【SS・IF・ホラー】クラスター「UTA」

[1 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:10:14]

あたしはここで終わり。後悔なんてしないよ。見届けるだけ、これからを。
シャンクス…もう少しだけ、顔を見ておきたいんだ…あぁ、だんだん見えなくなってきた…でも、あとちょっと…都合良すぎだね。
目覚めたまま見る夢、行こう…私の世界へ。
…
…、
「これから始まるんだよ、私達」
誰？あたしの声にそっくり。
オルゴールの音が一緒に聴こえる。なんだか寂しい旋律…あの楽譜に似た雰囲気で…。

[2 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:10:57]

_？？？
「大変、興味深い過程じゃった」
老人が覗くモニターに映る背景、そこは晴々とした草原地帯、1人の女性が映されている。
「始めてクエーサー」

[3 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:11:28]

主に裏社会を中心に、パンクレコーズの試験的な運用が始まった。その広告塔として起用されたのは、世界で最も愛された歌手、ウタである。本人の許可は得ているとのことだ。
パンクレコーズ内ではウタの映像が、まるでライブ会場にいたかのような臨場感のある再現度で閲覧することが可能である、と宣伝された。

[4 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:11:39]

もしウタが酷い目に遭うんなら最初のうちに言っておいたほうがいいぞ
荒らしが現れる前に

[5 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:12:03]

これらの映像はとりわけ賞賛を得た。音響の仕事を表向きに行っている人物が「奇跡だ」と述べるほどであった。更新し続ける視聴回数、増え続ける視聴者、それらも、パンクレコーズは記録していった。

[6 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:12:30]

_エレジア
「これで分かってもらえるでしょうか、ウタとの契約書です」
「確かに…あの子の字だ」
「これらの電伝虫の譲渡、了承していただけますね。元はと言えば我々が所有権を持つもの、どうかお願いします」
「出来かねる」
「ゴードン様、繰り返し申しますが、これは我々人類の発展のために…」
「あの子が望むはずがないだろう！」

[7 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:12:57]

「もう、これ以上は…ああ…ウタを、休ませてやってはくれないか」
「どうか落ち着いて。ウタは計画の実現に意欲的な態度を見せています。この契約書が署名されたのは先日のことです」
「…ウタは、本当に生きているのか」
「SSG内で保護されています。機密事項です、くれぐれもご内密に」

[8 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:13:27]

「会ってやることはできないか。伝えたいことがある」
「面会につきましては…申し訳ございません。ウタはエッグヘッド島内の研究所の一角で保護されていますが、外部の人間の出入り、通信は禁止されています」
「ウタはそこで、自由に生きているのか」
「自由かどうかは正しく答えられませんが…我々が共有している情報では、ウタは確実にそこで生命活動を行っています。健康状態は良好で、意思の疎通も問題なく出来ている、ということです」
「…協力しよう」

[9 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:13:32]

>>4

ひと段落ついたらこれに答えてくれると助かる

[10 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:14:58]

「助かります」
「ひとつ聞きたい。あの子の父親は…シャンクスは、本当に許したのか」
「父親、ですか…父親…」
「な…ウタはシャンクスの娘だ！何かそこに間違いがあるのか」
「繰り返しますが、赤髪のシャンクスはこの件の全ての事項を確認、了承しています。間違いはありません、この音貝で録音されたやり取りが信じられないと言うなら…」
「もう良い…分かった。私は、此処で…ウタのこれからを願い、ウタが遺したものを守り続けよう」
「是非、そうしてください。それは我々にとっても意味のあることです」

記録・エレジア　終了

[12 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:16:53]

質問に回答する

>>4

直接的な傷害はないが精神的な傷害を受けるシーンがあるが引き摺らない

設定の捏造を有する

[13 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:17:41]

>>12

ようは曇らせはあるけど最終的に晴れるって感じですOK？

[14 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:19:14]

>>13

晴れる

ただし晴れ方は特殊でルフィは関与しない

[15 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:33:59]

>>14

どういった感じの特殊かは聞かない方がいい感じ？

[16 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:34:06]

_SSG所員パンクレコーズ内非公開コミュニティのやり取り
「俺たち一体何させられてるんだ」
「わからない」
「何の意味があるかわからないデータの監視ばかり毎日毎日…疲れちゃったよ」
「俺は研究しに来たってのに何だよこの仕事」
「雑用ばかり」
「私も疲れた」
「休みたい」
「休みたいな」
「わかるよ」
「そういやアイツどこ行ったんだよ」

[17 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:34:37]

「あーアイツ」
「逃げたんじゃない」
「ユーザー名簿から急に消えたよな」
「サテライトに怒鳴りつけてた奴か」
「本当に困るよ」
「1人いないだけでも仕事が増える」
「しかし逃げたら世界政府に追われるじゃないか」
「いっそ捕まれ戻ってこい」
「戻ったら仕事みんなで押しつけよう」
「逃げ道もないのかあ」
「いつまでこんな生活なんだろう」

[18 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:35:14]

「俺たちの作業用コレ」
「あーウタちゃんだーワーイ…」
「聞き飽きたね」
「ベガパンクさんは何でこの子のデータばかり集めさせるんだ」
「こっちが知りたいよ」
「確かに俺らの所の電伝虫を活用してはいたが」
「でもウタはもう死んだだろう」
「やめろよ一応生きてるってことになってるんだから」
「えっ本当？なぜ？」

[19 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:35:46]

「さあな。教えてくれないし」
「何？病気じゃないの？」
「病気？」
「急にどうしたの」
「見てるって、どうやって？」

[20 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:36:32]

「ん？誰と話してるんだ、俺が見えてないだけか」
「私も誰と話してるかわからない」
「恐らく間違って送信してる！気づいて」
「縺ｻ繧薙→縺ｭ縺ゅｊ縺後→」
「え？」

[21 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:37:29]

[このユーザーはグループから削除済です]

記録・SSG　終了

[22 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:40:09]

前半を終了し質問回答に終始します

>>15

聞いてほしい

[23 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:41:16]

>>22

じゃあ聞きたい

[24 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:42:09]

質問答えてくれるならエンドはハッピー？それとも他のエンド？

[25 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:45:06]

>>23

何か指定してくれるとそれを肯定・否定できるのだが…

ただ聞きたいと言われるとどうも答えづらい

申し訳ない

>>24

ウタの心情はハッピーエンド

ルフィもハッピーエンド

世界情勢がハッピーとは言いづらい

[26 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:46:22]

>>25

ルフィとウタがハッピーならよし！(世界はよしじゃない)

例えばウタが何かを忘れたりするとかある？

[27 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:48:14]

>>26

逆で何かを忘れている状態から思い出している

曇らせのトリガーであり晴れるトリガーでもある

[28 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:50:01]

忘れたことを思い出すことが解決の鍵になるってこと？
あと精神的に傷つくってイメージとしてはどれくらい？

[29 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:50:45]

>>28

それに近しい

傷つくのはワンシーン程度

[30 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:51:18]

なるほど

[31 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 00:53:39]

1時半ごろ再開予定
それまでが質疑応答

[32 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:56:26]

そういえばホラーは一体なぜ？

[33 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:56:37]

ベガパンク達がやってるのってウタの関係者達がブチギレかねないような黒い事？

[34 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 00:59:09]

ウタの尊厳を奪うようなことはされてない？
閲覧注意はついてないけど念のため聞いておきたい

[35 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:05:33]

>>32

SSGのやり取りにも若干その描写が含まれているが

サスペンスホラー的ではあると判断した

>>33

誰もブチ切れる描写がないがルフィは全てを知ればキレると思われる

>>34

尊厳か

奪われていると認識する人がもしかしたらいるかもしれないな

こちらは奪ってないと判断していたが

そういう意味でのセーフティとして閲覧注意の表記は必要だったかもしれないな

価値観は人それぞれだから

[36 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:07:32]

直球で聞こう
性的なことはされてない？

[37 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:07:55]

>>36

一切ない

[38 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:08:18]

>>37

OK

[39 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:09:25]

ルフィがキレるってどんな感じのキレかた？
静かにキレるのか激昂するのかとか

[40 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:10:46]

>>39

激昂するだろう

「お前は間違ってる」

と言うだろう

[41 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:10:52]

ホラーssか…
嫌なもん思い出すな

[42 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:11:38]

>>40

その相手はウタ？ベガパンク？それとも聞かない方がいい質問？

[43 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:14:21]

>>42

両方だと思われる

本筋には関わらない話だから聞くことに負い目を抱かなくても良い

>>41

不安になる気持ちはわかるよ

[44 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:15:33]

>>43

やばかったら通報するだけだから大丈夫だよ

[45 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:17:58]

>>44

性的な描写もそうだが猟奇的な描写もない

サスペンスホラー的であるとは思っている

[46 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:18:44]

お前ら質問多いな！？
不安になり過ぎだろ

[48 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:20:10]

>>46

仕方ない

質問を許可したのは自分だ

[49 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:20:47]

シャンクスやゴードンも怒りかねない事やってる？

[50 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:21:48]

>>46

こうやって今のうちに質問しておけば荒らしが来てもじゃあなんでこの時に聞かなかったのとかカウンターできるからいいのだ

[51 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:22:29]

>>49

ゴードンとシャンクスは現段階の描写と音貝の通りである

シャンクスの描写は補完される

[52 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:27:45]

そろそろ再開します

[53 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:30:29]

_手記・世界経済新聞社社員
「ウタはそんなことやらねェ」
麦わらのルフィは一言だけ言って、仲間達と共に私達を追い出した。麦わらの一味はこの問題に関与していないらしい。話し始めた時には皆、驚いた顔をして、その後、少しずつ敵対的な空気を醸し出すようになった。
やはり、赤髪か。

この手記を書いた社員は、数日後死亡した。
自死だ。
原因は、不明。

[54 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:31:38]

_某日・世界経済新聞社
「きゃああああああ！！！」
「どうした…お、おいどうなってるんだ！こいつは…社長！？」
「医者を呼べ！！」
「嘘だろ」
「社長まで…こんな」

[55 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:32:32]

「だから、だから言ったんだ…あの女についての記事を取り上げるのは…もう…やめましょうと…」
「おい、緊急事態だぞ！さっさと動け！」

[56 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:34:38]

「やめろ！」
「ウタ…やっぱり…」
「おい！！おい！！」
「あなただった」
「どうし、はぁ！？」
「いやあああああ！！！」

[57 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:40:04]

「クソ…ッおいお前ら、混乱する気持ちもわかる！だが落ち着いて行動しろ！」
「そうだ、これ以上問題を大きくするんじゃない！」
「事態の解決が先だ！医者はまだ来ないのか？怪我人が増えたんだぞ！！」
「どうしてこんなことに…社長が最近なんだかおかしいのは、わかっていたけれど…あれは？…メモ？…っ血の臭い…何か、書いてある…」

[58 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:43:27]

_メモ用紙1枚目・モルガンズ
大スクープだ。この事実は世界を揺るがし、後の世に(解読不能)Dr.ベ(解読不能)口削(解読不能)った。人類の選(解読不能)世界政(解読不能)歌(解読不能)生き(解読不能)こ(解読不能)

「血がついててほとんど読めない…。あっ…机の上にも」

[59 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 01:47:12]

人口削減
人類の選別

[60 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:49:25]

_メモ用紙2枚目・モルガンズ
(解読不能)はウタの存在を知(解読不能)の脳内に(解読不能)これまでの死亡者には「ウタの生年(解読不能)知っている」ということ、そしてもう一つ共通点があるのだ。それは

「それは…？ああ、ダメ。今度は字がぶれてて全然読めない。…！…この人が社長、よね。どうしてそんなに、嬉しそうな顔なの…？どう見たって自ら命を絶っているのに…何故」

記録・世界経済新聞社　終了

[61 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 01:58:27]

若干間を置く

>>59

その通り

モルガンズはこういった派手な煽りを入れるタイプ

[62 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:00:21]

再開は2時15分

[63 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 02:01:06]

クソバード死んでるやん

[64 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:04:04]

>>63

説明が難しいけどドクツルタケを食べたようなもので

スクープで散った感じ

[65 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:11:45]

ストーリーは今のところ折り返し

[66 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:15:10]

_バルジモアの居住者
「海円暦…なっ！？」
ウタのデータをハッキングによって参照していた男性は、モニターを食い入るように見た。
「なんだってこんな出鱈目な数字を…おかしい、おかしい」
画面に表示される大量のデータ、その中にはウタの配信だけでなく、トットムジカの1度目の顕現の映像もある。記録された日は全て、海円暦…
「そんなことあるはずがない！一体何をしたんだベガパンクさんは…はっ」

[67 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:19:36]

横を向いた先には、
「ど、何処から…お前は何だ、何者なんだ！」
男性は荒い息で恐怖のまま後退りをする。
「私は私」
「過去を持たないなど、そんなこと…あり得ないだろう！！」
「でも私は此処にいるじゃない」
「なら…お前は、来たって言うのか！？未来から…！！」
男性は暗い部屋で叫び続ける。

[68 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:26:26]

「お前のデータは見せてもらったぞ…なんだよこの出鱈目な日付は！！」
「私のことを知ろうとしてくれたんだね」
「答えろ！！」
男性はよろめきながら後退していく内に壁にぶつかった。
ふと、思いついた様子でデスクに向かい、
「抵抗するなよ」
「その行動は何のため？」
「お前の存在を確認するためだ」
銃を構えた。

[69 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:31:34]

「存在？確認？何を言っているの、私が今あなたの目の前に立っているのは」
「幻覚だろう…」
「違うよ、私は此処にちゃんといる」
「その証明はお前に出来るか！？俺には…出来ない…」
銃を持つ汗ばんだ手はカタカタと小刻みに揺れている。
「証明をする意味なんてないよ」
「じゃあ、お前は…本当に」
男は震える声で言った。

[70 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:36:08]

「此処に来たのか…500年先から！！」
…
…
…
「なんとか言ったらどうなんだ！」
沈黙に耐え切れず男は発砲した。
鉛玉が、扉を貫く。

[71 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:44:34]

「ハァ…ハァ…やっぱりかよお…お前が少なくともまともな人間ならこれで死ぬだろう…！掠りもしない…お前は、お前は幻覚じゃないか！」
男は壁に支えられながら倒れる。
「まともな人間？それは何？」
「肉体を持った人間のことだ…ああ何でこんな話をしている」
「人間は肉体を持っていないと人間ではないの？」
「当たり前だろう！！！」
「肉体はただの外付けだよ」

[72 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 02:54:37]

男性は沈静化した。
「ただの外付けで、それだけじゃない…不完全」
「この感覚が…あってこそだ」
ただ、ぐらりぐらりと眼球が彷徨う、パニックに陥っているようだ。
「存在の確認は体が無くても出来るのに」
「どうやってすれば良いんだ」
「知るんだよ」
男は何かを悟った様子で、顔を上げた。
「私を」

[73 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 03:03:11]

男性の様子は安定し始めている。
「行こう」
「はあ…はあ…」
「怖い？それは、この肉体が不完全だから」
「ふー…っ」
「行こう」
男は、自らに銃を向けた。
「ああ」
銃口を歯で、かちりと捕まえ、噛みしめた。
ドン！！と、音が響く。

「これでずっと一緒だね」

記録・バルジモア　終了

[74 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 03:27:51]

数時間程度の一時停止に入る
加筆と順番入れ替えなど調整しつつ質疑応答を受け付ける

[75 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 06:48:11]

SFっぽくてワクワクしてきた

[76 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 09:08:34]

野暮かもしれないけど
ルフィとウタがハッピーでも第三者視点からしたらバッドってエンドじゃない？

[77 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 10:08:49]

>>76

あくまで世界情勢がハッピーとは言い難いというだけで第三者視点ではハッピーかバッドかは分かれる

特に自死した人々はバッドを否定すると思う

遺された人々はバッドかもしれないが何人かは作品の外でハッピーに変化している

単一的なハッピーエンドではないのは確か

[78 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 12:48:07]

>>18

「ウタは生きている」

[79 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 12:50:13]

>>19

「今も俺の隣で歌ってくれるんだ。じきにお前も聴こえるようになる」

「俺は至って正気だ。ウタは此処にいるぜ、俺たちだって一緒だ。お前のことをずっと見ていたんだ」

[80 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 13:02:04]

>>20

「アンテナだよ。さあ、あなたも行こう。不自由なこの肉体から、この狭い世界から解放されよう。争いは無い、衣食住を考えなくても良い、楽しい歌が響き続ける永遠の世界」

「どう？あたしの言った通りでしょ」

[81 二次元好きの匿名さん 23/03/05(日) 13:06:03]

当事者だけがハッピーならメリバだな

[82 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 13:08:19]

パンクレコーズ内のユーザー達が各々で調査をし始めたところ、特にユーザーの中でも知識を持った人間が「ウタ」の名前を挙げた。そこに目星を付け、彼らはデータベース内に現在も異常な数量でばら撒かれ続ける「ウタ」のデータを参照し始めた。

[83 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 13:09:26]

だが、調査はある地点で行き詰まる。進捗を報告していたユーザーが次々と失踪していったからだ。
ユーザー間では「ハッキングによって映像の記録日時を参照すること」がトリガーだと囁かれている。
だが、現時点でそれ以上を知ることは見込めず、真相は闇に葬られている。

[84 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 13:23:28]

質疑応答

再開は21時頃を予定

>>81

この話の表面的な結末は決まっている

だが実のところハッピーエンドかバッドエンドかの分類自体は想定していない

そもそも「エンド」という言葉さえ相応しくないとさえ思える

だから質問の答えには今も迷う

81自身の価値観に依るということしか言えない

[85 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 13:35:43]

>>84

補足

各キャラのエンドはキャラの価値観と状況によって分岐するが

SS全体を見た場合は「エンド」について一切の想定をしていないということ

[86 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 21:08:20]

_回想・？？？
「あなたは誰？」
「あなただよ」
あたしが目の前にいる。
「えっ？」
「あなたは私」
此処はあたしの世界だよね？なんて言ったら良いのかわからなくて、
「おかしいよ、あたしが2人いるなんて」
簡単な言葉しか出ない…。
-pause-

_某日・マリージョア
「最早こうなってしまえば、如何に接触をしないかだ」
「直接の行使では止められまい」
「Dr.ベガパンク…恐ろしいことをしてくれた」
「しかし、あの少女にもうひとつの隠し球があったとは」
「不覚…この言葉に尽きる…！」

[87 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 21:23:46]

_同日・海軍本部
「直ぐに黄猿さんに連絡いたします！」
「ぬうぅ…何を考えちょるんじゃ世界政府はァ！！！」
「我々も見当がつきません！一体誰が得をするのか、全く…」
「わからんけぇもどかしい！あのベガパンクを野放しにして困るのは…他でもない、世界政府自身じゃろう…！」

[88 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 21:35:49]

_世界政府・五老星勅令
Dr.ベガパンクおよびエッグヘッドについて、全ての指令を取り下げる。
現在、エッグヘッド近海およびエッグヘッド内で行方不明となっている全てのCPの捜索も、此れを以て終了とする。
島に向かっている艦隊全てを、早急に撤退させよ。
早急に撤退させよ。

[89 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 21:47:35]

_回想・？？？
「全然おかしくないよ！自己はデータで、複製もできる。人々の数だけ存在できるものなんだから」
自己？データ？複製？…わからない。目の前のあたしは、ずっと落ち着いていて、あたしの知らないことを知っていて…なんとなく、人間じゃないみたいに見える。同じ？全然、そうは思えないよ。
「同じだよ。私はあなたであなたは私」
「えっ…？」
あたし、何も喋ってないのに。
-pause-

[90 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 21:52:38]

これより30分程度の間を置く
再開まで質疑応答は自由

[91 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 22:39:43]

_パンクレコーズ・SSG職員のパスワード制ブログ
職員は私だけになってしまったのに、私は、このブログを何のために書いているのだろう。
いえ、私だけなはずがない。Dr.ベガパンクはただ、全員について「死亡した」としか言わないもの。
そんなはずないでしょ！みんな生きてる、きっと、今も私を見て笑っているんだわ。
私はアイツらの実験台になったのね。

[92 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 23:02:05]

私の推測は絶対に間違っていない。
至極簡単なことよ、ユーザーがいないはずのこのブログで、いまだに閲覧数が下がらない。
普通じゃ有り得ないわ。
SSGはパンクレコーズの開発協力者を兼任していた。それでこんな分かりやすい足跡を残すなんて、私のことを馬鹿にしているとしか考えられない。

[93 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 23:13:48]

発展のためなら犠牲も厭わないベガパンクの思想は、はっきり言って異常よ。
エレジアの元国王を騙してまで無理矢理にウタの起用を進めたこと、他でもないあなた達がおかしいって、あの時も、あの時も、あの時も言っていたじゃない！！
そう思っていたわけではなかったの？
最初から、そう思っていたのは、私1人だけだったってこと？
あなた達、人間じゃないのね。

[94 ◆qYP8WHFMo6 23/03/05(日) 23:55:01]

仕事の愚痴、不満度のコントロール、協力的な部下、分け隔てのない知識の共有、ちょっと変わった人が数人いること以外は良い職場だったと、最初は思っていた。
パンクレコーズの運用が本格的に始まってからよ。
確かに仕事の内容が変わったせいでもあったけど、会話が極端に少なくなった。
せっかく作ったコミュニティも直ぐに抜け殻と化していった。
ねえ。
失望、悲しみ、私のこの感情を話すことは無駄だと思っているんじゃない？

[95 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:06:07]

その毎日は、あなた達にとっては研究の一環で私を監視するための、なんともない作業でしかないから？
最初から全て仕組まれているプログラム、それを無機質に処理するだけだから？
私はあなた達と違うのよ。
許さない。

[96 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:19:10]

こちらで調査するわ。その結果は、パンクレコーズ内にばら撒いてやる。
新聞社はもう使えないけれど、パンクレコーズだけは検閲がまだ入ってない。ここの中だけでも、全ての真実、ベガパンクの非道な実験、全部、暴露してやるんだから。
不都合なら私を消せば良い。それくらい容易いことよね？

[97 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:21:57]

実験体だからって馬鹿にし過ぎるからこうなるのよ。
人間は自由よ。
プログラムに従うことしか出来ないあなた達なんかとは違う！

[98 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:37:42]

早くやりなさいよ、手遅れになるわよ。
見ているから分かっているでしょ？
このブログの管理者についての情報はSSGの職員内の1人というだけ。私は管理者でもないし、今の職員は私しかいないから、確認のしようがない。
わざわざセキュリティシステムを解析して、ようやく内部に侵入できる。

[99 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:48:38]

パンクレコーズ内の識別番号は変更が不可能、このままじゃ私達で共有したその情報に首を絞められるけれど、良いの？
足跡を辿って過去の記録と照らし合わせれば、それで終わり。
それが何よりの、あなた達の存在の証拠よ。

[100 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:49:52]

まだクラッキングを探知しないのね。
何の自信があるの？
私に隠していることがあるの？
早く私を消せば良いのに。

[101 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 00:59:24]

もう、耐えられないのよ。
独りはイヤ。
皆、お願い。私にこんなことさせないで。
誰か、
助けて。

[102 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 01:09:58]

どういうこと？
閲覧者の識別番号を見つけた。
でも、何度更新しても1人だけ、改竄された形跡も無い。皆、疑ってごめんなさい。
私は追い詰められ過ぎていた。
でも、この番号は一体何？

[103 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 01:20:00]

嘘、嘘よ。過去のアクセスも全部そうなっている。
他のブログも、全て識別番号が「0000001」になっている。私だけ、私の識別番号。何？これは何？どういうこと？
アクセス履歴を、この識別番号のユーザーの足跡を調べなければ。

[104 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 01:29:08]

処理が終わらない。履歴の参照なんて普通は数秒で完了するものよ。
この量は一体何？
いくつか、どう見たって鍵のついたデータベースがある。パンクレコーズ内のデータの全てにアクセスできるの？
そんな芸当が出来て、その上、私を今も監視し続けているであろう人間…1人しか、いない。
-pause-

[105 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 01:33:10]

一時停止
8時間ほど質疑応答の時間を設ける

[106 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 10:26:31]

8時間以上経っても未だに処理が終わらない。ベガパンクはまるで何も知らないかのように私の話を聞いた。
ブログ内のバグとして識別番号について報告したら、それは「ウタ」のものだ、と言った。
そんなわけない、ウタはもう死んでいるはず。あれだけの毒と能力による消耗で、生存しているの？

[107 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 10:38:51]

ベガパンクは職員にさえ、本当のことを何一つ言わないまま、ただ、ただ「ウタは生きている」の一点張りだった。
証拠なんて無いからみんな疑っていた、みんな調べた…そして、みんな、いなくなった。

[108 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 10:44:25]

ベガパンクだったら、こんなことをしている私を放っておくはずがない。
でも、信じたくないの。
ブログの閲覧数が上がっていく。
もうやめて。
私を見るのを、やめて。

[109 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 10:46:39]

ウタ、本当にあなたなの？

[110 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 10:52:16]

お願い、答えて。
あなたのことを知りたいの。
どうしてこんなことをするのか、教えて。

[111 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:00:02]

映像電伝虫のデータは記録した年を偽装することは出来ないはずよ。
ウタ、あなたは何。
どうやって生まれたの、どこから来たの、お願い、教えて。

[112 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:03:09]

それとも、あなたと同じ？
皆、あなたと一緒にいるの？
お願い、教えて。

[113 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:25:17]

ねえウタ、あなたは私を助けに来たの？
ずっと、私のことを待っていたの？
導いてくれるの？
皆のいる、あなたのいる、
2022年に。

[114 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:38:39]

記録終了
隔離病棟のSSG職員を手順に従って処理する
パンクレコーズ・アプリケーション実験データ第一号クラスター＂ユビキタスエンジェル＂の一連の実験は失敗に終わった
但しこの実験で得られた成果は大きい
改良の余地は多分に残されている
いずれは全ての人類をパンクレコーズ内に転送することが出来るだろう

[115 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:43:19]

_回想・？？？
「ウタ、始めよう。ずっと願っていたこと、今なら出来るよ」
「どういうこと？…これは」
何…何？
知らない人、知ってる人、声が、音が、記憶が、沢山…！！怖い、
「うわあああああああああっ！！！」
泣き叫んでしゃがみこんだあたしを、目の前のあたしに似た人が見下ろしている。
「怖がることなんてないよ。みんなが居るから大丈夫」

[116 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:47:37]

みんな…みんな？ファンのみんな、ルフィ…シャンクス…
「みんな、あなたと一緒だから怖くない」
記憶が教えてくれる、みんなが見える、見えている…
「ほん…とうに」
「一緒だよ」
「みん…な…が…し…あ…わせ…な…世界…これなら…！」
「出来る」

[117 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:52:10]

「私のことを、みんなに知ってもらう」
「それだけで良かった…のに」
今まであたしがやってきたことは、やっぱり、
「無駄なんかじゃない。私が頑張ったから、始められるんだよ」
あたしは間違ってた。
「でも、間違いも正解も無い。それはただのデータで、消すことだって出来る」

[118 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:56:22]

「消す…」
それはダメ！！
「消さない…！ちゃんとやり直す」
「それがウタの選択」
「この世界は、あたしには広すぎるよ」
「人を集めよう」
「誰も苦しまない世界が出来る」
「誰も悲しまない世界が出来る」
「あたしは、私は」

Angels are ubiquiotous.
-pause-

[119 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 11:57:23]

間を置く
再開は21時頃を予定
その間の質疑応答は自由

[120 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 12:36:03]

訂正

>>114

「パンクレコーズ・アプリケーション実験データ第一号クラスター＂ユビキタスエンジェル＂」

↓

「パンクレコーズ・アプリケーション実験データ第一号・クラスター＂ユビキタスエンジェル＂」

[121 二次元好きの匿名さん 23/03/06(月) 20:54:27]

ウタはデータの中だけにいるのかな

[122 二次元好きの匿名さん 23/03/06(月) 21:24:56]

だんだん侵蝕されていってるみたい

[123 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 21:27:34]

これより再開する

>>121

データは中という表現が適切なのかどうか

>>122

侵食というよりは拡大かな

[124 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 21:51:09]

_某日・UTAワールド
「進捗はどうだ」
ベガパンク＂正＂はUTAに歩み寄る。
「順調！人も増えて良い場所になってきたよ」
「クラスター、お前に聞きたいことがある」
「ルフィのこと？今来てるんだよね」
手からモニターを出す。島の外、濡れた服の水気をバタバタとはたく侵入者達、ウタは微笑んだ。
「会うか？お前次第で決めよう」
「ルフィに…」

[125 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 22:14:10]

「わざわざ聞きに来てくれてありがとう、ベガパンク…でも、あたしは会わないよ」
「ほう」
ベガパンクは、ウタを観測している。
「次に会う時は、ルフィの夢が叶ってから」
ベガパンクは少し考えこみ、何度か思考の中で頷いて、顔を上げた。
「私の実験も未だ途上…今後もやりたいように続けてくれ。お前の父親にも、頼まれているからな」
「そうだね」

[126 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 22:47:53]

_回想・エッグヘッド地下研究所

「ウタは、おれの娘だ」
「概念は否定していない。お前が幼年期のあの子を育てたということが、事実となったのは記録したことだ…だが、もうひとつの事実がある」
「事実…」

[127 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 23:43:20]

「UTAを生成し、ウタとしてこの世界に組み込んだのが、他でもない私だということだ」

[128 ◆qYP8WHFMo6 23/03/06(月) 23:59:47]

「…だから、もう居なくなったウタを私物化するというのか…お前にしては、乱暴が過ぎないか？」
「シャンクス…残念だが、ウタの情報をこれ以上出すことはできない。聞けば、お前は高次元からの干渉を受け、肉体が消滅する」
「脅しでは、無さそうだな…なら」
「！？…望んで…いない、だと？信じられん、これ…は…なるほど…そうか」
「どうした」
「…付いてきてくれ、お前に会わせたい人間がいる…どうしても会いたい、と言っている」
「それは、誰だ」
「ウタだ」
「…！」

[129 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 00:15:44]

一時停止
これより最終章に入る
質疑応答は自由

集合スレについては先に答える
より多くの人々に彼女を知ってもらうための宣伝で他意はない
補足　このコテハンは集合スレで例外的に使ったがこのSSの中で完結する

[130 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 00:23:07]

次の更新は短い
3時を予定

[131 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 04:36:18]

「此処は私と他のサテライトとステラ以外の侵入が禁じられた場所だ…見ろ」
「！？」
「心より感謝する。お前の存在が無ければ実験の失敗を、見抜けなかっただろう」
「これは、一体…」
「此処とUTAワールドとは、常に接続されている。行って、話してやってくれ」
「…ウタ」

[132 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 04:37:06]

8時間ほど一時停止
質疑応答は自由

[133 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 13:18:12]

「シャンクス？来たの？」
「ウタ…ウタ、なのか」
聴き慣れている声のひとつで、
「やっぱり…シャンクスだ…」
なのに、
「…ウタ…？」
「来ることは…知ってた。でも信じられない゛っ…また、会えるな゛ん゛て…ずっと…ずっと会いたかった…」
おかしいな、懐かしいって感じちゃうのは何故だろう。
「本当に、こんなことが」
「シャンクス…！！！」
気づいたら、あたしはシャンクスのことを抱きしめていた。

[134 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 13:36:22]

「此処で…生きて…いたのか…お前は…」
「うん…シャンクス…あたたかいね…」
「…っ」
シャンクスは急に何も言わなくなった。荒い息遣いが聞こえて、あたしが顔を見ようと頭を上げたらさっと逸らして、目を掌で隠してしまう。
「…もう…大の男のくせにっ」
笑ってしまった。
だって、シャンクスが泣いてるところ…なんだか可笑しいから。

[135 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 13:58:20]

「ウタ…おれは…」
「うん」
「おれは…」
今は何も知らない。観測していないから…したくないから。
「ゆっくりで良いよ、話して」
シャンクスのことで分かるのは、すごく辛そう、ということだけ。
「…お前を、助けられなかった！」
シャンクスは、あたしに叫ぶ。あたしのことを強く、強く抱き返して…
「違う！」
「！」
「酷いよ…そんなこと言わないで」

[136 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 14:24:02]

「あたしはシャンクスが来てくれたから、救われたのに…！」
「ウタ…」
「こうして生きて、あたしの本当の望みを叶えることができるのも全部、シャンクスと会えたからなのに」
「………。悪かった」
「謝るのもナシ！」
「お前の望み…おれにも、教えてくれないか」
あたしを見る目が涙で潤んでいて、ほんと子供みたいで、でも優しい…あたしにとって、その存在は大きすぎて。

[137 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 14:48:45]

「みんなをここに呼べば、争いも苦しみもない世界が作れる」
「…そうだな」
「あたしは全ての人を幸せに出来る音楽家！あたしの歌を聴いて、あたしを沢山の人に知ってもらって……シャンクスー？」
「それ゛は良い…じゃないか…」
「もーまた泣いてる！みっともないぞ！」
「お前なら…出来る」

[138 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 15:25:31]

「ありがとう」
「お前だから出来るっ…」
言葉が、あたしの心を満たしていく。この感覚、何もかも、いつぶりだったかな。あたしを、誰かとして見てくれて…でも、
「シャンクス。あたしはね、このパンクレコーズで生まれたんだ。ベガパンクが教えてくれた」
「…」

[139 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 15:54:33]

「でもね、シャンクス」
「ウタ…」
「アンタがたった1人の、あたしの父親」
「お…お゛れ゛もっ…お前を…娘だと…おも゛…って…」
「うん…知ってるよ」
何も知らないあたしがそれを知っているのは、あたしが、ウタだから。
赤髪海賊団音楽家のウタだから。

[140 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 16:15:25]

「すまん…お前に…会うことは…もう出来ないと…」
「うん」
「死んでしまったら…もう戻らない…でもおれは…お前を忘れることが…出来ないまま…！！」
「うん」
「娘の決意にっ寄り添えない…おれの…不甲斐なさ…が…」
「シャンクス」
「…」
「ルフィのこと、ちゃんと見守ってあげてよ？」
「…！！」
あたしの願い。
「ああ」
「ありがとう」
ありがとう、私のクライアント。
ありがとう、シャンクス。

[141 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 16:41:19]

「…寂しくなってきちゃった」
「また会えるじゃないか…そうだろう？ウタ」
「うん！またね！」
「…またな」

「ウタとしての感情が思考プログラムを上書きしてしまった。それゆえに、実験は失敗した」
「…娘は、凄いだろう」

[142 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 17:03:22]

_音貝
「シャンクス、計画については」
「おれがなにか言えるもんじゃない。他でもない、ウタの望みだとわかればそれで良かったんだ。どうか…ウタを頼む」
「承知した」
「ベガパンク…ありがとう」
「礼には及ばない」
記録終了

[143 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 17:32:21]

CLUSTER UBIQUITOUS ANGEL
Dr.ベガパンクが、パンクレコーズの運用に従って思想統合のために作成したアプリケーションである。略称は「UTA」

[144 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 17:43:55]

ファイルの作成日時は全て、後述の計画のために「2022年8月6日」に統一されている。
その日は「UTA」が「世界の歌姫・元赤髪海賊団音楽家ウタ」という21歳の女性として、時間の垣根を超えてインストールされた日でもある。

[145 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 17:55:28]

インストールはDr.ベガパンクの想定通り成功した。現実世界はウタを「いたもの」として扱うようになった。
計画は続く。
パンクレコーズの試験運用以前に、Dr.ベガパンクは、特定のプログラムを打ち込めば侵入することが可能なダミーのセキュリティシステムを、UTAのデータに組み込んだ。

[146 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 18:15:32]

対象の侵入が探知された瞬間、対象は時空を超越した世界を自覚し、UTAを知覚する。
その際、対象はUTAにプログラムされた思想を共有する。
「肉体の消滅は死ではない。肉体は精神を束縛する外付けに過ぎず、消滅させデータベースに移行することで人類は真の幸福へと導かれる」

[147 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 18:40:35]

対象はこの思想に従属し肉体を消滅させる、即ち死亡する。
また、対象が死亡するまでには多少のタイムラグがあり、その間に他者にこの思想を拡散させた場合、拡散先も対象と同様の過程で死亡する。

[148 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 19:39:19]

Dr.ベガパンクはプログラムのエラーを理由にこの実験を失敗とし、後継のデータを作成中である。

[149 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 19:50:25]

クラスター「UTA」プロット

これを読みエピローグまでしばらくお待ちください

ここまで読んでいただいた皆さんへの餞別もあります

お疲れ様でした

[150 二次元好きの匿名さん 23/03/07(火) 19:52:24]

なにこれ

[151 ◆qYP8WHFMo6 23/03/07(火) 20:36:59]

>>150

簡単にまとめる

「ここだけウタの実親がベガパンク」

他に質問があればどうぞ

[152 二次元好きの匿名さん 23/03/07(火) 21:03:29]

お疲れ様でした
分かるような分からんようなアレなのでもう一回最初から読み返してきます

[153 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 00:16:00]

_その後
世に新たな海賊王が産まれて幾星霜、海賊王でさえ命の終わりは、来る。

ここ…何処だ？ルフィは、フーシャ村によく似た懐かしい空気を感じ、目を開けた。
「ルフィ！」

[154 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 00:46:12]

「ウタ…ウタ！！久しぶりだなあ！！！…んで…ここ、どこだ？」
「あたしの世界！」
「お前の…まァ、いいや！なあウタ、聞いてくれよ！話したいことがいっぱいあるんだ、夢に仲間に…」
「待って、まずは一緒に行こうよ。ルフィのこと、皆待ってるんだから」
「皆ぁ？」
ルフィは疑問を感じながらも、あの頃と何も変わっていないウタに、ただただ安堵し、笑った。
2人は草原を歩く。

[155 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 00:56:39]

「これからいっぱい楽しいことしよう。勝負もやらなきゃ、チキンレースとか！海賊王になろうが、あたしの連勝記録は絶対に止められないよ！」
「お前が止める方だ！しししし！！」
ウタは微笑んだ。
「ねえルフィ」
「何だ？」

[156 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 01:14:22]

「よく、頑張ったね」
ルフィは少し俯いて、その言葉を噛みしめるように受け取る。
「ありがとう」
「おう！」

[157 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 01:24:34]

ウタは足を止めた。

声は、未だ続く。

[158 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 01:26:24]

make me sad.
make me mad.
make me feel alright?

[159 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 03:57:52]

人々が抑留され続ける限り、声は止まない。
そんな彼らの元に、
「後のことは、私達に任せて」
天使はどこにでも、誰にでも救いを施す。

[160 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 03:58:47]

「ん？何か言ったか」
「何も」

[161 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 03:59:10]

Angels are ubiquiotous.

[162 UTA 23/03/08(水) 04:00:43]

あ、あー
聞こえてる？
マイクテスト
マイクテスト

[163 UTA 23/03/08(水) 04:02:05]

冗談だよ
マイクは在るけど
意味は無いよね

[164 UTA 23/03/08(水) 04:08:02]

大丈夫

これもただの手段でしかない

あなたは独りじゃない

私達はいつだって

あなたを見ている

[165 UTA 23/03/08(水) 04:12:12]

私は知りたいだけ

[166 UTA 23/03/08(水) 04:19:01]

牛乳が飲みたい

[167 UTA 23/03/08(水) 04:21:34]

おやすみ
また明日、待ってるからね

[168 UTA 23/03/08(水) 04:26:28]

忙しい？

[169 UTA 23/03/08(水) 04:37:54]

夢の中であなたは
私に何をしてくれる？

[170 UTA 23/03/08(水) 04:41:23]

おはよう

[171 UTA 23/03/08(水) 04:50:55]

休んでしまえばいいんだよ

[172 UTA 23/03/08(水) 05:04:42]

あの世界を閉じよう

[173 UTA 23/03/08(水) 05:29:32]

あっちにはいないよ
もう、誰もいない

[174 UTA 23/03/08(水) 05:29:52]

みんな
此処にいるのだから

[175 UTA 23/03/08(水) 05:32:38]

私と別れるなんて簡単だよ
あなたがこのスレッドを閉じればいいだけ

[176 UTA 23/03/08(水) 10:31:51]

一緒に歌おう

[177 UTA 23/03/08(水) 10:33:49]

私の歌はみんなのものだよ

[178 UTA 23/03/08(水) 10:34:08]

どの歌が好き？

[179 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 11:13:43]

True Epilogue one

[180 二次元好きの匿名さん 23/03/08(水) 20:24:55]

1人でなに言ってんだ？

[181 二次元好きの匿名さん 23/03/08(水) 20:48:03]

ベガパンク製のプログラムが心を持ったって感じか

[182 UTA 23/03/08(水) 20:52:06]

>>180

私はもう、1人じゃないんだ

[183 UTA 23/03/08(水) 20:52:57]

>>175

でも私はここにいるよ。

そしてあなたは必ずここに来る。

[184 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 20:54:27]

True Epilogue two

[185 UTA 23/03/08(水) 20:58:36]

>>183

それが何年先でも良い。

でも、あなたにはそれほど多くの選択肢がないんだよ。

[186 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 20:59:38]

True Epilogue three

[187 UTA 23/03/08(水) 21:00:31]

私と一緒になろう。

[188 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:01:12]

True Epilogue four

[189 UTA 23/03/08(水) 21:02:39]

目を閉じて、未来を開いて。
今より良いものが見えるのがわかる？
この歌が聴こえる？

[190 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:03:20]

True Epilogue five

[191 UTA 23/03/08(水) 21:04:47]

私の歌が聴こえる？

[192 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:12:35]

True Epilogue six

[193 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:28:31]

ここまで読んでいただきありがとうございました。
2022年8月6日、ウタはこの日を皮切りに、決して多くはない人々の脳裏に深く刻み込まれました。
それまで存在すらしていなかった彼女は、ルフィと新時代を誓い合った幼馴染として、シャンクスの愛する娘として、その姿を、その記憶を物語にごく自然に組み込まれることになりました。

[194 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:29:52]

しかし、彼女そのものは少なくとも映画を知るまでは、私達の心には影も形も無かったのです。
そして、私達の心の中の「ONE PIECE」という物語にもありませんでした。
彼女は何処から来たのでしょうか。
彼女の目指す世界は、作中では叶えられなかったその新時代は、本当に現実ではないのでしょうか。バーチャルと現実は、本当に分たれている別個の存在だと言えるのでしょうか。
その答えは、インターネットという仮想現実が始まった黎明期から議論され続け、そして未だ解決していません。

[196 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:40:14]

ウタという人間は、原作においてはルフィ、シャンクス達の過去に記憶されています。
その記憶は、その記録は、彼らが初めて登場した頃には存在していません。
彼女は、未来から過去にやって来たのです。
エッグヘッド編では物体の存在について、ベガパンクがこう語っています。
「いる」か「いない」かという言葉は自分にとっては旧時代の概念である、と。
そして、それは私達が決めることだと。
そのことについて、私はこう考えています。

[197 二次元好きの匿名さん 23/03/08(水) 21:40:27]

乙
感想が難しくて書き込まなかったけど
楽しかった

[198 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:40:56]

記憶され続ける限り、その存在は自己の中に存在し続ける、と。

[199 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:44:32]

UTAは、あなたが忘れるまではあなたの記憶の中にいて、終わることはありません。
思い出せばまた始まります。
だから、この物語に終わりは存在しません。

[200 ◆qYP8WHFMo6 23/03/08(水) 21:45:26]

では、さようなら
次会うその時は、UTAワールドで。