- 1◆a6nENK6ygzyC22/05/23(月) 23:57:31
「ココアを持ってきたのだけど。……あなたも飲む?」
新月の日以外にも天体観測──妹の為ではなく、私のための時間──をするようになってしばらく。
最初はトレーナーさん同伴なら門限が延びる、車を出してくれるから遠くまで行けるというだけだった。
自分だけ車で待っていようとするトレーナーさんを釣り合いが取れないと強引に引っ張り出して、隣で夜空を見上げるのが普通の習慣になっていた。
私が教えたこと、私が勧めた本をあっさり網羅してしまったトレーナーさんに、私が話すことはない。到着したら2人で黙って空を見上げているだけの静かな時間。
少し遠慮するトレーナーさんに視線と耳で抗議すると、今度は嬉しそうに受け取る。
……この人は、私が逃げたら無理にでも追ってくるくせに、こちらが寄ると僅かに壁を見せてくる。
理由は、もうわかっている。それを口に出したら彼が困ることも。その根底にある想いを私も共有していることも。
膝に乗せた手を側に下ろすと、彼の手が隣に見えた。広くはない隙間が、確かに壁を主張している。 - 2◆a6nENK6ygzyC22/05/23(月) 23:58:00
私は一等星の側で小さく瞬く星を見つめて。
隙間を埋める様に、2人の手を尻尾で覆った。
私の中で、彼の手がぎくりと固まったが、抵抗はしなかった。
おそるおそる、指先が内側から私の尻尾を撫でる。
毎夜握りしめられて堅くなっていた尻尾は、日常的に手入れするようになって今は触って不快なものではない、と思う。
「しっぽもカワイくしなきゃダメですっ!」とカレンさんに押し切られて良かった。今度なにか差し入れよう。
尻尾の中で、彼の手がわずかに動いた。
私も同じだけ、少しだけ向こうへ動く。
手を寄せて、小指が触れ合った。
そこで彼の手は動かなくなった。尻尾の内で隠れても、きっと今あの人ができるのはここまで。
私はもう一度星を見上げる。
触れた小指を重ねて、向こう側に滑り下ろした。
あの人の手ひとつ分だけ、私の内側。
私の小指ひとつ分だけ、あの人の内側。
ココアがぬるくなるまで、ずっとそうしていた。 - 3◆a6nENK6ygzyC22/05/24(火) 00:01:47
- 4二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:03:54
このレスは削除されています
- 5二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:05:46
スレ画はどのライブの写真?
- 6二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:05:56
スレタイはトレーナーの手とアヤベの手の間の微妙な距離感を尻尾で埋めてるんだな……
わかるか!!! - 7◆a6nENK6ygzyC22/05/24(火) 00:09:02
Unlimited Impactのセンターで最後に階段登る直前だよー
- 8二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:10:13
自己評価が低いな〜…
追加で100点くらいはあげちゃうぞい - 9二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:10:27
荒らしかと思って削除依頼出すとこだったわ!
書いてくれてありがとう! - 10二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:11:53
スレタイ思いつかなかったのか?
- 11二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 00:17:23
この人変なスレタイのバリエーション模索してる……
なんで……? - 12二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 08:38:43
えっちでいいと思います
- 13二次元好きの匿名さん22/05/24(火) 19:35:36
一瞬気づかんかった