【SS供養】常識改変!スペちゃん受難譚

  • 1二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:07:32

    常識改変系のSSが苦手な方はブラウザバックでお願いします。

  • 2二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:08:04

    #1
     朝、布団から出たときに、世界が昨日までと違うと感じたことはないでしょうか?上手く言葉にはできないけれど、何というか、何かが違う。どことなく、何となく何かが違う。そんな風に思った経験はありませんか?たぶん、多くの人があると思います。誰かに話すほどではないけど、何となく違和感がある。そして、その違和感は朝の慌ただしい準備に押し流されて、学校や職場に着く頃には消え去ってしまう――。そういう経験をしたことはありませんか?
     ”その日”の私は、そういった感覚が夕方まで消えませんでした。東京に来てからというもの、見るもの全てが目新しかった私でも、さすがに、毎日行き来しているトレセン学園と寮は見慣れています。ですが、布団から這い出てからというもの、目に映るもの全てが新鮮に感じられました。いや、新鮮というより「変」。でも、誰かに伝えるほどじゃない。
     しっくりこない違和感を抱いたまま夕方になりました。重バ場でのトレーニングを終えて泥まみれになった私は、トレーニング場に併設されているシャワーを浴びてから寮に帰ることにしました。
     シャワーを浴びることは好きです。トレセン学園に設置されているシャワーはどれも水圧が強くて、浴びていると気持ちがいいです。レースのために遠征したとき、安っちいビジネスホテルに泊まったときはびっくりしました。仔牛も起きないくらい水圧が弱かったからです。

  • 3二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:08:27

    #2
     ごめんなさい。話が逸れました!シャワー室に入ったとき、朝から感じていた違和感は本物になりました。
     シャワー室のカーテンは天井から床まで届いていなくて、上半身と膝くらいまでしか隠すように備え付けられています――個室ではなくて西部劇に出てくる酒場の扉みたいな感じです――。なので、シャワーを浴びていると一目で分かるようになっています。事件は、シャワーを浴びているときに起きました。
     やっぱり暖かいシャワーは気持ちいいなぁとか、牛乳の在庫のこととか考えながら身体を洗っていたら、いきなりカーテンがシャッと開く音がしました。

  • 4二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:09:17

    #3
     「あら、スペシャルウィークさんだったの。早速で悪いけど、私の尻尾を洗ってくれないかしら。」
     とつぜんカーテンを開けたのは、同期のキングヘイローちゃんでした。
     「やっぱり重バ場のトレーニングは嫌ね。尻尾が泥まみれになってしまうもの。」
     そんなことを言いながら、キングちゃんはお尻を私に向かって突き出してきました。尻尾がぴょこぴょこと揺れています。体制的に、”大事な部分”も見えちゃっているので目を逸らすのに必至になりながら、私は思わず言いました。

     「ええええ!?キングちゃん、何してるの!!?」
     「え?何って……どういうこと?」
     「どういうことってどういうこと!?」
     「泥まみれになったから尻尾を洗ってほしいのだけれど……。私、何か変なことを言っているかしら?」

  • 5二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:10:10

    #4
     結局、キングちゃんの押しに流されて、尻尾を洗いっこすることになりました。キングちゃんの手つきは丁寧で優しくて……なんだかお母ちゃんとお風呂に入ったときのことを思い出しました。それに引きかえ私ときたら……。
    「痛い!?痛いわよ!爪を立てないでちょうだい!!」「尻尾を引っ張ってほしいんじゃなくて洗ってほしいの!」「どこを触っているの!?そこは自分で洗うから!!」
    ――ぜんぜん上手くできませんでした。
     「あなた、こんなにヘタだったのね。まあ、トレセン学園に入るまで周りにウマ娘がいなかったんだものね。ゆっくりと慣れていけばいいわ。」
     キングちゃんはちらりと私の方を見た後、シャワー室から出て行きました。なんだかがっかりさせてしまったみたいです。

  • 6二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:10:41

    #5
     その日の夜、またびっくりすることが起きました。寝るときのことです。
     一緒の部屋で寝泊まりしていると、自然と生活のリズムも一緒になってきます。眠くなってくる時間、起きる時間も何となくそろうもので、晩ご飯やお風呂を済ませた後――今日は身体の洗いっこをしているウマ娘さんが多くて落ち着きませんでした――、部屋で思い思いの時間を過ごしているうちに、”そろそろ寝ようか”という雰囲気になるものです。

     「そろそろ寝ようかしら……。電気を消してもいい?」
     私も眠くなっていたので、もちろん同意します。
     スズカさんは、そう言うとスルスルと服を下着まで脱いだかと思うと、私の布団に潜り込んできました。
    「わわわ~~っ!!スズカさん、何をしてるんですか!!?」
    「何って……。寝るのだけれど。スペちゃんはなんで服を着ているの?」
     スズカさんは困惑したような顔で私を見ています。
    「どどど、どうして私の布団に入ってきたんですか!?」
    「どうしてもこうしても……。この部屋にベッドは一つしかないじゃない。」
    「ああっ!?そういえばベッドが一つしかないべ!!」
     スズカさんの言うとおり、部屋にベッドは私が使っている方にしかなくて、私の記憶ではベッドが備え付けられていた方には何もありませんでした。いや、この際それはどうでもいい。それよりも問題なのは――。
    「スズカさん、どうして裸ん坊になったんですか!?」
    「え?スペちゃん、寝るときに服を着る派になっちゃったの……?どうして?」

  • 7二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:11:13

    #6
     キングちゃんとシャワーを浴びたときのような、会話のキャッチボールが成り立っていない感覚がありました。
     スズカさんが言うには、寝ているときに服を着ていると尻尾に絡まったり、寝汗をかいたりしたときき洗いものが増えるので合理的ではなく、布団の心地よさや同衾した相手の体温を感じることができない。また、一つのベッドに二人横になることができるのに部屋に二つのベッドを設置することはスペースの無駄だ、ということでした。
     どうやら、私は昨日までとは別の世界に迷い込んでしまったようです。私も観念して、すっかり服を脱いでしまいました。
     スズカさんの手が肩に回ると、まもなく身体が人肌に包まれたのを感じました。スズカさんが使っているシャンプーとボディオイルの匂いも。
     (「~~~~。こんなのドキドキして眠れないよぉ~~っ!)

     いや、全然そんなことはありませんでした。北海道の大草原を走り回る夢を見ました。目が覚めるとスズカさんの胸(?)に抱かれていました。

  • 8二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:12:28

    #7
     歴史の授業で先生が雑談していたのですが、いま私たちが「常識」として諒解していることのほとんどは社会的な構造物に過ぎず、簡単に移り変わるものだ、ということでした。
     たぶんわたしは、理由は分かりませんが、常識が書き換わった世界に来てしまったのかもしれません。もしくはその逆で、常識が「変」だった世界に居たのかもしれません。きっとそうだと思います。だって、尻尾は洗いっこした方が汚れをよく落とせますし、密着すれば二人横になれるベッドを部屋に二つも置いておくことはスペースの無駄遣いだからです。
     さいきんでは身体を洗ってあげることにも、洗われることにもすっかり慣れました。キングちゃんは「一流の指導のおかげね」って言ってるけど、たぶん牧場で牛のブラッシングをしていたからだと思います。

     そんなある日のことです。雨の中トレーニングをしたせいで、ひどく泥まみれになった私は、寮に帰る前にシャワーを浴びることにしました。泥まみれになったジャージを衣類入れに放り込んでシャワー室に入ると、たまたま同じタイミングでグラスちゃんが個室に入っていくのが見えました。続いて私もグラスちゃんの部屋に入ります。
     「ススス、スペちゃん!?What's the fuck!?」
     慌てふためくグラスちゃんを見て、鈍感な私でも察しました。グラスちゃんも”常識”が変だった世界から来たんだなって。優しく教えてあげるからね――。そう思いながら私は尻尾用のシャンプーを手に満たしたのでした。

  • 9二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:14:02

    終わりでありんす
    公開するようなクオリティじゃないけどお蔵入りするのも忍びないので晒しました。、

  • 10二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:16:16

    R-17.5の世にも奇妙な物語って感じがした

    白昼夢見てるみたい

  • 11二次元好きの匿名さん23/01/28(土) 04:43:18

    この世界では喧嘩をしたときの決着方法は粘膜接触をして先に音をあげたほうが負けなのでダスカとウオッカは毎日のようにネチョネチョになってます。
    文章にする気力はありませんでしたが私の始めた物語なので記しておきます。

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