一般人千束 リコリスたきな概念

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:23:48

    ■背景


    狂犬レズたきな部part75|あにまん掲示板千束のためならどんな痛みだって我慢できるたきなのスレです前スレhttps://bbs.animanch.com/board/1075452/bbs.animanch.com

    9 二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 07:38:39

    学パロかは分からんが

    千束が普通のJKでたきながリコリス

    千束が悪漢に襲われるところにたきなが始末して二人の物語が始まる的な


    10 二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 07:47:37


    逆パターンもいい……


    Twitterで見たのはfpsゲーマー女子高生たきなが千束の任務に巻き込まれて、なんやかんやあって銃を撃つ羽目になって圧倒的射撃センスを見せる

    →リコリスの仕事見られちゃったし凄い子がいる!ってことでリコリコに連れてこられるたきな

    みたいな奴


    11 二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 07:51:30

    ちょうどいいスレがあった


    普通の女の子の錦木千束|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/thumb_m/979695/1普通の女の子だったらたきなとは会えない軸bbs.animanch.com

    12 二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 08:05:49

    >11

    これ好きだったわ

    途中で落ちちゃったのが悔やまれる


    以上のように普通の女の子である錦木千束概念の話がされていて、途中で落ちたことを悔やむ者がいたため、

    続きを書こうかと書きこんだところ、書けとの返答が何件かあったため書く。

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:25:12

    23:30から投稿予定

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:25:25

    これ好きなんだよね、こいつらの運命力も。千束がたきなにメロメロなのも

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:26:17

    if世界でも引き合う引力良いよね…

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:28:30

    真島さんは前世の記憶がある常連客でいい?
    ちさたきの恋愛バランスをとるために色々と行動してくれる人(間には入らない)

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:31:06

    自由でいいと思うよ

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:39:04
  • 8二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:39:51

    23:30からの投稿は最新話の14話と重ならない?

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:41:39

    >>8

    あーそうかも、まずいなー じゃあいまから書くか


    ――――

    「今日も天気だな……」

     千束は窓の外をベッドに半身起こしながらつぶやく。

     雲を裂くような明るい日差しが地を照らしている。

     遠くにスズメが鳴き、朝靄をかき消していく。


     千束は、大きな街が動き出す前の静けさが好きだ。

     新聞配達の音が聞こえ、子供たちが道路に駆けだす。笑い声。

     肌をつつくどこか冷たい空気。


    「今日は行けそうかも」

     ゆっくり伸びをしてベッドから這い出る。

     ひんやりとした床が心地いい。

     二週間ほど両親はいない。一人きりのダイニングテーブルを占め、千束は珈琲とトーストを齧る。

     目玉焼きは半熟が好き。トロリとした卵自体がソースになって他に味付けはいらないくらい。

     サクサクのトーストがうまい具合にふやけるのも堪らない。

     甘くなり過ぎた口を砂糖を入れない珈琲で締める。素敵。

  • 10二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:42:40

    >>9

     テレビでは桜の満開が伝えられる。いいなぁと横目に見て

    「見に行きたいかも」と誰ともなしに零す。

     自分以外に誰もいないのにやってしまう癖。

     そのうちに、携帯のアラームが鳴る。ぼおっとしてしまって大丈夫なように出発時間五分前を報せる。

     

     千束は制服を着て、教科書とノートが詰まった鞄を背負い、自転車を漕ぐ。


    「おっはよ、先生」

     駐輪場であいさつする。

    「錦木、今日は遅刻しなかったな」

    「勿論! 私は規則正しく元気な子ですから! それじゃあ」

  • 11二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:44:05

    >>10

     高校生活と言えば青春。青春と言えば薔薇色、なんて友達から借りた本に載っていた気がする。

    確かにそうだ。花の女子高生と言えば青春の代名詞と言ってもいい。

     私も薔薇色! と意気込んでいてもそこまで物語にあるような薔薇色はない。

    せいぜい制服のリボンの色がそれに近い紅色というだけだ。

     

     制服、とはいうものの学校側は色々な選択肢を用意していてネクタイやリボン、

    ズボンやスカートのチェックのいろが好きに選べるようになっている。


     導入されて数年も経つと、なんとなくこの色を選ぶのはこういう人、というステレオタイプというか

    暗黙の規則が出来ていてそれから外れると、からかわれるようなこともあった。

  • 12二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:45:52

    >>11

     しかし、千束はというとそんなことは気にせず自分の最も好きな赤色を基調とした服を選ぶ。

     一番人気はピンクなのだけれど。

    何度かピンクにしなよ、

     と「勧誘」をされたが千束はあいまいに断ってそのままであり続けた。


    「あ、錦木さんおはよう!」

    「おはよう、えっと、鈴木さん」


     にっこりと微笑む。隣の席の人の名前も曖昧になってしまう。

  • 13二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:54:02

    >>12

    「井ノ上たきなです。本日から配属となりました……。

    この現場にはファーストがないようですが支部として成立しているのですか?」

     

     仲間を救うためとはいえ、待機命令を無視し、独断専行で機関銃を敵に乱射し証人となる商人を殺し

    あまつさえ改悛の情を見せなかった、たきなは懲罰として名誉ある本部から離れされられ、島流しと相成る。


     そこは小さな喫茶店で構成員はDAの職員(退職済み)、DAの訓練教官(退職済み)しかいない。

     たきなは自分のしたことの重大さを今更実感する。

     しかし落ち込んでばかりはいられない。この現場でも自分を高めて本部への復帰を果たさなければならない。

  • 14二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:59:07
  • 15二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 22:08:02

    >>13

    この現場は本当に静かだ。日誌を見せてもらう。


    近所の暴力団事務所への盗聴、報告書の提出。

    港が近いので、その周辺で密入国、密輸の拘束、DAへの送付、尋問依頼。

    たしかに、この地域で潜伏する意義はあるようなのだ。


    しかし、隊を組んで大捕り物に慣れ親しんでいたたきなはもう既に飽きを感じていた。


    DA本部でも使わないようなレーザー盗聴器を使用して暴力団事務所を盗聴するが

    毎回毎回、つまらない事務の話ばかりであるし、抗争の雰囲気すらない。


    密入国者は殆どないし、いるとしたら大人数だからそれこそDAの役目だ。

    ミカという管理者は脚が悪いようだからこの捕り物はそもそも任されていなかった。

    基本的に高いところに陣取って様子を報告するのみだった。


    たきなは元来優秀で、物事を把握するのも早く、改善案を創出するのも巧み。


    だが、自由度が非常に低い環境だと不満がどんどんと溜まっていく。


    ――わたし、もうDAには戻れませんね……。

  • 16二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 22:35:06

    >>15



    この鬱憤を晴らせる場所があることにだけは感謝した。

    曲りなりにも支部。地下に射撃場がある。


    発砲音、薬莢の落下音が交互に何度か。弾倉の交換される音でリセット。

    身体に硝煙の匂いを染み着けさせる他、やることはなかった。

    本部にいるときより上手くなっている気がする。なんとも皮肉なことだ。


    たきなが狙っている人の絵の描かれた紙の的は、心臓の近くがビリビリに裂かれている。

    大量に撃った弾は殆ど同じ場所を通過し、銃弾が抜けた小さな穴が集まって遂には大きな穴へと

    変わっていく。


    私の間違いは小さかったかもしれないけど、沢山やってしまってこんなことに。

    最後はダメ押しのアレか……。


    手元に戻ってきた紙の的がたきなの右手でぐしゃりと歪んだ。

  • 17二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 22:46:04

    >>16


    ――だから今回の依頼が本当にたきなは嬉しかった。


    依頼、という言葉も最初は耳慣れなかった。


    生まれからずっとDAにいて、されるのは全て「命令」であって

    依頼されるなんてことは人生で初体験ともいっていい。


    日誌に並んだ几帳面な字――店長の字で

    「銃の所在を知っていると思われる者の拘束、DAへの送致依頼」


    これで私のミスを償えるかもしれない! 

    いつも感情を表に出さないと評せられるたきなだが、人間だ。喜怒哀楽が何故ないと言えるだろう。


    ここで全員から銃の所在を吐かせられたら、私はついにこんなところから離れられる!


    実行の前日はいつもより念を入れて銃を整備した。

    毎日のことなのに、点検清掃は。


    バネ一つのゆるみ、ネジ一つのナメを見逃すまいとし、ようやく床につく。

  • 18二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:15:12

    >>17


    「わー大変だーーっ」

     千束は自転車を結構な速度で漕ぐ。辺りは夕闇、もう少しでお店が閉まる。

    早く着かないと延滞になっちゃう! と焦る。


    というのも、常々千束は映画を今時レンタルしてきて観るのを好む。

    勿論配信も使わない訳ではないが、偶然の出会いというのに特に惹かれている。

     閲覧履歴から示されるオススメは確かに面白いものを勧めてくるが、

    まったく新ジャンルを開拓するのには不向きだろうと千束は不満に思っていた。


    今回はまさしくその新ジャンルに当たってしまい、何度も見てしまっているうちに

    今日が返却期限であることをすっかり忘れていたのだ。


    はぁ、はぁと息を荒げ出来るだけ近道を選ぶ。

    普段怖くて通らないような墓地の横の細道、人がようやくすれ違うかどうかの細道で

    街灯もかなり離れた間隔でしかない。


    いつもは絶対に避けて通るが今回ばかりは仕方ない。

  • 19二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:16:17

    >>18

    「ん……なんだ……」

     ぴしゅっぴしゅっと何か音がする。

     そして人の呻き声。


    「おばけなんかないさ! おばけなんか嘘さ!!」

    と半ば泣きながらペダルを漕ぐ、突き当りを左に行けば大通りだ!


     突き当たりに差し掛かろうという、速度を緩めた瞬間、作業服の男に横から突撃される。


     千束は咄嗟にハンドルを切ったが間に合わない。それどころか、男は千束の首を腕で巻いて

    力任せに締める。


    「おい! この女がどうなってもいいのか!」

     

     千束は状況が分からない。事故りそうになったことはわかってる。

    その瞬間に男が千束の首をロックしてどこかに叫んでいる。


    「ちょっと来い!」

     千束は引きずられて、車に押し込められ、そのまま発進される。

     ガシャーンと遠くで自転車が倒れるような音がする。


    「な! なんなんだよお前!」

     ワンボックスの後部座席に転がされた千束は厳重に抗議するが、運転席と座席の間には

    厚いアクリル板があってドンドンと叩いても通じない。


    「え、マジ? 私誘拐された?」

  • 20二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:31:47

    あ、ごめん14話みてくるわ

  • 21二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:20:27

    >>19

    やっぱ14話も最高だな。捨て回どころか捨て場面すらねえな


    「しくじった」

    生け捕りは難しい。訓練、実戦共に何十回も狙ってきたのは頭や胸。

    手足などの末端はよく動く故に当たりづらい。

    それに当たったとしても痛みに耐えて、撃ってくる恐れもある。

    合理的に考えたら殺してしまった方がいいのだが今回はそうもいくまい。

     

     四人とも太ももを撃ち、逃亡不能にさせておいた。

    念の為ナイフでアキレス腱を両足とも切っておく。

    ここで少し油断してしまった。タイヤを撃ってなかったのだ。


    「店長! 取り敢えず四人は拘束しました。一人逃亡しています」

     四人を後ろ手に拘束し麻酔薬を打つ。

     静かになったところで電話する。


    「そうか、お手柄だ。そのまま戻ってこられるか?」

    「いえ、それが……民間人を人質にとられてしまいまして、車で逃げられました」

     これを報告したら失点だ。しかし、隠すよりはいいはずだ。


    「そうか、報告してくれてありがとう。ただ逃げられただけならいいんだが……。民間人も一緒となるとな……ミズキも向かわせる。できるだけ追えないか? その四人はすぐに回収する」

    「わかりました……!」

  • 22二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 04:21:41

    保守~

  • 23二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 07:32:48

    わーい!あかりちさたき大好き!

  • 24二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 07:55:55

    今回の千束は心臓に問題なさそうだけどリコリスという壁が大きいな、下手すりゃ心臓より大変だぞ…

  • 25二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 09:14:20

    >>21

     たきなは周囲を見回して使えそうなものを探す。

    ……もう自転車ぐらいしかない。

    横転している赤い自転車を起こして跨り、

    さっきのワンボックスを走り去った方向に駆け出す。

     

    「東京は信号の巣、どっかで引っかかってるはず」

     たきなは半ば確信していた。

    ほとんどの車がその最高時速に達する前にどこかで引っかかることを。


    「いた! あれだ」

     案の定それは、できるだけ信号のない道を選んで驀走していたがついには

    先頭の車に阻まれて停止せざるを得ない状況に持ち込まれている。


     だが……。

    「目撃者が多すぎますね……」

     目標とする車の前後にも車がドンドンと入り込み、軽く列をなしている。

    こんな都会の東京で隠密行動をするのはやはり難しい。

     途中で運転手を始末し、人質を解放したとしても目立ちすぎる。

     なにかいい策はないか……?


     ワンボックスカーだ。なかなかに大きい。うん……と。逡巡する。

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 09:15:10

    >>25

    「出してよ! 放してよ!」

     バンバン! とアクリルを叩く千束に運転手はいい加減うんざりしていた。


     しかし、この後どうしようか、銃の回収に行くつもりだったがこれを連れてはいけなさそうだ。

    静かにもしてくれないし、なによりサングラスで隠しているとはいえ顔を見られている。

    車種も知られている。


    「一人殺すも二人殺すも、もはや一緒か……」

     溜息に混じってそう吐いた。

     そうと決まれば、地域の中で最も人気のない場所にタイヤを進める。

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:27:50

    >>26

     ついてないな……。千束は抵抗しながらもどこか冷静に窓の外を見る。

     どんどんと人気のない場所に車は走っていく。

     この場所、港かな? 船にでも乗るつもりなのかな。

     そんじょそこらの一軒家より大きな倉庫が整然と立ち並ぶそこは、もう営業時間を

    過ぎているようで、人っ子一人いない。


     ある場所で停止すると、運転手が千束を掴んで無理やり倉庫へと連れ込む。

     千束はもはや抵抗を止めた。ここで大きな声を出しても誰も聞いてないし、走って逃げても

    すぐに追いつかれてしまう。という諦念が彼女をそうさせた。

  • 28二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:35:23

    >>27

     倉庫の中は、お揃いの作業着を着た人が何人かいる。

     外では汽笛の低く唸るような音がどこからか響き、辺りが真っ暗なのにも関わらず

    全員がサングラスをしているのも異様だった。

     じめっとした、閉所特有の空気も甚だ不快で、千束は思わず自由な両手で自分の身体を抱く。

     男は千束の襟首を掴んではいるが、その力は特に強くもない。


    「うぉ、女じゃねーかどうしたんだ」

    「邪魔者が入ってきたときに、ちょうどよく来たんだ、人質にするぞ」

     千束は特に抵抗もせず、後ろ手に手錠を受け入れてしまった。


     硬い椅子に座らせられた千束はその男たちからの視線が嫌で嫌で仕方がなかった。

    「人質」ってどういうことだろう、邪魔者ってさっきの女の人? ちらっとしか見えなかったけど

    黒い髪の長いあの人だろうか?

     この人たちは何者? どうして?

     ようやく頭の中で疑問が湧き出される。


     ――私、どうなっちゃうんだろう……。

  • 29二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:54:20

    >>28

    「ねえ、君の名前教えてくれる?」

     一人が千束の前に覆いかぶさるようにして顔を近づける。

     両肩を押さえられていて、顔を背けようにも自由が利かない。


    「やだ……教えない」

     千束は目を伏せて拒否するが、ガサガサの手が、指が千束の頬と顎を捕らえて

    正面を向かせる。

    「こいつよく見たら身体だけじゃなくて顔もいいな」

    「人質ってことは生きてればいいんでしょ」


     数人の男たちが距離を詰めてくる。

     数分後の自分の運命は、もう定まっているような気がして、

    それでも千束は彼らとは目を合わせない

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 13:06:10

    >>29

     ぴしゅ! ぴしゅ! どこかで聞いた音だ!

     千束はその音の発生源を探る、その音のすぐ後に男の一人が声もなく倒れる。

     ズサ……という人が倒れる重い音と、ピシュ! と空気を裂く音が交互に鳴る。

    「畜生、もう来やがったか!」

     男は千束を肩に抱え、奥に逃げる。


     その間にも、別の男たちは倉庫内の事務机や、ドラム缶でできた障壁に潜り、入口の方を撃つ。

     倉庫の奥は暗く、入口は明るい。これは客観的に言って男の方が有利だった。

     しかも、入り口側の邪魔者は奥に何人いるかを把握もしていない。


     その「邪魔者」は持っていても拳銃一丁。交換用の弾倉も百発分もないだろう。

    沢山の武器が隠されているここに迷い込んだのは男たちにとって格好のカモだった。

  • 31二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 14:07:52

    >>30


    「ち……小賢しい真似を」

     たきなは入口を窺う。あいつらとて完全なバカじゃないようで入り口にはバリケード、

    ドラム缶などのジグザグ配置、砂袋でできた壁。

     音から判断するにライフルも拳銃も用意してあるようだ。

     ……だとしても。

     この現場のリコリスはわたしだ。わたしだけができるんだ。

     ぎゅ、とグリップを握る力が籠もる。


     しばらく外で目をつぶる。たっぷり三十秒は経っただろうか、

    追撃の音は止む。あいつらも不気味に思っているだろう。


     たきなは倉庫特有の波板を登っていく。

     正面突破は不可能。しかし、彼らは正面を集中して守っている。ならば

     脇の窓から狙うべきだ。

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 14:18:57

    >>31

    たきなは倉庫特有の波板を登っていく。

     正面突破は不可能。しかし、彼らは正面を集中して守っている。ならば

     脇の窓から狙うべきだ。


     幸い管理が粗雑な梯子が外に転がっており、たきなは易々と窓にたどり着く。

     細長い、明り取り用に設けられたそれは、長年の放置がたたって所々割れている。

    これも好都合。


     目を凝らすと、……ライフルが二丁見える。まずはその射手の頭を狙う。


     まずまずだ。消音器はそこまで音を消してくれるわけではないが、二人殺す分には間に合ってくれた。

     急いで梯子から降り、また更に倉庫の周囲を廻る。

     

     どこか裏口は……! 

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 15:11:34

    >>32

     あった。錆びたドアノブ。この海風で普通の金属は数年も持たないらしい。

     入る前にドアに耳を当てる。

    「悲鳴? 泣き声」

     たきなの脳裏に浮かぶのはあの少女のことだ。あの少女が抱えられてしまったため一瞬、

    撃つことを躊躇ってしまった。

     ここまで連れてこられて、今どんな目に遭っているのか想像もしたくない。


     すう、とドアの隙間から中を見る。男一人が先ほどの少女の、いや、これ以上はたきなは

    描写しなかったし、容赦もしなかった。

     

     言えるのはその男が死んだという事だけだ。

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 15:12:28

    >>33

    「あの……ありがとう……助けてくれて」

     わたしが助けた少女は後ろ手に手錠をされていた。

    重い男の死体を脇にどけながら、わたしは観念したように電話を掛ける。

     また、ここが危険だと判断してせめてもの抵抗ですべてのドアにカギを下した。


     倉庫の奥は職員用の部屋の名残だろうか、倉庫からも入れるし、ここから私が入ってきた

    裏口もある。

     まだ倉庫にはわたしを待ち構えている男たちが息を潜めているのだろう。

     悔しいが、店長に報告して本部の人員を送ってもらおう。


    「あのっ!」

     先ほどの少女が床に座ってわたしを見上げている。何か言いたいのか?

    「ありがとう、えっと……お巡りさん……なの?」

    「……そうです」


     わたしの紺色の服がそう見えたのは好都合。

  • 35二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 15:13:08

    >>34


    「で、でも若い……ですよね?」

    「よく言われます。あ、腕」


     少女の手首についているそれは、量販店で買えるようなチャチなものではなく

    それなりの捜査機関、もちろんDAでも使っているような割と精巧なものだった。

    ……この銃の密売人はどこから来たんだ?

     今持っている工具セットでは外せないかもしれない。

    「ごめんなさい、動かないで」

     鍵穴を目掛けて一発、二発。ようやく潰れた機構が彼女を解放する。

     手錠は念の為証拠として持って帰ろう。


    「ありがとう……えっと私、錦木千束。あなたは?」

    「……特に名乗るようなものではないです」

  • 36二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 15:13:40

    このレスは削除されています

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 15:15:48

    >>35

     もうそろそろDAの部隊が来る。引継ぎをして帰ろう

     しかし、ここに武器を一つも持たぬ民間人を置いて行っていいのか、

    こういうときのマニュアルはあまりない。そもそも暗殺部隊は見られたのなら殺しておくべきだ。


     この時のわたしは少しでもミスをなくそうと、彼女を殺そうと決めた。

    リコリスの制服も見られた。銃を扱っているところも。


    「ニシキギチサト さん、脚に何かついてますよ?」

    「え、ほんと?」

     わたしに向けられた目を逸らさせる。ごめんなさい。

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 16:46:45

    >>37

     ピー! 入電だ。

    「店長? あ、はい。その民間人は確保でき……あ、はい。わかりました」

     わたしは右手に掲げた銃を鞄に仕舞った。

    「確保できた」と口走ってしまった。


    まあ、確保したが戦闘に巻き込まれてやむなく「死亡してしまった」ことにできるはず。

    でもわたしはそうできない。


    「ニシキギチサトさん。病院に行きましょう」

     そういう命令なのだ。

  • 39二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 17:44:51

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 17:46:30

    >>38

    「民間人を助けてどうする気なんですか」


     たきなは店長に詰め寄る。

     あの作戦の後、意外にけろっとしている千束を捕まえてリコリスを診ている

    山岸先生の病院に突っ込んだ。腕の怪我の手当と精神を安定させる処置をするらしい。

     病院の玄関先で千束を看護師に引き渡してたきなは帰ってきた。


     ドアベルが心なしかうるさく響いた。


    「どうする……もなにも、そのまま解放するつもりだが」


    「彼女はリコリスの、わたしの秘密を知ってしまいました。殺すべきでは。

    彼女は自転車に乗っていました。近所に住んでいるはずです、わたしとまた会うかもしれません」


    「たきな、まあ少し飲んでくれ」

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 18:19:27

    こういうちさたきも良い…

  • 42二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 18:22:06

    たきなが罪のない民間人をリ殺許するかはかなりどっちもありえそうで迷うな

  • 43二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 18:28:58

    >>42

    普段だったら悪人殺すべし、慈悲はないだけど余裕がなかった時期だしやっちゃいそうな雰囲気もある

    1話のさおりさんとかどうしてたんだろうか

  • 44二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 18:33:18

    状況判断から意志の硬さ

    やっぱり殺しの才能だよ

  • 45二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 20:55:12

    >>40


    「……頂きます」

     カップから上ってくる香りは思いがけず体の筋肉を解す。

     唇をつけるだけのはずだったが、いつの間にかどんどんと体内に入っていく。

     そんなに小さくないカップの中身がもう半分もなくなっている


    「お疲れ様。たきな」

    「……はい」

    「ここにきて本格的な依頼はこれが初めてだったな」

    「……はい」

     ミカはたきなの正面には座らず、三つほど離れた、対角線上に位置取る。

  • 46二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 21:14:27

    >>45


    「ああいや、別にこれは尋問じゃない。気楽に話してくれ」

     とミカはいうものの、たきなはこれがお説教だとわかっている。

     命令に対して抗弁したことに対する戒めだろう。


    「はい」

     それでも、たきなはこの場は従順に振舞おうと決めた。


    「この現場は確かにたきな、君しかリコリスはいない。ちょっと特殊な成り立ちで監督役のファーストもいない。ここにいるのは私とミズキだけだ。どちらも現役じゃない」

    「そうですね」


     ミカは珈琲の描くさざ波をじっと見ている。

    「君が一人で頑張ろうとしてしまうのは、半分は私たちにも落ち度はある」

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 21:21:06

    >>46

    「……」

     たきなは返答に迷う。今までに司令から「私の瑕疵だ」なんて言われたことはないからだ。

     まったく、この現場は本当にDAの支部なのだろうか?


     前にミカと楠木司令が話しているところを聞いたことがあるが、

    あの楠木司令がミカには遜った態度を見せているところを考えると、

    かなり高位の指揮官なはずだ。それがただの現場の駒に頭をコクリと下げる。

     たきなの認識はざわつく。


    「わたしはただ……合理的に考えてリコリスの痕跡を出来るだけ減らしたかっただけで……」

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:09:17

    >>47

    「リコリスは確かに秘匿されるべきだ、と習うな」

    「はい」

     リコリス=秘匿という慣れ親しんだ図式がミカの口から出てほっと安堵する。


    「あの子、錦木千束と言ったか、彼女を引き渡した病院の看護師も医師もリコリスのことを知っている。

    街にいる警察署の全てとは言わないが、上層部は知っている。警視庁管内では百人以上が知ってることになる」


    「……だからあの子も放してやれ、という意味ですか?」

    「彼女が犯罪者に見えるか?」

    「……わかりません。明日には血まみれのナイフを持って呆然としているかもしれませんよ」

    「そうだな。ラジアータが捉えるだろう。その時には君たちの出番だ」

    「……はぁ」


     暗に、まだ何もしていない者に危害を加えるなとたきなは言われたように感じた。

     しかし長年リコリスをやってきたたきなはそれにモヤつく。

     リコリスが殺して回ったのは厳密には「まだ何もしていない者」たちではなかったか。

     まだ人を殺していないが、殺しそうな奴ではなかったか。

  • 49二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:10:59

    >>48

    「……わたしはまたクビですか」

     その声は微妙に文頭と文末が曖昧だ。

     京都から本部へと栄転し、今や喫茶店へ左遷。

     これからも追い出されたら……。

     クルクルと無意味に珈琲をスプーンで撫でる。

     ミルクも砂糖も入っていないものに対してそんなことをするのはまるで無意味だ。


    「そんなことない。車に乗っていた運転手含め五人、倉庫内の六人を捕らえるのに大きく貢献した。

    殺傷も最小限だった」

    「そうですか、それは……よかったです」

     たきなの表情はその長い髪に隠れている。ミカは窺い知ることはできない。

  • 50二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:47:11

    >>49

    ここまで書いてて殆どちさたきねーじゃねーか!!! 俺は何を考えてるんだ!!!


    「あの子なんだったんだろう」

     私は見知らぬ天井を眺めながらぼーっと考える。

     誘拐されてた時間は一時間足らずなのに、一日は経っていたような気がする。

     あの子が私の手を引いて病院にも連れてきてくれた。車の運転は別の人だったけど……。

     ずっと隣の席にいてくれて、私の手をずっと握っていてくれた。

     いや、私が放してなかっただけなんだけど……。


     綺麗な子。お巡りさんって言ってたけど本当かな。

    どう見ても女子高生……だよね。私と一緒。


     かかりつけじゃない病院に連れてこられて、色々手当をしてもらった。

     目立った傷は手首のだけだけど、軟膏と包帯を受けて隠してくれた。

     あとは、今回のは心の傷になるかもしれませんけど、これを飲んで下さい。と

    何かお薬を貰った。


     確かに……思い出したくはない。いきなり首を絞められたこと、車に放り込まれたこと、

    手錠を掛けられたこと、顔を触られたこと。それから……。

     料金は今回は警察が持ちます。との説明を受けて少しほっとした。

  • 51二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:49:38

    ちさたきへの大事な助走だ。俺は我慢出来る(震える足を抑えながら)

  • 52二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 23:05:29

    頑張れ、頑張れ
    応援してる👍

  • 53二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 00:56:37

    千束を殺そうとするたきなはなんかいいな
    応援するぜ

  • 54二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 04:47:13

    イッチ は 力を 貯めている ようだ

  • 55二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 06:09:55

    >>51

    >>52


    ありがとう! 嬉しい嬉しい!


    >>50

     気になるのはあの子のことだ。私のことを助けてくれた。

     すごい速度で走る車に追いついて、私を襲う奴を……。

     びっくりするほど強い。


     あれ、ほんとに死んじゃったのかな……。

     警察官はすぐには殺さないよね? 呻いてたし、まだ生きてるよね?

     死んでないと……いいと思う。

     こんなこと他の人に言ったらバカだと思われちゃうかな?


     自分を襲った奴の心配するなんてさ。

     

     私のあの子にちゃんとお礼言えたかな? 言えてないよね。

    なんか流れで言っちゃっただけみたいだし……もう一度会いたいな。

  • 56二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 12:37:07

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 18:33:49

    保守るぜ

  • 58二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 20:16:49

    >>55

    「あんまり休むと心配されちゃうよな……よし」

     昨日の今日だが千束は鞄を背負って外に出る。

     日に日に暖かくなる風が千束の短い髪を強く揺らす。


     あ、自転車……。


     そうだった。タイマーは自転車通学に合わせてるんだった。

     あの時、自転車は落とした? いや乗り捨ててしまったし……今でもあそこにあるんだろうか?

     取りに行かなきゃかな……。


     ともかく、これじゃ遅刻確定か……どうしよ。

     走って行ってもきっと三十分は遅刻してしまう。

     電車は……なんかちょっと嫌だ。

     すると一限は間に合わないな……。


     千束はそう判断するともういいや、と半ばヤケになって歩く。

     二限から行こう。

  • 59二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 20:32:16

    >>58

     あの場所、墓地の隣の細い路地。

     結構あの自転車は千束が気に入ってたものだ。もし倒れたままなら持って帰れるのだが……。


    「ない、ね」

     

     近づくのも怖かったが、真っ青な空に煌煌と光る太陽のお陰でそこに近寄れる。

     

     こうしてみるとほんと夢みたいだと思う。

     なんの痕跡もない。

     ――私や暴漢、それからあの子がいたということも……。


     千束は自分で自分のことを遠くから見ているような感覚によく襲われる。


     襲われたときも怖かったけど、その怖がっている「私」を観察している「私」が

    常にずっといるような感覚。


     そのせいか、昨日の事件のこともまるっきり嘘や夢だったんじゃないかと錯覚してしまうほどだ。

     しかし、手首の包帯がそれが現実に起こっていたことだと語って止めない。


     


    ……げ、あのDVD返せてねえ。しかも失くした……。自転車ごと

  • 60二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 21:04:36

    >>59


    ついてない……。マジで。

    と千束は肩を落としてもはや学校を目指さず歩く。


    ……お昼から行こう。


    まずはレンタル屋さんに行って事情を説明しなきゃ……。

    お小遣い飛ぶなあ……などと考えて肩を落とす。


    千束はいつもは通らない道を経由したせいで少し道を迷う。

    徒歩と自転車とでは感覚が少し異なって、曲がるべきところで曲がれなかったりする。


    それが起きて、彼女はとあるオシャレな喫茶店の前に出てきてしまったのだ。

  • 61二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 21:23:18

    ついに来るか…

  • 62二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 22:05:38

    >>60


    「うわぁ……綺麗」

     立派な木の建物にステンドグラスがはめ込まれている。

     それぞれの模様は単に綺麗なだけじゃなくて意味を持って配置されているのが

    あまり美術を勉強したわけではない千束にもわかる。


    「なんか絵本の中に出てくるお菓子の家とかそういう感じだな」


    ちら、と窓越しに店内を見てみる。意外。外は結構洋風なのに

    畳敷きなんだ……。へぇおもしろそう……しかし問題がある。


    「……ちょっと高そうだな」


     レンタルDVDを失くし、自転車もどっかにやった千束の出費は数万円を超えるだろう。

    もう今更珈琲代の千円ちょいをケチっても仕方がないや! というある種破滅的な考えが

    彼女の中に沸き起こり、えいやとドアを開ける。

  • 63二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 22:31:14

    >>53

    そう! 殺してほしい!

    >>54

    溜め中


    >>62


    わたしは悪夢を見ているかのように思えた。

    昨日の人質がわたしの目の前に現れたからだ。


    ああ! やっぱり殺しておけばよかったじゃないか! と隣でグラスを磨く店長を

    恨めしく思う。


    なんだ、なにが目的だ? わたしの潜伏先を見つけてどこかに垂れ流す気なのか?


    「たきな」


    「あ、はい」


     店長に声を掛けられてしまう。


    「お客さんだぞ」


    「……いらっしゃいませ」

     わたしの喉はカラカラで酷くかすれていただろう。

  • 64二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:28:54

    >>63


    「あの……えっと、じゃあこのおはぎセットと……珈琲で」

    「かしこまりました」


     彼女がわたしのことを覚えていない可能性に賭ける。

     

     山岸先生が彼女にした処置はよく知らないが、「精神を落ち着かせる」とは

    そういう意味の言葉だ。

     意識を一旦朦朧とさせて、全て夢のようだったと思わせるような。


     それに、わたしの顔なんてまあ何処にでもいるようなものだし、

    あの時とは髪型も違うし、服も別だ。仮にも飲食店で働くのだから髪は纏めておこうと

    思っていて正解だったな。

     わたしは奥からご注文の品を取り出して彼女に給仕する。

  • 65二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:29:37

    >>64


     カウンター越しにじっとその動向を窺う。

    ただの民間人だ。武器弾薬の香りは……文字通りしない。

    誰かに雇われてわたしの後をつけてきてここにたどり着いたとか?


    いや……それは無理だろう。昨日の今日だ。

    昨日彼女は遅くまで病院にいたはずで、わたしは直ぐに帰った。


    追ってこられるわけがない。


    どうしようか、ただ偶然にここに来たということになる。


    本当だろうか?

  • 66二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 00:56:19

    きょうはここまで

  • 67二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 06:47:29

    >>65


    ここは話しかけるべきなのどうなのか、それが問題だ。


    もし忘れていたら地雷を踏むことになる。

    でも……あの、チラチラわたしを見る目、十中八九覚えている目だ。


    普通の客は、料理を写真に撮って、それからすぐに食べ始めて

    二、三十分ぐらいいて帰るものなのだが、彼女はどうもそうではない。


    カップを両手で抱えて隙あらばチラッチラッとこちらを見ているのだ。

    そのくせ話しかけては来ない。


    ……はっ、もしかしてただのお代わりか?

  • 68二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 07:29:34

    微妙に天然を発揮していくゥ

  • 69二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 12:56:58

    保守〜

  • 70二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 19:05:40

    ほしゅ

  • 71二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 19:24:40

    >>67


    「……追加で何かご注文なさいますか?」

    よし、これでどうだ?


    「あ、え……ぉ……あのこの綺麗な試験管みたいなやつ……を一つ……」

    なぜかオドオドしているが追加注文だったようだ。


    なるほど、単に人見知りか……?


    さっきまでチラチラ見てきたのは、上手く声を掛けるタイミングが見つからなかったからか。

    そう考えると矛盾はない。……が、本当の所はわからない。


    しかし、わたしから切り出してしまえば、リコリスの存在を自白することになる。

    ……やるなこの女……。

  • 72二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 21:21:12

    >>71

    正直この試験管だんごはあまり出て欲しくない……。

    洗い物が大変なのだ。


    試験管ブラシでこすってから漬け置き洗いをしなくてはいけない。


    商品提供時間が洗い物で削られやすい商品なのだ。

    しかしまあ……出てしまったからね……。



    ……! 盛り付けに時間のかかる料理を頼むことによって

    わたしの背後を狙っている……とか?


    わたしはそっと更衣室に戻って愛銃を鞄から取り出し

    調理場の流しに置く。台布巾を被せて目立たなくしておく。


    ……特になにも来なかった。

    白玉を串に刺してみたらしやあんこを纏わせ試験管に入れる。

    いつも以上に警戒していたが何も来ない。

  • 73二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 21:28:28

    たきな可愛い

  • 74二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 21:31:21

    >>68

    >>73

    そう! たきなはカワイイ!



    >>72


    「お待ちどうさまです」

     給仕するために近寄るが、彼女の両手はテーブルの上に出ていて

    何か武器を隠している様子もない。

     彼女は私の方を見上げ、首を竦めるようにして小さな声で

    「ありがとうございます」と言った。


     彼女は制服姿。紺色のブレザーに灰色に赤のチェックのスカート。

    いたってどこにでもいる普通の女子高生だ。

     この近所でも見たことがある。

    「……学校はどうしたんですか?」


     意を決して直接接触することに決めた。

  • 75二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:51:24

    >>74


     千束は、彼女が昨日見た子だろうと半ば確信していた。

     しかし……。どうしたものか。

     なんて声を掛けよう。

     無難に、助けてくれてありがとう? かな……。

     でも、なんかそういうのじゃない……。

     彼女は見たところただの喫茶店の店員だ。千束の知る限り、警察官はこういう店で働いたり

    しないだろう。

     すると……あの事件か、ここで働いているのどちらかがきっと彼女にとって不都合な気がする。

     ごく……。と珈琲を飲む。

  • 76二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 06:30:16

    >>75


     などと考えている間に、学校はどうしたのかと聞かれる。

     いや、それはそちらこそでは? とは思った千束。

    「いや……ちょっとサボりたくなっちゃって。……あなたは?」

    「わたしはその……」

     たきなは偽装を述べる。予めDAに与えられているもので、この情報の経由ならば

    たきなは立派に女子高生として相手に認識されるだろう。

    「……そうなんだ、高校生なのに働いてて偉いよね……」

    「そこまで珍しくはないのでは? 高校生ともなればバイトぐらいします」

    「そか、そだよね」

    「……」

  • 77二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 10:19:13

    たしかに千束は学校をサボりそう

  • 78二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:37:45

    ほしゅ

  • 79二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 20:58:44

    補習

  • 80二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:50:31

    >>77


    だよねぇ!


    >>76

     二人の間には気まずい沈黙が流れる。

    カウンターでミカが沸かせている湯がこぽこぽと聞こえるぐらいだ。

    この時間は千束しか客がいないのも異様な雰囲気を出してしまう原因だっただろう。

     そろそろお昼時だ。太陽の光がもっと高くから降り注ぎ、光の当たる色ガラスが変わり、

    それに伴って店内を照らす色も少しずつ温かく優しいものに染まっていく。

     カップから上る和らいだ湯気はその色を一層濃くする。

     近所の常連がやってくるだろう頃に、千束は鞄を持った。


    「あの、これ……とってもおいしかった」


     千束は試験管だんごを指さして笑う。


     よりにもよって手間の掛るものをとたきなは思った。

  • 81二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:51:34

    >>80

     店長はあの子のことを現場で見ていないし、写真や動画などの記録もない。

    山岸先生に頼んで監視カメラデータでも貰おうか。

     ともかく、あの薄い色の色素の髪に、赤いリボン。赤色の目、

    服装が違ってもわたしは見間違えることなどないだろう。


     あの子が本当にただの女子高生なのか調べる必要があるはずだ。


     店長に断り、あの子の会計を任せる。その隙にわたしはリコリス制服に着替える。


     あの子が外に出るところから、ミッションスタート。


     ゆっくりとした足取りで道を歩いている。

    サボリたくなる、というときはああいう歩き方なのだろうか。

     時折、道の脇の花壇などを眺めたり、道行く集団散歩中の保育園児などに手を振っている。


    暢気なものだ。学生というものはそこまで時間を守るという規律が叩き込まれてないのだろうか。

  • 82二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:08:04

    >>81

    教科書とノートしか入ってない、金属の音がしない鞄を揺らしてあの子は

    ようやく学校にたどり着いたようだ。

     中々歩くには遠い場所だ。……あ、自転車。昨日わたしが乗り捨てたやつ、あの子の自転車

    通学用だったのだろうな……。

     しかし、犯罪者を追うためだから仕方ありません。日本の治安が懸かっていましたから。

     誰に言い訳する必要もないけど……。

  • 83二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:09:19

    >>82

     裏門の方に回って校舎内を目指して歩いている。

     今はお昼休みのようで、同じ制服の人たちが外のベンチでお弁当を食べたり

    木の下で眠ったりしている。

     

     それらに声を掛けられたり、自ら掛けたりしているからここに普段から通っていることは

    間違いないようだ。

     偽装学生……というわけではない。

     すると、テロリストとの内通者という線もあり得るか。

     要調査だ。

  • 84二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 08:09:28

    保守

  • 85二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 12:32:36

    保守

  • 86二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 14:49:34

    弱ってしょんぼり千束も天然暴走たきなも可愛らしくてヨシ!

  • 87二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:38:16

    >>86


    わかる!!


    >>83


     彼女の時間割などが分かるといいのだが……とわたしは思いながら

    校門の近くでウロウロする。ただウロついているだけだと怪しいし、

    補導の対象になってしまうので一つコツがある。


     スカートのポケットからレジ袋を取り出し、自販機で買ったペットボトルを何個か入れた。

    それを提げて校門の前を大きく移動する。

    二十メートルは歩いたりして、買い物途中の近所の人を装う。


     何百回かやっているうちにぞろぞろと学生が門から湧いて出てくる。

     

  • 88二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:48:33

    >>87


     しかし、車があれば余裕で潜伏できたのにな……。

     DAに頼んで、彼女の顔情報から住居などを特定してもらいたかったが、

    そこまで「危険なリスト」に入っていないためあっさりと却下されてしまった。

     DAはなにも無差別に警戒しまくる組織というわけでもない。

     組織が設定した基準に沿って襲撃対象を決める。あの子はまだそれに入っていない。


    「部活なんかに入ってたら……大分時間取られますよね……」

     

     勉学の後にも何か趣味の活動をする集まりがある、そうだ。

     DAにもそういうのが一応あるのだが、そこまで熱心じゃない。

     そんな風に疲れてしまった後に緊急の突入があれば死にかねないから。

     まあ、でも割と体の丈夫な人ばかりがやるから、意外と死なない。ある種の篩みたいなものだ。

  • 89二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:57:40

    >>88


    「あの子、結構整った身体をしていましたから、運動部でしょうか」

     病院に移送する間、同じ車の隣の席に座ることになっていたが

    (表向きは保護、本当は逃亡防止)わたしの手を結構な力で握ってきて正直痛かった。


     その癖、顔はヘラヘラと歪んでいて、変な人だなと思った。

     終始無言ではあったけれど。


     泣いたりはしないんだ、静かでいい。とわたしは左手を預けながら思っていたけど、

    あとで人質の取り扱いについて調べてみると、心を守るために敢えて平気なように

    振舞う事例があるという。


    あの子の場合もそうなのだろうか? 演技だとしたらかなりのものだ。

     

  • 90二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 21:30:11

    >>89

    そろそろちょっと疲れてきた頃に、お出ましだ。

    彼女はどうやら部活をやっていないようで、そのまま友達と挨拶を交わして

    家路につくようだ。


    よし……とわたしは意気込んでそのあとをつける。


     大体の人は尾行された経験がないから後ろなんか気に掛けない。

    わたしはあっさりとあの子の家にたどり着くことが出来た。

     綺麗なマンションの一室。鍵を開けて中に入るところまで確認できた。

     非常階段から飛び降りて、その部屋の窓を確認する。

     よし……ちゃんと見えるぞ。あの子のこと。

  • 91二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:26:18

    >>90


     居所を把握するのは偵察の基本。ほとんどの場合、その人のすべてがそこにある。

    私はその向かいのマンションの部屋が空室だと突き止め、ちょっとした道具を持ち込んだ。


    「役に立たないと思ってましたが、そうでもないのですね。レーザー盗聴器というのは」


     暴力団の事務所を盗聴する際に使ったものだ。

     人は話した時の音波が色々な場所に拡散して震えているものなのだが

    それをレーザーで捉えて音に変換する機械だ。

  • 92二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:51:01

    >>91


     盗聴器を仕掛けることが出来ないような場所の音声が聞きたい場合によくこれが

    用いられる……とのことだが、正直言って現場のリコリスが扱うことはそうない。


     既にラジアータやら専門の諜報部が採ってきた情報を基に指令を受けて

    その息の根を止める係だからだ。


     わたしは小さい部署、リコリコに飛ばされて以降、情報の収集から分析、解釈まで

    行うことが必要になってきたが……認めたくないけれど、少し面白いと思ってしまっている。


    あの子、ニシキギチサトの家の窓にレーザーを当てて音を拾う。

    どこか外部と連絡を取っているかもしれないし、誰か招くかも。


    わたしはヘッドホンを耳に当てた。

  • 93二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 07:10:46

    >>92


     あの子はどうやら一日の大半を自室で過ごしていて、たまに映画を見たり

    本を読んだりするぐらいであまり目立った行動はしない性質らしい。

     結構活発そうに見えるのにな。

     あのまま鞄を置いてどこかに遊びに行くのかと思ってた。


     あまり言葉を発せず、画面を注視してる。

     戦争物の映画のようだ。

     スマホを見てたりするけど、そこの内容までは流石に分からない。

     

     日が暮れる。

     対象者であるニシキギチサトは台所に行って、料理をし始める。

     音と少しの視覚情報だけだが、わりとよく採れるものだ。


     あんまり……怪しくないのかもな。

     考えすぎか。

     あれは偶然の重なりだったんだろう。偶然捕まって、そして偶然お店に来た。

     そういう偶然。

  • 94二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 11:24:04

    ほしゅ

  • 95二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:10:53

    ほしゆ

  • 96二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 19:31:10

    >>93


     流石にあの子だけを見張っている訳にもいかないし、別の依頼もある。

    なんでも、死んだハッカーについて調べよとのこと。

    DAにしては珍しい。死んだのなら満足してそこで終わりにするはずだが、

    まあ……本部のリコリスをそのような些事に関わらせるのはもったいないのか、

    わたしにくるのですよね……。


     でも、仕事が振られるうちが華みたいな言葉もあります。

    精一杯やろう……。

     

  • 97二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 19:31:30

    >>96


     わたしはそこまでコンピューターについて詳しいわけでもない。

    DAから支給された端末で、専用回線を潜って専門家に訊ねたり、

    データベースを閲覧するぐらいしかできない。

     銃から離れるととんと無力だ。


    「芳しい業績が残せなかったから、島流し継続……っていうカバーですかね」


     わざと適性のない仕事を押し付け失敗させ、その責任を負わせるみたいな

    ことがたまにあるという。

     すべてはわたしの自業自得とはいえ、陰湿さに腹が立ってくる。

  • 98二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 22:18:37

    一般人千束の料理は食費考えたものなのかな。少なくとも千束スペシャルは作らなそう

  • 99二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 06:49:01

    ほしゅ

  • 100二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 07:25:13

    保守

  • 101二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 09:15:25

    >>97


     例の空き家から離れて、ハッカーに対する情報収集を行う。

     リコリコはお客さんも少なく、よく経営が成り立ってると思う。

    ただ、この静けさは好都合だ。

     わたしはパソコンに例のハッカーの分かっていることを打ち込む。

    ……。よくある名前過ぎて特徴的なものは何も出てこない。

     どの回線からやってきたのかを専用ツールを使って割り出そうとしても……。

    バラバラすぎる。どこから来てるのかもわからない人間を追うのなんか無理すぎる。

  • 102二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 10:11:16

    このレスは削除されています

  • 103二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 10:12:22

    >>101


     こんなのは無理です、と遠回りな言葉で報告書を作成する。

    提出ボタンを押すその一瞬前に書き足す。


    「情報部の訓練を受けられるのなら、できるようになるかもしれません」


    と前向きな文章。ここの喫茶店勤務よりはDAに近くていいかもしれない。

     あとでミズキさんに相談してみましょう。


     ……暇ですね。

     朝から開けているのに人が来ません。光熱費の無駄になるので閉めてしまった方が

    いいのではないかな? とは思いますが、そうすると大抵の時間帯で閉めることになってしまう。

    それが喫茶リコリコ。

     カランカランとドアベルを鳴らしてお昼前に来たのはまた、あの子。

     わたしを見てコクリ、と首だけで礼をして昨日と同じ席に座った。

  • 104二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 10:12:49

    >>103


    「……ご注文は?」

    「えっと……じゃあこのどら焼きバーガーと……マデリンってやつを」

     中々重い物を注文なさる。

     これは作るのが簡単なのでわたしは心なしか安堵する。

     それから彼女はちらちらわたしを見てきて、それから例の如く帰っていった。


     ……単にここが気に入っただけなのかもしれない。


     今日、見張って何ともないのなら一旦警戒態勢を解きましょう。

    お店の経営の為にも……。常連さんはいたほうがいい。

  • 105二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 10:38:14

    >>104


     日中は恐らく学校にあの子はいるので、夕方から見張ればいいはず。

    それまでは他の依頼を片付けよう。

     たきなは潜伏中の殺人犯を一人殺し、DAの回収を待つ。

     珈琲を淹れたり、パソコンをいじるよりよっぽど慣れた仕事だ。

     路地の隙間から、もうすぐオレンジ色になる空をぼうっと眺める。

     

     撃ちこまれたはずの男が呻く。たきなは心底めんどくさそうな顔をして

    消音器を男の口の中を通り越して喉の奥に当たるぐらいまで入れ、引き金を引く。


     やっとしずかになった。さて、行きますか。

  • 106二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 13:24:52

    >>105

     彼女が学校から帰る時間に合流できる。

    二日間の調査だけどかなり時間に正確だ。パターンが出来てる。

    と、たきなは感心する。


     歩いて、スーパーに入り、野菜やらなにやらを買いさっさと出ていく。

     結構な量だ。一人暮らしにしては多いかもしれない。

     作り置きするタイプだな。真面目な計画性が見える。破滅的な生き方とは逆で

    犯罪者らしいところはやはり見られない。


     昼間の学校サボりも、ああいう事件に巻き込まれてしまったが故の多少の心の歪みみたいな

    もので、しばらくしたら治る。そういう矯正可能なものなのだろう。

     なら……もういいかもしれないな。

  • 107二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:11:07

    >>106


     そして、家に入るのを見届ける。

     ……あれ、なんかすぐに出てきた。


     鞄とさっきの買い物を置いて手には財布だけ。

     ああ、何か買い忘れたな。

     

     もう暗くなり始めたころだ、公園の中を周回して目的地に向かっている。

    ……まったく、暗いのに。とたきなは訝る。

     散歩も兼ねているのか、先ほどよりゆっくりな歩き方。


     木々や芝生が道を作るように植えられていて、ちょっとした自然公園のような作り。

    街灯もあり、ランニングコースとしても使われるようなもので、極端に心配する必要はないだろうが、

    それでも基本的には暗い道ではある。それに、蛇行するような形にもなっているから見通しも悪い。


     暢気なものですね、と千束の後ろをつける。

     尾行はだいたい二十メートルは離れて行うので、曲がり角で一瞬、千束が見えなくなる。

  • 108二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:11:41

    >>107


    「!」

     リコリスとして鍛えられていなければこれには気づかなかったかもしれない。

    あるいは気づいたとしても次の手で死んでいただろう。

    「お前、護衛か?」

     暗闇から生えてくるのは、影。黒い人影。

     背の高いその影は、複数いて、いつの間にかたきなを取り囲む。

     最初の一撃は警棒のようなもので後頭部に来ていた。


     それを避けられたのは僥倖、二度目は避けた先で背になるところを何かに殴られる。

     たきなは鞄から銃を展開して、まずは正面を目掛けて一発。

     いくら殴られて体勢が崩れていても、名手のたきなはそれを外さない。

     それは呻き声をあげて派手に地面に倒れる。


     それがよくなかった。

  • 109二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:36:26

    >>108

    「なになに? どうしたの?」

     戻ってきたのだ、千束が。


    「なんで!」

     たきなは咄嗟に声を上げてしまい、千束に顔を見られる。

     あの赤い目が見開かれ、たきなの顔、制服、そして銃。それから血を流して倒れている

    男を捉えた。

    「えっなにどゆこと……」

     口先だけでその言葉が千束から発せられるが、それが掻き消えないうちに、黒い人影が何人かが

    千束を狙う。


    「逃げて!」

    「え、う、うん!」

     と千束は踵を返し、向こう側に消えていく。それを追いかける奴らをたきなは滅多撃ちにする。

     視界に入る者どもは全て腰や背中などに命中させ、今後の行動を不能ならしめる。

  • 110二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:38:55

    >>109

     追い撃ちを狙うたきなだったが、背後から羽交い絞めにされ身体が徐々に浮く。

     

     銃――体格の差を埋める、ある意味平等を作ってくれる道具だ。

    しかし、彼女は今それを使う状況にない。

     銃口を咄嗟に後ろに向けて引き金を絞るも、当たらず。

     そんなことを繰り返しているうちに弾が切れる。

     予備の弾倉は取り出せない。


     戦闘の専門職として鍛えられたリコリスだが、単に力比べをするだけなら素人の男に対しても不利だ。


    「冷静になれ! わたし!」

     

     とたきなは、つま先に鉄芯の入った靴で目の前に立ち自分の口を押えている者のみぞおちを蹴る。

    男は短く呻くと、その場から数歩下がってしゃがむ。

     やったか! と思うが、その蹴りは不十分だったようだ、

    先ほどより色濃い殺意に目が塗りつぶされ、男の拳は無遠慮にたきなの左頬を抉った。

  • 111二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:51:29

    >>110


     その一撃はたきなの視界を奪うのには十分だった。

     頭がわんわんと揺らされ、意識と視界とがいっぺんに混ぜられる。

    上がっていた肩が下がり、自力では抵抗できないような姿だと、

    たきなを締めている者にはわかっただろう。


     たきなが一瞬静かになったことを男たちは見逃さない。

    顔の次は、仕返しと言わんばかりにみぞおちを、思い切り蹴られる。


     たきなの口からは唾液と血液とが半分になったものが吐かれ、白い襟を汚す。

  • 112二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 15:04:28

    >>111


    「はは……滑稽だなわたし」

     殴られながらも自分のことを思う。尾行は対象者にバレ、対象者を狙う奴らにも気づかず、

    そしてそれらに捕らえられて殴られてる。

     冷静に考えたらDAの判断は正しかった。わたしは役立たずだ……。


     現場担当のリコリスのスタンドプレー。その通りじゃないか。


     たきなは身体を傷つけられながら、自分の心もまた傷つくのを感じた。

     いや、後者は自傷かもしれない。

     

     銃弾が切れていたのは幸いだったかもしれない。たきなの手から零れ落ちた愛銃は

    一旦は男たちの手に渡ったが、残弾がないことからゴミのように隅に捨てられている。

  • 113二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 15:21:20

    >>112

     ……?

     攻撃が止んだ。

     わたしは薄目を開いて状況を確認する。


     わたしを殴っていた男がわたしの足元で呻いていて……。

     

     さっきの子だ。バット? 


     わたしの思考が戻る前に、あの子は雄叫びを挙げて他に立っているやつらを

    そのバットで殴っていく。

     そのコントロールはよく、みんな脳天にそれを受けて一気に蹲る。

     あの子は、自分を捕まえようと覆いかぶさろうとしてくる者を冷静に惹きつけ、

    バットが掴まれるかどうかの所で一気に振り下ろしてる。


    残っていた数人はパラパラと文字通り蜘蛛の子を散らすが如く去っていく。

  • 114二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 15:24:42

    >>113


     わたしをさっきから吊り上げていた男も一瞬たじろいだようだが、それで十分だ。

     肘でそいつの脇腹を打ち、数分ぶりに地面に降り立つと膝を屈して、相手の襟を掴み投げる。


    「お前は護衛じゃねえな? お前も同じか……」

     地面に伸びた男が何かを吐く。何を言ってる? 

     わたしは鞄を無意識に横に振ったが、そうか、無いんだ。


    「ねえ! これでしょ、君の!」

     そう、たったいま探していたそれを、あの子はわたしに投げてよこす。


     わたしの愛銃。わたしと共に戦い、わたしを救い続けてきたこれが、わたしの右手に戻ってきた。


     弾倉を入れ、スライドを引き、目標に合わせ、引き金を絞る。


     何千回もやったその動きはわたしの意図通りに、投げられた男を撃ち殺した。

  • 115二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:00:51

    >>114


    「ねえ、君でしょ……? 私が誘拐されたときに助けてくれて、それから……喫茶店で働いてるのもそうだよね?」

     あの子がわたしに近づいてくる。手に持っていたバットはもう離されてどこかに転がっている。

     三メートルは離れていた間合いをあの子は一気に詰めてきてわたしを抱きしめる。


     ――殺気、というものがなかった。

     だから一瞬反応が遅れてしまう。


    「き、喫茶店? 誘拐? なんのことです?」

     わたしはあくまでもしらを切りとおすつもりだった。

  • 116二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:35:09

    >>115


    「ごめん」

     そう謝ってあの子は抱擁を緩め、その手でわたしの伸ばしたままの髪を後ろで纏める。

     一つ結びにされたような感じだ。

    「……」

     言葉が出ない。


    「やっぱり、そうじゃん」

     あの子は目に溜まっていた涙をつつつ、と落とし始める。


    「……なにがそうなんですか」

     もはや聞いても無駄だが、一応。ああ、店で働いている時の髪型にされてしまった。

    誤魔化すのももうできない。

     リコリコで喋ったこと、わたしが高校生であること、警察官ではないことが

    あの子の中で繋がってしまう。そして過去に言ったことも嘘だと連鎖的にバレてしまう。

  • 117二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:35:54

    >>116


    「ずっとお礼を言いたかった。わたしを助けてくれた人がいて、

    その人の名前すら知らない。どこに行ったかもわからない。

    もう二度と会えないんだと思ってたら、偶然寄ったお店に似た人がいて……。

    あの綺麗な黒の髪に、ゴツい銃。紫色の目、服装が違っても私は見間違えないよ」


     あの子は髪を纏めた手を放して再びわたしの細い体を抱きとめる。

     ――震えている。そりゃそうか、短い時間で複数回襲われているんだから。


    「……だったらどうするつもりなんですか」

    これをエサにどこかの諜報機関へと垂れ流されるのなら……この場で始末しなければならない。

     右手に握ったままの銃の口をそっとあの子の脇腹に添える。


    「またお店に行ってもいいかな……嫌かな?」

    「えっ……?」

     拍子抜けする。

  • 118二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:38:05

    >>117


    「君がこういうことしてるの、確かによくわからないけど、言えないとか言いたくない事情があるんだよね」

     そうだ。言えない。「言えない」とすら言明できない。

    「なら、私は訊かない。訊いちゃうかもしれないけど、深くは追わない」

    「……は、はい」

    「……行かない方がいいかな」

     

     それは――とわたしが答えようとしたとたん、ピーと受電される。


    「あ、はい、無事です。DAにはすぐに、あ、はい。いいんですか? わかりました」

     あの子を離して、通信をとった。ミズキさんは気が利く。

     ここに車で来てくれるそうだ。しかし、赤は目立ちすぎないか?

  • 119二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:39:41

    >>118


     なんとなく、さっきの雰囲気が壊れる。

     

     二人でベンチに座って空を見ることしかない。

    「何も訊かない」というのは恐らく本気らしい。


    「ニシキギチサトさん……でしたよね」

    「そう……です」

     ミズキさんが来るまで少し時間がある。あまり沈黙に相手が耐えられそうもないから

    なんとなく他愛もない話をし始める。


     ここでニシキギチサトの名を出すことは、以前の誘拐現場で出会ったことを自白してしまっている。

    もう、わたしはどうせ役立たずのリコリスなんだ。

    どんな処分でもいい。という種破滅的な考えがわたしの中に沸き起こり、訊いてしまう。


    「珍しい……名前ですよね」

  • 120二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:41:51

    >>119


    「う、うん。錦糸町の錦に、生えてる木。そしてね、千、サウザントを束ねるで千束。なかなかないんだよ」

    「……そうですね」

     せんたばじゃないか。このへんに「千束 せんぞく」という地名もあった気がする。


     なにも訊かない縛りのせいか、あの子はそれ以上言ってこない。焦れてくるな。

    「わたしは、井ノ上たきなです」

     

    「たきな……か。きれいな名前だね。あの……たきなって呼んでいい? 千束って呼んでいいよ」


     ピーという入電はミズキの到着の合図。

  • 121二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:43:35

    >>120


    「じゃあ、行かないと」

     ガチャと随分軽くなった鞄を揺らしてベンチから立つ。ああ、言い忘れていた。


    「早速ですが今日、お店、来てくださいね、千束さん」

     そう、喫茶リコリコは経営難。少しでも長持ちしてくれないと、わたしはまた行き先がなくなってしまう。

     この口が堅そうな人ならいいだろう。彼女をとりあえず生かしておくことにする。

     それに! 短期間で二回も襲われてる。何か共通点があるかもしれない。

     二人であの赤い車に乗る。今回握られた手はそこまで痛くなかった。


    一話 おわり

  • 122二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:46:30
  • 123二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:55:50

    素晴らしい…1話という事はまさか?

  • 124二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 17:14:49

    >>123

    まあこんなノリでよければ書きます……




    次回予告


    「えっ、リコリコってSNSやってないの? だーから流行らないんだよ!」

    「いやぁ……あまりやりたくないというか」

    「え、なんで? こんなに可愛い店員さんと、おいしいスイーツあるし、

    そもそもこれ、映え~を意識して作ってるんじゃないの?」

    「まあ、取材拒否のお店としてやっていきたい系なんで」

    「あ、もしかしてこれ『地雷』の件?」

    「はい『地雷』です。はやく千束さんも地雷を理解してください」

    「まあ確かに訊かないって決めたのは私だけどさぁ……」


    「まあ、食べ物だけ映すのならいいと店長は許可してましたけど」

    「えー、なんかそれはちょっとちがうんだよなぁ……。ってえ、もう回ってたの?」


    「そうですよ、だいぶ前から」

    「え、先に言ってよ! 次回、リコリス第二話! Great minds think alike」

    「撮れてます、あ、顔出ちゃったんでもう一度」

    「え~たきな~」

  • 125二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:20:43

    千束の心臓の件がないから本編はなぞれないな。しかし千束がたきなにアタックするところはもっと見たい

  • 126二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 00:27:07

    乙です

    今回は1話でしたけど、何話まで続く予定でしょうか?

  • 127二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 05:53:07

    >>125

    いやーどうかなー


    >>126

    んー出来るだけ書きます。13話ぐらいかも


    読んでくれてうれしいなー

  • 128二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 12:53:58

    ほしゅ

  • 129二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 21:32:38

    この千束はリコリコで働くのかな。それとも客目線でお店を盛り上げる?

  • 130二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:16:52

    ほしゅ

  • 131二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 04:38:46

    保守ー

  • 132二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 13:04:20

    >>124


    あれから千束さんはちょくちょく遊びに来てくれるようになった。

    学校はサボってはダメですよ、という風に言ったら放課後の時間帯に来るようになった。

    学校、つまりは学生にとっての訓練時間だ。訓練はおろそかにすべきではないから。


    彼女は寡黙で、いつものカウンター席に座りながら、毎回違うメニューを頼んで

    わたしと二言、三言交わして去っていく。


    客単価は高いから安心してはいるのだけど、あれだけ縋り付いたわたしに対して

    意外と淡泊というかドライな対応をしてきます。


    やはり、戦闘の心の傷は訓練を受けていない一般人には大きいのでしょうか。

  • 133二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 13:14:43

    このレスは削除されています

  • 134二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 13:15:48

    >>132


    「たきなってさ……めっちゃ強いよね」

     ある日、出し抜けにブレンドを飲みながら彼女はわたしに言ってきました。


     他のお客さんがいない時を見計らってくれてはいたようです。


    「そういう、人生だったので」

     DAやリコリスのことはまだ喋ってはいない。

     彼女が知るわたしのことは、『なんか武装して、すぐに発砲する喫茶店に潜伏しているタイプの

    警察とか探偵とかボディーガード』という曖昧なことになっている。

     訊いてこないことに内心ほっとしている。

     何をしゃべっていいか、ということに神経を使わなくて済む。というか、全てが機密だから

    それを避けるのは無理があるし。


    「命の危機とかに遭ったことある?」

    「まあ……」

     お前のせいやぞ、とは言わない。

    「怖くない? 辞められないの?」

    「……」


     リコリスを退職できるかどうか、は答えられない。機密でもあるしそもそもよく知らないし。

     わたしが黙ると、ここから先は聞いちゃいけないゾーンだと彼女は理解して

    別の話題を振ってくる。

  • 135二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 13:26:55

    2話が始まった!(歓喜)
    本編だとくるみのボディガードする話だな

  • 136二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 19:29:18

    保守

  • 137二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 21:08:55

    >>135

    喜んでくれる人がいると嬉しい!


    >>134

    「ほっぺた、痛くない?」

    「……大丈夫です」


     この間、彼女を助けた時に殴られた頬。あの時、彼女が制服のボッケから消毒薬とか

    急速冷却パックとか大きな絆創膏を取り出した時は少し驚く。

     まずは消毒から冷却。ひんやりの二重。何かの軟膏を塗ってもらってガーゼを貼られる。

     ……この程度の怪我なんて怪我のうちに入らないのに、彼女は甲斐甲斐しく

    労わってくれた。


     内部は、自分の奥歯に自分の口の中の肉が切り裂かれ、しばらくは痛くて物を食べるのに

    難儀していたけれど、だいぶ快方に向かっている。


    「よかった……。女の子の顔に傷がついたら大変だしね」

    「……そうですね」

    潜入の時などに目立つ痕があると困ります。


    「まだガーゼ取れないの?」

    「……少しまだ青いので」

    「そっか……」


    「たきな……ずっと敬語なの?」

    「お客様ですし、そうでなくても年上ですし」

    「あ、うん……そか……」


     カラン、今日はアイスコーヒー。

    氷が崩れて落ちる。

  • 138二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 00:09:08

    >>137

    「……変な子」

     彼女が帰ってからわたしは洗い物をしつつ、いつの間にかずっと彼女のことを考えてしまう。

    暇なのが悪い。他に常連さんが一杯いればその接客応対で頭を使ったりして忘れられるだろうに。

     時折追跡してみてるが、本当にただの高校生だ。

    通信がジャックできないのは惜しいが、あれから大体二週間。何も起きてない。

    シロと考えるのが合理的だ。

     

     それに、いくらDAの支部とは言え、リコリス一人しかいないような、警察で言えば

    交番にも満たないような所を襲撃は……しないだろう。

     と最近思えてきた。

     ……少し悔しいが。「お前なんか襲う価値もない」と言われているみたいで。


    「錦木さん、最近笑うようになったよね」

    「え、そうかな?」

     千束は隣の席のクラスメイトから指摘されるまで、自分の変化に気づいてなかった。

    「そうそう、アレでしょ、恋でもしちゃった?」

     この年頃の話題なんか、成績と恋愛ぐらいだ。その一つを出されただけで大して実は意味なんか

    ないのだが……。


    「……マジか……」

     千束が思わず顔を真っ赤にして俯いてしまったので、質問者も狼狽える。

    「あ、えっと……別にあの、バラそうとかそういうのじゃないの。ごめんね、なんか」

    「え……ちがうって! これは違う」

     千束は手を振って弁明するが、何が違うというのだろう?

    「素敵な人、なんだね」

    「うん……とっても。でも私はあの人のこと全然知らない」


     そして、知ってはいけないのだと理解している。

  • 139二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 00:16:11

    たきなはどの世界線でも千束を落とすのか…恐ろしい子…

  • 140二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 00:27:20

    このレスは削除されています

  • 141二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 00:32:09

    >>139

    そらぁ、2回も命救われたら落ちますわよ

    >138

     冷静に考えてみると、実銃を所持し、殺人を犯しながら死体を隠そうともせずに放置し

    昼間は喫茶店で働いている人間などどう考えたって「マトモ」ではない。

     それでも千束にとっては自分自身を守ってくれた人だし、気を使われていない人だ。

     相手が同性なのはこのご時世なら大体の人は別にいいんじゃない? というかもしれないが

    殺し屋的なのは絶対ダメだと言われるだろう。

     でも……と千束は推測する。

    「あの子全然警察怖がってないよな……後ろめたさみたいなのが全くない」

     たきなのその堂々とした雰囲気が千束には気がかりだった。


     千束の癖の一つに、疑問をノートに展開していくことがあった。

     暇つぶしの一個だったのだが、中々面白いのでやってみることにした。


     あれは普通に犯罪。なのにそれを恐れてない。捕まってもいいみたいな自殺願望?

     っていうか強すぎでしょ、独学は無理。教えてくれる人がいたとか?

     メンタル面も教育の賜物? 銃はどこから持ってきた? 

     あの喫茶店のマスターは何者? たきなの仲間? やってること知ってるのかな。

     知ってるはず、ミズキっていう店員さんが車で来た。あの人も仲間だ。

     店長だけ知らないなんてことある? いや……ないだろう。

     っていうか、私とあの暴漢についての話の時に店長いたじゃん。

     なら、あの店全部が殺し屋的なものか。

     依頼ってできんの? 流石に電話帳とかネットには載せらんないよね。

     ヤクザなのかな? でもそうっぽくはないし。

     怖い顔の人とかいない。

     そうか、病院にも連れて行ってもらえた。なんか深い知り合いみたいだった。

     病院もグル? 闇医者的な? でも日中誰でも入れる普通の病院だしな

    ……? 

     まさかね。

  • 142二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 00:33:28

    そういうことするキャラは大抵しぬって映画で履修しなかったのか千束…まあたきなが死なせないだろうけど

  • 143二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 00:44:39

    >>141

    「そういう人生でした」と言ってた。幼少期からの訓練? 

    たきなの両親については聞いてなかったな、多分訊かない方がいい。

    小さい頃からならうまいのは納得。でも、普通そんな機会ないよね。

    ……たきなって日本育ちなのかな? 外国育ちでそういう経験があるなら

    わかる。でも日本語は普通だったし、見た目も日本人っぽい。可愛い。綺麗。


    日本の中で訓練したってこと? え、どこで。自衛隊? 警察?

    でも自衛隊や警察……はそんなに殺さないよね。

    秘密の軍隊……とか……?


    んなわけないよね……。

    秘密の軍隊の人がどうしてあんなところで働いてる?

    偵察? 任務?

    この街に危険が迫ってる?

    その監視役ってこと? あのお店全体がそうなのか?

    ああ、秘密が多いってそういうことなのか。


    秘密があること自体が情報の一つだ。

    千束はノート見開きたっぷり4ページを使いこれらを展開した。


    結論: よくわからないけど、多分どっか日本で訓練した殺し屋とか護衛の仕事で死体処理とかは

    なんか知らんけどプロセスが確立されてる→おそらくたきな以外にもこういう人はいる。

    というなんとも曖昧模糊なものになってしまった。


    千束はこれをため息とともに閉じて永遠に机の中の闇にしまい込んでしまう。

  • 144二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 07:49:09

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 12:55:14

    保守します

  • 146二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 14:58:43

    たのしみ。今まではifの二次創作って苦手だったんだけどこの2人は本当にハマってる。いいよねこの2人の運命力。

  • 147二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 21:01:05

    >>146

    わかる! 特にたきななら海でも割って見せるだろう頼もしさがある。


    >>143

    千束の中ではたきなはこの街を専属で守る係としてやってきたということにしておいた。

    ってことは……とっても優秀なんじゃないかな?


    優秀な人……確かにそうかも。


    私を二度も守ってくれた。


    不愛想だけど、仕事ができる人みたいな。


    頬に傷をつけてまで。あんな綺麗な顔に傷を残したら一生後悔する


    ……でも、私どうして狙われてるんだろう?



     とある一室。品のいい調度に高い天井。

     オレンジ色掛った照明。柔らかそうなソファ。

     そこに腰かける一人の男がいた。髪を丁寧に整髪料で纏め、後ろに流している人物。

    「さて、どこにいるのかな、私たちの求める才能というのは」

    「……さぁ……それこそ神のみぞ知るところではないでしょうか」

     秘書らしき女性がさして興味の無さそうに答える。

    「はは、面白いことを言うね。才能を持った者を探し出すにもこれまた才能がいるということか」

     女性は単に興味がなく適当に言ったことをこの男は気づいていない、或いは

    全ての事柄を自分に都合のよく解釈する者なのか。

  • 148二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 21:03:19

    不穏な影が…

  • 149二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 07:26:02

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 12:21:07

    保守なの

  • 151二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 20:34:06

    毎日楽しみに待ってます

  • 152二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 22:37:30
  • 153二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 22:52:17

    >>152

    同一人物だったのか

  • 154二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 23:14:19

    乙です
    みんなのよく知ってる黒幕きたな…

  • 155二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 23:18:49

    >>147


     今日は外のベンチに座っています。いえ、とても天気がいいので。

    お客さんが本当におらず、掃除も終えて、店長から言いつけられてた大きな荷物を宅配で受け取り、

    その時に浴びた光がとっても気持ちよくて、なんとなくもう少しこのままでいたい気になったのです。

     桜はもうとうに散って、新緑の頃と言われる季節です。行楽シーズンというぐらいですから

    喫茶店にはもう来ないのかもしれません。

     ……喫茶店に来たがる季節ってどんなのでしょうね。

     夏とかでしょうか、アイスクリームなどを出したら売れるでしょうか。

     アイスの盛り付けは直ぐに終わりそうですし、溶けるのも早いですから回転も速いのではないのでしょうか。

     土曜日というのに……本当に来ませんねえ……。呪われた土地でしょうか。

     

    「あ……たきな」

    「千束さん、いらっしゃいませ」

     千束さんが来ました。この方は変な人だけど毎回何点も注文してくれるから結構重宝しているんですよね。

     わたしが立とうとすると彼女はそれを手で制して

    「隣、座っていい?」

    「……? どうぞ」

     今日はお客さんにならないつもりなのかな。

    「たきなはさ、ここで働いてて楽しい?」

    「わたしには向いてないとは思います」

     仮に珈琲だけを淹れることに集中できるのなら技能を究めるという意味では好みかもしれませんが、

    笑顔で接客なんてできないです。

    「そうなんだ。てきぱきしててすごく向いてると思うよ」

    「……なるほど」

     確かに物覚えはいい方ですが、そういう評価をしてくれる人もいるのですね。

    店長からもミスを指摘されることは殆どないですし。

  • 156二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 23:20:25

    >>155

    「私なんて、多分注文も覚えられないよ、タハハハ……」

    「メモすればいいのでは?」

    「……あ、うん、そうだよねー」

    「わたしからすれば、千束さんの方がこの仕事向いてますよ」

    「あらそう? じゃあたきなと一緒に働いちゃおーかなーなーんて……」

    「店長に相談してみます」

     十中八九これは断られる申し出だろう。ここはDAの支部だ。民間人は入れる予定はない。

    わたしも無難な会話を覚えたのだ。


    「ああいう仕事なんか辞めて、喫茶店が本業になるといいのにね」

     は? わたし、よく声を出すのを我慢出来たな。


    「……そういうこと言わないでください」

    「危険な仕事なんか辞めてさ、こっちのほうが似合うよ」

     その言葉にわたしは苛立つ。喫茶店の制服、青い袖をぎゅっと無意識に握った。


    「……ないくせに」

    「え?」

     思わず声に出ていた。


    「銃を握ったことも無いくせに、わたしに口を出さないでください」

     彼女のただでさえ大きな目が瞬間的にぱっと大きくなる。

     もうわたしの口は止まらない。

    「なんですか? わたしにはあそこしかないんです、あなたには学校も家もあるじゃないですか、何もないわたしにちょっかい出して楽しいですか? 自尊心を高めて楽しいんですか?」

    「ちが、違うの、たきな」

    「なんでわたしに構うんですか? 何が目的ですか?」


    「じゃあ……私にも持たせてよ!」

     もっと出てくる呪いの言葉を彼女は刈り取った。

  • 157二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 23:37:54

    >>156


    「私だってたきなの力になりたい! そのために必要ならそうするよ!」

     彼女はぎゅ、とわたしの手を取った。両手が拘束されてしまう。

    「何バカなこと言ってんですか放してください!」

    「たきなが怪我をするような所なんかに行かせたくないよ! まだほっぺ治ってないじゃん!」

    「DAを舐めないでください! 何の訓練も受けてない奴に銃なんか渡すわけないでしょうが!」

    「私だってそれ受ければ上手くなるし!」

    「あなたは入れないんですよ!」

     あれ……わたし……なんて馬鹿なんだろう。

     ボロボロと秘密を喋ってしまう。

     DAとも言ってしまった。現在の彼女はそこに入れないことも言ってしまった。

     はあ……もうわたしも焼きが回ってしまった。


    「……あ、ごめん」

     彼女が手を放す。

     あざになってないかどうか、彼女は気になったようで、わたしの手を確かめる。

     はぁ……。なんか疲れてしまった。


    「もう戻ります」

     わたしは彼女から背を向けてドアをくぐる。

     彼女は追いかけてきて、いつもの席に座った。

     メニューに目もくれずわたしの方だけをじっと見て言う。

     

    「……いつもの!」

    「あなた、毎回違うの頼むじゃないですか」


    今日はここまでかなー

  • 158二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 08:32:44

    保守するぜ

  • 159二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 10:19:02

    原作で心臓呼ばわりされた例のあの人が、ここでは何呼ばわりされるのかな?

  • 160二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 12:48:29

    保守しておく

  • 161二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 21:18:28

    心臓さんがアップを始めました。

  • 162二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 23:13:52

    >>157


    「緊急で明日動けるか?」

     あの子、千束さんを見送った後、店長が帰ってきてタブレットを見せてくる。

    「……ウォールナット?」

    「ダークネットでは有名なウィザードらしい。まあハッカーだな、ハッカーからの救助要請だ」

    「わかりました。わたしは何を?」

     ほんとここの支部は個人からの依頼を気軽に請けますね、どうやって探してるんだろう。


    「なに、あちらが手配した車に一緒に乗って空港まで送り届けてもらう」

    「意外と簡単ですね、運転手兼護衛という形でしょうか」

    「それがちょっと厄介でな……本当はサードを一人呼んでおいたのだが、急遽来られなくなってしまってな、一人でできるか?」

    「まぁ、サードぐらいのならいなくても大丈夫ですよ」

    「助かる。ではこのようにしてくれ」


     話を聞く限りそこまで危険な任務っぽくはない。

    護衛、運転手そんなものだ。なんでサードなんかつけようと思ったのか。


    ここでわたしはちょっと意地悪な気持ちになった。


    「もしもし? 千束さん? たきなです」

  • 163二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 23:57:43

    >>162

    「いやあ、たきなから連絡がくるなんてびっくりだよ!」

    「あなたにも、わたしの仕事を理解して頂きたくて」


     まるで昨日のことがなかったかのように振舞う二人だが、お店の時のようにはいかない。

     交わされる言葉が終わるたびに微妙な沈黙が支配する。

     二人は店から少し離れた場所で落ち合って、たきなの荷物を千束に渡す。


    「重い……んだけど……なに入ってんのこれ」

     リュックサックである。女子高生がよく背負ってる可愛らしいリュックではなく

    登山とか探検とかそういった用途に似合うものだ。そして、これを背負う者として

    よく見るのは

    「なにこれ、軍隊みたいじゃん」

    「まあ似たようなものです、ちゃんとベルト締めてくださいね」

     砂色の大きなリュックサックは輿ベルトと胸のベルトを締めて安定するようになっている。

    「うお、金属だな、本格的」

     ガチャリ! という音を楽しむ千束。

     そのままベルトの余ったところをすーーっと抜いて、身体に合わせる。

     こうすると、同じ重量を背負っていても動きやすいし、腰を痛めないで済む。


    「で、中何入ってんの?」

    「予備の武器弾薬です」

    「ぶふぉぉぉ!」

    「あ、わたしから逃げたときにそれ持ってると捕まりますからね、あなたリコリスじゃないんで」

     制服を着ていないだけで捕まるのだ、そもそもリコリスじゃない人間がキログラム単位で武器を持ち歩いていたら即実刑は免れないだろう。

     言い終えて、GPSがついているとはいえ、逃げるときに荷物を捨てられるのは厄介だな……と思い直している最中、千束は言う。


    「たきなから逃げるわけないでしょ」

    「……そうですか……

  • 164二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 23:58:29

    >>163

     そこまで危険な任務ではないとはいえ、依頼人は世界的に有名なハッカーらしい。

    隙間時間で調べたが、愉快犯的に色々な所の情報を盗んでいて相当恨みを買っているようだった。

     用心するに越したことはない。拳銃一丁と弾倉数個じゃ守り切れないかもしれない。

     と思ったところに彼女、千束がいた。


     たきなにとって千束は自分の仕事を「そんなこと」呼ばわりしたかなり憎い人間だったが

    リコリスとしての秘密をある程度知ってて、素行も割れていて、打算的な見方をすれば

    自分の誘いには乗ってくるような性質を持つと踏んでいた。


    ――荷物持ちでもしてもらいますか。別に死んでも構わないですし。

     

     勿論この任務もサードリコリスが補佐として担当できる程度の軽易なものだとされているのも

    一因だったけれど、千束を誘ったのはおおむね、こんな理由だった。

  • 165二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 00:00:17

    >>164

    ここまでー

  • 166二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 06:59:53

    別に死んでも構わないですしで草

  • 167二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 08:41:42

    保守する

  • 168二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 19:19:28

    保守

  • 169二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 22:22:01

    >>166

    ここから、「千束が死ぬのは嫌だ……」になるんだから人は分からないものだ



    「電車に乗りますよ、着いてきてください」

    「お、向かい合わせのやつだ、旅行みたいだね」

     向かい合わせに座る。

     ……会話がない。

     たきなとしては、千束が意外にも黙っていられる性質であることに多少驚いている。

     騒がしそうな見た目をしておいて……といささか身勝手な偏見には塗れてはいるのだが。

     たきなは鞄からゼリー飲料を取り出し、むにむにと流し込む。

    「何処に行くって言っておいてくれたらお弁当でも作ってきたのに」

    「別にいいです」

    「わ、私の為ですぅ」

    「そうですか」


     ……そういえば、とたきなは逡巡する。


    「もう一つあるのでどうぞ」

     ガサ、と同じ味のゼリーを渡す。

    「え、いいの?」

    「お昼がいるって言ってなかったわたしのミスです。これから結構動きますから」

     とは言っても、助手席に座ってもらうぐらいだが、とは想定している。

    「うん、ありがとうね、たきな」

     千束は満面の笑みでそれを受け取りちゅうちゅうと吸う。

     たきなは千束のその姿を見て、なんか猫とか犬みたいだなと思った。

     

  • 170二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 22:26:10

    さすがたきな、ナチュラルに失礼なこと考えてるな。そしてしれっとイケメンムーブするな。そういうとこだぞ

  • 171二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 22:34:27

    >>170

    たきなはイケメンで美女なんだよ……おかしいよね……

    ナチュラル失礼なのはほんとマジそれ


    >>169


    「かなり近かったね」

    「そうですね、ゼリーで十分だったでしょう」

     うーんと背中をバキバキと鳴らしながらホームに降り立つ。

     短時間とはいえ、あの重さのものから解放されていたのだ、

    再び背負うとなると気合を入れなければならない。

    「うーん……あの席だとやっぱり駅弁の方が雰囲気出るよね」

    「そんなもんですか?」

    「たきなって旅行行ったりしないの?」

    「ノーコメントです」

    「ああ、ごめん、地雷ね」

    「そうです、地雷です」

     

     ここから先は話せない、ということを示す符丁としていつの間にか

    「地雷」が固定されつつある。

     当初、たきなは「なぜこの場面で地雷……?」と怪訝な顔をしていた。

    それは一般的な女子高生が指す地雷と、たきなの考える地雷の概念が異なるが故に起きた

    すれ違いであった。

     その時の千束の説明がこうである。「あ、えっと……踏んじゃいけない、触れちゃいけないもの的な」

     ああなるほど、ということでこの隠語になったわけである。たきなにしてみれば、「ノーコメント」と言うよりも「地雷」と言った方が短くて済むという合理的な理由で採用したようなものだ。


     だから、千束の言う、「たきなって地雷女だねぇ~」というのも秘密の多い女ぐらいの意味合いで受け取っている。

     もちろん、千束からすれば単なるツッコミ待ちの冗談ではあるのだが……なにせ通じていない。

  • 172二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 23:43:48

    >>171


    「でー、そのウォールナットさんってのは何処にいるんだっけ」

    「話聞いてました? 駐車場で待ち合わせしてそっから空港です」

     はぁ……とため息をつく。周りの景色は単調でどれも同じに見えて、たきなも地図を見ながら

    若干不安になる。

    「このあたりの駐車場ってと……あそこかな、公園前のやつ?」

    「たし……かに公園の前にあるようですが」

     恐る恐るといった風情でたきなは千束にスマホを見せる。――DA専用回線で動くモノで、

    盗まれたり失くすと非常に厄介だ。千束を完璧に信用した、と言うわけではないから、たきな

    自分の右手でしっかりと持って見せた。


    「ああ、あそこね、わかるよ、一緒に行こ!」

    「ちょっと、千束さん!」

     荷物係に手を引かれる、彼女は後ろにいるべきなのに。

    「……詳しいんですね」

     斜め下を向きながらたきなはぼそっと吐く。

    「結構自転車でウロウロするのが好きだからさ、自転車は乗れる? あ、地雷だった?」

    「自転車も乗れます」

     こう吐いた言葉の印象は、いつもと比べるとほんの少しだけ柔らかかったかもしれない。

  • 173二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 23:51:27

    彼岸花概念 其の二 消えてて草

オススメ

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