- 1二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:45:33
前スレが楽しすぎてテンション上がって完走記念スレ立てました
このスレのスレ主と前スレのスレ主は違います
完全にスレ完走してから立てたので誰にも気づかれずに落ちる可能性あります
保守おねがいします
前スレ→ikze「あかん、トレーナー室に酒忘れた…」|あにまん掲示板😓「家で飲もうとして置きっぱにしてもうた…ぱっと見ジュースに見えるしあいつらが万が一飲んだらヤバい…流石にないと思うけどな🚪ガラガラ」😷🧹👗📣💤 🇾🇪⚔️「……………………」😨「……………」😷🧹👗…bbs.animanch.com - 2二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:47:56
完走するとは思わんかった
と言うかSSスレと化すとは思わんかった - 3二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:49:56
😷の新しい概念が見られて大変有意義なスレだった
- 4二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:51:17
- 5二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:52:31
- 6二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:53:30
あ、ごめんなさい
- 7二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:55:00
あの楽しいスレが終わるのが耐えられず、良質な概念を吸い続けたいがためだけに立てたスレです
ikze会の概念をよろしくお願いします! - 8前の122/05/01(日) 22:57:33
- 9二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 22:57:42
ikze被害者の会もといikzeが被害者の会
聖剣パイセンの話あと50話ぐらいほしい - 10二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:02:50
- 11二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:06:03
あのスレでネタになってた馬たちの大半がウマ娘未実装なはずなのにすげーな
- 12二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:06:27
前スレで出てた📣ちゃんにもやつく♫ちゃんが私性合だった
そういうのもっとちょうだいもっとちょうだい - 13二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:18:50
- 14二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:21:31
- 15二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:31:59
- 16前の122/05/01(日) 23:38:43
- 17二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:39:27
- 18二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:41:43
- 19二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:24:01
──今になってみれば、恥ずかしくて穴にも埋まりたい気持ちだが、あの頃の私は酷く荒れていた。
デビュー戦は快勝。一度は敗れたものの、条件戦も順調に勝ち上がっていた。
このまま自分も、いつか憧れたあのウマ娘達のように、煌びやかな世界に行けるんだと心から信じていた。
大舞台でも1着を取り、センターに立つんだと、そして精一杯の笑顔で、感謝を伝えるのだと。
……そんな矢先にぶつかった現実。G1と言う名の壁の分厚さ。
7番人気、10着。それが大舞台での私の評価で、実際の実力だった。
その後に挑んだG2でも惨敗。抱いた理想に対して、現実はどこまでも無慈悲で、残酷だった。
誰かが言った。あれば剣でも鈍゙だと。
中央のエリートと言えど所詮はオープンウマ娘がいい所、重賞を勝ち上がる才能なんてありはしない。
現実と言う壁、周囲の人間の評価と声、華やかな道を行くウマ娘達と自分の対比。
そう言ったものにぶつかった私がとった行動は……子供じみた八つ当たりだった。
周囲の子を威嚇して、ものにもあたって、トレーニングはかけらも身が入らなくて。
そんなことをしてるから、模擬レースでも全く勝てなくて。
呆れた担当トレーナーにはチームを解雇された。生徒会長からは厳重注意を受けた。
そうして独りぼっちになって、もう何もかもがどうでもよくなって。
いっそのこと暴れるだけ暴れて退学になってやろうかなんて考えまで頭に浮かんで。
──そんなやけになりかけてたある日のことだった。 - 20二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:24:31
「なぁ、君デュランダルやろ」
「あぁっ?だったらなんだよ。てかあんた誰だ」
「こわっ!?いやそんな凄まんでも」
世界の眩しさから逃げるように校舎裏で一人、座り込んでいた私の前に現れた。
その男は、第一印象からして変なやつだった。私の態度に大げさに驚いて見せて、崩れた情けない笑顔を浮かべて。
なんで私の名前を知ってるのか、なんて問う前に重賞での私のレースを見てた、なんて此方の傷口をこじ開けて。
……正直この点に関しては殴っても許されたのではと、思わないでもない。
「なんでこんなとこおるんや、今練習中やで君んとこ」
「……うっせぇよ、関係ねえだろあんたには」
「うーんまぁ関係あらへんけど、気になるやん」
放っとけと言っても放ってくれなくて。睨んでも凄んでもビビったように見せながら離れてはくれない。
へらへらと笑うその顔が腹立たしくて、デリカシーの欠片もないその物言いが腹立たしくて。
自分がその場を立ち去れば済んだのに、ムキになった私は、気づけば叫んでいた。
「っせぇってんだよ!チームを首になったどこぞのウマの骨の事なんか誰も気にしちゃいねえって言ってんだ!」
「みんなこんな私の事なんかどうでもいいんだ!勝てないウマ娘に用なんてないんだ!あんただってそうだろ!?」
「なんなんだよあんた!なんにも知らない癖に!私の事なんかほんとは雑魚としか思ってない癖に!」
ありったけの負の感情を乗せた叫び。それは世界への反発でもあり、弱い自分への怒りでもあった。
わかっているのだ、誰も悪くない。誰もが自分の勝利の為に必死なだけ。
勝ちたい思いはみんな同じ……ただ、私が弱かっただけ。 - 21二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:25:44
「思ってない」
……静かな返答だった。あれだけの叫びの後に返すにはあまりに冷めていて、でもやけに鋭く響いた。
「なっ……」
「確かに知らんよ君の事。でも知りたいと思ってる」
私の気を逆撫でしていた筈のへらへら顔はどこに行ったのか、その男はどこまでも真っすぐで真剣な顔で私を見ていて。
ついさっきまでの怒りが全部吹き飛んで、唯々私は戸惑っていた。
「なぁ、今トレーナーおらんのやったらさ。よかったら俺と組まへん?」
「はぁ!?あんた何言ってんのかわかってんのか!?」
「俺は本気やで、君なら必ずG1に届く」
その言葉に、私の怒りがぶり返す。
「っ……私の成績知ってる癖に、簡単に言うな!」
G1と言う名の壁がどれだけ高いか、身をもって知った。
自分の力が足りずに負けた、勝った人たちはみな確かに強かったのだ。
だからこそ、そんな簡単に言われたくないと思った……けれど。 - 22二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:26:15
「簡単にじゃない。けど、君なら絶対に届く」
それでもその男は、私から一度も目をそらさず、同じ言葉をもう一度言った。
「っ……」
「諦めてほしないねん、どうか信じてくれ」
そこで初めて、男は真剣な表情を崩して、今度は苦しそうな顔で私に頭を下げた。
「……いいのかよ、こんな鈍拾って……」
「ナマクラ?ああ、デュランダルやから?上手いこと言うな君」
「うるせぇ!バ鹿にしてんのか!?」
「えぇ!?自分で言うたんやん!……けどまぁ今鈍ってことはさ」
「……?
「つまり、研いで磨けば斬れぬものなし、ってことやろ?」
上手いこと言ったつもりで得意顔になってるのが腹立たしくて睨んでも、相変わらずどこ吹く風で。
こんな男と組んだところで、あの高い壁に届く気はこれっぽっちもしなくて。
それでも本当は……どうしようもないくらい、走りたかったから。 - 23二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:27:47
「ちっ……わかったよ」
「どうせ行く当てなんてないんだ……だったら、あんたで我慢する」
「酷い言われようやなぁ、でもよかった。よろしく頼むで、デュランダル」
「ああ。……よろしく、トレーナー」
ちっとも傷ついた顔をしていないその男の事を真っすぐ見上げて、私は手を取った。
トレーナーと呼ばれたのが嬉しかったのか、少しはにかんだ笑みが……酷く印象的だった。
これが、私と彼の出逢い。
ただの棒切れだった私が、全てを切り裂く聖剣となるまでの、始まりのお話。 - 24二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:28:15
- 25二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:32:30
- 26二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:45:19
自分の中の聖剣は
・ikzeと合うまでやさぐれてた(元は優等生、丁寧語が素)
・基本暴力は振るわず常識派
・だがikzeが本気で拒絶するかやり過ぎでない限りは止めない
・ikzeに好きとは言わないがikzeが好きと言うオーラは駄々洩れ、隠す気はない
・ナチュラルに後方正妻面する、尚本人にそのつもりはない
・僕だけの背中→私だけの背中
で湿度マシマシで構成されています、ではおやすみ - 27二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:48:18
こっからあの敬語使うデュランダルになるのか…ギャップで悶えるわもっとそういうのちょうだい!!
- 28二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:48:57
完走記念スレやがここを続きのスレにしよう
- 29二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:50:14
- 30二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 01:04:46
- 31二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 01:40:54
💤はマジで難産だったのでかんたんドリジャの口調を参考にして上で書いてた⚔️の進行を参考に初めてSS書きました
感想はとても難しかったです - 32二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 02:06:01
続き書いて💕
- 33二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 02:32:14
「アタシよ、妹いるんだわ」
有馬記念を控えた12月20日、おもむろに彼女は話し出した。練習時以外で彼女から話してくるのは珍しかったので思わず相槌をうって話を繋げる。
「そうなんや、ジャーニーの妹さんなあ…どんな子なんや?」
「アタシとはあまり似てねえな。アイツは気が弱いんでな」
「そらジャーニーがお姉ちゃんなら強くは出れんやろ〜…はい失言でしたすんません」
彼女の眼光が鋭くなったのを感じすぐ謝罪を入れる。こんなでも来た時と比べたらかなり打ち解けた方である。スキンシップも増えたし。
彼女が咳払いをして、話を続ける。
「で、何で今このタイミングでんな身の上話するかってーと…まあ、アイツいじめられっ子なんだよ」
急に空気が張り詰めるのを肌が感じる。突然の爆弾投下に返す言葉が出てこなくて少し唸る自分を気にする事なく彼女は淡々と話していく。
「アイツはさっきも言ったように気が弱い。それに、全体的に見るとアタシ程じゃないけどチビにあたるから舐められやすくてな。何なら自分よりもでけえ年下にもやいのやいの言われやがって…。まあ、いじめの標的にはもってこいの逸材だと思わねえか?」
「でも、身長云々は─────」
「ああ、アタシがこの前証明したばっかだ。宝塚獲った時、信じられねえツラする木偶の坊共の視線がたまんなかったわ。それを意気揚々と説明してやってもアイツはウチなんかじゃ無理だよ…て聞かねえんだ」
彼女の言う宝塚とは、この年の宝塚記念で成長しつつも身長がネックとなり2番人気となったがその評価を覆し1着を獲ったレース。彼女はアレで自信が確信に変わった、まさに羽ばたいたレースと言える。指導していた自分としてもしてやったりと言える会心の手応えのあるのレースだった。 - 34二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 02:32:41
「だからな…アタシはアイツにもう一度証明したい。チビでもヒーローになれる世界が、気が弱くても英雄になれる舞台があるって事を。そしてアイツにわかってほしいんだ。自信を持つことができれば変わることが出来るって事を。曲がりなりにもアタシはアイツの姉なんだ。言って聞かすのがダメならこれでもかってほど見せつけて焼き付けてやるのが姉の役目だろ?」
妹思いの姉の決意を聞いて涙を流さずにはいられなかった。そして、この子のことを見くびっていたわけじゃないが多少誤解していた自分を少し恥じつつ、決意を込めた眼差しと共に濁声で言い切った。
「やったろうやジャーニー。妹さんに、輝ける世界が目の前に広がってることを俺たちで見せよう」
「…ハッ、聞いてくれてあんがとよ。トレーナー」
そしてジャーニーは公言通り、妹さんの前で有馬記念制覇を成し遂げ、春秋グランプリウマ娘という栄誉を手にした。彼女は珍しく自分に抱きつき、最高じゃねえか、オイ!とはしゃぐので顔を寄せてお前がナンバーワンや、ジャーニー!と彼女の健闘を讃えた。この時ばかりは、流石に噛まれなかった。
時は流れ…黄金の毛を靡かせた入会希望書を持った少女が現れるがそれはまた別の話…。
- 35二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 02:32:56
続きではないけど書いたよ!おやすみ!
- 36二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 02:37:06
- 37二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 04:25:33
- 38二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 07:26:32
- 39二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 08:03:12
アタシのパパは、一応中央のトレセン学園でトレーナーをしている。でも、その評価は両極端。
例えば、良い評価をしてるのはレースの関係者。聞けば、あんなに担当の子のために尽くすことの出来るトレーナーはいないとか、三冠ウマ娘やグランプリに強いウマ娘を育成する手腕を高く評価する声が多い。逆に悪い評価をするのは外の関係者じゃない人たち。やれ夜の街で女の人を取っ替え引っ替えしてるだとか、やれ担当との距離が近すぎてセクハラじゃないかとか、やれ私生活が壊滅的だとか…。その噂が立つたびにチームの子達に絞められているから特に気にしてないけど。ダメダメなダメパパなのは百も承知だし。
最初、パパは⚔️との専属契約だった。当時はまだ幼かったアタシはこの頃からイタズラやワガママ盛りで何かと休みの日にパパを困らせていた。でも、パパはスイープには敵わんなあ…と困った顔で許してくれるからアタシはとことん困らせては満足していた。これに関しては今もだけど…。
数年後、アタシはレースでの才能が認められ飛び級でトレセン学園に入学し、パパの鬱陶しさこの上ない勧誘の末、融通が一番効きそうだからという理由でチームに入った。でも、チームに入ったからって素直に従うアタシじゃない。パパの指示には無視してやったり気が向かなくて雪の中じっとしてパパを震え上がらせたりとやりたい放題してやったけど宝塚記念は左耳の子は勝てないと言われたのにカチンと来て全力を尽くして11番人気のアタシが一位を掻っ攫ってパパと一緒に高笑いしてやった。いい気味だわホントに。
ただ、私が宝塚を制した辺りからパパのチームには入会希望者が増えた。正直、勝ったからってパパに縋りにいく娘たちが気に入らなかった。プライドとかないの?って。面倒見きれるか自信がなかったパパは⚔️の進言もあり自分からスカウトした娘か他のトレーナーから依頼を受けた娘以外は基本受け付けないとした結果、現在アタシ含めて7人が所属している。パパがスカウトしただけあってインパクトが強い子ばかりでアタシが霞んでしまうほどに。 - 40二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 08:03:30
集まった娘たちはパパの指導やアドバイスでどんどん成長していき、そしてGⅠウマ娘へと駆け上がっていった。自分をこんな一人前に育ててくれたという感激とパパの一人一人親身になって接する指導法は、例外なくトレーナーと教え子の立場を超えた感情をパパに抱くことになった。娘のアタシからしたら考えられない!こんなダメダメなパパに何でそんな感情抱くの!?恋は盲目なんてレベルじゃないわよ!
チーム人数が増えたことでパパのお仕事はとにかく激務となった。家に帰らず宿直してお仕事を片付ける事も増えて、学校が終わり、家に帰ってもパパが帰ってこない日が続いた。たまの休みで帰ってきても寝てばっかだし起きたと思ったら担当の子のご褒美と称してお出かけしたりと、昔のようにアタシに構う時間も激減した。一番近くにいたはずの存在がいつの間にかとても遠くに行ってしまった気分。トレーナー室にいけばパパと誰かが必ずいて、パパと話してるチームの子の瞳には熱を帯びた感情を滾らせているのがよくわかって嫌になる。
何でこんなパパを好きになるの?ダメダメのダメなパパなのに。アンタたち皆顔が良いんだからこんな冴えない男よりももっといい人捕まえられるでしょ?大人なのに野菜嫌いな偏食持ちでお船に精を出しては放心した顔で立ち尽くす浪費家だしアタシが雪の中練習しなくて突っ立ってるのを動くまで練習場で同じように突っ立って待つ頑固なパパなのにどうしてアタシから奪おうとするのよ。お願いだからアタシのパパを取らないでよ。 - 41二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 08:08:39
スイープは難しいのでチームを作って突然日常が壊れた概念を強引に出力しました
強引すぎて色々しっちゃかめっちゃかになっちゃった許し亭 - 42二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 10:06:29
- 43二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 12:41:15
すごい数の神SSが集まってきているっ
- 44二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 12:47:45
- 45二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 13:03:26
ikスイ良いよね...
- 46二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 13:27:14
良い……
- 47二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 13:48:59
書いてて思ったけど多分ワテ台本形式の方が何となくだけど楽に書けるなあと思いました
でも思いついたネタを冷めないうちに文にするのも楽しかった
心が二つある〜 - 48二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 14:37:57
- 49二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 15:03:30
- 50二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 17:16:11
このレスは削除されています
- 51二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:19:31
前スレ🏹の人です。
このコメントにめちゃくちゃ滾ったのでSSにしました。暗い!曇らせ!救いはないんですかぁ〜!となっております。関西弁ネイティヴじゃないのとikzeさんの喋りを掴みきれていないことを踏まえた上で薄目でご覧ください。
あの後目が覚めた彼は、遠路はるばる北海道からやってきた私に悪いと言って、わざわざ私のために時間を作ってくれた。
「お久しぶりです」
「ひさしぶりやな。元気しとったか?」
「はい。実家はここより涼しいので。これ、お土産です」
「お、白い恋人やん。悪いなあ」
「お気になさらないでください」
定型文のような言葉しか出てこない。私も、謙一くんも。私は彼のファーストキスを奪ったのに、彼は私にファーストキスを奪われたのに。気付かれたら困る癖に、気付いてほしいと思っている自分もいた。
私が上っ面な会話をじれったく思っているように、彼も上滑りなやりとりがしっくりこなかったらしい。あー、と一瞬躊躇ってこう切り出した。
「急に敬語なんて使い始めてどないしたん」
「それは」
単純に、タメ口で話せなくなってしまっただけなのだ。
謙一くんの教え子だった頃はお互いタメ口で一対一で直接話していたけど、彼の元を離れてからはテレビの向こうで敬語でインタビューを受ける彼を一方的に見ていただけだったから。インスタでは彼はタメ口で話していたけど、それはあの頃と違って不特定多数へ向けたものだったから。
「……謙一くんが、遠い人になっちゃったみたいに思って」
「そりゃ北海道からしたら遠いやろ」
「関西人ならもっと面白くボケてよ」
「道産子は厳しくて敵わんわぁ」
その雑な返しは、昔と同じだった。
「どさんこワイドに出たの、見たよ」
「見てくれたん?」
「あれわざわざ参加しに行ったでしょ。バレバレだったから」
「いやそりゃ出てみたいやん。アローキャリーが見るかもしれんし」
「そんなの出なくたってちゃんと見てるよ」
ちゃんと、見てる。だって、あなたは私にとって特別な人。あなたにとって私が特別ではなくとも。
そう思っていたけれど。
- 52二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:21:15
でも、私が見ると思ってローカル番組に出たの? お祭り男の都合のいい体裁だ、そう思っていても期待してしまう。謙一くんはちゃんと私のこと覚えていてくれたの? 願望を含んだ観測は願望ごとぶくぶくと膨らんでいく。
「謙一くん」
私のこと、覚えていてくれた? そう声にしようとしたとき、謙一くんのスマホが鳴った。私たちが出会った頃、スマホなんてものはなかったし、当然彼も持っていなかった。
「どうぞ」
「悪いな」
そういって謙一くんが通話ボタンを押すまでの一瞬に、見えてしまった。金色の長髪が綺麗なあの子。トレードマークのマスクを外して、満面の笑みを隠さずにいるあの子。
私のいないあの日の未来に彼はスマホを買って、私のいないあの日の未来に出会ったウマ娘がその待ち受けになっている。
声も出なかった。トレーナーとして、一人の教え子の写真を待ち受けにする是非を倫理的に問うこともできない。私自身が、トレーナーと教え子の枠組みを超えた関係を望んでいたから。そしてその望みをたった今粉砕されたから。
謙一くんが今の教え子たちと何を話しているのか聞きたくなかった。幸いにして、待ち受けを見てしまったショックで何も聞こえてこなかった。
スマホをもう一度タップして、謙一くんが私に向き直った。
「うん。今終わったわ。失礼しました」
何か、何か言わなきゃ。無視したら、感じ悪くなってしまう。
「全然気にしないで。謙一くんも忙しいだろうし」
「まあありがたいことに忙しくさせてもろてますけど、アローキャリーも明日帰るんだから忙しいやろ」
「いや、私は全然全然。ガラケーだったのに、スマホに変えたんだね」
「ああ。ガラケーも使ってるよ」
そう言って謙一くんはスマホを見せた。私が知っている謙一くんの携帯だった。トレーニングで帰りが遅くなってしまう時は、この携帯を借りて両親に連絡を入れたものだった。
「なんだ。まだそれ使い続けてるんだね」
「ガラケーも捨てたもんじゃないぞ」
「ガラケーなら武先輩と連絡が取れるから、でしょ」
「うん」
手慰みに彼はガラケーをパカパカ開き、そしてガラケーの壁紙が見えた。
- 53二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:21:53
それは、彼の原点のあの子だった。
彼のガラケーの待ち受けがあの子であることは予想できた。むしろ納得感さえあった。やっぱりな、という気持ちだった。
それでも、そのガラケーには私が担当だった時の思い出も詰まっている筈なのに。
鼻の奥がツンとした。あ、やばい。泣いてしまう。別に謙一くんを困らせたいわけではないのに。だから私はせいいっぱい取り繕って、笑った。
「トレーニングの方戻っていいよ、謙一くん。さっき電話入ってたし、忙しいんでしょ。ごめんね、時間取らせちゃって。後輩たちにお土産渡すのよろしくね」
謙一くんは罰の悪そうな顔をしつつも、正直ありがたい申し出だったらしい。私の担当を離れた後、彼は気性難の専門家と化して今の教え子も問題児が多いらしい。「じゃあまた」と彼は手を振って行った。
そして、その後ろ姿が小さくなるのを見ているうちに涙が出るかと思ったけれど、ただ涙が出そうなまま、心がもやもやとしたまま、立ち尽くすことしかできなかった。
もういい加減ガラケーを解約しなきゃいけないな、と思った。
- 54二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:23:53
色々まずいところがあったら消します
- 551722/05/02(月) 18:30:31
- 56二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:32:52
このレスは削除されています
- 57二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:44:54
今更ながらスレ画があまりにも異質すぎてわかりやす過ぎる
- 58二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 18:54:13
自分も書いたのは(前スレ)📣🧹😷🏹、(このスレ)🏹ですね
自分ももうネタ出てこないッス
誰か概念投げてほしいッス(直球)
昨日完走した後だったのにここに再集合できたの、結構スレ画の功績デカイと思います
- 59二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:48:30
澄んだ碧天にたなびく雲を眺めながら土手で寝転がると、遠い昔になってしまった記憶が今でも浮かぶ。彼と初めて出逢ってからもう10年ぐらいは経つだろうか。今も変わらない彼にくすっ、と思い出し笑いをしてしまう。
彼と初めて出会ったのは、彼の父親が受け持つジュニアチームでだった。と言っても地域内の小さな集まりで碌なコースもなく、適当に均しただけのダートコースだ。けれどこれが今の自分になったと思えば感謝しなければならない。
そしてたまたま連れてこられたのが彼だった。最初は興味なさそうな顔をしていたのに、いつしか目を輝かせてはスゴイスゴイと応援しだしたのは今でも忘れられない。
「オマエ俺よか小さいのにスゴイなぁ! 名前は!?」
「……ヤマカツスズランです」
「そかそか!」
「じゃあスズちゃんやな! よろしくやで!」
最初は自分より大きな男性が遠慮なしに来ることが只々怖かったが、会うたびに仲良くなっていった。自分には居なかった"兄"という存在だったからなのだろうか、今になっては覚えていない。
そんな彼がトレーナーを目指すと言い始めたときはただ驚いた。何せ自分が勉強教えることもしばしば有ったし、とてもじゃないが目指せると思えなかった。けれどそれを言うたび彼は決まってこう言うのだ。「いつかスズちゃんを中央で輝かせたい」と。私がトレセンに行くことを知っていたかのように。
「だから受かったときは本当にびっくりしたなぁ。今でもウソみたいだけど」
誰が聞くわけでもないのに言葉が漏れてしまう。けれどそれぐらい自分にとっては衝撃的だったのだから致し方ない。
ではそのまま彼の下に行ったのかと問われればそうではなかった。彼より先に有名なトレーナーが私を引き連れてしまったのだ。断りきれなかった当時の自分が今でも腹立たしい。 - 60二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:49:01
けれどそのチームは私の願いを叶えてくれることは無かった。
私はダートも芝も走れる所謂マルチランナーだったようで、有名なチームも芝の能力を見込んで活躍させようと考えたのだろう。けれど慣れ親しんだダートを捨てることはどうしても出来なかった。いつか、いつかダートでも活躍を。
そんな願いは真正面から砕かれた。「ダートなんて所詮芝の落ちこぼれが行くところで、価値は無い」と。
その後どうしたのかはハッキリしていない。確かウロの近くで一人寂しく泣いていた所に、何も知らない彼が来たと思う。けれど彼が言ってくれた言葉は今でも胸を熱くさせてくれる。
「お! いやー探したでスズちゃ……っ! どうしたんや!」
「……別に関係ないでしょ!」
どうせ彼も同じことを言うのだろうと、勝手に決めつけては突き放すように言ってしまった。けれど彼は決して離れてはくれなかった。
「関係ないわけ無いやろアホ!」
それは彼が初めて見せた私に対する怒り。酷く歪み、今にも泣き出しそうなのを堪え、正々堂々向き合おうとする彼に情けなく当たってしまったことを今でも後悔している。
「……アンタだって言うんだ! ボクがダートも走りたいって言ったって行くなって! 放っといてよ!」
惨めに泣く私を滑稽に思ってほしかったのに。
「ほっとけって……あんなぁスズ。泣いてる子ほっぽってどっか行けるほど神経図太ないわ俺は!」
なぜあなたはそんなにも強いのですか。
「誰に言われたか知らんけどな……スズはどっちも獲れる思うとるで。今でもな」
どうせ無理な夢と笑ってほしかったのに。
「いや……俺が獲らしたる! そのダボの鼻面へし折ってスズをバカにしたことを謝ってもらおうや」
「……うちの娘は芝もダートもイケる天才やってな!」
なぜあなたはそんなにも優しいのですか。
- 61二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:49:48
「……ああああっ!! ……悔しかった! 言われたことも! 言い返せなかった自分にも!!」
もう思いは止まらない。止めたくなかった。とめどなく溢れる悔しさが頬を伝っては更に促していく。
そんな顔に彼の暖かな手が触れた。優しく、優しくあやすように静かにゆっくりと撫でてくれた。その暖かさに心がどんどん満たされていく。
「ええ、ええ。今はいっぱい泣いてええ。むしろよく我慢した。偉いぞスズ。俺やったら手出してたわ」
優しく抱きしめ、自分の悔し涙を受け止めようとする彼にまたしても思いが溢れてしまう。
「泣いて、泣きつかれたら眠ってしまおう。こんな嫌なことは綺麗サッパリ洗い流してな」
ようやく泣き止んだ私は少し気になることを聞く。今まで一度も聞こうとしなかった問い。
「……なんで笑わないのさ。ボクの夢」
そんな言葉に彼は「なんでそんなことを聞くんだ」とでも言いたげな顔をしてしかめる。
「なんでって……そら昔からよう知っとる女のコの夢笑うアホなんか居らんて。ましてや一緒に夢を背負いに行くトレーナーならな」
ああ。本当に彼がトレーナーになってくれてよかった。心の底から思う。人の夢を笑わず、あまつさえ一緒に背負ってくれる人など人生で何度会えるのだろう。
「今となってはいい思い出だったかわからないけどね」
少し傾き始めた空を見上げ、大きな欠伸をする。彼は約束通り芝ダート両方の重賞を私に獲らせてくれた。芝の重賞に至ってはGⅠを取らせてくれたのだから、感謝してもしきれない。
そんな今日はある記念日だ。それは彼と一緒に自分の夢に出逢って向き合ってくれた日。つまり夢が動き始めた日だ。そんな日は毎年小さなパーティーを開く。今の後輩たちには決して伝えていない、小さな小さな記念日。
「さてと……」
よっ、と勢いをつけて立ち上がる。制服についた草を手で払いながら大きく深呼吸する。今日は試しに料理でも作ってみようかと思う。一応料理は人並み以上に出来るのだ。けれど少し心配になる。
「ボクの手料理……喜んでくれるかな?」
そんな心配が杞憂に終わりますように。
- 62二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:51:58
前スレ147のヤマカツスズランの話をもっと掘り下げてみたッス
なんか書き直したいなって思ったところどんどん詰めたら激重になって笑っちゃうんすよね
でもまあいっか! - 63二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 21:01:54
書いてる最中関西弁ikzeの声が平次兄ちゃんで再生されてたのはナイショ
- 64二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 22:00:48
- 65二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 22:36:44
- 66二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 22:47:23
- 67二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 22:55:10
- 68二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 22:58:44
一時的にチームに入って勝たせてもらってる子多いからバレンタインとかでいっぱい貰ってそう(前のチョコをあげたい騎手投票みたいに)
- 69二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 23:08:41
- 70二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 23:18:36
- 71二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 23:25:09
いやーこんな尊すぎて若干心臓痛くなるスレがいつかは消えちまうと思うとマジで辛い耐えられぬ
- 72二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:18:15
あ〜せつねえー
- 73二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:35:44
「なんで休日挟んだだけでこんなに部屋が汚くなんだよ!」
トレーナー契約を結んで分かったことは、この男は想像よりはるかにダメ人間と言う事だった。
隙あらば競艇の新聞に夢中になるし、憧れの先輩がいると思えば、此方にお構いなしでじゃれつきにいく。
一体何をそんなに持ち込んでいるのか、片づけても片づけても数日立てばトレーナー室はゴミだらけだ。
「ごめんて!昨日もちょっとここでデータ整理とか、後色々してたもんやから」
「色々ってなんだよ……、いやいい、聞きたくねえ」
呆れを隠さずため息をつけば、反省しているのかしていないのか微妙な苦笑い。
つくづく、変な男に捕まったと思う。
けれど……トレーナーとしての資質は、本物だった。
選りすぐりのエリートと呼ばれる中央トレーナーの肩書は伊達じゃないらしく、指導の下でめきめきと走りが上達してるのがわかる。
末脚には元々それなりに自信があったが、トレーナーはそれを更に伸ばしたいと言っていた。
「圧倒的な末脚やな、切れ味も抜群、まさに名剣って言えるんちゃうかこれ」
「その表現はもういいから……」
呆れたり悪態をついたりすることはあれど、それはとても充実した日々だった。
一回、二回と。タイムを計るたびに、走ることの楽しさを思い出すことが出来た。
私は走ることが好きだったことを。だからこそ、レースに勝ちたかったことを思い出すことが出来た。
上達を見せればほめてくれる、タイムが縮まれば我が事のように喜んでくれる。
まるで本当に鈍だったこの身体から錆が剥がれて、新しい自分に変わっていくような感覚で。
まさに剣に火を入れ、鎚を打ち、刃を研ぐように、彼は私を鍛えてくれた。
或いは本当にこの人となら……そんな風にさえ思えた。
そんな生活を幾月か過ごした後、私のレースの日が決まった。 - 74二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:36:58
「セントウルステークス……?いきなり、重賞?」
「うん、嫌?」
「嫌とかじゃねえけど、でも……」
思い出されるのは苦い記憶。1着を取るどころか掲示板にすら入れなかった2度の惨敗。
強くなった自信はある。けれど、例えG3でも重賞の壁は、私にはまだ遥か高き壁に思えた。
あの舞台でもう一度走りたい、今度こそ勝ちたい、でもまたみっともなく負けるかもしれない。
二つの感情がない交ぜになって何も言えない私を包んだのは……頭に乗せられた暖かな感触だった。
「大丈夫大丈夫、ちゃんと強なってるよお前は」
「それに最初に言うたやろ、絶対G1に届かせるって」
「俺を信じて、ドーンと構えて走ってきたらええねん」
そう言ってトレーナー、思っていたよりずっと優しい手つきで私の頭を撫でた。
それだけで私の中の不安は全て消え去った……なんてことはなく。
怖い気持ちは変わらずある、ゲートに立つ自分を想像するだけで指先が冷えてくような錯覚すら覚える。
そしてそれ以上に、これだけ私を信じてくれるこの人に、応えられないかもしれないことが恐ろしかった。
それでも……それでも、今ここで怖気づいて逃げ出して、この人をがっかりさせることは、もっと嫌だった。
だから、信じてみようと思った。私以上に、私の事を信じてくれるこの人の気持ちを。
「……わかった、レースはそれでいい」
「……無理そうやったら言ってくれてええねんで」
「無理じゃない!見てろよ、G1でも一番人気に押されるくらい圧倒的に勝ってやる!」
強がりだった。ただの意地の突っ張りだった。それでも彼は、いつもの崩した笑みを浮かべてくれた。
……負けは許されない、証明するんだ。私の力と、彼の力を。
──そうして勢い込んで挑んだレースでの私の結果は……3着だった。
- 75二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:39:22
レースをどう描くかが固まり切ってないのでここまでで一旦終了
何度でもいうけど他の人の聖剣が見たい - 76二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:48:07
🏹の人です
自分も自分以外が書いた🏹読みたいです - 77二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:51:20
ミーも自分以外のイケスズが見たい
- 78二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 01:13:01
- 79二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 01:23:23
良いものを見させてもらってるし書かないのもあれだから少し書いてみるか
- 80二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 02:31:29
「なあスイープ、次の休みパパにちょっと付き合ってくれんか?」
昼休み、トレーナー室で暇を潰してたら作業用PCと睨めっこしながら独り言のように予定を組んでたパパが突然お願いしてきた。今日は上級組は旅行で、下級組は社会科見学で不在でチームでは珍しくパパとアタシだけが学園に残っていたから何となく足を運んでみたのに仕事に熱中してて少し拗ねてた所に急な話が入ってきて流石にアタシも訝しむ。
「何よ、競艇に付き合えって言うなら御免だから」
「競艇…はまあ別の日に行けばええんや。今週のは買い目薄いし…てちゃうちゃう!次の休みはスイープも積極的休養にしとるやろ?俺も予定空いたし少し飯でも食いに行かんかってな」
あまりにも珍しい話に耳を疑う。パパは、お休みは寝てるか担当の子のモチベーション維持の為にお出かけに出かけることが多い。事実、アタシがレースに出る日の付近はどこかにお出かけすることがある…競艇ばっかだけど。そんなパパが、改まってアタシに休日のお出かけを誘うというのは割と…いや、ほぼなかったはず。気持ちの整理がつかず、
「へえ、お休みの時もそうでない時も娘ほっぽって仕事に精を出すトレーナー様が今更アタシと何を話すって言うのかしら」
あまりにも可愛くない毒付き。これが考えたわけでもなく自然と出てくるのだから本心からの言葉なのだろう。言った直後、しまったとチラッとパパの顔を見たら流石にショックを受けている様子。それでもパパは応える。
「…それはホンマに悪いと思ってる。寂しい思いさせてごめん。でもな、今あの子達は大事な時期なんや。家のこと蔑ろにしてる自覚は無いわけやないけど…預かってる以上、中途半端に向き合うのは無理なんや。向こうが全力なら俺も真面目に向き合う。そこはわかってもらえんか」
「…はぁ、ま、アンタはそういう男よね」 - 81二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 02:31:55
知ってる。アタシはパパを誰よりも間近で見てきたからわかってる。普段はのらりくらりと飄々としてるようで仕事になると突然不器用になって。今も昔も変わらずにアタシのワガママにも律儀に付き合ってアタシが好きなアタシのままで居させてくれる。アタシがイタズラの末にやらかした事を見てない所で各方面に頭を下げてくれていることも。だからこそ…今の現状が気に食わない。アタシだけのだったパパは、気づけばチームのトレーナーになっていて。チームのトレーナーになったパパにはアタシの知らないパパがいるかもしれなくて。考えたら考えるほどに気に食わなかった。だから、ワガママ言ってやる。
「…2日」
「へ、2日?」
「休みは3日間ある。その落とし前を一回の食事で済まされちゃたまったもんじゃないわ。2日アタシに付き合いなさい。せいぜい楽しませることね!」
「…はは、ウチのお姫様には敵わんなあホンマ。こんなやりとりも懐かしさすら覚えるくらい久々や…。そうやな、2日間。どっか2人で遠出でもしよか」
ああ、パパがアタシのワガママを聞いて困った顔で笑いながら許してくれる。周りから見たらこの歳になっても親を困らせる親不孝者なんだろうけどアタシにとっては最も尊い一瞬。色褪せていたパパとアタシだけに許される繋がり。鼻息を荒く噴きつつ、アタシは手帳に次の休みの二日間に予定を入れて…少しだけ笑みが溢れた。
- 82二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 02:32:47
上の方で書いた🧹の話と少し繋げてまたもう一個書いてみました
言葉選びって難しいねおやすみ - 83二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 02:40:50
おやすみー
- 84二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 04:12:03
──レース当日。空は晴れ、バ場は良発表、絶好のレース日和だった。
「おーい、デュランダル~? 大丈夫かー?」
「だだっだ大丈夫、ぜぜっ、ぜこうちょうです」
「大丈夫やないなぁこれは……」
……だからといって、私のメンタルも、絶好のレース日和とは言えるはずもなく。
半年ぶりの本番、しかもやさぐれて全部投げ捨てんばかりの精神状態からの今。
おまけに惨敗しかしてない重賞レース、私の緊張は過去最高長だった。
呆れたようなため息を溢すトレーナーに余計に緊張が増す。
走る前から失望させてしまう、それだけは嫌だ。けど、体が思うように動かない。
こんな体たらくで走れるわけがない、やっぱり私に重賞なんて早かった──
そんな私の思考を遮るように、トレーナーは……あの日のように、優しく頭を撫でてくれた。
「デュランダル~」
「へっはっぁ?」
「俺は誰や?」
「トットレーナー」
「お前は誰や」
「デュ、デュランダル……」
「俺たちは……お前は、今日この日まで、何の準備もせず遊んでたんか?」
その言葉にハッとなる。そうだ、勝ちたい気持ちはみんな同じ。
みんな同じだからこそ、勝つために今日まで、必死にやってきたのだ。
思いで負けず……そして力でも負けないために、今日この時まで。
「……トレーナー」
「うん」
「行ってくるっ」
- 85二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 04:14:04
ここ最近で一番の笑顔で送り出してくれたトレーナーを背に、私はターフへと向かう。
気づけば体の固さは取れていた、緊張感も程よい水準にまで戻ってくれた。
やれるだけやってきた、重賞だろうとなんだろうと、後はそれをぶつけるしかない。
今の私が出来る全てで、走るしかないのだ。
──それで全てが吹っ切れられたら、どれだけ幸福だっただろう。
私には、トレーナーに言っていない致命的な欠点があった。
それは……レース本番だと、ゲートに入る時に、集中しきれないこと。
周りのウマ娘がどんな様子なのか、どんな作戦で来るのか。
スタートする直前まで、気になって仕方ないのだ。
この悪癖のおかげで、いつもレースは出遅れてばかりで。
必死に追いすがって、結局惨敗。それがいつもの私。
そしてそれは、彼に指導を受けた今でも、欠片も変わってはいなかった。
(……どうしよう……)
久しぶりのレースだからと、治ったとでも思っていたのか。
何度も自分で重賞の壁は高いなどと言いながら、油断でもしていたのか。
今更、この悪癖の対策を考えなかった自分を恨んでも、何の意味もなくて。
(っ……気にしない!気にしない!私は私のレースを……!)
必死に自分に言い聞かせても、思考の端に他の子たちがちらつく。
入場もとっくに終わり、もう他の子がゲートに入り始めた。
係員に促され、私もゲートの中に入る。それでもちっとも集中は出来なくて。
(集中!集中!集中して!)
何度も何度も繰り返して、ようやっと意識がスタートに向いて。
余計な思考が頭の端に追いやられた時、既にゲートが開いていた。 - 86二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 04:16:43
──その結果が、3着。
いつものように出遅れて、頭もからっぽになって、必死に追いかけて、3着。
別に大げさに嘆くつもりはない、今までの私からすればきっと大健闘。
けどただ……ただ、勝てなかったという事実だけが、私の頭には残っていた。
「……勝てません、でした……」
1着の子がウィナーズサークルへと向かっていく。
他の子たちもそれぞれに……私は、私はどこへ行けばいいんだろう。
心も体も、帰る場所が見つからなくて、レースの終わったターフに立ち尽くした。
……そんな私に、声をかける人がいた。
「おーい!デュランダルー!?」
その声で一気に意識が覚醒する、トレーナーが此方へ走ってくる。
(あれだけ信じてくれたのに、勝てなかった)
体中から血の気が引いていく音がした、どんな気持ちで顔を合わせればいいのか。
がっかりされただろうか、失望されただろうか。
……この人にも、私は捨てられるのだろうか。
「どうしたデュランダル、怪我でも……っ」
傍までやってきたトレーナーの声が不意に止まる。
私は俯くだけで、返事をする勇気もなくて。
今彼はどんな顔をしているのか、怖くて見ることが出来なかった。
まるで審判を待つように、首を垂れるばかりの私に与えられたのは
彼と出会って三度目の……優しい手のひらだった。 - 87二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 04:21:42
「……ごめんなぁ」
謝罪の意味が分からなかった、謝るべきは私で、きっと彼に落ち度なんてないのに。
自分の指導不足だというのだろうか、そんなはずはない。彼のおかげで間違いなく私は強くなれた。
今までのままならきっと3着どころか掲示板にすら入っていない、それは間違いない。
だとしたらこの謝罪は、「G1に届くなんて嘘をついてごめん」と言う事……なのだろうか。
「っ」
小さく息を吐く音がした。恐怖のあまり、私が出したものだった。
このまま私は捨てられる、また独りぼっちになる。
全てを切り裂く聖剣になんてなれるはずがなく、鈍は鈍のまま朽ち果てる──
真っ暗闇に堕ちそうになった私を引き上げたのは、手のひら以上に優しい、抱擁だった。
まるで包み込むように私を抱きしめたトレーナーは、震える声で、もう一度私に謝った。
「トレー……ナー……?」
「ごめんな、デュランダル。そうやでな」
「手を抜いたなんてことはなかった。上手くハマれば勝ちも狙えるとは思ってた」
「けど俺は勝手に、G1の足掛かりになればそれでええと思ってた」
「ここで負けても次のG1に絶対に間に合わせられるって、その手ごたえは絶対あるって」
「……そうやんなぁ、G1とか、重賞とかオープンとか関係ないよな」
「勝ちたかったよな……ごめん……」
静かに彼を独白を聞いていた、わかったことは二つ。
この人は私を見限ってなんていないという事と、どこまでもウマ娘……私を想ってくれてるという事。
彼の気持ちを決めつけて、自分に失望していたのは私の方だった。 - 88二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 04:22:43
「トレーナーさん……私……」
震える声とともに、涙が零れた。見限られていなかった安心感と……レースに勝てなかった悔しさで。
今まで必死に取り繕ってた強気の仮面も、全部剥がれていた。
「私っ……かちたかっ……勝ぢたかったっです……っ」
「うん……っ、ごめん……っごめんな……っ」
嗚咽で上手く声が出せなくて、それでも必死に今の気持ちを聞いてほしくて。
頷くトレーナーも泣いていて、二人してボロボロ涙を溢して。
きっと周りにはとてもみっともなく見えていただろう、それでも。
それでも……きっと私は、これを幸せな記憶として、生涯抱えて生きていくだろう。
「私っ、うぅっ……勝ってっ、トレーナーさんにぃっ……ありがっ、ありがとうって……うぅぅぅっ」
「うん……っ、うんっ!次は絶対勝とう!勝とうな!デュランダル!」
「はい……っは゛い゛……っ!」
──そうして二人で抱き合って、二人で泣いて、二人で誓った。
ほろ苦い思い出となった、私と彼の、二人三脚の初挑戦の記憶。
- 89二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 06:12:53
こうして伝説の聖剣とそれを振るう勇者の英雄譚が始まるんやなって(感動)
- 90二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 12:03:55
- 91二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 12:35:19
- 92二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:03:56
- 93二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:10:47
聖剣が母親役やってるやつか、あれ好きだからもっと書いていいんだぞ
- 94二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:19:37
- 95二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:21:54
- 96二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:34:49
- 97二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 14:43:13
酒飲んでてテンションが上がって時間見るに昼間にまたおまけまで書いたはいいけど後日改めてスレを見て何で俺こんなの書いたんだろうって自分に疑問を抱いたのがその作品です
いやホントなんで書こうと思ったのかもそうだけど書き切れたのか謎いな(困惑) - 98二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 15:09:50
もっと酒飲んで、どうぞ
- 99二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 17:35:29
酒飲んだら何か降ってくるかもと休みの真っ昼間から酒を飲みました
意識がポヤポヤしてて書ける気がしません
では失礼する - 100二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 19:35:29
- 101二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 19:46:24
聖剣パイセン:正妻
アローさん:腐れ縁
スズちゃん:幼馴染
すげー負けヒロイン感出てきたッス アッ(セルフ脳破壊) - 102二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 23:01:05
- 103二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 23:13:55
別にSSだけじゃなくてここで新発掘された新概念やお手ウマの個人的な立ち位置を晒してもいいんだぞ
- 104二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 23:35:21
「スズ! 俺結婚することになったんや! 今度来てくれや!」
彼の口から聞きたくなかった、自分以外を好きになってしまった事の言葉。
後の事は記憶にはもうない。もし残ってしまったのならば、自分は。自分は。
「ちゃんと祝って……あげな……っきゃ……いけないのに……!」
どうしてこんなにも胸が痛むのだろう。
どうしてこんなにも心が壊れてしまいそうなのだろう。
「私……わたし……っ! 彼のことが好きだったのにっ……!」
幾ら泣いても叫んでも、あの日あの時あの場所で、私を護ってくれていた暖かみは、もうない。
(書いてて)いやーキツイでしょ オレには曇らせという才能はなさそうね…
心という器はヒビが入ればもう二度とは…
- 105二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 23:37:49
(よく見たら一人称も違っとるやんけ…)
- 106二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 02:23:53
保守
- 107二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 04:50:26
「ハッキリ聞くけどアンタ、パパの事意識してるでしょ」
スイープの授業参観が終わり、トレーナー宅で夕餉を戴いた後、トレーナーが入浴してるタイミングでスイープはぶっ込んできた。洗っていた皿を思わず落としそうになるがきちんと掴み直し、聞き返す。
「私と彼はトレーナーとその教え子。その薫陶を受けた感謝こそはあれどもそれ以上もそれ以下もありません」
「ふーん、なら何で今日アタシの参観にパパと来たのかしら?正直学生に頼むパパも少しどうかと思うけど…帰り道、アンタ尻尾振りまくってたの気づいてなかったの?」
「なっ…貴方、寝ていたのでは!?待って下さい、という事は…!」
「良き母になれるか、ねえ…。ま、アタシから言わせればいい線は行ってると思うわ。多分アタシの次に一緒にいる時間が長いもの」
やられた…。聞かれていたのか、あの時の会話を。確かにあの時、擬似的ではあるが娘を持つ親として己を律し、恥ずかしくない振る舞いをするよう心掛けた。それは存外、気分が良かった。彼とスイープを娘のように接していたあのひとときは今までにない多幸感に包まれていたと思う。なぜかと言われると、恐らくは…疑似的な仲ではなく本当に彼とそんな関係になれたらという、たらればの末に見えた己が未来に想いを馳せたからだろう。なら、この気持ちは偽りのない───────── - 108二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 04:51:47
「…貴方には隠し事は出来ませんね、スイープ。ええ、私は…彼を愛慕しているのかもしれません。いつからかと言われると、わかりませんが」
「でしょうね。アンタ、パパに向ける視線が明らかに他の娘とは違ってたもの」
「…だが、貴方は私に違和感を感じないのですか?自分の父が教え子に恋慕されている事に…」
「気に食わないに決まってるじゃない!パパがチームを持った途端アタシのイタズラやワガママに薄い反応しか示さなくなったんだから!責任とってほしいくらいよ、フン!」
「それはもう貴方も独り立ちする時が来たという事でしょう。父親は大事にするものですよ」
「ヤダヤダ!パパはアタシだけのパパなのよ!?今はアンタたちに貸してやってるだけなんだから!勘違いしないでよね!?」
こ、この娘は…。いや、あの父をしてこの娘ありと言うべきなんだろうか。強情で頑固、自分のこだわりは意地でも貫き通す。見れば見るほど鏡に映るようなこの2人はやはり親子なのだなと微笑む。もし、手を焼かされるけどすくすくと少しずつ成長していく、自分と彼の面影を遺した子供を彼と共に見届ける事が出来るのなら…。
トレーナー、私は貴方に恋をしたようです。許されるのなら、この想いを貴方に────────
- 109二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 04:54:13
以前書いた授業参観スイープを見ながら恋心に目覚める聖剣パイセンと結局パパは譲りたくないけど何かと鋭いスイープを書きました
書いてて聖剣パイセン前書いた時とキャラ変わってない?と思ったのは内緒 - 110二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 12:10:05
- 111二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 12:23:00
保守|ω・`)
- 112二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 12:31:19
別スレだし全然CP意図ないのは文脈から分かるけど「ikze一筋のオルフェ」というワードを見かけて無言で❤️押した
- 113二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 12:34:31
- 114二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 17:15:25
なんとなくだけどスイープはチームとか外だとアイツと呼ぶけど家とかだとパパって呼んでる気がするね
- 115二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 23:49:25
わかるマン
パパって呼んでる現場見かけたらキレ倒す奴
個人的には
🧹→血のつながらない娘。4,5年の付き合い。
スズちゃん→10年近い付き合いの幼馴染。
🐬→生まれたときから知ってて年に数回会う親戚。
で3人が同世代だと美味しい
- 116二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 02:53:10
😪
⚔ … 😪
💕 ⚔😪
zzz…⚔😪 🇾🇪……!
⚔😪🇾🇪💕💕
⚔😪🇾🇪zzz… 👗🍩🍫🍪〜♪
⚔😪🇾🇪
👗zzzzz…
😷🧹📣💤 💢💢💢💢💢 ⚔😪🇾🇪
👗
- 117二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:39:41
───涙の3着から休息を挟んで数日後。
勝利への決意も新たに、次の出走レースを決めるべく、トレーナーと打ち合わせをしていた。
けれど、彼が進言した出走先は、思ってもいないものだった。
「スプリンターズS?……いや、それ本気で言ってんのか?」
勝てなかった前走と同じ距離、しかもG1。
開催は約1月後で、詰める時間もほとんど残されていない。
この人は正気なのだろうかと、割と本気で疑った。けれど───
「本気や、お前なら勝てる」
真っすぐ私の目を見つめるその表情は、本気以外の何物でもなくて。
一体私の何がこの人をここまで信じさせるのか全く分からなかった。
期待して貰えるのは嬉しい、今なら恐怖よりもその感情の方が勝ってる。
それでもやっぱり、勝てるヴィジョンが浮かばない。私には致命的な欠点があるのだ。
「あのさトレーナー、言ってなかったけど私は」
「ああうん、スタート苦手なんやろ?」
「スタートが……って、知ってたのかよ!?」
「なんかゲートインするときから集中出来てへんなーっとは思ってたし」
からからと笑う彼を見るに、前走で気づいたというわけでもなさそうで。
だったらなんでその対策を教えてくれなかったのかと、怒りが込み上げてきた。
「知ってたなら言えよっ!私がどんだけこの癖に悩んでると思ってんだ!」
「トレーナーの俺にその癖言わんかったん自分やろ?」
「ぐっ……」
- 118二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:41:12
図星を刺されてぐぅの音も出ない、その通りだった。
こんな事で喧嘩して後に響くのもバ鹿らしい、加えて今言い争うのは分が悪い。
それに知ってるなら尚更、何故距離の短いレースを選ぶのか。
寧ろそちらの方が気になって、一つ咳払いを入れ私は訊ねた。
「だったらなんで1200なんだよ、短距離でスタートが下手なのは致命的だってわかるだろ」
短い距離では、ほんのわずかな出遅れが致命的なロスを招く。
後ろから必死に追い込んでも前に詰める為の距離が足りないのだ。
事実、条件戦以降の私は前トレーナーの方針でマイル中心に走っていた。
この人と出会ってからも、ゲートトレーニング等は一般的なものレベルで。
積極的に欠点を克服させようとする素振りなんて一つもなかった。
「それとも、なんか対策があんのか?」
「いや、お前のそれ精神的なもんやろ?普通のトレーニングじゃ治らんよ」
そう断言するトレーナーの言葉は、思ったより痛かった。
わかっている、ゲートトレーニングなんていくらやってもそれは一人だけの話。
本番で周りを気にしてしまう、それが故のスタート下手な自分にはなんの意味もない。
けれど、なんとなく無根拠に、この人なら私のこの悪癖も、何とかしてくれるんじゃないかって。
そんな期待がどこかにあったから、裏切られたような気がしたのだ
「そんな……っ」
またしても不安が私を覆う、こんな欠陥を抱えたウマ娘がどうやって勝てばいいのか。
それを乗り越えた先に勝利があると信じていた私には、答えが見えなくて。
知らず、縋るような声が俯いた自分から出ていた。
「……だったら、どうしたら……」
- 119二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:42:49
そして、こんな風になった私にいつもそうしてくれたように。
やっぱりトレーナーは、私の頭に手のひらを乗せた。
けれどいつもより少し力強く、まるで゙大丈夫゙だと私に言い聞かせるように。
「逆やデュランダル、出遅れてええねん」
「えっ……?」
発言の意図が掴めず顔を上げれば、確信に満ちた笑みがそこにあった。
「出遅れて最後尾になっても、そこから一番前を差し切ればええ」
「……はっ?はっ、はぁ!?」
自信満々の笑みから放たれた言葉はあまりにも無茶苦茶で、思わず変な声出ていた。
この男は1200という短い距離、しかもG1級のウマ娘達が全力で競り合ってる中で。
一番後ろから、最前列を捉えろと言っているのだ。
「いや、いやいやいや!無理だろ!条件戦とかじゃねえんだぞ!」
「それこそわかっとる、と言うかレース進言したん俺やん」
「揚げ足とんな!言ってる意味わかってんのかっ!!並大抵の事じゃねえんだぞっ!?」
出来るわけがない、私にそんな真似が。
そんな芸当が出来るなら、短距離では先行逃げ有利なんて定石は生まれていない。
「私にそんな力があったら、セントウルSだって……」
きっと、勝てたのに……。
あの敗北の悔しさがよみがえってきて、堪えるように拳を握る。
それでも、トレーナーは一切笑みを崩さなかった。
- 120二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:44:05
「なぁデュランダル、これ見てくれ」
そう言って一度デスクへと向かったトレーナーは、一枚の紙を手に取り私に見せた。
それは私を含めた、前走セントウルS出走ウマ娘の、上がりタイムの数値だった。
「33.3……上がり3ハロンのタイムでは、お前が一番やった」
「それにな、お前が悔しい思いをしたマイルCS。そこでも上がりタイムは、最速とタイやった」
その言葉に目を見開いて、もう一度トレーナーの笑みを見る。
私を見たトレーナーは頷いて、言葉を紡ぐ、まるで砥石を刃に滑らせるように。
「ごめんな。前走は、これを確かめたかってん。本番の緊張感の中で、お前の末脚がどこまでキレるか」
「俺が思ってた通り、お前のそれは切れ味抜群、圧倒的な代物やった」
「スタート遅れて頭わやくちゃになっても、これだけの切れ味を出せたんや」
「なら、仕掛けどころがハマれば、お前の脚は、必ず前に届く」
それが、G1の舞台でも───
……ああ、この人はどうして。
「……どうして、どうしてそこまで……」
純粋な疑問だった。何故ここまで信じてくれるのだろう。
そう言って貰える事は嬉しい。その期待に応えたい気持ちある。
だけれど、私はこの人程゙私゙を信じることは出来なかった。
ハイそうですかと頷ける程、簡単に自分の欠点に折り合いをつけられる訳もなく。
彼への信頼と自分への不信感でぐちゃぐちゃになりそうで、でも───
- 121二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:47:03
「……不安なんもわかる、欠点が怖いのもわかる、けどな」
「お前は知らんやろうけど、ほんまに結構前から見てたんやで俺、お前のこと」
「だから何度でも言ったる。大丈夫、出遅れたって必ず勝てる。お前は鈍なんかやない」
この人は、そんな私の弱い部分も含めて、肯定してみせるのだ。
そんな人が、私に勝てると言ってくれるのだ。
誰かが鈍と言った私を、私でさえそうだと思っている私を、聖剣だと信じてくれているのだ。
「……本当、だな?本当に私にそんなことが出来るんだな……?」
「出来る!聖剣の切っ先は……必ず、ゴール板に届く」
……ならばもう、迷うことはやめよう。
例え鈍でも、錆ついた刃でも、全てを切り裂いて見せよう。
この人がいてくれる限り、自分は聖剣なんだと、胸を張ってみせよう。
「……わかった、信じる。信じて、次こそ勝ってみせる」
「その意気やっ。覚悟せえよ、今日からは厳しくいくぞー」
「今日までは手ぇ抜いてたってのかよ」
こんな軽口も、なんだか今はとても心地がよかった。
同じように思っているのか、笑っている彼も楽しそうで。
まだ出会って半年足らずなのに、ずっとこの人とやってきたみたいで。
この人と出逢えたなら、無意味に荒れていたことに意味はあったのだと。
そんな恥ずかしい考えまで、頭に浮かんだ。
- 122二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:48:24
「……ああ、そういえば勝った時にお礼とかはいらんねんけどさ」
……このデリカシーのなさも、今は多めに見よう。
「勝ったらさ、もうそうやって気ぃはんのやめ」
「はっ?」
何を言われたのかよくわからず、また変な声が出てしまう。
「あんときお前敬語やったやん、俺の事トレーナーさんって呼んでたし。あれ素やろ?」
「いやそりゃ……」
「そこそこ一緒にやってきた仲なんやし、俺の前でくらい気ぃ抜いてええんやで別に」
……この男のデリカシーの無さは筋金入りだった、咄嗟に手が出なかった私を褒めたいくらいだ。
実際のところ、彼の前で気を張る必要がないのはわかっている。と言うよりもう張っていない。
人として悪いところに呆れてるし、苛立つこともあるし、たまに殴りたくなることもある。
けど同時に尊敬できる部分もあるし、トレーナーとしてはとても信頼出来る人だと思っている。
礼儀の事を考えれば、寧ろ本来の口調で会話するべきだろうとさえ思う。
そんな私が、何故こんな口調を未だ、彼の前で続けているかと言うと。
「……かしんだょ……」
「お?」
「……恥ずかしんだよ!今更!」
大半のウマ娘がトレーニングに出てるのか、静まった校舎に、私の叫びが響き渡った。
- 123二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 03:48:50
なんとかGWの間にスプリンターズ勝利までは書きたい、おやすみ
- 124二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 04:48:39
私はハギノモーリス。最近正式にデビューしたレースウマ娘だ。私の仮担当になったトレーナーはチームトレーナーでもあり、複数人の娘を一挙に指導している。大舞台に強い娘を育てる事に定評があり、私も所属してから彼の褒めて伸ばす方針に水が合ったのか、デビュー戦前の模擬レースでは好成績を残した。これを受けて周りからは期待の星と目されて新バ戦では1番人気に推され、勝利で飾れなかったが堂々の二着。トレーナーからは次は間違いなく勝つだろうという太鼓判をもらい、自信に満ちていた…次の未勝利戦を走るまでは。
自信を持って臨んだ次戦、未勝利戦。私は、ギリギリのところではあったが並んでいたサブライムアンセムちゃんとバンデルオーラちゃんを振り切って勝利した…が、電光掲示板には審議のランプが灯っていた。そして、聞こえる場内アナウンス。
「ただいまのレース、5番のハギノモーリスさんが最後の直線コースで外側に斜行し9番のバンデルオーラさん及び2番のサブライムアンセムさんの走行を妨害しました。この妨害がなければ被害バは加害バよりも先着出来たと認めた為、5番の…」
歓喜の中にいた私は、その放送を聞いた途端突然言いようのない暗闇に叩き落とされた。ただ負けたのなら諦めがつくけど、よりにもよって自分の妨害によって降着で3着となったばかりかトレーナーも監督責任を問われ9日間の指導停止処分となった。私のせいで各方面に迷惑をかけた上にトレーナーのキャリアに傷をつけてしまった。その事実は、デビューしたばかりの私にはあまりにも重くのしかかる。その日はトレーナーが気を利かせて直帰させてもらったが寝てもあの時が夢に出て、起きていても周りから感じる暴走娘を冷ややかに見る視線。正直、狂いそうになった私は1日休みを貰うことにした。 - 125二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 04:50:11
こんな事をしても何も解決に繋がらないのはわかってる。でも、トレーナーに合わせる顔がない。契約解除もやむなしと頭で理解しても身体が震える。せっかくデビューしたのにこんなところで私の夢は終わってしまうの?胸元にある枕を抱きしめて顔を埋めると、ウマホから呼び出し音が聞こえた。相手は…トレーナーだった。深く息を吐き、応じる。
「おーもしもし?何や今日休みや聞いたから大丈夫か気になってな」
「…体調は問題ないです。でも、今はちょっと誰かと会える気がしなくて…」
「あー…もしかしてこの前の気に病んどるんかな」
「…」
返す言葉がない。まさにその通り。一応体調不良を理由にしてるがトレーナーは間近であの時の私を見て、気遣って寮に直接送ってくれた訳で勘付かれるのは当然だから…もう、耐えられなかった。
「この度は、誠に申し訳ございませんでした…!」
「えっ!?な、何や急に…」
「私の不始末でトレーナーにも迷惑をかけてしまい、なのに向き合う勇気も持てずこうやって逃げて…。私は、契約解除するべきかと思います。自分へのけじめも含めて────────」
「ちょい待ち。まず先に言うと、俺怒っとらんから!長くトレーナーしてるとどうしても起きるもんなんや、気にすんな…とは言わんけど思い詰め過ぎてもアカン!あと、俺は君を手放す気は微塵もないで」
「な、何故!?他の方にやると何か不都合でも…」
「当たり前やろそんなん!君の素質と勝負根性に惚れて新バ戦の後スカウトしたんやから。それに、何となくやけど君と俺は波長が合う気がすんねんな。そんなん今更渡せー言われて渡せるか!って話や」
そんなの言われて…堪え切れるわけがない。塞ぎ込んだ殻から、私の感情がポロポロとこぼれ始めた。
「私…皆からの期待に応えたいって…トレーナーとの練習が無駄じゃないって事を証明したくて!頑張って、走って、1着取れたと思ったのに降着になっちゃって…!!誰にも合わせる顔がないけど責任感だけがどんどん大きくなってもう自分じゃ抱えきれなくて…!!」
「別に1人で抱えんと言えばええのに…。もっと聞かせて?」
- 126二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 04:51:09
もしかしたら私は、その言葉を欲していたのかもしれない。堰き止めていた感情が、一挙に流れ出す。この歳にもなってと思うとかなりみっともないが大泣きして不甲斐ない自分への憤りやトレーナーへの謝罪、今まで感じた事がなかったレースに対する不安、全てをぶちまけた。トレーナーは、相槌を打ちながら全て聞いてくれた。言い切る頃には通話時間が1時間を過ぎていたから相当である。
「…すみません、この歳にもなって取り乱した所を見せてしまい」
「んー、まあ俺はこれくらいでええと思うよ?取り乱す程溜め込まれた方がしんどいやろし」
「…改めて聞かせて下さい。私は、トレーナーの元にいても良いのでしょうか?」
「ん!何度も言うけどよほどの事情が無い限りは俺から誰かに渡すことは無い!約束する」
「ありがとうございます。もし、未勝利戦を勝てたら…正式に、私のトレーナーになってくれませんか?」
「おう!待っとるで!」
あの日、燻った思いの丈を出し切り心の蟠りが取れた私は、次の日から学校に復帰した。トレーナーは指導停止のため違う人のお世話になったが臨時で見てくれた方の厚意でトレーナーが復帰したと同時にトレーニングを再開。いろいろな事を教わった私は、あの日の負けから二戦走り、2位ではあったが練習の成果自体はちゃんと出ていて負けが自信に繋がっていき、そして迎えた4月23日。同じ轍は踏まないと心に唱え、前をしっかり見据え、がむしゃらにゴールを目指した。結果は5バ身つけての圧勝。やっと勝てた、これで私もスタートラインに立てる。その喜びよりもトレーナーとマンツーマンで取り組んだ成果がちゃんと出たことへの確かな手応えが大きかった。トレーナーを探したら、やたら派手にガッツポーズしててちょっと目を逸らした。何というか…キモかった…。だけど、今は伝えたいことがある。
「トレーナー、私勝ったよ!」
「練習の成果出たなあ!俺も鼻が高いわ」
「だから…ね。正式に私のトレーナーになってくれませんか?」
「おう!ようこそ、我がチームへ!」
紆余曲折を経て、私の波乱に満ちた日々が始まる号砲を聞いた気がした。
- 127二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 04:52:14
最近加入したと噂のハギノモーリスくん
未勝利戦の圧巻の走りを見て推さずにはいられなかったので書きました。クソほど読みにくくなってごめんなさい - 128二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 16:32:56
あげ
- 129二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 22:50:18
- 130二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:32:44
こんな俺得みたいなスレを今まで見逃してたのか…
もっとやってくれい! - 131二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 08:48:54
保守
- 132二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 17:00:31
- 133二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 18:48:32
- 134二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 23:38:36
- 135二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 23:40:35
モズベッロくん…
- 136二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 06:44:46
「失礼します…おや、他の者はまだですか」
「おー、今日は皆予定ある言うてたしそれならいっそと思って練習は休みにしたんや…あれ、伝えとらんかった?」
「初耳ですが…まあ、良いでしょう。そういうトレーナーは書類仕事中でしたか?」
「そろそろひと段落ってとこやな。ああ、お構いなくのんびりしとって」
「…では、お言葉に甘えて」
「それにしても俺とデュランダルの2人だけってのも久々ちゃう?スイープが来てからは長いこと3人やったけど」
「それだけ貴方の名声が各所に轟いているということでしょう。今やチームまで持つようになるなんて私自身、想像もつきませんでしたよ」
「ホンマなあ…。1人見るのでいっぱいいっぱいやったはずやけどわからんもんやね…よし、終わった!いやー疲れた…て、お?」
「ほうじ茶でよろしかったですよね?甘味も一応用意しましたがいかがですか?」
「わー!ちょうどなんか腹入れよう思とったで助かるわ!デュランダルもこっちの卓で食おうや」
「…では、私も食べましょうかね」
「…うまいな」
「ええ、とても」
「あー、デュランダルってこの後予定あったか?」
「いえ、何も。時間になれば帰ろうかと」
「なら、晩飯も何か一緒に食わん?奢るで!😁」
「…ふふ、私で良ければ喜んで。では…」
「わかっとるよ、カツ丼やろ?現役の時2人並んでよう験担ぎやー言うて食うてたとこ」
「やはり貴方には私の全てを見透かされてしまいますね…ええ、そちらでお願いします」
「俺もデュランダルには隠し事出来んしお互い様やろ?」
「フッ…その通りでした。では、楽しみにしてますね」 - 137二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 06:45:13
SSは消費カロリーが大きいので台本形式でやってみました
- 138二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 06:46:46
朝からほっこり
- 139二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 18:08:50
- 140二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 18:30:40
- 141二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 19:16:23
他の人の聖剣見られて幸せだからもっと書いてください
- 142二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 19:25:54
- 143二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 20:15:25
>>12 🎵ちゃんを書いたものです!喜んでもらえて嬉しいですわ!
- 144二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 20:42:25
- 145二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 21:20:08
暗くなった廊下を歩いてると見覚えのある部屋の灯りがついていた。トレーナーとはあまり会いたくなかったこともあり、恐る恐るドアを開けるとそこには酔っぱらい達の阿鼻叫喚が...
「はぁ...」と溜め息がでる、あのトレーナーからこの子達ありだと思う。まぁ、私のトレーナーでもあるけど...
さて、この状態をどう隠滅するか策を巡らせた。まだまだ先があるこの子達のキャリアを汚してはならない、そしてこのトレーナーも...
(汚れるのは私だけで良い)
私は最初からこのトレーナーのもとで走った、新馬戦はのちの宝塚記念を制する子に負けるが2着、未勝利戦を抜け抽選を突破し阪神JFに進む、きっとこの時に運を使い果たしたのだろう...
クビ差で優勝、ジュニア女王に輝いた、その勢いのままティアラ路線一冠目桜花賞、デビュー以来連対していたこともあり1番人気だったが、体重をごっそり落とし大敗、この雪辱を果たすべくオークスでは負けられなかった、トレーナーも私も一生懸命に走った、勝った、
そして私は穢れた樫の女王になった...
トレーナーは叱責され、周りから白い目でみられた、私は何度も何度もトレーナーに謝った、だけどあなたは私を怒ることはなかった...
「また周りを見返してやろう!」そう言ってくれたが、それ以来私は勝てなかった...
ビンや缶を片付けつつ、机の上を見る。そこにひなげしの花が生けてあった、私とのことを忘れないためにあるのだろうか...この子達には心から喜べるG1勝利をあげて欲しい、そこにはトレーナーの笑顔があって欲しい、私が望むのはそれだけだ...
そう思いながら余っていた缶ビールを開けた
「私だってトレーナーの子なんだからこれくらい良いでしょ...」
トレーナーのアホみたいな寝顔を見ながら呟き呑んだ - 146二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 21:20:48
- 147二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 21:24:36
トールポピーかぁ、これもまた重そうだなぁ
- 148二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 22:46:34
- 149二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 22:49:53
大丈夫、トレーナーは勿論聖剣パイセンもスイーピーも姉貴も絶対ポピーを離さない筈だ
- 150二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 23:09:36
- 151二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 05:16:38
「…む。ここはどこでしょうか。私は部屋で寝ていたはず…。目覚めて目にするは見慣れぬ場所。ともすればここは夢の世界だろうか」
「あ、ママ!聞きなさい!この前ロブロイとね…」
「…ママ?待ちなさいスイープ。確かに貴方は彼の娘ではありますが私と貴方に血縁上の関係は皆無の筈です。そ、それに私があなたの母となると父は…」
「…?パパー、ママが変な事言ってるわ。お腹空いてるのかしら」
「ちょっと待ってやー、あとちょっとで出来るんで良い子で待っとってや」
「ヤダヤダヤダー!良い子になんかなってあげないんだから♪」
「ええ…。まあええか。ああ、デュランダルも無理せんといてや?自分1人の体ちゃうんやから」
「え、あっ、な──────────」
「ふふん、まだ見ぬアタシの妹!使い魔としてたっぷり可愛がってあげるんだから!せいぜい元気に産まれてくることね!」
「いや使い魔やなくて妹として可愛がってな?でもこの前スイープが安産のおまじない掛けてくれたしまあ大丈夫やろ!」
「ここに、私と貴方の…」
「…えへへ…。私、すごく幸せです。けんい──────」
────────────────
「…んぅ、やはり夢か。それにしても…あのような夢を見るとは。夢とは言えど…とても幸せな世界だった」
「願わくば、永遠に貴方の隣を歩く事を許されたい…そう願うのはワガママでしょうか、トレーナー」
その日、やたらスイープに優しく接する事にスイープから訝しげに捉えられて少しヘコむデュランダルであった。 - 152二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 05:20:01
台本形式マジで楽だなと思いました
デュランダルとの娘がスイープ想定で描くと原作と大きく乖離した表現になるので再婚という想定で書きましたがこの仲だと最初からデュランダルとの娘がスイープって扱いでも問題はない気もするので受け取り方は見た方にお任せします - 153二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 15:01:47
- 154二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 20:27:42
やっぱ正妻感強いなあ
- 155二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 23:19:47
ほしゅ
- 156二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:18:05
───10月5日、晴れの中山レース場。
秋G1開幕戦、スプリンターズステークスが、始まろうとしていた。
「いけるか、デュランダル」
「……んっ、大丈夫」
トレーナーの言葉に、小さく頷く。緊張は前走の比じゃない。
過去の苦い記憶がよみがえる、重圧に潰されそうだ。手も足も、声も震えてる。
それでも、意地だけは手放すまいと、瞳だけは真っすぐ前を見据えた。
そんな私を見てトレーナーは、やっぱり優しい掌を、私の頭に乗せるのだ。
「ええな、出遅れてもいい。慌てるな」
「無理して取り返そうと前に出んでいい、直線外に持ち出して追い込めば、お前なら必ず」
「一番前に届く、だろ?」
震える声のまま、彼の言葉に被せて無理やり笑う。
不格好な笑みだけど、それでも大丈夫と信じてくれたんだろう、トレーナーも不敵に笑う。
そして私の背を、そっと押してくれた。
「せやっ……全部、一刀両断してこい」
「ああ……」
勝ったら言葉遣いを戻せ、なんて言われたけれど。
今はまだ、゙私と貴方゙は、何も掴んではいないけれど。
それでも、゙聖剣とそれを携える勇者゙の物語を、今この時から始めたいと思ったから。
「トレーナーさん……行ってきますっ」
そう告げて、返事を待たずに駆けだした。行って来いと、力強い声を背に受けて。
- 157二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:19:34
それでも、ターフまで出ればやっぱり、ゲート前に周りを気にしてしまう癖はどうしたって抜けなくて。
今日もまた結局出遅れるんだろうな、なんてある種諦めにも似た感情が、私の中に浮かんできた。
だから、トレーナーが言った言葉を必死に反芻して自分に言い聞かせる。
(慌てない、空気に吞まれない、掛かって体力を無駄にしない)
他の子も私と同じように、沢山の思いを背負っているんだろう。
一番人気のあの人は、今日を最後にトゥインクルシリーズを引退すると言っていた。
同一レース連覇、そして春秋スプリント連覇のかかった最後の戦い。
きっと並々ならぬ思いを抱えて、今そこにいるのだろう。そんな事を考えながらゲートに収まる。
(それでも、私も勝ちたいから……私を信じてくれたあの人に、勝利を送りたいから!)
きっとそんなことを考えている余暇なんてないことはわかったうえで。
それでも自分の気持ちをもう一度確かめて、開いたゲートを跳び出した。
案の定スタートはあんまりよくない、だから只管に落ち着くことに意識を割く。
集団に置いて行かれないようにだけ速度を調整して、呼吸を整えて。
本当は前に行きたい、このまま前に届かないまま終わってしまう恐怖に襲われる。
それでも、必死に自分を抑える。トレーナーの言葉を疑った時が、きっと敗北が確定する時だから。
(勝負は最終直線、必ず……!)
4コーナーを周りながら、身体を外に持ち出す、直線時に前に誰かがいたら全力が出せない。
直線が来る、後はここから残っていた脚を全て───
(っ……こんなに、遠いの……?)
- 158二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:20:31
見えた先頭、そこから自分までの距離の差に絶望が過ぎる。
ここから追い込んだ所で届く未来が見えない、一番人気のあの人は早くも1番前に立った。
もう駄目なんじゃないか、もっと早くから仕掛けておくべきだったんじゃないか。
やっぱり私にG1なんて……そんな考え全てを─── 一心に、捨て去る。
(あの人が言ってくれたんだ、私なら届くと)
(あの人が言ってくれたんだ!この末脚は全てを断ち切ると!)
(あの人が待ってくれてるんだ……貴方たちじゃない!)
(勝つのは、私だ!)
もう何もみない、何も考えない、ただ前へ、一歩でも前へ。
ゴールだけを見据えて一直線に、ただこの脚に私の全てを懸けて。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい!ただその思い一つだけ胸に抱いて。
「あああぁぁぁあああっ!」
そしてついに───前に、届いた。そう確信したと同時、ゴール板を横切っていた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
呼吸を整えるのに必死で、思考が纏まらない。
やれることはやった、全てを出し尽くした。その上で。
勝ったのか負けたのか、ゴールしたのは先頭とほぼ同時だった。
電光掲示板を見れば、1,2着の欄は写真判定になっていた。
芝を踏む音に横を向けば、一番人気の……ビリーヴさんが、此方に歩いてくる。
「はぁっ、はぁっ、ビリーヴっ、さん……」
「……やられたわね、貫かれちゃったわ」
「えっ……?」
- 159二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:21:15
私の傍まで来たビリーヴさんは、そんな風に溢して、小さく笑った。
言われた言葉と、向けられた晴れやかな表情が噛み合わなくて、思考がマヒする。
だってそんなに笑っているのに、今の言葉ではまるで……。
「おめでとう、聖剣は、確かに全てを切り裂いたわ」
そう言って腕を組みながら、視線だけを掲示板に向ける。
つられてもう一度目を向けると、1着には8の数字……私の、番号。
「……勝っ……た……?」
実感がついてこず、身体を俯けたまま呆けている私がおかしかったのか、彼女が小さく笑った。
「ふふっ、張り合いがないわね。ほらもっと胸を張って、勝者は貴方なんだから」
手を引かれて立ち上がる、今度は背を押される。ウィナーズサークルの方へと。
長らく縁のなかった……勝者にのみ許された場所へと。
「ほら早く行ってあげなさい、貴方のファンと、貴方のトレーナーが待っているでしょう?」
目を見やると、彼がそこで待っている。遠目に見るにあれは……泣いているのだろうか。
あまりに夢中になっていて気付かなかったけれど、耳を傾ければ、私の名を呼ぶ沢山の声が聴こえた。
私の勝利を称える声、私の勝利を喜ぶ声……ああそうだ、私はこれをずっと聴きたかったんだ。
今更になって、沢山のものが胸にこみあげてきた、鼻の奥が熱くなってくるのを感じる。
けれど堪えて、私の勝利を真っ先に称えてくれたライバルへ、尊敬すべき先輩へ向き直る。
「ビリーヴさん……ありがとうございましたっ」
「此方こそ。改めて、おめでとう」
- 160二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:21:57
頭を下げて、今度こそウィナーズサークルへと向かって走り出す。
今は誰より、この喜びを分かち合いたい人が、そこで待っているから。
「おめでっ、おめでとぅでゅらんだる、おめでどぉぉぉおおううぅぅ!!」
トレーナーは……号泣していた。こんなに泣く人だとは知らなかった。
流石に面食らって何も言えない私を置き去りに、枯れるんじゃないかという勢いで涙を流している。
「がんばったなぁ!よぉがんばったなぁ!ほんまにお前は凄い子や!聖剣や!」
口々にまくしたてながら尚も泣き続けるトレーナーを見ていたら、なんだかおかしくなってしまって。
自分にもこみあげていた筈の涙はすっかり引っ込んでしまって、逆に笑ってしまった。
「あははははっ、泣きすぎですトレーナーさん」
「言うなやぁしゃあいあなやろぉ、グスっ」
「あはは、もうっ、ほら泣き止んでください。私、勝ったんですから」
「勝ったから泣いてんねやろぉ……」
そんな彼の正面に立てば、私が言いたいことがあることをわかったのか。
悪態をつきながらも、涙を拭いて居住まいを正して待ってくれた。
私たちの様子を笑いながら見ていた観客も、察して茶化さずに見守ってくれている。
「……トレーナーさん。私、一度は諦めてたんです。自分は何にもなれないって」
「悔しくて、情けなくて、荒れて、子供みたいに当たり散らして」
「そんな私を、トレーナさんが拾い上げてくれました」
「もう一度ターフへと……連れてきてくれました」
「今日この時この場所まで、トレーナさんが私を連れてきてくれたんです」
「……ありがとうございます、トレーナーさん」
- 161二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:23:01
そこで言葉を区切れば、声は出さないままに、また涙を流してくれた。
賭け事バカで、おっちょこちょいで、私生活がだらしなくて。
人としてダメな点を挙げればきっと数限りがない程どうしようもない人。
だけれど……かけがえのない、私の大切な゙トレーナー゙。
「……私はきっと、今も変わらず、錆び付いたただの鈍です」
「けれど貴方と一緒なら、御伽噺に語られる聖剣にだってなれる」
「貴方の傍でずっと、走って行けたら、その度に私は何度でも、全てを切り裂いてみせます」
「だから、これからもどうか……よろしくお願いします」
そう言葉を締めて、今の喜び全てを込めて笑えば。
彼は泣きながら何度も頷いて、そして最後には。
涙と鼻水まみれの顔で、目一杯の笑顔で、応えてくれた。
「おうっ!これからもずっと!よろしくな、デュランダル!」
───ある日のトレーナー室。
我先にとトレーニングに出て行った皆を追いかけるように、慌ただしくトレーナーが準備を整えている。
おっちょこちょいの彼の事、こう言ったときは決まって何かしら忘れ物をするのが通例になっているが。
今日は珍しく、いつも肌身離さず持ち歩いている携帯の存在をデスクに忘れているようだった。
手に取って、そのまま扉から出ていきそうになっていた彼を呼び止める。
「トレーナー、携帯を忘れていますよ」
「えっ?うわっ!あっぶなごめんごめん」
気づいたトレーナーは一瞬顔を青ざめさせ、すぐさま戻ってきて奪うように私の手のそれをつかみ取る。
その様子がなんだか面白くなくて、早く皆を追いかけなければならないのに、私は口を尖らせる。
- 162二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 03:25:23
「人から物を受け取る態度ではありませんね、今のは失礼だと思いますよ」
「いやごめんてちょっと慌ててたもんやから……開いてないよな?」
その言葉に眉を顰めるとまずいことを言ったと気づいたのか更に顔を青ざめさせた。
「なんですか、まるで開いたらまずいみたいな言い草ですが。何か見られてはいけないものでも?」
「あーいや別にそういうんじゃ……あ、ほらはよトレーニングにいかなっ!」
無理やり話を終了させると、トレーナーはウマ娘も驚きの速度で部屋を飛び出していった。
「あっ……逃げられましたか、しかしトレーナーに携帯に何が……」
今時珍しいガラパゴス携帯と呼ばれるもの、それもウマホとの二刀流でトレーナーは使用している。
憧れの先輩がガラケー派だからと、彼や仕事関係の人との連絡に使用しているようだが。
言われてみれば態々彼の携帯をみたことはなかった、と言うよりは基本肌身離さず持っているため見る機会もないのだが。
お互い隠し事はもうないほどの期間を彼と過ごしてきた中で、今更に発生した秘密は、なんだか無性に腹立たしい。
「……ですがまぁ……人の事は言えませんか」
独り呟いて、自分のウマホを開く。ホーム画面には笑顔の私と……彼のツーショット。
あの日から今日まで、沢山の後輩が入った。皆押しも押されぬ名ウマ娘揃い……癖ウマ娘揃いでもあるが。
トレーナーもすっかり新人ではなく多くの人に慕われる名トレーナー……迷トレーナーともいわれるが。
最初二人っきりだった広いトレーナー室は、今では狭いと感じるほどにいつも賑やかで。
私も先輩として、情けないところは見せまいと必死の毎日……。
ウマホを仕舞い、出て行ったトレーナーを追って部屋を出る。
(それでも、この画面の中の思い出は……)
まだ駆けだしたばかりの少女と、それを支えてくれた在りし日の彼の笑顔だけは。
誰も知らない、私だけの宝物……。
- 163二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 10:45:01
何もかもがすごい
こんな愛と文才に溢れた聖剣さんss読めるとか幸せすぎる
自然と素の敬語が出てるのも聖剣さんがガラケーの待ち受けが誰の写真なのか知らないのも美しい
ビリーヴさんもめちゃ良い女
良いもの読ませてもらいました
- 164二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 12:56:15
「はあ」
「んだよ、急にため息吐きやがって」
トレーナー室で時間を潰していると仕事をしていたトレーナーからため息が漏れた。別に吐くのは構わないがそんなあからさまな声で出されると流石にこっちだって気になる。
「ああいや、別に大した事ちゃうんやけどなんか感慨深いなあって」
「いよいよ意味わかんねえよ」
「スイープと朝メシ食うてたら今日はロブロイちゃんの部屋でパジャマパーティー行ってくる言うてな、そんなんする友達知らん間に作ってたんやって」
「ああ、だからあいつの荷物やたら嵩張ってたのか」
そう、朝に練習着をトレーナー室に置きにきた時にやたらスイープにしては大荷物を抱えてやってきたのでどうしたのか聞いたらふふん、秘密!と楽しそうに笑ってた。なるほどね、ダチの部屋でパジャマパーティーでお泊り…そらあの年代のガキなら心躍るわなと1人で納得していたが一つ腑に落ちないことがある。
「良いことじゃねえか、友達作って仲良くやってんなら親からしたら万々歳じゃねえか」
「いや、まあ、そうなんやけどな…うーん、聞いても笑わん?」
「内容によるけど極力…努力はしてやる」
珍しい。コイツが自分の隠したい事を打ち明けてくるってのは多分初めてかもしれない。突こうが噛もうが意地でも口を割らなかったコイツが隠してる事に興味が湧いたアタシは話すよう促す。
「んー、いや、スイープってジャーニーはよう知っとる思うけど自分の決めた事には意地でも譲らんとこあるやん。俺はそれを悪とは思わんけどどうも周りからはウケが悪くて小学校では孤立しがちやったんや」
「人を選ぶ性格してるっつーのは否定できねえな。で、それが何だって?」
「そんな子やったから飛び級でトレセン学園に入学するてなった時は嬉しかった反面また孤立するんちゃうかって不安を拭えない部分もあってな。ただでさえ飛び級やで奇異の視線を浴びるのは間違いないやろ?それにその性格でイジメに遭ったら思うとな…。まあ、そんなんもあったから全力で説得して俺のチームに入ってもろたけど」
「…。」 - 165二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 12:57:57
確かにコイツの話に覚えがない訳じゃない。アタシの妹も自己主張というのがどうにも苦手でそれが原因で相手から舐められることが多かった。ナヨナヨした所は嫌いだがそれ以上に良いところも知ってる分、そんな扱いを受ける妹に憤りを感じていじめの現場に殴り込んで全員泣かせて謝らせた事もある。今となっては我がチーム最強の三冠ウマ娘として名を馳せ、アタシが教えたメンチの切り方と口八丁でむしろ相手からビビられる存在になったそうだが級友にも恵まれたおかげでとても充実した学園生活を送ってるそうで今日はそのダチ共と旅行に行っている。
「で、それが何でため息に繋がるんだよ」
「まあ…そんな子やったのに友達たくさん作って仲良うしてるのは嬉しいんやけど急に遠くに行ってもうた気がしてな」
「…くっ、くふっ」
流石に笑いが止まらなかった。極力我慢したつもりだったがあまりにも内容が内容の為、堪え切れるはずもなく。
「あー!笑わん言うたのに笑てるやん!」
「いや、おま…それは流石に…アハハハハ!腹痛えなあオイ!」
「うう…だから言いたなかったんや…女々しいってわかっとったし…」
「あー腹いて…。まあ、言わんとしてる事は理解は出来るよ。アタシもよ、妹が学園来てアタシらのチーム入ってから学園であった事を嬉しそうに語るんだよ。同部屋に同じ距離走ってるダチとか、良くしてくれるパイセンだとか、お前の話もな。聞けば聞くほどにアタシの知らない所でそんな沢山交流を広げてやがったかってさ」
「あの子も来た時はおっかなびっくりな感じやったのになあ…今となっては俺が尻に敷かれとるけど」
「違いねえな。あ、そうそう。アイツはお前の家の掃除するのが半分生きがいになり始めてるから掃除するにしても適度に頼むな。この前キレイすぎてやりがいなかったっス…て死んだ目しながら話振ってきやがったからよ」
「でも掃除せんとスイープがダメパパって言うてくるから匙加減がなあ…」
- 166二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 12:58:10
「…まあ話を戻すとだ。アタシも似た経験あるから今のお前の気持ちもわからなくはないぜ?嬉しい反面、なんか知らない所で成長した事で遠く感じちまうんだろ?で、素直に喜べない自分に自己嫌悪してるってとこか」
どうも核心をついたのか、びっくりした様にこちらを見つめてくる。少し目線を外しながら続ける。
「安心しろ、素直に喜べないのはお前がそれまで娘を娘として向き合ってきた証左みたいなもんだ。あんだけ一緒にいたのに、てなるのは多分誰しも通る道なんだろ、多分。そこは誇りに思っていいんじゃねえか?」
「ジャーニー…」
全く、世話の焼ける奴。まあ、ある種似た者同士なのかもしれないが。それはそれとして。
「あ、話は変わるんだけどよ、アタシもさっき話した通り妹がいねえから今日は寂しく独り身なんだよなあ〜、誰か同じ境遇の奴が慰めついでにメシ誘ってくんねえかなあ〜」
「誘い方下手すぎやろ!よっしゃ、独り身同士寂しさ紛らわしにメシ食いに行こか!行きたいとこあとで教えてや」
ま、こんな大の大人をしがないJKが励ましたんだから褒美を強請ってもイイよな?
- 167二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 21:55:38
やべえジャーニーめっちゃ好きなんだが
- 168二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 00:30:30
- 169二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 06:28:57
(思い返すとドリジャ書いてるの自分くらいな気がしてきた)
- 170二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 08:31:41
- 171二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 19:50:19
保守
- 172二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 23:47:49
合いそうな都々逸を探してるんだけど、みんな我が強すぎてしっくりくるのがない
- 173二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 03:30:06
まってまーす
- 174二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 10:42:32
探して見た感じだと個人的にはこんな感じ
☆口でけなして心でほめて 人目しのんで見る写真
☆こうしてこうすりゃこうなるものと知りつつこうしてこうなった
☆顔にゃ迷わぬ姿にゃ惚れぬ たったひとつの心意気 - 175二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 10:55:28
「チームメンバーの勝負服で誰のが一番似合うか?」
「うん!練習の休憩中に皆と勝負服のデザインの話になってそれぞれ自分の個性が出た格好してるよねって褒め合ってたの」
「せやなあ…それぞれ色濃く演出しとるね。んで、話してるうちに俺に着せたらどないなるかってなったとか?」
「ご名答!お兄ちゃんの顔なら女装しても問題ないと思うし似合いそうなのも多いと思うんだ〜♪」
「んー、まあ今日は休みにしとるしええかな。付き合うわ!放課後なったら部屋行くな」
「さっすがお兄ちゃん!カレン達待ってるからね♪」
「おーう来たでー」
「うわ、本当に来たんスか。トレーナーって女装趣味でもあるんスか?」
「言うなよ愚妹、アイツも一つや二つ秘密があるもんなんだよ、受け入れろ」
「来て早々この言われようはキツいなあ…」
「まあまあ、こうは言うけど2人ともお兄ちゃん来るまで尻尾バタつかせてたんだよ?素直じゃないよね〜♪」
「「…」」
「フン!アンタを笑いものにしてやるんだから!覚悟しておく事ね!」
「…時間が惜しい。カレン、始めましょう」
「はーい!じゃあまずはデュランダル先輩から!」 - 176二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 10:56:57
デュランダル
「重っ…え、重っ!?こんなん搭載して走っとったんかお前!?」
「これは我が身体をあるべき時まで拘束する鎧です。重いのは確かですが、不思議と走り出すと重さが消えます。貴方と積み上げた勝利はこの鎧と剣にあります」
「確かにレース中ガシャガシャ音鳴らしてるもんな」
「特に最終直線なんかエグいっスよ音、摩擦音みたいなのも聞こえてくるっスもん。この前ファインパイセンがあの音目覚ましにしたいとか言ってたっス」
「でもこの中じゃ唯一のパンツスタイルだから何というか絵になるね」ポリポリ
「西洋騎士のような風貌のトレーナーさんも素敵でえええええええす!!!」
「黄色と黒の額当ても警戒色だからかただならぬ雰囲気を醸し出してるしなかなかデュランダル先輩の佇まいとマッチしてていい味出してるわね」
「…なんか思いの外ウケがええな。そんな似合うとる?」
「まあ、周りからは私=貴方の様なイメージもあるようですからね。私は好きですよ、その姿」
「な、なんか照れるなそれはそれで…ありがとさん」
「…何よデレデレしちゃって。次行くわよ!」
スイープトウショウ
「結構いろんな装飾ついとんのなあ」
「当たり前じゃない!この菱形のアクセもパ…、アンタが押し付けてきたのよね」
「ローブ纏って帽子被るといよいよ魔法使いのような見た目になりますね」
「操ってきそうなのは黒魔術とかその辺しかないっスね」
「偏見が過ぎる…。でもやっぱりスイープはこのトンガリ帽子やな。可愛いし思い入れも一入やし」
「可愛っ…コホン。そりゃね。グランマから貰った大事な大事な帽子なんだから。アンタはまあ、今回に限って特別に被らせてあげてるんだけよ。勘違いしないでよね!」
「いや、家でメンテナンスしとるの俺やし被らせ…」
「あー!あー!余計な事は言わないことね!さっき作ったナスジュース飲ませるわよ!?」
「すみませんでした」
「…チッ、次行くぞ」
- 177二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 10:58:41
ドリームジャーニー
「そういやへそだしルックやったなこれ…。さっきが重いのもあるけどこれは軽いなあ」
「ま、アタシはピッチで走り回るから極力素材は軽くあってくれた方が良くなるからな」
「下は膝上位まであるスパッツで上は黒を基調とした赤いバッテンが入ったカラーで脇からバッテンを囲むような黄色い二本線で…両手首に赤いリストバンド。形容するなら陸上競技の短距離ランナーみたいな出立ちしてますね」
「カレン達も似たようなものだしある種一番理に適った格好してるよね〜」
「スポ根に近い分オシャレな感じが減るのが難点っスかね」
「アタシからしたら何であんなヒラヒラしたカッコだったりゴテゴテの装飾をつけた奴らがあんなかっ飛ばせるか不思議でしゃーねえよ。…ま、色気がねえのは否定出来ねえけど」
「でもやっぱり俺からしたら体育着以外やとこのカッコやない姿で走るジャーニーには違和感あるなあ。まあ一緒に選んだから愛着あるってのも関係しとるけどこのカッコで駆け抜けるのがええやん?」
「…後で噛む」
「そんなあ」
「むっ…カレンも負けてられないね!次行こ!」
カレンチャン
「…まあ、こうなるとは思とったよ」
「お、お兄ちゃ、フ、フヘヘッ…w」
「これは笑うなって言う方が酷っスよww」
「上は色合いだけ見たら割といいカラーリングですけど腕がはだけてるせいで筋肉質な男の人が着ちゃうとどうしてもアンバランスさが浮き彫りになってまあああああす!!!!!」
「そして下は一応ワンピースタイプだからどうしてもそうなっちゃうよね」ポリポリ
「スイープの時も思とったけどスカートって下スースーすんなあ」
「まあそこは慣れみたいな所もあっからなあ。慣れろ」
「いや慣れるわけにはいかんて…でもまあ、こんなにも強調するというか、自分の存在感を語らずともアピールできるええ勝負服やな」
「おっとー?お兄ちゃんもしかして気に入っちゃった?じゃあさ、今度男の人用にリアレンジしたの作ってくるからお揃いで撮ろ!ね?」
「えー…」
「うる、うる。」
「…まあ考えとくわ」
「!さっすがお兄ちゃん!…えへへ♪」
「ハア。自然とイチャイチャすんの勘弁して貰えないっスかね。ホレ、次行くっスよ」
- 178二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 11:00:13
オルフェーヴル
「何というかアレよな」
「何スか、何が言いたいんスか」
「うん…姉妹揃ってデザインは割と簡素だよね」
「スカートだけど下はスパッツ、上は胸元を少し開けた赤基調のフード付きトレーナーに黒いシャツ。首元から金細工のアクセサリーをぶら下げてるが何よりも特筆すべきは…」
「マスクでええええええええす!!!どうしてわざわざ呼吸器官を制限してる中あんなに圧倒的な走りが出来るんですかああああああああああ!?」
「ウチはコイツがないとどうしても冷静を保てなくなっていらん体力消費に繋がっちゃうからっスね」
「諸刃の剣やからなあそれ。でもオルフェーヴルの爆発的な末脚を上手く使う為に舌鼓で合図送って取るようにしたら面白いくらい勝てるようなったもんなあ」
「いや、聞きたいのはレース時の特徴じゃねえんスよ…デザインは?」
「うん、オルフェーヴルの個性を前面に出したイイものや思うね。個人的にはかなり馴染んでる感があるわ」
「ふーん、そっスか。ふーん」
「素っ気なさそうにしてるけど尻尾ブンブンしてるわよ?」
「嬉しいんでしょうねえ〜…ん、次は私か」ポリポリ
ブラストワンピース
「名前が名前やからね、何となく予想は出来たわな」
「水色を基調としたワンピースに赤い水玉模様が入ってて…あと赤色のダイナマイト柄のアームウォーマーですか?これはブラストの爆裂する末脚と掛かってるのでしょうか」、
「足元には赤リボンを巻いて割と女の子女の子したカッコしてるよね〜」
「個人的にこの緑色の首元にかけてるシャドーロールがいい味出てるわね。でもブラストってなくても落ち着いてるイメージがあるけどいるの?これ」
「それはトレーナーがブーちゃんはこれ付けたら似合うと思うからって自腹で買ってくれたんだ〜」
「何となくこれつけたらメディアのウケも良くなりそうやし一応鎮静作用もあるからこれや!思たんや、実際どう?」
「んー、内緒!でも割と好きだよ、このカッコ」
「皆さん褒められてばかりでズルいでえええええす!!!!次は私の出番でえええええええす!!!」
- 179二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 11:01:57
メイケイエール
「う、動けん…前も満足に見えへんし…」
「プッ、アハハ!アンタこれから拷問でも受けるのかってカッコしてるわよ!」
「緑をメインにした出立ちなのはイイとしてもそこかしこに拘束具があるってなかなかないデザインだよな。この辺とかベルトで固定してるんだろ?」
「これはそれまでの勝負服じゃ心の乱れを制御できない私のためにトレーナーさんが全部自費で取り寄せてくれた私だけの勝負服でええええええす!!!」
「でもでも、結構セクシーなカッコだよね。このベルトとか結果的にエールちゃんの豊満な胸を強調するようになってるし腰元もくびれがあるから出るとこ出てるデザインの極地に入ってると思うな」
「レース前に常にコーホー聞こえてくるダースベイダーじみたいでたちじゃなければ視線を釘付けに出来たかもね〜」パリパリ
「で、感想はどうですか?はい、写真です」
「んー、うお、シスの暗黒卿名乗れそうなカッコやな。まあ、エールの個性と性質を表したええカッコやないか?」
「えへへ…もっと褒めて下さい♡」
「何や足りんかったか?ウチのエールは世界一可愛い!」
「アッアッ♡♡」
「これ以上は文面の絵面がヤバいので割愛させてもらうっス。後でシメる…」
「で、誰のが一番しっくり来たんだ?」
「んー…デュランダルやなあやっぱ」
「まあそんな気はしてたっス」
「中身はともかく、カッコそのものは雰囲気漂ってたもんな」
「うーん、まあそれもあるけどやっぱりこの姿に魅せられ続けたってのもあるんやろか。誰よりも見てきたこの背中に俺は色んなことを教えてもらったから俺もこんな背中を自分らに見せられるトレーナーにならなアカンと思ってやって来たし、今も教えられてばかりや」
「フッ…私とて貴方から受けた薫陶があったからこそ今があると思ってますから。それに、隠し事が出来ない程に私を理解してくれるのは貴方くらいです」
「割とわかりやすいしなあ…ま、それ言うたら俺もデュランダルにはいつも頼ってばっかやし隠し事しようにもすぐバレるしお互い様やな」
- 180二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 11:03:02
「…あーん、あの2人だけの世界にはカレン達じゃまだ入り込む余地なさそうで妬けちゃうなあ」
「三冠ウマ娘になってもまだ足りないって言うんスか…?」
「愚妹、その辺は実績だけの問題じゃねえぞ。見ろよあれ、言わずとも理解し合える関係なんてそうねえぞ」
「…フン。パパと一番長く居られるのはアタシだし。アタシしか知らないパパの良い所だってない事はないし…」
「私も憧れますねえええええええ!!!」
「…あ、一つ言い忘れてた」ポリポリ
「え?何や、まだあるん?」
「優勝した人はその人のカッコのまま一緒に校内を一周するってルールあるんだった」
「え?このカッコで校内を?ホンマに言うてる?」
「ただ着せ替え人形して遊ぶんじゃ面白みねえだろ。それくらいやれや」
「フッ…大丈夫ですよお姫様。私がしっかりエスコートしてみせましょう。何なら姫抱き致しましょうか?」
「いやー絵面がキツイでしょ…」
- 181二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 11:05:08
- 182二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 14:58:18
- 183二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 18:35:48
ぶった斬ってごめんなさい
スレ主なんだけど、次スレ立ててもいいかな?
立てるんだったら次からはナンバリングしようと思うの
個人的には今書いてるSSが思ったより文字数多くなったから立てたい - 184二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 18:41:11
もちろん立てて欲しい!
- 185二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 19:50:31
めちゃくちゃ笑った
「上は色合いだけ見たら割といいカラーリングですけど腕がはだけてるせいで筋肉質な男の人が着ちゃうとどうしてもアンバランスさが浮き彫りになってまあああああす!!!!!」←ここ好き
絵面のキツさを的確に言語化してツッコんでいくエールちゃん最高
ワードチョイスのセンスありすぎだろ
- 186二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 20:15:12
- 187二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 20:22:50
そういえば
池添騎手の関西弁って本人が言ってるんですかね?
最初の方の作標準語で書いちゃってたのよね - 188二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 20:23:20
- 189二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 21:18:19
- 190二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 21:25:38
- 191二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:06:27
スレタイ「ikze「あかん、トレーナー室に酒忘れた…」3(チームikzeの日常)」
注意書き
・実在する人や競走馬をテーマとしたスレです
・ウマ娘化されていない実在の競走馬が多数ウマ娘化されています
・恋愛要素が含まれます
・解釈は無限です
でどうかな? - 192二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:11:02
あくまで扱ってるのはnmmn故に実在の関係者の名誉を著しく傷つける表現や過激な描写は厳禁とかもあった方がいいかな?
- 193二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:19:11
了解です
持ち出し禁止も加えますね
以下の文章と今のスレ画で投稿しますね
チームikzeの概念やSSを投げたり吸ったりするスレです
注意書き
・実在する人や競走馬をテーマとしたスレです
・実在する人やお馬さんへの名誉を傷つける表現や過激な描写はお控えください
・ウマ娘化されていない実在の競走馬が多数ウマ娘化されています
・恋愛要素が含まれます
・外部への持ち出しは禁止です
・解釈は無限です
最初のスレ
ikze「あかん、トレーナー室に酒忘れた…」|あにまん掲示板😓「家で飲もうとして置きっぱにしてもうた…ぱっと見ジュースに見えるしあいつらが万が一飲んだらヤバい…流石にないと思うけどな🚪ガラガラ」😷🧹👗📣💤 🇾🇪⚔️「……………………」😨「……………」😷🧹👗…bbs.animanch.com前のスレ
【完走記念スレ】ikze「あかん、トレーナー室に酒忘れた…」|あにまん掲示板前スレが楽しすぎてテンション上がって完走記念スレ立てましたこのスレのスレ主と前スレのスレ主は違います完全にスレ完走してから立てたので誰にも気づかれずに落ちる可能性あります保守おねがいします前スレ→ h…bbs.animanch.com - 194二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:21:21
- 195二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:51:28
おーええやん
- 196二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:52:18
埋めてええかな
- 197二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:54:01
- 198二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:54:29
はいよー
- 199二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:54:53
うめ
- 200二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 23:55:06
おつかれさんした