おかえり、カフェ(SS)

  • 1毎日カフェ概念を書いてた人21/09/11(土) 23:10:48

    「大丈夫ですか?トレーナーさん」
    「あぁ…うん。大丈夫だよ、少し体調が悪いだけだ」
    「…そうは言ってもですよ…?」
    カフェの心配そうな瞳が射抜くように自分を見つめる。心配させまいと笑いかけると、怒ったように頬を膨らませた。
    「…とにかく、今日は休んでいてください。
    保健室にでも運びますから」
    「…うん。分かった。でも俺はここでいいよ。
    まだやるべき仕事があるしね」
    「…はぁ。分かりました。
    そういうのは折れないですもんね、トレーナーさん」
    困った人だ、と言うように眉が八の字になるカフェ。そういうのも綺麗に見えてしまうのだから、全く自分の愛バはとてつもない美貌をしているのだなとまた気付かされる。
    さらさらと本日のトレーニングメニューを書くと、それを受け取って頷くカフェ。
    本当はきちんと見てやるのがトレーナーの仕事なのだが…自分の健康管理能力の無さを恥じた。
    「じゃあ、はい。トレーナーさん」
    「ん…ああ、そうだね」
    両手を広げたカフェの腰に手を回すと、ぐいと力強く抱きとめられる。
    「ん…行ってきます、トレーナーさん」
    「ああ、行ってらっしゃい」
    抱き締めた胸元からぴょこりと揺れる白い癖毛が顔に触れて、ほんの少しむず痒く感じた。

  • 2毎日カフェ概念を書いてた人21/09/11(土) 23:11:04

    学業も終わり、ターフへ足を運ぶ。
    トレーナーさんが居ない。
    当たり前のことだ。今日は休んでいるのだから。
    それなのに、なぜだか勝負服のコートを無性に羽織りたくなった。
    「…ふう」
    ひとしきり走り、少しの休憩を入れる。
    少しだけ離れて、坂に座り込んだ。
    トレーナーさんの渡してくれたメニューはまだまだ終わらない。
    なんだか心がここに無いようがして、いやにふわふわとした気持ちになった。
    掛け声も、褒め言葉も、優しさも。叱責も。
    全部ぜんぶ、あの部屋に置いてきてしまったような気がして。
    なんだか胸に空いた穴から、ぽろぽろと欠片がこぼれていってしまうような感覚があった。
    「…何を考えているんでしょう、私は。
    トレーナーさんは、今体調不良で…私は、…」
    …いつから、私はこんなに我儘になったんでしょう。
    トレーナーさん。
    さみしい

  • 3毎日カフェ概念を書いてた人21/09/11(土) 23:11:39

    いつの間にか日は傾き、トレーナー室にも光が窓から強く差し込むようになった頃。
    ちりりと首筋に何かの視線を感じて振り返ると、そこには黒コートを着たいつもの愛バの姿…
    とは、違っていた。
    その金色の瞳はいつもの綺麗さではなく、何か別の色をブレンドしたような…そう、濁ったような瞳をしていた。
    「…おかえり、」
    迂闊だと自分でも思った。
    瞬間、自分の体が宙に浮いた気がして次の瞬間ソファのスプリングの音が耳朶を打つ。
    「…!」
    思わず瞑った目を開けると、目の前にはあの瞳。
    睫毛同士がぶつかるんじゃないかと思うほど近くに、彼女の顔があった。
    爪が食い込むんじゃないかという程に締め付けられた両肩が、ぎりりと音をたて悲鳴を上げている。

    その瞳は、燃えていた。
    色々な感情をないまぜにしたような瞳の奥で、陽炎のように一つの心が揺れている。
    黄昏のオレンジ色の世界の中で、その瞳だけがちりちりと自己主張しているようだった。
    それは───
    「ごめん、大丈夫だよ。
    大丈夫だから。離れたりしない」
    そう言って、抱き止めて彼女の背を擦った。
    ゆっくりと確かめるように、言葉をかける。
    少しずつ肩にかかる力は緩んでいき、やがて糸が切れたように彼女の全体重がしなだれかかって…
    そこでぷつりと、自分の意識が途切れた。

  • 4毎日カフェ概念を書いてた人21/09/11(土) 23:11:54

    「ん…」
    目を開けると、そこには金色の瞳。
    しかしそれは先程までとは違い、良識的な距離を保っていた。
    「おはよう御座います、トレーナーさん」
    「ああ…ありがとう、カフェ」
    だいぶ眠っていたのだろう、目線を落とすと薄い毛布が掛けられてあって…カフェの優しさを感じた。
    外はもう真っ暗で、先程とはまるで違う。
    アレは夢だったのだろうか………
    そう思うのを、ズキリと痛む肩が否定した。
    「…肩が痛むのですか?」
    「ん…少し、頑張りすぎたのかもね」
    はぁ…と溜め息をつくカフェ。
    全く、優しい人だと常々思う。
    「コーヒーを淹れてきます。
    なんとしても疲れを取ってあげますから」
    「うん、ありがとう」
    ───そういえば、まだカフェには言ってなかった気がする。
    「カフェ」
    「はい?」
    揺れる尻尾が、彼女の動きにふわりと追従した。 「おかえり、カフェ」
    「………はい、ただいまです。トレーナーさん」
    嬉しそうに揺れた瞳の奥に、
    またあの炎がちろりと見えた気がした。

  • 5毎日カフェ概念を書いてた人21/09/11(土) 23:12:03

    といったマンハッタンカフェ概念。

    一日中寝込んでいたらあの子に乗っ取られるカフェ概念と看病してくれるカフェ概念が頭の中で超新星爆発を引き起こしました。

    昨日は更新できずにごめんなさい。

    乗っ取られるカフェ概念はこちらからです。

    カフェは時々「あの子」に人格乗っ取られて欲しい|あにまん掲示板それでその間の記憶が飛ぶから知らない間に大好きだったトレーナーさんとの関係が進展しててビックリして欲しいし体が敏感になってて欲しいbbs.animanch.com
  • 6二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:13:16

    とても良い...

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:14:04

    なんだい今日は…やけに気合の入った文だが…

  • 8二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:15:25

    〇〇ですね、トレーナーさん
    シリーズじゃないだと!?

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:16:48

    また文豪が表れた
    ありがとう……!!

  • 10二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:17:29

    今日のカフェ

  • 11スレ主21/09/11(土) 23:19:02

    今までのカフェ纏めって要りますかね?
    良ければ作りますが…

  • 12二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:20:55

    >>11

    いる(鋼の意思)

  • 13二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:21:20

    >>11

    あー…

    お願いしますお手数かけますが

  • 14二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:37:12

    か、書いてる…
    す、すげぇ…

  • 15二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:42:52

    やけに気合入ってるな…

  • 16二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 23:47:08

    伸びろ伸びろ

  • 17二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 00:05:24

    SSカフェも…いいね

  • 18二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 00:11:32

    ああ…ウマカフェインが體の裡に満ちていくのを感じる…

  • 19二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 00:15:35

    これで今夜も寝れる…
    いやむしろ目が冴えるな…

  • 20二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 00:15:57

    >>18

    ウマカフェインw

  • 21二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 00:23:33

    独占力◎

オススメ

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