交通事故で3年間の記憶を失ったネイトレ

  • 1二次元好きの匿名さん22/07/19(火) 20:53:13

    「ネイチャ、お疲れ様」
    「くそ~今日のレースは惜しかったな~。もうちょっとで勝てそうだったのに。次は絶対に勝つからね」
    宝塚記念。惜しくも1着に近差で負けてしまい悔しそうにするナイスネイチャ。
    GⅢ、GⅡのレースならば難なく勝ってしまうのだが、GⅠレースになると途端に勝ちが遠のいてしまう、所謂「勝ちきれない」ウマ娘なのだが…
    「ネイチャは凄いよ」
    「急にどうしたのトレーナーさん?」
    「いや、ネイチャは勝っても負けても次のレースに向けて闘志を燃やす前向きな姿勢が凄いなって」
    「そ、そう!?そんな大した事じゃないと思うけど?」
    「ネイチャが思っている以上に凄い事だよ。俺も見習わないとだな」
    「そんな風に言われると照れちゃうな~アハハ」

    夏が過ぎ、オールカマー。ネイチャは見事に1着でゴール板を駆け抜けた。
    「ネイチャ、おめでとう!」
    「まあ、こんなもんですよ~。次も1着取っちゃいますからね~」
    彼女はそう言いながら鞄から何かを取り出す。
    折り紙。彼女はレースに勝つと毎回折り紙でトロフィーを作るのだ。以前、その理由を聞くと彼女は少し複雑そうな顔をして「レースに勝った記念ってやつ…ですかね」と答えた。
    手際良くトロフィーを作るネイチャを見ていると、何だか自分も折り紙のトロフィーを作ってみたくなる。
    「作ってみようかな。折り紙のトロフィー」

    交通事故に遭ったトレーナーさんはアタシとの出会い、思い出を全て忘れていた。最初はショックを受けたけど、トレーナーさんの優しさ、思いやりは何も変わっていなかった。だから、だからこそ、以前のうじうじしていた頃のアタシの姿を見せたくなかった。前向きな姿を見せるようにしてきた。
    「作ってみようかな。折り紙のトロフィー」
    オールカマーの後、折り紙を折っているアタシを見ながらトレーナーさんはそう言った。
    「トレーナーさん、折り紙折れるの?」
    「全然。でも、ネイチャの折っている姿を何回も見ているから何とか…」
    ゆっくりと、何度もやり直しながら紙を折っていくトレーナーさん。
    「…出来た!」
    出来上がったトロフィーはボロボロのヨレヨレ。初めて貰ったあの頃と同じだった。
    そこはドラマみたいに、体が覚えていて上手に出来るんじゃないの?そんな淡い期待を抱いていた自分にクスリと笑ってしまう。
    「トレーナーさん、優しいネイチャさんが教えてあげましょうかー?」

  • 2二次元好きの匿名さん22/07/19(火) 20:54:27

    これは良SS

  • 3二次元好きの匿名さん22/07/19(火) 21:12:30

    よい

  • 4二次元好きの匿名さん22/07/19(火) 21:32:40

    記憶を失った事を逆手に取って「彼女です」と名乗るとか悲しい方に進むネタかと思ったら、予想しなかったぐらい良い物に巡り会えて感動している

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています