【SS】卒業後の再会を経てイチャイチャするエイシンフラッシュとトレーナーさんand more 【part3】

  • 1121/10/13(水) 00:50:10

    ありがとう。皆さんと駄弁りながらだけどパート2も完走できたみたいです。


    このスレは引退の時に思いを伝え損ねたけど、再会後に同棲することでトレーナーさんと燃え上がってしまったエイシンフラッシュさんアンドモアのSSスレです。たまにルドルフとかチャンネーもでてきます。たまに。


    基本的に社会人フラッシュとトレーナーさんがイチャイチャするだけです。歯止めがききづらくなってる二人をお楽しみください。興味があれば過去スレから読んでみてね。


    第一弾

    お久しぶりです、トレーナーさん|あにまん掲示板「ああ、久しぶり、フラッシュ。…そんな風に君に呼ばれるのも、本当、懐かしいな」 トレーナーと呼ばれた男は眩しそうに目の前の妙齢のウマ娘をみる。フラッシュと呼ばれた女性は、懐かしむように目の前の男と視線…bbs.animanch.com

    第二弾

    [SS]卒業後フラッシュとトレーナーさん|あにまん掲示板気がついたら完走してしまったようなので前作https://bbs.animanch.com/board/75583/同じかんじでフラッシュとトレーナーのイチャイチャ話を思いつき次第投下予定。ただ前回ほ…bbs.animanch.com
  • 2121/10/13(水) 00:52:41

    前スレのコメントありがとうございます。


    >>199

    トレーナーさんもヤバイけど大胆水着をあれだけ見せびらかしたフラッシュさんのほうが結構やばいのん…


    >>200

    感想ありがとう。めちゃ嬉しいです。

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 00:52:51

    なんだこの鉱脈!? 勝手に金が湧いてくるぞ!?

  • 4121/10/13(水) 00:57:35

    >>3

    読んでくれてありがとう。

    とはいえ次は流石に完走無理だと思うのでぼちぼちでやっていきます。


    次回投下は夜になるとは思いますがちょいとはやめに次スレという形でつくらせていただきました。ご容赦を。

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:00:42

    10レスまでいけばとりあえず長時間保守できるぞ!

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:02:05

    トレーナーといちゃつくフラッシュは万病に効く

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:02:36

    いつもありがとうございます!

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:02:40

    前スレ完走おめでとう!
    自分のスレでも勝手に祝ったけど、こっちにも保守ついでに

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:03:27

    イチャイチャはいくら摂取しても摂取し過ぎるという事は無い

  • 10121/10/13(水) 01:10:19

    一応まとめ
    ・エイシンフラッシュ
    主人公でヒロイン。トレーナーさんと四年を駆け抜けたものの、引退時に告白できなくて別れたままドイツに帰りマイスターへの道を歩むことに。日本で修行できる機会を与えられ、再度思い出の地を踏む。再会初日から同棲を持ちかけるという恐ろしい行動にでたものの、至って順調にトレーナーさんとの絆を育んでいる。歯止めはききづらくなっている。

    ・エイシンフラッシュのトレーナーさん
    フラッシュのヒロイン。フラッシュと四年の栄光の道を歩むも、その思い出が大きすぎて新たな道を踏み出すことができなくなってしまっていたが、フラッシュとの再会を経て持ち直すと同時に、トレーナーとウマ娘という関係を抜きにしても彼女に惹かれていくことに気がつく。歯止めはききづらくなっている。

  • 11121/10/13(水) 01:10:52

    あ、ありがとう!
    なんか結構みてくれてるのかひょっとして!?

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:10:55

    あと97スレ分頑張ってくれよな!!!!!

  • 13二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 01:15:36

    このスレを見に来るのが日課になってしまったぜ
    体調に気をつけて毎秒イチャイチャしろ

  • 14121/10/13(水) 01:19:03

    ・ルドルフのトレーナー
    教官の立ち位置になっているフラトレの上司的立ち位置の存在。塞ぎ気味だったフラトレの面倒をみていた関係もあり、フラッシュとトレーナーの関係を応援している。それはそれとしてフラトレとは相性がいいので手元に居てくれるとありがたいなとは思うものの、フラッシュと結ばれたらドイツにいくんではという懸念も持ってたりする。

    ・ルドルフ
    ルドトレの関係で希にフラッシュとフラトレにかまう。まだ駄洒落でルドトレを崩すことは出来ていないが、それもまたよしとは思っている。
    イチャイチャを憚る気があるように見えないフラッシュを少し羨ましく思っているが、そのことを旧生徒会メンバーに話したら絶句されてしまった。

  • 15121/10/13(水) 01:25:05

    ・マルゼンスキーのトレーナー
    エイシンフラッシュのドイツ帰省時にふとしたことで出会った人物。本人はマルおね一筋なのでフラッシュとプチデートみたいな形になったことは許して…いや、やっぱり許さなくていいよ。

    ・マルゼンスキーさん
    強烈な人気を誇るレジェンドウマ娘。フラトレもグラビアを所持している。フラッシュからは現役時代は絡みがなかったこともあって凄い先輩くらいの印象だったが、上記のブックがフラトレの部屋にあったことで一躍ヤキモチの対象としてリストアップされることとなる。彼女についての話しはおいおいね!

  • 16121/10/13(水) 06:54:06

    ・フラッシュの勤める洋菓子店の見習い
    フラッシュに叶わぬ願いと妄想を抱く見習いクン。今日も血の涙を流す。トレーナーを死ぬほど羨ましがってる。

    ・洋菓子店の先輩
    フラッシュが技術等を教わる先輩。アドバイスを色々貰ってる。トレーナーさんがヤキモチをよくやく。フラッシュのことは可愛くて才気に満ちた女性として見る一方、トレーナーとの関係をみてあの重さに付き合えるのは凄いとトレーナーに感心している。


    ・エイシンフラッシュの両親
    フラッシュのことを陰日向にドイツから支える両親。トレーナーさんのことは、ファーストインプレッション、秋天での再会、来独時にもてなしたことを通じて、彼が娘と一生をともにしてくれればと思っていた。母はトレーナーとウマ娘という関係の難しさに一抹の不安を持ってはいたよう。
    フラッシュからの連絡で二人の関係が良好になったことは喜ばしいが、ちょっと彼に溺れすぎと釘を刺してもいる。

  • 17121/10/13(水) 07:21:59

    本日の投下も夜になる予定です。
    内容的には今のところは昨日投下の内容の後日談的な形になるかなと。

  • 18二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 16:50:25


  • 19二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 18:35:19

    part3だと!?ありがとう…(成仏)

  • 20121/10/13(水) 20:03:46

    お待たせ。前スレラストのフラトレの続き。今回はフラッシュまわりです。



     ピッと通話を切る音を立てた後、荒い息のエイシンフラッシュはベッドに寝そべり天井を見る。数秒の間の後、声にならない声をあげるフラッシュ。
    「~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
     ばたばたとベッドの上で水着姿で悶える姿は滑稽にも見える。顔を真っ赤にして掌で覆い隠す。
    水着の自撮りにちょっときわどいポーズを愛しのトレーナーさんに送り付ける。下手をしたらトレーナーさんにいやらしい女に見られる可能性がある。いや、本当に下手をしたらか?やってしまった、と水着姿のまま肩を竦めるエイシンフラッシュ。とぼとぼとシャワールームにまで歩いて、汗をさっと流してパジャマに着替える。まずかった。色々まずかった。トレーナーさんの喉がカラカラになるのまで声で伝わっていたから、自身の昂ぶりがエスカレートしてしまっていた。そのくせ、彼に要らぬ一言を言ってしまった。
    「我慢できますよね、帰ってくるまで」
     他はともかく、この一言で彼を煽るのにとどめをさしてしまった感もある。精一杯余裕のある演技をしてしまったが、ひょっとしたら彼には露見しているかもしれない、なんていう考えがよぎる。実質はフラッシュに極限まで煽られた彼に判断能力などなく、耐えるために全神経を集中させるのに精いっぱいであったのだが。お気に入りのグレーのパジャマで枕をかかえてぽふっとベッドに体を沈ませる。まだフラッシュの顔は真っ赤である。エスカレートして煽るに煽った結果、自分のことを結果的に煽ってしまっているという最悪のパターンである。とはいえ、少しだけシャワーで冷ました体を、無理に眠りにつかせることとした。トレーナーさんが悪いんですよ、なんて、自分でもそうではないことを分かっている愚痴を呟きつつ、もじもじとしながら眠りについた。

  • 21121/10/13(水) 20:03:59

    「おはようございます!皆さん」
    「おはよう、フラッシュちゃ…フラッシュちゃん?」
     翌朝の洋菓子店。午前はいつも以上にテキパキとした動きでエイシンフラッシュはケーキつくりに勤しむ。ただいつもの余裕を持った微笑みはなく、無心で仕事をこなしていく。様相としてはルーチンワークの達人といった形にすら見える。
    「なんか、今日のフラッシュちゃん鬼気迫っているよな……どうしたんだろ?」
     微妙に話しかけづらい雰囲気だが、仕事上の問題は今のところない。
    「さぁ、トレーナーさん関連かねぇ」
    「そうかも。彼関連で態度に出易いのがフラッシュちゃん唯一の難点だよなぁ」
     とはいえ、職人として有り余る貢献をしているフラッシュの難点は、店のメンバーから見れば可愛いものではあった。心地よいリズムで仕事を進めていくフラッシュに、他のメンバーもあわせていった。音が鳴りやむ頃に、開店準備は完了である。

  • 22二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 20:14:51

    待ってたぜ
    ベッドでバタバタ悶えるフラッシュかわいすぎか

  • 23121/10/13(水) 20:16:42

     一仕事終えてふぅ、と額の汗を拭うフラッシュ。仕事というのは雑念が取り払えるものである。ありがたいことではある。が、こうして気を抜くと、どうしても変に昂ってしまった昨夜を思い浮かべてしまう。トレーナーさんも今頃大変だろう。いや、大変であってほしい。自分だけがこうだと、完全に卑しい女みたいになってしまう。
    「フラッシュちゃん、お疲れ」
    「ひゃい!?」
     急に声をかけられると、店のメンバーの男性が目を丸くしていた。それはそうである。いつも通りの労いの言葉をかけたら甲高い裏がえった声がかえってきたのだから。
    「だ、大丈夫かい?フラッシュちゃん」
    「は、はい!大丈夫!です!」
     すささ、と何故か距離を取り始めるフラッシュに若干傷つくが、表立ってそういうことはいいづらい。あまりの態度に何かやってしまったのかと冷や汗を流す。
    「な、なんか失礼なことした?俺」
    「い、いえ、そういうわけではないんです。今日は、ちょっと……」
     白い肌を少し紅潮させているのが、どこか艶やかに見える。グッドルッキングを謳われたウマ娘の容色は更にしっとりとした輝きを増しているせいで、慣れていなければ劇物にすらなりうるものである。吐息が少し荒いが、苦しみ故というより違う風に聞こえて、思考がフリーズしそうになる。ヤバい。これはヤバい。が、フリーズしている間にフラッシュはその場を去ったようで、ほっとした半分、残念半分の気持ちに男はなるのであった。

  • 24121/10/13(水) 20:38:04

     すれ違い様に肩がぶつかった程度でもひゃ、なんて過敏な反応をするので、さすがに周囲に心配されるフラッシュ。大丈夫ですから、といいつつ心配半分、妙な色香をそこから感じて困ってしまう半分の周囲の職人たち。ともあれ、今日は店自体は早じまいである。試作の意見交換会が予定されている為である。今回は自分が試作を出す回でなかったことがフラッシュにとっては救いであった。

    「…フラッシュちゃん、フラッシュちゃん?」
    「…ひゃん!?」
     声を掛けられると背中をぴん、として裏返った声を出す。気が付けば試作が前に並べられている。様子を見て心配そうにする先輩たち。
    「本当に大丈夫かい?体調悪かったら無理しないように」
    「は、はい。本当に大丈夫です。体調の問題ではありませんから。皆さんにご迷惑はおかけしません」
     既にちょっとかけているが、そこを突っ込む真似はあえてしなかった。並べられたチョコレートケーキをフォークで一口分のせる。
    「では、頂きます……」
     肌を上気させたフラッシュが目を細めて、フォークを口に運ぶ。普段より仕草が緩慢なのにどこか色気を感じて、周囲も息をのむ。濡れた唇を小さく開けて、舌をちょっとだけ伸ばしてケーキを舌にのせる。そのまま閉じた唇からフォークをゆっくり抜くようにする。ゴクリ、と生唾を飲む音が聞こえる。
    「ん……」
     うっとりしたようにケーキを口に含み、咀嚼する。口に出たのは、単純な言葉。
    「おいしい……」
     陶然とした語調に周囲がさらに静まる。はっと我に返ったパティシエは、フラッシュちゃん、いつもの講評は?と言葉をせっつく。首をこてんと傾げるフラッシュ。やはり尋常のフラッシュでない。これ以上場がおかしな雰囲気にならないよう、皆で帰宅を促すこととなった。

  • 25二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 20:40:25

    かーっ!かーっ!

  • 26121/10/13(水) 20:45:08

    着替えるよう促されて、私服に着替え始めて少しだけ頭が明瞭になってくる。醜態を晒したのも恥ずかしいが、私的な情けない事情によるものだということが流石にフラッシュには答えた。が、このまま仕事していても恐らくまた同じようになってしまう可能性がある。皆に深々と頭を下げつつ、こういうことはないようにします、と告げるフラッシュ。眼福だったから、とか余計なことを言う男には他のパティシエから肘鉄がくらわされつつ、急ぎ足で自宅に戻ることになる。それを見送る店員たち。
    「フラッシュちゃん、今日はやばかったな……」
    「ああ、色んな意味で……」
     明日には治っていることを祈りつつも、先ほどのつややかな仕草を思い浮かべてしまって、正直眼福でした、ごめんなさいという気持ちも抑えがたい野郎どもであった。

  • 27121/10/13(水) 20:54:36

    「……何をやっているんでしょう。私」
     自己嫌悪を深くして、パジャマ姿で枕にぎゅっと抱き着く。珍しく涙目である。明日、明後日はおそらくルーチンの仕込みのみで、専念すれば今日のような醜態はさらさないとは思うのだが、一抹の不安は過る。
    「うう、トレーナーさん~~~~!!!」
     いろんなものを発散したいが、発散できなくて腕をじたばたさせてタオルケットをくしゃくしゃにするだけである。ふぅ、と息をつけば、そろそろいつもの時間である。愛しいトレーナーさんとの会話の時間だ。このままだと色々危険なので、とりあえず昨日のあれはなかったことにならないだろうか。トレーナーさんも我慢の限界がきているはずだ。許してといってくれるかもしれない。うん。変な期待をしているフラッシュに、一通のメッセージが届く。もちろん彼からのメッセージだが、とびついたフラッシュは文面を目にして耳をふにゃっとしてしまう。
    「ごめん、今日はお話できない。君とお話したら、君との昨日の約束破ってしまいそうだから」
     その場にへたり込んだフラッシュは、目じりに涙を浮かべたまま、ベッドの上で膝たちで、独り言ちた。
    「……トレーナーさんの、いじわる……」
     あまりに理不尽なフラッシュの一言は、出張中のトレーナーの耳には届かなかった。

  • 28121/10/13(水) 20:56:01

    了!


    …トレーナーさんを煽るのはほどほどにね!という話でした。
    というわけで今回のスレでもSSを少しづつかいていくからよろしくお願いします。

  • 29二次元好きの匿名さん21/10/13(水) 21:20:08

    俺にも肘鉄頼む

  • 30121/10/13(水) 22:32:07

    >>22

    感想ありがとう。いいよね悶えるフラッシュ…


    >>25

    卑しいというかトレーナーさんを生殺しだよねこれ


    >>29

    感想ありがとう。それが言える君は理性的だから大丈夫なんだ

  • 31121/10/13(水) 23:26:07

    明日も夜中更新予定です。少し穏やかなフラトレになるか、マルおね回想かどっちかになると思う

  • 32二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 08:31:18

    更新楽しみ
    保守

  • 33二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 14:43:27

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:03:58

    >>31

    後者だったら俺たちまで生殺しじゃないですかー!

    でも回想も見てぇ〜…

  • 35121/10/14(木) 20:21:22

    >>32

    >>33

    保守ありがとう!



    >>34

    感想ありがとう!エイシンフラッシュ白ビキニ編はまた今度になってしまうと思います。

    俺の女アピールをせざるをえなくなるトレーナーさん編…

  • 36121/10/14(木) 20:24:07

    今晩分を投下します。
    フラトレですが、出張編ではなくてもうちょっと後のちょっとしたお話です。

  • 37121/10/14(木) 20:32:29

     エイシンフラッシュとトレーナーは当然、毎晩同じ食卓を囲む。トレーナーの用意した食事に舌鼓を打つ。健康に配慮したメニューになることが多く、味付けも少々薄味ではあるが、滋味が深く飽きがこない。舌鼓を打つ彼女だが、ちらりと目の前のパートナーに目線をやると、少しこちらをちらちらと見ながら何やら悩んでいるようでもある。
    「どうしたんですか?トレーナーさん」
    「いや、ちょっとね……」
    「言いよどむなんて珍しいです。何か私に言いづらいことが?」
    「そういうわけじゃないんだけどさ」
     言い淀みながらも意を決したようにトレーナーはちょっと待ってて、と席を離れる。そして差し出してきたのは一冊のパンフレット。それを手に取るフラッシュはどこか懐かしそうだ。
    「聖蹄祭のパンフレット…。懐かしいですね。あれ?でも、残念ながら今年に関してはとっくに終わっていますよね」
     とうに聖蹄祭の季節は過ぎている。フラッシュも日本の地を再び踏むタイミングより前だったので、今年のには足を運べていない。
    「ああ、そうなんだけど、実はさ、来年のことなんだけど」
    「来年、ですか?」
    「君に打診してほしいって依頼が来たんだよ。OBとしてステージに上がって欲しいって」
     いいづらそうにする彼の意外な申し出に、目をぱちくりとさせるエイシンフラッシュ。私が?と自分を指さした。トレーナーはこくんと一つ首を振る。
     

  • 38二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:34:16

    あにまん掲示板唯一の癒し

  • 39二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:36:22

    >>38

    他にも癒しはあるよ!でも私もこのSSは大好きだよ!

  • 40121/10/14(木) 20:58:25

    「うん。チーフに打診してみてくれないかって言われてね」
    「私が、ですか……」
     当然レースのウィナーとして何度となくステージには上がってきたフラッシュではあるが、イマイチ実感がわかない。これが友人であるスマートファルコンに、ならわかる。勝者の凱歌としての、あるいは健闘の証としてのウィニングライヴならともかく、聖蹄祭に求められるのはスマートファルコンのような場を盛り上げ、皆を楽しませるようなステージに自信は無い。
    「いや、もちろん君が嫌だったらすぐに断ることを伝えるよ」
    「いえ、嫌というわけではないですが、何故私が?」
     その問いにトレーナーは不思議そうに首を傾げた後、納得して苦笑した。
    「ああ、そういうことか……。うん、君のステージは、君が思っている以上にずっと魅力的だったよ」
     もちろんグッドルッキングを謳われる美貌のウマ娘である、という点も大きい。しかし、それを差し引いても彼女の実直さの溢れた、清廉さの極みともいえるパフォーマンスに、澄み渡るようなヴォーカルに一番惹かれていたのは自身であるのは間違いないが、多くのファンの心もわしづかみにしたであろう。その走りに秘められた精悍さが、ステージ上の美貌にも十二分に反映されていた。
     真正面から言われて頬にさっと朱が差すエイシンフラッシュ。
    「貴方にそう言われては、自信がない、とは言えませんね。しかし……」
     懸念点はいくつもある。うん、とうなずいたトレーナーは彼女の逡巡を否定しない。
    「そうだね。すぐに答えを出せっていう話ではないし、君が無理をおして、とかそういう形になるのはよくないし、そもそもそういう状況になるなら俺がすぐに断るつもりでいるよ」
    「ありがとうございます。ちょっと考えてみますね」
    「うん、それがいい。決まったら俺に教えてくれ。詳細をもうちょっと聞きたいっていうのであれば気軽に聞けるし聞いてくるよ。取り仕切りはルドルフ会長だし」
    「会長が、ですか」
     自身が在籍していた時もだが、それにしても精力的な会長である。
    「ああ、なんなら直接連絡してきてもいいとは言っていたけど」
     一応連絡先、と聞かされたルドルフのアカウントを設定して、とりあえずこの件については暫く頭の片隅においておくことにした。

  • 41121/10/14(木) 21:33:44

    「やぁ、エイシンフラッシュ、私に連絡ということは、君のトレーナー君から伝えた来年の聖蹄祭の件についてだろうか」
    「はい、打診をいただきありがとうございます。光栄です」
     涼やかでクールな声が電話越しに響く。よく通る声だが、聴いていると心地よさとほどよい緊張感がある。皇帝シンボリルドルフは威容をたたえられるウマ娘ではあるが、それ以上にいたわりの心溢れるウマ娘である。
    「いくつもの栄光を得た君にとってみれば当然のことのように思うが。ふむ、まだ心を決めてくれたというわけではないようだね」
     逡巡を声色に乗せたのを見抜かれたフラッシュは、そのまま思いを伝える。
    「ええ。その、どちらかというと本心を言えば、お断りを考えています」
    「ほう?それはどうして?」
    「ええ、それは…やはり、私はターフもステージも離れて久しいですし、集まって皆さんを落胆させてしまうことになるのではないか、と」
     日々の運動等を欠かしているわけではないが、ダンスもヴォーカルも磨かなければやはり錆びるものである。その状態でステージに上がるのは、かつて応援してくれた人々にも失礼というものである。
    「ふむ、当然の心配だね。でも、一年先のことだ。君の場合、本業もあるからどうしても合間になってしまうのはわかるが、錆をとる為のバックアップは惜しまないつもりだよ」
     もちろん、練習、リハーサルを経て少しでも輝きをとり戻すことは可能だろうが、それはそれで相応の負担となる。トレセン所属時と違い、走りと両立する必要はないにしても、洋菓子店勤務と二足の草鞋でやっていかねばならないので、時間をどうしてもとってしまうことになる。それはあまりフラッシュにとっては喜ばしいことではない。
    「その……やはり、トレーナーさんとの二人の時間を大事にしたいので」
     本音をぽろりと漏らすと、ふむ?とルドルフが意外そうな声を上げる。
    「む、ひょっとして、君のトレーナー君は伝え損ねていたのかな?」
    「え?」
    「……いや、まだそこまで私から話していなかったか。迂闊というものだな。先にこちらの話も通しておく必要があったか。ふむ、時にエイシンフラッシュ、君は聖蹄祭のゲストに呼ばれるウマ娘は、幸せを掴みやすい、なんて巷間で囁かれているをの知っているかな?」
     そう問いかけるルドルフの声の調子は軽かった。

  • 42121/10/14(木) 21:51:44

     フラッシュの耳がぴくっと立つ。いや、彼女自身は現在幸せの絶頂なので、飛びつくところではないのだが、気になりはする。
    「いえ。どういうことでしょうか?」
    「ふむ、だが、ああ、しまったな。このジンクスは特に今の君たちには有効に働きそうにないな。君を釣る餌にはなりえない」
     苦笑を含む会長は持って回った言い方をする。本人はそのつもりはないのだろうが。
    「いやね。幸せを掴みやすい、というのはね。仕掛けがあるのだよ」
    「仕掛け、ですか?」
    「うむ。聖蹄祭に呼ばれるウマ娘というのはね。どうしても一定以上の功績をあげ、巷間に名の知れたウマ娘ということにはなる。ほとんどの場合はそういったウマ娘は、現役時代に専任トレーナーを経たものが多い。更に言えば、引退までの最も長い時間をその専任トレーナーとの時間が占められていた、という場合がこれまたほとんどだ」
     エイシンフラッシュがその例の一人であることは言を俟たない。
    「引退というのはね。そのトレーナーとの関係に一つのケリをつけることになる。それがどのような形になるかはさておいて、だ」
     このこともフラッシュには実感がある。あの時の選択は決して良いとはいえないもので、おかげで長く苦しみはしたが、だからこそ今があるとも言える。不思議なものだ。
    「マルゼンスキーのように生涯を誓い合う仲のようになることもあれば、タマモクロスのように固い友誼という新たな関係を築くものもいる。逆に、それまでを過去の思い出としてしまうことになるウマ娘も多い…君もこれにあてはまるね。まぁ、今の様子は君のトレーナー君からも見てとれるから、真逆にはなるのだが。聖蹄祭にゲストに呼ばれたウマ娘が幸せをつかみやすい、とされるのはね。この最後のパターンにあてはまったものだ」

  • 43121/10/14(木) 22:13:11

    「つまり?」
    「うむ、つまりだな。今の君と同じ状態…というのは憚られるか。流石に君と君のトレーナー君ほどには劇物のような環境に置くことはないのだが。まぁ、つまり今の君にはあまり美味しくもない話だということは承知しておいてくれ。その上でだね。まぁ、数年離れてしまった担当バとそのトレーナーを思い浮かべてくれないか」
    「……はい」
     自身の場合、告白できなかったことの…否、彼と添い遂げられなかったことへの無念が今にして思えばあったのだから、状況を重ねるのはふさわしくないように思うが情景を思い浮かべる」
    「うむ、聖蹄祭のステージとなると、君も懸念したように、やはりそれなりに練習やリハを重ねてステージに立たねばならない。出演依頼をするこちらとしても、当然その為の場は設けることになる」
    「……そうですね。学園の設備をお借りすることができれば、幾分かは感覚を取り戻すための助けになるかも」
    「ああ、それは当然としてだね。こちらは諸事情を鑑みてのことにはなるのだが、練習やリハーサルの為にはトレーナーが必要になるだろう?」
    「……ああ!なるほど」
     ようやくルドルフの言いたいことに納得がいった。
    「そう、つまり、最も招待されるウマ娘を熟知しているであろう、かつてのトレーナーに依頼することになるわけだね。もちろん、現在の担当ウマ娘を優先することになるし、制約はあるのだが、これが旧交を温めるきっかけになってね。加えて言えば、引退しているわけだからしがらみもない。まぁ、それこそ今の君たちみたいなものだよ」
    「現役時代にあった気持ちへの縛りがなくなる、ということですものね」
     ルドルフのいうように、それは実感としてある。遠慮をする必要と、言い訳の必要がないのだ。練習帰りに新たな関係を育むものもそれは少なくはないだろう。そういうことだね。とルドルフは電話越しに頷く。
    「というわけで、まぁ君と君のトレーナー君にとってはとっくにそんなところ過ぎているわけだから、そういう幸せを掴むという点で美味しい面はないわけだが、君のトレーナー君は教官待遇だからね、自由が比較的ではあるがききやすい。というわけでだ、学園としてはターフでの走りの為の、ではないが…」
    「ちょっとだけ、またトレーナーさんに教わる関係になれる、ということですね」
     若干食い気味のフラッシュにルドルフは、あ、ああ、と面喰う。

  • 44121/10/14(木) 22:27:35

    「真っ先にその条件を提示してくだされば、悩む時間を使わずに済みました」
    「ほう、そんなに魅力的な条件かね?」
    「はい。十二分に」
     フラッシュの迫力に皇帝は珍しく押される。優雅な外見に似合わず剛直である、とは誰の評だったかは思い出せないが、適切な評である。
    「では、君のトレーナー君を君につける時間を十分に与えるという条件つきならば、受けてくれるということかな?」
    「はい。私とトレーナーさんで、聖蹄祭を彩って見せますとも」
     誇りに満ちた声色に、ルドルフは来年に期待を膨らませる。
    「比翼連理。羨ましい限りだ。そうそう、ステージの内容についてだが、詳細は追ってとはなるのだが、ある程度自由がきいてね。君と、君のトレーナー君の意見も容れたステージにしたいと思っている。君が来るだけで十二分な目玉ではあるのだが、君には持ち歌がなかったからね。それに代わる大きな目玉も、君の良人ならば考えつくだろう。君の良さをもっとも知っているわけだからね。いや、そういった面は独り占めしようとするかな?」
    「かもしれません。…一緒に住むようになってから、ヤキモチ妬いてくれることも多いですから」
    「ほう、それは本当に羨ましいね。私のトレーナー君もそういうかわいらしいところをたっぷり見せて欲しいものなのだが……」
     そうして夜は、お互いのトレーナーに対する愚痴という名の自慢を重ねることで過ぎていった。翌年の聖蹄祭に至るまでのお話は、またいずれ。

  • 45121/10/14(木) 22:30:11

    了。


    今回は甘さなしの導入みたいなかんじでしたので物足りなかったらご容赦を。
    続きがあれば甘い感じになるかもしれません。

    それではまた明日!

  • 46二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 22:36:14

    WDTといい聖蹄祭といい…さては用語集読み込んでおるな?(知らなかった)

  • 47二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 22:45:12

    推しのSSが毎日投下されることが私の人生にどれほどの彩りを与えていることか……
    いつもありがとうございます

  • 48二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 23:09:12

    >>38

    >>39

    感想ありがとう!フラトレちょくちょくあるからお宝色々ありますよねここ。


    >>46

    感想ありがとう!読み込まなきゃいけないけど読み込めてなかったです…!WDTはアニメ1期から印象的だったのはあります。


    >>47

    感想ありがとう!シチュは変則的ですが、読んでくださってる方がいて本当に嬉しいです

  • 49二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 23:17:59

    今日もありがとうございます(五体投地
    これはフラッシュとフラトレのイチャイチャを見た現役バが、掛かったり気ぶったりするヤツでは…?
    後の甘々に備えよう

  • 50二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 23:30:03

    >>49

    感想ありがとう!

    現役時の衣装でなくて新衣装を考えるけど、なかなか大胆なのはトレーナーさんが首を縦にふらないとかあるといいですよね。

  • 51二次元好きの匿名さん21/10/15(金) 01:36:37

    この二人の惚気合戦とか凄まじい破壊力を感じるのですが
    本日もありがとうございました〜

  • 52二次元好きの匿名さん21/10/15(金) 10:33:47

    保守

  • 53121/10/15(金) 12:05:01

    >>51

    感想ありがとう!

    ルドルフはちょいちょいくらいですが今後も絡ませてはいく所存



    >>52

    保守あり!


    今晩の投下は昨日のを踏まえてのプチフラトレとなる予定です。

    ステージといえばアレ!あんまり強くないトレーナーさんの自制心が試されます

  • 54121/10/15(金) 20:35:14

    お待たせです。
    予告通りプチですがフラトレ。
    来年の聖蹄祭りへの出演をスケジュールに書き加えた後のある日の出来事です。

  • 55121/10/15(金) 20:45:41

    「つ、疲れた……」
     久方ぶりにオーバーワークといった態である。同居人、という言葉よりは愛しい彼女といった方がいいであろう、エイシンフラッシュには帰宅時間を告げてはいた。食事の準備しなくていいし、先に寝ててね、とメッセージを送ったが、その言葉は聞き入れられなかった。夕食はご一緒します、との一言。彼女を待たせることの申し訳なさもあるが、それ以上に彼女がそう言ってくれることを嬉しく思っている自分に気が付く。予定時刻ぴったり、鍵を開けて玄関を開ける。
    「おかえりなさい、トレーナーさん」
     ただいま、というより先に彼女にそういわれるのも、ここでは珍しくない。いつも通り、優しく労いの言葉をかけてくれる彼女に、いつも通り、帰宅を告げる。
    「おかえり、フラ……」
     が、いつもお通りに待ち構える彼女に対して、言葉がつまるトレーナー。瞼をぱちくりとさせて、擦ってから再度、愛しい人を眺める。足先から、頭まで。そうして再び絶句する。
    「お、お疲れ様です…」
     愛するトレーナーの視線を感じて頬を少しだけ紅潮させる彼女。トレーナーが絶句したのは、見慣れない彼女のいで立ち。いや、それなりに見慣れてはいたはずだが、さすがに最近はお目にかかる機会などなかったものになっていたからである。そう、玄関前でトレーナーを待ち構えていた彼女。エイシンフラッシュは今、栄冠の勝負服に身を包んでいたのだから。

  • 56121/10/15(金) 20:52:26

    「え?ええ?」
     声が裏返るトレーナー。いや、なんで。フラッシュもなぜか言葉少なだ。
    「ええっとですね、その、来年の聖蹄祭に向けて、今でも、ちょっと着れるのかなって」
     なぜだか妙に初々しく見えて、トレーナーの心臓は破裂しそうになる。どうですか?なんてその場でくるりと回れば、彼女の故郷の民族衣装をモチーフにしたそれのスカートがふわっと舞う。ほう、とみとれそうになるの半分、もう半分は高鳴りが抑えきれないでいる。
    「い、いや、それは、着れるかもしれないけど……」
     その衣装は純朴で清純な村の娘を彷彿とさせるような、そんな衣装。だが、ちょっとだけあの頃よりも肉付きのよくなった太ももや、やや量感が増す谷間に視線がいってしまう。いかん、これはいかん、とトレーナーは自制心を自分に促す。この衣装は彼女の故郷への想いがのった衣装なのである。
     事実、一年半前まで、彼女がこの衣装でG1のレースを駆け抜け、そしてステージで舞い踊るときには、騎士のような凛とした美しさをそこに見ていたのは間違いない。だが、何故かこの場において、その衣装は別方向、トレーナーの自制心を崩すような方向に作用してしまっている。最低の自分を自覚して、目をそらそうとすると、フラッシュは眉を下げてさみしそうにする。
    「やっぱり、もう似合ってないですかね、これ」

  • 57121/10/15(金) 21:01:45

    「い、いや、そんなことはないんだが……」
     さみしそうにする彼女も可愛い、とあらぬ方向に思考をやってしまうトレーナー。
    「その、似合っているのは確かなんだけど、こう、あの頃に比べるとなんというか……」
     言葉に詰まるトレーナーに対して上目遣いで不安そうに見つめるフラッシュ。少しきつそうになった谷間にも視線が行く。下手したら小悪魔にすら見える彼女を一旦引き離す。
    「と、ともかく、着替えてきてくれないか」
    「え?」
    「こ、これ以上はまずい、本当にまずい」
     いつぞや出張で帰ってきた時に、フラッシュが純白の水着で迎えに来てくれたときは理性をかなぐり捨ててしまって本気で後悔したトレーナーである。トレーナーにしてみれば、フラッシュを愛する時にはそういう気持ちになりたくない面が確かにある。ここではフラッシュ側の意見はさておく。ともあれ、自壊寸前の理性をなんとか保たせているトレーナーに対して、フラッシュは不安を和らげたようだ。
    「そういうつもりじゃなかったのですけど……」
    「そ、それはわかってるけど……。うん。そうだな…」
     ステージの上だと凛として見える、といっても、やはりフラッシュに別離の間の一年半、そしてトレーナーと再びまみえて育んだ生活が、色香としてのってしまって、現役時代にはない方向に見えてしまっているのは確かのようだ。
    「ちょっと、ステージ衣装は考えよう、うん……」
     他の男にこれは見せられない、と決意したトレーナーは、フラッシュと供に新たな衣装をどうするか検討することになるのであった。

  • 58121/10/15(金) 21:02:19

    了!

    本日は短めで。
    それではまた明日!!

  • 59二次元好きの匿名さん21/10/15(金) 21:50:02

    ウワーッ!フラトレ羨まし過ぎる!(見習い並感)

  • 60二次元好きの匿名さん21/10/15(金) 23:25:05

    >> 水着で迎えに来てくれたときは理性をかなぐり捨ててしまって


    まいっちんぐ案件やんけ!今回も下手すれば同じやんけ!

    勝負服はイメ◯ラとちゃうんやで!

  • 61二次元好きの匿名さん21/10/15(金) 23:28:06

    >>60

    ありがとう!僕もそう思うけど、たぶんフラトレが一番そうおもってる!


    >>59

    ありがとう!勝負服はそうではないので耐えたんだ。だけどトレーナーさんとしても大人な新衣装きてほしいという気持ちもあるんだ。


    出張帰り白ビキニお出迎えについては、トレーナーさんが耐えられなくて情けないとする説と、フラッシュがやってることはオーバーキルでは?という説があるんだ。

  • 62二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 08:40:51

    保守

  • 63121/10/16(土) 09:21:17

    朝のプチフラトレ


    トレーナーに促されて、勝負服からパジャマに着替えるフラッシュ。鏡を見るとすこし自分の頬が紅潮してるのがわかる。トレーナーの瞳の中にあった熱情とは別の真摯な思い。現役時代にこの勝負服にかけた思いを今でもしっかり汲み取ってくれてることが一目で伝わった。この人を好きになってよかった、と、何度でも思ったことを、この時も思った。
    「トレーナーさん、愛してます」
    腕を胸のあたりに掲げて、彼のことを想う。それはそれとして、彼の瞳に他の色合いが灯ったのも確かで、それは不快では全然なかったのも確かである。
    「ディアンドルかぁ…」
    ひとりごちたフラッシュは、お気に入りのグレーのパジャマに着替えるとトレーナーの前に姿をあらわした。トレーナーはほっとした表情で迎えた。
    「ん、フラッシュはそれも似合ってる」
    「もう、こちらの方がもう見慣れているのでは?」
    「だっていつ見ても可愛いし…」
    「もう…」
    などといいながら上機嫌のフラッシュは、トレーナーの耳元で愛らしくささやく。
    「今度、勝負服でない故郷の伝統服も、ご用意しますね?」
    「…え?」
    声を裏返すトレーナーと余裕をみせるフラッシュ。
    「伝統服で給仕というのも、トレーナーさんにみせたく思って」
    その台詞を聞いてほっと肩を撫で下ろしたトレーナー。
    「…あ、ああ!そうだよな。楽しみにしてるよ」
    フラッシュはすこしだけいたずらっぽさを混ぜる。
    「ひょっとしてですけど、変なこと、考えてませんでした?」
    「か、考えてない!考えてないって!」
    今日も今日とて仲睦まじい二人であった。

  • 64二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 10:57:08

    助かる…これで今日も頑張れる…!

  • 65二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 11:23:08

    こんなかわいい愛する人が何着てもかわいいのは火を見るよりも明らかなんだよなぁ…うらやましい…

  • 66二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 16:59:29

    勝負服ぴょい…いけませんこれはいけません
    してないけどいけませんよこれは

  • 67121/10/16(土) 20:51:38

    >>64

    ありがとう。ちょっとでも元気の素になるのならこんなにうれしいことはない


    >>65

    いいよね…衣装も。フラッシュは当分新衣装こないだろうけど、何が来るか楽しみ!

    格好いいのも似合うんですよね彼女


    >>66

    ありがとう。民族衣装はいいよね、うん。

    ゲルマンのそういうのちょっと知ってみたくはある。

  • 68121/10/16(土) 21:22:34

    夜のプチフラトレ。
    今日は音楽ネタです。短めの予定。

  • 69121/10/16(土) 21:34:01

     ドライヤーの音が静かに響く。ここの主人であるエイシンフラッシュは、パジャマに着替えて少しだけ口を開けて目を閉じて、トレーナーがじっくりと髪を乾かしてくれるのを受け入れている。寝ぐせ直しを一度お願いして以来、こうしてドライヤーで手入れしてもらうのが癖になってしまっている。現役時代の自分が見たら自堕落、なんて思うかもしれないが、この心地よさには抗いがたい。ドライヤーの音が終わって、つくろうのが終わり、トレーナーが髪から指を離すと名残惜しそうな顔をする。それこそ現役時代より子供っぽく見えるその表情は、トレーナーにとっても一つのご褒美ともいえるものだった。

     今日のこの時間のスケジュールは、ゆっくりと音楽を聴く時間。次はどんな曲を、なんて身を寄せながら聞くフラッシュ。
    「そうだね。コーラス、好きみたいだったから、この間と同じ盤で」
     再生ボタンを押すと、スピーカーからは女性のコーラス。淡々と拍子を刻む楽器に、甘い声に少し低いコーラスが絡む。前に増してコーラス以外はシンプルな曲である。教会で歌われるのが似合うような、そんな曲。

  • 70121/10/16(土) 22:06:22

     聞き耳を立てていたフラッシュが、音が終わると立てていた耳をぴくっとさせる。少し思案顔になるフラッシュの横顔を不思議そうに見るトレーナー。
    「フラッシュ?」
    「いえ、なんというか、どこかで耳にしたことがあるような。雰囲気は違いますけど、曲自体は」
     フラッシュの感想にああ、とトレーナーは納得したようである。
    「うん、そうだね。いわゆるフォークソングの古典みたいなものだから。アメリカのだからそんなに頻繁に聞くことはないかもしれないけど、まぁ耳にするっていうくらいならあるのかも」
    「なるほど。フォークソング…すごいシンプルな詞でしたものね」
    「うん、水を持ってきてくれっていう」
     ざっくり言えばその通りで、農夫が妻の名前を呼んで水を持ってきてくれ、というだけの詞である。そこにほんの少し面白みを覚えてフラッシュは微笑むが、よくよく考えたら昔の歌というのはそういうものが多いのかもしれない。自国のあれやこれやの曲を思い浮かべるフラッシュであった。
    「本来はフォークだしどっちかっていうとギターやバンジョーを抱えて歌うような曲なんだけど、こんな風にコーラスで歌われるアレンジもある」
    「この方がちょっと民謡に近く感じるのかも」
    「ああ、確かに。編曲者の癖はあるけど。同じようにコーラスアレンジされているものが広く受け入れられてるし、突飛な編曲というわけではないのかも」
     そうして流されたのは、同じ曲で、先ほどより多くの声が重なる。声の厚みにリズムを刻むタン、タンタン、という手拍子や靴の音が心地よい。最後まで聞き終えると。フラッシュは一つ頷いた。
    「私はこちらのほうが好きかもしれません。夜中に聞くには先ほどのほうがいいですけど」
     こちらのほうが少し心が躍ります。という言葉に、聞いている間リズムをあわせるようにしていたフラッシュの姿をみていたトレーナーは納得した。

  • 71121/10/16(土) 22:18:07

    「ボディパーカッションだね。うん」
    「ボディパーカッション?」
     聞いてはみたものの、なんとなく言葉の感覚から理解はできる。
    「うん、体を使って音を鳴らす。手拍子とか足踏みとかもだけど、体をこんな風にたたくとか」
     軽く自分の太ももを叩いてみせるトレーナー。ぽん、と優しい音を立てる。なるほど、とフラッシュは頷いた。トレーナーはソファから立ち上がると、えっと、確か、と何かを思い出すようにする。
    「ここで使われいるのは比較的シンプルで、こんなかんじだったかな」
     フラッシュが見つめる前で、1つ1つのシーケンスを思い出す。
    「1が手拍子」
     ぽん、と自分の目の前で掌を叩く。
    「2,3,で胸を軽く叩いて…」
     胸の上部を順番に軽くたたく。4で足踏み、と順々に動作を思い出したり、誤ってしまったのを直したりしながら、だんだんと形にしていくトレーナーを、ぽう、っと見つめるフラッシュ。あえて声をかけることをしない。
    「……と、これで16で、これを繰り返す、と」
    1から8を2度繰り返すのと、トレーナーの立てる音にじっと聞き耳を澄ますフラッシュ。耳がぴくぴくしてるが、トレーナーは気が付いていない。
     次第に波がのってきて、鼻歌を歌いだすトレーナー。

  • 72121/10/16(土) 22:39:07

     トレーナーの小さな鼻歌にフラッシュが無意識に声をあわせる。その瞬間ぴたっとトレーナーの動きが止まる。フラッシュと目が合うと、トレーナーの額から汗がたらりと流れて、顔が真っ赤になる。フラッシュは目線を外さず、ニコニコとほほ笑んでいる。冷や汗を流したトレーナーは、そのままソファに腰かけて顔を隠す。フラッシュにじっと見られていたことが今になって恥ずかしくなってくる。
    「ふ、フラッシュ、忘れて……」
    「?なぜですか?」
    「は、恥ずかしい……」
     軽くこんなかんじ、程度でみせるつもりが、無意識にのってしまったこと。その上、愛する彼女にじっくり見られていたことが今になって襲い掛かってきてぷるぷると震える。部屋に帰りたい。
     そんなトレーナーに、少しこまったような顔ですり寄るフラッシュ。体を密着させて、小さく上目遣いで呟いた。
    「そんな、恥ずかしがることないですよ。…もうちょっとみていたかったのに」
    「……無理。忘れて」
     むー、と頬を膨らませたフラッシュは、ぎゅっと腕を絡める。
    「どうしても、ですか?」
    「ど、どうしても!」
    「そうですか……」
     残念そうにするフラッシュに対して罪悪感を感じるトレーナー。そんなトレーナーの耳元で、フラッシュは唇を小さく動かして言葉をつむいだ。い、や、の二文字をトレーナーに吹きこんだ上、真っ赤になっているトレーナーの頬に唇を落とした。あえなくトレーナーは観念したのであった。

  • 73121/10/16(土) 22:39:57

    了!

    小ネタみたいなかんじですが、皆さんの癒しになれば!
    フラッシュ万歳!!


    ではまた明日!

  • 74二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 22:52:11

    プチの量じゃねぇ!(歓喜)
    これで落ちないヤツいないでしょ…

  • 75121/10/17(日) 00:06:07

    >>74

    ありがとうございます!魔性フラッシュになっちゃいましたね…可愛いからいっか!

  • 76121/10/17(日) 00:10:36

    >>68

    今回の曲はBring Me a Little Water, Sylvieっていうアメリカの曲をイメージしてます。

    ちょっとノリノリになっちゃうトレーナーを可愛いと思ってしまうフラッシュが見たくてこんなシチュに。

  • 77二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 07:24:40

    良い…小悪魔フラッシュも私性合

  • 78二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 14:22:35

    >>76

    洋曲全然知らんからイメージできて助かるぜ…

  • 79二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 14:55:53

    >>78

    ありがとう。フォークの古い曲だしさくっと名前だしとこうかなと思って忘れちゃってたんだ。

    ほんとは二人で仲良くコーラスしながらボディパーカッションみたいな図にしたかったのにトレーナーさんが恥ずかしがっちゃったから…

  • 80121/10/17(日) 19:40:33

    今日はフラッシュのトレーナーさんサイドのお話です。
    昨日が割と甘めでしたが今日は特に甘さはなく。

    トレセン学園での一幕となります。

  • 81121/10/17(日) 20:00:33

     日差しが落ちるのが早くなる中、日が落ちてもまだウマ娘やトレーナーたちの掛け声がトレセン学園には響く。教官として何人かのウマ娘のサポートをしている、かつてエイシンフラッシュのトレーナーだった彼もウマ娘を見守っていた。彼とその元担当バの関係を好ましく思っている人々が気を回してくれているのもあり、かつてエイシンフラッシュの担当だった頃のようなスケジュールになることはほとんどない。だが、それでもこうして教官たちのスケジュールが合わない時や、ウマ娘の要望により残って彼女らを見守る必要が出てくる場合はある。

    「よし、次でラスト!」
     その教官の声に後押しされた黒髪のウマ娘は、こくんと一つ頷いた。さらりと靡く髪が美しい。教官として担当している中では頭一つ抜けた才覚があり、G3で一位という快挙を成し遂げたこともある才媛である。ルドルフのトレーナーと自分が、彼女に選任トレーナーを探してみないか、と打診したが、これは断られている。彼女が才覚を表す前に選抜等でトレーナーを得ることができなかったのは確かだが、オープン戦で上々の成績を得た時点で打診した時、今なら要望者も集まるだろうということで一度掛け合ってみたのだが、その時、彼女にとってこの人、と思える担当と出会えなかったことが後を引いているのかもしれない。少し勿体ない、と思ってしまうのはトレーナーだからこそであろう。ぐん、とコーナーから加速する彼女の姿が見えた。そのままゴールまで減速することなく突っ切る。ストップウォッチを止めた彼女の教官は、よし、とその時間をみて満足気な姿をみせた。時間を告げると親指を立てる彼女に、同じしぐさで返す教官。専任ほどではなくても、確かに互いに絆はあった。

  • 82121/10/17(日) 20:28:14

     十分に整理運動を行ったのを見届けると、よし、帰るか、と一声かける。いつもより負荷が大きいトレーニングを続けたためか、少し体が重そうである。
    「大丈夫か?」
    「ん、平気。そこはちゃんと考慮して組んでくれているでしょ」
     勿論、トレーニングに関しては無理がたたらないようなものを組んではいるが、万が一もある。念のため足を見たところは問題はないが、矢張り疲労がいつもより大きく出ているのは否めない。
    「まぁ、寮までくらいは見届けるよ」
    「……ありがと」
     素直に気遣いを受け取った黒髪のウマ娘は微笑む。教官とともに連れだって寮へ足を運ぼうとするが、教官はあっと、時計を見て表情を変えた。
    「…どうしたの?」
    「いや、ちょっとスイーツをカフェで受け取るつもりだったけどさ」
    「スイーツ…そういえば、教官好きだよね」
    「夕方に受け取り損ねたままで。ま、まぁ後で考えるよ」
    「……カフェに行けばいいじゃない」
    「いや、君を寮に送ってからでいいよ」
    「一口、頂戴」
    「え?」
    「甘いの食べたくなった。私を送るの後回しにする代わりに、一口」
    「え、う、うん……」
     常に見せない推しの強さにひるんで、結局二人でカフェに足を運ぶことになった。

  • 83二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 20:29:35

    これは…

  • 84二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 20:34:23

    おっと!?

  • 85二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 20:35:16

    え、これ教官=フラトレなの?

  • 86121/10/17(日) 20:40:09

     カフェのテーブルには受け取ったお菓子と紅茶が並べられた。少し大きめなので持ち帰ろうと頼んだ時は考えていたが、彼女といただくことになったので、フォークと小皿を用意してもらった。
    「ずいぶん立派なケーキだね、これ」
    「ああ。本当は明日から出す予定みたいなんだけど、特別にね。一応秘密で頼むよ」
    「ふぅん?…って、一口でいいって言ったのに」
    「寄り道させておいて一口っていうのも、なんだか酷い教官みたいだろ?」
     確かにトレーナーの更に一切れ、ウマ娘の更に一口というのは減量中でもなければ少し酷い絵面であることには間違いない。納得した彼女は教官と一緒にいただきます、と行儀よく手をあわせた後、上品なダークブラウンのチョコレートを口に運んだ。
    「……これ、美味しい」
    「うん、本当、流石だよな、これ」
     納得したようにうん、と頷いて舌つづみを打つ教官。ウマ娘はふと思い当たることがあった。
    「……ひょっとして、これ、例の『彼女』の?」
    「……けほ、けほ」
     むせそうになった教官を見て、くっくっと笑いをこらえる彼女。
    「そう、これが教官の『彼女』のね」

  • 87121/10/17(日) 20:56:10

    「……その、そう、『元担当バ』のだよ。エイシンフラッシュが今勤めている店のだ」
     これも一応内密に、と釘を刺した教官。そう、とニマニマしながらウマ娘はケーキを口に運ぶ。
    「パティシエっていうのは本当だったんだね。……あれだけすごい走りを見せたウマ娘だっていうのに、自分の夢でも、か」
     羨ましい、とつぶやく彼女に、教官は何も言えなかった。こうして他のウマ娘を見ると、改めていかにフラッシュが天賦の才というものに恵まれたウマ娘だったかがよくわかる。正直、この目の前にいる彼女でも、このトレセンでも上位の才を発揮しているといってよいだろう。だが、それでも、あの域に届くことは決してないというのは、どうしても実感としてわかってしまう。
    「ああ、別にくさしているわけじゃないよ」
    「うん、わかっている」
    「エイシンフラッシュ、憧れだったからね。私にとっても」
     特に彼女にとって鮮烈だったのは、秋の天皇賞――。あの走りにあこがれはしたけれども。
    「君からそう聞いた時、意外だったよ。スタイルは全然違うし」
    「憧れと適正は違うでしょ。だから、あの人を再現しようだなんて思わないよ」
    「……それが最初から出来てるって時点で、君は凄いよ。あるべきと思った方向に縛られるっていうのは、フラッシュでさえあったんだから」
    「…そうなんだ?」
    「ああ」
     昔を懐かしむ教官の姿を、じっと見つめる彼女。最初、教官として、あのエイシンフラッシュの元トレーナーが自分につくということに驚きはした。彼女の目から見て、目の前の教官には少し影はあったものの、誠実であった。他の教官もよくしてくれてはいるが、不思議なことに彼の態度は自分に落ち着きを持たせるようなものだったように思う。少しの影に、ほんのちょっとだけ苦しんでいた彼が、解放されたように見えたのは凡そ半年前のことである。

  • 88121/10/17(日) 21:10:28

     そこからの彼は、迷いが晴れたようになっていた。不思議に思ったが、彼をつついても曖昧な答えしか返ってこない。が、ある噂によって、なんとなくその原因に推測がついた。おそらくは、教官の元愛バが、この日本に来ているという噂と、直結するのだろう。
    「ほんと、いい顔してる」
    「え?」
     半年前にはそんな顔をするとは思わないくらい、とそのウマ娘は内心でつぶやく。
    「よかったね、『彼女』にあえて」
    「え?い、いや……。その、フラッシュはだな」
    「否定していいの?彼女だっていうこと」
    「う、そ、それは……」
     心底複雑そうな顔を見せる教官。否定は出来ない関係ということだろう。顔を百面相のようにかえる教官が心底おかしくて、ウマ娘は笑いをかみ殺した。が、ふと一つの懸念が頭をよぎると、表情を静かに硬くした。
    「ねぇ、教官」
    「ん、な、なんだい?」
    「辞めるの?ここ」
    「は、はぁ?何を突然」
     突拍子もない言葉に聞こえて、ウマ娘の方に向き直る。
    「だって、エイシンフラッシュって、ドイツでしょう?……ついていかなくちゃ、いけないんじゃない?」
     なんとなく目をあわせづらくて、ウマ娘は視線を背ける。その哀愁を察することはないが、教官は納得したようだった。
    「ああ、そういうことか…。それは心配ないよ」
    「しばらくは教官、続けるってこと?」
    「うん、あと二年はフラッシュもこっちに居るから。今後の身の振り方まで確定したわけじゃないけれど、二人のスケジュールは二人でじっくり話し合って決めるつもりだ」
    「……そっか」
     相変わらず目を背けたままだが、ウマ娘の声色は優しい。教官はそれ以上の言葉をかけることがなんとなくためらわれた。

  • 89121/10/17(日) 21:32:31

     静寂を破るように、教官のスマホが鳴る。勇壮な音にびくっとした教官の顔が若干青い。
    「もしもし、フラッシュ、ご、ごめん。まだトレセン出ていない…。う、うん、次は早めにちゃんと連絡するから。いや、事故があったわけじゃないんだ」
     目を丸くして大慌ての教官にクスクスと再び笑いをかみ殺す。
    「え、なに?いや、その、誰の声って、教官として担当している子のだけど……。ち、違うって、そうじゃないって。え、そういう人じゃないのはわかっていますって?う、うん。それは嬉しいけど。ああ、なんでそんな機嫌が……う、うん、わかった。約束する、今度……」
     暫く弁明に奔走される姿を、そのウマ娘は目じりに涙をためながら見ていた。


    「…ふぅ」
     くたっと肩を落とした教官。ニコニコとしてそのウマ娘は見つめる。
    「エイシンフラッシュさんってさ、結構束縛する方?」
    「い、いや、そういうことじゃないんだ。俺が連絡しそこねたのが悪かっただけで」
     そうは言うが独占欲が相当に強そうなのは見て取れる。
    「早く帰ってあげたほうがいいんじゃない?」
    「それは間違いなくそう……でも、約束だし寮までは送るよ」
    「そ、ありがと」
     そっけない言い方だが、感謝の念は込められている。ゆっくり立ち上がると、少し前かがみで彼女は教官に一つお願いをしてみる。
    「ねぇ、一度さ、あわせてよ。貴方の彼女」
    「……フラッシュと?いや、それは」
    「私のあこがれだしさ、ま、教官に世話になっているって、挨拶しときたいなって」
    「い、いや、それはちょっと出来ないな」
    「そっか、残念……それじゃあさ、私の出てるレース、見てもらうことは?」
    「それなら伝えることはできるけど」
     それで十分、と告げるウマ娘。あの人に比べれば、みっともない走りかもしれないけれど、なんて少し恥ずかしそうに前置きして。
    「彼氏が面倒みてるウマ娘の走り、見せてあげたいじゃん」
     その表情は、どこか不敵にすら見えた。教官は不思議と、彼女がより高いところまでいけるような気が、ほんの少しした。

  • 90121/10/17(日) 21:35:50


    今回はちょっと変わり種で、甘さはなかったけどいかがでしたでしょうか。

    一回は出してみたいと思ったので。


    >>85

    YESです。教官としての担当の一人っていうかんじですね。

    >>83

    >>84

    ちょっと変則的ですが一応主軸はフラッシュトレーナーのつもり、です。


    明日も更新できるといいなぁ

  • 91二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 21:37:15

    このウマ娘ちゃんなかなかやるな

  • 92二次元好きの匿名さん21/10/17(日) 21:46:23

    やっぱりこの娘も黒鹿毛なんでしょうかね…
    嫉妬りフラッシュが見える見える…

  • 93121/10/18(月) 00:10:18

    >>91

    感想ありがとうございます。すごいふわっとした形にはなりますが、トレーナーさんサイドもかきたかったので



    >>92

    感想ありがとうございます。ビジュアルイメージはっきりさせてはいないですけど、もうちょっと特徴かいたほうがよかったかなとは後悔

  • 94二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 02:05:58

    フラッシュの嫉妬はやはり健康に良いな…
    フラッシュサイドも見てえ〜!

  • 95二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 04:56:40

    まぁこの担当ウマ娘ちゃんは心配ないかもだけど、フラッシュもうかうかしてられませんねぇ…ちゃんと目に見える証をトレーナーに着けておいてもらうべきです

  • 96二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 11:05:52

    保守

  • 97121/10/18(月) 12:23:32

    >>94

    感想ありがとう。

    ヤキモチは本編ではみれないからこそ書きたくなるんですよね。



    >>95

    感想ありがとう。このウマ娘ちゃんは安心ですね。当てウマっぽいのはごめん…でも見習い君よりはうん。

    モノに限らず、私の彼アピールするフラッシュは見たいです

  • 98二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 16:26:52

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 20:12:42

    湿度たかたかフラッシュもいい…

  • 100121/10/18(月) 21:29:07

    >>99

    感想ありがとう。たまにはね!


    今日の更新はプチフラトレで昨日の続きとなります。

    それでは今日もよろしく!

  • 101121/10/18(月) 21:35:43

    「ごめん。フラッシュ、本当に、ごめん!」
     帰宅早々床に頭をこすりつけるトレーナー。フラッシュはいきなりのそれに目を丸くする。
    「ちゃんと連絡すべきだった。遅れるって。君に心配かけて……!」
     そんな彼にすっと手を伸ばしたエイシンフラッシュ。かがんで愛しいトレーナーが顔を上げるのを待つ。
    「顔を上げて、トレーナーさん。そんなには怒っていませんから。そんなには」
     ちゃんとちょっとは怒っていると釘を刺しつつも優しい笑顔を見せる愛バに安堵するトレーナー。
    「ちゃんと何が悪かったかってわかってくれていますし、次はもうしないっていうのもわかりますから」
     優しさが身に染みる。フラッシュのその細指をとったトレーナーは立ち上がる。
    「…ただいま。フラッシュ」
    「はい、おかえりなさい。トレーナーさん」
     甘い唇を一瞬だけ重ねたフラッシュは、夕食にしましょうと先にリビングに戻った。遅れてトレーナーもその後をつける。

  • 102121/10/18(月) 21:49:02

     就寝前のひと時、肩を寄せ合う間のことである。
    「でも、本当に良かったです」
    「うん?」
    「いえ、ひょっとして何かトレーナーさんの身にあったんじゃないかと思って」
     フラッシュは心配性だ、なんていう軽口は沸いてこない。約束の時間より遅れることに連絡がなかったら、例えば自分の立場だったらものすごく不安になって、フラッシュと同じように、彼女に急いで連絡を取るだろう。
    「……本当にごめん」
    「そんな、責めてるつもりはちょっとだけしかないですから。でも、電話越しに女性の声が聞こえたときは少々どきっとしました」
     ちょっと声色が湿度を帯びたものになるが、そんなにこちらを譴責するような形でもない。トレーナーにしても疚しいことは何もないのだが、それはそれとしてそう言われるとちょっとグサッとくる。
    「ふふ、わかっています。教官としてお世話しているんですから、それはちょっとテーブルを囲むくらいはあります。私なんて、それこそ現役時代、何度そうしてもらったかわかりませんし」
     フラッシュもほんの少し昔を懐かしむ。あの4年も、何故か遠い昔に思えるような気がしたが、それは彼との関係性の変化というものもあるのだろう。
    「そうだね、やっぱり専属ってなるとそういうのが増えるっていうのはあったのかもしれない」
    「お仕事の日だけじゃなくて、お休みの日も。よくよく考えたら、私ってトレーナーさんに本当にわがままを言っていたと思います。今になってみれば、ですけど」
    「そう?俺は楽しかったから全然そんな風には思わなかったけれど。担当しているウマ娘に楽しんでもらえるなら、それが一番になるんじゃないかな。専属トレーナーにとっては特に」
    「……そんなだから、トレーナーに入れ込んでしまうウマ娘が多いのかもしれませんね」
     私みたいに、とはあえて口にせず、体を寄せ合うことだけで表現するフラッシュに、どうしても照れくささを感じるトレーナー。

  • 103121/10/18(月) 22:00:00

    「あの声の子って、以前おっしゃってた子ですか?」
    「ああ、そうだね。うちの担当の中では一際成績のいい子になるのかな。うん、本当に専属トレーナーがついてもおかしくはないんだけど、今は彼女もこのままがいい、とは言っている」
    「なるほど、このまま。このまま、ですか」
    「フラッシュ?」
    「……いえ。なんでもありません」
     電話越しに聞こえた楽しそうな笑い声。決してそれは彼を嘲る類のものではなかった、とフラッシュの耳はとらえている。少なくとも彼は彼女に悪印象は抱かれていない。いや、むしろ――。
    「フラッシュ?」
     無意識にトレーナーの裾を引っ張っていたことに気が付き、その力を弱める。
    「ごめんなさい。ちょっと妬いてしまって」
    「え?ええ?そういうのじゃ…」
    「わかってます。でも、わかってても妬いてしまうものでしょう?トレーナーさんだってそうじゃないですか」
     軽やかな声につれられるが、確かに自分もわかっていてみっともないヤキモチをフラッシュの同僚や先輩に妬いてしまったことがある。こういう感情は往々に止められないものかもしれない。
    「……その子、手のかかる子なんですか?」
    「え?いや、そうだな……。うん、あえて言わせてもらうけど、全くかな」
     少なくともやりにくさを感じたことは一度もない。指導に対しても素直だし、学業に関しても担任からとやかく言われたことはない。教官という立ち位置だから、専属トレーナーより一歩離れてみているところはある。が、他のメンバーと比較しても素直に導きがいのある良いウマ娘だと思う。

  • 104121/10/18(月) 22:17:08

     そうですか。では、と前置きをしてフラッシュは静かに問う。
    「私はどうでしたか?」
    「君?」
    「ええ、私、エイシンフラッシュは、手のかかるウマ娘でしたか?」
     トレーナーは少々その問いに困惑する。真面目に眉を寄せる。
    「少なくとも、手のかかるなんて思ったことはなかったな。あ、でもそうだな。そういう風に他のトレーナーに言われたことならあるよ。そんなことはないって返したけれど」
    「そうなんですか?」
    「トレーナーとウマ娘の関係も色々だからね。どこも担当のウマ娘に全力を尽くすのは変わらないけれど、外から見るとプライベートも削られているように見えたらしい」
    「……事実、削っていました。ケーキ店巡りだって、本当に何度もお誘いすることになりましたし。遊園地や温泉宿だって連れていっていただきましたし」
    「だから、それは俺も楽しかったからさ。申し訳なさそうな顔はしないで欲しい」
    「いえ、そういう気持ちが全くないわけでもないですけど、それよりはトレーナーさんにありがとうございますっていう気持ちの方が強いです。それに、申し訳ないならもう一つのほうですね」
     顔を赤くして、いつものようにぴんと人差し指をたてるフラッシュ。もう片方の掌の指は、トレーナーの手の甲に重なっている。
    「あの頃より、もっと手のかかる私になっているっていうことです」
     満面の笑みに、思わず抱きしめたくなる衝動をぐっとこらえる。
    「それを言うなら、俺が今、君にとって手のかかる男になっていると思うけれど?」
     くすっと微笑む彼女。こちらは我慢がきかなかったようで、二人の影が重なってしまう。
    「お互い様って、悪くないです」
     これからずっと未来まで重ねていく、「お互い様」を思って、トレーナーは彼女を抱きとめた。

  • 105121/10/18(月) 22:17:49

    了!

    あ、あれ、甘くなってしまったような気がする。

    それではまた明日!

  • 106二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 23:29:05

    フラトレのDOGEZAが様になってきたな〜!

  • 107二次元好きの匿名さん21/10/18(月) 23:48:50

    どんどん甘くしてくれ

  • 108二次元好きの匿名さん21/10/19(火) 08:01:11

    フラッシュに煩わされてぇよ

スレッドは10/19 20:01頃に落ちます

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