【SS】勝負メシ

  • 1二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:16:40


    貸してもらったカフェテリアの厨房から、魅惑的な香りが漂ってくる。

    思わず覗き込み、そこにいる彼女に声をかけた。

    『相変わらず美味しそうに作るんだな、バンブー』

    「あ、トレーナーさん!へへ、もうすぐできるっスよ!」

    その香りの元は、豚丼だった。


    今日の昼前の出来事。

    「トレーナーさん!今日のトレーニング、少し遅れるっス!」

    『別に大丈夫だけど…どうして?』

    普段時間をキッチリ守る彼女が遅れるというのは珍しいことだった。

    しかも明日にはレースが控えているという、大事な日に。

    「ちょっと厨房借りて料理したいんで…その後食べるから少し昼ごはんが長引くと思うっス!すみません!」

    『大丈夫だよ』

    そこでふと興味が出て、聞いてみる。

    『何を作るの?』

    彼女は実は料理が上手い。そんな彼女が何を作るのか、少しだけ気になった。

    「特盛スタミナ豚丼っス!!!明日レースじゃないっスか、だからビタミン…なんちゃらとか栄養とかが豊富な豚丼をいただくっス!!!」

    『勝負メシ、ってことか』

    「その通りっス!!!」

    …明日の昼ごはんは、まだ予定がなかったはずだ。

    『俺もご馳走になっていいかな?バンブーの作る豚丼が食べたくなったよ』

    「もちろん!丹精込めて作ります!」

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:16:55

    「トレーナーさん!できたっスよ!」
    『………ぉお』
    目の前にどかっと音を立てて置かれたのは、巨大な丼に入った豚丼だった。
    その量に驚いていると、もう一度音がする。
    …彼女の分は、さらに多かった。聳え立つ、という表現が似合うほどである。
    「それじゃ、いただきまーす!」
    『いただきます…』

    彼女はガツガツと豚丼をかき込みはじめる。
    一方の自分は目の前の量に若干尻込みしていた。
    ⦅…でも、食べないわけにはいかないよな⦆
    そう思い、まずは一口口に運ぶ。
    『…!』
    しっかりと味付けされた肉に、甘い玉ねぎ。そして香るニンニクが食欲を誘う。
    『美味しい…!!!』
    「ほんとっスか!?へへ、よかったっス!!!」
    そんなことを言う彼女の丼は、既に半分ほどになっていた。

    『ごちそうさまでした!』
    最初は食べ切れるか不安だったが、美味しくて一瞬で食べきってしまった。
    「お粗末さまでした!…美味しそうに食べきってくれて、嬉しいっス!」
    『だって美味しかったからね!』
    「へへっ!さぁ、これで気合いも栄養も満点っス!明日は勝つっスよー!!!」
    彼女の気合満点の叫びが響き渡る。

    『…ああ、勝とう!それじゃあ最後のトレーニング…というかストレッチだけど、しに行こうか!』
    「押忍!」

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:17:44
  • 4二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:38:09

    もしかして料理もできるバンブーはハイスペックなんじゃないですか…

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