おわり!スライムさん、もうちょっとだけ付き合ってくれる?薬の材料も大切だけど、飼い主さんも探さなくちゃね」
僕を思いやる言葉にちょっと気分が浮上する。飼い主なんていないけど、彼女は僕の事を一生懸命考えてくれている。
気持ちを反映してぴょこぴょこと小刻みに跳ね始めた僕を、彼女は再び胸ポケットへと誘ってくれた。もちろん僕は自分からすすっと魅惑の暗闇へと入っていく。
───ううん、相変わらずの弾力と柔らかさ。適度に湿度があるし暖かいし、何だか落ち着く…。
コトコトと鳴る心臓の音にうっとりしつつ、僕は胸の谷間に近いベストポジションに移動した。
「じゃあ、行こう!」
女の子の号令にむにんと頷く。
───分かった。サポートは任せて!
ちょっと出鼻は挫かれたけど、僕らの迷宮探検はもう少しだけ続きそうだ。
- 89二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 11:03:05
スライム4号さん…幸せそうだな…
- 90二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 16:23:42
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- 91124/11/21(木) 02:16:52
感想や書き込みありがとうございます
すいません帰ってからちょっとのつもりで横になったら6時間近く寝てしまったスレ主です
今はめちゃめちゃ頭がスッキリしてますが明日に差し支えるのでもうちょっとしたら寝ようと思います
4号スライムですが、彼は勇者時代からは考えられないくらいにやりたい放題で幸せな時を満喫しております
一応勇者時代はパフパフも断るほど品行方正に勇者していたんですが、たぶんその反動が一気にきました
パフパフ以外の勇者時代のこともSSが進んで行けばちょっとだけ語られる予定です
再び迷宮探索を開始してから暫くのあと、僕らは何度か敵に出くわしながらも少しずつ奥の方へ進んできた。
小型の触手やコボルト、ゴブリンと言った比較的弱めの敵に当たったのも良かった。ゴブリンの集団に囲まれた時はヒヤッとしたけれど、彼女を掴もうとする手を結界で弾いて、各個撃破する事ができた。
そうして気付いたのは、女の子の体は妙に聖魔法の効きが良いという事だ。彼女にかけた聖魔法は、自分の体にかけた聖魔法よりもより大きく効力を発揮する。
そういう体質なのか、それとも魔法の力を増大させる魔道具でも持っているのか。
どちらにしろ、彼女の身が安全になるならいい事だと思える。
「うーん、次は…こっちに行こう」
そして彼女は妙に勘が良い。分かれ道があったとして、必ず先に続く道の方を選んでいる。今も行き止まりになる方の道を横目に、僕の通ってきた道をまっすぐに進んでいる。
たしかこの先の道で禿げ散らかしたおっさん冒険者とすれ違ったな…と思い出していると、うおおぉぉぉ……、うおぉおぉぉぉ…。獣の声のようなものが響いてきた。
- 92二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 11:49:00
おお勇者時代の4号さんのお話も楽しみ
- 93二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 11:49:55
勇者4号の銅像建てられてそう
- 94124/11/21(木) 15:41:07
感想や予想ありがとうございます!
勇者時代の4号は本人と生前の勇者4号に関わった人の口からさらっと語られることになります
本人と別の人の視点では勇者4号のイメージはけっこう違いがあったりします
そして銅像ですが、もしかしたらその内勇者4号を擁立していた国が立てたりするかもしれません
…が、スライム4号がいる国は別国だったりするので、目にする機会はないんじゃないかと思います。たぶん
「この声…何だろう。コボルトともゴブリンとも違う。もしかして、トロールやオークとか?ま、まさか、オーガじゃないよね…?」
コボルトやゴブリンはともかく、今の女の子ではトロールやオーク、ましてやオーガとの戦闘は厳しい。僕の全力のサポートをもってしても逃げ切れるかどうか分からない。いざとなったら僕自身が表に出て戦う必要がある。
けれどこの声には聞き覚えがあった。
僕がぷるぷると小刻みに震えていると、女の子がとんでもない事を言い出した。
「よ、様子を見るだけなら…大丈夫かな?……わっスライムさん!?」
僕は抗議をするように、胸ポケットの中でぽよんぽよんと跳ねて暴れてみた。
───やめておこうよ!トラウマになるよ!
コボルトでもゴブリンでも、トロールやオークでも、ましてやオーガでもないこの野太い声には聞き覚えがある。
僕が何度も聞いた声。何度助けてもキリがないと見切りをつけた原因のひとつでもある声。
そう、この声の正体は、禿げ散らかったおっさん冒険者である。
- 95二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 19:21:46
あわわ禿のおっさんがモンスターとおたのしみしてるところなんて見ちゃったらアカン(アカン)
- 96二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 00:17:14
感想ありがとうございます
おっさん冒険者がいわゆる受けなのか攻めなのかはまったく決めていないのですが、どちらにしろ幼気な少女には目に毒どころか目に劇薬となる光景が展開されていることでしょう
当然4号は阻止するために全力を尽くします
ちなみにおっさん冒険者は完全なオリキャラとなっております。ゴドイさんではないのでご安心ください
「ひゃわあぁ、スライムさんっ」
むにょん!もにゅん!僕は近づかせまいと、胸ポケットの中で出来る限り暴れてみた。
けっして胸の感触をもっと味わいたいとか、そんな事は……ほんのちょっぴりしか思っていない。あくまで僕は真剣である。
「スライムさん、怖いの?や、やっぱり近づくのはやめよう」
僕の危機感のある暴れっぷりに慄いたのか、女の子がじりじりと後ずさりしてくれた。このまま迂回するか、声が聞こえなくなるまで待つか。
…個人的にはおっさんの喘ぎ声なんて聞かせたくないので迂回を推奨するのだが、最悪『事の最中』を見る事がなければそれでいい。純朴そうな可愛い女の子に変なものを見せるなんて、勇者として…いや、男として許せるものではない。
そのままウロウロと寄り道しようか。そんな感じで次の行動を決めようとした時、禿げ散らかったおっさん冒険者の声が聞こえなくなった。
女の子が息を潜んで様子を伺う。僕は───ああ終わったんだな。…と、そんな事を思っていた。
しばらくそのままでいても変な声が聞こえてくる事はなく、ついでに変な音も聞こえてくる事はなかった。女の子が少し緊張を解く。
すると次の瞬間、ザッ、ザッ、と誰かの足音が聞こえてきた。慌てて物陰に隠れると、誰かがこちらに向かってくるのが見える。
妙に満足そうな顔。やり切ったような出で立ち。汗で頭頂部をツヤツヤさせて、ゆっくりと近づいてくる人物。
きちんと身支度を整えた、おっさん冒険者だった。
- 97二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 08:50:13
スライムさん中々のむっつりスケベ…!
危険シーンの目撃阻止出来てよかった… - 98二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 16:03:02
ちゃんと身支度を整えててえらい!
- 99124/11/23(土) 00:25:48
ちょっと所用で一日お出かけしていたスレ主ですこんばんは
貴重な休みを潰してしまった訳ですが、その代わり久しぶりに外食をしてみました
たまには外で食べるのもいいものですね
4号スライムの頑張りでおっさん冒険者のあれこれは見られることなく終わりました
ちなみにすれ違ってから大分時間は経っているので、スレ主は書きながら(おっさん冒険者タフだな…)と思っていました
一応おっさん冒険者はまだ淫獄迷宮にハマってから間もないので、体裁を整えるだけの理性はまだある感じです
中毒者になるとどんどんその辺りだらしなくなっていきます
人の尊厳が維持できなくなるという、けっこう危険なダンジョンなのです
「誰かいるのか?」
外見だけ見れば歴戦の冒険者!と言った感じのおっさん冒険者は、僕たちのいる物陰を見据えるとどっしりした声で呼びかけてきた。
とても先ほどまで怪しい声を上げていた人物とは思えない。とは言え彼はそれなりに経験を積んでいる冒険者である。彼の気迫っぷりは一応本物なのだ。
女の子はおっさん冒険者の声にあたふたと一通り慌てると、「こ、こんにちは…!」と挨拶をしながら、そうっと物陰から顔を出した。緊張の面持ちで、さらにぺこりとお辞儀している。
可憐な女の子の登場に、おっさん冒険者は面食らっているようだ。まぁ無理もないと思う。
僕は女の子のポケットの中で、注意深くおっさん冒険者の動向を監視していた。
基本的に冒険者は総じて魔物を倒すという大目標があるので、冒険者同士の戦いは禁止されている。
だが中には相手の名声を奪うためだったり、貴重なアイテムを奪うためだったり、相手の尊厳を奪うためだったり、そんな私利私欲のために他の冒険者を襲う輩も出てくる。
特にここは淫獄迷宮なので、若くて可愛い初心者冒険者を前にして理性を飛ばす可能性は高い。
───もし彼女に指一本でも触れようとしたら、どぎつい聖魔法をお見舞いしてやるぞ!
僕は気合十分だった。
- 100二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 08:17:33
聖魔法は、治癒とか防御とか対アンデッドに有効な攻撃とかのイメージです
世の中には、どぎつい聖魔法なんてものがあるのですね🧙 - 101二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 12:45:57
スライム4がんばれ……!
- 102二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 22:29:54
このレスは削除されています
- 103124/11/24(日) 02:40:05
とんだ夜中に失礼します
不動産系の動画を見ていたらいつの間にかすっかり就寝時間を過ぎていたスレ主です
狭い物件、広い物件、普通の物件、デザイナーズ物件。別に引っ越す予定もないのですが、内見動画は見ているだけで時間が溶けてしまうほど楽しいものです
でもこれ以上見ていたら寝る時間がなくなるので、スレを更新したらいい加減寝ようと思います
それはそれとして感想や書き込みありがとうございます!
ちなみに聖魔法ですが、おっしゃる通りバフ系や回復系がほとんどです。4号の使おうとしたどぎつい魔法はじつは浄化魔法の超強化版だったりします
人や動物にとっては消毒しすぎるとかえって毒になってしまうものなので、人畜無害な顔をしている浄化魔法も使い方次第で怖い魔法になり得ます
魔法の範囲や効果については術者(この場合4号スライム)がある程度決められるので、毛根がふさがるほどツルツルに浄化されろ…!と念じながら頭に浄化魔法をかければ辛うじて存在している僅かな髪も生えてこなくなる可能性があります
ちなみにおっさん冒険者の髪形ですが、完全なスキンヘッドと言う訳ではありません。てっぺん禿げです(つまり周りには髪があります)
どぎつい聖魔法について書いている内にSSを載せるスペースが無くなってしまいました。明日からまたちょこちょこ載せていこうと思います
ぽよん!としつつスレッタを守る小さな4号スライムのお話はあともうちょっとだけ続きます
ではまた - 104124/11/24(日) 08:01:10
何かあったら遠慮なくボコボコにしてやろうと思っていたのだが、結果としておっさん冒険者は女の子に害を及ぼすどころか、僕に対して中々いい仕事をしてくれた。
具体的には女の子に次々と質問攻めをしてくれたのだ。声の出せない僕にはありがたい事だ。
一応言っておくとスリーサイズとか、下着の色とか、そんな下世話な質問じゃない。
どこから来たのか、目的は、装備は、他の仲間は、物資の残りは。そんな冒険者としての真面目な質問だ。
最近の彼は頭がすっかり茹だっているようだったが、腐っても中級冒険者。それもパーティで前衛役を務めていた人物だ。素人同然な出で立ちをしている少女に対して劣情よりも心配が先に立ったらしい。
いかにも頼りがいのありそうな冒険者を相手に、女の子は素直に質問に答えて行った。
近くの村からこの迷宮へ来て、目的は姉を直す薬の材料の採取。装備は大ぶりのナイフと丈夫な生地の服で、他の仲間はいない。物資の残りは約一日分。
聞いているだけでこちらも不安になってくる貧弱具合だ。実際は元勇者の僕が胸ポケットにいるので心配はないのだが、それを聞いておっさん冒険者は苦い顔つきになった。
正直さっさと帰れと怒鳴られても仕方ない状況だ。けれどおっさん冒険者は驚くほど親切に知っている情報を教えてくれた。
- 105二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 10:33:44
禿のおっさんはDBのナッパみたいなのを想像してた
まさかてっぺんだけツルツルタイプだったとは…! - 106二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 19:49:19
(スリーサイズとか下着の色とか知りたかったんだな…)
- 107二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 23:14:01
年頃スライムだからね……
- 108124/11/24(日) 23:43:26
昨日の夜更かしですでに目がショボショボしているのでそろそろ就寝するつもりのスレ主ですこんばんは
色々と書き込みありがとうございます!
てっぺん禿げと言っても色々とありますが、イメージとして分かりやすいのは磯〇波平さんでしょうか。頭の一本毛がない状態の髪形を思い浮かべて頂ければおっさん冒険者の髪形と一致します。周りの冒険者仲間からはスキンヘッドにした方が絶対格好いいのにね……と思われています
そして思わぬ心の本音が漏れてしまった4号スライムですが、実際におっさん冒険者がそんな質問をしていたら直ちに超スピンした弾丸のようになっておっさんに腹パンしていたと思います
それはそれとして質問の内容は知りたくてモンモンする事になるでしょう。思春期は大変なのです
遅くにやってきたお年頃なので、仕方ないのかもしれません
「お嬢ちゃんの探している薬の材料は、もしかして『エリク草』か?」
「そうです!知ってますか?」
言い当てたおっさん冒険者に女の子が驚いた声を出す。同時に僕も驚いてしまう。
『エリク草』は、確かエリクサーの原料になる植物だ。エリクサーは回復役として最上位の性能を誇り、勇者時代の僕も数えるほどしか使ったことがない。超のつく高級品だ。
もちろんそんな貴重な薬の材料である『エリク草』だって貴重品だ。道具屋でも売っていないので、僕も現物を見た事はない。
手に入りづらいというのも納得だ。むしろ女の子の家族はどんな手段で継続的に手に入れているのか知りたいくらいだ。
僕は驚きつつも、同時にだんだんと嫌な予感がしてきた。ここは難易度的には中級のダンジョンになる。貴重なアイテムがごろごろしているような場所ではない。
おっさん冒険者の話は続く。
「実物は見た事ないが、以前ここの迷宮をパーティで攻略してたヤツの話を聞いたことがある。そいつは実際に採取したようだ」
「本当ですか!?」
「何でもボス部屋にポツポツと生えていたそうだ。やたらと広い場所で、そこには草がわんさか生い茂っていたらしい。生憎そいつのパーティはボスに勝てずに逃げ帰ったそうだが、何とか生えている『エリク草』だけは持ってくることができたそうだ」
嫌な予感が的中した。
超級の薬の材料ともなれば、そうほいほいと手に入るものではない。相当な労力が必要になる。
それこそ迷宮のボスを攻略するくらいの労力だ。
- 109二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 08:04:15
淫獄迷宮のボスっていったいどんななんだろうか…
- 110124/11/25(月) 15:31:14
淫獄迷宮のボスはまだ敵として出てきていないモンスターです
有名なモンスターなのですが、次の更新でおっさん冒険者から語られると思います
多分そっち(18◯)系のモンスターとしてもメジャーな存在だと思います
その次の更新ですが、ちょっと手直ししたい所ができたので夜に続きのSSを載せにきます
ではまた - 111二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 19:00:08
えっちなメジャーなモンスター…サキュバスとかかな…🤔
- 112124/11/26(火) 01:09:54
サキュバスいいですね。見た目が華やかで好きなモンスターです
しかし今回のボスはもうちょっと地味な存在です
僕は納得して胸ポケットの中でほよん…と頷いていたのだが、ボス部屋と聞いた女の子が「ええっ!」と驚いた声をあげた。はずみで胸がぽいんっと僕の体を押し上げてくる。
「ぼ、ボス部屋…!?」
「言っちゃなんだがお勧めしない。この場所からまだまだ深く潜って行かなきゃならないし、相当な運と実力がないとたどり着くことさえ出来ないだろう」
「そ、そんな…」
女の子はがっかりしているが、まぁそれは当然だろうと思う。何なら僕でさえこの迷宮のボス部屋に到達したことはなかったりする。
どれだけ活動範囲を広げてもボス部屋らしい場所を発見できなかったのだ。恐らくボス部屋はかなり奥の方にあるのだと思う。
───僕の秘密部屋なら何とか案内できそうだけど、ボス部屋じゃないしな…。
なにせ秘密部屋はボス部屋と同じで広くて草がわさわさ生えている。違うのはボスがいるかいないか、あとは貴重な『エリク草』か名も知らぬ聖属性の草が生えているかの違いくらいだ。
…わりと致命的な違いかもしれない。ちょっとがっかりしたので、くたっと力を抜いて女の子の胸にしな垂れかかる。この曲線美、グッドだね。
とは言え、女の子の探し物がこの迷宮に存在している、という情報を得ることが出来ただけでもかなりの前進には違いない。
いざとなれば僕ひとりだけでサッと行って帰って来てもいい。ボス部屋の場所さえ分かればすぐにでもやれる。
僕がボス部屋をシュッ!シュッ!と速攻で攻略する脳内シミュレーションをしていると、女の子は泣きそうになりながらおっさん冒険者に質問していた。
「で、でも倒さなくても『エリク草』を手に入れることはできるんですよね…?ボスから逃げられる速さがあれば、で、できるんですよね…?」
すがるような声に、すぐさま何とかしてやりたくなる。けれどおっさん冒険者は無謀な挑戦を諫めようと考えたらしく───実際それは正しい判断なのだが───女の子を諦めさせるために更に貴重なボスの情報もくれた。
「馬鹿なことは考えるな、ボスはとてつもない強さのスライムだ。目に見えない速さで襲って来るから、お嬢ちゃんじゃ逃げられやしないぞ」
すごく強いスライム。同種の存在がボスだという事に、僕はビックリしていた。
- 113二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 05:15:20
これ絶対に4号がボスであるパターンじゃないですかwwwww
- 114二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 08:16:30
もしかしてそのボスって強力な聖魔法が使えて最近見つけた永住の地を満喫してる思春期スライムなんじゃ…
- 115124/11/26(火) 15:28:26
広い草むらの部屋に鎮座する強くて素早いボススライム
4号スライムと一体どんな関係があるというのか…!
という事で続きを載せようと思ったらコピペ用のメモ書きをうっかり消してしまったスレ主です
たいへん申し訳ありません
家に帰ればデータはあるので、夜にまた更新しに来ようと思います
ではまた - 116二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 18:34:52
4号さんが苦くて雑草だと思ってたのがエリク草か…!
灯台下暗し…! - 117二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 23:35:01
保守ぷるん!
- 118124/11/27(水) 05:06:50
早朝から失礼しますスレ主です
実は投稿するボタンを押したつもりで押していなかったようです。ビックリして目が覚めました
そして書き込みと保守ありがとうございます
さり気なく出したつもりだった伏線を見事に読み当てられてしまいました(ザッソウ=エリクソウ
もしかしたらその他の展開も読まれている可能性がありますが、観念してそのままお出ししようと思います
「す、スライムが…強いんですか?熟練の冒険者さんでも逃げられないくらいに?」
女の子もビックリしている。ただし、僕とは驚きの内容が異なるようだ。無理もない。基本的にスライムは初心者冒険者にとっては厄介な相手でも、熟練の冒険者にとってはいい経験値稼ぎの相手だからだ。
けれどスライムの進化先は千差万別。中には迷宮のボスになるような規格外に強いスライムがいても不思議じゃない。
───まぁ、この僕には負けるだろうけど!
なにせ魔王と単独で戦ったこともある元勇者である。僕は女の子にアピールするように胸ポケットの中でえっへんと反り返ってみた。
「この迷宮のボスはそんじょそこらのスライムじゃない。『核』なんか目に見えるほど大きくて、魔力光で常にキラキラ輝いているらしい」
───いや、僕の『核』の方が綺麗で大きいよ、たぶん。
ボスを褒めるおっさんの言葉に対抗するように、さらにえっへんと反り返ってみる。
「攻撃方法も普通のスライムとは一線を画しているそうだ。魔法を使ったりもするらしい」
───僕がどれだけ魔法で戦っていたと思ってるの、僕の方が魔力の扱いは上手だよ、きっと。
えっへん。さらにさらに反り返ってみる。
「頭もいいそうだ。人の言葉が分かるらしくて、声に出すと作戦が筒抜けになるらしい」
───さすがにスライムと頭の良さを競う気はないけど、まぁ僕の圧勝だよね。普通にね。
えっへん。さらにさらにさらに反り返ってみる。
もうこれ以上反り返るべき所はない、というくらいに反り返っていると、いつの間にかブーメランのような形になっていた。さすがにこの形だとペットスライムのふりは難しいので、密かにぷるん!とまん丸ボディに戻っておく。
おっさん冒険者はまだ見ぬボススライムのすごさを語っているけれど、聞けば聞くほど僕に負ける要素はないように思える。
女の子はしょんぼりしているけれど、僕はまったく問題ないと楽観視していた。
- 119二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 07:56:38
改めて特徴聞くと4号さん鬼つええ…
舐めてかかった冒険者たち瞬殺してそう - 120二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 17:51:56
チートスライムやでぇ
- 121124/11/27(水) 18:29:22
4号スライムは超つよです
全盛期ほどではないですが、その辺の冒険者ならバッタバッタとなぎ倒せます
「そもそもここは若いお嬢ちゃんが来るようなダンジョンじゃない。悪い事は言わないから、戻った方がいい」
おっさん冒険者はきっぱりとそう締めくくった。反論できない女の子はしょんぼりしたままだ。
けれど「料金次第だが、村まで護衛してやるか?」というおっさん冒険者の声には首を振った。
「色々と、ありがとうございます。でももう少しだけ周辺を探索しようと思います。『エリク草』じゃないけど、草があったんです。もしかしたら、『エリク草』もボス部屋以外で見つかるかもしれません」
「草が生えてたのか、珍しいな」
「スライムさんが見つけてくれて…。あ、そうだ」
そう言うと、女の子は胸ポケットで休んでいた僕をそっと掴んで手のひらに乗せた。指先で優しく撫でられたので、体をぷるぷるさせて返事をする。
「このスライムさん。誰かのペットだと思うんです。ご存じじゃないですか?」
「おお、綺麗なペットスライムだな。まだ小さいが、色も形もいい」
おっさんがいきなりゴツイ指先で触ろうとしてくるので、ぴょっ!と身をひるがえす。そのままぴょっ!ぴょっ!と跳ねて、まるで猫のやんのかステップのように威嚇する。
───気軽に僕に触ろうとしないでくれる?こちとら元勇者なんだけど。
しばらく攻防を繰り返し、触らせる気がないと知ったおっさんは手を引っ込めて苦笑した。
「うーん、多分上級冒険者のペットじゃないか。この大きいの、宝石だろ」
「じょ、じょうきゅう冒険者…。ほうせき…」
「どちらにしろ俺のペットじゃないな。後でギルドで探してみるといい」
「そうします」
「で、本当にもう少し残るのか?何か無事でいられる保証でもあるのか」
「保証…。あ、ひとつあります。さっき言いそびれてたんですけど…」
そう言うと、女の子はもうひとつの胸ポケットから小さな袋を取り出した。僕の隣に袋を置いて、片手で器用に開けている。
好奇心のままににょいっと覗き込むと、中には綺麗な青いウロコが入っていた。なぜ気付かなかったのかと思うくらい、ものすごい魔力が込められている。
「ドラゴンのウロコです。知り合いの竜から特別に分けてもらったお守りです」
- 122二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 21:18:51
なんだかとてもレアアイテムっぽい…!
竜と知り合いってどういう関係なんだ…? - 123124/11/28(木) 00:58:41
もちろん超絶レアアイテムです
RPGで言うとあらゆるところを探索しまくって数枚しか手に入れられないような、そんな感じです
スレッタの知り合いの竜が誰なのかは今回のお話で大体察せられると思います
『ドラゴンのウロコ』。生え変わった時に落ちた普通のウロコも一応そう呼ばれることもあるが、アイテム名として定着しているのは持ち主の竜が自ら抜き取った特別なウロコだけだ。
場合によっては、死んだ持ち主を復活させるほど強い効力を持つ事もある。もちろん、超レアアイテムだ。
そんなすごいアイテムを持っていたなんて、僕は女の子がどういう環境で育ったのかますます興味が湧いてきた。
おっさん冒険者もあっけに取られたような目で見ている。
「知り合いの竜?何だかすごい話だが、青いウロコなら水竜か」
「いいえ、風竜です。体色は白いんですけど、特別に色の違うウロコを守りにくれたんです」
女の子は何でもないように言っているが、それはものすごい話である。
竜は大体が基本となる体色が決まっていて、まだら模様の竜はほぼいないと言っていい。けれど差し色のように所々色が違うウロコがあって、それは強い魔力が宿りやすい特別なウロコになる。当然、滅多に人にあげるものではない。
勇者時代の僕も1枚だけ持っていた。退治依頼をされた子どもの黒竜をこっそり助けたことがあり、その時に色々とあってもらう事ができたのだ。
今はもちろん持っていないが、あのウロコも綺麗な青色だった。ちょうど僕の『核』の色に近いように思う。キラキラしていて、綺麗だった。
───【ファラクト】、元気にしてるかな。
僕が助けて名前を付けた黒竜を思い出しながら、僕は思い出の中のウロコと変わらないくらいに輝いている青いウロコをジッと見つめた。
- 124二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 06:11:04
4号(5号も)がファラクトと仲良しなのが、パロディの1番好きなところです
このお話も仲良しみたいで嬉しい😆 - 125二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 11:52:51
ドラゴンエアリアル…!きっとすごい加護があるんだろうなぁ
4号スライムもファラクトとまた会えたらいいな… - 126二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 20:45:19
⌒v⌒v⌒ミ((( 廿_廿))
- 127124/11/29(金) 00:36:40
書き込みありがとうございます!
仲が悪いよりは仲が良い方がだんぜん嬉しい
という訳で、原作軸とは違う作品世界を考えた時、高確率で4号&ファラクトを仲良し設定にしています
この辺りスレ主の癖のようなものになります。匿名で書いてもこの癖でバレてしまうかもしれないですね
そしてドラゴンエアリアル君はものすごい過保護という訳ではないですが、スレッタが危険な目に合う可能性を少しでも減らすような加護を付けています
細かな加護を色々と、という感じです。この辺りドラゴンファラクトとは違う加護の付け方をしています
あと4号スライムのアスキーアートありがとうございます ⌒v⌒v⌒ミ((( 廿_廿))
このふてぶてしい可愛さ、メチャクチャ4号っぽくて好きです
あれから更にしばらくして、僕は上機嫌で女の子の胸ポケットに収まっていた。
おっさん冒険者はもういない。彼女の示したお守りに納得して、無理はするなと忠告したあとに帰って行った。
「ごめんねスライムさん。もう少しだけ探索して、そしたら帰って飼い主さんを探してあげるから」
彼女は瓦礫の隙間を見ながら、申し訳なさそうにポケットの上から僕を撫でる。
気にしないで!というように、僕はぷるるんと彼女の指に丸い体を押し付けた。
実は彼女は『ドラゴンのウロコ』だけではなく、もうひとつのお守りがあるとおっさん冒険者に告げていた。何を隠そうこの僕だ。
彼女は言った。このスライムさんがいなかったら、『ドラゴンのウロコ』があってもすぐに逃げ帰っていたかもしれない。彼がいると勇気と力が湧いてくる。だから彼がいる間だけ、もう少し頑張って探索していたい。
まるで控えめでいじらしい愛の告白のようだった。正直めちゃくちゃキュンと来た。
そんな事を可愛い女の子に言われて嬉しく思わない男がいるだろうか?いや、いない。
という訳で、僕は先にも増して気合を入れて聖魔法で保護しまくっている。
- 128二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 09:00:29
ひょわーすごい殺し文句だ
こっちまでキュンキュンしてしまう - 129124/11/29(金) 15:30:54
感想ありがとうございます
スレッタにはそんなつもりはないのですが、どんどん4号スライムの心を掴んでいっております
その内勝手にお嫁さん認定して自分は亭主気取りになる4号スライムの姿を見る事になるかもしれません
ところで転生スライムが思いのほか長くなっていますが、こちら完成した後にちょこちょこ書き足してどんどん長くなっているせいだったりします
ついでに最後の方はまるっと書き直しをするつもりなので、なおの事長くなることが決定しています
保管庫に収録する時には前・中・後では収まらず数字を振って管理することになるかもしれません - 130二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 20:14:12
4号スライムの割と図々しいとこすこ
もう君のお嫁さんでいいと思うよ - 131124/11/30(土) 01:18:13
感想ありがとうございます
4号スライムのやりたい放題なふてぶてしさは書いていてとても楽しかったりします
なのでついつい描写を増やしてしまうのですが、スレッタを妻扱いするくだりを書くとしたら続編あたりになりそうです
ちなみに続編のストーリーはまったく決まっていないのでした
色々なバフをかけてみて思ったのは、やっぱり彼女は聖魔法の効きが良いという事だ。先ほどまでは分からなかったが、今なら分かる。たぶん『ドラゴンのウロコ』で魔法の効果が増しているんだろう。
『ドラゴンのウロコ』に込められた力は1枚1枚微妙に違う。元々の持ち主である竜の性質、力の強さ、ウロコにどれくらい魔力を込めたか、そんなものでも変わってくる。
彼女の話では持ち主の竜とも仲が良いようだし、それなりに大きな力が込められていても不思議はない。魔法のバフ以外にも、色々な効果が付与されている可能性がある。
相変わらず先へ続く道を選び続けている勘の良さも、もしかしたらお守りの効力なのかもしれない。
「あんまり遠くには行かないように…。えっと、こっちかな…」
彼女の探索の仕方は先ほどとは少し変わっていた。どんどん先に行くのではなく、時間をかけてじっくりと周りを見て回っている。きちんと帰る事を念頭に入れているようで、こちらとしては一安心だ。
ただ探索を丁寧にしようとするあまり、無防備になっているのが困りものだ。今も瓦礫の前で四つん這いになって隙間を確認しようとしている。
胸ポケットにいる僕はその影響をもろに受けた。具体的には重力に従った大きな胸が僕に覆いかぶさってきた。ゆさ…っ、と質量のある重くて柔らかい物体に上から伸し掛かられて、僕は思わず幸せの極致を噛みしめてしまう。
極楽か天国かヴァルハラか…。どちらにしろ僕はいずこへと昇天してしまいそうな意識をつなぎ止めながら、無防備な彼女の代わりに辺りを警戒する事にした。
- 132二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 08:59:29
幸せの重み…思春期スライムさんが幸せそうで何よりです
続編もあるんですかやったー! - 133二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 17:26:40
スレッタが探索し4号が周囲を警戒する…
いいコンビネーションだ - 134124/11/30(土) 23:52:34
書き込みや感想ありがとうございます
返信をしたいのですが異様に眠くて文章が纏まらないので、今日は一旦就寝させて頂きます
明日朝早く起きられたら改めてお返事させてもらいます
SSの続きもその時に
すいませnではまた - 135二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 07:21:08
スライム4号いつも楽しく読ませてもらってます
ゆっくり休んでくださいー - 136124/12/01(日) 15:21:58
半日近く寝てしまったスレ主ですこんにちは
感想や労わりのお言葉ありがとうございます
遅くなってすいませんでした。午前中にしようとしていた用事を終わらせて、いまようやくの更新作業です
4号スライムの続編はストーリーも何も考えてないですが、多分書こうと思えば書けると思います
ただ他の書きたいSSも列をなしているので、書くとすれば時間が開くと思われます
ちなみにリクエストを頂ければ優先順位はぎゅんと上がります
4号スライムは直接スレッタのお手伝いはできないので、どうしても縁の下の力持ち的な感じのサポート中心になります
これが勇者時代の4号ならスレッタを守りながらガンガン先に行ってしまいます
自分の存在意義…とスレッタが思いかねないので、スライムになった方がスレッタとの相性はいいかもしれません
結局12時間近く寝てしまいました。今日は何の用事もない珍しい日なので、たまにはこんな風に過ごすのもいいのかもしれません
「ここ、何だかヘン…。風の流れが違う?」
女の子はどうしても奥が気になるようで、何度も体勢を変えて頑張って覗き込もうとしている。
風の流れと言うのは気になるワードだ。勘がいい彼女がこうまで気にしている様子からも、この先に何かがある可能性は高い。
───もしかしたら隠し部屋があるのかも。ちょっと待ってて!
僕は匍匐前進のように胸ポケットを進んで外に出ようとした。小さな体なら瓦礫の隙間に入れるし、彼女を危険に晒すこともないと考えた。
「奥に何か…。うんしょ、と」
───え、ちょ、ちょっと…!
けれど少し遅かったようで、僕が幸せの重みに邪魔されてなかなかポケットから出れないでいるうちに、彼女は瓦礫の隙間に手を入れてしまった。
瓦礫が倒壊すれば手を失うこともある危険な行為だ。僕はぎょっとしながら、急いで彼女に掛けている結界の強度を強くした。
すると次の瞬間、ポケットの中からでも分かる強い光が辺りを照らした。
瓦礫の隙間から漏れ出る強い魔力の光。おそらく、彼女が触れた事で何らかの魔法陣が発動したのだ。
迷宮のものか、冒険者が残したものかは分からない。けれど警戒心は跳ね上がる。僕はさらにいくつかの聖魔法をかけて彼女の守りを強くした。
- 137二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 21:00:33
何の魔法陣なんだろう怖い怖い
- 138124/12/02(月) 00:39:15
魔法陣自体はけっこうポピュラーなものになります
ダンジョン探索系のゲームをしていると高確率で出てくるイメージです
ただ使い方はあまりポピュラーではないかもしれません
同時に急いでポケットから這い出ると、魔法陣めがけて飛び出していった。書かれた呪文を読みとけば発動前に対策が取れるかもしれないし、それが叶わなくてもせめて女の子の盾くらいにはなれる。
瓦礫の隙間をヒュッ!と通り抜けると、溢れんばかりの魔力光に晒される。発動前の魔力の膨張だ。
間に合わない。
「───きゃあッ!」
ふわりと体が浮かぶ。いつの間にか床が消滅し、僕らは瓦礫と共に空中に投げ出された。
内臓(『核』)が飛び出そうな感覚、そして下から襲ってくる恐ろしいまでの風圧。
僕は先ほどほんの少しだけ読めた呪文と今の状況を鑑みて、今更ながらにようやく答えを得ることができた。
───転移魔法陣か!
人や物を別の場所へ移動するためのもので、迷宮では割とポピュラーな仕掛けだ。
レアなアイテムがある隠し部屋に行けたり、迷宮の出口へ運んでくれたり、そんな恩恵がある一方で。道を分からなくさせたり、迷宮の奥へ強制的に移動させられたり、そんな損害を与える事もある。
今回のケースは明らかに後者だ。常に光が差している迷宮だと言うのに、下はぽっかりと空いたような暗闇が広がっている。恐ろしいほどの長さの縦穴だ。何の対策もなければ死しかない。
───淫獄迷宮なのに即死トラップって、難易度調整ミスだろう!
僕は心の中でわめきながら、何度目か分からない聖魔法を発動した。対象はもちろん女の子だ。
自分の分は後回しにして女の子を優先する。それが元勇者の心意気なのだ。
- 139二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 09:49:35
いきなりの即死トラップ怖すぎる
自分よりスレッタを優先するスライムさんかっけぇ… - 140二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 18:59:32
プルンプルン
- 141124/12/02(月) 20:50:30
命の危険がない淫獄迷宮でのトラップに油断が出たのか、対応に遅れが出てしまいました
遅れを取り戻すためにも4号スライムは頑張ります
のんびり進んでいた話もここからノンストップになるため、悠長にプルンプルンしている余裕はないかもしれません
しかし描写がないだけでプルプルはしているはずです、なにせスライムですので
「───!───ッ!!」
女の子がめちゃめちゃに叫んでいる。でも風圧でまったく声が聞こえてこない。僕は下にゴツゴツとした大岩が突き出ているのを見て、すぐさま行動を開始した。
ビュウビュウ、風に邪魔されながら、僕は自分の体の一部を女の子に伸ばす。ただ伸ばすだけだと風圧に負けるので、パイルバンカーのように力を込めて射出する。
風に勢いの大半を殺されながら、なんとか服の端に体が届く。突き出た岩はすぐ下に迫っている。
そのままぐいと女の子を引っ張り、穴の中央へと位置を移動させる。ほぼ同時に突き出た岩のそばを通りすぎ、危ないところだったとヒヤリとする。
「………」
すでに女の子の意識はない。僕は自分の体にも聖魔法をかけながら、アメーバ状に変化して彼女の体を包み込んだ。
正直なところ、体積が圧倒的に足りない。理想では『核』のように彼女の全身を包んで守りたいのに、現実は彼女の体の下に薄いシートのように敷かれているだけだ。
でも、何もしないよりは遥かにマシだ。僕はすぐにでも来るだろう衝撃後に備えて、ありったけの回復魔法を準備した。
- 142124/12/03(火) 00:27:07
1秒、2秒、体感で10秒以上落ち続けているのに、まだ底は見えない。おかしい。いくら縦穴が深くても、数キロも続いているとは思えない。
そこで気付いた。僕以外が発している魔力の存在を。
女の子が腰に付けている袋から、風の魔力が渦巻いている。すぐに分かった。『ドラゴンのウロコ』だ。
よく考えたらいくら僕が強いと言っても、暴風に晒されながらスライムの小さな体で動けるわけがない。彼女の体まで触手が届いたのも、彼女の体を穴の中央まで移動できたのも、風竜の助けがあったからだ。
『ドラゴンのウロコ』によって風の勢いが殺されている。きっと落ちている速度も緩やかになっているはずだ。この分なら、想定よりもずっと弱い衝撃で降りられる。
余裕ができたことで、僕は色々とものを考えるだけのゆとりができた。
もっと安全に降りるために、岩肌に僕の体を突き立てて速度をさらに遅くするのはどうだろう。一時的に衝撃は来るけれど、結界魔法があれば十分に耐えられる。
もしくは、『ドラゴンのウロコ』に魔力を込めて更に大きい力を引き出すのはどうだろう。燃料となる魔力さえあれば、守りの力は一時的に増大するはずだ。
何にせよ、底に着くタイミングを見計らう必要がある。僕はいまだに真っ暗な底を見通せるように、聖魔法で光を作って辺りを照らそうとした。
- 143二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 07:57:38
エアリアルが守ってくれてる…!
落下のスピード感がすごくてドキドキするぅ… - 144124/12/03(火) 15:15:55
感想ありがとうございます!
エアリアル君は元ネタのテンペストでは風の精霊だったので竜なら風竜になるだろうと安直に決めました
その割にはイイ感じにストーリーに落とし込めたんじゃないかと思います(自画自賛)
とはいえさすがのエアリアル君のウロコでも単体ではまったくの無傷という訳にいかないので、足りない所は4号スライムに頑張ってもらわなければいけません
落下のスピード感について言及して頂けて嬉しかったりします
この辺りちょっとだけ描写に気合を入れました
山場の前の助走といった感じです
ところで、エアリアル君のウロコの入れた場所について誤りがありました
4号スライムとは別の胸ポケットにしていたはずが、腰の袋と書いていました
こちら元々は腰の袋だったのが途中で胸ポケットに変えたのですが、ついつい元の場所を書いたまま修正し忘れていたようです
後で保管庫に入れる前には直しておこうと思います - 145二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 20:54:12
4号頑張れ…!二人とも無事で…!
- 146二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 07:27:59
風竜エアリアル君絶対かっこいいと思う
ファラクトは黒いドラゴンだから闇属性なんだろうか - 147124/12/04(水) 15:18:02
仕事がいきなり忙しくなって撃沈していたスレ主ですこんにちは
夜と朝の書き込みありがとうございます。非常に助かりました
スライム転生のタイトル的に本来はそんなにピンチにはならないはずなのですが、ただ無双するだけじゃ面白くないかなと思ってそれなりに描写を盛ってしまいました
タイトル詐欺にならないように気をつけたいと思います
風竜エアリアル君は竜としては珍しいトリコロールカラーです。基本は白いウロコなのですが、青と黄と赤のウロコが綺麗な飾りのように胸元や頭を彩っています。ものすごい力のある竜です
ファラクト君はやはり黒竜です。ただ属性は闇ではなく、無属性となっております。無属性って何だろうと思われるでしょうが、片寄った属性とかがない素の竜になります
ちなみに竜のウロコの色は属性はあまり関係なかったりします。ただ人間の間では赤=火竜とか、青=水竜という固定観念があるだけです
風の魔力の範囲外にいくつかの魔力の明かりを作り、すぐに底へと向かわせる。薄ぼんやりと明るい岩肌を照らしながら、光はあっという間に影の底へと到達した。
けれどおかしなことにいくら近くで照らしても暗闇が明るくなる事はなかった。
その代わり光を近づけると闇の中にキラキラと輝く星のような何かが見えた。まるで地の底に夜空がそのまま映し出されているようだ。
見た目だけなら綺麗だが、異様な光景にぞわりと体が総毛立つ。
───これ、何かまずい…!
僕はとっさに岩肌に触手を伸ばして、何とか地の底に落ちるのを遅らせようとした。
同時に『ドラゴンのウロコ』にも魔力を送り込む。狙い通りに力を引き出せたようで、僕らをアシストする風の魔力が強くなった。
だが遅かった。
最初はあんなに遠かった暗闇が、今は目の前に迫っている。
そして僕らが近づくのを待っていたかのように、すぐに変化が訪れた。
地の底の星が、ギラギラと輝き出す。まるで獲物を見つけた肉食獣の目のように。
地の底の夜空が、ぐにゃぐにゃと蠢き出す。まるで眠っていた動物が長い眠りから覚めたように。
───嘘だろ、こんなの。勇者時代でも見たことない。
恐ろしい事に、それは一個の生物だった。
ギラギラと光る『核』をいくつも内包した、とんでもない大きさのスライムだった。
- 148二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 18:39:36
うわぁ暗闇の正体すごいゾワゾワした…
スライムこわい - 149二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 03:48:44
核ギラギラでしかも複数って相当やばいスライムじゃないですかやだぁ…
- 150124/12/05(木) 07:32:27
ちょっとのつもりで寝たら朝までぐっすりしていた安定のスレ主ですおはようございます
相変わらず皆様の書き込みに助けられています
自然現象だと思っていたものがそもそも巨大なモンスターだった、という展開が好きなので今回使ってみました
気付く前まで普通に見れていたものが気付いた瞬間恐ろしくてたまらなくなると言う、あのゾワッとする思いを少しでも感じていただけたら嬉しいです
真のボススライムが登場しました
主人公がスライムなので、せっかくなので敵としてもスライムさんを配置しようと思いこうなりました
おっさんが言っていたのはこちらの巨大スライムの事だったりします
黒く巨大なスライムが触手を伸ばしてくる。僕は全力で結界を展開し、うねうねと迫ってくる触手を弾いた。
安心する暇もなく、そのまま2本目、3本目と続けて襲ってきた触手も弾く。そうこうしているうちに、とうとう本体へと到達してしまった。
下はすべて巨大スライムで埋まっている。このままでは敵の胃袋に自ら直接入っていくようなものだ。
僕は『核』のない部分の肉に狙いを定めて、今できる最大の攻撃魔法を展開した。
───ホーリークロス!!
巨大スライムの一部が吹き飛ぶ。抉れた穴が修復を始める前に、更にもう一度同じ魔法を放って穴を大きく深く広げる。
巨大スライムの体は危惧していたよりも肉厚じゃなかった。ちょうど今の僕と同じようにアメーバ状となって縦穴の下に張り付いていたらしい。2発の攻撃魔法で完全に体を貫通し、本当の地面が見えてきた。
鬱蒼と茂る草。広く、けれど閉じられた空間。まるで僕がいた秘密の部屋を数十倍に拡大したような場所だ。
周囲の地形を把握しつつ、草むらの中に着地する。アメーバ状になった体が『核』ごと女の子に潰されたけれど、風竜の助けもあってかそれほどのダメージはない。
でもまだまだ安心できない。僕に大穴を開けられた巨大スライムが、体を修復させながらこちらに降りようとしていた。
- 151二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 13:23:24
スライムvsスライム展開めっちゃ熱い
- 152二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 21:06:03
変化の魔法を覚えたスライム4号とスレッタのお話とか…見てみたいですね… |ω・)
- 153二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 06:36:28
おはようの保守☀
- 154124/12/06(金) 15:19:57
書き込みや保守ありがとうございます
すいませんちょっと体調崩して寝込んでました
時々スレを開いて寿命が延びた事を確認して寝ていましたが、あんまり音沙汰ないのもあれだろうと現状報告しにきました
SSの続きですが、まだちょっと書き直したい所があるのでもう少々お待ちください
できれば今日の夜には更新したいなと思うのですが、もしかしたら明日になるかもしれません
中々いい所で焦らすような所業をして申し訳ありません
ではまた - 155二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 17:01:40
どうぞお大事になさってください
スレはしっかり保守しますので!
続き楽しみにしてます - 156二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 22:46:11
( ⊃'-'⊂ )ぽよ
- 157二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 08:10:52
( 廿_廿)(・ᴗ・〃)
- 158二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 18:09:42
スライムさんとスレッタの無事祈願
- 159二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 22:23:16
巨大スライムと4号スライム、スライム同士ぷるぷるで意思疎通できるのか…?
- 160124/12/08(日) 07:44:42
おはようございますスレ主です
たくさんの書き込みありがとうございます。心強かったです
お陰様でゆっくり休めたので、どうにか日常生活を送れるくらいには回復いたしました
ぼちぼち続きを上げて行こうと思います
そういえば4号の変化の魔法やスキルについて、またはスライム同士で意思疎通ができるかについては、ある程度SS内で説明や描写がある予定です
ただ前者については完全な人間形態になるとただの4スレいちゃいちゃSSになるので、他のSSと区別をつけるためにも物語の9割くらいはスライム形態にしておこうと思ってます
野生のスライムは体の大半を吹き飛ばされるか『核』をすべて破壊されるまで死ぬことはない。こんなに巨大で複数の『核』があるスライムなんて、倒すのにどれほどの労力がいるのか……正直考えたくもない。
───僕が人間だったら彼女を抱きかかえて逃げられるのに…!
悲しい事に小さなスライムの体では難しい。今は彼女の意識が回復するまで何とか持ちこたえる必要がある。
まずは防衛。そして反撃。
先ほどの攻撃魔法は緊急避難の意味合いが強かったので、防御が固い『核』には攻撃しなかった。お陰で地面に降りられるだけの穴を開けられたが、おそらくダメージはそれほど与えられていない。せめて『核』のいくつかは破壊してしまいたい。
これからの戦いについて考えている間にも、巨大質量のスライムが滝のように落ちて来ようとしている。こんなものに飲み込まれたら、僕らはすぐに窒息するか溶かされてしまうだろう。
僕は全力で結界を張って、巨大スライムの雪崩に飲み込まれまいとした。『ドラゴンのウロコ』も危機を感じたのか、先程よりも強力な風を巻き起こしてアシストしてくれる。
ごうごう。ものすごい音を立てながら、巨大スライムの体が周囲を取り囲んでいった。
- 161二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 12:50:14
うぅ巨大スライム強い
今までどれだけの冒険者が犠牲になったんだ… - 162二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 21:48:17
この巨大スライムも(あっちの意味で)冒険者をたべてきたのか…?
- 163124/12/09(月) 00:54:21
感想や書き込みありがとうございます
巨大スライムはけっこう頻繁に冒険者をもぐもぐしています
しかしあんまり冒険者間でやばいと噂にならないのは、とある理由があるからだったりします
今回のストーリーにはそれほど関係ない裏設定ですので、覚えていたらSS最終回後に雑談的な感じで開示しようかと思っています
ちなみにもぐもぐの内容についてはもう少し後で答えが出ます。そんなに血生臭い内容にはなりません
結界と風に阻まれたスライムの体は僕と女の子に近づくことができず、その部分だけぽっかりと穴を開けている。上から覗いたらまるでドーナツのように見えるかもしれない。ただドーナツと違うのは、僕らの抵抗がなくなれば穴はたちまち塞がってしまう所だ。
現に周囲のスライムの肉はだんだんと高く囲むように迫ってきている。もし天井まで塞がれてしまったら、気の弱いものなら閉塞感で気がくるってもおかしくない。
このままだとじり貧になる。
それが分かっている僕は、最大出力で結界を維持しながらも、密かに練り上げていた魔法を放った。
───ホーリーランス!!
先程のホーリークロスとは違い、ホーリーランスは一点突破の攻撃魔法だ。範囲攻撃こそできないが、単体の攻撃力はこちらの方が優れている。
名前の通り槍のように真っすぐに伸びた光が、巨大スライムの『核』のひとつを貫いた。音こそ聞こえないが、パキンッ!とヒビが入るのが遠目でも分かる。
まずはひとつ。
巨大スライムが動揺するようにざわりと蠢く。目に見える『核』の数は全部で8つ。その中のどれかが本命だ。
スライムの『核』は本体の機能の大部分を担う『メイン核』と、魔力を貯蔵したり身体機能を拡張強化する為の『サブ核』に分かれている。通常のスライムは『メイン核』すら目で見えないほど小さいのだが、長く生き残って『メイン核』を大きく育てたスライムは、さらに『サブ核』すら育てて自分を強化していく。
とは言っても、あくまで『核』の数は強さの指標のひとつにすぎない。僕は体も小さいスライムだけど、目の前の巨大スライムには負けない自信があった。
- 164二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 11:24:11
✨🔱✨
- 165二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 16:43:26
自分の強さに自信がある4号さんかっけぇ…
実際強い - 166二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 22:25:38
一撃で核破壊してるもんね…
さすが前世勇者 - 167124/12/10(火) 00:51:29
✨🔱✨<ホーリーランス!
攻撃呪文については逆にシンプルで分かりやすい名前にしてみました
4号スライムは勇者時代には後れを取りますがそれでもけっこう強いです
小さいのに中身がぎゅっと詰まってます。つよつよ勇者スライムなのです
今の自分の力でも巨大スライムの『核』を破壊できると分かったことで、僕の心に余裕が生まれていた。
チラリと草が生えた地面と、目の前の巨大なスライムの姿を見る。
恐らく目の前の巨大スライムはこの迷宮のボスモンスターだ。おっさん冒険者がくれた情報が正確なら、ボス部屋には女の子が探し求めていた『エリク草』が生えている。これはある意味チャンスでもある。
このまま『核』を少しずつ破壊していき、もう一度範囲攻撃で周囲の肉を吹き飛ばす。その間になんとか女の子を目覚めさせて、巨大スライムから一緒に逃げてもらう。ついでに僕は地面に生えている草を『異次元収納』で手あたり次第に収めていく。これでミッションコンプリートだ。
万一彼女がこの場から動けなくても何とかなる。時間はとても掛かるだろうが、結界を維持しながら『核』をひとつずつ破壊していけばいずれは巨大スライムだって倒せるはずだ。
───僕ならできる。
勇者としての経験と自信。それが僕の判断を後押ししていた。
- 168二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 07:47:43
そういえば巨スライムも魔法使えるんだっけ…?
このまま倒せたらいいが… - 169124/12/10(火) 15:31:01
朝の書き込みありがとうございます
SSのデータを持ってき忘れたのでスレを長引かせるために返信だけしに来たスレ主ですこんにちは
おっさん冒険者の言ったことが本当なら、ボスモンスターは頭もいいし魔法も使うという事ですが真実はどうなのか…!?
は、けっこうすぐに分かると思います
詳しくは夜の更新をお待ちくださいませ
ではまた - 170二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 21:12:50
★
- 171124/12/11(水) 00:32:24
★ありがとうございます
対ボススライム戦はもうちょっとだけ続きます
『核』を貫かれた巨大スライムがうねうねと戦慄く。警戒しているのか、僕らを取り囲んだ肉はほんの少しだけ後退していた。
このままどこかへ逃げてくれれば良いのだが、どうやらそうもいかないらしい。戦慄きが収まると、残りの7つの『核』が黒い体の中で移動をし始めた。
ギラギラと輝く光が動く様は、まるで四方に飛び散る流星のようだ。正体を知らなければ、綺麗な景色だと呑気に眺めていられたかもしれない。
僕は『核』の動きを注意深く眺めた。よく見るとバラバラに動いたように見せかけて、前に出てきたものと奥に引っ込んだものとに分かれている。
分かりやすく標的を絞ってくれた。
間髪入れず、僕は奥に移動した『核』に向かって攻撃魔法を放った。
───ホーリーランス!
狙いたがわず真っすぐに魔法の光が『核』に向かって突き進む。
メインか、サブか。どちらにしろ『核』を破壊すれば、巨大スライムの力は落ちる。そう確信する。
しかしそれはとんだ思い違いだった。
巨大スライムから魔力が迸ったかと思うと、狙った『核』の前に一瞬で結界が形成された。
目を見張る僕の前で、光の槍が角度をずらされて流れていく。肉の一部は吹き飛んだけれど、狙った『核』はまったくの無傷だ。
───うそだろ。そのナリで聖魔法を使うのか。
驚きながらも、僕は先ほどのおっさん冒険者の言葉を思い出していた。
- 172二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 07:20:41
強い……ッ!
- 173二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 13:51:54
ボススライムも聖属性の草もしゃもしゃしてたクチか
もしエリク草も食べてたら自己回復とかできるんじゃ…? - 174二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 21:46:08
🌠🌠🌠
- 175二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 07:36:13
朝のスラ活(( ∵ ))
- 176124/12/12(木) 14:43:11
体調回復したと思ったらまたもや仕事が忙しすぎてちょっとだけ体調を崩してしまったスレ主です
書き込みや感想ありがとうございます
今日は眠気に抗いつつ仕事をこなしていますが、帰ったら速攻で寝るかもしれません
なので今のうちにちょっとだけでも更新しておきます
ちなみに強いボススライムですが、お察しの通りこちらも聖属性の草を食べていました。ただ4号のように主食のごとく食べまくっていた訳ではないので、4号よりは使える聖魔法の種類も少なく威力も低いです
『エリク草』も食べていたので普通のスライムよりは回復力があります。ただ死にかけでも復活するとか、そういう超回復という訳ではないです
この迷宮にいるボススライムは、そんじょそこらのスライムとは違う。素早く動き、魔法を使い、頭もいい。
確かにきちんと聞いていたのに、僕はせっかく入手した情報を軽く扱ってしまっていた。
動揺しようとする心の動きをぐっと抑える。落ち込むのは後でいい。今は巨大スライムの脅威度を上方修正しつつ、同時に戦い方を変えるかどうかを決める方が重要だ。
勇者時代の僕ならやりようはいくらでもあった。他の大規模魔法で吹き飛ばすのでも自分にバフをかけてひたすら攻撃し続けるのでも、攻撃手段は多岐にわたっていた。けれど今の自分の体はあまりに小さくて、聖魔法以外の攻撃は効かないだろうと予想できた。
逆に言えば、ホーリーランスは通用する。相手がわざわざ結界を出してきたのがその証拠だ。
なら後は巨大スライムが形成した結界を壊すかすり抜けるかして、確実にホーリーランスを当てていくしかない。
まだ魔力には余力がある。僕はほんの少しだけ戦い方を変えることにして、同時に複数の攻撃魔法を準備し始めた。
- 177二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 21:16:24
スライム4号さんもかなり強いのに勇者時代の4号さんは桁違いなんだよなぁ…すごい
- 178124/12/13(金) 07:41:08
夜の書き込みありがとうございます
勇者時代の4号の強さは無法な感じでした。魔王相手には後れを取りましたが、正直強い仲間と共に戦っていたら勝ててたんじゃないかと思えるくらいの強さをしていました
強いからいいけども、何でそんなに一人にこだわっているのか分からない…
周りからはそんな風に思われていた孤高()の勇者様なのでした
より多くの魔力を攻撃に回す為、ついでに相手からの油断を誘うために、ほんの少しだけ結界の力を弱めておく。ワザととはいえ気を失っている女の子の防御面が心配なので、胸の上に陣取って危険が及べばすぐに対処できるようにしておいた。
結界が弱ったことでチャンスだと思ったのか、狙い通りに巨大スライムの動きが変わる。後退していた肉がぴたりと止まり、もう一度こちらに迫ってくる。
大波のように波打ち、飲み込もうとしてくる巨大スライム。僕はスライムの肉が結界に触れる前に、用意していた攻撃魔法を同時に放った。
───ホーリーランス!!
前と、後ろと、上と、下と。
巨大スライムの『核』を狙って、四方八方から光の槍が巨大スライムの肉を貫いていく。
その数はざっと十以上。はっきり言って、こんな数の攻撃魔法を同時発動できるのは専門の魔法使いでも難しいと思う。勇者時代からのちょっとした自慢だ。
結果として魔力の大半は使ってしまったが、お釣りが来るくらいの成果があった。
残り7つの『核』のうち、3つの『核』を破壊することに成功していた。あえて前の方の『サブ核』を中心に狙ったのも良かったのかもしれない。
巨大スライムは僕とは違い、同時に複数の魔法を発動するのは苦手のようだ。大量のホーリーランスを放った時に、後ろの方の『核』だけを守っていたのをしっかりと見た。それも結界が形成されたのは2つだけだ。
2つの内、どちらかが『メイン核』だ。
- 179二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 13:34:25
やだホーリーランス同時撃ちめっちゃカッコイイ…
- 180二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 22:50:13
無茶苦茶格好いいのにスレッタのお胸の上にいる4号スライムさん想像したらダメだった
- 181二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 07:32:51
平和にぽよんぽよんしていた頃がもはや懐かしい…
無事にまたぽよんぽよんしてくれ - 182124/12/14(土) 14:28:27
感想や書き込みありがとうございます!
気が付いたらスレも後半になりましたが、よく見たらスライム尽くしになっている事に気付いて戦々恐々としているスレ主ですこんにちは
何やかんやと描写を増やしてしまったので、もしかしたらまたもやスレを跨ぐかもしれません
こちらを終わらせたらごめんねスレッタ・マーキュリーに戻るつもりなので、もう少々だけお付き合いくださいませ
ところでホーリーランスを同時打ちする描写は突発的に思いついて急遽書き足した部分なのですが、けっこう好評で嬉しい限りです
しかし最近はぽよんっとかぷよよんっという描写を書いていないので、そろそろこちらも書きたくなってきました
実はスレッタの胸の上に陣取る4号スライムのところでぽよんっと入れようかと思ったのですが、戦闘が終わるまで我慢しようと思って書きませんでした
エピローグでは4号スライムさんに思いきりはしゃいでもらおうと思います
余力が残っている段階で標的を絞れたことは大きい。半分に減ったギラギラと輝く光を見ながら、もうひと踏ん張りだと気合を入れる。
これから先は今までのように簡単には破壊できないだろう。けれど少しずつでも『核』を壊していけば、その分だけ巨大スライムの力は落ちていく。
いよいよ撤退も視野に入ってきた。
再び魔力を練り上げながらも、体の下にいる女の子に意識を向ける。くったりと力を失っている彼女は、何も知らずに今も目を覚まさないでいる。
───彼女の負担を減らすためにも、もう少しボスの力を弱らせなきゃね。
少し嵩は減ったとは言え、相変わらず肉の壁は周りを取り囲んでいる。ついでに触手を繰り出してはこちらに手を出そうとしている。女の子を起こすにはまだまだショッキングな光景だ。
僕は今の段階で彼女を起こすつもりはなかった。
なので。
「ううん…」
───え?
女の子が身じろぎした時、僕は純粋に驚いていた。
- 183二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 21:01:33
スレッタ起きちゃッタ…!?
目が覚めていきなり巨大スライムはショッキングがすぎる - 184二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 02:47:18
- 185二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 10:47:39
しっかりぽよんとした場所に陣取ってらっしゃる
- 186124/12/15(日) 15:15:26
感想や書き込み、そしてファンアートありがとうございます!
スレッタ起きちゃいました
実は最初の案ではずっと寝っぱなしだったんですが、もうちょっと活躍?させたいなと思ったので目覚めさせることにしました
それによって文字数はもっと増えてしまいました。のちの描写も変更になったところがあるので、修正しまくってます
そして頂いたファンアートは最高です。しっかりぽよんとしたところを確保していて、4号スライムさすがの貫禄です
↓ここから先は頂いたファンアートについて書いています。ほんのりテンション高めなのでご注意ください↓
うおおおおぉ…!あのスレ主でさえ忘れかけていた長いタイトルがきちんと書かれている…!
と変なところにまず目が行ってしまったスレ主でしたが
格好いいクールな勇者4号と可愛らしい新米冒険者スレッタの姿。更によく見たら「ここは僕の居場所ですけど、なにか?」という感じでしれっとスレッタの豊かな胸に鎮座しているムッツリ4号スライムの姿を発見して嬉しくなってしまいました
タッセルピアスを付けているのおしゃれさんです。今のところまるっ!としている4号スライムですが、そのうちツンと角を作ってアクセサリーを引っかけるのもいいかもしれません
正式にスレッタのお世話になる時にスレッタに用意してもらおうと思います
ところでいつもファンアートを頂いた際にスレの画像にさせて頂いているんですが、こちらの画像はスレ画像ではなく転生スライムの表紙?に使わせて頂こうかと思います
現在テレグラフへの画像添付はできなくなっているので、こちらだけブランカリーさんの方を使ってみるつもりです
すでに保管庫には転生スライムの前編が収録されていますが、後で差し替えておこうと思います
前編の収録文字数をもっと多く変えようと思っていたのでちょうど良いところでした
これで転生スライム長すぎ問題を解決できるかと思います。正確な文字数をまだ調べていないのですが、前編をもっと長くすればたぶん前、中、後くらいに納まるはずです
なんにせよ、ありがとうございます
格好いいクライマックスになるように、頑張って描写を増やして行こうと思います - 187二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:22:00
スレッタの活躍…!わくわく
- 188124/12/16(月) 02:40:54
非常に遅くなりました
ファンアートに喜び勇んでさっそく宝物庫を更新しようとしたんですが、なんとブランカリーさんの画像添付が出来なくなっておりました
原因究明のために夜更かしして色々と調べたりしていたのですが、恐ろしい事にスレ主だけの不具合ではないようです
相変わらずテレグラフさんの画像添付は出来ないですし、少々困ってしまいました
他に画像添付できる単発ブログ系のツールはないだろうかと探したりもしたのですが、良いものは見つからず
もしかしたら時間が経てば直るかもしれないので、今日のところは素直に諦めようと思います
最後に、本当に活躍できるのか…?なスレッタを添えておきます
「なんか、かぜ、つよい…?」
起きたばかりの彼女はまだぼんやりとしていて、『ドラゴンのウロコ』の効果で風が強く吹いているのを不思議がっている様子だった。
何度か首を振って、目をこすって。そうしている内に自分が草の上に座っている事に気付いたようだ。
「あ、草…!」
幸か不幸か。生えている草に目が行っている彼女はまだ巨大スライムに気付いていない。きょろきょろと地面を見回している。
僕はこちらに手を出そうとする触手を結界で弾きながら、四つん這いになって『エリク草』を探そうとしていた彼女を止めに入った。具体的には目の前でポンと跳ねて、注意を逸らそうとした。
───結界の範囲から外れたらダメだよ。そのままでいて!
「スライムさん?こんなに草が……きゃあっ!」
女の子が悲鳴をあげる。僕はようやく巨大スライムに気付いてくれたと思い、硬直したように動けなくなった彼女を背に庇った。
───大丈夫。僕があんなデカブツやっつけてやる。
心なしか先程よりも巨大スライムの挙動が活発化しているように見える。動いている女の子を見て旨そうな餌だと思っているのかもしれない。
そうはさせない。僕は柔らかくて温かい安寧の場所を守るために───その場所を提供してくれる大切な女の子を守るために───改めて巨大スライムと対峙した。
- 189二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 11:48:02
4号さん格好いいけどだいぶ安寧の場所に魅了されてて笑う
- 190二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:24:45
大切な女の子を守るために…!これは熱い
- 191124/12/17(火) 06:26:22
おはようございます
画像添付問題をどうにかしようととうとう徹夜してしまったスレ主です
相変わらずテレグラフさんとブランカリーさんに画像を乗せられないので、違うツールはないかと探しに探しまくりました
そしてとうとう見つけました
その名も『テキストシェア』さん
まだベータ版で正式なものではないのですが、編集した画像&文章のページをWebページにしてくれるものです
1ページ1ページ別のURLを配布してくれるので、使い方としてはテレグラフさんやブランカリーさんと似たものになります
ただ最初に下書き(編集用ページ)のURLが発行され、そのURLを使うと誰でも編集できるという点が違うかもしれません
下書きページを完成させたらその情報を保存し、公開ボタンを押すと新たなURLが発行されます
新たなURLは見る専用のページです。なので下書きページのURLさえ公開しなければ第三者に編集されることはありません
ベータ版という事で不具合があったりするかもしれませんが、ひとまずはこれで画像問題は解決できそうです
という訳で新たな宝物庫を作ってみました
きちんと閲覧できるかどうか、ちょっとドキドキします
問題ないようなら、スライム転生やマイクラ転生といった画像を入れたいSSも保管庫に入れていこうと思います
↓宝物庫テキストシェア版↓
テキストシェアノートがシェアされましたnotes.yourl.jp画像を添付すると下に「画像の説明」という新たな項目が出現したので、せっかくなので頂いた日付や作成した日付を明記してみました
- 192124/12/17(火) 15:01:50
ほぼ徹夜をしたので死んだように仕事をしていたスレ主です
たぶん帰ったら倒れるように寝てしまうので、今のうちにちょっとでも更新しておきます
「ひゃ、ひゃあぁ…っ!」
女の子がふたたび悲鳴をあげる。ムリもない。活発化した巨大スライムは、さき程よりも激しく攻撃してきている。
僕はひとつも漏れのないように巨大スライムの攻撃を結界で弾きながら、反撃の隙を狙っていた。
魔力に限りがある以上、もうホーリーランスの連打はできない。その代わり、火力を上げて着実に当てる事にする。
魔法と言うのは不思議なもので、呪文を覚えたら誰でもある程度の効果は期待できる。唱えた術者が初心者だろうと熟練者だろうと変わらない。ある意味最低限の保証はされていると言える。
けれどやりようによっては威力や効果を上方修正する事はできる。練り上げた魔力を余分に込めれば、その分威力は上がっていく。
その代わり繊細な魔力のコントロールが必要になるのだが、僕ならそんじょそこらの魔法使いのように暴発するようなヘマはしない。現に今までの魔法だって威力を上方修正していた。
───今度はもっとギリギリを攻める。大丈夫、僕ならできる。
背中にいる女の子のためにもと、僕は自分を鼓舞して魔力を高めていた。
その女の子はと言うと。
「いやぁっ!これ、スライムなのッ?や…やだぁっ!」
今も悲鳴を上げ続けていた。迷宮での勇敢な彼女とは違う様子に、ほんの少し違和感を覚える。
目の前の恐怖と言うよりも、もっと切羽詰まったものを感じるような……。
僕はどうしても気になってしまい後ろをチラリと振り向いて、目に飛び込んできた光景に驚愕した。
- 193二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 20:20:51
うわーーっスレッタが淫獄迷宮されちゃうー!?
- 194二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 23:00:20
- 195二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 08:11:37
ぷるぷる((・・))
- 196124/12/18(水) 14:26:56
感想や書き込みありがとうございます。今回は雑談&お知らせです
テキストシェアさんのページが問題なく見れたようで胸を撫で下ろしました。しばらくはこちらを使わせて頂こうと思っています
そして安寧の場所に執着している4号はどうするのか?スレッタは淫獄迷宮されてしまうのか?
についてはもう少ししたら分かると思います
ただスレ主の作品なのでそんなに酷い事にはならないと先に書いておきます。ご安心ください
という訳でさっそく転生スライムの続きを載せようと思ったんですが、よく見たらすでにスレが後半も後半に突入していることに気付きました
残りのレス数も心配なので、どうせなら今夜新しいスレを立ち上げてから続きを載せようと思います
まさかちょっとした寄り道のつもりで書いた転生スライムがこんなに続くとは思わず、思わず遠い目をしてしまったスレ主です。スレタイ詐欺もいい所なのですが、そろそろ終わりが近づいて来ましたのでもう少々だけお付き合いくださいませ
スライムが終われば随分長い間ご無沙汰していたSSごめんねスレッタ・マーキュリーに戻ってきます
そういえば今更ですが、SSごめんねスレッタ・マーキュリーの掲載方式を変えようかと思っています
1話ずつ掲載ではなく、今の転生スライムのように少しずつ話を小出しにして掲載していくやり方です
今までは1話がきちんと書き終わった時に一気にお話を公開していましたが、そのやり方だと作品が掲載されない期間の大半がスレ主の雑談で埋め尽くされる事態になっていました
たまにならいいでしょうが毎日雑談だともはや何のスレなのか分からなくなってしまいます(スライムを連載していて発言することではないかもしれませんが)
なので今後もスライム方式で毎日少しずつ掲載していく方がいいかもしれないと思いました
本編SSは色々とフラグ管理をしなければいけないので、恐らく保管庫に収録する時にだいぶ話に修正が入ったりするでしょう。けれど修正しまくりは今までも一緒なので、別にいいかなと気楽に考えることにしたのです
こちらはスライム転生が終わったら改めて告知しようかと思います
もしかしたら本編連載中に突発的にこぼれ話や端切れ話を書くこともあるかもしれませんが、その際は物語がごっちゃにならないよう気を付けたいと思います
ではまた夜に - 197二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 22:40:04
次スレ待機 ₍₍ (ง ˘ω˘ )ว ⁾⁾
- 198124/12/18(水) 23:33:45
次スレ待機ありがとうございます
少し遅くなりましたが新しいスレを建てました
次回のスレもよろしくお願いします
[閲注・CP注]SS ごめんねスレッタ・マーキュリー(4号×スレッタ)その17|あにまん掲示板こちらはあにまん掲示板で立っていた元スレ「ごめんねスレッタ・マーキュリー」を参考にしたSSや独自設定などを掲載するスレのその17です最近はそれ以外の設定の4スレSSもよく掲載されています。今は一時的に…bbs.animanch.com - 199二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 07:07:38
たておつです
うめうめ - 200二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 08:14:04
200ならスーパーぽよんぽよんタイム