【SS・閲覧注意・CP】「おーい!ライブが始まるぞ、ルフィ!」PART4

  • 1スレ主23/03/13(月) 20:20:21

    ルフィの幼馴染設定をなくしたらラスボス街道を突っ走ることになったウタちゃんです

    話の性質上REDのネタバレを含みます キャラ崩壊注意 CPはルウタ(予定)


    前回のあらすじ:トットムジカ増えました


    前スレ

    【SS・閲覧注意・CP】「おーい!ライブが始まるぞ、ルフィ!」PART3|あにまん掲示板ルフィの幼馴染設定をなくしたらラスボス街道を突っ走ることになったウタちゃんです話の性質上REDのネタバレを含みます キャラ崩壊注意 CPはルウタ(予定)前スレhttps://bbs.animanch.…bbs.animanch.com
  • 2スレ主23/03/13(月) 20:21:51
  • 3スレ主23/03/13(月) 20:25:42

    現在の状況

    麦わらの一味&海賊連合、ブルーノ、コビメッポ、ゴードン
    ・偽赤髪海賊団と合流、打倒トットムジカ

    海軍
    ・魔王増えるとか勘弁してください、救助で手一杯

    カタクリ
    ・妹を迎えに来た!オーブン起きろ

    カリファ
    ・帰りたい

    五老星
    ・トットムジカが2体!?想定外だ!

  • 4二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 20:50:04

    縦乙

  • 5二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 20:58:24

    たておつ
    お労しや五老星

  • 6二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 21:01:23

    新スレお疲れ様です

  • 7二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 21:01:37

    立て乙です

  • 8二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 21:18:23


    ジンベエ「ワハハ、まさかかの赤髪と共闘することになるとはのう。まあ偽者と言うとったが。道理で若い見た目なわけじゃ」


    ロー「チッ、夢の世界だからってなんでもあり過ぎだ……!」



    豪快に笑うジンベエと額を手で押さえながら呻くロー。


    対照的な二人の後ろでコビーも目をまん丸にしていた。


    コビー「まさかと思いましたが、“ウタウタの世界”に赤髪海賊団がいるなんて……」



    ヘルメッポ「あれもウタが作り出した人形なのか? 妙に俗っぽいが」


    コビー「わかりません……でも、味方なら心強い戦力です」

  • 9二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 21:18:25

    たて乙
    盛り上がってきたー!

  • 10二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 21:23:15

    このレスは削除されています

  • 11二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 21:29:59

    ゾロ「敵意はねェみてェだし、うちの船長の言うことだからな。信用するさ」



    ロビン「そうね、1体でも大変な『トットムジカ』を相手してもらえるなら大助かりだわ」



    ブルック「ヨホホホ、ルフィさん相変わらずですね」


  • 12二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 22:28:57

    麦わらの一味も相変わらずだなと思っていると、ふとルフィが振り返りこちらに視線を向けるのが見えた。


    ルフィ「コビー!その身体、元に戻れるぞ」


    コビー「えっ?」


    ルフィ「なりたい自分を強く願え!それでいい!」



    それだけ言うと、ルフィは先陣を切って『トットムジカ』に向かっていった。


    ゾロ、サンジ、ジンベエ達もその後に続く。


    残ったのは体の小さい組とゴードン、そして気絶しているバルトロメオのみだった。


    コビー「なりたい自分……」

  • 13二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 00:53:03

    一方その頃、ビッグ・マム海賊団のオーブンとブリュレ率いる一群は『トットムジカ』に攻めあぐねていた。


    オーブン「“熱風拳(ヒートデナッシ)”!!」



    群がる音符兵をオーブンの拳が蹴散らしても、後から後から同じ兵士が湧いて出る。


    オーブン「くッ!きりがない……!それにあのキノコを食ってから妙に身体が重い……本当に現実の身体は動いてるのか?」


    ブリュレ「きゃあッ!助けてオーブンお兄ちゃん!」


    オーブン「ブリュレ!」


    いつの間にかブリュレが音符兵に囲まれていた。


    彼女も“ミラミラの実”の能力を使い攻撃を反射して応戦するが、いかんせん数が多い。


    それに、鏡の中に手下や観客を匿った上での戦闘はブリュレにとって不利だった。

  • 14二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 01:02:07

    オーブン「妹から離れろ!“熱山羊(ヒートゴート)”!!」


    高速回転するオーブンの体当たりが音符兵を一掃し、そのまま『トットムジカ』へ直撃するかと思われた。


    ガキィン!


    が、間一髪で巨大な腕に阻まれてしまう。


    オーブン「ぐうゥゥゥ……!があッ!!」


    ブリュレ「お兄ちゃん!」


    回転を止められ弾き飛ばされたオーブンをブリュレが慌てて追う。


    しかし巨大な鍵盤腕に行く手を阻まれ、更に背後からも腕が迫ってくる。


    まるで前後からブリュレを挟み込もうかとしているようだった。



    ――圧し潰される!


    鏡に隠れるのも間に合わない。ブリュレはぎゅっと固く目を閉じた。


    己のふがいなさに歯噛みする。


    ――……助けて……助けて……!

  • 15二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 01:12:56

    ブリュレ「助けて!カタクリお兄ちゃん……!!」


    『ブリュレ!!』


    はっと目を開けると、『トットムジカ』が再びバランスを崩しひっくり返るのが見えた。

    “麦わらの一味”たちの何度目かの攻撃が成功したのだ。

    ズウゥゥン…と巨体が倒れる音で空間が振動する。

    しかし、ブリュレの耳にはそれ以外の音が届いていた。

    『ブリュレ!聞こえるかブリュレ!今見聞色を通じてお前に話しかけている!』

  • 16二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 01:52:35

    ブリュレ「カタクリお兄ちゃん……!」


    思わず涙ぐみそうになりブリュレは慌ててズビッと鼻をすする。


    オーブン「ブリュレ、無事か!」


    ブリュレ「おおおオーブンお兄ちゃん!カタクリお兄ちゃんが来てる!」


    オーブン「なにィ!?どこだ??」


    ブリュレ「ここじゃない!現実!現実のエレジアにお兄ちゃんが来てるんだよう~~!!」


    今度こそ涙があふれてしまいブリュレはわんわんと泣いた。


    一番頼れる兄が来たことで緊張が解けてしまったのだ。


    『泣くなブリュレ! 今お前の見ている視界が一瞬だけ見えた!オーブンもそこにいるんだな!』


    ブリュレ「いるよう~~~オーブンお兄ちゃんと一緒なの~~~!」



    『そうか……こっちでもお前が泣いている。口の動きで何と言っているかは読み取れるが……少し落ち着いてくれ、ブリュレ』

  • 17二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 02:10:08

    オーブン「落ち着けブリュレ!それで、カタクリは何と言ってる?」


    ブリュレ「うう……スビッ、現実でアタシの身体が動いているから、何喋ってるかわかるって……」


    オーブン「そうか……。いや待て、てことはこちら側の情報が伝えられるのか!?」



    ――――――



    カタクリ「……そうか。眠っているお前たちの見ている『トットムジカ』と、こちらの『トットムジカ』は繋がっているんだな」



    カタクリ「だから同時に攻撃する必要があるのか」


    その通り、とぱくぱく口を動かす眠ったままのブリュレを見ながらカタクリは考える。


    彼らは今、妹を電伝虫代わりにして連絡を取っていた。


    カタクリ「……同時のタイミングだけでなく、攻撃する部位を合わせれば、よりダメージが大きくなるのではないか?」


    カタクリ「そちらの司令塔に伝えてくれ、“協力してやるからさっさとこの化け物を倒すぞ”と!」

  • 18スレ主23/03/14(火) 02:31:14

    今日の更新はここまで
    映画ではカタクリからの見聞色一方通行でしたが、捏造ネズキノコのお陰で双方向通信が可能となりました
    なんで声が聴こえるかって?ブリュレのヒロイン力とはこういうものだ!(嘘です)

    次回の更新までにトットムジカの呼び分け名称を募集します
    トットムジカA、トットムジカBだとどうも味気ないので…
    コビーの台詞で使うので、何かいいアイデアがあったらお願いします
    スレ主もあとで保守代わりに投稿します

  • 19二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 08:14:56

    1.オリジン、シン
    2.エレジー、ジェネシス

  • 20二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 09:05:07

    A.トトB.ムジカ

  • 21二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 19:15:08
  • 22スレ主23/03/14(火) 20:28:25

    アイデアありがとうございました。ダイス振って決めますね


    dice1d3=3 (3)

    1.オリジン、シン

    2.エレジー、ジェネシス

    3.トト、ムジカ

  • 23スレ主23/03/14(火) 20:54:46

    トトとムジカでいきます

  • 24二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 21:35:57

    カタクリの言葉を聞いたオーブンとブリュレは急いで“麦わらの一味”の元に向かおうとした。


    ブリュレ「いいの?オーブンお兄ちゃん……」


    オーブン「元々この場限りの協力の約束だ。それにこのまま戦っていても埒が明かない」


    オーブン「お前だって早くママやカタクリに会いたいだろう?」


    ブリュレ「うん……会いたい!」


    ブリュレは決心してチョッパーやベポが集まっている場所に向かうと、カタクリの伝言を伝えた。


    ヘルメッポ「なんだって……!?現実と繋がったのか!」



    コビー「これはチャンスです!なんとか皆さんに……うわっ」



    コビーはジタバタとぬいぐるみの短い手足を動かす。ゴードンの肩から落ちそうになって慌ててヘルメッポが支えた。


    ヘルメッポ「おいおい、無茶すんなって……」


    コビー「ううう……」

  • 25二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 23:54:08


    ジンベエ「気をつけろ、そっちへ行ったぞ!」


    音符兵を魚人空手で張り飛ばしていたジンベエが、猛スピードで飛来する一部隊に気づき声を張り上げた。


    槍を構えた兵士たちが上空から編隊を組んで急降下して来る。


    バルトロメオを担いだゴードンとチョッパーたちは急いでその場を離れた。


    ベポ「アチャチャチャ~!」


    ブルーノ「急げ!!」


    サニーくん「サニー!!」


    チョッパー「くっ、こんな後方まで!」


    オーブン「おれたちを分断させるつもりか!」


    ブリュレ「オーブンお兄ちゃん!」


    編隊を崩そうとオーブンが前に出る。しかし、それを予測していたかのように大きく弧を描いて音符兵が後方のブリュレたちへ迫った。


    サンジ「危ねェッ!」

  • 26二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 00:33:33

    ブリュレ「えっ……?」

    身構える前に音符兵たちがあっという間に蹴り飛ばされる。

    いつの間にか戻ってきていたサンジが振り返り、フッと笑みを浮かべた。

    サンジ「レディに怪我を負わせるわけにはいかねェ。それに、キミにしかできないことがあるんだ」

    サンジは上空に漂っているぬいぐるみたちを指差す。


    『助けてえッ!』『もうこんなことはたくさんだ!』『お願いウタ、目を覚まして!』


    サンジ「あの散らばってる観客たち、あいつらを鏡の中に入れちゃくれねェか。このままだと巻き込まれちまう」

    ブリュレ「……ええ!」

    レディと言われてぽっと頬を赤らめたブリュレは、サンジの言葉に頷いて鏡を構えた。

  • 27二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 00:42:24

    コビー(そうだ、まず戦えない人たちを保護するべきだ。ぼくは一体何をやってるんだ!)


    コビーの小さなぬいぐるみの身体がふるふると震え出す。


    コビー(目の前の人たちを救うために、できることをするんだ。ぼくならやれる!やるんだ!)


    コビー「役に立つんだ……みんなのために!」



    ――なりたい自分を強く願え!それでいい!



    ぼくは、ぼくは……!




    コビー「ぼくは!!!海軍大将になる男だーーー!!!!!」

  • 28二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 01:24:57

    コビーの身体がカッと白熱したかと思うと。



    黒い海軍コートに身を包んだ“青年”が現れた。


    ヘルメッポ「コビー!」


    サンジ「やったな!」



    元の姿に戻ったコビーは二人に頷いて正面を見据える。


    前方には2体の『トットムジカ』。左方には参戦した赤髪海賊団、右方には“麦わらの一味”と海賊たち。


    ナミ「戻ったのねコビー、なら指揮を執って!あんたならやれるでしょ!」



    ゼウスの雷を繰りながら檄を飛ばすナミに、コビーは大きく応えた。


    コビー「はいッ!」

  • 29二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 01:48:25


    コビー「防衛陣形!観客の保護を最優先します!」


    コビー「ナミさんとロビンさんは、避難の列を作ってください。観客のみなさん、落ち着いて鏡の中へ!!」


    ロビンが“千紫万紅(ミル・フルール)”でアーチを作り、ナミが雲を生み出してトンネルを作った。


    避難路の目印が出来たことで観客たちも漂いながら移動し、ブリュレの鏡の中へ吸い込まれていく。


    コビー「ブルーノさんたちは離れずガードを! ぼくとヘルメッポさんは側衛に入ります。チョッパーさんはゴードンさんとバルトロメオさんを守ってください」


    チョッパー「わかった!」


    後方の指示が終わると、前方に向かって声を張り上げる。


    コビー「今からトットムジカ2体を《トト》、《ムジカ》と暫定的に呼称します!!」


  • 30二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 07:48:37

    熱いぜ!!

  • 31保守だ23/03/15(水) 15:29:02

    保守だ

  • 32二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 21:03:19

    コビー「ルフィさんたちは《トト》を、赤髪海賊団のみなさんは《ムジカ》を集中攻撃して、あの邪魔な手足を破壊してください!」

    コビー「ウソップさんとヤソップさん、後方から火力支援しつつ攻撃対象の選定をお願いします!」

    ウソップ「よしわかった!」

    ヤソップ「任されたぜ。しっかりしてるなァ兄ちゃん!」

    狙撃手親子が片手を上げて応と答える。コビーは次にくるりと後ろを振り向いた。

    コビー「ブリュレさん、あなたがこの作戦の要です。ウソップさんたちが指示した攻撃対象を即座に現実世界のカタクリさんに伝えてください」

    コビー「観客の保護と同時進行ですが、やれますか!」

    ブリュレ「もちろんよ! アタシを誰だと思ってるの!」

    ブリュレも凛々しい表情で大きく胸を張る。

    “ビッグ・マム”ことシャーロット・リンリンの八女としてのプライドが戻ってきたようだ。

  • 33二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 22:25:12

    コビー「フランキーさんとジンベエさんはウソップさんをガードしつつ側衛! ……そちらは出せる人員は居ますか!」


    呼びかけると、副船長のベックマンが応えて味方に指示を出した。


    ベックマン「スネイク、ガブ! ヤソップにつけ!」



    コビー「ブルックさん、サンジさん、は防御中心の前衛! 可能な限り観客を集めて誘導してください」


    シャンクス「ホンゴウ、ライムジュース、お前らも行ってくれるか」



    ライムジュース「任せときな!」


    コビー「攻撃中心の前衛はゾロさん、オーブンさん、ローさん、そして、ルフィさんに任せます!!」


    シャンクス「ベック!ルウ!パンチ! いくぞ!!」


    『おう!!』


  • 34二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 04:34:15

    このレスは削除されています

  • 35二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 04:49:24

    ゾロ「へっ、はじめるか」



    ルフィ「おう!やるぞ!」



    前衛を任されたルフィとゾロは《トットムジカ・トト》に向かって攻撃を開始した。


    ゾロは十字の斬撃を連続で放ち、《トト》を覆っている透明な防御フィールドの存在を露わにする。


    今までの攻撃はこのフィールドに吸収されて本体へ届かなかったのだ。


    ゾロの攻撃の間にルフィは、武装色に染まった黒い腕に息を吹き込み“ギア4(フォース)”へと変じる。


    ルフィ「おおおおお!!!」


  • 36二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 04:59:21

    空間を蹴って猛スピードで《トト》へ近づくと、防御フィールドに向けて高速の連打を放った。


    ルフィ「“ゴムゴムの”ォ~~!!!“猿王群鴉砲(コングオルガン)”!!!」



    嵐のような攻撃がすべて吸収されていく横で、シャンクスが《ムジカ》に向かって愛剣グリフォンを構える。


    シャンクス「……破ァッ!!!」



    覇気を纏わせた斬撃を放つと、ルフィの拳と同時にヒットした瞬間に閃光が走り、


    バリィン!とフィールドがガラスのように砕けた。


    同時攻撃の感覚を掴んだ二人はニヤリと唇の端を持ち上げる。


    ルフィ・シャンクス「「……よし!」」


  • 37スレ主23/03/16(木) 05:11:35

    今回の更新はここまで
    やっと戦闘計画が組み上がったので次からもう少しペース上がると思います。描写人数が多い…
    トットムジカの呼び分けについて、案頂いた時に何となくこれに決まるだろうなってふんわりとした予感がありました
    だってTotoはイタリア人名Salvatoreの愛称で、Salvatoreの意味は救世主。ぴったりじゃないですか
    下手にシン・トットムジカとかにならなくてよかったです

  • 38二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 08:12:34

    保守

  • 39二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 15:16:25

  • 40二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 20:33:22

    ――一方の現実でも。



    ボルサリーノ「“八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)”」


    ボルサリーノの光弾が《ムジカ》に降り注ぎ、眠ったままのルフィの拳が《トト》に直撃する。


    すると、見えない壁のようなフィールドがパリンと割れる音がした。


    ボルサリーノ「やれやれ、まさか“麦わら”たちと協力する羽目になるとはねェ~」


    カタクリ「それはこちらも同じだ!」



    カタクリは音符兵の攻撃から妹を庇いながら戦況全体を見据えるように目を凝らしている。


    彼は海軍に話を通し、『トットムジカ』を倒すことを条件に通信役となっているブリュレを護衛させる約束を取り付けた。


    後顧の憂いを絶てば、最強の将星は堂々と前に出られる。


    そして今、ブリュレの口がゆっくりと開かれた。

  • 41二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 21:27:40

    ヤソップ「よし、いけるぞ!」


    ルフィとシャンクスの攻撃が『トットムジカ』に通じたのを見て、ヤソップはウソップに目配せした。


    頷いたウソップは味方に向かって大きく声を張り上げる。


    ウソップ「トットムジカの手足を止めるぞー!」


    ヤソップ「指示に従って動いてくれ!まずは右足!」



    ウソップ「右足!」



    ブリュレ「右足よ、お兄ちゃん!」


    指示を聞いたブリュレは急いで復唱し、現実の兄に伝える。

  • 42二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:38:39

    ゾロ「よし、行くぞ!」


    ゾロが“鬼斬り”の構えで飛び出すと、接近に気づいた《トト》が目や帽子から無数のビームを放ち始めた。


    フランキー「“フランキー~~ィ”“ロケットランチャー~~~~”!!!!」


    フランキーが肩から発射したロケットランチャーが音符兵に着弾して爆発し、煙幕を作り出す。


    ゾロは煙幕を突っ切り、体勢を低くして攻撃を躱しながら右足に肉薄すると一気に技を放った。


    ゾロ「“三刀流”……!!“煉獄鬼斬り”!!!」



    同時にベックマンがショットガンを構え、覇気を弾丸に籠める。


    ベックマン「行け!」



    モモンガ「ハァッ!!」



    現実ではモモンガ中将が剣を構え、一刀両断の一撃を放つ。


    ドォン!!


    現実と夢、双方の同時攻撃が命中すると、鍵盤上の右足がまるでブロックのように崩れて破壊された。

  • 43二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 23:46:14

    間髪入れず、次の指令が飛ぶ。


    ウソップ「左腕!」


    ヤソップ・ブリュレ「「左腕!」」


    ジンベエ「むうゥゥゥッ!」


    海流に乗って鍵盤腕を滑るように上昇するジンベエを止めようと音符兵たちが密集陣形で迫ってくる。


    ナミ「“ゼウス”!!“ブリーズ=テンポ”!!!」



    そこへナミが雷霆を落とし一網打尽にし、ヘルメッポがククリを振るって飛ばし道を空けた。


    ヘルメッポ「行けェ!」


    ジンベエ「魚人空手!!“海流一本背負い”!!!」



    ホンゴウ「行くぞルウ!」


    ラッキー・ルウ「おう!」



    イッショウ「"重力刀(ぐらびとう)”!!!“流星光底”!!!」

  • 44二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 01:29:28

    ジンベエの一本背負いが、ホンゴウが蹴り出したルウの高速回転体当たりが、イッショウの隕石落としが。


    《トト》と《ムジカ》の左腕に炸裂し、猛烈な勢いで粉々に砕けた。


    ヤソップ「左足!」


    ウソップ「左足!」


    ブリュレ「左足!」



    オーブン「仕方ねェ!ここは貸しにしておいてやる」


    “熱燐寸男(ヒートマッチガイ)”で全身を灼熱させたオーブンがサンジの“悪魔風脚(ディアブルジャンブ)”に炎を吹き付け火力を上昇させる。


    サンジは高速回転しながら《トト》の左足に迫り、凄まじい勢いの蹴りを放った。


    サンジ「おおおおおお!!!!」



    ハウリング・ガブ「オオオオオオオオ!!!」



    カタクリ「おおおおおおお!!!!」


  • 45二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 01:31:04

    バコォン!

    サンジの夢と現実双方での蹴撃が《トト》の左足を粗砕(そさい)し、

    ハウリング・ガブの咆哮とカタクリの“斬・切・餅(ザンギリモチ)”が《ムジカ》の左足をかち割った。


    ウソップ・ヤソップ「「真ん中・右!」」

    ブリュレ「えっ? えっと真ん中の右!右よお兄ちゃん!」

  • 46スレ主23/03/17(金) 01:32:02

    今日の更新はここまで

  • 47保守23/03/17(金) 07:41:11

    ブリュレが一番大変そう


    頑張れブリュレ

  • 48保守23/03/17(金) 17:54:37

  • 49二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 21:00:54

    カタクリ「真ん中のどっちだ!? 右か!」


    ブリュレの言葉を読み取るのに手間取り、出遅れたカタクリの横からボルサリーノが飛び出す。


    ボルサリーノ「仕方ないねェ~」



    光を纏った脚で周囲の音符兵を蹴散らし、手のひらから巨大な剣を出して《ムジカ》に向けて振りかぶった。


    ボルサリーノ「いくよォ~“天叢雲剣(あまのむらくも)”」


    刀身が2倍、3倍と伸び、巨大なビーム上になった剣を袈裟懸けに振り下ろす。


    ――――


    丁度そのタイミングで、ブルックの“鼻唄三丁矢筈斬り”と、ライムジュースの雷撃が炸裂した。



    ブルック・ライムジュース「「はああッ!!」」


    ズガァン!

  • 50二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 21:50:27

    魔王の二本目の右腕が根元から砕かれ、破片がバラバラに散っていく。




    バルトロメオ「……べ? ここは…?」


    度重なる轟音が響く中、気絶していたバルトロメオがようやく目を覚ました。


    チョッパー「あっ、気が付いたか?」


    バルトロメオ「チョッパー先輩……? おれァ一体どうしたんだべ?」


    チョッパー「話は後だ、今みんなが『トットムジカ』を……あっ!」


    巨大な破片が飛んで来るのを見たチョッパーは咄嗟に“柔力強化(カンフーポイント)”すると、蹴り技で弾き飛ばした。


    チョッパー「ホァチョ~!」


  • 51二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 22:47:19

    サンジ「チョッパー、ここは任せてお前も行ってこい!」


    援護に駆けつけたサンジが他の破片を蹴散らしながらチョッパーに呼びかける。


    チョッパー「えっ、でも……」


    ロビン「大丈夫。援護するわ」


    ロビンが大きく頷いたのを見て、チョッパーは前線に飛び出した。


    同時にウソップとヤソップの号令が飛ぶ。


    ウソップ・ヤソップ「「真ん中・左!」」


    ブリュレ「真ん中・左ィ!」



    今度は遅れまいとブリュレも必死だ。

  • 52二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 23:41:15


    ゾロ「“三刀流奥義”!!“六道の辻”!!!」


    ゾロの放った六本の斬撃がウソップとヤソップに近づこうとした音符兵たちを広範囲に吹き飛ばす。


    空いた空間をチョッパーが《トト》に向かって駆けるのに対し、《ムジカ》側はボンク・パンチとモンスターが飛び出した。


    ボンク・パンチ「うおおおおおッ!!」


    モンスター「ウキイイイィィッ!!」


    チョッパー「ホワ~ッチャ~~~~!!」


    身体を高速回転させキックを繰り出すチョッパーをロビンの“巨人咲き(ギガンテフルール)”の手が押し出し加勢する。


    同時にボンク・パンチとモンスターの渾身の右ストレートが炸裂し、凄まじい爆発とともに魔王の二本目の左腕が破壊された。


    チョッパー「やった!」

  • 53二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 00:24:50


    カタクリ「左か! ……うっ」


    次の攻撃に飛び出そうとしたカタクリの身体に眠ったままの観客たちがしがみつこうとする。


    『トットムジカ』がウタの命令を上書きし、海賊たちにも襲い掛かるようにしたのだ。


    カタクリ「放せ!」


    さすがのカタクリも無防備な人間を殴る気にはならず、モチで固めて飛び退いたが、


    攻撃のタイミングは完全にずれてしまった。


    カタクリ「しまった!」


    イッショウやモモンガはすぐに動ける位置にいない。ボルサリーノも気づいたが《ムジカ》の右腕に掴まれそうになり回避したところだった。


    せっかくのチャンスを不意にしてしまうかと思った瞬間、



    どこからともなく飛来した砲弾が《ムジカ》の左腕に直撃し、凄まじい爆発が起こった。

  • 54スレ主23/03/18(土) 00:27:35

    今日の更新はここまで
    トットムジカ攻略完了まであともう少し!

  • 55二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 09:01:37

    保守

  • 56保守だ23/03/18(土) 15:45:43

    降 臨

  • 57二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 21:09:57

    このレスは削除されています

  • 58二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 21:12:41

    カタクリ「なに……っ!」


    モモンガ「どこからの砲撃だ!?」


    振り返った一同に見えたのは、沖合に浮かぶ一艘の軍艦。


    青いカモメを帆に宿し、骨を咥えた犬の頭を船首飾りに据えた船だった。



    ガープ「お? 当たったようじゃな」


    船の甲板に立つモンキー・D・ガープ中将は、投げた砲弾が黒い巨大な化け物に着弾したのを見届けて満足そうに頷いた。


    と、そこへ部下がプルプルプル…と鳴り続ける電伝虫を持ってくる。ガープは無造作に受話器を取った。


    ガープ「もしもし。……ってなんじゃ、モモンガお前か」


    [ガープ中将!あなたがなぜここに!]


    ガープ「何故って、わしの古い友人の住む島で知り合いの嬢ちゃんがライブをやると知ってのう」


    ガープ「急いで仕事を終わらせてやってきたんじゃ。ちっとばかし遅刻したがな!ぶわっはっはっは!!」

  • 59二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 07:41:16

    来たな

  • 60二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 16:10:39

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 21:18:34

    [ぶわっはっはっは!!]


    電伝虫越しに聞こえてくる大笑いにモモンガが頭を抱え、イッショウが溜息を吐いている。


    イッショウ「相変わらずのお人でござんすねェ……」



    ボルサリーノ「頼もしい援軍には変わりないんだけどねェ、さてどうやって説明つけようか……」





    カタクリ「なるほど、さっきの攻撃は英雄ガープのものだったか」


    沖合の軍艦を見てカタクリは得心が行ったと頷く。


    カタクリ「あれだけの距離から砲弾を命中させる腕があるとは……伝説の英雄おそるべし、か」


    とはいえ、まだ戦いは終わっていない。


    『トットムジカ』に対する警戒を続けながら、カタクリは口を閉じてしまった妹の様子を伺っていた。

  • 62二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 23:05:36

    一方“ウタウタの世界”では。

    二本目の左腕が破壊された後、《トト》が狂ったように前に出て右腕を振り回し始めた。

    後方に下がった《ムジカ》も新たな音符兵たちを大量に生み出しこちらに攻撃を仕掛けようとしている。

    ヤソップ「しまった、やつらお互いを庇い始めてる!」

    腕の攻撃を避けながらウソップとヤソップが狙撃するが、牽制の弾はすぐに吸収されてしまった。

    ウソップ「あとは右腕だけだってのに……! おい誰か!少しの間でいい、あの腕を止めてくれ!」

    ロー「“ROOM”!」

    すかさずローが自分と《トト》の周囲に巨大なサークルを展開する。

    しかし『トットムジカ』の身体をすべて収めきることはできず、シャボン玉を割るように内側からあっさり壊されてしまった。

    ロー「ぐあっ!」

    ベポ「キャプテン!」

    反動で吹き飛ばされたローをベポが体当たりして止める。その横をルフィが駆け抜けていった。

    ルフィ「おれが行く!」

  • 63二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 01:03:04

    コビー「ルフィさん!」


    オーブン「行かせとけ! もう残り時間が少ない!」


    飛び出したルフィは“弾む男(バウンドマン)”の両腕を巨大化させ、強く引き絞って《トト》の正面に躍り出る。


    ルフィ「“ゴムゴムの”ォ!!“獅子王(レオレックス)バズーカ”!!!!」



    ドォン!


    渾身の力を籠めて叩き込んだ掌底が《トト》の全身を揺るがした。


    ダメージこそ与えられていないが、押し出された《トト》の身体がじりじりと後退する。


    そして……


    ルフィ「うおおおおおおおお!!!」



    そのまま押し出し続けた《トト》の背中が《ムジカ》とぶつかり、折り重なって静止した。

  • 64二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 01:51:16

    ゾロ「動きが止まった!」


    ヘルメッポ「行けるぞ!」


    ブリュレ「右腕!」


    ウソップ・ヤソップ「「右腕!!」」



    ウソップが“黒カブト”を引き絞り、ヤソップが銃を構えて、同時に撃つ。


    フランキー「“フランキー~~ィ”“フレッシュファイア”!!!」


    フランキーの放った炎が二つの弾を飲み込み、二羽の巨大な火の鳥へと姿を変えて魔王の右腕に突っ込んだ。


    スネイク「ハアッ!」


    更にその上から、駄目押しとばかりにスネイクの高速回転斬りが炸裂する。

  • 65二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 07:47:43

    このレスは削除されています

  • 66二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 07:59:17

    このレスは削除されています

  • 67再投稿23/03/20(月) 08:08:49

    ガープ「まさか海賊の孫と共闘する日が来るとはのォ。人生まだまだ面白いことがあるわい」

    巨大な鎖付きの鉄球を抱えたガープが船から跳躍し、『トットムジカ』に迫る。

    モモンガたちは何とかガープに現在の状況を伝えることができたのだ。

    ガープ「さて……ルフィが攻撃しとるのとは逆の方を狙えと言うとったな」

    ガープ「同時攻撃せんと効果がないそうじゃが……ま、なんとかなるじゃろ!」

    そう言ってガープは《ムジカ》の右腕目掛けて鉄球ごと殴りつけた。

    ガープ「ぬううん!!!」

    ドゴォン!!

  • 68保守23/03/20(月) 18:17:36

    鉄球で立ち向かうガープ

  • 69二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 20:38:31

    鉄球を受け止めようとした《ムジカ》の右腕に凄まじい振動が伝わる。

    ガープ「ぬうううううううおりゃあああ!!」

    そのまま鉄球を押し付けて攻撃し続けていると、トゲトゲ衣装の男が撃った火の玉が《トト》の右腕に命中し、

    掌から裂けるような亀裂がピシピシピシと入って、魔王の右腕が崩壊した。

    バリィィン!

    『やった!』

    離れた場所で見守っていた海兵たちが感嘆の声を上げる。

  • 70二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 22:13:46


    ウソップ「よっしゃあ!!」


    崩れていく右腕を見てウソップはガッツポーズをとった。


    これですべての手足は失われた。あとは本体を叩くだけ。


    誰もがそう思った、その時だった。


    ゴオオォォォォォッ!!!


    ルフィ「うっ!」


    チョッパー「わあっ!」


    ナミ「きゃあっ!」



    二体の『トットムジカ』が凄まじい速さで背中の翼を羽ばたかせた。


    ハリケーンを超えるような突風が巻き起こりルフィも観客たちも吹き飛ばされ、最後方まで下がってしまう。

  • 71二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 22:39:40


    [観客の保護を最優先にしろ!吹き飛ばされるなよ!][退避、退避―っ!]


    ガープ「ぬうっ!……やるのう」


    現実世界でも『トットムジカ』が起こした暴風にエレジア全土が見舞われていた。


    空中で足場のないガープは風に乗って大きく後退すると、手近な地面に着地する。


    奇しくもそこはカリファが潜伏していた水道橋の上だった。


    ――――


    ヤソップ「ダメだ!これ以上近づけねェ!」


    どれだけ攻撃を仕掛けようとも烈風の壁に吹き飛ばされてしまう。斬撃も、雷も、音波も、銃弾も何もかも全て。


    まるで魔王が全てを拒絶しているかのようだった。


  • 72二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 00:10:54

    ジンベエ「みんなわしとフランキーの後ろに隠れるんじゃ!」


    ベポ「キャプテーン!」


    サニーくん「サニ~~~~っ!」


    飛ばされそうになったミニベポはローにしがみつき、ミニブルーノとサニーくんはゴードンを支えながらフランキーの背中へ移動する。


    赤髪海賊団の連中も体格の大きい者を盾に必死に耐えていた。


    ゴードン「ウタ……」



    オーブン「ブリュレ、持ち堪えろ……!」


    ブリュレ「オーブンお兄ちゃん……!」


    観客を鏡の中へ誘導する間動けないブリュレを庇ってオーブンが風除けになろうと前に立つ。


    そのお陰で気づけた。《トト》の目に凶悪な光が宿っていることを。


    オーブン「……まずい! 攻撃が来るぞ!避けろ!」

  • 73二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 11:09:36

    マズイか?

  • 74二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 11:18:03


    『トットムジカ』から放たれた無数のビームが縦横無尽に空間を切り裂いていく。


    動きづらい暴風の中でゾロは剣技で、サンジは炎を纏った蹴りで、それぞれビームの軌道を逸らすが、中には間に合わず被弾する者たちもいた。


    ウソップ「ぐあっ!」


    ルフィ「ウソップ!」


    弾き飛ばされたウソップをルフィが手を伸ばしてキャッチする。


    “弾む男(バウンドマン)”の制限時間も残り少ない。しかし攻撃の糸口が掴めずルフィは悔しそうに歯ぎしりした。


    ゴードン「ウタ……ウタ!もうやめてくれ!!」



    ビームの嵐の中で身を縮こまらせながら、ゴードンは懸命に叫んだ。


    届かないと分かっていながらも、言わずにはいられなかった。

  • 75保守23/03/21(火) 17:40:14

    IP規制勘弁して欲しい

  • 76二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:30:56

    ゴードン「ウタ!私が悪かった……!私がもっと話していればこんなことにはならなかった……!」


    ロビン「ダメよ、ゴードンさん!」


    チョッパー「危ない!」


    前に出るゴードンを二人が止めようとするが、《トト》のビームに阻まれてしまう。


    ゴードン「私が……私の愚かさが故にお前にすべてを背負わせてしまった……お前のせいではないと言った言葉の裏でお前の能力を怖れ、人前に出す機会をずっと作ってやれなかった……」


    ゴードン「トットムジカのことも、記録に頼らず自分の口から伝えていれば、もっと話し合えたはずなんだ……!」



    仁王立ちするゴードンの肩を、脇腹を、ビームが掠めていく。


    それでもゴードンは両手を広げて訴えかけた。


    ゴードン「なんだかんだと理由を付けて逃げている卑怯者は私の方だ、だから罰を受けるのは私一人でいい!戻ってきてくれ、ウタァ……!!」


    ゴードン「私はひとりの音楽を愛する者として、お前とお前の歌を心から愛している!!!」


    ギャリリリィィィァァァ!!!


    叫ぶ言葉を遮るように《ムジカ》が吼え、《トト》のビームがゴードンを真正面から貫こうとした。

  • 77二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 20:18:49

    ルフィ「ふんっ!」


    それをルフィが武装色の腕で弾き返し、“麦わらの一味”が庇うように立つ。


    ウソップ「ゴードンさん……アンタやっぱ、立派だぜ」


    サンジ「アンタだって自分の国をトットムジカに滅ぼされたんだろ。恨んだっていいくらいなのに……」


    思わず口をついて出たサンジの言葉に、ゴードンは悲しく首を横に振る。



    ゴードン「そうじゃない、そうじゃないんだ……私はただの……」


    シャンクス「あんたは十分やってくれたさ。十分過ぎるくらいだ」



    愛剣グリフォンを手に、ゴードンの元へやってきたシャンクスの表情は穏やかだ。

  • 78二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 20:40:23


    シャンクス「それはあいつもよく分かってる」


    ゴードン「シャンクス……うう……」




    バルトロメオ「うおおおおォォォ!!おれァ感動した!!!また気絶してもかまわねェ!“バリア”全ッ開!!!!」



    バギィィン!

  • 79二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 00:05:51


    叫びと共にバルトロメオが展開した巨大なバリアが味方を包み込むと、ビームも暴風も何もかもを弾いて押し戻し始めた。


    現実でもそれは同じで、『トットムジカ』の攻撃が防がれていく様子をカタクリと海軍は驚きの顔で見上げている。


    モモンガ「なんだあれは……!」


    ガープ「ほう……大したもんじゃのう」


    ――――



    バルトロメオ「ぐっ……!今度はそう簡単に破れねェべ……おれのバリアは“最・強”だ!!!」


    著しく体力を消耗する代わりに最大級のバリアを展開してニヤリと笑うバルトロメオ。


    その唇の端から血がタラリと零れていた。


    ルフィ「ロメ男!」


    バルトロメオ「ルフィ先輩……こんな事をお頼みするのは筋違いかもしれねェが、言わせてくれ」


    バルトロメオ「ウタ様を、止めてやってけろ!!」


    ルフィ「……!」

  • 80二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 00:31:54

    バルトロメオ「おれァウタ様の歌だけ聴いてた中途半端なファンだ、だども今でもウタ様のこど嫌いになれねェべ」


    バリアの範囲を少しずつ広げながら、脂汗を流すバルトロメオはそれでも歯を見せてニッと笑う。


    バルトロメオ「ルフィ先輩と同じように、ウタ様の活躍をこれからも見守りてェんだ……! へへっ」



    とうとうバルトロメオのバリアが《トト》と《ムジカ》の目前まで迫った。


    《ムジカ》は羽ばたき《トト》はビームを飛ばし、崩れた両腕で叩いて押し返そうとするがびくともしない。


    そしてバリアの内側では。



    “ギア4(フォース)蛇男(スネイクマン)”に姿を変えたルフィが拳を構えていた。


    バルトロメオ「ルフィ先輩!」


    ウソップ「ルフィ!」


    ヤソップ「シャンクス!」


    ラッキー・ルウ「お頭!」


    ブリュレ「お兄ちゃん!」


    『今だ!!!!!』

  • 81二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 02:40:18


    カタクリ「これは貸しだぞ、麦わら……!」


    かつて自分を倒した姿と共闘することに思う所がないわけではない……が、今のカタクリには“家族を救う”という大義がある。


    カタクリは覚醒した“モチモチの実”の能力で地面をモチ化させ、無双ドーナツを作り出した。


    ――――


    そして“ウタウタの世界”では。



    “覇王色の覇気”を剣に纏わせたシャンクスがルフィと背中合わせに立つ。


    シャンクス「タイミングは任せる。……一撃で仕留めるぞ」



    ルフィ「……ああ!」



    最後の攻撃だと予期して、ゴードンが叫ぶ。


    ゴードン「頼む!シャンクス、ルフィ君……ウタを救ってくれェ!!」


  • 82二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 02:50:25


    シャンクス「『当たり前だ』」


    そう口にした途端、ルフィはシャンクスの覇気がぐっと増したように感じた。



    バルトロメオの張ったバリアが限界を迎え、徐々に薄まっていく。


    バリアが完全に消える前に、ルフィは武装色を纏った拳を引き絞り“大蛇(パイソン)”を放った。


    ルフィ「うおおおおおおお!!!!」


  • 83二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 03:21:15

    ルフィの放った拳は《トト》に向かって猛スピードで伸びていく。


    最後の抵抗か、黒い翼を大きく羽ばたいて遠ざかろうとする《トト》を追尾するように曲がり、どこまでも追い詰めていった。


    一方の《ムジカ》には、現実でカタクリが――“ウタウタの世界”ではシャンクスが――猛追し渾身の一撃を放つ。


    『はあああああっ!!』



    しかし《ムジカ》は抵抗することなく、その一撃を受け入れようとしているように一同の目には映った。


    ブルック「あれは……」


  • 84スレ主23/03/22(水) 04:43:46

    今回の更新はここまで。決着は次回になります
    なかなか書く時間がとれず更新量減ってましたがハートと保守のご協力本当にありがとうございます。ラストまで頑張ります

  • 85二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 08:11:01

    保守

  • 86二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 19:34:59

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 21:27:26


    ルフィ「おおおおおおおお!!!!」


    “大蛇(パイソン)”の縮む勢いで《トト》へ急速接近し、全力の右拳を叩き込もうと力を溜める。


    ルフィは『トットムジカ』に対して恨みも、憎しみも抱いていない。


    ただ己の行く道に邪魔だから退かすだけだ。


    なら、“ウタ”に対しては?



    ――おい!おれの仲間を返せ!


    ――こんなのただの支配じゃねェか!


    ――お前はこんなのが幸せだっていうのか



    仲間を拘束されて、口喧嘩して、戦って、変な場所に飛ばされて。


    心底ムカついて早くここから出たいと願った。

  • 88二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 22:07:34


    ――私は海賊が嫌いなの


    ――あんたは私に勝てないよ


    ――どう?これでわかったでしょ


    挑発的で、独善的で、誰かのためという顔を崩さない、いけ好かない女。


    歌が上手くてどうやら本当にシャンクスの娘らしいというのがまた気に食わない。


    みんなのためにと唄いながら“みんな”の中に自分を入れず。


    周りに愛されていると分かっていながら、失った愛を恋しがって。


    心が雁字搦めでまったく自由じゃない。



    ……おれはそういうのが一番嫌いだ!!!

  • 89二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 23:03:26


    ルフィ「うおおおおおおおおおおお!!!!」



    吼えるルフィは“覇王色の覇気”を纏った右腕を構え、凄まじい勢いで《トト》の心臓部に叩きつけた。


    ドオォォン!


    衝撃で拳がめり込みながら《トト》の身体が急降下し、《ムジカ》の背中とぶつかる。


    そこへカタクリとシャンクスの一撃が《ムジカ》に突き刺さった。


    『おおおおおおォォォッ!!!!』



    前後から挟み込むように攻撃が炸裂し二体の『トットムジカ』を同時に削っていく。


    魔王は断末魔のような悲鳴を上げ、削れた傷口から黒い音符が大量に噴き出した。


    ギイアアアアアアーーーーーーッ!!!!

  • 90二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 00:19:04

    魔王の悲鳴を聞きながら、気づけばルフィは真っ白な世界の中にいた。


    見聞色が『トットムジカ』の中の気配を探り当てる。


    魔王と一体化した“彼女”はどこか安堵の表情を浮かべ、だらんと腕を下げて滅びを受け入れようとしていた。




    ――ふざけんじゃねェ、勝負の決着はまだついてねェだろ!


    ――こんな分厚い鎧ぶっ壊してやるから、出てこい!


    ――おれはお前に言いたいことがあるんだ!!



    どこまでも伸びるゴムの腕を真っすぐ伸ばす。届こうが届くまいが、世界は彼の縦(ほしいまま)に変わっていく。


    誰かのために、自分のために。


    きっとそれもまた一つの――“解放”だ。


  • 91二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 00:46:12

    ギイアアアアアアーーーーーーッ!!!!


    モモンガ「『トットムジカ』が……!」


    攻撃の後、現実世界では断末魔と共に二体の魔王の身体が消滅していった。


    同時に、眠ったまま身体が動いていた観客や海兵、海賊たちが一気にバタバタと倒れ始める。


    カタクリ「ブリュレ!」


    妹の身体がくん、と項垂れたのを見てカタクリは急いで駆けつけると優しく抱きとめた。


    カタクリの腕の中でブリュレは安らかな寝息を立てている。


    カタクリ「ブリュレ……よかった……」


  • 92二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 01:39:21


    ――“ウタウタの世界”では。


    ナミ「やったの!?」


    ロビン「魔王が……崩れていく……」


    魔王の身体から溢れ出した大量の音符が黒い海を作り、魔王はズブズブと沈みながら崩壊していった。


    崩れゆく《ムジカ》の中からウタが姿を現す。


    背中に生えた黒い翼も少しずつ解け、無防備なひとりの少女がそこに立っていた。


    バルトロメオ「ウタ様!……よがっ……た……べ……」ガクン


    チョッパー「ロメ男!? 医者ァー!!」



    ロー「落ち着けトニー屋。こいつはただの体力切れだ」



    律儀にバルトロメオを診るローはチョッパーに声を掛けた後、小さく「よくやった」と呟いた。

  • 93二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 01:47:09

    魔王の鎧を剥がれたウタは、身体から離れていく黒い音符にそっと触れた。



    《サビシイ》 《ミトメラレタイ》


       《ミツケテホシイ》   《コワイ》


    ウタ「……アンタもそうだったんだね」


    『トットムジカ』は救いを求める誰かの心の欠片だった。


    歌を愛する者の怖れや畏敬、妬み、心細さなどの負の感情が集まって生まれた魔王。


    だからこそウタに寄り添い、いつもそばにいた。


    負の感情は消えることは無い。だがほとんどの力はウタの無茶によって昇華されたのだろう。


    薄れゆく『トットムジカ』に向けて、ウタは心の中で呟いた。


    ――バイバイ。アンタのお陰で寂しかったけど、寂しくなかったよ。

  • 94二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 02:16:58

    “ギア4(フォース)”を解除したルフィは、警戒しつつじっとウタを睨んでいた。


    無意識に頭に手を伸ばし……そこに帽子がないことに気づくと、ぐしゃぐしゃと乱暴に髪をかき混ぜる。


    ルフィ「……おい!」


    呼び声に顔を上げたウタは、大股で近づいてくるルフィに気づくと目をぱちくりと瞬かせた。


    ずんずんと接近する彼の表情は硬い。眉は吊り上がり、拳は固く握られている。



    ウタ「あ……っ」


    今の彼女は無力だ。体力ももう残り少ない。歌えば何とかなるかもしれないが、歌える隙があるかどうか。

  • 95スレ主23/03/23(木) 02:18:57

    今日の更新はここまで

  • 96二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 08:02:10

    よしトト&ムジカ撃破
    残すは親子喧嘩の終結?

    あと地雷踏みまくってるウタに対して
    ルフィがどう話をするのか楽しみ!

  • 97二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 18:02:38

  • 98二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 21:56:25

    ウソップ「お、おい……ルフィ?」


    思わず声を掛けようとするが、あまりの気迫にウソップも周りの皆も固唾を飲んで見守るしかなかった。



    やがて、ウタの眼前まで近づいてきたルフィは。


    ゆっくり深呼吸すると、左手を大きく振りかざした。


    ウタ「……っ!」



    殴られる!とぎゅっと身を固くする。


    ルフィはそのまま拳を――勢い良く振り下ろした。


    ドゴン!


  • 99二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 23:05:03

    足元に地面があればクレーターが出来る程の衝撃が一帯に広がる。


    ビリビリとした気迫を真正面から浴びて、ウタは身動きがとれなかった。


    しばらくして、顔を上げたルフィはウタを真っ直ぐ見据えて口を開く。


    そして、言った。





    「バカ!!!!!」



  • 100二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 23:29:56

    結論:バカ

  • 101二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 00:17:58


    ウタ「……な……なによ……バカって……」


    茫然とするウタの口から言葉が零れる。


    唇はわなわなと震え、短く呼吸を繰り返す。


    身体まで震え出したのでウタはぎゅっと両手で自分を抱きしめた。


    喉の奥から言葉がこみ上げてくるのがもう、止められない。


    ウタ「そんなの……そんなの……っ」


    ウタ「バカって言うほうが、ハ゛カ゛な゛ん゛だ゛か゛ら゛~~~!!」


    ウタの目から、大粒の涙が溢れ出した。

  • 102二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 00:22:15


    ルフィ「お前の方がバカだろ。こんな騒ぎ起こしてみんな巻き込んで……。あやまれ!」


    ウタ「う゛る゛さい!!そんなのわがってるわ゛よ、なんでかいぞくのあ゛んだにいわれなきゃだんだひのよォ……!」



    膝をついてわんわんと泣くウタを見下ろすのも気まずくなったのか、ルフィは胡坐をかいて座ると膝に頬杖をついた。


    ルフィ「知るか!全部お前が悪いからだろ」


    ウタ「わ゛た゛しわるくな゛いもん……! わ゛るいけどわ゛るく゛ないっていわれた゛か゛ら゛あ゛ああ~~!」


    ルフィ「どっちだ!」


    ウタ「ひっぐ、わるいっていってほ゛しか゛った……さいしょからわたしがわるいってわ゛かってたのに、ごーどんもだれもいわ゛なか゛ったからァァァ~~~!!!」


    ルフィ「はァ!?」


    いよいよ煩くなって両耳を手で塞ぎながらルフィが聞き返す。


    歌姫の大声量での叫びは当然周りにも届き、全員目を丸くしていた。

  • 103保守だ23/03/24(金) 00:41:21

    Oho...
    これは21歳児

  • 104二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 00:48:07

    このレスは削除されています

  • 105二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 00:50:10


    ナミ「ひょっとして、あれが本当のウタ……?」


    ロビン「まるで子供の泣き顔ね……」


    すっかり毒気を抜かれてしまった二人はやれやれと肩を竦めている。


    サニーくん「サニー……」


    チョッパー「あんなに泣いたら身体中の水分がなくなって脱水症状を起こしちゃうよ。大丈夫かな……」


    ウソップ「いや心配するところそこか?」


    ゴードン「ウタ……!」


    そばに行っていいものかとおろおろしているゴードンを見て、ブルックは得心がいったとばかりに頷いた。


    ブルック「ああ……そういうことだったんですね」



    フランキー「あんだって?」


    どういうことだと聞き返すフランキーにブルックは穏やかに答える。


    ブルック「ウタさんは、きっと誰かに叱って欲しかったんですよ」

  • 106二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 03:08:45


    シャンクス「おいおい……そんなに泣くと目が溶けちまうぞ」


    号泣するウタを持て余すルフィの元にシャンクスが降りてくる。


    己の作り出した幻を見たウタは、更に涙を溢れさせると両手を伸ばしてズボンにしがみついた。


    ウタ「し゛ゃんく゛す゛ぅ……」


    シャンクス「ああ、ほらほらもう泣くな。可愛い顔が台無しだぞ」


    ウタ「ずびっ……じゃんぐずはないででもがわいいっていっでぐれるもん……!」


    シャンクス「ああ、可愛い可愛い」


    しゃがんだシャンクスにぽんぽんと背中を叩かれているウタを見てルフィは呆れている。


    ルフィ「やっぱり甘やかしてるじゃねェか……」

  • 107スレ主23/03/24(金) 03:45:43

    今日の更新はここまで
    次回で夢パートは終わるはず!です!

  • 108二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 08:14:50

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 12:53:52

    まぁ確かに涙の量凄いけど夢の中だからOKです

  • 110二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 20:29:29

    ウタ「……なによ。ガキだって言いたいの?」


    ルフィ「そんなズビズビ泣いてたらガキにしか見えねェだろ。やーいガキ」


    ウタ「うるさい。あんたあたしより年下でしょ!」


    ルフィ「歳なんか関係あるか!やーい泣き虫!泣き虫ウタ~!」



    ウタ「うううう~~!!」



    シャンクス「ほらほら喧嘩すんな。な?ウタ、いつものやつ描いてやるから」

  • 111二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 01:55:43

    保守

  • 112二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 10:05:15

  • 113二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 17:54:00

  • 114二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 19:51:33

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 19:55:06

    そう言うとシャンクスはウタの左手を取り、人差し指で手のひらに何かを描き始めた。


    ――――おっきなまるを 描きまして……


    決して上手くはないが下手でもない、歌い慣れた調子で口ずさむ絵描き歌。


    赤子のように泣いていたウタの涙もいつしか引っ込み、手のひらをなぞる指先を見つめていた。


    シャンクス「――ほら、できたぞ。『かわいいウタちゃん』だ」



    ウタ「あいかわらず……歌、へた」


    シャンクス「これでも頑張ったんだぞ? 心外だな」


    ウタ「……でも、これがいい。これが好き」


  • 116二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 20:23:09

    手のひらに描かれた見えない『それ』を、両手でそっと包んで胸元に抱き寄せる。


    彼女のアームカバーに描かれたマークと同じ絵と、絵描きうた。


    幼い頃からの宝物。


    それを認めると、ベックマンやラッキー・ルウたちの身体が淡い光を帯び始めた。


    ベックマン「もう時間か」



    ラッキー・ルウ「また呼んでくれ、ウタ」


    ビルディング・スネイク「今度はもっと強い海賊と戦わせろよ!」


    ハウリング・ガブ「またな」



    モンスター「ウキィー!」



    赤髪海賊団たちの身体が透けるように消えてゆき、やがて光の粒になる。


    ゾロ「あいつら、幻か」


    ロビン「ウタが作り出した思い出の姿……だったのかしら」

  • 117二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 21:17:16

    ウソップは、ヤソップが去り際にそっと目配せしたのに気づいていた。


    ――感動の再会は“本物のおれ”とやってくれ。


    ウソップ「……そうだな、親父」


    呟いてウソップは前を向いた。次に会う時はお互い成長した姿だ。




    光の粒はウタの元に集まり、小さな少女を形作った。


    少女はそのままウタに近づくと、抱きしめるように手を伸ばし、吸い込まれていく。




    少女の姿が完全に消えると、ウタの耳当てから小さな音符が飛び出した。


    ウタの目の前でくるりと一回転すると、ぽん、と弾けて、中から麦わら帽子が現れる。

  • 118二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 21:47:45


    ウタは手に取った帽子を見て、シャンクスを見る。


    そして最後にルフィを見ると、少し不満そうに麦わら帽子を差し出した。


    ウタ「ん」


    ルフィ「ん、ってなんだ。ん、って」


    ウタ「ごめん、かえす」


    ルフィ「……おう」


    釈然としないものを感じながらもルフィは受け取り、立ち上がって頭に被せる。


    やっと帽子が元の位置に戻ってしっくり来た感じがした。


  • 119二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 22:34:06

    現実側の海軍はどう退かすんやろ
    シャンクス来るんかな?

  • 120二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 23:10:51

    同じ帽子を被ったルフィを見上げていたシャンクスは……瞬きを一つして、にっと笑った。


    シャンクス「俺の方が似合うな!」



    ルフィがムッとして何か言い返そうすると、ウタの身体がぐらり、と傾く。


    シャンクス「おっと。……眠いか?」


    片腕一本で支えたシャンクスが心配そうに顔を覗き込むと、ウタは瞼が重そうに目を閉じた。


    ウタ「うん……疲れたし。今にも寝ちゃいそう」


    シャンクス「そうか……。なら夢はもうおしまいだな」



    そう言うと、周りからザザザ…と波のような音が聞こえ始めた。

  • 121二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 01:28:57

    “ウタウタの世界”が崩れ始め、世界が波打つように揺れている。


    端からキラキラと光る白い波が押し寄せ、一同を飲み込もうとしていた。


    ブルック「あの、私たちこのまま現実へ帰れるんでしょうか」


    ナミ「やだ、足元に水が!」


    シャンクス「心配ない! こいつは世界を元に戻そうとしているだけだ」


    眠りに落ちそうなウタを抱き上げたシャンクスが、安心させようと声を張り上げている。


    シャンクス「だが、ここにいる観客も含めて全員が戻れるかは怪しいなァ。なんせ世界の七割?だったか。そんな人数が来るのは初めてだからな」


    チョッパー「えっ、ええ~~っ!」



    コビー「ブリュレさん、全員鏡の中に入れられませんか!」


    ブリュレ「無茶言わないで!“鏡世界(ミロワールド)”にも限りがあるんだよ!」

  • 122二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 01:48:11

    このレスは削除されています

  • 123二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 01:49:14

    オーブン「とにかく、誘導できてない観客は一箇所にまとめておいた方がいいな」


    フランキー「全員乗せられる船でもありゃいいんだが……」


    サニーくん「サニー!」



    サニーくんは今こそ自分が必要とされていると感じ、必死に念じた。


    サニーくん「サ~~~ニ~~~~~~……」


    なりたい自分、もとの自分、


    千の夜と海を陽気な太陽のように超えていく、船!


    サニーくん「サニーーッ!!!!」


  • 12423/03/26(日) 07:59:51

    おはよう

  • 125二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 14:40:37

    このレスは削除されています

  • 126二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 19:29:09


    ルフィ「うっはは、やったなサニー!」


    見事船の姿に戻ったサニー号は心なしか誇らしげに船体を立てている。


    サニー号『サニー、サニー!』


    サンジ「この姿でも喋れるのか……。なんだ、全員乗せろってか?」


    ゾロ「どうする船長」


    ルフィ「んー……ま、いっか。おいお前ら、乗っていいぞ!」


    サニー号の気持ちを汲んでやることにしたルフィ。


    その言葉を皮切りに、観客たちがあれよあれよという間にサニー号の甲板に乗り込んだ。


    オーブンとブリュレやクラゲ海賊団、バルトロメオやゴードンも含めて甲板の上がぎゅうぎゅう詰めになっている。


    コビー「ルフィさんの船に乗れるなんて……ううっ、夢みたいです!」



    ヘルメッポ「いや、夢だろ」


  • 127二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 21:13:21

    バルトロメオ「わかるべ……その気持ちまったくもって同じだべ!!」



    ロー(似たようなのが揃いやがった……)



    フランキー「……サニーの野郎、実物より少しばかり大きくなってやがるな?」


    ウソップ「全員乗せるにはちょっと足りなかったか。でも、まァ夢だしいいじゃねェか」


    甲板の上からウソップがルフィに向けておーい!と手を振る。

  • 128二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 02:03:26

    取りこぼしがいないことを船の外から見渡してから、ルフィも腕を伸ばしサニー号に乗り込んだ。


    お気に入りの船首の上に立って振り向くと。シャンクスが船を見上げているのが見える。


    ルフィ「…………」


    あのシャンクスは偽物で、夢の中だけの存在だ。現に彼の身体も淡い光を帯び始めている。


    それにルフィの目にはもう――“シャンクス”には見えていなかった。


    シャンクス「『ルフィ』」


    シャンクス(ウタ)「『現実のあいつをよろしく頼む』」


  • 129二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 02:17:22

    大人びた顔の女性が眠る少女を抱いて、出航を見守っている。


    ルフィはそれに応えることなく前を見据えて、声を張り上げた。


    ルフィ「野郎ども、出航だ!!!」





    そして――――

  • 130二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 02:31:19


    ――覚えているのは、そこまでだった。


    気が付けば、ルフィ達はライブ会場の枡席に寝転がっていた。


    海の向こうでは今にも太陽が西に沈もうとしている。


    ウソップ「……いま、何時だ?」


    目を覚ましたウソップが頭を振り眠気を振り払おうとしていると、


    麦わら帽子を腹の上に乗せて寝息を立てていたルフィが、ばっと飛び起きた。


    ゾロ「よく寝てたな。お前が最後だぞ」


    ルフィ「ウタは?」


    ゾロ「おう」


    ゾロが指差した先は、ステージの上。


    そこに見えたのは、海兵に取り押さえられコビーに手錠を掛けられるウタの姿だった。

  • 131スレ主23/03/27(月) 02:40:11

    今日の更新はここまで
    「次回」って言ってから何日経ってやがる…ともあれ夢パートはここで終了です
    解釈違い赤髪海賊団ともおさらば。彼らはウタが作り出したエゴの塊でした
    次からは現実の回収ですね。あの人たちも登場します

  • 132二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 08:04:35

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 18:39:54

    どうなるんだろうな

  • 134二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 19:08:36

    海賊なら奪え!

  • 135二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 20:01:10

    ウソップ「プリンセス・ウタが!……うぎっ!」


    ビキィッ


    背中からした嫌な音にウソップは思わず突っ伏して悶えた。


    隣でルフィが立ち上がろうとしてバタン、とひっくり返る。


    ルフィ「な……だ……これ、全身が……イテェ…!!」



    ゴムのはずの全身が動かそうとする度に悲鳴を上げ、筋肉が収縮する。


    見れば、他の仲間たちも頭を押さえたり起き上がれなかったりと散々な有様だった。


    チョッパー「イテテ、これ……たぶん、筋肉痛……っ」

  • 136二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 22:16:48


    ロビン「ひょっとして……ネズキノコを食べて、現実でも身体を動かしたせいなのかしら……」


    ナミ「ちょっと動きにくいだけかと思ってたら、思わぬ副作用ね……っ、いたたたっ、足が……」



    ゾロ「ケッ、情けねェ。鍛え方が足りねーな」



    サンジ「お前は座ったまま動けねェだけだろ!見栄張るなクソマリモ!」



    ゾロ「なんだとぐる眉!悔しかったら起き上がってみろ!」


    サンジ「あんだとコンチキショ~~!!」


    ジンベエ「お前さんたち元気じゃのう……わしゃ何とか身体が動くが……」


    フランキー「アウ……あちこちの関節がオーバーヒートしてやがるぜ……」


    ブルック「骨身に染みる痛みですねェ……アッ、私身がないんですけど!ヨホホホホ」

  • 137二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 23:49:13

    アレ?これ結構マズイ状況では...?

  • 138二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 00:17:54

    “麦わらの一味”が悪戦苦闘している間にウタの両手には海楼石つきの手錠がかけられ、コビーが冷静に指示を出していた。


    コビー「もう押さえなくて大丈夫です。“悪魔の実”の能力は使えませんから」



    身体を押さえつけていた海兵たちが離れると、ウタはふらつきながらもゆっくりと立ち上がった。


    海楼石で力を奪われているせいか顔は青ざめ、身体が小刻みに震えている。


    コビー「……大丈夫ですか? 眠ったのもほんの十数分でしょう」


    連行しようと近づいたコビーが小声で尋ねると、ウタは力なく微笑みを浮かべた。


    ウタ「うん。大丈夫……頭はすっきりしてるよ。身体はもうガタガタだけどね」


  • 139二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 08:02:55

    保守

  • 140保守だ23/03/28(火) 10:00:13

    保守だ

  • 141二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 19:20:45

    🌟

  • 142二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 21:52:59

    このレスは削除されています

  • 143二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 21:57:33

    ――『トットムジカ』が消えた後、力尽きてステージ上に倒れ込んだウタを支えたのは、ブリュレを抱えたカタクリだった。


    彼はブリュレとオーブンが一向に目を覚まさないことに焦り、ウタに直接問い質そうとしたのだ。


    カタクリ「おい、どういうことだ。魔王を倒せば心が戻って来るんじゃないのか!!」


    自分が眠れば、みんな目覚める。


    小さな声でそう答えたウタは、眦からはらはらと涙を流した。


    そして、憑き物が落ちたかのように晴れやかな顔で笑うと、そのまま目を閉じて眠りに落ちたのだ―――



    ―――そしてその後、最初に目覚めたのはコビーだった。


    ネズキノコを食べていなかった彼は現実世界の状況を把握すると、イッショウたちに掛け合い目覚めつつある観客たちの避難誘導を優先させた。


    そして地獄の筋肉痛に悲鳴を上げるヘルメッポを眠るウタの傍に置くと、ウタを逮捕するための諸手続きをほんの数十分の間に済ませたのだった。


    それもこれも、歌姫ウタの討伐命令を撤回するための方策である。


  • 144二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 07:42:49

    保守

  • 145二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 08:04:30

    ウタの身柄を海兵に預けたカタクリは、ブリュレとオーブンを連れてライブ会場を離れていた。


    “モチモチの実”の能力で作り出した移動ベッドの上で、眠っていたブリュレが僅かな揺れに目を覚ます。


    ブリュレ「……カタクリお兄ちゃん? ここは……」


    カタクリ「起きたか、ブリュレ。急いでここを離れるぞ」


    ブリュレ「……え? (ビキッ)ひぎっ!」


    オーブン「なんだ、うるさいぞブリュレ……(ビシッ)ぐおォっ!」


    筋肉痛に苦しむ二人を他所に、カタクリは徐々に暗くなる夕空を仰いで厳しい視線を向けた。


    カタクリ「……嫌な予感がする」


  • 146二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 08:11:36

    このレスは削除されています

  • 147二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 08:16:52

    海兵「コビー大佐、船の準備が整いました」


    コビー「ありがとうございます。皆さんも、観客の避難救助お疲れさまでした」


    海兵「いえ……」


    コビー「先程も言いましたが、ウタの身柄はこちらで預かります」



    指揮系統が異なることをアピールし、あえて固い口調でコビーは立場を主張した。


    海兵「寝ている海賊たちはどうしますか」


    コビー「……眠っているだけなら害はないでしょう。指名手配中の海賊を一網打尽にする機会ではありますが、そちらに余力はないのでは?」


    避難活動に精一杯だった海兵らは、疲れた顔でお互いを見る。


    先程仲間を連れて逃走したカタクリを含め、懸賞金が憶を超える海賊たちがこの会場にはゴロゴロしている。


    上の命令があれば逮捕するが、積極的にはやりたがらない顔をしていた。


    コビー「では、ぼくたちは先に行きます。ヘルメッポさんは落ち着いたら船に来てくださいね」


    ヘルメッポ「イチチ……お、おう」


    ボルサリーノ「そうはいかないよォ? コビー大佐」

  • 148保守だ23/03/29(水) 10:27:00

    何もするな黄猿

  • 149二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 18:29:04

  • 150二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 21:49:07

    このレスは削除されています

  • 151再投稿23/03/29(水) 21:49:57


    声に振り向くと、新たに武装した海兵を引き連れたボルサリーノが現れた。


    ボルサリーノ「歌姫の身柄はこっちで預からせてもらうよォ、何せ世界を滅ぼそうとした極悪人だからねェ~」


    イッショウ「悪く思わねェでくだせえ。あっしらもサカズキ元帥から直接、討伐命令を受けてるもんで……」



    コビー「……っ」


    コビーは唇を噛む。こちらが任務を先行しているとはいえ、階級は向こうが上。


    立場上、命令に従わなければならないコビーは必死に知恵を絞り打開策を考えていた。


    コビー(どうしよう、このままじゃウタはすぐに処刑されてしまう……!)


    コビー(まだ世界中のファンは混乱したままだ、何の弁明もなくただ悪として断罪するのが海軍のやることなのか……?)

  • 152二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 22:38:50


    コビー「じ、自分はウタの能力を解明するためにエレジアへ潜入しました。まだ任務は完了していません。それに……」


    ボルサリーノ「アー、そういうのはこっちで引き取るから大丈夫大丈夫。“悪魔の実”のことならDr.ベガパンクが詳しいからねェ」


    ボルサリーノ「コビー大佐は大人しく歌姫を渡すだけでいいんだ。分かるかい~?……このままじゃ面子が立たないんだよ」



    ゆっくり近づくボルサリーノの巨大な影がコビーに覆いかぶさってくる。


    戦艦三十隻を出して、被害も甚大で。


    何の収穫もなく立ち去るわけにはいかないと言っているのだ。

  • 153二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 07:02:55

    コレはもう第三者が介入しないとこのままじゃマズイぞ!

  • 154二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 07:52:16


    ガープ「なんじゃなんじゃ、モメとるのか」


    そこへやってきたのはガープだった。


    『トットムジカ』の脅威が去り無事に上陸した部下たちと共に、一人の男性を連れて歩いてくる。


    コビー「ガープ中将!」


    ガープ「ひさしぶりじゃのう、コビー。……ヘルメッポは何を腰抜かしとるんじゃ、しゃっきりせんかい!」


    ヘルメッポ「あだっ!は、はいいいィ!」


    背中を強く叩かれてヘルメッポは慌てて直立する。修行時代を思い出して咄嗟に反応してしまった。


    ガープはさらに手錠をかけたウタにも近づいて顔を覗き込む。


    ガープ「嬢ちゃんもしばらくぶりじゃ。前に会った時はこーんなにちまっこかったが、成長したのう!ぶわっはっは」


  • 155二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 17:09:28

  • 156二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 21:25:09

    このレスは削除されています

  • 157二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 22:46:59

    このレスは削除されています

  • 158スレ主23/03/31(金) 00:18:26

    (ごべーん一部の描写が足りてなかったので訂正版投下します。ハート押してくれてありがとう!)

  • 159二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 00:20:42


    コビー「お知り合い……でしたか」


    ガープ「うむ、ここにいるゴードンとわしは古い友人での。それに13年前にここで起こった事件はわしが担当しとったんじゃ」


    かつて赤髪海賊団がエレジアを去った後、入れ替わりにやってきた海軍の船に乗っていたのがモンキー・D・ガープだった。


    彼は被害者であるゴードン国王の証言を通じて“赤髪海賊団がエレジアを滅ぼした”と記録に残したが、それは表向きのこと。


    信頼のおける友人である彼に秘密を隠し通すことは、当時悲しみに暮れていたゴードンにはできなかった。


    そして真実を打ち明けられたガープも友の心を慮り、残された少女と『トットムジカ』二つの秘密を守ることを固く約束した。


    それが13年前の出来事である。


    ゴードン「英雄のあなたにまた世話になるとは……すまない」



    ガープ「こらこら、元国王が易々と頭を下げるもんじゃないわい」


    豪快に笑いながらゴードンの肩をばしばしと叩く。こうして並ぶとゴードンの方が年若く見えた。


    ガープ「それでウタ嬢ちゃんともその時に知り合うての。『トットムジカ』もそうじゃが嬢ちゃんが“赤髪”の娘だというのも全部隠せと言われて難儀したわい」


    ヘルメッポ「あのー……それ言っていいんですか。隠蔽工作なんじゃ……」


    ガープ「ん? ああそういやダメなんじゃったな。今のナシ!」

  • 160二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 00:40:47

    とんでもないことを抜かす英雄に一同はあきれ返った。


    モモンガ「ナシも何も……」


    イッショウ「ばっちり聞こえてるんですがね……」


    ボルサリーノ「やれやれ、相変わらず食えない御人だ」


    海軍の重鎮が揃って嘆息する中でガープは改めてウタと向き合い、大人が子供にするようにしゃがんで視線の高さを揃える。


    ガープ「大体の事情は世界政府の調査員に聞いたぞ。一度目は過失でも、二度目は故意になる。……わかっとるな?」



    ウタ「……はい」



    前回も、今回もウタが引き起こしたことだ。


    一度目は大人の優しさでもみ消され、二度目は自らの意志で魔王を呼び出した。


    ……今度こそ責任をとらなくちゃ。


    決意の眼差しを見て、ガープは大きく頷いた。


    ガープ「よし! ならこの件はわしが預かることにしよう」

  • 161二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 00:44:49

    立ち上がってボルサリーノの方を向き「いいな?」と念を押す。ボルサリーノは肩を竦めて答えた。


    ボルサリーノ「よくないと言ってもアナタ首突っ込んでくるでしょう。まったく……あんまりサカズキを苛めないでやってくださいよォ」



    ガープ「ぶわっはっは、どうせ過去の事例だの聴取だので後から呼ばれるんじゃ、ひとまとめにしてやった方が早いわい」


    ガープ「それに当時のわしらがあえて事実を伏せたことも嬢ちゃんには重荷だったんじゃろう。……すまなんだ」


    ガープにまでそう言われてウタは涙ぐみそうになり、顔を俯けた。



    ……どうして誰も彼もが優しくするのだろう。悔しくてならない。


    まるで一人では何もできない子供のようだ。


  • 162二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 07:06:09

    てっきり赤髪海賊団が来るのかと思ったらガープか!
    良いね

  • 163二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 08:12:56

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 18:29:58

  • 165二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 20:35:31


    ロビン「……ウタはこのままガープ中将が連れて行くようね」


    サンジ「ああ、おれも聞こえた」



    ルフィたち“麦わらの一味”は枡席の中で身を伏せ、隠れながらステージの様子を伺っていた。


    ロビンは横になったまま“ハナハナの実”の能力で目と耳を咲かせ、うつ伏せのサンジは見聞色を研ぎ澄ませて向こうの状況を聴き取っている。


    筋肉痛の痛みにも慣れてきて、みんな少しずつ身体を動かせるようになっていた。


    ブルック「ウタさんは騒ぎを起こした責任を一人で取るつもりなんですね……」


    フランキー「『トットムジカ』なんてヤバいもんを2体も呼んじまったからなァ……だが、このまま行かせちまっていいのか?」


    フランキーの視線の先にはウソップとチョッパー、そしてルフィがいる。

  • 166二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 06:46:12


    ウソップ「……プリンセス・ウタが自分で決めたことなら、おれは何も言わねェよ」


    チョッパー「でも大丈夫かな、ひどいことされないといいんだけど……」


    枡席の岩壁に身体を寄せながら、ウソップは何とかステージを覗こうとしている。


    その背中によじ登りながらチョッパーも不安そうな顔をしていた。


    ウソップ「大丈夫だって!海軍にもプリンセス・ウタのファンはいるだろうし、コビーやルフィの爺さんがついてるし……なっ!」


    チョッパー「そうかなあ……」


    ウソップはチョッパーを励ますように明るく伝えるが、それはまるで自らに言い聞かせているように聞こえた。

  • 167二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 16:55:56

    どうなるんやろうか

  • 168二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 20:30:41

    保守

  • 169二次元好きの匿名さん23/04/02(日) 07:32:00

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん23/04/02(日) 17:32:45

    本人が納得してるとはいえ

  • 171二次元好きの匿名さん23/04/02(日) 17:38:23

    このレスは削除されています

  • 172二次元好きの匿名さん23/04/02(日) 18:52:29


    一方のルフィはというと。


    ルフィ「……考えても仕方ねェことは今考えねェでいいさ。あいつの人生だ。サニー号に戻ろうぜ!」



    あっけらかんと言うので逆に拍子抜けしてしまった。


    ゾロ「ハッ、お前がそう言うんならそれでいいさ」



    サンジ「よくねェよ! ウタちゃんがこのまま逮捕されるのを黙って見てろってのか!?」



    ゾロ「うるせェ、カタギにはカタギの決着のつけ方ってモンがあるだろうが!」

  • 173二次元好きの匿名さん23/04/02(日) 19:22:15


    ナミ「ちょっと、あんまり大声を出すと見つかるわよ! 今私たち思うように動けないんだから!」


    ジンベエ「こっそり逃げ出すにしても船は港の反対側じゃからのう……」


    フランキー「まあいざとなりゃ何とかなるさ」


    ブルック「そうですよ、ヨホホホ」


    ロビン「みんな静かに。そろそろ向こうで動きがあるみたいよ」




    ルフィ「でもなー、なーんか忘れてる気がするんだよなァ……」


  • 174二次元好きの匿名さん23/04/02(日) 23:58:16

    コビー「さあ、行きましょうか」


    コビーに促され、ウタは静かな足取りでステージを降りた。


    眠気や疲労が酷く今にも倒れそうになるが、奥歯を食いしばってゆっくり、ゆっくり一歩ずつ歩みを進める。


    ゴードン「ウタ……!」


    心配して駆け寄ろうとするゴードンをガープ中将が片手で制している。


    もしかしたら、彼とももう話せなくなるのだろうか。


    ……謝れなかったな。


  • 175二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 00:44:37

    会場裏の小さな船着き場に辿り着くと、そこにはたくさんの軍艦が停泊していた。


    大勢の海兵たちの他に、会場から運ばれて避難していた観客たちが起きて船の上からこちらを見下ろしている。


    『おいあれ、手錠をかけられてるぞ』『ウタ、連れてかれちゃうの?』『おれたちには一言もナシかよ』『ウタ……!』


    投げかけられる心配や非難の声。思い。音。音。音。


    ぜんぶ聴こえる。


    すうっと息を吸って、大きく吐く。自然と背筋がまっすぐ伸びた。


    ……みんなの前では、歌姫でいなきゃ。


    そう思い、顔を上げて笑顔で呼びかけようとした――その時だった。



    ドクンッ!!



  • 176二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 01:39:01

    ウタ「……えっ?」


    周りにいた海兵がバタバタと倒れるのを見て、ウタは息を呑んだ。


    船着き場の軍艦が大きく揺れ、波がざわつき始めている。


    『な、なんだ?』『海兵たちが!』『なんだこの揺れ!』『おい、どこかに掴まってろ!』


    ウタ「なに……?」


    観客も、ウタも。


    何が起こったか分からず戸惑っているうちに……第二波が来た。



    ドンッ!



  • 177二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 02:34:40


    「うっ!」「ぐっ!」「がはっ」


    船着き場だけでなく、ライブ会場にいた海兵まで次々と泡を吹き倒れていく。


    壮絶な殺気と威圧感に本能的な恐怖を覚え、全身が冷たく固まってしまうかのような幻覚を見た。


    コビー「あわわわわ……っ!」


    モモンガ「う……っ」


    コビーが尻餅をついてへたり込むのと同時に、モモンガ中将までもが気圧され片膝をつく。


    イッショウは咄嗟に重力刀に手を掛け、ボルサリーノも冷や汗をかきながら“覇気”の来た方角を見た。


    ボルサリーノ「おォ~っとォ……こいつはマズいねェ~~」



    ガープ「ふん、なんじゃ今頃来たのか」


    ゴードンを背に庇いながら平然と立つガープ中将だが、その目つきは険しい。

  • 178二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 03:08:05


    サンジ「……ッ、すげェ“覇気”だ……っ、おい!できるだけ身体を伏せろっ!」


    ウソップ「ナミ、チョッパー、大丈夫か!」


    ナミ「……っ、ええ、大丈夫!」


    チョッパー「なんの、これしき……っ」


    一瞬意識が飛びかけた二人だが、何とか持ち直してウソップの呼びかけに応えた。


    それでもドクンドクンと脈打つ心臓が治まらず、ナミは両腕でぎゅっと自分を抱きしめる。


    ロビンは急いで“ハナハナの能力”を解除するとナミを庇うように折り重なった。


    そして違和感に気づいた。


    ロビン「……この“覇気、もしかして私たちには向いていない!?」


    ゾロ「だろうな。見ろ、海兵が倒れてるのにあいつらなんともねェぞ」


    ロビンの前で身構えながらゾロが指し示すのは、誘導されて船に向かおうとしていた残りの観客たちだ。


    怖がってうずくまってこそいるが、周りの海兵のように気絶はしていない。

  • 179二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 03:40:28


    やがて“覇気”がおさまると、海軍にとっての地獄絵図がそこに広がっていた。


    “白い制服”を着た海兵が軒並み倒れ、意識を失っている。


    イッショウ「なんてェ指向性の強い“覇気”だ……まさか“覇王色の覇気”でこんなことができるとは」



    辛うじて凌いだイッショウは見聞色で拾った周囲の惨状に寒気を覚えた。




    枡席の中で仲間たちの安否を気遣いながらルフィは一人、にやりと笑みを浮かべる。


    ルフィ「にしし……そうだな、忘れてた」


  • 180二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 04:14:02

    船着き場では、高波に揺られて軍艦がギシギシと軋みを上げていた。


    泡を吹いて倒れてしまった海兵を観客の中で医療の心得がある者が介抱している。


    船縁にしがみついて耐えていた一人がふと、夕日が沈む方向を見て――驚きの声を上げた。


    「か、海賊船!?」


  • 181スレ主23/04/03(月) 04:19:40

    今回の更新はここまで
    シャンクス 登場が おそい(遅筆のせい)ちなみにちゃんと本物です
    一味が覇王色を浴びたらどうなるかが分からなかったので勝手に設定してますが
    本誌やSBSで出てきてたらすみませんそちらが正しいです

  • 182二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 08:02:28

    保守

  • 183二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 18:57:45

    保守

  • 184二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 22:34:56

    そろそろ次スレかな?

  • 185保守だ23/04/04(火) 07:28:05

    保守だ

  • 186二次元好きの匿名さん23/04/04(火) 08:03:43

    保守

  • 187二次元好きの匿名さん23/04/04(火) 15:31:36

  • 188スレ主23/04/04(火) 22:01:17

    お待たせしました
    ちょうど切りがいいので次スレ用意します

  • 189スレ主23/04/04(火) 22:16:04

オススメ

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