【SS・閲覧注意・CP】「おーい!ライブが始まるぞ、ルフィ!」

  • 1二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 11:47:56

    ウソップ(うひょー!照明が落ちてもうすぐ始まるぞ……ああ心臓がドキドキする!)

    ウソップ(こんな目の前の席でライブが見られるの、この先一生ないかもな)

    ウソップ(それも憧れのプリンセス・ウタのライブで!)

    ウソップ(この日のために衣装作ってきてよかったなあ……特典のバッジが目当てだったけど、やっぱこういうのって作ってる時が一番楽しいよな)

    ウソップ(てかうちの船長はいつまで肉食ってんだ?……いやいやライブに集中集中!)

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 11:48:32

    《新時代は この未来だ》

    《世界中全部 変えてしまえば 変えてしまえば――》

    ウソップ(うおお伸びのいい歌声! 腹に響くドラム! 会場の盛り上がりと熱気! すっげええええ!!)

    ウソップ(ステージのセットも凝ってるな! ってなんだあの演出! 水で文字?? どうやって作ってるんだ??)

    ウソップ(なにもかもが凄すぎて感想がすごいしか出てこねえ!でもこれが…これが世界の歌姫のライブ…ッ!!)

  • 3二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 11:53:16

    《果てしない音楽がもっと 届くように夢を見せるよ 夢を見せるよ》



    チョッパー「うおおおウタだー!生だー!!本物だ!!!」


    ウソップ「チョッパーおれたち生きててよか゛った゛な゛あ゛」


    チョッパー「う゛ん゛」


    ロビン「二人ともちょっと飛ばし過ぎじゃないかしら」


    ブルック「ライブの1曲目からこうだと先が思いやられますね。ですが、いいダンスとサウンドです」


    サンジ「U!T!A! ウタちゅわ~~~~ん♡♡♡」


    ゾロ「こっちもかよ」

  • 4二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:11:18

    フランキー「あっちこっちから音が聞こえるぜ。一体どんな性能のいいスピーカー使ってんだ?」

    ナミ「それだけウタがこのライブに力を入れてるってことが分かるわね。いえーい!ウタ―!」

    ジンベエ「ははあ……すごいもんじゃのう」

    《新時代だ!》

    「うおおおウタ―!」「最高ダヨー!」「ウタちゅわーん!!」

  • 5二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:22:34

    待ってるよー!
    てか閲覧注意とは一体?

  • 6二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:25:44

    ウソップ(会場中がすごい熱気と歓声だ! みんなウタの生ライブを心待ちにしてたんだな)

    ウソップ(観客の気持ちを一つにまとめちまうなんて、さすがは歌姫!)

  • 7二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:40:15

    釜を煮込んで君を待つ!

  • 8二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:40:51

    一味の誰か1人でも内面描写が描かれたら中盤まではまだしも、終盤のウタに飛びかかったあたりからルフィに対する考えでお労しさが上がる
    ルフィの内面描写が描かれたら皆死ぬ

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:49:16

    ルフィ「へー、あいつ歌上手いんだな」

    ウソップ「えええ今頃かよ! いっつもおれやチョッパーが音貝(トーンダイアル)流してたじゃねェか」

    ルフィ「なはは、よく聞いてなかった!」

    ウソップ「ったくよォ……でも配信や音貝で聴くのとじゃ迫力が全然違うな。これが生か~!」

  • 10連投規制がこわい23/02/05(日) 12:52:48

    というわけで分岐点です

    ルフィとウタが初対面のためこの先消えるイベントや時系列が前後することがあります
    全体的にキャラ崩壊注意。CPは保険

    あと書きやすいのでウソップ視点が多くなります

  • 11二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 12:59:28

    フーシャ村で会ったことないってことかぁ

  • 12二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 13:42:27

    初対面だったらもう無理じゃないか
    逆光時点で容赦なく楽譜にされるだろうし新時代計画完遂で終わりだろ

  • 13二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 13:58:02

    唯一繋がりがあるのウソップか。ヤソップの息子だし。ルフィとウタが初対面ってことは、シャンクスが来た時には既にエレジアに置いていかれてたのかもしれないなァ

  • 14二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:00:50

    >>12

    ルフィなら体引きちぎって脱出するぞ

    脱出しても何も解決しないけど

  • 15二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:03:19

    このレスは削除されています

  • 16まあまあ見ていってよ23/02/05(日) 14:04:58

    ウソップ(おっ? ステージ手前にウタが降りてきたぞ? 結構ちっちゃいなー細いなー女の子だなーカヤとどっちが大きいかな……いやいや身長の話だぞ?!)

    ウタ「みんな、やっと会えたね! ウタだよ!」

    『うおおー!ウター!』『ウタちゃーん!』『会いたかったよー!』

    ウタ「ごめん、ちょっと感動しちゃった」

    『かわいー!』『おれたちもだよー!』『泣かないでー!』『がんばってーウター!』

    ウタ「グスッ…みんなありがとう。えっと、今日が初めてって人もいるかもしれないから、まずは自己紹介するね」

  • 17二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:11:43

    ウタ「会場にいるみんな、映像電伝虫を使って配信を見てくれているみんな、私のライブに来てくれてありがとう!
    私はウタ。歌姫ウタって呼ばれています。今日は一緒に盛り上がっていこう!」

    『おおおおおーー!!』

    クラッカーの音と同時に大量の風船が空に放たれる。
    そんな会場の様子を離れた場所から見ている姿があった。

    ゴードン「…………」

  • 18二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:47:39

    エボシ「野郎ども準備はいいか」

    カギノテ「あの人気者を奪い去れば、大金と巨大な名声が手に入る……」

    会場では『U!T!A!! U!T!A!!』と大コールが起こっている。

    ウタがそれに手を振り、次の言葉を発しようとしたところでそれは起こった。

  • 19二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 14:55:46

    パン!


    カギノテ「悪いなウタちゃん、本当に残念だがライブは中止だ」


    ウタ「あなたたち、だれ?」


    ライブステージに小舟がこぎ着けられ、見るからにガラの悪そうな連中が次々と降りてきてウタを取り囲んだ。


    ウソップ「まずいぞ! あいつらもしかしてウタをさらおうとしてるのか!? ファンみたいな恰好してるくせに!」


    チョッパー「助けなきゃ!」



    サンジ「いや待て!」


    腕で二人を制止すると同時に、灼けるような熱風が目の前を横切った。


    「熱風拳(ヒートデナッシ)!!!」

  • 20二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:44:48

    「ぐわあっ!」

    猛烈な熱風が爆発し、クラゲ海賊団が吹き飛ぶ。
    着地したオーブンが構えた鏡から大きな女性が姿を現した。

    ブリュレ「ウィッウィッウィッ、その子はアタシたちの獲物だよ」

    ナミ「あいつは…ビッグ・マム海賊団の!」

    ルフィ「枝!」

    ブリュレ「ブリュレだよ! 誰だい枝って言ったのは!」

    ウソップ(わざわざ振り返ってツッコミ入れるのかよ……)

    ウタ「隣の人は?」

    オーブン「ビッグ・マムことシャーロット・リンリンの四男、オーブン」

    オーブン「楽しそうだな。まぜてくれよ」

  • 21二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:49:15

    ルフィが初対面ってことは1番接点があるのはウソップか

  • 22二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 16:08:34

    ブリュレ「ウタ、先日の配信じゃママをコケにしてくれたそうじゃないか」


    ウタ「えっ? もしかして…ビッグ・マムってあの手配書に載ってたひと?」



    ブリュレ「そうだよ。ま、詫びを入れさせようと思ったけど、アンタほどの歌声の持ち主ならママも気に入るだろうからね……」


    ブリュレ「悪いけどママへの手土産にさせてもらうよ!」


    『なんだあいつら』『ウタのステージから降りろよ!』『ライブの邪魔すんな!』


    ウソップ「こりゃあまずいぞ……おいみんな! …あれ?」


    ロビン「もう行ったわよ」

  • 23二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 16:18:48

    見てるぞい

  • 24二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 16:35:01

    面識のないルフィがシャンクスの麦わら帽子持ってるってかなりの地雷になりそうだな

  • 25見てくれてありがとう23/02/05(日) 16:35:04

    サンジ「おいおい、ウタちゃんを狙うなんてクソどもはおれが相手してやる」

    ブルック「素晴らしいステージを汚す不届き者を放っておけませんね」

    ゾロ「ようやく面白くなってきやがった!」

  • 26見てくれてありがとう23/02/05(日) 17:01:41

    サンジ、ゾロ、ブルックが次々とクラゲ海賊団をなぎ倒していく。

    しかしまだ敵は大勢いる上、オーブンとブリュレも油断ならない。


    ナミ「しょうがない!」


    チョッパー「ライブはまだ始まったばかりなんだ!」


    フランキー「やるぞ!ウタを守るために!」



    ジンベエ「魚人空手、槍波!」


    ルフィ「ゴムゴムの…JET銃乱打(ガトリング)!!」

  • 27二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 17:19:08

    ジンベエの放った水槍をオーブンの熱拳が片手で受け止め、ジュウウウと蒸発が充満する。
    もうもうと立ち込める白煙の中から飛び出したフランキーと、オーブンの拳が激突する横でルフィの打撃が海賊たちを次々と宙へ放り投げた。

    ロビン「百花繚乱(シェンフルール)……スパイダーネット!」

    ネット状になったロビンの手が落ちてきた海賊を残さず包み込み拘束する。

    ウソップも加勢しようとスリングショットをめいっぱい引き絞り――

    ウタ「はーい、そこまで!!」

  • 28二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 17:30:05

    ウタ「そこのきみたち! 守ってくれてありがとう。でもケンカはもうおしまい!」


    オーブン「喧嘩?」


    フランキーとせめぎ合うオーブンが眉を顰める。あまりにも能天気な見方だ。


    ウタ「みんな私のファンなんだから、仲良くライブを楽しんでね!」


    ウソップ「いやでも、こいつらウタを連れ去ろうとしてるんだぞ!?」


    フランキー「それに話して分かる相手じゃねェ」


    オーブン「おれたちは欲しいものがあったら戦って奪う。海賊だからな!」


    ウタ「じゃあ、海賊やめちゃおう」


    ウタ「今までやった悪いことは、私が許してあげる! ねえ、ほかのみんなも悪い海賊なんておしまいにして、私と一緒に楽しいこといっぱいの世界で過ごそう?」


    ウタの突拍子もない言い分に、周りがしいんと沈黙する。

    次の瞬間、大きな笑いが巻き起こった。


    ワハハハハ!!!!


    オーブン「この世に平和なんてものは無い」


    ブリュレ「バカなことを言うガキは、顔を切り裂いてやろうか?」


    エボシ「おっと、こいつはおれの獲物だ」


  • 29二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 17:42:40

    ウタ「みんな私の歌を楽しみにきたんじゃないの?」

    エボシ「おれたちゃ海賊だ。歌なんかより大事なモンがあるんだよ」

    喉元に剣を突き付けられてしまったウタを心配そうに見守る観客たち。

    『ひどい…』『せっかくのライブを』『ウタや私たちの気持ちを踏みにじって…』『やっぱり海賊は悪いやつらだ!』

    その声を聞き届けたウタの、声のトーンが下がる。

    ウタ「……残念。なら、歌にしてあげる」

    ブリュレ「は?」

    思わず気の抜けた声を発したブリュレの目の前でウタの身体が輝き始め――次の瞬間。

    音が、爆発した。

  • 30二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 18:14:33

    ウソップ(これは……『私は最強』!! 次に歌う曲だったのか)


    ウソップ(こんな至近距離で聴けるなんて耳が幸せ……じゃなくて! どうなってんだこれえええ???)


    ナミ「ウタが変身した!?」


    チョッパー「飛んだアアア!!!」


    ルフィ「ははは、あいつすげェなー」


    サンジ「のん気に見上げてる場合か!」


    オーブン「熱風拳(ヒートデナッシ)!!」


    ルフィ「! あぶねっ!」


    《あなたの声が 私を奮い立たせる》


    《トゲが刺さってしまったなら ほら ほら おいで》


    ウタに攻撃を仕掛けようとしたオーブンと迎え撃とうとしたルフィの目の前に音符の花が咲き。


    オーブン「うおっ!」



    唖然としたオーブンの身体に虹色の五線譜がしゅるしゅると巻き付いて拘束した。

  • 31二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 18:40:50

    ロビン「あら?」


    海賊を捕えていたスパイダーネットにも五線譜が絡みつこうとして、すんでの所で能力を解くロビン。

    包まれて大きな繭玉のようになった海賊たちの塊をウタはジャイアントスイングで軽々と放り投げた。


    《さあ 握る手と手 ヒカリの方へ》


    金色の鎧に身を包んだウタが観客席の上を飛び、伸ばされた手に軽くハイタッチしていく。



    放り投げられた玉は宙に浮かぶと青空に大きな五線譜を展開した。


    線と線の間にはおかしな格好をした海賊たちが、音符のようにぴったりと貼りついている。


    「うぐぐぐ……」


    オーブンとブリュレがどれだけ力をこめても剥がれない。まるでトリモチのようだ。


    一つの譜面となった五線譜の最上部に王様のように腰掛けた後、ウタは会場に降りてきて最後のフレーズを歌い切った。


    《私は最強 アナタと最強》

  • 32二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:52:11

    ウタ「みんなー!悪い海賊は楽しい歌になってもらったよ!これで平和になったから、安心してね!」


    『うおおおウター!』『すごーい!』『本当に最強だー!』『ウタが無事で良かった~』



    ブルック「どうやら手出しは無用だったようですね」


    サンジ「ウタちゃんがあんなに強いだなんて…素敵だ!!」


    ゾロ「うるせェぞぐる眉。……あいつは何かの能力者なのか?」


    ナミ「さあ、聞いたことないけど」


    ウソップ「おいルフィ何やってんだ、邪魔になるから早く戻るぞ!」


    ルフィ「すっげー!なんだこれ?」


    ウタへの歓声の中、ルフィ達は静かに?元の席へ戻った。


    ウタ「よし、服を元に戻して…っと。ここで!みんなに嬉しいお知らせがあります」

  • 33二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:54:47

    ルフィに会ってないってことは私は最強の歌詞とか変わってそうだな

  • 34二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:05:30

    ウタ「いつもの映像電伝虫を使った配信ライブは、私が疲れて眠くなっちゃうからすぐに終わっちゃうけど」

    ウタ「今回のライブはエンドレス! 永遠に続けちゃうよ!」

    ウタ「そう、みんなとずーっと一緒にいられるってこと!!」

    ウタ「配信で楽しんでるみんなも、この会場にいる君たちも! もっともっと楽しんじゃおう!」

    『うおおおおー!!!』

    ウソップ「すっげェー! 一人でライブやり続ける気かよ!」

    チョッパー「最高かよー!」

    ブルック「いやはや、エンドレスライブとは……随分と体力ありますね」

    ロビン「一体何曲歌ってもらえるか、とても楽しみだわ」

    ウタ「それとね…」

  • 35二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:32:52

    ウタ「大事なお話。海賊のみんな、それに海軍、世界政府の人たち。このライブの邪魔をしないで」


    ウタ「みんな、楽しいこと、幸せなことを探しているの。ひどいことをやったら、覚悟してもらう」


    ウタ「私は新時代を作る女、ウタ! 歌でみんなを幸せにするの」



    『すごい…』『まるで女神様のようじゃ』『ウタとずっと一緒にいられるなんて…』『ありがとう、ウタ―!』



    U・T・A! U・T・A! U・T・A! 


    「まずいな…」


    「やはり、ウタはあの計画を…」


    盛り上がる観衆の中で二人の男がひそひそと会話する。


    ステージ上ではスポットライトを浴びたウタが目を伏せ、気持ちを切り替えてアナウンスを続けた。


    ウタ「じゃ、次は2曲続けて行くよ。……『世界のつづき』と『風のゆくえ』」

  • 36二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:41:02

    ここからどうCPになるのかみものだねえ

  • 37二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:51:54

    CPは誰と誰になるんだろ?

  • 38サイファーポールは調査済み23/02/05(日) 20:58:20

    ――聖地マリージョア

    「サイファーポールの報告通り……大海賊時代を全否定する、全く新しい敵の出現だな」

    「厄介なことに民衆も彼女についている。革命の芽は早めに摘んでおかねば手遅れになる」

    「あの娘がフィガーランドの血筋でもか?」

    「『トットムジカ』の存在も気になるな」

    「『トットムジカ』……アレが再び目覚めるのなら、悠長に構えているわけにはいかないだろう」

    「海軍に指令を出せ」

  • 39二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 21:04:08

    CP教えてもらってもいいですか?

  • 40二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 21:05:18

    CPはサイファーポールが張り切りますって意味かな?(錯乱)

  • 41二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 22:40:11

    CPは最後の最後にルウタが入るか入らないかくらいです(だから保険)


    ――海軍本部

    ボルサリーノ「おっかしいねェ~。女の子たった一人に全世界が注目してるなんて」

    サカズキ「おい、甘くみちょりゃあせんか?ライブの場所は音楽の島エレジアじゃ。あそこには古代に封印された『トットムジカ』がある」

    イッショウ「で、どれだけ出すんです?」

    サカズキ「エレジアに今すぐ出撃可能な軍艦は?」

    イッショウ「三十隻」

    サカズキ「よし、中隊小隊率いて全艦出せ!」

    ボルサリーノ(音楽の島エレジア……滅んたはずの島で、一体何を起こそうってんだろうねェ。あの歌姫は)

  • 42二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 22:55:50

    ――エレジア

    ウタ「よし! いっぱい歌ったしちょっと休憩入れようか。みんなーお腹すいたりしてない?」

    『そういえば少しすいたかも…』『時間を忘れて聴き入ってたよ』『お昼どうしよう?』

    ウタ「よーし、食べ物とか楽しそうなの、いっぱい作っちゃう!」

    『えっほんと?』『うわあすごい!』『食べ物だ!』『ありがとう!』

    ウタが作り出したたくさんの音符が観客の元に届くと、食べ物やぬいぐるみ、おもちゃに変化した。

    ロミィ「うわあ、ふかふか……本当にこれ、もらっていいの?」

    ウタ「もちろん!」

    ロミィ「ありがとう!」

    ウタ「みんな、ここでは好きな時に好きなものを食べて、歌って踊って、私と一緒に楽しく過ごせばいいからね!」

    『夢みたいじゃ…』『こんなに美味しい食べ物はじめて!』『甘いのがほしー!』『ウター!少しお水もらえるー?』

    ウタ「いいよー!」

  • 43二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 23:23:32

    サンジ「ウタちゅわーん! ここで料理したいから食材とかもらえないかな?」

    ウタ「食材? うーん、ちょっと思いつかないけどとりあえず出してみるね!」

    ウタが両手を打ち合わせると、野菜の入った大きな箱がボン!と現れた。
    あわててキャッチするサンジの横でルフィが飛び跳ねる。

    ルフィ「肉ー! 肉も頼む!」

    ウタ「オッケー!」

    ポン、ポン、ポン、と大小さまざまな肉の塊が降ってきた。

    ルフィ「ウッヒョ~~~!!」

    ゾロ「ウタ、酒はねェのか?」

    ウタ「お酒?いいよ。でもあんまり飲み過ぎないようにね!酔っぱらって私の歌が聞けなくなったら怒っちゃうよ!」

    ゾロの手元に清酒の瓶と、色々な種類の酒が入ったワゴンが現れた。

    ジンベエ「どうなっとるんじゃ、まったく…」

  • 44二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 23:44:02

    ウタ「私と一緒なら、どんな夢でも叶う! みんなを怖がらせるものなんて、どこにもない!」

    ウタ「新時代サイッコー!」

    『うおおおウター!』『ありがとうウタ!』『新時代ってすげー!』『わたし、かわいい服がほしい!』


    ――ホールケーキアイランド

    ペロスペロー「予想以上の能力だ。さすがに甘く見すぎたか」

    ビッグ・マム「マンマ、マンマ。あの能力は使いどころがありそうだね。何としても手に入れてやる」

    ペロスペロー「しかもあの忌々しい麦わらの一味もいやがるぜ。なめやがって、ペロリン」

    カタクリ「エレジアには俺が行く」

    ビッグ・マム「ん?」

    カタクリ「妹を奪われて、黙っているわけにはいかない」

  • 45スマホ規制されませんように23/02/05(日) 23:55:52

    眠くなってきたので今日の更新はここまで

    みなさんお待ちかねの逆光まであと少しです
    ここも分岐点なので展開が少し変わると思います
    平日は夜しか書けないのでスレ落とさないように気を付けなくては…

    歌詞は想像がしにくいので書くときは同じにしてますが、違っててもいいし
    同じでも込めてる意味合いが違うとかでもいいと思います。解釈は自由

  • 46二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 05:52:55

    海賊やめなよがなくなる訳か
    話が全く読めない

  • 47保守ついでにちょっとだけ続き23/02/06(月) 08:03:02

    ――エレジア

    ライブ会場の枡席では、サンジがみんなに御馳走を振る舞っていた。

    サンジ「ここはコックにとっては天国だな。何でも好きなものが作れるし、材料もウタが用意してくれる」

    チョッパー「んーミルクうめェー!」

    ゾロ「ウタに頼んだら酒も出てくる……」

    ナミ「あ、そっか!ウタなら財宝とかも……♡」

    ウソップ「おいおい……」

    ウソップ(それにしても大丈夫かなプリンセス・ウタ……休憩時間と言いつつ本人が一番休んでないんだよな)

    ウソップ(案外、ああやって誰かと話してる方が休んでることになるのか?)

  • 48二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 15:07:35

    このレスは削除されています

  • 49二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 15:33:58

    >>48

    41を見てみろ

  • 5010もみてね23/02/06(月) 19:38:49

    ウタ「みんなー!楽しんでる?」

    『ウタ!』

    ヨルエカ「ウタ、こんなとこに来て大丈夫なの?」

    ウタ「うん!今ね、いろんな席を回って挨拶してるの。ファンサービスってやつかな」

    ヨルエカ「そうなんだ……えっと、今日ここに来れて本当に嬉しいよ!ライブを開いてくれてありがとう」

    ウタ「ふふ、こちらこそ!そう言ってもらえると、頑張った甲斐があるってものだよ」

  • 51二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 19:51:40

    女の子「ウタ、わたしウタの絵を描いたの! もらってくれる?」

    ウタ「えっ、すごい! よく描けてるね!」

    ウタ「この似顔絵、私のトレードマークのやつだよね。かわいく描いてくれてありがとう!」

    ウタ「でもこれは、あなたに持っていて欲しいな」

    ウタ「ほら、このアームカバーにも同じ絵が入ってるから、おそろいにしよ!」

    女の子「わぁ……! うん! わかった!」

  • 52二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:07:31

    ウソップ「ウタはやさしいなーまるで天使だなー(ホッコリ)」

    ナミ「あら珍しい。見とれてるの?」

    ウソップ「いいいやこれは推しに対する感情であっておれには心に決めた人が……」

    ナミ「へーえ、ふーん、いるんだー?」

    ウソップ「か、からかうんじゃねェ!」

    サンジ「ルフィ、カレーのおかわりいるか?」

    ルフィ「いる!」

    サンジ(やれやれ、あっという間に食材が尽きるな。……ん?おっと…こいつは食べられないやつだな)

    サンジ(あぶないあぶない。捨てとくか)

    チョッパー「これ、なんの能力かな」

    フランキー「悪魔の実の能力にしては、何でもできすぎだろう」

    ロビン「確かにそうね。これだけ万能な能力なんて、聞いたことがない」

    ブルック「ヨホホホ、もしかしたらウタさんは万能の力を与えられたのかもしれません。音楽の神様に」

    ウタ「やっ! 楽しんでる?」

    『!?』

  • 53二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:27:40

    ウソップ「はひ! ぷぷぷプリンセス・ウタ!」

    ウタ「なんでどもってんの。普通にウタでいいよ」

    ウソップ「は、はい!」

    ウタ「さっきは庇ってくれてありがとうね。ちゃんとお礼言えなかったからさ」

    ウソップ「いえいえあんなのお安い御用ですぜ…えへへへ」

    ロビン「ウソップったら完全に舞い上がってるわ」

  • 54二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:29:43

    ウタ「他のみんなも楽しんでるかな」

    サンジ「変わった食材もあるしね。天国だよ、ここは」

    チョッパー「楽しいことだらけだな!」

    ウタ「よかった、ファンのみんなに喜んでもらえて」

    ウタ「ここのグループは君の友達なの?」

    ウソップ「あ、ああ! おれたち一緒の船に乗って旅をしてるんだ。こいつが船長!」

    ルフィ「ん? おう、おれはルフィ。海賊王になる男だ!」

  • 55二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 21:36:48

    ウタ「海賊王?」

    ウソップ「あ」

    ウソップ(……しまったー!ルフィに海賊だってこと隠すように言うの忘れてた!)

    ウタ「あなたたち海賊なの?」

    ルフィ「そうだぞ」

    ウソップ(あわわわウタの後ろ髪の輪っかが下がってる…機嫌を悪くしちまった)

    ウソップ「き、今日は!ここには海賊として来たワケじゃねェんだ!」

    ウソップ「休暇っていうか…純粋にウタの歌を楽しみたくてチケットを取ったし…」

    ウタ「ふーん。だったらそのまま海賊やめちゃいなよ」

  • 56二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 21:56:52


    『えっ?』


    ウタ「海賊をやめてここで暮らせば、困ることも苦しいことも起こらないし、楽しいことだらけだよ」


    ルフィ「はァ? お前なに言ってんだ??」


    ウタ「みんな私のファンなんだから、一緒にいた方が楽しいよね?」

  • 57二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:07:12

    ウソップ(ど、どうしよう……何人かブチ切れてもおかしくないぞ。とにかく穏便に、穏便に……)


    ウソップ「お、おれは…勇敢な海の戦士になるために航海をしてるんだ。だからやめることはできねェ」


    ウタ「それって海賊じゃなきゃできないこと?」


    ゾロ「…今はそうだ。無許可で船出すりゃ誰でも海賊だからな」



    ナミ「ウタ、あなたの歌は好きだけど……私たちは目的があって航海をしているの」


    ウタ「…………そのために、罪のない人々を傷つけても?」


    ナミ「えっ? …きゃあっ!」


    サンジ「ナミさん! うおあッ!!?」


    ウタが弾いた音符に突き飛ばされて二人は五線譜に絡めとられてしまった。


    ウタ「やっぱりやーめた。あんたたち海賊どもはみんな同じ」

  • 58二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:24:47

    ルフィ「サンジ! ナミ! おい!おれの仲間を返せ!」

    ウタ「みんなー! また海賊を見つけたよ! どうしよう??」

    ルフィ「聞けェ! オイ!!」

    『また海賊がいたって?』『またなの?』『またライブが邪魔されるんじゃ…』『こわいよお母さん!』『大丈夫よ、きっとウタが何とかしてくれる!』

    「…U・T・A! U・T・A!」

    『そうだ、ウタなら!』『ウタならきっと!』『ウタはおれたちの救世主だ!』

    U・T・A! U・T・A! U・T・A!

    怒号のようなコールが会場を包み込む。

    音符のフロートに乗ったウタがぐっとこぶしを握って宣言した。

    ウタ「オッケー! じゃあ、みんなのために私が海賊をやっつけちゃうね!」

  • 59二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 22:37:52

    照明が落ち、ドラムの音がビートを刻み始めた。

    ウタが手拍子を煽る。観客が手拍子を打つ。

    音に合わせて幾つもの音符が飛び出し、集まって、鎧をまとった戦士の姿になっていく。

    ウソップ「なんだこいつら!? うわっ!」

    ゾロ「いくら世界の歌姫だからって、こりゃ自由にしすぎじゃねェか」

    戦士たちの槍攻撃をゾロの刀が防ぎ、返す刃でその身を薙ぎ払った。

    しかし斬られた戦士は無数の音符に変化すると、また戻って新たな戦士の姿を形作る。

    ゾロ「こいつら、きりがねェ!」

    ルフィ「“ゴムゴム”のォ……!」

    ゴムの力で飛び上がってサンジとナミが捕らえられた五線譜に迫るルフィ。

    しかし行く手を音符の兵士の壁が阻んだ。

    ルフィ「くっ、どけェ!!」

    そして。

    ウタの歌が始まった。

  • 60二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 23:26:13

    赤とオレンジのライトが会場を照らし出す。


    指先から放たれた色とりどりの光が会場を縦横無尽に駆け巡り、まるで光の檻のように張り巡らされていく。



    ウタのパフォーマンスがドラムと手拍子を更に煽る。


    疾走感のあるサウンドに合わせて音符の戦士たちが疾走し、麦わらの一味に攻撃を仕掛けた。


    ロビン「六輪咲き(セイスフルール)クラッチ!」



    ジンベエ「唐草瓦正拳!」


    ブルック「ダメです、どんどん増えていきます!」

  • 61二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 23:34:11


    曲に合わせてウタが手を打つ度に音符の戦士の数は増えていく。


    ウソップ(まずいまずいまずい!! この曲はやばい!! どこかに逃げ道は…くそっ!)


    《散々な思い出は 悲しみを穿つほど》



    《やるせない恨みはアイツのために 置いてきたのさ》


    《あんたらわかっちゃないだろ 本当に痛む孤独を 今だけ箍外してきて》


    《怒りよ!》


  • 62スラップとクラッチを間違えた23/02/07(火) 00:28:54

    怪物強化(モンスターポイント)したチョッパーがロビンとウソップをかばい、ゾロとブルックが戦士を片っ端から斬っていく。


    しかしきりがない。


    しびれを切らしたフランキーの放ったファイヤーボールがウタに直撃するかと思った瞬間、光の繭がウタを包み込み炎はかき消された。


    ルフィ「ぐあっ!」


    ウソップ「ルフィ!!」


    足場のない中空で音符兵を蹴散らしていたルフィが横合いから攻撃を食らって落下。


    追撃に向かう戦士たちをウソップの必殺“緑星”が打ち払った。


    ルフィ「ウソップ!」


    ウソップ「おう!」


    ステージへ続く回廊へ着地したルフィの元に枡席から飛び出したウソップが合流。


    背中合わせに構えを取ったところでウタの容赦ない攻撃が降り注いだ。


  • 63二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 00:46:05

    ルフィ「うがっ!」


    ウソップ「ぎゃっ!」


    四方八方から突き刺さったレーザービームがルフィとウソップを拘束。


    そのまま光の線が紐のように絡みつき二人をぐるぐる巻きに縛り上げてしまった。


    チョッパー「ルフィ! ウソップ!」


    ウソップ「しまった!」


    ウタの手から放たれた虹色の五線譜が枡席全体を覆うように包み込み、五人を貼り付けて音符にしてしまう。


    そのままサンジとナミが貼り付けらた場所の下に五線譜が移動し、楽譜が完成した。


    《逆光よ――――!》



    ウタの勝利に会場が大歓声が巻き起こる。


    ウタこそが正義だ。間違いない。そう信じる民衆は一心に感謝の祈りをささげた。


    いつの間にかウタの背中には、赤と白の翼が生えていた。

  • 64二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 01:02:03

    ルフィ「んぐぐぎぎぎ!!はなせェ…!!」

    ウソップ「ぎゃあ痛たたたやめて!!そっちが動くとこっちが締まる…!!」

    芋虫のようにもぞもぞと動く二人の塊を音符兵がウタの元まで運んでくる。

    ウタは一度だけ無造作に見下ろすと、観客たちに向かって呼びかけた。

    ウタ「みんなはさ、海賊をどう思う?」

    『おれの街は海賊に焼かれた!』『私の夫は海賊に殺された!』『母ちゃんを返せ!』『国を返せ!』

    海賊いらない!

    海賊追い出せ!

    海賊いらない!

    海賊追い出せ!

    民衆の悲哀の籠った叫びがルフィとウソップに降りかかる。

    恐れ、悲しみ、恨み、怒り……さまざまな感情がうねり会場全体を包み込んでいた。

  • 65二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 01:10:07

    ウソップ「プリンセス・ウタ! ルフィは…おれたちはそんなことしねェ!!」

    身動きが取れないまま、ウソップは必死に叫んだ。だが…

    バシャッ

    「ウタちゃんに近づくな、海賊が!」

    いつの間にかステージに上がっていた民衆の一人が、桶に組んだ海水をルフィに浴びせた。

    「お前…悪魔の実の能力者なんだろ?」

    「海水で力が入らない能力者なんてこわくないぞ!」

    ルフィ「なんだこれ…ちからがでねェ……」

    ウソップ「お、おい! しっかりしろルフィ!!」

    ウソップ(海に落ちたわけでもねェのに……海水を浴びただけで、なんで??)

  • 66流桜は未修得じゃないかな23/02/07(火) 01:20:14

    チョッパー「おい、やめろー!」

    ナミ「ルフィィ!!」

    ウソップ(このままじゃやられる……!)

    全身に力を込めた瞬間、ステージを謎のドームが包み込む。

    次の瞬間二人の姿が消え、代わりにゴトンと大きな岩が転がった。

    『ええっ!?』『消えた?』『どこに行ったの?』『海賊が逃げた!』

    動揺する観客たちの声を聞きながら、ウタは冷静につぶやいた。

    ウタ「ほかにも海賊が隠れていたのか……」

  • 67二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 01:24:10

    長かった…!今日の更新はここまで
    次回は今日と同じ19~20時頃になります

    ちなみにチキンレースが発生しなかったためバルトロメオがルフィ先輩を発見し移動するまでにタイムラグがあり
    乱入することができませんでした
    ごめんよあとで活躍させるから

  • 68二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 08:04:35

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 15:19:23

    このレスは削除されています

  • 70二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 18:35:53

    >>69

    こうなった原因を作った2人には過労死レベル(なっても労基には行かせない)で頑張ってもらわないと

  • 71スレ主23/02/07(火) 20:02:31

    >>69

    その点でいえばREDは開幕ハグやチキンレース回想などで上手くコントロールしていんだと思います

    幼馴染部分がなくなったらラスボスルート一直線ですね

    ウタから見ても一味がクソ迷惑な海賊になってるのでどうしようもないという…


    ちなみにスレ主はREDが嫌いだからこうしてやるとかでなく

    あくまでIFの一つとして書いてます。もちろん

  • 72二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:05:45

    ――ライブ会場外



    ウソップ「な、なんだ?? ここはどこだ?」


    ウソップとルフィは石造りの橋の上に転がっていた。縛られたまま。


    ルフィ「ゼェゼェ……なんでちからがはいんねえんだ……?」


    ウソップ「お、おい…ルフィしっかりしろよ」


    「だらしないざまだな、麦わら屋」


    ルフィ「そのこえ……とらお?」


    奥の暗がりからのそりとトラファルガー・ローが現れる。


    ウソップ「そうか、トラ男がおれたちを移動させてくれたんだな! 助かったぜ」


    ウソップ「おまえらもプリンセス・ウタのファンだったんだなーへへっ」


    ロー「違う。付き合いだ。……ベポの」


    ちゃんっちゃっかちゃっかちゃっか ちゃかちゃんちゃん☆


    ベポ「すんません」

  • 73二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:34:07

    ウソップ(うっわァ、電飾まで背負ってすげェ恰好……おれよりガチだなこりゃ)


    驚いているうちにローが“オペオペの実”の能力を使って二人を解放した。


    ロー「……チッ、縄に海楼石の成分が含まれてやがる」


    ルフィ「トラ男ありがとう! ……しっかしなんなんだあいつ! 歌はうめェけどとんでもねーな!」



    ルフィはぷんすかと蒸気を上げて怒っている。仲間を奪われた上に殺されかけたのだから当然だ。


    ウソップ「おい落ち着けって。……まあプリンセス・ウタは海賊嫌いで通ってるから、当然といやあ当然なんだが……」


    ルフィ「なんで海賊嫌いなやつのライブに行こうって誘ったんだ!?おれ知らなかったぞ!!」


    ウソップ「そりゃ行きたかったからに決まってるだろ?最前プレミアシートだぞ!!?」


    ルフィ「知るかそんなこと!あーんな嫌なヤツの歌が好きなんてシュミわりーぞウソップ」


    ウソップ「るっせェ! 人の趣味をとやかく言うんじゃねェよ!!!」



    べーっと舌を出すルフィにムキーッ!と憤慨するウソップ。

  • 74二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:15:20

    このレスは削除されています

  • 75失敗したのでもう一度23/02/07(火) 21:16:21

    ウソップはウタの歌が好きだ。聴いていると元気になるし応援されている気分になる。


    映像電伝虫の配信を見てウタが海賊嫌いだと知ったが、納得できる理由だった。


    ライブのチケットに当選した時は本当に嬉しかったし、チョッパーと一緒にはしゃいだものだ。


    自分が海賊だということさえ黙ってさえいれば、ライブに行っても問題ないと思ったのだ。


    ……そんなはずなかった。


    落ち込むウソップの脳裏に観客たちの恨みの籠った視線、そしてウタの蔑むような冷たい目の記憶がよみがえる。


    ウソップ(他人の悪意を浴びるのって怖いな……)


    思わず背筋がぞくっと震えて、ウソップは両手で二の腕をさすった。


    ロー「喧嘩している場合か麦わら屋に鼻屋。あの女の能力を解き明かさない限り勝ち筋はないぞ」


  • 76二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:27:48

    ウソップ「プリンセス・ウタは悪魔の実の能力者なのか?」

    ロー「そうとしか考えられない。まァ、あんな万能の能力の話なんざ聞いたことがないが……」

    ウタ「あ、いた!」

    ウタの声が上から降ってきた。見上げると、音符に乗ってこちらを指差している姿が見える。

    ベポ「ウタだ!おーい」

    ロー「なにやってるベポ! チッ、一旦退くぞ!」

    ウソップ「立てるか、ルフィ」

    ルフィ「っ……まだ足に力が入らねェ」

    ウソップ「しょうがねェな、このウソップズ・デリバリーさまにお任せだ!」

    ベポを引きずって走るローとルフィを背負って後を追うウソップ。

    逃げる四人を追いながらウタは楽しそうに声を張り上げた。

    ウタ「海賊が逃げたよ! さァ、みんなで海賊狩りをやろー!」

  • 77二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:35:31

    ステージに巨大なグランドピアノを模したフロートが現れ、陽気なマーチングバンドを奏で始めた。

    観客たちはフロートの後ろに並んで行進し、ライブ会場を出ていく。

    先導するウタがグランドピアノの上に軽やかに着地し、ニカッと笑っていた。

    ナミ「みんな行っちゃった……」

    ロビン「楽譜に貼りついている私たちだけが取り残されているようね」

    ブルック「これはチャンスでは? 今のうちに……ふぬぬぬ……!」

    空中で不安定な体勢で五線譜に貼りつけられている彼らは、思い思いに動き始めた。

    サンジ「クッソ、ダメだ。外れねェ…」

    ゾロ「情けねェぐる眉だな」

    サンジ「お前だって外せてねェじゃねーか!マリモ!!」

    ナミ「フランキーとジンベエはどう?」

    フランキー「びくともしねェ」

    ジンベエ「わしもだめじゃ」

    チョッパー「んぐぐ……ブルックは……?」

    ブルック「も、もう少しで……」

  • 78二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:07:52

    チョッパー「え!」

    ナミ「外れそうなの?」

    ブルック「見えそうです。……ナミさんのパンツが」

    サンジ「なにィ!」

    ナミ「見たらぶっとばす!」

    ブルック「ヨホホホホ」

    そんなやりとりをしている一味の足元に近づく謎の影があった。

    「“流動防壁(バリアビリティ)”!! 階段(ステアーズ)!!!」

  • 79二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:19:15

    まぁそうだよなぁ
    ルフィからウタへの想いが皆無だったら嫌なやつだよなそりゃあ
    性格は同じなら仲間を拘束に留めるだけなのが救いか

  • 80二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:36:20

    ナミたちが貼り付けられた五線譜の足元まで透明な階段がぐーんと伸び、全身をウタグッズで固めたトサカ髪の男が駆け上ってきた。


    バルトロメオ「麦わらの一味のみなさ~~ん!!!」


    ロビン「あら、ニワトリ君?」


    バルトロメオ「はィ!!麦わら大船団2番船、海賊団「バルトクラブ」船長 不肖バルトロメオ!!みなさんのピンチに助っ人に上がりました!!だべ!!!」



    ゾロ「相変わらず騒々しいな」


    ロビン「あら、元気があるのはいいことよ」

  • 81二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:40:12

    少し早いですが今日の更新はここまで
    技名や画像探しに手間取ってしまったので明日までに多めに書き溜めておきます

  • 82二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:46:52

    >>79

    そこに自分が憧れた海賊を侮辱するような事を言ったら絶対にぶっ飛ばすと鼻息荒くしそう

  • 83二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 00:09:32

    仮に麦わら帽子も傷つけるなら奇しくもルフィからしたら初対面の相手とシャンクスの関係を知らなくていきなりシャンクスを侮辱されるというバギー相手と同じ状況になるのか

  • 84二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 08:03:29

    保守

  • 85二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 16:24:28

    >>83

    バギー扱いされるウタか...

  • 86二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 18:46:49

    このレスは削除されています

  • 87スレ主23/02/08(水) 19:29:53

    救ってくれェ!のくだりはREDの好きなシーン挙げてけスレとかで真っ先に推すくらいに大好きな名場面です
    ゴードンさん出番自体は少ないけどちゃんとそこで感動させるだけの描写が構築されてるのがいいんすよね
    あとツダケンさんの演技が素晴らしい

  • 88二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 19:32:50

    バルトロメオは“バリバリの実”の能力者だ。指を結ぶと最強のバリアを張ることができる。


    その力で応用でバリアを階段状に変形して空中で固定し駆け上がってきたのだ。もうその姿は真下まで迫っていた。


    ブルック「そちらからの方が見えそうですね。ナミさんのパンツ」


    ナミ「あんたも見たらぶっとばす!!」



    バルトロメオ「ヒェェッ!お、おらァ何も見てねェべ!!」


    チョッパー「あ」


    思わず両手で目を覆ったバルトロメオ。瞬間、バリアが解けて落下していった。


    バルトロメオ「んなァーーーーーーーーーーッ!!」


    サンジ「何やってんだあいつは……」

  • 89二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 19:49:09

    ブルック「あ、大丈夫のようですね」

    視界の端でバルトロメオが寸での所でバリアを使って着地したのが見えて安心する。

    ロビン「もう…彼がいれば顔の皮を薄く削ぎ落として脱出できたかもしれないのに」

    ナミ「怖いこと言わないでよロビン!」

    ジンベエ「しかしどうやって脱出しようかのう。向こうの連中も難儀しとるようだし」

    ジンベエの視線の先には、同じように拘束されているクラゲ海賊団、ビッグ・マム海賊団の姿がある。

    彼らが逃れようとしてもがき、腕や頭をぶつける度にポン♪ ピン♪ と異音が鳴っていた。楽譜だからだろうか。

    ロビン「そういえば……『歌にしてあげる』ってウタは言ってたわね……」

    ロビンは考えた。

    ……もしかしたらこの楽譜に“意味”があるのではないか?

  • 90二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 20:25:57

    ――再びライブ会場外

    ウソップ「んぎィ~~~いっぱい来たァ~~!!」

    ルフィを背負ったまま全速力で走るウソップ。その背後から音符の兵士たちがわんさかと迫っている。

    ローが鬼哭を振るいベポがアチョーと蹴散らしても、音符兵はさらに増えて彼らを包囲していく。

    ロー「チッ……誘導されている……!」

    恐らくウタたち海賊狩りの大行進の目の前に飛び出すように適当な場所で逃げ道を作っているのだろう。

    無軌道に見えて組織立った戦闘陣形にローは内心舌を巻いた。これもウタのしわざなのか。

    ルフィ「……やっと元に戻ってきた! いくぞ~! “ゴムゴムの”~~~連接鎚矛(フレイル)!!!」

    ようやく動けるようになったルフィも反撃に加わるが、キリがない。

    一同は森を抜け、橋を潜り、煉瓦造りの建物の合間を抜けて、市街を見渡せる高台にまでやってきた。

  • 91二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 20:32:21


    ルフィ「うわァ……なんかいっぱいだなァ……」


    空に浮いた音符兵たちがあちこちを監視するようにうろついている。


    ルフィも、ゼェゼェと息が上がったウソップもそれを見てげんなりしていた。


    ウソップ「……みんなを取り戻す作戦を考えなきゃいけないのに……どんどん追い詰められてるぞ」


    ロー「囲まれる前になんとかしないとな」


    「きみたち」


    『!!』


    不意に聞こえた声に一同は警戒態勢をとる。



    しかし、現れた声の主は敵意は無いと言わんばかりに両手を広げた。


    「兵士たちに追われて困っているのだろう。隠れられる場所に案内しよう」

  • 92二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 20:40:43

    男が案内したのは人気のない聖堂だった。


    朽ちかけているが天井があるため空から音符兵たちに見つかることはない。


    扉を閉めると音もほとんど聞こえなくなった。


    ウソップ「ふ~~助かったァ……」


    ルフィ「おっさん誰だ?」


    ゴードン「私はかつて、この国を治めていたゴードンという者だ」


    ロー「あんたが? エレジアはかつて世界一の音楽の都として栄えていたが、一夜にしてすべて消え去ったって話だ」


    ウソップ「えっ一晩で? どういうことだ??」


    ウソップ(そういえばここに来るまで誰も見かけなかったな……ライブ会場はあんなに人がいっぱいだったのに)


    ロー「ある大物海賊に襲われたって噂だが……」


  • 93二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 21:56:34


    ゴードンはルフィがかぶっている麦わら帽子にじっと視線を向けている。


    ゴードン「……きみのその麦わら帽子に見覚えがある。赤髪海賊団という名に聞き覚えはあるだろうか」


    「「赤髪海賊団!」」


    驚いたルフィとウソップの声が重なる。




    ルフィ「聞き覚えがあるも何も、シャンクスたちのことだろ? この麦わら帽子はシャンクスから預かってんだ」


  • 94二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 22:00:11

    ウソップ「あの、俺も……」


    ゴードン「そうか……きみとシャンクスたちには何かしらの縁があるようだね。ではウタのことも知っているだろうか」



    ウソップ(無視された…!)


    聞かれたルフィの表情が途端に険しくなった。


    ルフィ「知らね。あいつと会ったの初めてだし」

  • 95二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 22:21:32

    ゴードンは何かを言いよどむように唇を動かした。


    ゴードン「そうか……。いや、話していいものだろうか」


    ロー「おい、ウタの関係者なら知っているだろう。あいつが何の能力者か」



    ゴードン「彼女は……いや、先に話をしよう。ウタはシャンクスの娘だ」


    ウソップ「娘だって!?」


    ルフィ「あいつが!?」

  • 96二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:05:14

    彼女は赤髪海賊団の船に乗ってこのエレジアにやってきた。赤髪海賊団の音楽家としてだ。


    当時8歳だった彼女はこの国のどの歌手にも負けない素晴らしい歌声を持っていて、国中をその歌声で魅了した。



    彼女の歌声はまさに天使だった。



    私は彼女と彼女の父親に、『この国にとどまって欲しい。彼女の才能を伸ばすために音楽の勉強をさせるべきだ』と伝えた。



    二人はお互いだけで話し合ったあと、『気持ちは嬉しいが明日にはエレジアを離れる』と言った。


    仕方のないことだと、私と国民たちもそれを受け入れた。


    だがその夜――




    ――エレジアから国民の姿は消えた。


    ウタひとりを残して。


  • 97二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:14:47


    シャンクスと赤髪海賊団の男たちは国中の財宝を奪いエレジアを去った。


    ウタはたった一人置いていかれた。国民がいなくなったエレジアでウタは私が育てたのだ。


    ウソップ「う…嘘だ! 赤髪海賊団が、オヤジたちがそんなことするわけねェ!!」



    ルフィ「そうだ!おれの知ってるシャンクスと赤髪海賊団は理由なしに国を滅ぼすような海賊じゃねェよ!!!」



    ロー「落ち着け二人とも。ゴードン元国王、あんたの話には不可解な点がありすぎる。まずなぜ赤髪海賊団はエレジアに来た? 何か目的があったんじゃないのか」



    ゴードン「…………それは……」


    ロー「……もしかして、この国に残る伝説目当てだったんじゃないのか?」

  • 98二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:31:01

    このレスは削除されています

  • 99再投稿23/02/08(水) 23:33:26

    ルフィ「伝説って?」


    ロー「エレジアには古くから(バッパパラッタラッタ♪ ヒャアッ)」


    ロー「……魔王(チャカチャンチャン♪ スマセンッ)」


    ロー「トットム(バッパパラッタラッタ♪マッテマッテ)眠って(チャカチャンチャン♪ スマセンッ!)……ベポ!!!」



    ローが振り向くと、大量の小さな音符たちがベポの身体を包み込み、ミニサイズになっていくのが見えた。


    ミニベポ「あちょー!!?」



    ロー「ベポ―!」



    ルフィ「くまー!」

  • 100二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:52:10

    ウタ「ようやく見つけた。ゴードン、なんで海賊と一緒にいるの?」



    ベポをミニサイズに変えた音符たちはウタが放ったものだった。


    聖堂の扉が乱暴に開かれ、ウタの背後には大勢の観客と音符の兵士たちがひしめいている。


    ウソップ(まずいぞ……このままみんなじゃ捕まっちまう! そうだ、プリンセス・ウタがシャンクスの娘だって言えばファンの動揺を誘えるかもしれない……!)


    ウソップ(いやでも、そんなことしたらウタが……)


    ルフィ「おいお前、シャンクスの娘だってのは本当か」


    ウソップ「ルフィ!?」

  • 101二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:07:30

    ウタ「ゴードンに聞いたの?」

    ルフィ「シャンクスの娘なら何で海賊狩りなんかするんだ。おかしいだろ」

    ウタ「おかしくない」

    ウタ「私は海賊が嫌いなの」

    ルフィ「赤髪海賊団の音楽家だってんなら戻ればいいだろ。シャンクスのとこに」

    ウソップ(あわわわわ……プリンセス・ウタとルフィが真っ向から言い合ってる!空気が重い……!!)

    ウタ「……うるさい」

    ウタ「もうシャンクスの話は……やめて!!!!!」

  • 102二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:17:43

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  • 103二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:21:32

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  • 104二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:22:59

    ここのルフィはウタの事余裕で殴りそうだけど
    シャンクスの娘だから殴らないとかあるかな?

  • 105二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:24:02

    ウソップ「うわっ!」

    ロー「くっ」

    ミニベポ「アイヤー!?」

    ウタの叫び声で衝撃波が発生し、ベポが吹き飛ばされる。

    小さな音符たちが次々とルフィの身体に貼りつき身動きを取れなくした。

    剥がそうとしても音符が次々と増殖しきりがない。

    ウタ「海賊をやめて、今までのこと謝ってくれたら許してあげようと思ったけど、もうやめた」

    ルフィ「おい!ふざけすぎだ!!」

    ウタ「最後に聞くけど、“海賊王”とか“ひとつなぎの大秘法(ワンピース)”とか、冒険とか、くだらないものは全部捨てて私と一緒に楽しく生きる気はない?」

    ルフィ「ない!!断る!!!」

    ウソップ「ま、待ってくれプリンセス・ウタ!」

    ウソップは慌てて飛び出した。このままでは全面衝突になってしまう。

    大好きな歌姫(ウタ)と自慢の船長(ルフィ)がそんな風になってしまう姿なんて見たくなかった。

    ウソップ「お、おれも赤髪海賊団の狙撃手ヤソップの息子なんだ! だからまず話し合いを……」

    ウタ「うるさい。もう黙って。悪い海賊には悪い印をつけておしおきしなきゃ」

  • 106二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:27:15

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  • 107二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:32:55

    ウタの背後で大勢の観客がこちらに敵意の目を向けている。

    音符の兵士たちも槍を構え、巨大なフロートが光り輝き何かを仕掛けようとしていた。

    音符に拘束されながらもルフィが身構える。

    と、その時。

    死角に移動したローが能力を発動した。

    “シャンブルズ”!!

  • 108二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:40:05

    >>106

    正直ウタを殴るルフィはルフィじゃないからな…

    一個人の意見だけど…

  • 109二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:41:53

    ロー、ルフィ、ウソップの姿が消え、代わりに外に生えていた大木が出現した。


    ドサッと床に落ちたそれを見て観客たちが慌てて三人を捜索する。


    『あれ?どこに行った?』『逃げたの?』『海賊が逃げた!』


    ウタ「……ふーん。いろんな能力があるんだね」


    ウタ「ま、いっか!」


    気を取り直したウタは、観客に笑顔で振り返った。


    ウタ「よーし、かくれんぼ海賊探しゲームをしようか。みんな逃げた海賊を見つけ出してねー!」


    男の子「ねえ、ウタ……」


    ウタ「ん? なあに?」


    男の子「シャンクスってひとは、ウタのお父さんなの?」


  • 110二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:49:29

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  • 111二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:50:10

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  • 112二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 01:05:33

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  • 113ケンカしないで感想をプリーズ23/02/09(木) 01:12:40

    ウタはきょとんとした顔で観客たちを見渡した。


    大半は海賊を捕まえようといきり立っているが、中には心配そうにこちらを見ている人間もいる。


    ウタは少し思案すると、くるっと振り返り聖堂の奥へと走った。


    そこには衝撃波に煽られて倒れていたゴードンが座っており、大丈夫?と声をかけて腕をとり引き起こす。


    男の子「その人は?」


    ウタ「紹介するね。このひとはゴードンさんって言って、私を育ててくれた人!」




    ウタ「このエレジアの王様でもあるんだよ。すごいでしょ!」


    男の子「へえ…そうなんだ!」


    女の人「王様に育てられたってことは、ウタは本当のプリンセス!?」


    ウタ「ふふ、全然そんなのじゃないよ。でも私にとってはゴードンさんは本当のお父さんみたいなひとなの」

  • 114二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 01:15:44

    ウタ「シャンクスって海賊は私をさらってこのエレジアに連れてきただけの悪党だよ」


    『そっか…そうだよね』『ウタが海賊の味方のはずないよ』『ゴードンさん、いい人そうだな』

    『ウタちゃんを育ててくれた人なのね…』


    ウタ「さあ、行こ! 海賊探しゲームにしゅっぱーつ!」


    巨大フロートが再びマーチングバンドを演奏し、観客を外へ連れ出していく。


    一人残ったウタは、唖然としているゴードンに小さく声を掛けた。


    ウタ「……ねえゴードン、怒ってる?」


  • 115二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 01:18:36

    ウタ「相談もしないで、勝手にライブ開いちゃって」


    ゴードン「……ただのライブじゃないんだろう?」


    ウタ「気づいてたんだ。なら応援してくれるよね」


    ゴードン「私は……わたしは……」



    ゴードンは何も言えなかった。ウタのこれまでと、これからやろうとしていることを知っているのはゴードンただ一人だった。


    あの麦わら帽子をかぶった青年に伝えようと思ったが、彼はウタを知らずむしろ嫌悪の感情を抱いていた。


    隣にいた長い鼻の青年はウタのファンのようだが……そういう人間こそ最後の最期でウタの味方をしてしまうかもしれない。


    だから彼に頼みたかった。身勝手でもこれしか方法が……。

  • 116二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 01:24:19

    ゴードンから話聞いてルフィがどうするのか楽しみやね

  • 117二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 01:26:50

    ウタ「……そうやって黙って逃げるんだ。気楽でいいよね」


    黙っているゴードンにしびれを切らしたようにウタが呟いた。


    いけない、こんなことでは。


    ゴードンは一念発起してウタを説得しようと試みた。


    ゴードン「私はお前にこんなことをして欲しくはない! 今すぐにでもライブを中止に……」


    ウタの肩を掴み説得しようと手を伸ばすが、ウタが出した五線譜に絡めとられてしまった。


    ウタ「ごめん、しばらくそこにいてね」


    ゴードン「待てウタ! こんなことをして世界政府や海軍がだまっていないぞ!!」


    ゴードン「だめだ! 引き返すんだ! ウタ! ウターーーーー!!!」



    ウタは音符に乗って軽やかに外へ出ていく。


    残された聖堂の中で磔のゴードンの悲しい響きがこだました。


    「あちょー??」

  • 118スレ主23/02/09(木) 01:31:59

    今日の更新はここまでです
    なんかハートの数が増えてる!?見てくれてありがとうございます!

    議論が白熱するのは結構なんですが利用規約と投稿前の注意を読んで楽しく考察してください
    あとお暇だったら「赤髪海賊団 フーシャ村」で過去ログ検索して出てくるスレッドもおすすめします
    (スレ主が建てました)
    この先ルフィとウタの直接対決はまだありますのでお楽しみに~

  • 119二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 01:36:11

    >>118

    そのスレの概念をssにしたのがこのスレって訳か

    ハッピーエンドになるんかね

  • 120スレ主23/02/09(木) 01:38:16

    >>119

    ハッピーかどうかはわかりませんが、映画のエンディングとは変える予定でいます

  • 121二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 02:13:14

    CPに期待してるけど保険程度かぁ

  • 122二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 03:40:40

    >>118

    あぁ、REDの物語がルフィ、シャンクス、ウタの3人の関係性があるからギリギリ成立していたことを実感させられたあのスレやな

    ルフィとウタの関係性が消えてるREDとか詰み要素のオンパレードなんだわ


    現状ゴードンがREDよりも積極的に動いてくれそうだけど冗談抜きでゴードンが頑張ってくれないと状況がドン詰まりなのよ…

  • 123二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 04:20:19

    ルフィの分からせパンチは全てを凌駕するんだぞ

  • 124二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 04:41:55

    >>112

    なんでそんな攻撃的なんだ?

    世界線が違くともウタを殴るルフィが嫌っていうのは尾田先生の解釈を大事にしてれば普通に抱く範疇の感想だと思うが

  • 125二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 08:06:24

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 08:09:35

    >>112

    スレ主いるならこういうやつとかは消した方がいいぞ

    その原因になったレスと一緒に

  • 127二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:56:33

    ここではヤソップの息子のウソップが何かのキーになるのか?
    うーんわからん。

  • 128二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:02:35

    シャンブルズで聖堂の裏手に移動した三人は、動けないルフィを担ぐと急いでその場を離れた。


    森を抜けて高台に辿り着くと、体に貼りついていた音符をパラパラと払い落とす。


    先程と違い増殖もぜずあっけなく剥がれた。


    ロー「ウタから一定距離離れると効力がなくなるようだな」


    ルフィ「ありがとうトラ男。うっし! 反撃に行くか!」


    ロー「だから奴の能力がわからん以上勝てないと言っとるだろうが!!」


  • 129二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:38:24

    ロー「……あのゴードンとかいう男、とんだ食わせものだ。ウタの正体は分かったが能力のことは何一つ喋らなかった」

    ロー「まさかの身内だったとはな……」

    ウソップ「プリンセス・ウタは本当にシャンクスの娘なのか? おれの親父のこと知ってるのかな……」

    ルフィ「娘がいたなんて聞いてねェぞ、シャンクスに!」

  • 130二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:40:09

    赤髪のシャンクス率いる赤髪海賊団は、ルフィが幼い頃に出会った初めての海賊だ。

    陽気で明るく、酒と馬鹿騒ぎが大好きで、暇なときはルフィの故郷フーシャ村の酒場に籠っていつも宴会を開いていた。

    頭の切れる副船長のベン・ベックマン。

    大食らいのコック、ラッキー・ルウ。

    狙撃手“追撃者(チェイサー)”ヤソップ。

    電撃使いライムジュース。

    航海士のビルディング・スネイク。

    船医ホンゴウ。

    戦闘員”ハウリング”ガブ。

    音楽家コンビのボンク・パンチとモンスター。

    そして“お頭”こと赤髪のシャンクス。

    ルフィは彼らが話す海と海賊の話に魅了され、航海に連れていけと何度もせがんだものだ。

  • 131二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:03:19


    ロー「こうなった以上、島の反対側から港に出る。ライブ会場には海兵や諜報機関の連中もいた」


    ロー「世界政府や海軍はずっと前からウタの能力に目をつけ、ヤツを監視していたってことだ」


    ウソップ「…………」


    ロー「海軍はおそらくこの島の近くに来ている。誰か捕まえて吐かせれば、ウタの能力もわかるはずだ」


    ウソップ「あのさァ……」


    ロー「どうした鼻屋。警戒を怠るなよ」


    ウソップ「あの向こうに見える入り江に俺たちの船が停まってるはずなんだけど……」


  • 132二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:57:59


    ルフィ「ねェ! サニー号がねェ!!!」


    ロー「なんだと!? サニー号どころか船の一つも見当たらないじゃねェか!!」


    ウソップ「そうだよなーおれの見間違いじゃなかったかーまさか港が空っぽになってるなんてなー……ってえええええええ!???」


    あれだけいたライブの観客たちを乗せてきた船が、一つもない。


    海軍の船はおろか、漁船や小舟一つ停泊していない、無人の入り江がそこに広がっていた。


    ルフィ「サニー号をさがさねェと! いくぞウソップ!!」


    ウソップ「お、おう!」




    「その必要はありません」

  • 133二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 23:41:42

    空中に丸くドアが開いて、中から見覚えのある人物が姿を現した。


    「お久しぶりです、ルフィさん!」



    ルフィ「コビー!」


    いつもの海兵の服装とは違う、ラフな格好をしたコビーがそこにいた。


    隣には緑のジャージを着たCP(サイファーポール)のブルーノがいる。


    そして……


    「サニー!」



    ルフィ「へぶっ」


    コビーの懐から飛び出した何かがルフィの顔面にべしょんと当たる。

  • 134二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 23:43:16

    「サニー、サニー! サ~ニ~?」


    ルフィ「プハッ……なんだコイツ? サニーって……」


    ウソップ「まさか、お前……」



    ……サニー号なのか!?


    サニーくん「サニー!」


    ルフィ・ウソップ「えええええーーーーーーーーっ!!!!????」」


  • 135二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 23:51:50

    今日の更新はここまで
    ウソップの驚き画像ってありそうでないですね。見つけるのに時間がかかりました
    次回は能力解明と一波乱。分岐点まであと少し…!

  • 136二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 03:00:40

    分岐点が楽しみだ

  • 137二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 08:03:18

    保守

  • 138二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 17:01:16

    ほしゅ

  • 139二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 17:22:59

    映画REDは最悪なタイミングで相手を思い気遣った結果があの結末なわけだから
    ここの世界線はウタがルフィの幼馴染枠にいない以上、変に気遣ったりする必要がないぶんビビとルフィのような殴り殴られるような良い関係が築けそうだな…知らんけど

  • 140二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:54:01

    このレスは削除されています

  • 141二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:59:11

    ロー「お前ら、どうやってここがわかった?」

    サニーくんに驚きつつもローは警戒を解かない。

    コビー「ルフィさんの存在を感じて…」

    ロー「……見聞色の覇気か」

    コビー「あとはブルーノさんの“ドアドアの実”の能力をお借りしました」

    ロー「サイファーポールと海軍がつるむとは…どういう風の吹き回しだ」

    どうやら海軍とサイファーポールは別々に偵察を送り込んでいたらしい。

    彼らは先程までウタの海賊狩りパレードに潜入していたが、頃合いを見て列から外れ、別行動を取ったのだった。

    コビー「皆さんが知りたいのは、ウタの能力についてですよね?」

  • 142二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 20:14:54

    ロー「このぬいぐるみ「サニー!」……サニー号がこうなったのも、ウタの能力だというのか?」

    同じように小さくされたベポを思い出しながらローは舌打ちした。置いてきてしまったが無事だろうか。

    コビー「そうです。こんなことができるのもここがウタの作り出した夢の世界だからです」

    ルフィ・ウソップ「「夢の世界?」」

    コビー「はい。信じられないかもしれませんが、ぼくたちが今いるこの世界は、現実ではありません」

  • 143二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 20:18:03


    コビーは語った。


    自分たちが今見ているものは、すべてウタが“ウタウタの実”の能力で作り出した、意識の中だけの架空の世界だということを。


    “ウタウタの実”の能力とは、歌声を聞いた人間の心を“ウタウタの世界”に取り込む力。


    心を取り込まれた人間は、現実の世界から抜け出して、ウタが望んだ世界で生きているような感覚になるというのだ。


    まるで全員が、同じ夢を見ているかのように――

  • 144回想(画像使いたかっただけ)23/02/10(金) 20:37:22

    ウソップ「そ、そんな……」


    ウソップはライブの様子を思い返していた。



    ――ステージのセットも凝ってるな! ってなんだあの演出! 水で文字?? どうやって作ってるんだ??


    ――なにもかもが凄すぎて感想がすごいしか出てこねえ!でもこれが…これが世界の歌姫のライブ…ッ!!


    ――あっちこっちから音が聞こえるぜ。一体どんな性能のいいスピーカー使ってんだ?


    ――ウタが変身した!?


    ――飛んだアアア!!!




    ――ウタちゅわーん! ここで料理したいから食材とかもらえないかな?


    ――肉ー! 肉も頼む!


    ――悪魔の実の能力にしては、何でもできすぎだろう


    ――もしかしたらウタさんは万能の力を与えられたのかもしれません。音楽の神様に――


    あの派手な演出も、空を飛ぶ乗り物も、みんなに配った食べ物もすべて、夢の中だからこそ実現できたものだったのだ。

  • 145回想(画像使いたかっただけ)23/02/10(金) 21:04:45

    コビー「ここは見晴らしがいいので移動しましょう。音符兵たちに見つからないように」

    一同は高台から森の中へ駆け込んだ。走りながらローが尋ねる。

    ロー「それで、現実の世界はどうなっている?」

    コビー「現実世界には、ぼくたちの身体だけが残っています。でもその身体は、ウタに支配されているはずです」

    ロー「どうやったら現実に戻れる?」

    コビー「ウタが眠れば、能力は解除されます。しかしすでに“ウタウタの実”の世界に取り込まれてしまったぼくたちは、現実のウタに手を出すことができません」

    ロー「悪魔の実の能力には必ず限界があるはずだが?」

    ブルーノ「その通り。“ウタウタの世界”を維持するためには激しく体力を消耗する」

    ブルーノ「おれが常に“ドアドアの実”の能力を使っていられないようにな」

    ウソップ「じゃあ、プリンセス・ウタが疲れて眠ればいいってことか?」

    ブルーノ「それは難しい。ライブが始まる前、やつがネズキノコを食べるのを目撃している」

    ブルーノ「食べた者はしばらくの間眠れなくなるという代物だ」

  • 146二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:07:23

    コビー「一部の地域にのみ生えているキノコで、強い毒性はありませんが一度に大量に食べると依存性が高くなるといわれています」

    コビー「それに、眠らないことでどんどん体力を消耗すると命の危険があります」

    コビー「ルフィさん、人は眠らないとどうなるか知ってますか?」

    ルフィ「どうって……」

    コビー「眠らないと、強い疲労感や倦怠感を覚え、脳の働きが低下します。攻撃性が高まったり、猜疑心が強くなる人もいるようです」

    ウソップ「常にイライラするってことか……」

    コビー「それだけじゃありません。眠らないことで身体も心も休息ができなくなるので、ちょっとしたことで倒れやすくなったり、病気にかかりやすくなります。海軍の資料には眠れなくなった結果、死んでしまった人の記録も残っています」

  • 147二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:17:27

    このレスは削除されています

  • 148間違いがあったので訂正23/02/10(金) 21:26:45

    コビー「おそらく現実世界のウタも……いずれそうなるでしょう」


    ウソップ「!?」


    ロー「そうなれば、おれたちは解放されるのか?」


    ブルーノ「いや、逆だ」


    コビー「ウタの命が尽きればこの世界は閉ざされます。そしてそのとき、ウタウタの世界にいる者、つまりぼくたちはそのままになってしまいます」


    コビー「ファンの人たちを永遠にウタウタの世界に閉じ込める。それこそがウタの計画なんです」


    サニーくん「サニー……」


    ウソップ(そんな……プリンセス・ウタがライブを開いたのは、みんなを夢の世界に閉じ込めるためだったなんて……)


    ウソップ(自分を犠牲にして新時代を作るって、そんなのありかよ……!)


    肩を落とすウソップをルフィが横目でちらりと見る。


    ルフィ「……コビー、どうやったらウタを止められる?」



    コビー「それを探るために潜入したのですが、何もわからないままです……」

  • 149二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:34:04

    コビー「ただ、戦力はあった方がいいので、ヘルメッポさんがここにいる海賊たちを集めています。それと、麦わらの一味は別行動をとっています」

    ルフィ「あいつら無事なんだな!」

    ―――
    ――


    ブルック「……この五線譜に意味がある?確かに…何かのメロディーを表しているみたいですね」

    ロビンの提案にブルックが五線譜を見渡そうと頑張って首をひねっている。

    ナミ「頭の位置が、ドレミになってるとか?」

    ロビン「ブルック、歌って見てくれる?」

    ブルック「楽譜の全体が見えません。今の私に見えそうなのは……パンツ」

    ナミ「うっさい、見るなァ!」

  • 150二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:44:49

    コビー「楽譜に目を付けるとは、さすが麦わらの一味ですね」


    コビー、ヘルメッポ、ブルーノの3人はその時“ドアドアの実”の能力で麦わらの一味の元に来ていたのだ。


    ナミ「コビー!」



    ロビン「あなたたち……どうしてブルーノと?」


    コビー「説明はのちほど。……はい、歌ってください」


    コビーは持っていたノートに素早く五線譜を書き写すと、90度傾けてブルックに見せた。


    ブルック「ミ~♪」


    ナミ「あ!」


    ブルック「レ~♪」


    サンジ「外れた!」


    二人は体が自由になると、ブルックを踏み台にして目の前にある“ドアドアの実”の空間に入った。


    コビー「じゃあブルックさん、続いていきますよ!」


    ブルック「ド~♪」

  • 151二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 22:08:29

    大丈夫かな?ウソップがロビン達と一緒に行動することで天上にドットムジカについての資料を見つけられたのが、、、
    あそこは蔵書とか沢山あるだろうから、まさか天井に書いてあるなんて誰が気づくのか気になるな…一番知ってそうなゴードンはすでに離脱しているし…どうなるかな?

  • 152二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 22:22:57

    ブルックが一音歌うたび、一人ずつ五線譜から外れて自由の身となっていく。


    するとそのとき、上の段に貼りついていたオーブンが声を上げた。


    オーブン「おい!妹だけでも助けてやってくれねェか」


    ブリュレ「お、お兄ちゃん……」


    ブリュレは顔ごとうつ伏せに貼りつけられたため、息継ぎもままならない。


    苦しそうな様子が忍びなく、たまらず助けを求めたようだ。


    ヘルメッポ「この場だけでいい! 海軍に協力するのが条件だ」



    麦わらの一味は既にチョッパー、ロビン、ブルック、フランキーが解放され、残るはジンベエのみとなっている。


    腹立たしいが、仕方がない。


    舌打ちしてオーブンは、妹のために条件を呑んだ。

  • 153スレ主23/02/10(金) 22:25:36

    (ごべーんゾロ、入れるの忘れてた!)

  • 154二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 22:35:33


    ――
    ―――

    その後、クラゲ海賊団たちも協力すると訴えたので、一同まとめて“ドアドアの実”の能力で別の場所へ移したそうだ。

    ブルーノ「麦わらの一味の連中はエレジアの城に向かった。ニコ・ロビンが、はるか昔にこの島で起こった事件について知っていることがあるらしい」

    コビー「ぼくたちが今向かっているのは、その合流地点です。ヘルメッポさんが他の海賊たちと待機していますが……」

    その時、遠くのライブ会場から歓声と音楽が風に乗って聞こえてきた。

    ウタと観客たちは海賊狩りを諦めて戻ったようだ。

    ロー「……現実時間でウタが死ぬまでの時間は?」

    ブルーノ「残り二時間もないはずだ。だが、夢と現実の時間感覚が同じとは限らない」

    ルフィ「?」

    コビー「ものすごく長い夢を見て目が覚めたけれど、ほんの数時間だったってことありませんか?」

    コビー「それと同じで、夢の中での時間の流れが現実と同一とは限りません。ぼくらがこうして過ごしている時間が、現実ではたったの5分ってこともあるかもしれません」

    ロー「その逆も同じか……」

  • 155二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 23:32:30

    ローの発言を聞いたコビーの足取りが止まった。

    ルフィ「コビー?」

    コビー「ルフィさん。やっぱりぼくはウタを説得しようと思います」

    『!?』

    ロー「できるのか?」

    騒然とする一同の前で、コビーはうつむく。

    コビー「……わかりません。でも海賊ではないぼくの言葉なら聞いてくれるかもしれません。ウタだって、本当はきっとこんな間違ったことはしたくないと思ってるはずです!」

    ルフィ「なら、おれも一緒に行く」

    コビー「ルフィさん!?」

  • 156二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 23:55:21

    ルフィ「なァに、邪魔はしねェよ。ただ、あいつが何を考えてるか聞いておきたいんだ」


    ルフィ「ウソップはゾロたちと合流してくれ。こっちは任せろ」


    ウソップ「お、おう…わかった。頼んだぞ、ルフィ!」


    ルフィ「おう!」


    サニーくん「サニー!」


    ルフィ「ししし、サニーもウソップのこと頼んだぞ!」



    しゃがんでサニーくんの頭をわしゃわしゃと撫でる和やかな様子に、コビーは無意識に入っていた肩の力を抜いた。


    コビー「……わかりました。ローさんはすみませんがヘルメッポさんのところへ。この道をまっすぐ行けばたどり着けます」


    コビー「ブルーノさん、ウタの元へお願いします」


    ブルーノ「……俺は運び屋じゃないんだがな」


    承諾を返すと、ブルーノはルフィとコビーを連れて“ドアドアの実”の能力を発動した。

  • 157二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 00:09:34

    今日の更新はここまで
    ウソップお疲れ!ウソップありがとう!きみはこれから別行動だ
    地味ですがここが分岐点なので、今後さらに展開が変わっていくと思います
    どこで区切って次スレに行くか考えないと…

    土日も更新は夜になると思います

  • 158二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 03:37:52

    ネズキノコの毒性が弱まってるの大きいぞ

  • 159二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 08:10:38

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 17:45:46

    なにこれ面白い

  • 161と思ったらもう少し続くんじゃよ23/02/11(土) 20:08:41

    ルフィたちと別れた後、ローとウソップは合流地点へと向かった。

    場所を覚えたウソップはそこから離れ、城を目指して森の中を突き進む。

    ウソップ(ルフィのやつ……ひょっとしておれとウタを会わせたくなかったんじゃ……)

    空を飛ぶ音符兵を警戒し木陰に隠れながらそんなことを考える。

    ゾロたちと合流してくれ、と言われた時の顔を思い出すと、いつになく真面目で何か本心を隠しているように見えた。

    ウソップ「フッ……甘く見られたもんだぜ」

    ファンの気持ちと仲間への信頼は全く違う。

    ウソップは現実の世界に戻りたいと願っているし、仲間たちを見捨てたくないと思っていた。

    ウソップ「何とかしてここから出る方法を探すぞ~! っと……お?」

  • 162二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 20:24:38

    気が付けば、ウソップはゴードンと話した聖堂の近くへ来ていた。


    城へと一直線に向かう道のちょうど途中にあったようだ。


    ウソップ「さすがにもう誰もいない、か……?」


    開きっぱなしの扉からこっそり中を覗くと、奥の方から不思議な声が聞こえてきた。



    ゴードン「ミー」


    ミニベポ「あちょー?」


    ゴードン「ミー」


    ミニベポ「あちょ!」


    ゴードン「……ドー、レー」


    ミニベポ「……! ミー♪」


    ウタが出したのだろう五線譜に拘束されていたゴードンが、ベポの歌声でようやく解放されたところだった。


    しびれた腕をさすりながらゴードンが頭を下げる。


    ゴードン「ありがとう。君は素晴らしいクマだ」


    ミニベポ「アイアーイ!」

  • 163二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:13:38

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:20:20

    ウソップ「あんたら無事だったか! てっきりプリンセス・ウタのところにいるもんだと思ってたが……」


    他に敵がいないことを確認して、ウソップは二人に声をかけた。背中に乗っているサニーくんも一緒だ。


    ゴードン「きみは……麦わらの彼と一緒にいた子だね。先程はすまなかった」


    ウソップ「いいってことよ、それよりあんた……」


    ウソップ「あんたは、ここが夢の中だって気づいてたのか?」


  • 165二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:21:08

    ミニベポとゴードンが癒し

  • 166二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:35:34

    ゴードン「……知っていたのか。そうだ。ここはウタが“ウタウタの実”の能力で作り出した夢の世界なのだ」

    ウソップ「あんたは“ウタウタの実”について何か知ってるのか? ここから出る方法は!?」

    ウソップが思わず身を乗り出すが、ゴードンは首を横に振るばかりだった。

    ゴードン「……私が知っているのは、ウタが眠ればこの世界“ウタワールド”は消えるということだけだ」

    ウソップ「そっか……」

    ゴードン「あとは……いや、あれは燃やしたはずだ」

    ウソップ「???」

    ゴードン「……せめて、ウタが夢の世界に取り込む人間が少しでも減ることを祈る他ない。世界政府や国の中枢まで飲み込まれてはこの世の秩序がなくなってしまう」

    ウソップ「それって、映像電伝虫の中継でも“ウタウタの実”の能力が使えちまうってことか!?」

    ゴードン「その通り。ウタの意志の乗った歌声であれば能力を使うことができるようなのだ。彼女はそれを自分の歌の演出に使っていたが……」

  • 167二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:39:08


    ――いつもの映像電伝虫を使った配信ライブは、私が疲れて眠くなっちゃうからすぐに終わっちゃうけど


    ――今回のライブはエンドレス! 永遠に続けちゃうよ!


    ――そう、みんなとずーっと一緒にいられるってこと!!


    ――配信で楽しんでるみんなも、この会場にいる君たちも! もっともっと楽しんじゃおう!



    ウタは嘘は何一つ言っていなかった。ただ、周りがその意味を理解していなかったのだ。


    ウソップは悔しそうに唇を噛む。


    もっと前に何とかできなかったのか……いや、それも無理な話だ。


    自分たちは何も知らずにエレジアへ来たのだから。

  • 168二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:06:52

    ウタが使っている映像電伝虫は二年ほど前、エレジアの海岸を歩いていて偶然拾ったものだ。


    どうやら特殊な個体のようで、音声と映像を不特定多数に向けて発信できる代物だった。


    ウタの素晴らしい歌声をどうやって世界に送り届けるか考えていた私たちは、大喜びでその映像電伝虫を使ったんだ。


    ここに来てから外の世界をほとんど知らずに育った彼女は、電伝虫を通して世界中の人々と交流できることをとても喜んだ。


    まるで解き放たれたように、自分の歌声を外に向けて発信するようになったのだ。



    あの子の歌声はまさに天からの贈り物だ。人々を幸せにし、世界を平和で包む力を持っている。


    彼女の声はファンを魅了し、まるで世界を覆いつくすように瞬く間に広まっていった――

  • 169二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:13:08

    ミニベポ「あちょ~~……あちょ!」


    サニーくん「サ~ニ~~ サニー!」


    ゴードン「あのッ! 聞いているかね!」



    サニーくんに拳法の動きを教えようとしているミニベポ。


    ウソップも地面にあぐらをかいてすっかりリラックスしている。


    ウソップ「おっさん話が長いぜ……。聞いてるから、先に進んでくれよ」


    ゴードン「あ、ああ……」

  • 170二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:39:46

    配信を続けていくうちに、ウタは自分の歌が人々の生きる希望となっていることに気づいた。

    『ウタ、ありがとう!』『元気が出たよ』『ウタのおかげで明日からまた生きていけそうじゃ』

    ――私も、みんなに喜んでもらえて、嬉しい!

    歌を聴いている時だけは、苦しいこと、つらいことを忘れて幸せな気分になれるというのだ。

    彼女はいつしか、そんな人々のために歌うことを生きがいにしていた。


    『ねえウタちゃん、苦しいよ。ウタちゃんの歌だけ聴いていられる世界はないのかな……』

  • 171二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:41:06

    だが…外の世界の現実を知るうちに、彼女の中に新たな自覚が芽生えていった。

    大海賊時代は戦争や血が絶えない。もともとは歌を聴いてもらうためのものだったのに、いつの間にかウタのことを救世主だと崇めるファンが増えていった。

    ウタの元にファンたちからの手紙が届くようになった。配信の中でも海賊に虐げられている人々の話が増えていったのだ。

    『ほんと困ったもんだよ』『誰も私たちみたいな者のことは気にかけやしない』

    『ああ……いつも泣いてばかりさ』

    『みんな言ってるよ。海軍も悪いけど、もっと悪いのは…』『ぼくおなかすいた…』『仕方ないだろ、海賊が全部持ってっちゃったんだから』

    『そう、海賊よ!』『勝手なやつらのせいでさ…!』『みんな楽しくなくなっちゃったんだ!』

    『あんたもわかってくれるかい…?』

    『頼むよ、わしらの苦しみを…』

    『あなたしか、あなたしかいないんです!!』

    『お願い』『あんたなら』『頼みます』『あなただけが…!』

    『お願い!!!』

    ――みんなの気持ち、よーくわかった。私が必要なら、作るよ! みんなが幸せになる“新時代”を!

  • 172二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:57:48


    そうしてウタは、この計画を始めてしまったのだ――



    ウソップ「ウタのライブにそんな裏があったなんて……」


    ウソップもウタの配信を時々見ていたから知っている。


    彼女がどれだけ努力して歌を、ダンスを、盛り上げる話の技術を磨き続けてきたかを。


    それも全てファンを喜ばすためだった。


    ゴードン「頼む、ウタの計画を止めてくれ! 赤髪海賊団のことを知っている君たちならきっとできるはずだ!」


    ウソップ「そりゃ、俺も…ルフィも赤髪海賊団を知ってるけどよォ……」


    ウソップは首をひねった。いくら考えてもわからないことがある。


    ウソップ「どうしてそんなに期待をかけるんだ? あんたにとっちゃ、赤髪海賊団は自分の国を滅ぼした憎い敵(かたき)だろう?」


    ゴードン「それは……」


  • 173二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 22:59:32

    言いよどむゴードンにウソップはぐい、と膝を詰めた。


    ウソップ「この際だから腹を割って話しちまおうぜ!俺も親父のいる赤髪海賊団がどんなだったか知りたいし!なっ!」


    わざと明るく言ってゴードンの気を和らげようとする。


    その気遣いに気づいたのか、ゴードンも強張っていた表情を少し和らげた。


    ゴードン「わかった、彼らの話をしよう。あれは十二年前、彼らがエレジアにやってきた日のことだった……」


    ウソップは確信した。


    この話は絶対に長くなると。


  • 174スレ主23/02/11(土) 23:03:52

    (あぶねー本当に長くなるとこだった!やだこの二人書きやすい…)

  • 175スレ主23/02/11(土) 23:22:49


    ――エレジア


    濃い霧が立ち込める中、一人の女性が高台からライブ会場を見下ろしている。


    カリファ「……聞こえますか?ウタのライブは続行中」


    カリファ「心を奪われた映像電伝虫が暴走して“ウタウタの世界”の映像を流し続けています。音声が切られていないと危険です」


    カリファ「歌声を聞いた瞬間に、心を取り込まれてしまいます」

  • 176二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 23:34:03

    ――聖地マリージョア


    ルッチ「ウタがライブを始めてから四時間が経過しました。犠牲者の数は加速度的に増加中」


    ルッチ「ライブを完遂させた場合、最終的に全世界の七割が“ウタウタの世界”の住人となる計算です」


    五老星「七割!? 想定外だ……」


    ルッチの報告に頭を抱える五老星たち。


    五老星「世界滅亡の危機ではないか」


    五老星「なんとかして止めねば……」


    五老星「ええい、海軍の報告はまだか!」


  • 177二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 00:26:58


    海軍の船は既にエレジアに到達していた。


    島の周囲をぐるりと囲むように停泊し逃げ道を塞いだ後、先遣部隊のみ港に着岸して武装偵察部隊を上陸させる。


    銃や剣を構えた海兵たちが一斉にエレジアの大地を駆け抜けた。



    廃墟の街を一軒ずつ覗き込み、敵が潜んでいないか注意深く確認する。


    市街地を抜けてライブ会場に辿り着くと、モモンガ中将率いる一小隊は息を呑んだ。


    モモンガ「なんだ……これは……」

  • 178二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 00:52:53

    ステージは無人だった。

    映像電伝虫はライブの様子を映しているというのに、現場は誰一人歓声を上げる者もいない。

    それどころか、ウタの姿さえなかった。

    驚くモモンガ中将の耳に通信用の電伝虫による報告が続々と入ってくる。

    [こちら武装偵察第七班。エレジアに国民の情報なし]

    [武装偵察第二班より連絡。敵対勢力は見つけられず]

    [武装偵察第四班よりモモンガ中将へ。観客の意識戻らず。意識戻らず。今後の指示を求む]

  • 179スレ主23/02/12(日) 00:56:04

    今日の更新はここまで
    順番入れ替えてみると改めてREDの構成ってすごいな…と感心するばかりです
    次回はやっとルフィのターン!

  • 180二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 09:01:52

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 18:46:12

    期待

  • 182二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 20:27:41

    ――エレジア

    ブルーノ、コビー、ルフィの三人は“ドアドアの実”の能力でライブ会場の裏へ移動した。

    ブルーノ「? 何か騒がしいな……」

    コビー「行きましょう。ウタはステージに戻っているはずです」

    舞台袖に移動し、ステージ上のウタをこっそりと監視する。

    すると、ウタが両手を振り上げて何か言っているのが見えた。

    ウタ「みんな! もう天竜人なんて怖がることはないよ!」

    『!?』

    ブルーノとコビーはぽかんとした。観客席もあっけにとられて静まり返っている。

    ルフィ「ん? なんだありゃ?」

    ルフィが指差した方向を見上げると、“天竜人”のチャルロス聖らしき人物とその護衛が、さかさまに五線譜に貼りつけられているのが見えた。

    大方、ウタを金で買い取ろうとして拒絶され、海賊たちと同じように歌にされたのだろう。

    コビー「うわぁ……とんでもないことするなぁ……」

  • 183二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 20:42:19

    コビー「大丈夫かな……夢の中ってことで許してもらえないかな……」


    思わず保身に走ろうとするコビーの耳に観客たちの声が飛び込んでくる。


    『あの! こんなことしたらまずいよウタ!』


    『天竜人に手を出したら世界政府や海軍が襲ってくるよ!』


    『どうしよう』『謝った方がいいの?』『でも、やったのはウタだろう!』『あたし関係ない!』


    ウタ「どうしたの? みんな心配しなくていいんだよ。大丈夫だって!」


    ウタは不思議そうに首をかしげる。


    そうしているうちに、枡席の一つにいた観客たちが小舟に乗り込もうとしていた。



    ヨルエカ「ごめん、ウタ! ぼく、そろそろ家に帰らなきゃ。飼っている羊たちの面倒を見ないといけないんだ」


    ヨルエカ「ありがとう、楽しかったよ!」


    ウタ「ちょっと待って!意味がわからないんだけど」



    ヨルエカ「……えっ?」

  • 184二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 21:34:43

    ウタ「なんで苦しくてつらい生活に戻ろうとするの? ここで楽しく生きていけるのに。それよりさ、誰か上に捕まえておいた海賊知らない?」

    ウタは少年の主張をまったく意に介さず他の事を気にしている。

    そんな姿に観客たちのざわめきが少しずつ広がり始めた。

    『え、帰っちゃだめなの?』『困るんだけど……』『もうすぐ夜だし』『おうちに戻りたいよ…』『お父さん待ってるのに』

    コビー「観客たちも違和感に気づき始めた……今なら!」

    意を決して、コビーは舞台袖からステージに飛び出した。

    コビー「ウタさん、もうこんなことは終わりにするんだ!」

  • 185二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 22:20:00

    ウタ「あなたも海軍? 天竜人を助けに来たの?」

    コビー「ぼくはみんなを救うために来た。すべての人々の心を現実の世界に今すぐ返すんだ!」

    『コビー大佐?』『えっ?本当にコビー大佐だ!』『コビーさーん!』

    観客のざわめきが一気に期待に満ちたものに変わる。

    ウタは驚いたように観客たちを見た。

    ウタ「有名な人なの?」

    『ロッキーポート事件で民主を救ってくれた英雄じゃよ!』『そうよ英雄よ!』『あの時はありがとう!』

    ウタ「そうなんだ……私、ずっとこのエレジアにいたから普通のニュースよく知らなくってさ」

    コビー「あ、いや……」

    民衆からの歓声や拍手にコビーは照れたように頭をかく。

    ルフィ「へー、あいつそんなことになってんだなァ」

    ブルーノ「おい、顔を出すな」

    様子を見守っているルフィも感心したように頷く。

    コビー(まいったな……そんなに知られていたなんて。でも、ぼくに注目が集まっている今なら……)

    コビー「みなさん、聞いてください! 実はぼくたちがいるこの世界は、現実ではありません!」

  • 186二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 22:28:05

    いきなりこんなことを言われて驚いたでしょう。でも、本当なんです!


    ウタが実は、“ウタウタの実”という悪魔の実の能力者だということを海軍は突き止めました。


    その能力は、歌声を聞いた者を自分の世界に引き込むというもの。


    みなさんは騙されているんです。ここからいますぐ脱出するべきです!



    ブルーノ「なるほど。英雄らしく民衆を味方につけるつもりだろうが……あのやり方はまずい」


    ルフィ「どういうことだ?」


    ブルーノ「急いで伝えようとして短絡的になっている。あれでは動揺を誘うばかりだ。それに……首魁を放置しすぎだ」


    ルフィ「首魁……」


    コビーを見守っていたルフィは、ハッと気づいてウタに視線を向けた。


  • 187二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 22:51:10

    コビーの発言で、それまで様子をうかがっていた他の観客も次々に発言し始めた。


    『え、なに?』『ウタウタの実って……』『悪魔の実の能力者?ウタが??』『でもコビー大佐が』『閉じ込められてるって……』


    『俺たちをだましてたってことか…?』『ウタ! 本当にだまして閉じ込めたの?』


    ウタ「だましてない! 私はみんなをだましてないよ!違うよみんな!私はみんなが幸せになれるように導いてるだけ!」


    ウタ「ここはみんなが望んでいたトコだよ。大海賊時代はもうおしまい! 平和で自由な時代が来るんだよ!」


    『導くってどういうこと?』『ウタが閉じ込めたのは本当なの?』『どうしてそんなこと…』『おうち帰りたいよー!』『ウタ……』


    観客の動揺が止まらない様子に、ウタも焦っている。


    両手をパンと打って食べ物やぬいぐるみ、遊び道具をたくさん作り出して呼びかけた。


    ウタ「ほら、最高でしょ? 食べ物や遊びはいっぱいある! ひどいことをする人や病気や苦しみはないんだよ!」


    『病気も消えるの?怪我も?』『そうだ、あいつさえいなけりゃ俺も…』『ここで生きていった方が幸せかもしれないな…』『私も!』


    ウタ「やっぱりそうだよね!」


  • 188二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 22:59:13

    『だけど仕事あるし……』『ずっとは困ります』『遊んでばっかりってのもな…』『いくらウタでも、ついていけないかも』


    ウタ「みんな! みんなは自由になりたかったんじゃないの? 病気やいじめから解放されたいってのは嘘?」


    ウタ「海賊におびえなくてすむ毎日が欲しいって言ってたじゃない!!」



    『るっせーな、帰りたいっつってんだろ!』『やめなよ、ウタはみんなのためにやってくれてるんだよ!』


    『おれ頼んでねーし!』『あたしも!』『あんたらうるさい!』『ウタにさんせー』『わしもここで暮らしたい!』


    『やだよ、学校好きだもん!』『今それ関係ないでしょ?』『やり過ぎなんだよウタは』『そんなの勝手に決めんなよ!』



    観客たちはもはやウタを無視して言い争いを始めている。


    止めるべきであろうウタは目に見えて動揺し、握った拳を震わせていた。


    これ以上は酷だろう。コビーは近づいてウタに声を掛けた。


    コビー「ウタさん、あなたの計画を中止するべき……」

  • 189二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 23:16:20

    ウタ「そっか! ごめん、わかったよ!!」


    コビー「っ!?」


    ウタ「もっと楽しいことがあればいいんだね!」



    両手をバッと広げたウタの身体が白く発光し、四方八方に閃光を放った。


    光の当たった場所から青空がピンク色に変わり、ステージ下の海面水位が上昇して会場ごと観客たちを飲み込んでいく。


    『なんだこれ!』『嘘だろォ!』『溺れる!』『やめて、ウタぁ!』『逃げろ!』


    逃げ惑う観客たちは次々とかわいいものの姿に変えられてしまった。


    観客たちは口々にウタに叫んでいるが、ウタの耳には届かない。


    ウタ「ほら!これでみんな、楽しい気分になれるでしょう!?」

  • 190二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 00:07:39

    コビー(なんてことを……!)


    説得の失敗を悟り、コビーは撤退しようとした。


    その足元をウタの閃光が貫く。


    コビー「うっ!」



    ルフィ「コビー!」



    ルフィは腕を伸ばし、コビーを掴むと自分と位置を入れ替えるように飛び出した。


    コビー「ルフィさん!?」


    ルフィ「行け、コビー!牛!」


    コビー「そんな! ルフィさん!」


    ルフィ「行けえェッ!!!」

  • 191二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 00:43:45

    動けないコビーを抱えたままブルーノが空気開扉(エアドア)を開く。

    既に海水は膝下まで到達している。無理矢理身体をねじ込むと勢いよく扉を閉じた。

    消えていく扉を背にして、ルフィはウタと対峙する。

  • 192二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 00:48:57

    今日の更新はここまで
    やっとこの展開に持ってこれた…こっから先がまた大変ですが
    次の更新時に次スレへ移行します

  • 193二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 04:53:03

    こっからどんな展開になるか...

  • 194二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 08:05:13

    保守

  • 195二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 19:37:52

    hosyu

  • 196スレ主23/02/13(月) 20:34:04
  • 197二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 20:49:43

    埋め梅

  • 198二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 21:00:46

    埋め

  • 199二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 22:19:34

    埋め

  • 200二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 22:19:51

    >>200ならハッピーエンドを希望。

オススメ

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