まじたきIF 2スレ目

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 19:38:05
    まじたきIF|あにまん掲示板「よう、黒い方。アイツはどんな顔して死んだんだ?」 葬儀場からの帰り道、喪服のたきなは聞き慣れた男の声を聞き、隠し持っていた拳銃に手を掛けながら振り向いた。 案の定、声の主は真島だったが、敵意はまるで…bbs.animanch.com

    まじたきの可能性を自由に語り合うスレの続き。


    千束ロス後の傷の舐め合い展開でも、千束救出のための共闘展開でも、たきなを取り合う平和な三角関係展開でも自由にどうぞ。


    スレ画は前回真島だったので、バランスを取ってたきな。

  • 2スレ主22/10/18(火) 19:40:49

    とりあえず水族館で真島と一緒に3人で「さかなー」する話から始めようか

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 20:20:42

    たきな「さかなー」
    千束「ちんあなごー」
    真島「……これ乗れって事か?」
    たきな「さかなー」
    千束「ちんあなごー」
    真島「さめー」
    千束「ひっどい! なんでそんなの出すの!? 凶暴過ぎるでしょ!」
    たきな「しかも字数短いですね。本当に空気の読めない男です」
    真島「バランス取ってやったんだろうが! 捕食者いねぇと生態系のバランス取れないし、字数も調整しないと長くなる一方だろが!」

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 20:24:34

    本編時空では解釈違いだけど、なぜかたきまじちさが仲良くしてるifは好き

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 20:25:38

    「水族館に行く趣味があるんだな、あいつは」
     千束の部屋に飾られた写真に水族館のものがある。真島は……まあいつものように
    馴染みの喫茶店の如く千束の部屋に出没していた。
     わたしももう慣れ(癪だけど)銃を腰に提げたままだが、穏便に対応する。

    「ええ、千束は年パス持ってるぐらいですからね」
    「まあ、大方、マグロやサンマを見て美味そうとか言ってるだけだろ」
    「言いそうではありますが、千束だって生け簀と水槽の区別ぐらいはつきます。ちゃんと綺麗だなー
    って感動してましたよ」
    「意外だな、案外乙女っぽいところあるんだなァ……」
     目を細めて笑う。わたしはムッとして
    「ええ、チンアナゴの真似をしたりしてましたね」
    「グハハハハ、なんだよそれ」
     下品に笑って珈琲をテーブルに置いた。これ以上飲むと吹くと予感したのか。
    「いや、こうやって手を挙げて、『チンアナゴー』ってやったんですよ」
    「こりゃ傑作だわ、あいつがきたらやってやろう……で、お前は何をしたんだ黒いの?」
    「わ、わたし? いや、べつになにもやってないですけど?」
    「おいおい、相棒がバカやってんのに自分だけ何もしないのはバランス悪いよなぁ?」
    「や、やってませんからねそんな間抜けなこと!」
     嘘を吐くのは胸が痛む。しかしまあ……こればかりは千束は許してくれるだろう。

    そういえば……どうしてわたしは真島が千束のことを乙女っぽいと評した時に
    ムッとした? 千束の身を案じて? あんなテロリストに目をつけられたら危険だから……
    いや、もうつけられているけど……もう一つ何かあるような気も、しなくもない。
    分からないけれど

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 21:03:48

    >>5

    「おい、電波塔」

    「なんだよ真島」

     真島と騒いでいるうちに千束が帰宅した。

     すっく、と真島は真面目腐った顔をしてソファーから立ち上がると


    「ちんあなご~」


     をやりやがった。

    その時の千束の顔といったら、真っ赤になってそのあと真っ青になってまた、真っ赤になって。

    花火ですかみたいになってわたしを涙目で睨んだ。


    「たきな! なんてことバラしてんのよ! こら!」

    「ち、違います! いや、言いましたけどバカにしてとかじゃないです、微笑ましい思い出です!」

    「おい真島ぁ、さかなーもやれよさかなー!」

     わたしの胸倉をつかみながら千束は吠える。が、それはいけない。

    「なんだよさかなって」

    「だぁぁぁぁ! たきな、自分の恥ずかしいところだけ隠したな! 実はね、真島――」

    「やめてください千束! ほんと! 後生ですから!」



    「こほん……では……ご覧ください」

    わたしは罰として二人の目の前でアレをやることになった。

    その二人の目はもう驚くほど似ていた。

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 21:05:37
  • 8二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 21:54:55

    >>4

    真島がちさたきに弄ばれる総受け展開はアリだろうか?

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 22:39:09

    >>8

    性的……にはたぶんない気がする……

  • 10二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 23:20:02

    とりあえず保守

  • 11二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 23:23:15

    ちさたきの保護者ポジションになる真島さん
    本来はミカさんだが忙しいので代わりに

  • 12二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 23:35:20

    >>7

    これまじたき、まじロボ、たきロボ、ちさまじ、ちさたきと要素があって本編らしさと映画らしさがあってそれ以外のキャラもほとんど活躍しててクオリティがすごい

  • 13二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 03:10:20

    楠木「何故真島を始末しない。お前達と毎日接触してる事はおおよそ察しがついている。消すのも拘束するのも容易いはずだが?」
    たきな「あの男を見くびってはいけません。実際にはまったく隙を見せないような危険な奴です」
    千束「そうそう。逆にこっちが隙見せたら撃ってくるんだよ? こっちの身にもなってよ」

    真島「よ、遅かったな。先に上がらせてもらってるぜ」
    千束「鍵、貸した覚えないんだけど」
    真島「奇遇だな。俺も借りた覚えがない」
    たきな「とりあえず帰って下さい。DAへの言い訳考えるこっちの身にもなって欲しいです」

  • 14二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 08:52:39

    愛嬌のある部分ってのも
    才能の一部なんだよな……

    千束と同じ

  • 15二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 08:57:10

    >>12

    キャラごとの距離感と扱いの上手さがいいよね

    たきなが真島のパンツ姿見ても全然動じないとか映画の話しに付き合うとかの絶妙な感覚

  • 16二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 09:29:28

    >>7

    この人だいぶ前にまじちさSSも書いてたけど真島の解釈が上手くて本編のイメージから乖離してないのよね

  • 17二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 09:47:28

    >>16

    真島の解釈が一致するのはいいな


    スレの趣旨からは外れてしまうけど

    もしよければどの作品か教えてほしい

  • 18二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 09:56:01

    >>17

    それが思い出せぬ…

    掲示板内のまじちさスレ内に投下されたやつでスレタイが思い出せない

  • 19二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 09:58:52
  • 20二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 11:14:34
  • 21二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 11:50:51

    >>20

    これださんくす

    スレだとSSが複数ある

  • 22二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 19:23:41

    >>7

    これももう終わりか

  • 23二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 23:42:06

    いつからだろう、真島と対峙するときに銃を持たなくなったのは。

    一番最初の時は撃った。当たらなかったのはとても悔しかった。
    千束の家に遊びに来るとかいうふざけた行いの時には、千束自身は
    無警戒で一緒に映画をみていやがった。

    わたしも誘われたから観たけれど、勿論右ポケットには愛銃があったし
    左にはマガジンがあった。

    いつの間にかわたしが留守番するタイミングでも真島は来るようになり
    映画を勧めてくるし、珈琲も淹れてくるようになった。

    その時は左ポケットには特に何も入れなかった。

    そして今だ。私は非武装であいつと会っている。
    千束抜きで話をしている。

    帯銃しないならリコリス制服じゃなくてもいい。なんなら私服でもいい筈なのに
    丸腰のリコリス制服というのが中途半端なわたしを象徴しているような気がする。

    わたしはため息を吐く。ごく小さいのに、きっと聞こえているのだろう。
    あの地獄耳には。

  • 24二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 07:11:05

    >>23

    外国の話、結構面白い。

    まあ真島の場合はテロのために訪れてるんだけど

    本やネットでは伺いしれない細かい話が沢山あった。

    地元の人しか知らないお祭り、小高い丘から見える海は

    夕暮れには向こうを航行する船が太陽を反射してダイヤモンドのように見えるとかその他色々。


    各国の料理の話。役に立つ。

    千束に作ってあげたらとても喜んでいた。

    どこで覚えたの? って聞かれたから

    とっさに誤魔化してしまった。


    千束だって真島に会っているのだからそうする

    必要なんてないのに、わたしの心はそれを隠してしまう。


    凶悪犯と和やかに話しているのが後ろめたい?

    確かにそれもある。

    千束にからかわれそう。

    「たきなも変わったねぇ〜」なんて。

  • 25二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 07:11:33

    >>24

    あいつは敵(かたき)だ。

    仲間のリコリスを何人も殺してる。

    そんなのからレシピを聞いたり、外国の話に

    耳を傾けるなんて、まあ有り得ないのに。


    面白いと、興味深いと、語って聞かせてその話の続き

    と思ってしまう。


    クソ……

    ドン、とソファーの座面をグーで叩く。

    わたししかいない部屋に静かに響く。


    今日はまだ来ないか。窓の外には一点の曇もない。

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 07:28:30

    >>25

    ……夢を見ている、わたし。

    あのままソファーで寝落ちしてしまったようだ。

    夢が夢だとわかるアレだ。


    わたしの正面にわたしがいる。

    ムスッとして人を無差別に射殺すような目をしたわたし。


    千束に会う前の……わたしだ。

    それは口を開いた。


    「たきな。なぜ殺さない」

    わたしの声だ。

    「……誰を?」

    「ふざけているのか?」

    「わかってる」

    「油断を誘ってる、情報を引き出す……なんてのはただの言い訳だ。分かってるんだからな。だって、わたしはわたしだからだ」

     怖いな、わたしって。そりゃあ友達も少ないわ。

    「DAにも背任してる。わかってるよな?」

    「わかってる」

    「でもお前ーーわたしは『殺したくない』んだよな」

    「……うん」

    「……腑抜けめ。また来るからな」

    わたし、は消えた。それと同時に浅い眠りが醒める。


    まだ誰もいない。真島も、千束も。

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 14:54:28

    変化に苦悩するところがとてもいい
    まさにたきなって感じがする

  • 28二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 19:17:38

    たきながもしも真島を殺すことになっても真島は笑ってそう

  • 29二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 19:31:59

    >>26

    「ごめん、遅刻しちゃって、あの……その、髪がキマらなくて……」

    休日に千束は遅刻してきた。服を見に行くだけだし、十五分もないぐらいだ気にしてはいない。

    「……真島が来たんですね」

    「う……はい」

    「まあよく十五分で解放されましたね。じゃあ行きましょう」

    「お、怒らないの?」

    「どうして?」

    「いや『また真島ですか! まったくあの野郎ぶっ殺してやる!』って感じだから……家に来てるの不快だと思って」

    「……まあ、鍵を掛けても無駄でしたしね。別に来るなら仕方がないですよ」


    「……そうなんだ」

    「ええ」

    「あ、あとそのわたしの真似。全然似てないですよ」

    「くーーキビシーー!」

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 22:34:25

    >>29

    陽気な休日だ、人出も多くて賑やか。

    わたしたちは色んなお店を見て、お互いを着せ替え人形にして楽しむ。

    千束は意外と帽子が似合う。キャスケットなんか被らせたら

    少年っぽくてとてもかわいい。


    寿命の所為で千束は逆エルフみたいな、なんというか

    長命の種族が人間を避けるようなもののちょうど反対みたいな

    性質を以前までは持っていたけれど、今は全然違う。

    未来の話をしてもそれが現実感を持って受け入れられている気がする。


    一通り見て回って、喫茶店で一休み。

    これもリコリコのための偵察の一つなのだ! と笑う千束を見ながら、わたしも疲れを珈琲の中に溶かす。


    「……そういえば、真島は今日はどんな用事だったんですか?」

    なにが「そういえば」なんだ、わたし。ずっとずっとずっと、それが訊きたかった癖に

    「んー? ああ、映画だよ、それの新作が出たから観ようぜって」

    「なるほど、ほんとに映画好きですよね」

    「えへへー。まあね」

     千束のことを言ったと、彼女は勘違いする。いや、それは仕方がない。

    だっていつものわたしなら、そうするもの。真島のことになんて興味関心ないのが、いつものわたし。

    「いつもハリウッドもびっくりなことやってるのに」

    「でも自分でやってると案外あっさり終わっちゃってるからさ」

     これも。

    「絶対死ぬと思うんですけどね」

    「まあ、千束さんは身のこなしも早いしね~」

     これもだ。


     アイスコーヒーをストローが吸い尽くして、氷の窪みに入った黒い液すらもうない。

    ずっずっ、と辛うじて染み出てくる氷が解けた水を吸い、喉を濡らす。今日は喉が渇くな。

  • 31二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 23:01:13

    >>30

    「映画だけ……ですか?」

    「んー。まあ大体そうだね、話題ってほど話題はないし、あとは珈琲ぐらい?」

    「そう……ですか」

     思わず口の端が持ち上がってしまう、この醜い感情をわたしは知らない。

     優越? 何故? なぜ千束に対して? 真島との話題の乏しさについてどうしてそう思う必要がある?

     どうしてあんな奴と。

     ……わたしが映画を観ないから、向こうが退屈しただけ。

     あっちはずっと映画の話がしたかったはず。できないから……何かで埋めただけ。

     それだけ。


     でも……。千束はユーラシア大陸の果てにある小さな島にある奇妙な祭りを知らない。

     小さな船が夕暮れ、ダイヤモンドに見えることも知らない。

     

     千束の知らないことを、私は知ってしまった。

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 08:33:34

    >>31

    いつも教えて貰ってばかりのわたしが

    千束に勝るものを持っている。

    この単純な事実に昂揚した。


    良くないことだと知っているし

    知っていると言いながら、

    下らないものばかりだ。


    本当に……最近のわたしはおかしい。


    でも、これは癖になりそうで

    今やめなければ、もっと「あれ」に

    深入りしてしまうことになる。


    戻れないぐらいに

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 18:20:56

    たきな落ちかけてる……

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 20:10:13

    >>32

    「で、今日は何の話をしてくれるんですか」

    「おいおい、お楽しみにしてんだなあ」

     ケハハハ、という描写しづらい笑い方をする。

    「そんなわけないじゃないですか、あなたの手口の研究です」

    「なぁるほどね、職務熱心なこって、相棒も見習うべきだよなァ。いっつも映画の話ばかりするから」


     千束から家に誘われると結構なタイミングで真島も来る。

     最近では、千束がいないことを気にも留めなくなって、わたしの横に一個分の隙間を空けて座る。


    「千束とはどんな話をするんですか?」

    「ん? あいつのことが心配か? まあそんな悪いことは吹き込んでねえよ、アランの奴らがうぜぇとか珈琲とかんなもんかな、あとはだいたい映画だ」

     アランをディスるとあいつは微妙な顔すんのがちょっとおもしろくてな、と付け足す。

     命の恩人でもある吉松――ヨシさんのやった個人的なことと、世界を良くしていく全体的なこととで

    千束は判断を迷っているんだろう。

    「へ、へぇ……。あなたの話、とはか? わたしにするようなやつ」

    「しねえなあ……訊いてこねえし」

    「そうなんですか」

     わたしは、ぎゅと拳を握る。――なんで? なんで?

     この間感じた醜い気持ちの他に、また一つ「名付けてはいけないもの」が込み上げてくるのがわかる。

    「ああ、この間の続きでいいか? えっと」

    「巨岩の上の都の話ですよね」

    「ああそうそう、よく覚えてんな、じゃあ――」

  • 35二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 23:09:04

    >>34

    「そろそろ遅いから帰るわ」

     律儀なテロリストは小学生みたいなことを言って窓から帰っていく。

     その背中を見ながら、伸ばしそうになった右手を

    グッと引っ込める。


    「行ってみたいな……そこ」

    話に出た都市はこの世界に本当にあるのかわからないぐらい不思議で、少なくとも想像は難しい。

    今とは全然違う文化があるんだと知られる。

    DAでも勿論異文化学習は潜入のために行われるが

    授業とは比べ物にならない深度だ。


    ああ、今日のレシピ……。小さなメモ帳。

    乱雑な字が踊る。

    真島が喋ったレシピを残さず書き留めた。

    日本では馴染みのない食材の名もあるが

    その場合には代替品の候補を何個か真島は言う。


    詳しいですね。と言ったら仲間に作って食べさせているそうだ。

    意外と……面倒見がいいんだな、テロリストのくせに。

    いや、法に守られていないから、身内で守り合うしかない……。


    あれ、わたしたち(リコリス)もか……あああ止めだ止め。

    あいつらは犯罪者。わたしたちはリコリス。

    全然違う。


    そう思いながらレシピを見直す。

    ……ネットで調べたと、千束には言いましょう。

  • 36二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 23:40:57

    沼に嵌っていくように少しずつ少しずつ身動きが取れなくなって落ちていくたきなが、こう、いいね

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 08:12:20

    >>36

    たきなは真面目だから余計映える

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 12:50:38

    このレスは削除されています

  • 39二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 13:03:33

    >>35

    「たきなー! 今日の料理はなんか一段と美味しいね!」

     千束は匂いを嗅ぎつけて台所で料理をしているわたしを後ろから抱きしめた。

     それを制しながら、テーブルで待ってもらっていて、一口食べた時に出た感想がこれだ。


    「そうですか、それはよかったです」


     ジャガイモと豆をつぶしてカップ一杯のトマトソースと缶詰のコーン、それからひき肉、スパイスとを合えて、少し火を加えて水分を飛ばした後に、それを耐熱皿に移してパイ生地を重ねてオーブンで加熱する。


     途中までコロッケを作るような工程だったのに、違う雰囲気のものができて面白い。

     加熱中にコリアンダーをミキサーで潰し、オリーブオイル、酢、胡椒、チリペッパーなどを混ぜてソースにする。

    元々のレシピだと香草が強すぎるからコリアンダーを減らし、その分ほうれん草などにしてまろやかにしよう。


     こうすると赤い中身と緑色のソースで色合いもいい。


    一品だけだと寂しいから、余ったひき肉を軽く叩いて成型しハンバーグのようなものを。

    そしてトマトソースを掛ける。


    「たきな最近ネットでレシピ見るのすきだね、これもでしょ?」

    「……そ、そうですね。これもです」

     ズキリと心が痛む。

    「すごいなあ、たきなは~。よぉし、千束さんもたきなに色々新しいの作っちゃるよ~」

     いやぁ、最初の頃のたきななんて、食事はゼリー飲料かプロテインばっかで驚いちゃったけど

    変わったねえ、なんて言って料理を美味しそうに口に運ぶ。

     潰されてないコーンの食感が気に入ったのか、コーンウメェと言いながら掬っている。

     ……やめてください。なんて言えない。わたしが自分で調べたことに報いようとしてくれている。

    そう、「自分で」調べたことに対するお礼のつもりなんだ。

     違うのに……わたしはあなたが思ってるようなことはしていない。


    でも、千束が喜んでくれるなら、それでいいよね? わたし。

  • 40二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 20:10:41

    >>39

    その日から一生懸命、嘘を本当にしていく。

    レシピを買ってきたり、ネットで調べたりして

    新しいレパートリーを増やしていく。


    B6のカードに煮物、焼き物、揚げ物などと分類して

    材料ごとにも相互参照できるように編み上げた。


    これで忙しくても新料理をなんならわたしが発明することだってできる。


    あんな奴なんかいなくてもわたしは千束を喜ばせられるんだ……。

    だって、そうじゃなきゃ、間接的に千束は真島に嬉しさを提供されてるのと同じだ。

    千束が笑いかけてるのはわたしの後ろにいる真島になってしまう。


    そう、今まで会ってたのは千束のため、

    千束のためになんだ。今までのレパートリーだとちょっと飽きられてた。

    それをちょっと変えるためにわざと会ってただけなんだ。


    もう、千束の部屋にずっといることはやめよう。あんなやつの来る所なんか……。


    ……でも、千束を真島と二人っきりにするのは……嫌だ。


    楽しそうに話さないでほしい。

    わたし以外の人にそんなに……。


    まて、これの「主語」は誰だ?

    わたしは誰に、楽しそうに話さないで欲しいと願った?


    勿論――千束だ。そうだ。そうでなければならない。

    わたしは千束の相棒であるその前に、DAのリコリスなのだから

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 23:11:52

    ふーん、えっちじゃん

  • 42二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 00:54:42

    >>40

    努力の甲斐あって、わたしが勉強したものでも

    千束は目をキラキラさせて料理を食べてくれた。

    これで、これでいい。


    それに、真島の奴ももう一か月以上来ていない。

    もう、外国にでも行ったんでしょう。新たな対象を探しに。

    この間会ったときにも、外国のニュース番組を結構熱心に見てたから

    そこにでも行ったんじゃないか。


    そんな折、千束がわたしに服をくれるという。

    夏用の福袋をたくさん買ったけど、その中でわたしに似合いそうなものが結構あるとのことで、

    家に撮りに来てほしいそうだ。きっと千束のことだ、わたしを着せ替え人形にして遊びたいんだろう。

    まあ、満更悪くはないですが。

    お金払いますよ、と言ったけれどいつもの食事のお礼ということで固辞されてしまった。

    ほんの少しだけど、嬉しかった。自分の努力が報われるような気がして。

    金銭的なことではなく、そこまで喜んでもらえるという事実に。


    「ヨォ、黒いのだけか?」

    ――すっかり油断していた。

    ウキウキ気分で千束より先に家に着いたわたしを出迎えるアレ。


    「何しに来たんですか」

    「まあ、駄弁りに来た、んで珈琲飲んでケーキ食って帰る」

    「……まったく」

     わたしはチラ、と部屋の隅を見る。綺麗に整列された紙袋が見える。

    多分あれが服。しょうがないけれど、これだけ持って一旦撤退しよう。

    「おまえはすぐ帰るのか?」

    「ええ、これ取りに来ただけですし」

     ガサ、と紙袋を二つとも掲げる。

  • 43二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 00:55:09

    >>42

    「……服か」

     なぜわかる、地獄耳め。

    「そうです。千束に選んでもらったんです」

    「そうか、あいつぁ、中々あれでいて趣味がいいからな、いいの選んでくれてんじゃねーの?」

     ……? 千束、私服を真島に見せたことがあるの?

     武装はしてないにしても、制服だけは着てると……。部屋着の時に真島が押し掛けたのか?

    「まあ、黒いのはシンプルな方が似合う。きっとあいつもそういう風なのを選んでるはずだがな」

     カサ、と紙袋を開いてみると確かにそういう系統だ。夏用とも言っていたからそれは際立つ。


     千束と本当に趣味が、というか発想が似てるんだな……。

     だからあんなに楽しそうにしてられるんだ。

    もし、いや、あり得ないけど、この千束が選んでくれた服を着て真島の前に立ったら……。

    「似合う」とか言うのだろうか。

     忌々しい。そしてわたしはその言葉を聞いて

    ――なんと感じるのだろうか。

  • 44二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 06:43:21

    優等生キャラたきなと不良真島か……
    距離感的に友達(千束)の兄や

  • 45二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 16:36:16

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 23:28:03

    兄貴ポジとか言ってたきなに怒られる真島

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 00:57:19

    >>43

    「あはは……真島がいたらそりゃねえ……今日は帰ってもしゃーないですわ」

     電話口で帰ってしまったことを謝る。

     真島がいるところで着せ替えをするのが嫌だったと告げると千束は納得してくれた。

    「私が帰ってきたときにはもういなかったからさ、わかんなかったや、服だけ消えてたから

    たきなは来たんだと思ってて」

     そうなんだ……てっきり千束に会いに来てるんだとおもってたけれど。

    あのまま……帰ったんだ、あいつ。……誰に会いに来たんだ? 

    「いえ、また行ってもいいですか?」

    「いいよーってか、今から来る? そのままお泊りしようぜー、あ、そうそう、私も食材買ってきてて、たきなに食べてもらいたいなーって思ってたんだよね」

     よかった、千束をちょっと不機嫌にさせてしまったかと思ってたけど、そういうのじゃないんだな。

     それに、料理を用意してくれるなんて、純粋に楽しみだ。

     わたしはさっきの紙袋と一緒にまた千束の家に出向いた。


     ドアを開けると、香しい香り。

    にんにくと、なんだろう、海老だろうか、香ばしい感じだ。

    「お、きたなたきな」

     ドアの陰からニカっとしながらイッヌのエプロン姿の千束が登場。

    「あのねー今日はガーリックシュリンプなんだよ! 凄いでしょ!」

     と胸を張る。

    「ありがとうございます、あれ下処理大変なのに凄いですね」

    「そりゃーたきなさんにやってもらってばかりじゃ、私カッコよくないですからね!」

     十分かっこいいけれど、ここはちょっといじめたくなってしまう。

    「ふふ、もっとカッコよくなるために台所キレイに使ってくださいよ? 切った野菜くず、そのへんに散らかしっぱなしですから」

     そう、私たちの歓談にはあいつなんかいらない。

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 01:09:59

    >>47

    「千束、私服姿を真島に見られたことはありませんか? センスがいいとかって言ってたので」

     訊きたかったことを聞いてしまう。

     千束がまさか自分で能動的に見せるわけないから、見られてしまったという表現を使う。

    「あーあったね、休日にごろごろしてたときに来てさ、パジャマじゃなくてよかったわ」

     パリっと海老を噛みながら千束は答えてくれる。嘘をつかれてはいなさそうだ。

    千束、真島のことに関しては少し素直じゃないところがある。


    「まあでも、それぐらいかな? あとは映画見て珈琲飲んで帰ってったわ」

    「……そうですか、ちょっと危険ですね。防弾じゃないので」

     よかった、もしまかり間違って千束の方が見せていたら冷静ではいられなかっただろう。

    「んー。でもなんていうか、真島最近仕事してないみたいでさ、危険な感じがないんだよね」

     サフランライスにガーリックソースを絡め、ハフハフと言いながら口に運んでいる。

     ゆで卵やサフランライスに下処理が難しい海老まで用意してくれるなんて本当に千束は

    わたしの作った料理をいいと思ってくれてるんだろう。少しまだ心が痛い。


    「……そうなんですか」

    「んー。なんつーか無力感を感じてるみたいな? こと言ってた。どんだけやってもカバーというか偽装されちゃうからさ」

     ……真島のやつ、わたしにはそんなこと一言も言ってなかった。どうして千束に言うわけ?

    あれだけ話してたじゃない。それに、千束とは映画と珈琲ぐらいで、自分のことを話すようなこともないって言ってたじゃない。

     ……? あれ? 今、わたしなんでこんな風に思ってる?

     ああ、前提条件が崩れると誘導尋問などに差し障りがあるからか、そうだ。

     千束とも、世間話というか身の上話もする。……別にわたしとだけなんてことはない。

     そっか……そうなんだ。

  • 49二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 01:32:08

    >>48

    「元気か、黒いの」

     ソファーの隣に音もなくそいつは現れる。幽霊かと思う。


    「……まあまあですね、そっちはどうですか?」

    「ぼちぼちでんなぁ」

     真島、そもそも日本人でいいのか? こんな古典的なギャグを解するのは少し不思議だ。

    「最近は大人しくしてるんですか? DAからあなたの行動が見えないようですが」

     極めて事務的な話。

    「最近はお休み中だ、まあ何年も働いてたからな」

     ふぅ……と言いながら天井を仰ぐ。だらりと手をソファーの背もたれに回して伸びをする。

    本当に油断しているな。そのまま関背を極められても仕方がない姿勢だ。

    「それで休暇をとって千束の家に遊びに来てるわけですか」

     点いていない、真っ暗なテレビをわたしたちは介してお互いの顔を見ている。

    「まーな、俺はあいつの兄貴分みたいなところあるからな、妹は心配なのよ」

     ククククと静かに笑う。

    「千束はあなたみたいな犯罪者じゃありませんよ」

     ピシャリと怒る。こればかりは本当にイラっとくる。千束とおまえとは違うと言っておかなければならない。

    「まあな、これは前にも言ったしな。法で定められていない連中が人を殺してる。一方はリコリスで一方は俺ら……まあそんなところはどうでもいい。アランに支援されたという縁で、俺らはある種の天才で、その使い道を自由にしてきた奴らさ。あいつもあいつで悩みを理解してもらえてない所がある。天才はいつだって孤独なのさ」

    いつになく真面目に真島は語る。少し俯いて、言葉を噛みしめるように。

  • 50二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 01:35:14

    >>49

    「あいつの不殺についてどう思うよ」

     爛とした目がわたしを射抜く。思わず背筋を正す。攻撃してこないと分かっていても、正直に言おう

    少し怖いのだ。

     あいつは回答を急かさないでたっぷり三十秒は待っていてくれた。

     ごくり、と唾を飲み込んで、今まで飲み込んできた台詞を吐く。

     その瞬間まで千束が帰宅してないことを両の眼で確認してから。

    「……正直今でも、千束自身の危険を冒してまではやってほしくありません」

     これは偽らざる本心だ。ちゃんと殺していれば、復讐されることも無いし、セーフハウスを移りながら暮らすこともなくていい。応急処置とかで隙を見せなくてもいい。

    「だよな。みんなそう思う。なかでも口がさない連中は『それはお前だからできる。俺らとはお前は違う』と言うんだよ。自分らが出来ないだけなのに、出来る奴を罵る。そうやってあいつは――孤立したんだろ」

    「……詳しいですね」

     わたしは動けない。その『口がさない連中』とわたしは大して変わらない。

     言ったことがあるし。

    「みんなあいつのことを排除する癖に、時には便利に使う。そうやって生きてきたんだよ、あいつは」

    その愁いを帯びた目の先にはきっと

    「天才ってのは、道具なんだよ、みんなのな」

    きっと、千束がいる。

  • 51二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 08:18:11

    まじたきのダウナーさがクセになるぜ

  • 52二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:12:20

    千束に限らず、よく考えたらリコリスの境遇って酷いもんだよな。考えようによっては千束は特にひどいが。

  • 53二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 16:10:27

    孤児という立場を利用して、使い捨ての暗殺者に育てるとか、たとえ国防のためで大義名分あっても問題なんだよな。

  • 54二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 19:33:40

    >>50

    「同情……してるんですか?」

     何千人も殺してるであろう奴が人に同情するのだろうか。

     そんな人の心があるのか、こいつに。

    「そういうのじゃねえ、いろんなところで見られたぜ、お前らみたいなのはな。お前らは……そうだな……少年兵だ。白色テロ――テロを潰すためのテロを起こす奴らのな」

    「わたしたちもテロリストみたいに言うな」

    「……まあお前とはこういう話は弾まねえことは分かった……がしかしな、日本でだけは可哀そうだとは思わなくはないんだ」

     わたしに向けた顔を再び天井へと戻す。

    「いろんな地域に行ったさ、そこじゃ少年兵たちがライフル撃って、撃たれて死んでいく。でもな、あいつらがいること自体はみんな知ってんだよ。怪我したら民家で匿われる、死んだら地域の住民は悲しんで合同葬儀をしてくれる、地域の子供として扱われる。お前らはどうだ? お前らの存在は秘匿され、死んでも生きてても、同じようなもんさ。お前らが陰で犯罪者を撃ち殺しまくって漸く保ってる平和を、民衆は自分たちの努力で保ってると思ってる、こっちの方がクソだと思うけどな。――まあそういう意味では同情してるとは言えるかもな」


    「そう……ですか」

    わたしたちは影に生きて影で死んでいく。そういうものだと思ってたし、そう教わる。

    誰も、疑問には思わなかった。それに、日本人が自分たちの努力の結果平和を勝ち取れていると思えることが

    一番の幸せだとも……教わる。


    ――千束。

    心臓に鞭打ち、余命が数年、数カ月の少女がその身を投げ出してこの世界を守っていたこと、

    それに何の弱音も吐かないで、自分の境遇を呪わずに。毎日笑顔で。

    それなのに、みんなはその千束が守ってきた平和を使い潰す。なんの有難みも感じないで。

    千束が任務で死んでも、それは殉職として認識されることもなかったのだろう。

    今更驚くことではないけれど。わたしの仲間も大勢、処分されていったのだから。


    なのに無性に、腹が立つようになってしまった。

  • 55二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 23:38:46

    >>54

    「……とまあ、俺は胸糞悪りィと思ってるけどな、電波塔様は懐が深くて、『それでいい。私がみんなの平和を守れるならそれで一番だよ』とか言うだろうけどな」

     そうだ、千束ならそう言うだろう。

     千束は、考えようによっては自分の命と引き換えに犯罪者を生かしていたようなものだ。

    だから心臓は一旦は破壊された。殺人を勧められても、強制されてもそれをガンとして断った。

     自分の命より、他人の命をだいじにした。あのバカは。


    「……お前はどうなんだよ、黒いの」

    「わたし……?」

     その目はわたし以外を捉えてはないのだから、そんなこと聞き返さなくてもわかっている。 


    「少しはムカついたか? 犠牲に感謝がないことに」

     この問いに、どう答えるかで今後のわたしの生き方が少し、変わってしまいそうな予感がする。

    「ええ」

     こう答えたわたしは、とっても悪い顔をしていただろう。

     ああ、わたしと真島は少し似たところがあるのかもしれないな。

  • 56二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 05:43:29

    ほほう

  • 57二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 12:53:33

    保守しとく

  • 58二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 18:50:21

    馴染むッ!やはり真島とたきなはよく馴染むぞッ!

  • 59二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 21:15:17

    馴染むなあ

  • 60二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:03:08

    >>55

    「……珈琲、淹れますけど飲みますか」

     少し喉が渇いた。ついでだから注いでやろうか、と思って声を掛ける。

    「お、お前が出してくれるのは……珍しいな、初めてか?」

     まったく、千束ったら甘いんだから。

    「たまたまです。一杯分だけ沸かすのは勿体ないので」

    「ふ、じゃあ頼もうかな。喫茶店の店員が淹れてくれるなんてツイてるね」

    「まあ、あなたがリコリコに来たら撃ち殺しますからね、他の客に危害を……ってまあ、顔がバレてるから

    来られませんか」

    「あの後、アレ映画ってことになったんだろ? ウケるわ」

     ウケるわ、との言葉とは裏腹に頭は下がったまま。ああ、千束が言ってたな。

    どう頑張ってもカバーされてしまって、やる気を失っているみたいな。

    「そうですね、だからもうテロなんかやめたらどうですか?」

     こう勧めるのはリコリスとして当然の責務だ。

     真島は黙ったままだ。わたしは豆を電動ミルで挽く。

    最初大きかった振動と音とが次第に小さく、ごく小さくなる。

    「……テロ以外のことだって、してもいいんじゃないですか」

     カウンターの向こうのソファーで真島は呻くように喋る。

    「何すりゃいいんだよ、今更俺なんて」

    「やさぐれないでください」

     DAから追い出されたときのわたしも、きっと傍から見たらあんな感じだったのかもしれない。

    唯一の存在意義を奪われた、そんな時のような。


    「……ほかに何かしてみて、それでもテロが良ければそれに戻ればいい。遅くない、まだ途中かもしれません。チャンスは、また来るでしょう。まあ、治安を守る立場からするとそんなチャンス今後絶対二度と来ないといいと思ってますけどね」


    「何かしてみる……ねぇ」

     虚空を見つめて、真島は唸る。無理もない。直ぐには代替物なんて見つからないのだ。

    「手始めに、わたしたちと楽しく映画でも見ましょう」

     温かいカップをそっと手渡した。

  • 61二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 07:02:17

    落ちた……か……?

  • 62二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 08:19:55

    コーヒーは落としてある

  • 63二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 08:48:46

    どうかな

  • 64二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 08:52:26

    たきな優位の関係性もすごくいいな……

  • 65二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 12:30:30

    アドラーとホームズみたいになってくれるといい

  • 66二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 19:31:11

    >>60

    「た、たきなが真島に珈琲を淹れてる……だと……!」

     帰宅した千束が手に持った鞄を床に落とした。

     ガチャ、という金属の音がする。

     普段でも大きな目が、今回ばかりは五割増しぐらいになっていて、口はパカっと開いたまま。


    「ヨォ、電波塔、羨ましいか?」

     真島はわざとらしく、わたしから受け取ったカップをそちらに掲げる。

    ふわりと湯気が動き、香りがそちらへ向かう。

     裂けるような口の端がニィッと持ち上がって心底愉快そう。

    「た、たきな! 脅迫でもされたのかっ!」

    「俺はしてねえぜ」

    「たきなぁ……」

     わたしの所に駆けてきて、謎に抱きしめられる。どさくさに紛れてスンスンと首元の匂いを嗅がれている気がする。

    「いえ、違いますわたしが飲みたかったから、ついでです! ついで! ほら急に抱き着くとこぼしちゃいますから」

     わたしはマグカップを持ったままだったし、少し焦る。

     何か色々、彼女なりに確かめて(?)納得すると、ぽふんと腕を組みながらソファーに座って横にいる真島をジトーっとした目で見る。

     彼女の眼は本当によく動く。あんなに見開いたかと思えば今は本当に細い。

    「たきな、私にも珈琲! 疲れたから砂糖と牛乳も入れてね!」

    「お、やっぱり羨ましかったんだな」

     ケラケラと笑いながら砂糖をカップに放り込む。

    「いーえ? わたしは毎日飲んでますからね、たきなの珈琲!」

    「そりゃ業務だろ。俺には厚意でだ」

    「ぐっ……好意ィ……?」

     多分何か二人の間ですれ違いが起きてる気がする。

     わたしはなんだか可笑しくなってさっさと台所に逃げる。

     ついでだったから、その言葉は黒か白か、そんなものは分からない。ただこの手の中にあるカフェオレのように

    ゆるりと混ざっていくだけ。

     ただ、こんな平和な時がもう少しだけでもいいから続いてほしいなと思った。

  • 67二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 19:34:17

    千束の行動が脳内再生余裕で草

  • 68二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:21:54

    いいね、こういう雰囲気
    3人がわちゃわちゃしてんの好きだわ
    千束が匂いを嗅いだのは、もしや真島とたきなの関係を疑って?

  • 69二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:29:40

    >>66

    「……そうなんだ、テロ休業中なのか」

    千束はわたしが淹れたカフェオレを散々ッぱら真島に自慢し漸く飲み始める

    「そうだ。DAはやっぱり執着が酷いもんだ」

    「楠木さんからの情報によると、真島は殺すリストの筆頭だからね。血眼になって探してるわけよ」

    「へえ……。お前らは俺を殺さなくていいのか? チャンスだぜ」

    「残念、私は殺さないんだよ」

     知ってるでしょ? と千束は投げ捨てる。ぐっぐっぐっと残りを飲み干しコトンとテーブルに置く。

     そのままダランと腕を背もたれに回して天井を見るアレをする。

     アレ、真島もやってたけど、二人とも癖が似てるの、なんか癪なんですけどね……。

    「どうせ殺させない癖に」

     わたしの呟きが拾われる。面倒なもんだ。

     真島はわたしと千束を交互に見て

    「どうかね、黒いの、お前は遠くから撃つのが上手い。一番俺を殺せる可能性があるのはお前だぞ?」

     この赤色よりもな、と言って笑う。

    「お前が俺を殺したら、お前も赤色になれるかもな」

    真島の奴はこの服の意味もちゃんと知っている。――厄介な奴。


     千束の顔を見る。千束はぱぁっと明るい表情になって

    「でしょ? 私の最高の相棒だもん。それにたきなは私とは違うからね、必要があったら殺しちゃうかもよー?」

     肩を抱いて自慢してくれる。でも、文章の後半は今でも迷いがある。

    千束の思いは尊重したい。でも――また今後真島が活動を開始して何千人も恐怖と危険に陥れたら

    そうしない自信はないし、恐らく……。


    「……わたしは、殺したくないです。だから、もうやめてください。としか言いようがないですね」

     これがわたしの言える精一杯だ。

      千束はわたしを振り返って驚いたような顔をして、真島は何か面白そうに口の端を歪めた。


    //俺のSSスレみたいになってしまってるが、他にもいろいろな書き込みが見たいぜ

  • 70二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:34:15

    千束も真島もたきなの変化を感じ取ったね
    どうなっていくのか楽しみ

    途中で似たような話を投げるのもアレかと思って控えてたけど
    そういうことなら明日というか今日にでも短いの投げようか

  • 71二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 01:41:53

    1話でたきなに撃たれた人達「なんか理不尽じゃね? こいつ味方ごと撃ってたよな!? なんなら護衛対象オトリにもしてたよな!?」

  • 72二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 07:33:15

    テロリストを一人更生させたらそれはすごいことやな

  • 73二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:58:24

    たきなの愛は分かりづらいんや……

  • 74二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:10:57

    >>69

    「ほんとに真島に怖いことされてないのかよー」

     真島が帰った後、千束はソファーでだらキャンキャンしに訊く。

    「大丈夫ですよ、なにもされてません」

     カップやその他食器を洗いながら、わたしは答える。

     ならいいけどさぁ……とか言いながら、少しばかり黙る。

     あの沈黙は何か言いたいときの沈黙だ。

    「まあ? たきなから真島の臭いしなかったからね、無事だとは思ってたけど」

    「あれって真島の匂い嗅いでたんですか……」

     抱き着かれてスンスンされたときは正直困惑した。

     ……犬か。

     千束が犬になったら……。多分小さくてキャンキャン吠えているタイプで

    毛は長いかもしれないな。それをリボンでくくってるの。可愛い。

     フフっと笑ってしまった。


    「あ! たきなが真島のこと考えて笑ってる! こいつぅ! 正直にはくじょーしろー」

    「ちがいます」

     かと言ってこんな失礼な想像をしていたとも言い難い。

    「まあ、真島も変わってくれたならそれでいいんですよ、今までやったことはどうしようもないですが、これから罪を重ねるのを止めてくれれば」

    「悪人に更生の余地を認めるとか貴様本当にたきなかぁ?」

     じろ、とした目で見てくるが、本当にたきななのだから仕方がない。わたしは、わたしでしかない。

     ただ少し、変わってしまっただけ。それは誰の所為か、誰のお陰かはわからないけれど。

    「千束……ですかね、それの所為で変わってしまったのかもしれません」

     嘘ではない。

     真島といると、千束が喜ぶ可能性がもっと増える。これは悔しいながら事実だ。

    そして、あいつがわたしたちに害を与えずに、これ以上犯罪を重ねないなら、依頼を受けた時しか動かないリコリコの店員としては何もする必要がない。千束だって殺せという依頼はそもそも受けない。

     なら猶更、わたしがあいつに対して何かする理由もない。


    ……法から外れた者同士、珈琲の一杯ぐらい、映画の一本ぐらい共有する時間があってもいいかもしれない。

  • 75二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:23:00

    >>74

    「ふーん、わたしの『お陰』ね!」

    千束はわざとらしく訂正すると、わたしのところに素足のぺたぺたする音を響かせてくる。

    また千束は寂しくなってぎゅーっとしに来るのかと思ったが、そうではない。

    ふと気になってそちらを向く。いつになく嬉しそうな表情の千束。


    「たきなはね、きっと今、友達を作ったんだよ」

    「……? 友達?」

    「そ、同僚でも上司でも部下でもない、お客さんでもない。そういう人間関係」

    「……なるほど」

     思い返すとそんな人間は……悲しいけどそんなにいない。いや、まったくか?

    「だから、たぶんたきなにとってはよくわからない奴なんだとおもうな」

     ああ、この感じ。わたしに教えてくれる千束が帰ってきた。

    「たしかに……別分類ですね、今は敵でもなさそうですし」

     友達、友達か……? 疑問が昇ってくる。

    「でも、友達ってあれですよね、仲がよくて遊んだりゲームしたりとかそういう」

    「えー。自分でアレ仲がいい状態だと思ってないのかよ……」

     わたしの言に千束はまた口を開ける。

    「映画も真島と一緒に見たでしょ?」

    「見ました」

    「美味しいもの一緒に飲んだり食べたりした」

    「しましたね」

    「笑い合ったりした?」

    「ま、まあ……」

    「ムカつくポイントとか、嫌なものが似てるとかそういうのは?」

    「……ありましたね」

  • 76二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:23:15

    >>75

     わたしの回答ごとに千束がなんだか微妙な表情をしてくる。泣きそうだか笑いそうだかよくわからない顔。

    「あーはい、もうそれは友達ですね! おめでとう井ノ上くん!」

    「なんですかそれ……」

     わたしの肩をバシバシと叩いてくる。なんかちょっといつもより痛いんですけど。

     まあ、とわたしは千束が言った言葉を反芻する。同僚でも上司でも部下でも客ではない関係性。

    そういえば……わたしにはそういうのはいなかったし、あれっ。

    「まあ、千束は実は上司ですしね、先輩ですし、友達じゃないってことで?」

    「あ゛ぁ゛~だぎな゛のばがぁ゛~」

     今度こそ千束はわたしに抱き着いてきた。

     少し濡れた手でわたしは彼女の髪を撫でて、頬を触った。

  • 77二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:11:04

    たきな視点だと千束がなに考えてるかちょいちょい気になるな
    ってか真島の匂い知ってのか千束
    マジで犬かよ。それとも…

  • 78二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:15:10

    「そろそろ馴れ合いも仕舞いだな」
     そう言って真島がソファから立ち上がった。
     わたしはその言葉の意味をすぐには理解できなかった。
    「おーう。次はどこ行くん?」
    「秘密だ。日本を発つとだけ言っておく。もうおまえらと会うこともないだろ」
    「ん、そーね。まぁでも、生きてたらまた会うことだってあるんじゃね?」
    「フ、なら俺を今ここで殺すか」
    「パース。そういうのは今の私たちの仕事じゃないし」
    「いいのか、後悔するぜ?」
     目の前で交わされる会話が耳を通り過ぎていく。
     二人の会話にわたしだけがついていけていない。
    「あの、ちょっと、待ってください」
    「うん?」
    「千束は、知ってたんですか」
     真島がここから──わたしたちの前からいなくなることを。
    「うんにゃ、今聞いて知った」
     ああ、そうだ。千束はこういうひとだ。変わってない。
     真島もきっと変わっていない。
     変わったのは、わたしだ。
     この先も3人でとりとめもない日々を送っていくのだと漠然と思っていた。
     真島はテロリストだ。そしてわたしたちは、それを取り締まって処断する側だ。本来なら決して相容れない存在。
     そんな当たり前のことを今さらになって思い出す。
     いつから変わったのかは、もう思い出せない。

  • 79二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:15:56

    >>78

    「じゃあな、黒いの」

     顔を上げると、部屋を出ていく真島の姿がいやでも目に映った。

    「真島っ」

     去っていくその背中をとっさに引き留めようとして、けれど続く言葉が出てこない。

    「なんだ」

     振り返った真島が問うてくる。

     言葉がまとまらない。感情はもうぐちゃぐちゃだ。

     それでも……それでも、真島の中にわたしを刻み付けたいと思ってしまった。

     だからこそ、わたしは。

    「……次にわたしと出会ったときがあなたの死ぬときです」

     呪いの言葉を真島に突き付けた。

     たとえ何があっても、生きている限りわたしを思い出すように。

    「へぇ」

     真島が目を細める。

    「おまえにできるのか?」

     酷薄な笑み。

     その鋭い視線から、わたしは決して目をそらさなかった。

    「──ふ、期待してるぜ」

     真島は口元に弧を描くと、今度こそ去っていった。

  • 80二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:31:12

    >>79

    「ずいぶんと熱烈なセリフだったねぇ、たきな」

    「ち、千束。誤解です、どこが熱烈なんですかっ」

    「だってあんなこと言っちゃったら、真島は確実にまた会いに来るでしょ~。違う?」

     図星だった。狙っていなかったとは口が裂けても言えない。

    「それに私『たち』じゃなくて、私って」

    「……千束がいたら止めるじゃないですか」

    「そりゃあね。たきなに殺しはしてほしくないし。でも、妬けちゃうなぁ~」

     口調はわたしをからかっているようで、でもそれだけじゃない気がした。

     寂しがってる?

    「千束こそどうだったんですか?」

    「んー……つまんなくはなかったよ。映画についてなら趣味は合ったし」

    「千束にしてははっきりしない物言いですね」

     もしかして、千束も真島のことを?

     千束は大切なものをあっさりと手放す。そういう節があった。

    「……そこは察してよ」


    「それにしてもアイツ、結局私たちのこと名前で呼ばなかったな」

    「……千束はまだいいじゃないですか。わたしなんて千束のオプションですよ。それこそ『黒いの』ってなんですか」

    「どうどう、落ち着けたきな。よし、次会ったら絶対名前で呼ばせちゃろう。な!」

    「──ええ、そうしましょう」


    おわり

  • 81二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 21:32:24

    >>76

    「……そういえば千束」

    「にゃーに?」

     こんどはねこになってる……。

     わたしに対して上目遣いは効きませんよ。

    「なんで真島の匂いがわかるんです?」


     あ、あからさまに目を逸らしたな。


    「人に散々文句を言っておいて、自分が真島とよろしくやってたんじゃないでしょうね」

    「いや、マジでそんなことない、ほんとマジで、ていうかたきなさん、『よろしくやる』の意味分かってんのっ!?」

    「わたしだって分かりますよそれぐらい」

    「ぐぁぁ……たきなが私の知らないところで大人の階段昇っていく」

    「誤魔化さないでください。それに、真島が千束の私服を見ていた件も忘れてないですからね」

    「あれもほんとに事故で、見せる気はなかった、マジで!」

    抱擁が解けて、逃げそうになる千束をむず、と襟首を掴んで止める。

    「説明してください」


     まあなんてこともないことで、私服姿でゴロゴロしてたのは本当。

    その時に真島が来て、服の話題になって、真島ってそういえばいっつも同じ服だよな洗濯してんの?

    夏なのにコートとかウケるんだけど、みたいなことになって真島の服の匂いを嗅いだんだということで、

    別段大したことではなかった。

    「……まあ、千束が真島といちゃいちゃしてないということは分かりました」

    「するわけないじゃん……もう」

     目を伏せた千束は少し頬の周りが赤い。


    「まあ……千束がそこまでしたなら、わたしもしちゃいますからね、なにせ『友達』なので」

     わたしはニカっと笑って、鼻歌とともに洗い物を再開する。

     ……わたしの服、もし褒めてくれたらそれは千束のお陰ってことにしておきましょうか、それとも

    わたし自身のことなんでしょうか。

  • 82二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 00:42:43

    >>81

    私服を見られたのは本当だ。

    ただ、それは制服じゃないという意味で、本当だった。


    あの時私は服を着ずに下着で爆睡していて、朝の光を浴び

    少し目が覚め、ぼぉっと微睡んでいた。

    そんな時に、侵入してきたばかりの真島とばったり会った。


    ソファーに埋もれるように寝ていたので、いつもの侵入経路である窓から

    よく見えなかったようだし、私もまあこんな所覗く奴なんかいないだろ

    みたいな気持ちでよく寝ていたわけで……。


    「ヨォ電波と……お、あぁぁ……」

     流石のあいつも少し固まっていた。

    「あっ……テメェ……」

     この怒りは別に理不尽じゃないよね? 乙女の一人暮らしに黙ってやってくる方が悪くない?

     暫く時が止まって、私がギャーギャー騒いだところ、真島がコートを放って寄越した。


    「ちっ、これでも羽織っとけバカ」

     そして真島は無警戒にも私に背を向ける。

     あーあやれやれ、みたいな声が聞こえて頭をバリバリと掻き始める。

     その隙に私はその黒いコートを肩にかけ、一番近くに干してあったワンピースをするっと着る。

    殆ど装飾のない、本当ならたきな向けっぽいようなワンピースだ。福袋に入ってたから

    あげようと思ってたんだけどでも一番手直にあったし

    これ以上下着姿で服を探したくはない。頭からすぽっと被って準備は完了した。

  • 83二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 00:46:29

    >>82

    「……ありがと」

     真島の方に行って、そのコートを返す。あいつは着替えた私とそのコートとを交互に見比べて

    「お、おう……」

     みたいなことを呻いてまたそれに袖を通した。 


     ……無言が支配した。


    「あ……なんだ、裸族だったんだなお前って」

    「いつもは違うの知ってるでしょ……」

    「……だな。制服着てるよな……」

     ぎこちない会話。

     あいつは結構気を遣うタイプなようで、黙りこくった私に代って話題を振る。

    「ま、まあその服も似合うんじゃないか? おう」

     それだけ言ってまた真島は私から目を背ける。

    「ほんと? ちょっと私っぽくはないと思うんだけど」

     ヒラヒラなフリルも少なく、本当にただのワンピースって感じで、

     きっとたきなはこれに麦わら帽子で本当に綺麗だろうと思っていたけど、私にはちょっとイメージが違うような気がしてあの子にあげようと思ってた。

    「顔が派手だから服ぐらい大人しくしておけ、バランスがとれるだろ」

     薄い色素の髪をあいつは指さす。

    「またバランスかよ」

     確かに、私は服もカラフルで派手なものが好きだし装飾も多い。それだと煩いってのもあるのかな?

     ふぅん……まあそういう意見もあるか、と思ってこの服はたきな用の紙袋には戻さなかった。

     私のお古を渡すのはあまり……とも思ったし、それにまあ、新しい境地ってのも悪くないかもしれないからね。

  • 84二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 07:32:33

    まじたきのほうが皮肉っぽい応酬続く気がする

  • 85二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 11:57:53

    千束視点もいいね!
    よろしくはやってなかったけど、下着は見られてたのね

  • 86二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:23:04

    保守ー

  • 87二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 22:54:25

    >>83

    友達……か。

    異物感のある言葉だ。千束は真島とわたしは友達だという。

    確かに、挙げられた条件を考えると全部合致する。


    友達か……。わたしは……。

    ふと、振り返る、人生を。一人きりの部屋で。

    わたしは別に「リコリスだから友達なんかいらない」とは考えたことがなかった。

    友達を持つかどうかすら俎上にあげたことも無いって感じだ。

    千束は……友達かもしれない。依頼でも命令でもなく、お願いだって叶えたくなる。


    真島が何かをお願いしてきたらどうだろう?

    ……考えづらいけど想定してみよう。

    まあ、珈琲ぐらいは淹れてあげないことはないけど……。

    そういうことなのかな?

    「おい、たきな。珈琲淹れてくれ」

    うーん。想像しづらい。そもそも真島、わたしの名前呼んだことないですよね?

    「井ノ上、珈琲淹れてくれ」

    いや……。なんか名字っていうのはちょっと違うな。

    わたしたちには家がない。だから家の名前なんか意味がない。


    そもそも、真島って友達いるのでしょうか?

    世界中を股にかけてるし、色々な人と結構良好な関係を築けているから

    割といっぱいそうですよね。


    「ねえ、真島。あなたって友達いるのですか?」

     わたしは虚空に向かって呟く。

    腰かけていたベッドからぽふんと寝そべって、髪がぱらりと広がる。


     真島は千束の家にしか来ない。わたしの家には来ない。真島は……千束とは友達なんでしょうか。

  • 88二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:44:26

    もやもやしてるのホント好き

  • 89二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 11:09:07

    >>69

    //俺のSSスレみたいになってしまってるが、他にもいろいろな書き込みが見たいぜ


    いいんじゃないかな。自由にまじたき語るスレだし。

    自分は考えまとまったらちまちま書くけど

  • 90二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 15:47:55

    >>87

    今日も今日とて千束の家で真島が珈琲を飲んでいる。

    千束は、いない。千束がいない時には軽く挨拶して、

    なんとなくわたしが珈琲を淹れて……という流れが出来始めている。

    それで、半分ぐらいを無言で飲んでしまうと、

    「……そういや」

    と言いながら、この間途中になっていた話が続く。

    そして、一旦区切りになると、ごそごそとBlu-Rayを取り出して、

    一緒に観て感想を言って消えていく。

    そのBlu-Rayは置いていかれるので、千束は「真島コーナー」を作って

    そこに揃えれている。千束もすっかりこの日常に慣れ始めてるな、と思う。

    前に訊いたら、混ざるのが嫌、とは言っていたけれど。


    「どうぞ」

    来客用のいつものカップに淹れて出す。

    豆を変えたの、気づいてくれるだろうか?


    「今日は違うんだな」

    「え、ええ。同じものだと飽きてしまうのではないかと思って……嫌でしたか?」

    「珍しいと思ってな。お前はなんか、赤いのと違って何も変わらず、毎日同じことがある方が心落ち着くタイプだろ」

    「……そうですね」

    「おまえに『飽き』はないと思ってた」

     ……そうですね。ありません。ただ、気づくかな? という実験でした。

     なんでそんなことをしたかは自分でも分からないけど。

  • 91二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 15:53:48

    >>90

    「アレか? バカが感染ったか?」

    「千束のことバカって言うのやめてください」

    「お前も千束≒バカって認識してるのかよ」

     くそ、こいつと話してると一方的に翻弄されている気がする。

    「……まあ、バカですかねえ……」

     わたしが同意すると、真島は少し意外そうな顔をしてわたしを見た。

    「俺はああいうバカは好きだぜ。お前もそうだろ?」

    「好きですよ、ああいうの……いないし」

    「そうだな。でも実は結構見かける界隈があるんだ」

    「どこです?」

    「俺の仲間」

     それって……。その

    「テロリスト仲間は結構ああいう信念持ちは多くてな。好きなんだよ」

     ニィと笑ってわたしを見る。ははあ、またわたしを試しているな。

    わたしは犯罪者が嫌いで、そういう話題を出されるとすぐにキレると思ってる。

    そんなに単純じゃないんですけど?

  • 92二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 15:54:48

    >>91

    「そういえば、真島って友達いるんですか?」

    「友達?」

    「今、仲間って言ってたじゃないですか、そうじゃなくて友達みたいなのいるんですか?」

     流石に予想してなかったようで一旦カップをテーブルに置いて、うーんと目を斜め前に向ける。

    「まあ……いなくはない……だろうが」

     いるんだ。こんなやつにも。

    「どうしたんだ急に?」

    「いえ……友達がいなくて寂しいから千束に構ってもらいたいのかと……」

    「フハハハハ、傑作だな」

     バシバシと両手を叩いて、ソファーに凭れる。ひとしきり笑った後、ふぅと息をつく。

    「そうか……まあ悪くないな、電波塔と友達は笑える、いいなあいつにも言っておいてくれ」

     ――真島が、千束を友達だと認めた。

     その状況にわたしの心臓がトクンと鳴る。いくら地獄耳だとしてもそこまでは聞こえないだろう。 

     そう……なんだ。

     わたしは千束と長く一緒にいたけれと、すぐにはそう認められなかった。

     憧れの対象で、でも手がかかるところもあって、名前のない関係だった。強いて言うなら相棒とか

    同僚のような色が強かった。職務的なつながり。今でこそ友達と呼べる関係だと思うけれど、そこに行きつくまで

    少し大変だった。


     真島と千束は敵で殺し合いをした仲で、今はこんな奇妙な感じになっているけど、お互いそんなに嫌い合っては

    ないように見える。それを真島はわたしからの言葉ですぐに「友達」と言えてしまう。

     その真っすぐさというか正直さのようなところが――少し眩しかった。

  • 93二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 17:24:46

    真島はどっかの小国の革命成功させた恩で使節団の一員とかの身分でリコリコに訪れるんだ。海外の要人関係者暗殺なんてどうやったって誤魔化せないし、これまでの事件は隠蔽しちゃってるから罪を問うこともできなくて(あるいは別人としてでもいい)たきながぐぬぬ、ってなりながらも追い出せないまま真島が常連として居着いて、そのうち私生活でも合うようになって、、、、、という妄想。真島さんは弱い方の味方とも悪人やってるつもりもないって言ってたからどっかの国の英雄やっててもおかしくないと思うんだ。

  • 94二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 18:12:42

    >>93

    いいねえそれ

    テロリストか英雄の違いなんかあってないようなもんだし

  • 95二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 20:42:36

    >>93

    「げぇえ!! 真島ァ!」

    テレビにちらっと映るその顔は確かに真島だった。


    昼下がりのリコリコ、お客さんは丁度いないタイミング。

    少し気が抜けてきて、瞼が少しだけ重くなる。いけないと思って姿勢を正していた。

    千束はというと、お客さんがいないことをいいことに、カウンターでぐでーっとしている。

    そして、先ほどの状況に戻るわけだ。


     千束の声でわたしは驚いてとっさにそちらを見る。

    リコリコのテレビに向かって叫んでいたのでようやく発見されたかと思って安堵する。

    ここからは普通の警察の仕事だろう。大方、どこかで証拠を残し過ぎて捕まったとかそんなもんだろう。

    「え、嘘でしょ……」

    テレビを見上げたわたしも思わず固まる。確かにあの姿だ。緑色の髪にニヤけ面。


    下に出ているテロップが問題だ。「逮捕」とか「死刑」とかではなく、

    耳慣れない国の、民主化に成功と出ている。

    沢山の人に囲まれて不慣れな笑顔を浮かべている真島は本当にあの真島なのか?

    長年の独裁政権を打倒したとかなんとか


    「はあ……なるほどねぇ」

    千束はカウンターに突っ伏す。

    「殺しの才能をそう使ったのかぁ……」


    カランカランドアベルが鳴る。お客さんだ。

  • 96二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 22:34:07

    >>95

    ありがとう、まじで助かる

  • 97二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 23:43:03

    このレスは削除されています

  • 98二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 23:47:07

    >>95

    「……千束、買い出しに行きましょうか」

    「うん、そうだね……」

     わたしは千束の手を引いて店の外に出ようとするが、


    「おいおい、お客を置いてどっか行く店員ってのは変だよなァ?」 

     わたしたちは観念して、店に戻った。

     真島は相変わらず真島だった、変な柄のシャツにコート。手入れされてない髪。

    二ヤけ面。砂糖を放り込んだ珈琲をうまそうに啜っている。


    「……あの真島さ、ニュースに映ってたよね」

    「お、早速日本でも流れてんだな」

     今のテレビはご当地グルメを流しているけど、夕方ごろになればまた国際ニュースに切り替わるかもしれない。

    「……いいこと、したんだね?」

     千束の歯切れの悪い言葉。正直わたしが声を出してもきっとこうだったと思う。

    「まあな、俺は弱い者の味方だからな」

     ふふん、と自慢げ。

    「か弱い女の子殴った癖に」

    「まさかお前のことじゃねーよな。大の男何人もボコボコにしたお前をか弱い扱いするわけねーだろ」

     真島の意見は尤もだとおもう。千束をか弱いあつかいしたら、わたしなんか、「無」ですよ。

    「で、真島。ここには、というか日本には何の用で来たんですか。その、現地で色々やることがあると思うんですが……」

     政治には明るくないが、政権を倒したらしいので、色々新しくやらなきゃいけないことがあるはず。

    こんなところで油売ってるのは何故なんだろう。

    その質問に待ってました、みたいな感じでニヤついて懐から見慣れない書類を取り出して、

    わたしたちに掲げる。


    「実はな、俺は『国賓』だぜ?」


    「はぁぁぁぁぁぁぁ?」

     わたしと千束はまったく同じタイミングで絶叫した。

  • 99二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 05:03:27

    >>96

    俺の妄想が人を助けるなら、書いておこう

    >>98

    「ほら」

     ピロリン♪ と軽快な音を立てて臨時ニュースのテロップが流れる。

    日本は真島の立てた政権を正式な政府として承認とかなんとか……。

    「もう俺を殺す名分がないよなァ、リコリス」

     ぐぬぬ……と歯噛みしているわたし。

    はえーっと呆けている千束。

    「でまあ、なんかの式典に出なきゃいけないからな、こっちに来たってわけよ。暫くはいる予定だからまた来るぜ」

     そう言って真島は手を振って消えていく。ぴったりの金額をテーブルに残して。

    「……一応クルミに本当かどうか調べてもらいましょうか」


     クルミに調べてもらった結果本当のニュースだということがわかった。

     はあ……真島がねえ……。

    「ため息つくと千束ちゃんが来て幸せにしてあげるぞ」

     わたしの左に千束が忍び寄った、珈琲とともに。お客さんもいないんだ、少しぐらいはいいだろう。

    「ちょっと驚いちゃったよねえ」

     珈琲にミルクと砂糖とをいつもより気持ち多めに入れてくれる。

     真っ黒な表面が白くなって、次第に茶色へと変化していく。きっと甘いだろう。

    「……はい」

    「でも、真島らしいっちゃ、らしいよね」

    「ちょっと心の整理がつかない感じです……」

     抹殺対象で、わたしたちの仲間をたくさん殺した奴が日本を堂々と歩けるばかりか

    なんか褒められているし。わたしたちは何のために何をしていたのか分からなくなる。


    「あいつは勝った。あの時の台詞で言うと……ああ、延空木で話してたんだけどね、こういうこと」

     千束はあの時のことを思い出すようにして、でもぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

    「あいつは悪いことはしていないんだって、で、現状を維持している奴を打倒した、というか。ビルから落ちなかった方ってことだよ」

     まあ実際は私たち二人とも落ちたんだけどね、と笑う。

  • 100二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 05:13:49

    >>99

    「……わたしたちが間違っていたってことでしょうか?」


     わたしたちは危うく、一つの国家の成立を妨害し、将来の国賓を殺しかけた。

    それはかなりまずいことなんじゃないだろうか? リコリスは所詮戦闘員でしかないから

    そんな難しいことは教育されないし、知りたいと思う必要もない。だから考えたこともないけれど。


    「ううん、そうじゃないよ。私たちは全力でやった。あの時のいいことをした。あいつもきっとそうだよ」

     わたしが納得していない様子だから、千束は続ける。


    「民主化がいいことかどうかもわからない。でも、これだけは言える。あいつは勝った。でもそれだけだよ。あいつがやってることは良いとも悪いとも言わないし言えない。あいつは勝った。それだけ。だから私たちが間違ってたとか正しかったとかでもない」

     千束の言う、今回は敵だっただけ、という台詞が急に思い起こされる。千束のショックが軽いのはこの考え方のお陰なのか。


    「リコリスって治安維持のための役割でさ、治安維持ってつまりは現状維持だし、革命を防止する側だから私みたいな考え方の奴は基本的にダメだけどね」

     むずむずした顔のわたしを笑わそうとしてくる千束はとても優しい。


     その国のことは分からない。でもその中にもきっとわたしたちみたいな治安維持機構――警察や軍隊がいたはずで、その人たちは……。きっと殺された。昨日まで正しかったのに。今日になったら抹殺対象だ。

     日本政府も、数年前までは真島を殺そうとしていたが、今では賓客扱いをしている。


     千束の不殺。今になって漸く理解できたかもしれないな。わたしってもっと頭がいいと思ってたのに。

  • 101二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 08:14:47

    ありそうでやばい未来するなよ、真島!
    てか、DAの上層部も頭抱えているんじゃね?
    楠木さんは苛立っているだろう、これ

  • 102二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 12:23:53

    >>100

    「わたし、今日まで生きてきてここまでDAを恨んだことないですよ……」

    「実は私もそう……」


     わたしたちは恨み言を言いながら任務に就く。

    護衛だそうだ。わたしたちってあまり護衛の仕事って向いてないと思うんですけど

    (クルミとか撃たれちゃいましたし)それでも任せてくれるとはどういうことか?


    司令曰く「先方からのご指名だ」

    電話口の司令もイラついているようで、これ以上の追及はできる雰囲気ではなかった。

    指定の場所は四谷です。物々しい警備はあまり見えません。

    そこはただただ広いだけの建物で、裏門から認証を済ませて入ると本当にお城みたいです。

    行ったことはありませんが……。

    「まー綺麗な場所に来られたのは役得だけどね」

     千束は窓からよく手入れがされた庭園や離れの建物をキョロキョロ見ている。約束の時間まであと少し。

    中に入ってふわふわの絨毯が敷かれた控室のような所で待たされる。ソファーがありそこに座れと勧められる。

    これもまあ、毎回装飾が激しい。ビロード張りで中のクッションは沈み込むようで、逆に体を支えられない。


     ガタン、と厚い木の扉が開く。


    「よう、電波塔と黒いの。今日は俺の護衛頼むぜ」

    ニヤニヤと依頼人は笑った。


    依頼人:真島

    場所: 迎賓館赤坂離宮 四谷

  • 103二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 20:23:28

    >>102

    どや顔、という言葉をネットで学びました。

    まさにこれを示すのでしょう。

    真島はどや顔です。千束を電波塔、わたしを黒いのと呼ぶならあいつは

    「どや顔」という名が与えられるでしょう。


    「で、国賓の真島様に於かせられましては御機嫌麗しく」

     千束が厭味ったらしく、床に脚を投げ出したまま口上を述べる。

     目は細く、口は尖り、腕は組まれている。

    「ハハハ、ウケるな。電波塔、変わらないな」

    「お前なんかの仕事を請けるのはムカつくだけよ。でもまあ命令だからね」

     わたしの前ではある一定程度の理解を示していた千束だけれど、やはり、心は拒否するのだろう。

    「……無事だったんだね」

     それでも、五体満足な真島を見て、千束はどこか安心している様子。

    ビルから落としたのも自分が殺したことになるから、嫌だったんだと思う。

    「俺はバランスが崩れているところがある限り死なないぜ」

    「冗談に聞こえないからやめて。っても真島は護衛なんかいらないでしょ、なんで私たちなんか」

     クリーナーを一人で全滅させた男だ、下手な暴漢では切り傷一つつけられないだろう。

    「まあちょっと話をしたかったんだ」

     真島はそう言って、向かいのソファーに座る。ずし、って沈んでいく。

    「俺を追い詰めた強い奴らはお前らだけだ」

     ……「お前ら」と真島は言った。わたしも入ってるんだ。

     少し、面映ゆく思える。

  • 104二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 00:42:00

    >>103

    「で、なんの話だよー。私たちだって忙しんだぞー。なーたきなー?」

    「ええ、まああ、でもこれも仕事ですよ?」

     仕事で忙しい、と主張したい千束の気持ちはわかるが、これだって立派な仕事です。

    確かに感情的には受け入れがたいですが、そういうものです。


    「正式に俺を抹殺対象のリストから外してくれ、と念押しにな。日本滞在中に殺されたら堪らんからな」

    「……そんなの一介のリコリスにどうにかできるわけないじゃんか、楠木さんに接触できたんだったら

    自分でやりなよね」

     拳銃をばらまいたときに作られたリストに確か入っているはずだから……更新されていなければ

    筆頭なんですよね……。端的に言えば日本の敵。


    「つれねえなあ、折角の感動の再開だっつーのに」

    真島はつまらなさそうにわたしの方に視線を向けてきた。

    「な、なんですか?」

    「いや、黒いのに頼んだ方が確実にやってくれそうな気がしてな。真面目だろうし」

     ニコ、っとした。ニヤではなく。余所行きの笑顔だろうか、この前テレビで観たような。

    「な、いやたきなはそういうのはやらないし、ってか権限なら私の方が多いんだから私に頼みなさいよ!」

     わたしに頼んだのが気に入らなかったらしく千束は抗議する。

    「じゃあ頼んだぜ……赤いの」

     色の呼び名で統一されてしまった。あと、千束は咄嗟に変な仕事を押し付けられているのに気が付いてるんですかね?

  • 105二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 01:24:01

    真島を護衛する千束とたきなはすごくみたい画だな

  • 106二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 08:08:08

    ただ会いたいだけですわ

  • 107二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 12:24:42

    まじたきちさは少ないからな……

  • 108二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 20:14:29

    >>104

    やれ、とは言われたものの……そういうのはどうすればいいのか検討すらつかない。

    実際千束もそうだろう。

    「……いや、これは真面目な話なんだけど、抹殺対象リストなんかを作ってるのって楠木さんより

    上の人たちだからさ、一応楠木さんには言ってみるよ? でもどうなるかは正直分からないんだよね」

     少し居すまいを正して真島に説明する。そう、楠木司令はあくまでもDAの現場の戦闘に関わる司令であって

    その上にいるような人たちが色々決定や命令をしているはずだ。いや……わたしたちも正直知らないんだけど。


    「そうか……俺もあの時はリコリスやDAたちがこの国のバランスを崩している奴らだと思ってたが、それより上があるのか」

     うーむ、と言いながら腕を組んで天井を睨む。

     しかし、真島ほどの調査能力を以てしてもあまりその全容が掴めないというのも

    怖い話ですが。……もしかして楠木司令ですら何も知らない階層というのがあるのかもしれない。

     そんなところにうっかり足を踏み入れた人たちは……おそらく行方不明になるんでしょうね……。

     ぶる、と背筋が震える。そんな取り留めのない妄想をしている間に千束と真島は仲がよさそうに

    話を続けていました。

    「あっ、また悪いこと考えてんな貴様」

    「ハハ、わかるか。まあ暫くは日本はいいや。単なる観光はしてみるかな」

    「観光……ねえ」

     千束も悪いことを考えていますね。わたしにも分かりますよ。

    「あんた、そういえば観光したことあんの? 偵察じゃなくてさ」

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 00:31:34

    >>108

    「お、案内してくれんのか?」

     ほんっとに真島と千束は息が合う。言わんとすることが一瞬で伝わる。

    「いや? 私たちはあくまで護衛だし、今回はかなり厳格な指令の下にあってさ、私たちが勝手に連れまわせないのよね」

     そう。今回の護衛は厳重。絶対に一人は付きっぱなしになっていないといけないし

    千束ですら実弾を持ち運ぶように強いられています。移動前後にはDAに連絡しますし、行っていい場所なども事前にリストアップされていてそこ以外は行けません。


    「ちっ、国賓ってのも楽じゃねえなあ……」

     楽じゃないとか言いながら出された紅茶を飲んでいる真島。

     さっき私たちにも給仕されましたが、いつもは珈琲なので新鮮です。

     美味しさをよく知らないけれど、すっきりさわやかでいくらでも飲めそう。

    リコリコでも紅茶を出すのもアリかもしれないですね。パンケーキに入れてもいいのかもしれない。


    「でもね? お客さんが望むなら仕方ないなあって感じ? サービス業って辛いなぁって感じ?」

    「……ほう。なるほどな」

     あーあ、悪い顔だ。

    「昔は水上バス乗ったことあるなぁ、浅草寺行ったことあるし、仲見世とかも行ったなあ~」

     松下……のだ。あまり行きたくはない。

    「水族館もあるし、パンケーキも食ったわなぁ~」

     それは楽しい思い出ですね。こっちは良いと思うけど……真島か……。犯罪者ではないとはいえ

    千束との思い出に上書きされるのは少し、心がぞわっとしていきます。

    「お前ら明日も付き合えるか?」

    「あー残念だなー。どこかに一週間は拘束されてしまってるなー。つらいなー」

     千束は口を尖らせながら今後一週間の予定をバラす。というか、一週間は滞在するというのが真島の

    注文だったでしょうに。

     もう明日の予定は決まったようなものだった。

  • 110二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 01:16:10

    悪だくみする顔がよく似合うし似てそうだよな、千束と真島
    そんな二人を見てもやもやするたきなもよき

  • 111二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 07:43:15

    もやたきいいぞ

  • 112二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 12:52:19

    暴走する二人を止められるのはたきなしかいないから……

  • 113二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:14:15

    >>109

    今日はひとまず警備計画の打ち合わせということになっているわけで……。

    タブレットで警備計画を見せる千束。


    「やっぱ暗殺が怖かったら水上バスじゃない?」

    「水上バスで暗殺を防ぐとか無意味だろ。孤立してんだから爆弾で終わりだろ」

    「どうやって近づくんだよー」

    「ドローン」

    「撃ち落すよ?」

    「何基もか?」


    「あーあそこのソフトクリーム美味しいんだよね」

    「なるほどな、芋が入ってるのか」


     などなどまあ、物騒な話と美味しそうな話が混じっています。

    わたしなら意識の切り替えに少し時間を要するけれど

    二人は継ぎ目なく自然に会話を交わせています。


    アドリブが得意というのは二人の共通点の一つでしょうね……。

    千束の案に真島が意見を出し、その間を取ったところで

    決定して表を埋めていくような感じです。


    優柔不断な千束と決断する真島……悔しいけれどいいコンビに見えてくる。

    その隣はわたしのなのに。

  • 114二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:16:36

    ハロウィンは過ぎてしまったが、真島もいたらどんなハロウィンを過ごしただろうな?
    やっぱりセーフハウスで3人で過ごすのが鉄板かねぇ
    それか任務でハロウィンひしめく渋谷に赴いたらそこで真島と遭遇とか

  • 115二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 22:35:36

    >>114

    その近辺の季節にしておくか?


    >>113


    千束は案外凝り性だ。

    観光案内をしたときにはしおりを作ったり、メモを人に渡すときには

    自分の似顔絵を描いたりと細かいことも意外と好きな人だ。


    そのどれもが人を少しでも笑顔にさせようという気持ちの

    表れだと思う。実際、わたしはそれで少し微笑ましい気持ちになったし

    内緒だけどとっておいたりしてある。


    そして今、真島とついには隣同士になって一つの画面を共有しています。

    ネットで見つけた記事を保存して、コピペして、所要時間を計算したりするシートを作っています。

    わたしもそういうのを作ったことがありますが、千束は隙あらば絵文字を入れたり

    にっこりマークみたいなものを入れていきます。


    千束らしいな……と思う反面、それで笑顔にさせたい対象が

    真島、という単純な事実にわたしの心は晴れません。

  • 116二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 02:34:48

    季節は無理に絡めずともいいと思う
    ネタがうまく繋がったとかならぜひ

  • 117二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 08:58:04

    ハロウィンは本編でもやってたしねえ

  • 118二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 18:17:56

    3人で買い物をしているような
    あり得なそうなシチュエーションをあえて見たい

    映画レンタルに行って千束と真島が盛り上がって
    たきなが疎外感を覚えるのはあると思う

  • 119二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 21:54:21

    >>115

    「こっちは?」

    「いいねェ、リコリスって結構外出するんだな」

    「それは私たちだけ。ね、たきな」

    「え、ええ。基本的に外出は許可を乞わなければならないわけで……」

     歯切れが悪いわたし。

     いつの間にかたくさんの予定が紡がれている。

     いつだったか、わたしもこういう予定を立てたことがあるけれど、一日だけをプランを作るのに

    何時間も頭を悩ませて無駄な作業も多かった。

     

     千束は喜んでくれたけれど、千束ならもっと面白い順路を、もっと効率的に

  • 120二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 22:38:48

    >>119

    もっと効率的にできるのだろうな。なんて思えてしまう。

    千束は楽しんでくれていたけれど、もし、もしも千束がプランを考えてくれていたら

    もっと面白い結果になったのかもしれませんね。


    ……彼らのタブレットをじぃっと覗き込むと、わたしも行ったことのない場所が

    ずらっと並んでいます。一見しただけでどれも賑やかで楽しそう。

    まるで千束の脳内のようです。きっといつもあんなふうに楽しいことを考えているのですね。


    ……わたし連れてってもらってないんだけど。一人で行ったわけ?

    まさかとは思うけど、他の人となんて行ってないよね?

     リコリコはわたしが来るまで同年代のリコリスはいなかったはずだから

    そんなことはないはず。……常連さんの中で年が近い子と一緒に……?

    まああり得ない訳ではないですよね。


    だとしても別にわたしには関係ないじゃないですか、

    たった二年ぐらいの付き合いですし。


    「――ね? たきな」

    「ふぁ、えっ?」

    いつのまにか別のことを考えていたら意識がどこかへ行ってしまっていた。

    「そ、そうですね!」

     咄嗟に肯定する。

    「おいおいマジかよ、ハハハ」

     真島が愉快そうに笑う。え、わたし何を肯定したの?

    でも聞き返したら、なにも聞いてないってバレちゃうし、なんかバカみたいじゃない?

  • 121二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 06:04:45

    たきなはすぐ曇るという風潮

  • 122二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 14:03:57

    >>120

    「じゃあ決まりだな。俺はここに泊まることになってるからこの面会室に明日の朝集合ってことで」

    「ちぇー。私たちのこと便利に使いやがって~」

     とは口では言っていますが楽しそうなのがバレバレですよ千束。

     迎賓館の中には宿泊施設もあり、中々に恵まれた設備だと思います。

    護衛担当者もその近辺に待機室があるので、泊まれることになっています。

    ……かなり直接的な表現になりますが真島と一つ屋根の下にいることになってしまいますね。

    かなり嫌な気持ちです。

    「リコリスでここに泊まった人はそうはいない……いや、誰もいないんじゃないかな? 自慢できちゃうよ~ヒッヒッヒ~」

    千束は引き笑いというか、なんというか形容しがたい笑い方をしながら荷物を待機室に運んでいく。

    わたしは念のためにと武器弾薬は持てるだけ持ちましたので結構な重さ。

    千束も同じ考えなのか、大荷物のようです。

    「随分楽しそうですね」

    「まあね、あんまりない経験だし」


    待機室と言っても、結構豪華な造りだ。凝った彫刻がされている机、椅子、ベッド。

    ふかふかの絨毯。天井も高く、広い間取りであることにも驚いた。

    たまに潜伏するビジネスホテルだと四人分ぐらいの広さになるのでしょうか?

    先ほど言ったテーブルには新鮮な林檎やバナナ、メロンなどのお見舞いセットのようなものが

    藤の籠に盛られている。

  • 123二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 14:04:16

    >>122

    「警護担当者も軍の高官だったりするからそれなりの歓待はしないといけないんだって」

    わたしがキョロキョロと見ていると千束は心を見抜いたかのように説明してくれる。

    「なるほど、国王なども来るんですものね、それなりの人が警護の指揮官としてつくと……」

     ファーストの千束はともかく、一山いくらのセカンドリコリスのわたしがそんな風に遇せられるとは、運命とは不思議なものです。

    「テレビが小さいのは癪だね、言ったら変えてもらえるかな?」

    「千束の家のが大きいだけですよ、これで我慢しましょう」

     小さいとは言っていますが、ごくごく一般的な物だとおもいます……え、まさか千束。


    「で、たきなはどれ最初に観たい?」

     バッグの中から出てきたのは少しの着替えと結構な量のblu-rayケース。

    「言ったじゃん、とりあえず今日は鑑賞会って。たきなも『そうですね』って」

    ……あ、はい。

  • 124二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 23:08:40

    >>123

    「……まあ、わかりました。約束なら仕方ないです」


    とはいえ、千束も能天気ばかりなだけではなく

    箱からマガジンを十個以上取り出して、机に置いて整理し始めています。

    あの赤い弾頭、一発いくらかかるか計算したくもない弾丸。

    放索銃――捕縛のためのワイヤを出すための銃。

    あとは発煙筒に、手錠、警棒……それから赤十字の描かれたポーチ。

    千束にしては重装備ですね。


    「……はぁ」

     少しため息を吐きながら、それらを装填したり動作確認をしています。

     憂鬱げですが、指先は全ての動作を覚えているようで、なんの迷いもなく

    嵌るべき場所に、仕舞われるべき場所にそれぞれの部品は配置されます。

    「どうしたんですか?」

    「ん、いやね? ちょっとめんどくさいなって。一週間拘束でしょ?」

    「まあ……わたしたちにしては結構長めのですよね」


     日帰りの任務の方がわたしたちは多い。――二人きりなので、あまり大きな事件には動員されない。

    つまりはあまり長い時間拘束されないということです。

    「なんていうか、その日暮らしが身につきすぎちゃってるからさ、変な感じなんだよね」

     リコリスは確かに明日をも知れない命だ。その日暮らしと言えばそうかもしれない。

    一か月後の予定は司令によって立てられることがあるが、その日までに生きてそこに参加できる

    ことを考えてはいない。

     戦闘では無双。死ぬことなんか考えられないような千束だったけれど人一倍、明日を不安視する境遇だったはずだ。

     大人になったわたしたちは、いろんなところに行くことになるという「予定」が立てられるが、千束はそうじゃなかった。

     ……なんてことを本人に言えるわけもなく。


    「千束はもっと計画性を持つべきですね」

    と言うにとどまってしまう。わたしは弱い

  • 125二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 07:38:41

    寿命伸びたしな……

  • 126二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 18:37:01

    夢から計画に落とすのなれないね

  • 127二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 18:37:29

    大人になった自分なんて想像もしてなかっただろうしなあ
    自分探しに旅に出る千束、追いかけるたきな、ばったり遭遇する真島のでこぼこ珍道中

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 23:21:53

    >>124

    「で、真島の部屋に行くか、私たちの部屋に呼ぶかはまだ決まってなかったんだけど」

    「ぐっ……」

     なにその二択! 視聴覚室みたいなところないんですか?

     どっちも嫌ですよ、何考えてるんですか千束!


    「どうする? あいつはどっちでもいいとは言うんだけど……」

     ……相手は仮にも国賓です。所在なさげな犯罪者ではないのです。

    わたしたちの部屋に来てもおぞましいことをしないでしょう。

    それに、わたしたち以外にも警備はいるのです、銃でも撃てばちゃんと来てくれるでしょう。

     あれから、千束の家にたびたび来ていたようですが、特に害は与えられてはいないはず。

     意外と……そういう面では信頼してもいいのでしょうか?

     しかし、千束のベッドを見るに……。脱ぎ散らかした服などが散乱しています。

    ああいうのは見られるべきではないでしょう。


    「真島の身分を考えると、警護の詰め所に来させるのは良くないでしょう、わたしたちから出向きます」

     かなり癪な決定ではありましたが、妥当でもあるはずです。

     それに、あれの部屋を確認しておくのも警備上大切でしょう。

     地図はもらいましたが、実際に見るのとは大違いなはずです。


     そういうわけで、わたしたちは少し離れた真島の部屋の前まで来たわけです。

  • 129二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 06:31:16

    保守

  • 130二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 13:57:06

    >>128

    「すっげえ扉」

    「ですねぇ……」

     なんですか、この建物。ただの面って作らないつもりなんでしょうか?

    扉はよくある板チョコレートのような凹凸が刻まれていますが

    それに輪をかけて蔦や鳥などの形が刻まれています。

    ノックするとコンコン、と目の詰まった非常にいい音がします。

    合板ではなく、生の木を削って作ったものなのでしょう。

    千束に連れて行ってもらったお寿司屋さんのテーブルがこんな感じでした。


    「お、早いな。まあ入れよ」

     叩くことを予想していたかのように真島は開けた。

    大方、足音でわかったんでしょう。真島と対峙する際には癖でバッグに手を回しそうになりましたが

    それも見抜かれていて、わたしに対してニヤという表情を向けた。


    「ひっろ……!」

    千束の嘆息に私は頷く。わたしたちの控室だって中々大きかったのに

    それの二倍はある。え、警護担当は確かに複数いるかもしれないけれど、ここは一人部屋では?

    わたしには名前が分からない壮麗な装飾がされていて、それでいて嫌味ではない。

    確かにキラキラとしたシャンデリアや、金色の室内装飾までされていますが、不思議と煩くないです。

    所々、鳥が飛んでいるような彫刻がされています。この部屋のテーマでしょうか?


    「だろ? 第二客室らしいけど中々のもんだ。やはり革命は成功させたもの勝ちだな」

    などと真島は笑う。

    千束はというと、いきなり駆け出して立派なソファーに陣取ります。

    お尻を飲み込むような柔らかさにうっとりしていて……単純なものですね。

    「おい、どうしたよ黒いの」

    「いえ、なんでもないです」

     わたしを通して、真島はパタンと扉を閉じた。

  • 131二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 17:59:54

    男性の部屋に訪れる女子二人、わくわく
    するのは映画鑑賞だろうけど

  • 132二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 00:31:27

    >>130

    「どうした? 緊張してるのか?」

     さっきからわたしを見てニヤニヤしっぱなしの真島。

     いいえ、千束がリラックス……というか気を抜きすぎなだけです!

     赤い布が張ってあるからこんなに好きなんですかね? 

     真島が勧めてくれたソファにわたしは……座らず、一個別の椅子に座ります。

    もし、真島が勧めたソファに座ったら、千束、わたし、そして真島の順になってしまうじゃないですか。

    また順番を変えたら千束が真島の隣になってしまうかもしれないし……それも嫌な気持ちです。

    それなので、別の独立した椅子に座ることにします。


    「お、そこは給仕者の席だぜ、いいのか?」

    「お、たきなメイドなの? いいねぇ~」

     まったくこの二人ときたら……。

    「映画のディスクぐらい入れますからそうやって呼ぶのやめてください」

     真島の部屋のテレビはこの部屋の装飾などから考えると不釣り合いなぐらい大きい。

    しかし、これだけは流石に何の彫刻もなくつるりとした縁が部屋の景色を写す。

    あ、ここにきてあいつのバランス理論が思い起こされてうんざりする。

    頭をぶんぶんと振って千束からディスクケースを貰うとパカっと開く。やれやれ……。

    「あ、ちょっとまってたきな! これ最新作なんだけど、観てないよね?」

     入れようとしたわたしを制する千束。

    「観てないですね」

    「そうじゃなくて、第一作から!」

    「えっ……」

     手に持ったディスクを見る。なるほど? 「4」って書いてありますね?

    まさか……!

    「じゃあ初回から観ねえと分かんねえよなぁ?」

    「だよねぇ~♪」

     二人はソファーの両端に座り、同じようにひじ掛けに肘を掛けて頬杖をしながら

    わたしを煽る。今、昼過ぎですよ? そこから観たら……普通に夜じゃないですか……。

  • 133二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 02:50:16

    夜までか

  • 134二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:53:45

    なんの映画にしようか

  • 135二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:51:11

    ランボーはいいぞぉ(唐突)

  • 136二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:43:38

    少なくとも4まで続いてるわけだよな
    なにがある?

  • 137二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:04:22

    >>132

    「み、観るのはいいですけど、夕飯はどうするんですか?」

     この二人の事だ、こんなところにでも平気でピザを注文しそうであるけども……。

     迎賓館に乗りつける原付、平べったい箱を持ってくる配達員。

     少しミスマッチですね……。

    「あ、確かに。真島ァ~、国賓なんでしょ? 晩餐会とかないの?」

    「ないことはないが、その時はお前らはただの警護だぞ?」

    「ちぇぇぇぇっっ」

     すごくわざとらしく真島を威嚇する千束……なんかご飯たかってるみたいでそれはそれで

    みっともないからやめてください。

    「……今日の夕飯はどうする予定だったの?」

    「そうだな、特に考えてはなかったんだよな。他の使節団の奴らもまだ来てねえし……コンビニでも行こうかなと」

    「庶民か!」

     べし! と真島に突っ込みを入れる。真島はそれを脇腹で受けてケタケタと笑っている。

    「そこまでいうなら電波塔、飯奢ってくれよ」

    「なんで私がおごってやらなきゃいけないんですかーっ? ふつう逆でしょーっ?」

    「逆か?」

    「そうでしょ、頑張って警護をしてる可哀そうなリコリスの労をねぎらうとかさぁ」

    「千束、あんまり真島を困らせるんじゃありません、真島も年下の女の子にタカるとか恥ずかしくないんですか」

    「お前らが女の子とかウケるな……まあ、分からん理屈でもないから買い物ぐらい行ってくるか」

    「ウケてんじゃねーよ。こんな美少女二人侍らせておいてよぉ」

  • 138二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 07:46:45

    保守る

  • 139二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 12:26:15

    ジョン・ウィックなら4まではあるか

  • 140二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:28:46

    >>137

    映画を観る前――暗くなる前に買い出しに行っておこう、ということになった。

    いくらここが東京の中心の近くで、警備の手が厳重と言えども、今や他国の首脳陣である

    真島をチョロチョロさせるのは危険だろう。

     それより……。

    「あ、真島、一人で行かないでください、というか待っててくださいよ? 買い物はわたしが行ってきます」

     わたしが呼び止めると、真島は振り返って少し驚いた顔をする。

    「いいのか? 相棒置いてくことになるぞ?」

     一人は必ず真島の傍に居なければならない。わたしが千束と真島を一緒にすることを厭うとあいつは踏んでいて、

    だからこそ三人で行く流れを作っていた。癪な気づかいだ。

     だけどわたしはそれを断った。

    「どうせ、千束にはなにもしないんでしょ?」

    「ほーう、信用してるのか?」

    「こんなところで千束を殺すほどあなたも迂闊じゃないでしょ、救国の英雄さん」

     新聞の見出しを思い出して言う。

    「千束も大丈夫ですよね?」

    「おうよ、もう背中は取らせねえからな」

     カッカッカと快活に千束は笑ってますけど大丈夫ですかね……? リュック下ろしてますけど。

     普通に銃もとれないでしょうが……。

  • 141二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:29:02

    >>140

    「えっと……わたしたちって三人ですよね……?」

     わたしがお使いに行く、と決まってからあいつらは散々ッぱらわたしに買ってきてほしいものを

    挙げ続けた。ちょっ、ちょっ! 待ってください! と一旦制してメモを取る。

    三人なのだから三個でしょ、お弁当なんか……。


    「まあ、ポップコーンはわかりますよ? コーラもまあ……。ドーナッツいるんですかね?

    ポテトチップ……ああご丁寧に味まで指定してもう……」

     コンビニ店内を籠を持ってウロウロするわたし。スーパー以外で籠を使ったのって初めてかもしれない。

    お金は真島が出してくれました。わたしの台詞が効いたのでしょうか?……あとでお金返そう。

    借りは作りたくないので。


    さて、戻りますか。

    わたしは両手に大きな袋を提げて戻ります。

    守衛さんに凄い目で見られたのは恥ずかしかったですね。

    これも真島と千束の所為です。今度は千束に行かせましょうか?


    ……するとわたしが真島と一緒にいることになる。

    どっちが嫌だろうか? わたし。

  • 142二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 04:25:19

    少し見ない間にすごい話になってるけど……真島ってもしかして可能性の塊か?

  • 143二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 07:03:58

    めっちゃ殺してるのに悪い奴じゃなさそう感があるのは不思議

  • 144二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 08:49:54

    まじたき流行れ

  • 145二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 12:34:27

    可能性感じといてくれ

  • 146二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 23:05:05

    >>141

    「ほら千束、コンソメ味ですよね?」

    「……真島はドーナッツとブラックコーヒー」

     買ったものをテーブルに並べて配分する。

     こんな高級そうな台にチープな袋たちが載せられるのは本当に奇妙ですね。

     大半がお菓子とか甘い物で、主食などは大分少ない。尤も、その数少ない主食である

    お弁当は夜になってから食べるので今はお預けですが。


    「黒いの、ありがとうな」

    「え……? あ、いや、頼まれましたし、引き受けましたので」

     わたしから受け取ったカップ珈琲を掲げて礼を律義に言う真島に少し驚く。

     でも、なぜ驚く必要がある? 物を渡して礼を言われるのなんか普通のことだ。

    千束もそのようにしたし。

     ちら、と千束の方を見ると渡されたポテトチップを早速、なんでしたっけ……

    えっと、パーティー開け? してテーブルに広げています。

    「もらうぜ」

    「はいよー」

     ……あなたたちは友達ですか? 千束は馴染むのが早いですよね、本当に。

    誰にでもホイホイついて行っちゃうんじゃないですか? まったく……。

    千束を誘拐するのは簡単そうですね。美味しそうなお菓子で釣ればきっと

    ノコノコついて行ってしまうのでしょう。


    「よし、じゃあ始めますか!」

     早速、という表情でプレイヤーに読み込ませる千束。

     軽快な音がして第一作目が飲み込まれる。



     

  • 147二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 07:34:08

    なんの映画や

  • 148二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 12:39:32

    まだか

  • 149二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 22:18:14

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 22:50:29

    >>146

    「宇宙人……? ですか?」

    千束にしては珍しいチョイスだ。いつもは屈強な男たちがバチバチ撃ってるようなものばかり見ているのだと

    思っていたけどこういうのも好きなのね。ちょっと知らなかった。

    「そう! 宇宙人との交渉も……実はリコリコでは受け付けているんですよ~」

    ニシシシとポテトチップの上にポップコーンを載せるなんて食べ方をしている。

    食感がめちゃくちゃでしょうね、それを口に入れた後にコーラで流し込むなんて

    血糖値と血中脂質と塩分が大変なことになります。

    「この人たち全然交渉してないですよ?」

    「あ、いや、リコリコではね。なんたって千束さんがいるから」

     まったく、適当な人。


     このエージェント、扱いがわたしたちみたいね。

    全ての情報が抹消されてしまって、ただ仕事をするだけの機械になる。

    監督はリコリスやリリベルのことを実は知っていて? まあそんなことはないか。

     地球に宇宙人が来ていて、それを民間人には秘密にすることが仕事。

    これもなんだかわたしたちに似てる。

     千束は映画を観てるときぐらいは現実逃避したいタイプだと思ってたけど

    そうでもないのね。

  • 151二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 22:50:44

    >>150

     真島はというと、思いのほか真面目に見ている。

    作り物丸出しの宇宙人が画面に出てきてもあまり笑っている様子はなく、

    どちらかと言うと、考え事をしながら見ているような感じ。

    ……こっちは変な人。

     わたしですらくすりとするような映画なのに。

     主に造形が。キモカワって言うんですよね?

     

     せっかく用意したお菓子にも手を付けないし、

    なんだか勿体ないですね……。

     ティッシュペーパーを取り出して広げ、いくつかのお菓子をそこに載せて真島の前の方の

    テーブルに置いておく。

     きのことたけのこ、どっちでもいいように二種類。千束によるとこれは政治的な争いなのだそうだ。


     ……真島はどっちから手を付けるでしょう。

  • 152二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 07:34:10

    きのたけ戦争ぼっぱつや

  • 153二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 12:40:13

    多分両方食う

  • 154二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 19:39:32

    なんなら千束とたきなの方がきのこたけのこ戦争始めて、真島が調停するまである

  • 155二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 22:13:53

    >>151

    「……どったのたきな、真島のことじーっと見ちゃって」

     いつの間にか千束が怪訝な顔でわたしをじとーっと見ています。

     クッションを抱きながら映画を観て、お菓子をバリボリしていなければカッコイイと評せる顔でした。

    「んお? 俺の顔になんかついてるか?」

     真島は真島で顔をぺたぺた触っています。

     いえ、別に真島を見ていたわけではないのですけど?

    「いえ、その……きのことたけのこどっちを先に食べるのかなと」

     画面の奥でエージェントが走り回っています。

     ……え? なにこの空気。


    「そういや真島さあ、日本ではきのことたけのこのどっちかに入らなきゃいけないの知ってた?」

    「勿論だ、お前はどうせ優柔不断だから両方買うんだろ? お見通しだぜ」

    「なっ……失敬だな、一方の美味しさを再確認するために敢えてもう一方も食べるんですーーっ」

    「なるほどな? お前もバランスが好きなのか」

    「お前と一緒にすんなー!」

     なんだか楽しそうですね。千束がわたしにこれを教えた時はなんというか……

    「たきな、迂闊に訊いちゃいけないことに『きのこかたけのこか』というのがあるんだよ」

    と結構シリアスな表情だったので、ちょっと本気にしてしまいましたよ。

     この二人はガオガオじゃれ合っているようですが、わたしは……そうですね、これにしましょう。

     こっちのほうが少し可愛いですし、なんだか親しみがあります。

     と思って二人の方を見返すと、ああ……わたしの選択は、千束が選んでいない方で……ち、真島と一緒か。

    一回抓んでしまったものを戻すのは良くないのでそのまま食べます。

     真島の奴がタイミング合わせてきたのはちょっとムカつきますが、お菓子には罪はありません。


    「見たか電波塔! お前の相棒は、相棒じゃなかったようだなぁ!!」

    「あ゛ーー! たきなっっ、今すぐ吐け! いや、こっちも食え!」

    「ま、まだ噛んでるんですよっっ、わっ!!」 

     千束はわたしの口にお気に入りを突っ込もうとして、わたしに凭れかかってきます。これ一人用の椅子なんですから

    そんなことしないでくださいよ! もう!

  • 156二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 07:53:48

    続くか?

  • 157二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 18:35:55

    続ける

  • 158二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:26:53

    今日はポッキーの日か
    ポッキーゲームでじゃれ合うのもアリだな

  • 159二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:52:45

    >>155

    千束から押し込められたやつも美味しいけどいきなり入れられたら困ります。


    千束は基本的に甘い物が好きで、テーブルに置いてあるのはだいたいそういうのです。

    甘すぎるとバランスが取れない……じゃないや、飽きちゃうから塩辛い物も置いてあるわけですが。


    「無理やり力づくってのは良くねえよな、電波塔」

    「テロリストにいわれたくありませんー」

     なぜか真島がわたしの側について笑う。が、すぐに千束は反論して(?)ポッキーをサクサクと

    齧り始める。

     ポッキーねえ。千束ってすぐこれでポッキーゲームしようとするんですけど、

    今は自重してくれています。ありがとう。


    「ちょっとお花摘んでくるから! たきなに手を出したら承知しないからね!」

    ガブガブと甘いジュースを飲んでいた千束はスタコラと消えていきます。

    こりゃあ結構な量なこと。

    ……真島と二人になってしまいました。


    映画があってよかった。特に何も話すことはないですし。

    真島も映画に夢中で――


    「黒いの」

    「なんですか」

    「まだ俺のことが憎いだろ」

    ……その目は笑っているがふざけているものではなかった。

    自嘲? 冷笑? そういう何か秘めたような笑み。

  • 160二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 01:23:10

    ほう

  • 161二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 02:36:19

    続けて続けて

  • 162二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 10:52:21

    >>159

    この人には隠し事が通用しない気がする。

    ……耳だけではなく、なにか他のものも鋭いのか、この人は。

    思えば千束もそうだ。アランの人たちは何か変な鋭敏さがある。

    ヘラヘラ笑ってるくせに肝心なところは外さないというか。

    「……憎いっていうか、まあ千束を殺そうとしたことは許してないですけど?」

    「それ許してたら逆にビックリだわ」

    「どうして千束を狙ったんですか、それは結局分からずじまいでしたけど」

    「純粋な興味だ。それに支援受けてる癖に意向に背くのもバランスが悪いだろ?」

    「……まあそうですね」

     衣食住を提供される代わりに仕事をするのが役目のわたしたち。真っ向から反論することは少し難しかった。

    「大抵の奴は、自分に才能があると分かると喜ぶもんさ、そうだろう?」

    「そうですね」

     わたしだって何かの才能があればと思う。

    「そして、それを開花させたいと願う。世のため人の為でもいいし、自分が賞賛されたいからでも、金の為でもなんでもいい。でも、あいつはそれをしなかった。それが面白い」

     そう、彼女はそういう人だ。世界的な活躍が約束されているのに、DAのファーストという栄誉ですら

    霞んでしまうような名誉も得られるだろうに。

    「なる……ほど。まあ邪な感情で付きまとってたわけではないことは理解しました」

    「邪ってなんだよ」

    「恋愛感情によるストーキングとかですか?」

    「ウケる、俺はガキには興味ねえよ」

     よほど可笑しかったらしく、さっきからむせ返っている。

     面白過ぎて水すら飲めないようだ。暫く存分に笑って、真島はソファーに凭れる。

     一個上の千束をガキ扱いするのだ。そしたら……。

    「わたしはガキじゃないですから。千束とは違って」

     一応断っておく。子ども扱いされるのは心外だ。わたしたち二人をだまって置いておいたら

    わたしの方がお姉さんに見えるはずなのだ。

    「ガキだろ、黒いのの方が」

    「……ちがいます」

     あいつにはそうは見えていないようでムカつく。

  • 163二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 15:07:11

    >>162

    「ガキはガキらしく遊んでればいいだよ……そんなことしてないでな」

     真島はようやく笑いを止め、わたしに向き合ってきた。

    「……わたしたちの仕事を愚弄しているのですか」

    「ちがう。選択権もなく仕事に従事させていることが問題なんだよ」

     わかるか? とグラスを傾ける。こんどはオレンジジュースらしい。

    さっきまで飲んでいたブラックコーヒーから趣向を変えて。


    「……まあたしかに、お前らは孤児だ。それが生計を立てるためにはどこか寄る辺が必要だ。

    でも、親は子供を教育するにしても無理やり法律に反することからやらせるべきじゃねえだろ」

     ……そうだ。でも、わたしたちはそれ以外の道を知らないから何とも言えない。

     わたしたちと一般の人たちにあまり違いはないはずだ。

    一般の人たちの中にも親から言われて無理に学校に行っていると感じている人たちだっているだろう。

    それこそ、逆らえないからという理由で。

     リコリスも、任務が上手くいけば褒めてもらえたり昇進出来たりと色々な仕組みがある。

     子ども扱いしないで一個の存在として認めてくれる組織だ。

     そこまで悪しざまに言われるベきだろうか?

    「それが真島が革命を起こした理由ですか?」

    「お、俺の仕事に興味があるのか? 嬉しいねえ」

    「違いますたまたまテロをしていたら政権取れちゃっただけの奴だと今でも思ってます」

    「それはどうかな?」

     いちいちニヤつく。

    「じゃあなんですか、国家創建の大義とかビジョンとかあるんですか?」

    「やっぱ興味あるんじゃねーか」

     ……千束を男にして性格ちょっとゆがめたらこんな感じになるのでしょうかね?

  • 164二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 22:10:31

    保守

  • 165二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 02:20:09

    >>163

    「まあ、無いわけじゃないな……」

     真島の癖に真面目な顔。って駄洒落か。

     映画は相変わらず流れている。もうそろそろクライマックスだ。

    真島は何度も観ているからいいですが、わたしは観てないので配慮いただきたいが

    そんなものは期待できない。


    「へえ……一応伺いましょうか」

    「ま、単純に法治と法の支配だ。違いわかるか?」

     戦闘狂のリコリスにはどうせわからんだろう? のような挑発を感じる。

     いいでしょう受けて立ちます。

    「……法治は法文によって治めること、法の支配は……為政者も法で縛ること」

    「すげえな、ちゃんとわかってるじゃねえか」

     真島の驚いた顔に、胸がすくような気持だった。一般教養も修めるのでこれぐらいは当然です。

    ……千束も、知ってるはずです。多分。

  • 166二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 11:55:52

    ほしゅったー

  • 167二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 19:34:03

    >>165

    「そう、俺らはそういう国を作る。法治国家ってだけじゃだめだ。法の支配も大切だろうな」

     

     法治国家日本の治安を守ることはリコリスの役目だと耳にタコができるほど聞いた。

    しかし「法の支配がある日本」とは聞いたことがない。確かに。

    「……では、法で裁けない悪人はどうするんですか?」

    「それは確かに困るな。しかし、リコリスたちは本当に法で裁けない悪を殺してたのか?」

    「どういうことです?」

     わたしが上手く飲み込めていない様子を察して、たけのこをティッシュペーパーの

    中央に据えた。

    「お前らを動かしてるラジアータ様は超高性能AIなんだろ? そこらじゅうの監視カメラの映像も得られるはずだよな」

    「ええ」

     コツンコツンと中央に置いたたけのこを動かす。ああ、これラジアータのつもり?

     その周りにきのこを並べる。監視カメラの代わりなんだろう。

     きのことたけのこの間を真島の指がなんども行き交う。

     情報の伝達を示しているようだ。


     そこで、わたしの目を見た。

    「ならその映像を証拠にして逮捕して検察送りにすればいいだろ。なぜ殺す」

    「それは――。その……」

     言葉に詰まってしまう。正直、考えたことはなかった。そういえばそうだ。

     凶器準備集合罪、銃刀法違反、その他の犯罪として処理することが出来てもいいはずだ。

    「緊急事態での現行犯ならまだわかる。咄嗟に殺してしまうこともあるだろう。なぜ銃取引みたいなものに

    お前らが駆り出されるんだ? 証拠が盛り沢山だろうに」


    「警察が動けば、国民が事件を認知してしまう。それは国民の幸せに反する。わたしたちなら秘密裏にできます」

    「……この話はお前とすると長くなりそうになるな?」

     面倒くさそうな台詞なのに、真島はどことなく楽しそうに見えた。

  • 168二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:27:46

    >>167

    こんちゃ! 錦木千束です!

    元気なリコリスでリコリコの看板娘です!

    今日は、何の因果か真島の手先……。


    まあ真島も映画好きだから映画でも見てれば時間も潰せるし

    出歩かなくてもいいかなーと思って持ってきたんだけど……。


    ちら、千束は見た!

    扉の向こうからなにやら真島とたきなの真面目な、しかし楽しそうな声が

    聞こえてくるわけですよ!

    たきなが難しい話をしてるのはまあわかる。なんでも疑問に思ったら

    直ぐに調べるし、知識が溜まるはずだよね。

    真島……意外と知識あるんやな? 知らなかったわ……。


    耳を澄まして聞いているだけだけど、あいつらが喋っている言葉が

    中々変換できない。ホーノシハイってなんだよ。

    法治国家はわかる。それを守るのがリコリスの仕事だから。


    それ以上はちょっとよくわからないな……。

    たきなはそれでも話が弾んでいるようで、なんか水を差すのが申し訳なくなってきた。

    もしかして、たきなってこういう話が好きで、誰かと話したがってたりしたのかな?

    内容を推察するに、よりよい国家運営みたいな話だし。

    いまじゃ救国の英雄で、その国の首脳陣の真島だから結構真剣に考えなければならない

    話題のはず。それとそこまで意見を交わせるとか、なかなかの勉強家じゃないと

    できないだろう。


    うーむ。ちょっと待ってた方がいいのかな?

  • 169二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 06:18:15

    200行きそう

  • 170二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:43:06

    行くかねぇ〜

  • 171二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 09:26:13

    行ってほしい。保守

  • 172二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 12:42:11

    あげ

  • 173二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 21:45:40

    >>168

    「一応日本は民主主義の国家だろう? 自分たちのことは自分たちで決めるべきなんじゃないのか?」

    「……そうです」

    「じゃあ、自分たちの中での違反者は自分たちの作った法律に基づいて罰するべきだよな」

    「ええ」

    「リコリスという存在は別にいてもいいが、隠す必要がない。法で定めていいはずだ」

     言うことは原則的に尤もなことばかりなのが癪に障る。

    真島は意外と理想主義者なのか? まあそうでなければテロも革命も起こせまい。

    しかしそれだけでは世界は回らない。

    「それでは有効なテロ対抗手段にはなれない。警戒されない必要がある」

     ずっと警戒されている場所にテロリストや犯罪者は来ない。

    無防備に見せている場所にくるのだ。そしてそこで本性を現した時にだけ力を振るうべきなのだ。

    「だから制服の女子高生に似せているんだよな?」

    「そうです。確かに真島の言う通り、法を守るのは大切でしょうが、

    法を守ることは目的ではありません。平和な世界を作るための手段です。法は主人ではない」

    「なるほど、そのためには孤児を集めてきて教育してもよいのか?」

    「孤児もそのままでは野垂れ死にます。DAに来れば教育も訓練も受けられ、将来は外国にも行けます。

    虐待されるよりずっとマシです」

     それまで生き残っていれば、という但し書き付ではあるけれど。

     実際、適性は見られていて、リコリスになれないような人は情報部やらその他の仕事にも行けるのだ。

     言われるほど無理やりってものでもないはず。

    「ガキどもはそれを拒めないじゃないか。断った奴らは……リリベルとやらが始末するのだろ」

    「それは知りませんでしたが、仕事を投げ出すような無責任な人は罰せられるだけです」

     なかなかやりますね、こいつ。

  • 174二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 07:33:14

    保守

  • 175二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 12:24:19

    保守~

  • 176二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 20:31:19

    保守。この物語を最後まで見届けたい

  • 177二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:27:57

    >>173

    「なになに? 内緒話?」

     千束が戻ってきました。いや、別に内緒の話は何も。……千束にはどうやって説明しましょう。

    「違いますよ、その……価値観の相違といいますか、そういうのがわかったってだけです」

    「ほー。中々深く話したんですな」

     キラ★ と効果音が付きそうな千束の表情、いいえちがいます。

     真島も真島でしたり顔を千束に向けないでください。

     ここでハッキリと言っておくべきでしょう。

    「……ちがいます、真島が思ったよりガキだったって話ですよ」

     

     わたしの発言に千束は少し目を丸くし、真島は珈琲を吹き出す。

    「ガキにガキ言われるとはな、思わなかったぜ黒いの」

    「あーやっぱり仲良くなってるじゃん!」

     千束はわたしと真島を交互に見て、ソファーに座りながらギリギリまで

    こちらによってくる。そしてがおーと大げさなポーズをして真島を威嚇します。

    なんだか面白くなってつい口が軽くなる。


    「まあ、そういう意味じゃあ、千束もそうですね」

    「そうだな、それは同意だ」

     自分の理想の為に自分の身の破滅も厭わないようなガキさ加減は千束が一番かもしれない。

     自分の使命を敢えて捨て、心臓を交換してもらえなくなっても殺しはしないという意志を貫く。

    「な、なんだよ、二人して私をガキ扱いして!」

     千束の抗議、でもやっぱり……。


    「ガキ、ですよね」

    「だな」

     わたしたちはそう、彼女を認識した。

  • 178二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 07:45:01

    保守

  • 179二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 12:52:07

  • 180二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 21:17:03

    3スレ目必要になる?

  • 181二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 21:26:07

    >>177

    「私をガキあつかいするとは貴様ら……」

     と千束はお冠です。まあ、だからといって何かするわけでもないですけれど。

     続けて幾つも映画を観ているが、存外これをやり続けて夜を明かすのも割と

    嫌ではない選択肢になりつつある。昔の私なら帰宅後にはエネルギーバーを齧り

    入浴して軽く柔軟体操などをしてすぐに眠るだけの生活を送っていただろう。

     もし、千束と出会わないままこの真島の護衛という仕事に就いていたら、

    ……びっくりするほど会話がなかったのは確実です。


    わたしたちは意外と話し好きなのかもしれなくて、会話に夢中になり

    何度か巻き戻して再生していたので想定通りには映画が見終わらない。

    それに、二人は既に何度も観た映画のようで……特に千束がですね、

    「ここ! ここ注目!」

     とか色々教えてくれます。いや、ちょっと言いづらいんですが

    そういうのは……あの……。

    「おい電波塔、そうやって言ったら観る楽しみが減るだろ」

    「いや、ここを見といてからの……ってのが繋がるのがいいんじゃん、ねーたきなー?」

    「あ、気持ちはありがたいんですよ? わたしあんまりこういうの観てなくて楽しみ方が分からなかったので」

     そう、千束がこうやって解説してくれるのはわたしが映画に限らずいろんなことに

    初心者だったからだ。伏線を張りながら話が展開していく、ということ自体にも

    中々慣れなかった。結論から最初に言え、という教育が染みつき過ぎていた。

     だから親切なのだったが……。

    「でも最近は、あの、ちょっと、自分でもそういうの探してみたい……です」

     千束の親切を断るのは心苦しい。怒っているだろうか? いや、そんなことはなかった。

     何か考えるような表情をしたけれど、すぐさま表情が戻る。

    「お、たきなも映画わかってきてるじゃん、千束さん嬉しい!」

    「ハハ、黒いのも俺と同じ趣味だな」

    「はい? 違いますけど?」

     

  • 182二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 06:02:52

    保守

  • 183二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 07:45:00

  • 184二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:14:34

    しゅ

  • 185二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 22:41:01

    >>181

    もうぼちぼち夜ですし、ご飯にして眠りませんか? と提案する。

    大きな窓の外は広い庭が続いているものだから、都心だというのに

    夜が暗い。

    夕暮れになってきたときには、千束が部屋を暗くして観ようぜ! と

    言ってきたのですが、わたしたちの本分は護衛です。

    視界を悪くするようなことには賛成できません。

    ね、真島。……とさっき同意を求めたんですが、ダメですね

    天才に訊くのが間違いでした。

    「俺なら耳でわかるが?」だそうです。

    ともかく、わたしは部屋を明るくすることを断固として主張して明るいままにしました。

    さて、計算では4本目は見終わっていた頃なんですが

    色々あってまだ3本目です。でも、もうそろそろ解散した方がいい。明日の予定もあることですし。


    「そだねー。一気見は三本が限界かなー」

     ぐぃぃと伸びをして千束は真島の方をチラと見る。流石の千束も背中がパキパキと音を立てて疲労を物語る。

    真島はというと、千束に同意した様子で、そのいつもどこか気だるげな目を何度か瞬かせる。

    眠い――と暗に主張しているのでしょうか?

    「ま、ありがとな。黒いのが買ってきてくれた飯食おうか」

     ビニール袋をカサカサ言わせて分配する。


     これ以上流していると続きが気になってしまうということで映画は止めて適当にニュースを見る。

    「あ、また真島だよぉ、なんなの?」

     また例の国が民主化に成功したニュースが流れる。真島が子供に囲まれていたり、というか

    子供たちに抱き着かれている姿が映像で流れる。黒板の前で何か数学を教えている様子もあった。

    「ハハ、日本人はこういうニュースが好きだからな」

     どこか嘲笑しながら画面から目を背ける。流石の真島でも自身の顔が映し出されるのは

    面映ゆいのか。……なんか普通なところもあるんだな、こいつにも。

    画面の中の不器用な、苦虫を潰したような笑顔と、そっぽ向いているような顔が同一のものとは思えなかった。

  • 186二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 07:42:19

    保守の字

  • 187二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 12:23:11

    保守

  • 188二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 13:44:00

    保守

  • 189二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 21:03:55

    まだ続くなら195辺りで3スレ目立てるかな

  • 190二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 21:28:41

    >>185

    「真島って子供好きなの?」

     そのニュースを見てか、千束はひょいっと真島の方に目を向ける。

     もしゃもしゃとサラダを食んでいた真島は「いいや」とと言って首を振る。

    が……。少しばかり宙を睨んでうーむと悩んでいるようだ。

    「ゲ、真島ってロリコンなのかよ……」

     わりと真面目に千束は引いている。いや、この場合はそういう意味じゃないでしょう。

    「少なくともお前の想像しているようなものとは違う」

     ええ、そうでしょうとも。真島の中でも、うまく言葉にできないようだが、恐らくそういう目的はないはずだ。

    「なんつーか、大人の方がどうしようもないバカなら子供の方を賢くしないとバランスが取れないっつうか」

    「またバランスですか」

     この人の行動原理はいつもバランスだ。そのためには自分の有利な状況すら捨てる。

    「いっちゃわるいが、あの周辺の国はダメ人間しかいねえからな。国の物と自分の物の区別がつかねえ」

     まったく酷いもんだぜ? と言いながら色々説明する。給料もらってる役人の癖に

    住民から賄賂を要求したり、勝手に関所を立てて通行料を取る……だのなんだの。


    「なるほどね、それで教育を大切にしてるってわけね」

    「そうだ。誤解は解けたか? 電波塔」

    「どうだろうねぇ~。こんな美少女をわざわざご指名してくれるなんて、まだロリコン疑惑は解けてないぜ~?」

     千束はわたしの首に手を回してスリスリと頬同士を擦り合わせて真島を挑発していますが多分全く効いてないのでやめて欲しいです、こっぱずかしい。

    「まあ、教育のなってねえガキを育てると、飯もバランスをとらなくなるからな」

     千束の食べているものを真島は指す。

     ハンバーグ弁当に、コロッケ、ミートソーススパゲティ……うーむ、見事に茶色で脂質と炭水化物です。

    「あれ? 千束、わたしちゃんとサラダ買いましたけど、まだ食べてないんですか?」

    「あ、えっ? た、食べるよ? あの、そうだね、好きな物は後で食べる派なんだよ!」

     まだビニール袋に入れっぱなしですね? まったく仕方のない人。

    「ほら、ちゃんと食べてください、好きなんでしょ?」

     パカ、と蓋を開けてドレッシングを入れて混ぜて千束の前に差し出す。嫌そうな顔をしながらも渋々受け取る。

    「ホラホラ、相棒ママが怒ってるぞ~」

    「だれがママですか!」 

  • 191二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 23:45:41

    いちゃいちゃしやがって……

  • 192二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 03:03:56

    たきなはママ

  • 193二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 07:51:24

  • 194二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 17:39:26

    千束ファンクラブはいいぞ

  • 195二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 23:53:42

    >>190

    ひとしきり騒いだ後、三々五々解散となる。

    とは言っても、わたしたちは隣の部屋に引っ込むだけなのですが……。

    「えっ、お風呂って予約制なのっっ! えっ」

     などと千束は衝撃を受けています。わたしもちょっと把握できていなかったのですが

    設備があるのでそのまま使えるのものだとばかり……。

     係員から説明を受けながらしおしおと小さくなっていく千束。

    お風呂セットを右手のバッグに入れながらルンルンとここまで来たのですが

    ダメということなら仕方ありません。このまま寝ましょう。特に戦ったりはしなかったので別段

    不便はないのですが、千束は思ったより衝撃を食らっています。

     勿論その場で明日の分の予約を済ませましたが、なんとも見ていて痛々しいです。


    「たしかにさぁ? 浴室に爆弾とか仕込むとか、武器を持ってない状態の人間しかいないわけだから

    保安上の理由は理解できるけどさぁ?」

     ブチブチ文句を言っています。そのままベッドになだれ込んで千束は天井をみていましたが、いつの間にか

    眠っていました。本当にいつの間にか……でしたね。

     尤も、夜は二交代です。最初は千束が眠り、次にわたしという順番ですから特に問題はありません。

     ……どうしようかな、少し暇だ。

     電池の無駄遣いになるからとスマホを触るのは止めている。千束から勧められた漫画を読むことにしましょう。


     それにしても、真島とこんな笑いながら話す日が来るなんて思いもしなかった。

    言いたいことはよく聞けば理解できるし、筋は通っているとは思います。それでも、

    リコリスを否定したいという気持ちには少し寄り添えない気はします。

    あいつの論だとわたしたちは「可哀そう」なんだそうです。……違うとは思うのですがね。

     ……途中で死んでいった仲間は確かにそうだったかもしれません。

    嫌々やってた人たちもいました。……わたしには適性があったから、真島に憐憫を掛けられると

    不愉快に思っただけなのかもしれませんね。完全否定してしまったのは良くなかったのかもしれません。

    ……今度付け足しておきましょう。それで許されるはずです。

  • 196二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 03:28:56
  • 197二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 05:04:46

    うめ

  • 198二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 16:10:34

    >>195

    沢山の量の本を持ってきていたわけでもないので、すぐに読み終わってしまう。

    ……はぁ、暇ですね。

    部屋の明かりは少し落とされていて、心静かにできますが気を抜くと少し眠くなりそうな状態です。


    ……巡回でもしてきますか。

    バッグを背負って、部屋を出る。廊下だけ別の世界のように冷えているので身震いする。やはり古い建物です。

    空調は整備されていないが、絨毯だけはふわふわ、なんとも異質です。

    絨毯の毛足が長く、足音がかき消されるのは、居住性の向上には資しますが

    警備という観点だとあまり嬉しくない。侵入者を判別できないので。

    そして、後ろに立たれていることにも一瞬気づかないから。


    「よう黒いの、どうした?」

     ……ゴキブリみたいだからやめて欲しいですね、その呼び方は。

    わたしは銃を抜かないように気を配りながらそちらを振り返る。

    「哨戒です。だれかさんの為にね」

    「おっ、大変だなァ……」

     そんな風に思ってない癖に。わたしの数歩先に無防備に立っている。手はポケットから出ているから

    直ぐには銃を取り出せないだろう。そもそも、現状だと銃を持っていないのだろうか?

    合法的に日本に帰ってきているのだ、銃は持ってこられていない……とは思うけれど。

    「それより、真島こそどうしたんですか」

    「暇でな」

    「……そうですか。でも危ないので部屋に戻っていてください」

     目を離した隙にチョロチョロされて、無いでしょうが襲われたりしたら……わたしたちはどんな処罰を受けるか

    分からない。

    「ならちょっと付き合ってくれよ」

    「……嫌です変態」

    「バカそんなんじゃねーよ、ただ話すだけだ。どうせお前も暇なんだろ?」

     ……まあ、近くにいれば仕事としては合っているわけですし、それならいいか。

    わたしは真島の誘いを受けて先ほどの映画部屋に赴く。

  • 199二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 23:25:01

    >>198

    「……で、何を話したいんですか?」

     千束がいませんが、わたしは真島の隣には座らない。

    先ほどの一人掛けのソファに陣取ります。

    「いやな、電波塔とはよく喋ったがお前とはしてねえなと思って」

    「バランスを取りたいんですか」

    「お、分かってんな」

    「……わたしはあなたの偏執を満たすための道具じゃないんですが」

    「だからこうしてもてなしてんじゃねーか」

     

     そう、真島はゴソゴソと珈琲を沸かしているのだ。

    ……なんで居室にカセットコンロを置いてるんですかね。

    壮麗緻密な彫刻の間に不釣り合いな無骨なコンロ。

    使い込まれた鍋がからしゅんしゅんと白い湯気が立っている。

    缶からさらさらと挽いた豆をフィルタに載せて、そこにお湯を通す。

    なかなかワイルドなやり方ではありますが、いい香りはします。

  • 200二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 23:35:38

    埋めてく

オススメ

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