- 1二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:02:52個人的金カム三大夢女子おるんかい男子たち|あにまん掲示板個人的なので異論もアリですbbs.animanch.com
これの続き
夢作品の少ないキャラの夢妄想をするスレですが
夢が見たいキャラをリクエストするも良し!
キャラへの想いのたけを垂れ流すも良し!
新たなキャラ夢を開拓するも良し!
好きにやりましょう!
- 2二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:05:20
立て乙
- 3二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:06:04
保守
数多の存在しない(した)記憶が生えてくるスレだぁ - 4二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:08:34
ハイハイ!
犬童夢って存在できますか?! - 5二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:09:17
保守
モブキャラでも背景に説得力あるから過去に夢主を挟みやすいのいいね - 6二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:09:58
やったースレタイ採用された!
たておつです! - 7二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:10:46
保守
いご草ちゃんとの百合夢はありですか......? - 8二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:13:16
前スレの文豪たち…
なんでもありになりがちな現パロじゃなく原作軸で書き上げてるの屈強すぎんか?
いいぞもっとやれ - 9二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:14:36
- 10二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:14:39
- 11二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:14:44
前スレ200誰なのおじさんの夢…
- 12二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:16:16
だってほとんどのキャラにいることが判明したし無いものは作りはじめちゃったし…
- 13二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:27:49
フチの夢を書いたつもりなのに前スレ190でアシリパさん夢と思われたことに遺憾の意
夢ぢからが足りなかったか… - 14二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:28:45
リベンジしてもいいのよ?それだけこの世に夢作品が増える
- 15二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:29:40
誰なのおじさん夢
二階堂視点
同じ病室にも関わらず、誰も誰なのかまるで知らない誰なのおじさんをめちゃくちゃ怖がる二階堂
看護師さんにも誰だったかしら...?と返され、お医者さんにもさあ誰だろうね、と適当に流される(ラリっているので雑な対応をされているが、後になってそういえば誰だ?と思い返す)
ノイローゼ気味になり、窓から入ってきた猫にすらあれだあれ?と聞くようになった二階堂
ある日病院に花束を抱えてやってきた綺麗な女の人に、ノルマのように尋ねると
「ええ、よく知ってますよ。私の夫です」と返される。
二階堂が退院した後、思い出したように尋ねる鶴見中尉。
「そういえば、有坂閣下が見舞いにいらした日に病室にいたあの男は誰だったのだろうな。いくら調べても分からんのだ」
「俺知ってる あの人はあの人の奥さんの旦那さん!」
- 16二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:30:44
前スレ主です立ておつ助かる〜
>>10なんかすごいことになっててワロタ
- 17二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:32:46
<a href="https://twitter.com/hashtag/金カ夢" target="_blank">#金カ夢</a> arsk閣下の誰にも見せない心の弱さを知っている🌸夫人。人知れず苛む彼を支えるのが、私の役目。 — あおはす@後段行きます (aohasu3594) 2022年01月22日
有坂閣下夢女な私オススメの有坂閣下×夢主夫人の夢小説を…。元気な大声おじさんが奥さんの前でしか弱い部分を見せないのが好きなので…。
- 18二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:35:59
前スレで一番ビビったのは鈴川夢でも渋川夢でもなくしれっと語られる土に埋められた和田大尉botの存在だよ
- 19二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:39:02
- 20二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:39:53
こ、ここにいれば通りすがりの文豪が藤次郎さんの夢を書いてくれるんですか…!?
- 21二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:40:11
くっ、誰おじ夢なのに二階堂にときめいちゃう…!
- 22二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:46:54
私は新人メイドになってカエコお嬢様とハマ子さんと一緒にドタバタコメディ繰り広げたいです…
- 23二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:51:47
贅沢を承知で…!
他人の野間くんの夢がもっと見たいので誰か恵んでくれ…!!
・じいちゃんっ子(炭焼きのお手伝いしてた)
・好き嫌いなさそう(あってもマイナー食材)
・いただきます、ごちそうさまちゃんと言う
・最初は無口だけど色々気がついてくれる(親しくなると軽口言うようになる)
くらいしか分からない(幻覚)…野間くんの(幻覚の)解像度をもっと上げたいんだ!! - 24二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 18:57:11
カエコ様は男より女にモテる人だと思う
- 25二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 19:04:59
藤次郎さん夢
菊田家の近所で育った、藤次郎より10歳くらい歳下の女の子
面倒見がよくて優しい菊田兄弟に年の離れた妹のように可愛がられていて、時々わがままを言っては困らせていた
藤次郎が陸軍に入ると聞いて、「とうじろちゃんいいなぁ!私も白いご飯食べたい!お手紙に入れて送ってよお!」と無理を言う
「封筒に入れたら煎餅になっちまうだろ?」と苦笑いされるが、そのかわり押し花や手作りのお手玉を作っては送ってくれる藤次郎
戦争が終わる頃手紙は届かなくなり、藤次郎の帽子を被った杢太郎だけが帰ってきた
散々泣き、自分が言った事をたくさん後悔し、月日が流れ大人になる
太平洋戦争が始まり、家族共々かつてない食糧難に遭った夢主は、中の小豆でも食べれないかと大切にとってあった藤次郎のお手玉を全て解く
中から出てきたのは、きれいに精米された生米だった。
夢主の幼いわがままのために、藤次郎がこっそり軍の厨房からくすねて入れていたのだ。
食卓に白いご飯が並ぶ。おいしいねえ、と家族と笑い合いながら、夢主は少しだけ泣いた。
- 26二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 19:05:38
- 27二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 19:38:20
- 28二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 19:38:47
あぁぁあ~~~(良すぎて情緒が目茶苦茶になる音)
- 29二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 19:51:46
- 30二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 20:04:42
- 31二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 21:09:19
- 32二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 21:42:31
- 33二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 21:52:12
前スレでソフィアはドーラ的な人気ありそうってレスあったけど、フミエ先生もそんな感じだと思う
- 34二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 21:57:54
- 35二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:00:18
新撰組は女の子オタクの夢だからね、仕方ないね
金カムは尾形が好きなのに歴女の自分が若土方さんに萌えてクゥッ・・・ - 36二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:04:24
金カム作画の若ガムシンかわいいよね…
- 37二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:26:43
稲妻夫婦は稲妻よりお銀の方に女性ファンついてそう
- 38二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:33:23
もすパパ他に何があるかなと考えてみたら
息子は戦死嫁さんは旦那の戦死に心を患って早死した高齢の女中さんの孫を引き取って、その後大人になったら音乃進の奥さんのしっかり者のお手伝いさんとして働いたり女学校に行ってバリバリ働いたりして
普段は旦那様呼びだけど墓参りの時だけ子供の頃の平二おいさん呼びになると良いなって所までいった
基本人が良い家族だから関係性萌えは量産できそう - 39二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:42:14
夏太郎夢
小さな牧場を開いた夏太郎は、周囲(牧場で働いてるおっさんたち)の勧めで土地持ちの娘何人かとお見合いをしたが、上手く行っていなかった。
「男前なのに大きな傷があってかわいそうに」
遠回しながらも、どの娘もそんな事を言ってくるからだ。
「男の意地を優先してては結婚などできん」「そもそも女の扱いが分かってない」と考えた周囲は夏太郎を遊郭に連れ出す。
気恥ずかしさから連れを撒いた夏太郎だったが、なにやら大変美しい年上の遊女に「ちょいとそこの傷が男前のお兄さん」と声をかけられ、たじろいでいるうちにあっさり店に連れ込まれてしまう。
完全に主導権を握られたまま一晩開けると、持ってきた額ギリギリのやたら高い値段を請求される。
どうやらかなり高位の遊女だったらしい。
「美人局じゃねえか!!なんで俺に声かけたんだよ!」
「たまには好みの顔の男をからかいたいんだよ。寝て忘れな」
「忘れられる訳ねえだろ」
「そんな金が惜しいかい?」
「俺の傷を男前っつったろ。それがなきゃ絶対ついてかなかったぜ」
赤くなりながら言う夏太郎に爆笑する遊女。それから夏太郎が近くを通りがかるたび、「遊んでくかい?」「遊ばねえよ!」みたいにからかう仲になる。
が、ある日を境にぱったりその遊女を見なくなる。不安に思って店の人間に聞くと、「執着の過ぎた客に切りつけられて顔に大きな傷を作ってしまった。もう仕事にならないが、この店を出ればあの客に安い値段で身請けされてしまうと恐れて辞めることも出来ずにいる」と説明される。
夏太郎はしつこく店に通っていたその客を殴り飛ばし、襖越しに遊女に話しかける。
「こんな汚い傷見たら助けた事後悔するよ」
「俺の傷は男前だって言ってくれたじゃんか」
「あんたのは立派な喧嘩でついた傷だろ」
「この傷をつけたのはあいつと同じような、娼婦ばかり殺してたクズだった。尊敬する人が褒めてくれたから大切になったんだ。俺もお前の傷を肯定するから・・・!」
襖を開ける夏太郎。
「乙女の向こう傷だ!着いて来い!!着いて来てください!!」
土地持ちの婿になるどころか、借金までして傷物の遊女を身請けした夏太郎。
更に波乱が増した人生を、揃いの傷を持つ妻と逞しく歩んでいくことになるのだった。
長くてすまん・・・
- 40二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:52:38
尾形夢か微妙なラインだけど
同じ田舎に生まれた近所のモブ子が尾形に要らないからって一度だけ鳥を分けてもらって、尾形は覚えてないんだけどその子はなんとなく尾形を忘れられなくて
東京に嫁いで年老いて旦那も亡くなって美術館でたまたま見た山猫の死で何故か涙するみたいな
あの方今何をなさっているのかしら、戦争で亡くなられたのかしらって回想するおばあちゃん
知らないところでどこかの誰かの良い思い出になっているっていう定番のモブもの好き - 41二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 22:58:39
すごい…夏太郎の良さを丁寧に抽出して見事に夢に落とし込んでる…
前半は年上のセクシーなお姉さんに揶揄われるかわいい夏太郎
後半は困難な道を切り開き歩んでいくかっこいい夏太郎
アワアワしてる一般人枠と見せかけて実は漢気がある夏太郎の魅力が全部詰まってる
夏太郎夢の神様は本当におわした…
- 42二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 23:06:05
野間と同じ村に住んでいる女の子。
同世代の子と遊ぶより祖父と山に入って仕事をするのが好きな野間とはあまり関わりがないまま育ってきた。
15歳くらいのある日、山に山菜を取りに入っていると急に雨が降り出した。
下山出来なくなっていたところ、近くの炭焼き小屋にいた野間に声をかけられ一緒に雨宿りする。
話を振っても相槌を打つばかりで無口な野間に、もしかして私のこと嫌いなんだべ?と聞いてしまう素直な夢主。
野間は急に焦った様子を見せる。「違う!女は喋るのが好きだから、好かれたかったら喋るより喋らせろってじいさんが言ってたんだ!だから・・・」
「したっけ、直明ちゃんは私のこと・・・」
言い切る前に野間は土砂降りの中山を駆け降りて行ってしまい、赤い顔で呆然とした夢主だけが小屋に残された。
みたいな始まり方の野間夢
なんか野間、故郷に結婚の約束してる恋人いそうと思ってた
- 43二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 23:07:25
野間夢じゃー!!(太鼓を打ち鳴らすオタク)
- 44二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 23:22:11
皆んなお金取れるレベルですげえよ…
- 45二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 23:25:40
野間のおじいちゃんそういうこと言いそう(幻覚)
- 46二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 23:34:04
- 47二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 01:25:36
何このスレ……夢読んだことなかったのにこんな時間に全部読んでしまった……
また来ます - 48二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 01:27:40
割と真剣に似おじの夢が見たいです…杉元との関係及び時系列の解釈はお任せで…よろしければ…お時間あれば是非…ご検討を…
- 49二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 04:25:18
- 50二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 06:16:09
>>48 これを似おじ夢と言っていいかは分からないけど、似おじ=ご贔屓様です
「もう少し肩周りに余裕を持たせてもらえますろか」
閉店後の店内で私はこの店1番のご贔屓さんからの注文を受けておりました。
東京は新橋に構えたテーラーで修行をしていた私は師である店主の勧めで、京都に出す二号店を任されることとなりました。
よそものである私どもがやや手狭ながらも洛中に店を構えることができたのは、ひとえに師のご友人であるというこの方のおかげでございます。
ですから写真でしか見たことのない方の背広を仕立てるという奇々怪々なご注文にも喜んで応じておりました。
その写真の男はかつてこの京の街を我が物のように闊歩したという新撰組副長・土方歳三という男でございました。
ご贔屓様はご幼少のみぎり、まだ浅葱のダンダラを羽織っていたその男を見かけたことがあったそうです。まるで狼のような男であったととお話しくださいました。
とはいえ東京に生まれ育った私は狼を見たことがなく、新撰組も京の市井の人々には評判がよくなかったようで周りの方においそれときくこともできません。ご贔屓様もそれをお分かりのようで、閉店後に私共の店へ訪れた時にだけ新撰組の話をなさっていました。
試作を含めた数着の背広が出来上がり、お渡しした際に大層喜んでくださったことを今でも覚えております。
それから数年経ちまして、私は所用で東京に出かけることとなりました。
駅に向かう道すがら懐かしい背広を見かけたのはその時でございます。私も職人のはしくれ、己の手がけたものはそうでないものと見分けがつきます。あまり裕福には見えないその青年が着ていた背広は間違いなく私がご贔屓様へ仕立てたものでございました。
いつまでも箪笥の中に仕舞い込まれたままの背広と着る服にもこと欠く青年のどちらを哀れに思われたのか、などとつらつら考えていた私の方へ、青年がふと顔を向けました。
その品さえ感じられる整った顔立ちを見て、私はご贔屓様がなぜこの青年に背広を与えたのか分かったような気がいたしました。
私はその横顔を、まるで狼のようだと思ったのでございます。
- 51二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 06:43:38
- 52二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 06:47:00
アッアッ消えてる…似おじの人生SSめちゃ良かったです…
- 53二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 11:25:54
すげぇ・・・似おじから始まり土方さんが出てきて杉元に終着し、かつ原作の似おじと杉元のスーツエピソードが素敵に昇華されている・・・
さらに原作で印象的な狼というネタを・・・
さてはプロだなオメー(ポプテピ語録)
- 54二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 15:23:26
- 55二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 16:41:19
ちょくちょく教科書に載せてもいいレベルのものが載るのなんなんだ…すげえ…
- 56二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 22:35:33
絶対こんな場末の掲示板よりpixivに載せた方がいいって(理性)
ありがとう…!ありがとう…!(本音) - 57二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 22:38:17
- 58二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 22:41:17
- 59二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 22:46:01
- 605822/07/03(日) 22:51:48
- 61二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 22:55:42
- 62二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:03:28
>>50です、みなさまに褒めていただいてとても嬉しいです
私の金カム初SSです、そして夢SSも初めて書きました…全部似おじに持ってかれた!チクショウ!(◯ガレン風)
図に乗って>>49に投稿した後、夢じゃないな…って消したやつも供養させてください
似おじ自身がテーラーだったパターンです
時は幕末。攘夷か開国か、揺れる京の街を闊歩する浅葱のダンダラの集団。
呉服屋に生まれた似おじはジロジロ見るんじゃないという親の言葉を尻目にそーっと店の入り口から通り歩く彼らを見つめる。
するとまだ幼い子どもであった彼へ1人の隊士が声をかけた。
「危ないから奥へお戻り」
爽やかな男前の笑顔に子どもながら頬を染める似おじ。
のちにその隊士の名前が土方歳三であることを知った時には既に彼らは京の街から去った後だった。
それから時は流れ、呉服屋であった実家は文明開花の流れと共に当時まだ珍しいテーラーへと生まれ変わった。
その店の主である似おじは京の華族から名指しで仕立てを頼まれるほど腕の良いテーラーで、彼らからの注文を受けるために当時としては大変珍しい電話を引くほどであった。
連日訪れる顧客の相手をしつつも似おじは幕末の街を生きた狼のような男が忘れられず、仕事が終わってからのわずかな時間で着せるあてもない幼い頃に見た彼のための洋装を仕立てていた。
そして更に十数年の時が流れ、似おじは関東から来たという1人の若者に出会う。
ツテも金もないというその若者の顔を一目見て、似おじはなんの脈絡もなく、似ていると思った。
幼い頃、店の入り口からそっと顔を出して見つめた男に。
爽やかな笑顔をむけてくれた狼のようなあの男に。
ならばやることは決まっている。
似おじは名前も知らぬ若者を自宅へ招き、そして仕立てたまま仕舞い込んであったあの男のための洋装を彼に渡した。
不思議なことに直しは全く必要なかった。
まるで彼自身へ誂えたような洋装に身を包んだ若者を前にして、似おじは震える声を押し殺しながら微笑んだ。
「似合うてはるよ…」
- 63二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:08:20
- 64二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:09:03
- 65二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:17:48
一言もセリフがない上にビジュアルも不明の存在なのに「いいそう」って思えてしまうのは、野田ニシパの成せる技かね…
- 66二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:28:10
- 67二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:30:48
ありがとう、まさかこんなスレでと思うがどうしよう…ってなってた魂が救われたよ…
- 68二次元好きの匿名さん22/07/03(日) 23:39:21
- 69二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 00:17:49
他人が書いたトニ夢が見たい・・・誰か恵んで・・・
- 70二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 01:24:24
すげえ…なんかもうお金払いたい…
- 71二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 10:46:17
ぱっと見で目につくスレってだいたい伸びてるスレだし伸びてないスレは人知れず落ちるから伸びてるスレばっかに感じるだけで普通は100レス超えの時点で結構凄いことなんよ
掲示板全体の過去ログとか見るとかなりの割合で10いかずに落ちてるからね
過去ログ - 1ページ目過去ログ - 1ページ目bbs.animanch.com - 72二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 16:00:48
名文揃いでめちゃくちゃ嬉しいけどなぜその名文をこんなところに放流しているのかという謎の申し訳なさ
- 73二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 16:26:22
書いてる側からするとここなら必ず反応もらえるのが嬉しいから…
- 74二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 16:29:09
欲しい人は書いてもらえる、書きたい人は反応もらえる、winwinの関係ってやつですな
- 75二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 16:41:36
勇作殿に心底惚れ込んで、それを見抜いた花沢中将に散々利用されるという妄想は夢に入りますか?
- 76二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 16:46:59
- 77二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 16:51:47
- 78二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 19:24:01
智春くんの姉夢ちょっと考えた
あの事件以来、馬を見かけるたびに無意識に睨みつけてしまうも宇佐美にちょっと遠回りしようかと気遣われ少し安心する
でも宇佐美が犯人だとは一生気づかない…みたいな - 79二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 20:49:20
- 80二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 21:35:09
- 81二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 21:37:13
- 82二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 21:58:04
- 83二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 22:51:24
キラウシニシパにご飯半分貰うネタと言葉が通じない頭巾とゃんとお絵かきでやりとりするネタはよく見るよ
- 84二次元好きの匿名さん22/07/04(月) 22:57:17
そう!夢だとだいたいかっこいいイメージがある
- 85二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 07:46:08
「不死身の杉元」
「不敗の牛山」
「屈強な夢女子」
凄い、すごいぞ夢女子 - 86二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 13:42:46
- 87二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 13:55:38
- 88二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 14:10:42
- 89二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 16:31:41
埋められた和田大尉botがある時点でよお…
- 90二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 21:32:16
- 91二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 21:49:04
野間くんは単体よりも「金カムキャラが◯◯だったら~」みたいのによく出てくるよ~
- 92二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 21:56:34
支部によくある「なんか空いたスペースにそっと書かれがちな野間(と造反組)」好き
大抵タグも付いてないから探すの大変だけどあの(あ、居る)感も好きなので悩ましい - 93二次元好きの匿名さん22/07/05(火) 22:32:18
- 94二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 06:29:21
ライフハックありがとう世界が広がった!夢の文化には疎かったので助かる…!
- 95二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 12:18:26
現パロもいいけどここの文豪による原作軸夢がありがたすぎる…幻覚の解像度爆上がる
- 96二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 18:20:48
後世に残すべきスレ
- 97二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 18:55:03
- 98二次元好きの匿名さん22/07/06(水) 22:58:34
そもそもその子らをまとめて幼女枠って呼ぶ文化自体が多分ここ特有のものだからね
(それぞれのキャラを可愛いとか幼女っぽいと思ってる人は他にもいるだろうけど)
恐らくこのスレが発祥でその後他スレでも幼女枠扱いが増えて定着した
『ゴールデンカムイ』に登場する幼女キャラ、みんな可愛いみんな可愛いね ゲンジロちゃんと幼女ダンサーたちがおらんやんけ マタギはお色気枠だから幼女ではない 普段のマタギはそうかもしれんけど幼女ダンサーたちと一緒にいた時は可愛い枠だろ 下半分の様子がおかしい…|あにまんchanimanch.com - 99二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 05:45:14
あにまん民は変態の集まりだからな(偏見)
- 100二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 05:47:00
セリフ無い平之丞あにさあにも夢女子いるのか…もう何かしら一言喋ってるキャラなら夢女子が居るのでは?
- 101二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 05:49:08
兄さあはセリフないけど情報は多いから
何より顔がいい - 102二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 07:39:37
兄さあに恋する鯉登家のお手伝いさん夢とかありそう
- 103二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 11:20:58
だって鯉登くんの兄で鯉登くんを優しげにしたような色白イケメンで年の離れた弟を大事にしてたんだぞ?
これだけでなんぼでも妄想が広がる - 104二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 12:08:58
撃たれても最期まで手旗信号してたモブとか辺見ちゃんに顔面ぶっ刺されたモブとかにも夢女子いる…?ユメショが生えてくる…?(期待)
- 105二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 12:15:22
手旗モブくん凄く好みなのであるなら見たいな~チラッチラッ
- 106二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 20:07:55
手旗モブくん見返してみたら顔が好みだ…
名前すら分からないのにッ…!仕事デキる男!好きになっちゃう!! - 107二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 22:25:09
兄さあは1、2コマしか出てないけど鯉登絡みの二次創作ではよく見る
ポジションがおいしい
一緒に海を見に行きたい - 108二次元好きの匿名さん22/07/07(木) 23:02:45
あくまで杉元佐一が主人公として描かれたのが本編であって
描かれてないだけで名も無きモブたちにもこれまでの人生とかこれからの未来があったんだよなぁ…と思えるのがすごい
あと第七師団のモブたちがシンプルに強いのいいよね…せめて道連れにしようと覚悟ガンギマリなとこ怖かっこいい - 109二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 07:04:43
- 110二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 09:37:30
宇佐美の目の前で鶴見中尉が弾丸に撃たれそうなのを察知して突き飛ばして庇うモブ一等卒になりたいし宇佐美に向かって「あなたの一番大切な人を守ったのはこの私ですよ、忘れないでくださいね」って言って息絶えたい
- 111二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 19:47:50
谷垣を追っている途中のリュウに自分の今日のごはんあげちゃう通りがかりの人になりたい
リュウは人から貰うより自分で調達する方を選びそうだけど - 112二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 19:52:27
最後まで職務を全うする男気と軍帽からチラッと見える三白眼がたまらないよね手旗くん
手旗くんの良さを分かってくれる人がいて嬉しい - 113二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 20:16:55
読み返してて気づいたんだけど片方の旗(赤い?)なんか滴ってる?…まさか血?即席で血染めして旗作ったのか?…ヒエ(コワカッコイイ)
- 114二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:30:53
遅ればせながら考えてみた手旗モブ夢
「父親を亡くした子供達、息子を亡くした親達、夫を亡くした妻達に長期的に安定した仕事を与える」
あの日小樽であんたは確かにそう言った。
信じていいんですね?鶴見中尉殿。あんたを信じて敵の塹壕に飛び込んだあいつは死んだ。兄貴を信じたあいつの妹は、今も旭川の山奥のサナトリウムで、少ない貯金を削りながら療養している。
あの子の治療費を稼いでやれる未来を、あの子が延命できる未来を信じてもいいんですね。
信じられる理由が俺には必要なんだ。兵隊なんて好きでなった訳じゃない。通信兵を選んだのだって、隔離部屋の窓越しにしか会えないあの子と、どうにか話そうと覚えたあれやこれやが役に立ったって、それだけだ。
穏やかに晴れた空の下に、血と臓物の雨が降る。
目下の地獄と細い命綱で繋がれた気球が、静かに俺を見下ろしている。
『あれは水素で浮いているから攻撃には使えない。偵察用だそうだ』
『いっそ観光用にしてしまえばいいのに。乗ってみたいわ』
手振りだったか、紙飛行機の手紙だったか、言葉を交わさない言葉でかつてあの子はそう言った。
信じていいんですね中尉殿。あの子が生き延びられる未来を。血の雨など降らない空を、気球に乗って飛ぶ未来を。
信じます。信じています。俺がいなくなったその先で、あの子が笑っていられる事を。
旗を握り締め、俺は気球に向かって両の手を振り上げた。
- 115二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:34:46
あっあっ手旗くん・・・ありがとう、ありがとう・・・
- 116二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:36:22
手旗くん情報が少なすぎて考えあぐねていたんだけど皆さんがたくさん情報くださったおかげで書けました……ありがとうございます
- 117二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:37:28
手旗君視点なの新鮮でのめり込んじゃった
かっこいい…けど切ない
なんとか相手の子が救われてほしい
素晴らしいSSありがとう - 118二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:40:58
- 119二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:46:26
- 120二次元好きの匿名さん22/07/08(金) 22:55:46
すごい…軍帽の鍔越しからあの目で鶴見中尉の演説聞いてるのが浮かぶわ…
存在しないはずなのにあまりにも説得力ありすぎる過去をお出しされて感動した…お前が主人公だ手旗くん…死ぬな…死んだ…悲しい…
あの死に方だから印象に残ったのもあるけどこうやって見るとつらいね…いい夢小説でしたありがとう
- 121二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 07:03:51
- 122二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 15:10:49
この手旗君を読んでから鶴見が満洲へ逃げようとしてたのを思い出して、和田大尉の気持ちがとてもよく解った
理想の上司は和田大尉の方だわ……
そりゃファン多いって - 123二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 19:51:59
みんな誰かの息子で、誰かの恋人や夫で、誰かの父親だったんだな…と考えてしまってしんみりする
いい夢だ… - 124二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 20:02:10
- 125二次元好きの匿名さん22/07/09(土) 22:09:17
出産回の時コタンで良い潰されて寝ちゃってた見張りの兵士にもいろいろあったんだろうなって考えてしまう
- 126二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:19:16
榎本武揚夢
奥さん視点
私ね、知っていましたよ。
あなたは本当はすごく心が細くて、不安と後悔でいっぱいの人だって。
いつでも新しい環境にえいやっと飛び込んでいくくせに、すぐ不安になって振り返ってしまう人だって。
共にオランダを目指して船に乗ったあの夜、果てのない大海原を見つめていたあなたの目。向けられていた方向が元来た日本の方角だって、知っていましたよ。
あなたは見栄を張って、「ほらあれが北極星だ、昔はあれを道標に航海をしたんだ」なんて誤魔化していらしたけど。大陸が見えた時の、親を見つけた迷子のようなあの笑顔も、等しく忘れられません。
ある時からあなたはずっと後悔しているように見えた。ご飯を食べていても、書斎で書き仕事をなさる時も、ふと顔を上げては夜の海を振り返った時のあの顔をする。
函館で何があったのか、あなたはあなたの口から教えてくださることは、ついぞありませんでしたね。
知っていましたよ。私ではあなたの不安も後悔も、拭って差し上げることはできないと。
あなたにとって私は目指すべき大陸ではなかった。あの安堵の笑顔は、私では決して引き出すことはできませんでした。
あなたがようやく、憑き物が落ちたような顔をするようになったのはいつだったか。
あの長い、妙に重たい包みが送られてきた時だったか、しゃんとした顔の兵隊さんと可愛らしいアイヌのお嬢さんが訪ねてきた時だったか。何をお話ししたのかは存じ上げませんが、私はあの時心から安心したんですよ。「ああやっと帰ってきた、私のご主人が函館の戦場から帰って来た」って。
長い航海でしたか。あなたにとっての大陸はきっと、あのお二人だったのでしょうね。長い後悔の果てにあなたが安心にたどり着けたことを心から嬉しく思います。
ねえあなた、釜次郎さん。私は上手くやれたでしょうか。
目的地になれないのならせめて、あの北極星になりたかった。船上で、あるいは戦場で、あなたを照らしていたかった。不安の中のあなたに見栄を張らせるくらいの存在でありたかった。
ご飯のおかわりをついだ時、書斎にお茶を運んだ時、暗い海を振り返った時の、あの強がったあなたの笑顔を、私は愛していたのだから。
- 127二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:24:01
このレスは削除されています
- 128二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:30:42
- 129二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:36:18
- 130二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:44:10
このレスは削除されています
- 131二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:47:25
- 132二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:50:03
- 133二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 00:54:58
- 134二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 06:52:03
保守
栄養豊富なスレだ - 135二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 10:16:21
- 136二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 10:32:15
- 137二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 18:33:45
保守代わりに裏話というか書ききれなかったネタを・・・
手旗モブくん夢
・サナトリウムに入ってる女の子の病気は結核です。「結核で恋人と離れ離れになってしまう」「治療費を稼ぐために争奪戦に参加する」というところを杉元と被せてます。
手旗くんは治療費を仕送りするために彼女のお兄さんと一緒に入隊したんでしょうね。
・「旭川の山奥のサナトリウム」に入ってる彼女と気球を見ながら話してますが、この気球は白石奪還の時に杉元達が奪ったまさにあの気球です。手旗くんはあのシーンの一部始終を彼女と一緒に見たかもしれません。
榎本武揚夢
・「長い航海」と「長い後悔」、「戦場」と「船上」をかけてます。書いた本人が言うな。
・榎本武揚はオランダ留学した経験があり、留学生仲間の妹さんと結婚しましたが、留学したのが妹さん本人と勘違いして書いたネタです。バカヤロ。でも金カム世界だし奥さんともっかいオランダ行ったとかあってもいい。ごめんなさい。
- 138二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 18:43:16
裏話嬉しいです
気球はやっぱりあの気球だったんですね - 139二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 18:54:57
裏話ありがてぇ…ていうか同じ作者さんだったか!
すごいよ…金取れるよ… - 140二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 20:09:42
榎本武揚も戦場から心が帰れない1人だったんだな……
- 141二次元好きの匿名さん22/07/10(日) 20:22:02
なぜ屈強な夢スレで榎本武揚ってこんな人物だったのかの解像度が上がる…!?
めっちゃよかったです - 142二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 03:13:32
熊岸長庵が結構好きなのであったら読んでみたいな
- 143二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 06:39:54
最近になって色々発見された犬童にも…ある?
- 144二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 09:33:30
あのスレ見てたら鈴川はアリな気がしてくるマジック
- 145二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 14:03:06
犬童夢
犬童は網走には単身赴任中で、東京にバリバリ社交会で活躍してる奥さんがいる前提で読んでください
「最近、どうだ」
帝国ホテルの一階レストラン。煌びやかな部屋の中、彼は居心地悪そうにぼそりと言った。
「あまり。体を壊される方が多いですわ。榎本様も最近はご自宅に篭りがちだそうで」
「そうではない、お前の話だ。…ちゃんとやっているか」
「それは、ええ。でも興味がない事を無理に聞く必要ありませんよ」
彼とは一応夫婦の身だが、一緒に暮らした時間はあまりにも短い。家同士を結ぶためだけの結婚で、彼には兄も甥も大勢いるので子どもを作る必要もない。
冷え切った夫婦と言われればそれまでだが、誰にも気を使わないこの生活を私は気に入っていた。
「わざわざ地の果てから帰ってきたのだ、近況報告くらいせんか。…ひどい味だな、やはり洋酒は好かん」
一口だけ飲んだワインを女給に下げさせる。
「外では相変わらず飲めないふりなさってるの?」
「飲めると付き合いが面倒だ。わざわざ隙を見せる必要もなかろう」
犬童典獄は下戸である。将校様方がそう思い込んでいる中で、この秘密を知っているのは私だけ。互いに愛も関心もない私達を酒だけが夫婦たらしめている。
「今年もひやおろしを送りましょうか」
「黒霧島を頼む...が、あれは何だ、香水瓶に入れて送ってくるのは辞めろ」
「お酒と思われない方がいいかと思いまして。最近婦人会で流行ってますのよ。妻が酒を飲むのを嫌がるご主人がいるから」
「私の荷物は調べんよう言ってある。典獄に囚人のような真似をさせるな」
その年のひやおろしは絶品だった。でも、彼が飲めたかどうかは分からない。網走へ送った数日後、彼は、四郎助様は亡くなった。
「ねぇ、私の方からは秘密を話したこと、ありませんでしたね」
「ずっと想い合っていた男の方がいるんです。生活もあるし、今度その方と再婚するんですよ。……まあ、不貞でした」
「でもおあいこです。気づいていましたよ、貴方が網走から離れたがらない理由。私と同じだったんでしょう?離れたくない方がいたんでしょう?」
仏壇に飾った祝言の写真。当然、彼は答えない。
「次の旦那様は本物の下戸なの。妻が飲むのも嫌な人みたい。だから私、飲むのはこれっきりよ」
写真の前に供えた黒霧島に、かつんと自分のグラスを重ね合わせた。 - 146二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 14:05:35
- 147二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 14:08:11
- 148二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 14:08:50
このレスは削除されています
- 149二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 14:10:18
- 150二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 14:13:19
- 151二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 17:14:30
- 152二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 17:28:56
まじだ!酒っぽい
顔がこわい - 153二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 18:07:25
- 154二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 18:39:45
熊岸長庵夢 長いので2回に分けます
この小学校は開校された当時、2人しか先生がいなかったんですよ。
1人は言わずもがな、この私です。音楽の先生でした。私が子供の頃は実家がかなり裕福で、オルガンが弾けたんです。子ども達に歌を教えてました。
もう1人が校長先生の熊岸先生。美術の先生で、日本画家をされている方でした。
熊岸先生のお家はこの村一番のお金持ちで、先生はとても学のある方でしたから、小学生の授業くらいなら全教科教えられました。小さいけど賑やかな学校でしたよ。
熊岸先生は私にも子ども達にもとても優しく接してくださって、正直にお話しすると、私は惹かれていました。天気のいい日に校庭に出て、私がオルガンを弾き、子ども達が歌い、熊岸先生がその風景を絵に描く。そんな平和な時間が一等幸せで、ずっとこんな風に暮らしていきたいと思っていました。
でも、熊岸先生は根っからの芸術家タイプで、情熱的な人でしたから、平和な田舎の生活では本当に幸福にはなれなかったんでしょうね。日に日に授業を休んではアトリエにこもって出てこない日が続きました。「本物の作品が作りたい」、そう仰っていたんです。
長雨の降る日でした。ずっと出勤してこない先生が心配になって、ご自宅に伺ったんです。
離れのアトリエから出て来た先生は、もう何日も寝てないように見えました。目を血走らせて、髪もばさばさで、私と顔を合わせるなり、肩をがっと掴んで言うんです。
「君を描かせてくれ。それしかないんだ。君が私を救ってくれるはずなんだ。きっと本物が描ける」
私は若くて臆病で、薄情でした。「何を仰ってるのか分かりません、離してください」そう言って先生を突き放して、逃げ帰ってしまったんです。(続く)
- 155二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 18:40:44
熊岸長庵夢(続き)
それからは有名ですね。先生は間もなく荷物をまとめて村を出て行き、しばらくして紙幣贋造で捕まりました。樺戸の監獄に入って、そこで亡くなったそうです。
先生はやはりおかしくなっていた、だからあんな罪を犯したんだ__ずっとそう思ってました。この絵が送られてくるまでは。
これは先生が亡くなる前に獄中で描いた物だそうです。典獄の方が交代した際に送ってくださって、今ではこの村のお寺に飾られているんですよ。
観音像と思われていたんですが、違いました__弁財天です。音楽と勉学の女神。見た時、息が止まるかと思いました。
この顔、私なんです。
もうこんなに年を取ってしまっては、見比べようもありませんけどね。当時は本当にそっくりだった。
先生はずっと私に救いを求めていた。一時の狂気ではなく、死ぬまで抱え続けた思いだったのだと悟りました。
あれからずっと後悔ばかりしています。
私はただの、田舎の小学校の音楽教師です。女神なんかじゃありません。熊岸先生1人さえ救えなかった。
救えた可能性があったのに。あの時先生に、「分かりました、好きなだけ描いてください」って言えば、少なくとも先生はあの絵を獄中で描くことなんてなかったのに。何日でも何年でも、私を前にして描いてくれたかもしれないのに。本物の作品が作れたかは分からないけれど、ずっと一緒にいられたのに。
先生は狂ってしまったんじゃない、私が狂うしかない道に突き落としたんだ。
熊岸先生、ごめんなさい。私もずっと、あなたのことが好きでした。
- 156二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 18:45:20
- 157二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 21:18:57
- 158二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 22:03:40
- 159二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 22:25:40
これずっと同じ人が書いてくれてる?
なんか凄すぎてここだけに留めて大丈夫?ってなる… - 160二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 22:26:19
帝国ホテルや榎本といった原作に登場する場所や人物を巧みに織り交ぜて読者を感嘆させつつたった一コマから得た着想により「犬童は下戸である」という常識を鮮やかにひっくり返してみせた傑作
夢の障害になるであろう犬童土方に執着しすぎ問題も「一枚上手の妻」を組み合わせることによって爽快に解消している
仏壇に飾った祝言の写真!死んだのは「結婚」!
彼女に犬童への愛はなかったかもしれない
だが鳴らす必要のない乾杯音が読後もエモーショナルに胸に響き続ける
とても素敵です!!!ありがとうございます!!!!!
- 161二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 22:44:41
- 162二次元好きの匿名さん22/07/11(月) 23:04:49
1人じゃないです!!!!
似おじ夢を書いたのは私じゃないです書いて下さった方本当にありがとうございます破壊された脳が持ち直しました・・・「杉元と土方の顔が似ている」という一要素で似おじの人生を書き出すのが圧巻です
皆さんの夢妄想感想リクエスト考察リンクもめっちゃ楽しんでますありがとうもっと書き込んでくれていいのよ!!!!
あとここと前スレがなければ金カムのマイナーキャラの夢SSなんて書かなかったしこんな感想がもらえることもなかったので、むしろここで吐き出させてくださいという気持ちです!!
- 163二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 01:49:41
ここに来れば権堂の夢を見せてもらえる可能性があると聞いてやってきたのですが、全部クオリティ高くて腰抜かしてます なぁにこのスレぇ…
- 164二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 08:43:06
保守
一コマでも写っていれば夢が生えてくる!すごい!
存在しないのに存在する記憶が浴びられる良いスレ - 165二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 11:21:25
権堂夢
今年もこの村の海岸に、オキゴンドウの群れがやって来る。
オキゴンドウはクジラとイルカ、シャチの間の生き物で、またそのどれでもない半端物だ。デカくて力が強くって凶暴で、この村の漁師の収入源たるマグロを食い荒らすもんだから、めっぽう嫌われていた。でもあいつらは人だって殺すから、なかなか太刀打ち出来なかったんだ。
あの年のオキゴンドウの季節に、権堂さんはこの村にやって来た。今思うと偽名だったんだろう。「あの沖の方で歯見せて笑ってやがるのはなんだ、海坊主か」なんて聞くから、あいつらがどんなに厄介で卑怯な奴らか散々悪口言った上で名前を聞いたら、「権堂だ。俺は権堂ってんだよ」って笑って名乗ったんだから。
権堂さんは流れ者で、人を殺して逃げて来たとか、嫌な噂のある人だった。でも当時10歳だった私はよその人が物珍しくて毎日くっついて回ってた。話す分には、普通に穏やかな人だったし。
「あいつら凶暴なくせに群れで狩りをするんだってな。野良犬とか狼と一緒だな。一匹ではせいぜい乱暴に暴れて、人間様に狩られるだけだが、強くて賢いお頭がいれば途端にできる奴らになる。俺は少し、その気持ちが分かるよ。1人で生きるってのは寂しいだけじゃなくて、難しいことなんだ」
なんの話をしてるのか、聞いた当時は分からなかった。オキゴンドウの群れが海を渡って行った日、権堂さんも警察に追われてこの村を去った。
権堂さんはどうしてるだろう。捕まってしまったのかな。今でもまだ1人だろうか。それとも強くて賢いお頭や、他の仲間に出会って、もっと大きな悪巧みをしているのかな。
権堂さん、去年から銛打ちを他の村から雇ったんで、この村に来るオキゴンドウは段々減っている。私は今年19になって、もうすぐ子どもを産むけれど、この子はオキゴンドウを知らずに育つかもしれないね。
でもこの子にはオキゴンドウの話をしてやるつもりだ。強くて狡くて寂しがり屋な、海賊達の話をね。
- 166二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 11:27:17
- 167二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 18:43:48
- 168二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 19:08:39
- 169二次元好きの匿名さん22/07/12(火) 23:52:21
保守
- 170二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 02:12:00
オキゴンドウとかサラサラ出てくる金カム夢勢何者なんだ・・・
末長く続いて欲しいスレだわ - 171二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 06:17:50
重要無形文化財なスレだ保守
- 172二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 10:32:44
このSSでオキゴンドウという動物がいることを初めて知った
そういえば○○ってあったな、って切っ掛けになるから教養は大事だよなぁと思った次第 - 173二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 10:52:04
ここでならいいかなぁ!?兄さあの夢を求めても……いいかなぁ……!?
- 174二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 12:13:36
兄さあ夢 また長くなってしまったので分けて投下します すいません
桜島の閑静な住宅街に佇む、旧鯉登邸。一昨年家人の方々が函館にお引越しなさってからは別荘扱いで、お墓参りに帰ってこられる時以外は、この家に人はいない。
この家主のいない家のお手入れをするのが私の仕事だ。
両親を含め使用人のほとんどは一緒に函館へ引っ越して行ったので、この家に出入りしてるのはほぼ、私だけ。
家族と離れてでも私がここに残った理由は、これ…この柿の木があるからだ。
「桃栗三年柿八年なんてゆどん、実際はどうなんじゃろうな」
「そんなら、植えてみますと。あてが世話をしますっで」
そんな会話をしたのを覚えている。今は亡き平之丞様との会話だ。
優しい方だった。八つも年下だったのはあるが、使用人の私を弟の音之進様の次くらいに可愛がってくださっていた。お部屋に柿をお持ちしたら、かかどんには内緒やっど、半分食えと分けてくださるくらいには。そうしてお庭の隅に2人で、こっそり柿の種を植えたのだ。
柿の木は折れやすい。伸びるままにしておくと自重で折れてしまう。納屋から踏み台を出して来て、高枝鋏で伸びすぎた枝を剪定しておく。
「八年経ちましたじゃ。今年こそは食べられるっとね」
実をつけるどころか、芽が出るのも見ないうちに平之丞様は戦死した。この木はその次の春に、入れ替わるように芽吹いたものだ。海軍の人間は長く家を空ける事が多いから、時間のかかる木とは相性がいい、開けている間世話をしてくれる人間がいるのが前提だが__そんなような事を言って笑ったまま、二度と帰って来ない人になってしまった。その頃のこの家の空気の重さと言ったら、思い出したくもない。(続く)
- 175二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 12:14:38
>>174(続き)
音之進様が陸軍士官学校に受かった年に、柿の木は初めて実を付けた。一際形がいいのをお墓にお供えして、お参りに帰って来られた旦那様と奥様、音之進にも剥いて差し上げる。八年振りくらいにこのご家族が笑い合っているのを見た。平之丞様が亡くなってから初めてだ。
それから毎年、平之丞様が亡くなった季節が来る度、柿の木は見事な実を結び続けた。切り倒さなくてはいけなくなったのは、旦那様が亡くなった次の年だ。塀を避ける形で枝が歪に伸びていたため、自重を支えきれなくなっていた。
奥様は地元の職人に、切り倒した木でそれは立派な箪笥を作らせた。その上なんと、嫁入り道具として私に貰って欲しいと言うのだ。
「確かにあてはもうすぐ嫁入りすっどん、いただけもはん」
「あたが育てた木じゃっで。あたに貰うて欲しかど。あん子も喜ぶわ」
涙を流しながらも一歩も譲らない奥様に根負けして、私は箪笥をいただく事に決めた。
最後の年の柿の実は奥様と音之進様と、音之進様の側近の方が召し上がった。平之丞様と同い年の方だそうだ。…そして、私は気付いている。おふたりがこっそり、庭の隅に一粒の柿の種を植えた事に。
たとえ海に沈もうと、あなたの存在が消えてなくなる事はない。いつでも形を変えて側にあり、思い出すたび寄り添ってくれる。優しいあなたはきっとそうやって、常に私達を見守ってくれている。そうでしょう、平之丞様。
- 176二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 12:19:50
- 177二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 12:28:34
昼休みにまたしてもとんでもねぇもん投下されとる…
まじでスレ民何者?存在しないはずの柿の木の記憶が流れ込んできたんだが…
実はただのオタクじゃなくて小説家が娯楽で書いてたりしない? - 178二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 19:02:38
- 179二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 20:03:51
帰宅するまで読むの我慢してよかったこんなの涙腺が耐えられない
この物語の主役に柿の木を選んだ作者の気持ちが幾重にも伝わってくる
平之丞の死の8年後である1902年は奇しくも弟・音之進の人生を劇的に変えてしまった年
桜島の夢主は知る由もないが函館の「事件」がきっかけで一家はまた笑い合えるようになった
柿を食べたら元通り!!!くぅ~~~~~っ!!!!!
平之丞の心を柿の木という目に見える存在に置き換えることによって
死後に平之丞の心が残された人々のなかでどのように生き続けているかを描いている……!
きっと柿の木はまた芽吹いて実を結び誰かの身となるし箪笥も次世代に受け継がれていく
泣きながらこれ打ってるよ
ありがとうございます
- 180二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 20:14:34
一次創作なら商売できるだろこんなん…ヤバ…
- 181二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 20:50:21
単調な思い出話じゃなくて現在の話に繋がってて立体感がある…
こんなクオリティ高いものを投下してもらっていいの…ありがとう… - 182二次元好きの匿名さん22/07/13(水) 21:24:05
感想ありがとうございます!
以下補足というか言い訳
書いた後で「鯉登夫妻に無断で種を植える提案をする使用人の主人公、なかなかやんちゃだな?」と思ったのですが、当時の彼女は13歳だし、兄さあは(桜島大根とからかっていた音之進のような)「やんちゃな子どもに甘めに接している」のが似合う人だなあと思っていたので、そのままにしました。主人公は兄さあとちょっとした共犯関係になる思い出が欲しかったのかもしれません。
彼女の精神的な成長というか変化は、箪笥を受け取るのを遠慮する姿勢に見てもらえればいいなあと思っています。(願望)
- 183二次元好きの匿名さん22/07/14(木) 05:38:53
どこかしらにしれっと残しておいてほしい名文揃い
マジで紙の本でくれ言い値で買うぞ - 184二次元好きの匿名さん22/07/14(木) 15:51:19
保守
クオリティの高いssばっかで読みごたえがある… - 185二次元好きの匿名さん22/07/14(木) 21:29:02
これは良スレ
- 186二次元好きの匿名さん22/07/14(木) 21:37:04
夢に目覚めるスレでは?
- 187二次元好きの匿名さん22/07/14(木) 22:17:13
- 188二次元好きの匿名さん22/07/14(木) 22:28:51
- 189二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 00:53:39
- 190二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 01:31:20
- 191二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 10:29:08
保守
- 192二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 10:45:10
- 193二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 14:54:57
お座敷からの帰り道、私は人目を避けるように大通りから一本外れた路地を歩いていた。夜もだいぶ更けた路地裏は足元さえおぼつかないほど暗いけれど、今の私にはちょうどよかった。
寒さで鼻は赤くなり泣いてぐちゃぐちゃになっている顔など見られたものじゃない。
違う。分かっている。
泣いているから見られたものではないんじゃなくて、元々の私の顔が悪いのだ。だからいつまで経っても贔屓の客の1人さえつかなくて、姐さんたちの席に呼ばれてなんとか糊口をしのいでいる。
くしゅん。
夜の寒さに冷やされ思わず出たくしゃみで、ぐちゃぐちゃだった頭が冷静になる。その途端、この薄暗い路地裏が恐ろしくなった。
こんな、暗い、狭い路に一人きり───。
かさり。
前から聞こえた小さな音に、ひっ…と小さく悲鳴だか息だか分からないものが口から漏れた。
自分にやっと聞こえる程度のその声を、前からやってくる人は聞き取ったらしい。
「若いお嬢さんがこんな暗いところ歩いてるのは感心しねぇな」
うっすらと見える首元の襟巻きの、その特徴的な柄を覚えていた。
「この間皐月亭でご一緒した按摩さん?」
「ああ、三味線がいっとう上手だったお嬢さんか」
「上手って」
「俺たちは目が見えない代わりに耳がいいんだ。誰の三味線が聞いてて一番心地いいか、目の見えるやつらよりも分かってるつもりさ。ちょいと失礼」
胸元で固く握りしめていた手をとられる。
「…按摩さん?」
「指先が大分固いな、大分練習したんだろう?」
優しい声に知らず知らず頷いていた。
大きな音を出す必要のないお座敷では撥を使わず指で爪弾くことの方が多い。
弦を抑える左手と、弦を弾く右手と。私の指先は板張りの床を叩くとコツコツと音がするほど固くなっている。
「俺はお嬢さんの三味線が一番好きだね。まあ何人も知ってるわけじゃないが」
按摩さんの手は分厚くて温かくて優しかった。
自分にやっと届くような小さい声さえ聞き取ってくれた按摩さんなら、お座敷から遠く離れた部屋で施術をしながらでも三味線の奏者を聞き分けるのだろう。こんなに耳のいい人を、私は他に知らなかった。
「ありがとう按摩さん」
「さあ夜は暗い。早くお帰り」
「うん」 - 194二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 14:56:18
続き
小路を走って大通りに出る。
優しく添えられた手の感触を思い出すように両手を握りしめ、体の中から湧いてくる力に突き動かされるようにして私は夜の街を走った。
───ああ、今すぐ三味線が弾きたい。
それから十数年後。彼女は特定のご贔屓を持たず三味線一本で身を立てる芸妓となる。
その素晴らしい腕前を見込まれて呼ばれた座敷に、鯉登音之進大佐がいるのは2人とも知らぬ縁の導きであった。
終わり
わかりづらいですが都丹夢でした - 195二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 15:41:46
- 196二次元好きの匿名さん22/07/15(金) 19:36:29
紳士な都丹さん素敵…いい夢見れましたありがとう…!!
- 197二次元好きの匿名さん22/07/16(土) 00:01:40
命が助かるスレだ
楽しかったよありがとう - 198二次元好きの匿名さん22/07/16(土) 01:57:24
次スレあります?
- 199二次元好きの匿名さん22/07/16(土) 12:43:27
需要はあると思うけど供給が大変そうだ…
あれば嬉しいけどまったり進行だしどちらでもいいと思う
とにかく楽しかったよ…!いい栄養になった! - 200二次元好きの匿名さん22/07/16(土) 12:44:12
200なら屈強な夢女子は歴史に残る